説明

昇降機

【課題】 バケットベルトの回転外周面にスクレパプレートを取付けるために、アングルブラケットを取付ボルトによって直接バケットベルト面に取付ける構成とすると、このバケットベルトの内周面に形成される取付けボルト等の止め金具の配置数が多くなり、スクレパプレートによる抵抗を受けて、バケットベルトの揺動が激しく、このスクレパプレートを取付ける取付ボルト等の取付穴の変形、拡大等が著しく、バケットベルトの耐久性や、円滑な昇穀作動等を維持し難い。
【解決手段】 外周面にバケット1を取付けたベルト2の両端継目部を外周側へ直角状に屈曲して屈曲端縁部6、7を形成し、この屈曲端縁部6、7の背面部を接重合させて連結具8で締付けて連結してスクレパラグ9を構成して、先端部を昇降筒3の底面に接近させて回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、籾摺機や穀粒乾燥機等に構成される昇降機のバケットベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
バケットベルトに取付けるスクレーパプレートは、ベルトの外周面に取付ボルトによって直接取付けるアングルブラケットを介して取付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3768341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バケットベルトの回転外周面にスクレーパプレートを取付けるために、アングルブラケットを取付ボルトによって直接バケットベルト面に取付ける構成とすると、このバケットベルトの内周面に形成される取付けボルト等の止め金具の配置数が多くなり、スクレーパプレートによる抵抗を受けて、バケットベルトの揺動が激しく、このスクレーパプレートを取付ける取付ボルト等の取付穴の変形、拡大等が著しく、バケットベルトの耐久性や、円滑な昇穀作動等を維持し難いものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、外周面にバケット(1)を取付けたベルト(2)を昇降筒(3)の上、下プーリ(4)(5)間に亘って掛け渡し、前記ベルト(2)の両端継目部を外周側へ直角状に屈曲して屈曲端縁部(6)(7)を形成し、この屈曲端縁部(6)(7)の背面部を接重合させて連結具(8)で締付け連結し、屈曲端縁部(6)(7)先端部を昇降筒(3)の底面に接近又は摺接させることを特徴とする昇降機の構成とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、外周面にバケット(1)を取付けたベルト(2)を昇降筒(3)の上、下プーリ(4)(5)間に亘って掛け渡し、前記ベルト(2)の両端継目部を外周側へ直角状に屈曲して屈曲端縁部(6)(7)を形成し、前記ベルト(2)の屈曲端縁部(6)(7)を挟持プレート(10)間に挟持させて連結具(8)で締付連結し、前記屈曲端縁部(6)(7)の先端縁(11)を、前記挟持プレート(10)の先端縁よりも長く突出させて昇降筒(3)の底面に接近又は摺接させることを形成したことを特徴とする昇降機とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、外周面にバケット(1)を取付けたベルト(2)を昇降筒(3)の上、下プーリ(4)(5)間に亘って掛け渡し、前記ベルト(2)の両端継目部を外周側へ直角状に屈曲して屈曲端縁部(6)(7)を形成し、前記屈曲端縁部(6)(7)の背面部間にスクレーパプレート(12)を介在させて連結具(8)で締付連結し、このスクレーパプレート(12)の先端縁(13)を屈曲端縁部(6)(7)よりも長く突出させて昇降筒(3)の底面に接近又は摺接させることを特徴とする昇降機。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記挟持プレート(10)、又はスクレーパプレート(12)には連結具(8)を挿通するための長穴(15)、又は配置位置を異にする調整穴(16)を形成して、前記挟持プレート(10)、又はスクレーパプレート(12)の突出長さ位置を調整可能に構成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の昇降機とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は、バケットベルト2の両端継ぎ目部は、屈曲端縁部6、7を接重合させて連結具8で締付けて連結するため、連結具8の一部がベルト2の内周面に露出して、回転中に上、下プーリ4、5等に接することがなく、円滑な回転駆動を行わせることができ、このベルト2や、プーリ4、5等の摩耗、損傷を防止して、耐久性を高めることができる。しかも、このベルト2の外周面に直角状に起立するスクレーパラグ9部を昇降筒3の底面に接近又は摺接させて回転することによって、残粒防止効果を維持することができ、このスクレーパラグ9部が底面8との間で掃除抵抗を受けても、連結具8で挟持された屈曲端縁部6、7の基部内周面は下プーリ5の周面の沿って支持されて、円滑で安定した回転姿勢に維持される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記のようにバケット2の両端継ぎ目部の屈曲端縁部6、7相互間を挟持プレー10、10間に挟持させて連結具8によって締付固定することができて、上、下プーリ4、5に対する掛け渡し伝動回転を安定して円滑に行わせることができ、しかも、これらベルト2の屈曲端縁部6、7の先端縁11が挟持プレート10の先端よりも長く突出されて昇降筒3底面8に接近又は摺接して回転するものであるから、この先端縁11と底面8との間の摩擦抵抗を軽減することができ、揚穀穀粒の摩耗損傷等を少くすることができ、構成を簡単にすることがきる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、このスクレーパプレート12の基部はベルト2の屈曲端縁部6、7間に挟持して取付けられているため、このベルト2の屈曲端縁部6、7の揺動と同様に歪み揺動することができ、昇降筒3底面部との間の抵抗によって回転方向に揺動して、この底面部の掃除作用を円滑に行うことができ、抵抗力を軽減して、揚穀穀粒の損傷を少くすることができる。又、このスクレーパプレート12の取付けは、屈曲端縁部6、7間に介在させることにより連結具で挟持して締付けるものであるから、取付構成を堅固で安定した形態とすることができ、簡潔簡単な構成とすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、挟持プレート10や、スクレーパプレート12に、連結具8によってベルト2の屈曲端縁部6、7に対して取付けるための長穴15や、振替取付用等の調整穴16などを形成しておくことによって、これら挟持プレート10や、スクレーパプレート12の摩耗度等に応じて、常時昇降筒3底面に対する摺接間隙位置を適正に維持して、効率のよい円滑、的確な揚穀作用を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】バケットベルト部の側面図(A)、その一部の分解斜視図(B)。
【図2】一部別例を示す同側面図。
【図3】一部別例を示す同側面図。
【図4】挟持プレート部、スクレーパプレート部の斜視図(A)、(B)。
【図5】昇降機の斜視図。
【図6】その一部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面に基づいて、昇降機は、昇降筒3内の上部に上プーリ4をプーリ軸20で軸装し、下部に下プーリ5をプーリ軸21で軸装して、これらに上下のプーリ4、5間に、外周面に一定間隔に配置してバケット1を取付けた平ベルト2を掛け渡して回転させることができる。昇降筒3はバケット1、及びベルト2の前後回転方向に長い長方形状態の平面形態で、この前側下部に穀粒を供給する、供給口22を形成して、この外側に供給ホッパー23のホッパ口24をのぞませて設定できる。昇降筒3の上端後側部には排出口25を形成して、この昇降筒3内を各バケット1で揚穀の穀粒をこの排出口25から排出して、穀粒乾燥機や、籾摺機、精米機等へ揚穀供給することができる。
【0015】
前記ベルト2の回転外周面に沿って各バケット1を取付けて、回転により揚穀することができる。この平ベルト2は、一本の長いベルト2の両端部を継目として連結具8で連結して無端帯状のベルト2を構成する。ベルト2の継目部は、両端部に外周側へ直角状に屈曲させる屈曲端縁部6、7を形成して連結具8で連結し、この屈曲端縁部6、7部にスクレーパラグ9を形成して、昇降筒3底面に接近させて回転させる。この昇降筒3の底部には、プーリ軸21周りに半円筒状形態の底板17を設け、この底板17の内周面を底面18として、スクレーパラグ9の先端縁11が接近、乃至摺接して回転する。前記ベルト2の両端継目部に形成の屈曲端縁部、7は背面を対向させて連結具8を挿通して締付けて連結する。この連結具8はボルト27、ナット28等からなり、屈曲端縁部6、7、及びこの前後両面部に重合させる挟持プレート10等に形成の連結穴29、30に挿通させて締付け固定する。
【0016】
前記挟持プレート10はアングル形態でベルト2の外周面部に沿って押える押え縁26を形成し、屈曲端縁部6、7の前、後外側面に沿って重合させて、これら屈曲端縁部6、7を挟持するように連結する。
【0017】
ここにおいて、外周面にバケット1を取付けたベルト2を昇降筒3の上、下プーリ4、5間に亘って掛け渡し、このベルト2の両端継目部を外周側へ直角状に屈曲して屈曲端縁部6、7を形成し、この屈曲端縁部6、7の背面部を接重合させて連結具8で締付けて連結してスクレーパラグ9を構成し、このスクレーパラグ9の先端部を昇降筒3の底面に接近させて回転することを特徴とする昇降機のバケットベルトの構成とする。
【0018】
回転外周面にバケット1を有するバケットベルト2は、両端継ぎ目部を外周側へ直角状に屈曲した屈曲端縁部6、7間を接重合して、この屈曲端縁部6、7部の接重合部相互間を連結具8で連結して無端回転するように構成するものであるから、この連結具8の一部がベルト2の回転内周面に露出して上、下プーリ4、5等どの回転周面に接することなく、振動を少くして円滑な回転を行わせる、連結具8で締付連結された屈曲端縁部6、7が外周側へ突出されてスクレーパラグ9として、昇降筒3の底面に接近又は摺接して回転して、この底面の残粒を生じないように掻き揚げて掃除する。この底面部から書き出された残粒は後続のバケット1に掬われて揚穀される。
【0019】
又、前記ベルト2の屈曲端縁部6、7を硬質プレートからなる挟持プレート10間に挟持させて連結具8で締付連結し、前記屈曲端縁部6、7の先端縁11を、前記挟持プレート10の先端縁よりも長く突出させてスクレーパラグ9を形成する。
【0020】
前記のように屈曲端縁部6、7相互間を連結具8で締付けて連結する場合に、これら屈曲端縁部6、7の両外側面に挟持プレート10を重合させて、この挟持プレート10間に挟持させるようにして、この屈曲端縁部6、7を挟持プレート10の先端縁よりも外方へ突出させて揚穀作用を行わせる。このため屈曲端縁部6、7は下プーリ5周りを案内されて回転するとき、先端縁11が長く突出されて、昇降筒3の底面に接近又は摺接して回転移動し、この底面上面に残粒がないように掻き揚げて掃除する。この形態では、昇降筒3底面に接近、乃至摺動回転する先端縁11がベルト2を構成する屈曲端縁部6、7の材質から形成されるため、底面8に対する回転抵抗を小さくすることができ、揚穀穀粒の損傷を軽減することができる。
【0021】
又、前記屈曲端縁部6、7の背面部間に硬質プレートからなるスクレーパプレート12を介在させて連結具8で締付連結し、このスクレーパプレート12の先端縁13を屈曲端縁部6、7よりも外方へ突出させてスクレーパラグ9を形成する。
【0022】
前記バケットベルト2の両端継ぎ目部の屈曲端縁部6、7を挟持して連結するスクレーパプレート12は、先端縁13が、前記屈曲端縁部6、7の先端よりも長く突出されて、揚穀回転時は昇降筒3の底面に接近又は摺接して回転し、この底面上の残粒を掻き揚げて掃除し、後続のバケット1で搬送させ。このスクレーパプレート12は硬質材からなり、ベルト2の屈曲端縁部6、7間の継ぎ目を堅固に固定連結して、このスクレーパプレート12の取付姿勢を安定させるが、このスクレーパプレート12の取付部は屈曲端縁部6、7を介して直接ベルト2に一体的に支持する形態であるから、スクレーパプレート12はこの屈曲端縁部6、7を介在してベルト2に突出支持されるため、回転方向の歪み揺動を許して、昇降筒3底面との間の抵抗を軽減することができ、揚穀穀粒を損傷しない。
【0023】
又、前記ベルト2の屈曲端縁部6、7を硬質プレートからなる挟持プレート10間に挟持させて連結具8で締付連結し、前記挟持プレート10の先端縁14を、前記屈曲端縁部6、7の先端縁よりも長く突出させてスクレーパラグ9を形成する。
【0024】
揚穀回転時は昇降筒3の底面に接近又は摺接して回転し、前記ベルト2の回転によって、この屈曲端縁部6、7を挟持する挟持プレート10が回転して、昇降筒3底面上の穀粒を掃除する。又、この挟持プレート10が屈曲端縁6、7の前、後両面に位置して長く突出される形態であるときは、前後の屈曲端縁6、7厚さの間隔において回転の挟持プレート10先端縁14によって二段階の掃払移動されるため、円滑で、無理のない掃除効果を発揮することができる。しかも、これら両挟持プレート10の基部は、ベルト2の屈曲端縁6、7の重合厚さ間隔を挟持するように連結具8によって締付固定されるため、各挟持プレート10共に先端縁14を独立的に揺動歪みさせて、前後の挟持プレート10間隔部に穀粒等を詰らせることも少く、揚穀作用を円滑に行う。
【0025】
更には、前記挟持プレート10、又はスクレーパプレート12には連結具8を挿通するための長穴15、又は配置位置を異にする調整穴16を形成して、前記挟持プレート10、又はスクレーパプレート12の突出長さ位置を調整可能に構成する。
【0026】
前記ベルト2の屈曲端縁部6、7を挟持固して取付ける挟持プレート10、又は屈曲端縁部6、7間に挟持して取付けるスクレーパプレート12の、連結具8挿通穴に長穴15を形成したり(A)、又は、連結具8の挿通位置を異にする調整穴16を形成する(B)等によって、これら挟持プレート10や、スクレーパプレート12の屈曲端縁部6、7に対する締付固定位置を、前記長穴15に沿って移動させたり、これら挟持プレート10やスクレーパプレー12の取付位置を振替えて調整穴16位置を選択して取付けることによって、各挟持プレート10やスクレーパプレート12等の摩耗に応じて調節して、昇降筒3底面に対するクレパラグの先端縁13、14の位置調整を行って、円滑、的確な揚穀、及び底部掃除を行う。
【符号の説明】
【0027】
1 バケット
2 ベルト
3 昇降筒
4 上プーリ
5 下プーリ
6 屈曲端縁部
7 屈曲端縁部
8 連結具
9 スクレーパラグ
10 挟持プレート
11 先端縁
12 スクレーパプレート
13 先端縁
14 先端縁
15 長穴
16 調整穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にバケットを取付けたベルトを昇降筒の上、下プーリ間に亘って掛け渡し、前記ベルトの両端継目部を外周側へ直角状に屈曲して屈曲端縁部を形成し、この屈曲端縁部の背面部を接重合させて連結具で締付け連結し、屈曲端縁部先端部を昇降筒の底面に接近又は摺接させることを特徴とする昇降機。
【請求項2】
外周面にバケットを取付けたベルトを昇降筒の上、下プーリ間に亘って掛け渡し、前記ベルトの両端継目部を外周側へ直角状に屈曲して屈曲端縁部を形成し、前記ベルトの屈曲端縁部を挟持プレート間に挟持させて連結具で締付連結し、前記屈曲端縁部の先端縁を、前記挟持プレートの先端縁よりも長く突出させて昇降筒の底面に接近又は摺接させることを形成したことを特徴とする昇降機。
【請求項3】
外周面にバケットを取付けたベルトを昇降筒の上、下プーリ間に亘って掛け渡し、前記ベルトの両端継目部を外周側へ直角状に屈曲して屈曲端縁部を形成し、前記屈曲端縁部の背面部間にスクレーパプレートを介在させて連結具で締付連結し、このスクレーパプレートの先端縁を屈曲端縁部よりも長く突出させて昇降筒の底面に接近又は摺接させることを特徴とする昇降機。
【請求項4】
前記挟持プレート、又はスクレーパプレートには連結具を挿通するための長穴、又は配置位置を異にする調整穴を形成して、前記挟持プレート、又はスクレーパプレートの突出長さ位置を調整可能に構成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の昇降機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−246075(P2012−246075A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117126(P2011−117126)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】