説明

昇降装置および昇降便座

【課題】軟らかいものが挟まれたことを正確に検知することができる昇降装置およびそれを備えた昇降便座を提供する。
【解決手段】昇降装置10は、ケーブル5と、固定プレート(第1部材)1と、ドラム4と、モータ3と、方向転換部材6を有し、モータ3がドラム4を回転させることによって方向転換部材6を介してドラム4がケーブル5を巻取りおよび繰り出しすることで固定プレート1に対して相対的に移動可能な可動プレート(第2部材)2とを備えている。可動プレート2が昇降対象物20に用いられ、固定プレート1が固定側に用いられており、固定プレート1に対して可動プレート2が相対的に移動することで昇降対象物20が昇降し、昇降装置20は、固定プレート1と昇降対象物20との間に、異物が挟まったときにドラム4から繰り出されたケーブル5の弛みに応じてリミットスイッチ9を作動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置および昇降便座に関し、特に、昇降対象物を昇降するために所定の位置に固定される昇降装置およびそれを備えた昇降便座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降対象物を昇降させるための装置が用いられている。昇降対象物には様々な物が適用されている。たとえば昇降対象物として便座が適用された便座の昇降装置が提案されている。たとえば特開平8−280581号公報(特許文献1)には、昇降部がコントロールケーブルを介して駆動部によって上下に駆動されることで、便座を昇降させる便座の昇降傾動装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−280581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記公報に記載された便座の昇降傾動装置では、便座の降下時において便座と便器との間にたとえば指などが挟まれた場合に、挟まれたことを検知する手段は備えられていない。つまり、便座の降下時おいて便座と便器との間に指などの弱い力で形状が変化したり、破損したりしやすいものが挟まれたことを検知することができない。そのため、このような軟らかいものが挟まれたことを検知して駆動部の駆動を中止することもできない。これにより、挟まれたものが破損するおそれがある。このような破損を防止するために、挟み込みを検知する手段を別途設けたり、挟み込みを防止するために、昇降装置そのものを覆うような部材を別途設けた場合には、装置が複雑になったり、大型化する。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、軟らかいものが挟まれたことを正確に検知することができる昇降装置およびそれを備えた昇降便座を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の昇降装置は、昇降対象物を昇降するために所定の位置に固定される昇降装置であって、ケーブルと、ケーブルの一端が固定された第1部材と、第1部材に取り付けられ、ケーブルの他端が接続され、かつケーブルを巻取りおよび繰り出し可能なドラムと、第1部材に取り付けられ、ドラムを回転可能なモータと、ケーブルの方向を転換する方向転換部材を有し、モータがドラムを回転させることによって方向転換部材を介してドラムがケーブルを巻取りおよび繰り出しすることで第1部材に対して相対的に移動可能な第2部材とを備えている。第1部材および第2部材の一方が昇降対象物に用いられ、他方が固定側に用いられており、第1部材に対して第2部材が相対的に移動することで昇降対象物が昇降し、昇降装置は、固定側に用いられている第1部材および第2部材の一方と昇降対象物との間に、異物が挟まったときにドラムから繰り出されたケーブルの弛みに応じてリミットスイッチを作動可能に構成されている。
【0007】
本発明の昇降装置によれば、モータがドラムを回転させることによってドラムがケーブルを繰り出しすることで、昇降対象物が下降する。そして、固定側に用いられている第1部材および第2部材の一方と昇降対象物との間に異物が挟まったときには、モータがドラムを回転させることによってドラムからケーブルは繰り出されるが昇降対象物は異物のために下降しないためケーブルの弛みが生じる。軟らかいものが挟まれた場合でもケーブルの弛みは生じるため、このケーブルの弛みに応じてリミットスイッチが作動されることで、軟らかいものが挟まれたことを正確に検知することができる。
【0008】
上記の昇降装置において好ましくは、昇降対象物に用いられている第1部材および第2部材の一方と昇降対象物とによる荷重により、第1部材と第2部材とが近接する方向に移動するように構成されている。固定側に用いられている第1部材および第2部材の一方と昇降対象物との間に異物が挟まったときには、モータがドラムを回転させることによってドラムからケーブルは繰り出されるが昇降対象物は異物のために下降しないためケーブルの弛みが生じる。このときには、ケーブルにはモータの駆動力が伝わらない。第1部材と第2部材の荷重で近接することにより、モータの荷重がケーブルに伝わらないので、挟み込みが生じたときに、よりケーブルが弛みやすくなる(ケーブルの弛みを検知しやすくなる)ため、挟み込みをさらに正確に検知することができる。
【0009】
上記の昇降装置において好ましくは、ケーブルの弛みに応じて変位してリミットスイッチを作動可能な作動部を備えている。作動部は、回動可能なレバーを含んでいる。レバーは、ケーブルによって回動が規制されている第1の状態と、ケーブルが弛むことで回動の規制が解除されている第2の状態とのいずれかに移行可能に構成されている。第2の状態で、レバーがリミットスイッチを作動可能に構成されている。ケーブルが弛むことで回動の規制が解除されている第2の状態で、レバーがリミットスイッチを作動させることで、軟らかいものが挟まれたことを正確に検知することができる。
【0010】
上記の昇降装置において好ましくは、作動部は、レバーを付勢可能なスプリングを含んでいる。スプリングは、第1の状態で、レバーをケーブル側に付勢するように構成されている。スプリングが第1の状態でレバーをケーブル側に付勢するため、レバーはケーブルの弛みに対して敏感に反応することができる。そのため、ケーブルの弛みに応じてさらに精度よくリミットスイッチを作動させることができる。
【0011】
上記の昇降装置において好ましくは、レバーは、一方端側でケーブルに接触可能であり、他方端側でスプリングに接続可能に構成されている。他方端側がスプリングによって付勢されて一方端側がケーブルに接触するようにレバーが回動されることで、レバーはケーブルの弛みに対してさらに敏感に反応することができる。
【0012】
本発明の昇降便座は、上記の昇降装置と、昇降対象物としての便座とを備えている。そのため、便座と固定側に用いられている第1部材および第2部材の一方との間に異物が挟まったときに、ケーブルの弛みに応じてリミットスイッチが作動される。これにより、便座と固定側に用いられている第1部材および第2部材の一方との間に軟らかいものが挟まれたことを正確に検知することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、軟らかいものが挟まれたことを正確に検知することができる昇降装置およびそれを備えた昇降便座を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における昇降装置を示す概略平面図である。
【図2】図1に示される昇降装置の裏面側を示す概略平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における昇降装置を示す概略側面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における昇降装置の作動部の周辺を示す概略平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における昇降装置において、昇降対象物が上昇した状態を示す概略平面図である。
【図6】図5に示される状態での昇降装置の裏面側を示す概略平面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における昇降装置において、昇降対象物が傾斜した状態を示す概略平面図である。
【図8】本発明の実施の形態2における昇降装置を用いた昇降便座を示す概略平面図である。
【図9】本発明の実施の形態2における昇降便座において、便座が上昇した状態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1の昇降装置の構成について説明する。なお、図1〜図6では、見やすくするため、背後に位置する各部材についても実線で示されている。
【0016】
図1〜図3を参照して、本実施の形態の昇降装置10は、昇降対象物20を昇降するために所定の位置に固定される装置である。昇降装置10は、固定プレート(第1部材)1と、可動プレート(第2部材)2と、モータ3と、ドラム4と、ケーブル(ワイヤ)5と、方向転換部材6と、スライダ部7と、ケーブル固定部材8と、リミットスイッチ9と、作動部11と、傾斜用モータ15と、動力伝達機構16と、ガイド部材17と、保持部材18とを主に有している。保持部材18には昇降対象物20が保持されている。
【0017】
固定プレート1は、位置を固定可能に設けられている。可動プレート2は、固定プレート1に対して相対的に移動可能に設けられている。固定プレート1にモータ3と、ドラム4と、ケーブル固定部材8と、作動部11とが取り付けられている。可動プレート2は方向転換部材6を有している。可動プレート2に傾斜用モータ15と、動力伝達機構16と、ガイド部材17と、保持部材18とが取り付けられている。
【0018】
固定プレート1にはケーブル固定部材8によってケーブル5の一端が固定されている。モータ3は、駆動により可動プレート2を固定プレート1に対して相対移動させるように構成されている。モータ3は、ドラム4を回転可能に設けられている。ドラム4はケーブル5の他端に接続されており、ケーブル5を巻取りおよび繰り出し可能に設けられている。
【0019】
方向転換部材6はケーブル5の方向を転換するように設けられている。方向転換部材6としてはたとえば動滑車が適用され得る。方向転換部材6はケーブル5が巻きかけられるように設けられている。方向転換部材6はケーブル5によって回動するように設けられていてもよい。なお、方向転換部材6は、ケーブル5の配策方向が変わればよいため、動滑車に限定されず、たとえばワイヤガイドであってもよい。
【0020】
スライダ部7は、固定プレート1と可動プレート2とを相対的に移動させるように構成されている。スライダ部7は、摺動部材7aと、摺動溝7bとを主に有している。摺動部材7aは可動プレート2に固定されている。摺動部材7aは、固定プレート1に設けられた摺動溝7bに沿って移動可能に設けられている。可動プレート2に固定された摺動部材7aが固定プレート1に設けられた摺動溝7bに沿って移動することで、可動プレート2を固定プレートに対して昇降させるようにスライダ部7は構成されている。
【0021】
本実施の形態の昇降装置10では、可動プレート2は、モータ3がドラム4を回転させることによって方向転換部材6を介してドラム4がケーブル5を巻取りおよび繰り出しすることで固定プレート1に対して相対的に移動可能に設けられている。そして、昇降装置10は、可動プレート2が昇降対象物20に用いられ、固定プレート1が固定側に用いられており、固定プレート1に対して可動プレート2が相対的に移動することで昇降対象物20が昇降するように構成されている。なお、昇降対象物20は、可動プレート2に直接取り付けられていても、昇降対象物20と可動プレート2との間に保持部材を介在させるなど、可動プレート2に間接的に取り付けられてもよい。
【0022】
リミットスイッチ9は、固定側に用いられている固定プレート1と昇降対象物20との間に、異物が挟まったときにドラム4から繰り出されたケーブル5の弛みに応じて作動可能に構成されている。異物としては、たとえば指などが該当する。
【0023】
固定プレート1と可動プレート2との相対的な移動については、昇降対象物20に用いられている可動プレート2と昇降対象物20とによる荷重により、固定プレート1と可動プレート2とは近接する方向に移動するように構成されていることにより、なされる。ここで、昇降対象物20による荷重は、昇降対象物20の自重であってもよく、昇降対象物20とは別体による荷重を含めた荷重であってもよい。
【0024】
図1および図4を参照して、作動部11は、ケーブル5の弛みに応じて変位してリミットスイッチ9を作動可能に設けられている。作動部11は、回動可能なレバー12を有している。レバー12は、ケーブル5によって回動が規制されている第1の状態と、ケーブル5が弛むことで回動の規制が解除されている第2の状態とのいずれかに移行可能に構成されている。
【0025】
第1の状態では、レバー12とケーブル5とが接触することによってレバー12の回動が妨げられている。このため、第1の状態では、レバー12の姿勢はケーブル5と接触した状態で維持されている。第1の状態では、レバー12はケーブル5によって付勢されている。第2の状態で、レバー12はリミットスイッチ9を作動可能に構成されている。第2の状態では、ケーブル5による付勢力が解除されることでレバー12は回動可能となる。このため、第2の状態では、レバー12が回動することでリミットスイッチ9を作動させるようにレバー12が構成されている。
【0026】
また、作動部11は、レバー12を付勢可能なスプリング13を有している。スプリング13は、第1の状態で、レバー12をケーブル5側に付勢するように構成されている。スプリング13は、レバー12の端部とケーブル固定部材8とに接続されている。スプリング13としては、たとえばトーションスプリングが用いられ得る。レバー12は、一方端12a側でケーブル5に接触可能であり、他方端12b側でスプリング13に接続可能に構成されている。レバー12は中央部に回動中心12cが位置するように構成されている。レバー12の中央部に突出部12dが設けられている。この突出部12dは、レバー12が回動することによってリミットスイッチ9を押圧可能に設けられている。
【0027】
再び図1〜図3を参照して、可動プレート2の上端にガイド部材17が取り付けられている。可動プレート2の上端にガイド部材17にガイドされて回動可能に保持部材18が取り付けられている。保持部材18は可動プレート2の昇降に伴って昇降可能に設けられている。
【0028】
また、保持部材18は動力伝達機構16を介して傾斜用モータ15によって傾斜されるように設けられている。傾斜用モータ15は、動力伝達機構16を介して保持部材18を傾斜可能に設けられている。
【0029】
動力伝達機構16は、傾斜用モータ15の駆動力を保持部材18に伝達可能に設けられている。たとえば、動力伝達機構16は内周側と外周側とにそれぞれ歯車を有していてもよい。この場合、内周側の歯車がたとえば保持部材18に設けられたギアと係合し、外周側の歯車が傾斜用モータ15に設けられたギアと係合することで、動力伝達機構16は、傾斜用モータ15の駆動力を保持部材18に伝達可能に設けられている。
【0030】
傾斜用モータ15の駆動力が保持部材18に伝達されると、ガイド部材17に設けられた溝に保持部材18に設けられた突起が摺動することによって、保持部材18は傾斜するように設けられている。保持部材18は、たとえば、傾斜用モータ15によって可動プレート2の上端の一部を支点として30°の角度で傾斜されるように設けられている。
【0031】
保持部材18に昇降対象物20が取り付けられている。固定プレート1は所定の位置に固定されていればよく、たとえば床等に固定されている。可動プレート2が固定プレート1に対して昇降することによって保持部材18に取り付けられた昇降対象物20は固定プレート1に対して昇降するように設けられている。また、保持部材18が傾斜することによって昇降対象物20は傾斜するように設けられている。
【0032】
次に、本実施の形態の昇降装置の動作について説明する。
図5および図6を参照して、モータ3の駆動によってドラム4が回転される。ドラム4が回転することによって、ケーブル5が巻取りおよび繰り出される。ケーブル固定部材8にケーブル5の一端が固定されており、方向転換部材6を介してドラム4にケーブル5の他端が接続されている。そのため、ドラム4が回転することによってケーブル5が巻き取られるとケーブル5のドラム4からケーブル固定部材8までの長さが短くなる。この場合、ケーブル5によって方向転換部材6が持ち上げられることで方向転換部材6が上昇する。これによって、可動プレート2が上昇する。
【0033】
一方、ドラム4が回転することによってケーブル5が繰り出されるとケーブル5のドラム4からケーブル固定部材8までの長さが長くなる。この場合、ケーブル5の長さに応じて方向転換部材6が下降する。これによって、可動プレート2が下降する。つまり、図5および図6中の矢印D1で示されるように、ドラム4からケーブル固定部材8までのケーブル5の長さが短くなることで方向転換部材6を介して可動プレート2は固定プレート1に対して上昇し、ドラム4からケーブル固定部材8までのケーブル5の長さが長くなることで方向転換部材6を介して可動プレート2は固定プレート1に対して下降する。可動プレート2が固定プレート1に対して昇降することで、昇降対象物20が固定プレート1に対して昇降する。
【0034】
昇降対象物20が下降する場合には、モータ3がドラム4を回転させることによってドラム4がケーブル5を繰り出しすることで、昇降対象物20が下降する。また、昇降対象物20に用いられている可動プレート2と昇降対象物20とによる荷重により、固定プレート1と可動プレート2とは近接する方向に移動する。この状態では、ドラム4を介してケーブル5を繰り出しするモータ3の駆動が可動プレート2および昇降対象物20の荷重によって補助されているので、ケーブル5にモータ3の駆動力は伝わらないこととなる。
【0035】
ここで、昇降対象物20が下降する際に、固定プレート1と昇降対象物20との間に異物が挟まったときには、モータ3がドラム4を回転させることによってドラム4からケーブル5は繰り出される。しかし、昇降対象物20は異物のために下降しないため、昇降対象物20の下降量に見合うだけのケーブル5の繰り出し量を超えて、ケーブル5が繰り出しされてしまう。このため、ケーブル5の弛みが生じる。
【0036】
また、図7を参照して、傾斜用モータ15の駆動によって、動力伝達機構16を介して、ガイド部材17に導かれて、保持部材18が図7中の矢印D2で示されるように傾斜される。保持部材18は、たとえば、傾斜用モータ15によって可動プレート2の上端の一部を支点として30°の角度で傾斜される。これにより、昇降対象物20が30°の角度で傾斜される。
【0037】
なお、上記では、固定プレート1にモータ3と、ドラム4と、ケーブル固定部材8と、作動部11が取り付けられており、可動プレート2が方向転換部材6を有している場合について説明した。しかし、これに限定されず、可動プレート2にモータ3と、ドラム4と、ケーブル固定部材8と、作動部11とが取り付けられており、固定プレート1が方向転換部材6を有していてもよい。この場合には、可動プレート2が第1部材に該当し、固定プレート1が第2部材に該当する。この場合でも昇降装置10は上記と同様に動作することができる。
【0038】
次に、本実施の形態の昇降装置の作用効果について説明する。
本実施の形態の昇降装置10によれば、モータ3がドラム4を回転させることによってドラム4がケーブル5を繰り出しすることで、昇降対象物20が下降する。そして、固定プレート1と昇降対象物20との間に異物が挟まったときには、モータ3がドラム4を回転させることによってドラム4からケーブル5は繰り出されるが昇降対象物20は異物のために下降しないためケーブル5の弛みが生じる。軟らかいものが挟まれた場合でもケーブル5の弛みは生じるため、このケーブル5の弛みに応じてリミットスイッチ9が作動されることで、軟らかいものが挟まれたことを正確に検知することができる。この検知に基づいて、昇降対象物20の下降を止めることで、挟まれたものが破損することを抑制することができる。
【0039】
また、本実施の形態の昇降装置10によれば、固定プレート1と昇降対象物20との間に異物が挟まったときには、モータ3がドラム4を回転させることによってドラム4からケーブル5は繰り出されるが昇降対象物20は異物のために下降しないためケーブル5の弛みが生じる。このときには、ケーブル5にはモータ3の駆動力が伝わらない。固定プレート1と可動プレート2の荷重で近接することにより、モータ3の荷重がケーブル5に伝わらないので、挟み込みが生じたときに、よりケーブル5が弛みやすくなる(ケーブル5の弛みを検知しやすくなる)ため、挟み込みをさらに正確に検知することができる。
【0040】
また、本実施の形態の昇降装置10によれば、ケーブル5が弛むことで回動の規制が解除されている第2の状態で、レバー12がリミットスイッチ9を作動させることで、軟らかいものが挟まれたことを正確に検知することができる。
【0041】
また、本実施の形態の昇降装置10によれば、スプリング13が第1の状態でレバー12をケーブル5側に付勢するため、レバー12はケーブル5の弛みに対して敏感に反応することができる。そのため、ケーブル5の弛みに応じてさらに精度よくリミットスイッチ9を作動させることができる。
【0042】
また、本実施の形態の昇降装置10によれば、他方端12b側がスプリング13によって付勢されて一方端12a側がケーブル5に接触するようにレバー12が回動されることで、レバー12はケーブル5の弛みに対してさらに敏感に反応することができる。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1の昇降装置が適用された昇降便座について説明する。なお、図8および図9では、見やすくするため、背後に位置する各部材についても実線で示されている。
【0044】
図8を参照して、本実施の形態の昇降便座は、昇降装置10と、便座21と、便器22とを主に有している。なお、昇降便座のタンクなどの他の部品は図示されていない。
【0045】
保持部材18に昇降対象物としての便座21が取り付けられている。固定プレート1は便器22に取り付けられている。なお、固定プレート1が取り付けられる固定側対象物は便器22に限定されず、たとえば床等であってもよい。可動プレート2が固定プレート1に対して昇降することによって保持部材18に取り付けられた便座21は便器22に対して昇降するように設けられている。また、保持部材18が傾斜することによって便座21は傾斜するように設けられている。
【0046】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0047】
本実施の形態の昇降便座は、上記の昇降装置10と、昇降対象物としての便座21とを備えている。そのため、便座21と固定プレート1との間に異物が挟まったときに、ケーブル5の弛みに応じてリミットスイッチ9が作動される。これにより、便座21と固定プレート1との間に軟らかいものが挟まれたことを正確に検知することができる。
【0048】
なお、本発明の昇降装置10は、昇降させることを目的とするとするものであれば、特に限定されず、昇降便座に限らず、ベッド、椅子、昇降棚などにも適用可能である。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、昇降対象物を昇降するために所定の位置に固定される昇降装置およびそれを備えた昇降便座に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0051】
1 固定プレート(第1部材)、2 固定プレート(第2部材)、3 モータ、4 ドラム、5 ケーブル、6 方向転換部材、7 スライダ部、7a 摺動部材、7b 摺動溝、8 ケーブル固定部材、9 リミットスイッチ、10 昇降装置、11 作動部、12 レバー、12a 一方端、12b 他方端、12c 回動中心、12d 突出部、13 スプリング、15 傾斜用モータ、16 動力伝達機構、17 ガイド部材、18 保持部材、20 昇降対象物、21 便座、22 便器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降対象物を昇降するために所定の位置に固定される昇降装置であって、
ケーブルと、
前記ケーブルの一端が固定された第1部材と、
前記第1部材に取り付けられ、前記ケーブルの他端が接続され、かつ前記ケーブルを巻取りおよび繰り出し可能なドラムと、
前記第1部材に取り付けられ、前記ドラムを回転可能なモータと、
前記ケーブルの方向を転換する方向転換部材を有し、前記モータが前記ドラムを回転させることによって前記方向転換部材を介して前記ドラムが前記ケーブルを巻取りおよび繰り出しすることで前記第1部材に対して相対的に移動可能な第2部材とを備え、
前記第1部材および前記第2部材の一方が前記昇降対象物に用いられ、他方が固定側に用いられており、前記第1部材に対して前記第2部材が相対的に移動することで前記昇降対象物が昇降し、
前記固定側に用いられている前記第1部材および前記第2部材の一方と前記昇降対象物との間に、異物が挟まったときに前記ドラムから繰り出された前記ケーブルの弛みに応じてリミットスイッチを作動可能に構成されている昇降装置。
【請求項2】
前記昇降対象物に用いられている前記第1部材および前記第2部材の一方と前記昇降対象物とによる荷重により、前記第1部材と前記第2部材とが近接する方向に移動するように構成されている、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記ケーブルの弛みに応じて変位して前記リミットスイッチを作動可能な作動部を備え、
前記作動部は、回動可能なレバーを含み、
前記レバーは、前記ケーブルによって回動が規制されている第1の状態と、前記ケーブルが弛むことで回動の規制が解除されている第2の状態とのいずれかに移行可能に構成されており、
前記第2の状態で、前記レバーが前記リミットスイッチを作動可能に構成されている、請求項1または2に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記作動部は、前記レバーを付勢可能なスプリングを含み、
前記スプリングは、前記第1の状態で、前記レバーを前記ケーブル側に付勢するように構成されている、請求項3に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記レバーは、一方端側で前記ケーブルに接触可能であり、他方端側で前記スプリングに接続可能に構成されている、請求項4に記載の昇降装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の昇降装置と、
前記昇降対象物としての便座とを備えた昇降便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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