説明

昇降装置および照明装置

【課題】
リレーの交換を容易にした昇降装置およびこれを備えた照明装置を提供する。
【解決手段】
昇降装置MLは、吊下げ用索条11、吊下げ用索条を巻取り/巻戻す巻取ドラム12および巻取ドラムを回転駆動するモータ13を含む駆動機構D、この駆動機構を下面に配設するとともに上面に開口するリレー交換用開口14を有する基板B、ならびに駆動機構を包囲するとともに基板に固定されたケースCを備えた昇降装置本体1と、昇降装置本体の基板のリレー交換用開口に対向して基板に配設されたリレー基板21およびリレー基板に取り付けられてリレーR1、R2を装着するリレーソケット22を備えたリレー取付機構2と、吊下げ用索条に吊下げられて昇降装置本体に対して昇降するとともに被昇降機器を支持する昇降体5とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高天井などの建物の高所に設置した照明器具などの被昇降機器などを、そのメンテナンスなどのために床面側へ降下させ、事後再び高所の所定位置に戻すのに用いる昇降装置およびこれを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の昇降装置は、例えば図8に示すように、高所側に固定して配置された昇降装置本体22と、この本体22からワイヤロープ23によって垂下して昇降する昇降体27とを具備し、昇降体27に被昇降体である照明器具12などを支持させて、昇降装置本体22に配設されたモータ25を駆動させることで昇降体27を昇降させるように構成されている(特許文献1参照。)。この種の昇降装置は、リレーを用いてモータ25の駆動回路を切り換えることにより、モータ25の回転方向を正逆転切り換えて昇降体27を降下させたり、上昇させたりする。上記リレーは、操作用基板に組み込まれて昇降装置本体22の内部に配置されている。
【0003】
上述の昇降装置は、可動部を含むためメンテナンスが欠かせない。リレーが不具合になったときにはリレーを交換するメンテナンスを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−035758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の昇降装置においては、上記リレーを交換するメンテナンスの場合、昇降装置を高所から取り外して床面へ下ろし、次に昇降装置本体のケースを外して、その内部を露出させてから、リレーを装着している操作基板の全体を昇降装置本体から取り外し、別に用意した新しい操作基板と交換する必要があった。このため、メンテナンス作業が非常に煩雑であるとともに、交換部品が高価となり、しかも短時間のうちにメンテナンスを終了させるのが困難であった。
【0006】
本発明は、リレーの交換を容易にした昇降装置およびこれを備えた照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の昇降装置は、吊下げ用索条、吊下げ用索条を巻取り/巻戻す巻取ドラムおよび巻取ドラムを回転駆動するモータを含む駆動機構、この駆動機構を下面に配設するとともに上面に開口するリレー交換用開口を有する基板、ならびに駆動機構を包囲するとともに基板に固定されたケースを備えた昇降装置本体と;昇降装置本体の基板のリレー交換用開口に対向して基板に配設されたリレー基板およびリレー基板に取り付けられてリレーを装着するリレーソケットを備えたリレー取付機構と;吊下げ用索条に吊下げられて昇降装置本体に対して昇降するとともに被昇降機器を支持する昇降体と;を具備していることを特徴としている。
【0008】
本発明において、リレーを交換するには、基板の上面側からリレー交換用蓋板を取り外し、リレー交換用開口を経由してリレー取付機構のリレーソケットからリレーを抜き取り、交換用のリレーをリレーソケットに装着する。その後、リレー交換用蓋板を取り付けてリレー交換用開口を閉鎖して昇降装置を元の取付位置に戻せばよい。このため、本発明においては、昇降装置本体の取付装置が、昇降装置本体を傾斜させることが可能に構成されていれば、所望により昇降装置を高所に取り付けたままの状態でリレーを交換することができる。もちろん、昇降装置を高所から取り外して床面に置き、基板を好ましくは上側にした状態でリレー交換を行うことができ、この場合においてもリレー交換作業が極めて容易になる。
【0009】
本発明の昇降装置の好ましい態様は、次のとおりである。なお、各態様の一または複数を所望により組み合わせて採用することができる。
【0010】
1.昇降装置本体は、その基板のリレー交換用開口を着脱可能に閉塞するリレー交換用蓋板を具備している。これにより、非交換時の外観が向上するとともに、不用意に塵埃などが昇降装置本体内に進入するのを阻止でき、塵埃などが進入して誤動作に対するリスクが高くならないようにできる。
2.昇降装置本体に対するリレーの配設位置が電源端子盤に隣接している。この位置であると、配線取り回しが比較的容易になるとともに、駆動機構を回避しながらリレーを配置するスペースを確保しやすい。
3.電源線接続作業を容易にするために、ケースを取り外したときに、電源端子が外面側を向いて位置するように、電源線接続端子を備えた電源端子盤がケースの内面に近接した位置に配置されている。そして、リレーは、電源端子盤の背面側に隣接した位置に配設される。この構成であると、電源端子盤の背面がリレーの保護壁としても機能し、リレーの保護に寄与する。
4.リレー取付機構のリレー基板が、昇降装置本体の基板のリレー交換用開口を基板の内面側から跨ぐように基板の内面に配設されている。そして、リレーソケットは、リレー基板のリレー交換用開口に離間して対面する位置に取り付けられている。この構成であると、リレー交換用開口を経由してリレーをリレーソケットに対して挿脱しやすい位置に配置するのが容易になると同時に、リレーの周囲をリレー基板、リレー交換用蓋板および昇降装置本体の基板が包囲するので、リレーの機械的保護になる。さらに、上記2.の態様と組み合わせることにより、上記保護がより一層強化される。
5.昇降装置本体を高所に取り付ける際の取付装置を、昇降装置本体を傾斜状態にさせることが可能なように構成する。例えば、上記取付装置が昇降装置本体の両端をそれぞれ固着するように一対からなり、その一方が昇降装置本体の一端を引っ掛けて、かつ回動可能に軸支する。そして、他方が昇降装置本体の他端を、上記一端を回転中心とする円弧に沿って回動させ、かつ所望の回動位置で固定可能にする。したがって、本態様においては、既知の傾斜天井用取付装置を流用することができる。
【0011】
本発明の照明装置は、本発明の昇降装置と;昇降装置の昇降体に支持される照明器具と;を具備していることを特徴としている。
【0012】
本発明の照明装置は、高天井など建物の高所に設置されて広範囲の空間を照明するのに好適であり、照明器具が昇降装置の昇降体に支持されているので、照明器具のメンテナンスのために高所から下降させ、床面において例えばランプ交換などを行うことができる。本発明において、照明器具は、特定の用途および構成に限定されない。使用する光源も特定の構成に限定されない。例えば、高圧放電ランプ、蛍光ランプ、LEDおよび有機ELなどを適宜選択可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、下面に駆動機構を配設した基板に、上面に開口するリレー交換用開口を設け、この開口に対向して昇降装置本体の内部に、リレーソケットを介してモータ駆動回路のリレーを配設したことにより、簡単な構造でリレーの交換を基板の裏側から行えるので、メンテナンスが容易になり、所望により昇降装置を高所から取り外すことなくメンテナンスを行うことも可能になる昇降装置およびこれを備えた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の昇降装置を実施するための第1の形態を示すケースを取り外した状態の要部透視正面図である。
【図2】同じくケースを取り外した状態の要部透視底面図である。
【図3】同じくケースを取り外した状態の要部透視左側面図である。
【図4】同じく要部透視平面図である。
【図5】同じく取付装置を含む分解斜視図である。
【図6】同じくモータ駆動回路を示す回路図である。
【図7】同じく昇降装置の使用状態およびメンテナンス時の状態の一例を説明する略図である。
【図8】従来の昇降装置の昇降状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態について、図1ないし図7を参照して詳細に説明する。
【0016】
本形態において、昇降装置MLは、昇降装置本体1、リレー取付機構2、モータ駆動回路3、リレー交換用蓋板4および昇降体5を具備し、取付装置I1、I2(図5および図7を参照。)を介して高天井など建物の高所に設置される。
【0017】
最初に、昇降装置本体1について説明する。
【0018】
昇降装置本体1は、駆動機構D、基板B、電源端子盤EおよびケースCを備えている。以下、さらに詳しく説明する。
【0019】
駆動機構Dは、後述する昇降体5を駆動するための機構であり、吊下げ用索条11、巻取ドラム12およびモータ13などを含んでいる。
【0020】
吊下げ用索条11は、後述する昇降体5を吊り下げるとともに、後述する巻取ドラム12にこれを巻き取り/巻き戻すことにより、昇降体5を昇降させる手段である。吊下げ用索条11の素材や形態は特段限定されないが、例えばワイヤ、金属製帯状体または高耐久性合成繊維製索条などを用いることができる。また、昇降体5を安定に吊り下げるために、例えば2点吊りなど多点吊りを行うのが好ましい。
【0021】
巻取ドラム12は、吊下げ用索条11を巻き取り/巻き戻すための手段である。吊下げ用索条11を巻き取る態様として一端巻き取り、両端巻き取りのいずれであってもよいが、図示の形態においては一端巻き取りとして吊り下げ許容荷重を大きくしている。なお、一端巻き取りの場合には、1個の巻取ドラム12が用いられるが、両端巻き取りの場合には2個の巻取ドラム12が用いられる。
【0022】
本形態において採用している一端巻き取りの態様においては、吊下げ用索条11の一端部を昇降装置本体1内に固定し、昇降体5に一対のプーリー5c、5c(図3の位置において、実際には支持枠の裏に配置されていて見えないが、透視した状態で示している。)を離間して配設し、吊下げ用索条11の中間部を上記一対のプーリー5c、5cに懸架して昇降体5を吊下げ用索条11に支持させて吊り下げ、昇降装置本体1に配設した図3に示すプーリーpを経由して巻取ドラム12で吊下げ用索条11の他端部を巻取り/巻戻すことで昇降体5が昇降するように構成している。
【0023】
モータ13は、巻取ドラム12を回転させるための駆動動力を提供する手段であり、本形態においては単相コンデンサモータを用いている。なお、モータ13は、図1に示すように減速機構13aを備えていることが許容される。
【0024】
また、駆動機構Dは、以上説明した機構要素の他に、詳細な説明を省略するが、昇降体5のロック機構、昇降体の昇降に伴って昇降装置本体1と昇降体3との間を接離する負荷回路の接点機構および安全機構の一部としての後述するリミットスイッチなどを含んでいる。
【0025】
基板Bは、その下面に以上説明の駆動機構Dを機能的に配設するとともに後述するケースCを外周部で支持し、また上面に開口するリレー交換用開口14を有している。リレー交換用開口14は、昇降体5の吊り下げ位置を挟んでモータ13と向かい合った比較的スペースに余裕のある位置で、しかも後述する電源端子盤Eの背面側に隣接して位置している。
【0026】
また、基板Bは、特に図1および図3に示すように、昇降装置本体1を高所に取り付ける際の取付部15を提供することができる。すなわち、本形態において、取付部15は、基板Bの長手方向の両側縁部を上方へ屈曲させて一対の起立縁15a、15aを形成するとともに、その両端部にボルト挿通孔を形成し、かつ一対の起立縁15aの内面側にボルト挿通孔に中心軸が一致したナット15bを溶接することによってねじ孔を形成し、このねじ孔にボルト15c、15cをねじ込むように構成されている。なお、図5に示すように建物の高所の予定位置に予め後述する取付装置I1、I2を設置し、その取付装置I1、I2にそれぞれ形成した係止部31aおよび案内溝部36aを経由して基板Bのナット15bのねじ孔15bにボルト15cをねじ込むことにより、昇降装置MLを高所に取り付けることができる。
【0027】
さらに、基板Bには、図4に示すように、後述する電源端子盤Eの端子台Tbに対向して通線孔16を備えている。なお、通線孔16には、絶縁ブッシング16aが装着されている。
【0028】
さらにまた、基板Bには、図3に示すように、その両端部を下側へ屈曲させて垂下片17を形成し、この垂下片17にねじ孔17aを形成している。このねじ孔17aは、後述するケースCを固定するのに用いられる。
【0029】
電源端子盤Eは、図1および図2に示すように、基板Bの左端部の下面から垂下した端子盤体18に端子台Ta、Tbがそれぞれ装着されることによって構成されている。端子台Taは、後述するモータ駆動回路に電源線を接続するための手段である。
【0030】
ケースCは、図5に示すように、昇降装置本体1の基板Bの垂下片17のねじ孔17aを用いてビス(図示しない。)で固定され、駆動機構Dの上部部分を包囲している。そして、上面が開放された箱体状をなしていて、その一対の端面の上部にねじ挿通孔19aが形成されている。そして、また、ケースCの下面には昇降体挿通孔19bが形成され、そこに吊下げ用索条11が出入するとともに、昇降体5が上昇位置にあるときにはその一部が昇降体挿通孔19bを挿通してケースC内に収納される。また、電源端子盤Eに対向する左端面には配線作業用の開閉扉19cが形成されている。開閉扉19cを開放すれば、ケースCを基台Bから取り外すことなしに端子台Ta、Tbに対する電源線の接続作業を行うことができる。
【0031】
次に、図1ないし図4を参照してリレー取付機構2について説明する。
【0032】
リレー取付機構2は、後述するモータ駆動回路3のリレーR1およびR2を昇降装置本体1の内部に着脱自在に装着するための手段である。そして、図1ないし図4には透視図法を用いてリレー取付機構2が示されているが、このリレー取付機構2は、リレー基板21および一対のリレーソケット22、22を備えて構成されている。
【0033】
リレー基板21は、金属板をU字状(コ字状)に屈曲させて形成されていて、底面部21a、脚片部21b、21bおよび取付片部21c、21cを有している。すなわち、水平に延在している底面部21aの両端から一対の脚片部21b、21bが垂直に立ち上がり、脚片部21bの上端から取付片部21cが水平方向の外側へ延在している。そして、一対の取付片部21c、21cが基板Bのリレー交換用開口14の内面にビスsで固着されることにより、底面部21aが基板Bのリレー交換用開口21の内部において当該開口21に離間対向してリレー収容空間を形成している。
【0034】
一対のリレーソケット22、22は、リレー基板21の底面部21aに互いに隣接して取り付けられていて、リレーR1およびR2を支持するとともに、モータ駆動回路3の接続位置に簡単に挿脱する手段である。
【0035】
次に、モータ駆動回路3について説明する。
【0036】
モータ駆動回路3は、昇降体5を昇降するために、駆動機構Dのモータ13を正逆転させる回路手段であり、本形態においては図5に示すように構成されている。すなわち、モータ13は、前述のように単相コンデンサモータであり、3本の導線が導出され、そのうち導線「コモン」が端子台Taの端子「共通(白)」に線路lcを経由して接続している。そして、導線「下」と「上」との間にコンデンサC1が接続している。なお、図示を省略しているが、モータ13の内部においては、導線「コモン」と導線「下」との間に一方の界磁巻線が、また導線「コモン」と導線「上」との間に他方の界磁巻線が、それぞれ電機子に対して位相が異なる位置に配設されている。
【0037】
また、上記導線「下」は、常開形のリミットスイッチL3−2および常閉形のリミットスイッチL3−1、リレーR2の常開接点R2−1、線路ldおよびリレーR1の切換接点R1−1を図示のように直列に介して端子台Taの端子「下降(赤)」および端子「上昇(黒)」にそれぞれ接続している。すなわち、リレーR1の切換接点R1−1の常閉側の固定接点は、端子台Taの端子「下降(赤)」に接続し、同じく切換接点R1−1の常開側の固定接点は、端子台Taの端子「上昇(黒)」に接続している。
【0038】
一方、上記導線「上」は、常閉形のリミットスイッチL4およびリレーR2の常閉接点R2−2の直列回路に接続するとともに、この直列回路が、導線「下」の上記接続回路のうちの常開形のリミットスイッチL3−2、常閉形のリミットスイッチL3−1およびリレーR2の常開接点R2−1の直列回路に対して並列接続している。
【0039】
リレーR1は、端子台Taの端子「共通(白)」と端子「上昇(黒)」との間に接続している。また、リレーR2は、リレーR1の切換接点R1−2を介して常閉形のリミットスイッチL2と同じく常閉形のリミットスイッチL1との並列回路を介して図示のように線路lcと線路ldとの間に接続している。
【0040】
モータ駆動回路3に接続している上記各リミットスイッチは、図6中の表に示すようにマイクロスイッチが用いられ、それぞれ記載されているとおりの駆動機構Dの保護動作を担当している。なお、上記各リミットスイッチは、図1および図3にその配設位置が図6中の表におけるのと同じ記号を付して示されている。
【0041】
モータ13を駆動する電源である図示しない単相交流電源の一極を、電源端子盤Eの端子台Taの端子「共通(白)」に接続し、他極を、建物の壁面などに配置した図示を省略している切り換え形の操作スイッチを介して端子「上昇(黒)」と端子「下降(赤)」に接続する。
【0042】
そうして、操作スイッチを上記交流電源の他極が「下降」側に接続するように操作すると、リレーR1は付勢されないため、その切換接点R1−1およびR1−2が図示の接続状態を維持する。これに対して、上記操作によりリレーR2が付勢される。この付勢により、常開側の固定接点R2−1が閉成し、また昇降体5を吊り下げているため、吊下げ用索条11が緊張しているから、リミットスイッチL3−2が閉成しているので、モータ13が正転して昇降体5が下降する。
【0043】
次に、操作スイッチを「上昇」側に操作すると、最初にリレーR1が付勢されて切換接点R1−1およびR1−2の可動接点が、それぞれ図において常開側の固定接点に接触するので、リレーR2は付勢されない。その結果、リレーR2の常開形の接点R2−1が開放状態を維持し、常閉形の接点R2−2が閉成状態を維持するので、モータ13が逆転して昇降体5が上昇する。
【0044】
次に、リレー交換用蓋板4について説明する。
【0045】
リレー交換用蓋板4は、図4に示すように、基板Bのリレー交換用開口14を着脱自在に閉塞する手段であるが、所望により具備される。しかし、リレー交換用蓋板4を具備しない構成を採用することもできる。
【0046】
本形態において、リレー交換用蓋板4は、その周囲がリレー交換用開口14より大きく、かつ形状がリレー交換用開口14とほぼ相似形であり、基板Bの上面に載置されてリレー交換用開口14を跨いでいるとともに、長手方向の両端部に一対のだるま孔4aが形成されている。
【0047】
一方、基板Bにはリレー交換用蓋板4のだるま孔4aに対向した位置にねじ孔h14aが形成されている。そして、図示していないボルトを上記ねじ孔14aにねじ込むことにより、だるま孔4aの小径部を基板Bとボルトの頭部との間でリレー交換用蓋板4を挟持して基板Bに固定する。したがって、リレーR1、R2を点検したり、交換したりメンテナンスを行う場合には、基板Bの背面側において、上記ボルトを緩めてリレー交換用蓋板4を基板Bの板面に沿ってその幅方向へ少し移動させて、ボルトの頭部をだるま孔14aの大径部に対向させれば、リレー交換用蓋板4を取り外すことができる。なお、取り付ける際には、上記と逆の手順で行えばよい。
【0048】
次に、昇降体5について説明する。
【0049】
昇降体5は、吊下げ用索条11に前述のように支持される。そして、吊下げ用索条11を昇降装置本体1側において巻取り/巻戻すことにより、昇降装置本体1に対して昇降動作を行う。また、昇降体5は、図1ないし図4に示すように、昇降体本体5a、被昇降機器取付部5bおよび一対のプーリー5c、5c(図1参照。)を少なくとも備えている。また、所望により昇降部側接点およびロック機構(いずれも図示しない。)などを適宜備えることができる。
【0050】
ロック機構は、例えば図示しない昇降体5にロック爪を、昇降装置本体にロック爪が係合する係合段部を、それぞれ配設して構成されている。そうして、昇降体本体5aは、所定位置まで上昇した状態において、ロック機構によりロックされる。
【0051】
被昇降機器取付部5bは、後述する被昇降機器(図示しない。)を取り付けるのに用いることができる手段である。
最後に、図5および図7を参照して取付装置I1、I2について説明する。この取付装置I1、I2は、傾斜天井に対して昇降装置MLを水平に取り付けるために用意された既知のものである。本形態においては、これを昇降装置MLを高所に取り付けられた状態のまま傾斜状態にさせることによって、リレーR1、R2をメンテナンス可能にするために利用している。
【0052】
取付装置I1は、図5に示すように、昇降装置MLの一端部を回動中心となるように支持する。そのために、帯状の金属板をコ字状に屈曲して、取付片部31、取付片部31の両端から垂下する一対の短脚片部32を形成し、短脚片部32にその一側辺側に開口する切欠溝状の係止部31aが形成されている。そして、取付片部31を建物の高所に取り付ける。
【0053】
取付装置I2は、図5に示すように、昇降装置MLの他端部を取付装置I1の係止部31aを回動中心として円弧状に回動可能なように支持する。そのために、帯状の金属板をコ字状に屈曲して、取付片部35、取付片部35の両端から垂下する一対の長脚片部36、36を形成し、長脚片部36に円弧状の案内溝部36aが形成されている。そして、取付片部35を取付装置I1と昇降装置MLの長さに応じた所定距離を隔てて対向させて建物の高所に取り付ける。
【0054】
次に、図7を参照して取付装置I1、I2の使用態様を説明する。図7(a)は昇降装置MLの通常の使用状態を示し、図7(b)はリレーのメンテナンスのための同じく傾斜状態を示している。
【0055】
予め高所の所定位置に互いに所定間隔で取付装置I1、I2を取り付けておき、また昇降装置MLにおいては、その基台Bの一端側の取付部15のボルト15cを予め緩めておくとともに、他端側のボルト15cを予め取り外しておく。そして、昇降装置MLの一端側のボルト15cを取付装置I1の係止部32aに係合させ、次に昇降装置MLの他端側を回動させて取付装置I2の案内溝部36aに対向する位置にて、外しておいた他端側のボルト15cを、案内溝部36aを経由してナット15bのねじ孔にねじ込み、かつ締め付けて固定する。また、取付装置I1のボルト15cも締め付けて固定する。これにより、昇降装置MLを図7(a)に示す使用位置に取り付けることができる。
【0056】
次に、リレーのメンテナンスを行う際には、上記両端側のボルト15cを緩めて昇降装置MLを図7(b)の位置まで傾斜させてからボルト15cを再び締め付けて固定する。その後、昇降装置本体1の基板Bの上面に取り付けたリレー交換用蓋板4を外してリレー交換用開口14を露出させることができ、リレーR1、R2のメンテナンスを行うことができる。このように、リレーR1、R2を交換する作業において、昇降装置全体を高天井などの高所の設置場所から取り外してから、昇降装置本体1のケースCを外すなどの手間を省けるため、作業効率が向上する。さらに、昇降装置本体1の基板Bの上面に形成されたリレー交換用開口14を閉塞するリレー交換用蓋板4を備えていることにより、リレー交換用開口14から塵埃がリレーR1、R2の周囲へ進入するのを阻止できる。
【符号の説明】
【0057】
1…昇降装置本体、2…リレー取付機構、3…モータ駆動回路、4…リレー交換用蓋板、4a…だるま孔、5…昇降体、5a…昇降体本体、5b…被昇降機器取付部、5c…プーリー、11…吊下げ用索条、12…巻取ドラム、13…モータ、13a…減速機構、14…リレー交換用開口、15…取付部、15a…起立縁、15b…ナット、15c…ボルト、16…通線孔16、16a…絶縁ブッシング、17…垂下片、17a…ねじ孔、18…端子盤体、19a…ねじ挿通孔、19b…昇降体挿通孔、19c…開閉扉、21…リレー基板、21a…底面部、21b…脚片部、21c…取付片部、22…リレーソケット、31…取付片部、32…短脚片部、32a…係止部、35…取付片部、36…長脚片部、36a案内溝部、B…基板、C…ケース、D…駆動機構、E…電源端子盤、I1、I2…取付装置、L1、L2、L3−1、L3−2、L4…リミットスイッチ、ML…昇降装置、p…プーリー、R1、R2…リレー、s…ビス、Ta、Tb…端子台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊下げ用索条、吊下げ用索条を巻取り/巻戻す巻取ドラムおよび巻取ドラムを回転駆動するモータを含む駆動機構、この駆動機構を下面に配設するとともに上面に開口するリレー交換用開口を有する基板、ならびに駆動機構を包囲するとともに基板に固定されたケースを備えた昇降装置本体と;
リレーによりモータを正逆転切り換え可能に駆動するモータ駆動回路と;
昇降装置本体の基板のリレー交換用開口に対向して基板に配設されたリレー基板およびリレー基板に取り付けられてリレーを装着するリレーソケットを備えたリレー取付機構と;
吊下げ用索条に吊下げられて昇降装置本体に対して昇降するとともに被昇降機器を支持する昇降体と;
を具備していることを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
昇降装置本体は、基板のリレー交換用開口を着脱可能に閉塞するリレー交換用蓋板を具備していることを特徴とする請求項1記載の昇降装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の昇降装置と;
昇降装置の昇降体に支持される照明器具と;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−105458(P2011−105458A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262611(P2009−262611)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)