説明

昇降装置用、特にケーブル牽引機構用のベースフレーム、及び、その取り付け、取り外し、又は変更方法。

【課題】昇降装置、特にケーブル牽引機構、ひいては、その取り付け、取り外し、及び変更方法であって、単純な構成を有し、且つ容易な取り付け、取り外し、及び変更を実現するものを提供する。
【解決手段】本発明は、昇降装置、特に、ベースフレームを有するケーブル牽引構造に関する。当該ベースフレームは、少なくとも2つのベース板、及び、少なくとも2本の長状梁部材を備え、長状梁部材は、それぞれが第1端部及びその反対側の第2端部を有するとともに、ベース板を互いに連結且つ離間させている。本発明はさらに、このようなベースフレームの取り付け、取り外し、及び変更方法に関する。長状梁部材(5a、5b、5c)の第1端部(5d)及び第2端部(5e)を、昇降装置の稼動状態において、ベース板(4a、4b)に着脱可能に取り付け、前記少なくとも2つのベース板(4a、4b)の1つを、ベースフレーム(3)の取り付け、取り外し、及び変更に関して、長状梁部材(5a、5b、5c)を長手方向(L)に挿入又は取り外しできるように構成することによって、上記目的は達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置に関し、特にケーブルウィンチに関する。当該昇降装置は、ベースフレーム及び少なくとも2本の長状の梁部材を備えている。ベースフレームは、少なくとも2つのベース板を有し、少なくとも2本の長状の梁部材は、第1梁部材端部及びその反対側の第2梁部材端部を有する。これらの梁部材は、ベース板を互いに離間させた状態で連結する。
【0002】
本発明はさらに、昇降装置、特にケーブルウィンチにおけるベースフレームの組み立て、分解、及び変更方法に関する。当該昇降装置は、ベースフレーム及び少なくとも2本の長状の梁部材を備えている。ベースフレームは、少なくとも2つのベース板を有し、少なくとも2本の長状の梁部材は、第1梁部材端部及びその反対側の第2梁部材端部を有する。これらの梁部材は、ベース板を互いに離間させた状態で連結する。
【背景技術】
【0003】
劇場で昇降作業を行うための電動機駆動ケーブルウィンチは、既に独国特許出願公開第4310770号明細書により知られている。この電動機駆動ケーブルウィンチは、電動機によって駆動されるものであり、当該電動機は伝動装置を介してケーブルドラムに作用する。伝動装置は2つのブレーキと共にケーブルドラム内に配置されている。ケーブルドラムの両端はベースフレームに取り付けられている。このベースフレームは、実質的に、互いに離間し平行に配置された2つのベース板によって構成されている。これらのベース板は、それぞれ略矩形であり、ケーブルドラムの長軸に対して平行に配置された4本の長状の梁部材によって互いに連結されている。これらの長状の梁部材は、スペーサパイプとして形成されており、スペーサパイプ内に挿入されたタイロッド及びその端部にネジ留めされたナットによって、ベース板の角部にそれぞれ接続されている。スペーサパイプは平坦な端面を有しており、当該端面は、タイロッド用貫通孔付近のベース板の内面に支持されている。
【0004】
また、独国特許出願公開第19602927号明細書の導入部分には、昇降装置、特に電気ケーブルウィンチが開示されている。これらのケーブルウィンチは、電子機器、電動機、伝動装置、ケーブルドラム、支持手段及びベースフレームのアセンブリによって、モジュール式に構成されている。個々のアセンブリは様々な態様で組み立てることができる。この昇降装置の主要なアセンブリはベースフレームに取り付けられており、ケーブルドラムもベースフレームに取り付けられている。当該ベースフレームは、少なくとも2つのベース板によって構成されており、これらのベース板は、互いに平行且つ離間して配置されており、長状の梁部材によって互いに連結されている。各ベース板には少なくとも3つのネジ連結部が設けられており、これらの連結部によって長状梁部材がベース板に取り付けられている。
【0005】
独国特許出願公開第19602927号自体は、ケーブルウィンチ用のベースフレームに関するものであり、コスト及び重量を低減できることを特徴としている。このベースフレームは、実質的に、それぞれU字形の上側長状梁部材及び下側長状梁部材によって互いに連結された2つのベース板と、ケーブルドラムの回転軸に一致し梁部材と平行な牽引要素とによって構成されている。この牽引要素は、中実部材によって構成されており、当該中実部材の両端にはネジ切り部を設けることによって肩部が形成されている。当該牽引要素の一端部では、ベース板の中央に設けられた雌ネジ部に上記ネジ切り部が螺入され、環状の上記肩部がディスクを介してベース板の平坦な内面に支持されている。これとは反対側のベース板の中央には貫通孔が設けられている。この貫通孔は段差状に形成されており、これにより環状のベアリング面が形成されている。このベアリング面に、牽引要素におけるネジ切り部の始端に位置する上記肩部が支持されている。このネジ切り部は上記貫通孔内に挿通され、ナットによって外側からベース板の外面に固定されている。上記2つのU字形の長状梁部材は、ベース板の内面に形成された凹部状の止まり穴に挿入され、牽引要素がもたらすクランプ力によって、当該位置でこれらのベース板の間に保持される。
【0006】
このような従来技術の実施形態では、ベース板間の接続要素は、中実の円形断面又は管状の断面を有する部分として形成されており、その端部は、ベース板の互いに対向する面に設けられた対応する穴又はベアリング加工面に挿入又は支持される。次に、ネジ接続によって上記の中実の円形断面又は管状の断面を有する部分を長手方向においてベース板に固定することによって、接続要素の取り付けが完了する。このような中実の円形断面又は管状の断面を有する部分とベース板との接続箇所では、接続要素又はケーブルドラムの長手方向における軸方向の力、及び、いわゆるコーナーモーメントが伝わることがある。ここでの“コーナーモーメント”とは、例えばベースフレームのねじりによって、ベース板と接続要素との接続箇所で発生するモーメントを意味する。また、中実の円形断面又は管状の断面を有する部分の長さを適切に設定することによって、2つのベース板間について、所望の公差範囲内の正しい離間距離及び平行位置関係を得ることができる。
【0007】
また、独国特許発明第102005029113号明細書にも昇降装置のベースフレームが開示されている。このベースフレームも、互いに平行且つ離間して配置された2つのベース板によって構成されている。これらのベース板は、長状梁部材によって、着脱可能に互いに連結され、離間されている。具体的には、長状梁部材の両端は、ベース板の互いに対向する内面に設けられた止まり穴に挿入され、この止まり穴内のベアリング面に接した状態で、ネジによって長状梁部材の長手方向に対して横切る方向に押圧されている。
【0008】
ベース板として述べた昇降装置の上記構成要素は、昇降装置の様々な機能を果たすハウジング部としても構成される。例えば、上記構成要素は、昇降ドライブの取り付け、ケーブルドラムの支持、ケーブル挿通機構の部品用横桁部材の取り付け、電気設備の収容、昇降装置の足部又は走行機構の取り付け部品の取り付けなどに用いられる。
【0009】
結果として、ベース板に長状梁部材を取り付けるために用いられるナットやネジは、ハウジング内などのアクセスしにくい位置に配置されることが多い。多くの場合、これらにアクセスしやすくするためには、接続箇所をハウジングの外に設けなければならない。しかし、そうすると、組み立てが複雑なものとなり、しかも、ベース板として形成されるハウジングを無駄に大きしなければならなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第4310770号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19602927号明細書
【特許文献3】独国特許発明第102005029113号明細書
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、構造的にシンプルで、容易な組み立て、分解、変更を可能とする、特にケーブルウィンチなどの昇降装置、さらには、そのような昇降装置の組み立て、分解、変更方法を提供することである。
【0012】
上記目的は、請求項1の特徴を有する昇降装置、特にケーブルウィンチ、及び、請求項13の特徴を有する昇降装置、特にケーブルウィンチの組み立て、分解、及び変更方法によって達成することができる。本発明の好適な実施形態は、従属項2〜12及び従属項14に記載されている。
【0013】
本発明によれば、昇降装置、特にケーブルウィンチが提供される。昇降装置は、ベースフレーム及び少なくとも2本の長状梁部材を備える。ベースフレームは、少なくとも2つのベース板を有し、少なくとも2本の長状梁部材は、第1梁部材端部及びその反対側の第2梁部材端部を有する。当該長状梁部材は、ベース板を互いに離間させた状態で連結する。本発明によれば、長状梁部材の第1梁部材端部及び第2梁部材端部が、昇降装置の稼動状態において、ベース板に着脱可能に取り付けられ、上記少なくとも2つのベース板の1つが、ベースフレームの組み立て、分解、及び変更に関して、長状梁部材を長手方向に挿入又は取り外しできるように構成されていることによって、構造的にシンプルなデザインが実現される。これによれば、2つのベース板間に設ける長状梁部材の配置及び数に応じた態様に現場で容易に変更可能な基本の昇降装置を提供することができる。従って、ケーブルドラムを2つのベース板の間に保持したままにしておくことができる。このような効果は、昇降装置を変更する際にも得られる。長状梁部材及びベース板は機械により容易に製造できる。また、このような基本の昇降装置は、昇降装置を分解することなく、任意の接続構造に対しても簡単に取り付けることができる。ベース板とケーブルドラムとで構成されるユニットは、少なくとも1つの支持棒を介して接続された状態とされる。
【0014】
上記少なくとも2つのベース板のうちの第1ベース板に、ベースフレームの組み立て又は分解に関して長状梁部材を挿通させる貫通孔を設け、当該貫通孔が長状梁部材の断面よりも僅かに大きい挿通面を有する構成としたことにより、長状梁部材を第2ベース板内に確実に接触している状態で挿入することができる。
【0015】
昇降装置の稼動状態において、長状梁部材の第1梁部材端部が貫通孔の1つに挿入及び固定される構成としたことにより、長手方向におけるベースフレームの安定性が確実なものとなる。固定の方法として、昇降装置の稼動状態においては、長状梁部材の第1梁部材端部を、長状梁部材の長軸(L)方向において、保持要素を介して第1ベース板に固定することが好適である。
【0016】
好ましい実施形態においては、保持要素は第1ベース板の外側面に取り付けられており、保持要素は保持穴を有し、保持穴内に第1梁部材端部が突出しており、第1梁部材端部は保持要素に対して固定要素、特に、ネジによって固定されている。好適な態様としては、長状梁部材固定用の上記保持要素は枠部材として形成され、当該枠部材内に長状梁部材用の保持穴が設けられる。
【0017】
反対の第2梁部材端部側では、少なくとも2つのベース板のうちの第2ベース板の内側面に止まり穴が設けられており、昇降装置の稼動状態においては、長状梁部材の第2梁部材端部が止まり穴に挿入及び固定される。長状梁部材は反対側の端部で挿入又は取り外しされるので、止まり穴を設けることができる。
【0018】
構造上の特徴として、長状梁部材の各第2梁部材端部は、ネジによって止まり穴内に取り付けられており、当該ネジは、長状梁部材の長軸方向に配向され、第2ベース板の外側面に支持されている。
【0019】
取り付け及び取り外し用のネジに対して、第2ベース板の外側面側からアクセスできるようにすることにより、組み立て、分解、及び変更が容易となる。
【0020】
好適な態様としては、ベース板は矩形であり、ベース板における仮想上の矩形の角部に止まり穴又は貫通孔が設けられている。
【0021】
好ましくは、長状梁部材は円形の断面を有する棒材として形成されており、貫通孔及び止まり穴はこれに対応して円形の断面を有する。
【0022】
従来と同様に、ベース板の内側面の間には、ケーブルドラムが、両端が上記内側面に取り付けられた状態で設けられており、ケーブルドラムの回転軸は、長状梁部材の長軸と平行に延びている。
【0023】
本発明によれば、昇降装置、特にケーブルウィンチにおけるベースフレームの組み立て、分解、及び変更方法が提供される。昇降装置は、ベースフレーム及び少なくとも2本の長状梁部材を備える。ベースフレームは、少なくとも2つのベース板を有し、少なくとも2本の長状梁部材は、第1梁部材端部及びその反対側の第2梁部材端部を有する。当該長状梁部材は、ベース板を互いに離間させた状態で連結する。本発明によれば、ベースフレームの組み立て、分解、及び変更に関して、長状梁部材は少なくとも2つのベース板に対して長軸方向に挿入又は取り外され、これより前または後において、長状梁部材の第1梁部材端部及び前記第2梁部材端部は、昇降装置の稼動状態において前記ベース板に取り付けられる、又は、前記ベース板から取り外される、という構成により、シンプルな組み立て、分解、及び変更が実現される。また、これに伴う効果に関しては、本発明におけるケーブルウィンチの詳細な説明を参照されたい。
【0024】
上記方法に関し、ベースフレームの組み立て、分解、及び変更に関して、長状梁部材は、少なくとも2つのベース板のうちの第1ベース板に設けられた貫通孔を介して、前記長軸方向に挿入又は取り外される、という構成が好適であるということが判明している。
【0025】
本発明の実施形態を、以下の図面を参照してより詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ケーブルウィンチの、本発明によるベースフレームを示す斜視図である。
【図2】ケーブルドラム及び電動機を省略した、図1の平面図である。
【図3】ベースフレームの第1ベース板に対する長状梁部材の取り付け領域を示す、図2の詳細図である。
【図4】ベースフレームの第2ベース板に対する長状梁部材の取り付け領域を示す、図2の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明による、ケーブルドラム2を有する昇降装置すなわちケーブルウィンチ1の斜視図である。ケーブルドラム2の両端はベースフレーム3に取り付けられている。
【0028】
ベースフレーム3は、全体として略直方体状であり、第1ベース板4a及び第2ベース板4bによって構成されており、これらのベース板の対向する第1内側面4c及び第2内側面4dにケーブルドラム2が取り付けられている。ケーブルドラム2は回転軸Dを中心として回転可能であり、伝動装置2bを介して電動機2aによって駆動される。第1ベース板4a及び第2ベース板4bはそれぞれ直方体状又は矩形状に形成されている。
【0029】
さらに、略直方体状のベースフレーム3は、最大4本までの複数の長手状梁部材を備えている。それらのうち、第1長状梁部材5a、第2長状梁部材5b、第3長状梁部材5cが図1に表れている。第1ベース板5aと第2ベース板5bとは互いに離間しており、長状梁部材5a、5b、5cによって互いに連結されている。長状梁部材5a、5b、5cは、第1及び第2ベース板4a、4bによって画定される仮想上の矩形の角部に配置されている。第2ベース板4bにおいては、長状梁部材5a、5b、5cは実質的に正方形のベース板4bの角部に設けられている。第1ベース板4aは、第2ベース板4bに比べて長方形状に伸長されている。第1ベース板4aは、第3長状梁部材5cを超えて伸長され、また、図示しない第4長状梁部材が設けられている場合は当該第4長状梁部材も超えて伸長され、電動機2aを取り付けることができるように形成されているからである。これに対応して、第1及び第2長状梁部材は5a、5bは、第1ベース板4aの上側の角部近傍に設けられており、第3長状梁部材及5c、及び、第4長状梁部材が設けられている場合は当該第4長状梁部材は、第1ベース板4aの中央及び側縁に設けられている。さらに、第1ベース板4aの外側面4eには伝動装置2bが支持されている。この伝動装置2bを介して、ケーブルドラム2は駆動可能に電動機2aに接続されている。
【0030】
長状梁部材5a、5bは中実の棒材である。ケーブルウィンチ1の用途に応じて2〜4本の長状梁部材5a、5b、5cが設けられる。これらの長状梁部材は、ベース板4a、4bの角部のいくつか、又はすべての角部に設けられる。長状梁部材5a、5b、5cは、ねじり耐性を有するようにベース板4a、4bを互いに連結させており、2つのベース板4a、4bの所望の公差範囲内の所望の離間距離及び平行位置関係は、長状梁部材5a、5b、5cの長さを適宜設定することによって達成される。図示の実施形態では、合計3本の長状梁部材5a、5b、5cが、ケーブルドラム2に対する図示しないケーブルの巻き取り及び巻き出しを妨げないように、設けられている。各長状梁部材5a、5b、5cは、第1梁部材端部5d、及びその反対側の第2梁部材端部5eを有している。各第1梁部材端部5dは第1ベース板4aに取り付けられており、各第2梁部材端部5eは第2ベース板4bに取り付けられている。第1ベース板4aに対する第1梁部材端部5dの具体的な取り付け方法、及び、第2ベース板4bに対する第2梁部材端部5eの具体的な取り付け方法については、図3及び図4を参照して後述する。
【0031】
図1は、いわゆる稼動状態、すなわち、長状梁部材5a、5b、5cを適切に組み立てた後の状態におけるケーブルウィンチを示している。この稼動状態において、長状梁部材5a、5b、5cは、各々の長軸Lがケーブルドラム2の回転軸Dに平行に延び且つ回転軸Dから側方にずれた位置となるように配置されている。
【0032】
図1は、本発明による、ベースフレーム2を備えたケーブルウィンチを示している。このようなケーブルウィンチ1は、基本的な昇降装置として、モジュラーシステムの一部とすることができ、取り付け要素18を介して様々な態様で用いることができる。このケーブルウィンチは、図1に示すように、いわゆる足部取り付けウィンチとして、固定部に取り付けられる。従って、固定部に対応する取り付け要素18が、ベース板4a、4bに取り付けられている。このケーブルウィンチは、クレーントロリーの部品としても使用することができる。この場合には、走行機構部品がベース板4a、4bに取り付けられる。適用可能なクレーントロリーの例としては、下方フランジクレーントロリー、レールに隣接するケーブルウィンチ1を備えるモノレールクレーントロリー、2レールクレーントロリーがある。
【0033】
ベース板4a、4bは、ケーブルドラム2の取り付け以外の他の機能も有する。例えば、ベース板は、電動機2aの支持、ケーブル挿通機構の部品取り付け用横桁部材の支持、電気設備の収容、ケーブルウィンチの足部又は走行機構の取り付け部品の取り付けなどの役割を果たす。
【0034】
図2は、図1に示したケーブルウィンチの平面図である。同図においては、より分かりやすくするために、ケーブルドラム2、伝動機構2b及び電気モーター2aの図示を省略している。2つのベース板4a、4bは、それら自体が鋳造品として形成されており、重量を減らすために、外向きに開放する鉢のような形状とされており、それぞれ第1及び第2空間4g、4hを有する。これらの空間内に、ケーブルウィンチ1の駆動部品又は電子部品を収容することができる。上述したように、伝動装置2bの歯車部分は第1空間4e内に位置している。第1及び第2空間4e、4fは、使用条件やデザインに応じて、カバーを用いて塞ぐことも、開放状態のままにしておくことも可能である。第1ベース板4aの第1空間4eは、第1カバー6aによって塞がれている。第1カバー6aは、フレーム型保持要素7を介して、第1ベース板4aの第1外側面4gに取り付けられている。第2ベース板4bの第2空間4fは、第2カバー6bによって塞がれている。第2カバー6bは、フレーム型保持要素7を介して、第2ベース板4bの第2外側面4hに直接取り付けられている。この保持要素7は、横断方向に分割されている、すなわち、2つの部品によって構成されており、長状梁部材5a、5b、5cを交換する時に、長状梁部材5a、5b、5cの一部を固定状態に保つことができるようになっている。このような長状梁部材5a、5b、5cの交換は、昇降装置本体の一定レベルの安定性を保つために行われる。
【0035】
第1及び第2梁部材端部5d、5eと、ベース板4a、4bとの接続構造を、図3及び4を参照して以下により詳細に述べる。
【0036】
図3は、第1ベース板4a付近を示す、図2の拡大断面図である。図1を参照して前述したように、第1ベース板4aは、異なる4つの固定位置に、合計4本あるいは4本未満の長状梁部材5a、5b、5c用の取り付け手段を備えている。図3は、2つの上側長状梁部材、すなわち第1及び第2長状梁部材5a、5bを示している。長状梁部材5a、5bの第1梁部材端部5dを第1ベース板4aに取り付けることができるように、第1ベース板4aの所望の取り付け位置付近には貫通孔8が設けられている。長状梁部材5a、5b、5cは断面円形の棒材として形成されているため、貫通孔8は長状梁部材5a、5b、5cの断面よりもわずかに大きい通路断面を有する。従って、長状梁部材5a、5b、5cは、第1ベース板4aに対して確実に接触している状態とされている。稼動状態においては、貫通孔8の中心通路軸dは、長状梁部材5a、5b、5cの長軸Lに一致している。長状梁部材5a、5b、5cの第1梁部材端部5dを、長状梁部材5a、5b、5cの長軸L方向において固定できるように、長状梁部材の第1梁部材端部5dの外径は長軸を中心として先細になっており、これにより環状の第1肩面5f及び第1筒状突起部5gが形成されている。さらに、長状梁部材5a、5b、5cの長軸L方向に、ネジ穴9は向いている。当該ネジ穴は、雌ネジが形成されており、外側端面5hを始点として第1梁部材端部5d内に設けられている。第1梁部材端部5aの貫通孔8に対する挿入深さ、したがって第1ベース板4aと第2ベース板4bとの間の距離は、第1肩面5fが第1ベース板4aの外側面4eと並ぶように設定される。長状梁部材5a、5b、5cの長軸L方向視におけるこの位置に、長状梁部材5a、5b、5cを固定するため、保持穴10aを有する保持要素10が設けられている。保持要素10は、第1ベース板4aの貫通孔8のそれぞれに対応する4つの保持穴10aを有する矩形の枠部材として形成されている。保持穴10aの深さは、第1梁部材端部5dに設けられた筒状突起部5gの長さよりも僅かに大きく設定されている。このようにして、保持穴10aに挿入された筒状突起部5gは、外側からネジ穴9内に螺入された第1ネジ11によって、保持要素10内に取り付けられる。保持要素10は、第1ネジ11のヘッド部と第1梁部材端部5dの第1肩面5fとの間に固定されている。平頭ネジとして形成された第1ネジ11のヘッド部と保持要素10の外側との間には、ディスク12が設けられている。プレート形の保持要素10は、図示しないネジを用いて、第1ベース板4aの外側面4gに固定されている。また、第1ベース板4aの空間4gを塞ぐためのカバー6aが、外側から保持要素10に対してネジ止めされている。この保持要素10も、横断方向に分割でき、すなわち、2つの部品によって構成されており、長状梁部材5a、5b、5cを交換する時に、長状梁部材5a、5b、5cの一部を固定状態に保つことができるようにすることができる。このような長状梁部材5a、5b、5cの交換は、昇降装置本体の一定レベルの安定性を保つために行われる。
【0037】
保持要素10を介してネジ11を用いて第1梁部材端部5dを貫通孔8内に取り付けるこのような方法によれば、保持要素10を取り外した後で、長状梁部材5a、5b、5cを長軸L方向に第1ベース板4aから引き抜くことができる。従って、ケーブルドラム2を取り外さずに、長状梁部材5a、5b、5cの位置又は数を変更することができる。
【0038】
図3からわかるように、長状梁部材5a、5b、5cの第1梁部材端部5dは、長状梁部材と一体に形成されているのではなく、長状梁部材5a、5b、5cの外径に対応した外径を有する着脱の容易なブッシュ13として形成されている。この着脱の容易なブッシュ13の外側の自由端に、上記の第1筒状突起部5g及び上記第1肩面5fが設けられている。着脱の容易なブッシュ13を長状梁部材5a、5b、5cの端部に接続するために、長状梁部材5a、5b、5cの端部には第2筒状突起部5h及び第2肩面5iが設けられており、これらに着脱の容易なブッシュ13が装着されている。ネジ穴9は長状梁部材5a、5b、5cの端部に設けられている。ブッシュ13内には、ネジ切りのされていない、単純な貫通孔が設けられている。着脱の容易なブッシュ13は、ネジ11を介して長状梁部材5a、5b、5cの端部に取り付けられている。
【0039】
図4は、第2ベース板4b付近を示す、図2の拡大断面図である。第1ベース板4aと同様に、第2ベース板4bは、異なる4つの固定位置に、合計4本あるいは4本未満の長状梁部材5a、5b、5c用の取り付け手段を備えている。長状梁部材5a、5b、5cの第2梁部材端部5eを第2ベース板4bに取り付けることができるように、第2ベース板における所望の取り付け位置付近には、段差の無い止まり穴14が設けられており、この止まり穴の断面は長状梁部材5a、5b、5cの断面よりわずかに大きい。従って、長状梁部材5a、5b、5cは、第2ベース板4bに対して確実に接触している状態とされている。止まり穴14の中心軸eは、稼動状態における長状梁部材5a、5b、5cの長軸Lに一致している。長状梁部材5a、5b、5cの第2梁部材端部5eを、長状梁部材5a、5b、5cの長軸L方向において止まり穴14内に固定できるように、長状梁部材5a、5b、5cの第1梁部材端部5dの外径は長軸を中心として先細になっており、これにより環状の第3肩面5j及び第3筒状突起部5kが形成されている。さらに、長状梁部材5a、5b、5cの長軸L方向の中心にはネジ穴15が形成されている。当該ネジ穴は、雌ネジが形成されており、外側端面を始点として第2梁部材端部5b内に設けられている。第2梁部材端部5eの止まり穴14に対する挿入深さ、したがって第1ベース板4aと第2ベース板4bとの間の距離は、第3肩面5jが第2ベース板4bの内側面4cと並ぶように設定される。長状梁部材5a、5b、5cの長軸L方向視におけるこの位置に、長状梁部材5a、5b、5cを固定するため、第2ベース板4fの外側面4fから、第2梁部材端部5eのネジ穴15内に、止まり穴14の基部の中央から延びる穴17を介して、ネジ16が螺入されている。六角形のソケットヘッドネジとして形成されている上記ネジ16のヘッド部は、第2ベース板4bの外側面4f上で支持されている。
【0040】
上記実施形態においては、各長状梁部材5a、5b、5cは、保持部品13a、13bを備えることにより3つの部分によって構成されるものとして説明した。しかし、各長状梁部材5a、5b、5cは基本的には単一の部品として形成することが可能であり、そのような場合にも、本発明による長状梁部材5a、5b、5cの長手方向における挿入及び取り外しを実現することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ケーブルウィンチ
2 ケーブルドラム
2a 電動機
2b 伝動装置
3 ベースフレーム
4a 第1ベース板
4b 第2ベース板
4c 第1ベース板4aの内側面
4d 第2ベース板4bの内側面
4e 第1ベース板4aの外側面
4f 第2ベース板4bの外側面
4g 第1空間
4h 第2空間
5a 第1長状梁部材
5b 第2長状梁部材
5c 第3長状梁部材
5d 第1梁部材端部
5e 第2梁部材端部
5f 第1肩面
5g 第1筒状突起部
5h 第2肩面
5i 第2筒状突起部
5j 第3肩面
5k 第3筒状突起部
6a 第1カバー
6b 第2カバー
7 保持要素
8 貫通孔
9 ネジ穴
10 保持要素
10a 保持穴
11 ネジ
12 ディスク
13 ブッシュ
14 止まり穴
15 ネジ穴
16 ネジ
17 穴

D 回転軸
E 長軸
L 長軸

d 通路軸
e 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降装置、特にケーブルウィンチであって、ベースフレーム及び少なくとも2本の長状梁部材を備え、前記ベースフレームは、少なくとも2つのベース板を有し、前記少なくとも2本の長状梁部材は、第1梁部材端部及びその反対側の第2梁部材端部を有し、前記長状梁部材は、互いに離間させた状態で前記ベース板を連結しており、
前記長状梁部材(5a、5b、5c)の前記第1梁部材端部(5d)及び前記第2梁部材端部(5e)は、昇降装置の稼動状態において、前記ベース板(4a、4b)に着脱可能に取り付けられており、前記少なくとも2つのベース板(4a、4b)の1つは、ベースフレーム(3)の組み立て、分解、及び変更に関して、前記長状梁部材(5a、5b、5c)をその長手方向(L)に挿入又は取り外しできるように形成されている、昇降装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つのベース板(4a、4b)のうちの第1ベース板(4a)には、前記ベースフレーム(3)の組み立て又は分解に関して前記長状梁部材(5a、5b、5c)を挿通させる貫通孔(8)が設けられており、前記貫通孔(8)は、前記長状梁部材(5a、5b、5c)の断面よりも僅かに大きい挿通面を有する、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
昇降装置の稼動状態においては、前記長状梁部材(5a、5b、5c)の第1梁部材端部(5d)は、前記貫通孔(8)の1つに挿入及び固定されている、請求項2に記載の昇降装置。
【請求項4】
昇降装置の稼動状態においては、前記長状梁部材(5a、5b、5c)の前記第1梁部材端部(5d)は、前記長状梁部材(5a、5b、5c)の長軸(L)方向において、保持要素(10)を介して前記第1ベース板(4a)に固定されている、請求項3に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記保持要素(10)は前記第1ベース板(4a)の外側面(4e)に取り付けられており、前記保持要素(10)は保持穴(10)を有し、前記保持穴内に前記第1梁部材端部(5d)が突出しており、前記第1梁部材端部(5d)は前記保持要素(10)に対して固定要素、特に、ネジ(11)によって固定されている、請求項4に記載の昇降装置。
【請求項6】
前記保持要素(10)は枠部材として形成されており、当該枠部材内に前記長状梁部材(5a、5b、5c)用の前記保持穴(10a)が形成されている、請求項5に記載の昇降装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つのベース板(4a、4b)のうちの第2ベース板(4b)の内側面(4d)には止まり穴(14)が設けられており、昇降装置の稼動状態においては、前記長状梁部材(5a、5b、5c)の第2梁部材端部(5e)が前記止まり穴に挿入及び固定されている、請求項1〜6のいずれか1つに記載の昇降装置。
【請求項8】
前記長状梁部材(5a、5b、5c)の各第2梁部材端部(5d)は、ネジ(16)によって前記止まり穴(14)内に取り付けられており、前記ネジ(16)は、前記長状梁部材(5a、5b、5c)の長軸(L)方向に配向され、前記第2ベース板(4b)の前記外側面(4e)に支持されている、請求項7に記載の昇降装置。
【請求項9】
取り付け及び取り外し用の前記ネジ(16)は、前記第2ベース板(4b)の外側面(4f)側からアクセス可能とされている、請求項8に記載の昇降装置。
【請求項10】
前記ベース板(4a、4b)は矩形であり、前記ベース板(4a、4b)における仮想上の矩形、特に正方形の角部に止まり穴(14)又は貫通孔(8)が設けられている、請求項1〜9のいずれか1つに記載の昇降装置。
【請求項11】
前記長状梁部材(5a、5b、5c)は円形の断面を有する棒材として形成されている、請求項1〜10のいずれか1つに記載の昇降装置。
【請求項12】
前記ベース板(4a、4b)の前記内側面(4c、4d)の間には、ケーブルドラム(2)が、両端が前記内側面に取り付けられた状態で設けられており、前記ケーブルドラム(2)の回転軸(D)は、前記長状梁部材(5a、5b、5c)の長軸(L)と平行に延びている、請求項1〜11のいずれか1つに記載の昇降装置。
【請求項13】
昇降装置、特にケーブルウィンチにおけるベースフレームの組み立て、分解、及び変更方法であって、前記昇降装置は、ベースフレーム及び少なくとも2本の長状梁部材を備え、前記ベースフレームは、少なくとも2つのベース板を有し、前記少なくとも2本の長状梁部材は、第1梁部材端部及びその反対側の第2梁部材端部を有し、前記長状梁部材は、互いに離間させた状態で前記ベース板を連結しており、
前記ベースフレーム(3)の組み立て、分解、及び変更に関して、前記長状梁部材は前記少なくとも2つのベース板(3)に対して長軸(L)方向に挿入又は取り外され、これより前または後において、前記長状梁部材(5a、5b、5c)の前記第1梁部材端部(5d)及び前記第2梁部材端部(5e)は、昇降装置の稼動状態において前記ベース板(4a、4b)に取り付けられる、又は、前記ベース板(4a、4b)から取り外される、方法。
【請求項14】
前記ベースフレーム(4a、4b)の組み立て、分解、及び変更に関して、前記長状梁部材(5a、5b、5c)は、前記少なくとも2つのベース板(4a、4b)のうちの第1ベース板(4a)に設けられた貫通孔(8)を介して、前記長軸(L)方向に挿入又は取り外される、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−511451(P2013−511451A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539289(P2012−539289)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067489
【国際公開番号】WO2011/061150
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504054468)デマグ クレインズ アンド コンポーネンツ ゲーエムベーハー (18)