説明

昇降装置

【課題】従来必要とされていたシャットオフ弁を不要にして、コストダウンを達成する。
【解決手段】電動モータMと油圧ポンプPとを連係して電動モータMの駆動力で油圧ポンプPを回転させる。そして、この油圧ポンプPにシリンダCRを接続し、油圧ポンプPの吐出圧でシリンダを伸長させたり、その自重でシリンダを収縮させたりする。さらに、電動モータMと油圧ポンプPのいずれか一方もしくは双方に対して制動力を発揮するメカニカルブレーキBを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シリンダを用いた昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のものとして特許文献1に記載された装置が従来から知られている。この従来の装置は、油圧ポンプとシリンダとの間の接続通路にシャットオフ弁を設け、シリンダを伸長あるいは収縮させるときには上記シャットオフ弁を開き、シリンダに負荷を保持させるときには上記シャットオフ弁を閉じる構成にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−26697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにした従来の装置は、油圧ポンプとシリンダとの接続通路にシャットオフ弁を設けなければならないが、この場合には配管接続などの手間がかかり、その分、コストアップにつながるという問題があった。
この発明の目的は、従来必要とされていたシャットオフ弁を不要にして、コストダウンを達成した昇降装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、電動モータと油圧ポンプとを連係して電動モータの駆動力で油圧モータを回転させるとともに、この油圧モータにシリンダを接続し、油圧ポンプの吐出圧でシリンダを伸長させたり、その自重でシリンダを収縮させたりする昇降装置を前提にする。
そして、第1の発明は、電動モータと油圧モータのいずれか一方もしくは双方に対して制動力を発揮するメカニカルブレーキを設けた点に特徴を有する。
第2の発明は、上記メカニカルブレーキを電動モータに設けた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0006】
第1,2の発明によれば、シャットオフ弁を必要としないので、配管接続などの手間が省け、その分、コストダウンにつながる。
また、メカニカルブレーキの制動力を調整すれば、シリンダの収縮速度を制御できる。したがって、メカニカルブレーキをシリンダの収縮速度制御装置としても兼用できるので、さらなるコストダウンが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の実施形態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図示の実施形態は、正逆回転可能な油圧ポンプPをシリンダCRのボトム側室1に接続している。そして、上記油圧ポンプPは、電動モータMに連係している。したがって、電動モータMを回転させることによって、この油圧ポンプPが回転して圧油を吐出し、シリンダCRの上記ボトム側室1に上記吐出油が供給される。
【0009】
上記のようにした電動モータMは、コントローラCを介してジョイスティック2に接続している。そして、オペレータがこのジョイスティック2の操作量によって、電動モータMの回転数を制御できるようにしている。
【0010】
さらに、上記電動モータMには、メカニカルブレーキBを設け、このブレーキBの制動力で電動モータMの回転を停止するとともに、シリンダCRが自重で下降するときには、ブレーキの制動力を利用して下降速度を制御することもできる。
なお、図中符号3はバッテリ、4はリリーフ弁である。
【0011】
上記のようにした実施形態において、シリンダCRを伸長させるときには、メカニカルブレーキBの制動力を解除するとともに、ジョイスティック2を操作して電動モータMを回転させるとともに、その電動モータMの駆動力で油圧ポンプPを回転して、圧油を吐出させる。油圧ポンプPから吐出した圧油は、シリンダCRのボトム側室1に供給されるので、シリンダCRは伸長する。
【0012】
そして、シリンダCRが目的の位置まで伸長したら、ジョイスティック2をニュートラル位置に戻して電動モータMを停止するとともに、このときにメカニカルブレーキBの制動力を電動モータMに作用させる。
上記のように電動モータMにメカニカルブレーキBの制動力を作用させれば、この電動モータMに連係している油圧モータMにもメカニカルブレーキBの制動力が作用することになる。
【0013】
上記のように油圧モータMにメカニカルブレーキBの制動力が作用してその回転が阻止されれば、シリンダCRに負荷が作用していたとしても、シリンダCRはその収縮方向に動いたりせず、当該位置を保持する。
シリンダCRが上記のように位置保持した状態でメカニカルブレーキBの制動力を解除すれば、シリンダCRはその負荷によって収縮方向に動いて下降動作をする。
【0014】
そして、上記のようにシリンダCRが収縮方向に動いて下降動作をすると、ボトム側室1の作動油が流出するので、この作動油によって油圧ポンプPが回転するとともにその回転力が電動モータMに作用する。
このとき、上記回転力が作用する方向とは反対方向の回転力を電動モータMに作用させれば、この電動モータMの回転力がシリンダCRの逸走を防止する制動力となる。
【0015】
また、上記のようにシリンダCRが下降するときに、電動モータMにメカニカルブレーキBの制動力を作用させれば、その制動力によってもシリンダCRの下降速度を制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
リフターやフォークリフトなどに最適である。
【符号の説明】
【0017】
P 油圧ポンプ
CR シリンダ
M 電動モータ
B メカニカルブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと油圧ポンプとを連係して電動モータの駆動力で油圧モータを回転させるとともに、この油圧モータにシリンダを接続し、油圧ポンプの吐出圧でシリンダを伸長させたり、その自重でシリンダを収縮させたりする昇降装置において、電動モータと油圧モータのいずれか一方もしくは双方に対して制動力を発揮するメカニカルブレーキを設けた昇降装置。
【請求項2】
上記メカニカルブレーキを電動モータに設けた請求項1記載の昇降装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−246279(P2011−246279A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124379(P2010−124379)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(592057983)KYBエンジニアリングアンドサービス株式会社 (8)