説明

昇降駆動用噛合チェーンユニット

【課題】一対の噛合チェーンを高い位置まで被駆動体を搬送するとともにリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を回避し、しかも装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や一対の噛合チェーンの断面積の増大を伴うことなく座屈強度を向上させる昇降駆動用噛合チェーンユニットを提供する。
【解決手段】一対の噛合チェーン111A、111Bの対向面Sに沿って座屈を規制する前後一対の座屈規制面116Sをそれぞれ備えた複数の座屈規制用アタッチプレート116A、116Bが、対向面Sに沿って中心線CLの両側のそれぞれでフック状外歯プレート113の外側にそれぞれ添設されている昇降駆動用噛合チェーンユニット110。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などに用いて被駆動物を設置面に対して昇降させる駆動装置に組み込まれる昇降駆動用噛合チェーンユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、噛合チェーンに係合する駆動用スプロケットを回転させて一対の噛合チェーンを昇降させるもの(例えば、特許文献1参照。)がある。
上述の昇降装置に用いられる噛合チェーンは、図8に示すように、リンクプレート213のプレート噛合面の反対側に臨む平坦なプレート端面213Sを昇降方向に対して斜めに相互に接触させた状態で昇降駆動されて荷重支持部材などの被駆動体220を昇降駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−278797号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の昇降装置では、図8に示すように、一対の噛合チェーン211、211を相互に噛み合わせて上昇させた際に荷重の水平分力Fを発生させて一対の噛合チェーン211、211を傾かせてしまうとともに一旦発生した傾きに起因して一対の噛合チェーン211、211を一対の噛合チェーン211、211の両側のそれぞれに向かって傾かせて揺動させてしまうため、垂直方向すなわち鉛直方向に沿って真っ直ぐ一対の噛合チェーン211、211を自立させて一定のチェーン長の範囲内で高い位置まで被駆動体220を搬送することを困難にさせてしまい、しかも相互に噛み合うリンクプレート213間に隙間を生じさせて噛合わせ精度を低下させてしまうとともにリンクプレート213に作用する荷重負担を不均一にして一対の噛合チェーン211、211の座屈強度向上を困難にさせてしまうという問題点があった。
また、一旦傾いた一対の噛合チェーン211、211に垂直方向の上方から下方に継続して荷重を作用させて荷重の水平分力Fを増大させた状態では一対の噛合チェーン211、211の傾きをより一層増大させて座屈強度をさらに低下させてしまうため、一対の噛合チェーン211、211を補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担を発生させてしまうとともに装置の部品点数を増加させ、しかも所定の座屈強度を確保するために噛合チェーン211、211のサイズすなわち相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーンの断面積を増大させてしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、一対の噛合チェーンを垂直方向に沿って真っ直ぐ自立させて高い位置まで被駆動体を搬送するとともにリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を回避し、しかも一対の噛合チェーンを補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーンの断面積の増大を伴うことなく座屈強度を向上させる昇降駆動用噛合チェーンユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る本発明は、チェーン幅方向に沿って離間配置される一対のフック状内歯プレートおよび該一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ隣接配置されるフック状外歯プレートを前後一対の連結ピンでチェーン長手方向に多数連結して構成し一対の噛合チェーンを相互に対向配置して噛み合わせて一体化するとともに噛み外して分岐させる昇降駆動用噛合チェーンユニットであって、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で前記一対の噛合チェーンの対向面に沿って座屈を規制する前後一対の座屈規制面をそれぞれ備えた複数の座屈規制用アタッチプレートが、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で前記対向面に沿って前記一対の噛合チェーンの中心線の両側のそれぞれで前記チェーン長手方向に沿って相互にずらした状態で前記フック状外歯プレートの外側にそれぞれ添設されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0007】
請求項2に係る本発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記複数の座屈規制用アタッチプレートのうち前記一対の噛合チェーンの一方および他方のそれぞれに含まれる連結ピンにより前記一方および他方の噛合チェーンのそれぞれに連結固定された一方側座屈規制用アタッチプレートおよび他方側座屈規制用アタッチプレートが、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で前記一方側座屈規制用アタッチプレートおよび他方側座屈規制用アタッチプレートのそれぞれのプレート対向側面の少なくとも一部を前記中心線に重ねて相互に接触させることにより、前述した課題を解決したものである。
【0008】
請求項3に係る本発明は、請求項1または請求項2に記載の構成に加えて、前記座屈規制面が、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で水平に延びていることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る本発明の昇降駆動用噛合チェーンユニットによれば、チェーン幅方向に沿って離間配置される一対のフック状内歯プレートおよび該一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ隣接配置されるフック状外歯プレートを前後一対の連結ピンでチェーン長手方向に多数連結して構成し一対の噛合チェーンを相互に対向配置して噛み合わせて一体化するとともに噛み外して分岐させることができるばかりでなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
すなわち、本請求項1に係る昇降駆動用噛合チェーンユニットによれば、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で前記一対の噛合チェーンの対向面に沿って座屈を規制する前後一対の座屈規制面をそれぞれ備えた複数の座屈規制用アタッチプレートが、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で前記対向面に沿って前記一対の噛合チェーンの中心線の両側のそれぞれで前記チェーン長手方向に沿って相互にずらした状態で前記フック状外歯プレートの外側にそれぞれ添設されていることにより、複数の座屈規制用アタッチプレートのうちチェーン長手方向に沿って相互に隣り合う2枚の座屈規制用アタッチプレートの座屈規制面を相互に接触させるとともに一対の噛合チェーンの中心線の両側のそれぞれで荷重を分担して一対の噛合チェーンの傾きを規制するため、一対の噛合チェーンの中心線の両側のそれぞれに向かって生じうる一対の噛合チェーンの傾きを規制して一対の噛合チェーンを垂直方向に沿って真っ直ぐ自立させた状態で高い位置まで被駆動体を搬送するとともにフック状内歯プレート同士やフック状外歯プレート同士などのリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を回避し、しかも一対の噛合チェーンを補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーンの断面積の増大を伴うことなく座屈強度を向上させることができる。
【0010】
そして、本請求項2に係る昇降駆動用噛合チェーンユニットによれば、請求項1に記載の昇降駆動用噛合チェーンユニットが奏する効果に加えて、前記複数の座屈規制用アタッチプレートのうち前記一対の噛合チェーンの一方および他方のそれぞれに含まれる連結ピンにより前記一方および他方の噛合チェーンのそれぞれに連結固定された一方側座屈規制用アタッチプレートおよび他方側座屈規制用アタッチプレートが、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で前記一方側座屈規制用アタッチプレートおよび他方側座屈規制用アタッチプレートのそれぞれのプレート対向側面の少なくとも一部を前記中心線に重ねて相互に接触させることにより、プレート対向側面を介して一対の噛合チェーンの中心線の両側のそれぞれから水平方向およびチェーン幅方向のそれぞれに沿って一対の噛合チェーンの傾きを規制するとともに一対の噛合チェーンを相互に噛みあわせて一体化させた状態で複数の座屈規制用アタッチプレートを含む一対の噛合チェーン全体を一体の剛体とするため、一対の噛合チェーンの中心線の両側のそれぞれに一対の噛合チェーンを傾かせることやチェーン幅方向に一対の噛合チェーンを傾かせることを同時に回避するとともに相互に噛み合った一対の噛合チェーンのねじれを回避して一対の噛合チェーンを垂直方向に沿って真っ直ぐ自立させた状態で高い位置まで安定して被駆動体を確実に搬送し、しかもフック状内歯プレート同士やフック状外歯プレート同士などのリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を確実に回避するとともに一対の噛合チェーンを補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーンの断面積の増大を伴うことなく座屈強度を一層向上させることができる。
【0011】
そして、本請求項3に係る昇降駆動用噛合チェーンユニットによれば、請求項1または請求項2に記載の昇降駆動用噛合チェーンユニットが奏する効果に加えて、前記座屈規制面が、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で水平に延びていることにより、垂直方向に沿って上方から下方に向かって一対の噛合チェーンに作用する荷重を座屈規制面に分担させて水平分力を低減するため、一対の噛合チェーンを補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーンの断面積の増大を伴うことなく一対の噛合チェーンの座屈強度をより一層向上させて一対の噛合チェーンを垂直方向に沿って真っ直ぐ自立させた状態で高い位置まで被駆動体を確実に搬送するとともにフック状内歯プレート同士やフック状外歯プレート同士などのリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を一層回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニットを採用した噛合チェーン式昇降装置の全体斜視図。
【図2】図1に示す噛合チェーン式昇降装置の平面図。
【図3】図1に示す噛合チェーン式昇降装置の正面図。
【図4】図3に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図。
【図5】本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニットの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図。
【図6】本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニットの正面図。
【図7】本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニットの側面図。
【図8】比較例に係る昇降駆動用噛合チェーンユニットの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の昇降駆動用噛合チェーンユニットは、チェーン幅方向に沿って離間配置される一対のフック状内歯プレートおよび該一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ隣接配置されるフック状外歯プレートを前後一対の連結ピンでチェーン長手方向に多数連結して構成し一対の噛合チェーンを相互に対向配置して噛み合わせて一体化するとともに噛み外して分岐させ、一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で一対の噛合チェーンの対向面に沿って座屈を規制する前後一対の座屈規制面をそれぞれ備えた複数の座屈規制用アタッチプレートが、一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で対向面に沿って一対の噛合チェーンの中心線の両側のそれぞれでチェーン長手方向に沿って相互にずらした状態でフック状外歯プレートの外側にそれぞれ添設され、一対の噛合チェーンの中心線の両側のそれぞれに向かって生じうる一対の噛合チェーンの傾きを規制して一対の噛合チェーンを垂直方向に沿って真っ直ぐ自立させた状態で高い位置まで被駆動体を搬送するとともにフック状内歯プレート同士やフック状外歯プレート同士などのリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を回避し、しかも一対の噛合チェーンを補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーンの断面積の増大を伴うことなく座屈強度を向上させるものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニット110を採用した噛合チェーン式昇降装置100を図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニットを採用した噛合チェーン式昇降装置の全体斜視図であり、図2は、図1に示す噛合チェーン式昇降装置の平面図であり、図3は、図1に示す噛合チェーン式昇降装置の正面図であり、図4は、図3に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図であり、図5は、本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニットの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図であり、図6は、本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニットの正面図であり、図7は、本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニットの側面図である。
【0015】
まず、本発明の一実施例である昇降駆動用噛合チェーンユニット110を採用した噛合チェーン式昇降装置100は、図1に示すように、昇降駆動用噛合チェーンユニット110の端部に被駆動体120を固定接続して垂直方向すなわち鉛直方向に沿って被駆動体120を昇降させるものである。
【0016】
そして、噛合チェーン式昇降装置100は、図1乃至図4に示すように、一対の噛合チェーン111A、111Bを有する昇降駆動用噛合チェーンユニット110と、相互に分岐した一対の噛合チェーン111A、111Bを案内して収納するチェーン収納用溝131およびこのチェーン収納用溝131に連接されて一対の噛合チェーン111A、111Bを剛直位置に誘導するチェーン誘導用溝132を設けたチェーン案内プレート130と、このチェーン案内プレート130に形成されて噛合チェーン111Aの側方に開口する凹状の駆動用スプロケット収容溝133に収容されているとともに噛合チェーン111Aに係合して一対の噛合チェーン111A、111Bを進退自在に駆動する駆動用スプロケット140と、この駆動用スプロケット140に駆動力を供給する直交ギヤ151および駆動用モータ152からなる駆動源150とを基本的な装置構成として備え、一対の噛合チェーン111A、111Bの剛直状態を維持すると同時に剛直方向D1および分岐方向D2に一対の噛合チェーン111A、111Bを案内し、被駆動体120を昇降自在に作動させるようになっている。
【0017】
さらに、噛合チェーン式昇降装置100では、図4に示すように、駆動用スプロケット収容溝133が相互に噛み合って剛直化した一対の噛合チェーン111A、111Bに開口していることにより、噛合チェーン111Aおよび駆動用スプロケット140間のコーダルアクションに起因した上下動(脈動)、振動、騒音、速度変動の発生が回避されるため、昇降駆動用噛合チェーンユニット110は、噛合チェーン式昇降装置100が、チェーン駆動時における噛合チェーン111A、111Bの振動騒音をより一層低減するとともにチェーン駆動を安定させて円滑に一対の噛合チェーン111A、111Bを相互に噛み合わせて自立させるようになっている。
【0018】
次に、図1乃至図7に基づいて、本実施例に係る昇降駆動用噛合チェーンユニット110を詳細に説明する。
図1乃至図5に示すように、本実施例に係る昇降駆動用噛合チェーンユニット110は、チェーン幅方向Wに沿って離間配置される一対のフック状内歯プレート112および該一対のフック状内歯プレート112の外側にそれぞれ隣接配置されるフック状外歯プレート113を前後一対の連結ピン114でチェーン長手方向に多数連結して構成し一対の噛合チェーン111A、111Bを相互に対向配置して噛み合わせて一体化するとともに噛み外して分岐する。
【0019】
より具体的には、一対の噛合チェーン111A、111Bは、図5に示すように、所謂、チャックチェーンと称するものであって、フック状内歯プレート112と、このフック状内歯プレート112に対してチェーン長手方向に半ピッチ分ずらして重なり合うフック状外歯プレート113と、フック状内歯プレート112同士をチェーン幅方向Wに連結固定するとともに連結ピン114を挿嵌したブシュ115とを備えており、前述したチェーン案内プレート130に沿って分岐方向D2から剛直方向D1へ偏向しながら相互にフック状内歯プレート112同士およびフック状外歯プレート113同士を噛み合わせて一体に自立状態で昇降動作するとともに剛直方向D1から分岐方向D2へ偏向しながら相互にフック状内歯プレート112同士およびフック状外歯プレート113同士を噛み外して分岐する。
【0020】
次に、前述した本実施例の昇降駆動用噛合チェーンユニット110が最も特徴とする構成の具体的な形態について、図1乃至図7に基づいてより詳しく説明する。
図1乃至図7に示すように、本実施例の昇降駆動用噛合チェーンユニット110では、一対の噛合チェーン111A、111Bを相互に噛み合わせて一体化させた状態で一対の噛合チェーン111A、111Bの対向面Sに沿って座屈を規制する前後一対の座屈規制面116Sをそれぞれ備えた複数の座屈規制用アタッチプレート116A、116Bが、一対の噛合チェーン111A、111Bを相互に噛み合わせて一体化させた状態で対向面Sに沿って一対の噛合チェーン111A、111Bの中心線CLの両側のそれぞれでチェーン長手方向に沿って相互にずらした状態でフック状外歯プレート113の外側にそれぞれ添設されていることにより、複数の座屈規制用アタッチプレート111A、111Bのうちチェーン長手方向に沿って相互に隣り合う2枚の座屈規制用アタッチプレート111A同士や2枚の座屈規制用アタッチプレート111B同士の座屈規制面116Sを相互に接触させるとともに一対の噛合チェーン111A、111Bの中心線CLの両側のそれぞれで荷重を分担して一対の噛合チェーン111A、111Bの傾きを規制するため、昇降駆動用噛合チェーンユニット110は、一対の噛合チェーン111A、111Bの中心線CLの両側のそれぞれに向かって生じうる一対の噛合チェーン111A、111Bの傾きを規制して一対の噛合チェーン111A、111Bを垂直方向に沿って真っ直ぐ自立させた状態で高い位置まで被駆動体120を搬送するとともにフック状内歯プレート112同士やフック状外歯プレート113同士などのリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を回避し、しかも一対の噛合チェーン111A、111Bを補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーン111A、111Bの断面積の増大を伴うことなく座屈強度を向上させるようになっている。
【0021】
また、昇降駆動用噛合チェーンユニット110では、複数の座屈規制用アタッチプレート116A、116Bのうち一対の噛合チェーン111A、111Bの一方および他方のそれぞれに含まれる連結ピン114により一方の噛合チェーン111Aおよび他方の噛合チェーン111Bのそれぞれに連結固定された一方側座屈規制用アタッチプレート116Aおよび他方側座屈規制用アタッチプレート116Bが、一対の噛合チェーン111A、111Bを相互に噛み合わせて一体化させた状態で一方側座屈規制用アタッチプレート116Aおよび他方側座屈規制用アタッチプレート116Bのそれぞれのプレート対向側面116Tの少なくとも一部を中心線CLに重ねて相互に接触させることにより、プレート対向側面116Tを介して一対の噛合チェーン111A、111Bの中心線CLの両側のそれぞれから水平方向すなわち分岐方向D1に沿って中心線CLの両側に向かう方向およびチェーン幅方向Wのそれぞれに沿って一対の噛合チェーン111A、111Bの傾きを規制するとともに一対の噛合チェーン111A、111Bを相互に噛みあわせて一体化させた状態で複数の座屈規制用アタッチプレート116A、116Bを含む一対の噛合チェーン111A、111B全体を一体の剛体とするため、昇降駆動用噛合チェーンユニット110は、一対の噛合チェーン111A、111Bの中心線CLの両側のそれぞれに一対の噛合チェーン111A、111Bを傾かせることやチェーン幅方向Wに一対の噛合チェーン111A、111Bを傾かせることを同時に回避するとともに相互に噛み合った一対の噛合チェーン111A、111Bのねじれを回避して一対の噛合チェーン111A、111Bを垂直方向に沿って真っ直ぐ自立させた状態で高い位置まで安定して被駆動体120を確実に搬送し、しかもフック状内歯プレート112同士やフック状外歯プレート113同士などのリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を確実に回避するとともに一対の噛合チェーン111A、111Bを補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーン111A、111Bの断面積の増大を伴うことなく座屈強度を一層向上させるようになっている。
【0022】
また、昇降駆動用噛合チェーンユニット110では、座屈規制面116Sが、一対の噛合チェーン111A、111Bを相互に噛み合わせて一体化させた状態で水平に延びていることにより、垂直方向に沿って上方から下方に向かって一対の噛合チェーン111A、111Bに作用する荷重を座屈規制面116Sに分担させて水平分力を低減するため、一対の噛合チェーン111A、111Bを補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーン111A、111Bの断面積の増大を伴うことなく一対の噛合チェーン111A、111Bの座屈強度をより一層向上させて一対の噛合チェーン111A、111Bを垂直方向に沿って真っ直ぐ自立させた状態で高い位置まで被駆動体120を確実に搬送するとともにフック状内歯プレート112同士やフック状外歯プレート113同士などのリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を一層回避するようになっている。
【0023】
このようにして得られた本実施例の昇降駆動用噛合チェーンユニット110は、一対の噛合チェーン111A、111Bを相互に噛み合わせて一体化させた状態で一対の噛合チェーン111A、111Bの対向面Sに沿って座屈を規制する前後一対の座屈規制面116Sをそれぞれ備えた複数の座屈規制用アタッチプレート116A、116Bが、一対の噛合チェーン111A、111Bを相互に噛み合わせて一体化させた状態で対向面Sに沿って一対の噛合チェーン111A、111Bの中心線CLの両側のそれぞれでチェーン長手方向に沿って相互にずらした状態でフック状外歯プレート113の外側にそれぞれ添設されていることにより、昇降駆動用噛合チェーンユニット110は、一対の噛合チェーン111A、111Bの中心線CLの両側のそれぞれに向かって生じうる一対の噛合チェーン111A、111Bの傾きを規制して一対の噛合チェーン111A、111Bを垂直方向に沿って真っ直ぐ自立させた状態で高い位置まで被駆動体120を搬送するとともにフック状内歯プレート112同士やフック状外歯プレート113同士などのリンクプレート間の噛み合わせ精度の低下を回避し、しかも一対の噛合チェーン111A、111Bを補強する補強具を設置する装置組立時における作業負担の増大および部品点数の増加や相互に噛み合わせて一体化させた一対の噛合チェーン111A、111Bの断面積の増大を伴うことなく座屈強度を向上させることができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0024】
100 ・・・ 噛合チェーン式昇降装置
110 ・・・ 昇降駆動用噛合チェーンユニット
111A、111B、211 ・・・ 噛合チェーン
112 ・・・ フック状内歯プレート
113 ・・・ フック状外歯プレート
114 ・・・ 連結ピン
115 ・・・ ブシュ
116A、116B ・・・ 座屈規制用アタッチプレート
116S ・・・ 座屈規制面
116T ・・・ 座屈規制用アタッチプレートのプレート対向側面
120、220 ・・・ 被駆動体
130 ・・・ チェーン案内プレート
131 ・・・ チェーン収納用溝
132 ・・・ チェーン誘導用溝
133 ・・・ 駆動用スプロケット収容溝
140 ・・・ 駆動用スプロケット
150 ・・・ 駆動源
151 ・・・ 直交ギヤ
152 ・・・ 駆動用モータ
213 ・・・ リンクプレート
213S ・・・ リンクプレートのプレート端面
CL ・・・ 相互に噛み合って一体化した一対の噛合チェーンの中心線
D1 ・・・ 一対の噛合チェーンの剛直方向
D2 ・・・ 一対の噛合チェーンの分岐方向
F ・・・ 水平分力
S ・・・ 一対の噛合チェーンの対向面
W ・・・ チェーン幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーン幅方向に沿って離間配置される一対のフック状内歯プレートおよび該一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ隣接配置されるフック状外歯プレートを前後一対の連結ピンでチェーン長手方向に多数連結して構成し一対の噛合チェーンを相互に対向配置して噛み合わせて一体化するとともに噛み外して分岐させる昇降駆動用噛合チェーンユニットにおいて、
前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で前記一対の噛合チェーンの対向面に沿って座屈を規制する前後一対の座屈規制面をそれぞれ備えた複数の座屈規制用アタッチプレートが、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で前記対向面に沿って前記一対の噛合チェーンの中心線の両側のそれぞれで前記チェーン長手方向に沿って相互にずらした状態で前記フック状外歯プレートの外側にそれぞれ添設されていることを特徴とする昇降駆動用噛合チェーンユニット。
【請求項2】
前記複数の座屈規制用アタッチプレートのうち前記一対の噛合チェーンの一方および他方のそれぞれに含まれる連結ピンにより前記一方および他方の噛合チェーンのそれぞれに連結固定された一方側座屈規制用アタッチプレートおよび他方側座屈規制用アタッチプレートが、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で前記一方側座屈規制用アタッチプレートおよび他方側座屈規制用アタッチプレートのそれぞれのプレート対向側面の少なくとも一部を前記中心線に重ねて相互に接触させることを特徴とする請求項1に記載の昇降駆動用噛合チェーンユニット。
【請求項3】
前記座屈規制面が、前記一対の噛合チェーンを相互に噛み合わせて一体化させた状態で水平に延びていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の昇降駆動用噛合チェーンユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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