説明

明示された双極性コポリマーの使用方法および適用

【課題】本発明は、水溶性または水分散性のコポリマーの使用および適用方法に関する。
【解決手段】
(a)少なくとも1種の一般式iのモノマー化合物:
【化1】


と;
(b)(a)と共重合可能であり、適用媒体中でイオン化可能な酸性官能基を有する少なくとも1種の親水性モノマーと;
(c)任意選択的に(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する少なくとも1種のモノマー化合物、好ましくは、1つ以上の親水基を有し、(a)および(b)と共重合可能であり、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する親水性モノマー化合物とを含む、水溶性または水分散性のコポリマーの使用および適用方法を提供する。前記ポリマーは、特に良好な凝集剤であり、洗浄作業に優先的に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、明示された構造を有する双極性ポリマーの使用方法および適用に関する。より特定的には、本発明は、上述のポリマーを組成物に適用することに関し、この組成物は、好ましくは、例えば、床、作業表面、器具、家具、カーペットおよび室内装飾品の洗浄のような洗浄作業に適している。
【背景技術】
【0002】
掃除用品の製造業者は、組成物の有効性を高める新規成分や、組成物を運ぶ手段、またはその両方の探求を続けている。本発明は、例えば、床、タイル、作業表面、車両内装用プラスチックおよび皮革、セラミック表面、窓、ブラインド、日よけ、鏡、家庭用電化製品、家具、室内装飾品などの表面を洗浄するために使用する新規成分に関する。一般的には、表面を洗浄するための組成物は、表面についた汚れを取り、この汚れを懸濁または溶解させるのに有効である。しかし、この懸濁または溶解した汚れを何らかの方法で除去することができなければ、汚れは表面に残ったままになり、組成物が蒸発した後に表面に目に見える状態で残ってしまう。出願人らはこの問題をよく調査し、特に、無機汚れ、およびすす、泥、埃、毛、練り歯磨き、油と埃の混合物などを含む汚れを凝集させる成分を含む新規組成物を開発している。これらの汚れは、典型的には家庭および企業ならびに車両から出る汚れである。汚れを凝集させると元々の大きさよりも大きくなるため、表面から除去しやすくなる。使い捨て洗浄基材を用いて凝集剤に結合させることによって、凝集した汚れを除去しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,569,261号明細書
【特許文献2】US4,387,017
【特許文献3】EP156,646
【特許文献4】米国特許第4,565,647号
【特許文献5】米国特許第5,776,872号
【特許文献6】米国特許第5,883,062号
【特許文献7】米国特許第5,906,973号
【特許文献8】国際公開特許WO86/05199
【特許文献9】米国特許第2,082,275号
【特許文献10】米国特許第2,702,279号
【特許文献11】米国特許第2,255,082号
【特許文献12】米国特許第2,658,072号
【特許文献13】米国特許第2,438,091号
【特許文献14】米国特許第2,528,378号
【特許文献15】米国特許第4,076,648号
【特許文献16】米国特許第4,021,365号
【特許文献17】米国特許第4,749,740号
【特許文献18】米国特許第4,983,316号
【特許文献19】欧州特許第150,872号
【特許文献20】EP217,501号
【特許文献21】EP499,364
【特許文献22】WO/9960089
【特許文献23】米国特許第6,045,622号
【特許文献24】米国特許第3,699,103号
【特許文献25】米国特許第3,770,731号
【特許文献26】米国再発行特許第32,649号
【特許文献27】米国特許第4,834,735号
【特許文献28】米国特許第4,076,663号
【特許文献29】米国特許第4,062,817号
【特許文献30】米国特許第3,661,875号
【特許文献31】米国特許第4,076,663号
【特許文献32】米国特許第4,093,776号
【特許文献33】米国特許第4,666,983号
【特許文献34】米国特許第4,734,478号
【特許文献35】米国特許第5,147,343号
【特許文献36】米国特許第5,149,335号
【特許文献37】米国特許出願番号第08/219,547号
【特許文献38】米国特許出願番号第08/416,396号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】マカッチャン(McCutcheon)の1巻:乳化剤および洗剤(Emulsifiers and Detergents)、北アメリカ版(North American Ed.)、マカッチャン部門(McCutcheon Division)、MC出版社(MC Publishing Co.)(2002年)
【非特許文献2】「BASFパフォーマンス・ケミカルス・プルトニック(BASF Performance Chemicals Plutonic)(登録商標)およびテトロニック(Tetronic)(登録商標)界面活性剤」(BASF Performance Chemicals Plutonic(Registered Trademark)& Tetronic(Registered Trademark)Surfactants)
【非特許文献3】EDANA標準不織布産業方法論(standard EDANA nonwoven industry methodology)、参照方法番号30.4−89
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、水溶性または水分散性のコポリマーIの洗浄作業における凝集剤としての新たな使用方法が提供され、当該ポリマーは、
(a)少なくとも1種の一般式iのモノマー化合物:
【0006】
【化1】

【0007】
〔式中、
1は水素原子、メチル基またはエチル基であり;
2、R3、R4、R5およびR6は、同じであるかまたは異なっていてもよいが、直鎖または分枝のC1〜C6のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基であり;
mは0〜10の整数であり;
nは、1〜6の整数であり;
Zは−−C(O)O−−基または−−C(O)NH−−基または酸素原子を表し;
Aは(CH2)p基を表し、pは1〜6の整数であり;
Bは、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基によって任意選択的に中断され、1つ以上のヒドロキシル基またはアミノ基で任意選択的に置換された、直鎖または分枝のC2〜C12ポリメチレン鎖を表し;
Xは、それぞれが同じであるかまたは異なっていてもよいが、対イオンを表す〕と;
(b)(a)と共重合可能であり、適用媒体中でイオン化可能な酸性官能基を有する少なくとも1種の親水性モノマーと;
(c)任意選択的に(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する少なくとも1種のモノマー化合物、好ましくは、1つ以上の親水基を有し、(a)および(b)と共重合可能であり、電荷が中性のエチレン性不飽和部をを有する親水性モノマー化合物とを含む。
【0008】
第2の実施形態では、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤およびこれらの混合物から選択される界面活性剤と、
(a)少なくとも1種の一般式iのモノマー化合物:
【0009】
【化2】

【0010】
〔式中、
1は水素原子、メチル基またはエチル基であり;
2、R3、R4、R5およびR6は、同じであるかまたは異なっていてもよいが、直鎖または分枝のC1〜C6のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基であり;
mは0〜10の整数であり、
nは、1〜6の整数であり、
Zは−−C(O)O−−基または−−C(O)NH−−基または酸素原子を表し;
Aは(CH2p基を表し、pは1〜6の整数であり;
Bは、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基によって任意選択的に中断され、1つ以上のヒドロキシル基またはアミノ基で任意選択的に置換された、直鎖または分枝のC2〜C12ポリメチレン鎖を表し;
Xは、同じであるかまたは異なっていてもよいが、対イオンを表す〕と;
(b)(a)と共重合可能であり、適用媒体中でイオン化可能な酸性官能基を有する少なくとも1種の親水性モノマーと;
(c)任意選択的に(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する少なくとも1種のモノマー化合物、好ましくは、(a)および(b)と共重合可能である1つ以上の親水基を有し、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する親水性モノマー化合物とを含む水溶性または水分散性のコポリマーIと、および
(d)少なくとも1種の一般式iiのモノマー化合物:
【0011】
【化3】

【0012】
〔式中、
−R1およびR4は独立してHまたはC1〜6の直鎖または分枝のアルキル基を表し、 −R2およびR3は独立して、直鎖または分枝のC1〜6アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基を表し、好ましくはメチル基であり、
−nおよびmは1〜3の整数であり、
−Xは前記ポリマーの水溶性または水分散性と相溶する対イオンを表す〕と;
(e)モノマー(d)と共重合可能であり、使用媒体中でイオン化可能な酸性官能基を有する少なくとも1種の親水性モノマーと;
(f)任意選択的にモノマー(d)およびモノマー(e)と共重合可能な1個または複数個の親水基を有し、電荷が中性のエチレン性不飽和親水性モノマーとを含み、モノマー(d)とモノマー(e)との比率が60:40〜5:95であるコポリマーII、またはアルキルアリールアニオン性界面活性剤からなる群から選択される表面粘着性低減剤とを含み、
前記水溶性または水分散性のコポリマー対表面粘着性低減剤の比率が10:1〜1:10である、組成物が提供される。
【0013】
第3の実施形態では、表面を洗浄するためのキットが提供され、このキットが不織布基材と水溶性または水分散性のコポリマーIとを含む組成物を含み、当該コポリマーIが、 (a)少なくとも1種の一般式iのモノマー化合物:
【0014】
【化4】

【0015】
〔式中、
1は、水素原子、メチル基またはエチル基であり;
2、R3、R4、R5およびR6は、同じであるかまたは異なっていてもよいが、直鎖または分枝のC1〜C6のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基であり;
mは0〜10の整数であり;
nは、1〜6の整数であり;
Zは−−C(O)O−−基または−−C(O)NH−−基または酸素原子を表し;
Aは(CH2)p基を表し、pは1〜6の整数であり;
Bは、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基によって任意選択的に中断され、1つ以上のヒドロキシル基またはアミノ基で任意選択的に置換された、直鎖または分枝のC2〜C12ポリメチレン鎖を表し;
Xは、同じであるかまたは異なっていてもよいが、対イオンを表す〕と;
(b)(a)と共重合可能であり、適用媒体中でイオン化可能な酸性官能基を有する少なくとも1種の親水性モノマーと;
(c)任意選択的に(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する少なくとも1種のモノマー化合物、好ましくは、1つ以上の親水基を有し、(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する親水性モノマーとを含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義:特に指示されない限り、すべての比および百分率は重量基準とする。
【0017】
「水性」組成物とは、水、および重量基準で5%以上の水に対する溶解度を有する溶媒を意味する。水性化学物質の非限定例には、脱イオン水、蒸留水、水道水、エタノール、2−プロパノール、グリセリンおよびプロピレングリコールN−ブチルエーテルが挙げられる。
【0018】
「そのまま使える組成物」とは、実際の掃除目的で消費者が使用する濃度の組成物を意味する。「そのまま使える」濃度は、製造業者によって供給される組成物濃度と同じであることが多い。場合によっては、製造業者は組成物を濃縮物として供給し、消費者に使用指示書に従って組成物を希釈するように指示する。このような場合には、そのまま使える組成物は製品希釈後の濃度を意味する。特に明示されない限り、本明細書で以下に示す濃度はすべてそのまま使える状態を基準としたものである。
【0019】
「拭き取り用品」とは、消費者が使用するのに便利な大きさの不織布を意味する。「便利な大きさ」とは、消費者が拭き取り用品/パッドを手に持って使用可能なx−y寸法、または拭き取り用品/パッドを市販または当該技術分野で記載されている典型的な掃除用具に適合可能なx−y寸法を意味する。拭き取り用品およびパッドの便利な大きさの非限定例としては、16cm×27cm、17cm×20cm、10cm×30cm、20cm×30cm、15cm×36cm、20cm×40cmなどが挙げられる。「パッド」は、拭き取り用品の積層体からなる。積層体は、消費者によって使用される単一構造を作製する目的で結合された、融合された、接着された、共に形成された、または熱によって密着された2つ以上の不織布基材を備えている。拭き取り用品またはパッドは、乾燥タイプ、乾燥した手触りのもの、またはウェットタイプであってもよい。
【0020】
本明細書で使用する時、用語「不織布」、「基材」および「不織布基材」は同じ意味で使用される。不織布基材は吸収性であり、好ましくは使い捨てである。「吸収性」とは、乾燥した不織布基材1gあたり脱イオン水を少なくとも1gは吸収できる不織布を意味する。「使い捨て」とは、不織布を典型的には掃除に1回だけ使用し、その後捨てることを意味する。ある場合には、使い捨て基材はある程度再使用可能であり、使用後保存し、再使用することができる。再使用の回数は有限であり、典型的には、基材が液体および/固体を吸収し続ける能力をまだ有しているかどうかで決定される。スポンジ、布、セーム革および他の従来の掃除用品とは異なり、使い捨て基材は一旦使用すると、消費者によって元の状態に戻すことは容易ではない。
【0021】
「合成材料」または「合成繊維」とは、本明細書では、有機ポリマーを基剤とする疎水性材料を意味する。本明細書における合成材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、コポリエステルおよびこれらの混合物、およびこれらの誘導体類からなる群から選択される。他の合成材料には、ポリ酢酸ビニル、ポリエチルビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル樹脂、ポリアミド、コポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタンおよびこれらの任意のコポリマー(例えば塩化ビニル/酢酸ビニル)が挙げられる。本明細書で使用する時、用語「熱可塑性」材料は、75℃〜175℃で融解する合成材料である。
【0022】
本明細書で使用する時、「非合成材料」または「非合成繊維」は、合成によって変性したか、または非変性の天然起源の材料を原料とする材料または繊維を指す。好適な非変性/変性の天然起源の繊維の例には、綿、エスパルト草、バガス、麻布、亜麻、絹、羊毛、木材パルプ、化学的に変性された木材パルプ、黄麻、エチルセルロース、および酢酸セルロースが挙げられる。本明細書で使用される非合成材料および非合成繊維は、好ましくは、処理したセルロースまたは未処理セルロース、特に木材パルプ、およびレーヨン(Rayon)(登録商標)およびリオセル(Lyocell)(登録商標)を含む合成セルロース誘導体を原料とするものである。
【0023】
「超吸収性材料」とは、吸収性使い捨て基材の内部または表面に組み込まれ、水および水系溶液を有効に閉じ込め、固定し、床から水または水系溶液を有効に除去する任意の材料を意味する。用語「超吸収性材料」とは、2.1kPa(0.3psi)の封圧下で測定される時、脱イオン水に対して少なくとも約15g/gの吸収力を有するいずれかの吸収性材料を意味する。超吸収性材料は、典型的には、特に水を主成分とする大量の水性組成物を吸収するとゲル化する分子量の大きなポリカルボキシレートポリマーである。
【0024】
水溶性または水分散性のコポリマーI
本発明の水溶性または水分散性の凝集性コポリマーIは、以下のものが重合した単位形態を含む。
【0025】
(a)少なくとも1種の一般式iのモノマー化合物:
【0026】
【化5】

【0027】
〔式中、
1は水素原子、メチル基またはエチル基であり;
2、R3、R4、R5およびR6は、同じであるかまたは異なっていてもよいが、直鎖または分枝のC1〜C6のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基であり;
mは0〜10の整数であり;
nは、1〜6の整数であり;
Zは−−C(O)O−基または−−C(O)NH−−基または酸素原子を表し;
Aは(CH2p基を表し、pは1〜6の整数であり;
Bは、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基によって任意選択的に中断され、1つ以上のヒドロキシル基またはアミノ基で任意選択的に置換された、直鎖または分枝のC2〜C12ポリメチレン鎖を表し;
Xは、同じであるかまたは異なっていてもよいが、対イオンを表す〕;
(b)(a)と共重合可能であり、適用媒体中でイオン化可能な酸性官能基を有する少なくとも1種の親水性モノマー;
(c)任意選択的に(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する少なくとも1種のモノマー化合物、好ましくは、1つ以上の親水基を有し、(a)および(b)と共重合可能であり、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する親水性モノマー化合物。
【0028】
モノマー(a)は、例えば、特許文献1(ローディア(Rhodia))の第2欄第40行〜第3欄第45行に記載の反応スキームに従って調製することができる。この内容は本明細書に参考として組み込まれる。
【0029】
得られたコポリマーIは、少なくとも1000、有利には少なくとも10,000の分子量を有し、20,000,000まで、有利には10,000,000までの分子量を有することができる。他に言及される場合を除き、分子量という用語が使用される場合、g/molで表される重量平均分子量を指す。後者の値は、水性ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で決定するか、または1N NaNO3溶液において30℃での固有粘度の測定値から決定することができる。コポリマーは好ましくはランダムコポリマーである。
【0030】
好ましくは、モノマー(a)の一般式(i)では、Zは、C(O)O、C(O)NHまたはOを表し、特に好ましくはC(O)NHであり;nは2または3、特に3であり;mは0〜2であり、好ましくは0または1、特に0であり;Bは−CH2−CH(OH)−(CH2)qを表し、qは1〜4、好ましくは1であり;R1〜R6は、同じであるかまたは異なっていてもよいが、メチル基またはエチル基を表す。
【0031】
好ましいモノマー(a)は、以下の式を有するジクワットである。
【0032】
【化6】

【0033】
〔式中、X-は塩化物イオンを表す。〕
【0034】
他の特に有利なモノマー(a)は以下のものである:
【0035】
【化7】

【0036】
〔式中、p=2〜4である。〕
【0037】
アニオンXは、特にハロゲンであり、好ましくは、塩化物アニオン、スルホン酸アニオン、硫酸アニオン、硫酸水素アニオン、リン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、クエン酸アニオン、ギ酸アニオンおよび酢酸アニオンである。
【0038】
モノマー(b)は、有利には、モノエチレン性不飽和部を有するC3〜C8のカルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸、またはリン酸、およびこれらの無水物および水溶性の塩およびこれらの混合物である。好ましいモノマー(b)は、アクリル酸、メタクリル酸、α−エタクリル酸、β,β−ジメチルアクリル酸、メチレンマロン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリジン酢酸、プロピリジン酢酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、N−(メタクロイル)アラニン、N−(アクリロイル)ヒドロキシグリシン、スルホプロピルアクリレート、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ホスホエチルアクリレート、ホスホノエチルアクリレート、ホスホプロピルアクリレート、ホスホノプロピルアクリレート、ホスホエチルメタクリレート、ホスホノエチルメタクリレート、ホスホプロピルメタクリレート、ホスホノプロピルメタクリレートおよびこれらのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩ならびにこれらの混合物である。
【0039】
好ましい任意のモノマー(c)としては、アクリルアミド、ビニルアルコール、アクリル酸およびメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステル、アクリル酸およびメタクリル酸のC1〜C4ヒドロキシアルキルエステル、特に、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのアクリレートおよびメタクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸のポリアルコキシル化エステル、特に、ポリエチレングリコールエステルおよびポリプロピレングリコールエステル、アクリル酸またはメタクリル酸とポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールC1〜C25モノアルキルエーテル、ビニルアセテート、ビニルピロリドンまたはメチルビニルエーテルとのエステル、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
モノマー(a)の濃度は、3〜80mol%が好都合であり、10〜70mol%が好ましい。モノマー(b)の濃度は、10〜95mol%が好都合であり、20〜80mol%が好ましい。モノマー(c)の濃度は、0〜50%が好都合であり、0〜30%が好ましい。カチオン性モノマー(a)対アニオン性モノマー(b)のモル比(a)/(b)は、80/20〜5/95が好都合であり、60/40〜20/80が好ましい。
【0041】
本発明のコポリマーは、コポリマーを調製する既知の技術によって得ることができ、特に、既知の化合物または有機化学分野の従来の合成法を用いて当業者が容易に入手可能な化合物であるエチレン性不飽和部を有する出発モノマーをラジカル重合することによって得ることができる。特に、特許文献2および特許文献3に開示されている方法を参照してもよい。ラジカル重合は、好ましくは、酸素を含まない環境下(例えば、不活性ガス(ヘリウム、アルゴンなど)存在下または窒素存在下))で行なわれる。この反応は、不活性溶媒中、好ましくはエタノール中またはメタノール中、より好ましくは水中で行なわれる。重合反応開始剤を添加することによって重合が開始される。使用される反応開始剤は、当該技術分野で一般的に使用される遊離ラジカル反応開始剤である。例としては、有機過エステル(t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシα−エチルヘキサノエートなど);アゾ型有機化合物、例えば、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など);無機および有機の過酸化物、例えば、過酸化水素、過酸化ベンジルおよび過酸化ブチルなど;レドックス開始系、例えば、過硫酸塩(特に、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸アルカリ金属塩など)のような酸化剤を含むもの;塩素酸塩および臭素酸塩(無機または有機の塩素酸塩および/または臭素酸塩を含む);還元剤、例えば、亜硫酸塩および亜硫酸水素塩(無機および/または有機の亜硫酸塩または亜硫酸水素塩を含む);シュウ酸およびアスコルビン酸、およびこれらの2種以上の化合物の混合物が含まれる。好ましい反応開始剤は水溶性の反応開始剤である。過硫酸ナトリウムおよびアゾビスアミジノプロパン塩酸塩が特に好ましい。別の形態では、紫外線を照射して重合を開始させることができる。反応開始剤の使用量は、一般的に、重合を開始させるのに十分な量である。反応開始剤は、好ましくは、モノマー合計重量に対して0.001〜約10重量%の範囲の量で、好ましくはモノマー合計重量に対して0.5重量%未満の量で存在し、好ましい量は、モノマー合計重量に対して0.005〜0.5重量%である。反応開始剤は、連続的または断続的に重合混合物に添加される。高分子量のコポリマーを得ようとする場合には、重合反応中に新しい反応開始剤を添加することが望ましい。徐々にまたは断続的に添加すると、効率よく重合させることができ、反応時間をより短くすることができる。酸素が存在しない雰囲気下でモノマー(a)と、モノマー(b)と、任意選択的にモノマー(c)とを重合させるのに有効な反応条件下で重合が行われる。この反応は、好ましくは、約30℃〜約100℃、好ましくは60℃〜90℃で行なわれる。例えば、反応物に窒素を流し続けることによって酸素が存在しない雰囲気を反応時間中維持する。
【0042】
特に好ましいコポリマーIは以下のものである。
【0043】
【化8】

【0044】
〔式中、xは0〜50mol%、好ましくは0〜30mol%の平均値を有し、yは10〜95mol%、好ましくは20〜80mol%の平均値を有し、zは3〜80mol%、好ましくは10〜70mol%の平均値を有し、y/z比は好ましくは4/1〜1/2であり、x+y+z=100%であり、x、yおよびzはそれぞれアクリルアミド、アクリル酸(ナトリウム塩)およびジクワットから誘導される単位のmol%を表す。〕
他の好ましいコポリマーIの化学構造は以下のとおりである。
【0045】
【化9】

【0046】
〔式中、xは0〜50mol%、好ましくは0〜30mol%の平均値を有し、yは10〜95mol%、好ましくは20〜80mol%の平均値を有し、zは3〜80mol%、好ましくは10〜70mol%の平均値を有し、y:z比は好ましくは4:1〜1:2である。〕
【0047】
【化10】

【0048】
〔式中、xは0〜50mol%、好ましくは0〜30mol%の平均値を有し、yは10〜95mol%、好ましくは20〜80mol%の平均値を有し、zは3〜80mol%、好ましくは10〜70mol%の平均値を有し、y:z比は好ましくは4:1〜1:2である。〕;
【0049】
【化11】

【0050】
〔式中、xは0〜50mol%、好ましくは0〜30mol%の平均値を有し、yは10〜95mol%、好ましくは20〜80mol%の平均値を有し、zは3〜80mol%、好ましくは10〜70mol%の平均値を有し、y:z比は好ましくは4:1〜1:2である。〕;
【0051】
【化12】

【0052】
〔式中、xは0〜50mol%、好ましくは0〜30mol%の平均値を有し、yは10〜95mol%、好ましくは20〜80mol%の平均値を有し、zは3〜80mol%、好ましくは10〜70mol%の平均値を有し、y:z比は好ましくは4:1〜1:2である。〕;
【0053】
【化13】

【0054】
〔式中、xは0〜50mol%、好ましくは0〜30mol%の平均値を有し、yは10〜95mol%、好ましくは20〜80mol%の平均値を有し、zは3〜80mol%、好ましくは10〜70mol%の平均値を有し、y:z比は好ましくは4:1〜1:2である。〕;または
【0055】
【化14】

【0056】
〔式中、xは0〜50mol%、好ましくは0〜30mol%の平均値を有し、yは10〜95mol%、好ましくは20〜80mol%の平均値を有し、zは3〜80mol%、好ましくは10〜70mol%の平均値を有し、y:z比は好ましくは4:1〜1:2である。〕
好ましいコポリマーはローディア(Rhodia)から入手できる。本発明の組成物では、コポリマーIは、好ましくは、組成物の0.001重量%〜10重量%、より好ましくは0.005重量%〜1重量%、最も好ましくは0.01重量%〜0.5重量%の濃度で存在する。
【0057】
組成物
一実施形態では、本発明の組成物は上述のコポリマーIと、界面活性剤と、「表面粘着性低減剤」とを含む。この組成物は、好ましくは水性であり、そのまま使える状態を基準として、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約85%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%の水性化学物質を含む。そのまま使える組成物の濃縮物は、水性化学物質の含有量が80%未満の状態で製造することができるが、製造業者の使用指示書に従って濃縮物からそのまま使える組成物に希釈され、このそのまま使える組成物中の水性物質の含有量は80%以上である。
【0058】
界面活性剤
本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤およびこれらの混合物を含む。この界面活性剤は、好ましくは、そのまま使える組成物の約0.005%〜約1.00%の濃度で存在する。好適な界面活性剤は、疎水性鎖に約8〜約18個の炭素原子を含む非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤からなる群から選択されるものである。好適な界面活性剤の例は、非特許文献1に記載されている。好ましくは、当該水性組成物は、界面活性剤を約0.005%〜約0.75%、より好ましくは約0.0075%〜約0.50%、さらにより好ましくは約0.01%〜約0.40%、最も好ましくは約0.01%〜約0.30%含む。組成物中の界面活性剤の正確な濃度は、組成物中の界面活性剤の種類、部類および鎖長、コポリマーIの所望の濃度、ならびに適用される最終用途を包含する多くの要因に左右される。それ故に、カウンター上面および器具の洗浄に適用するのに好ましいそのまま使える界面活性剤の濃度は約0.10%〜約0.50%であり、床の洗浄に適用するのに好ましいそのまま使える界面活性剤の濃度はこれより低く、約0.20%未満である。
【0059】
非イオン性界面活性剤は、本発明の組成物に用いるのにきわめて好ましい。好適な非イオン性界面活性剤の非限定例には、アルコールアルコキシレート類、アルキル多糖類、アミンオキシド類、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、フッ素系界面活性剤、およびシリコン系界面活性剤が挙げられる。存在する場合、非イオン性界面活性剤は、好ましくは、組成物に約0.001%〜約0.50重量%含まれる。好ましくは、当該水性組成物は、非イオン性界面活性剤を約0.005%〜約0.50%、より好ましくは約0.0075%〜約0.40%、さらにより好ましくは約0.01%〜約0.30%、最も好ましくは約0.01%〜約0.20%含む。
【0060】
きわめて好ましい実施形態では、本発明に用いられる少なくとも1つの非イオン性界面活性剤はアルキル多糖である。このような好ましい界面活性剤は、特許文献4、特許文献5、特許文献6、および特許文献7に開示されている。アルキル多糖類の中で、好ましいのは5個および/または6個の炭素の糖環を含むアルキルポリグリコシドであり、より好ましいのは6個の炭素の糖環を含むアルキルポリグリコシドであり、最も好ましくは6個の炭素の糖環がグルコースから得られるアルキルポリグリコシド(即ちアルキルポリグルコシド)である。ポリグルコシドのアルキル部分は、脂肪、油、または化学的に製造されたアルコールから得ることができ、糖部分は加水分解多糖類から得られる。アルキルポリグリコシドは、脂肪族アルコールとグルコースのような糖との縮合生成物から形成され、グルコース単位の数は相対的な親水性を決定する。糖単位は、脂肪族アルコールとの反応前または反応後のいずれかにおいてさらにアルコキシル化されることができる。このようなアルキルポリグリコシドは、特許文献8に詳細に記載されている。理論的には、アルキルポリグリコシドは、一般に分子的に均一な生成物ではなく、単糖類および異なるオリゴ糖類の混合物とアルキル基との混合物を表す。グリコシド単位の平均数は、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.2〜1.8、最も好ましくは1.3〜1.7である。アルキルポリグルコシド(時には「APG’s」とも呼ばれる)は、それらが低残留性界面活性剤であるため、本発明の目的のために特に好ましい非イオン性物質である。APG鎖長中のアルキル置換基は、好ましくは、約8〜約16個の炭素原子を含有する飽和または不飽和のアルキル部分であり、平均鎖長は10炭素原子である。C8〜C16アルキルポリグルコシドは、いくつかの供給業者から市販されている(例えば、セピック社(Seppic Corporation、フランスのセデックス(Cedex)7、パリ75321、オルセー(Quai d'Orsay)75)製シムソール(Simusol)(登録商標)界面活性剤、およびコグニス社(Cognis Corporation、ドイツのデュッセルドルフ、D40551、私書箱(Postfach)13 01 64)のグルコポン220(Glucopon 220)(登録商標)、グルコポン225(Glucopon 225)(登録商標)グルコポン425(Glucopon 425)(登録商標)、プランタレン2000N(Plantaren 2000 N)(登録商標)およびプランタレン2000N UP(Plantaren 2000 N UP)(登録商標))。
【0061】
本発明に好適な別の部類の非イオン性界面活性剤は、アルキルエトキシレートである。本発明のアルキルエトキシレートは、直鎖または分枝鎖のいずれかであり、8個〜16個の炭素原子を疎水性末端に含有し、約3〜約20のエチレンオキシド単位を親水性の先端基に含有する。アルキルエトキシレートの例には、シェルコーポレーション(テキサス州ヒューストンのシェルプラザ(Shell Plaza)1、私書箱2463)により供給される、ネオドール91−6(Neodol 91-6)(登録商標)、ネオドール91−8(Neodol 91-8)(登録商標)、およびコンデアコーポレーション(Condea Corporation)(テキサス州ヒューストン、私書箱19029スレッドニードル(Threadneedle)900)により供給される、アルフォニック810−60(Alfonic 810-60)(登録商標)が挙げられる。より好ましいアルキルエトキシレートは、9個〜12個の炭素原子を疎水性末端に含有し、4〜9のエチレンオキシド単位を親水性の先端基に含有するアルキルエトキシレートである。これらの界面活性剤は、優れた洗浄の効果を提供し、本発明のコポリマーと相乗的に作用する。最も好ましいアルキルエトキシレートは、シェルケミカルカンパニー(Shell Chemical Company)から商標ネオドール1−5(Neodol 1-5)(登録商標)として入手可能なC11EP5である。分枝アルコールから非イオン性エトキシレートを誘導することもできる。例えば、分枝オレフィン原料(例えばプロピレンまたはブチレン)からアルコールを製造することができる。好ましい実施形態では、分枝アルコールは、2−プロピル−1−ヘプチルアルコールまたは2−ブチル−1−オクチルアルコールのいずれかである。望ましい分枝アルコールエトキシレートは、BASF社(BASF Corporation)からルテンゾールXP79(Lutensol XP 79)の商標で製造販売される2−プロピル−1−ヘプチルEO7である。
【0062】
本発明に好適な別の部類の非イオン性界面活性剤は、アミンオキシドである。アミンオキシド類、特に、10個〜16個の炭素原子を疎水性末端に含むものは、0.10%未満の濃度においてもそれらの強い洗浄特性および有効性のために有益である。さらに、C10~16アミンオキシド、特にC12〜C16アミンオキシドは、香料の優れた可溶化剤である。本明細書に用いるための別の非イオン性洗浄性界面活性剤は、アルコールの疎水性アルキル鎖の中に8個〜16個の炭素原子を一般に含むアルコキシル化アルコールである。典型的なアルコキシル化基は、プロポキシ基、またはプロポキシ基との組み合わせてアルキルエトキシプロポキシレートを生成するエトキシ基である。このような化合物は、ローディア(フランス、オーベルビリエセデックス、F−93306、リュードラハイエ−コック(Rue de la Haie-Coq)40)から入手可能な商標名アンタロックス(Antarox)(登録商標)として、およびシェルケミカル(Shell Chemical)から入手可能な商標名ノニデット(Nonidet)(登録商標)として市販されている。
【0063】
また本発明に用いるのに好適なのは、フッ素化非イオン性界面活性剤である。1つの特に好適なフッ素化非イオン性界面活性剤は、フルオラッドF170(Fluorad F170)(3Mコーポレーション(3M Corporation)、米国ミネソタ州セントポールの3Mセンター(3M Center))である。フルオラッドF170(Fluorad F170)は、式C817SO2N(CH2−CH3)(CH2CH2O)xを有する。また本発明に用いるのに好適なのは、シリコン系界面活性剤である。界面活性剤のこれらの種類の1つの例は、ダウケミカル(Dow Chemical)(米国ミシガン州ミッドランドのN.スウェードロード(N.Swede Road)1691)から入手可能なシルウェットL7604(Silwet L7604)である。
【0064】
プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される疎水性塩基とエチレンオキシドとの縮合生成物もまた、本明細書に用いるのに好適である。このような化合物の疎水性部分は、好ましくは、約1500〜約1800の分子量を有し、水不溶性を呈する。この疎水性部分へのポリオキシエチレン部分の添加は全体としての分子の水溶解度を高める傾向があり、ポリオキシエチレン含有量が縮合生成物全体の約50重量%であり、約40モルまでのエチレンオキシドとの縮合に相当する点まで、生成物の液体特質が保持される。この型の化合物の例としては、BASFより市販されているプルロニック(Pluronic)(登録商標)界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤は、化学的に(EO)x(PO)y(EO)zまたは(PO)x(EO)y(PO)zの構造を有し、この時x、y、およびzは約1〜約100、好ましくは約3〜約50である。良好な湿潤界面活性剤として知られるプルロニック(Pluronic)(登録商標)界面活性剤は、さらに好ましい。プルロニック(Pluronic)界面活性剤の説明と湿潤特性などの特性は、BASFから入手可能な非特許文献2という表題の冊子に記載されている。
【0065】
その他の適してはいるが好ましくはない非イオン性界面活性剤には、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、例えば、直鎖または分枝鎖のいずれかの配置で6個〜12個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられ、エチレンオキシドは、アルキルフェノール1モルあたりエチレンオキシドの約5〜約25モルに等しい量で存在する。このような化合物中のアルキル置換基は、オリゴマー化されたプロピレン、ジイソブチレンから、またはイソ−オクタン、n−オクタン、イソ−ノナン、もしくはn−ノナンの他の供給源から得ることができる。用いることができるその他の非イオン性界面活性剤には、糖のような天然の供給源から得られるものが挙げられ、さらにC8〜C16N−アルキルグルコースアミド界面活性剤が挙げられる。
【0066】
双極性界面活性剤は、本発明に含まれる第2の部類の好ましい界面活性剤を表す。存在する場合、双極性界面活性剤は、組成物の0.001%〜0.50重量%の濃度で含まれる。好ましくは、水性組成物は、0.005%〜0.50%、より好ましくは0.0075%〜0.40%、さらにより好ましくは0.01%〜0.30%、最も好ましくは0.01%〜約0.20%の双極性界面活性剤を含む。
【0067】
双極性界面活性剤は、幅広いpH範囲にわたって、同一分子上にカチオン性基とアニオン性基との両者を含有する。典型的なカチオン性基は四級アンモニウム基であるが、スルホニウム基やホスホニウム基などその他の正電荷を持つ基を使用することもできる。典型的なアニオン性基はカルボキシレートおよびスルホネート、好ましくはスルホネートであるが、スルフェート、ホスフェートなどのような他の基も使用することができる。これらの洗剤のうちいくつかの一般的な例は、特許文献9、特許文献10および特許文献11の特許文献に記載されている。好ましい双極性界面活性剤の一般式は次のとおりである:
R−N+(R2)(R3)(R4)X-
〔式中、Rは疎水基であり、R2およびR3は、それぞれNと結合して環状構造を形成することもできるC1〜C4アルキルヒドロキシルアルキルまたは他の置換アルキル基であり、R4はカチオン性窒素原子を親水基に結合させる部分であって、典型的にはアルキレン、ヒドロキシアルキレン、または1〜10個の炭素原子を含むポリアルコキシ基であり、Xは親水性基であって、最も好ましくはスルホネート基である。好ましい疎水基Rは、約6〜約20個、好ましくは約18個未満の炭素原子を含有するアルキル基である。疎水部分は、任意選択的に、不飽和部および/または置換基および/または連結基の部位(例えば、アリール基、アミド基、エステル基など)を含有することができる。〕「単純な」双極性界面活性剤の特定例は、マッキンタイヤ社(McIntyre Company)(米国60466イリノイ州のユニバーシティパーク(University Park)、ガバナーズハイウェイ(Governors Highway)24601)から商標マッカム(Mackam)LHS(登録商標)で入手可能な3−(N−ドデシル−N,N−ジメチル)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホネート(ラウリルヒドロキシルスルタイン)である。その他の特定の双極性界面活性剤は、次の一般式を有する:
R−C(O)−N(R2)−(CR32n−N(R22+−(CR32n−SO3-
〔式中、各Rは、例えば、約6個〜約20個、好ましくは約18個まで、より好ましくは約16個までの炭素原子を含有するアルキル基などの炭化水素であり、(R2)はそれぞれ、水素(アミド窒素に結合する場合)、約1個〜約4個の炭素原子を含有する短鎖アルキルまたは置換アルキルのいずれかであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ置換エチルおよびプロピル、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される基、より好ましくはメチルであり、(R3)はそれぞれ、水素およびヒドロキシル基からなる群から選択され、nはそれぞれ、約1〜約4、より好ましくは約2または約3、最も好ましくは約3の数字であり、(CR32)部分のいずれにも約1を超えるヒドロキシ基が含まれない。R基は直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和であることができる。R2基も、環状構造を形成するように結合することができる。〕この種類の好ましい界面活性剤は、マッキンタイア(McIntyre)から商標名マッカム50−SB(Mackam 50-SB)(登録商標)として入手可能なC12-14アシルアミドプロピレン(ヒドロキシプロピレン)スルホベタインである。その他の非常に有用な双極性界面活性剤には、脂肪族アルキレンベタインなどのヒドロカルビルが挙げられる。これらの界面活性剤は、カルボキシルアニオン性基のプロトン化によりpHが下がるにつれてカチオン性になる傾向があり、ある実施形態では次の一般式を有する:
R−N(R12+−(CR22n−COO-
〔式中、Rは、例えば6〜20個、好ましくは18個まで、より好ましくは16個までの炭素原子を含有するアルキル基などの炭化水素であり、(R1)はそれぞれ、1〜4個の炭素原子を含有する短鎖アルキルまたは置換アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ置換エチルおよびプロピル、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される基、より好ましくはメチルであり、(R2)は、水素およびヒドロキシル基からなる群から選択され、nは1〜4の数字、好ましくは1である。〕この種の非常に好ましい低残留性界面活性剤は、オールブライト・アンド・ウィルソン(Albright & Wilson)が製造しているココジメチルベタインのエムピゲンBB(Empigen BB)(登録商標)である。同様に好ましい別の実施形態では、これらのベタイン界面活性剤は次の一般式を有する:
R−C(O)−N(R2)−(CR32n−N(R22+−(CR32n−COO-
〔式中、各Rは、例えば、約6個〜約20個、好ましくは約18個まで、より好ましくは約16個までの炭素原子を含有するアルキル基などの炭化水素であり、(R2)はそれぞれ、水素(アミド窒素に結合する場合)、約1個〜約4個の炭素原子を含有する短鎖アルキルまたは置換アルキルのいずれかであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ置換エチルおよびプロピル、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される基、より好ましくはメチルであり、(R3)はそれぞれ、水素およびヒドロキシル基からなる群から選択され、nはそれぞれ、約1〜約4、より好ましくは約2または約3、最も好ましくは約3の数字であり、(CR32)部分のいずれにも約1を超えるヒドロキシ基が含まれない。R基は直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和であることができる。R2基も、環状構造を形成するように結合することができる。〕この種類の極めて好ましい界面活性剤は、マッキンタイア(McIntyre)により製造される、ココアミドプロピルベタインのマッカム35HP(Mackam 35HP)(登録商標)である。
【0068】
好ましい界面活性剤の第3の部類は、両性界面活性剤から成る群を含む。存在する場合、両性界面活性剤は、組成物の0.001%〜0.50重量%の濃度で含まれる。好ましくは、水性組成物は、0.005%〜0.50%、より好ましくは0.0075%〜0.40%、さらにより好ましくは0.01%〜0.30%、最も好ましくは0.01%〜約0.20%の両性界面活性剤を含む。これらの界面活性剤は、酸性pHにおいて、本質的に双極性界面活性剤として機能する。1つの好適な両性界面活性剤は、C8〜C16アミドアルキレングリシネート界面活性剤(「両性グリシネート」)である。別の好適な両性界面活性剤は、C8〜C16アミドアルキレンプロピオネート界面活性剤(「両性プロピオネート」)である。これらの界面活性剤は次の一般構造を有する:
R−C(O)−(CH2n−N(R1)−(CH2x−COO-
〔式中、R−C(O)−はC5〜C15の前疎水性(pre hydrophobic)脂肪族アシル部分であり、nはそれぞれ、約1〜約3であり、R1はそれぞれ、好ましくは水素またはC1〜C2アルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、xは約1または約2である。〕このような界面活性剤は、リウォテリックAM(Rewoteric AM)(登録商標)の商品名でデグッサ・ゴールドシュミットケミカルズ(Degussa-Goldschmidt chemicals)から塩の形態で入手可能である。その他の好適な低残留性界面活性剤の例には、ココイルアミドエチレンアミン−N−(メチル)アセテート、ココイルアミドエチレンアミン−N−(ヒドロキシエチル)アセテート、ココイルアミドプロピレンアミン−N−(ヒドロキシエチル)アセテート、および類縁体、ならびにこれらの混合物が挙げられる。その他の好適な両性界面活性剤は、ドデシルβ−アラニン、N−アルキルタウリン(例えば特許文献12の教示に従って、ドデシルアミンをイセチオン酸ナトリウムと反応させることにより調製されるもの)、N−高級アルキルアスパラギン酸(例えば特許文献13の教示に従って製造されるもの)、ならびに商標名「ミラノール(Miranol)(登録商標)」として販売され、特許文献14に記載されている製品のような界面活性剤によって表される。
【0069】
好ましい界面活性剤は、C8〜16アルキルポリグルコシド、ココアミドプロピルスルホベタインおよびこれらの混合物からなる群から選択される。コポリマーIと非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤またはこれらの混合物との重量比は、1:10〜10:1、さらに好ましくは1:5〜5:1である。
【0070】
表面粘着性低減剤
本発明の組成物は、好ましくは表面粘着性低減剤を含む。コポリマーIの接着性を制御するために、この成分の役割は重要である。汚れ凝集性コポリマーは汚れを有効に接着するが、同時に洗浄される表面にコポリマー自体および汚れを有効に「付着」させる。表面粘着性低減剤は、洗浄される表面の粘着性を低下させる。理論によって束縛されることを望まないが、コポリマーは、汚れまたは表面に接着する多くの部位を有していると考えられる。表面粘着性低減剤は、これらの部位への接近を化学的にまたは立体障害によって妨害し、これらの部位が汚れまたは表面と相互作用するのを防ぐと考えられる。汚れ凝集性コポリマーIと表面粘着性低減剤とのバランスが重要である。表面粘着性低減剤の濃度が高すぎると、コポリマーが汚れに付着する能力が大幅に低下する。本明細書の組成物中の表面粘着性低減剤の濃度は具体的な最終用途の適用に左右されることは当業者には理解されるであろう。例えば、カウンター上面を掃除する場合よりも床を掃除する場合に、べたつきに対してより高い懸念がよせられることは既知である。それ故に、水溶性または水分散性のコポリマーIと表面粘着性低減剤との重量比は変動し、好ましくは10:1〜1:10、より好ましくは5:1〜1:5の範囲である。
【0071】
上述の利益に加えて、表面粘着性低減剤を使用すれば、特にアルカリ性pH(pH>7)でコポリマーIを安定な相を有する水性組成物に容易に処方化することができることもわかっている。さらに重要なことに、表面粘着性低減剤がアルカリ媒体中でコポリマーIの汚れ凝集性を高め、洗浄効率を高めることがわかっている。このことは、典型的にはアルカリ性pHで処方化される万能洗剤(APC)、台所用スプレークリーナーおよび床用クリーナー(オートモップ系床用クリーナーを含む)のような製品では特に有益である。理論によって束縛されることを望まないが、表面粘着性低減剤によってコポリマーIが水酸化物によって沈殿するのが抑えられ、コポリマーIのカチオン性基が掃除用品(スポンジ、布、ペーパータオル、ウェットタイプの拭き取り用品、ウェットタイプの使い捨てパッド、超吸収性ポリマーを備えるかまたは備えない実質的に乾燥した使い捨てパッドなど)に固定されたままであり、汚れた表面を処理するのに使用されるようにすると考えられる。結果として、表面粘着性低減剤は、コポリマーIが掃除用品から洗浄される表面に移ってしまう傾向を減らす。コポリマーIおよび関連する汚れが処理済の表面に再び堆積してしまう傾向が低くなれば、表面の最終的な外観が良くなる。
【0072】
表面粘着性低減剤は化学的に帯電した物質である。一実施形態では、表面粘着性低減剤はアルキルアリールアニオン性界面活性剤であり、好ましくは、直鎖または分枝のC10〜C13のベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ナフタレンスルホネートおよびこれらの混合物から選択される。
【0073】
別の好ましい実施形態では、表面粘着性低減剤は双極性ポリマーである。双極性ポリマーまたは両性コポリマーは、ポリマー骨格に正に帯電した種と負に帯電した種とを含む。本発明の内容での双極性コポリマーは、ベタインおよびスルホベタイン官能基を含むホモポリマーを包含する。この種の双極性ポリマーの非限定例としては、ポリ(N,N−ジメチル−N−2−メタクロイルオキシエチル)−N−(3−プロパンスルホネート)アンモニウムベタイン、3−(スルホプロピル)アクリレート、3−(スルホプロピル)メタクリレート、CH2=CH−C(O)O−CH2−CH2−N(CH32−CH2−COO-から誘導され、メチル化剤で四級化されたホモポリマーおよびコポリマー、CH2=CH−C(O)NH−CH2−CH2−N(CH32−CH2−COO-から誘導され、メチル化剤で四級化されたホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0074】
きわめて好ましい双極性ポリマーまたは両性コポリマーは、2つ以上のモノマー単位の共重合によって合成される。1つの好ましい表面粘着性低減剤であるコポリマーIIは、四級アンモニウム官能基とエチレン性不飽和部を含有する2つの基とを含有するモノマーと、適用媒体中でイオン化可能な基を含有するモノマーとを共重合させ、アニオン性単位を形成させることによって得られ、第1のモノマーと第2のモノマーとの比率は所与の範囲内にある。このポリマーは以下のものを含む:
(d)少なくとも1種の一般式iiのモノマー化合物:
【0075】
【化15】

【0076】
〔式中、
−R1およびR4は独立してHまたはC1〜6の直鎖または分枝のアルキル基を表し、 −R2およびR3は独立して、直鎖または分枝のC1〜6アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基を表し、好ましくはメチル基であり、
−nおよびmは1〜3の整数であり、
−Xは前記ポリマーの水溶性または水分散性と相性のよい対イオンを表す〕;
(e)モノマー(d)と共重合可能であり、使用媒体中でイオン化可能な酸性官能基を有する少なくとも1種の親水性モノマー;
(f)任意選択的にモノマー(d)およびモノマー(e)と共重合可能な1個または複数個の親水基を有し、電荷が中性のエチレン性不飽和親水性モノマー;
モノマー(d)とモノマー(e)との比率は、60:40〜5:95である。
【0077】
より好ましくは、R1は水素を表し、R2はメチルを表し、R3はメチルを表し、R4は水素を表し、mおよびnは1である。イオンX-は、好ましくは、ハロゲン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、ギ酸イオンおよび酢酸イオンから選択される。モノマー(d)は、凝集性コポリマーと相互作用する性質をコポリマーに付与する。
【0078】
モノマー(e)および任意選択的にモノマー(f)はコポリマーに親水性を付与する。本発明のコポリマーは、少なくとも1000、有利には少なくとも10,000の分子量を有し、20,000,000まで、有利には10,000,000までの分子量を有することができる。他に言及される場合を除き、分子量が記載される場合、g/molで表される重量平均分子量である。この値は、水性ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で決定するか、または1N NaNO3溶液の30℃での固有粘度の測定値から決定することができる。コポリマーは好ましくはランダムコポリマーである。
【0079】
モノマー(d)は、好ましくは以下の構造を有する:
【0080】
【化16】

【0081】
〔式中、X-は上に定義されるとおりである。〕特に好ましいモノマー(d)の1つは、上の式でX-がCl-を表すものであり、このモノマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドまたはDADMACとして知られている。
【0082】
モノマー(e)は、好ましくは、モノエチレン性不飽和部を有する水溶性のC3〜C8のカルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸またはリン酸、これらの無水物および水溶性の塩からなる群から選択される。モノマー(e)の中で、アクリル酸、メタクリル酸、α−エタクリル酸、β,β−ジメタクリル酸、メチレンマロン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、N−メタ−アクリロイルアラニン、N−アクリロイルヒドロキシグリシン、スルホプロピルアクリレート、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ホスホエチルアクリレート、ホスホノエチルアクリレート、ホスホプロピルアクリレート、ホスホノプロピルアクリレート、ホスホエチルメタクリレート、ホスホノエチルメタクリレート、ホスホプロピルメタクリレートおよびホスホノプロピルメタクリレート、およびこれらの酸のアンモニウム塩およびアルカリ金属塩、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されるものが好ましい。
【0083】
モノマー(f)のうちでは、アクリルアミド、ビニルアルコール、アクリル酸およびメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステル、アクリル酸およびメタクリル酸のC1〜C4ヒドロキシアルキルエステル、特に、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのアクリレートおよびメタクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸のポリアルコキシル化エステル、特に、ポリエチレングリコールエステルおよびポリプロピレングリコールエステルからなる群から選択される。
【0084】
モノマー(d)の含有量は、5mol%〜60mol%が好都合であり、20mol%〜50mol%が好ましい。モノマー(e)の含有量は、10mol%〜95mol%が好都合であり、20mol%〜80mol%が好ましい。モノマー(f)の含有量は、0mol%〜50mol%が好都合であり、5mol%〜30mol%が好ましい。モル比d:eは、好ましくは50:50〜10:90である。
【0085】
本発明のコポリマーIIは、コポリマーを調製する既知の技術によって得ることができ、特に、既知の化合物または有機化学分野の従来の合成法を用いて当業者が容易に入手可能な化合物であるエチレン性不飽和部を有する出発モノマーをラジカル重合することによって得ることができる。ラジカル重合については、凝集性コポリマーIに関してすでに詳細に記載している。
【0086】
以下のコポリマーは最も好ましい:DADMAC/アクリル酸/アクリルアミドコポリマー;DADMAC/マレイン酸コポリマー;DADMAC/スルホン酸コポリマー。DADMAC/酸性モノマーのモル比は60:40〜5:95、好ましくは50:50〜10:90である。DADMACはジアリルジメチルアンモニウムクロリドの略語である。好ましい表面粘着性低減ポリマーは、ローディア(Rhodia)から入手でき、代替品は、商標名メルクワット280(Merquat 280)でレキット・ベンキーザー(Reckitt-Benckiser)から入手できる。特に好ましいコポリマーIIは以下のものである。
【0087】
【化17】

【0088】
アルキルアリールアニオン物質(好ましくはアルキルアリールスルホネート)を含む界面活性剤は、別の部類の表面粘着性低減剤はである。アルキルアリールスルホネートの非限定例としては、C6〜C18の直鎖および分枝のベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、キシレンスルホネートおよびナフタレンスルホネートが挙げられる。この部類の界面活性剤には、C6〜C18の直鎖または分枝のアルキルジフェニルエーテルスルホネートおよびジスルホネートも含まれる。特に好ましい部類の界面活性剤は、直鎖または分枝のアルキルベンゼンスルホネートである。理論によって束縛されることを望まないが、アリール基によって汚れを凝集させるコポリマーが沈殿するのを防ぐ立体障害が与えられると推測され、界面活性剤のアニオン性先端基(好ましくはスルホネート基)は、凝集性ポリマーのカチオン性部分と化学的に相互作用することによって粘着性低減性能を与えると考えられる。アリール部分を含まないアニオン性界面活性剤は、特にアルカリ性pH(pH>7.0)ではコポリマーIを沈殿させる。従って、直鎖アルキルスルホネートおよびサルフェートは、本発明の組成物とともに使用するには適さない。
【0089】
任意の組成物成分
有機洗浄溶媒:洗浄溶液のきわめて有益な成分は、有効濃度の、好ましくは組成物の0.15重量%〜10重量%、より好ましくは0.20重量%〜6重量%、最も好ましくは0.25重量%〜4重量の1種以上の有機洗浄溶媒からなる。有機洗浄溶媒とは、一般的に市販および小売される床表面につく汚れを除去しやすくする薬剤を意味する。このような溶媒は、典型的には、適度な疎水性、好ましくは表面活性を与えるように、1〜3個のエチレングリコールまたはプロピレングリコール部分の末端に結合するC3〜C6炭化水素を有していてもよい。エチレングリコール化学物質を主成分とする市販の有機洗浄溶媒の例には、モノ−エチレングリコールn−ヘキシルエーテル(ダウケミカル(Dow Chemical)から入手可能なヘキシルセロソルブ(Hexyl Cellosolve)(登録商標))が挙げられる。プロピレングリコール化学に基づく市販の有機洗浄溶媒の例としては、プロピルアルコールおよびブチルアルコールのジ−、およびトリ−プロピレングリコール誘導体が挙げられ、これらはライオンデル社(Lyondell Corporation、77010テキサス州、ヒューストン、マッキニーストリート(McKinney St.)1221)およびダウケミカル(Dow Chemical)(ミシガン州、ミッドランド、スウェードロード(Swede Road)1691N)から商標アルコソルブ(Arcosolv)(登録商標)およびドワノール(Dowanol)(登録商標)で入手可能である。
【0090】
本発明との関連において、好ましい溶媒は、モノ−プロピレングリコールモノ−プロピルエーテル、ジ−プロピレングリコールモノ−プロピルエーテル、モノ−プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジ−プロピレングリコールモノ−プロピルエーテル、ジ−プロピレングリコールモノブチルエーテル;トリ−プロピレングリコールモノ−ブチルエーテル;エチレングリコールモノ−ブチルエーテル;ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−ヘキシルエーテルおよびジ−エチレングリコールモノ−ヘキシルエーテル、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。「ブチル」は、直鎖ブチル、イソブチルおよび第三級ブチル基を含む。モノ−プロピレングリコールおよびモノ−プロピレングリコールモノブチルエーテルが最も好ましい洗浄溶媒であり、ドワノールNPnP(Dowanol DPnP)(登録商標)およびドワノールDPnB(Dowanol DPnB)(登録商標)の商標名で入手可能である。プロピレングリコール−t−ブチルエーテルは、アルコソルブPTB(Arcosolv PTB)(登録商標)の商標名でライオンデル(Lyondell)から市販されている。好ましい実施形態では、洗浄溶媒は最低限の不純物しか含まないように精製される。
【0091】
緩衝剤:緩衝剤は重要ではあるが、本明細書では任意の補助剤の一種である。緩衝剤は、必要に応じて酸性またはアルカリ性を付与し、本発明の組成物の相を安定化するのに役立つ場合がある。好ましくは、本発明の組成物のpHは、2〜13、より好ましくは3〜12、最も好ましくは4〜11である。存在する場合、緩衝剤は、組成物の0.005重量%〜0.50重量%、より好ましくは0.0075重量%〜0.35重量%、最も好ましくは0.01重量%〜0.25重量%含まれる。理想的な緩衝系は、筋が入ったり膜を張ったりする問題を生じることなく、pHを所望の狭い範囲に維持する。本発明との関連で好ましい緩衝剤は、使用中に洗浄の利益を与えるがきわめて揮発性のものである。この場合、対応する少ない濃度の揮発性緩衝剤よりも高い濃度で使用可能なのが有利である。揮発性緩衝剤の分子量は低く、すなわち、160g/モル未満であり、一般的に含有するヒドロキシ基は1個を超えない。好ましい緩衝剤の例には、アンモニア、メタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、酢酸、グリコール酸などが挙げられる。これらのうち最も好ましいのは、アンモニア、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび酢酸である。
【0092】
非揮発性緩衝剤を単独の緩衝剤として、または揮発性緩衝剤と組み合わせて本発明に使用することもできる。非揮発性緩衝剤は、筋が入ったり膜を張ったりする傾向が大きいため、一般的に揮発性緩衝剤よりも低い濃度で使用する。このような緩衝剤の例としては、限定されないが、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび重炭酸塩、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マレイン酸および酒石酸が挙げられる。
【0093】
抗菌剤および防腐剤:防腐剤を使用することもでき、多くの組成物で、特に水性組成物を使い捨て洗浄不織布基材(以下参照)と組み合わせて使用する場合には必要な場合がある。防腐剤の例としては、イノレックスケミカル(Inolex Chemical(米国、19148ペンシルベニア州、フィラデルフィア、ジャクソンアンドスワンソンストリート(Jackson and Swanson Streets)))によって販売される2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールおよびダウケミカル(Dow Chemical)によって販売されるヘキシジンが挙げられる。他の防腐剤としては、2−((ヒドロキシメチル)(アミノ)エタノール、プロピレングリコール、オルトベンジル−パラ−クロロフェノールナトリウムヒドロキシメチルアミノアセテート、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ナトリウムピリチオン、ジンクピリチオン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ジクロロ−s−トリアジントリオン、トリクロロ−s−トリアジントリオン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩、クロロヘキシジンジアセテートおよび第四級アンモニウム化合物が挙げられる。防腐剤として使用される第四級アンモニウム化合物の非限定例としては、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウム重炭酸塩、ジデシルジメチルアンモニウム炭酸塩、C12、C14およびC16ジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよび関連する環置換された誘導体が挙げられる。好ましい防腐剤としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(アークケミカルズ(Arch Chemicals)によって販売)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組み合わせ(ロームアンドハース(Rohm & Haas、ペンシルバニア州フィラデルフィア、インディペンデンスモールウェスト(Independence Mall West)100)から商標カトンGC(Kathon GC)で販売)、およびフェノキシエタノール(クラリアント(Clariant、カナダ、ケベックCA−H4X 1X3、ヴィレストリート(Ville St.)、ローレント、ルークーセンズ(Rue Cousens)、4600)から商標フェノキセトール(Phenoxetol)で販売)およびこれらの混合物が挙げられる。使用される場合、防腐剤は、好ましくは、水性組成物の0.0001重量%〜0.05重量%の濃度で存在する。多くの防腐剤は、高濃度で使用されると表面に対して抗菌性または消毒性を付与することができる。抗菌または消毒の利益を主張できることが望ましい場合、活性物質の濃度は好ましくは組成物の0.05重量%〜0.50重量%、より好ましくは0.075重量%〜0.40重量%である。本発明で好ましい抗菌性活性物質としては、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、C12〜C16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、グルタルアルデヒド、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩、クロロヘキシジン二酢酸塩およびこれらの混合物が挙げられる。防腐剤および抗菌剤を本発明の凝集性コポリマーの有効性を変えることなくコポリマーの内容物に使用することができる。さらに、コポリマーは、抗菌性活性物質の殺菌有効性に悪影響を与えない。
【0094】
キレート剤:本発明の組成物は任意選択的にキレート剤を含む。キレート剤は、好ましくはアミノポリカルボン酸およびその塩からなる群から選択され、ここで、アミノ基には2個以上の水素ではない置換基が結合している。好ましいキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N−ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸のナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩が挙げられる。存在する場合、キレート剤は、水性組成物の0.005重量%〜0.15重量%含まれる。
【0095】
増粘性ポリマー:本発明の好ましい水性組成物を増粘させるために低濃度のポリマーを使用することもできる。一般的に、増粘性ポリマーの濃度は、製品の最終的な性質を妨害しないように可能な限り低く保たれる。適切な増粘性ポリマーの非限定例としては、キサンタンガム、グアーガム、カチオン変性されたグアーガムおよび分子量範囲が10,000〜5,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。キサンタンガムは、特に低濃度で使用した場合に最終製品の性質も向上させ得るため、特に好ましい増粘剤である。増粘性ポリマー剤は、組成物の約0.0001重量%〜約0.05重量%、より好ましくは約0.0005重量%〜約0.025重量%、最も好ましくは約0.001重量%〜約0.015重量%の量で存在する。
【0096】
泡抑制剤:泡抑制剤は、当該技術分野で周知であり、一般的に2種類からなる。直鎖または分枝のC8〜C22脂肪酸石鹸、特にC12〜C18分枝脂肪酸石鹸は、本発明の組成物の有効な泡抑制剤である。シリコーン泡抑制剤がきわめて好ましい。好適なシリコーン泡抑制剤には、いかなるシリコーンおよびシリカ−シリコーン混合物も含まれる。シリコーン類は、一般にアルキル化ポリシロキサン物質によって表すことができるが、シリカは、通常はシリカエアロゲルおよびキセロゲルおよび様々な種類の疎水性シリカ類によって例示される細かく分割された形態で使用される。工業的慣習では、用語「シリコーン」とは、シロキサン単位および種々のヒドロカルビル基を含有する、種々の相対的に高分子量のポリマーを包含する総称となっている。実際に、シリコーン化合物は当該技術分野で広く記載されており、例えば、特許文献15;特許文献16;特許文献17;特許文献19および特許文献19;特許文献20;および特許文献21(これらの特許は全て本明細書に参考として組み込まれる)を参照。
【0097】
本明細書で用いるのに好適なシリコーン化合物は、ローディア(Rhodia)、GEシリコーンズ(GE silicones)およびダウコーニング(Dow Corning)を含む種々の会社から市販されている。本明細書で使用するためのシリコーン化合物の例は、ダウコーニング(Dow Corning)からそれぞれ欧州および北アメリカで市販されているシリコーンDB(Silicone DB)(登録商標)100およびダウコーニングAF1410エマルション(AF 1410 Emulsion)である。
【0098】
香料および染料:香料は任意成分であるが、きわめて好ましい成分である。本明細書で使用する時、香料は、主に嗅覚に関与するように組み合わされた構成要素の化学化合物を含む。本明細書で使用する時、「香料」としては、テルペン化合物およびセスキテルペン化合物、およびさらなる洗浄効力を付与することが知られている誘導体、例えば、d−リモネンおよびα−ピネンが挙げられる。香料成分は、天然物(例えば、精油、レジノイド、樹脂、凝結物など)および/または合成香料成分(例えば、飽和および不飽和の化合物、脂肪族、炭素環および複素環化合物を含む炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、酸、アセタール、ケタール、ニトリルなど)であることができる。このような香料成分の例は、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、リナロール、リナリルアセテート、テトラヒドロリナロール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、ジヒドロミルセノール、ジヒドロミルセニルアセテート、テルピネオール、テルピニルアセテート、アセテート、2−フェニルエタノール、2−フェニルエチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルアセテート、ベンジルサリチラート、ベンジルベンゾエート、スチラリル(styrallyl)アセテート、アミルサリチラート、ジメチルベンジルカルビノール、トリクロロメチルフェニルカルビニルアセテート、p−tert−ブチル−シクロヘキシルアセテート、イソノニルアセテート、α−N−アミル経皮アルデヒド(amylcinammic aldehyde)、α−ヘキシル−経皮アルデヒド(cinammic aldehyde)、2−メチル−3−(p−tert−ブチルフェニル)−プロパナール、2−メチル−3(p−イソプロピルフェニル)プロパナール、3−(p−tert−ブチルフェニル)プロパナール、トリシクロデセニルアセテート、トリシクロデセニルプロピオネート、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド、4−アセトキシ−3−ペンチル−テトラヒドロピラン、メチルジヒドロジャスモネート、2−n−ヘプチル−シクロペンタノン、3−メチル−2−ペンチル−シクロペンタノン、n−デカナール、n−ドデカナール、9−デセノール−1、フェノキシエチルイソブチレート、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ゲラノニトリル、シトロネロニトリル(citronellonitrile)、セドリルアセテート、3−イソカンフィル−シクロヘキサノール、セドリルエーテル、イソロンギフォラノン(isolongifolanone)、オウベパインニトリル、オウベパイン、ヘリオトロピン、クマリン、オイゲノール、バニリン、ジフェニルオキシド、ヒドロキシシトロネラール、イオノン類、メチルイオノン類、イソメチルイオノン類、イロン類、シス−3−ヘキサノールおよびそのエステル、インダンムスク類、テトラリンムスク類、イソクロマンムスク類、大環状ケトン類、マクロラクトンムスク類、エチレンブラシレートおよび芳香族ニトロムスクである。ほとんどの硬質表面用クリーナー製品は、嗅覚に対して良好な利益を付与し、製品が有する任意の「化学的な」臭気を隠すためにいくらかの香料を含有する。少量の揮発性が高く、低い温度で沸騰する(沸点が低い)香料成分の主な機能は、洗浄される表面に香りを付与するというよりは、製品自体の芳香を高めることである。
【0099】
他の補助剤:他の補助剤の非限定例は、膜をはったり、筋が入ったりという悪影響を与えない酵素(例えばプロテアーゼ)、向水性物質(例えばトルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウムおよびキシレンスルホン酸カリウム)および審美性向上成分(例えば着色剤)である。本組成物は、1つ以上の着色用染料または顔料を含むこともできる。一実施形態では、本発明の組成物は、色が消える染料(典型的には、pHが高いと着色しており、pHが下がるにつれて色が消えるフタレイン(phtlatlein)系のpH指示薬)を含むことができる。色が消える染料の非限定例としては、o−クレゾールフタレイン(紫色)、フェノールフタレイン(赤色)およびチモールフタレイン(青色)が挙げられる。このような色が消える染料はWO/9960089にもっと完全に記載されており、この内容は参考として本明細書に援用される。染料、顔料および色が消える染料は、存在する場合、水性組成物の0.1ppm〜50ppmを構成する。
【0100】
不織布基材および組成物を含むキット
きわめて好ましい実施形態では、本発明は、不織布基材と凝集性コポリマーIとを含むキットにも関する。好ましくは、この組成物は水性であり、界面活性剤、表面粘着性低減剤およびこれらの混合物から選択される成分も含んでいる。より好ましくは、この組成物は、コポリマーI、界面活性剤、表面粘着性低減剤および上に列挙した他の任意成分を含む。この組成物を基材にあらかじめ含ませてウェットタイプの拭き取り用品またはパッドを形成することができる。あるいは、キットは、乾燥基材と水性組成物とを別個に含むこともできる。後者の手法では、ユーザーは、好ましくは噴霧によって洗浄対象の表面に組成物を適用し、基材を使って組成物と凝集した汚れとをこすって吸着させることができる。あるいは、ユーザーは、この組成物を基材に直接適用することもできる。使い捨ての(ウェットタイプまたは乾燥タイプの)パッド/拭き取り用品と汚れ凝集性コポリマーIとを組み合わせて用いることにはいくつかの利点がある。第1に、使い捨てパッド/拭き取り用品は、特に拭き取り用品/パッドが少なくともいくらかのセルロースを含有する場合には、コポリマーを固定するものとして作用する。理論によって束縛されることを望まないが、イオン相互作用(コポリマーのカチオン部分とパッド/拭き取り用品の負に帯電したセルロース領域との結合)、分子量の影響(高分子量のポリマーは低分子量のポリマーよりも固定力が強い)またはイオン結合と分子量による相互作用の組み合わせによって、コポリマーIが不織布基材に強く付着すると考えられる。これによりコポリマーが処理対象の表面に移動するのが制限され、表面粘着性低減剤の必要性を下げるか、または表面粘着性低減剤の濃度を下げることができる。不織布基材には凝集した汚れを保有する作用もあり、処理済の表面に汚れが再び析出することを減らす。汚れの再析出を減らすことによって、使い捨てパッドと固定した凝集性コポリマーとによる処理済の表面の洗浄度が高まる。最後に、凝集してコポリマーIに結合した汚れは洗浄拭き取り用品/パッドを黒くし(汚し)、消費者は、この現象によってこの製品がうまく働いていることを確認し、使用済パッドを変更するタイミングを判断する視覚的手がかりを得る。コポリマーIから得られる後者の効果は、パッド/拭き取り用品を何度か使用した後に捨てること(すなわち使い捨て)を意図している場合にのみ有益である。粒子状の汚れの凝集によって基材が黒くなることにより、説得力のある宣伝デモンストレーションを提供する。
【0101】
ウェットタイプの拭き取り用品およびパッドの組成物:
本発明のウェットタイプの拭き取り用品およびパッド(本発明の目的でウェットタイプの拭き取り用品積層体と定義される)は、上の章で記載したコポリマーIを含む水性組成物(第I章の水性組成物)を含む。好ましくは、ウェットタイプの拭き取り用品組成物は、さらに上述の表面粘着性低減剤を含む。ウェットタイプの拭き取り用品は欧州の家庭用クリーナー業界ではありふれたものであり、硬質表面を処理するのに使用される(例えば、限定されないが、台所の調理台および家庭用電化製品、浴室の流し台、家庭の窓および鏡、窓のブラインド、便器の外装、居間のテーブル、家庭内の床の微粒子および毛を取り除くことを含む掃除、車両の内装および外装表面、眼鏡および機械産業のような産業で洗浄することが必要な硬質表面の掃除が挙げられる)。ウェットタイプの拭き取り用品は、手に持って掃除作業に使用することができ、または消費者が水性組成物に曝されることを制限するように、また届く範囲が広がるようにハンドルに取り付けるかまたは挿入することができる。乾燥した短繊維を含む拭き取り用品は、ダスティング目的の業界ではすでに使用されており、例えば、スウィッファーダスター(Swiffer Duster)(登録商標)がある。本発明の組成物は、任意選択的に短繊維を含み、好ましくは親水性繊維をある程度含む湿ったまたは濡れたダスティング組成物を含む。この湿ったまたは濡れたダスティング組成物は任意選択的ではあるが、好ましくはハンドルに取り付けて使用される。ハンドルは任意の長さ(例えば15cm〜1m)を有することができ、任意の材料で製造することができる。本発明の凝集性コポリマーを含むウェットタイプの拭き取り用品は、典型的には乾燥したダスティングシートおよびダスターによって除去される汚れ、特に微粒子汚れを除去するために使用することもできる。この組成物は、室内装飾およびカーペットを含む他の布地から微粒子汚れを除去するために使用することもできる。
【0102】
本発明で使用される不織布基材の化学組成は、合成繊維100%から非合成繊維100%までの間で変更することができる。好ましくは、本基材の化学組成は、合成繊維および非合成繊維のブレンドを含む。より好ましくは、本明細書の合成材料は、ポリプロピレン、ナイロンまたはポリエステルまたはこれらのブレンドを含む。本明細書で使用される非合成基材は、親水性の、典型的にはアニオン性部位を含む処理済または未処理のセルロース繊維である。このような繊維の例としては、木材パルプ、レーヨン(Rayon)(登録商標)およびリオセル(Lyocell)(登録商標)が挙げられる。基材の組成物は、非合成繊維を好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも20%含む。不織布基材にセルロース繊維を組み込むと、有利には、アニオン−カチオンイオン結合を介して本発明の凝集性ポリマーを有利に固定することができ、これによって処理対象の硬質表面に凝集性コポリマーが放出される可能性が減り、それにより同時に滑ったり粘着したりする問題も減り、残渣の生成も減るので有利である。
【0103】
基材ウェブ内の合成繊維および非合成繊維の分布は、均一または不均一であることができる。繊維の分布が不均一の場合、処理される硬質面に対して露出する領域は、基材組成物全体よりも合成繊維の含有量が多いことが好ましい。このような構造により、より吸収性の高い非合成材料の構造内と、より疎水性の高い拭き取り用品の2つの領域間とに液溜め部分が確保される。その結果、水性組成物の放出が制御しやすくなり、拭き取り用品の全体的な利用度が高まる。あるいは、基材の片面のみに組成物全体より多くの疎水性繊維を有するように、繊維の分布を製造することも有利である。この場合、基材は異なる面を持つことになり、増量された合成繊維含有量の摩擦の低い表面と、セルロースまたは処理を施したセルロース誘導体から製造される、より抵抗性の高い第2の表面が生じる。基材の表面(単数または複数)に疎水性材料が多くなると、種々の硬質面を拭き取る際に、基材の潤滑性または滑走性が向上することが知られている。このことにより、消費者に「掃除が簡単である」という安心感を与えることができる。
【0104】
本発明によれば、当該技術分野で既知の任意の方法で基材を製造することができる。例えば、不織布材料による基材は、エアレイド法のような乾燥形成技術によって、または抄紙機のような湿式法によって形成することができる。水流交絡法、メルトブローン法、スパンボンド法、およびニードルパンチ法などその他の不織布製造技術も使用できる。
【0105】
基材は好ましくは20gm-2〜200gm-2の重量を有する。より好ましくは、基材は、少なくとも20gm-2、より好ましくは150gm-2未満の重量を有し、より好ましくは秤量は、20gm-2〜110gm-2の範囲であり、より好ましくは秤量は、20gm-2〜80gm-2、最も好ましくは25gm-2〜60gm-2の範囲である。60gm-2〜150gm-2、好ましくは60gm-2〜110gm-2の大きめの秤量を有する基材は、一般的に、濡れた床、壁および室外のコンクリート、中庭および家屋の側壁の掃除のような大きめの作業に適しており、20gm-2〜80gm-2、より好ましくは25gm-2〜60gm-2の小さめの秤量を有する基材は、一般的に、調理台、ストーブ上面、テーブル、鏡、窓、家庭用器具、流し台および車両の内装の拭き取りのような小さめの洗浄作業に適している。基材はいかなる厚さであってもよい。典型的には、基材を水流交絡法で製造する場合、基材の厚さの平均は、約0.7kPa(0.1ポンド/平方インチ)の圧力で約1.2mm未満である。より好ましくは、基材の平均厚さは、約0.7kPa(0.1ポンド/平方インチ)(約0.007kg/平方メートル)の圧力で約0.1mm〜約1.0mmである。基材の厚さは、非特許文献3に従って測定される。
【0106】
本発明の組成物は、乾燥後どの時点においても基材に適用することができる。例えば、組成物はカレンダー加工する前、またはカレンダー加工した後、および親ロールに巻き取る前に基材に適用できる。典型的には、適用は、製造する予定の相当数の拭き取り用品と等しい幅を有するロールから巻き戻した基材に対して行われる。組成物が適用された基材には、その後、所望のミシン目線を入れるために、標準的な技術を利用して穴を開ける。
【0107】
本発明の水性組成物は、乾燥基材1gあたり1.0グラム(g)〜10.0グラム(g)適用され(すなわち、適用倍数(load factor)=1倍〜10倍)、好ましくは乾燥基材1gあたり1.25g〜8.5g、最も好ましくは乾燥基材1gあたり1.5g〜7.0g適用される。一実施形態では、20gm-2〜55gm-2、より好ましくは30gm-2〜45gm-2の秤量が低めの単層基材には、乾燥基材1gあたりのロードファクター1.0g〜2.5gでコポリマーIを含む水性組成物が染み込ませてあり、この状態において、表面を湿らせてダスティングすることにより掃除される。この種の組成物および適用の市販例は、欧州で販売されているスウィッファーシャイン(Swiffer Shine)(登録商標)である。
【0108】
別の好ましい実施形態では、30gm-2〜80gm-2、好ましくは30gm-2〜80gm-2の比較的秤量が低めの単層は、カウンター、コンロの上面、台所用家具、鏡、窓、壁、流し台などを掃除するのに好適なウェットタイプの拭き取り用品を作製するのに使用される。このような最終用途の適用例では、乾燥基材には、本発明の水性組成物が乾燥基材1gあたり1.5g〜6g、より好ましくは2g〜5gのファクターで添加される。
【0109】
別の実施形態では、埃、微粒子、クモの巣などを掃除するための湿ったまたは濡れたダスターを構成する繊維にコポリマーIを含む水性組成物を染み込ませる。湿ったまたは濡れたダスターは、好ましくは、親水性繊維、特に、ダスター繊維容量を2等分に分割する親水性の低い繊維(ウェットレイド)または結合した親水性繊維(エアレイド)を含み、ハンドルをこの部分に挿入することができる。湿ったまたは濡れたダスターは、好ましくは親水性繊維を含み、好ましくは、パルプ、レーヨン(Rayon)(登録商標)、リオセル(Lyocell)(登録商標)、テンセル(Tencel)(登録商標)、酢酸セルロースおよびこれらの混合物から選択される。親水性繊維は、繊維の少なくとも50%が非合成の合成繊維および非合成繊維の混合物を含むことができる。これらの繊維は、任意選択的にダスター用のフリンジ繊維に用いることができる。ダスターは、任意選択的に、ダスター上の水性組成物が消耗し始めるとき、湿ったまたは濡れたダスターの更なる耐久性を提供する短繊維を含むことができる。親水性繊維および合成繊維は、湿ったまたは濡れたダスター内で別個の層の形態で存在するか、またはランダムな位置に存在することができる。親水性繊維の秤量は、好ましくは20gm-2〜60gm-2、より好ましくは30gm-2〜45gm-2であり、短繊維の秤量は、好ましくは50gm-2〜150gm-2、より好ましくは60gm-2〜130gm-2、最も好ましくは75gm-2〜125gm-2である。湿ったまたは濡れたダスターには、コポリマーIを含む組成物を乾燥基材1gあたり1.5g〜6g、より好ましくは2g〜5gのロードファクターで添加することができる。
【0110】
別の好ましい実施形態では、60gm-2〜200gm-2、より好ましくは60gm-2〜110gm-2の秤量が高めの基材は、床、壁、家屋の側壁、ガレージなどのような大きな面積を有する表面を洗浄するのに好適なウェットタイプの拭き取り用品を作製するのに使用される。この場合では、拭き取り用品は、ハンドルおよび洗浄ヘッドを含む手持ち式器具と共に販売したり、このような器具と共に使用できるように設計されることが好ましい。このような最終用途の適用例では、乾燥基材には、本発明の水性組成物が乾燥基材1gあたり3g〜10g、より好ましくは4g〜8gのファクターで添加される。
【0111】
きわめて好ましい実施形態では、基材は、処理される硬質面と接触するフロア層と、フロア層と接触する液溜め層(コア)と、任意のトップシートとを備えるウェットタイプの洗浄パッドである。このような洗浄パッドの例は、プロクターアンドギャンブル社(Procter & Gamble Company)から製造販売されるスウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)である。フロア層は、油性汚れを除去し、床を滑らすために、合成繊維を少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも40%含有することが好ましい。フロア層は、それぞれ異なる機能を有する2つ以上の下層からなることができる。接触面に対する研磨能力を高めるために、例えば、主なフロアシートの縁に沿ってナイロン(Nylon)(登録商標)繊維を使用することができる。液溜め層は、好ましくはフロア層と物理的に接触しているが処理される表面とは接触しておらず、主にパルプまたは紙から誘導された繊維を含み、フロアシートに対して液溜めおよび分配を行なうユニットとして作用する。この液溜め層は、実際には、物理的性質および化学的性質が類似しているかまたは異なる2つ以上の下層からなることができる。一実施形態では、フロアシートと低密度コアとの間に高密度コアを挟む。この構成によって、流体がパッドから処理される表面に移動しやすくなる。好ましくは、液溜め層は、90gm-2〜300gm-2、より好ましくは100gm-2〜約200gm-2、最も好ましくは100gm-2〜約150gm-2の秤量を有する。2つ以上の下層を組み合わせて液溜め層を形成する場合、それぞれの下層は、好ましくは、40gm-2〜150gm-2、より好ましくは50gm-2〜約100gm-2の秤量を有する。好ましくは、液溜め層はエアレイド法によって作製され、セルロース繊維および複合繊維(1つのポリマー(典型的にはポリプロピレン)から製造され、異なるポリマー(典型的にはポリエチレン)から製造される熱可塑性シースに包まれるコア繊維を含む熱可塑性繊維)を主に含み、セルロース繊維対複合繊維の比率は好ましくは少なくとも3:1、より好ましくは少なくとも4:1、最も好ましくは少なくとも5:1である。流体を注入する目的または、接続する目的のために、任意選択的に他の層を備えていてもよい。取り付け層は、存在する場合、合成繊維、セルロース繊維、または合成繊維とセルロース繊維とのブレンドから作製することができる。水性化学物質の流体ロードファクターは、液溜めコアの繊維密度および秤量に大きく左右され、繊維密度が低く、基材の秤量が大きいほどロードファクターが大きくなる。しかし、全体的なな基材溶液のロードファクターは、好ましくは、基材パッドの乾燥重量1gあたり5g〜約15gであり、より好ましくは基材パッドの乾燥重量1gあたり5g〜約10gである。
【0112】
パッドは任意の厚みを有することができるが、液溜め層の厚さが最終的な積層体の内部で最も大きくなることが好ましい。互いの層および洗浄器具に対するパッド層の配置は、製品設計者が望むように大きく変更することができる。例えば、フロアシートまたは任意のトップシートのいずれかは、器具に対して取り付け層として機能することができる(デザイン1でフロアシートが幅広く、デザイン2ではトップシートが幅広い)。
【0113】
【表1】

【0114】
乾燥した洗浄パッドとコポリマーIを含む水性組成物とを含むキット
別の好ましい実施形態では、乾燥した(または乾燥した手触りの)洗浄パッドと、汚れ凝集性コポリマーIをさらに含む第I章に記載の水性化学物質とを別個に含むキットが提供される。乾燥洗浄パッドは、乾燥ダスター(任意のハンドルを備えていても備えていなくてもよい)、超吸収性ポリマーを含まない不織布の積層体、または超吸収性ポリマーを含む基材の積層体であってもよい。水性化学物質を任意の好適な容器に入れておくことができ、当該技術分野で既知の任意の手段で処理対象の表面に適用することができる。例えば、溶液の適用は、別個の噴出瓶、エアゾール缶またはスプレートリガー系を介して達成することができる。あるいは、水性化学物質の容器は、洗浄器具(すなわち、モップヘッドまたはハンドル)に直接接続した容器か、器具内に構築された容器に入れておくこともできる。操作者が送出機構を動かすことができるし、または電池または電気によって動かすことができる。
【0115】
洗浄パッドは好ましくは吸収性である。市販の好適な吸収性パッドの例は、商標名クロロックスレディモップ(Clorox Ready Mop)(登録商標)で販売されるキットに含まれるパッドである。好ましい実施形態では、吸収性パッドは超吸収性材料をさらに含む。パッドのフロア側が水性洗浄組成物を含まない状態に維持され、モップ掛けした後に残る汚れ凝集性ポリマーIの量を減らすのに役立つため、本発明の組成物には超吸収性材料が特に有益である。このことにより、同時に表面のべたつきが軽減され、実質的に床に残渣が残らない。
【0116】
洗浄パッドは、好ましくは、封圧0.62kPa(0.09psi)(psi=ポンド/平方インチ)で20分(1200秒)後に測定した場合(以下、「t1200吸収能力」と称する)に、洗浄パッド1gあたり脱イオン水を少なくとも約10g吸収する能力を有する。パッドの吸収能力は、脱イオン水と接触させた20分(1200秒)後に測定する。この時間は、消費者が床のような硬質面を掃除するのにかかる典型的な時間だからである。封圧は、典型的には、洗浄処理中にパッドにかけられる圧力を表す。このように、洗浄パッドは、圧力0.62kPa(0.09psi)でこの1200秒以内に顕著な量の洗浄溶液を吸収できる必要がある。洗浄パッドは、好ましくは、t1200の吸収能力が少なくとも約15g/g、より好ましくは少なくとも約20g/g、さらにより好ましくは少なくとも約25g/g、最も好ましくは少なくとも約30g/gである。洗浄パッドは、好ましくは、t900の吸収能力が少なくとも約10g/gであり、より好ましくはt900の吸収能力が少なくとも約20g/gである。t1200吸収能力およびt900吸収能力の値は、加圧下の性能(本明細書中で「PUP」と称される)を調べる方法によって測定され、この方法は、特許文献23の試験法の章に詳細に記載されており、この明細書はその全体が参考として本明細書に組み込まれる。この明細書は、本明細書で使用するパッド、装置などのもっと完全な開示内容を含んでいる。
【0117】
洗浄パッドは、必須ではないが好ましくは、少なくとも約50g、より好ましくは少なくとも約75g、さらにより好ましくは少なくとも約100g、最も好ましくは少なくとも約200gの(脱イオン水の)流体保持能を有する。好ましくは、パッドには、使用中に洗浄パッドにより吸収されるいずれかの流体および汚れを保持する役目をはたす吸収層が存在する。好ましい研磨層(後述)はパッドが流体を吸収する能力にいくらか影響を与えるが、好ましい吸収層は、望ましい全体的な吸収力を達成するのに大きな役割をはたしている。さらに、吸収層は、好ましくは、複数の平坦な面を有する洗浄パッドを提供するように設計された複数の層を備えている。
【0118】
本質的な流体吸収力の観点から、吸収層は、好ましくは、任意の「研磨層」から流体および汚れを除去することができ、その結果、研磨層は、表面から汚れを連続的に除去する能力を有する。吸収層はまた、好ましくは吸収された汚れおよび汚れを凝集させる溶液が「絞り出される」のを避けるために、典型的な使用圧力のもとで吸収された物質を保持できる。
【0119】
吸収層は、使用中に流体を吸収し、保持することができる任意の材料を含むことができる。所望の総流体吸収力を達成するために、相対的に高い流体吸収力(吸収性材料1gあたりの流体(g)という観点で)を有する材料を吸収層中に包含することが好ましい。本発明に関して有用な洗浄流体の大部分は水系であるため、超吸収性材料は、水または水系流体に対して相対的に高い吸収力(g/g)を有することが好ましい。代表的な超吸収性材料としては、文献から公知の水不溶性で水膨潤性の超吸収性ゲル化ポリマー(以下「超吸収性ゲル化ポリマー」と称される)が挙げられる。超吸収性ゲル化ポリマーを繊維形態で使用すると、洗浄処理中に、粒子形態のものと比較すると超吸収性材料の保持率が高まるという利点が付与される。この能力は水系混合物では低いのが一般的であるが、これらの材料は、水系混合物に対して顕著な吸収能力を示す。この特許文献は、水膨潤性材料を十分に開示している。例えば、特許文献24(ハーパー(Harper)ら、1972年6月13日発行)、特許文献25(ハーモン(Harmon)、1972年6月20日発行)、特許文献26(ブラント(Brandt)ら、1989年4月19日再発行)、特許文献27(アレマニー(Alemany)ら、1989年5月30日発行)を参照。
【0120】
本発明で有用な超吸収性ゲル化ポリマーには、多量の流体を吸収することができ、非水溶性で水膨潤性の多様なポリマーが挙げられる。このようなポリマー材料はまた一般に「ヒドロコロイド」とも呼ばれており、多糖類、例えばカルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロース;非イオン性物質、例えばポリビニルアルコール、およびポリビニルエーテル;カチオン性物質、例えばポリビニルピリジン、ポリビニルモルホリン、ならびにN,N−ジメチルアミノエチル、またはN,N−ジエチルアミノプロピルアクリレートおよびメタクリレート、ならびにこれらのそれぞれの四級塩を挙げることができる。周知の物質であり、例えば、1978年2月28日に発行された特許文献28(マスダ(Masuda)ら)、および1977年12月13日に発行された特許文献29(ウエスターマン(Westerman))に詳細に記載されており、双方とも参考として組み込まれる。好ましい超吸収性ゲル化ポリマーは、カルボキシ基を含有する。これらのポリマーには、加水分解されたデンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー類、部分的に中和され加水分解されたデンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー類、デンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類、部分的に中和されたデンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類、鹸化された酢酸ビニル−アクリルエステルコポリマー類、加水分解されたアクリロニトリルコポリマー類またはアクリルアミドコポリマー類、前述のコポリマー類の任意の、僅かに網状架橋したポリマー類、部分的に中和されたポリアクリル酸、および部分的に中和されたポリアクリル酸の、僅かに網状架橋したポリマー類が挙げられる。これらのポリマー類は単独で使用してもよく、または2つ以上の異なるポリマーの混合物の形態で使用してもよい。これらのポリマー材料の例は、特許文献30、特許文献31、特許文献32、特許文献33および特許文献34に開示されており、これらの特許は全て参考として組み込まれる。超吸収性ゲル化ポリマーの製造に用いるのに最も好ましいポリマー材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸の僅かにネットワーク架橋されたポリマーおよびそのデンプン誘導体である。最も好ましくは、ヒドロゲル形成吸収性ポリマーは、約50%〜約95%、好ましくは約75%の中和された、僅かにネットワーク架橋されたポリアクリル酸(即ち、ポリ(アクリル酸ナトリウム/アクリル酸))を含む。ネットワーク架橋は、ポリマーを実質的に非水溶性にし、部分的に、超吸収性ゲル化ポリマーの吸収力および抽出可能なポリマーの含有量の特性を決定する。これらのポリマー類を網状架橋するための方法および典型的な網状架橋剤は、特許文献31により詳細に記載されている。超吸収性ゲル化ポリマーは好ましい1つの種類である(即ち均質である)が、ポリマーの混合物もまた本発明に用いることができる。例えば、デンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類と部分的に中和されたポリアクリル酸を僅かに架橋した網状組織のポリマー類との混合物も本発明に用いることができる。
【0121】
従来技術で記載される超吸収性ゲル化ポリマーのいずれかは本発明で有用である可能性があるが、かなりの濃度の超吸収性ゲル化ポリマーが吸収性構造に含まれる(例えば、吸収性構造の約50重量%を超える)場合、特に、吸収層の1つ以上の領域がその領域の約50重量%を超えて含む場合、膨張した粒子によってゲルブロッキングが発生し、流体の流れを抑制し、ゲル化ポリマーが所望の期間に能力の最大限まで吸収する能力に悪影響を与えることがある。特許文献35(ケレンバーガー(Kellenberger)ら、1992年9月15日発行)および特許文献36(ケレンバーガー(Kellenberger)ら、1992年9月22日発行)は、ゲル化ポリマーが封圧2.1kPa(0.3psi)で流体(0.9%生理食塩水)を吸収する負荷下吸収性(Absorbency Under Load)(AUL)の観点で超吸収性ゲル化ポリマーを記載している。(これらの特許の各々の開示は、参考として本明細書に組み込まれる。)AULを決定する方法はこれらの特許に記載されている。この明細書に記載されるポリマーは、比較的高濃度の超吸収性ゲル化ポリマーを含む領域を含有する本発明の実施形態に特に有用である場合がある。特に、高濃度の超吸収性ゲル化ポリマーが洗浄パッドに組み込まれている場合、これらのポリマーは、特許文献35に記載される方法に従って測定すると、1時間後に好ましくは少なくとも約24mL/g、より好ましくは少なくとも約27mL/gのAULを有し、または特許文献36に記載される方法に従って測定すると、15分後に少なくとも約15mL/g、より好ましくは少なくとも約18mL/gのAULを有する。同一出願人による特許文献37(ゴールドマン(Goldman)ら、1994年3月29日出願)および特許文献38(ゴールドマン(Goldman)ら、1995年4月6日出願)(これらは双方とも本明細書に参考として組み込まれる)は、ゲルブロッキングの問題に対処し、この現象を克服するのに有用な超吸収性ゲル化ポリマーを記載している。これらの適用は、特に、高めの封圧(特に4.8kPa(0.7psi))でゲルブロッキングを起こさない超吸収性ゲル化ポリマーを記載している。吸収層が高濃度の(例えば、領域の約50重量%を超える)超吸収性ゲル化ポリマーを含む領域を含有する本発明の実施形態では、超吸収性ゲル化ポリマーは、ゴールドマン(Goldman)らによる上述の明細書に記載されるようなものが好ましい。
【0122】
超吸収性材料が吸収層に含有される場合、吸収層は好ましくは、吸収層の少なくとも約15重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%、さらにより好ましくは少なくとも約25重量%の超吸収性材料を含む。吸収層は、繊維材料からなるか、または繊維材料を含んでいてもよい。本発明で有用な繊維には、天然由来の(変性または非変性の)もの、ならびに合成的された繊維が挙げられる。好適な非変性/変性の天然起源の繊維の例には、綿、エスパルト草、バガス、麻布、亜麻、絹、羊毛、木材パルプ、化学的に変性された木材パルプ、黄麻、エチルセルロース、および酢酸セルロースが挙げられる。好適な合成繊維は、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、オーロン(ORLON)(登録商標)のようなポリアクリル酸類、ポリビニルアセテート、ポリエチルビニルアセテート、不溶性または可溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン(例えば、パルペックス(PULPEX)(登録商標))およびポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ナイロンなどのポリアミド類、ダクロン(DACRON)(登録商標)またはコデル(KODEL)(登録商標)などのポリエステル類、ポリウレタン類、ポリスチレン類などから作製できる。吸収層は、天然由来の繊維だけを含んでもよく、合成繊維だけを含んでもよく、または天然由来の繊維と合成繊維との適合性のある任意の組合せを含んでもよい。
【0123】
本明細書で有用な繊維は、親水性でも疎水性でもよく、または親水性繊維と疎水性繊維両者の組合せでもよい。前述のとおり、親水性繊維または疎水性繊維の具体的な選択は、吸収層(およびある程度は研磨層)に含まれる他の物質による。即ち、繊維の性質が、洗浄パッドが、必要な流体の遅滞および全体的な流体の吸収性を表すようなものである。本発明で使用するのに適した親水性繊維には、セルロース繊維、改質されたセルロース繊維、レーヨン、親水性ナイロン(ハイドロフィル(HYDROFIL)(登録商標))のようなポリエステル繊維が挙げられる。好適な親水性繊維はまた、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタンなどから誘導された熱可塑性繊維を界面活性剤処理またはシリカ処理するなどして、疎水性繊維を親水性化することにより得ることもできる。
【0124】
適した木材パルプ繊維は、クラフト法および亜硫酸法など、周知の化学的方法から得ることができる。針葉樹の吸収特性は上質であるので、これらの木材パルプ繊維を南部の針葉樹から誘導することが特に好ましい。これらの木材パルプ繊維はまた、砕木、リファイナーメカニカルプロセス、サーモメカニカルプロセス、ケミメカニカルプロセス、およびケミサーモメカニカルパルププロセスなどの機械的方法から得ることもできる。リサイクルした木材パルプ繊維または二次木材パルプ繊維、ならびに漂白した木材パルプ繊維および無漂白木材パルプ繊維が使用できる。繊維が吸収層(またはその構成要素)として使用される場合、繊維は適宜熱可塑性材料と組み合わされてもよい。溶融すると、典型的には繊維間毛管勾配のために、この熱可塑性材料の少なくとも一部が繊維の交差部に移動する。これらの交差部は、熱可塑性材料の接合部位になる。冷却される時、これらの交差部のところの熱可塑性材料は凝固して結合部位を形成し、これは繊維のマトリックスまたはウェブを各それぞれの層において共に保持する。これは、洗浄パッドに更なる全体的な一体性を提供する際に有益なことがある。
【0125】
その様々な効果の中で、繊維交差部での結合は、全体的な圧縮弾性率、および結果として得られる熱接着した部材の強度を高める。化学的に剛化されたセルロース繊維の場合には、熱可塑性材料の溶融および移動はまた、結果として得られるウェブの平均孔径を増加する効果を有するが、一方では最初に形成された時のウェブの密度および坪量を維持する。これは、流体への初めの暴露の際には、改善された流体浸透性のために、およびその後の暴露の際には、剛化された繊維が濡れる際にそれらの剛性を維持する能力と、熱可塑性材料が濡れる際におよび湿りおよび圧縮の際に繊維交差部において結合されたままでいる能力とを組み合わせた能力のために、熱接着されたウェブの流体獲得特性を改善することができる。結局、剛化された繊維の熱接着されたウェブは、それらのもとの全体積を保持するが、熱可塑性材料によって前に占有された体積測定領域は空くことになり、従って平均の繊維間毛管孔径は増加する。
【0126】
本発明で有用な熱可塑性材料は、粒子状物質、繊維、または粒子状物質と繊維との組み合わせを包含する多様な形態のいずれかであることができる。熱可塑性繊維は、多数の繊維間結合部位を形成するそれらの能力のために、特に好ましい形態である。好適な熱可塑性材料は、各層の主要ウェブまたはマトリックスを構成する繊維を大幅に損傷しない温度で溶融できるいずれの熱可塑性ポリマーからも製造することができる。好ましくは、この熱可塑性材料の融点は、約190℃未満、好ましくは75℃〜175℃である。いずれにしても、この熱可塑性材料の融点は、洗浄パッドにおいて使用されるとき、熱固着した吸収構造体が保存されるような温度以上であるべきである。熱可塑性材料の融点は、典型的には約50℃以上である。
【0127】
熱可塑性材料、および特に熱可塑性繊維は、ポリエチレン(例えば、パルペックス(PULPEX)(登録商標))およびポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエステル類、コポリエステル類、ポリビニルアセテート、ポリエチルビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸類、ポリアミド類、コポリアミド類、ポリスチレン類、ポリウレタン類ならびに塩化ビニル/ビニルアセテートなど前述の任意のコポリマー類などが挙げられる、様々な熱可塑性ポリマー類から作製できる。結果として得られる熱接着された吸収性部材の所望の特性によって、好適な熱可塑性材料には、親水性に製造された疎水性繊維、例えば界面活性剤処理またはシリカ処理された熱可塑性繊維であって、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタンなどから得られるものが挙げられる。疎水性の熱可塑性繊維の表面は、非イオン性またはアニオン性界面活性剤のような界面活性剤による処置により親水性にすることができ、それは、例えば、繊維に界面活性剤を噴霧することにより、繊維を界面活性剤中に浸漬することにより、または熱可塑性繊維を製造する際に界面活性剤をポリマー溶融物の一部として包含することによる。溶融および再凝固の際には、界面活性剤は、熱可塑性繊維の表面に残留する傾向がある。適した界面活性剤には、デラウェア州ウィルミントンのICIアメリカズ社(ICI Americas,Inc.)により製造されたブリジ(Brij)(登録商標)76などの非イオン性界面活性剤、およびコネチカット州グリニッチ(Greenwich)のグリコケミカル社(Glyco Chemical,Inc.)により、ペゴスパース(Pegosperse)(登録商標)の商標で販売される様々な界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤の他に、アニオン性界面活性剤もまた使用できる。これらの界面活性剤は、熱可塑性繊維に、例えば、熱可塑性繊維1平方センチメートルあたり約0.2〜約1gのレベルで適用され得る。
【0128】
好適な熱可塑性繊維は、単一ポリマーから製造することもでき(単一成分繊維)、または1を超えるポリマーから製造することもできる(例えば、バイコンポーネント繊維)。本明細書で使用する時、「バイコンポーネント繊維」は、別のポリマーから製造された熱可塑性シース内に入れられた、1つのポリマーから製造されたコア繊維を含む熱可塑性繊維を指す。シースを構成するポリマーは、多くの場合、コアを構成するポリマーとは異なる、典型的にはより低い温度で溶融する。結果として、これらのバイコンポーネント繊維は、シースポリマーの溶融に起因して熱的接合をもたらし、一方でコアポリマーの望ましい強度特性を保持する。本発明に用いるのに好適なバイコンポーネント繊維には、次のポリマーの組み合わせ:ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなどを有するシース/コア繊維を挙げることができる。本明細書で用いるのに特に好適な複合熱可塑性繊維は、ポリプロピレンまたはポリエステルのコア、および低級溶融コポリエステル、ポリエチルビニルアセテートまたはポリエチレンのシース(例えば、ダナクロン社(Danaklon a/s)、チッソ社(Chisso Corp.)から入手可能なもの、およびハーキュレス(Hercules)から入手可能なセルボンド(CELBOND)(登録商標))を有するものである。これらのバイコンポーネント繊維は、同心または偏心であり得る。本明細書で使用する時、「同心」および「偏心」という用語は、シースが、バイコンポーネント繊維の断面積を通じて、均一または不均一な厚さを有するか否かを指す。偏心のバイコンポーネント繊維は、より小さい繊維厚さで、より大きい圧縮強さを提供する際に望ましい。
【0129】
洗浄パッドの吸収層は、セルロース繊維(任意選択的に熱結合されている)および膨潤可能な超吸収性ゲル化ポリマーのブレンドのような均一材料を含んでもよい。あるいは、吸収層は、熱結合エアレイド材料の層および超吸収性材料の別個の層など、別個の材料の層を含んでもよい。例えば、熱結合したセルロース層は、超吸収性材料より低い位置(即ちすぐ下)に配置することができる(即ち、超吸収性材料と研磨層との間)。加圧下で高い吸収能力と流体保持能力を達成すると同時に流体吸収を初期には遅らせるために、吸収層を形成する際にはこのような別個の層を利用することが好ましいことがある。この観点から、超吸収性材料は、吸収層の最下部の面として吸収層を少なくすることによって研磨層から離れて配置することができる。例えば、セルロース繊維層は、超吸収性材料より低い位置(即ちすぐ下)に配置することができる(即ち、超吸収性材料と研磨層との間)。
【0130】
好ましい実施形態では、吸収層は、セルロース繊維(ウエアハウザー社(Weyerhaeuser)(ワシントン州)から入手可能なフリントリバー(Flint River))およびアルサーマルC(AL Thermal C)(ダンアクロン社(Danaklon a/s)(デンマークのバルデ(Varde))から入手可能な熱可塑性樹脂)の熱結合エアレイドウェブと、膨潤可能なヒドロゲル形成超吸収性ポリマーとを含む。超吸収性ポリマーは、好ましくは、別個の層が研磨層から離れた吸収層の表面近くに位置するように組み込まれる。好ましくは、例えば、セルロース繊維(任意選択的に熱結合されている)の薄層は、閉じ込めを強化するために、超吸収性ゲル化ポリマーの上に配置される。
【0131】
研磨層は、洗浄中に汚れた表面に接触する洗浄パッドの一部分である。そのため、研磨層として有用な材料は、洗浄処理中に層がその一体性を保持するほど十分に耐久性でなければならない。加えて、洗浄パッドが溶液との組み合わせにおいて用いられる時、研磨層は、液体および汚れを吸収でき、それらの液体および汚れを吸収層に送ることができなくてはならない。これにより、研磨層が、洗浄される表面から更なる物質を継続的に取り除けることを確実にする。用具が、洗浄溶液と共に(即ち湿潤状態で)用いられようと、または洗浄溶液なしで(即ち乾燥状態で)用いられようと、研磨層は、粒子状物質を取り除くことに加えてその他の機能、例えば洗浄される表面のつや出し、ダスティング、およびバフ研磨を促進する。
【0132】
研磨層は、単層であっても多層構造体であってもよく、その層の1以上の層に、汚れた表面をこすり、粒子状物質を吸収するのを容易にするためにスリットを入れてもよい。この研磨層は、汚れた表面上を通る時、汚れ(および用いられる時には洗浄溶液)と相互作用して、頑固な汚れを取れやすくし、乳化し、それらがパッドの吸収層の中に自由に通過できるようにする。研磨層は好ましくは、より大きい粒子状の汚れが、パッドの吸収層の中に自由に移動し、および取り込まれるために容易な手段を提供する開口(例えば、スリット)を含有する。粒子状物質のパッドの吸収層への移動を促進するために、低密度構造体を研磨層として用いることが好ましい。所望の一体性を提供するために、研磨層に特に好適な材料には、合成物質、例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、ポリエステル、ポリアミド、合成セルロース系物質(例えば、レーヨン(Rayon)(登録商標))、およびこれらのブレンドが挙げられる。このような合成物質は、既知の方法、例えば、カード、スパンボンド、メルトブロウン、エアレイド、ニードルパンチなどを用いて製造されてもよい。
【0133】
本発明の洗浄パッドは、任意選択的に、パッドが用具のハンドル、または好ましい用具では支持ヘッドに接続されることを可能にする取り付け層を有する。取り付け層は、吸収層がパッドをハンドルの支持ヘッドに取り付けるには適していない実施形態において必要である。取り付け層はまた、洗浄パッドの上表面(即ち、ハンドルに接触する表面)を通る流体の流れを防ぐための手段としても機能でき、またパッドの一体性をさらに強化できる。研磨層および吸収層と同様に、取り付け層は、上記の要件を満たす限り、単層構造体から成っても、または多層構造体から成ってもよい。取り付け層は、既知のフックおよびループによる技術を用いてハンドルの指示ヘッドに機械的に接続可能な表面を含むことができる。このような実施形態では、付着層は、ハンドルの支持ヘッドの底面に永続的に固着されたフックに機械的に取り付けられる少なくとも1つの表面を含む。
【0134】
本発明は、コポリマーIと好ましくは表面粘着性低減剤とを含む水性組成物を表面と接触させ、好ましくはこの組成物を用いて拭き取る工程を含む、表面(好ましくは硬質面)の洗浄方法を含む。床を掃除する場合、組成物を従来のモップ/布およびバケツを用いた洗浄方式と組み合わせて使用することができる。これらには、スポンジ、ひもおよび細長い片を用いたモップが挙げられる。あるいは、床の洗浄処理は、コポリマーIを含む水性組成物を含む使い捨てウェットタイプの拭き取り用品またはパッドを用いて達成することができる。このようなシステムの例としては、プレッジウェット(Pledge Wet)(登録商標)およびスウィッファーウェット(Swifer Wet)(登録商標)が挙げられる。さらに別の実施形態では、洗浄処理は、洗浄器具と、この洗浄器具に合った乾燥洗浄パッドと、コポリマーIを含む水性組成物とを含むキットを用いて達成される。このようなシステムの例としては、クロロックスレディモップ(Clorox Ready Mop)(登録商標)およびスウィッファーウェット(Swifer Wet)(登録商標)(ウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)の場合、使い捨て乾燥パッドは超吸収性ポリマーも含んでいる)が挙げられる。それぞれの場合の洗浄処理は、床を水性組成物で十分に濡らすことを含む。好ましい拭きパターンは、洗浄される部分の左(または右)下側から始まり、上下に拭く動作を続けながら床全体を拭きパターンが進行する重なり合う上下の動作からなる。その後、洗浄される部分の右(または左)上側で始まり、左右に動かし、拭きパターンの方向を変えて、拭くことが続けられる。別の好ましい拭きパターンは、上下に拭く動作からなり、次に逆方向の上下に拭く動作が続く。上述のあらゆる好ましい拭きパターンは、キットまたはパッケージに列挙された用途に関する指示または図を介して消費者に伝達することができる。
【0135】
小さな硬質面(限定されないが、タイル、窓、窓およびドアのブラインドおよび日よけ、流し台、シャワー、車両内装用、鏡台、壁領域、カウンターの上面、器具およびテーブルが挙げられる)を掃除する場合、この組成物は、好ましくは、そのまま使える噴霧瓶またはエアゾール缶の形態で使用される。それ故に、本発明のコポリマーを含む組成物を処理対象の表面と接触させ、洗浄器具を用いて広げ、拭き取る。これに関連する洗浄器具の例としては、綿布、スポンジ、ペーパータオルおよびセーム革が挙げられる。あるいは、コポリマーIを含む組成物をウェットタイプの拭き取り用品またはパッドに組み込むことができる。この場合には、ウェットタイプの拭き取り用品またはパッドは、好ましくは左右に拭く動作で洗浄される表面の汚れた領域全体を拭きとる。汚れの除去は、拭き取り用品上に凝集した汚れが目に見えるため、視覚的にはっきりわかる。
【0136】
試験方法
コポリマーIが汚れを凝集させる効果を、ウェットジェット(Wet Jet)パッドおよび本発明の水性組成物を用いて以下に記載する3枚のタイルを用いた試験で測定する。マラッジ(Marazzi)によってフランスでマット仕上げされ、寸法30cm×30cm×0.5cmのブラックセラミクラフト(Black CeramiCraft)ブランドのセラミックタイルを洗浄試験に使用する。このタイルは米国でカーペットランド(Carpetland)(オハイオ州ウッドローン)から購入した。実験的試験を行なう前に、最初にタイルを2−プロパノールおよび脱イオン水の50/50混合物で洗浄し、風乾しておく。
【0137】
ウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)パッド:
使用したパッドは、「スウィッファーウェットジェット(Swiffer Wet Jet)(登録商標)」として米国で市販されているものである。試験の目的上、パッドをその幅に沿って11.5×14.5cmの大きさに切断し、上記の20cm×20cm×1cmの寸法を有するブラックセラミクラフト(Black CeramiCraft)のセラミックタイルを洗浄するのに効率的に使用できるように小さくする。パッドの縁を切断した後、超吸収性ポリマーが浸出するのを防ぐために、両面テープでパッドをふさぐ。次に、モップヘッド付きのハンドルにパッドを取り付ける。この用具のヘッドは、「スウィッファー(Swiffer)(登録商標)」として販売されているような用具を用いて作成することができ、ヘッド部だけ取り出して10.5×11.5cmに切断する(このようにして、本実験に用いられる縮小されたサイズのパッドと適合するように、小型の用具を作り出す)。パッドは、テープを用いてスウィッファー(Swiffer)(登録商標)小型用具に取り付けるか、またはベルクロ(Velcro)(登録商標)を用いて取り付けることができる。
【0138】
ウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)試験手順:
拭き取る前に、使用説明書に従って小型ウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)パッドのフラップを開く。同じ小型ウェットジェット(Wet Jet)パッドを用いて連続して3枚のタイルをそれぞれの試験溶液で拭く。1番のタイルは汚れていない。2番のタイルには、微粒子無機物質80%と軽く重合させた大豆油20%とから本質的に構成される汚れが付着している。この汚れを低沸点溶媒混合物に懸濁させ、きれいな試験タイルに均一にローリングした(2番のタイルに使用した汚れ溶液約2g)。乾燥させると、このタイルには約300mgの汚れが残る。3番のタイルもまた汚れていない。この試験は、それぞれのタイルに溶液2mLを適用し、1番、2番および3番のタイルをこの順番で拭くことから構成される。それ故に、1番のタイルからはパッドおよび関連する試験溶液の膜形成/筋形成(以下F/S)性の測定値が得られ、2番のタイルからはパッドおよび試験溶液の洗浄効率の測定値が得られ、3番のタイルからはパッドからの汚れの再析出の測定値が得られる。
【0139】
ウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)拭き取り方法および採点:
最初に、ウェットジェット(Wet Jet)のミニパッドを別個のタイルに乗せて試験溶液1mLを含ませる。ピペットを使用して、更に2mlの同じ試験溶液を第1のタイルの下方(下端より3mm上方)に追加し、均等にいきわたるようにタイル全幅に沿って溶液を広げる。次に、タイルの左下隅にある溶液の上に、ミニウェットジェット(mini Wet Jet)(登録商標)パッドを備えた器具を置き、中断しない重なり合う拭き取り動作を上下に4回繰り返して、試験用タイルの表面を完全に拭き取る。拭き取り動作は、最初は左から右(上下に4回)、次いで右から左(上下に4回)行なう。拭き取る動きは上記のように左右へ連続させ、最後の動きはタイルの末端部を通って完了する。最後の拭き取り動作でタイルの端に達した際に、小型ウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)パッドの先端にあるフラップを表面に接触させ、縁部にある溶液を伸ばすことが重要である。2番および3番のタイルでは、溶液を足すことなく、同じ拭き取り手順で1番のタイルで使用した同じパッドを再使用する。
【0140】
各パッドおよび試験溶液について合計3回ずつ洗浄試験を行ない、再現性を担保する。膜形成/筋形成の最終結果を視覚的に採点し、2人の専門評価者によって採点を行なう。各々3つずつの採点者の採点を平均し、記録する。採点は0〜4の等級で行い、0は最終結果が完璧であることを表し、4は最終結果が予想される最悪の状態であることを表す。評価は、採点差を1/4点ずつ増加させ、ブラインド試験で行なう。
【0141】
スウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)パッド:
パッドは、米国で「スウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)」として市販されているものを使用する。試験の目的上、パッドをその幅に沿って8.7×10.5cmの大きさに3分の1に切断し、溶液49gを染み込ませた(パッドあたり平均16.3g)。それぞれのスウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)の「ミニパッド」を使用して同じ20cm×20cm×1cmの上述のブラックセラミックラフト(Black CeramiCraft)ブランドのセラミックタイルを洗浄し、最初に、スウィッファーウェット(Swiffer Wet)の取り付け層がスウィッファー(Swiffer)器具の握りに合うようにスウィッファー(Swiffer)器具を切断する。
【0142】
スウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)試験手順、方法および採点
スウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)の洗浄試験の手順および方法は、ウェットタイプのスウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)ミニパッド(上述)をウェットジェット(Wet Jet)小型パッドの代わりに使用する以外は、スウィッファーウェットジェット(Swiffer Wet Jet)(登録商標)の方法と同じである。スウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)パッドはすでにウェットタイプなのでパッドを湿らす必要はない。採点スキームは、ウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)の試験部分で記載した方法と同じである。
【実施例】
【0143】
以下の実施例では本発明に基づいた方法で使用する組成物を例示することを意図するが、必ずしも本発明の範囲を限定するものではない。以下の水性組成物は、均一な混合物を形成するように列挙した比率で所与の順序で列挙した成分と組み合わせて作製される(溶液%は活性物質の重量%である)。ウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)およびスウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)の試験で同じ組成物を使用し、これらは本発明の組成物を実施する2つの別個の様式を示す。
【0144】
【表2】

【0145】
* ローディア(Rhodia)により調製されたジクワットおよびアクリル酸(モル比33/67)から誘導したポリマー
** ローディア(Rhodia)に調製されたDADMACおよびアクリル酸(モル比40/60)から誘導したポリマー
*** ダウコーニング(Dow Corming)製のダウコーニング1410AF(Dow Corming 1410 AF)−記載されている濃度はポリジメチルシロキサンの濃度である
**** パイロットケミカル(Pilot Chemical)製の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(カルソフトL−40(Calsoft L-40))
【0146】
【表3】

【0147】
ウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)試験結果の考察:
全体的に、コポリマーIを含む試験製品は全てコントロール−1−および−2−と比較して性能が高い。F/S試験(1番のタイルの採点平均)は、実験の製品の効果は、膜形成性および筋形成性が改善したためではないことを示唆している(製品−3−〜−7−で0.42〜0.67であり、コントロール製品−1−および−2−で0.54〜0.52である)。洗浄および再析出の採点(それぞれ2番および3番のタイル)は、実験の製品について顕著に良好であり、製品−3−〜−7−はコントロール−1−および−2−よりも採点平均が全体的に高い。コポリマーIを含む組成物の中で、アルカリ性であり、コポリマーIIまたはNaLasを含有しない製品−5−は、性能が最も悪かった。洗浄性能の向上、特に再析出性能の向上は、コポリマーIIを添加することによって製品−6−で達成される。
【0148】
【表4】

【0149】
スウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)試験結果の考察:
全体的に、コポリマーIを含む試験製品は全てコントロール−1−および−2−と比較して性能が高い。F/S試験(1番のタイルの評価平均)は、実験の製品の効果は、膜形成性および筋形成性が改善したためではないことを示唆している(製品−3−〜−7−で0.42〜0.92であり、コントロール製品−1−および−2−で0.54〜0.63である)。洗浄および再析出の採点(それぞれ2番および3番のタイル)は、実験の製品について顕著に良好であり、製品−3−〜−7−はコントロール−1−および−2−よりも採点平均が全体的に高い。スウィッファーウェットジェット(Swiffer Wet Jet)の試験とは異なり、製品−5−は他の実験製品と同等の性能であった。不織布基材はpHを下げ、中性に近づける。結果として、スウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)ではpHはあまり重要な影響を与えない。さらに、ポリマーの利点はスウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)で大きいことは注目すべきことであり、これはポリマーが試験開始前にすでにウェットタイプの拭き取り用品に固定されているためであると思われる。このことは、基材が乾燥しており、試験開始時にポリマーが含まれていないウェットジェット(Wet Jet)(登録商標)の適用例とは対照的である。
【0150】
本明細書に開示した寸法および値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各このような寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両者を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性または水分散性のコポリマーIの洗浄作業における凝集剤としての使用方法であって、該ポリマーが、
(a)少なくとも1種の一般式iのモノマー化合物
【化1】

〔式中、
1は、水素原子、メチル基またはエチル基であり、
2、R3、R4、R5およびR6は、同じであるかまたは異なるが、直鎖または分枝状C1〜C6のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基であり、
mは0〜10の整数であり、
nは1〜6の整数であり、
Zは−−C(O)O−−基または−−C(O)NH−−基または酸素原子を表し、
Aは(CH2p基を表し、pは1〜6の整数であり、
Bは、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基によって任意選択的に中断され、1つ以上のヒドロキシル基またはアミノ基によって任意選択的に置換された、直鎖または分枝状C2〜C12ポリメチレン鎖を表し、
Xは、同じであるかまたは異なるが、対イオンを表す〕と、
(b)(a)と共重合可能であり、適用媒体中でイオン化可能な酸性官能基を有する少なくとも1種の親水性モノマーと、
(c)任意選択的に、(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する少なくとも1種のモノマー化合物、好ましくは、1つ以上の親水基を有し、(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する親水性モノマー化合物とを含む、使用方法。
【請求項2】
前記モノマー(a)が、
Zは−C(O)O−、−C(O)NH−またはO原子を表し、
nは2または3と等しく、
mは0〜2の範囲であり、
Bは−CH2−CH(OH)−(CH2)qを表し、qは1〜4であり、
、請求項1に記載の使用方法。
1〜R6は、同じであるかまたは異なるが、メチル基またはエチル基を表すものである、請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
前記ポリマーが、
(c)(a)および(b)と共重合可能であり、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する少なくとも1種のモノマー化合物
を含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項4】
(c)が、1つ以上の親水基を有し、(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する親水性モノマー化合物である、請求項3に記載の使用方法。
【請求項5】
(b)が、モノエチレン性不飽和部を有するC3〜C8のカルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸またはリン酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項6】
前記水溶性または水分散性のコポリマーIが、モノマー(a)3〜80mol%と、モノマー(b)10〜95mol%と、モノマー(c)0〜50mol%とを共重合させることによって得られる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項7】
前記モノマー(a)および前記モノマー(b)が、80/20〜5/95のモノマー(a)の合計対モノマー(b)の合計の重量モル比を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
不織布基材と水溶性または水分散性のコポリマーIを含む組成物とを含む、表面を洗浄するためのキットであって、
該コポリマーIが、
(a)少なくとも1種の一般式iのモノマー化合物
【化2】

〔式中、
1は、水素原子、メチル基またはエチル基であり、
2、R3、R4、R5およびR6は、同じであるかまたは異なるが、直鎖または分枝状のC1〜C6のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基であり、
mは0〜10の整数であり、
nは1〜6の整数であり、
Zは−−C(O)O−−基または−−C(O)NH−−基または酸素原子を表し、
Aは(CH2p基を表し、pは1〜6の整数であり、
Bは、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基によって任意選択的に中断され、1つ以上のヒドロキシル基またはアミノ基によって任意選択的に置換された、直鎖または分枝状のC2〜C12ポリメチレン鎖を表し、
Xは、同じであるかまたは異なるが、対イオンを表す〕と、
(b)(a)と共重合可能であり、適用媒体中でイオン化可能な酸性官能基を有する少なくとも1種の親水性モノマーと、
(c)任意選択的に(a)および(b)と共重合可能である、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する少なくとも1種のモノマー化合物、好ましくは、(a)および(b)と共重合可能である1つ以上の親水基を有し、電荷が中性のエチレン性不飽和部を有する親水性モノマー化合物と
を含む、キット。
【請求項9】
前記基材が負に帯電した繊維を含む、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記組成物が前記基材に染み込ませてある、請求項8または9に記載のキット。
【請求項11】
前記不織布基材が、
(g)少なくとも20%の合成繊維を含む10gm-2〜50gm-2の不織布から本質的に構成されるフロアシートと、
(h)少なくとも60%のセルロース系繊維を含む50gm-2〜150gm−2の不織布から本質的に構成される液体貯留層と、
(j)10gm-2〜50gm-2の不織布から本質的になる任意の取り付け層と
を含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
前記フロアシートと前記取り付け層とが共に形成される、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記組成物が、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤およびこれらの混合物を含む、請求項8〜12のいずれか一項に記載のキット。

【公開番号】特開2010−235958(P2010−235958A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−159091(P2010−159091)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【分割の表示】特願2008−540771(P2008−540771)の分割
【原出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】