説明

易接着フィルムおよびこれを用いた積層体

【課題】接着性に優れ、易接着層の上に設ける機能層の膜強度や光学濃度等に悪影響を及ぼすことのない易接着フィルムおよびこれを用いた積層体を提供することである。
【解決手段】シクロオレフィン系フィルムの少なくとも一方の面上にウレタンラテックス及びアクリルラテックスから選ばれるラテックスエマルジョン、エポキシ化合物及びイソシアネート化合物を含有する易接着層を有することを特徴とする易接着フィルムおよびこれを用いた積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシクロオレフィン系フィルムの少なくとも一方の面上に易接着層が形成された易接着フィルム、および該易接着フィルムの易接着層上に、液晶、プラズマディスプレイなどに用いられるブラックマトリックス、ブラックストライプ等の遮光層、電磁波シールドや電極、回路などに用いられる導電性層、タッチパネル、コンピューター、テレビ、液晶表示装置等のディスプレイ、装飾材などに用いられるハードコート層等の樹脂層などの各種機能層を有する積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シクロオレフィン系フィルムは、非晶性で高い透明性を有し、かつ分極率の異方性が小さいことにより光学的な歪みを生じにくいために低い複屈折性を示し、優れた電気絶縁性を有すると共に、高温高湿環境における優れた寸法安定性を有するものである。このため、シクロオレフィン系フィルムから得られる遮光フィルム、位相差フィルム、導光板などのディスプレイ用光学フィルム、プラスチック光ファイバー、光学レンズ、光ディスク、光半導体封止材などの光学成形体は、優れた光学特性を有するものとして有用である。しかしながら、シクロオレフィン系フィルムは、フィルム表面に極性基をほとんど持たないため接着性に乏しいという問題があった。
【0003】
前記シクロオレフィン系フィルムに、易接着性を付与する方法としては、例えば、特開2001−147304号公報(特許文献1)に記載されているようにコロナ処理、プラズマ処理、UV処理等が挙げられるが、これらの方法では経時的にその性能が低下する欠点があった。また、特開2008−134624号公報(特許文献2)に記載されているようにアクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系や、スチレン系ラテックスなどの共重合ラテックスと、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩を併用した水系塗液を塗布する方法が挙げられる。
【0004】
易接着フィルムに接着させる被接着物(以下機能層とも称す。)は多岐にわたり、例えばバインダーを含有する層を塗設する場合もある。導電性回路パタン用途では、特開平6−107832号公報(特許文献3)に記載されているような金属を含む導電性インクにより形成された導電性パタンや各種樹脂を利用した絶縁樹脂などを含有する機能層、タッチパネル、コンピューター、テレビ、液晶表示装置等のディスプレイ、装飾材などに用いられるハードコート用途では、特開2005−097571号公報(特許文献4)に記載されているような紫外線硬化樹脂を含有する機能層が挙げられる。
【0005】
また、易接着フィルムに接着させる被接着物として、例えば易接着層上に金属層を直に析出させる場合もある。このような機能層としては多層プリント配線板用途では、特開2001−298275号公報(特許文献5)に記載されているような無電解めっき膜を含む各種金属めっき膜などの機能層、電気回路、電磁波シールドなどの導電性材料用途では特開2008−235467号公報(特許文献6)に記載されているような物理現像銀や、特開2008−014968号公報(特許文献7)に記載されているような現像銀などが挙げられる。しかしながら従来から知られる易接着性を付与する方法では、これら各種機能層に対し十分な接着性は得られず、更なる改善が求められていた。
【0006】
一方、特開2010−080237号公報(特許文献8)には支持体上にウレタンラテックスやアクリルラテックスと種々の架橋剤、例えば実施例においてはカルボジライト架橋剤やエポキシ架橋剤を含有する下引き層により該下引き層上に形成される導電性高分子層との接着性を改善することが記載されている。しかし、シクロオレフィン系フィルムを用いた場合これらの架橋剤では、バインダーを含有する層を塗設する場合は十分満足できる接着力を得ることができず、加えて金属を直に析出させる場合は金属層の膜強度の低下や、物理現像銀の場合は更に銀膜の光学濃度を低下させることがあり問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−147304号公報
【特許文献2】特開2008−134624号公報
【特許文献3】特開平6−107832号公報
【特許文献4】特開2005−097571号公報
【特許文献5】特開2001−298275号公報
【特許文献6】特開2008−235467号公報
【特許文献7】特開2008−014968号公報
【特許文献8】特開2010−080237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、接着性に優れ、易接着層の上に設ける機能層の膜強度や光学濃度等に悪影響を及ぼすことのない易接着フィルムおよびこれを用いた積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は以下の手段によって達成された。
(1)シクロオレフィン系フィルムの少なくとも一方の面上にウレタンラテックス及びアクリルラテックスから選ばれるラテックスエマルジョン、エポキシ化合物およびイソシアネート化合物を含有する易接着層を有することを特徴とする易接着フィルム。
(2)前記易接着フィルムの易接着層上に機能層を有する積層体。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、接着性に優れ、易接着層の上に設ける機能層の膜強度や光学強度に悪影響を及ぼすことのない易接着フィルムおよびこれを用いた積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の易接着フィルムに用いられるシクロオレフィン系フィルムとしては、シクロオレフィン系ポリマーを使用して、押し出し成形、インフレーション成形等によりシート等に成形されたものが用いられる。シクロオレフィン系フィルムは、未延伸でも一軸もしくは二軸延伸してもよく、また、シクロオレフィン系フィルムと易接着層との接着性を向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、遠赤外線処理などをすることもできる。
【0012】
シクロオレフィン系ポリマーとしては、シクロオレフィンから導かれる構成単位単独から導かれるポリマー、または、直鎖状、分岐状のα−オレフィンから導かれる構成単位、芳香族ビニル化合物から導かれる構成単位、およびアルキル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位の少なくとも1種の構成単位と環状オレフィンから導かれる構成単位とのシクロオレフィンコポリマーが挙げられる。各構成単位の結合はブロックであってもランダムであってもよい。
【0013】
シクロオレフィン系ポリマーの具体例としては、例えばビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体等のノルボルネン環を有するものが挙げられる。
【0014】
また、上記シクロオレフィン系ポリマーとしては、ガラス転移点(Tg)が50〜220℃、好ましくは80〜170℃、吸水率が0.3%以下、好ましくは0.01%以下であり、光線透過率が88〜95%と透明性の高いものが好適である。
【0015】
シクロオレフィン系フィルムの厚みとしては、特に限定されるものではないが、下限としては5μm以上が好ましく、より好ましくは50μm以上で、上限としては500μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以下のものが採用される。
【0016】
本発明の易接着フィルムは少なくともシクロオレフィン系フィルムの片面に易接着層が塗設されている。易接着層は環境上の観点から水系塗液を塗布、乾燥して形成することにより易接着フィルムとすることが好ましい。
【0017】
シクロオレフィン系フィルム上に易接着層を塗設する塗液の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法を用いることができる。また、易接着層上に後述する各種機能層を設ける場合にも同様の塗工方法を用いることができる。
【0018】
易接着層は樹脂成分としてウレタンラテックス及びアクリルラテックスから選ばれるラテックスエマルジョンを含有し、これらラテックスエマルジョンを併用することもできる。これらのラテックスとしては水性溶媒中に分散された単独重合体や共重合体など各種公知のラテックスエマルジョンを用いることが好ましく、その中でもウレタンラテックスが特に好ましい。
【0019】
ウレタンラテックスはポリオールとポリイソシアネートから合成され、それに用いるポリオールとしてポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールなどが挙げられる。本発明においてポリエーテル系ウレタンとはポリオールとしてポリエーテルを用いたもの、ポリエステル系ウレタンとはポリオールとしてポリエステルを用いたもの、ポリカーボネート系ウレタンとはポリオールとしてポリカーボネートを用いたものを意味する。例えば、ポリカーボネートポリオールは炭酸エステルとジオールとを反応させることにより得ることができる。炭酸エステルの例としてはエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどを挙げることができ、ジオールの例としては1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0020】
アクリルラテックスとは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を成分とするポリマーである。具体的例示としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシルアクリレート等を主成分として、これらと共重合可能なモノマー(例えば、スチレン、ジビニルベンゼン等)を共重合したポリマー等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体が共重合成分に占める割合としては30質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上である。
【0021】
ウレタンラテックスおよびアクリルラテックスの平均粒子径は0.01〜0.3μmであることが好ましく、更に好ましくは0.02〜0.2μmである。また、これらラテックスは他の樹脂成分を混合して用いることも可能であるが、ウレタンラテックスやアクリルラテックスは易接着層中の全樹脂成分の20質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは40質量%以上である。
【0022】
本発明の易接着フィルムの易接着層に用いる他の樹脂成分としてはスチレンブタジエンラテックス、塩化ビニル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス等の高分子ラテックスの他に公知の水溶性高分子化合物を用いることも可能であり、ウレタンラテックスおよびアクリルラテックスは水溶性高分子と併用することが特に好ましい。かかる水溶性高分子化合物としてはポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸とスチレンの共重合体等が挙げられ、またゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリリジン等のタンパク質、カラギーナン、ヒアルロン酸などムコ多糖類、「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)2.6.4章記載のアミノ化セルロース、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、アリルアミンとジアリルアミンの共重合体、ジアリルアミンと無水マレイン酸との共重合体、ジアリルアミンと二酸化硫黄との共重合体などが挙げられる。これら水溶性高分子化合物の中ではタンパク質やポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のアミノ基を有する高分子化合物を用いることが好ましい。水溶性高分子化合物は易接着層中の全樹脂成分の70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。
【0023】
本発明の易接着フィルムの易接着層に用いる全樹脂成分量は2500mg/m以下であることが好ましく、より好ましくは50〜1000mg/mである。
【0024】
本発明の易接着フィルムの易接着層は架橋剤としてエポキシ化合物とイソシアネート化合物を含有する。本発明においてエポキシ化合物とは分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物のことを示し、イソシアネート化合物とは分子中に少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物のことを示す。
【0025】
本発明に用いる好適なエポキシ化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルもしくはエピクロロヒドリン重付加物、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルもしくはエピクロロヒドリン重付加物、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルもしくはエピクロロヒドリン重付加物、ビフェニル型ビスフェノールのジグリシジルエーテルもしくはエピクロロヒドリン重付加物、ノボラック樹脂のグリシジルエーテルもしくはエピクロロヒドリン重付加物、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。その他モノエポキシ化合物についても含むことができる。これらの化合物で好ましくは2つ以上のエポキシ基を持つものである。
【0026】
上記化合物の市販品としては、例えばナガセケムテックス株式会社製デナコールEX810、同EX911、同EX211、同EX313、同EX421、同EX512、同EX614、同EX146、同EX192等を挙げることができるが、これらに限定されない。これらエポキシ化合物の全樹脂成分に対する含有量は、0.5質量%〜30質量%が好ましく、更に好ましくは1質量%〜15質量%である。
【0027】
イソシアネート化合物としては、水中で安定である化合物が好ましく、いわゆる自己乳化性イソシアネート化合物や、ブロックイソシアネート化合物が好ましく使用される。自己乳化性イソシアネート化合物としては、例えば、特公昭55−7472号公報(米国特許第3,996,154号)、特開平5−222150号公報(米国特許第5,252,696号)、特開平9−71720号公報、特開平9−328654号公報、特開平10−60073号公報の明細書等に記載されるような自己乳化性イソシアネートを指す。具体的には、例えば、脂肪族或いは脂環族ジイソシアネートから形成される環状三量体骨格のイソシアヌレート構造を分子内に有するポリイソシアネートや、ビュレット構造、ウレタン構造等を分子内に有するポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとし、これに片末端エーテル化したポリエチレングリコール等をポリイソシアネート基の内一部のみに付加させて得られる構造のポリイソシアネート化合物がきわめて好ましい例として挙げられる。こうした構造のイソシアネート化合物の合成法については上記の明細書中に記載されている。
【0028】
上記化合物の市販品としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等を出発原料とした環状三量化によるポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとしたものが市販されており、例えば、旭化成株式会社からデュラネートWB40或いはWX1741等の名称で入手可能であるが、これらに限定されない。これらイソシアネート化合物の全樹脂成分に対する含有量は、0.01質量%〜10質量%が好ましく、更に好ましくは0.05質量%〜5質量%である。
【0029】
本発明の易接着フィルムの易接着層における架橋剤の添加量は易接着層中の全樹脂成分量に対して1〜20質量%が好ましい。
【0030】
更に易接着層にはシリカなどのマット剤、滑剤、顔料、染料、界面活性剤、紫外線吸収剤等を含有させることができる。
【0031】
本発明の易接着層上に設けられる機能層としては、例えば前述の特開平6−107832号公報(特許文献3)、特開2005−097571号公報(特許文献4)に記載されているようなバインダーを含有する機能層や、特開2001−298275号公報(特許文献5)、特開2008−235467号公報(特許文献6)特開2008−014968号公報(特許文献7)に記載されているような金属層を直に析出させた機能層が挙げられる。中でも金属層を直に析出させた機能層においては優れた導電性に加え、従来技術において見られた膜強度の低下が改善されるという秀逸な効果が得られる。更に機能層が物理現像銀である場合には上記した効果に加え、十分な光学濃度が得られるという秀逸な効果が得られる。このため本発明の積層体が有する機能層としては、易接着層上に金属層を直に析出させた機能層が好ましく、更に物理現像銀であることがより好ましい。
【実施例】
【0032】
本発明の実施例を以下に示す。本発明に使用される易接着フィルムを作製するために、透明支持体として、厚み100μmのシクロオレフィンコポリマーフィルム(恵和社製、ガラス転移点:約145℃、全光線透過率:約91.5%)を用いた。
【0033】
次に下記処方に従い、易接着層塗液A1〜A5、及び比較易接着層塗液A6〜A16を作製し、シクロオレフィンコポリマーフィルムの片面上にそれぞれ塗布し、60℃で5分乾燥させた。易接着層塗布、乾燥後50℃24時間加温処理することで易接着層A1〜A16を有する易接着フィルムを作製した。
【0034】
<易接着層塗液処方A1/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径:50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−1) 30mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 5mg
【0035】
【化1】

【0036】
【化2】

【0037】
<易接着層塗液処方A2/1m当たり>
ジュリマーAT515(日本純薬社製アクリルラテックス)
770mg(固形分230mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−1) 30mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 5mg
【0038】
<易接着層塗液処方A3/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径:50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−1) 50mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 0.5mg
【0039】
<易接着層塗液処方A4/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径:50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−2) 30mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 5mg
【0040】
【化3】

【0041】
<易接着層塗液処方A5/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径:50nm)
385mg(固形分135mg)
ジュリマーAT515(日本純薬社製アクリルラテックス)
385mg(固形分115mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−1) 30mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 5mg
【0042】
<比較易接着層塗液処方A6/1m当たり>
NipolLX416
(日本ゼオン社製スチレンブタジエンラテックス、粒子径:110nm)
770mg(固形分370mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−1) 30mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 5mg
【0043】
<比較易接着層塗液処方A7/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径:50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−1) 40mg
【0044】
<比較易接着層塗液処方A8/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径:50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 40mg
【0045】
<比較易接着層塗液処方A9/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−1) 30mg
カルボジライト化合物
(日清紡社製架橋剤カルボジライトV−02V−L2) 5mg
【0046】
<比較易接着層塗液処方A10/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−1) 30mg
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩 5mg
【0047】
<比較易接着層塗液処方A11/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
エポキシ化合物(E−1) 30mg
グルタルアルデヒド 5mg
【0048】
<比較易接着層塗液処方A12/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 30mg
カルボジライト化合物
(日清紡社製架橋剤カルボジライトV−02V−L2) 5mg
【0049】
<比較易接着層塗液処方A13/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 30mg
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩 5mg
【0050】
<比較易接着層塗液処方A14/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径50nm)
770mg(固形分270mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製WB40D) 30mg
グルタルアルデヒド 5mg
【0051】
<比較易接着層塗液処方A15/1m当たり>
NipolLX416
(日本ゼオン社製スチレンブタジエンラテックス、粒子径:110nm)
770mg(固形分370mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩 40mg
【0052】
<比較易接着層塗液処方A16/1m当たり>
ハイドランWLS201
(DIC社製ポリエーテル系ウレタンラテックス、粒子径50nm)
700mg(固形分245mg)
ジュリマーAT515(日本純薬社製アクリルラテックス)
70mg(固形分 25mg)
ゼラチン 50mg
界面活性剤(S−1) 1mg
サイリシア450(富士シリシア化学社製シリカ) 1.25mg
カルボジライト化合物
(日清紡社製架橋剤カルボジライトV−02V−L2) 40mg
【0053】
得られた易接着フィルムについて、紫外線硬化型接着剤との接着性、易接着フィルム上に設けられた物理現像銀膜の光学濃度、強度、接着性について下記のように評価し表1に示した。
【0054】
<紫外線硬化型接着剤との接着性>
得られた易接着フィルムの易接着層の上にロックタイト3105(ヘンケル社製無溶剤型の可視光重合型ウレタンアクリレート接着剤)を湿分塗布量が10g/mとなるよう塗布し、200μmのポリカーボネートフィルム(三菱ガス化学社製ユーピロンシート)を重ね、紫外線照射装置を用いて紫外線照射し、硬化させ接着させ積層体を得た。JIS K6843−3に従い25mmの幅に切った積層体のT字剥離強度を測定した。
【0055】
<物理現像銀膜の光学濃度、膜強度、接着性>
硫化パラジウムゾル液を下記のようにして作製し、得られたゾルを用いて物理現像核液を作製した。
【0056】
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0057】
<物理現像核液組成/1m当たり>
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
界面活性剤S−1 30mg
【0058】
この物理現像核液を前述の易接着層A1〜A16上に塗布し、乾燥した。
【0059】
続いて、上記物理現像核液を塗布した側と反対側に下記組成の裏塗り層を塗布した。
<裏塗り層組成/1m当たり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
染料1 200mg
界面活性剤S−1 400mg
【0060】
【化4】

【0061】
続いて、支持体に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、及び最外層を上記物理現像核液が塗布された易接着層の上に塗布し、導電性材料前駆体を得た。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1g当たり0.5gのゼラチンを含む。
【0062】
<中間層組成/1m当たり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
【0063】
<ハロゲン化銀乳剤層組成/1m当たり>
ゼラチン 0.5g
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
【0064】
<最外層組成/1m当たり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤S−1 10mg
【0065】
前記導電性材料前駆体を下記拡散転写現像液中に15℃で90秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、最外層及び裏塗り層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。こうして易接着層上に物理現像銀を析出させた。
【0066】
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000mL
pH=12.2に調整する。
【0067】
<銀膜の光学濃度>
白黒透過濃度計Ihac−T5(IHARA社製)を用いて測定した。
【0068】
<銀膜の強度>
HEDON−18針圧計を用いて0.5mmRのサファイヤ針で0〜100gの荷重で引っ掻き、傷が見え始める荷重(g)を目視にて評価した。
【0069】
<金属膜の密着性>
前記易接着フィルム上に設けられた銀膜を、下記処方のニッケル電解めっき浴を用い、画像当たりの電流密度2A/dm、45℃で10分間めっきし、水洗、乾燥した。めっきされた銀薄膜に日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31を金属面に気泡の入らないように貼り付け、その後勢い良くテープを剥がし剥離テストを行った。剥離テストの評価は○が剥離無し、△が一部剥離あり、×が全面剥離の3段階とした。
【0070】
<ニッケルめっき浴組成>
60質量%スルファミン酸ニッケル溶液 500mL
メルブライトNI−2225A(メルテックス社製) 200mL
メルブライトNI−2225B(メルテックス社製) 20mL
イオン交換水を加えて全量を1000mLとする。
【0071】
得られた結果を表1に示す。これらの結果から、シクロオレフィン系フィルムの少なくとも一方の面上にウレタンラテックス及びアクリルラテックスから選ばれるラテックスエマルジョン、エポキシ化合物及びイソシアネート化合物を含有する易接着層を設けることにより、接着性に優れ、機能層の膜強度や光学濃度に悪影響を及ぼすことのない易接着フィルムが得られることがわかる。
【0072】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロオレフィン系フィルムの少なくとも一方の面上にウレタンラテックス及びアクリルラテックスから選ばれるラテックスエマルジョン、エポキシ化合物及びイソシアネート化合物を含有する易接着層を有することを特徴とする易接着フィルム。
【請求項2】
請求項1記載の易接着フィルムの易接着層の上に機能層を有する積層体。

【公開番号】特開2012−40709(P2012−40709A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182050(P2010−182050)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】