説明

易接着性白色ポリエステルフィルム

【課題】高温高湿下での密着性に優れる易接着性白色ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有する易接着性白色ポリエステルフィルムであって、前記塗布層が脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂と架橋剤を主成分とし、前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.40〜1.55であり、当該フィルムの光学濃度が0.5〜2.0、白色度が60〜98である、易接着性白色ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密着性と耐湿熱性に優れた易接着性白色ポリエステルフィルムに関する。詳しくはテレホンカード,キャッシュカード,クレジットカード,交通カード,IDカードなどの磁気カード,ICカード,印刷カード、ラベルやグラフィック材料等の印刷材料,液晶ディスプレイバックライトの反射板,フレキシブルフラットケーブル基材などの工業材料として好適な、易接着性白色ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性等の優れた特性を有することから、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、感光材料、製図材料、写真材料等多くの分野の基材フィルムとして使用されている。
【0003】
しかしながら、二軸延伸フィルム表面は高度に結晶配向されているため、各種塗料、接着剤、インキ等との接着性が乏しい等の欠点を有している。特に、ラベル用途や磁気記録カード用途等では、その最終製品の使用状態や保管状態が各個人によって大きく異なり、例えば保管中にラベルや磁気記録カードが一時的にではあるが、折れ曲がる状態を経ることがある。この時、基材フィルムと被覆物(装飾層や磁気記録層等)との接着性が乏しいと、界面で剥離し製品外観を損なう、あるいは磁気記録カードとしての機能を失うことになる。そのため、従来からポリエステルフィルム表面に種々の方法により接着性を付与する検討がなされてきた。
【0004】
例えば、基材フィルムの表面に、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルなどの各種樹脂を被覆層の主たる構成成分とする塗布層を設けることにより、基材フィルムに易接着性を付与する方法が一般的に知られている。この塗布法の中でも、結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムに、前記樹脂の溶液または樹脂を分散媒で分散させた分散体を含有する水性塗布液を基材フィルムに塗工し、乾燥後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を施して、熱可塑性樹脂フィルムの配向を完了させる方法(いわゆるインラインコート法)や、熱可塑性樹脂フィルムの製造後、該フィルムに水系または溶剤系の塗布液を塗布後、乾燥する方法(いわゆるオフラインコート法)が工業的に実施されている。
【0005】
本発明のフィルムが想定するカードや印刷材料,工業材料は、屋内外を問わず種々の環境で用いられる。特に、ICカードなどは、高温多湿となる自動車の室内に保管されたり、東南アジアなどの高温多湿地域などでも頻繁にかつ長期間にわたって用いられたりするため、高い耐久性すなわち高温高湿下でも層間剥離がおきないような高い耐湿熱性をと密着性を両立させることが求められる。
【0006】
そのため下記特許文献では、塗布液に架橋剤を添加し、インラインコート法による塗布層形成時に塗布層樹脂中に架橋構造を形成させることで、耐湿熱性を付与した易接着性熱可塑性樹脂フィルムが開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−141574号公報
【特許文献2】特開2000−355086号公報
【特許文献3】特開2007−253512号公報
【特許文献4】特許第2544792号公報
【特許文献5】特許第3900191号公報
【特許文献6】特許第3737738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献に開示されるような易接着性フィルムは、当初は良好な密着性を示すものの、高温高湿下の長期間の使用においては密着強度の低下は避けられないものであった。このような密着性の低下のため、初期性能が長期間維持しないという問題があった。
【0009】
本発明は上記課題に鑑み、従来避けられないと考えられてきた高温高湿下での塗布層の劣化、換言すれば高温高湿下における密着性の低下をほとんど引き起こさない易接着性白色ポリエステルフィルムを提供するものである。
【0010】
なお、本発明で言う高温高湿下での密着性とは光硬化型アクリル層を積層した後80℃、95%RH、48時間の環境下に置き、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、光硬化型アクリル層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状ハーフカットを光硬化型アクリル層面につけ、次いでセロハン粘着テープをマス目状のハーフカット面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させ、同一箇所を、勢いよく5回引きはがした時の密着性を意味し、一般に用いられるJIS K5600−5−6記載の評価方法より厳しい判定基準における密着性である。本発明はこのような高温高湿下での密着性が初期に示す密着性と同等もしくはそれ以上の密着性を示すことが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、少なくとも片面に塗布層を有するポリエステルフィルムであって、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂と架橋剤を主成分とし、赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.40〜1.55である塗布層を用いることにより、高温高湿下での密着性が向上することを見出し、本発明に至ったものである。
【0012】
すなわち、前記の課題は、以下の解決手段により達成することができる。
(1)白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有する易接着性白色ポリエステルフィルムであって、前記塗布層が脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂と架橋剤を主成分とし、前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.40〜1.55であり、当該フィルムの光学濃度が0.5〜2.0、白色度が60〜98である、易接着性白色ポリエステルフィルム。
(2)前記架橋剤がメラミン系架橋剤,イソシアネート系架橋剤,カルボジイミド系架橋剤,オキサゾリン系架橋剤から選ばれた少なくとも一種類の架橋剤である前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
(3)前記塗布層中の脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂と架橋剤の質量比(ウレタン樹脂/架橋剤)が1/9〜9/1である前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
(4)前記白色ポリエステルフィルムが平均粒径0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有する前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
(5)前記白色ポリエステルフィルムの内部にポリエステル樹脂とは非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞を多数含有する前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
【発明の効果】
【0013】
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムは印刷層や粘着・接着層などの機能層との高温高湿下での密着性および耐湿熱性に優れ、上記の高温高湿処理後の密着性が当初の密着性と同等かもしくは向上するものである。これによって、本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムを基材として用いたカードや印刷材料,工業材料は、高温高湿下での印刷層や粘着・接着層との密着性が良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[白色ポリエステルフィルム]
本発明の白色ポリエステルフィルムは結晶性のポリエステルを主体として構成されることが必要である。結晶性ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールとを適切な割合で重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる直重法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させるエステル交換法か、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造することができる。
【0015】
前記の結晶性ポリエステルの代表例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートが挙げられる。前記のポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであってもよい。
【0016】
前記の結晶性ポリエステルは、その固有粘度が0.4〜0.8dl/gであることが好ましい。固有粘度が0.4dl/g未満の場合には、製造時の延伸工程で破断することが多くなったり、得られたフィルムの力学的特性が低下したりするため好ましくない。また、0.8dl/gを超える場合には、力学特性の向上効果が飽和するばかりでなく、押出時の負荷が大きくなるため好ましくない。
【0017】
本発明のフィルムは、白色であることすなわちフィルム全体での光学濃度が0.5〜2.0であることと、白色度が60〜98であることが必要である。光学濃度がこの下限に満たない場合には半透明状の外観を有することになるために好ましくなく、上限を超えた場合には製造時の延伸工程での破断頻度が増加するなどして工業生産が困難となるために好ましくない。また白色度がこの下限に満たない場合には、外観上もはや白色とは言えず印刷基材などとして用いた場合の意匠性が著しく低下するため好ましくない。なお白色度がこの上限を超えることにおいてはフィルムの性質上で特段の問題を生じないが、本発明の技術領域とは異なる特段の技術を用いることが必要であるため、本発明の範囲ではない。
【0018】
この光学濃度すなわち隠蔽性と白色度を達成するためには、フィルム内部に微粒子や微細空洞を含有させるのが好ましい実施形態である。
【0019】
フィルムに含有させる微粒子としては、白色顔料や空洞形成の核剤として作用する無機または有機の微粒子が用いられ、酸化チタンや硫酸バリウム,酸化亜鉛,硫化亜鉛,炭酸カルシウム,架橋アクリル粒子,架橋ポリスチレン粒子などが好適であるが、屈折率が高いことから白色顔料として高い性能を有する酸化チタンが好ましい。
【0020】
ここで用いる微粒子においては、平均粒径として0.1〜3μmのものを用いることが好ましく、0.2〜0.5μmのものを用いることがより好ましい。平均粒径がこの範囲に満たない場合には、粒子やその周辺に形成される微細空洞のサイズが可視光線の波長領域より小さくなり、隠蔽性や白色度を発現しにくくなるために好ましくない。またこの範囲を超える場合には、フィルム表面に粗大な突起欠点を引き起こしたり、製造時の延伸工程での破断を誘発したりするために好ましくない。
【0021】
なお、微粒子の平均粒径の測定については、フィルム断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−51O型)で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーし、次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の粒子について各粒子の外周をトレースし、画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、これらの平均を平均粒子径とする。
【0022】
またフィルム中に微粒子を含有させる場合には、その含有量はフィルム全体に対して3〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。含有量がこの範囲に満たない場合には、隠蔽性や白色度を発現する効果が僅少となるため好ましくなく、この範囲を超える場合にはこの効果が飽和したり、製造時の延伸工程での破断を誘発したりするために好ましくない。
【0023】
本発明においては、ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を空洞形成剤として含有させ、次いで少なくとも一方向に延伸することによって微細な空洞を形成させた空洞含有ポリエステルフィルムとすることも好ましい実施形態である。
ここで用いるポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂などが例示されるが、中でもポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂が好ましく、この両者を併用することがより好ましい。更にポリオレフィン系樹脂としてはポリプロピレン系樹脂やポリメチルペンテン系の樹脂が耐熱性や空洞形成性の上から好ましく、ポリスチレン系樹脂としてはホモポリマーであるGPPS樹脂が耐熱性や分散性の観点から好ましい。
【0024】
フィルム中に空洞を含有させて用いる場合には、本発明のフィルム全体における見かけ密度が0.7〜1.3g/cmとすることが好ましく、1.0〜1.2g/cmとすることがより好ましい。見かけ密度がこの範囲に満たない場合には、フィルムの表面強度が著しく低下したり、加工時に座屈ジワなどを生じたりするために好ましくない。またこの範囲を超えた場合には、微細空洞によって発現する隠蔽性や白色性,クッション性などが十分でなく、微細空洞を形成させる意味が希薄になる。
【0025】
なお本発明のフィルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲において、その他の微粒子(アンチブロッキング剤やマット剤)や酸化防止剤や熱安定剤,帯電防止剤,蛍光増白剤,耐光剤,紫外線吸収剤,界面活性剤,架橋剤などを含有させることも可能である。
【0026】
また、基材ポリエステルフィルムの層構成は単層構成でも積層構成でも構わないが、共押出しによって積層構成とすることは好ましい実施形態である。例えば微細空洞を含有する内層と実質的に空洞を含有しない外層を積層すれば、クッション性発現しつつフィルム表面の強度も確保できるなどの利点を得ることができる。
【0027】
[塗布層]
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムには、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂と架橋剤を主成分とした塗布層が形成され、赤外分光法による測定で、前記塗布層の脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)の比率(A1460/A1530)が0.40〜1.55であることが重要である。ここで、「主成分」とは、塗布層に含まれる全固形成分中として50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有することを意味する。
【0028】
上記特許文献のように、従来の技術常識では塗布層の耐湿熱性を向上させる点からは塗布層形成においてガラス転移温度の高い樹脂や架橋構造を積極的に導入し、強硬な塗布層にすることが望ましいと考えられていた。しかし、本発明ではポリウレタン樹脂と架橋剤を組み合わせ、赤外分光法による吸光度を一定の範囲に制御することで、高温高湿熱下での密着性を向上させるという顕著な効果を見出し、本発明に至った。このような構成により、高温高湿下での密着性を向上させることの機序は未確認であるが、本発明者は次のように考えている。
【0029】
すなわちフィルムに接着層などを積層した場合、接着層を構成する樹脂の硬化時の収縮や高温高湿処理時の膨張・膨潤により、接着層と塗布層との間に強い応力が生じる。係る積層フィルムを高温高湿下においた場合、接着層などを構成する材料に含まれる溶媒による溶解または膨潤や加水分解により、塗布層の劣化が進行する。その結果、上記応力に耐え切れず、接着層が剥離し、密着性が低下すると考えられた。そのため、高温高湿下での密着性を高度に保持するためには、単に塗布層を強固に架橋したり、耐加水分解性を付与したりするだけでなく、上記応力に耐えうる柔軟性を備えることが望ましいと考えられる。しかし、単に柔軟性を有するだけでは、耐溶剤性や強度の点で問題がある。そのためこれら相反する特性を両立させることが最も望ましい。
【0030】
本発明では、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂と架橋剤を主成分とする塗布層であって、赤外分光法による測定される脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)の比率(A1460/A1530)が0.40〜1.55とすることで、上記特性を両立させるものである。すなわち、架橋剤により耐溶剤性を付与しつつ、耐加水分解性かつ柔軟性を有する脂肪族系ポリカーボネート成分と、強硬性を奏するウレタン成分とを所定の割合で共存させることで、上記特性の両立を図るものである。これにより、光硬化型樹脂の硬化時の収縮や高温高湿処理時の膨潤による応力を緩和することができるため、様々な光硬化型樹脂等で良好な密着性を得ることができ、その後の高温高湿の環境下でも、塗布層に残留した溶剤や希釈モノマーによる溶解、膨潤や加水分解などの塗布層の劣化を防止できると考えている
【0031】
ここで、1460cm−1付近の吸光度(A1460)は、脂肪族系ポリカーボネート成分に含まれるメチレン基のC−H結合に特有の変角振動に由来する。よって、1460cm−1付近の吸光度(A1460)の大きさは塗布層に存在するウレタン樹脂を構成する脂肪族系ポリカーボネートポリオール成分量に依存する。一方、1530cm−1付近の吸光度(A1530)は、ウレタン成分に含まれるN−H結合に特有の変角振動に由来する。よって、1530cm−1付近の吸光度(A1530)の大きさは塗布層に存在するウレタン樹脂を構成するウレタン成分量(ウレタン結合数)に依存する。また、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を用いる場合、1530cm−1付近の吸光度(A1530)の大きさは塗布層に存在するウレタン樹脂と架橋剤量の総和としてのウレタン成分量(ウレタン結合数)に依存する。そのため、これらの吸光度比率(A1460/A1530)は、それぞれ異なる特性を有する両成分を特定の割合で共存していることを示すものである。本発明では、前記比率(A1460/A1530)が0.40〜1.55であるが、前記比率(A1460/A1530)の下限は好ましくは0.45であり、より好ましくは0.50である。また、前記比率(A1460/A1530)の上限は好ましくは1.50であり、より好ましくは1.40であり、さらに好ましくは1.30であり、よりさらに好ましくは1.20である。前記比率(A1460/A1530)が、0.40未満の場合は、強硬なウレタン成分が多くなりすぎ、塗布層の応力緩和が低下するため耐湿熱性が低下する。また、前記比率(A1460/A1530)が、1.55を越える場合は、柔軟な脂肪族系ポリカーボネートの脂肪族成分が多くなりすぎ、塗布層の耐溶剤性が低下するため耐湿熱性が低下する。
【0032】
本発明は、上記態様によって高温高湿下での密着性(耐湿熱性)を向上させることができる。さらに、本発明の構成を以下に詳細する。
【0033】
(ウレタン樹脂)
本発明のウレタン樹脂は、構成成分として、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分を含み、さらに必要に応じて鎖延長剤を含む。本発明のウレタン樹脂は、これら構成成分が主としてウレタン結合により共重合された高分子化合物である。本発明では、ウレタン樹脂の構成成分として脂肪族系ポリカーボネートポリオールを有することを特徴とする。本発明の塗布層に脂肪族系ポリカーボネートを構成成分とするウレタン樹脂を含有させることで、耐湿熱性を向上させることができる。なお、これらウレタン樹脂の構成成分は、核磁気共鳴分析などにより特定することが可能である。
【0034】
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるジオール成分には、耐熱、耐加水分解性に優れる脂肪族系ポリカーボネートポリオールを含有させる必要がある。本発明においては、黄変防止の点からも脂肪族系ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
【0035】
脂肪族系ポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族系ポリカーボネートジオール、脂肪族系ポリカーボネートトリオールなどが挙げられるが、好適には脂肪族系ポリカーボネートジオールを用いることができる。本発明のウレタン樹脂の構成成分である脂肪族系ポリカーボネートジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類の一種類または二種類以上と、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲンなどのカーボネート類とを反応させることにより得られる脂肪族系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、好ましくは1500〜4000であり、より好ましくは2,000〜3,000である。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量が小さい場合は、相対的にウレタン樹脂を構成する脂肪族系ポリカーボネート成分の比率が小さくなる。そのため、前記比率(A1460/A1530)を前述の範囲にするためには、脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量を上記範囲で制御することが好ましい。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量が大きいと、脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)が増加し、脂肪族成分が増加してしまうため、耐溶剤性が低下し、密着性が低下する場合がある。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量が小さいと強硬なウレタン成分が増加し、光硬化型樹脂等の収縮、膨潤による応力を緩和できなくなり、密着性が低下する場合がある。
【0036】
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。芳香族イソシアネートを使用した場合、黄変の問題があるため意匠性の観点からは、好ましくない場合がある。また、脂肪族系と比較して強硬な塗膜になるため、接着層などを構成する樹脂等の収縮、膨潤による応力を緩和できなくなり、密着性が低下する場合がある。
【0037】
前記比率(A1460/A1530)は、鎖延長剤によっても調整することができる。本発明の用いることができる。鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。ただし、主鎖の短い鎖延長剤を用いると、ウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)が増し、塗布層の柔軟性が低下する場合がある。よって鎖延長剤としては主鎖の長いものが好ましい。また、塗布層の柔軟性を付与する点では、脂肪族系で主鎖の炭素数が4〜10の長さのジオールやジアミンの鎖延長剤が好ましい。これらの点から、本発明に用いる鎖延長剤としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジアミンなどが好適である。
【0038】
本発明の塗布層は、水系の塗布液を用い後述のインラインコート法により設けることが好ましい。そのため、本発明のウレタン樹脂は水溶性であることが望ましい。なお、前記の「水溶性」とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解することを意味する。
【0039】
ウレタン樹脂に水溶性を付与させるためには、ウレタン分子骨格中にスルホン酸(塩)基又はカルボン酸(塩)基を導入(共重合)することができる。スルホン酸(塩)基は強酸性であり、その吸湿性能により耐湿性を維持するのが困難な場合があるので、弱酸性であるカルボン酸(塩)基を導入するのが好適である。また、ポリオキシアルキレン基などのノニオン性基を導入することもできる。
【0040】
ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入し、塩形成剤により中和する。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミンなどのN−ジアルキルアルカノールアミン類が挙げられる。これらは単独で使用できるし、二種類以上併用することもできる。
【0041】
水溶性を付与するために、カルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物を共重合成分として用いる場合は、ウレタン樹脂中のカルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物の組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%としたときに、3〜60モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることが好ましい。前記組成モル比が3モル%未満の場合は、水分散性が困難になる場合がある。また、前記組成モル比が60モル%を超える場合は、耐水性が低下するため耐湿熱性が低下する場合がある。
【0042】
本発明のウレタン樹脂のガラス転移点温度は0℃未満が好ましく、より好ましくは−5℃未満である。ガラス転移点温度が0℃未満の場合は塗布層の応力緩和の点から好適な柔軟性を奏しやすく好ましい。
【0043】
前記ウレタン樹脂は塗布層中に、10質量%以上90質量%以下含有することが好ましい。特に、レンズ層のように高い密着性が求められる場合、より好ましくは20質量%以上80質量%以下である。ウレタン樹脂の含有量が多い場合には、高温高湿下での密着性が低下し、逆に、含有量が少ない場合には、初期での密着性が低下する。
【0044】
本発明のウレタン樹脂には耐溶剤性を向上させるために、架橋剤の添加に加えてウレタン樹脂自体に自己架橋基を導入しても良い。これにより、樹脂の架橋度が増し、耐溶剤性が向上する。本発明に用いる自己架橋基としては特に限定されないが、水系塗布液中でも比較的安定性なシラノール基を好適に用いることができる。
【0045】
本発明のウレタン樹脂以外の樹脂でも、密着性を向上させるために含有させても良い。例えば、ポリエーテル、または、ポリエステルを構成成分とするウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0046】
[架橋剤]
本発明において、塗布層中に架橋剤を含有させる必要がある。架橋剤を含有させることにより、高温高湿下での密着性を更に向上させることが可能になる。架橋剤としては、カルボン酸基、水酸基、アミノ基などと反応して、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合を形成するものが高温高湿処理で劣化しにくいため好ましい。逆に、エステル結合、エーテル結合を伴う場合は加水分解性を有する場合があり好ましくない。本発明で好適に用いられる架橋剤としては、メラミン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等が挙げられる。これらの中で、塗液の経時安定性、高温高湿処理下の密着性向上効果からイソシアネート系、カルボジイミド系、が好ましい。さらに、塗布層に適度な柔軟性を奏し、塗布層の応力緩和作用を好適に付与する点で、イソシアネート系架橋剤を用いることが特に好ましい。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用される。
【0047】
架橋剤の含有量としては、塗布層中に、10質量%以上90質量%以下が好ましい。より好ましくは、20質量%以上80質量%以下である。少ない場合には、塗布層の耐溶剤性が低下し、高温高湿下での密着性が低下し、多い場合には、塗布層の樹脂の柔軟性が低下し、常温および高温高湿下での密着性が低下する。
【0048】
前記塗布層中の脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂と架橋剤の質量比(ウレタン樹脂/架橋剤)は1/9〜9/1であることが好ましく、2/8〜8/2であることがさらに好ましい。質量比を係る範囲にすることで、ウレタン樹脂による接着性と架橋剤による耐久性とがより好適に両立することができる。
【0049】
本発明において、塗膜強度を向上させるために、二種類類の架橋剤を混合させても良い。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用される。
【0050】
[添加剤]
本発明において、塗布層中に粒子を含有させることもできる。粒子は(1)シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブタジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン/イソプレン系、ポリスチレン/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられる。
【0051】
前記粒子は、平均粒径が1〜500nmのものが好適である。平均粒子径は特に限定されないが、フィルムの透明性を維持する点から1〜100nmであれば好ましい。
前記粒子は、平均粒径の異なる粒子を二種類類以上含有させても良い。
【0052】
なお、上記の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、塗布層の断面に存在する10個以上の粒子の最大径を測定し、それらの平均値として求めることができる。
【0053】
粒子の含有量としては、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。少ない場合は、十分な耐ブロッキング性を得ることができない。また、対スクラッチ性が悪化してしまう。多い場合は、塗布層の透明性が悪くなるだけでなく、塗膜強度が低下する。
【0054】
塗布層には、コート時のレベリング性の向上、コート液の脱泡を目的に界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などいずれのものでも構わないが、シリコン系、アセチレングリコール系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は接着層などとの密着性を損なわない程度の範囲、例えば塗布液中に0.005〜0.5質量%の範囲で含有させることも好ましい。
【0055】
また塗布層に他の機能性を付与するために、封止材との接着性を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させても構わない。この添加剤としては、例えば蛍光染料,蛍光増白剤,可塑剤,紫外線吸収剤,顔料分散剤,抑泡剤,消泡剤,防腐剤,帯電防止剤等が挙げられる。
【0056】
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を設ける方法としては、溶媒、粒子、樹脂を含有する塗布液をポリエステルフィルムに塗布、乾燥する方法が挙げられる。溶媒として、トルエン等の有機溶剤、水、あるいは水と水溶性の有機溶剤の混合系が挙げられるが、好ましくは、環境問題の点から水単独あるいは水に水溶性の有機溶剤を混合したものが好ましい。
【0057】
[易接着性白色ポリエステルフィルムの製造]
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば以下のようにして製造することが出来る。
【0058】
フィルム原料を十分に真空乾燥した後に所望組成となるようにブレンドし、押出機で溶融混練りした後に、ダイスより回転冷却金属ロールに静電気を印加しながらシート状に押出して未延伸フィルムを得る。この際、白色顔料やその他添加剤は押出機に粉末添加して混練りするのではなく、予めポリエステル樹脂中に白色顔料などをそれぞれ別々に高濃度で含有させたマスターバッチを作成し、それらをポリエステル樹脂でブレンド希釈する方法が均一混合の点から好ましい。また、基材のポリエステルフィルムを積層構造とする場合には、各層を構成する原料を別々の押出機に供給した後、例えば溶融状態でA層/B層の二層構造やA層/B層/A層の3層構成などに積層して、同一のダイから押出す共押出し法を採用することが好ましい。
【0059】
こうして得られた未延伸フィルムは、更に速度差をもったロール間での延伸(ロール延伸)やクリップに把持して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)や空気圧によって拡げることによる延伸(インフレーション延伸)などによって二軸配向処理される。未延伸フィルムを延伸・配向処理する条件は、フィルムの物性と密接に関係する。以下では、最も一般的な逐次二軸延伸方法、特に未延伸シートを長手方向次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸・配向条件を説明する。
【0060】
まず、第一段の縦延伸工程では、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。次いで得られた一軸延伸フィルムをテンターに導入してポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)+10〜Tg+80℃の温度で2.5〜5倍に延伸する。
【0061】
このようにして得られた二軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター中で行うのが好ましく、熱処理温度はポリエステルの融点(Tm)−50℃からTm−10℃の範囲で3〜4.5倍に延伸するのが好ましい。
【0062】
塗布液をフィルムに塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能である。これらの方法の中でも、基材ポリエステルフィルムの結晶配向が完了する前に塗布し、その後、少なくとも一軸方向に延伸した後、ポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるインラインコート法が本発明の効果をより顕著に発現させることができるので好ましい方法である。
【0063】
塗布層を設ける方法としては、グラビアコート方式,キスコート方式,ディップ方式,スプレーコート方式,カーテンコート方式,エアナイフコート方式,ブレードコート方式、リバースロールコート方式,ダイコーター方式,ロールブラッシュ方式,ワイヤーバーコート方式,パイプドクター方式,含浸コート方式など通常用いられている方法が適用できる。
【0064】
本発明において、最終的に得られる塗布層の厚みは20〜350nm、乾燥後の塗布量は、0.02〜0.5g/mであることが好ましい。塗布層の塗布量がこの範囲に満たない場合には接着性が不十分となるため好ましくない。また塗布量がこの範囲を越えた場合には、レベリングが不均一となって横段状のコートムラが生じる場合があり好ましくない。
【0065】
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムの厚さは使用する用途に応じて任意に決めることができるが、25〜500μmの範囲であることが好ましく、50〜250μmの範囲であることがより好ましい。フィルム厚みがこの範囲に満たない場合には十分な白色性や機械強度が不十分となる。またフィルム厚みがこの範囲を超えた場合にはフィルムの製造工程において延伸することが困難になるため好ましくない。
【実施例】
【0066】
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
【0067】
(1)固有粘度
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用いて30℃で測定した。
【0068】
(2)ガラス転移点温度
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を使用して、DSC曲線からガラス転移開始温度を求めた。
【0069】
(3)赤外分光法による吸光度測定
得られた易接着性白色ポリエステルフィルムの塗布層を削り取り、約1mgの試料を採取した。採取した試料に圧力をかけ、厚み約1μmのフィルム状に成型した塗布層試料片(大きさ:約50μm×約50μm)を作成した。さらに、ブランク試料として基材フィルムと同質のPET樹脂についても前記手順と同様にして試料片(ブランク試料片)を作成した。
作成した試料片をKBr板上に載せ、下記条件の顕微透過法により赤外吸収スペクトルを測定した。塗布層の赤外分光スペクトルは、塗布層試料片から得た赤外分光スペクトルとブランク試料片のスペクトルとの差スペクトルとして求めた。
脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)は1460±10cm−1の領域に吸収極大をもつ吸収ピーク高さの値とし、ウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)は1530±10cm−1の領域に吸収極大をもつ吸収ピーク高さの値とした。なお、ベースラインはそれぞれの極大吸収のピークの両側の裾を結ぶ線とした。得られた吸光度から下記式により吸光度比率を求めた。
(吸光度比率)=A1460/A1530
【0070】
(測定条件)
装置:FT−IR分析装置SPECTRATECH社製 IRμs/SIRM
検出器:MCT,分解能:4cm−1,積算回数:128回
【0071】
(4)光学濃度
JIS K 7105により、濁度計(日本電色工業,NDH2000)を用いて全光線透過率T(%)を測定した。この値から光学濃度を次式により求めた。
光学濃度=−log(T/100)
【0072】
(5)白色度
測色色差計(日本電色工業,ZE2000)により測定したカラー値(L,a,b)を用い、JIS L 1015(ハンターの方法)によって求めた。
【0073】
(6)接着性
清浄に保った透明ポリエステルフィルム(東洋紡,A4100)の未処理面に、下記の光硬化型ウレタン/アクリル系塗布液を約5gのせ、フィルム試料の塗布層面と光硬化型アクリル系塗布液が接するように重ね合わせ、フィルム試料の上から幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーで光硬化型ウレタン/アクリル系塗布液を引き延ばすように圧着した。次いで透明フィルム面側から、高圧水銀灯を用いて500mJ/cmの紫外線を照射し、光硬化型ウレタン/アクリル樹脂を硬化させた。その後にフィルム試料を透明フィルムから注意深く剥離して、厚み20μmの光硬化型ウレタン/アクリル層を有する白色ポリエステルフィルムを得た。
【0074】
光硬化型ウレタン/アクリル系塗布液
光硬化型アクリル樹脂(新中村化学製A−BPE−4) 67質量%
光硬化型アクリル樹脂(新中村化学製AMP−10G) 15質量%
光硬化型ウレタン/アクリル樹脂(新中村化学製U−6HA) 15質量%
光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184) 3質量%
【0075】
このフィルムの光硬化型ウレタン/アクリル層面に、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、光硬化型ウレタン/アクリル層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状のハーフカットをつける。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm幅)をマス目状のハーフカット面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させた。その後、フィルム面に対して垂直にセロハン粘着テープを引き剥がす作業を5回行った後、フィルム表面から剥がれたマス目の数を目視で数え、下記の式から密着性を求めた。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数え、下記の基準でランク分けをした。
密着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×100
◎:100%、または、機能層の材破
○:99〜90%
△:89〜70%
×:69〜0%
【0076】
(7)耐湿熱性
上記(6)で得た光硬化型ウレタン/アクリル層を有する白色ポリエステルフィルムを高温高湿槽中(80℃、95%RH)で48時間処理した。次いで、このフィルムを取りだし、常温常湿下で12時間のエージングを施した後、前記(6)と同様の方法と基準で密着性を求めた。
【0077】
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−1の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸12.85質量部、数平均分子量2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール153.41質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、毎分2,000回転で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)を調製した。得られたポリウレタン樹脂(A−1)のガラス転移点温度は−30℃であった。
【0078】
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−2の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート29.14質量部、ジメチロールブタン酸7.57質量部、数平均分子量3,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール173.29質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン5.17質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、毎分2,000回転で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−2)を調製した。
【0079】
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−3の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸11.12質量部、ヘキサンジオール1.97質量部、数平均分子量2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール143.40質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、毎分2,000回転で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−3)を調製した。
【0080】
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするシラノール基含有ウレタン樹脂A−4の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート38.41質量部、ジメチロールプロパン酸6.95質量部、数平均分子量2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール158.99質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン4.37質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次にγ―(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン3.84質量部、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール1.80質量部と水450gを添加して、ポリウレタンプレポリマー溶液を滴下して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分30%の水溶性シラノール基含有ポリウレタン樹脂(A−4)を調製した。
【0081】
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−5の重合)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量1,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−5)を得た。
【0082】
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−6の重合)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量5,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−6)を得た。
【0083】
(ポリエステルポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合A−7)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量2,000のポリエステルジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−7)を得た。
【0084】
(ポリエーテルポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合A−8)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量2,000のポリエーテルジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−8)を得た。
【0085】
(ブロックポリイソシアネート架橋剤の重合)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA)100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量 750)30質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、固形分75質量%のブロックポリイソシアネート水分散液(B)を得た。
【0086】
(オキサゾリン系架橋剤の重合)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコに水性媒体としてのイオン交換水58質量部とイソプロパノール58質量部との混合物、および、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩)4質量部を投入した。一方、滴下ロートに、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としての2−イソプロペニル−2−オキサゾリン16質量部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレングリコールの平均付加モル数・9モル、新中村化学製)32質量部、およびメタクリル酸メチルー32質量部の混合物を投入し、窒素雰囲気下、70℃において1時間にわたり滴下した。滴下終了後、反応溶液を9時間攪拌し、冷却することで固形分濃度40質量%のオキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)を得た。
【0087】
(カルボジイミド系架橋剤の重合)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネート168質量部とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(M400、平均分子量400)220質量部を仕込み、120℃で1時間、撹拌し、更に4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート26質量部とカルボジイミド化触媒として3−メチルー−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド3.8質量部(全イソシイアネートに対し2重量%)を加え、窒素気流下185℃で更に5時間撹拌した。反応液の赤外スペクトルを測定し、波長2200〜2300cm−1の吸収が消失したことを確認した。60℃まで放冷し、イオン交換水を567質量部加え、固形分40質量%のカルボジイミド水溶性樹脂(D)を得た。
【0088】
(酸化チタンマスターバッチの製造)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂50質量%に、平均粒径0.3μm(電顕法)のアナターゼ型二酸化チタン50質量%を混合したものをベント式二軸押出機に供給して予備混練りした後、溶融ポリマーを連続的にベント式単軸混練り機に供給してストランド状に押出し、ペレット化して酸化チタン含有マスターバッチを調製した。
【0089】
(空洞発現剤マスターバッチの製造)
ポリメチルペンテン樹脂60質量%とポリプロピレン樹脂20質量%,ポリスチレン樹脂20質量%をペレット混合して二軸押出機に供給してストランド状に押出し、ペレット化して空洞発現剤を調整した。
【0090】
実施例1
(1)塗布液の調整
下記の塗剤を混合し、塗布液を作成した。
水 55.62質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 11.29質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B) 2.26質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.71質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.07質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
【0091】
(2)易接着性白色ポリエステルフィルムの製造
平均粒径2.5μmの凝集シリカ粒子0.5質量%を含有する、固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット80質量%と酸化チタンマスターバッチ10質量%をペレット混合してフィルム原料Aとした。また、固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂82質量%に酸化チタンマスターバッチ10質量%,空洞発現剤マスターバッチ8質量%をペレット混合してフィルム原料Bとした。
【0092】
これらのフィルム原料を130℃で4時間の真空乾燥を行って水分率80ppmとしたのち、これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出機に供給して溶融混練りを行なった。用油樹脂はギアポンプで計量しながらフィルターを経由させてフィードブロックに導き、原料AからなるA層と原料BからなるB層をA層/B層/A層=10/80/10の比率となるように積層した。これをT型ダイスより20℃に調節された冷却ドラム上に押し出し、厚さ1.0mmの三層構成の未延伸フィルムを製造した。
【0093】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて70℃に均一に加熱したのち、さらにフィルムの両面に対向して設置した赤外線ヒーターを用いてフィルム温度が95℃となるように加熱しながら、周速の異なるロール間で縦方向に3.4倍に延伸して一軸延伸フィルムを得た。次いで、この一軸延伸フィルムの片面に上記の塗布液をロールコート法で塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。なお、二軸延伸後の乾燥後の塗布量が0.15g/mになるように調整した。
【0094】
塗布液を塗布した一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持し、フィルム表面温度がおよそ100℃になるよう熱風で予熱した後、およそ140℃まで加熱しながら横方向に3.8倍に延伸した。その後、フィルム幅を固定した状態で熱風によっておよそ230℃まで加熱して熱固定を行い、およそ200℃まで冷却しながら幅方向に5%の弛緩熱処理を行った。その後、150℃と100℃および室温相当に調節された温風で段階的に徐々に冷却を行い、フィルムの表面温度がガラス転移温度よりも十分に低い温度となった45℃でフィルム端部を切除した。これをフィルムワインダーで巻き取り、厚さ100μmの易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。得られた易接着性白色ポリエステルフィルムについての評価結果を表1に示す。
【0095】
比較例1
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−5)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0096】
比較例2
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−6)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0097】
比較例3
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−7)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0098】
比較例4
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−8)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0099】
比較例5
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 53.04質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 16.13質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.71質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.07質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
【0100】
実施例2
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 53.91質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 14.51質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B) 0.75質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.71質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.07質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
【0101】
実施例3
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 54.76質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 12.90質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B) 1.51質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.71質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.07質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
【0102】
実施例4
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 57.35質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 8.06質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B) 3.76質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.71質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.07質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
【0103】
実施例5
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 59.92質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 3.23質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B) 6.02質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.71質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.07質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
【0104】
実施例6
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 60.79質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 1.61質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B) 6.77質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.71質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.07質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
【0105】
実施例7
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−2)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0106】
実施例8
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−3)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0107】
実施例9
ポリウレタン樹脂をシラノール基含有ポリウレタン樹脂(A−4)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0108】
実施例10
ブロックポリイソシアネート水分散液(B)を、オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0109】
実施例11
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂87質量%に酸化チタンマスターバッチ5質量%,ポリスチレン樹脂8質量%をペレット混合してフィルム原料Cとした。このフィルム原料Cを一台の押出機に供給してA層を設けない単層フィルムとした。またブロックポリイソシアネート水分散液(B)をカルボジイミド水溶性樹脂(D)に変更した。このほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0110】
実施例12
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂82質量%に酸化チタンマスターバッチ10質量%,ポリスチレン樹脂8質量%をペレット混合してフィルム原料Cとした。このフィルム原料Cを一台の押出機に供給してA層を設けない単層フィルムとし、フィルム厚みを250μmに変更した。また、ブロックポリイソシアネート水分散液(B)をイミノ・メチロールメラミン(固形分濃度70質量%)に変更した。このほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
【0111】
実施例13
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂90質量%に酸化チタンマスターバッチ10質量%をペレット混合してフィルム原料Cとした。このフィルム原料Cを一台の押出機に供給してA層を設けない厚さ38μmの単層フィルムとした。また塗布液を下記に変更した。このほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 62.82質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 5.64質量%
ブロックポリイソシアネート水分散液(B) 1.13質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.35質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.04質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.02質量%
【0112】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムは、密着性と耐湿熱性に優れた易接着性白色ポリエステルフィルムであり、テレホンカード,キャッシュカード,クレジットカード,交通カード,IDカードなどの磁気カード,ICカード,印刷カード、ラベルやグラフィック材料等の印刷材料,液晶ディスプレイバックライトの反射板,フレキシブルフラットケーブル基材などの工業材料として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有する易接着性白色ポリエステルフィルムであって、
前記塗布層が脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂と架橋剤を主成分とし、
前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.40〜1.55であり、
当該フィルムの光学濃度が0.5〜2.0、白色度が60〜98である、易接着性白色ポリエステルフィルム。
【請求項2】
前記架橋剤がメラミン系架橋剤,イソシアネート系架橋剤,カルボジイミド系架橋剤,オキサゾリン系架橋剤から選ばれた少なくとも一種類の架橋剤である、請求項1に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記塗布層中の脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂と架橋剤の質量比(ウレタン樹脂/架橋剤)が1/9〜9/1である、請求項1または2に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記白色ポリエステルフィルムが平均粒径0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有する、請求項1ないし3に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記白色ポリエステルフィルムの内部にポリエステル樹脂とは非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞を多数含有する、請求項1ないし4に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2011−140541(P2011−140541A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−948(P2010−948)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】