説明

易開封包装体

【課題】密封性がよく、開封が確実かつ容易にできる包装体を提供する。
【解決手段】被包装物3がフィルム1によって包装された包装体7において、被包装物の巻き付け方向の周囲の長さと、フィルムの一方端部101および他方端部102の長さの和に相当する長さの引き裂きテープ2がフィルムの巻き付け方向に連続して、フィルムに固着され、フィルムの一方端部が他方端部より長くなるように合掌状に貼り合わされ、フィルムへの切れ目が、貼り合わされていないフィルムの一方端部の先端から貼り合わされた部分に届く長さまで、かつ引き裂きテープに沿って、テープの両側にあり、フィルムの一方端部を他方端部側に折り、被包装物の表面を覆うフィルムに接着する際に、他方端部と接着していないフィルムの一方端部において、引き裂き用テープの一部及びテープ両側の切れ目の一部さらにその外側にあるフィルムの一部を含む領域を有する非接着部5が備えてある。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は易開封包装体に関し、詳しくは被包装物がキャンディー、ガム、チョコレート、グミキャンディ等の、防湿性・保香性を確保することを必要とするものである易開封包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、キャンディー、ガム等の防湿性・保香性を確保することを必要とする包装体の易開封構造としては、特開平8−91430号、特開平11−49120号
に開示の方法など、多くの方法が知られている。
【0003】
特開平8−91430号には、筒状フィルムの内周面にフィルムを合掌状に合わせた接着部の途中から周方向に伸び、かつ他端が接着部に達しない引き裂きテープが接着された包装体の易開封構造が開示されている。しかしこの方法ではフィルムに引き裂きテープを断続的に接着しなくてはならず、そのため包装機にテープとフィルムの長さを調整する制御機構が必要となる。
【0004】
特開平11−49120号に開示の易開封包装構造も前述の特開平8−91430号と同様に、フィルムに引き裂きテープを断続的に接着しなくてはならない方法である。その主な構造を図5、図6に示す。図5はフィルム(1)を被包装物(3)に巻き付けて包装した包装体(7)の斜視図であり、図6は図5の包装体(7)のX1−X1断面での概要説明図である。
【0005】
包装体(7)は図5及び図6に示す様に、被包装物(3)と、被包装物(3)に巻き付けられてその一方端部(101)と他方端部(102)とが内面どうしにて貼り合わされたフィルム(1)と、フィルム(1)の内面に対して巻き付け方向に延びるように固着された引き裂きテープ(2)とを有している。そして、フィルム(1)は、フィルムが引き裂きテープ(2)の各々の一方側端部(201)
に一致する位置で切断されて得られる。これによって、フィルムの一方端部(101)側の端縁と引き裂きテープの一方端部(201)の端縁とが一致したものとなる。
【0006】
又、フィルム(1)の長さが、被包装物(3)の巻き付け長さよりも長く設定され、引き裂きテープ(2)の長さを被包装物(3)の巻き付け長さと同等にすることにより、フィルムの一方端部(101)と他方端部(102)とを内面どうし貼り合わせた時、フィルムの一方端部(101)と他方端部(102)に挟み込む引き裂きテープ(2)は一重となる。
【0007】
更に、図5に示すように、フィルムの一方端部(101)と他方端部(102)
には、その先端縁から切り込まれて引き裂きテープ(2)の両側に位置する一対の切れ目(4a、4b)が形成されている。
【0008】
このものでは、フィルムの一方端部(101)と他方端部(102)に於ける切れ目(4a、4b)に挟まれた片部を引き裂きテープ(2)と共に摘んでフィルムの一方端部(101)の外側に引っ張ると、他方端部(102)の基端部が破断する。更に、フィルムの一方端部(101)とこれに連続する部分とが前記巻き付け方向にてほぼ全周にわたって引き裂きテープ(2)によって破られる。そしてこれによってフィルム(1)が開封され、この状態で、被包装物(3)の紙箱を開いてなかのものを取り出すことができる。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
前述のとおり、従来技術による防湿性が高く、且つ、易開封構造を持つ包装体を得るための手段としては、図5に示すようにテープ(2)の長さをフィルム(1)の長さよりも短くすることでフィルム(1)の一方端部(101)と他方端部(102)との貼りあわせ部に挟まれる引き裂きテープ(2)を一重にする手段を採用しているが、そのためには包装機に引き裂きテープ(2)の長さをフィルム(1)の長さよりも短くするための機構が必要となる。
更に、フィルム(1)を破断するための引き裂きテープ(2)の長さがフィルム(1)より短いため、フィルム(1)をほぼ全周にわたって破断できても、引き裂きテープ(2)によってフィルム(1)を確実に切り離すことはできない。
【0010】
上記のとおり、従来技術における問題点である、テープの長さを被包装物に巻き付けて使用するフィルムの長さよりも短くするための機構を包装機に装着する必要がなく、且つ、開封時には包装体に使用したフィルムを確実に切り離すことを可能とする構造を有する易開封包装体を提供することを本考案の課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために鋭意研究の結果、考案者らは包装機の機構をより簡略化でき、かつ引き裂き用テープによってフィルムを完全に切り離すことができ、なおかつ防湿性・保香性に優れた易開封包装体を見いだすに至った。
【0012】
すなわち、被包装物(3)をフィルム(1)によって包装された包装体(7)において、被包装物(3)の巻き付け方向の周囲の長さと、フィルムの一方端部(101)および他方端部(102)の長さの和に相当する長さの引き裂きテープ(2)がフィルム(1)の巻き付け方向に連続して、フィルム(1)に固着され、フィルムの一方端部(101)が他方端部(102)より長くなるように合掌状に貼り合わされ、フィルムへの切れ目が、貼り合わされていないフィルムの一方端部(101)の先端から貼り合わされた部分に届く長さまで、かつ引き裂きテープ(2)に沿って、該テープの両側にあり、フィルムの一方端部(101)を他方端部(102)側に折り、被包装物(3)の表面を覆うフィルム(1)に接着する際に、他方端部(102)と接着していないフィルムの一方端部(101)において、引き裂き用テープ(2)の一部及びテープ両側の切れ目の一部さらにその外側にあるフィルムの一部を含む領域を有する非接着部(5)が備えてあることを特徴とする易開封包装体。
【0013】
【考案の実施の形態】
図1に示す様に、被包装物(3)をフィルム(1)によって包装する際に、フィルム(1)に引き裂きテープ(2)をフィルムの巻き付け方向に連続して固着させ、被包装物(3)のフィルム巻き付け方向の周囲の長さとフィルムの一方端部(101)と他方端部(102)を合わせた長さでフィルムを固着した引き裂きテープ(2)とともに切断し、被包装物(3)に巻き付けた後に、フィルムの一方端部(101)と他方端部(102)を合掌状に貼り合わせる。
【0014】
フィルムの一方端部(101)と他方端部(102)の長さの関係は、一方端部(101)の長さを他方端部(102)より長くする。この際、フィルム(1)
の一方端部(101)の先端を折り曲げ方向に被包装物の最初の角縁までの長さとするとより開封しやすい包装体となる。
【0015】
続いてフィルム端部から張り合わせ部分に届く長さまで引き裂きテープ(2)に沿ってテープの両側のフィルムに切れ目(4a、4b)を入れ、フィルムの一方端部(101)を他方端部(102)側に折り、他方端部(102)と接着していない一方端部(101)の引き裂きテープ、該テープ両側の切れ目の一部、さらにその外側のフィルムの一部は接着せずに残るように、被包装物の表面を覆うフィルム(1)に接着することで密封する。
【0016】
従って、図2及び図4の拡大図に示すように本考案による包装体は切れ目に挟まれた引き裂きテープ端部(201)を含むフィルムの一方端部(101)の非接着部分(5)を摘み上げ、フィルム(1)の巻きつけ方向に引っ張ることにより、フィルム(1)を全周にわたって容易に、且つ確実に切り離すことができる。
【0017】
引き裂きテープの幅は0.5〜10mmで、好ましくは1.5〜3mmがよい。また、切れ目幅はテープの幅と同等またはそれ以上がよく、好ましくはテープ幅より0.5〜2mm広いのがよい。テープの材質は例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなどがある。フィルムまたは引き裂きテープを貼り合わせる接着剤としては感圧タイプと感熱タイプがあり、どちらでも使用可能であるが、好ましくは感熱タイプがよい。
【0018】
フィルムの材質としては延伸ポリプロピレンまたは延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にヒートシールコーティングしたフィルムが適している。コーティング剤としてはアクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。
【0019】
図1はフィルムの一方端部と他方端部を貼り合わせ、切れ目を入れた段階での状態を示している。
包装ステップ1の工程では、引き裂き用テープ(2)が固着されたフィルム(1)を、被包装物(3)の巻き付け方向の周囲と、フィルムの一方端部(101)
と、他方端部(102)とを合わせた長さで切断する。このとき引き裂きテープ(2)の長さとフィルム(1)の巻き付け方向の長さは同寸法である。
【0020】
フィルムの一方端部(101)の長さは、他方端部(102)より長くし、且つ、被包装物(3)を覆うフィルム(1)の折り曲げ方向の角縁までの長さと同じかまたはそれより短くする。
【0021】
被包装物(3)に巻き付けたフィルムの一方端部(101)と他方端部(102)とを図1に示す様に合掌状に貼り合わせ、一方端部(101)と他方端部(102)の貼りあわせ部と、一方端部(101)の他方端部(102)と貼り合わされていない端部のテープ端部(201)の両側に、切れ目(4a,4b)を入れる。
【0022】
切れ目(4a,4b)の長さはフィルムの一方端部(101)と他方端部(102)とが貼り合わされていない端部の長さよりも長く、一方端部(101)の長さよりも短くすることが必要である。
【0023】
切れ目(4a,4b)の長さがフィルムの一方端部(101)よりも長ければ被包装物(3)を覆うフィルム(1)の一部を切断することになり、防湿性・保香性を確保できない。
【0024】
一方、切れ目(4a,4b)の長さが一方端部(101)と他方端部(102)
の貼り合わせ部まで届いていない場合には、非接着部(5)を摘み上げるだけでは、被包装物(3)を覆うフィルム(1)を破断することが不可能となる。
【0025】
次いで包装ステップ2では、一方端部(101)を他方端部側に折り曲げ、他方端部(102)と貼り合わされていない一方端部の範囲で、テープ端部(201)を挟んだ切り目を含む非接着部(5)を接着せずに残るように、その他のフィルムの一方端部(101)と貼り合わされている他方端部(102)を被包装物(3)の表面を覆うフィルム(1)面に接着し、密封する。
【0026】
図2はフィルムの一方端部(101)と他方端部(102)を被包装物(3)の表面を覆うフィルム(1)面に接着し、密封した状態を示している。
【0027】
網掛けで示す部分は引き裂きテープ端部(201、202)を固着したフィルムの一方端部(101)と他方端部(102)が合掌状に貼り合わされ、且つ、被包装物(3)の表面を覆うフィルム(1)面に接着された部分を示す。
【0028】
又、斜線で示す部分は、引き裂きテープの一方端部(201)が固着したフィルムの一方端部(101)のみが被包装物(3)の表面を覆うフィルム(1)面に接着された部分を示し、その中央付近で斜線のない部分はテープ端部(201)
を挟んだ両側の切れ目(4a、4b)を含む非接着部(5)を示している。
【0029】
非接着部(5)は、図2に示されるように、フィルムの一方端部(101)と他方端部(102)が貼り合わされた部分(網掛け部分)にまで達しないことが必要で、それによって、図4の拡大図に示すようにフィルムの一方端部に固着している引き裂きテープの一方端部(201)が被包装物(3)の表面を覆うフィルム(1)面の一部と貼り合わされ、引き裂きテープの一方端部(201)の一部がフィルムの一方端部(101)とフィルム(1)に一重に挟まれた部分(A)を作ることが可能となる。 但し、図4の拡大図において引き裂きテープの一方端部(201)と他方端部(202)が直接重なる部分は接着されていない。
【0030】
上記のように、引き裂きテープの一方端部(201)と他方端部(202)とが直接重なり合って、フィルムがテープを二重に挟んでしまうことによる隙間を生じることがなく、防湿性・保香性を悪化する恐れがない。
【0031】
非接着部(5)が、網掛けで示すフィルムの一方端部と他方端部が貼り合わされた部分に達してしまっている場合には、一方端部(101)と他方端部(102)との間にテープが二重に挟まった状態となり、防湿性・保香性が悪化する恐れがあり好ましくない。
【0032】
最終段階の包装ステップ3では図3に示す様に側面部6を密封状態で接着し、全包装工程を完了する。
【0033】
以上により、本考案の切れ目に挟まれた、引き裂きテープの一方端部(201)
が固着したフィルムの一方端部(101)の非接着部(5)を摘み上げ、フィルム(1)の巻きつけ方向に引っ張ることにより、包装体に被覆したフィルム(1)が破断され、且つ、容易に切り離される、易開封包装体を得ることが出来る。
【0034】
【考案の効果】
本考案により、包装体に使用したフィルムを引き裂き用テープで確実に破断され、容易に切り離すことが可能で、かつ、密封性に優れ、包装機にテープとフィルムの長さを調整する制御機構を必要としない、易開封包装体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】開封構造を設けた包装体の包装ステップ1の状態を示す斜視図である。
【図2】開封構造を設けた包装体の包装ステップ2の状態を示す斜視図である。
【図3】開封構造を設けた包装体の包装ステップ3の状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示すX−Xで切った断面図とその拡大図である。
【図5】従来の、フィルムを被包装物に巻き付けた包装体の斜視図である。
【図6】図5の包装体のX■−X■で切った断面での概要説明図である。
【符号の説明】
1 フィルム
2 引き裂きテープ
3 被包装物
4a 切れ目
4b 切れ目
5 非接着部
6 側面部
7 包装体
101 フィルムの一方端部
102 フィルムの他方端部
201 引き裂きテープの一方端部
202 引き裂きテープの他方端部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】被包装物(3)がフィルム(1)によって包装された包装体(7)において、被包装物(3)の巻き付け方向の周囲の長さと、フィルムの一方端部(101)および他方端部(102)の長さの和に相当する長さの引き裂きテープ(2)がフィルム(1)の巻き付け方向に連続して、フィルム(1)に固着され、フィルムの一方端部(101)が他方端部(102)より長くなるように合掌状に貼り合わされ、フィルムへの切れ目が、貼り合わされていないフィルムの一方端部(101)の先端から貼り合わされた部分に届く長さまで、かつ引き裂きテープ(2)に沿って、該テープの両側にあり、フィルムの一方端部(101)を他方端部(102)側に折り、被包装物(3)の表面を覆うフィルム(1)に接着する際に、他方端部(102)と接着していないフィルムの一方端部(101)において、引き裂き用テープ(2)の一部及びテープ両側の切れ目の一部さらにその外側にあるフィルムの一部を含む領域を有する非接着部(5)が備えてあることを特徴とする易開封包装体。
【請求項2】被包装物(3)に角がある場合に、フィルムの一方端部(101)の端を被包装体(3)の角縁と揃えることを特徴とする、請求項1に記載の易開封包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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