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易開封性ヒートシール材用樹脂組成物、易開封性ヒートシール材およびレトルト食品用包装材
説明

易開封性ヒートシール材用樹脂組成物、易開封性ヒートシール材およびレトルト食品用包装材

【課題】被着体に対し、良好なヒートシール性を示しつつ、高温での耐油性が優れる易開封性ヒートシール材を提供することができる易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、レトルト食品用の易開封性ヒートシール材に用いられる樹脂組成物であって、(A)エチレン・極性モノマーランダム共重合体と、(B)不均一系オレフィン重合触媒で製造され、融点が140℃以上のランダムポリプロピレンと、(C)低密度ポリエチレンとを含んでいる。そして、当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、(A)成分は5質量部以上40質量部以下であり、(B)成分が25質量部以上75質量部以下であり、(C)成分が5質量部以上50質量部以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物、易開封性ヒートシール材およびレトルト食品用包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
食品用包装材として、ヒートシール材を備えたプラスチック製の包装材が広く使用されている。このヒートシール材には、被着体に対する適度なヒートシール強度を有しつつ、易開封性であり、さらに開封した時の開封部の外観が優れることが求められる。
【0003】
また、食品用包装材の中でも油性食品用には、上記特性に加えて耐油性が求められる。とくにレトルト食品用においては、100℃を超える温度でレトルト殺菌をおこなうため、高温での耐油性が求められる。
【0004】
特許文献1(国際公開第2004/104088号パンフレット)には、エチレン・不飽和エステル共重合体を20〜97重量部、プロピレン系重合体を1〜30重量部、非晶性または低結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体を1〜50重量部および粘着付与樹脂を1〜30重量部の割合で配合してなるオレフィン系重合体組成物、それを用いた易開封性シール材、および、基材にこのような易開封性シール材を積層した包装材が記載されている。
上記オレフィン系重合体組成物をポリプロピレンに対する易開封性ヒートシール材として使用すると、ヒートシール強度の温度依存性が小さく、広い温度範囲でシールして、密封性、易開封性、開封部の外観に優れ、かつ耐油性に優れたシール層を形成させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2004/104088号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の易開封性ヒートシール材は、高温での耐油性が不十分であり、レトルト食品用には適さなかった。
【0007】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、被着体に対し、良好なヒートシール性を示しつつ、高温での耐油性が優れる易開封性ヒートシール材を提供することができる易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
レトルト食品用の易開封性ヒートシール材に用いられる樹脂組成物であって、
(A)エチレン・極性モノマーランダム共重合体と、
(B)不均一系オレフィン重合触媒で製造され、融点が140℃以上のランダムポリプロピレンと、
(C)低密度ポリエチレンと
を含み、
当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、
前記(A)成分が5質量部以上40質量部以下であり、
前記(B)成分が25質量部以上75質量部以下であり、
前記(C)成分が5質量部以上50質量部以下である、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物が提供される。
【0009】
この易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を使用してヒートシール材を成形すれば、被着体に対し、良好なヒートシール性を示しつつ、高温での耐油性が優れるヒートシール材を得ることができる。
【0010】
さらに、本発明によれば、
上記本発明による易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を含む、易開封性ヒートシール材が提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、
上記本発明による易開封性ヒートシール材を熱可塑性樹脂からなる基材上に積層したレトルト食品用包装材が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被着体に対し、良好なヒートシール性を示しつつ、高温での耐油性が優れる易開封性ヒートシール材を提供することができる易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(樹脂組成物)
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、レトルト食品用の易開封性ヒートシール材に用いられる樹脂組成物であって、(A)エチレン・極性モノマーランダム共重合体と、(B)不均一系オレフィン重合触媒で製造され、融点が140℃以上のランダムポリプロピレンと、(C)低密度ポリエチレンとを含んでいる。そして、当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、(A)成分は5質量部以上40質量部以下であり、(B)成分が25質量部以上75質量部以下であり、(C)成分が5質量部以上50質量部以下である。
このような樹脂組成物は、被着体に対し、良好なヒートシール性を示しつつ、高温での耐油性が優れる易開封性ヒートシール材を提供することができる。
【0014】
ここで、良好なヒートシール性とは、ヒートシール強度の温度依存性が小さく、広い温度範囲でシールして、密封性、易開封性、開封部の外観に優れることをいう。なお、開封部の外観に優れるとは、例えば、開封時に糸引きがないことなどをいう。また、易開封性とは、手で容易にはがすことができることをいう。
【0015】
より具体的には、本実施形態のヒートシール材用樹脂組成物を用いると、被着体に対し、160〜200℃のいずれかの温度で、1秒、圧力0.2MPaでヒートシールした場合のT型剥離試験における剥離強度が10N/15mm以上20N/15mm以下であるヒートシール材を得ることができる。このように、本実施形態のヒートシール材用樹脂組成物を用いると、広い温度範囲でヒートシール強度が安定しているヒートシール材を得ることができる。
【0016】
また、本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を用いると、被着体に対し、150℃で、1秒、圧力0.2MPaでヒートシールした場合のT型剥離試験における剥離強度が3N/15mm以上であるヒートシール材を得ることができる。剥離強度が上記下限値以上であると、ヒートシール強度が易開封性でありながら、内容物がスープなどの重量物であっても耐えることができる。ここで、本実施形態では、ヒートシール温度が150℃のときのヒートシールを低温ヒートシールと呼ぶ。なお、食品用包装材では、内容物への影響から、ヒートシール温度は低いほど好ましい。
【0017】
つぎに、本実施形態の樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
【0018】
「成分(A)」
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、必須成分として(A)エチレン・極性モノマーランダム共重合体を含んでいる。そして、当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、(A)成分の含有量は5質量部以上40質量部以下であり、好ましくは5質量部以上25質量部以下である。
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、必須成分として(A)成分を上記範囲内で含むことにより、低温シール性に優れた易開封性ヒートシール材を得ることができる。また、後述する(B)成分と(C)成分との相溶性を高めて、開封時の糸引き現象をより一層緩和できる。
【0019】
本実施形態における(A)成分の極性モノマーは、不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、本実施形態の(A)成分は、(A−1)少なくともエチレンと(メタ)アクリル酸エステルを必須成分とし、金属イオンで架橋されていない共重合体または(A−2)エチレン・不飽和カルボン酸ランダム二元共重合体であることが好ましい。
【0020】
(A−1)
本実施形態の(A−1)成分は、少なくともエチレンと(メタ)アクリル酸エステルを必須成分とし、金属イオンで架橋されていない共重合体である。
上記(A−1)成分としては、例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル((メタ)アクリレートともいう)とのランダム二元共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とのランダム三元共重合体などがある。
前者のランダム二元共重合体としては、例えば、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ノルマルプロピルアクリレート共重合体、エチレン・イソプロピルアクリレート共重合体、エチレン・ノルマルブチルアクリレート共重合体、エチレン・イソブチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ノルマルブチルメタクリレート共重合体、エチレン・イソブチルメタクリレート共重合体などのエチレンおよび(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルキルとのエステルの二元共重合体などがある。
後者のランダム三元共重合体としては、例えば、エチレン・アクリル酸メチル・アクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・アクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・アクリル酸ノルマルプロピル・アクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル・アクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・アクリル酸ノルマルブチル・アクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・アクリル酸メチル・メタクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・メタクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・アクリル酸ノルマルプロピル・メタクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・アクリル酸ノルマルブチル・メタクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル・アクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル・アクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・メタクリル酸ノルマルプロピル・アクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・メタクリル酸イソブチル・アクリル酸三元ランダム共重合体、エチレン・メタクリル酸ノルマルブチル・アクリル酸三元ランダム共重合体などのエチレンと、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸との三元共重合体などがある。
低温シール性、シール強度安定性、耐油性および開封時に糸引きがなく外観が良好であることなどの総合的なバランス面から、エチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とのランダム三元共重合体がとくに好ましい。
【0021】
(A−1)成分は、(メタ)アクリル酸エステルを好ましくは1質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上30質量%以下含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの含有量が上記範囲内にあると、(A−1)成分の好ましい諸物性を保持し、ヒートシール性も良好なヒートシール材を得ることができる。また、このような共重合体は、例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルを高温、高圧下でラジカル共重合することによって得ることができる。
【0022】
(A−1)成分の融点は40℃以上110℃以下であることが好ましい。
また、成形加工性などを考慮すると、(A−1)成分のJIS K7210−1999に準拠して測定したメルトフローレート(MFR、190℃、2160g荷重)は、好ましくは0.1g/10分以上100g/10分以下であり、さらに好ましくは0.5g/10分以上50g/10分以下であり、とくに好ましくは1g/10分以上20g/10分以下である。
【0023】
本実施形態において、(A−1)成分としては、以上のような、少なくともエチレンと(メタ)アクリル酸エステルを必須成分とし、金属イオンで架橋されていない共重合体を1種類または2種類以上併用して使用することができる。
【0024】
(A−2)
本実施形態の(A−2)成分は、エチレン・不飽和カルボン酸ランダム二元共重合体である。(A−2)成分の不飽和カルボン酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸などが挙げられる。これらの中でも、ポリマーの生産性、衛生性などの観点から、アクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
なお、(A−2)成分は(A−1)成分に比べて低温ヒートシール性が若干劣るため、(A)成分として、(A−2)成分を選択する場合は、後述する(D)均一系オレフィン重合触媒で製造されたランダムポリプロピレンをさらに含有させることにより、低温ヒートシール性をさらに高めることが好ましい。
【0025】
(A−2)成分は、不飽和カルボン酸を好ましくは1質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上20質量%以下、とくに好ましくは2質量%以上15質量%以下含むことが好ましい。
不飽和カルボン酸の含有量が上記範囲内にあると、(A−2)成分の好ましい諸物性を保持し、ヒートシール性も良好なヒートシール材を得ることができる。
また、このような共重合体は、例えば、エチレンと不飽和カルボン酸を高温、高圧下でラジカル共重合することによって得ることができる。
【0026】
(A−2)成分の融点は70℃以上110℃以下であることが好ましい。
また、成形加工性などを考慮すると、(A−2)成分のJIS K7210−1999に準拠して測定したメルトフローレート(MFR、190℃、2160g荷重)は、好ましくは1g/10分以上1000g/10分以下であり、さらに好ましくは2g/10分以上500g/10分以下である。
本実施形態において、(A−2)成分としては、以上のようなエチレン・不飽和カルボン酸ランダム二元共重合体を1種類または2種類以上併用して使用することができる。
【0027】
「成分(B)」
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、必須成分として(B)不均一系オレフィン重合触媒で製造され、融点が140℃以上のランダムポリプロピレンを含んでいる。そして、当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、(B)成分の含有量は25質量部以上75質量部以下であり、好ましくは35質量部以上55質量部以下である。ここで、上記不均一系オレフィン重合触媒には、とくに限定はされないが、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒など一般的に公知のものが用いられる。
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、必須成分として(B)成分を上記範囲内で含むことにより、耐熱性および高温での耐油性に優れた易開封性ヒートシール材を得ることができる。
【0028】
レトルト食品用包装材は、一般的に80〜120℃で数十秒から数分間の加熱殺菌が施されるため、高温環境で油性内容物と直接接触する状態になる。そのため、この過程でシール層が膨潤して内容物を傷めたりしないようにする必要がある。
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を用いて得られるヒートシール材は、必須成分として(B)成分を上記範囲内で含むことにより、例えば、80℃で数日間にわたり油性食品と接触しても膨潤することがほとんどない。
(B)成分の融点の上限は、ヒートシール性の観点から、好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下、とくに好ましくは150℃以下である。
【0029】
なお、本実施形態のランダムポリプロピレンとは、プロピレンを主成分としてα-オレフィンをランダム共重合したものである。α−オレフィンは、プロピレン以外のものであり、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜20程度のα−オレフィンである。これらの中でも、ヒートシール性の観点からエチレンと1−ブテンが好ましい。
また、耐熱性および耐油性の観点から、ランダムポリプロピレン中のα−オレフィンの含量は、とくに限定はされないが、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0030】
さらに、成形加工性などを考慮すると、(B)成分のJIS K7210−1999に準拠して測定したメルトフローレート(MFR、230℃、2160g荷重)は、好ましくは1g/10分以上200g/10分以下であり、さらに好ましくは2g/10分以上50g/10分以下である。
【0031】
本実施形態において、(B)成分としては、以上のような、不均一系オレフィン重合触媒で製造され、融点が140℃以上のランダムポリプロピレンを1種類または2種類以上併用して使用することができる。
【0032】
「成分(C)」
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、必須成分として(C)低密度ポリエチレンを含んでいる。そして、当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、(C)成分の含有量は5質量部以上50質量部以下であり、好ましくは15質量部以上45質量部以下である。
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、必須成分として(C)成分を上記範囲内で含むことにより、易開封性に優れたヒートシール材を得ることができる。
【0033】
(C)成分は、JIS K6748−1995に準拠して測定した密度が好ましくは910kg/m以上930kg/m未満であり、さらに好ましくは910kg/m以上920kg/m以上以下である。
【0034】
(C)成分としては、例えば、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが挙げられる。これらの中で、LLDPEが好ましい。LLDPEであれば、チーグラー触媒やフィリップス触媒などの不均一系オレフィン重合触媒で製造されたLLDPEでも、メタロセン触媒やフェノキシイミン触媒のような均一系オレフィン重合触媒で製造されたLLDPEでもよい。
【0035】
また、(C)成分には、少ない割合で、α−オレフィン、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび4−メチル−1−ペンテンなどが共重合されていてもよい。
【0036】
(C)成分の融点は100℃以上140℃以下であることが好ましい。
また、成形加工性などを考慮すると、(C)成分のJIS K7210−1999に準拠して測定したメルトフローレート(MFR、190℃、2160g荷重)は、好ましくは0.1g/10分以上100g/10分以下であり、さらに好ましくは0.5g/10分以上50g/10分以下であり、とくに好ましくは1g/10分以上20g/10分以下である。
【0037】
本実施形態において、(C)成分としては、以上のような低密度ポリエチレンを1種類または2種類以上併用して使用することができる。
【0038】
「成分(D)」
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、任意成分として、(D)均一系オレフィン重合触媒で製造されたランダムポリプロピレンを含んでいてもよい。そして、当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、(D)成分の含有量は0質量部を超えて49質量部以下が好ましい。
【0039】
また、(A)成分として、(A−1)成分を用いる場合は、(D)成分の含有量は0質量部を超えて25質量部以下がさらに好ましい。
【0040】
また、(A)成分として、(A−2)成分を用いる場合は、(D)成分の含有量は15質量部以上25質量部以下がさらに好ましい。
【0041】
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、任意成分として(D)成分を上記範囲内で含むことにより、低温シール性がより一層優れたヒートシール材を得ることができる。
【0042】
(D)成分は、メタロセン触媒やフェノキシイミン触媒のような均一系オレフィン重合触媒で製造される。そして、プロピレンを主成分としてα-オレフィンをランダム共重合したものである。α−オレフィンは、プロピレン以外のものであり、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜20程度のα−オレフィンなどである。これらの中でも、ヒートシール性の観点からエチレンと1−ブテンが好ましい。
【0043】
(D)成分の融点の上限は、ヒートシール性の観点から、好ましくは170℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。(D)成分の融点の下限は、ヒートシール強度の観点から、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上、とくに好ましくは150℃以上である。
(D)成分のランダムポリプロピレンは、不均一触媒で製造された(B)成分のランダムポリプロピレンと比較して組成分布が狭いため、得られるヒートシール材に低温ヒートシール性を付与できる。
【0044】
上述したように、(A)成分として(A−2)成分を選択する場合は、(D)成分をさらに含有させて、低温ヒートシール性を高めることが好ましい。
【0045】
本実施形態において、(D)成分としては、以上のような均一系オレフィン重合触媒で製造されたランダムポリプロピレンを1種類または2種類以上併用して使用することができる。
【0046】
(その他の成分)
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、上述した成分(A)〜(D)に加えて、他の成分として、粘着性付与剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤など高分子分野で通常使用される添加剤を組成物の特性を損なわない程度にさらに配合してもよい。
【0047】
「粘着付与樹脂」
一般的に、広い温度範囲で良好なヒートシール性を得るために、食品用包装材のヒートシール材には必須成分として粘着付与樹脂が配合されている。しかしながら、粘着付与樹脂をヒートシール材に用いると、高温での耐油性が悪化してしまう場合があった。さらに、100℃を超える温度でのレトルト殺菌時や使用時の加熱時に、溶出成分として観測される可能性もある。
オレフィン系重合体組成物において、厚生省370号試験に定められた条件で処理した場合のn−ヘプタン溶出試験における蒸発残留物が30ppm以下のものは、油性用途で100℃を超えて使用可能なシール材料となる。そのため、本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、組成物の特性を損なわない程度に粘着性付与剤を含んでもよいが、実質的には含まない方が好ましい。本実施形態のヒートシール材用樹脂組成物は実質的に粘着性付与剤を含まなくても広い温度範囲で良好なヒートシール性を有するヒートシール材が得られる。
また、粘着付与樹脂の多くは米国食品医薬局(FDA)に対応していない。よって、本実施形態のヒートシール材用樹脂組成物は、良好なヒートシール性と高温での耐油性を有しながら、FDAの規格をも満たすヒートシール材を得ることができる。
【0048】
粘着性付与剤としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン類、スチレン系樹脂などがあげられる。
脂肪族系炭化水素樹脂としては、例えばブテン、イソブチレン、ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどのCおよび/またはCのオレフィン、ジオレフィンなどを主成分とした重合体が挙げられる。
脂環族系炭化水素樹脂としては、例えばスペントC〜C留分中のジエン成分を環化二量体化後重合した樹脂、シクロペンタジエンなどの環状モノマーを重合した樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂(水素添加芳香族炭化水素樹脂)などが挙げられる。
芳香族系炭化水素樹脂としては、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレンなどのC8〜C10のビニル芳香族炭化水素を主成分とする樹脂などが挙げられる。
ポリテルペン系樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン・フェノール共重合体などが挙げられる。
ロジン類としては、例えば、ロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンのグリセリンエステルおよびその水添物またはその重合体およびロジンのペンタエリスリットエステルおよびその水添物またはその重合体などが挙げられる。
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン系モノマーの単独重合体、スチレン・オレフィン共重合体、ビニルトルエン・α−メチルスチレン共重合体などが挙げられる。
【0049】
(樹脂組成物の調製方法)
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、例えば、上述した(A)〜(C)成分と、必要に応じて他の添加剤と、を同時または逐次的にドライブレンドまたはメルトブレンドすることにより得られる。これらの成分の混合順序はとくに制限はない。
ドライブレンドには、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどの各種ミキサーを用いることができる。
また、メルトブレンドする場合は、1軸または2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの混練装置を用いることができ、例えば、160℃〜230℃程度の温度で溶融混練する。
【0050】
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物は、キャスト法や、インフレーション成形法、押出成形法などにより、フィルムに成形することができる。
このようにして得られたフィルムをヒートシール材とすることができる。また、本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を直接基材上に積層することで、ヒートシール材とすることができる。
【0051】
基材としては、たとえば、延伸または未延伸の、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、エチレン成分を共重合成分とするブロック系やランダム系のプロピレン系ポリマー、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度や超低密度のポリエチレンなどのエチレン系ポリマー、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンの1種または2種以上を用いてなる各種熱可塑性樹脂フィルムまたはシート、紙、金属箔、不織布、金属などを蒸着した樹脂フィルムなどが用いられる。
本実施形態においては、これらの中でもポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンからなる基材がとくに好ましい。
【0052】
基材の厚さは、とくに限定されないが、通常は1μm以上500μm以下であり、好ましくは10μm以上200μm以下である。
【0053】
本実施形態の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物からなるフィルムを基材上に積層する方法としては、フィルムをドライラミネーション法などにより、基材と貼り合わせる方法がある。
また、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を基材上に直接フィルム状に押し出しコーティングする方法により、基材上に積層してもよい。
さらには、基材上に接着層を積層し、さらにこの接着層上に、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物をサンドイッチラミネーション法により、積層してもよい。
また、基材と、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物とを共押出しすることで、基材上に易開封性ヒートシール材用樹脂組成物からなる層を積層してもよい。
また、ポリエチレンなどの接着層を介して、基材上に上記フィルムを積層してもよい。
【0054】
本実施形態において、基材に形成する上記ヒートシール層の厚さは用途に応じて適宜決定されるが、好ましくは1μm以上250μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上100μm以下である。
【0055】
このようにして得られる積層体は、食品用包装材として使用することができる。とくにレトルト食品用包装材として使用するときに密封性、易開封性、開封部の外観、高温での耐油性に優れた包装材となる。
【0056】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
【0057】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0058】
以下に、本実施形態を実施例および比較例により説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0059】
実施例および比較例では以下の原料を使用した。なお、各樹脂のメルトフローレート(MFR)および融点は下記に準拠して測定した。

・MFR : JIS K7210−1999(190℃、2160g荷重)
・融点 : JIS K7121−1987
なお、PP−1〜4のMFRは230℃にて測定した。
【0060】
ECP−1:エチレン・メタアクリル酸共重合体(メタアクリル酸含量:9質量%)
ECP−2:エチレン・メタアクリル酸・イソブチルアクリレート共重合体(メタアクリル酸含量:10質量%、イソブチルアクリレート:10質量%)
ECP−3:エチレン・メタアクリル酸・イソブチルアクリレート共重合体(メタアクリル酸含量:10質量%、イソブチルアクリレート:10質量%)の70%亜鉛中和品
ECP−4: エチレン・メタアクリレート共重合体(メタアクリレート:20質量%)
【0061】
PP−1:不均一系オレフィン重合触媒で製造されたランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロF317DV)
PP−2:不均一系オレフィン重合触媒で製造されたランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロF534N4)
PP−3:均一系オレフィン重合触媒で製造されたポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロMF257)
PP−4:ブロックポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロF354NV)
【0062】
PE−1:線状低密度ポリエチレン(LLDPE、プライムポリマー社製、ネオゼックス3510F)
PE−2:高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー社製、ハイゼックス3300F)
PE−3:線状低密度ポリエチレン(LLDPE、プライムポリマー社製、エボリュー SP4030)
【0063】
E−1:エラストマー(三井化学社製、タフマーA4085)
E−2:エラストマー(三井化学社製、タフマーP2085)
【0064】
AM−1:水素添加芳香族炭化水素樹脂(荒川化学社製、アルコンAM1)
【0065】
(実施例1〜4、比較例1〜4)
表1に示す配合割合で各成分を混合し、ヒートシール性樹脂組成物を調製した。
その後、多層押出キャスト成形装置(40mmφ×3)を用いて、厚み15μmのポリプロピレンフィルム(プライムポリマー社製、プライムポリプロF107DV)と、厚み15μmのポリプロピレンフィルム(プライムポリマー社製、プライムポリプロF107DV)と、20μmの上記ヒートシール性樹脂組成物を共押出にて積層の押出フィルムを作成した。
これを予め作成した延伸PET(12μm)と低密度ポリエチレン(15μm)からなる二層構成の積層フィルムのポリエチレン面側に低密度ポリエチレン(15μm)を接着層とするサンドイッチラミネーション法により積層し、試験基材を得た。
次に、このようにして得られた積層フィルムをポリプロピレンの射出成形板にヒートシールした。積層フィルムのヒートシール層が、射出成形板と直接接触するように、積層フィルムを射出成形板にヒートシールしている。ヒートシール条件は、温度150℃〜200℃のそれぞれの温度で、圧力0.2MPa、時間1秒である。また、その後、射出成形板から、積層フィルムを剥がし、ヒートシール強度を測定した。ヒートシール強度は、室温23℃、湿度50%RHの環境下で、T型ピール試験機で300mm/分の剥離速度で測定した(JIS K 6854−3に準拠)。表1の各符号は、以下の通りである。
低温シール(ヒートシール温度150℃での判定基準)
○:5N/15mm以上
△:3N/15mm以上5N/15mm未満
×:3N/15mm未満

シール性(ヒートシール温度160〜200℃での判定基準)
○: すべての温度で10N/15mm以上20N/15mm以上の範囲内にある
△:10N/15mm以上20N/15mm以上の範囲外になる温度が1つある
×:10N/15mm以上20N/15mm以上の範囲外になる温度が2つ以上ある

糸曳き
○:目視で糸引きなし
×:目視で糸引きあり
【0066】
(耐油性試験)
ヒートシール性樹脂組成物をペレット化した。そして、プレス機を用いて、得られたペレットを180℃でプレスし、厚さ3mmのシートを作製した。得られたシートを25mm×25mmのサイズに切断し、評価サンプルとした。
次に、容量50mLのスクリュー瓶に評価サンプルを入れ、そこに30mLのサラダ油を注ぎ込み、アルミ箔で蓋をした。バット上にそのスクリュー瓶を並べ、セーフベンドライヤー内で、80℃、3日間エージングした。そして、サラダ油浸漬前とエージング後の重量変化を計測し、重量変化の割合を求めた。各サンプルはn=5でおこなった。表1の各符号は、以下の通りである。
○:重量変化3%未満
△:重量変化3%以上5%未満
×:重量変化5%以上
【0067】
【表1】

【0068】
表1の配合量の単位は、質量部である。
実施例1〜4は、良好なヒートシール性を有しつつ、高温での耐油性が優れるものであった。
これに対し、比較例1、3〜4はいずれも、高温での耐油性は満足するものであったが、ヒートシール性が基準を満たさなかった。また、粘着付与樹脂を添加した比較例2は、良好なヒートシール性を示したが、高温での耐油性が満足するものでなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レトルト食品用の易開封性ヒートシール材に用いられる樹脂組成物であって、
(A)エチレン・極性モノマーランダム共重合体と、
(B)不均一系オレフィン重合触媒で製造され、融点が140℃以上のランダムポリプロピレンと、
(C)低密度ポリエチレンと
を含み、
当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、
前記(A)成分が5質量部以上40質量部以下であり、
前記(B)成分が25質量部以上75質量部以下であり、
前記(C)成分が5質量部以上50質量部以下である、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
当該樹脂組成物は粘着付与樹脂を実質的に含まない、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
前記(B)成分の融点が140℃以上180℃以下である、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
前記(C)成分が線状低密度ポリエチレンである、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において
前記(A)成分の極性モノマーが、不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸から選ばれる少なくとも1種である、易開封性ヒートシール用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
前記(A)成分が、少なくともエチレンと(メタ)アクリル酸エステルを必須成分とし、金属イオンで架橋されていないエチレン・極性モノマーランダム共重合体である、易開封性ヒートシール用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において
前記(A)成分が、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステルランダム二元共重合体またはエチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸ランダム三元共重合体から選ばれる少なくとも1種である、易開封性ヒートシール用樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
前記(A)成分が、エチレン・不飽和カルボン酸ランダム二元共重合体である、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項9】
請求項6または7に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
前記(A)成分が5質量部以上25質量部以下であり、
前記(B)成分が35質量部以上55質量部以下であり、
前記(C)成分が15質量部以上45質量部以下である、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1乃至8いずれか一項に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
(D)均一系オレフィン重合触媒で製造されたランダムポリプロピレンをさらに含み、
前記(D)成分が0質量部を超えて49質量部以下である、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項11】
請求項9に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
(D)均一系オレフィン重合触媒で製造されたランダムポリプロピレンをさらに含み、
前記(D)成分が0質量部を超えて25質量部以下である、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項12】
請求項8に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
(D)均一系オレフィン重合触媒で製造されたランダムポリプロピレンをさらに含み、
前記(D)成分が15質量部以上25質量部以下である、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項13】
請求項10乃至12いずれか一項に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物において、
前記(D)成分の融点が110℃以上180℃以下である、易開封性ヒートシール材用樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1乃至13いずれか一項に記載の易開封性ヒートシール材用樹脂組成物を含む、易開封性ヒートシール材。
【請求項15】
請求項14に記載の易開封性ヒートシール材を熱可塑性樹脂からなる基材上に積層したレトルト食品用包装材。

【公開番号】特開2013−67733(P2013−67733A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207839(P2011−207839)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】