易開封袋体、内容物収容体、及び易開封袋体の製造方法
【課題】易開封性を有すると共に、開封する際に生じる開封片が分離せず、取扱い性及び環境配慮に優れた袋体を提供する。
【解決手段】袋胴体部を構成する包装用フィルムが、筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられたひだ状構造を有し、該ひだ状構造の内面同士が該袋胴体部の上下を引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合わされており、該ひだ状構造の先端部が易破断化加工されている裂開用シール部2と、該裂開用シール部と交差するシール交差部を有し、該シール交差部において、裂開用シール部を形成する折り重ねられた包装用フィルムのひだ状構造の内面同士が、袋胴体部の上下を引き離す力を付与したときに剥離不能に張り合わされている縦シール部3と、を有しており、袋胴体部を裂開用シール部において上部側と下部側に裂開させることにより袋体が開封され、シール交差部において、袋胴体部の裂開が停止し、袋胴体部の上下の結合が維持される。
【解決手段】袋胴体部を構成する包装用フィルムが、筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられたひだ状構造を有し、該ひだ状構造の内面同士が該袋胴体部の上下を引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合わされており、該ひだ状構造の先端部が易破断化加工されている裂開用シール部2と、該裂開用シール部と交差するシール交差部を有し、該シール交差部において、裂開用シール部を形成する折り重ねられた包装用フィルムのひだ状構造の内面同士が、袋胴体部の上下を引き離す力を付与したときに剥離不能に張り合わされている縦シール部3と、を有しており、袋胴体部を裂開用シール部において上部側と下部側に裂開させることにより袋体が開封され、シール交差部において、袋胴体部の裂開が停止し、袋胴体部の上下の結合が維持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性を有すると共に、開封する際に裂いた開封片が分離せず、取扱い性及び環境配慮に優れた易開封袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
袋体から内容物を取り出すための開封方法としては、ハサミ等の道具を用いて又は手で袋体を切断する、或いは、袋体のシール部を剥離する等の方法がある。
従来より、ハサミ等の道具を使わなくても袋体を容易に開封できるよう、袋体に開封を容易にする易開封性機能を付与することが行われている。例えば、袋体を引き裂く際の起点となる切り込みを設けたり、包装用フィルムに引き裂き易さを高めるミシン目加工や傷痕加工を施すことが行われている。
【0003】
一方、袋体に収容する内容物によっては、内容物の一部のみを袋体から露出させることで、内容物の取扱い性が向上する場合がある。例えば、食品、具体的には、チョコレートバーや、シリアルバー等の固形状食品を収容する場合、袋体から食品の一部のみを露出させることで、食品に手で直接触れずに、袋体で覆われた部分を袋体の外側から持ち、その食品を食すことができる。また、衛生上又は安全上、直接手で触れないことが好ましいもの、直接手で触れないことが好ましい部分があるものを収容する場合にも、同様に、袋体を開封し、内容物の一部のみを露出させ、袋体に覆われた部分を袋体の外側から持ち、作業を行うことができる。
【0004】
上記のような袋体として、例えば、特許文献1には、2つの横方向シール継ぎ目と1つの長手方向継ぎ目とを有するチューブバッグであって、包装された製品を少なくとも部分的に露出する目的でチューブバッグを裂開するための切断線や穿孔線が設けられた分離領域を有し、該分離領域が、少なくとも1つの横方向シール継ぎ目に対して離隔してほぼ平行に、且つ、チューブバッグのほぼ周全体にわたって延びており、解除可能に固定された、チューブバッグのほぼ周全体にわたって延びるオーバーラップ部を有していることを特徴とするチューブバッグが開示されている。特許文献1に記載の袋体は、上記分離領域を境に、その両側から袋体を引っ張り引き裂くことで、袋を開封することができる。
【0005】
【特許文献1】特表2007−534567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の袋体は、分離領域が包装袋の周全体にわたって設けられているため、一度に開封するためには大きな力が必要とされる。また、開封するために引き裂いた開封片と、内容物を包装している袋体とが完全に分離する。このようにして生じた開封片は、ゴミとなるため、屋外などではその処置に困り、作業性の低下を招く。また、開封片が飛散した場合、環境への負荷の増大が懸念される。
以上のような開封片による問題は、特許文献1に記載の袋体に限らず、多くの袋体が抱える問題の1つである。
【0007】
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、その目的は、誰にでも容易に開封可能な易開封性を有すると共に、開封する際に生じる開封片が分離せず、取扱い性及び環境配慮に優れた易開封袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の易開封袋体は、1枚又は2枚以上の包装用フィルムの端縁を貼り合せて成形された筒状形状の袋胴体部を有する易開封袋体であって、
前記袋胴体部は、筒状形状の周方向に延在し、該袋胴体部を筒状形状の軸方向において上部側と下部側とに裂開可能な裂開用シール部と、該裂開用シール部と交差する縦シール部とを有し、
前記裂開用シール部は、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムが、前記筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられたひだ状構造を有し、当該ひだ状構造の内面同士が、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に互いに貼り合わされており、当該ひだ状構造の先端部は、易破断化加工されているか、又は、前記袋胴体部の上部側と下部側とに分離しており、
前記縦シール部は、該縦シール部と前記裂開用シール部とが交差するシール交差部を有し、当該シール交差部において、前記裂開用シール部を形成する折り重ねられた包装用フィルムのひだ状構造の内面同士が、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に互いに貼り合わされており、
前記袋胴体部を前記裂開用シール部において前記上部側と前記下部側に裂開させることにより袋体が開封され、前記シール交差部において、前記袋胴体部の裂開が停止し、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側との結合が維持されることを特徴とする。
【0009】
本発明の易開封袋体は、前記裂開用シール部を剥離し、該裂開用シール部を境に袋胴体部を上部側と下部側に裂開させることで、容易に開封することが可能であり、易開封性に優れるものである。
さらに、前記シール交差部において、裂開用シール部を形成する包装用フィルムの内面同士が、前記袋胴体部の前記上部側と下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に貼り合わされているため、裂開用シール部における袋胴体部の裂開は、シール交差部において停止する。すなわち、本発明の袋体は、裂開用シール部を裂開させることによって袋体を開封した後も、袋胴体部の上部側と下部側とが分離せず、開封片が生じない。その結果、袋体の開封の際に生じた開封片による作業性の低下や、開封片の飛散による環境負荷の増大等の問題発生が防止される。
【0010】
本発明の袋体の具体的な形態例として、例えば、包装用フィルムを折り曲げ、重なり合う三辺の端縁を貼り合せた三方袋であり、該三方袋を形成する3つの端縁シール部の1つが前記縦シール部として機能するものが挙げられる。また、筒状形状に曲成させた包装用フィルムの側縁部同士を合掌貼りさせた背貼りシール部と、該筒状形状の軸方向において開放する端縁を閉鎖する端縁シール部と、を備えるピロー袋であり、前記背貼りシール部が前記縦シール部として機能するものなどが挙げられる。
【0011】
前記裂開用シール部は、前記シール交差部と対向する位置に、該裂開用シール部の剥離の起点となる応力集中部が設けられていることが好ましい。前記裂開用シール部における裂開が容易となり、袋体の開封性を向上させることができるからである。
【0012】
本発明の内容物収容体は、上記易開封袋体に、内容物を収容したことを特徴とするものである。
前記内容物が少なくとも1つの角部を有する塊状形状を有し、前記易開封袋体の前記裂開用シール部の一部が、該角部と対応する位置に設けられている場合、該内容物の角部を裂開用シール部の一部に押し当て、その一部を開封の起点とし、剥離を促進することができるため、袋体の易開封性を高めることが可能である。
【0013】
前記易開封袋体の製造方法としては、例えば、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分を、前記裂開用シール部の延在予定方向と略平行に折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(a1)と、
前記ひだ状構造の先端を含む領域を易破断化加工するか、若しくは、前記ひだ状構造の先端において包装用フィルムを分離する、破断化加工工程(a2)と、
前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(a3)と、
を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、
前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに前記裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、を備えることを特徴とする方法が挙げられる。
【0014】
また、前記易開封袋体の他の製造方法としては、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分に、前記裂開用シール部の延在予定方向と略平行に、易破断化加工を施した易破断化加工部を形成するか、若しくは、包装用フィルムを分離した分離部を形成する、破断化加工工程(A1)工程と、
前記易破断化加工部又は前記分離部が、ひだ状構造先端となるように、前記包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(A2)と、
前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(A3)と、
を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、
前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに該裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、を備えることを特徴とする方法が挙げられる。
【0015】
前記易開封袋体は、前記裂開用シール部における前記シール交差部と対向する位置において、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを互いに引き離す方向に引っ張ることによって、前記裂開用シール部において該袋胴体部を該上部側と該下部側とに裂開させ、開封することができる。
特に、前記裂開用シール部に前記応力集中部を設けた場合には、前記応力集中部に近い、前記袋胴体部の前記筒状形状の軸方向における端部を、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す方向に引っ張ることによって、前記裂開用シール部において該袋胴体部を該上部側と該下部側とに裂開させ、前記易開封袋体を開封することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容易に開封可能な易開封性を有すると共に、開封する際に生じる開封片が分離せず、取扱い性及び環境配慮に優れた易開封袋体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の易開封袋体は、1枚又は2枚以上の包装用フィルムの端縁を貼り合せて成形された筒状形状の袋胴体部を有する易開封袋体であって、
前記袋胴体部は、筒状形状の周方向に延在し、該袋胴体部を筒状形状の軸方向において上部側と下部側とに裂開可能な裂開用シール部と、該裂開用シール部と交差する縦シール部とを有し、
前記裂開用シール部は、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムが、前記筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられたひだ状構造を有し、当該ひだ状構造の内面同士が、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に互いに貼り合わされており、当該ひだ状構造の先端部は、易破断化加工されているか、又は、前記袋胴体部の上部側と下部側とに分離しており、
前記縦シール部は、該縦シール部と前記裂開用シール部とが交差するシール交差部を有し、当該シール交差部において、前記裂開用シール部を形成する折り重ねられた包装用フィルムのひだ状構造の内面同士が、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に互いに貼り合わされており、
前記袋胴体部を前記裂開用シール部において前記上部側と前記下部側に裂開させることにより袋体が開封され、前記シール交差部において、前記袋胴体部の裂開が停止し、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側との結合が維持されることを特徴とする。
【0018】
以下、本発明の易開封袋体の実施形態について、図1〜図13を参照しながら説明する。
尚、本発明において、「筒状形状の周方向に延在する」とは、筒状形状の周囲方向の輪郭に沿って連続して存在していることを指す。このとき、筒状形状の周方向は、筒状形状の軸方向と垂直な方向に限られず、該軸方向に対して傾斜していてもよい。
【0019】
図1〜図6は、本発明の易開封袋体(以下、袋体という)の一形態例としてピロー袋を示すものであり、図1は、ピロー袋の背面の斜視図、図2は、図1に示すピロー袋のシール部(斜線で表示)を示すものである。また、図3は、図1に示すピロー袋の部分拡大斜視図である。また、図3〜図5は、図1に示すピロー袋の開封の様子を示すものである。さらに、図6は、図1〜図5に示すピロー袋に設けられた裂開用シール部の拡大断面図である。
【0020】
図1において、袋体100はピロー袋であり、包装用フィルムの端縁をシール部3、4a及び4bで貼り合せて成形された袋胴体部1を有している。袋胴体部1は筒状形状を有し、図1及び図2に示すように筒状形状の周方向に延在する裂開用シール部2と、該裂開用シール部2と交差する縦シール部3とを有している。袋胴体部1は、裂開用シール部2を境に、上部側1Aと下部側1Bとに裂開可能となっている。
【0021】
裂開用シール部2は、図6に示すように、袋胴体部1を構成する包装用フィルム5が、2枚の包装用フィルム5a、5bからなり、袋胴体部の外面側にひだ状構造6の先端6cが突き出るように、筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられている。ひだ状構造6は、先端6cにおいて分離している包装用フィルム5aと包装用フィルム5bとが、その端縁を突き合わせて形成され、該ひだ状構造6の内面同士(包装用フィルム5aの内面6aと、包装用フィルム5bの内面6b)が貼り合せられている。このひだ状構造6の内面同士の貼り合わせは、手指で袋胴体部の上部側と下部側とを引き離す力を付与したときに、剥離可能な剥離強度を有している。
尚、本実施形態において、袋胴体部1は、2枚に限らず、3枚以上の包装用フィルムを用いて形成されていてもよい。また、包装用フィルム5は、ひだ状構造6の先端6cを含む領域において、易破断化加工された1枚のフィルムでもよい。
【0022】
縦シール部3は、図1、図2に示すように裂開用シール部2と交差している。裂開用シール部2と縦シール部3とが交差するシール交差部7において、裂開用シール部2を形成する折り重ねられた包装用フィルム5a、5bのひだ状構造6の内面(6a、6b)同士は、該裂開用シール部2よりも大きな剥離強度で互いに貼り合わされており、手指で袋胴体部1の上部側1Aと下部側1Bとを引き離す力を付与したときに、剥離不能な剥離強度を有している。
【0023】
袋体100に対して、袋胴体部1の上部側1Aと下部側1Bとを互いに引き離す力(例えば、図3〜図4中の矢印の方向)を付与すると、裂開用シール部2の剥離が生じ(図4参照)、袋胴体部1は、該裂開用シール部2において、上部側1Aと下部側1Bとに裂開し(図5参照)、袋体100が開封される。裂開用シール部2の剥離は、シール交差部7では、包装用フィルムの内面同士の強い剥離強度により生じない。そのため、袋胴体部1の裂開はシール交差部7において停止し、シール交差部7において、袋胴体部1の上部側1Aと下部側1Bの結合が維持され、上部側1Aと下部側1Bとが分離しない。
具体的には、袋胴体部1の、裂開用シール部2のシール交差部7と対向する位置8において、該袋胴体部1を上部側1Aと下部側1Bに引き離す方向に互いに引っ張ると、該対向する位置8が裂開用シール部2の剥離の起点となって、裂開用シール部2が剥離し、袋胴体部1を効率良く裂開させることができる。このとき、裂開用シール部2の剥離は、起点となる位置8から裂開用シール部の延在する双方向に進み、シール交差部7に到達し、停止する。また、位置8に最も近い、筒状形状の軸方向における端部9を、該袋胴体部1を上部側1Aと下部側1Bに引き離す方向に引っ張ることで、裂開用シール部2の位置8に、袋胴体部1を上部側と下部側に引き離す力を付与することができる。
ここで、裂開用シール部の「シール交差部と対向する位置」とは、シール交差部と対角する位置、すなわち、シール交差部と、裂開用シール部により形成される輪の中心点を通る直線が、裂開用シール部と交差する位置である。
【0024】
以上のように、本発明の袋体は、手指で容易に開封することが可能な優れた易開封性を有する。裂開用シール部の形成位置によっては、裂開用シール部における裂開によって袋胴体部に形成される開口部から、内容物の一部のみを露出させ、袋体の下部側に覆われた部分を持つことで、内容物に直接手を触れずに、内容物を食したり、内容物を取り扱うことが可能である。例えば、本発明の袋体に、棒状、板状、ブロック状、等の塊状の食品を収容する場合、袋体で覆われた部分を持って、袋体から露出させた食品を食べることができるため、手が汚れず、且つ、衛生的である。また、医療品等、直接手で触れないことが望ましいもの、直接手で触れないことが望ましい部分を有するものを収容する場合には、袋体の開封後も、内容物に直接触れることなく、取り扱うことが可能となる。
【0025】
さらに、本発明では、上記したように、袋胴体部を裂開させ、開封した後も、袋胴体部の上部側と下部側が分離しないために、開封片が生じない。従って、本発明の袋体は、開封後の開封片がゴミとなり、その処置に困って、内容物を取り扱う際の作業性の低下を招いたり、或いは、開封片が飛散し、環境負荷を増大させるといった問題が生じない。すなわち、本発明によれば、取扱い性及び環境配慮に優れた袋体を提供することが可能である。
【0026】
以下、本発明の袋体について、さらに詳しく説明していく。
本発明の袋体を構成する包装用フィルムは、一般に袋体の製造に用いられる包装用フィルムであれば、特に限定されず、例えば、単層フィルムであっても積層フィルムであってもよい。積層フィルムとしては、例えば、基材層(最外層)、中間層、及び内面層(最内層)の3層からなる積層フィルムが挙げられる。
【0027】
基材層は、袋の最外層を形成し、印刷適性の他、突き刺し強度、引っ張り強度等の耐衝撃性、耐ピンホール性等の機能を有する層であることが好ましい。基材層の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、及びエチレンビニルアルコール共重合体等の一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムの単層フィルム、又は共押出フィルム、及び、これらフィルムを積層したもの等が挙げられる。
これらのフィルムに、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性等の機能を付与するために、アルミニウム箔などの金属箔;アルミニウム等の金属、並びに酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたフィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)したコートフィルム;等も用いることができる。また、紙やセロファン等を用いてもよい。
【0028】
中間層は、袋体の用途に応じた、酸素バリア性、水蒸気バリア性、及び引き裂き性等の機能を有する層であることが好ましい。中間層の材質としては、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が必要とされる場合には、例えば、アルミニウム箔などの金属箔;アルミニウム等の金属、並びに酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたフィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたフィルム;等が挙げられる。
【0029】
内面層は、袋の最内層を形成し、加熱加圧による貼り合わせ、すなわちヒートシールが可能な層であることが好ましい。内面層の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アイオノマー樹脂等の未延伸フィルム、又はこれらの樹脂を層状に押し出したものが挙げられる。
【0030】
これらの層を積層して積層フィルムを形成する方法は、一般に積層フィルムの形成に用いられる積層方法であれば、特に限定されない。例えば、接着剤を用いてドライラミネート法により積層する方法であってもよく、熱接着樹脂を用いて押し出しラミネート法により積層する方法であってもよい。
また、その他のラミネート法により積層してフィルムを形成する方法であってもよい。
【0031】
袋体を構成する包装用フィルムは1枚であっても、2枚以上であってもよい。すなわち、1枚の包装用フィルムを折り曲げ、重ね合わせた端縁を貼り合せることで袋状に成形してもよいし、2枚以上の包装用フィルムの端縁同士を重ね合わせ、貼り合せることで袋状に形成してもよい。また、基本となる袋体の形態も特に限定されず、収容する内容物に合わせて適宜、決定すればよい。例えば、三方袋、四方袋、ピロー袋、ガゼット袋等、一般的な形態を採用することができる。また、袋体の形状も特に限定されず、様々な形状を採用することができる。スティック状の食品、例えば、チョコレートバーやシリアルバー等を収容する場合には、袋胴体部は長手方向と短手方向を有する扁平形状となり、該長手方向において上部側と下部側に裂開するようにすることができる。
尚、本発明の袋体に収容する内容物は、塊状、粉末状等の固形物に限定されず、流動物でもよい。
【0032】
本発明の袋体は、裂開用シール部を剥離し、袋胴体部を上部側と下部側とに裂開させることで開封される。
裂開用シール部は、(1)袋胴体部を構成する包装用フィルムが、筒状形状の周方向に延在する折線に沿って折り曲げられ、該袋胴体部の内面側又は外面側に突き出たひだ状に重ね合わされ、当該ひだ状構造の先端を含む領域が易破断化加工されているひだ状構造を有するか、或いは、(2)袋胴体部を構成する包装用フィルムが、筒状形状の周方向に延在する境界で前記袋胴体部の上部側と下部側とに分離し、当該分離した部分同士が、相対する端縁を揃えて突き合わされ、重ね合わされたひだ状構造を有している。そして、これら(1)又は(2)のひだ状構造を有する裂開用シール部のひだ状構造の内面同士が、手指で袋胴体部の上部側と下部側とを互いに引き離す力を付与したときに剥離可能な剥離強度で貼り合わされている。
【0033】
裂開用シール部の上記(1)及び(2)のひだ状構造としては、図6の他、例えば、図7〜図11に示すような構造が挙げられる。
尚、ひだ状構造は、上記したように袋胴体部の内面側、すなわち、袋体の内部側に突き出た形態でも、外面側、すなわち、袋体の外部側に突き出た形態でもよい。図6〜図11においては、ひだ状構造が袋体の内面側か外面側かの区別はしていない。また、図6〜図11において、各図B、図Cは、図Aに示すひだ状構造6を有する裂開用シール部2に対して、黒矢印方向に力を付与することによって、裂開用シール部2の剥離が進む様を示すものである。尚、開封後の裂開用シール部が、必ずしも図Cに示す状態になるとは限らない。
【0034】
図7は、上記(1)のひだ状構造を有する裂開用シール部の一例を示すものであり、包装用フィルム5の連続した部分を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に折り曲げて重ね合わせてひだ状構造6が形成されている。ひだ状構造の先端6cにおいて、包装用フィルム5は分離されていない、すなわち、切断されておらず、貼り合わせられたひだ状構造の内面6a、6bを剥離する際の力で、ひだ状構造の先端6cが破断するように該先端6cに易破断化加工が施されている。
易破断化加工としては、裂開用シール部を剥離する際に付与される力で、ひだ状構造の先端における包装用フィルムの破断を誘導し得るものであれば、特に限定されない。具体的な易破断化加工としては、例えば、刃物、レーザー照射等を用いてミシン目やハーフカット線やカット線等を形成する加工、又は、砥石や突起を設けた金属などを用いて傷痕などを形成する加工等が挙げられる。尚、易破断化加工は、包装用フィルムを貫通していてもよい。
ここで、易破断化加工を施す、「ひだ状構造の先端を含む領域」とは、ひだ状構造の先端のみでもよいし、ひだ状構造の先端及びその周囲一帯の領域でもよく、裂開用シール部における袋胴体部の裂開を生じさせることができれば具体的な領域は限定されない。
【0035】
図8は、図6同様、(2)のひだ状構造を有する裂開用シール部の例を示すものであり、分離した包装用フィルム5aと5b同士の相対する端縁を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に揃えて、突き合わせ重ね合わせてひだ状構造6が形成されている。ひだ状構造の先端6cにおいて、ひだ状構造を構成する包装用フィルム5a及び5bは分離している(切断されている)ため、貼り合わされたひだ状構造6の内面6aと6bを剥離することによって、袋胴体部は該裂開用シール部2において裂開することになる。
【0036】
図9〜図11は、3枚の包装用フィルムにより構成されたひだ状構造の例を示すものである。
図9に示す形態では、実質的には、袋胴体部の上部側を構成する包装用フィルム5aとひだ状構造を形成するための包装用フィルム5cによって、上記ひだ状構造が形成されている。すなわち、袋胴体部の下部側を構成する包装用フィルム5bと包装用フィルム5cは、裂開用シール部2よりも高い、剥離が困難な剥離強度で貼り合わされており、袋体の開封時に付与される力では剥離せず、1つの包装用フィルムとみなすことができる。
図9の形態では、このように包装用フィルム5bに一体化させた包装用フィルム5cと、包装用フィルム5aの相対する端縁を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に揃えて、突き合わせ重ね合わせてひだ状構造6が形成されている。貼り合わされたひだ状構造の内面6a(包装用フィルム5a)と6b(包装用フィルム5c)を剥離することによって、袋胴体部は該裂開用シール部2において裂開することになる。
【0037】
図10のように、袋胴体部の上部側を構成する包装用フィルム5aに一体化させた包装用フィルム5cと、袋胴体部の下部側を構成する包装用フィルム5bの相対する端縁を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に揃えて、突き合わせ重ね合わせてひだ状構造6を形成することもできる。図10の形態では、貼り合わされたひだ状構造の内面6a(包装用フィルム5c)と6b(包装用フィルム5b)を剥離(図10B参照)することによって、袋胴体部は該裂開用シール部2において裂開することになる。
図9及び図10に示す形態では、包装用フィルム5cの両表面において包装用フィルム5a、5bと貼り合せる必要があり、包装用フィルム5cは、両表面とも熱融着可能な層からなる包装用フィルムであることが望ましい。
【0038】
また、図11に示す形態のひだ状構造は、図10の変形であり、図10同様、袋胴体部の上部側を構成する包装用フィルム5aに一体化させた包装用フィルム5cと、袋胴体部の下部側を構成する包装用フィルム5bの相対する端縁を、裂開用シール部を延ばしたい方向と略平行に揃えて、突き合わせ重ね合わせて形成されている。包装用フィルム5aが図中の黒矢印方向に引っ張られると、包装用フィルム5bと包装用フィルム5cにより構成されたひだ状構造を有する裂開用シール部2の内面同士(6a、6b)が剥離する(図11B参照)。
また、包装用フィルム5cは、袋胴体部の下部側を構成する包装用フィルム5bと一体化されており、袋胴体部の上部側を構成する包装用フィルム5aと剥離するものでもよい。
【0039】
尚、本発明の袋体において、ひだ状構造は、図6〜図11に示す形態に限定されるものではない。
また、裂開用シール部を袋胴体部の筒状形状の周方向に延在させる具体的な形態、すなわち、ひだ状構造が筒状形状の周方向に延びる形態は、特に限定されず、袋胴体部の筒状形状の軸方向に対して、略垂直となるように該筒状形状の周方向に延在させてもよいし、該筒状形状の軸方向に対して傾斜させて該筒状形状の周方向に延在させてもよい。
【0040】
上記ひだ状構造の内面同士の貼り合わせにより付与される裂開用シール部の剥離強度は、手指で剥離できる程度弱く、且つ、袋体の密封性を確保できる程度の強度があればよい。裂開用シール部の剥離強度は、袋体の周囲を貼り合わせ、密封しているシール部(例えば、背貼りシール部や端縁シール部など)の剥離強度よりも弱い。具体的には、裂開用シール部の剥離強度は、1.0N/15mm以上、4.0N/15mm以下であることが好ましく、特に1.5N/15mm以上、2.5N/15mm以下であることが好ましい。裂開用シール部の剥離強度を4.0N/15mm以下とすることによって、裂開用シール部の剥離による袋体の開封が容易となる。一方、裂開用シール部の剥離強度を、1.0N/15mm以上とすることによって、袋体の密封性を確保することができる。
【0041】
尚、裂開用シール部の剥離強度は、JIS Z 0238:1998「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法」に準拠して測定することができる。すなわち、ヒートシール部分に対して直角の方向に15mm(幅)×100mm(展開長さ)以上に切り出した包装用フィルムを、常温でT形剥離させるのに必要な剥離強度を測定する。
【0042】
裂開用シール部のシール方法は、特に限定されず、一般的に袋体の形成に用いられる方法、例えば、ヒートシールによる方法、接着剤やコート剤による方法、イージーピールフィルムを使用する方法等が挙げられる。中でも、生産性、見栄え、剥離強度の調節の観点から、ヒートシール法が好ましく用いられる。裂開用シール部の剥離強度は、例えば、ヒートシール時の加熱温度、加圧力、加熱加圧時間等のヒートシール条件の変更、使用する接着剤の接着強度等により、調節することができる。
【0043】
裂開用シール部は、縦シール部と交差している。裂開用シール部と縦シール部の交差の形態は、裂開用シール部における袋胴体部の裂開が裂開用シール部と縦シール部とが交差するシール交差部において停止すれば特に限定されない。例えば、裂開用シール部と縦シール部の交差の角度は特に限定されないが、典型的には、略直角である。ここで略直角とは、裂開用シール部と縦シール部とがなす交差角の鋭角側が45度〜90度の範囲である状態を指す。
【0044】
裂開用シール部における縦シール部と対向する位置、すなわち、シール交差部と対向する位置に、裂開用シール部の剥離の起点となる応力集中部を設けることが好ましい。このような位置に、剥離の起点となる応力集中部を設けることによって、裂開用シール部の剥離を容易且つ効率的にすることができる。応力集中部には、袋胴体部を裂開させる際に付与される力が集中するため、該応力集中部を起点として裂開用シール部の双方向に剥離が進行し、裂開用シール部と縦シール部とが交差するシール交差部までの裂開用シール部の剥離が効率良く進行し、裂開用シール部全域を剥離させ、袋体を開口させることができる。
ここで、裂開用シール部の「シール交差部と対向する位置」は、上記したとおりである。
【0045】
応力集中部は、例えば、裂開用シール部を剥離させる際にかけられる力が一部に集中するように、シール形状を変更する方法、一部の剥離強度を裂開用シール部の他の部分よりも弱くする方法の方法等によって設けることができる。
シール形状を変更した応力集中部の具体的な形態としては、図12の12A〜12Cに示すものが挙げられる。図12において、斜線表示部は、裂開用シール部のひだ状構造の内面同士が貼り合わされているシール部を示している。図12は、応力集中部が設けられた裂開用シール部の正面図(紙面左側)と、該正面図におけるBB’断面図(紙面右図)である。
応力集中部を設けた場合には、応力集中部に最も近い、袋胴体部の筒状形状の軸方向における端部を、該袋胴体部を上部側と下部側とに互いに引き離す方向に引っ張ることで、裂開用シール部において該袋胴体部を該上部側と該下部側とに効率よく裂開させることができる。
【0046】
内容物が、塊状の固形物である場合、該塊状固形物の側面のうち、表面積が小さい面と対応する裂開用シール部を開封の起点とすることが好ましく、該対応する裂開用シール部に応力集中部を設けることが好ましい。袋体開封時において、袋体に内容物を収容した内容物収容体を、手のひらで握って持ち易く、袋体を開封しやすくなるためである。
【0047】
裂開用シール部の位置は、袋体に収容する内容物に合わせて適宜設定すればよい。好ましい位置としては、例えば、袋胴体部の内容物収容可能空間における軸方向長さに対して上部側の該軸方向長さが3分の1以下となる位置が挙げられる。このような位置で袋体を裂開させる場合、内容物にもよるが、開封後の取扱い性が高い。
ここで、「袋胴体部の内容物収容可能空間における軸方向長さ」とは、袋体の内容物収容可能空間を形成する包装用フィルムの、袋胴体部の筒状形状の軸方向における長さを指す。例えば、袋体の筒状形状の軸方向において、上端部及び下端部が袋体を密封するための端縁シール部で閉鎖されている場合、これら端縁シール部の袋体内部側の端部間の距離を指す。或いは、袋体の筒状形状の軸方向において、上端部及び下端部の一方は端縁シール部により閉鎖され、もう一方は包装用フィルムの折り曲げにより閉鎖されている場合、端縁シール部の袋体内部側の端部からシートの折り曲げまでの距離を指す。
また、内容物が少なくとも1つの角部を有する塊状形状を有する場合、裂開用シール部の一部を、該角部と対応する位置に設けることによって、裂開用シール部における袋胴体部の裂開を促進することができる。該角部の表面に裂開用シール部を沿わせるように押し当て、袋胴体部の上部側又は下部側を引っ張ることによって、該角部と対応する裂開用シール部に、その剥離を促すような力がかかり、開封の起点となるからである。
【0048】
裂開用シール部は、1つの袋体に対して、1つ設けてもよいし、2つ以上設けてもよい。袋胴体部の筒状形状の軸方向において、異なる位置に複数の裂開用シール部を設けることによって、例えば、袋胴体部の裂開による内容物の露出度合いを調節したり、食べ進み、露出部分が減った食品を覆う袋胴体部を再度裂開させることで食品を再度露出させることができる。
【0049】
縦シール部は、該縦シール部と裂開用シール部とが交差するシール交差部を有し、該シール交差部において、裂開用シール部における袋胴体部の裂開が停止される。シール交差部では、包装用フィルムを折り重ねて形成された裂開用シール部のひだ状構造の内面同士が、裂開用シール部において袋胴体部を裂開させる際の力では剥離不能な剥離強度で貼り合わされている。
尚、本発明において、「袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に互いに貼り合わされている」とは、袋体開封時、裂開用シール部を裂開させるための力では、剥離しない剥離強度で貼り合わされていることは勿論、袋体の密封性が確保できる程度の剥離強度で貼り合わされていることを意味する。
【0050】
縦シール部は、裂開用シール部と交差し、裂開用シール部における袋胴体部の裂開を停止することができれば、その形状、位置等の形態に特に限定されないが、袋体を構成する包装用フィルムの端縁を貼り合わせ、袋体を密封するシール部が縦シール部を兼ねるようにすることが好ましい。製造工程及び袋体の構造が簡略化されるからである。
【0051】
例えば、包装用フィルムを折り曲げ、重なり合う三辺の端縁を貼り合わせた三方袋の場合、該三方袋を形成する3つの端縁シール部の1つを縦シール部として機能させることができる。或いは、筒状形状に曲成させた包装用フィルムの側縁部同士を合掌貼りさせた背貼りシール部と、該筒状形状の軸方向において開放する端縁を閉鎖する端縁シール部と、を備えるピロー袋の場合、背貼りシール部を縦シール部として機能させることができる。或いは、袋体の前面と背面を構成する2枚の包装用シートを重ね合わせ、4辺の端縁を貼り合わせた四方袋の場合、4つの端縁シール部の1つを縦シール部として機能させることができる。
このように袋体を密封するシール部を縦シール部として利用する場合には、通常、シール交差部においても、縦シール部は剥離不能な剥離強度で貼り合わされている。また、ヒートシールにより縦シール部を形成する場合、縦シール部のヒートシールバーにより、同時に裂開用シール部のうち、シール交差部を同時にシールすることとなるため、折り重ねられた包装用フィルムにより形成された裂開用シール部は、その内面同士が、裂開用シール部の他の領域と比較して大きな剥離強度で貼り合わされることになる。尚、本発明において、袋体を密封するシール部とは別途、縦シール部を設けてもよい。
【0052】
縦シール部の剥離強度は、高ければ高いほどよく、裂開用シール部の剥離を確実に停止させると共に、袋体の密封性を保持する観点から、通常、5.0N/15mm以上であることが好ましく、特に10N/15mm以上であることが好ましい。通常は、上記下限値以上の剥離強度を有していれば、50N/15mm以下、さらには、30N/15mm以下であっても、裂開用シール部の剥離を確実に停止させると共に、袋体の密封性を保持することができる。
縦シール部を形成するためのシール方法は、一般に袋体の形成に用いられるシール方法を任意に採用することが可能であり、特に限定されない。例えば、ヒートシールによる方法、及び接着剤による方法等が挙げられる。これらの中でも、生産性及び見栄えの観点から、ヒートシールによる方法が好ましく用いられる。
【0053】
本発明の易開封袋体は、上記したように、裂開用シール部におけるシール交差部と対向する位置が、該裂開用シール部の剥離の起点となるように、袋胴体部の上部側と下部側とを引き離すように引っ張ることで効率良く開封することができる。このような効率的な開封を補助する構造を袋体に付与することで、使用者の袋体開封性を向上させることができる。
具体的な開封補助構造としては、例えば、図13に示すように、裂開用シール部2におけるシール交差部7と対向する位置8に最も近い、袋胴体部1の筒状形状の軸方向における端部9に、斜めシール部10を設けた構造が挙げられる。このような位置に斜めシール部10を設けることにより、袋胴体部1の上部側1Aを下部側1Bから引き離すように端部9を上部側に引っ張る際に、該端部9が手で持ちやすい。その結果、端部9を上部側に引っ張りやすくなり、袋体の開封容易性が高まる。
【0054】
本発明の袋体の具体的な形態として、袋胴体部が、内容物収容可能空間が前記長手方向10〜20cm、前記短手方向1.0〜5.0cmであり、裂開用シール部が該内容物収容可能空間の該長手方向上端部から1.0〜5.0cmの位置に設けられている形態が挙げられる。このような形態の袋体は、裂開用シール部における袋胴体部の裂開により露出させた一部分を、袋体に覆われた部分を持って食べる、スティック状の固形食品を収容する袋体として特に適している。
【0055】
上記のような本発明の袋体の製造方法は特に限定されるものではない。
例えば、袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(a1)と、前記ひだ状構造の先端を含む領域を易破断化加工するか、若しくは、前記ひだ状構造の先端において包装用フィルムを分離する、破断化加工工程(a2)と、前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(a3)と、を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに前記裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、を備える方法(以下、第一の製造方法とする)が挙げられる。
【0056】
或いは、袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分に、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に、易破断化加工を施した易破断化加工部を形成するか、若しくは、包装用フィルムを分離した分離部を形成する、破断化加工工程(A1)工程と、前記易破断化加工部又は前記分離部が、ひだ状構造先端となるように、前記包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(A2)と、前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(A3)と、を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに該裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、を備える方法(以下、第二の製造方法とする)が挙げられる。
【0057】
ここで、第一の製造方法の上記破断化加工工程(a2)又は第二の製造方法の破断化加工工程(A1)において、易破断化加工を施す場合には、上記ひだ状構造(1)を有する裂開用シール部を作製することができ、一方、包装用フィルムを分離する若しくは分離部を形成する場合には、上記ひだ状構造(2)を有する裂開用シール部を作製することができる。
また、「裂開用シール部の延在予定方向と略平行」とは、上記ひだ状構造(1)又は(2)において、ひだ状構造が形成できる程度の平行度合いであればよく、具体的な平行度合いは特に限定されない。
【0058】
以下、第一の製造方法及び第二の製造方法について説明していく。
【0059】
はじめに第一の製造方法について、図14を用いて説明する。
まず、包装用フィルム5の連続した部分を折り曲げ重ね合わせて(図14の14A参照)ひだ状構造を形成する(a1)。このとき、ひだ状構造6が、袋胴体部の内面側に突き出るように包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせてもよいし、袋胴体部の外面側に突き出るように包装用フィルムを折り曲げ重ねあわせてもよい。通常は、該ひだ状構造を有する裂開用シール部の内面同士の貼り合せと、他のシール部の内面同士の貼り合わせが同じ面同士である点、また、ひだ状構造が内容物に触れない点から、袋胴体部の外面側にひだ状構造が突き出るように折り曲げ重ね合わせることが好ましい。
【0060】
次に、ひだ状構造形成工程(a1)において形成したひだ状構造6の先端を含む領域を易破断化加工するか、ひだ状構造6の先端において包装用フィルムを分離する(a2)。易破断化加工及びひだ状構造の先端を含む領域については既述したとおりである。図14の14B−1には、易破断化加工としてミシン目加工を施した場合、すなわち、ひだ状構造(1)を形成する場合、図14の14B−2には、包装用フィルム5を切断し、分離した場合、すなわち、ひだ状構造(2)を形成する場合を示す。
【0061】
続いて、ひだ状構造の内面同士を、袋胴体部の上部側と下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能な剥離強度で貼り合わせる(a3。図14の14C参照)。
ひだ状構造(1)、ひだ状構造(2)の内面同士を貼り合わせる方法は、上記したようにヒートシール法や接着剤を用いる方法等、任意の方法を採用することができる。
【0062】
以上のようにして、(a1)〜(a3)の各工程を含む裂開用シール部作製工程(A)により、包装用フィルムに裂開用シール部2が作製される。その後、裂開用シール部作製工程(A)により作製された裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、上記袋胴体部の上部側と下部側とを引き離す力を付与したときに該裂開用シール部のひだ状構造の内面同士が剥離不能となる剥離強度で貼り合せる(縦シール部作製工程(B))。典型的には、裂開用シール部作製工程(A)により得られた裂開用シール部を形成させた包装用フィルムを用いて製袋することで、包装用フィルムの端縁を貼り合わせて形成されるシール部が、裂開用シール部の一部と交差し、縦シール部が作製される。
【0063】
第二の製造方法は、第一の製造方法と裂開用シール部作製工程(A)の手順が異なるのみである。具体的には、第一の製造方法では、包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせてひだ状構造を形成した後、該ひだ状構造の先端に破断化加工を施すのに対して、第二の製造方法では、包装用フィルムに破断化加工を施した後、該破断化加工を施した領域がひだ状構造の先端となるように包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせてひだ状構造を形成する点で異なる。よって、ここでは、第二の製造方法の裂開用シール部作製工程(A)の各工程(A1)〜(A3)及び縦シール部作製工程(B)については省略する。
【0064】
本発明の袋体を製造する方法は上記方法に限定されず、工業的に生産する場合には、例えば、特表2007−534567号公報に記載の裂開用シール部(分離領域)の形成方法を参考にすることができる。但し、本発明の場合には、裂開用シール部の作製の後、上記縦シール部の作製を行う点が非常に重要である。
【実施例】
【0065】
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、厚さ12μm)と無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム、厚さ30μm:東セロ株式会社製 TAF650C)とをドライラミネートにより積層し、基材層(PETフィルム)と内面層(CPPフィルム)からなる積層フィルムを作成した。
【0066】
得られた積層フィルムを横11cm×縦11.8cmのシート片1、横11cm×縦3.8cmのシート片2に切断した。これらシート片は、横方向の一辺の端縁を揃えて付き合わせて、内面層同士が対向するように重ね合わせ、該端縁から3mmの領域を150℃、0.2MPaで1sec、加熱加圧し、横方向に延在する裂開用シール部を形成した。該裂開用シール部の形成により、シート片1とシート片2が接続され、横11cm×縦15cmのシート片3が得られた。
得られたシート片3は、まず、縦方向を折り線とするよう横方向に折り曲げ、重ね合わせた縦方向の側縁部から1cmの領域を170℃、0.2MPaで1sec加熱加圧し、背貼りシール部を形成した。背貼りシール部の形成により筒状形状に成形されたシート片3は、開放する2つの端縁それぞれから1cmの領域を170℃、0.2MPaで1sec加熱加圧し、2つの端縁シール部を形成し、横4.5cm×縦15cmのピロー袋を得た。
【0067】
尚、裂開用シール部、背張りシール部及び天地シール部の加熱温度は以下のように決定した。すなわち、裂開用シール部の剥離強度は手指で剥離できる程度弱く、且つ、袋体の密封性を確保できる、3.5N/15mmの剥離強度が得られる150℃とした。また、裂開用シール部以外の背貼りシール部及び端縁シール部の剥離強度は手指で剥離できず、袋体の密封性を確保できる、5.0N/15mmの剥離強度が得られる170℃とした。
【0068】
次に、得られたピロー袋を、シート片1で構成された下部側を持ち、シート片2で構成された上部側の端部を、該下部側から引き離すように引っ張り、裂開用シール部の背貼りシール部と対向する位置を起点として、該裂開用シール部を剥離させた(図3〜図5参照)。該裂開用シール部を剥離することにより、袋体は容易に裂開し、開封することができた。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の易開封袋体の一形態例を示す斜視図である。
【図2】図1の易開封袋体のシール部を強調して示す図である。
【図3】図1の易開封袋体の一部拡大図であり、該袋体の開封前の状態を示すものである。
【図4】図1の易開封袋体の一部拡大図であり、該袋体の開封過程を示すものである。
【図5】図1の易開封袋体の一部拡大図であり、該袋体が開封した状態を示すものである。
【図6】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図7】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図8】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図9】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図10】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図11】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図12】応力集中部の一形態例を示す正面図及び断面図である。
【図13】斜めシール部を設けた易開封袋体の一形態例を示す図である。
【図14】易開封袋体の製造過程を説明する図である。
【符号の説明】
【0070】
1…袋胴体部
1A…袋胴体部上部側
1B…袋胴体部下部側
2…裂開用シール部
3…縦シール部
4…裂開用シール部2における縦シール部3と対向する位置
5…包装用フィルム
6…ひだ状構造
7…シール交差部
8…裂開用シール部2における縦シール部3と対向する位置
9…端部
10…斜めシール部
100…易開封性袋体
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性を有すると共に、開封する際に裂いた開封片が分離せず、取扱い性及び環境配慮に優れた易開封袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
袋体から内容物を取り出すための開封方法としては、ハサミ等の道具を用いて又は手で袋体を切断する、或いは、袋体のシール部を剥離する等の方法がある。
従来より、ハサミ等の道具を使わなくても袋体を容易に開封できるよう、袋体に開封を容易にする易開封性機能を付与することが行われている。例えば、袋体を引き裂く際の起点となる切り込みを設けたり、包装用フィルムに引き裂き易さを高めるミシン目加工や傷痕加工を施すことが行われている。
【0003】
一方、袋体に収容する内容物によっては、内容物の一部のみを袋体から露出させることで、内容物の取扱い性が向上する場合がある。例えば、食品、具体的には、チョコレートバーや、シリアルバー等の固形状食品を収容する場合、袋体から食品の一部のみを露出させることで、食品に手で直接触れずに、袋体で覆われた部分を袋体の外側から持ち、その食品を食すことができる。また、衛生上又は安全上、直接手で触れないことが好ましいもの、直接手で触れないことが好ましい部分があるものを収容する場合にも、同様に、袋体を開封し、内容物の一部のみを露出させ、袋体に覆われた部分を袋体の外側から持ち、作業を行うことができる。
【0004】
上記のような袋体として、例えば、特許文献1には、2つの横方向シール継ぎ目と1つの長手方向継ぎ目とを有するチューブバッグであって、包装された製品を少なくとも部分的に露出する目的でチューブバッグを裂開するための切断線や穿孔線が設けられた分離領域を有し、該分離領域が、少なくとも1つの横方向シール継ぎ目に対して離隔してほぼ平行に、且つ、チューブバッグのほぼ周全体にわたって延びており、解除可能に固定された、チューブバッグのほぼ周全体にわたって延びるオーバーラップ部を有していることを特徴とするチューブバッグが開示されている。特許文献1に記載の袋体は、上記分離領域を境に、その両側から袋体を引っ張り引き裂くことで、袋を開封することができる。
【0005】
【特許文献1】特表2007−534567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の袋体は、分離領域が包装袋の周全体にわたって設けられているため、一度に開封するためには大きな力が必要とされる。また、開封するために引き裂いた開封片と、内容物を包装している袋体とが完全に分離する。このようにして生じた開封片は、ゴミとなるため、屋外などではその処置に困り、作業性の低下を招く。また、開封片が飛散した場合、環境への負荷の増大が懸念される。
以上のような開封片による問題は、特許文献1に記載の袋体に限らず、多くの袋体が抱える問題の1つである。
【0007】
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、その目的は、誰にでも容易に開封可能な易開封性を有すると共に、開封する際に生じる開封片が分離せず、取扱い性及び環境配慮に優れた易開封袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の易開封袋体は、1枚又は2枚以上の包装用フィルムの端縁を貼り合せて成形された筒状形状の袋胴体部を有する易開封袋体であって、
前記袋胴体部は、筒状形状の周方向に延在し、該袋胴体部を筒状形状の軸方向において上部側と下部側とに裂開可能な裂開用シール部と、該裂開用シール部と交差する縦シール部とを有し、
前記裂開用シール部は、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムが、前記筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられたひだ状構造を有し、当該ひだ状構造の内面同士が、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に互いに貼り合わされており、当該ひだ状構造の先端部は、易破断化加工されているか、又は、前記袋胴体部の上部側と下部側とに分離しており、
前記縦シール部は、該縦シール部と前記裂開用シール部とが交差するシール交差部を有し、当該シール交差部において、前記裂開用シール部を形成する折り重ねられた包装用フィルムのひだ状構造の内面同士が、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に互いに貼り合わされており、
前記袋胴体部を前記裂開用シール部において前記上部側と前記下部側に裂開させることにより袋体が開封され、前記シール交差部において、前記袋胴体部の裂開が停止し、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側との結合が維持されることを特徴とする。
【0009】
本発明の易開封袋体は、前記裂開用シール部を剥離し、該裂開用シール部を境に袋胴体部を上部側と下部側に裂開させることで、容易に開封することが可能であり、易開封性に優れるものである。
さらに、前記シール交差部において、裂開用シール部を形成する包装用フィルムの内面同士が、前記袋胴体部の前記上部側と下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に貼り合わされているため、裂開用シール部における袋胴体部の裂開は、シール交差部において停止する。すなわち、本発明の袋体は、裂開用シール部を裂開させることによって袋体を開封した後も、袋胴体部の上部側と下部側とが分離せず、開封片が生じない。その結果、袋体の開封の際に生じた開封片による作業性の低下や、開封片の飛散による環境負荷の増大等の問題発生が防止される。
【0010】
本発明の袋体の具体的な形態例として、例えば、包装用フィルムを折り曲げ、重なり合う三辺の端縁を貼り合せた三方袋であり、該三方袋を形成する3つの端縁シール部の1つが前記縦シール部として機能するものが挙げられる。また、筒状形状に曲成させた包装用フィルムの側縁部同士を合掌貼りさせた背貼りシール部と、該筒状形状の軸方向において開放する端縁を閉鎖する端縁シール部と、を備えるピロー袋であり、前記背貼りシール部が前記縦シール部として機能するものなどが挙げられる。
【0011】
前記裂開用シール部は、前記シール交差部と対向する位置に、該裂開用シール部の剥離の起点となる応力集中部が設けられていることが好ましい。前記裂開用シール部における裂開が容易となり、袋体の開封性を向上させることができるからである。
【0012】
本発明の内容物収容体は、上記易開封袋体に、内容物を収容したことを特徴とするものである。
前記内容物が少なくとも1つの角部を有する塊状形状を有し、前記易開封袋体の前記裂開用シール部の一部が、該角部と対応する位置に設けられている場合、該内容物の角部を裂開用シール部の一部に押し当て、その一部を開封の起点とし、剥離を促進することができるため、袋体の易開封性を高めることが可能である。
【0013】
前記易開封袋体の製造方法としては、例えば、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分を、前記裂開用シール部の延在予定方向と略平行に折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(a1)と、
前記ひだ状構造の先端を含む領域を易破断化加工するか、若しくは、前記ひだ状構造の先端において包装用フィルムを分離する、破断化加工工程(a2)と、
前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(a3)と、
を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、
前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに前記裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、を備えることを特徴とする方法が挙げられる。
【0014】
また、前記易開封袋体の他の製造方法としては、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分に、前記裂開用シール部の延在予定方向と略平行に、易破断化加工を施した易破断化加工部を形成するか、若しくは、包装用フィルムを分離した分離部を形成する、破断化加工工程(A1)工程と、
前記易破断化加工部又は前記分離部が、ひだ状構造先端となるように、前記包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(A2)と、
前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(A3)と、
を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、
前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに該裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、を備えることを特徴とする方法が挙げられる。
【0015】
前記易開封袋体は、前記裂開用シール部における前記シール交差部と対向する位置において、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを互いに引き離す方向に引っ張ることによって、前記裂開用シール部において該袋胴体部を該上部側と該下部側とに裂開させ、開封することができる。
特に、前記裂開用シール部に前記応力集中部を設けた場合には、前記応力集中部に近い、前記袋胴体部の前記筒状形状の軸方向における端部を、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す方向に引っ張ることによって、前記裂開用シール部において該袋胴体部を該上部側と該下部側とに裂開させ、前記易開封袋体を開封することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容易に開封可能な易開封性を有すると共に、開封する際に生じる開封片が分離せず、取扱い性及び環境配慮に優れた易開封袋体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の易開封袋体は、1枚又は2枚以上の包装用フィルムの端縁を貼り合せて成形された筒状形状の袋胴体部を有する易開封袋体であって、
前記袋胴体部は、筒状形状の周方向に延在し、該袋胴体部を筒状形状の軸方向において上部側と下部側とに裂開可能な裂開用シール部と、該裂開用シール部と交差する縦シール部とを有し、
前記裂開用シール部は、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムが、前記筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられたひだ状構造を有し、当該ひだ状構造の内面同士が、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に互いに貼り合わされており、当該ひだ状構造の先端部は、易破断化加工されているか、又は、前記袋胴体部の上部側と下部側とに分離しており、
前記縦シール部は、該縦シール部と前記裂開用シール部とが交差するシール交差部を有し、当該シール交差部において、前記裂開用シール部を形成する折り重ねられた包装用フィルムのひだ状構造の内面同士が、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に互いに貼り合わされており、
前記袋胴体部を前記裂開用シール部において前記上部側と前記下部側に裂開させることにより袋体が開封され、前記シール交差部において、前記袋胴体部の裂開が停止し、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側との結合が維持されることを特徴とする。
【0018】
以下、本発明の易開封袋体の実施形態について、図1〜図13を参照しながら説明する。
尚、本発明において、「筒状形状の周方向に延在する」とは、筒状形状の周囲方向の輪郭に沿って連続して存在していることを指す。このとき、筒状形状の周方向は、筒状形状の軸方向と垂直な方向に限られず、該軸方向に対して傾斜していてもよい。
【0019】
図1〜図6は、本発明の易開封袋体(以下、袋体という)の一形態例としてピロー袋を示すものであり、図1は、ピロー袋の背面の斜視図、図2は、図1に示すピロー袋のシール部(斜線で表示)を示すものである。また、図3は、図1に示すピロー袋の部分拡大斜視図である。また、図3〜図5は、図1に示すピロー袋の開封の様子を示すものである。さらに、図6は、図1〜図5に示すピロー袋に設けられた裂開用シール部の拡大断面図である。
【0020】
図1において、袋体100はピロー袋であり、包装用フィルムの端縁をシール部3、4a及び4bで貼り合せて成形された袋胴体部1を有している。袋胴体部1は筒状形状を有し、図1及び図2に示すように筒状形状の周方向に延在する裂開用シール部2と、該裂開用シール部2と交差する縦シール部3とを有している。袋胴体部1は、裂開用シール部2を境に、上部側1Aと下部側1Bとに裂開可能となっている。
【0021】
裂開用シール部2は、図6に示すように、袋胴体部1を構成する包装用フィルム5が、2枚の包装用フィルム5a、5bからなり、袋胴体部の外面側にひだ状構造6の先端6cが突き出るように、筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられている。ひだ状構造6は、先端6cにおいて分離している包装用フィルム5aと包装用フィルム5bとが、その端縁を突き合わせて形成され、該ひだ状構造6の内面同士(包装用フィルム5aの内面6aと、包装用フィルム5bの内面6b)が貼り合せられている。このひだ状構造6の内面同士の貼り合わせは、手指で袋胴体部の上部側と下部側とを引き離す力を付与したときに、剥離可能な剥離強度を有している。
尚、本実施形態において、袋胴体部1は、2枚に限らず、3枚以上の包装用フィルムを用いて形成されていてもよい。また、包装用フィルム5は、ひだ状構造6の先端6cを含む領域において、易破断化加工された1枚のフィルムでもよい。
【0022】
縦シール部3は、図1、図2に示すように裂開用シール部2と交差している。裂開用シール部2と縦シール部3とが交差するシール交差部7において、裂開用シール部2を形成する折り重ねられた包装用フィルム5a、5bのひだ状構造6の内面(6a、6b)同士は、該裂開用シール部2よりも大きな剥離強度で互いに貼り合わされており、手指で袋胴体部1の上部側1Aと下部側1Bとを引き離す力を付与したときに、剥離不能な剥離強度を有している。
【0023】
袋体100に対して、袋胴体部1の上部側1Aと下部側1Bとを互いに引き離す力(例えば、図3〜図4中の矢印の方向)を付与すると、裂開用シール部2の剥離が生じ(図4参照)、袋胴体部1は、該裂開用シール部2において、上部側1Aと下部側1Bとに裂開し(図5参照)、袋体100が開封される。裂開用シール部2の剥離は、シール交差部7では、包装用フィルムの内面同士の強い剥離強度により生じない。そのため、袋胴体部1の裂開はシール交差部7において停止し、シール交差部7において、袋胴体部1の上部側1Aと下部側1Bの結合が維持され、上部側1Aと下部側1Bとが分離しない。
具体的には、袋胴体部1の、裂開用シール部2のシール交差部7と対向する位置8において、該袋胴体部1を上部側1Aと下部側1Bに引き離す方向に互いに引っ張ると、該対向する位置8が裂開用シール部2の剥離の起点となって、裂開用シール部2が剥離し、袋胴体部1を効率良く裂開させることができる。このとき、裂開用シール部2の剥離は、起点となる位置8から裂開用シール部の延在する双方向に進み、シール交差部7に到達し、停止する。また、位置8に最も近い、筒状形状の軸方向における端部9を、該袋胴体部1を上部側1Aと下部側1Bに引き離す方向に引っ張ることで、裂開用シール部2の位置8に、袋胴体部1を上部側と下部側に引き離す力を付与することができる。
ここで、裂開用シール部の「シール交差部と対向する位置」とは、シール交差部と対角する位置、すなわち、シール交差部と、裂開用シール部により形成される輪の中心点を通る直線が、裂開用シール部と交差する位置である。
【0024】
以上のように、本発明の袋体は、手指で容易に開封することが可能な優れた易開封性を有する。裂開用シール部の形成位置によっては、裂開用シール部における裂開によって袋胴体部に形成される開口部から、内容物の一部のみを露出させ、袋体の下部側に覆われた部分を持つことで、内容物に直接手を触れずに、内容物を食したり、内容物を取り扱うことが可能である。例えば、本発明の袋体に、棒状、板状、ブロック状、等の塊状の食品を収容する場合、袋体で覆われた部分を持って、袋体から露出させた食品を食べることができるため、手が汚れず、且つ、衛生的である。また、医療品等、直接手で触れないことが望ましいもの、直接手で触れないことが望ましい部分を有するものを収容する場合には、袋体の開封後も、内容物に直接触れることなく、取り扱うことが可能となる。
【0025】
さらに、本発明では、上記したように、袋胴体部を裂開させ、開封した後も、袋胴体部の上部側と下部側が分離しないために、開封片が生じない。従って、本発明の袋体は、開封後の開封片がゴミとなり、その処置に困って、内容物を取り扱う際の作業性の低下を招いたり、或いは、開封片が飛散し、環境負荷を増大させるといった問題が生じない。すなわち、本発明によれば、取扱い性及び環境配慮に優れた袋体を提供することが可能である。
【0026】
以下、本発明の袋体について、さらに詳しく説明していく。
本発明の袋体を構成する包装用フィルムは、一般に袋体の製造に用いられる包装用フィルムであれば、特に限定されず、例えば、単層フィルムであっても積層フィルムであってもよい。積層フィルムとしては、例えば、基材層(最外層)、中間層、及び内面層(最内層)の3層からなる積層フィルムが挙げられる。
【0027】
基材層は、袋の最外層を形成し、印刷適性の他、突き刺し強度、引っ張り強度等の耐衝撃性、耐ピンホール性等の機能を有する層であることが好ましい。基材層の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、及びエチレンビニルアルコール共重合体等の一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムの単層フィルム、又は共押出フィルム、及び、これらフィルムを積層したもの等が挙げられる。
これらのフィルムに、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性等の機能を付与するために、アルミニウム箔などの金属箔;アルミニウム等の金属、並びに酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたフィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)したコートフィルム;等も用いることができる。また、紙やセロファン等を用いてもよい。
【0028】
中間層は、袋体の用途に応じた、酸素バリア性、水蒸気バリア性、及び引き裂き性等の機能を有する層であることが好ましい。中間層の材質としては、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が必要とされる場合には、例えば、アルミニウム箔などの金属箔;アルミニウム等の金属、並びに酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたフィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたフィルム;等が挙げられる。
【0029】
内面層は、袋の最内層を形成し、加熱加圧による貼り合わせ、すなわちヒートシールが可能な層であることが好ましい。内面層の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アイオノマー樹脂等の未延伸フィルム、又はこれらの樹脂を層状に押し出したものが挙げられる。
【0030】
これらの層を積層して積層フィルムを形成する方法は、一般に積層フィルムの形成に用いられる積層方法であれば、特に限定されない。例えば、接着剤を用いてドライラミネート法により積層する方法であってもよく、熱接着樹脂を用いて押し出しラミネート法により積層する方法であってもよい。
また、その他のラミネート法により積層してフィルムを形成する方法であってもよい。
【0031】
袋体を構成する包装用フィルムは1枚であっても、2枚以上であってもよい。すなわち、1枚の包装用フィルムを折り曲げ、重ね合わせた端縁を貼り合せることで袋状に成形してもよいし、2枚以上の包装用フィルムの端縁同士を重ね合わせ、貼り合せることで袋状に形成してもよい。また、基本となる袋体の形態も特に限定されず、収容する内容物に合わせて適宜、決定すればよい。例えば、三方袋、四方袋、ピロー袋、ガゼット袋等、一般的な形態を採用することができる。また、袋体の形状も特に限定されず、様々な形状を採用することができる。スティック状の食品、例えば、チョコレートバーやシリアルバー等を収容する場合には、袋胴体部は長手方向と短手方向を有する扁平形状となり、該長手方向において上部側と下部側に裂開するようにすることができる。
尚、本発明の袋体に収容する内容物は、塊状、粉末状等の固形物に限定されず、流動物でもよい。
【0032】
本発明の袋体は、裂開用シール部を剥離し、袋胴体部を上部側と下部側とに裂開させることで開封される。
裂開用シール部は、(1)袋胴体部を構成する包装用フィルムが、筒状形状の周方向に延在する折線に沿って折り曲げられ、該袋胴体部の内面側又は外面側に突き出たひだ状に重ね合わされ、当該ひだ状構造の先端を含む領域が易破断化加工されているひだ状構造を有するか、或いは、(2)袋胴体部を構成する包装用フィルムが、筒状形状の周方向に延在する境界で前記袋胴体部の上部側と下部側とに分離し、当該分離した部分同士が、相対する端縁を揃えて突き合わされ、重ね合わされたひだ状構造を有している。そして、これら(1)又は(2)のひだ状構造を有する裂開用シール部のひだ状構造の内面同士が、手指で袋胴体部の上部側と下部側とを互いに引き離す力を付与したときに剥離可能な剥離強度で貼り合わされている。
【0033】
裂開用シール部の上記(1)及び(2)のひだ状構造としては、図6の他、例えば、図7〜図11に示すような構造が挙げられる。
尚、ひだ状構造は、上記したように袋胴体部の内面側、すなわち、袋体の内部側に突き出た形態でも、外面側、すなわち、袋体の外部側に突き出た形態でもよい。図6〜図11においては、ひだ状構造が袋体の内面側か外面側かの区別はしていない。また、図6〜図11において、各図B、図Cは、図Aに示すひだ状構造6を有する裂開用シール部2に対して、黒矢印方向に力を付与することによって、裂開用シール部2の剥離が進む様を示すものである。尚、開封後の裂開用シール部が、必ずしも図Cに示す状態になるとは限らない。
【0034】
図7は、上記(1)のひだ状構造を有する裂開用シール部の一例を示すものであり、包装用フィルム5の連続した部分を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に折り曲げて重ね合わせてひだ状構造6が形成されている。ひだ状構造の先端6cにおいて、包装用フィルム5は分離されていない、すなわち、切断されておらず、貼り合わせられたひだ状構造の内面6a、6bを剥離する際の力で、ひだ状構造の先端6cが破断するように該先端6cに易破断化加工が施されている。
易破断化加工としては、裂開用シール部を剥離する際に付与される力で、ひだ状構造の先端における包装用フィルムの破断を誘導し得るものであれば、特に限定されない。具体的な易破断化加工としては、例えば、刃物、レーザー照射等を用いてミシン目やハーフカット線やカット線等を形成する加工、又は、砥石や突起を設けた金属などを用いて傷痕などを形成する加工等が挙げられる。尚、易破断化加工は、包装用フィルムを貫通していてもよい。
ここで、易破断化加工を施す、「ひだ状構造の先端を含む領域」とは、ひだ状構造の先端のみでもよいし、ひだ状構造の先端及びその周囲一帯の領域でもよく、裂開用シール部における袋胴体部の裂開を生じさせることができれば具体的な領域は限定されない。
【0035】
図8は、図6同様、(2)のひだ状構造を有する裂開用シール部の例を示すものであり、分離した包装用フィルム5aと5b同士の相対する端縁を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に揃えて、突き合わせ重ね合わせてひだ状構造6が形成されている。ひだ状構造の先端6cにおいて、ひだ状構造を構成する包装用フィルム5a及び5bは分離している(切断されている)ため、貼り合わされたひだ状構造6の内面6aと6bを剥離することによって、袋胴体部は該裂開用シール部2において裂開することになる。
【0036】
図9〜図11は、3枚の包装用フィルムにより構成されたひだ状構造の例を示すものである。
図9に示す形態では、実質的には、袋胴体部の上部側を構成する包装用フィルム5aとひだ状構造を形成するための包装用フィルム5cによって、上記ひだ状構造が形成されている。すなわち、袋胴体部の下部側を構成する包装用フィルム5bと包装用フィルム5cは、裂開用シール部2よりも高い、剥離が困難な剥離強度で貼り合わされており、袋体の開封時に付与される力では剥離せず、1つの包装用フィルムとみなすことができる。
図9の形態では、このように包装用フィルム5bに一体化させた包装用フィルム5cと、包装用フィルム5aの相対する端縁を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に揃えて、突き合わせ重ね合わせてひだ状構造6が形成されている。貼り合わされたひだ状構造の内面6a(包装用フィルム5a)と6b(包装用フィルム5c)を剥離することによって、袋胴体部は該裂開用シール部2において裂開することになる。
【0037】
図10のように、袋胴体部の上部側を構成する包装用フィルム5aに一体化させた包装用フィルム5cと、袋胴体部の下部側を構成する包装用フィルム5bの相対する端縁を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に揃えて、突き合わせ重ね合わせてひだ状構造6を形成することもできる。図10の形態では、貼り合わされたひだ状構造の内面6a(包装用フィルム5c)と6b(包装用フィルム5b)を剥離(図10B参照)することによって、袋胴体部は該裂開用シール部2において裂開することになる。
図9及び図10に示す形態では、包装用フィルム5cの両表面において包装用フィルム5a、5bと貼り合せる必要があり、包装用フィルム5cは、両表面とも熱融着可能な層からなる包装用フィルムであることが望ましい。
【0038】
また、図11に示す形態のひだ状構造は、図10の変形であり、図10同様、袋胴体部の上部側を構成する包装用フィルム5aに一体化させた包装用フィルム5cと、袋胴体部の下部側を構成する包装用フィルム5bの相対する端縁を、裂開用シール部を延ばしたい方向と略平行に揃えて、突き合わせ重ね合わせて形成されている。包装用フィルム5aが図中の黒矢印方向に引っ張られると、包装用フィルム5bと包装用フィルム5cにより構成されたひだ状構造を有する裂開用シール部2の内面同士(6a、6b)が剥離する(図11B参照)。
また、包装用フィルム5cは、袋胴体部の下部側を構成する包装用フィルム5bと一体化されており、袋胴体部の上部側を構成する包装用フィルム5aと剥離するものでもよい。
【0039】
尚、本発明の袋体において、ひだ状構造は、図6〜図11に示す形態に限定されるものではない。
また、裂開用シール部を袋胴体部の筒状形状の周方向に延在させる具体的な形態、すなわち、ひだ状構造が筒状形状の周方向に延びる形態は、特に限定されず、袋胴体部の筒状形状の軸方向に対して、略垂直となるように該筒状形状の周方向に延在させてもよいし、該筒状形状の軸方向に対して傾斜させて該筒状形状の周方向に延在させてもよい。
【0040】
上記ひだ状構造の内面同士の貼り合わせにより付与される裂開用シール部の剥離強度は、手指で剥離できる程度弱く、且つ、袋体の密封性を確保できる程度の強度があればよい。裂開用シール部の剥離強度は、袋体の周囲を貼り合わせ、密封しているシール部(例えば、背貼りシール部や端縁シール部など)の剥離強度よりも弱い。具体的には、裂開用シール部の剥離強度は、1.0N/15mm以上、4.0N/15mm以下であることが好ましく、特に1.5N/15mm以上、2.5N/15mm以下であることが好ましい。裂開用シール部の剥離強度を4.0N/15mm以下とすることによって、裂開用シール部の剥離による袋体の開封が容易となる。一方、裂開用シール部の剥離強度を、1.0N/15mm以上とすることによって、袋体の密封性を確保することができる。
【0041】
尚、裂開用シール部の剥離強度は、JIS Z 0238:1998「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法」に準拠して測定することができる。すなわち、ヒートシール部分に対して直角の方向に15mm(幅)×100mm(展開長さ)以上に切り出した包装用フィルムを、常温でT形剥離させるのに必要な剥離強度を測定する。
【0042】
裂開用シール部のシール方法は、特に限定されず、一般的に袋体の形成に用いられる方法、例えば、ヒートシールによる方法、接着剤やコート剤による方法、イージーピールフィルムを使用する方法等が挙げられる。中でも、生産性、見栄え、剥離強度の調節の観点から、ヒートシール法が好ましく用いられる。裂開用シール部の剥離強度は、例えば、ヒートシール時の加熱温度、加圧力、加熱加圧時間等のヒートシール条件の変更、使用する接着剤の接着強度等により、調節することができる。
【0043】
裂開用シール部は、縦シール部と交差している。裂開用シール部と縦シール部の交差の形態は、裂開用シール部における袋胴体部の裂開が裂開用シール部と縦シール部とが交差するシール交差部において停止すれば特に限定されない。例えば、裂開用シール部と縦シール部の交差の角度は特に限定されないが、典型的には、略直角である。ここで略直角とは、裂開用シール部と縦シール部とがなす交差角の鋭角側が45度〜90度の範囲である状態を指す。
【0044】
裂開用シール部における縦シール部と対向する位置、すなわち、シール交差部と対向する位置に、裂開用シール部の剥離の起点となる応力集中部を設けることが好ましい。このような位置に、剥離の起点となる応力集中部を設けることによって、裂開用シール部の剥離を容易且つ効率的にすることができる。応力集中部には、袋胴体部を裂開させる際に付与される力が集中するため、該応力集中部を起点として裂開用シール部の双方向に剥離が進行し、裂開用シール部と縦シール部とが交差するシール交差部までの裂開用シール部の剥離が効率良く進行し、裂開用シール部全域を剥離させ、袋体を開口させることができる。
ここで、裂開用シール部の「シール交差部と対向する位置」は、上記したとおりである。
【0045】
応力集中部は、例えば、裂開用シール部を剥離させる際にかけられる力が一部に集中するように、シール形状を変更する方法、一部の剥離強度を裂開用シール部の他の部分よりも弱くする方法の方法等によって設けることができる。
シール形状を変更した応力集中部の具体的な形態としては、図12の12A〜12Cに示すものが挙げられる。図12において、斜線表示部は、裂開用シール部のひだ状構造の内面同士が貼り合わされているシール部を示している。図12は、応力集中部が設けられた裂開用シール部の正面図(紙面左側)と、該正面図におけるBB’断面図(紙面右図)である。
応力集中部を設けた場合には、応力集中部に最も近い、袋胴体部の筒状形状の軸方向における端部を、該袋胴体部を上部側と下部側とに互いに引き離す方向に引っ張ることで、裂開用シール部において該袋胴体部を該上部側と該下部側とに効率よく裂開させることができる。
【0046】
内容物が、塊状の固形物である場合、該塊状固形物の側面のうち、表面積が小さい面と対応する裂開用シール部を開封の起点とすることが好ましく、該対応する裂開用シール部に応力集中部を設けることが好ましい。袋体開封時において、袋体に内容物を収容した内容物収容体を、手のひらで握って持ち易く、袋体を開封しやすくなるためである。
【0047】
裂開用シール部の位置は、袋体に収容する内容物に合わせて適宜設定すればよい。好ましい位置としては、例えば、袋胴体部の内容物収容可能空間における軸方向長さに対して上部側の該軸方向長さが3分の1以下となる位置が挙げられる。このような位置で袋体を裂開させる場合、内容物にもよるが、開封後の取扱い性が高い。
ここで、「袋胴体部の内容物収容可能空間における軸方向長さ」とは、袋体の内容物収容可能空間を形成する包装用フィルムの、袋胴体部の筒状形状の軸方向における長さを指す。例えば、袋体の筒状形状の軸方向において、上端部及び下端部が袋体を密封するための端縁シール部で閉鎖されている場合、これら端縁シール部の袋体内部側の端部間の距離を指す。或いは、袋体の筒状形状の軸方向において、上端部及び下端部の一方は端縁シール部により閉鎖され、もう一方は包装用フィルムの折り曲げにより閉鎖されている場合、端縁シール部の袋体内部側の端部からシートの折り曲げまでの距離を指す。
また、内容物が少なくとも1つの角部を有する塊状形状を有する場合、裂開用シール部の一部を、該角部と対応する位置に設けることによって、裂開用シール部における袋胴体部の裂開を促進することができる。該角部の表面に裂開用シール部を沿わせるように押し当て、袋胴体部の上部側又は下部側を引っ張ることによって、該角部と対応する裂開用シール部に、その剥離を促すような力がかかり、開封の起点となるからである。
【0048】
裂開用シール部は、1つの袋体に対して、1つ設けてもよいし、2つ以上設けてもよい。袋胴体部の筒状形状の軸方向において、異なる位置に複数の裂開用シール部を設けることによって、例えば、袋胴体部の裂開による内容物の露出度合いを調節したり、食べ進み、露出部分が減った食品を覆う袋胴体部を再度裂開させることで食品を再度露出させることができる。
【0049】
縦シール部は、該縦シール部と裂開用シール部とが交差するシール交差部を有し、該シール交差部において、裂開用シール部における袋胴体部の裂開が停止される。シール交差部では、包装用フィルムを折り重ねて形成された裂開用シール部のひだ状構造の内面同士が、裂開用シール部において袋胴体部を裂開させる際の力では剥離不能な剥離強度で貼り合わされている。
尚、本発明において、「袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に互いに貼り合わされている」とは、袋体開封時、裂開用シール部を裂開させるための力では、剥離しない剥離強度で貼り合わされていることは勿論、袋体の密封性が確保できる程度の剥離強度で貼り合わされていることを意味する。
【0050】
縦シール部は、裂開用シール部と交差し、裂開用シール部における袋胴体部の裂開を停止することができれば、その形状、位置等の形態に特に限定されないが、袋体を構成する包装用フィルムの端縁を貼り合わせ、袋体を密封するシール部が縦シール部を兼ねるようにすることが好ましい。製造工程及び袋体の構造が簡略化されるからである。
【0051】
例えば、包装用フィルムを折り曲げ、重なり合う三辺の端縁を貼り合わせた三方袋の場合、該三方袋を形成する3つの端縁シール部の1つを縦シール部として機能させることができる。或いは、筒状形状に曲成させた包装用フィルムの側縁部同士を合掌貼りさせた背貼りシール部と、該筒状形状の軸方向において開放する端縁を閉鎖する端縁シール部と、を備えるピロー袋の場合、背貼りシール部を縦シール部として機能させることができる。或いは、袋体の前面と背面を構成する2枚の包装用シートを重ね合わせ、4辺の端縁を貼り合わせた四方袋の場合、4つの端縁シール部の1つを縦シール部として機能させることができる。
このように袋体を密封するシール部を縦シール部として利用する場合には、通常、シール交差部においても、縦シール部は剥離不能な剥離強度で貼り合わされている。また、ヒートシールにより縦シール部を形成する場合、縦シール部のヒートシールバーにより、同時に裂開用シール部のうち、シール交差部を同時にシールすることとなるため、折り重ねられた包装用フィルムにより形成された裂開用シール部は、その内面同士が、裂開用シール部の他の領域と比較して大きな剥離強度で貼り合わされることになる。尚、本発明において、袋体を密封するシール部とは別途、縦シール部を設けてもよい。
【0052】
縦シール部の剥離強度は、高ければ高いほどよく、裂開用シール部の剥離を確実に停止させると共に、袋体の密封性を保持する観点から、通常、5.0N/15mm以上であることが好ましく、特に10N/15mm以上であることが好ましい。通常は、上記下限値以上の剥離強度を有していれば、50N/15mm以下、さらには、30N/15mm以下であっても、裂開用シール部の剥離を確実に停止させると共に、袋体の密封性を保持することができる。
縦シール部を形成するためのシール方法は、一般に袋体の形成に用いられるシール方法を任意に採用することが可能であり、特に限定されない。例えば、ヒートシールによる方法、及び接着剤による方法等が挙げられる。これらの中でも、生産性及び見栄えの観点から、ヒートシールによる方法が好ましく用いられる。
【0053】
本発明の易開封袋体は、上記したように、裂開用シール部におけるシール交差部と対向する位置が、該裂開用シール部の剥離の起点となるように、袋胴体部の上部側と下部側とを引き離すように引っ張ることで効率良く開封することができる。このような効率的な開封を補助する構造を袋体に付与することで、使用者の袋体開封性を向上させることができる。
具体的な開封補助構造としては、例えば、図13に示すように、裂開用シール部2におけるシール交差部7と対向する位置8に最も近い、袋胴体部1の筒状形状の軸方向における端部9に、斜めシール部10を設けた構造が挙げられる。このような位置に斜めシール部10を設けることにより、袋胴体部1の上部側1Aを下部側1Bから引き離すように端部9を上部側に引っ張る際に、該端部9が手で持ちやすい。その結果、端部9を上部側に引っ張りやすくなり、袋体の開封容易性が高まる。
【0054】
本発明の袋体の具体的な形態として、袋胴体部が、内容物収容可能空間が前記長手方向10〜20cm、前記短手方向1.0〜5.0cmであり、裂開用シール部が該内容物収容可能空間の該長手方向上端部から1.0〜5.0cmの位置に設けられている形態が挙げられる。このような形態の袋体は、裂開用シール部における袋胴体部の裂開により露出させた一部分を、袋体に覆われた部分を持って食べる、スティック状の固形食品を収容する袋体として特に適している。
【0055】
上記のような本発明の袋体の製造方法は特に限定されるものではない。
例えば、袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分を、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(a1)と、前記ひだ状構造の先端を含む領域を易破断化加工するか、若しくは、前記ひだ状構造の先端において包装用フィルムを分離する、破断化加工工程(a2)と、前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(a3)と、を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに前記裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、を備える方法(以下、第一の製造方法とする)が挙げられる。
【0056】
或いは、袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分に、裂開用シール部の延在予定方向と略平行に、易破断化加工を施した易破断化加工部を形成するか、若しくは、包装用フィルムを分離した分離部を形成する、破断化加工工程(A1)工程と、前記易破断化加工部又は前記分離部が、ひだ状構造先端となるように、前記包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(A2)と、前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(A3)と、を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに該裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、を備える方法(以下、第二の製造方法とする)が挙げられる。
【0057】
ここで、第一の製造方法の上記破断化加工工程(a2)又は第二の製造方法の破断化加工工程(A1)において、易破断化加工を施す場合には、上記ひだ状構造(1)を有する裂開用シール部を作製することができ、一方、包装用フィルムを分離する若しくは分離部を形成する場合には、上記ひだ状構造(2)を有する裂開用シール部を作製することができる。
また、「裂開用シール部の延在予定方向と略平行」とは、上記ひだ状構造(1)又は(2)において、ひだ状構造が形成できる程度の平行度合いであればよく、具体的な平行度合いは特に限定されない。
【0058】
以下、第一の製造方法及び第二の製造方法について説明していく。
【0059】
はじめに第一の製造方法について、図14を用いて説明する。
まず、包装用フィルム5の連続した部分を折り曲げ重ね合わせて(図14の14A参照)ひだ状構造を形成する(a1)。このとき、ひだ状構造6が、袋胴体部の内面側に突き出るように包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせてもよいし、袋胴体部の外面側に突き出るように包装用フィルムを折り曲げ重ねあわせてもよい。通常は、該ひだ状構造を有する裂開用シール部の内面同士の貼り合せと、他のシール部の内面同士の貼り合わせが同じ面同士である点、また、ひだ状構造が内容物に触れない点から、袋胴体部の外面側にひだ状構造が突き出るように折り曲げ重ね合わせることが好ましい。
【0060】
次に、ひだ状構造形成工程(a1)において形成したひだ状構造6の先端を含む領域を易破断化加工するか、ひだ状構造6の先端において包装用フィルムを分離する(a2)。易破断化加工及びひだ状構造の先端を含む領域については既述したとおりである。図14の14B−1には、易破断化加工としてミシン目加工を施した場合、すなわち、ひだ状構造(1)を形成する場合、図14の14B−2には、包装用フィルム5を切断し、分離した場合、すなわち、ひだ状構造(2)を形成する場合を示す。
【0061】
続いて、ひだ状構造の内面同士を、袋胴体部の上部側と下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能な剥離強度で貼り合わせる(a3。図14の14C参照)。
ひだ状構造(1)、ひだ状構造(2)の内面同士を貼り合わせる方法は、上記したようにヒートシール法や接着剤を用いる方法等、任意の方法を採用することができる。
【0062】
以上のようにして、(a1)〜(a3)の各工程を含む裂開用シール部作製工程(A)により、包装用フィルムに裂開用シール部2が作製される。その後、裂開用シール部作製工程(A)により作製された裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、上記袋胴体部の上部側と下部側とを引き離す力を付与したときに該裂開用シール部のひだ状構造の内面同士が剥離不能となる剥離強度で貼り合せる(縦シール部作製工程(B))。典型的には、裂開用シール部作製工程(A)により得られた裂開用シール部を形成させた包装用フィルムを用いて製袋することで、包装用フィルムの端縁を貼り合わせて形成されるシール部が、裂開用シール部の一部と交差し、縦シール部が作製される。
【0063】
第二の製造方法は、第一の製造方法と裂開用シール部作製工程(A)の手順が異なるのみである。具体的には、第一の製造方法では、包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせてひだ状構造を形成した後、該ひだ状構造の先端に破断化加工を施すのに対して、第二の製造方法では、包装用フィルムに破断化加工を施した後、該破断化加工を施した領域がひだ状構造の先端となるように包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせてひだ状構造を形成する点で異なる。よって、ここでは、第二の製造方法の裂開用シール部作製工程(A)の各工程(A1)〜(A3)及び縦シール部作製工程(B)については省略する。
【0064】
本発明の袋体を製造する方法は上記方法に限定されず、工業的に生産する場合には、例えば、特表2007−534567号公報に記載の裂開用シール部(分離領域)の形成方法を参考にすることができる。但し、本発明の場合には、裂開用シール部の作製の後、上記縦シール部の作製を行う点が非常に重要である。
【実施例】
【0065】
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、厚さ12μm)と無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム、厚さ30μm:東セロ株式会社製 TAF650C)とをドライラミネートにより積層し、基材層(PETフィルム)と内面層(CPPフィルム)からなる積層フィルムを作成した。
【0066】
得られた積層フィルムを横11cm×縦11.8cmのシート片1、横11cm×縦3.8cmのシート片2に切断した。これらシート片は、横方向の一辺の端縁を揃えて付き合わせて、内面層同士が対向するように重ね合わせ、該端縁から3mmの領域を150℃、0.2MPaで1sec、加熱加圧し、横方向に延在する裂開用シール部を形成した。該裂開用シール部の形成により、シート片1とシート片2が接続され、横11cm×縦15cmのシート片3が得られた。
得られたシート片3は、まず、縦方向を折り線とするよう横方向に折り曲げ、重ね合わせた縦方向の側縁部から1cmの領域を170℃、0.2MPaで1sec加熱加圧し、背貼りシール部を形成した。背貼りシール部の形成により筒状形状に成形されたシート片3は、開放する2つの端縁それぞれから1cmの領域を170℃、0.2MPaで1sec加熱加圧し、2つの端縁シール部を形成し、横4.5cm×縦15cmのピロー袋を得た。
【0067】
尚、裂開用シール部、背張りシール部及び天地シール部の加熱温度は以下のように決定した。すなわち、裂開用シール部の剥離強度は手指で剥離できる程度弱く、且つ、袋体の密封性を確保できる、3.5N/15mmの剥離強度が得られる150℃とした。また、裂開用シール部以外の背貼りシール部及び端縁シール部の剥離強度は手指で剥離できず、袋体の密封性を確保できる、5.0N/15mmの剥離強度が得られる170℃とした。
【0068】
次に、得られたピロー袋を、シート片1で構成された下部側を持ち、シート片2で構成された上部側の端部を、該下部側から引き離すように引っ張り、裂開用シール部の背貼りシール部と対向する位置を起点として、該裂開用シール部を剥離させた(図3〜図5参照)。該裂開用シール部を剥離することにより、袋体は容易に裂開し、開封することができた。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の易開封袋体の一形態例を示す斜視図である。
【図2】図1の易開封袋体のシール部を強調して示す図である。
【図3】図1の易開封袋体の一部拡大図であり、該袋体の開封前の状態を示すものである。
【図4】図1の易開封袋体の一部拡大図であり、該袋体の開封過程を示すものである。
【図5】図1の易開封袋体の一部拡大図であり、該袋体が開封した状態を示すものである。
【図6】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図7】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図8】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図9】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図10】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図11】裂開用シール部の一形態例を示す断面図である。
【図12】応力集中部の一形態例を示す正面図及び断面図である。
【図13】斜めシール部を設けた易開封袋体の一形態例を示す図である。
【図14】易開封袋体の製造過程を説明する図である。
【符号の説明】
【0070】
1…袋胴体部
1A…袋胴体部上部側
1B…袋胴体部下部側
2…裂開用シール部
3…縦シール部
4…裂開用シール部2における縦シール部3と対向する位置
5…包装用フィルム
6…ひだ状構造
7…シール交差部
8…裂開用シール部2における縦シール部3と対向する位置
9…端部
10…斜めシール部
100…易開封性袋体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚又は2枚以上の包装用フィルムの端縁を貼り合せて成形された筒状形状の袋胴体部を有する易開封袋体であって、
前記袋胴体部は、筒状形状の周方向に延在し、該袋胴体部を筒状形状の軸方向において上部側と下部側とに裂開可能な裂開用シール部と、該裂開用シール部と交差する縦シール部とを有し、
前記裂開用シール部は、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムが、前記筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられたひだ状構造を有し、当該ひだ状構造の内面同士が、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に互いに貼り合わされており、当該ひだ状構造の先端部は、易破断化加工されているか、又は、前記袋胴体部の上部側と下部側とに分離しており、
前記縦シール部は、該縦シール部と前記裂開用シール部とが交差するシール交差部を有し、当該シール交差部において、前記裂開用シール部を形成する折り重ねられた包装用フィルムのひだ状構造の内面同士が、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に互いに貼り合わされており、
前記袋胴体部を前記裂開用シール部において前記上部側と前記下部側に裂開させることにより袋体が開封され、前記シール交差部において、前記袋胴体部の裂開が停止し、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側との結合が維持されることを特徴とする、易開封袋体。
【請求項2】
包装用フィルムを折り曲げ、重なり合う三辺の端縁を貼り合せた三方袋であり、該三方袋を形成する3つの端縁シール部の1つが前記縦シール部として機能する、請求項1に記載の易開封袋体。
【請求項3】
筒状形状に曲成させた包装用フィルムの側縁部同士を合掌貼りさせた背貼りシール部と、該筒状形状の軸方向において開放する端縁を閉鎖する端縁シール部と、を備えるピロー袋であり、前記背貼りシール部が前記縦シール部として機能する、請求項1に記載の易開封袋体。
【請求項4】
前記裂開用シール部は、前記シール交差部と対向する位置に、該裂開用シール部の剥離の起点となる応力集中部が設けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載の易開封袋体。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封袋体に、内容物を収容したことを特徴とする、内容物収容体。
【請求項6】
前記内容物が少なくとも1つの角部を有する塊状形状を有し、前記易開封袋体の前記裂開用シール部の一部が、該角部と対応する位置に設けられている、請求項5に記載の内容物収容体。
【請求項7】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封袋体を製造する方法であって、
前記袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分を、前記裂開用シール部の延在予定方向と略平行に折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(a1)と、
前記ひだ状構造の先端を含む領域を易破断化加工するか、若しくは、前記ひだ状構造の先端において包装用フィルムを分離する、破断化加工工程(a2)と、
前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(a3)と、
を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、
前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに前記裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、
を備えることを特徴とする、易開封袋体の製造方法。
【請求項8】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封袋体を製造する方法であって、
前記袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分に、前記裂開用シール部の延在予定方向と略平行に、易破断化加工を施した易破断化加工部を形成するか、若しくは、包装用フィルムを分離した分離部を形成する、破断化加工工程(A1)工程と、
前記易破断化加工部又は前記分離部が、ひだ状構造先端となるように、前記包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(A2)と、
前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(A3)と、
を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、
前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに該裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、
を備えることを特徴とする、易開封袋体の製造方法。
【請求項9】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封袋体を開封する方法であって、
前記裂開用シール部における前記シール交差部と対向する位置において、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを互いに引き離す方向に引っ張ることによって、前記裂開用シール部において該袋胴体部を該上部側と該下部側とに裂開させることを特徴とする、開封方法。
【請求項1】
1枚又は2枚以上の包装用フィルムの端縁を貼り合せて成形された筒状形状の袋胴体部を有する易開封袋体であって、
前記袋胴体部は、筒状形状の周方向に延在し、該袋胴体部を筒状形状の軸方向において上部側と下部側とに裂開可能な裂開用シール部と、該裂開用シール部と交差する縦シール部とを有し、
前記裂開用シール部は、前記袋胴体部を構成する包装用フィルムが、前記筒状形状の周方向に延在するひだ状に折り重ねられたひだ状構造を有し、当該ひだ状構造の内面同士が、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に互いに貼り合わされており、当該ひだ状構造の先端部は、易破断化加工されているか、又は、前記袋胴体部の上部側と下部側とに分離しており、
前記縦シール部は、該縦シール部と前記裂開用シール部とが交差するシール交差部を有し、当該シール交差部において、前記裂開用シール部を形成する折り重ねられた包装用フィルムのひだ状構造の内面同士が、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離不能に互いに貼り合わされており、
前記袋胴体部を前記裂開用シール部において前記上部側と前記下部側に裂開させることにより袋体が開封され、前記シール交差部において、前記袋胴体部の裂開が停止し、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側との結合が維持されることを特徴とする、易開封袋体。
【請求項2】
包装用フィルムを折り曲げ、重なり合う三辺の端縁を貼り合せた三方袋であり、該三方袋を形成する3つの端縁シール部の1つが前記縦シール部として機能する、請求項1に記載の易開封袋体。
【請求項3】
筒状形状に曲成させた包装用フィルムの側縁部同士を合掌貼りさせた背貼りシール部と、該筒状形状の軸方向において開放する端縁を閉鎖する端縁シール部と、を備えるピロー袋であり、前記背貼りシール部が前記縦シール部として機能する、請求項1に記載の易開封袋体。
【請求項4】
前記裂開用シール部は、前記シール交差部と対向する位置に、該裂開用シール部の剥離の起点となる応力集中部が設けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載の易開封袋体。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封袋体に、内容物を収容したことを特徴とする、内容物収容体。
【請求項6】
前記内容物が少なくとも1つの角部を有する塊状形状を有し、前記易開封袋体の前記裂開用シール部の一部が、該角部と対応する位置に設けられている、請求項5に記載の内容物収容体。
【請求項7】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封袋体を製造する方法であって、
前記袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分を、前記裂開用シール部の延在予定方向と略平行に折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(a1)と、
前記ひだ状構造の先端を含む領域を易破断化加工するか、若しくは、前記ひだ状構造の先端において包装用フィルムを分離する、破断化加工工程(a2)と、
前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(a3)と、
を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、
前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに前記裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、
を備えることを特徴とする、易開封袋体の製造方法。
【請求項8】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封袋体を製造する方法であって、
前記袋胴体部を構成する包装用フィルムの連続した部分に、前記裂開用シール部の延在予定方向と略平行に、易破断化加工を施した易破断化加工部を形成するか、若しくは、包装用フィルムを分離した分離部を形成する、破断化加工工程(A1)工程と、
前記易破断化加工部又は前記分離部が、ひだ状構造先端となるように、前記包装用フィルムを折り曲げ重ね合わせて、ひだ状構造を形成するひだ状構造形成工程(A2)と、
前記ひだ状構造の内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに剥離可能に貼り合せる、貼り合わせ工程(A3)と、
を含む裂開用シール部作製工程(A)、並びに、
前記裂開用シール部作製工程(A)の後、前記裂開用シール部と交差する一部の領域の包装用フィルムの内面同士を、前記袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを引き離す力を付与したときに該裂開用シール部の前記ひだ状構造の内面同士が互いに剥離不能となる剥離強度で貼り合せる、縦シール部作製工程(B)、
を備えることを特徴とする、易開封袋体の製造方法。
【請求項9】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封袋体を開封する方法であって、
前記裂開用シール部における前記シール交差部と対向する位置において、該袋胴体部の前記上部側と前記下部側とを互いに引き離す方向に引っ張ることによって、前記裂開用シール部において該袋胴体部を該上部側と該下部側とに裂開させることを特徴とする、開封方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−89825(P2010−89825A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263024(P2008−263024)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】
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