説明

星型ブロックコポリマー

【課題】溶液とした場合、同一分子量を有する線状構造のポリマーに比べて低粘度であり、且つ分子量分布が狭く、構造の制御されたアルケニルフェノール骨格を有する星型ブロックコポリマー、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】リビングアニオン重合法により、アルケニルフェノールのフェノール残基の水酸基が飽和脂肪族系保護基により保護された化合物を単独重合させた後、あるいは該化合物とビニル芳香族化合物とを共重合させた後、ジビニルベンゼン等の多官能性カップリング剤を用いた共重合反応により得られた星型ブロックコポリマーを、酸性試剤を用いて飽和脂肪族系保護基を脱離させることにより、アルケニルフェノール骨格を有する星型ブロックコポリマーを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルケニルフェノール系単独重合体あるいは共重合体をポリマー鎖として有するアーム部をもつ星型ブロックコポリマーとその製造方法に関する。本発明の星型ブロックコポリマーは、エキシマレーザーおよび電子線用レジスト材料としての利用が期待される化合物である。
【背景技術】
【0002】
ポリ−p−ヒドロキシスチレンに代表されるアルケニルフェノールのホモポリマーやコポリマーは、化学増幅型エキシマレーザーレジスト材料として有用であり、中でも、ポリ−(p−ヒドロキシスチレン)、又は、(p−ヒドロキシスチレン/スチレン)コポリマーを用いたレジストは、高解像化が可能なレジストとして知られている。
【0003】
また、星型ブロックコポリマーに関しては、例えば、特許文献1には、イソプレン及びスチレンを陰イオン重合してブロックコポリマー分子を製造し、ブロックコポリマー分子1モル当たり2.5モル以上のポリアルケニルカップリング剤とカップリングさせ、さらに少なくとも95%のイソプレン単位(オレフィン性不飽和)及び15%より少量のスチレン単位(芳香族不飽和)を選択的に水素化した星型ポリマーが記載されている。
【0004】
特許文献2には、(1,1−ジ置換)アルキルの不飽和カルボン酸エステルから誘導される少なくとも1種のポリマーブロック、並びに共役ジエンから誘導される少なくとも1種のポリマーブロック及び/又はモノビニル芳香族化合物から誘導される少なくとも1種のポリマーブロックを含む改質ブロックコポリマーであって、多官能カップリング剤の架橋した核を含む改質ブロックコポリマーが記載されている。
【0005】
特許文献3には、水素化重合共役ジエンを含み、ピーク分子量が10,000〜200,000の少なくとも3個の第1アーム;重合メタクリレート及び/又はそのアミド又はイミド誘導体を含み、ピーク分子量が500〜10,000の少なくとも3個の第2アーム;及び第1及び第2のアームを星型配置に接続し、重合ビス不飽和モノマーを含む中心核に含むポリマーが記載されている。
【0006】
特許文献4には、一般式
【化11】

(式中、Cは架橋ビス不飽和モノマーのブロックであり;Aは各々独立してアニオン重合モノマーのブロックであり;Mはメタクリル酸部分のエチレン不飽和を介して重合した重合メタクリル酸アルキルのブロックであり;rは0又は1であり;s及びtは平均2以上、但しs≦tである)を有し、分子量が20,000〜2,000,000であり、Aがスチレン又はイソプレンである星型ブロックポリマーが記載されている。
【0007】
特許文献5には、(EP’−S−EP’’)n−X(式中、EP’は水素化前の数平均分子量(Mn)が10,000〜100,000であるポリイソプレン(I’)の第1水素化されたブロックであり、Sは平均分子量(Mn)が6,000〜50,000のポリスチレンブロックであり、EP’’は水素化前の数平均分子量(Mn)が2,500〜50,000であるポリイソプレン(I’’)の第2の水素化されたブロックであり、I’/I’’の分子量比が少なくとも1.4であり、Xはポリアルケニルカップリング剤からなる核であり、nは、(EP’−S−EP’’)アーム1モル当たり2モル以上のポリアルケニルカップリング剤を反応させることによって形成される星状分子1分子当たりの平均アーム数である)で表される構造を持つ分子内で結合しているポリスチレンブロック及び水素化ポリイソプレンブロックからなる、粘度指数(VI)改良剤として有用な星状ポリマーが記載されている。
【0008】
特許文献6には、非極性溶媒に可溶性で如何なる残留二重結合も含有しない(又は実質的に含有しない)、一般式(I)(PA)an-nLi+(式中、PAは、ビニル芳香族モノマー及びジエンモノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーAから生じるポリマーブロックを表し、;aはPAブロックのアームの数であって、3〜30、特に3〜15の数を表し;Nは、式:(PMc)(RLi)p(式中、Mcは、分子当たり少なくとも2つの重合性二重結合を含有するモノマーであり;PMcは、モノマーMc由来の初期二重結合に関して3〜30%の残留二重結合を含有する少なくとも1種の重合モノマーMcの架橋コアであり;Rは、直鎖又は分枝鎖を有するアルキル基等であり;pは、RLiにより中和されているPMc中の残留二重結合の数である。)を有する、如何なる残留二重結合も含有しないか又は実質的に含有しない架橋コアを表し;nは、架橋コア中に存在するアニオン部位の数であって、a+p(又はp)に等しい(pは上記の意味を有し、aはRLiの付加前の架橋PMcコア内に存在するアニオン部位の数である)。)により表されるアニオン重合の多官能性開始剤が記載されている。
【0009】
特許文献7には、(a)モノビニル芳香族炭化水素、共役ジエン、及びそれらの混合物からなるグルーから選ばれた、少なくとも1つのアニオン重合した単量体から少なくとも3つのアーム、(b)ポリジメチルシロキサンからなる少なくとも3つのアーム、並びに(C)ポリアルケニル芳香族カップリング剤からなるコア(上記(a)及び(b)のアームがこのコアから外側に向かって放射状に伸びている)からなる星型ブロック共重合体が記載されている。
【0010】
特許文献8には、一般式(A−B)n(B)mX(式中、Aは15,000未満のピーク分子量を有するポリスチレンのブロックであり、Bは15,000〜50,000の範囲のピーク分子量を有する水素化共役ジエンのポリマーブロックであり、Xはジビニルベンゼンのブロックでありかつn及びmは0以上の整数であり、nとmとの合計は少なくとも10である)のブロックコポリマーが記載されている。
【0011】
特許文献9には、(a)ジビニル芳香族化合物、トリビニル芳香族化合物、ジエポキシド、ジケトン、及びジアルデヒドでなる群から選ばれるコアを形成する多官能性結合剤4分子以上;及び(b)前記コアに結合する3以上のカチオン重合体分枝を含有してなり、前記重合体分枝が、ホモ重合体、共重合体、少なくとも1つのポリオレフィンセグメント及び少なくとも1のポリアリールセグメントを有するブロック共重合体、グラフト共重合体でなる群から選ばれるものである、星型共重合体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−222114号公報
【特許文献2】特開平6−220203号公報
【特許文献3】特開平6−256436号公報
【特許文献4】特開平7−97413号公報
【特許文献5】特開平8−48987号公報
【特許文献6】特開平8−81514号公報
【特許文献7】特表平8−504865号公報
【特許文献8】特表平8−505179号公報
【特許文献9】特表平9−510236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来からポジ型レジスト材料用のベ一スポリマーとしては、高分子量のポリマーの方が解像度、耐熱性等の面で好ましいことが知られているが、基板上へのレジスト塗布は通常スピンコート法によるため、ベースポリマーの分子構造を従来のような線状構造として高分子量化した場合、レジスト粘度が上昇し、結果としてスピンコートが困難となる問題があった。また、前述した星型ブロックコポリマーにおいて、アーム部にヒドロキシスチレン骨格を有するものは今まで知られていなかった。
【0014】
本発明の課題は、溶液とした場合、高分子量化が可能であり、同一分子量を有する線状構造のポリマーに比べて低粘度であるレジスト材料として期待される新規な星型ブロックコポリマー及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者等は、前記課題を達成すべく鋭意研究した結果、リビングアニオン重合法により、アルケニルフェノールのフェノール残基の水酸基が保護基により保護された化合物を単独重合させた後、あるいは該化合物とビニル芳香族化合物等とを共重合させた後、ポリビニル化合物等を用いて共重合反応を行うことにより得られた星型ブロックコポリマーを、酸性試剤を用いてフェノール性水酸基の保護基を脱離させることにより、分子量分布が狭く、且つ構造の制御されたアルケニルフェノールを主骨格とするアルケニルフェノール系星型ブロックコポリマーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち本発明は、
(1)中心核と中心核より伸びるポリマー鎖からなるアーム部を有する星型ブロックコポリマーにおいて、アーム部(A)に一般式(I)
【化12】

(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、水素原子、又はC1〜C6のアルキル基を表し、pは1又は2を表し、pが2の場合、R2は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖(A1)を含むことを特徴とする星型ブロックコポリマーや、
(2)ポリマー鎖(A1)が、一般式(I)及び一般式(II)
【化13】

(式中、R3は、水素原子又はメチル基を表し、R4は、C1〜C6のアルキル基を表し、R5は酸分解・脱離基を表し、qは0、1、又は2を表し、qが2の場合、R4は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有する共重合体であることを特徴とする(1)に記載の星型ブロックコポリマーや、
(3)ポリマー鎖(A1)が、一般式(I)及び一般式(III)
【化14】

(式中、R6は、水素原子、メチル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R7は、C1〜C6のアルキル基を表し、rは0、1、又は2を表し、rが2の場合、R7は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有する共重合体であることを特徴とする(1)に記載の星型ブロックコポリマーや、
(4)ポリマー鎖(A1)が、一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする(1)〜(3)に記載の星型ブロックコポリマーや、
(5)アーム部(A)が、ポリマー鎖(A1)と、一般式(IV)
【化15】

(式中、R8は、水素原子又はメチル基を表し、R9は、水素原子、C1〜C12のアルキル基、置換基を有してもよいC3以上の脂環式骨格を有する炭化水素基、該脂環式骨格を有する炭化水素基を有するアルキル基、又はヘテロ環基を表す。)で表される繰り返し単位(A21)を有するポリマー鎖(A2)とを有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーや、
(6)ポリマー鎖(A2)が一般式(IV)で表される繰り返し単位(A21)及び一般式(V)
【化16】

(式中、R10は、水素原子、メチル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R11は、C1〜C6のアルキル基、OR12基(R12は、水素原子、C1〜C6のアルキル基、又は酸分解・脱離基を表し、tは0又は1〜3のいずれかの整数を表し、tが2以上の場合、R11は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位(A22)を有することを特徴とする(5)に記載の星型ブロックコポリマーや、
(7)ポリマー鎖(A2)が中心核より順に(A22)−(A21)型にブロック共重合していることを特徴とする(6)に記載の星型ブロックコポリマーや、
(8)アーム部を構成するポリマー鎖の数平均分子量が1,000〜100,000であり、且つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.00〜1.50の範囲にあることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーや、
(9)中心核が、多官能性カップリング剤の架橋した核であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーや、
(10)多官能性カップリング剤が1分子あたり少なくとも2つの重合性2重結合を有する化合物であることを特徴とする(9)に記載の星型ブロックコポリマーや、
(11)多官能性カップリング剤が一般式(VI)
【化17】

(式中、R13は、水素原子、又はメチル基を表し、Yは、酸素原子、イオウ原子、R1617N(R16、及びR17はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C6のアルキル基、アルコキシカルボニル基を表す。)、置換基を有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、C(R1819)O、C(R1819)S、C(R1819)N(R20)、OC(R1819)、SC(R1819)、N(R20)C(R1819)、(R18、R19、及びR20は、C1〜C6のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)、OCO、又はCO2CH2を表し、wは0又は1〜2の整数を表し、wが2の場合は、Yは同一又は相異なっていてもよく、uは2又は3を表し、その場合、Y、R13、及びwは、同一又は相異なっていてもよい。)で表される化合物であることを特徴とする(9)又は(10)に記載の星型ブロックコポリマーや、
(12)数平均分子量が3,000〜300,000であることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーや、
(13)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.00〜1.50の範囲にあることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーに関する。
【0017】
また本発明は、
(14)アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般式(VII)
【化18】

(式中、R3、R4、R5、及びqは、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物を単独重合させた後、あるいは該一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物と共重合させた後、さらに、多官能性カップリング剤(C)を共重合させ、フェノール性水酸基の保護基を脱離させることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法や、
(15)アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般式(VII)で表される化合物を単独重合させた後、あるいは該一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物と共重合させた後、多官能性カップリング剤(C)を共重合させ、さらにアニオン重合可能な化合物を共重合させ、フェノール性水酸基の保護基を脱離させることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法や、
(16)多官能性カップリング剤(C)と、アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般式(VII)で表される化合物を単独重合させたポリマー鎖の活性末端あるいは該一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物と共重合させたポリマー鎖の活性末端(D)とのモル比[(C)/(D)]が0.1〜10であることを特徴とする(14)又は(15)に記載の星型ブロックコポリマーの製造方法や、
(17)多官能性カップリング剤が一般式(VI)
【化19】

(式中、Y、R13、w、及びuは前記と同じ意味を表す。)で表される化合物であることを特徴とする(14)〜(16)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法や、
(18)一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物が、一般式(VIII)
【化20】

(式中、R6、R7、及びrは、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物であることを特徴とする(14)〜(17)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法や、
(19)アニオン重合可能な化合物が、一般式(IX)
【化21】

(式中、R8、及びR9は、前記と同じ意味を表す)で表される化合物であることを特徴とする(15)〜(17)のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、エキシマレーザーおよび電子線用レジスト材料としての利用が期待される、アルケニルフェノール部をアーム部に有する分子量分布が狭く、且つ構造の制御された星型ブロック共重合体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の星型ブロックコポリマーとしては、中心核と中心核より伸びるポリマー鎖からなるアーム部を有する星型ブロックコポリマーにおいて、アーム部(A)に一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖(A1)を含むポリマーであれば特に制限されるものではなく、一般式(I)で表される繰り返し単位中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、水素原子、又はC1〜C6のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等を例示することができ、pは1又は2を表し、pが2の場合、R2は同一又は相異なっていてもよく、R2及び水酸基(OH基)の置換位置は特に制限されないが、水酸基はアルケニル基のパラ位又はメタ位が好ましい。
【0020】
上記ポリマー鎖(A1)としては、一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位を有する共重合体が好ましい。このポリマー鎖(A1)における、一般式(I)で表される繰り返し単位と一般式(II)で表される繰り返し単位のモル比は、特に限定されないが、その比[一般式(I)/一般式(II)]は、99/1〜50/50、好ましくは95/5〜60/40の範囲である。上記一般式(II)で表される繰り返し単位中、R3は、水素原子、メチル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。具体的には、フェニル基、p−トリル基、4−メトキシフェニル基等を例示することができる。また、R4は、水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表す。具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等を例示することができる。qは1又は2を表し、qが2の場合、R4は同一又は相異なっていてもよい。R4及びアルコキシ基(OR5基)の置換位置は特に制限されないが、アルコキシ基はアルケニル基のパラ位又はメタ位が好ましい。
【0021】
また、R5は酸分解・脱離基を表す。ここで、酸脱離・分解基とは酸により脱離及び/又は分解する基を意味する。具体的には、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリフェニルメチル基、トリメチルシリル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリルメチル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、2−メチル−2−t−ブトキシカルボニルメチル基等を例示することができる。
【0022】
さらに、R5としては下式(式中、R14はC1〜C20の無置換若しくはアルコキシ置換のアルキル基、C5〜C10のシクロアルキル基、又はC6〜C20の無置換若しくはアルコキシ置換のアリール基を表し、R15は、水素又はC1〜C3のアルキル基を表し、R16は水素、C1〜C6のアルキル基、又はC1〜C6のアルコキシ基を表す。)で表される基を例示することができ、このような置換基として具体的には、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−(イソプロポキシ)エチル基等を例示することができる。
【0023】
【化22】

【0024】
また、上記ポリマー鎖(A1)としては、一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(III)で表される繰り返し単位を有する共重合体が好ましい。一般式(III)で表される繰り返し単位中、R6は水素原子、又はメチル基を表し、R7は、水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等を例示することができ、rは1又は2を表し、rが2の場合、R7は同一又は相異なっていてもよく、その置換位置は特に制限されない。このポリマー鎖(A1)における、一般式(I)で表される繰り返し単位と一般式(III)で表される繰り返し単位とのモル比は特に制限されないが、その比[一般式(I)/一般式(III)]は、99/1〜50/50の範囲が好ましい。
【0025】
さらに、上記ポリマー鎖(A1)としては、一般式(I)で表される繰り返し単位、一般式(II)で表される繰り返し単位、及び一般式(III)で表される繰返し単位を有する共重合体が好ましい。このポリマー鎖(A1)における、各々の繰り返し単位のモル比は特に制限されないが、そのモル比(一般式(I)/[一般式(II)+一般式(III)])は、99/1〜50/50の範囲が好ましい。
【0026】
上記アーム部(A)としては、ポリマー鎖(A1)と、一般式(IV)で表される繰り返し単位(A21)を有するポリマー鎖(A2)とを有するものが好ましい。一般式(IV)で表される繰り返し単位中、R8は、水素原子又はメチル基を表す。また、R9は、水素原子、C1〜C12のアルキル基、置換基を有してもよいC3以上の脂環式骨格を有する炭化水素基(但し、炭素数に置換基の炭素を含まない)、該脂環式骨格を有する炭化水素基を有するアルキル基、又はヘテロ環基を表すが、特に、酸分解・脱離基が好ましく、さらに酸により脱離・分解し得るt−ブチル基を持つ基が好ましい。ここで、酸分解・脱離基とは酸により分解及び/又は脱離する基を意味する。
【0027】
上記R9として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリフェニルメチル基、トリメチルシリル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリルメチル基、及び下記式(式中、uは0又は1を表す。)で表されるような官能基を例示することができる。
【0028】
【化23】

【0029】
さらに、R9として下記式(式中、R17はC1〜C20の無置換又はアルコキシ置換のアルキル基、C5〜C10のシクロアルキル基、又はC6〜C20の無置換又はアルコキシ置換のアリール基を表し、R18は、水素又はC1〜C3のアルキル基を表し、R19は水素、C1〜C6のアルキル基、又はC1〜C6のアルコキシ基を表す。)で表される基を具体的に例示することができ、このような置換基として具体的には、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−(イソプロポキシ)エチル基等を例示することができる。
【0030】
【化24】

【0031】
一般式(VI)で表される繰り返し単位(A21)を有するポリマー鎖(A)中の繰り返し単位は単一又は2種以上の混合であってもよく、2種以上の混合の場合、その構造は、特に制限されず、ランダム又はブロックで結合していてもよい。さらに、その際のモル比は、特に制限されないが、例えば、2種混合の場合、1/9〜9/1の範囲のいずれの値を採ることができる。
【0032】
上記ポリマー鎖(A2)としては、一般式(IV)で表される繰り返し単位(A21)及び一般式(V)で表される繰り返し単位(A22)を有するものが好ましい。このポリマー鎖(A2)における(A21)と(A22)のモル比は特に制限されないが、その比[(A21)/(A22)]は、5/95〜100/0、好ましくは50/50〜99/1の範囲である。上記一般式(V)で表される繰り返し単位中、R10は、水素原子、メチル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、具体的には、フェニル基、p−トリル基、4−メトキシフェニル基等を例示することができる。R11は、水素原子、C1〜C6のアルキル基、又はOR12基(R12は、水素原子、C1〜C6のアルキル基、又は酸分解・脱離基を表す。)を表す。上記C1〜C6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等を具体的に例示することができる。上記OR12基におけるR12としては、具体的には、R5として例示した置換基と同様の置換基を例示することができる。tは0又は1〜3のいずれかの整数を表し、tが2以上の場合、R11は同一又は相異なっていてもよい。またR11の置換位置は特に限定されないが、OR12基の場合、アルケニル基のパラ位、又はメタ位が好ましい。
【0033】
上記ポリマー鎖(A2)中、一般式(IV)で表される繰り返し単位(A21)及び一般式(V)で表される繰り返し単位(A22)の配置は特に限定されず、ランダム重合、ブロック重合等いずれの共重合体でも構わない。中でも、繰り返し単位(A21)及び(A22)が中心核から(A22)−(A21)型にブロック共重合した重合体を有しているアーム部が好ましい。
【0034】
本発明の重合体には必要に応じて、一般式(I)〜一般式(V)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含めることができる。この繰り返し単位としては、一般式(I)〜一般式(V)に対応する単量体と共重合可能な2重結合を有する化合物から得られる繰り返し単位であれば特に制限されないが、スルホン酸基、カルボキシル基、フェノール水酸基等の酸性置換基を有しない繰り返し単位が好ましく、該繰り返し単位に対応する単量体としては、ビニル基含有化合物、(メタ)アクロイル基含有化合物等を例示することができる。
【0035】
上記ビニル基含有化合物としては、ビニルピリジン等のヘテロ原子含有芳香族ビニル化合物、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のビニルケトン化合物、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、ビニルピロリドン、ビニルラクタム等のヘテロ原子含有脂環式ビニル化合物等を具体的に例示することができる。また、上記(メタ)アクロイル基含有化合物としては、(メタ)アクリル酸アミド又は(メタ)アクリロニトリル等を例示することができる。
【0036】
これらビニル基含有化合物や(メタ)アクロイル基含有化合物は、1種又は2種以上の混合物として使用することができ、またこれらビニル基含有化合物や、(メタ)アクロイル基含有化合物から得られる繰り返し単位は、一般式(I)〜一般式(V)に示される繰り返し単位とランダムに又はブロックで共重合して本発明のアルケニルフェノール共重合体に含有させることができる。
【0037】
本発明の星型ブロックコポリマーのアーム部(A)を構成するポリマー(アームポリマー)鎖の数平均分子量は特に限定されず、1,000〜100,000の範囲を具体的に例示することができる。また、アーム部(A)を構成するポリマー鎖の数平均分子量が1,000〜100,000のとき、該ポリマー鎖として、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.00〜1.50の範囲にある単峰性のものが好ましい。
【0038】
本発明の星型ブロックコポリマーの中心核としては、多官能性カップリング剤を好適に例示することができ、例えば3官能以上の化合物を例示することができ、2官能の化合物であっても、重合体を形成して3官能以上の化合物を形成することができる場合は、使用を妨げるものではない。特に、多官能性カップリング剤が重合架橋した構造を有する中心核が好ましい。
【0039】
上記多官能性カップリング剤として、具体的には、ジビニル芳香族化合物、トリビニル芳香族化合物等の一般式(VI)で表される化合物、ジエポキシド、ジケトン、ジアルデヒド及び下記一般式(X)で表される化合物(式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基及び炭素数2〜6のアシルオキシル基からなる群より選択される置換基を表す。R1及びR2は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表し、R1及びR2は同一であっても異なっていてもよい。R3は、n個の置換基(CR12X)を有することができる多価の芳香族炭化水素基又は多価の脂肪族炭化水素基を表す。nは3〜6のいずれかの整数を表す。)を挙げることができる。
【0040】
【化25】

【0041】
また、上記多官能性カップリング剤として、具体的に下記式からなるシラン化合物等より選択される少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
【0042】
【化26】

【0043】
上記ジビニル芳香族化合物としては特に限定されず、例えば、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジビニルナフタレン、1,8−ジビニルナフタレン、2,4−ジビニルビフェニル、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニル−4,5,8−トリブチルナフタレン、2,2′−ジビニル−4−エチル−4′−プロピルビフェニル等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
かかるジビニル芳香族化合物として、例えば、エチルビニルベンゼン等との混合物として通常市販されているものであっても、上記ジビニル芳香族化合物が主たる成分であればそのまま使用することが可能であり、また必要に応じて精製して純度を高めて用いてもよい。さらに、スチレン等の他の重合可能な二重結合芳香族化合物等を混合して使用することもでき、この場合、スチレンの混合比率は、ジビニル芳香族化合物等と混合して架橋重合した中心核を形成することができれば、特に限定されないが、1〜50重量%、好ましくは5〜20重量%の範囲である。
【0045】
上記トリビニル芳香族化合物としては特に限定されず、例えば、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルナフタレン、3,5,4′−トリビニルビフェニル、1,5,6−トリビニル−3,7−ジエチルナフタレン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
また、上記ジビニル芳香族化合物やトリビニル芳香族化合物として、ビニル基と芳香環の間に、スペーサーを設けた一般式(VI)で表される化合物群をさらに好ましく例示することができる。より具体的には、下記式に示す化合物を例示することができ、これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
【化27】

【0048】
上記ジエポキシドとしては特に限定されず、例えば、シクロヘキサンジエポキシド、1,4−ペンタンジエポキシド、1,5−ヘキサンジエポキシド等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
上記ジケトンとしては特に限定されず、例えば、2,4−ヘキサン−ジオン、2,5−ヘキサン−ジオン、2,6−ヘプタン−ジオン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
上記ジアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、1,4−ブタンジアール、1,5−ペンタンジアール、1,6−ヘキサンジアール等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
上記一般式(X)において、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基又は炭素数2〜6のアシルオキシ基を表す。上記ハロゲン原子としては、例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。上記炭素数1〜6のアルコキシル基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−又はイソプロポキシ基等を挙げることができる。上記炭素数2〜6のアシルオキシ基としては特に限定されず、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等を挙げることができる。
【0052】
上記一般式(X)において、R1及びR2は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。R1及びR2は同一であっても異なっていてもよい。また、複数存在するR1及び複数存在するR2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。上記炭素数1〜6の1価の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基等を挙げることができる。
【0053】
上記一般式(X)において、R3は、前記のとおり、n個の置換基(CR12X)を有することができる多価の芳香族炭化水素基又は多価の脂肪族炭化水素基を表し、nは3〜6のいずれかの整数を表す。そして、かかる一般式(X)で表される化合物として、下記化学式で表される化合物を具体的に例示することができる。
【0054】
【化28】

【0055】
以上例示した化合物以外にも、さらに下記化学式で表される化合物を多官能性カップリング剤として例示することができる。
【0056】
【化29】

【0057】
本発明の星型ブロックコポリマーの製造方法としては、アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般式(VII)(式中、R3、R4、R5、及びqは、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物を単独重合させた後、あるいは該一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物と共重合させた後、さらに、多官能性カップリング剤を共重合させ、フェノール性水酸基の保護基を脱離させる方法や、アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般式(VII)で表される化合物を単独重合させた後、あるいは該一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物と共重合させた後、多官能性カップリング剤を共重合させ、さらにアニオン重合可能な化合物を共重合させ、フェノール性水酸基の保護基を脱離させる方法であれば、特に制限されるものではない。
【0058】
上記一般式(VII)で表される化合物中、R3、R4、R5、及びqは前記と同じ意味を表し、同様の置換基を例示することができる。一般式(VII)で表される化合物として具体的には、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、p−(テトラヒドロピラニルオキシ)スチレン、p−(テトラヒドロピラニルオキシ)−α−メチルスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、p−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン等を例示することができ、これらは一種単独又は二種以上の混合物として使用することができる。
【0059】
上記アニオン重合法に用いられるアニオン重合開始剤としては、アルカリ金属又は有機アルカリ金属を例示することができ、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等を例示することができ、有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を例示することができ、具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等を挙げることができる。
【0060】
本発明の星型ブロックコポリマーの製造方法としては、(1)アニオン重合開始剤の存在下、一般式(VII)で示される化合物単独、又は一般式(VII)で表される化合物及び一般式(VIII)で表される化合物、又は一般式(VII)で表される化合物及び該化合物と共重合可能な二重結合を有する化合物をアニオン重合してアームポリマーを合成し、次に、多官能性カップリング剤を反応させ、得られた共重合体からフェノール性水酸基の保護基を全部又は一部脱離させる方法、(2)アニオン重合開始剤の存在下、多官能性カップリング剤を反応させて、多官能性コアを形成した後、一般式(VII)で示される化合物単独、又は一般式(VII)で表される化合物及び一般式(VIII)で表される化合物、又は一般式(VII)で表される化合物及び該化合物と共重合可能な二重結合を有する化合物をアニオン重合し、得られた共重合体からフェノール性水酸基の保護基を全部又は一部脱離させる方法、(3)アニオン重合開始剤の存在下、一般式(VII)で示される化合物単独、又は一般式(VII)で表される化合物及び一般式(VIII)で表される化合物、又は一般式(VII)で表される化合物と該化合物及び共重合可能な二重結合を有する化合物をアニオン重合してアームポリマーを合成し、次に、多官能性カップリング剤を反応させ、さらに、一般式(IX)で表される化合物、又は一般式(VIII)で表される化合物及び一般式(IX)で表される化合物等のアニオン重合可能なモノマーを反応させ、得られた共重合体からフェノール性水酸基の保護基を全部又は一部脱離させる方法、を挙げることができるが、上記(1)や(3)の方法が、反応の制御が容易であり、構造を制御した星型ブロックコポリマーを製造する上で好ましい。
【0061】
その他、本発明の星型ブロックコポリマーは、トリエチルアミン、2−クロロ−2,4,4−トリメチル−1−ペンテン/TiCl4等のカチオン重合開始剤の存在下、一般式(VII)で示される化合物単独、又は一般式(VII)で表される化合物及び一般式(VIII)で表される化合物、又は一般式(VII)で表される化合物と該化合物と共重合可能な二重結合を有する化合物をカチオン重合し、次に、多官能性カップリング剤を反応させ、得られた共重合体からフェノール性水酸基の保護基を全部又は一部脱離させる方法等によっても製造することができる。
【0062】
上記(1)又は(3)の方法におけるアームポリマーを合成する重合反応としては、モノマー(混合)溶液中にアニオン重合開始剤を滴下する方法や、アニオン重合開始剤を含む溶液にモノマー(混合)溶液を滴下する方法のいずれの方法でも行うことができるが、分子量及び分子量分布を制御することができることから、アニオン重合開始剤を含む溶液にモノマー(混合)溶液を滴下する方法が好ましい。このアームポリマーの合成反応は、通常、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、−100〜50℃、好ましくは−100〜40℃の範囲の温度下で行われる。
【0063】
上記アームポリマーの合成反応に用いられる有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類の他、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミド等のアニオン重合において通常使用される有機溶媒を挙げることができ、これらは一種単独溶媒又は二種以上の混合溶媒として使用することができる。これらのうち、極性及び溶解性の観点から、テトラヒドロフランとトルエン、テトラヒドロフランとヘキサン、テトラヒドロフランとメチルシクロヘキサンの混合溶媒を好ましく例示することができる。
【0064】
アームポリマーの重合形態としては、各成分がコポリマー鎖全体に統計的に分布しているランダム共重合体、部分ブロック共重合体、完全ブロック共重合体を挙げることができ、これらは前述の一般式(VII)で表される化合物、およびビニル芳香族化合物の添加法を選択することにより、それぞれ合成することができ、例えば、一般式(VII)で示される化合物とビニル芳香族化合物との混合物を反応系に加えて重合することによりランダム共重合体を、どちらか一方の全部をあらかじめ重合しておき、その後、もう一方の混合物を加えて重合を継続するか、又は、どちらか一方の一部を予め重合しておき、その後両者の混合物を加えて重合を継続することによリ部分ブロック共重合体を、また、一般式(VII)で示される化合物とビニル芳香族化合物とを反応系に逐次添加して重合を行うことによリ完全ブロック共重合体を、それぞれ合成することができる。
【0065】
このようにして得られたアームポリマーを分岐ポリマー鎖として星型ブロックコポリマーを生成せしめる反応は、アームポリマー合成反応終了後、反応液中ヘさらに多官能性カップリング剤を添加することにより行うことができる。この反応は通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、有機溶媒中において−100℃〜50℃、好ましくは−70℃〜40℃の温度で重合反応を行うことにより構造が制御され、且つ分子量分布の狭い重合体を得ることができる。また、かかる星型ブロックコポリマー生成反応は、アームポリマーを形成させるのに用いた溶媒中で連続して行うこともできる他、溶媒を添加して組成を変更して、又は溶媒を別の溶媒に置換して行うこともできる。かかる溶媒として、アームポリマーの合成反応に用いられる有機溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
【0066】
本発明の星型ブロックコポリマーの製造方法において、多官能性カップリング剤(C)と、アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般式(VII)で表される化合物を単独重合させたポリマー鎖の活性末端あるいは該一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物と共重合させたポリマー鎖の活性末端(D)とのモル比[(C)/(D)]を0.1〜10とすることが好ましい。例えば、多官能性カップリング剤として、ジビニルベンゼン等のポリビニル化合物を用いる場合、ポリビニル化合物の添加量は、アームポリマー鎖の活性末端に対して0.1〜10当量、好ましくは、1〜10当量の範囲とすることが好ましい。アームポリマー鎖と多官能性カップリング剤との反応は、活性末端を有するアームポリマー鎖に多官能性カップリング剤を添加する方法、多官能性カップリング剤に活性末端を有するアームポリマー鎖を添加する方法のいずれの方法も採用することができる。
【0067】
星型ブロックコポリマーのアーム数は、ポリビニル化合物の添加量と反応温度、反応時間により決定されるが、通常はリビングポリマー末端とビニル基との反応性差や立体障害等の影響を受けてアーム数の異なる複数の星型ブロックコポリマーが同時に生成する。本発明の星型ブロックコポリマーでは、アーム数が3以上のものが特に好ましい。また、生成する星型ブロックコポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.00〜1.50の範囲にあることが好ましく、星型ブロックコポリマーの数平均分子量は、3,000〜300,000であるのが好ましい。
【0068】
あらかじめ調製されたアームポリマー鎖と多官能性カップリング剤とを反応させることにより形成される活性末端を有する中心核(多官能性コア)に対して、アニオン重合可能なモノマーを反応させ新たなアームポリマー鎖を形成させる前記(3)の方法では、異なる種類のアームポリマー鎖を有する星型ブロックコポリマーを製造することができる。中心核に存在する活性末端に対して、直接重合可能なモノマーを反応させることもできるが、ジフェニルエチレン、スチルベン等の化合物を反応させた後、また、塩化リチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の鉱酸塩を添加した後、モノマーを反応させた方が、例えば、アクリル酸誘導体のように反応性の高いモノマーを反応させる場合、ゆっくりと重合反応を進行させることができ、生成する星型ブロックコポリマーの全体の構造を制御する上で有利となる場合がある。また、上記反応は、活性末端を有する中心核を形成させるのに用いた溶媒中で連続して行うこともできる他、溶媒を添加して組成を変更して、又は溶媒を別の溶媒に置換して行うこともできる。かかる溶媒としては、アームポリマーの合成に用いた溶媒と同様の溶媒を例示することができる。また、上記(3)の方法における中心核に存在する活性末端に対して新たに導入されたアームポリマー鎖、又は前記(2)の方法におけるアームポリマー鎖を、2種のモノマーを混合して反応させることによりランダム共重合したポリマー鎖とすることも、また、2種のモノマーを順次添加することでブロックポリマー鎖とすることも可能である。また、反応終了後、二酸化炭素、エポキシ等を添加することにより、末端に官能基を導入することも可能である。
【0069】
このようにして得られた共重合体からフェノール性水酸基の保護基を脱離させ、アルケニルフェノール骨格を生成せしめる反応は、前記重合反応で例示した溶媒の他、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等の多価アルコール誘導体類、水などの一種単独又は二種以上の混合溶媒の存在下、塩酸、硫酸、塩化水素ガス、臭化水素酸、p−トルエンスルホン酸、1,1,1−トリフロロ酢酸、一般式XHSO4(式中、XはLi,Na,K等のアルカリ金属を表す)で示される重硫酸塩などの酸性試剤を触媒として、室温〜150℃の温度で行われる。この反応において、溶媒の種類と濃度、触媒の種類と添加量、及び反応温度と反応時間を適当に組み合わせることにより、フェノール性水酸基の保護基が全部又は選択的に一部脱離されて、本発明の狭分散且つ構造の制御されたアルケニルフェノール系星型ブロックコポリマーを製造することができる。
【0070】
以上のようにして得られた本発明のアルケニルフェノール骨格を有する星型ブロックコポリマーのうち、多官能性カップリング剤とアームポリマーの反応で得られるコポリマーでは、反応が完全に進行せずアームポリマー鎖が最終生成物に混入する場合がある。この場合、星型ブロックコポリマーの物性にばらつきが出る場合など、必要に応じて、アームポリマー鎖を除去することも可能である。除去する方法としては分別再沈法を好適に例示することができ、かかる分別再沈法としては、ポリマー溶解性の高い溶媒とポリマー溶解性の低い溶媒の混合溶媒を用いて再沈を行うのが好ましく、ポリマー溶解性の高い溶媒とポリマー溶解性の低い溶媒の混合溶媒中で星型ブロックコポリマーを加熱溶解し冷却する方法や、ポリマー溶解性の高い溶媒に溶解後にポリマー溶解性の低い溶媒を添加して星型ブロックコポリマーを結晶化させる方法等を例示することができ、後者の方法においても、溶媒を適宜加熱しながら行うことができる。上記星型ブロックコポリマーの溶解性の高い溶媒としてメタノール、エタノール等の低級アルコール類を、ポリマー溶解性の低い溶媒として水等を好ましく例示することができる。また、両溶媒の混合比は、精製する星型ブロックコポリマーによっても異なるが、その容積比[(ポリマー溶解性の高い溶媒)/(ポリマー溶解性の低い溶媒)]は、90/10〜10/90、さらに80/20〜20/80の範囲が好ましい。かかる溶媒の濃度については特に制限はないが、例えば1〜50%の範囲を、好ましくは2〜30%の範囲を例示することができる。1%以下では、溶媒量が多くなるため、又は結晶回収率が低下し、50%以上では、不純物の除去の効率が低下する。そして、これらの操作を数回繰返すことにより、目的の星型ブロックコポリマーをほぼ純粋な形で取り出すことができる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。但し、本発明の技術的範囲は、下記実施例により何ら制限を受けるものではない。
【0072】
[実施例1]
窒素雰囲気下において、トルエン750gとテトラヒドロフラン(以下、THFと略す)750gの混合溶媒中に、n−ブチルリチウム(以下、NBLと略す)50ミリモルを加え、撹拌下、−40℃に保持しながら、p−tert−ブトキシスチレン(以下、PTBSTと略す)1モルを1時間かけて滴下し、さらに反応を1時間継続し、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)により反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、ゲルパーミェイションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)により分析したところ、得られたPTBSTポリマーは、Mn=3700,Mw/Mn=1.10の単分散ポリマーであった。
【0073】
次いで、反応系を−40℃に保ちながら、ジビニルベンゼン(以下、DVBと略す)150ミリモルを添加し、さらに反応を4時間継続した後、GCにより残モノマーが無いことを確認した。ついで、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.5%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=29000,Mw/Mn=1.14の単分散ポリマーであった。
【0074】
次に、得られたポリマー10gをトルエン/エタノール=1/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、硫酸1.4gを加えて40℃で45時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー7.1gを得た。
【0075】
この反応において、反応前後におけるポリマーの赤外線吸収スペクトル(以下、IRと略す)及びl3CNMR(以下、NMRと略す)を比較した。IRにおいて、890cm-1におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来の吸収が反応後は消失し、新たに3300cm-l付近に水酸基由来のブロードな吸収が観察された。また、NMRにおいて、77ppmおよび153ppm付近におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来のピークが反応後は消失していた。また、生成したポリマーについてGPCを測定したところ、Mn=26500、Mw/Mn=1.16の単分散ポリマーであった。以上のことから、共重合反応とその後の脱離反応は設定どおりに行われ、p−ヒドロキシスチレンセグメントを主骨格とするアルケニルフェノール系星型ブロックコポリマーが生成したことを確認することができた。
【0076】
[実施例2]
窒素雰囲気下において、THF2000g中に、NBL30ミリモルを加え、撹拌下、−60℃に保持しながら、PTBST1モルを1時間かけて滴下し、さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPTBSTポリマーは、Mn=5700,Mw/Mn=1.10の単分散ポリマーであった。次いで、反応系を−60℃に保ちながら、DVB30ミリモルを添加し、さらに反応を4時間継続した後、GCにより残モノマーが無いことを確認した。
【0077】
次いで、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.1%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=35000,Mw/Mn=1.15のポリマーとMn=5700のポリマーの混合物であった。
【0078】
次に、得られたポリマー10gをTHF/エタノール=4/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、濃塩酸3gを加えて50℃で30時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー6.9gを得た。
【0079】
この反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びNMRを測定したところ、実施例1におけると同様に、PTBSTセグメントのt−ブトキシ基由来のピークの消失が確認された。また、生成したポリマーについてGPCを測定したところ、Mn=32000、Mw/Mn=1.19のポリマーとMn=5100のポリマーの混合物であった。以上のことから、共重合反応とその後の脱離反応は設定どおりに行われ、p−ヒドロキシスチレンセグメントを主骨格とするアルケニルフェノール系星型ブロックコポリマーが生成したことを確認することができた。
【0080】
[実施例3]
窒素雰囲気下において、THF1200gとヘキサン300gの混合溶媒中に、NBL20ミリモルを加え、撹拌下、−60℃に保持しながら、PTBST1モルを1時間かけて滴下し、さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPTBSTポリマーは、Mn=8900,Mw/Mn=1.07の単分散ポリマーであった。
【0081】
次いで、反応系を−40℃に昇温した後、DVB96ミリモルとエチルビニルベンゼン4ミリモルの混合物を添加し、さらに反応を4時間継続した後、GCにより残モノマーが無いことを確認した。ついで、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.5%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=70000,Mw/Mn=1.21のポリマーとMn=8900のポリマーの混合物であった。
【0082】
次に、得られたポリマー10gをトルエン/エタノール=1/2(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、硫酸3gを加えて40℃で45時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー7.0gを得た。
【0083】
この反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びNMRを測定したところ、実施例1におけると同様に、PTBSTセグメントのt−ブトキシ基由来のピークの消失が確認された。また、生成したポリマーについてGPCを測定したところ、Mn=64000、Mw/Mn=1.22のポリマーとMn=8000のポリマー(10%)の混合物であった。以上のことから、共重合反応とその後の脱離反応は設定どおりに行われ、p−ヒドロキシスチレンセグメントを主骨格とするアルケニルフェノール系スターポリマーが生成したことを確認することができた。
【0084】
以上のようにして得られた混合物3.5gを、濃度2重量%になるように純水/メタノール(体積比1/1)の混合溶媒を加え、加熱溶解し、室温まで放置し結晶化させたのち、濾過し、3.0gの結晶を得た。結晶をGPCを用いて分析したところ、アームポリマー残渣は0.35%であった。また、以上のようにして得られた混合物3.5gを、メタノール35mlに溶解し、その後35mlの純水を添加して結晶化させ、濾別し、3.2gの結晶を得た。結晶をGPCを用いて分析したところ、アームポリマー残渣は4.26%であった。
【0085】
[実施例4]
窒素雰囲気下において、THF2000g中にNBL29ミリモルを加え、撹拌下、−50℃に保持しながら、PTBST1モルとスチレン0.3モルとの混合物を1時間かけて滴下し、さらに1時間反応を継続し、GCによリ反応完結を確認した。この段階でのPTBST/スチレン系ポリマーは、Mn=7200、Mw/Mn=1.05の単分散ポリマーであった。ついで、反応系を−30℃に昇温後、DVB30ミリモルを添加し、さらに反応を5時間継続してから、GCにより反応完結を確認した。
【0086】
次に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.3%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=63000,Mw/Mn=1.20の単分散ポリマーとMn=7200のポリマーの混合物であった。
【0087】
次いで、得られたポリマー10gをTHF/エタノール=1/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、硫酸水素ナトリウム3gを加えて50℃で20時間反応を行った後、反応液を濾過して硫酸水素ナトリウムを除去し、濾液を大量の水中に水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー7.1gを得た。この反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びNMRを測定したところ、実施例1におけると同様に、PTBSTセグメントのt−ブトキシ基由来のピークの消失が確認された。また、生成したポリマーについてGPCを測定した結果、Mn=56000、Mw/Mn=1.24のポリマーとMn=6500のポリマーの混合物であった。以上のことから、共重合反応と脱離反応は設定どおりに行われ、p−ヒドロキシスチレンとスチレンのランダム共重合体を主骨格とするアルケニルフェノール系スターポリマーが生成したことを確認することができた。
【0088】
[実施例5]
窒素雰囲気下において、トルエン1000gとTHF1000gの混合溶媒中にNBL40ミリモルを加え、撹拌下、−40℃に保持しながら、PTBST1モルを1時間かけて滴下し、さらに1時間反応を継続し、GCによリ反応完結を確認した。この段階でのPTBSTポリマーは、Mn=4500、Mw/Mn=1.11の単分散ポリマーであった。次いで、スチレン0.3モルを15分かけて滴下し、さらに1時間反応を継続した後、GCによリ反応完結を確認した。この段階でのPTBST/スチレンブロック共重合体は、Mn=5300、Mw/Mn=1.09の単分散ポリマーであった。最後に、反応系を−40℃に保持し、DVB120ミリモルを添加した後に反応を5時間継続してから、GCにより反応完結を確認した。
【0089】
次に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.3%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=34000,Mw/Mn=1.18の単分散ポリマーであった。
【0090】
次に、得られたポリマー10gをTHF/エタノール=2/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、硫酸水素ナトリウム3gを加えて50℃で20時間反応を行った後、反応液を濾過して硫酸水素ナトリウムを除去し、濾液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー7.2gを得た。この反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びNMRを測定したところ、実施例1におけると同様に、PTBSTセグメントのt−ブトキシ基由来のピークの消失が確認された。また、生成したポリマーについてGPCを測定した結果、Mn=30000、Mw/Mn=1.22の単分散ポリマーであった。以上のことから、共重合反応と脱離反応は設定どおりに行われ、p−ヒドロキシスチレンセグメントとスチレンセグメントとのブロック共重合体を主骨格とするアルケニルフェノール系スターポリマーが生成したことを確認することができた。
【0091】
[実施例6]
窒素雰囲気下において、THF2000g中に、NBL30ミリモルを加え、撹拌下、−60℃に保持しながら、PTBST1モルを1時間かけて滴下。さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたポリマーは、Mn=6100、Mw/Mn=1.12の単分散ポリマーであった。次いで、反応系を−60℃に保ちながら、DVB90ミリモルを添加し、さらに反応を3時間継続した後、GCにより残モノマーが無いことを確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたポリマーは、Mn=45100、Mw/Mn=1.16の単分散ポリマーであった。
【0092】
次に、反応系を−60℃に保ちながら、1,1−ジフェニルエチレン(以下、DPEと略す)45ミリモルを添加して、30分熟成し、さらに、tert−ブチルメタクリレート(以下、t−BMAと略す)0.43モルを添加し、反応を1時間継続した。最後に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.1%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=46400、Mw/Mn=1.20の単分散ポリマーであった。
【0093】
次いで、得られたポリマー10gをTHF/エタノール=4/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、濃塩酸2gを加えて50℃で30時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー7.2gを得た。この反応において、反応前後におけるポリマーの赤外線吸収スペクトル(以下、IRと略す)及びNMRを比較した。IRにおいて、890cm-1におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来の吸収が反応後は消失し、新たに3300cm-1付近に水酸基由来のブロードな吸収が観察された。また、NMRにおいて、77ppm付近におけるポリPTBSTのt−ブチル基由来のピークが反応後は消失していた。また、生成したポリマーについてGPCを測定しところ、Mn=42000、Mw/Mn=1.21のポリマーであった。
【0094】
[実施例7]
窒素雰囲気下において、トルエン1600gとTHF400gの混合溶媒中に、NBL23ミリモルを加え、撹拌下、−40℃に保持しながら、PTBST1モルを1時間かけて滴下した。さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPTBSTポリマーは、Mn=7900、Mw/Mn=1.07の単分散ポリマーであった。次いで、反応系を−40℃に保ちながら、DVB50ミリモルを添加し、さらに反応を3時間継続した後、GCにより残モノマーが無いことを確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたポリマーは、Mn=61500、Mn/Mw=1.17の単分散ポリマーとMn=7900のポリマーの混合物であった。
【0095】
次に、反応系を−40℃に保ちながら、DPE28ミリモルを添加して、30分熟成し、さらに、t−BMA0.2モルを添加し、反応を1時間継続した。最後に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.8%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=63000、Mw/Mn=1.21の単分散ポリマーとMn=7900のポリマーの混合物であった。
【0096】
次に、得られたポリマー10gをTHF/エタノール=3/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、濃塩酸2.4gを加えて50℃で30時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー6.9gを得た。この反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びNMRは実施例1と同様に変化した。また、生成したポリマーについてGPCを測定したところ、Mn=56000、Mw/Mn=1.21の単分散ポリマーとMn=7100のポリマーの混合物であった。
【0097】
[実施例8]
窒素雰囲気下において、トルエン1000gとTHF1000gの混合溶媒中に、NBL18ミリモルを加え、撹拌下、−40℃に保持しながら、PTBST0.9モルを1時間かけて滴下した。さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPTBSTポリマーは、Mn=9100、Mw/Mn=1.09の単分散ポリマーであった。次いで、反応系を−20℃に昇温して、DVB54ミリモルとスチレン13ミリモルの混合物を添加し、さらに反応を3時間継続した後、GCにより残モノマーが無いことを確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたポリマーは、Mn=57000、Mn/Mw=1.17の単分散ポリマーとMn=9100のポリマーの混合物であった。
【0098】
次に、反応系を−20℃に保ちながら、DPE21ミリモルを添加して、30分熟成し、さらに、t−BMA0.1モルを添加し、反応を1時間継続した。最後に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.6%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=58200、Mw/Mn=1.21の単分散ポリマーとMn=9100のポリマーの混合物であった。
【0099】
次いで、得られたポリマー10gをTHF/エタノール=1/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、濃硫酸0.5gを加えて50℃で30時間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー6.9gを得た。この反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びNMRは実施例1と同様に変化した。また、生成したポリマーについてGPCを測定したところ、Mn=51200、Mw/Mn=1.20の単分散ポリマーとMn=8100のポリマーの混合物であった。
【0100】
[実施例9]
窒素雰囲気下において、トルエン750gとTHF750gの混合溶媒中に、NBL50ミリモルを加え、撹拌下、−40℃に保持しながら、PTBST1モルを1時間かけて滴下し、さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPTBSTポリマーは、Mn=3700,Mw/Mn=1.10の単分散ポリマーであった。次いで、反応系を−40℃に保ちながら、DVB150ミリモルを添加し、さらに反応を4時間継続した後、GCにより残モノマーが無いことを確認した。ついで、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.5%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=29000,Mw/Mn=1.14の単分散ポリマーであった。
【0101】
次に、得られたポリマー10gをトルエン/エタノール=1/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、硫酸1.4gを加えて脱ブチル化反応を開始した。65〜70℃で反応を行い、反応液を少量採取し、IRスペクトルを測定して、反応を追跡し、脱離が所定量に達したことを確認し、速やかに反応系を氷水浴で冷却後、反応液を多量の水中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、70℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー7.0gを得た。このポリマーをGPCにより分析し、Mn=27000、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであり、NMRにより求めたパラヒドロキシスチレン(PHS)単位/PTBST単位=0.88/0.12(モル比)であった。
【0102】
[実施例10]
窒素雰囲気下において、トルエン1600gとTHF400gの混合溶媒中に、NBL23ミリモルを加え、撹拌下、−40℃に保持しながら、PTBST1モルを1時間かけて滴下した。さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPTBSTポリマーは、Mn=7900、Mw/Mn=1.07の単分散ポリマーであった。次いで、反応系を−40℃に保ちながら、DVB50ミリモルを添加し、さらに反応を3時間継続した後、GCにより残モノマーが無いことを確認した。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたポリマーは、Mn=55300、Mn/Mw=1.17の単分散ポリマーとMn=7900のポリマーの混合物であった。
【0103】
次に、反応系を−40℃に保ちながら、DPE28ミリモルを添加して、30分熟成し、さらに、t−BMA0.2モルを添加し、反応を2時間継続した。最後に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.8%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=56500、Mw/Mn=1.21の単分散ポリマーとMn=7900のポリマーの混合物であった。
【0104】
この得られたポリマー10gをTHF/エタノール=3/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、濃塩酸2.4gを加えて50℃で脱ブチル化反応を開始した。65〜70℃で反応を行い、反応液を少量採取し、IRスペクトルを測定して、反応を追跡し、脱離が所定量に達したことを確認し、速やかに反応系を氷水浴で冷却後、反応液を多量の水中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、70℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー7.0gを得た。このポリマーをGPCにより分析し、Mn=49000、Mw/Mn=1.20の単分散ポリマーであり、NMRにより求めたPHS単位/PTBST単位=0.90/0.10(モル比)であった。
【0105】
[実施例11]
窒素雰囲気下において、THF2000g中にNBL29ミリモルを加え、撹拌下、−50℃に保持しながら、PTBST1モルとスチレン0.3モルとの混合物を1時間かけて滴下し、さらに1時間反応を継続し、GCによリ反応完結を確認した。この段階でのPTBST/スチレン系ポリマーは、Mn=7200、Mw/Mn=1.05の単分散ポリマーであった。次いで、反応系を−30℃に昇温後、DVB30ミリモルを添加し、さらに反応を5時間継続してから、GCにより反応完結を確認した。
【0106】
次に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率は、99.3%であった。このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=47000、Mw/Mn=1.20の単分散ポリマーとMn=7200のポリマーの混合物であった。
【0107】
次いで、得られたポリマー10gをTHF/エタノール=1/1(重量比)の混合溶媒に溶解して25%溶液とし、硫酸1.4gを加えて脱ブチル化反応を開始した。65〜70℃で反応を行い、反応液を少量採取し、IRスペクトルを測定して、反応を追跡し、脱離が所定量に達したことを確認し、速やかに反応系を氷水浴で冷却後、反応液を多量の水中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、70℃で5時間減圧乾燥して白色粉体状のポリマー7.0gを得た。
【0108】
このポリマーをGPCにより分析し、Mn=43500、Mw/Mn=1.15の単分散ポリマーであり、NMRにより求めたパラヒドロキシスチレン(PHS)単位/PTBST単位=0.88/0.12(モル比)であった。以上のことから、共重合反応と脱離反応は設定どおりに行われ、p−ヒドロキシスチレンとスチレンのランダム共重合体を主骨格とするアルケニルフェノール系スターポリマーが生成したことを確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心核と中心核より伸びるポリマー鎖からなるアーム部を有する星型ブロックコポリマーにおいて、アーム部(A)に一般式(I)
【化1】

(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、水素原子、又はC1〜C6のアルキル基を表し、pは1又は2を表し、pが2の場合、R2は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖(A1)を含むことを特徴とする星型ブロックコポリマー。
【請求項2】
ポリマー鎖(A1)が、一般式(I)及び一般式(II)
【化2】

(式中、R3は、水素原子又はメチル基を表し、R4は、C1〜C6のアルキル基を表し、R5は酸分解・脱離基を表し、qは0、1、又は2を表し、qが2の場合、R4は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項3】
ポリマー鎖(A1)が、一般式(I)及び一般式(III)
【化3】

(式中、R6は、水素原子、メチル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R7は、C1〜C6のアルキル基を表し、rは0、1、又は2を表し、rが2の場合、R7は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項4】
ポリマー鎖(A1)が、一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1〜3に記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項5】
アーム部(A)が、ポリマー鎖(A1)と、一般式(IV)
【化4】

(式中、R8は、水素原子又はメチル基を表し、R9は、水素原子、C1〜C12のアルキル基、置換基を有してもよいC3以上の脂環式骨格を有する炭化水素基、該脂環式骨格を有する炭化水素基を有するアルキル基、又はヘテロ環基を表す。)で表される繰り返し単位(A21)を有するポリマー鎖(A2)とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項6】
ポリマー鎖(A2)が一般式(IV)で表される繰り返し単位(A21)及び一般式(V)
【化5】

(式中、R10は、水素原子、メチル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R11は、C1〜C6のアルキル基、OR12基(R12は、水素原子、C1〜C6のアルキル基、又は酸分解・脱離基を表し、tは0又は1〜3のいずれかの整数を表し、tが2以上の場合、R11は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位(A22)を有することを特徴とする請求項5に記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項7】
アーム部を構成するポリマー鎖の数平均分子量が1,000〜100,000であり、且つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.00〜1.50の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項8】
中心核が、多官能性カップリング剤の架橋した核であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項9】
多官能性カップリング剤が1分子あたり少なくとも2つの重合性2重結合を有する化合物であることを特徴とする請求項8に記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項10】
多官能性カップリング剤が一般式(VI)
【化6】

(式中、R13は、水素原子、又はメチル基を表し、Yは、酸素原子、イオウ原子、R1617N(R16、及びR17はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C6のアルキル基、アルコキシカルボニル基を表す。)、置換基を有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、C(R1819)O、C(R1819)S、C(R1819)N(R20)、OC(R1819)、SC(R1819)、N(R20)C(R1819)、(R18、R19、及びR20は、C1〜C6のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)、OCO、又はCO2CH2を表し、wは0又は1〜2の整数を表し、wが2の場合は、Yは同一又は相異なっていてもよく、uは2又は3を表し、その場合、Y、R13、及びwは、同一又は相異なっていてもよい。)で表される化合物であることを特徴とする請求項8又は9に記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項11】
数平均分子量が3,000〜300,000であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項12】
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.00〜1.50の範囲にあることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の星型ブロックコポリマー。
【請求項13】
アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般式(VII)
【化7】

(式中、R3、R4、R5、及びqは、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物を単独重合させた後、あるいは該一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物と共重合させた後、さらに、多官能性カップリング剤(C)を共重合させ、フェノール性水酸基の保護基を脱離させることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項14】
アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般式(VII)で表される化合物を単独重合させた後、あるいは該一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物と共重合させた後、多官能性カップリング剤(C)を共重合させ、さらにアニオン重合可能な化合物を共重合させ、フェノール性水酸基の保護基を脱離させることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項15】
多官能性カップリング剤(C)と、アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般式(VII)で表される化合物を単独重合させたポリマー鎖の活性末端あるいは該一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物と共重合させたポリマー鎖の活性末端(D)とのモル比[(C)/(D)]が0.1〜10であることを特徴とする請求項13又は14に記載の星型ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項16】
多官能性カップリング剤が一般式(VI)
【化8】

(式中、Y、R13、w、及びuは前記と同じ意味を表す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項17】
一般式(VII)で表される化合物と共重合可能な化合物が、一般式(VIII)
【化9】

(式中、R6、R7、及びrは、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項18】
アニオン重合可能な化合物が、一般式(IX)
【化10】

(式中、R8、及びR9は、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の星型ブロックコポリマーの製造方法。

【公開番号】特開2010−255008(P2010−255008A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184611(P2010−184611)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【分割の表示】特願2000−261074(P2000−261074)の分割
【原出願日】平成12年8月30日(2000.8.30)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】