説明

星形重合体およびそれらの組成物

本発明は、以下を含有する組成物を提供する:(a)以下を含む、星形重合体:(i)コア部分であって、多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体を含むコア部分;および(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および(b)潤滑粘性のあるオイルであって、該コア部分は、さらに式(I)の官能基−CH−C(R)(C(=O)A)−Y−を含む:ここで、Rは、水素、1個〜5個の炭素原子を含有する直鎖または分枝アルキル基である;Aは、窒素または酸素である;そしてYは、重合条件下にてラジカル機構により移動され得る1個またはそれ以上の原子または原子の基、ハロゲン、−O−N=基および−S−C(=S)−基からなる群から選択される遊離ラジカル脱離基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、星形重合体を含有する潤滑組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
潤滑粘性のあるオイルにおけるレオロジー調整剤(または粘度調整剤)あるいは分散剤としての重合体の使用は、周知である。典型的には、重合体には、高温および低温粘度特性だけでなく剪断安定性を有する物理的特性を備えたポリメタクリレートが挙げられる。これらのポリメタクリレート重合体は、一般に、直鎖であり、結果として、分子量に対する剪断安定性の所定の関係を有する。分子量は、重合体の増粘効率に関係している。
【0003】
潤滑添加剤に商業的に有用な分子量および他の物理的特性を備えたアクリル酸またはメタクリル酸モノマーから星形重合体を調製する試みは、特許文献1ならびに特許文献2および特許文献3で開示されている。特許文献1および特許文献3の星形重合体は、アニオン重合技術により、調製される。アニオン重合プロセスには、星形重合体を製造するために注意深く制御された条件が必要であることが周知である。例えば、このプロセスは、非常に純粋な溶媒、実質的に水を含まない不活性雰囲気および低い反応温度が必要である。このプロセスには、また、アルカリ金属カルボアニオン開始剤が必要である。
【0004】
特許文献4は、ミクロゲルおよび星形重合体を調製する方法を開示している。この方法は、原子移動ラジカル重合および可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を包含する。このミクロゲルは、マルチ−オレフィン性モノマーと反応させてプレポリマーから形成され、形成された生成物は、10〜10の重量平均分子量を有する。
【0005】
特許文献2の星形重合体には、5〜10重量パーセントのC16〜C30(メタ)アクリル酸アルキルおよび5〜15重量パーセントのメタクリル酸ブチルが必要である。5重量パーセントまたはそれ以上で存在しているC16〜C30(メタ)アクリル酸アルキルモノマーを有する粘度指数向上剤は、その重合体がワックス状の構成を有するので、低温粘度性能を低下させる。
【0006】
直鎖ポリ(メタ)アクリレート重合体を調製するには、原子移動ラジカル重合(ATRP)を含むプロセスが使用され、これらは、特許文献5、特許文献6、特許文献7および特許文献8で開示されている。
【特許文献1】国際公開第96/23012号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第979834号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第936225号明細書
【特許文献4】国際公開第00/02939号パンフレット
【特許文献5】米国特許第6,391,996号明細書
【特許文献6】米国特許第6,403,745号明細書
【特許文献7】米国特許第6,403,746号明細書
【特許文献8】米国特許第6,610,801号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
粘度指数向上特性および許容できる剪断安定性を備えた(メタ)アクリル酸モノマーから誘導された星形重合体があれば、有利となる。本発明は、粘度指数向上特性および許容できる剪断安定性を備えた星形重合体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、以下を含有する組成物を提供する:
(a)以下を含む、星形重合体:
(i)コア部分であって、該コア部分は、多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体を含む;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該コア部分は、さらに、式(I)の官能基を含む:
【0009】
【化4】

ここで、
は、水素、1個〜5個の炭素原子を含有する直鎖または分枝アルキル基である;
Aは、窒素または酸素である;そして
Yは、重合条件下にてラジカル機構により移動され得る1個またはそれ以上の原子または原子の基、ハロゲン、−O−N=基または−S−C(=S)−基からなる群から選択される遊離ラジカル脱離基である。
【0010】
本発明は、さらに、以下を含有する組成物を提供する:
(a)制御ラジカル重合プロセスにより得られるか得ることができる星形重合体であって、該星形重合体は、以下を含む:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイル。
【0011】
本発明は、さらに、以下を含有する組成物を提供する:
(a)以下を含む、星形重合体:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該重合されたアルキル(メタ)アクリル酸エステルアーム内のアルキル基の98%〜100%は、1個〜18個の炭素原子を含有する;そして該重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルアーム内のアルキル基の0%〜2%は、19個〜30個の炭素原子を含有する。
【0012】
一実施態様では、本発明は、以下を含有する組成物を提供する:
(a)以下を含む、星形重合体:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該重合されたアルキル(メタ)アクリル酸エステルアーム内のアルキル基の98%〜100%は、1個〜15個の炭素原子を含有する;そして該重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルアーム内のアルキル基の0%〜2%は、16個〜30個の炭素原子を含有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
一実施態様では、本発明は、以下を含有する組成物を提供する:
(a)以下を含む、星形重合体:
(i)コア部分であって、該コア部分は、多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体を含む;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該コア部分は、さらに、式(I)の官能基を含む:
【0014】
【化5】

ここで、
は、水素、1個〜5個の炭素原子を含有する直鎖または分枝アルキル基である;
Aは、窒素または酸素である;そして
Yは、重合条件下にてラジカル機構により移動され得る1個またはそれ以上の原子または原子の基、ハロゲン、−O−N=基および−S−C(=S)−基からなる群から選択される遊離ラジカル脱離基である。
【0015】
一実施態様では、このラジカル脱離基は、さらに、カルボキシ官能基を含む。
【0016】
本明細書中で定義されるように、−O−N=は、窒素酸化物を規定し、そして=は、窒素原子に由来の単結合または二重結合を含む。図示された式(I)において、原子は、不完全な原子価を有し得る。しかしながら、この重合体内では、任意の不完全な原子価は、このコアまたは重合体アームの他の部分、あるいは単量体種または式(I)で規定される別の構造単位に結合される。例えば、このハロゲン、−O−N=基または−S−C(=S)−基は、以下で定義される化合物に由来し得る。一実施態様では、式(I)で定義された構造単位は、このコア内に存在している。一実施態様では、式(I)で定義された構造単位は、この重合体アーム上には存在していない。
【0017】
一実施態様では、本発明は、以下を含有する組成物を提供する:
(a)制御ラジカル重合プロセスにより得られるか得ることができる星形重合体であって、該星形重合体は、以下を含む:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイル。
【0018】
一実施態様では、本発明は、さらに、以下を含有する組成物を提供する:
(a)以下を含む、星形重合体:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該重合されたアルキル(メタ)アクリル酸エステルアーム内のアルキル基の98%〜100%は、1個〜18個の炭素原子を含有する;そして該重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルアーム内のアルキル基の0%〜2%は、19個〜30個の炭素原子を含有する。
【0019】
一実施態様では、本発明は、さらに、以下を含有する組成物を提供する:
(a)以下を含む、星形重合体:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該重合されたアルキル(メタ)アクリル酸エステルアーム内のアルキル基の98%〜100%は、1個〜15個の炭素原子を含有する;そして該重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルアーム内のアルキル基の0%〜2%は、16個〜30個の炭素原子を含有する。
【0020】
一実施態様では、この星形重合体の重合体アームは、2またはそれ以下、別の実施態様では、1.7またはそれ以下、別の実施態様では、1.5またはそれ以下、例えば、1〜1.4の多分散性を有する。
【0021】
一実施態様では、この星形重合体は、二峰性またはそれより高い様態の分散を備えた多分散性を有する。この二峰性またはそれより高い分散は、部分的には、この重合体が調製されるにつれて形成される未カップリング重合体鎖および/または未カップリング星形重合体または星形−星形カップリングの量が変わることが原因であると考えられている。
【0022】
一実施態様では、この星形重合体は、5本より多いアーム、別の実施態様では、7本より多いアーム、別の実施態様では、10本より多いアーム、例えば、12本〜100本、14本〜50本または16本〜40本のアームを有する。一実施態様では、この星形重合体は、120本以下のアーム、別の実施態様では、80本以下のアーム、別の実施態様では、60本以下のアームを有する。
【0023】
一実施態様では、この星形重合体は、5000〜5,000,000、別の実施態様では、10,000〜1,000,000、別の実施態様では、10,000〜600,000、別の実施態様では、15,000〜500,000の重量平均分子量Mを有する。適当なMの例には、15,000〜300,000、15,000〜50,000、150,000〜280,000または25,000〜140,000が挙げられる。
【0024】
この星形重合体部分は、形成されたとき、未カップリング重合体アーム(これはまた、重合体鎖または直鎖重合体とも呼ばれる)が存在し得る。星形重合体への重合体鎖の転化率は、一実施態様では、少なくとも10%、別の実施態様では、少なくとも20%、別の実施態様では、少なくとも40%、別の実施態様では、少なくとも55%、例えば、70%、75%または80%である。一実施態様では、星形重合体への重合体鎖の転化率は、約90%、95%または100%である。一実施態様では、これらの重合体鎖の一部は、星形重合体を形成せず、直鎖重合体として残る。一実施態様では、この直鎖重合体は、ハロゲン、−O−N=基または−S−C(=S)−基を実質的に含まない。一実施態様では、この直鎖重合体は、重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する星形重合体アームと同一または実質的に類似の組成および重量平均分子量を有する。
【0025】
一実施態様では、この星形重合体は、1.5または2より高い、一実施態様では、3またはそれ以上、別の実施態様では、4またはそれ以上、別の実施態様では、5またはそれ以上の多分散性を有する。この多分散性の上限は、30または20または15または10を含み得る。適当な範囲の例には、2〜30、3〜15または3〜10が挙げられる。一実施態様では、この星形重合体は、星形重合体および直鎖重合体の混合物を含む。該混合物の多分散性は、すぐ上で記述した範囲と同じか類似している。
【0026】
この直鎖重合体は、一実施態様では、1000〜500,000、別の実施態様では、5,000〜300,000、別の実施態様では、10,000〜100,000の重量平均分子量Mを有する。一実施態様では、このMは、10,000〜20,000の範囲である。
【0027】
一実施態様では、この星形重合体は、アルカリ金属またはケイ素を含まず、アニオン集合法または基移動(group−transfer)重合法により調製されない。
【0028】
一実施態様では、この星形重合体のアームの1本またはそれ以上は、ダイブロックAB型共重合体、別の実施態様では、トリブロックABA型共重合体、別の実施態様では、テーパードブロック重合体、別の実施態様では、交互ブロック重合体である。
【0029】
上記星形重合体は、一実施態様では、ブロック−アーム星形(共)重合体、別の実施態様では、ヘテロ原子星形(共)重合体(下記)であり、別の実施態様では、この星形重合体は、テーパードアーム共重合体である。テーパードアーム共重合体は、重合体鎖の長さが変化する組成を要する。例えば、このテーパードアーム共重合体は、一端では、比較的に純粋な第一モノマーから構成され、そして他端では、比較的に純粋な第二モノマーから構成される。この重合体アームの中央は、2種のモノマーの勾配組成が多い。テーパードブロック共重合体は、カップリングされて、ブロック−アーム星形重合体を形成し得る。
【0030】
このブロック−アーム星形(共)重合体は、同じアーム内の2個またはそれ以上のモノマーから誘導された1本またはそれ以上の重合体アームを含有する。このブロック−アーム星形重合体のさらに詳細な説明は、「Anionic polymerisation,Principles and Practical Applications」(Henry Hsieh and Roderic Quirkによる)(Marcel Dekker,Inc,New York,1996)(以下、Hsiehらと呼ぶ)の13章(pp.333−368)で示されている。
【0031】
このヘテロ−アームまたは「ミクト−アーム(mikto−arm)」星形重合体は、Hsiehらで規定されているように、分子量、組成またはそれらの両方が互いに変わり得るアームを含有し、例えば、所定星形重合体のアームの一部は、1つの重合体型であり得、一部は、第二重合体型であり得る。さらに複雑なヘテロ−アーム星形重合体は、3種またはそれ以上の重合体アームの一部とカップリング剤とを組み合わせることにより、形成され得る。
【0032】
制御ラジカル重合プロセスにより得られるか得ることができる星形重合体には、原子移動ラジカル重合(ATRP)プロセス、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)プロセスまたは窒素酸化物媒介重合プロセスにより製造されるものが挙げられる。
【0033】
窒素酸化物媒介重合(10章、463〜522ページ)、ATRP(11章、523〜628ページ)およびRAFT(12章、629〜690ページ)の詳細な説明は、「Handbook of Radical Polymerization」(Krzysztof Matyjaszewski and Thomas P.Davis著、著作権2002、John Wiley and Sons Inc.により出版(以下、「Matyjaszewskiら」と呼ぶ)で示されている。
【0034】
RAFT重合の重合体機構の論述は、Matyjaszewskiらの12.4.4節の664〜665ページで示されている。
【0035】
ATRP重合の重合体機構の論述は、Matyjaszewskiらの524ページの反応スキーム11.1、566ページの反応スキーム11.4、571ページの反応スキーム11、7、572ページの反応スキーム11.8および575ページの反応スキーム11.9で示されている。
【0036】
((メタ)アクリル酸エステル重合体アーム)
「(メタ)アクリル酸エステル」との表現は、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルだけでなくそれらの混合物を含む。
【0037】
この(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、一実施態様では、そのアルキル基中に、40個までの炭素原子、別の実施態様では、30個までの炭素原子、別の実施態様では、1個〜18個の炭素原子、別の実施態様では、1個〜15個の炭素原子、別の実施態様では、10個〜15個または12個〜15個の炭素原子を含有する。
【0038】
一実施態様では、この(メタ)アクリル酸エステルは、1個〜18個の炭素原子を含有する重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルアーム内にて、98%〜100%のアルキル基を含有し、そして19個〜30個の炭素原子を含有する重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステル内にて、0%〜2%のアルキル基を含有する。
【0039】
一実施態様では、この(メタ)アクリル酸エステルは、1個〜15個の炭素原子を含有する重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルアーム内にて、98%〜100%のアルキル基を含有し、そして16個〜30個の炭素原子を含有する重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルアーム内にて、0%〜2%のアルキル基を含有する。
【0040】
一実施態様では、この重合体アームは、以下を含む:
(a)アルキル基の少なくとも50%〜100%で存在している10個〜15個の炭素原子を含有するアルキルエステル基;
(b)アルキル基の0%〜20%、30%または40%で存在している6個〜9個の炭素原子を含有するアルキルエステル基;
(c)アルキル基の0%〜18%または20%または30%で存在している1個〜5個の炭素原子を含有するアルキルエステル基;
(d)アルキル基の0%〜2%で存在している16個〜30個(または16個〜18個)の炭素原子を含有するアルキルエステル基;および
(e)重合体アームの0重量%〜10重量%で存在している窒素含有モノマー。
【0041】
一実施態様では、この重合体アームは、以下を含む:
(a)アルキル基の少なくとも50%〜100%で存在している10個〜18個の炭素原子を含有するアルキルエステル基;
(b)アルキル基の0%〜20%、30%または40%で存在している6個〜9個の炭素原子を含有するアルキルエステル基;
(c)アルキル基の0%〜18%または20%または30%で存在している1個〜5個の炭素原子を含有するアルキルエステル基;
(d)アルキル基の0%〜2%で存在している19個〜30個の炭素原子を含有するアルキルエステル基;および
(e)重合体アームの0重量%〜10重量%で存在している窒素含有モノマー。
【0042】
一実施態様では、この星形重合体は、非アニオン重合技術により、得られる/得ることができる。一実施態様では、この星形重合体は、非グループ移動重合(GTP)技術により、得られる/得ることができる。
【0043】
一実施態様では、この(メタ)アクリル酸エステルの重合体アームは、ポリメタクリレートアームである。一実施態様では、この(メタ)アクリル酸エステルアームは、スチレンまたはアクリレートモノマー単位を含まない。
【0044】
この星形重合体に存在している10個〜15個の炭素原子を含有するエステルアルキル基の量は、一実施態様では、そのアルキル基の少なくとも50%、別の実施態様では、そのアルキル基少なくとも60%、別の実施態様では、そのアルキル基の少なくとも70%、別の実施態様では、そのアルキル基少なくとも80%である。一実施態様では、10個〜15個の炭素原子を含有するエステルアルキル基の量は、少なくとも95%または98%である。
【0045】
この星形重合体に存在している6個〜9個の炭素原子を含有するエステルアルキル基の量は、一実施態様では、そのアルキル基0%〜15%または20%または30%、別の実施態様では、そのアルキル基0%〜10%、別の実施態様では、そのアルキル基0%〜5%である。
【0046】
この星形重合体の存在している1個〜5個の炭素原子を含有するエステルアルキル基の量は、一実施態様では、そのアルキル基の0%〜13%または20%または30%、別の実施態様では、そのアルキル基の0%〜8%、別の実施態様では、そのアルキル基の0%〜3%である。
【0047】
この星形重合体に存在している16個〜30個の炭素原子を含有するエステルアルキル基の量は、一実施態様では、そのアルキル基の0%〜1%、別の実施態様では、そのアルキル基の0%である。
【0048】
(メタ)アクリル酸エステルのアルキル部分の例には、飽和アルコールから誘導され得(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸2−第三級ブチルヘプチル、(メタ)アクリル酸3−イソプロピルヘプチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸5−メチルウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸5−メチルトリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸5−イソプロピルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸4−第三級ブチルオクタデシル、(メタ)アクリル酸5−エチルオクタデシル、(メタ)アクリル酸3−イソプロピルオクタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸セチルエイコシル、(メタ)アクリル酸ステアリルエイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシルおよび/または(メタ)アクリル酸エイコシルテトラトリアコンチル);不飽和アルコールから誘導された(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリル酸オレイル);(メタ)アクリル酸シクロアルキル(例えば、(メタ)アクリル酸3−ビニル−2−ブチルシクロヘキシルまたは(メタ)アクリル酸ボルニル)。
【0049】
長鎖アルコール誘導基を有するエステル化合物は、例えば、(メタ)アクリル酸(直接エステル化による)またはメタクリル酸メチル(エステル交換による)との反応により得られ、この反応では、エステル(例えば、種々の鎖長のアルコール基を有する(メタ)アクリレート)の混合物が一般に得られる。これらの脂肪アルコールには、MonsantoのOxo Alcohol(登録商標)7911、Oxo Alcohol(登録商標)7900およびOxo Alcohol(登録商標)1100;ICIのAlphanol(登録商標)79;CondeaのNafol(登録商標)1620、Alfol(登録商標)610およびAlfol(登録商標)810;Ethyl CorporationのEpal(登録商標)610およびEpal(登録商標)810;Shell AGのLinevol(登録商標)79、Linevol(登録商標)911およびDobanol(登録商標)25 L;Condea Augusta(現在は、Sasol)、MilanのLial(登録商標)125;Henkel KGaA(現在は、Cognis)のDehydad(登録商標)およびLorol(登録商標)だけでなく、Ugine KuhlmannのLinopol(登録商標)7−11およびAcropol(登録商標)91が挙げられる。
【0050】
一実施態様では、この星形重合体は、さらに、そのコアまたは重合体アームにおいて、窒素含有モノマーで官能化される。この窒素含有モノマーには、ビニル置換窒素複素環モノマー、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルモノマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)−アクリルアミドモノマー、第三級(メタ)アクリルアミドモノマーまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
一実施態様では、このコアまたは重合体アームは、さらに、それぞれ、式(IIa)または(IIb)の(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリレートモノマーを含む:
【0052】
【化6】

ここで、
Qは、水素またはメチルであり、一実施態様では、Qは、メチルである;
各Rは、別個に、水素、または1個〜8個または1個〜4個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;
各Rは、別個に、水素、または1個〜2個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、一実施態様では、各Rは、水素である;そして
gは、1〜6の整数であり、一実施態様では、gは、1〜3の整数である。
【0053】
適当な窒素含有モノマーの例には、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリジノン、およびN−ビニルカプロラクタム、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノブチルアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミドまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
(官能化星形重合体)
本発明の一実施態様では、この重合体アームまたはコアは、アシル化剤、アミンまたはそれらの混合物で、そのアームまたはコア上または内に共重合またはグラフト化することにより、官能化される。
【0055】
グラフト化するアシル化剤の例には、不飽和カルボン酸あるいはその無水物または誘導体(例えば、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸またはイタコン酸)が挙げられる。本明細書中で使用する「(メタ)アクリル酸」との表現は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、同様に、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0056】
一実施態様では、このアシル化剤は、ジカルボン酸またはその無水物である。ジカルボン酸またはその無水物の例には、無水イタコン酸、無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸、エチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸またはそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
一実施態様では、この重合体は、アミンとさらに反応されて、分散剤を形成する。アミンの例には、アミノヒドロカルビル置換アミン(例えば、4−アミノジフェニルアミン)、ヒドロカルビル置換モルホリン(例えば、4−(3−アミノプロピル)モルホリンまたは(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル(例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノアルキルまたはN−ビニルピロリドン)が挙げられる。一実施態様では、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノアルキルのアルキル基は、プロピルであり、別の実施態様では、エチルである。
【0058】
一実施態様では、この重合体は、さらに、アシル化剤およびアミンで、そのアームまたはコア上または内に共重合またはグラフトされて、分散剤粘度調整剤(これは、しばしば、DVMと呼ばれる)が形成され、これは、このような物質が分散剤特性および粘度調整特性の両方を示すので、そう呼ばれている。
【0059】
(コア部分)
多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分は、その重合体アームに化学的に結合された部分である。この多価モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体は、単独でまたは混合物として、使用され得る。
【0060】
一実施態様では、この多価ジビニル非アクリルモノマーは、ジビニルベンゼンである。一実施態様では、この多価(メタ)アクリル酸モノマーは、ポリオールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルあるいはポリアミンのメタクリルアミド(例えば、ポリアミンのアミド(例えば、メタクリルアミドまたはアクリルアミド))である。一実施態様では、この多価(メタ)アクリル酸モノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸ポリオール、あるいはポリアミンの縮合生成物である。
【0061】
このポリオールは、一実施態様では、2個〜20個の炭素原子、別の実施態様では、3個〜15個の炭素原子、別の実施態様では、4個〜12個の炭素原子を含有する;そして存在しているヒドロキシル基の数は、一実施態様では、2個〜10個、別の実施態様では、2個〜4個、別の実施態様では、2個である。ポリオールの例には、エチレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、アルカンジオール(例えば、1,6−ヘキサンジオール)またはトリオール(例えば、トリメチロールプロパン、オリゴマー化トリメチロールプロパン(例えば、Perstorp Polyolsから販売されているBoltorn(登録商標)物質))が挙げられる。ポリアミンの例には、ポリアルキレンポリアミン、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンエキサミンおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0062】
この多価不飽和(メタ)アクリル酸モノマーの例には、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、マンニトールヘキサアクリレート、4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、分子量200〜4000のポリエチレングリコールのビス−アクリレートおよびメタクリレート、ポリカプロラクトンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリレート、ヘキサメチレンジオールジアクリレートまたはヘキサメチレンジオールジメタクリレートあるいはアルキレンビス−(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0063】
多価カップリング剤の量は、アームとして予め調製された重合体をコア(これは、単量体、オリゴマーまたは重合体形状で、このカップリング剤を含有する)上にカップリングして星形重合体を得るのに適当な量であり得る。上記のように、適当な量は、いくつかの変動が関与し得るとしても、最小限の実験を使って、当業者により容易に決定され得る。例えば、もし、過剰なカップリング剤を使用するなら、あるいは、もし、この重合体アームの形成に由来する過剰な未反応モノマーが系内に残留しているなら、星形の形成よりも架橋が起こり得る。典型的には、重合体アームとカップリング剤とのモル比は、50:1〜1.5:1(または1:1)、または30:1〜2:1、または10:1〜3:1、または7:1〜4:1、または4:1〜1:1)であり得る。他の実施態様では、重合体アームとカップリング剤とのモル比は、50:1〜0.5:1、または30:1〜1:1、または7:1〜2:1であり得る。所望の比は、このアームの長さを考慮して調節され得、長いアームは、時には、短いアームよりも多くのカップリング剤を許容するか必要とする。典型的には、調製された物質は、潤滑粘性のあるオイルに可溶である。
【0064】
(ATRP重合)
一実施態様では、このコア部分は、上で示したような式(I)の官能基を含み、ここで、Yは、ハロゲン(例えば、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素)である。Yがハロゲンであるとき、この星形重合体は、しばしば、上述のATRP技術により、調製される。
【0065】
Yは、上記式(I)におけるハロゲンであるとき、適当なハロゲン含有化合物(例えば、重合条件下にてラジカル機構により移動され得る1個またはそれ以上の原子または原子の基を含有するものを含めた開始剤)から誘導され得る。ATRPプロセスのそれ以上の詳細は、米国特許第6,391,996号で示されている。ラジカル機構により移動され得る適当な原子または原子の基には、ハロゲン化合物を含めて、式(III)〜(X)が挙げられる:
【0066】
【化6A】

ここで、
nは、0、1または2である;
mは、0〜1である;
Xは、Cl、Br、I、OR、SR、SeR、OC(−O)R、OP(−O)R、OP(−O)(OR、OP(=O)OR、O−N(R、S−C(−S)N(R、CN、NC、SCN、CNS、OCN、CNOまたはNである;
は、以下である:1個〜20個の炭素原子を有し少なくとも1個のハロゲンを含有するアルキル基であって、ここで、該アルキル基中の各水素原子は、別個に、ハロゲン化物(例えば、フッ化物または塩化物)で置き換えられ得る;2個〜20個の炭素原子を有し少なくとも1個のハロゲンを含有するアルケニル基(例えば、2個〜10個の炭素原子を有するビニルまたはアルキニル基(例えば、アセチレニル、フェニルであって、これは、1個〜10個のハロゲン原子または1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換され得る))、または少なくとも1個のハロゲンを含有するアラルキル(アリール置換アルキル)であって、ここで、該アリール基は、フェニルまたは置換フェニルであり、そして該アルキル基は、1個〜6個の炭素原子を有するアルキルを表わし、ベンジルを含む;
は、アリール基、あるいは1個〜20個の炭素原子、別の実施態様では、1個〜9個の炭素原子を有し少なくとも1個のハロゲンを含有する直鎖または分枝アルキル基を含むか、あるいはRは、5員、6員または7員を有し少なくとも1個のハロゲン官能基を含有する複素環である;そして
、RおよびRは、別個に、水素、ハロゲンまたはヒドロカルビル基(例えば、1個〜20個の炭素原子または1個〜10個の炭素原子または1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基、あるいは3個〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基)である。R、RおよびRは、さらに、2個〜6個の炭素原子を有する必要に応じて置換したアリル基、あるいはビニル、オキシラニル、グリシジル、アルキレンまたはアルケニレン基を含み得、ここで、この必要に応じて置換した基には、オキシラニルまたはグリシジル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキルまたはアラルケニル(アリール置換アルケニル)が挙げられ得る。
【0067】
式(III)〜(X)で定義されるハロゲン含有化合物の例には、ハロゲン化ベンジル(例えば、p−クロロメチルスチレン、α−ジクロロキシレン、α,α−ジクロロキシレン、α,α−ジブロモキシレンおよびヘキサキス(α−ブロモメチル)ベンゼン、塩化ベンジル、臭化ベンジル、1−ブロモ−1−フェニルエタンおよび1−クロロ−1−フェニルエタン);α−位置でハロゲン化されたカルボン酸誘導体(例えば、2−ブロモプロピオン酸プロピル、2−クロロプロピオン酸メチル、2−クロロプロピオン酸エチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、2−ブロモイソ酪酸エチル);ハロゲン化トシル(例えば、塩化p−トルエンスルホニル);ハロゲン化アルキル(例えば、テトラクロロメタン、トリブロモメタン、塩化1−ビニルエチル、臭化1−ビニルエチル);およびリン酸エステルのハロゲン誘導体(例えば、ジメチルリン酸)が挙げられる。
【0068】
一実施態様では、このハロゲン化合物を使用するとき、遷移金属(例えば、銅)もまた、存在している。この遷移金属は、塩の形状であり得る。この遷移金属は、金属−配位子結合を形成でき、配位子と金属との比は、配位子の鋸歯状部の数および金属の配位数に依存している。この配位子は、窒素またはリン含有配位子である。
【0069】
適当な配位子の例には、トリフェニルホスファン(triphenylphosphane)、2,2−ビピリジン、アルキル−2,2−ビピリジン(例えば、4,4−ジ−(5−ノニル)−2,2−ビピリジン、4,4−ジ−(5−ヘプチル)−2,2−ビピリジン)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンおよび/またはテトラメチルエチレンジアミンが挙げられる。さらに適当な配位子は、例えば、国際特許出願WO 97/47661で記載されている。これらの配位子は、個々に、または混合物として、使用され得る。一実施態様では、この窒素含有配位子は、銅の存在下にて、使用される。
【0070】
一実施態様では、この配位子は、トリフェニルホスフェン(PPh)と共に共通配位子を含有するリンである。トリフェニルホスフェン配位子に適当な遷移金属には、Rh、Ru、Fe、Re、NiまたはPdが挙げられる。
【0071】
(RAFT重合)
一実施態様では、このコア部分は、式(I)の官能基を含み、ここで、Yは、−S−C(=S)−である。Yが−S−C(=S)−であるとき、この星形重合体は、しばしば、Matyjaszewskiらにおける上述のRAFT技術により、調製される。この−S−C(=S)−官能基は、しばしば、連鎖移動剤から誘導されるか、その一部である。
【0072】
一実施態様では、このコア部分は、以下を含む化合物から誘導される官能基(これは、しばしば、連鎖移動剤に由来する)である:式(XIa)〜(XIg)で表わされるチオカルボニルチオ基および遊離ラジカル脱離基:
【0073】
【化7】

ここで、
Zは、別個に、水素、ハロゲン(例えば、塩素、臭素またはヨウ素)、ヒドロカルビル基、あるいは該チオカルボニル基の炭素に直接結合されたヘテロ原子を含有する基であって、該基は、酸素、窒素、リンまたはイオウを含むヘテロ原子を含有する;
Z’は、別個に、重合体鎖を含む部分、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子であって、該ヘテロ原子は、酸素、窒素、リンまたはイオウを含み、さらに、必要に応じて置換した直鎖または分枝アルキル基および/またはアリール基に取り込まれた少なくとも1個の炭素原子を含有する;
Qは、共役基である;
qは、0〜10、0〜5、0〜3または0〜2または0、1〜10、1〜5、1〜3または1〜2の整数である;
pは、1〜200、1〜100、1〜50または1〜10の整数である;そして
Jは、別個に、シアノ、ハロゲン、カルボン酸、カルボン酸エステル、およびカルボン酸アミドまたはイミドを含む基である;
Rは、遊離ラジカル重合を開始できる遊離ラジカル脱離基である;
は、別個に、R10で規定された官能基で必要に応じて置換されたヒドロカルビル基である;そして
10は、別個に、シアノ基、ハロゲン(例えば、塩素、フッ素、ヨウ素または臭素)、またはヒドロカルビル基(例えば、直鎖または分枝アルキル基、あるいは1個〜50個、1個〜20個、1個〜10個または1個〜6個の炭素原子を含有するアリール基)である。
【0074】
この連鎖移動剤は、0.05〜10,000または0.1〜5000の移動定数を有し得る。
【0075】
トリチオカーボネート(−S−C(=S)−S−)(例えば、構造XIe、XIfおよびXIg)が好ましく使用されるか、あるいは、Zは、構造XIaおよびXIcにおけるイオウ含有化合物であるか、あるいは、Z’は、構造XIbおよびXIdにおけるイオウ含有化合物である。遊離ラジカル脱離基RまたはRは、遊離ラジカルを安定化すべきである。第三級炭素基(例えば、アルキル基のジェミナルジメチル置換)は、さらに好ましい。このアルキル基は、さらに、カルボキシ基(例えば、カルボン酸)、エステル、またはアミド官能性での置換を含み得る。
【0076】
一実施態様では、この基は、さらに、−S−C(=S)−基を含み、ジェミナルジメチル基は、そのイオウに直接結合されている。
【0077】
適当なRAFT連鎖移動剤の例には、1−(2−ピロリジノン)カルボジチオ酸ベンジル、(1,2−ベンゼンジカルボキサミド)カルボジチオ酸ベンジル、1−ピロールカルボジチオ酸2−シアノプロパ−2−イル、1−ピロールカルボジチオ酸2−シアノブタ−2−イル、1−イミダゾールカルボジチオ酸ベンジル、ジチオカルバミン酸N,N−ジメチル−S−(2−シアノプロパ−2−イル)、S−ベンジルジチオカルバミン酸N,N−ジエチル、1−(2−ピロリドン)カルボジチオ酸シアノメチル、ジチオ安息香酸クミル、S−(2−エトキシカルボニルプロパ−2−イル)ジチオカルバミン酸N,N−ジエチル、キサントゲン酸O−エチル−S−(1−フェニルエチル)、S−(2−(エトキシカルボニル)プロパ−2−イル)キサントゲン酸O−エチル、S−(2−シアノプロパ−2−イル)キサントゲン酸O−エチル、S−(2−シアノプロパ−2−イル)キサントゲン酸O−エチル、S−シアノメチルキサントゲン酸O−エチル、S−ベンジルキサントゲン酸O−フェニル、S−ベンジルキサントゲン酸O−ペンタフルオロフェニル、3−ベンジルチオ−5,5−ジメチルシクロヘキサ−2−エン−1−チオンまたは3,3−ジ(ベンジルチオ)プロパ−2−エンジチオ酸ベンジル、S,S’−ビス−(α、α’−二置換−α’’−酢酸)−トリチオカーボネート、S,S’−ビス−(α、α’−二置換−α’’−酢酸)−トリチオカーボネートまたはs−アルキル−s’−(−(α、α’−二置換−α’’−酢酸)−トリチオカーボネート、ジチオ安息香酸、4−クロロジチオ安息香酸、ジチオ安息香酸ベンジル、ジチオ安息香酸1−フェニルエチル、ジチオ安息香酸2−フェニルプロパ−2−イル、ジチオ安息香酸1−アセトキシエチル、ヘキサキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス−(2−(チオベンゾイルチオ)プロパ−2−イル)ベンゼン、ジチオ安息香酸1−(4−メトキシフェニル)エチル、ジチオ酢酸ベンジル、ジチオ酢酸エトキシカルボニルメチル、ジチオ安息香酸2−(エトキシカルボニル)プロパ−2−イル、ジチオ安息香酸2,4,4−トリメチルペンタ−2−イル、ジチオ安息香酸2−(4−クロロフェニル)プロパ−2−イル、ジチオ安息香酸3−ビニルベンジル、ジチオ安息香酸4−ビニルベンジル、ジエトキシホスフィニルジチオギ酸S−ベンジル、トリチオ過安息香酸第三級ブチル、4−クロロジチオ安息香酸2−フェニルプロパ−2−イル、1−ジチオナフタレン酸2−フェニルプロパ−2−イル、ジチオ安息香酸4−シアノペンタン酸、テトラチオテレフタル酸ジベンジル、トリチオ炭酸ジベンジル、ジチオ安息香酸カルボキシメチル、またはジチオベンゾエート末端基を有するポリ(エチレンオキシド)またはそれらの混合物が挙げられる。
【0078】
(窒素酸化物媒介重合)
一実施態様では、このコア部分は、式(I)の官能基を含み、ここで、Yは、−O−N=基である。Yが−O−N=基であるとき、この星形重合体は、しばしば、上述の窒素酸化物媒介技術により、調製される。
【0079】
窒素酸化物媒介技術を使用するとき、いくつかの場合には、Matyjaszewskiら、477ページ、10.4節で述べられた理由のために、TEMPOベースの誘導体を使用して良好な重合体を調製させるために、スチレンの一部が望まれ得る(例えば、(メタ)アクリレートの量は、この星形重合体の50重量%未満である)。
【0080】
あるいは、もし、非環式窒素酸化物または非四級窒素酸化物を用いて非TEMPOベースの窒素酸化物媒介技術が使用されるなら、スチレンの存在は、必須ではない。窒素酸化物媒介技術に適当な化合物のリストは、Matyjaszewskiらのページ479〜481、表10.1で示されている。
【0081】
このコア部分にハロゲン、−O−N=基または−S−C(=S)−官能性を与えるのに使用される化合物の量は、一実施態様では、モノマー1モルあたり、0.001〜0.10モル、別の実施態様では、モノマー1モルあたり、0.001〜0.05モル、さらに別の実施態様では、モノマー1モルあたり、0.001〜0.03モルである。ハロゲン、−O−N=基または−S−C(=S)−官能性を存在させるのに使用される化合物の量には、モノマー1モルあたり、0.002〜0.006、0.003〜0.008または0.003〜0.005モルが挙げられる。
【0082】
(潤滑粘性のあるオイル)
この潤滑油組成物には、潤滑粘性のある天然油または合成油、水素化分解、水素化、ハイドロフィニッシングから誘導されたオイル、および未精製油、精製油および再精製油、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0083】
天然油には、動物油および植物油、鉱油およびそれらの混合物が挙げられる。合成油には、炭化水素油、シリコンベース油、リン含有酸の液状エステルが挙げられる。合成油は、フィッシャー−トロプシュ気液合成手順だけでなく他の気液オイルにより、生成され得る。一実施態様では、本発明の重合体組成物は、気液オイルで使用するとき、有用である。しばしば、フィッシャー−トロプシュ炭化水素またはワックスは、ヒドロ異性化(hydroisomerised)され得る。
【0084】
潤滑粘性のあるオイルはまた、American Petroleum Institute(API)Base Oil Interchangeability Guidelinesで指定されたように、定義され得る。一実施態様では、この潤滑粘性のあるオイルは、API 第I族、第II族、第III族、第IV族、第V族、第VI族またはそれらの混合物、別の実施態様では、API 第I族、第II族、第III族またはそれらの混合物を含む。もし、この潤滑粘性のあるオイルがAPI 第II族、第III族、第IV族、第V族または第VI族オイルであるなら、その潤滑油の40重量%まで、別の実施態様では、最大で5重量%までのAPI 第I族オイルが存在し得る。一実施態様では、この潤滑粘性のあるオイルは、濃縮物形成量で存在している。
【0085】
この潤滑粘性のあるオイルは、一実施態様では、この組成物の15重量%〜99.9重量%、別の実施態様では、この組成物の30重量%〜98.9重量%、別の実施態様では、この組成物の40重量%〜97.9重量%、別の実施態様では、この組成物の50重量%〜94.5重量%で、存在している。
【0086】
(他の性能添加剤)
本発明の組成物は、必要に応じて、さらに、少なくとも1種の他の性能添加剤を含む。他の性能添加剤には、金属不活性化剤、清浄剤、分散剤、粘度指数向上剤(すなわち、本発明の星形重合体以外の粘度調整剤)、極圧剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、腐食防止剤、発泡防止剤、解乳化剤、流動点降下剤、シール膨潤剤およびそれらの混合物が挙げられる。
【0087】
存在している他の性能添加剤化合物を合わせた全量は、オイルを含まない基準で、この組成物の0重量%〜25重量%、一実施態様では、0.01重量%〜20重量%、別の実施態様では、0.1重量%〜15重量%、さらに別の実施態様では、0.5重量%〜10重量%または1〜5重量%の範囲である。これらの他の性能添加剤の1種またはそれ以上が存在し得るものの、これらの他の性能添加剤は、互いに対して異なる量で存在していることが通例である。
【0088】
もし、本発明は、濃縮物(これは、追加オイルと混ぜ合わせることができ、全体として、または部分的に、仕上げ潤滑剤を形成する)の形状であるなら、潤滑粘性のあるオイル中の本発明の星形重合体および他の任意の性能添加剤と希釈油との比は、重量基準で、80:20〜10:90の範囲であり得る。
【0089】
酸化防止剤には、ジチオカルバミン酸モリブデン、硫化オレフィン、ヒンダードフェノール、ジフェニルアミンが挙げられる;清浄剤には、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属と1種またはそれ以上のフェネート、硫化フェネート、スルホネート、カルボン酸、リン含有酸、モノ−および/またはジチオリン酸、サリゲニン、サリチル酸アルキル、サリキサレートとの中性またはオーバーベース化、ニュートン性または非ニュートン性塩基性塩が挙げられる。分散剤には、マンニッヒ縮合生成物としてのN−置換長鎖アルケニルスクシンイミドだけでなく、それらの種々の後処理したバージョンが挙げられる。後処理分散剤には、尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアジアゾール、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換無水コハク酸、ニトリル、エポキシド、ホウ素化合物およびリン化合物との反応によるものが挙げられる。
【0090】
耐摩耗剤には、チオリン酸金属、特に、ジアルキルジチオリン酸亜鉛;リン酸エステルまたはそれらの塩、ホスファイト;およびリン含有カルボン酸エステル、エーテルおよびアミドのような化合物が挙げられる;耐スカッフィング剤には、有機スルフィドおよびポリスルフィド(例えば、ベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、ジ−第三級ブチルポリスルフィド、ジ−第三級ブチルスルフィド、硫化ディールス−アルダー付加物またはアルキルスルフェニルN’N−ジアルキルジチオカーバメート)が挙げられる;そして極圧(EP)剤には、塩素化ワックス、有機スルフィドおよびポリスルフィド(例えば、ベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジテルペン、硫化テルペン、および硫化ディールス−アルダー付加物)が挙げられる;リン硫化炭化水素、チオカルバミン酸金属(例えば、ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛)およびバリウムヘプチルフェノール二酸もまた、本発明の組成物で使用され得る。
【0091】
さらに、本発明はまた、摩擦調整剤を含有し得、これらには、脂肪アミン、エステル(例えば、ホウ酸塩グリセロールエステル、脂肪ホスファイト、脂肪酸アミド、脂肪エポキシド、ホウ酸塩脂肪エポキシド、アルコキシル化脂肪アミン、ホウ酸塩アルコキシル化脂肪アミン、脂肪酸の金属塩、脂肪イミダゾリン、カルボン酸とポリアルキレン−ポリアミンとの縮合生成物、アルキルリン酸のアミン塩が挙げられる;そして本発明の星形重合体以外の粘度調整剤には、スチレン−ブタジエンゴムの水素化共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリイソブテン、水素化スチレン−イソプレン重合体、水素化イソプレン重合体、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアルキルスチレン、アルケニルアリール共役ジエン共重合体、ポリオレフィン、ポリメタクリル酸アルキル、および無水マレイン酸−スチレン共重合体のエステルが挙げられる;分散剤−粘度調整剤(これは、しばしば、DVMと呼ばれる)には、官能化ポリオレフィン(例えば、無水マレイン酸とアミンとの反応生成物で官能化したエチレン−プロピレン共重合体、アミンで官能化したポリメタクリレート)、またはアミンと反応させたエステル化スチレン−無水マレイン酸共重合体が挙げられる。
【0092】
一般に、本発明の星形重合体以外の通常のポリ(メタ)アクリレート粘度調整剤は、WO96/23012およびEP 936 225で記載されているように、アニオン重合から誘導された直鎖または星形重合体である。通常のポリ(メタ)アクリレート重合体は、重合体アームについて規定されたものと実質的に同じモノマーから誘導され得る。しかしながら、この通常のポリ(メタ)アクリレートは、一般に、ハロゲン、−O−N=基および−S−C(=S)−基から選択される官能基(例えば、式(I)で定義される官能基Y)を含まない。一実施態様では、本発明の重合体は、通常の粘度調整剤と混合される。
【0093】
他の性能添加剤(例えば、腐食防止剤であって、これには、オクチルアミンオクタノエート、ドデセニルコハク酸またはその無水物および脂肪酸(例えば、オレイン酸)とポリアミンとの縮合生成物が挙げられる;金属不活性化剤であって、これには、ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾールまたは2−アルキルジチオベンゾトリアゾールの誘導体が挙げられる;消泡剤であって、これには、アクリル酸エチルとアクリル酸2−エチルヘキシルおよび必要に応じて酢酸ビニルとの共重合体が挙げられる;解乳化剤であって、これには、リン酸トリアルキル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)重合体が挙げられる;流動点降下剤であって、これには、無水マレイン酸−スチレンのエステル、ポリメタクリレート、ポリアクリレートまたはポリアクリルアミドが挙げられる;およびシール膨潤剤であって、これには、Exxon Necton−37(商標)(FN 1380)およびExxon Mineral Seal Oil(FN 3200)が挙げられる);および分散剤粘度調整剤(これは、しばしば、DVMと呼ばれる)には、官能化ポリオレフィン(例えば、無水マレイン酸とアミンとの反応生成物で官能化したエチレン−プロピレン共重合体、アミンで官能化したポリメタクリレート)、またはアミンと反応させたエステル化スチレン−無水マレイン酸共重合体が挙げられる;もまた、本発明の組成物で使用され得る。
【0094】
(星形重合体を調製する方法)
この重合方法は、バッチ操作、半バッチ操作、連続工程、フィード工程またはバルク工程として、実行され得る。この方法は、乳濁液、溶液または懸濁液中でなされ得る。
【0095】
本明細書中で記述された重合体のいずれかの合成に関して、上式におけるY基は、必要に応じて、当業者に公知の方法により、この星形重合体の形成に続いて、除去され得る。Y基を除去するのに適当な方法の例には、ラジカル源(例えば、過酸化物化合物)との接触、または高温の適用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
本発明は、さらに、窒素酸化物媒介星形重合体を調製する方法を提供し、該方法は、以下の工程を包含する:
(1)以下の(i)、(ii)および(iii)を接触させて、重合体鎖を形成する工程:
(i)遊離ラジカル開始剤;
(ii)ラジカル重合可能モノマー;および
(iii)遊離ラジカル媒介物;
(2)工程(1)の重合体鎖を多価カップリング剤と接触させて、星形重合体を形成する工程;
および工程(3)〜(4)の少なくとも1つ;
(3)工程(1)または工程(2)、および任意の他の処理工程により調製された該重合体と重合開始剤とを接触させる工程;
(4)工程(2)または工程(3)、および任意の他の処理工程により調製された該重合体と潤滑粘性のあるオイルとを混合して、潤滑組成物を形成する工程。
【0097】
本発明は、さらに、窒素酸化物媒介星形重合体を調製する方法を提供し、該方法は、以下の工程を包含する:
(1)以下のi、ii、iii、ivおよびvを接触させて、重合体鎖を形成する工程:
i.ラジカル重合可能モノマー;
ii.遷移金属触媒;
iii.窒素またはリン含有配位子;
iv.ハロゲン開始剤;および
v.必要に応じて、遊離ラジカル媒介物;
(2)工程(1)の重合体鎖を多価カップリング剤と接触させて、星形重合体を形成する工程;
および工程(3)〜(4)の少なくとも1つ;
(3)工程(1)または工程(2)、および任意の他の処理工程により調製された該重合体と重合開始剤とを接触させる工程;
(4)工程(2)または工程(3)、および任意の他の処理工程により調製された該重合体と潤滑粘性のあるオイルとを混合して、潤滑組成物を形成する工程。
【0098】
窒素酸化物媒介星形重合体および/またはATRP星形重合体を調製する工程(1)および/または(2)のプロセスは、一実施態様では、15℃〜200℃、別の実施態様では、35℃〜180℃、別の実施態様では、60℃〜150℃、別の実施態様では、80℃〜130℃の範囲の温度で、実行される。工程(3)のプロセスは、一実施態様では、60℃〜260℃、別の実施態様では、100℃〜225℃、別の実施態様では、130℃〜190℃の温度で、実行され得る。工程(4)のプロセスは、一実施態様では、15℃〜200℃、別の実施態様では、15℃〜180℃、別の実施態様では、20℃〜150℃、別の実施態様では、20℃〜130℃の範囲の温度で、実行される。
【0099】
RAFT重合体は、本願と同日に出願されたSchoberらによる係属中の特許出願で記載されたプロセスにより、調製され得る。
【0100】
本発明の一実施態様では、この方法は、重合禁止剤を加える工程を包含する。この禁止剤は、さらなるラジカル反応を遅らせるか停止する。これは、星形−星形カップリング、または所望の物質が調製された後に起こり得る他の反応を制限するのに有用である。重合禁止剤の例には、3000ppmより高いイオウを有する潤滑粘性のあるオイル、ヒドロキノンモノメチルエーテルまたはそれらの誘導体が挙げられる。使用され得る他の種類の重合禁止剤には、ジアリールアミン、硫化オレフィン、またはヒンダードフェノールが挙げられる。
【0101】
本発明は、さらに、上記プロセスにより得られる(または得ることができる)星形重合体を提供する。
【0102】
(重合用の任意の媒体)
本発明は、必要に応じて、重合用の媒体を含む。あるいは、この重合は、この媒体が実質的に存在しない状態で、実行され得る。
【0103】
本明細書中で使用する「実質的に存在しない」との用語は、この重合用の媒体が、一実施態様では、存在しているモノマーの量の5重量%未満、別の実施態様では、存在しているモノマーの量の2重量%未満、別の実施態様では、存在しているモノマーの量の0.5重量%未満、さらに別の実施態様では、存在しているモノマーの量の0重量%未満であることを意味する。
【0104】
この重合用の媒体は、それらの反応物が、しばしば、実質的に不活性で通常液状の有機希釈剤に溶解性であるものである。例には、潤滑粘性のあるオイルまたはアルキル芳香族化合物(例えば、トルエン、キシレンおよびナフタレン)が挙げられる。ラジカル条件下にて水素原子を容易に移動する溶媒は、好ましくは、避けられる。いくつかの実施態様では、この重合用の媒体は、0ppm〜3000ppm、あるいは1ppm〜2000ppmまたは10ppm〜1000ppmの範囲のイオウ含量を有する。
【0105】
(任意の促進剤)
本発明は、必要に応じて、重合を促進する促進剤を包含する。一実施態様では、この促進剤は、存在しており、別の実施態様では、存在していない。この任意の促進剤は、窒素酸化物媒介重合に特に適当である。
【0106】
この促進剤は、重合速度を高めるのに適当な量で、触媒量の強酸または酸アミン塩を含有し得る。この促進剤は、しばしば、4未満、別の実施態様では、2.5未満、別の実施態様では、2未満のpKa(これは、水中で測定される)を有する酸である。促進剤として適当な化合物の例には、ホスホン酸、リン酸、鉱酸、スルホン酸、酸性粘土、有機スルホン酸、カルボン酸、これらの酸のいずれかの酸性塩、ならびに亜硫酸および/または硫酸のモノエステルが挙げられる。公知の有機スルホン酸の例には、ショウノウスルホン酸、トルエンスルホン酸2−フルオロ−1−メチルピリジニウムp−トルエンスルホネート、トリフルオロメタンスルホン酸、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸またはピリジニウムp−トルエンスルホネートおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0107】
(工業用途)
本発明は、上記プロセスにより星形重合体を生成する種々の用途に有用である。上記組成物は、例えば、分散剤粘度調整剤として、低温粘度特性、高温粘度特性、剪断安定性、分散性、粘度指数向上特性またはそれらの混合を含む少なくとも1つの特性を与えるために、変速機油、ギヤ油、油圧作動液または内燃機関潤滑剤において、使用され得る。
【0108】
一実施態様では、この潤滑組成物は、ギヤ油であり、別の実施態様では、自動変速機油であり、別の実施態様では、クランク室潤滑のための内燃機関油である。
【0109】
この星形重合体は、一実施態様では、この組成物の0.1重量%〜60重量%、別の実施態様では、この組成物の1重量%〜50重量%、別の実施態様では、この組成物の2重量%〜45重量%、別の実施態様では、この組成物の5重量%〜40重量%で、存在している。
【0110】
以下の実施例は、本発明を例示する。これらの実施例は、全てを網羅するものではなく、本発明の範囲を限定するとは解釈されない。
【実施例】
【0111】
(実施例1〜14 DVBでカップリングされたポリメタクリレートのランダム星形共重合体)
開始剤およびジビニルベンゼン(DVB)の量を以下の表3で示すように変えることにより、全体的な分子量が異なる一連のポリメタクリレートを調製する。室温で、28.3L/hrで流れる窒素入口、中速機械攪拌機、熱電対および水冷式冷却器を備え付けた容器にて、C12〜15メタクリレート(70重量%)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(30重量%)、Trigonox(商標)−21(「T−21」)開始剤(1当量)、ジチオ安息香酸クミル(2当量)およびオイル(26重量%)を混ぜ合わせ、そして混合を確実にするために、Nブランケット下にて、20分間撹拌する。窒素の流れを14.2L/hrまで低下させ、その混合物を、4時間にわたって、90℃まで加熱するように設定する。この反応フラスコにDVBを充填し、その混合物を、90℃で、最大で12時間撹拌する。重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、多分散性(PDI)(これらは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した)、星形重合体上のアームの平均数および星形重合体への転化率(これは、星形重合体に転化された重合体の量に基づいている)について得られた結果を、表1で示す:
【0112】
【表1】

ここで、は、DVB:重合体の比であり、ここで、**は、星形重合体への重合体鎖の転化率である。
【0113】
上記表に含まれない実験では、理由は明白ではないが、明らかに非常に高分子量の油不溶性物質が形成された。
【0114】
(実施例15〜19 HDDMAとカップリングされたポリメタクリレートのランダム星形共重合体)
この方法は、モノマー組成が表2で示されるように変えられ、カップリング剤が1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA)であり、それ以上のカップリングを阻止するためにヒドロキノンモノメチルエーテル(HQMME)が加えられること以外は、実施例1〜14と類似している。全ての実施例についてのHDDMA:重合体の比は、7:1である。得られた他の結果を、表3で示す:
【0115】
【表2】

【0116】
【表3】


【0117】
(実施例20〜25−RAFT重合による狭多分散性直鎖ブロック/テーパード共重合体)
モノマーを2つの部分で加える(この場合、第二モノマー部分はまた、追加の少量(開始剤仕込みの約10重量%)の遊離ラジカル開始剤(表4を参照)を含有する)こと以外は、実施例1〜14と類似のプロセスにより、ブロックの変わるモノマー組成および異なる全分子量を有する一連のブロック共重合体を調製する。実施例20〜22では、第一部分は、C12〜15メタクリレート(C12〜15MA)を含有し、これを、4時間重合させた後、第二モノマーを加えて、ブロック/テーパード共重合体を形成させる。実施例23〜24では、第一部分は、C12〜15MAおよび2−EHMA(メタクリル酸2−エチルヘキシル)の混合物を含有し、これを重合させると、ランダム第一ブロックが形成される。第二モノマー部分としてスチレンを加えると、ブロック/テーパード共重合体が形成される。モノマーの第一部分がC12〜15MAおよびメタクリル酸メチル(MMA)の混合物であること以外は、実施例23〜24と類似の様式で、実施例22を調製する。
【0118】
【表4】

表4の脚注:
−b−は、ブロック共重合体を意味する;
PSは、ポリスチレンである;
PC12〜15MAは、ポリC12−15メタクリル酸アルキルである;
P(C12〜15MA/MMA)は、C12−15メタクリル酸アルキルとメタクリル酸メチルとの共重合体である;
12〜15MA/2−EHMAは、C12〜15メタクリル酸アルキルとメタクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体である;
PEHMAは、メタクリル酸2−エチルヘキシルの重合体である;そして
PMMAは、ポリメタクリル酸メチルである。
【0119】
(実施例26〜45:HDDMAとのブロック/テーパード星形共重合体)
この方法は、モノマー組成が表5で示すように変えられ、そしてモノマーが、実施例20〜25で記述されているように、2つの部分で加えられること以外は、実施例15〜19と類似している。全ての実施例についてのHDDMA:重合体の比は、7:1である。得られた他の結果を、表6で示す:
【0120】
【表5】

【0121】
【表6】


【0122】
(実施例30:アミン官能性を有する星形重合体)
この方法は、形成される共重合体が、C12〜C15メタクリレート(78.2重量%)、メタクリル酸メチル(20.1重量%)、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(1.8重量%)三元共重合体のモノマーであること以外は、実施例1〜14で記述したものと同じである。表7は、形成された重合体についての特性データを提示する:
【0123】
【表7】


【0124】
(実施例31 ATRP重合体:C12〜C15メタクリレート共重合体)
単一羽根攪拌機、還流冷却器および内部ユーロサーム(eurotherm)温度計を備え付けた500mlフランジフラスコに、混合メタクリル酸ドデシル/ペンタデシル209.95g(0.75mol)(C12/15メタクリレート)およびChevron 120N UCB潤滑粘性のあるオイル143.5gを充填する。この容器に、(−)−スパルタイン0.14g(0.6mmol)を充填し、続いて、臭化銅(1)(CuBr)0.043g(0.3mmol)を充填する。この容器を窒素で15分間パージした後、その溶液を室温から95℃まで加熱する。一旦、所望の温度に達すると、この容器に、ブロモイソ酪酸エチル0.58g(0.3mmol)を加える。その反応混合物を、95℃で、9時間撹拌する。この反応容器に、ジビニルベンゼン3.9g(30mmol)を加え、その反応物を95℃で、最大で9時間撹拌する。撹拌を停止し、そして溶液を珪藻土で濾過して、触媒微粒子を除去する。
【0125】
(実施例32 ATRP重合体:メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体)
単一羽根攪拌機、還流冷却器および内部ユーロサーム温度計を備え付けた500mlフランジフラスコに、混合メタクリル酸ドデシル/ペンタデシル146.35g(0.52mol)、メタクリル酸2−エチルヘキシル63.65g(0.32mol)およびChevron 120N UCB潤滑粘性のあるオイル143.5gを充填する。この容器に、(−)−スパルタイン0.14g(0.6mmol)を充填し、続いて、臭化銅(1)(CuBr)0.043g(0.3mmol)を充填する。この容器を窒素で15分間パージした後、その溶液を室温から95℃まで加熱する。一旦、所望の温度に達すると、この容器に、ブロモイソ酪酸エチル0.58g(0.3mmol)を加える。その反応混合物を、95℃で、9時間撹拌する。この反応容器に、ジビニルベンゼン4.4g(34mmol)を加え、その反応物を95℃で、最大で9時間撹拌する。撹拌を停止し、そして溶液を珪藻土で濾過して、触媒微粒子を除去する。
【0126】
(実施例33 窒素酸化物媒介重合体:C12〜C15メタクリレート共重合体)
単一羽根攪拌機、還流冷却器および内部ユーロサーム温度計を備え付けた250mlフランジフラスコに、混合メタクリル酸ドデシル/ペンタデシル111.6g(0.4mol)およびスチレン62.4g(0.6mol)ならびにChevron 120N UCB 潤滑粘性のあるオイル58gを充填する。この容器を窒素で15分間パージした後、Triganox(商標)21(0.3g、14mmol)および2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離ラジカル(TEMPO)0.21g(14mmol)を加える。その溶液を室温から120℃まで加熱し、そして9時間撹拌する。この反応フラスコに、ジビニルベンゼン5.2g(40mmol)を加え、そして120℃で、最大で9時間撹拌する。
【0127】
(調製実施例1:2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−窒素酸化物の調製)
Marcromolecules 2000 33,363で記載された方法を使用して、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−窒素酸化物を調製する。この窒素酸化物の構造は、以下である:
【0128】
【化8】


【0129】
(実施例34 窒素酸化物媒介重合体:メタクリル酸2−エチルヘキシル)
単一羽根攪拌機、還流冷却器および内部ユーロサーム温度計を備え付けた250mlフランジフラスコに、メタクリル酸ドデシルペンタデシル167.4g(0.6mol)およびスチレン41.6g(0.4mol)ならびにChevron 120N UCB潤滑粘性のあるオイル69gを充填する。この容器を窒素で15分間パージした後、Triganox 21(0.3g、14mmol)および2,2,2−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−窒素酸化物0.31g(14mmol)を加える。その溶液を室温から125℃まで加熱し、そして9時間撹拌する。この反応フラスコに、ジビニルベンゼン5.2g(40mmol)を加え、そして120℃で、最大で9時間撹拌する。
【0130】
(実施例35〜47:エチレングリコールジメタクリレートから調製されたRAFT重合体)
DVBに代えて、エチレングリコールジメタクリレートを使用すること以外は、実施例1〜14と類似の方法により、実施例35〜47を調製する。得られた星形重合体中のエチレングリコールジメタクリレートと重合体アームとのモル%は、特に明記しない限り、3:1である。典型的には、これらの重合体は、30〜40重量%の基油/希釈油中にて、調製する。重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、多分散性(PDI)(これらは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した)、星形重合体上のアームの平均数および星形重合体への転化率(これは、星形重合体に転化された重合体の量に基づいている)について得られた結果を、表1で示す:
【0131】
【表8】

表8の脚注:
1 得られた星形重合体にて1:1のモル%比のエチレングリコールジメタクリレートと重合体アームとから調製された重合体;
2 得られた星形重合体にて4:1のモル%比のエチレングリコールジメタクリレートと重合体アームとから調製された重合体;
3 得られた星形重合体にて7:1のモル%比のエチレングリコールジメタクリレートと重合体アームとから調製された重合体;
Aは、メタクリル酸ラウリルである;
Bは、無水マレイン酸である;
Cは、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドである;
Dは、メタクリル酸ジメチルアミノエチルである;そして
**は、星形重合体への重合体鎖の転化率である。
【0132】
(潤滑組成物 実施例1〜47)
実施例1〜47の重合体を、それぞれ、4mm/sのPetroCanada基油(これは、0.2重量%の高分子流動点降下剤を含有する)とブレンドすることにより、潤滑組成物1〜47を調製する。この潤滑組成物は、8〜12mm/sのオイルブレンド粘度範囲を有する。ASTM方法D445(100℃)およびD2983(−40℃)を使用して、それぞれ、動粘度およびブルックフィールド粘度を測定する。ASTM方法D2270を使用することにより、粘度指数(VI)もまた測定する。この潤滑組成物はまた、KRLテーパードベアリング剪断安定性試験で決定されるような剪断にかける。この機器を、5000N負荷を使って、140℃で、1450rpmで、20時間運転する。この試験から得られた粘度データは、ASTM方法D445で記載されている。実施例1〜14について得られた結果を、表9および10で示す。
【0133】
【表9】

【0134】
【表10】


【0135】
(自動変速機油潤滑組成物1〜47)
7.0〜7.2mm/sの100℃でのオイルブレンド粘度まで重合体を利用可能なATF油にブレンドして潤滑粘性のあるオイルを得ることにより、自動変速機油潤滑組成物1〜47(ATF実施例)を調製する。このオイルは、さらに、市販の分散剤−阻害剤パッケージを含有する。潤滑組成物1〜47について記述したようにして、粘度測定実験および剪断実験を実行する。これらの組成物のいくつかについて得られた結果を、表11および12に提示する。
【0136】
【表11】

【0137】
【表12】


【0138】
(ギヤ油潤滑組成物1〜47)
実施例1〜47の重合体を、それぞれ、ギヤ油流体にブレンドすることにより、ギヤ油潤滑組成物1〜47を調製する。
【0139】
要約すると、本発明は、分散剤および粘度調整特性(低温粘度特性および剪断安定性を含めて)を有する重合体およびそれらの組成物を調製する方法を提供する。
【0140】
上で引用した各文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。実施例を除いて、他に明らかに指示がなければ、物質の量を特定している本記述の全ての数値量、反応条件、分子量、炭素原子数などは、「約」という用語により修飾されることが分かる。他に指示がなければ、本明細書中で言及した各化学物質または組成物は、その異性体、副生成物、誘導体、および市販等級の物質中に存在すると通常考えられているような他のこのような物質を含有し得る、市販等級の物質であると解釈されるべきである。しかしながら、各化学成分の量は、他に指示がなければ、市販等級の物質に通例存在し得る溶媒または希釈油を除いて、提示されている。本明細書中で示した上限および下限の量、範囲および比は、別個に組み合わされ得ることが分かる。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のいずれかの範囲または量と併用され得る。本明細書中で使用する「本質的になる」との表現には、問題の組成物の基本的で新規な特性に著しく影響を与えない物質が含まれていてもよい。本明細書中で使用するように、属(またはリスト)のいずれかの要素は、請求項から除外される場合がある。
【0141】
本明細書中で使用する「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」との用語は、通常の意味で使用され、これは、当業者に周知である。具体的には、それは、分子の残部に直接結合した炭素原子を有しそして炭化水素的性質または主として炭化水素的な性質を有する基を意味する。ヒドロカルビル基の例には、以下が挙げられる:
a.炭化水素置換基、すなわち、脂肪族置換基(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環族置換基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、および芳香族置換された芳香族置換基、脂肪族置換された芳香族置換基および脂環族置換された芳香族置換基などだけでなく、環状置換基。ここで、この環は、分子の他の部分により、完成されている(例えば、2個の置換基は、一緒になって、環を形成する);
b.置換された炭化水素置換基、すなわち、非炭化水素基を含有する置換基。この非炭化水素基は、本発明の文脈では、置換基の主な炭化水素的性質を変化させない(例えば、ハロ(特に、クロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ);
c.ヘテロ置換基、すなわち、本発明の文脈内では、主として炭化水素的性質を有しながら、環または鎖の中に存在する炭素以外の原子を有するが、その他は炭素原子で構成されている基;ならびに
d.ヘテロ原子には、イオウ、酸素、窒素が挙げられ、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基を包含する。一般に、このヒドロカルビル基では、各10個の炭素原子に対し、2個以下の非炭化水素置換基、1局面では、1個以下の非炭化水素置換基が存在する。典型的には、このヒドロカルビル基には、このような非炭化水素置換基は存在しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含有する、組成物:
(a)以下を含む、星形重合体:
(i)コア部分であって、該コア部分は、多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体を含む;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該コア部分は、さらに、式(I)の官能基を含む:
【化1】

ここで、
は、水素、1個〜5個の炭素原子を含有する直鎖または分枝アルキル基である;
Aは、窒素または酸素である;そして
Yは、重合条件下にてラジカル機構により移動され得る1個またはそれ以上の原子または原子の基、ハロゲン、−O−N=基および−S−C(=S)−基からなる群から選択される遊離ラジカル脱離基である、
組成物。
【請求項2】
前記星形重合体が、約7本より多いアームを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記星形重合体が、約10本より多いアームを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記多価(メタ)アクリル酸モノマーが、アクリル酸またはメタクリル酸ポリオール、あるいはポリアミンの縮合生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記多価不飽和(メタ)アクリル酸モノマーが、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、マンニトールヘキサアクリレート、4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、分子量200〜4000のポリエチレングリコールのビス−アクリレートおよびメタクリレート、ポリカプロラクトンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリレート、ヘキサメチレンジオールジアクリレートまたはヘキサメチレンジオールジメタクリレートあるいはアルキレンビス−(メタ)アクリルアミドである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル酸エステルの重合体アームが、メタクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、さらに、直鎖重合体を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記直鎖重合体が、ハロゲン、−O−N=基または−S−C(=S)−基を含まないか実質的に含まない、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記メタクリレート重合体アームが、スチレンまたはアクリレートを含まない、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記星形重合体が、アルカリ金属またはケイ素を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
さらに、窒素含有モノマーを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記窒素含有モノマーが、ビニル置換窒素複素環モノマー、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルモノマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドモノマー、第三級(メタ)アクリルアミドモノマーまたはそれらの混合物である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記コアまたは重合体アームが、さらに、式(IIa)または(IIb)の(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む、請求項1に記載の組成物:
【化2】

ここで、
Qは、水素またはメチルである;
各Rは、別個に、水素、または1個〜約8個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;
各Rは、別個に、水素、または1個〜約2個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;そして
gは、1〜約6の整数である、
組成物。
【請求項14】
前記窒素含有モノマーが、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリジノン、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノブチルアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミンプロピル、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミドまたはそれらの混合物を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記星形重合体が、以下を含む重合体アームを含む、請求項1に記載の組成物:
(a)アルキル基の少なくとも50%〜100%で存在している10個〜15個の炭素原子を含有するアルキルエステル基;
(b)アルキル基の0%〜40%で存在している6個〜9個の炭素原子を含有するアルキルエステルアルキル基;
(c)アルキル基の0%〜30%で存在している1個〜5個の炭素原子を含有するアルキルエステルアルキル基;
(d)アルキル基の0%〜2%で存在している16個〜30個の炭素原子を含有するアルキルエステル基;および
(e)重合体アームの0重量%〜10重量%で存在している窒素含有モノマー。
【請求項16】
前記式(I)の官能基Yが、ハロゲンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
式(I)の官能基Yが、重合条件下にてラジカル機構により移動され得る1個またはそれ以上の原子または原子の基であり、式(III)〜(X)に由来の化合物から誘導される、請求項1に記載の組成物:
【化2A】

ここで、
nは、0、1または2である;
mは、0〜1である;
Xは、Cl、Br、I、OR、SR、SeR、OC(−O)R、OP(−O)R、OP(−O)(OR、OP(=O)OR、O−N(R、S−C(−S)N(R、CN、NC、SCN、CNS、OCN、CNOまたはNである;
は、以下である:1個〜20個の炭素原子を有し少なくとも1個のハロゲンを含有するアルキル基であって、ここで、該アルキル基中の各水素原子は、別個に、ハロゲン化物で置き換えられ得る;2個〜20個の炭素原子を有し少なくとも1個のハロゲンを含有するアルケニル基、または少なくとも1個のハロゲンを含有するアラルキル(アリール置換アルキル)であって、ここで、該アリール基は、フェニルまたは置換フェニルであり、そして該アルキル基は、1個〜6個の炭素原子を有するアルキルを表わし、ベンジルを含む;
は、アリール基、あるいは1個〜20個の炭素原子を有し少なくとも1個のハロゲンを含有する直鎖または分枝アルキル基を含むか、あるいはRは、少なくとも1個のハロゲン官能基を含有する環である;そして
、RおよびRは、別個に、水素、ハロゲンまたはヒドロカルビル基である、
組成物。
【請求項18】
前記式(I)の官能基Yが、−S−C(=S)−である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記官能基−S−C(=S)−が、チオカルボニルチオ基および遊離ラジカル脱離基を含む化合物から誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記チオカルボニルチオ基を含む化合物が、式(XIa)〜(XIg)で表わされる、請求項19に記載の組成物:
【化3】

ここで、
Zは、別個に、水素、ハロゲン(例えば、塩素、臭素またはヨウ素)、ヒドロカルビル基、あるいは該チオカルボニル基の炭素に直接結合されたヘテロ原子を含有する基であって、該基は、酸素、窒素、リンまたはイオウを含むヘテロ原子を含有する;
Z’は、別個に、重合体鎖を含む部分、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子であって、該ヘテロ原子は、酸素、窒素、リンまたはイオウを含み、さらに、必要に応じて置換した直鎖または分枝アルキル基および/またはアリール基に取り込まれた少なくとも1個の炭素原子を含有する;
Qは、共役基である;
qは、0〜10の整数である;
pは、1〜200の整数である;そして
Jは、別個に、シアノ、ハロゲン、カルボン酸、カルボン酸エステル、およびカルボン酸アミドまたはイミドを含む基である;
Rは、遊離ラジカル重合を開始できる遊離ラジカル脱離基である;
各Rは、別個に、R10で規定された官能基で必要に応じて置換されたヒドロカルビル基である;そして
10は、別個に、シアノ基、ハロゲン(例えば、塩素、フッ素、ヨウ素または臭素)、またはヒドロカルビル基(例えば、直鎖または分枝アルキル基、あるいは1個〜50個の炭素原子を含有するアリール基)である、
組成物。
【請求項21】
前記−S−C(=S)−基が、さらに、該イオウに直接結合されたジェミナルジメチル基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記ラジカル脱離基が、さらに、カルボキシ官能基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記式(I)の官能基Yが、−O−N=基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記Yの−O−N=基が、脂環式窒素酸化物または非四級窒素酸化物から誘導される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記コア部分における官能基の量が、前記アーム内のモノマー1モルあたり、約0.001〜約0.10モルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記コアまたは重合体アームが、さらに、アミンまたはアシル化剤で官能化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記アシル化剤が、ジカルボン酸無水物である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記ジカルボン酸無水物が、無水イタコン酸、無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸、エチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸またはそれらの混合物である、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記星形重合体の重合体アームが、約2以下の多分散性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記星形重合体が、約2より高い多分散性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記星形重合体が、約5000〜約5,000,000の重量平均分子量Mを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記潤滑粘性のあるオイルが、濃縮物形成量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
さらに、少なくとも1種の他の性能添加剤を含有し、該他の性能添加剤が、金属不活性化剤、清浄剤、分散剤、本発明の星形重合体以外の粘度指数向上剤、極圧剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、腐食防止剤、発泡防止剤、解乳化剤、流動点降下剤、シール膨潤剤およびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
さらに、本発明の星形重合体以外の通常のポリ(メタ)アクリレート粘度指数向上剤を含有し、ここで、該通常のポリ(メタ)アクリレートが、ハロゲン、−O−N=基および−S−C(=S)−基から選択される官能基を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
前記星形重合体が、前記組成物の約1重量%〜約50重量%の量で存在しており、前記潤滑粘性のあるオイルが、約30重量%〜約98.9重量%の量で存在しており、そして少なくとも1種の他の性能添加剤が、該組成物の約0.01重量%〜約20重量%の量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、変速機油、ギヤ油、油圧作動液または内燃機関潤滑剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
前記組成物が、低温粘度特性、高温粘度特性、剪断安定性、粘度指数改善またはそれらの混合を含む少なくとも1つの特性を与える、変速機油、ギヤ油、油圧作動液または内燃機関潤滑剤のための、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項38】
以下を含有する、組成物:
(a)制御ラジカル重合プロセスにより得られるか得ることができる星形重合体であって、該星形重合体は、以下を含む:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイル。
【請求項39】
前記制御ラジカル重合プロセスが、ATRP、RAFTまたは窒素酸化物で媒介される、請求項36に記載の組成物。
【請求項40】
以下を含有する、組成物:
(a)以下を含む、星形重合体:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該重合されたアルキル(メタ)アクリル酸エステルアーム内のアルキル基の98%〜100%は、1個〜18個の炭素原子を含有する;そして該重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルアーム内のアルキル基の0%〜2%は、19個〜30個の炭素原子を含有する、
組成物。
【請求項41】
以下を含有する、組成物:
(a)以下を含む、星形重合体:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該重合されたアルキル(メタ)アクリル酸エステルアーム内のアルキル基の98%〜100%は、1個〜15個の炭素原子を含有する;そして該重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルアーム内のアルキル基の0%〜2%は、16個〜30個の炭素原子を含有する、
組成物。
【請求項42】
前記(メタ)アクリル酸エステルの重合体アームが、約10個〜約15個の炭素原子を有する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
窒素酸化物媒介星形重合体を調製する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
(1)以下の(i)、(ii)および(iii)を接触させて、重合体鎖を形成する工程:
(i)遊離ラジカル開始剤;
(ii)ラジカル重合可能モノマー;および
(iii)遊離ラジカル媒介物;
(2)工程(1)の重合体鎖を多価カップリング剤と接触させて、星形重合体を形成する工程;
および工程(3)〜(4)の少なくとも1つ;
(3)工程(1)または工程(2)により調製された該重合体と重合開始剤とを接触させる工程;および
(4)工程(2)または工程(3)により調製された該重合体と潤滑粘性のあるオイルとを混合して、潤滑組成物を形成する工程。
【請求項44】
窒素酸化物媒介星形重合体を調製する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
(1)以下の(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(v)を接触させて、重合体鎖を形成する工程:
(i)ラジカル重合可能モノマー;
(ii)遷移金属触媒;
(iii)窒素またはリン含有配位子;
(iv)ハロゲン開始剤;および
(v)必要に応じて、遊離ラジカル媒介物;
(2)工程(1)の重合体鎖を多価カップリング剤と接触させて、星形重合体を形成する工程;
および工程(3)〜(4)の少なくとも1つ;
(3)工程(1)または工程(2)により調製された該重合体と重合開始剤とを接触させる工程;および
(4)工程(2)または工程(3)により調製された該重合体と潤滑粘性のあるオイルとを混合して、潤滑組成物を形成する工程。
【請求項45】
以下を含有する、組成物:
(a)制御ラジカル重合プロセスにより得られるか得ることができる星形重合体であって、該星形重合体は、以下を含む:
(i)多価(メタ)アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体、あるいは多価ジビニル非アクリル酸モノマー、それらのオリゴマーまたは重合体のコア部分;および
(ii)重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも2本のアーム;および
(b)潤滑粘性のあるオイル。

【公表番号】特表2008−518052(P2008−518052A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538128(P2007−538128)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/038146
【国際公開番号】WO2006/047398
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】