説明

映像システム

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、デジタル信号処理を行うビデオカメラ,テレビジョン受像機等の各種デジタル映像装置の調整を行うための構成に関する。
〔発明の概要〕
本発明は、デジタル信号処理を行うビデオカメラ等のデジタル映像装置において、アナログ変換以前のデジタルビデオ信号をラッチするラッチ手段を設け、このラッチ手段のラッチ出力を低速でシリアルに読出して検査信号を得、この検査信号に基づいて各種調整を行うようにし、良好な調整ができるようにしたものである。
〔従来の技術〕
従来、ビデオカメラとして撮像信号をデジタル信号に変換してから各種信号処理を行って所定の規格のデジタルビデオ信号とし、この信号処理されたデジタル信号をデジタル・アナログ変換器によりアナログビデオ信号に変換し、このアナログビデオ信号を出力させるものが開発されている。このようなビデオカメラは、デジタルビデオカメラと称され、デジタルKで信号処理を行うことで各回路の特性の均一化が容易にできる等の効果がある。
第3図は、このデジタルビデオカメラの一例を示す図で、図中(1)はCCD等の固体撮像素子を示し、この固体撮像素子(1)のフェーズプレートに結像した像光を、撮像信号としてプリアンプ(2)に供給する。そして、プリアンプ(2)の出力を自動ゲイン制御(AGC)回路(3)に供給し、この自動ゲイン制御回路(3)によりプリアンプ(2)のゲインを制御する。また、プリアンプ(2)の出力をアナログ・デジタル変換器(4)に供給し、このアナログ・デジタル変換器(4)で撮像信号をデジタル信号に変換する。
そして、アナログ・デジタル変換器(4)が出力するデジタル信撮像信号を、集積回路で構成される信号処理部(10)内の輝度・クロマ分離回路(11)に供給する。この輝度・クロマ分離回路(11)は、供給される撮像信号を輝度成分とクロマ成分とに分離し、輝度成分を輝度信号処理回路(12)に供給し、クロマ成分をクロマ信号処理回路(13)に供給する。そして、輝度信号処理回路(12)及びクロマ信号処理回路(13)では、撮像信号を所定の規格の映像信号に変換するための処理が行われる。また、輝度信号処理回路(12)及びクロマ信号処理回路(13)は、後述する調整装置(20)から端子(17)及び(18)を介して供給される調整信号により、各種調整ができるようにしてある。
そして、輝度信号処理回路(12)が出力する輝度信号をデジタル・アナログ変換器(14)に供給し、クロマ信号処理回路(13)が出力するクロマ信号をデジタル・アナログ変換器(15)に供給し、それぞれのデジタル・アナログ変換器(14)及び(15)でアナログ輝度信号及びアナログクロマ信号に変換する。そして、この変換したアナログ輝度信号及びアナログクロマ信号を混合回路(16)に供給して混合し、混合信号を複合映像信号として出力端子(5)に供給する。そして、この出力端子(5)に得られる複合映像信号をVTR等の映像機器(図示せず)に供給する。
ここで、このビデオカメラの製造時やメンテナンス時において、輝度信号処理回路(12)およびクロマ信号処理回路(13)を調整する必要があり、このような場合、出力端子(5)に得られる複合映像信号を調整装置(20)に供給する。この調整装置(20)は、複合映像信号の状態を検出する信号検出回路(21)と、この信号検出回路(21)の検出出力をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器(22)と、このアナログ・デジタル変換器(22)の出力デジタル信号に基づいて所定の調整信号を出力する制御部(23)とよりなる。この場合、制御部(23)はマイクロコンピュータで構成され、制御部(23)が出力する調整信号を、端子(17)及び(18)を介して輝度信号処理回路(12)及びクロマ信号処理回路(13)に供給する。この調整信号としては、例えば端子(17)を介して各調整事項の制御データを供給すると共に、端子(18)を介して信号の出力タイミングを制御するシフトパルスを供給する。
このようにしたことで、調整装置(20)に供給されるビデオカメラの出力映像信号に基づいて、この調整装置(20)がデジタル信号処理を行うビデオカメラの信号処理部(10)の自動的な調整を行うことが出来る。
この調整装置(20)により行われる調整事項としては、例えばホワイトバランス,色相,色飽和度,輝度レベル,色分離係数,バーストゲイン,ガンマカーブ補正がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、このようにアナログ映像信号が出力される出力端子(5)から調整装置(20)に映像信号を供給するようにすると、調整装置(20)内で検出信号をデジタル信号に変換する必要があり、アナログ・デジタル変換器が必要で、調整装置の構成が複雑であると共に、デジタル信号への変換時に不要輻射が発生して制御部での信号状態の判断が正確にできなくなってしまう不都合があった。
なお、ここではデジタルビデオカメラについて説明したが、同様に映像信号をデジタル信号に変換して処理するデジタルテレビジョン受像機等の他のデジタル映像装置の調整を行う場合にも、同様な問題点があった。
本発明の目的は、簡単な構成の調整装置でデジタル映像装置の正確な調整が簡単にできるシステムを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のデジタル映像装置は、例えば第1図に示す如く、アナログビデオ信号をアナログ・デジタル変換手段(4)によりデジタル変換し、この変換されたデジタルビデオ信号を信号処理手段(30)で所定の信号処理をしてからデジタル・アナログ変換手段(14),(15)によりアナログ変換してアナログ出力ビデオ信号を得るデジタル映像装置の信号処理手段(30)での処理状態を、調整装置(6)からの信号により調整する映像システムにおいて、デジタル映像装置として、ラッチパルスおよびシフトパルスが供給される入力端子(42),(43)と、アナログ変換以前のデジタルビデオ信号の輝度信号と、入力端子(42),(43)に得られるラッチパルスおよびシフトパルスが供給され、供給されるラッチパルスに応じて輝度信号をラッチし、供給されるシフトパルスに応じてラッチした輝度信号を出力する輝度信号ラッチ手段(31)と、アナログ変換以前のデジタルビデオ信号のクロマ信号と、入力端子(42),(43)に得られるラッチパルスおよびシフトパルスが供給され、供給されるラッチパルスに応じてクロマ信号の第1の色差信号をラッチし、供給されるシフトパルスに応じてラッチした第1の色差信号を出力する第1の色差信号ラッチ手段(32)と、アナログ変換以前のデジタルビデオ信号のクロマ信号が遅延手段を介して供給されるとともに、入力端子(42),(43)に得られるラッチパルスおよびシフトパルスが供給され、供給されるラッチパルスに応じてクロマ信号の第2の色差信号をラッチし、供給されるシフトパルスに応じてラッチした第2の色差信号を出力する第2の色差信号ラッチ手段(33)と、輝度信号ラッチ手段(31)、第1の色差信号ラッチ手段(32)および第2の色差信号ラッチ手段(33)からのラッチ出力を読み出す出力端子とを備え、調整装置(6)は、入力端子(43)にラッチパルスを供給して、輝度信号ラッチ手段(31)、第1の色差信号ラッチ手段(32)および第2の色差信号ラッチ手段(33)でラッチさせ、入力端子(42)へのシフトパルスの供給で、ラッチされた区間の信号を出力端子(41)から出力させて、取り込ませ、その取り込んだ信号に基づいて信号処理手段(30)を調整するようにしたものである。
〔作用〕
このようにすることで、デジタル映像機器の調整を行う際には、低速でシリアルに読出されるラッチ出力を、マイクロコンピュータで構成される調整装置で直接判断するきとができ、デジタル映像機器の状態をデジタル信号のまま正確に判断することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を、第1図及び第2図を参照して説明する。この第1図及び第2図において、第3図に対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
本例においては第3図例と同様にデジタル信号処理を行うデジタルビデオカメラとしたもので、第1図に示す如く構成する。即ち、第1図において、(30)は集積回路構成の信号処理部を示し、この信号処理部(30)はアナログ・デジタル変換器(4)が出力するデジタル撮像信号が供給され、輝度・クロマ分離回路(11)から混合回路(16)までの信号処理回路が構成され、出力端子(5)にアナログ映像信号を供給する。
この場合、本例においては、輝度信号処理回路(12)が出力するデジタル輝度信号Yを、ラッチ回路(31)に供給し、このラッチ回路(31)によりラッチされたデジタル輝度信号Yとクロマ信号処理回路(13)が出力するデジタルクロマ信号Cとをラッチ回路(32)に供給し、ラッチ回路(32)で色差信号(R−Y)を得る。さらに、クロマ信号処理回路(13)が出力するデジタルクロマ信号Cを遅延回路(34)に供給し、この遅延回路(34)で遅延されたデジタルクロマ信号Cとラッチ回路(32)の出力とをラッチ回路(33)に供給し、このラッチ回路(33)で色差信号(B−Y)を得る。この各ラッチ回路(31),(32)及び(33)は、後述する調整装置(6)から端子(42)及び(43)を介して供給されるシフトパルスS及びラッチパルスLによりラッチ動作が制御され、調整装置(6)のクロック周波数に基づいた比較的低速度で読出しが行われ、ラッチ回路(33)の出力として、例えば第2図に示す如く、ラッチ回路(33)でラッチされた色差信号(B−Y)とラッチ回路(32)でラッチされた色差信号(R−Y)とがシリアルに出力される。この場合、各色差信号は順次位相が反転して出力される。
そして、ラッチ回路(33)の出力を端子(41)から信号処理部(30)の外部に引き出し、調整装置(6)に検査信号として供給する。この調整装置(6)はマイクロコンピュータによる制御装置で構成され、端子(41)から供給されるデジタル色差信号のレベル等の状態を判別する。この場合、調整装置(6)から端子(42)及び(43)を介してビデオカメラの信号処理部(30)にシフトパルスS及びラッチパルスLを供給し、ラッチ回路(33)からの出力速度を調整装置(6)での処速度に合うような低速度に制御する。そして、端子(41)から供給される信号で判断した状態に基づいて、調整装置(6)から端子(44)を介して信号処理部(30)の輝度信号処理回路(12)及びクロマ信号処理回路(13)に、各調整時項の制御データを供給し、処理回路(12)及び(13)内の各部を自動的に調整する。この場合の調整時項としては、例えばホワイトバランス,色相,色飽和度,輝度レベル,色分離係数,バーストゲイン,ガンマカーブ補正がある。
その他の部分は、第3図例のビデオカメラと同様に構成する。
このように構成したことで、本例においてはビデオカメラの調整が簡単かつ正確に行える。即ち、集積回路で構成されるビデオカメラの信号処理部(30)から、ラッチされた色差信号(デジタル信号)を直接出力させることができるので、マイクロコンピュータによる制御装置で構成される調整装置(6)でデジタル色差信号の状態を直接判別でき、調整装置(6)側でビデオカメラの出力をデジタル変換する必要がなく、調整装置(6)の構成が簡単になる。この場合、デジタル映像信号は比較的クロック周波数が高いが、ラッチされた色差信号の出力速度を調整装置側のクロック周波数に合わせて低速度にすることが出来るので、クロック周波数の低い通常のマイクロコンピュータで構成される調整装置により、良好にビデオカメラの調整状態を判別することが出来る。また、調整装置側でビデオカメラの出力をデジタル変換する必要ながないことから、調整装置(6)内でのデジタル変換による不要輻射の発生がなく、不要輻射の影響でビデオカメラの調整状態を誤検出することがなく、正確なビデオカメラの調整が自動的に出来る。
なお、上述実施例においては、ビデオカメラの調整を行う場合について説明したが、デジタル信号処理を行う映像機器であれば、テレビジョン受像機等他の機器にも適用することができる。また、本発明は上述実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成が取り得ることは勿論である。
〔発明の効果〕
本発明によると、映像機器の調整を行う際には、低速でシリアルに読み出される検査信号としてのラッチ出力を、マイクロコンピュータで構成される調整装置で直接判断することができ、デジタル映像機器の状態をデジタル信号のまま正確に判断することがで、正確な調整ができると共に、調整装置で検査信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する必要がないので、調整装置が簡単に構成できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す構成図、第2図は一実施例の信号例を示す説明図、第3図は従来のビデオカメラの一例を示す構成図である。
(1)は固体撮像素子、(4)はアナログ・デジタル変換器、(5)は出力端子、(6)は調整装置、(11)は輝度・クロマ分離回路、(12)は輝度信号処理回路、(13)はクロマ信号処理回路、(14)及び(15)はデジタル・アナログ変換器、(30)は信号処理部、(31),(32)及び(33)はラッチ回路である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】アナログビデオ信号をアナログ・デジタル変換手段によりデジタル変換し、この変換されたデジタルビデオ信号を信号処理手段で所定の信号処理をしてからデジタル・アナログ変換手段によりアナログ変換してアナログ出力ビデオ信号を得るデジタル映像装置の信号処理手段での処理状態を、調整装置からの信号により調整する映像システムにおいて、上記デジタル映像装置として、ラッチパルスおよびシフトパルスが供給される入力端子と、上記アナログ変換以前のデジタルビデオ信号の輝度信号と、上記入力端子に得られるラッチパルスおよびシフトパルスが供給され、供給されるラッチパルスに応じて輝度信号をラッチし、供給されるシフトパルスに応じてラッチした輝度信号を出力する輝度信号ラッチ手段と、上記アナログ変換以前のデジタルビデオ信号のクロマ信号と、上記入力端子に得られるラッチパルスおよびシフトパルスが供給され、供給されるラッチパルスに応じてクロマ信号の第1の色差信号をラッチし、供給されるシフトパルスに応じてラッチした第1の色差信号を出力する第1の色差信号ラッチ手段と、上記アナログ変換以前のデジタルビデオ信号のクロマ信号が遅延手段を介して供給されるとともに、上記入力端子に得られるラッチパルスおよびシフトパルスが供給され、供給されるラッチパルスに応じてクロマ信号の第2の色差信号をラッチし、供給されるシフトパルスに応じてラッチした第2の色差信号を出力する第2の色差信号ラッチ手段と、上記輝度信号ラッチ手段、第1の色差信号ラッチ手段および第2の色差信号ラッチ手段からのラッチ出力を読み出す出力端子とを備え、上記調整装置は、上記入力端子にラッチパルスを供給して、上記輝度信号ラッチ手段、第1の色差信号ラッチ手段および第2の色差信号ラッチ手段でラッチさせ、上記入力端子へのシフトパルスの供給で、ラッチされた区間の信号を上記出力端子から出力させて取り込み、その取り込んだ信号に基づいて上記信号処理手段を調整する映像システム。

【第2図】
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【第1図】
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【第3図】
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【特許番号】特許第3298868号(P3298868)
【登録日】平成14年4月19日(2002.4.19)
【発行日】平成14年7月8日(2002.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−43824
【出願日】平成2年2月23日(1990.2.23)
【公開番号】特開平3−247087
【公開日】平成3年11月5日(1991.11.5)
【審査請求日】平成9年2月3日(1997.2.3)
【審判番号】不服2001−10347(P2001−10347/J1)
【審判請求日】平成13年6月19日(2001.6.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【合議体】
【参考文献】
【文献】特開 昭58−71786(JP,A)
【文献】特開 昭58−40981(JP,A)
【文献】特開 昭60−128734(JP,A)
【文献】特開 昭61−230589(JP,A)
【文献】特開 昭62−143590(JP,A)