説明

映像信号処理装置

【目的】 簡単かつ安価な構成で、背景色を所望の色に瞬時に変更で出来るようにする。
【構成】 マイコン16によって背景色レジスタ33に特定の色データが書き込まれ、さらにマイコン16からの指令により、背景選択レジスタ34に、背景入力として背景色レジスタ33の出力をセレクタ31にて選択するように制御データが書き込まれることにより、背景色レジスタ33の出力が混合回路30の背景入力とされ、これにより、全画面均一な特定色の背景映像を得るためのテスト用の映像信号を発生する背景映像信号発生装置を別途用意しなくても済み、さらに合成される背景色を瞬時に変更することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、コンピュータを用いた映像信号処理の技術分野で用いられる映像処理装置に関し、さらに詳しくは、コンピュータで作成した画像と外部の映像信号を合成してスーパーインポーズ画像を得る映像処理装置に関するものである。
【従来の技術】図3は、従来の映像信号処理装置の一構成例を示すものである。ここで、50は映像信号処理装置であり、外部から指定された画像に対応する前景映像信号FVSおよび合成制御信号(一般に、キー信号と呼ばれる)KEYを、内蔵するフレームメモリ51から読み出して、映像信号合成切換装置52へ供給する。合成切換装置52は、別の装置から供給される背景映像信号BVS上に、合成制御信号KEYによって指定される領域(切り抜くべき形状)に応じて、前景映像信号FVSを合成し、その合成結果を、合成映像信号CVSとして、TVモニター等の表示装置53へ供給する。これにより、表示装置53の表示画面上で、合成制御信号KEYによるスーパーインポーズ効果の程が確認される。図4R>4は、従来の映像信号処理装置の他の構成例を示すものである。この例においては、映像信号処理装置55の内部に映像信号合成器56を内蔵しており、この映像信号合成器56が、フレームメモリ51から読み出された合成制御信号KEYに基づいて、前景映像信号FVSと、A/D変換器57でディジタル信号に変換された背景映像信号BVSとを合成し、これにより得られた合成映像信号CVSがD/A変換器58でアナログの合成映像信号に変換されて出力されるようになっている。
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の映像信号処理装置においては、以下のような問題点があった。
1.生成される合成映像信号CVSのスーパーインポーズ効果の確認は、全画面均一な特定色の背景映像を得るためのテスト用の映像信号を発生する背景映像信号発生装置を別途用意して接続する必要があり、このような装置との組み合せにより、全体の装置構成が複雑となり装置価格が高価となってしまう。
2.別途用意した背景映像信号発生装置との接続等、使用方法が簡便ではなく、使用者に負担を強いる結果となる。
3.前景映像信号FVSの色分布等に応じて、背景となるテスト用の映像信号を注意深く選択しなければならず、選択を誤ると、スーパーインポーズ効果の確認が困難となる場合がある。
本発明の目的は、上述した1.〜3.の問題点を全て解消することができる映像信号処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題を解決するために、供給される背景映像信号の上に、合成すべき領域を指定するための合成制御信号に応じて、前景映像信号を合成して出力する合成手段を有する映像信号処理装置において、任意に書き換えられる色設定値に応じた背景色の映像信号を生成する背景色生成手段と、前記背景色生成手段から出力される映像信号または本来合成すべき映像信号の内の指定された一方を択一選択して背景映像信号として前記合成手段へ供給する選択手段と、前記背景色生成手段の色設定値および前記選択手段の選択動作を指定するためのモード設定手段とを設けている。
【作用】上記の構成によれば、モード設定手段によって、背景色生成手段の色設定値を設定し、さらに選択手段に対して背景色生成手段から出力される映像信号を選択するよう指示することにより、この映像信号が背景映像信号として合成手段へ供給され、これにより、所望の色の背景映像信号が得られ、この背景映像信号の上の、合成制御信号に応じた領域に前景映像信号が合成されて出力される。
【実施例】図1は本発明の一実施例の構成を示す図である。図1においてコンピュータ20は、多くの場合、操作者の指令により内蔵のプログラムを動作させ、映像情報を生成し、第1のフレームメモリ10および第2のフレームメモリ11に映像情報を書き込む。ここで、コンピュータ20は適当な映像情報生成手段であれば、コンピュータに限ることはない。第2のフレームメモリ11には映像情報と共に、合成制御情報が書き込まれる。この合成制御情報は、第2のフレームメモリに書き込まれている映像情報を前景映像として使用する場合に、この前景映像の一部を選択的に切り取るための制御情報(キーデータ)であり、必要に応じて書き込まれる。映像信号合成器14には、第1のフレームメモリ10から読み出された映像情報が前景映像信号FVSとして、また第1のフレームメモリ10から読み出された制御情報が合成制御信号KEYとして、さらに、セレクタ15によって選択された第2のフレームメモリ11からの映像信号またはA/D変換器12を介して外部から供給される映像信号のどちらか一方が背景映像信号BVSとして入力される。そして、この背景映像信号BSV上に合成制御信号KEYの値の示す割合で前景映像信号FVSを重ねて合成映像信号CVSを生成し、D/A変換器18を介して外部に出力する。ブランキング信号発生回路13は、映像の帰線期間のタイミングを映像信号合成器14に供給するものである。D/A変換器17は、合成制御信号KEYをアナログ信号に変換し、キー信号として外部に出力するものである。D/A変換器19は、第2のフレームメモリ11から読み出された背景映像信号BVSをアナログ信号に変換し、外部に出力するものである。この信号は、背景画面の確認、または次に出力される画面の確認等に用いられる。図2は、図1に示す映像信号合成器14の詳細な構成を示す図である。前景映像信号FVSは、前述の第1のフレームメモリ10からの映像信号であり、混合回路30への前景入力となる。背景映像信号BSVは、前述の第2のフレームメモリ11からの映像信号もしくは外部から供給される映像信号であり、セレクタ31の一方の入力端に供給される。背景色レジスタ33は、色データR,G,BまたはY,R−Y,B−Yなどを個別に格納するレジスタであり、図1に示すマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)16からの指令に基づき色データが格納され、格納された色データはセレクタ31の他方の入力端に供給される。背景選択レジスタ34は、マイコン16からの指令に基づき選択すべき映像信号を指定するための制御データ(“0”または“1”)が格納され、格納された制御データはセレクタ31の選択入力端に供給される。これによりセレクタ31は、一方の入力端に供給される背景映像信号BSVと、他方の入力端に供給される背景色レジスタ33の格納された色データの内の何れか一方を択一選択し、その出力を混合回路30への背景入力とする。これらマイコン16による指令は、操作者がキーボード21の特定のキーを操作することによってなされる。混合回路30の出力、即ち合成映像信号CVSは、セレクタ32の一方の入力端に供給される。一方、マイコン16からの指令に基づき、ブランキングデータレジスタ35に帰線期間中の映像信号のレベルを決定するデータが格納され、その格納されたデータがセレクタ32の他方の入力端に供給される。セレクタ32はブランキング信号入力のon/offに応じて2つの入力を、所定のタイミングで切り変えて出力する。次に上述した一実施例の動作について説明する。特定の映像を別の映像上に重ねたスーパーインポーズ映像を得ようとする場合、先ずコンピュータ20が格納されているプログラムに基づいて映像(画像)を生成し、第1のフレームメモリ10上に格納する動作から始まる。このとき第1のフレームメモリ10には色データR,G,BまたはY,R−Y,B−Yなどの値として表現される画像データと、それの必要な部分を切り抜くための合成制御情報が、結果として格納される。第1のフレームメモリ10からの映像信号は前景映像としたいのであり、映像信号合成器14に前景映像信号FVSとして供給される。同時に合成制御信号KEYも供給される。ここで背景映像信号BVSとして外部から映像信号が入力されず、また第2のフレームメモリ11内の映像情報も不適当であるならば映像信号合成器14には背景映像の供給がない状態となる。そこで、操作者がキーボード21の特定キーを操作することによってなれるマイコン16の指令により、背景色レジスタ33に、任意の色データが書き込まれ、さらにマイコンからの指令により、背景選択レジスタ34に、背景入力として背景色レジスタの出力をセレクタ31にて選択するように制御データが書き込まれることにより、背景色レジスタ33の出力を混合回路30の背景入力とすることが出来る。いま混合回路30に入力または出力される前景映像信号を(F)、背景映像信号を(B)、合成制御信号を(A)、合成映像信号を(C)と示し、各々が1に規格化されているとすれば混合回路での演算は、次の式であらわされる。
C=A・F+(1−A)・B …… (1)
上記(1)式でBとして背景色レジスタ33に格納された特定色の色データが、充当され合成映像信号CVSが得られる。これにより、全画面均一な特定色の背景映像の上に、第1のフレームメモリ10の映像が、どのように重なっているのかが、常に出力として得られ、容易に認識し得る状態となる。なお、上記(1)式は、映像信号の表示期間中の状態を示している。映像信号は、表示帰線期間中はブランキング値を取らなければならないのでセレクタ32で、ブランキング期間中はブランキングデータレジスタ35の値に置き換え、正常な映像信号が得られるようになっている。
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、モード設定手段によって、背景色生成手段の色設定値を設定し、さらに選択手段に対して背景色生成手段から出力される映像信号を選択するよう指示することにより、この映像信号が背景映像信号として合成手段へ供給され、これにより、所望の色の背景映像信号が得られ、この背景映像信号の上の、合成制御信号に応じた領域に前景映像信号が合成されて出力されようにしたので、以下のような効果が得られる。
1.従来のように、全画面均一な特定色の背景映像を得るためのテスト用の映像信号を発生する背景映像信号発生装置を別途用意して接続する必要がなくなるので、全体の装置構成が簡素化され、装置価格を低減することができる。
2.従来必要であった背景映像信号発生装置との接続や切り替え操作が一切不要となるため、操作が簡便となり、誤操作を防止し能率的な運用が可能となる。
3.背景色を瞬時に変更することができるため、合成制御信号によるスーパーインポーズ効果の確認を能率的に行うことができ、かつ正確に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による映像信号合成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による映像信号合成装置の一部をなす映像信号混合器の構成示すブロック図である。
【図3】従来の映像信号処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】従来の映像信号処理装置の他の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…第1のフレームメモリ
11…第2のフレームメモリ
14…映像信号合成器
16・・マイコン (モード設定手段)
30・・混合回路 (合成手段)
31・・セレクタ (選択手段)
33・・背景色レジスタ (背景色生成手段)
34・・背景選択レジスタ (選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 供給される背景映像信号の上に、合成すべき領域を指定するための合成制御信号に応じて、前景映像信号を合成して出力する合成手段を有する映像信号処理装置において、任意に書き換えられる色設定値に応じた背景色の映像信号を生成する背景色生成手段と、前記背景色生成手段から出力される映像信号または本来合成すべき映像信号の内の指定された一方を択一選択して背景映像信号として前記合成手段へ供給する選択手段と、前記背景色生成手段の色設定値および前記選択手段の選択動作を設定するためのモード設定手段と、を具備することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】 前記前景映像信号および合成制御信号は、第1のフレームメモリから読み出されて供給されると共に、前記背景映像信号は第2のフレームメモリから読み出されて供給されることを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項3】 外部から供給される映像信号または前記第2のフレームメモリから読み出された映像信号の内の指定された一方を択一選択して背景映像信号として前記選択手段へ供給する背景信号選択手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の映像信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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