説明

映像信号多重伝送装置及び映像信号多重伝送装置を用いた撮像装置

【課題】従来、インターカムのサイドトーン機能は、アナログ音声信号回路で実現していたため、ノイズの混信があった。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するために、
デジタル音声信号の選択部と加算部と乗算部とを有し、
音声信号の混合レベル調整としてCPUの制御に従いデジタル音声信号の選択と加算後に係数を乗算することにより混合する音声レベルを整え、さらにレベルを整えた音声の選択と加算を行い、デジタル音声信号での信号処理によりインターカムのサイドトーン機能を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンカメラ装置等の撮像装置に用いる映像信号多重伝送装置における伝送方式の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョンカメラシステムでは撮像部(カメラヘッド)と接続されたアダプタ部と制御部(Camera Control Unit:CCU)との間で本線映像信号,送り返し映像信号,音声信号,コントロール用シリアルデータ信号,及び電源の送受信の時分割双方向伝送を3重同軸(トライアックス)ケーブル1本の伝送路で行う方法をデジタルトライアックスシステムと称する。簡易方法として伝送路に通常の同軸ケーブルも用いることもある。
【0003】
主な映像信号としてはSDTVとして有効走査線485本のNTSCと有効走査線575本のPAL、HDTVとして有効走査線720本と有効走査線1080本、SHDTVとして有効走査線2160本、UHDTVとして有効走査線4320本があり、以下代表として、NTSCで説明する。
【0004】
撮像部から出力されたNTSCの10bit4:2:2の放送用映像デジタル信号は270Mbpsのデータ量があり、送り返しの映像信号はデータ圧縮しても約50Mbpsのデータ量がある。時分割双方向伝送の場合、映像信号を時間圧縮し、約360Mbpsの信号にして短い時間で間欠的に撮像部と接続されたアダプタ部から制御部に伝送する。そして時間圧縮により空いた期間に、制御部から撮像部と接続されたアダプタ部の方向に360Mbpsに時間圧縮した送り返しの映像信号を短い時間で間欠的に伝送する。その処理を1秒間に数回の速度で入出力切換え器により切り替えを行なうことにより時分割双方向伝送を実現している(特許文献1)。
【0005】
さらに、インカムやマイク他の複数の音声信号の相互切替と混合レベル調整はアナログ回路で処理されていた。
【0006】
一方、デジタル/アナログのハイブリッド2線−4線変換部では、アナログ入力ポートを持つDSPを使用することにより、側音調整及びレべル調整調整をソフトウェアで行い、大幅に電気部品(抵抗、コンデンサ、OPアンプ等)の削減が実現していた(特許文献2)。
【特許文献1】特開平7−203399号公報
【特許文献2】特開2000−82979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、インターカムのサイドトーン機能は、カメラ部内でのサイドトーン調整回路により、アナログ音声信号で実現していたため、インターカムの受信ではノイズの混信があった。
【0008】
本発明は上記の課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、一つの伝送路を介して、デジタル化した映像信号、音声信号、制御信号を含むデジタル信号を双方向伝送する映像信号多重伝送装置において、デジタル音声信号の複数の選択部と複数の加算部と複数の乗算部とを有し、デジタル音声信号の相互切替と混合レベル調整を制御部の制御に従い選択と加算と乗算で行うことを特徴とする映像信号多重伝送装置である。
【0010】
さらに、上記において、CPUの制御に従いデジタル音声信号の選択と加算後に係数を乗算することにより混合する音声レベルを整え、さらにレベルを整えた音声の選択と加算を行うことを特徴とする映像信号多重伝送装置である。
【0011】
また、上記の映像信号多重伝送装置を具備する撮像装置である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したような本発明によれば、従来、インターカムの音声受信でのノイズの混信を大幅に減少させる事ができる。
【0013】
また、乗算器で構成されるレベル調整部を入力数と出力数の掛け算分の多数実装すれば、レベル調整部と出力信号の選択と加算の2段で実現できる。しかし以上説明した様に、選択と加算後に係数を乗算しレベルを整え、さらに選択と加算を行えば、乗算器で構成されるレベル調整部の数は、数ヶで済み、回路規模は少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例を示すブロック図の図1を用い、撮像部と制御部間の双方向伝送について説明し、撮像部の音声処理部を示すブロック図の図2で本発明の一実施例の動作について説明する。
【0015】
本発明の一実施例を示すブロック図の図1において、撮像部1とトライアックスケーブル2と制御部3で構成している。4は図示していない入射光を結像するためのレンズ部、7はレンズ部4で結像した光を光電変換する撮像素子、8は光電変換された映像信号をデジタル映像信号に変換するA/Dコンバータ(ADC)、9はデジタル映像信号を所定のレベルに増幅する事や輪郭強調等の処理を施す映像信号処理部である。10はデジタル映像信号とデジタル音声信号とCPUデータとを時分割多重する時分割合成部、13は双方向伝送の切換を行う切換部、5は撮像部1とトライアックスケーブル2とをつなぐ接栓で6はトライアックスケーブル2と制御部3をつなぐ接栓、14は双方向伝送の切換を行う切換部、15はデジタル映像信号とデジタル音声信号とCPUデータとを時分割多重を分離する時分割分離部、17は映像に信号処理を施す映像信号処理部である。
【0016】
撮像部1に入力されたMIC1入力信号,MIC2入力信号,INCOM1入力信号及びINCOM2入力信号のアナログ音声信号は、ADCによりデジタル音声信号に変換され、撮像部の音声処理部10の音声マトリックスに入力される。音声マトリックスの詳細は後に説明する。撮像部の音声処理部10から出力されたデジタル音声信号は、時分割合成部10に入力され、撮像部の映像信号やCPUデータと時分割合成され、時分割切替部13と制御部3に伝送される。制御部3では、撮像部1より伝送されてきたデータを受信し、CCU部内の時分割分離部15でデジタル映像信号やCPUデータ、デジタル音声信号に分離される。分離されたデジタル映像信号は、映像信号処理部17でデジタル処理され出力される。一方、デジタル音声信号は、制御部3の音声処理部18の音声マトリックスに入力される。制御部3の音声処理部18より出力されたデジタル音声信号は、DAC部により、アナログ音声信号に変換され、MIC1出力信号,MIC2出力信号,PD 出力信号,ENG出力信号として制御部3より出力される。
【0017】
また、制御部3に入力されたPGM1入力信号、PGM2入力信号、PD入力信号、ENG入力信号も制御部3及び撮像部1で同様の処理を行い、撮像部1よりPGM1出力信号、PGM2出力信号、INCOM1出力信号、INCOM2出力信号として出力される。
【0018】
次に撮像部の音声処理部10を示すブロック図の図2で本発明の一実施例の動作について説明する。
【0019】
MIC1信入力号、MIC2入力信号、INCOM1入力信号、INCOM2入力信号として撮像部1に入力された4つのアナログ音声信号は、ADCでデジタル音声信号に変換され、撮像部1の音声処理部10に入力される。この時、上記4つのデジタル音声信号は、撮像部1の音声処理部10を出力し、時分割合成部と接続されると同時に、撮像部音声処理部10で二つに信号に分割され、101から108の音声選択部に入力する。また、制御部3より入力されたPGM1入力信号、PGM2入力信号、PD入力信号及びENG入力信号は、制御部3から撮像部1に伝送され、撮像部1内の撮像部の音声処理部内の音声選択部に入力する。即ち、101から108の音声選択部には撮像部1に入力された4つのデジタル音声信号と制御部3から伝送されてきた4つのデジタル音声信号が入力された事となる。この時、101の音声選択部ではCPU部の制御によりINCOM1入力信号の選択と加算を行い、301の音声選択部では201のレベル調整部からの信号を選択と加算を行うとINCOM1出力には、INCOM1入力信号が出力される事となる。即ち、INCOM1出力では、INCOM1入力より入力された音声信号を受信する事になり、デジタル的にサイドトーン機能を実現できる事となる。
【0020】
また、上記と同様に102の音声選択部ではCPU部の制御により、INCOM2入力信号と制御部3から伝送されてきたPGM1入力信号の選択と加算を行い、302の音声選択部では202のレベル調整部からの出力信号を選択と加算を行うと、INCOM2出力にはINCOM2入力信号とPGM1入力信号を合成した音声信号が出力する事になり、この合成音声信号は、202のレベル調整部により、同時に2つの音声信号のレベル調整を行う事が可能となる。
【0021】
また、上記と同様に、CPU部からの制御により、103の音声選択部ではINCOM1入力信号の選択と加算を行い、104の音声選択部ではPGM2入力信号の選択と加算を行う。304の音声選択部では203のレベル調整部からの出力信号と204のレベル調整部からの出力信号の選択と加算を行うと、PGM1出力には、INCOM1入力信号と PGM2入力信号を合成した音声信号が出力する事になり、INCOM1入力信号のレベル調整は203のレベル調整部で、PGM2入力信号のレベル調整は204のレベル調整部でそれぞれ行う事が可能となる。
【0022】
なお、乗算器で構成されるレベル調整部を入力数と出力数の掛け算分の多数実装すれば、レベル調整部と出力信号の選択と加算の2段で実現できる。しかし以上説明した様に、選択と加算後に係数を乗算しレベルを整え、さらに選択と加算を行えば、乗算器で構成されるレベル調整部の数は、数ヶで済み、回路規模は少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例の全体構成を示すブロック図
【図2】撮像部の音声信号処理部の詳細を示すブロック図
【図3】従来の全体構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0024】
1,23:撮像部、2:トライアックスケーブル、3、20:制御部、
4:レンズ部、5、6:接栓、7:撮像素子、
8、501:A/Dコンバータ(ADC)、
9,11,17:映像信号処理部、
10,16:時分割合成部、12,15:時分割分離部
13,14:時分割切替部、18,19,21,22:音声処理部、
101〜107,301〜304:音声の選択と加算を行う音声選択部、
201〜204:音声レベル調整部、
401: D/Aコンバータ(DAC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの伝送路を介して、デジタル化した映像信号、音声信号、制御信号を含むデジタル信号を双方向伝送する映像信号多重伝送装置において、
デジタル音声信号の複数の選択部と複数の加算部と複数の乗算部とを有し、
デジタル音声信号の相互切替と混合レベル調整を制御部の制御に従い選択と加算と乗算で行うことを特徴とする映像信号多重伝送装置。
【請求項2】
請求項1の映像信号多重伝送装置を具備することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−38765(P2009−38765A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203485(P2007−203485)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】