説明

映像信号送信装置および伝送用映像信号生成プログラム、映像信号受信装置および伝送用映像信号変換プログラム、並びに、映像信号伝送システム

【課題】定輝度原理を満足する定輝度伝送を行いつつ、非線形変換の圧縮伸長に起因するSN比の低下を抑制することが可能な映像信号送信装置を提供する。
【解決手段】映像信号送信装置1は、線形信号の色信号を混合して輝度信号を生成する輝度信号生成手段10と、赤信号、青信号および緑信号から低域周波数成分の信号を抽出する帯域制限手段11と、抽出した各信号をダウンサンプルするダウンサンプル手段12と、輝度信号を非線形信号に変換する非線形変換手段13Aと、ダウンサンプルした各信号を非線形信号に変換する非線形変換手段13Bと、低域非線形赤信号、低域非線形青信号および低域非線形緑信号から色差信号とを生成する色差信号生成手段14と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号の伝送技術に係る映像信号送信装置および伝送用映像信号生成プログラム、映像信号受信装置および伝送用映像信号変換プログラム、並びに、映像信号伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン映像信号を伝送する手法として、カメラで撮影した、あるいは、電子的に生成した三原色の色信号であるR(赤)信号、G(緑)信号およびB(青)信号から、輝度信号と色差信号とを生成し伝送する手法が用いられている(非特許文献1参照)。
【0003】
ここで、図12を参照して、従来の輝度信号と色差信号とにより映像信号を伝送する手法(従来手法1)について説明する。まず、図12(a)に示すように、映像信号の送信装置1Bは、非線形変換手段(ガンマ補正手段)50によって、線形信号であるRGB信号に対してガンマ補正(受信装置2Bのガンマ特性の逆特性)を行うことで、信号レベルの小さい領域については信号を伸長し、信号レベルの大きい領域については信号の圧縮を行う処理(非線形圧縮伸長処理)を行う。これによって、線形信号であるRGB信号が、非線形信号であるRααα信号に変換される。
そして、送信装置1Bは、マトリクス変換手段51によって、ガンマ補正されたRααα信号に対して、以下の(1)式に示すマトリクス変換を行って、輝度信号Y′と、色差信号Cb′,Cr′とを生成する。
【0004】
【数1】

【0005】
ここで、r,g,bは輝度信号を生成するための係数で、例えば、HDTV信号規格であれば、r=0.2126、g=0.7152、b=0.0722である。
また、kcb,kcrは、(Bα−Y′)や(Rα−Y′)が元の信号(B(Bα),R(Rα))の約2倍のダイナミックレンジを持つため、色差信号Cb′,Cr′をそのダイナミックレンジ内に収めるための係数である。
【0006】
そして、送信装置1Bは、色差信号Cb′,Cr′に対して、帯域制限手段(LPF;低域通過フィルタ)52によって、低域周波数成分を抽出する帯域制限を行い、ダウンサンプル手段53によって、画素を水平方向、あるいは、水平垂直方向に1画素置きにダウンサンプルすることで、色差信号Cb′LD,Cr′LDに変換する。
これによって、送信装置1Bは、4:2:2形式、4:2:0形式等の信号(Y′,Cb′LD,Cr′LD)を生成する。
このように生成された輝度信号Y′と色差信号Cb′LD,Cr′LDとが受信側に送信される。
【0007】
一方、図12(b)に示すように、映像信号の受信装置2Bは、受信した映像信号のうち、色差信号Cb′LD,Cr′LDについては、アップサンプル手段60によって、アップサンプリングを行うことで、サンプル数および画素構造を輝度信号Y′と同じサンプル数および画素構造に戻す。
そして、受信装置2Bは、逆マトリクス変換手段61によって、前記(1)式の逆変換(逆マトリクス変換)を行うことで、Rααα信号を生成する。
そして、受信装置2Bは、線形変換手段62によって、Rααα信号に、送信装置1Bの非線形変換手段50におけるガンマ補正の逆特性を与えることで、RGB信号を生成する。なお、この線形変換手段62は、表示装置がCRT等のガンマ特性を有する表示装置であれば、当該表示装置に相当し、Rααα信号が、表示装置のガンマ特性を経た光として再生される。
【0008】
しかし、この手法では、マトリクス変換手段51において、ガンマ補正を行った非線形なRGB信号(Rααα信号)から、輝度信号と色差信号とを生成し、さらに、帯域制限手段52によって、色差信号を帯域制限している。そのため、受信装置2Bでは、輝度信号、色差信号からRGB信号を復元した際に、輝度情報を正しく再現できないという問題がある。これは、輝度を復元するための情報は、伝送用の輝度信号だけで伝送され、色信号に影響されないことが重要であるという定輝度原理を満足しないためである(非特許文献1参照)。
さらに、この手法では、色差信号への帯域制限が、非線形信号に対する帯域制限であるため、非線形信号に含まれる情報(高調波成分)の一部が帯域制限によって失われてしまい、色情報が正しく再現できないという問題もある。
【0009】
この問題を解決するには、輝度信号を線形なRGB信号から生成するとともに、非線形信号に対して帯域制限を行うのではなく、線形信号に対して帯域制限を行えばよい。このような手法として、HDTV(High Definition TeleVision)のアナログ伝送方式(MUSE方式)が採用した方式が存在する。
【0010】
ここで、図13を参照して、従来の輝度信号と色差信号とにより映像信号を伝送する他の手法(従来手法2)であるMUSE方式の伝送手法について説明する。
図13(a)に示すように、MUSE方式の送信装置1Cは、図12(a)で説明した送信装置1Bに対して、非線形変換手段50を、マトリクス変換手段51、帯域制限手段52やダウンサンプル手段53の後段に設けている。
【0011】
また、図13(b)に示すように、MUSE方式の受信装置2Cは、図12(b)で説明した受信装置2Bに対して、線形変換手段62を逆マトリクス変換手段61よりも前段に配置し、受信した輝度信号、色差信号を最初に線形信号に変換する構成としている。
すなわち、送信装置1Cでは、線形信号であるR,B信号と、線形信号である輝度信号Yの差信号R−Y,B−Yに対して帯域制限を行った後、ガンマ補正を行い伝送用の映像信号を生成している。
このようにMUSE方式の伝送手法では、定輝度原理を満足する定輝度伝送が可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】日下秀夫 監修,「カラー画像工学」,映像情報メディア学会,オーム社,1997年4月25日,pp.126−129
【非特許文献2】ITU-R BT.709:Parameter values for the HDTV standards for production and international programme exchange
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記したように、従来手法1は、定輝度原理を満足しないため、受信側において、輝度情報や色情報を正しく再現できないという問題がある。
一方、前記した従来手法2は、従来手法1に比べて、輝度情報や色情報を正しく再現することが可能である。しかし、従来手法2は、差信号R−Y(図11中、Cr等)、差信号B−Y(図11中、Cb等)に対して、非線形変換を行うため、振幅の大きな信号(差信号が大きい=高彩度部)において、振幅を圧縮する変換が行われることになる。
そのため、従来手法2は、高彩度部において、SN比(signal-to-noise ratio;信号対雑音比)が、低下するという問題がある。
【0014】
なお、従来のMUSE方式では、色差信号の非線形特性を輝度信号よりも緩やかな特性とするとともに、振幅を2倍にすることで、高彩度部のSN比の低下を抑制していた。しかし、アナログ映像信号において振幅を2倍にするということは、デジタル映像信号においてはビット数を増やす必要があり、映像信号のデータ量が増えてしまうという問題がある。
【0015】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、定輝度原理を満足する定輝度伝送を行いつつ、非線形変換(ガンマ補正)の圧縮伸長に起因するSN比の低下を抑制することが可能な映像信号送信装置および伝送用映像信号生成プログラム、映像信号受信装置および伝送用映像信号変換プログラム、並びに、映像信号伝送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前記課題を解決するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の映像信号送信装置は、入力された三原色の色信号である第1ないし第3色信号から伝送用の映像信号を生成して送信する映像信号送信装置において、輝度信号生成手段と、帯域制限手段と、ダウンサンプル手段と、非線形変換手段と、色差信号生成手段と、を備える構成とした。
【0017】
かかる構成において、映像信号送信装置は、輝度信号生成手段によって、線形信号である三原色の色信号を予め定めた混合比率で混合することで線形な輝度信号である線形輝度信号を生成する。このように、線形な色信号から輝度信号を生成することで、非線形な色信号から輝度信号を生成する場合に比べて、より正確な輝度信号を生成することができる。
そして、映像信号送信装置は、帯域制限手段によって、第1ないし第3色信号から低域周波数成分の信号を抽出し、ダウンサンプル手段によって、抽出した各信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。なお、帯域制限手段やダウンサンプル手段は、4:2:2形式や4:2:0形式等で予め定められた周波数やサンプル比に応じて帯域制限やダウンサンプルを行えばよい。
【0018】
そして、映像信号送信装置は、非線形変換手段によって、ダウンサンプル手段でダウンサンプルした各信号と、輝度信号生成手段で生成した輝度信号とを、非線形変換により非線形信号に変換する。この輝度信号を非線形信号に変換した非線形輝度信号が、伝送用の映像信号の一部となる。
【0019】
そして、映像信号送信装置は、色差信号生成手段によって、非線形変換手段で変換した第1色信号に対応する低域非線形第1色信号と、第2色信号に対応する低域非線形第2色信号と、第3色信号に対応する低域非線形第3色信号との3つの色信号から、予め定めた2種類の混合比率で混合することで、2つの色差信号を生成する。このように、映像信号送信装置は、非線形信号に変換した後の信号から色差信号を生成する。この2つの色差信号が、伝送用の映像信号の一部となる。
【0020】
なお、4:2:2形式や4:2:0形式といった色差信号を帯域制限した信号は、高域周波数成分については輝度情報のみを伝送することと等価であり、ディスプレイで再生される映像信号は、RGB信号のそれぞれの低域周波数成分と、輝度信号の高域周波数成分である。
【0021】
すなわち、本発明に係る映像信号送信装置は、色差信号によって、RGB信号のそれぞれの低域周波数成分が伝送され、輝度情報の高域周波数成分は、輝度信号に含まれる高域周波数成分によって伝送されることになり、4:2:2形式等の信号形式の条件を満足するものである。
【0022】
また、請求項2に記載の伝送用映像信号生成プログラムは、入力された三原色の色信号である第1ないし第3色信号から伝送用の映像信号を生成するために、コンピュータを、輝度信号生成手段、帯域制限手段、ダウンサンプル手段、非線形変換手段、色差信号生成手段、として機能させる構成とした。
【0023】
かかる構成において、伝送用映像信号生成プログラムは、輝度信号生成手段によって、線形信号である三原色の色信号を予め定めた混合比率で混合することで線形な輝度信号である線形輝度信号を生成する。
そして、伝送用映像信号生成プログラムは、帯域制限手段によって、第1ないし第3色信号から低域周波数成分の信号を抽出し、ダウンサンプル手段によって、抽出した各信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。
【0024】
そして、伝送用映像信号生成プログラムは、非線形変換手段によって、ダウンサンプル手段でダウンサンプルした各信号と、輝度信号生成手段で生成した輝度信号とを、非線形変換により非線形信号に変換する。
そして、伝送用映像信号生成プログラムは、色差信号生成手段によって、非線形変換手段で変換した第1色信号に対応する低域非線形第1色信号と、第2色信号に対応する低域非線形第2色信号と、第3色信号に対応する低域非線形第3色信号との3つの色信号から、予め定めた2種類の混合比率で混合することで、2つの色差信号を生成する。
【0025】
さらに、請求項3に記載の映像信号受信装置は、三原色の色信号である第1ないし第3色信号から生成した輝度信号を非線形変換した非線形輝度信号と、前記色信号、または、前記色信号および前記輝度信号から低域周波数成分を抽出しダウンサンプルした後に非線形変換した信号から生成した色差信号とを伝送用の映像信号として受信して、色信号に変換する映像信号受信装置であって、線形変換手段と、帯域制限手段と、ダウンサンプル手段と、非線形変換手段と、色信号生成手段と、第2の線形変換手段と、アップサンプル手段と、高域信号生成手段と、高域信号加算手段と、を備える構成とした。
【0026】
かかる構成において、映像信号受信装置は、線形変換手段によって、送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、非線形輝度信号を線形輝度信号に変換する。なお、非線形輝度信号は、送信側において、線形信号である色信号から生成した輝度信号に非線形変換を行ったものであるため、この非線形変換の逆特性を与えることで、輝度信号が正確に再現される。
【0027】
そして、映像信号受信装置は、帯域制限手段によって、線形輝度信号から低域周波数成分を抽出し、ダウンサンプル手段によって、予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。これによって、輝度信号の低域周波数成分がダウンサンプリングされた信号(低域線形輝度信号)が生成される。
【0028】
さらに、映像信号受信装置は、非線形変換手段によって、低域線形輝度信号を非線形信号(低域非線形輝度信号)に変換する。
そして、映像信号受信装置は、色信号生成手段によって、低域非線形輝度信号と、2つの色差信号とから、低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを生成する。
【0029】
さらに、映像信号受信装置は、第2の線形変換手段によって、送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを、線形信号である低域線形第1色信号と低域線形第2色信号と低域線形第3色信号とに変換する。
【0030】
そして、映像信号受信装置は、アップサンプル手段によって、低域線形第1色信号、低域線形第2色信号および低域線形第3色信号を、線形輝度信号と同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルする。
【0031】
そして、映像信号受信装置は、高域信号生成手段によって、線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する。
そして、映像信号受信装置は、高域信号加算手段によって、低域線形第1色信号、低域線形第2色信号および低域線形第3色信号に高域輝度信号を加算する。これによって、映像信号受信装置は、色信号を再生することができる。
【0032】
また、請求項4に記載の映像信号受信装置は、請求項3に記載の映像信号受信装置において、前記高域信号生成手段が、減算手段を備える構成とした。
【0033】
かかる構成において、映像信号受信手段は、高域信号生成手段の減算手段によって、線形輝度信号から、帯域制限手段で抽出した低域周波数成分の信号を減算する。これによって、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を抽出することができる。
【0034】
また、請求項5に記載の映像信号受信装置は、請求項3に記載の映像信号受信装置において、前記高域信号生成手段が、輝度信号生成手段と、アップサンプル手段と、減算手段と、を備える構成とした。
【0035】
かかる構成において、映像信号受信手段は、高域信号生成手段の輝度信号生成手段によって、低域線形第1色信号、低域線形第2色信号および低域線形第3色信号から、低域線形輝度信号を生成する。そして、映像信号受信手段は、高域信号生成手段のアップサンプル手段によって、輝度信号生成手段で生成した低域線形輝度信号を、線形輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルする。
そして、映像信号受信手段は、高域信号生成手段の減算手段によって、線形輝度信号から、アップサンプル手段でアップサンプルした低域線形輝度信号を減算する。これによって、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を抽出することができる。
【0036】
また、請求項6に記載の伝送用映像信号変換プログラムは、三原色の色信号である第1ないし第3色信号から生成した輝度信号を非線形変換した非線形輝度信号と、前記色信号、または、前記色信号および前記輝度信号から低域周波数成分を抽出しダウンサンプルした後に非線形変換した信号から生成した色差信号とを伝送用の映像信号として受信して、色信号に変換するために、コンピュータを、線形変換手段、帯域制限手段、ダウンサンプル手段、非線形変換手段、色信号生成手段、第2の線形変換手段、アップサンプル手段、高域信号生成手段、高域信号加算手段、として機能させる構成とした。
【0037】
かかる構成において、伝送用映像信号変換プログラムは、線形変換手段によって、送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、非線形輝度信号を線形輝度信号に変換する。
そして、伝送用映像信号変換プログラムは、帯域制限手段によって、線形輝度信号から低域周波数成分を抽出し、ダウンサンプル手段によって、予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。これによって、輝度信号の低域周波数成分がダウンサンプリングされた信号(低域線形輝度信号)が生成される。
【0038】
さらに、伝送用映像信号変換プログラムは、非線形変換手段によって、低域線形輝度信号を非線形信号(低域非線形輝度信号)に変換する。
そして、伝送用映像信号変換プログラムは、色信号生成手段によって、低域非線形輝度信号と2つの色差信号とから、低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを生成する。
【0039】
さらに、伝送用映像信号変換プログラムは、第2の線形変換手段によって、送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを、線形信号である低域線形第1色信号と低域線形第2色信号と低域線形第3色信号とに変換する。
【0040】
そして、伝送用映像信号変換プログラムは、アップサンプル手段によって、低域線形第1色信号、低域線形第2色信号および低域線形第3色信号を、線形輝度信号と同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルする。
そして、伝送用映像信号変換プログラムは、高域信号生成手段によって、線形輝度信号から、線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する。
【0041】
そして、伝送用映像信号変換プログラムは、高域信号加算手段によって、低域線形第1色信号、低域線形第2色信号および低域線形第3色信号に高域輝度信号を加算する。これによって、映像信号受信装置は、色信号を再生することができる。
【0042】
また、請求項7に記載の映像信号伝送システムは、三原色の色信号である第1ないし第3色信号から伝送用の映像信号を生成して送信する映像信号送信装置と、前記映像信号を受信して、当該映像信号を前記色信号に変換する映像信号受信装置とからなる映像信号伝送システムであって、前記映像信号送信装置は、輝度信号生成手段と、帯域制限手段と、ダウンサンプル手段と、非線形変換手段と、色差信号生成手段と、を備え、前記映像信号受信装置は、線形変換手段と、第2の帯域制限手段と、第2のダウンサンプル手段と、第2の非線形変換手段と、色信号生成手段と、第2の線形変換手段と、アップサンプル手段と、高域信号生成手段と、高域信号加算手段と、を備える構成とした。
【0043】
かかる構成において、映像信号伝送システムは、映像信号の送信側の映像信号送信装置が、輝度信号生成手段によって、線形信号である三原色の色信号を予め定めた混合比率で混合することで線形な輝度信号である線形輝度信号を生成する。
そして、映像信号送信装置は、帯域制限手段によって、第1ないし第3色信号から低域周波数成分の信号を抽出し、ダウンサンプル手段によって、抽出した各信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。
【0044】
そして、映像信号送信装置は、非線形変換手段によって、ダウンサンプル手段でダウンサンプルした各信号と、輝度信号生成手段で生成した輝度信号とを、非線形変換により非線形信号に変換する。この輝度信号を非線形信号に変換した非線形輝度信号が、伝送用の映像信号の一部となる。
【0045】
そして、映像信号送信装置は、色差信号生成手段によって、低域周波数成分である低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号との3つの色信号から、予め定めた2種類の混合比率で混合することで、2つの色差信号を生成する。この2つの色差信号が、伝送用の映像信号の一部となる。
【0046】
そして、映像信号の受信側の映像信号受信装置は、線形変換手段によって、送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、非線形輝度信号を線形輝度信号に変換する。
そして、映像信号受信装置は、第2の帯域制限手段によって、線形輝度信号から低域周波数成分を抽出し、第2のダウンサンプル手段によって、予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする。これによって、輝度信号の低域周波数成分がダウンサンプリングされた信号(低域線形輝度信号)が生成される。
【0047】
さらに、映像信号受信装置は、第2の非線形変換手段によって、低域線形輝度信号を非線形信号(低域非線形輝度信号)に変換する。
そして、映像信号受信装置は、色信号生成手段によって、低域非線形輝度信号と、2つの色差信号とから、低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを生成する。
【0048】
さらに、映像信号受信装置は、第2の線形変換手段によって、送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを、線形信号である低域線形第1色信号と低域線形第2色信号と低域線形第3色信号とに変換する。
【0049】
そして、映像信号受信装置は、アップサンプル手段によって、低域線形第1色信号、低域線形第2色信号および低域線形第3色信号を、線形輝度信号と同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルする。
【0050】
そして、映像信号受信装置は、高域信号生成手段によって、線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する。
【0051】
そして、映像信号受信装置は、高域信号加算手段によって、低域線形第1色信号、低域線形第2色信号および低域線形第3色信号に高域輝度信号を加算する。これによって、映像信号受信装置は、色信号を再生することができる。
【0052】
また、請求項8に記載の映像信号伝送システムは、請求項7に記載の映像信号伝送システムにおいて、前記高域信号生成手段が、減算手段を備える構成とした。
【0053】
かかる構成において、映像信号伝送システムは、高域信号生成手段の減算手段によって、線形輝度信号から、第2の帯域制限手段で抽出した低域周波数成分の信号を減算する。これによって、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を抽出することができる。
【0054】
また、請求項9に記載の映像信号伝送システムは、請求項7に記載の映像信号伝送システムにおいて、前記高域信号生成手段が、第2の輝度信号生成手段と、第2のアップサンプル手段と、減算手段と、を備える構成とした。
【0055】
かかる構成において、映像信号伝送システムは、高域信号生成手段の第2の輝度信号生成手段によって、低域線形第1色信号、低域線形第2色信号および低域線形第3色信号から、低域線形輝度信号を生成する。そして、映像信号伝送システムは、高域信号生成手段の第2のアップサンプル手段によって、輝度信号生成手段で生成した低域線形輝度信号を、線形輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルする。
そして、映像信号伝送システムは、高域信号生成手段の減算手段によって、線形輝度信号から、アップサンプル手段でアップサンプルした低域線形輝度信号を減算する。これによって、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を抽出することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
請求項1〜9に記載の発明によれば、線形な色信号から輝度信号を生成するため、より正確な輝度信号を生成することができ、輝度を復元するための情報を、伝送用の輝度信号によって正しく伝送することができる。これによって、請求項1〜9に記載の発明は、定輝度原理を満足した輝度の伝送が可能になり、受信側において正しく輝度の情報を再現することが可能になる。
【0057】
また、請求項1〜9に記載の発明によれば、線形な色信号を帯域制限およびダウンサンプルした後に非線形信号に変換するため、非線形信号に含まれる情報が帯域制限によって失われることがない。これによって、請求項1〜9に記載の発明は、色の情報を低歪みで再現することが可能になる。
【0058】
さらに、請求項1〜9に記載の発明によれば、非線形信号に変換した後の輝度信号や色信号から色差信号を生成するため、従来のように、色差信号に非線形変換を行うことで色差信号の振幅の大きな信号(高彩度部)が圧縮されることがない。これによって、請求項1〜9に記載の発明は、映像信号のビット数を増加させずに低歪みで映像信号を伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係る映像信号伝送システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る映像信号送信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る映像信号受信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る映像信号受信装置の変形例の構成を示すブロック構成図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る映像信号送信装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る映像信号受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る映像信号送信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る映像信号受信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る映像信号受信装置の変形例の構成を示すブロック構成図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る映像信号送信装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係る映像信号受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】従来の映像信号を伝送する手法(従来手法1)を説明するための図であって、(a)は送信装置、(b)は受信装置の構成を示すブロック構成図である。
【図13】従来の映像信号を伝送する手法(従来手法2)を説明するための図であって、(a)は送信装置、(b)は受信装置の構成を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[映像信号伝送システムの構成]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る映像信号伝送システムの構成について説明する。
【0061】
映像信号伝送システムS(S)は、デジタル映像信号(以下、単に映像信号という)を、輝度信号と2つの色差信号とで扱うYCCコンポーネント方式の伝送システムである。
この映像信号伝送システムS(S)は、図1に示すように、伝送路Nを介して映像信号を伝送する。ここでは、映像信号伝送システムS(S)は、映像信号を送信する側に映像信号送信装置1(1B)を備え、伝送路Nを介して映像信号を受信する側に映像信号受信装置2(2B)を備えている。
【0062】
映像信号送信装置1(1B)は、三原色の色信号であるR(赤)信号、G(緑)信号およびB(青)信号から伝送用の映像信号を生成して送信するものである。
この映像信号送信装置1(1B)は、カメラCから入力したRGB信号から、輝度信号と色差信号とを生成し、ケーブル、通信回線等の伝送路Nを介して、映像信号受信装置2に送信する。また、ここでは、映像信号送信装置1(1B)は、RGB信号をカメラCから入力しているが、映像信号を電子的に生成する装置、例えば、CG装置等から入力する構成であっても構わない。
【0063】
映像信号受信装置2(2B)は、輝度信号と色差信号とを受信し、当該信号からRGB信号を生成し出力するものである。
この映像信号受信装置2(2B)は、伝送路Nを介して、映像信号送信装置1(1B)から、輝度信号と色差信号とを受信し、RGB信号として表示装置Dに出力する。なお、表示装置Dは、映像信号受信装置2(2B)の内部に備える構成であっても構わない。
【0064】
また、映像信号受信装置2(2B)が出力したRGB信号を、各種の映像信号処理装置で処理した後、再び映像信号伝送システムで伝送してもよい。
以下、本発明の第1実施形態に係る映像信号送信装置1および映像信号受信装置2の構成および動作と、本発明の第2実施形態に係る映像信号送信装置1Bおよび映像信号受信装置2Bの構成および動作とについて順次説明する。
【0065】
〔第1実施形態:映像信号送信装置の構成〕
最初に、図2を参照(適宜図1参照)して、本発明の第1実施形態に係る映像信号送信装置1の構成について説明を行う。ここでは、映像信号送信装置1は、輝度信号生成手段10と、帯域制限手段11と、ダウンサンプル手段12と、非線形変換手段13A,13Bと、色差信号生成手段14と、を備えている。なお、映像信号送信装置1は、RGB信号を入力する入力手段や、輝度信号と色差信号とを、伝送路Nを介して、映像信号受信装置2に出力する出力手段も備えるが、ここでは図示を省略する。また、各手段の処理遅延を補正するための遅延手段(遅延回路)についても、ここでは図示を省略する。
【0066】
また、この映像信号送信装置1に入力されるRGB信号は、その信号レベルと光強度とが線形な関係を有する線形信号とする。なお、RGB信号がガンマ補正された非線形信号である場合は、入力したRGB信号に逆ガンマ特性により線形信号に変換する線形変換手段(図示せず)をさらに備えることとする。
【0067】
輝度信号生成手段10は、入力手段(不図示)を介して入力した線形信号であるRGB信号を予め定めた混合比率で混合することで輝度信号を生成するものである。この輝度信号生成手段10は、以下の(2)式に示す混合式によって、輝度信号Yを生成する。
【0068】
【数2】

【0069】
ここで、r,g,bは輝度信号を生成するための係数である。この係数は、RGB信号から輝度信号を生成する一般的な規格に準拠すればよく、例えば、HDTV信号規格であれば、r=0.2126、g=0.7152、b=0.0722である。あるいは、厳密に輝度を表すことにはならないが、これらを簡略化して、r=0.2、g=0.7、b=0.1等としてもよい。
この輝度信号生成手段10は、生成した輝度信号Yを、非線形変換手段13Aに出力する。
【0070】
帯域制限手段11は、入力手段(不図示)を介して入力したR信号、G信号、B信号とから、それぞれ予め定めた低域周波数成分の信号(R,G,B)を抽出するものである。この帯域制限手段11は、一般的な低域通過フィルタによって構成することができる。
【0071】
また、この低域周波数成分は、後記するダウンサンプル手段12におけるダウンサンプルの度合いに応じて予め定まるもので、例えば、ダウンサンプルを1/2にする場合であれば、周波数成分の低域周波数側の半分の成分とする。
【0072】
すなわち、例えば、映像信号の伝送形式を4:2:2形式とする場合、帯域制限手段11は、水平の1次元フィルタで構成することができ、水平方向の周波数成分のうち低域周波数側の半分の帯域の信号のみを通過させるものとする。また、例えば、映像信号の伝送形式を4:2:0形式とする場合、帯域制限手段11は、水平垂直の2次元フィルタで構成することができ、水平方向および垂直方向の周波数成分のうちそれぞれ低域周波数側の半分の帯域の信号のみを通過させるものとする。
この帯域制限手段11は、抽出した各信号(R,G,B)を、ダウンサンプル手段12に出力する。
【0073】
ダウンサンプル手段12は、帯域制限手段11で抽出した各信号(R,G,B)を予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルするものである。
このサンプリング間隔は、映像信号の伝送形式に応じて予め定められている間隔である。例えば、映像信号の伝送形式を4:2:2形式とする場合、ダウンサンプル手段12は、画素を水平方向に1画素置きにダウンサンプルする。また、例えば、映像信号の伝送形式を4:2:0形式とする場合、ダウンサンプル手段12は、画素を水平方向、垂直方向ともに1画素置きにダウンサンプルする。
【0074】
なお、帯域制限手段11におけるフィルタ特性と、ダウンサンプル手段12におけるダウンサンプル比とを変えることで、4:2:2形式や4:2:0形式以外の形式、例えば、3:1:1形式等所望のサンプル数比とすることが可能である。
このダウンサンプル手段12は、ダウンサンプルした各信号(RLD,GLD,BLD)を、非線形変換手段13Bに出力する。
【0075】
非線形変換手段13A,13Bは、入力した線形信号を非線形信号に変換するものである。ここで、非線形変換手段13Aは、輝度信号生成手段10で生成した線形信号である輝度信号Yを、非線形信号に変換する。また、非線形変換手段13Bは、ダウンサンプル手段12でダウンサンプルした線形信号である各信号(RLD,GLD,BLD)を、非線形信号に変換する。
この非線形変換は、信号レベルの小さい領域については信号を伸長し、信号レベルの大きい領域については信号の圧縮を行う処理(非線形圧縮伸長処理)である。一般的に、非線形変換は、以下の(3)式や(4)式で表すことができる。
【0076】
【数3】

【0077】
ここで、Eは非線形変換前の線形信号、E′は非線形変換後の非線形信号、α,a,b,c,dは係数を表している。なお、Eが小さい領域については、E′=eE(eは係数)で表される線形特性を与える場合もある。
例えば、HDTV信号規格では、線形信号Eから非線形信号E′への変換式は、以下の(5)式に示すように規定されている。
【0078】
【数4】

【0079】
非線形変換手段13A,13Bは、この(5)式を用いて非線形変換を行うこととしてもよい。なお、ここでは、前記(3)式を簡略化し、a=1,b=0,c=0とすることで、Eα(αのべき乗表記)を、非線形変換手段13A,13Bにおける非線形変換後の非線形信号の表記とする。
【0080】
すなわち、非線形変換手段13Aは、輝度信号生成手段10で生成した輝度信号Yを非線形変換することで、非線形輝度信号Yαに変換する。
また、非線形変換手段13Bは、ダウンサンプル手段12でダウンサンプルした信号RLDを非線形変換することで、低域非線形赤信号RLDαに変換し、信号GLDを低域非線形緑信号GLDαに変換し、信号BLDを低域非線形青信号BLDαに変換する。
【0081】
この非線形変換手段13Bは、変換した低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαを、色差信号生成手段14に出力する。
また、非線形変換手段13Aで変換した非線形輝度信号Yαは、外部に出力する伝送用の映像信号の一部となる。
【0082】
色差信号生成手段14は、非線形変換手段13Bで変換した低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαから、色差信号を生成するものである。この色差信号生成手段14は、各色信号RLDα,GLDα,BLDαから、以下の(6)式に示す混合式によって、色差信号CbLDαと色差信号CrLDαとを生成する。
【0083】
【数5】

【0084】
ここで、rCb,gCb,bCb、rCr,gCr,bCrは、色差信号を生成するための係数で、例えば、HDTV信号規格であれば、rCb=−0.2126/1.8556、gCb=−0.7152/1.8556、bCb=0.5、rCr=0.5、gCr=−0.7152/1.5748、bCr=−0.0722/1.5748である。
【0085】
この色差信号生成手段14で生成した色差信号CbLDα,CrLDαは、外部に出力する伝送用の映像信号の一部となる。
このように、非線形変換手段13Aで変換した非線形輝度信号Yαと、色差信号生成手段14で生成した色差信号CbLDα,CrLDαは、図示を省略した出力手段を介して、映像信号受信装置2に送信される。
【0086】
以上、本発明の第1実施形態に係る映像信号送信装置1の構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この映像信号送信装置1をソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる伝送用映像信号生成プログラムによって動作させることができる。
【0087】
〔第1実施形態:映像信号受信装置の構成〕
次に、図3を参照(適宜図1参照)して、本発明の第1実施形態に係る映像信号受信装置2の構成について説明を行う。ここでは、映像信号受信装置2は、線形変換手段20と、帯域制限手段21と、ダウンサンプル手段22と、非線形変換手段23と、色信号生成手段24と、線形変換手段25と、アップサンプル手段26と、高域信号生成手段27と、高域信号加算手段28と、を備えている。なお、映像信号受信装置2は、伝送路Nを介して、輝度信号と色差信号とを入力する入力手段や、RGB信号を出力する出力手段も備えるが、ここでは図示を省略する。また、各手段の処理遅延を補正するための遅延手段(遅延回路)についても、ここでは図示を省略する。
【0088】
線形変換手段20は、映像信号送信装置1から送信され、入力手段(不図示)を介して入力した輝度信号(非線形輝度信号Yα)を、映像信号送信装置1において行う非線形変換の逆特性を与えることにより、線形な輝度信号(線形輝度信号Y)に変換するものである。なお、この非線形輝度信号Yαは、映像信号送信装置1において、前記(2)式によって、線形信号であるRGB信号から生成された後、非線形変換されたものであるため、線形変換手段20において、その非線形変換の逆特性による変換を行うことで、(線形)輝度信号Yが正しく再現されることになる。
この線形変換手段20は、変換した線形輝度信号Yを、帯域制限手段21と高域信号生成手段27とに出力する。
【0089】
帯域制限手段21は、線形変換手段20で変換した線形輝度信号Yから、予め定めた低域周波数成分(Y)を抽出するものである。なお、この帯域制限手段21が抽出する低域周波数成分は、後記するダウンサンプル手段22におけるダウンサンプルの度合いに応じて予め定まるものである。この帯域制限手段21は、入力する信号の数が異なるだけで、映像信号送信装置1の帯域制限手段11(図2参照)と同様の機能を有するものである。よって、ここでは、機能の詳細な説明について省略する。
この帯域制限手段21は、抽出した信号(Y)を、ダウンサンプル手段22に出力する。
【0090】
ダウンサンプル手段22は、帯域制限手段21で抽出した信号(Y)を予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルするものである。このサンプリング間隔は、映像信号の伝送形式に応じて予め定められている間隔である。例えば、映像信号送信装置1から送信される映像信号の伝送形式を4:2:2形式とする場合、ダウンサンプル手段22は、画素を水平方向に1画素置きにダウンサンプルする。また、例えば、映像信号送信装置1から送信される映像信号の伝送形式を4:2:0形式とする場合、ダウンサンプル手段22は、画素を水平方向、垂直方向ともに1画素置きにダウンサンプルする。
【0091】
すなわち、ダウンサンプル手段22は、映像信号送信装置1のダウンサンプル手段12(図2参照)と同様のダウンサンプルを行う。
このダウンサンプル手段22は、ダウンサンプルした線形信号である信号(YLD)を、非線形変換手段23に出力する。
【0092】
非線形変換手段23は、ダウンサンプル手段22でダウンサンプルした線形信号である信号(YLD)を、非線形変換により非線形信号に変換するものである。なお、この非線形変換は、映像信号送信装置1の非線形変換手段13(図2参照)が行う非線形変換と同一の変換である。
この非線形変換手段23は、変換した輝度信号(低域非線形輝度信号YLDα)を、色信号生成手段24に出力する。
【0093】
色信号生成手段24は、非線形変換手段23で変換した低域非線形輝度信号YLDαと、映像信号送信装置1から送信され、入力手段(不図示)を介して入力した色差信号CbLDα,CrLDαとから、低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαを生成するものである。
【0094】
この色信号生成手段24は、映像信号送信装置1の色差信号生成手段14(図2参照)において、前記(6)式によって、色差信号CbLDα,CrLDαを演算する場合、以下の(7)式により、低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαを生成する。
【0095】
【数6】

【0096】
ここで、(7)式は、前記(2)式および(6)式の逆変換式であり、y,cbR,crR,y,cbG,crG,y,cbB,crBは、輝度信号および色差信号から赤信号、緑信号および青信号を生成するための係数で、例えば、HDTV信号規格であれば、y=1,cbR=0,crR=1.5748,y=1,cbG=−0.0722×1.8556/0.7152,crG=−0.2126×1.5748/0.7152,y=1,cbB=1.8556,crB=0である。
【0097】
この色信号生成手段24は、生成した色信号である低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαを、線形変換手段25に出力する。
【0098】
線形変換手段25は、色信号生成手段24で生成した低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαを、映像信号送信装置1の非線形変換手段13B(図2参照)において行う非線形変換の逆特性を与えることにより、線形信号である低域線形赤信号RLD、低域線形緑信号GLDおよび低域線形青信号BLDにそれぞれ変換するものである。
この線形変換手段25は、変換した低域線形赤信号RLD、低域線形緑信号GLDおよび低域線形青信号BLDを、アップサンプル手段26に出力する。
【0099】
アップサンプル手段26は、線形変換手段25で変換した低域線形緑信号GLD、低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDを、(線形)輝度信号Yと同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルするものである。
【0100】
例えば、映像信号送信装置1から送信される映像信号の伝送形式が4:2:2形式である場合、アップサンプル手段26は、水平方向に1画素ごとに画素の挿入を行う。また、映像信号送信装置1から送信される映像信号の伝送形式が4:2:0形式である場合、アップサンプル手段26は、水平方向、垂直方向ともに1画素ごとに画素の挿入を行う。なお、ここで、画素の挿入は、隣接画素からの補間フィルタより求めた画素値の画素を挿入する。
【0101】
このアップサンプル手段26は、アップサンプルした低域線形赤信号R、低域線形緑信号Gおよび低域線形青信号Bを、高域信号加算手段28に出力する。
【0102】
高域信号生成手段27は、線形変換手段20で変換した線形輝度信号Yから、高域周波数成分の信号(高域輝度信号Y)を抽出するものである。ここでは、高域信号生成手段27を、減算手段271で構成している。
減算手段271は、線形変換手段20で変換した線形輝度信号Yから、アップサンプル手段26でアップサンプルした低域線形輝度信号Yを減算することで、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号Yを生成する。
【0103】
なお、この高域信号生成手段27は、線形輝度信号Yから、予め定めた高域周波数成分を抽出するものとして構成してもよい。この場合、高域信号生成手段27は、一般的な高域通過フィルタによって構成することができる。また、この高域周波数成分は、帯域制限手段21において行う低域周波数成分の残りの高域側の成分として予め定めておくものとする。なお、高域信号生成手段27を高域通過フィルタで構成する場合、高域信号生成手段27は、帯域制限手段21で帯域制限した低域線形輝度信号Yを使用しない。
この高域信号生成手段27は、生成した高域輝度信号Yを、高域信号加算手段28に出力する。
【0104】
高域信号加算手段28は、アップサンプル手段26でアップサンプルした低域線形赤信号Rと、低域線形緑信号Gと、低域線形青信号Bとに、それぞれ高域輝度信号Yを加算することで、RGB信号を生成するものである。すなわち、高域信号加算手段28は、以下の(8)式によって、RGB信号を生成する。
【0105】
【数7】

【0106】
このように、高域信号加算手段28は、RGB信号の帯域制限した低域周波数成分の信号(R,G,B)と、輝度信号の高域周波数成分の信号(Y)とから、RGB信号を生成することができる。
【0107】
以上、本発明の第1実施形態に係る映像信号受信装置2の構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この映像信号受信装置2をソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる伝送用映像信号変換プログラムによって動作させることができる。
【0108】
なお、映像信号受信装置2は、図4に示すように、変形することも可能である。
ここで、図4を参照して、第1実施形態に係る映像信号受信装置2の変形例について説明する。図4に示した映像信号受信装置2aは、映像信号受信装置2の高域信号生成手段27を、高域信号生成手段27Bに替えて構成している。高域信号生成手段27B以外の構成については、映像信号受信装置2(図3参照)と同じである。
【0109】
高域信号生成手段27Bは、線形変換手段20で変換した線形輝度信号Yから、高域周波数成分の信号(高域輝度信号Y)を抽出するものであるが、内部で低域線形輝度信号Yを生成している点が、映像信号受信装置2の高域信号生成手段27とは異なっている。ここでは、高域信号生成手段27Bは、減算手段271と、輝度信号生成手段272と、アップサンプル手段273と、を備えている。なお、減算手段271は、低域線形輝度信号Yの入力元が異なるのみで、映像信号受信装置2の高域信号生成手段27と同一のものである。
【0110】
輝度信号生成手段272は、線形変換手段25で変換した低域線形赤信号RLD、低域線形緑信号GLDおよび低域線形青信号BLDから、低域線形輝度信号YLDを生成するものである。この輝度信号生成手段272は、以下の(9)式によって、低域線形輝度信号YLDを生成する。
【0111】
【数8】

【0112】
ここで、r,g,bは、映像信号送信装置1の輝度信号生成手段10(図2参照)において、前記(2)式で用いた係数と同じものである。
この輝度信号生成手段272は、生成した低域線形輝度信号YLDを、アップサンプル手段273に出力する。
【0113】
アップサンプル手段273は、輝度信号生成手段272で生成した低域線形輝度信号YLDを、(線形)輝度信号Yと同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルするものである。なお、このアップサンプル手段273におけるアップサンプルの処理内容は、入出力信号が異なるのみで、アップサンプル手段26と同一であるため、説明を省略する。
このアップサンプル手段273は、アップサンプルした低域線形輝度信号Yを、減算手段271に出力する。
このように、映像信号受信装置2aを構成しても、映像信号受信装置2(図3参照)と同一の作用効果を奏することができる。
【0114】
[第1実施形態:映像信号伝送システムの動作]
次に、本発明の第1実施形態に係る映像信号伝送システムSの動作について説明する。なお、以下では、映像信号送信装置1の動作、映像信号受信装置2の動作について順次説明を行う。
【0115】
〔第1実施形態:映像信号送信装置の動作〕
最初に、図5を参照(適宜図1,図2参照)して、映像信号送信装置1の動作について説明する。
【0116】
まず、映像信号送信装置1は、図示を省略した入力手段によって、外部から映像信号を入力する(ステップS1)。なお、この映像信号は、線形信号である三原色信号(RGB信号)である。
そして、映像信号送信装置1は、輝度信号生成手段10によって、ステップS1で入力したRGB信号を予め定めた混合比率で混合することで輝度信号Yを生成する(ステップS2)。具体的には、輝度信号生成手段10は、前記(2)式によって輝度信号Yを生成する。
【0117】
そして、映像信号送信装置1は、帯域制限手段11によって、ステップS1で入力したR信号,G信号,B信号とから、予め定めた低域周波数成分(R,G,B)を抽出する(ステップS3)。
さらに、映像信号送信装置1は、ダウンサンプル手段12によって、ステップS3で抽出した各信号(R,G,B)を、伝送形式(4:2:2形式、4:2:0形式等)により予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルした信号(RLD,GLD,BLD)を生成する(ステップS4)。
【0118】
そして、映像信号送信装置1は、非線形変換手段13Aによって、ステップS2で生成した輝度信号Yを、非線形変換により非線形信号に変換し、非線形変換手段13Bによって、ステップS4で生成した低域周波数成分の信号(RLD,GLD,BLD)を、非線形変換により非線形信号に変換する(ステップS5)。すなわち、非線形変換手段13Aは、輝度信号Yを非線形輝度信号Yαに変換する。また、非線形変換手段13Bは、信号RLDを低域非線形赤信号RLDαに変換し、信号GLDを低域非線形緑信号GLDαに変換し、信号BLDを低域非線形青信号BLDαに変換する。
【0119】
そして、映像信号送信装置1は、色差信号生成手段14によって、ステップS5で生成した低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαから、色差信号CbLDα,CrLDαを生成する(ステップS6)。具体的には、色差信号生成手段14は、前記(6)式によって色差信号CbLDα,CrLDαを生成する。
【0120】
その後、映像信号送信装置1は、図示を省略した出力手段によって、ステップS5で生成した非線形輝度信号Yαと、ステップS6で生成した色差信号CbLDα,CrLDαとを、伝送用の映像信号として、伝送路Nを介して、映像信号受信装置2に出力する(ステップS7)。
以上の動作によって、映像信号送信装置1は、輝度信号(非線形輝度信号Yα)と、色差信号(CbLDα,CrLDα)とを、映像信号受信装置2に送信することができる。
【0121】
〔第1実施形態:映像信号受信装置の動作〕
次に、図6を参照(適宜図1,図3参照)して、映像信号受信装置2の動作について説明する。
【0122】
まず、映像信号受信装置2は、図示を省略した入力手段によって、映像信号送信装置1から、伝送路Nを介して、伝送用の映像信号である非線形輝度信号Yαと色差信号CbLDα,CrLDαとを入力する(ステップS10)。
そして、映像信号受信装置2は、線形変換手段20によって、ステップS10で入力した非線形輝度信号Yαに非線形変換の逆特性を与え線形輝度信号Yに変換する(ステップS11)。
【0123】
そして、映像信号受信装置2は、帯域制限手段21によって、ステップS11で変換した線形輝度信号Yから、低域周波数成分(Y)を抽出し(ステップS12)、ダウンサンプル手段22によって、映像信号の伝送形式に応じて予め定められているサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルする(ステップS13)。
さらに、映像信号受信装置2は、非線形変換手段23によって、ステップS13でダウンサンプルした線形信号である輝度信号(YLD)を、非線形変換により非線形信号の輝度信号(低域非線形輝度信号YLDα)に変換する(ステップS14)。
【0124】
その後、映像信号受信装置2は、色信号生成手段24によって、ステップS14で変換した低域非線形輝度信号YLDαと、ステップS10で入力した色差信号CbLDα,CrLDαとから、低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαを生成する(ステップS15)。具体的には、色信号生成手段24は、前記(7)式によって低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαを生成する。
【0125】
そして、映像信号受信装置2は、線形変換手段25によって、ステップS15で生成した低域非線形赤信号RLDα、低域非線形緑信号GLDαおよび低域非線形青信号BLDαに、それぞれ非線形変換の逆特性を与えることで、信号RLDα,GLDα,BLDαを、線形信号である低域線形赤信号RLD、低域線形緑信号GLDおよび低域線形青信号BLDに変換する(ステップS16)。
【0126】
そして、映像信号受信装置2は、アップサンプル手段26によって、ステップS16で変換した低域線形赤信号RLD、低域線形緑信号GLDおよび低域線形青信号BLDを、(線形)輝度信号Yと同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルする(ステップS17)。
【0127】
また、映像信号受信装置2は、高域信号生成手段27(減算手段271)によって、ステップS11で変換した線形輝度信号Yから、ステップS12で抽出した低域線形輝度信号Yを減算することで、輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号Yを生成する(ステップS18)。
【0128】
そして、映像信号受信装置2は、高域信号加算手段28によって、ステップS17でアップサンプルした低域線形赤信号R、低域線形緑信号Gおよび低域線形青信号Bに、ステップS18で生成した高域輝度信号Yをそれぞれ加算することで、RGB信号を生成する(ステップS19)。
【0129】
その後、映像信号受信装置2は、図示を省略した出力手段によって、ステップS19で生成したRGB信号(映像信号)を出力する(ステップS20)。
以上の動作によって、映像信号受信装置2は、映像信号送信装置1から出力される非線形輝度信号Yαと色差信号CbLDα,CrLDαとから、三原色信号(RGB信号)の映像信号を生成することができる。
【0130】
以上、第1実施形態に係る映像信号送信装置1および映像信号受信装置2について説明した。この第1実施形態においては、色差信号生成手段14(図2参照)において、伝送用の色差信号をRGBの各色信号から生成することとした。しかし、この色差信号は、輝度信号と色信号との差によって生成することとしてもよい。
そこで、第1実施形態の変形例である輝度信号と色信号との差によって色差信号を生成して伝送する映像信号送信装置1Bおよび映像信号受信装置2Bについて、本発明の第2実施形態として説明する。
【0131】
〔第2実施形態:映像信号送信装置の構成〕
まず、図7を参照(適宜図1参照)して、本発明の第2実施形態に係る映像信号送信装置1Bの構成について説明を行う。ここでは、映像信号送信装置1Bは、輝度信号生成手段10と、帯域制限手段11Bと、ダウンサンプル手段12Bと、非線形変換手段13A,13Cと、色差信号生成手段14Bと、を備えている。
【0132】
帯域制限手段11B、ダウンサンプル手段12B、非線形変換手段13Cおよび色差信号生成手段14B以外の構成については、図2で説明した映像信号送信装置1と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0133】
帯域制限手段11Bは、輝度信号生成手段10で生成した輝度信号Yと、入力手段(不図示)を介して入力したB信号、R信号とから、それぞれ予め定めた低域周波数成分の信号(Y,B,R)を抽出するものである。なお、この帯域制限手段11における帯域制限の処理内容は、入出力信号が異なるのみで、図2で説明した帯域制限手段11と同一であるため、説明を省略する。
この帯域制限手段11Bは、抽出した各信号(Y,B,R)を、ダウンサンプル手段12Bに出力する。
【0134】
ダウンサンプル手段12Bは、帯域制限手段11Bで抽出した各信号(Y,B,R)を予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルするものである。なお、このダウンサンプル手段12Bにおけるダウンサンプルの処理内容は、入出力信号が異なるのみで、図2で説明したダウンサンプル手段12と同一であるため、説明を省略する。
このダウンサンプル手段12Bは、ダウンサンプルした各信号(YLD,BLD,RLD)を、非線形変換手段13Cに出力する。
【0135】
非線形変換手段13Cは、ダウンサンプル手段12Bでダウンサンプルした線形信号である各信号(YLD,RLD,BLD)を、非線形信号(YLDα,BLDα,RLDα)に変換するものである。なお、この非線形変換手段13Cにおける非線形変換の処理内容は、入出力信号が異なるのみで、図2で説明した非線形変換手段13Bと同一であるため、説明を省略する。
この非線形変換手段13Cは、変換した低域非線形輝度信号YLDα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを、色差信号生成手段14Bに出力する。
【0136】
色差信号生成手段14Bは、非線形変換手段13Cで変換した低域非線形輝度信号YLDα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαから、色差信号を生成するものである。この色差信号生成手段14Bは、以下の(10)式に示すように、低域非線形青信号BLDαと低域非線形輝度信号YLDαとの差信号を色差信号CbLDαとし、低域非線形赤信号RLDαと低域非線形輝度信号YLDαとの差信号を色差信号CrLDαとする。
【0137】
【数9】

【0138】
なお、色差信号生成手段14Bは、色差信号のダイナミックレンジを輝度信号のダイナミックレンジと同じにするために、予め定めた係数で除算することとしてもよい。
すなわち、色差信号生成手段14Bは、以下の(11)式に示すように、低域非線形青信号BLDαと低域非線形輝度信号YLDαとの差信号を係数kcbで除算することで色差信号CbLDαとし、低域非線形赤信号RLDαと低域非線形輝度信号YLDαとの差信号を係数kcrで除算することで色差信号CrLDαとする。なお、この係数kcb,kcrは、色差信号のダイナミックレンジを輝度信号のダイナミックレンジと同じにするための係数であるが、簡略化してそれぞれの値を“2”としてもよい。
【0139】
【数10】

【0140】
この色差信号生成手段14Bで生成した色差信号CbLDα,CrLDαは、外部に出力する伝送用の映像信号の一部となる。
このように、非線形変換手段13Bで変換した非線形輝度信号Yαと、色差信号生成手段14Bで生成した色差信号CbLDα,CrLDαは、図示を省略した出力手段を介して、映像信号受信装置2に送信される。
【0141】
以上、本発明の第2実施形態に係る映像信号送信装置1Bの構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この映像信号送信装置1Bをソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる伝送用映像信号生成プログラムによって動作させることができる。
【0142】
〔第2実施形態:映像信号受信装置の構成〕
次に、図8を参照(適宜図1参照)して、本発明の第2実施形態に係る映像信号受信装置2Bの構成について説明を行う。ここでは、映像信号受信装置2Bは、線形変換手段20と、帯域制限手段21と、ダウンサンプル手段22と、非線形変換手段23と、色信号生成手段24Bと、線形変換手段25Bと、色信号生成手段24Cと、アップサンプル手段26Bと、高域信号生成手段27と、高域信号加算手段28と、を備えている。
【0143】
色信号生成手段24B、線形変換手段25B、色信号生成手段24Cおよびアップサンプル手段26B以外の構成については、図3で説明した映像信号受信装置2と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0144】
色信号生成手段24Bは、非線形変換手段23で変換した低域非線形輝度信号YLDαと、映像信号送信装置1Bから送信され、入力手段(不図示)を介して入力した色差信号CbLDα,CrLDαとから、低域非線形青信号BLDαと低域非線形赤信号RLDαとを生成するものである。
【0145】
この色信号生成手段24Bは、色差信号生成手段14B(図7参照)において、前記(10)式によって、色差信号CbLDα,CrLDαを演算する場合、以下の(12)式に示すように、色差信号CbLDαと低域非線形輝度信号YLDαとを加算することで、低域非線形青信号BLDαを生成し、色差信号CrLDαと低域非線形輝度信号YLDαとを加算することで、低域非線形赤信号RLDαを生成する。
【0146】
【数11】

【0147】
また、色信号生成手段24Bは、色差信号生成手段14B(図7参照)において、前記(11)式によって、色差信号CbLDα,CrLDαを演算する場合、以下の(13)式に示すように、色差信号CbLDαに係数kcbを乗算した後、低域非線形輝度信号YLDαを加算することで、低域非線形青信号BLDαを生成し、色差信号CrLDαに係数kcrを乗算した後、低域非線形輝度信号YLDαを加算することで、低域非線形赤信号RLDαを生成する。
【0148】
【数12】

【0149】
なお、色差信号生成手段14B(図7参照)において、前記(10)式によって色差信号CbLDα,CrLDαを生成するか、前記(11)式によって色差信号CbLDα,CrLDαを生成するかは、映像信号受信装置2Bにおいて既知であるものとする。
この色信号生成手段24Bは、生成した色信号である低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαを、線形変換手段25Bに出力する。
【0150】
線形変換手段25Bは、色信号生成手段24Bで生成した低域非線形青信号BLDαと低域非線形赤信号RLDαとを、映像信号送信装置1Bの非線形変換手段13C(図7参照)において行う非線形変換の逆特性を与えることにより、線形信号である低域線形青信号BLDと低域線形赤信号RLDとに変換するものである。
この線形変換手段25Bは、変換した低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDを、色信号生成手段24Cおよびアップサンプル手段26Bに出力する。
【0151】
色信号生成手段24Cは、ダウンサンプル手段22でダウンサンプルした低域線形輝度信号YLDと、線形変換手段25Bで変換した低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDとから、低域線形緑信号GLDを生成するものである。この色信号生成手段24Cは、以下の(14)式によって、低域線形緑信号GLDを生成する。
【0152】
【数13】

【0153】
ここで、r,g,bは、映像信号送信装置1Bの輝度信号生成手段10(図7参照)において、前記(2)式で用いた係数と同じものである。
この色信号生成手段24Cは、生成した低域線形緑信号GLDを、アップサンプル手段26Bに出力する。
【0154】
アップサンプル手段26Bは、線形変換手段25Bで変換した低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDと、色信号生成手段24Cで生成した低域線形緑信号GLDとを、(線形)輝度信号Yと同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルするものである。なお、このアップサンプル手段26Bにおけるアップサンプルの処理内容は、図3で説明したアップサンプル手段26と同一であるため、説明を省略する。
【0155】
このアップサンプル手段26Bは、アップサンプルした低域線形緑信号G、低域線形青信号Bおよび低域線形赤信号Rを、高域信号加算手段28に出力する。
【0156】
以上、本発明の第2実施形態に係る映像信号受信装置2Bの構成について説明したが、本発明は、本実施形態の形式に限定されるものではない。前記した各手段は、回路を用いたハードウェア構成で実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできる。この映像信号受信装置2Bをソフトウェアで実現する場合、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させる伝送用映像信号変換プログラムによって動作させることができる。
【0157】
なお、映像信号受信装置2Bは、図9に示すように、変形することも可能である。
ここで、図9を参照して、第2実施形態に係る映像信号受信装置2Bの変形例について説明する。図9に示した映像信号受信装置2Baは、映像信号受信装置2Bの高域信号生成手段27を、高域信号生成手段27Cに替えて構成している。高域信号生成手段27C以外の構成については、映像信号受信装置2B(図8参照)と同じである。
【0158】
高域信号生成手段27Cは、線形変換手段20で変換した線形輝度信号Yから、高域周波数成分の信号(高域輝度信号Y)を抽出するものであるが、ダウンサンプル手段22がダウンサンプルした信号YLDを使用して高域輝度信号Yを生成している点が、映像信号受信装置2Bの高域信号生成手段27とは異なっている。ここでは、高域信号生成手段27Cは、減算手段271と、アップサンプル手段273Bと、を備えている。なお、減算手段271は、低域線形輝度信号Yの入力元が異なるのみで、映像信号受信装置2Bの高域信号生成手段27と同一のものである。
【0159】
アップサンプル手段273Bは、ダウンサンプル手段22でダウンサンプルした信号YLDを、(線形)輝度信号Yと同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルするものである。なお、このアップサンプル手段273Bにおけるアップサンプルの処理内容は、入出力信号が異なるのみで、アップサンプル手段26Bと同一であるため、説明を省略する。
このアップサンプル手段273Bは、アップサンプルした低域線形輝度信号Yを、減算手段271に出力する。
このように、映像信号受信装置2Baを構成しても、映像信号受信装置2B(図8参照)と同一の作用効果を奏することができる。
【0160】
[第2実施形態:映像信号伝送システムの動作]
次に、本発明の第2実施形態に係る映像信号伝送システムSの動作について説明する。なお、以下では、映像信号送信装置1Bの動作、映像信号受信装置2Bの動作について順次説明を行う。
【0161】
〔第2実施形態:映像信号送信装置の動作〕
まず、図10を参照(適宜図1,図7参照)して、映像信号送信装置1Bの動作について説明する。なお、図10に示したステップS3B〜S6B以外の動作については、図5で説明した映像信号送信装置1Bの動作と同一であるため説明を省略する。
【0162】
ステップS2の後、映像信号送信装置1Bは、帯域制限手段11Bによって、ステップS2で生成した輝度信号Yと、ステップS1で入力したB信号,R信号とから、予め定めた低域周波数成分(Y,B,R)を抽出する(ステップS3B)。
さらに、映像信号送信装置1Bは、ダウンサンプル手段12Bによって、ステップS3Bで抽出した各信号(Y,B,R)を、伝送形式(4:2:2形式、4:2:0形式等)により予め定めたサンプリング間隔(ダウンサンプル比)でダウンサンプルした信号(YLD,BLD,RLD)を生成する(ステップS4B)。
【0163】
そして、映像信号送信装置1Bは、非線形変換手段13Aによって、ステップS2で生成した輝度信号Yを、非線形変換により非線形信号に変換し、非線形変換手段13Cによって、ステップS4Bで生成した低域周波数成分の信号(YLD,BLD,RLD)を、非線形変換により非線形信号に変換する(ステップS5B)。すなわち、非線形変換手段13Aは、輝度信号Yを非線形輝度信号Yαに変換する。また、非線形変換手段13Cは、信号YLDを低域非線形輝度信号YLDαに変換し、信号BLDを低域非線形青信号BLDαに変換し、信号RLDを低域非線形赤信号RLDαに変換する。
【0164】
そして、映像信号送信装置1Bは、色差信号生成手段14Bによって、ステップS5Bで生成した低域非線形輝度信号YLDα、低域非線形青信号BLDαおよび低域非線形赤信号RLDαから、色差信号CbLDα,CrLDαを生成する(ステップS6B)。具体的には、色差信号生成手段14Bは、前記(10)式または(11)式によって色差信号CbLDα,CrLDαを生成する。
【0165】
その後、映像信号送信装置1Bは、ステップS7の動作によって、輝度信号(非線形輝度信号Yα)と、色差信号(CbLDα,CrLDα)とを、映像信号受信装置2Bに送信することができる。
【0166】
〔第2実施形態:映像信号受信装置の動作〕
次に、図11を参照(適宜図1,図8参照)して、映像信号受信装置2Bの動作について説明する。なお、図9に示したステップS15B〜S17B以外の動作については、図5で説明した映像信号送信装置1Bの動作と同一であるため説明を省略する。
【0167】
ステップS14の後、映像信号受信装置2Bは、色信号生成手段24Bによって、ステップS14で変換した低域非線形輝度信号YLDαと、ステップS10で入力した色差信号CbLDα,CrLDαとから、低域非線形青信号BLDαと低域非線形赤信号RLDαとを生成する(ステップS15B)。具体的には、色信号生成手段24Bは、前記(12)式または(13)式によって低域非線形青信号BLDαと低域非線形赤信号RLDαとを生成する。
【0168】
そして、映像信号受信装置2Bは、線形変換手段25Bによって、ステップS15Bで生成した低域非線形青信号BLDαと低域非線形赤信号RLDαとに非線形変換の逆特性を与えることで、信号BLDα,RLDαを、線形信号である低域線形青信号BLDと低域線形赤信号RLDとに変換する(ステップS16B)。
【0169】
そして、映像信号受信装置2Bは、色信号生成手段24Cによって、ステップS13でダウンサンプルした線形信号である輝度信号YLDと、ステップS16Bで変換した低域線形青信号BLDおよび低域線形赤信号RLDとから、低域線形緑信号GLDを生成する(ステップS16C)。具体的には、色信号生成手段24Cは、前記(14)式によって低域線形緑信号GLDを生成する。
【0170】
そして、映像信号受信装置2は、アップサンプル手段26Bによって、ステップS16Bで変換した低域線形赤信号RLDおよび低域線形青信号BLDと、ステップS16Cで生成した低域線形緑信号GLDとを、(線形)輝度信号Yと同じサンプル数および画素構造となるようにアップサンプルする(ステップS17B)。
その後、映像信号受信装置2Bは、ステップS18〜S20の動作によって、三原色信号(RGB信号)の映像信号を生成する。
【0171】
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態に係る映像信号伝送システムS(S)の構成および動作について説明したが、本発明は、第1実施形態と第2実施形態とにおいて、それぞれの送受信装置を入れ替えて映像信号の伝送を行ってもよい。すなわち、第1実施形態に係る映像信号送信装置1が送信した映像信号を、第2実施形態に係る映像信号受信装置2Bで受信することとしてもよいし、第2実施形態に係る映像信号送信装置1Bが送信した映像信号を、第1実施形態に係る映像信号受信装置2で受信することとしてもよい。
【0172】
[色再現誤差の比較]
次に、本発明の実施形態に係る映像信号伝送システムS(S)による映像信号の伝送方式と、従来手法による映像信号の伝送方式との性能の比較について説明する。
ここでは、一般的な色再現の評価方法であるL均等色空間における色の誤差を示す指標ΔEabを用いて、8ビットの非線形R,G,B信号のすべての組み合わせについて再現される色の誤差ΔEabを集計した。なお、従来手法は、図13に示した従来手法2である。
【0173】
【表1】

【0174】
この表に示すように、色の誤差ΔEabの平均値および最大値ともに本発明の手法が小さい値となっており、本発明の手法が従来手法に比べて、色再現性が大きく改善していることが分かる。
このように本発明は、定輝度伝送を可能にしつつ、SN比の低下を抑制することができる。
【0175】
以上説明したように、映像信号伝送システムS(S)は、映像信号送信装置1(1B)において、線形なRGB信号から輝度信号Yを生成し、輝度信号Yに非線形変換を行うことで、非線形輝度信号Yαを生成する。この非線形輝度信号Yαは、映像信号受信装置2(2B)において、この非線形変換の逆特性を与えることで、輝度信号Yを正しく再現することができる。
【0176】
また、映像信号伝送システムS(S)は、映像信号送信装置1(1B)において、線形な色信号を帯域制限およびダウンサンプルした後に非線形変換によって非線形信号に変換する。この非線形信号は、受信側において非線形変換の逆特性によって線形信号に戻されるため、色を低歪みで再現することが可能になる。
【0177】
また、映像信号伝送システムS(S)は、映像信号送信装置1において、線形信号の低域周波数成分の信号である信号RLD,GLD,BLD(または、YLD,RLD,BLD)に対して非線形変換を行った後、色差信号を生成する。これによって、映像信号伝送システムSは、映像信号の高彩度部におけるSN比の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0178】
S,S 映像信号伝送システム
1,1B 映像信号送信装置
10 輝度信号生成手段
11,11B 帯域制限手段
12,12B ダウンサンプル手段
13A,13B,13C 非線形変換手段
14,14B 色差信号生成手段
2,2B 映像信号受信装置
20 線形変換手段
21 帯域制限手段(第2の帯域制限手段)
22 ダウンサンプル手段(第2のダウンサンプル手段)
23 非線形変換手段(第2の非線形変換手段)
24,24B 色信号生成手段
24C 色信号生成手段(第2の色信号生成手段)
25,25B 線形変換手段(第2の線形変換手段)
26B 輝度信号生成手段
26,26B アップサンプル手段
27 高域信号生成手段
271 減算手段
272 輝度信号生成手段(第2の輝度信号生成手段)
273,273B アップサンプル手段(第2のアップサンプル手段)
28 高域信号加算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された三原色の色信号である第1ないし第3色信号から伝送用の映像信号を生成して送信する映像信号送信装置において、
線形信号である前記三原色の色信号を予め定めた混合比率で混合することで線形な輝度信号である線形輝度信号を生成する輝度信号生成手段と、
前記第1ないし第3色信号から低域周波数成分の信号を抽出する帯域制限手段と、
この帯域制限手段で抽出した各信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルするダウンサンプル手段と、
このダウンサンプル手段でダウンサンプルした各信号と、前記輝度信号生成手段で生成した線形輝度信号とを、非線形変換により非線形信号に変換する非線形変換手段と、
この非線形変換手段で変換した前記第1色信号に対応する低域非線形第1色信号と、前記第2色信号に対応する低域非線形第2色信号と、前記第3色信号に対応する低域非線形第3色信号との3つの色信号を予め定めた混合比率で混合することで2つの色差信号を生成する色差信号生成手段と、を備え、
出力手段を介して、前記非線形変換手段で変換した前記輝度信号に対応する非線形輝度信号と、前記色差信号生成手段で生成した2つの前記色差信号とを前記伝送用の映像信号として出力することを特徴とする映像信号送信装置。
【請求項2】
入力された三原色の色信号である第1ないし第3色信号から伝送用の映像信号を生成するために、コンピュータを、
線形信号である前記三原色の色信号を予め定めた混合比率で混合することで線形な輝度信号である線形輝度信号を生成する輝度信号生成手段、
前記第1ないし第3色信号から低域周波数成分の信号を抽出する帯域制限手段、
この帯域制限手段で抽出した各信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルするダウンサンプル手段、
このダウンサンプル手段でダウンサンプルした各信号と、前記輝度信号生成手段で生成した線形輝度信号とを、非線形変換により非線形信号に変換する非線形変換手段、
この非線形変換手段で変換した前記第1色信号に対応する低域非線形第1色信号と、前記第2色信号に対応する低域非線形第2色信号と、前記第3色信号に対応する低域非線形第3色信号との3つの色信号を予め定めた混合比率で混合することで2つの色差信号を生成する色差信号生成手段、として機能させ、
出力手段を介して、前記非線形変換手段で変換した前記輝度信号に対応する非線形輝度信号と、前記色差信号生成手段で生成した2つの前記色差信号とを前記伝送用の映像信号として出力することを特徴とする伝送用映像信号生成プログラム。
【請求項3】
三原色の色信号である第1ないし第3色信号から生成した輝度信号を非線形変換した非線形輝度信号と、前記色信号、または、前記色信号および前記輝度信号から低域周波数成分を抽出しダウンサンプルした後に非線形変換した信号から生成した色差信号とを伝送用の映像信号として受信して、色信号に変換する映像信号受信装置であって、
送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、前記非線形輝度信号を線形輝度信号に変換する線形変換手段と、
この線形変換手段で変換した線形輝度信号から低域周波数成分を抽出する帯域制限手段と、
この帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルするダウンサンプル手段と、
送信側と同じ非線形変換の特性を与えることにより、前記ダウンサンプル手段でダウンサンプルした低域線形輝度信号を非線形信号に変換する非線形変換手段と、
この非線形変換手段で変換した低域非線形輝度信号と前記色差信号とから、低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを生成する色信号生成手段と、
送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、前記色信号生成手段で生成した低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを、線形信号である低域線形第1色信号と低域線形第2色信号と低域線形第3色信号とに変換する第2の線形変換手段と、
前記低域線形第1色信号、前記低域線形第2色信号および前記低域線形第3色信号を、前記線形輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルするアップサンプル手段と、
前記線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する高域信号生成手段と、
前記低域線形第1色信号、前記低域線形第2色信号および前記低域線形第3色信号に前記高域輝度信号を加算することで、前記色信号である第1ないし第3色信号を生成する高域信号加算手段と、
を備えることを特徴とする映像信号受信装置。
【請求項4】
前記高域信号生成手段は、
前記線形輝度信号から、前記帯域制限手段で抽出した低域周波数成分の信号を減算することで前記高域輝度信号を生成する減算手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の映像信号受信装置。
【請求項5】
前記高域信号生成手段は、
前記低域線形第1色信号、前記低域線形第2色信号および前記低域線形第3色信号から、低域線形輝度信号を生成する輝度信号生成手段と、
この輝度信号生成手段で生成した低域線形輝度信号を、前記線形輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルするアップサンプル手段と、
前記線形輝度信号から、前記アップサンプル手段でアップサンプルした低域線形輝度信号を減算することで前記高域輝度信号を生成する減算手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の映像信号受信装置。
【請求項6】
三原色の色信号である第1ないし第3色信号から生成した輝度信号を非線形変換した非線形輝度信号と、前記色信号、または、前記色信号および前記輝度信号から低域周波数成分を抽出しダウンサンプルした後に非線形変換した信号から生成した色差信号とを伝送用の映像信号として受信して、色信号に変換するために、コンピュータを、
送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、前記非線形輝度信号を線形輝度信号に変換する線形変換手段、
この線形変換手段で変換した線形輝度信号から低域周波数成分を抽出する帯域制限手段、
この帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルするダウンサンプル手段、
送信側と同じ非線形変換の特性を与えることにより、前記ダウンサンプル手段でダウンサンプルした低域線形輝度信号を非線形信号に変換する非線形変換手段、
この非線形変換手段で変換した低域非線形輝度信号と前記色差信号とから、低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを生成する色信号生成手段、
送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、前記色信号生成手段で生成した低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを、線形信号である低域線形第1色信号と低域線形第2色信号と低域線形第3色信号とに変換する第2の線形変換手段、
前記低域線形第1色信号、前記低域線形第2色信号および前記低域線形第3色信号を、前記線形輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルするアップサンプル手段、
前記線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する高域信号生成手段、
前記低域線形第1色信号、前記低域線形第2色信号および前記低域線形第3色信号に前記高域輝度信号を加算することで、前記色信号である第1ないし第3色信号を生成する高域信号加算手段、
として機能させることを特徴とする伝送用映像信号変換プログラム。
【請求項7】
三原色の色信号である第1ないし第3色信号から伝送用の映像信号を生成して送信する映像信号送信装置と、前記映像信号を受信して、当該映像信号を前記色信号に変換する映像信号受信装置とからなる映像信号伝送システムであって、
前記映像信号送信装置は、
線形信号である前記三原色の色信号を予め定めた混合比率で混合することで線形な輝度信号である線形輝度信号を生成する輝度信号生成手段と、
前記第1ないし第3色信号から低域周波数成分の信号を抽出する帯域制限手段と、
この帯域制限手段で抽出した各信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルするダウンサンプル手段と、
このダウンサンプル手段でダウンサンプルした各信号と、前記輝度信号生成手段で生成した線形輝度信号とを、非線形変換により非線形信号に変換する非線形変換手段と、
この非線形変換手段で変換した前記第1色信号に対応する低域非線形第1色信号と、前記第2色信号に対応する低域非線形第2色信号と、前記第3色信号に対応する低域非線形第3色信号との3つの色信号を予め定めた混合比率で混合することで2つの色差信号を生成する色差信号生成手段と、を備え、
前記非線形変換手段で変換した前記輝度信号に対応する非線形輝度信号と、前記色差信号生成手段で生成した2つの前記色差信号とを前記伝送用の映像信号とし、
前記映像信号受信装置は、
送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、前記非線形輝度信号を線形輝度信号に変換する線形変換手段と、
この線形変換手段で変換した線形輝度信号から低域周波数成分を抽出する第2の帯域制限手段と、
この第2の帯域制限手段で抽出した信号を予め定めたサンプリング間隔でダウンサンプルする第2のダウンサンプル手段と、
送信側と同じ非線形変換の特性を与えることにより、前記第2のダウンサンプル手段でダウンサンプルした低域線形輝度信号を非線形信号に変換する第2の非線形変換手段と、
この第2の非線形変換手段で変換した低域非線形輝度信号と前記色差信号とから、低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを生成する色信号生成手段と、
送信側の非線形変換の逆特性を与えることにより、前記色信号生成手段で生成した低域非線形第1色信号と低域非線形第2色信号と低域非線形第3色信号とを、線形信号である低域線形第1色信号と低域線形第2色信号と低域線形第3色信号とに変換する第2の線形変換手段と、
前記低域線形第1色信号、前記低域線形第2色信号および前記低域線形第3色信号を、前記線形輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルするアップサンプル手段と、
前記線形輝度信号から、当該線形輝度信号の高域周波数成分である高域輝度信号を生成する高域信号生成手段と、
前記低域線形第1色信号、前記低域線形第2色信号および前記低域線形第3色信号に前記高域輝度信号を加算することで、前記色信号である第1ないし第3色信号を生成する高域信号加算手段と、
を備えることを特徴とする映像信号伝送システム。
【請求項8】
前記高域信号生成手段は、
前記線形輝度信号から、前記第2の帯域制限手段で抽出した低域周波数成分の信号を減算することで前記高域輝度信号を生成する減算手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の映像信号伝送システム。
【請求項9】
前記高域信号生成手段は、
前記低域線形第1色信号、前記低域線形第2色信号および前記低域線形第3色信号から、低域線形輝度信号を生成する第2の輝度信号生成手段と、
この輝度信号生成手段で生成した低域線形輝度信号を、前記線形輝度信号と同じサンプル数並びに画素構造となるようにアップサンプルする第2のアップサンプル手段と、
前記線形輝度信号から、前記第2のアップサンプル手段でアップサンプルした低域線形輝度信号を減算することで前記高域輝度信号を生成する減算手段と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の映像信号伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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