説明

映像切換装置

【課題】 同一の映像信号が複数供給されている場合において、そのうちの1つの出力が絶えたとき、同一の映像信号を供給している他の入力から確実に且つ即座に出力する。
【解決手段】 複数の映像信号が供給されている複数の入力端子20a乃至20fには、同一の映像信号が供給されている複数のものが含まれている。複数の入力端子20a乃至20fのうち同一の映像信が供給されているものを検出回路26の冗長化検出手段26aが検出する。各入力端子20a乃至20fの映像信号はスイッチ回路18を介してそれぞれに対応する出力端子22a乃至22fに供給されている。同一の映像信号が供給されている複数の入力端子のうち1つの映像信号が絶たれたことを検出回路26の供給停止検出手段26bが検出したとき、同一の映像信号が供給されていた他の入力端子の映像信号を、映像信号の絶たれた入力端子に対応する出力端子にスイッチ回路18が供給するように、スイッチ回路18を切換制御回路24が制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビデオミキサーのような映像処理装置に供給する映像信号を切り換える映像切換装置に関し、特に同一の映像信号を複数入力して切り換えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えばビデオミキサー装置の複数の映像入力チャンネルに、1つの映像ソースによる同一の映像信号をそれぞれ入力することが開示されている。特許文献1の技術では、映像ソースが、1つのフレームに4つの動画を同時に記録したものであって、これを各映像入力チャンネルに供給し、各映像入力チャンネルにおいて選択した動画について、それぞれ映像の拡大や切り出しを行ってから合成して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−269514号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、同一映像信号を複数の入力チャンネルに供給することによって、映像信号の入力経路を冗長化し、トラブルに備えることが考えられる。例えば映像入力チャンネル1と5とに同一の映像信号を供給し、映像入力チャンネル2と6とに別の内容の同一映像信号を供給し、例えば映像入力チャンネル1と2とから映像信号をそれぞれ出力している状態において、なんらかの原因で例えばチャンネル1の映像信号が途絶えた場合、同一の映像信号が供給されているチャンネル5から映像信号を出力する。このような入力の切換は、手動によって行われていた。このように手動によって切換が行われているので、その切換の確実性及び即応性に掛けるという問題があった。
【0005】
本発明は、同一の映像信号が複数供給されている場合において、そのうちの1つの出力が絶えたとき、同一の映像信号を供給している他の入力から確実に且つ即座に出力できる映像切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の映像切換装置は、複数の映像信号が供給されている複数の入力端子を有している。複数の入力端子には、同一の映像信号が供給されている複数の冗長化入力端子が含まれている。前記複数の入力端子に入力された前記複数の映像信号を前記複数の入力端子のそれぞれに対応した出力端子に選択手段が出力する。前記複数の入力端子のうち同一の映像信号が供給されている複数の冗長化入力端子を、冗長化検出手段が検出する。前記複数の冗長化入力端子のうち少なくとも1つの冗長化入力端子への映像信号の供給停止を供給停止検出手段が検出する。前記供給停止検出手段が、前記各冗長化入力端子のうちいずれかへの映像信号の供給が絶たれたことを検出したとき、前記複数の冗長化入力端子のうち前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された冗長化入力端子に対応する出力端子に対して、前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された冗長化入力端子とは異なる冗長化入力端子に入力された映像信号を出力するように制御手段が前記選択手段を制御する。
【0007】
このように構成された映像切換装置では、同一の映像信号が供給されている複数の冗長化入力端子を冗長化検出手段が自動的に検出し、検出された複数の冗長化入力端子のうち供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された冗長化入力端子に対応する出力端子に対して、供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された冗長化入力端子とは異なる冗長化入力端子に入力された同じ映像信号が自動的に出力される。従って、映像信号が絶たれた冗長化入力端子に対応する出力端子には、同一の映像信号が、確実にかつ即時に供給される。
【0008】
前記供給停止検出手段が、前記冗長化入力端子への映像信号の供給が絶たれたことを検出したとき、前記複数の冗長化入力端子のうち前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された冗長化入力端子に対応する出力端子に対して、前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出されていない冗長化入力端子に入力された映像信号を出力するように、前記制御手段が前記選択手段を制御することもできる。
【0009】
このように構成すると、複数、例えば第1及び第2の2つの冗長化入力端子のうち第1の冗長化入力端子に供給されていた映像信号が絶えると、第2の冗長化入力端子に供給されていた映像信号が、映像信号が絶えた第1の冗長化入力端子に対応する出力端子に供給されるが、第2の冗長化入力端子に供給されていた映像信号も絶えた場合、第1の冗長化入力端子に対応する出力端子には映像信号は供給されない。もし、第2の冗長化入力端子の映像信号が絶たれたとき、絶たれたことを供給停止検出手段が検出し、制御手段が第1の冗長化入力端子の映像信号を、第1の冗長化入力端子に対応する出力端子に供給するように制御手段が切換えても、第1の冗長化入力端子には映像信号が存在しないので、存在しないことを供給停止検出手段が再び検出し、第2の冗長化入力端子に再び切換えようし、発振状態となるが、上述したように構成すると、発振状態となることはない。上記の説明は、冗長化入力端子の数を2つとしたが、これは例示に過ぎず、冗長化端子の数が3以上であっても同様である。
【0010】
前記供給停止検出手段は、映像信号の供給が停止していた前記冗長化入力端子に再び映像信号が供給されたことを検出するものとすることができる。この場合、再び映像信号が供給されたことが検出された冗長化入力端子に対応する出力端子に対して、その映像信号を出力するように前記制御手段が前記選択手段を制御する。
【0011】
これによって、映像信号が絶たれていた冗長化入力端子に映像信号が復旧した場合には、その復旧した冗長化入力端子に対応する出力端子には、その復旧した映像信号が供給される。
【0012】
前記冗長化検出手段は、前記複数の入力端子のうち同一の映像信号が供給されている複数の冗長化入力端子を所定のタイミングで検出する。前記所定のタイミングは、例えば電源投入後、所定時間以内の1回と、前記供給停止検出手段が映像信号の供給が絶たれたことを検出したタイミングとすることができる。或いは、所定時間間隔で繰り返されるものとすることもできる。
【0013】
このように構成すると、冗長化された映像信号の一つが絶たれて、絶たれた映像信号が供給されていた入力端子とは別の入力端子から同一の映像信号を出力している状態において、別の入力端子からの映像信号も絶たれた場合に、先に映像信号が絶たれた入力端子へ制御手段が誤って接続を切り換え、先に映像信号が立たれた入力端子の映像信号が立たれているので、再び後で映像信号が絶たれた入力端子に接続を切り換えるということが繰り返される発振状態が発生することを防止できる。
【0014】
前記複数の入力端子は、前記同一の映像信号とは異なる第2の映像信号がそれぞれ供給されている複数の別の入力端子を含むものとすることができる。この場合、前記冗長化検出手段が、前記複数の入力端子のうち、前記第2の映像信号がそれぞれ供給されている複数の第2の冗長化入力端子も検出し、前記供給停止検出手段が、前記第2の冗長化入力端子への映像信号の供給が絶たれたことを検出したとき、前記制御手段は、前記複数の第2の冗長化入力端子のうち前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された第2の冗長化入力端子に対応する出力端子に対して、前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された第2の冗長化入力端子とは異なる第2の冗長化入力端子に入力された映像信号を出力するように前記選択手段を制御する。
【0015】
このように構成すると、第2の冗長化入力端子のいずれかにおいて第2の映像信号の供給が絶たれても、第2の映像信号が供給されている別の第2の長化入力端子から、第2の映像信号の供給が絶たれた第2の冗長化入力端子に対応する出力端子に第2の映像信号が供給される。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、同一の映像信号を複数供給して冗長化を図った場合に、そのうちの1つの出力が絶えたとき、確実に且つ即座に同一の映像信号を供給している他の入力から自動的に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態の映像切換装置の詳細なブロック図である。
【図2】図1の映像切換装置を備えたビデオミキサーのブロック図である。
【図3】図1の映像切換装置の映像信号の冗長化検出及び供給停止検出の説明図である。
【図4】図1に示すビデオミックスエフェクト部23によって作成された映像を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の映像切換装置の詳細なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態の映像切換装置は、図2に示すビデオミキサー2において使用されている。このビデオミキサー2は、複数台の映像信号生成手段、例えばビデオ信号源具体的にはビデオカメラ、ビデオプレーヤ及びDVDプレヤー等からのアナログ映像信号を入力して、それらを編集し、その編集結果を出力する。
【0019】
ビデオミキサー2は、CPU4を有している。CPU4は、バス6を介してグラフィックアクセラレータ(G/A)8に指示を与える。グラフィックアクセラレータ8は、上述したビデオ信号源からのアナログ映像信号をA/D変換器10によってデジタル変換したデジタル映像信号を入力し、CPU4からの指示に従ってデジタル処理、例えば編集処理を行って、編集されたものをD/A変換器12によってアナログ映像信号に変換して出力する。なお、ビデオ信号源自体がデジタル映像信号を出力する場合もあるし、編集処理の結果をデジタル形式のまま出力することもある。その場合、A/D変換器10及びD/A変換器12は不要である。
【0020】
グラフィックアクセラレータ8がデジタル処理をする際や、CPU4がグラフィックアクセラレータ8に指示を与える際に、ワークエリアとして、バス6に接続されている内部メモリ14が使用される。CPU4がグラフィックアクセラレータ8に指示を与えるためのデータは、ユーザーインターフェース16を介してユーザーが与える。
【0021】
図1は、グラフィックアクセレータ8が実行する映像入力の切換装置を機能ブロックで示したもので、A/D変換器10によってデジタル化された複数のデジタル映像信号が、複数の入力端子に供給され、これらデジタル映像信号のうち選択手段、例えばスイッチ回路18によって選択されて、出力端子に出力されたものが、後続の映像処理手段、例えばビデオミックスエフェクト部23に供給される。ビデオミックスエフェクト部23については後述する。
【0022】
図1の例では、スイッチ回路18には、6つの入力端子20a乃至20fが設けられており、また6つの出力端子22a乃至22fも設けられている。スイッチ回路18は、通常は入力端子をそれぞれ対応する出力端子に接続している。例えば入力端子20aを出力端子22aに、入力端子20bを出力端子22bに、入力端子20cを出力端子22cに、入力端子20dを出力端子22dに、入力端子20eを出力端子22eに、入力端子20fを出力端子22fに接続している。と同時に、スイッチ回路18は、制御手段、例えば切換制御回路24からの制御信号に従って、入力端子20a乃至20fのうち選択されたものを、出力端子22a乃至22fのうち選択されたものに接続することができる。例えば入力端子20aは、出力端子22a乃至22fのうちいずれかに接続可能であり、入力端子20bも、出力端子22a乃至22fのいずれかに接続可能である。他の入力端子も同様である。
【0023】
入力端子20aには、A/D変換器10によって生成されたデジタル映像信号Aが供給され、これが出力端子22aに供給されている。同様に入力端子20bには、A/D変換器10によって生成されたデジタル映像信号Bが供給され、これが出力端子22bに供給されている。入力端子20cには、A/D変換器10によって生成されたデジタル映像信号Cが供給され、これが出力端子22cに供給されている。入力端子20dには、A/D変換器10によって生成されたデジタル映像信号Dが供給され、これが出力端子22dに供給されている。
【0024】
入力端子20eには、入力端子20cと同一の映像信号Cが供給されて、冗長化されており、出力端子22eに供給されている。同様に、入力端子20fには、入力端子20dと同一の映像信号Dが供給されて、冗長化されており、出力端子22fに供給されている。このように冗長化されていない映像信号A、Bと同様に、冗長化されている映像信号C、Dもそれぞれの対応する出力端子に供給されている。
【0025】
各入力端子20a乃至20fのデジタル映像信号A乃至Dは、検出手段、例えば検出回路26に供給される。検出回路26は、各入力端子20a乃至20fのうちいずれといずれとに同一のデジタル映像信号が供給されているかを検出する冗長化検出手段26aを備えている。
【0026】
この冗長化検出は、例えば同一サンプリングタイムの各入力端子20a乃至20fのデジタル映像信号を相互に比較することを予め定めたサンプリング回数に亘って繰り返すことによって行うことができる。図3は、この比較の状態を示し、同図(a)乃至(d)は入力端子20c乃至20fの各デジタル映像信号を表しており、これらの間では、サンプリングタイムt1における各入力端子20c乃至20fのデジタル映像信号を相互に比較している。実際には、これに入力端子20a及び20bのデジタル映像信号も含まれる。このような比較をサンプリングタイムt1から予め定めた回数のサンプリングタイム、例えばt4まで繰り返し、これらの各サンプリングタイムにおいてデジタル映像信号が一致した入力端子に同一のデジタル映像信号が供給されていると判断する。この場合、上述したように入力端子20cと20eとに同一の映像信号Cが供給され、入力端子20dと20fとに同一の映像信号Dが供給されていると決定する。即ち、入力端子20cと20eとが冗長化入力端子であり、入力端子20dと20fとが冗長化入力端子である。
【0027】
なお、同一であるとの判断には、上述したような完全一致の他に、各サンプリングタイムにおけるデジタル映像信号の差分を所定サンプリング数について採り、この差分の累積値と許容値とを比較して、許容値よりも小さければ同一と判定するものや、例えば1フレーム分のデジタル映像信号同士のエッジ比較をしたり、ヒストグラムグラム比較をしたり類似性を数値化して合計し、その合計値を許容値と比較するものや、上述した各手法を用い総合的に評価するものもある。即ち、同一との判断は、単なるサンプリングタイムにおけるデジタル映像信号の比較のみを意味するものではない。また、この冗長化検出手段26aの検出結果は、次に冗長化検出手段26aが検出動作を行うまで保持される。
【0028】
検出回路26は、供給停止検出手段26bも有し、この供給停止検出手段26bは、検出回路26の冗長化検出手段26aによって同じデジタル映像信号を供給していると決定された冗長化入力端子、この場合、入力端子20c、20eと入力端子20d、20fとのデジタル映像信号がそれぞれ正しく検出されているかどうかを判断するもので、その手法として例えばこれらデジタル映像信号の同期信号を正しく検出できるかどうか判断する。デジタル映像信号を正しく検出できなかったと、検出回路26の供給停止検出手段26bが判断すると、供給停止検出手段26bは、切換制御回路24に、同一のデジタル映像信号が供給されている冗長化入力端子を、正しく検出できなかった冗長化入力端子からデジタル映像信号の供給を受けていた出力端子に接続するように指示を与える。例えば図3(a)に示すように入力端子20cのデジタル映像信号Cがサンプリングタイミングtxで絶たれると、切換制御回路24は、検出回路26の供給停止検出手段26bの指示に従って、同図(c)に示す入力端子20eのデジタル映像信号Cを出力端子22eに加え出力端子22cにも出力するようにスイッチ回路18を制御する。もし、入力端子20dのデジタル映像信号Dが同図(b)に示すように、サンプリングタイミングtyで絶たれると、切換制御回路24が検出回路26の供給停止検出手段26bの指示に従って、同図(d)の入力端子入力端子20fのデジタル映像信号Dを出力端子22fに加え出力端子22dにも供給する。
【0029】
このように冗長化するために、同一のデジタル映像信号を複数の入力端子に供給しておき、そのうちの1つの入力端子からのデジタル映像信号がなんらかの原因で絶たれると、同一のデジタル映像信号が供給されている他の入力端子から、自動的に同一のデジタル映像信号の供給が継続される。従って、手動で行う場合のような手間がかかることはないし、誤って他のデジタル映像信号を供給するようなこともない。
【0030】
なお、冗長化検出手段26aによる冗長化検出動作は、所定のタイミング、例えば、このビデオミキサーへの電源投入時に1度行い、さらに供給停止検出手段26bが映像信号の供給が絶たれたことを検出したタイミングで行うことが望ましい。これは、冗長化検出を1度だけ行っただけで放置すると、次のような不都合が生じる可能性があるからである。例えば入力端子20c、20eが冗長化されて、入力端子20cのデジタル映像信号Cが出力端子22cに出力されている状態で、入力端子20cへのデジタル映像信号Cの供給が絶たれると、上述したように入力端子20eのデジタル映像信号Cが出力端子22cにも出力される。この時点で、既に冗長化状態ではないが、冗長化検出手段26aは、入力端子20cと20eとが冗長化されたままと認識している。この状態で、入力端子20eへのデジタル映像信号の供給がなんらかの原因で絶たれると、供給停止検出手段26bが入力端子20eのデジタル映像信号Cが絶たれたことを検出したことにより、切換制御回路24が入力端子20cのデジタル映像信号を出力端子22cと22eに出力するようにスイッチ回路18を切り換える。しかし、入力端子20cのデジタル映像信号は存在しないので、再び供給停止検出手段26bが入力端子20cのデジタル映像信号が供給停止されていることを検出し、切換制御回路24が再び入力端子20eのデジタル映像信号を出力端子22cと22eに出力するようにスイッチ回路18を切り換える。以後、このような切換が繰り返されて発振状態となる。これを避けるため、供給停止検出手段26bが映像信号の供給が絶たれたことを検出したタイミングでも、冗長化検出手段26aを動作させて、入力端子20cと20eとが冗長化されていないことを検出する。これによって、以後に入力端子20eのデジタル映像信号Cが絶たれても、入力端子20cへの切換は行われず、入力端子20eはデジタル映像信号Cが絶たれたまま出力端子に接続されたままとなる。そして入力端子20eにデジタル映像信号が復旧すると、そのまま出力される。
【0031】
なお、上述した手法に代えて、所定時間間隔で繰り返し冗長化検出手段26aを動作させておけば、供給停止検出手段26bが入力端子20eの供給停止の検出を行う前に、冗長化解消状態を検出することができ、上述した不都合を解消できる。あるいはユーザーが任意のタイミングで冗長化検出手段26aを動作させてもよい。
【0032】
さらに、デジタル映像信号の供給が絶たれたことが一度検出された入力端子に、再びデジタル映像信号が供給されていることを供給停止検出手段26bが検出した場合に、その入力端子に対応する出力端子にそのデジタル映像信号を出力するよう制御してもよい。このタイミングでも冗長化検出手段26aによる冗長化検出動作を行ってもよい。
【0033】
また、例えば入力端子20cと20eとの同じデジタル映像信号Cが供給されている状態において、入力端子20cまたは20eのデジタル映像信号が例えばデジタル映像信号Eに変更されたような場合、この変更後に冗長化検出手段26aが検出動作をしたときに、入力端子20cと20eとが冗長化されていないことが検出される。これによって、冗長化されていた入力端子のデジタル映像信号が別のものに変化した以後に、入力端子20cまたは20eのデジタル映像信号の一方が絶たれたときに、絶たれたデジタル映像信号と異なるデジタル映像信号が誤って出力されることを防止できる。
【0034】
また、デジタル映像信号の供給が絶たれたことが供給停止検出手段26bにより検出されたとき、冗長化入力端子のうち、デジタル映像信号の供給が絶たれたことが検出されていない入力端子のデジタル映像信号を出力するよう制御してもよい。例えば入力端子20c、20eが冗長化され、入力端子20cへのデジタル映像信号Cの供給が絶たれ、入力端子20eのデジタル映像信号Cが出力端子22cと22eに出力されている場合、さらに入力端子20eへのデジタル映像信号の供給が絶たれたことを検出しても、入力端子20cへのデジタル映像信号の供給が絶たれたままであるなら、何もしない。これによって発振状態となることを防止できる。
【0035】
ビデオミックスエフェクト部23は、上記の4つのデジタル映像信号A乃至Dのうち、ユーザーからのユーザーインターフェース16を介しての指示によって、2つ、例えばデジタル映像信号AとCとを選択し、図4(a)に示すように、両者を合成してPinP映像を作成して出力するような映像ミキシングを行ったり、同じくデジタル映像信号A、Cを選択して、同図(b)に示すようにまずデジタル映像信号Aのみを出力し、その後にデジタル映像信号Cのみを出力する映像切り替えを行ったりする。また、同図(c)に示すように、デジタル映像信号A、CのPinP画像を出力している状態において、ユーザーからの指示によって、デジタル映像信号BとDとを選択して両者を合成してPinP画像を作成し、先の映像AとCとのPinP映像から新たな映像BとDとのPinP画像に切り換えるようなミキシングと切換とを行うこともある。
【0036】
第2の実施形態の映像入力切換装置の主要部を図5に示す。例えば接続の自由度を大きくするために、例えばS端子、D端子、RCA端子のように複数の異なる態様の入力端子を備え、これら複数の入力端子を介して同じチャンネルに映像信号を入力できるようにした、映像処理装置、例えばミキサー装置がある。このような装置では、しばしば同じ信号を並列に異なる態様の入力端子に入力し、冗長化を図ることがある。第2の実施形態の映像入力切換装置は、このような装置に使用されている。第2の実施形態の映像入力切換装置では、同一のデジタル映像信号が供給されている異なる態様の入力端子が、予め判明し、かついずれの入力端子から出力端子にデジタル映像信号が出力されているかも、予め判明しているものである。
【0037】
同一のデジタル映像信号Dが入力端子30a及び30bに供給されている。これら入力端子30a、30bは、選択手段、例えば切換スイッチ32にそれぞれ供給され、入力端子30aのデジタル映像信号が出力端子34に供給されている。
【0038】
入力端子30aのデジタル映像信号は、制御手段、例えば供給停止検出手段、例えば比較器36に供給され、ここで基準信号源38からの基準信号と比較される。比較器36は、入力端子30aのデジタル映像信号の値が基準値よりも小さくなったとき、入力端子30bのデジタル映像信号を出力端子34に供給するように切換スイッチ32を切り換える。なお、比較器36には、出力端子34に供給されているデジタル映像信号を供給して、これと基準信号とを比較することもできる。
【0039】
この実施形態では、別のデジタル映像信号が、入力端子40a及び40bに供給され、切換スイッチ42を介して入力端子40aのデジタル映像信号が出力端子44に出力されている。入力端子40aのデジタル映像信号が比較器46において基準信号源38の基準信号と比較され、力端子40aのデジタル映像信号の値が基準値よりも小さくなったとき、入力端子40bのデジタル映像信号が出力端子34に供給されるように比較器46が切換スイッチ32を切り換える。この場合も、比較器46には、出力端子44に供給されているデジタル映像信号を供給して、これと基準信号とを比較することもできる。
【0040】
上記の両実施形態では、同一のデジタル映像信号が供給される冗長化入力端子を2つとしたが、これに限ったものではなく、2以上の冗長化入力端子に同一のデジタル映像信号を供給することもできる。また、上記の両実施形態では、複数の冗長化入力端子に供給される異なるデジタル映像信号を2種類としたが、さらに多くの異なる種類のデジタル映像信号を複数の冗長化入力端子にそれぞれ供給することもできる。例えば第1の実施形態で言えば、デジタル映像信号C及びDだけでなく、デジタル映像信号Aも複数の冗長化入力端子に供給し、そのうちの1つの冗長化入力端子からのデジタル映像信号が絶たれたときには、デジタル映像信号Aが供給されている他の入力端子から、デジタル映像信号が絶たれた冗長化入力端子がデジタル映像信号を出力していた出力端子に出力するように構成することもできる。また、第1の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、冗長化される同じデジタル映像信号は、複数の異なる態様の入力端子に供給することもできる。
【符号の説明】
【0041】
18 スイッチ回路(選択手段)
20a乃至20f 入力端子
20c、20e 冗長化入力端子
20d、20f 第2の冗長化入力端子
22a乃至22f 出力端子
24 切換制御回路(制御手段)
26 検出回路(冗長化検出手段、供給停止検出手段)
C 映像信号(同一の映像信号)
D 映像信号(第2の映像信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の映像信号が供給されている複数の入力端子と、
前記複数の入力端子に入力された前記複数の映像信号を前記複数の入力端子のそれぞれに対応した出力端子に出力する選択手段と、
前記複数の入力端子のうち同一の映像信号が供給されている複数の冗長化入力端子を検出する冗長化検出手段と、
前記複数の冗長化入力端子のうち少なくとも1つの冗長化入力端子への映像信号の供給停止を検出する供給停止検出手段と、
前記供給停止検出手段が、前記冗長化入力端子への映像信号の供給が絶たれたことを検出したとき、前記複数の冗長化入力端子のうち前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された冗長化入力端子に対応する出力端子に対して、前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された冗長化入力端子とは異なる冗長化入力端子に入力された映像信号を出力するように前記選択手段を制御する制御手段とを、具備する映像切換装置。
【請求項2】
前記供給停止検出手段が、前記冗長化入力端子への映像信号の供給が絶たれたことを検出したとき、前記複数の冗長化入力端子のうち前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された冗長化入力端子に対応する出力端子に対して、前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出されていない冗長化入力端子に入力された映像信号を出力するように、前記制御手段が前記選択手段を制御することを特徴とする、請求項1に記載の映像切換装置。
【請求項3】
前記供給停止検出手段は、映像信号の供給が停止していた前記冗長化入力端子に再び映像信号が供給されたことを検出するものであって、再び映像信号が供給されたことが検出された冗長化入力端子に対応する出力端子に対してその映像信号を出力するよう前記制御手段が前記選択手段を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の映像切換装置。
【請求項4】
前記冗長化検出手段は、前記複数の入力端子のうち同一の映像信号が供給されている複数の冗長化入力端子を所定のタイミングで検出することを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の映像切換装置。
【請求項5】
請求項1記載の映像切換装置において、
前記複数の入力端子には、前記同一の映像信号とは異なる第2の映像信号がそれぞれ供給されている複数の別の入力端子が含まれ、
前記冗長化検出手段が、前記複数の入力端子のうち、前記第2の映像信号がそれぞれ供給されている複数の第2の冗長化入力端子も検出し、
前記供給停止検出手段が、前記第2の冗長化入力端子への映像信号の供給が絶たれたことを検出したとき、前記制御手段は、前記複数の第2の冗長化入力端子のうち前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された第2の冗長化入力端子に対応する出力端子に対して、前記供給停止検出手段によって映像信号の供給が絶たれたことが検出された第2の冗長化入力端子とは異なる第2の冗長化入力端子に入力された映像信号を出力するように前記選択手段を制御する映像切換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90231(P2013−90231A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230468(P2011−230468)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000116068)ローランド株式会社 (175)
【Fターム(参考)】