説明

映像品質管理システム、映像受信端末、および映像品質管理装置

【課題】劣化映像の再現精度を向上させ、Full Reference法に基づくユーザ体感品質の評価値を高精度に算出する。
【解決手段】映像受信端末102は、エラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行い、映像劣化を検出した場合に、フリーズしたピクチャ番号、またはブロック歪の生じたマクロブロックデータを含めた品質情報を生成して送信する。映像品質管理装置108は、映像受信端末102から受信した品質情報のピクチャ番号またはマクロブロックデータを用いて、映像配信サーバ106から取得した原映像を加工し、ユーザがテレビ101にて視聴した劣化映像を再現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リアルタイムな映像通信サービスにおいて、映像受信端末側で再生される映像のユーザ体感品質を評価するための映像品質管理システム、およびそれを構成する映像受信端末と映像品質管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信と放送の融合という大きな流れの中で、有線および無線を問わずインターネット等を含む広域ネットワークを介した様々な映像通信サービスが提供され始めている。映像通信サービスとしては、例えばIPTV(Internet Protocol TeleVision)、映像配信、TV会議、TV電話がある。このようなサービスを提供する上では、安定した品質の確保が重要な命題となっている。
【0003】
従来から、ネットワークの通信品質を保証するための技術として「QoS(Quality of Service)」がある。この品質保証の考え方をさらに広げ、映像通信サービスを享受するエンドユーザが感じるサービス品質を定義して、これを保証するための技術として「QoE(Quality of Experience)」または「ユーザ体感品質」が開発されている。
【0004】
映像通信サービスにおけるユーザ体感品質は、映像コンテンツの符号化状態に関わる品質、ネットワーク伝送時に関わる品質、エンドユーザ環境に関わる品質といった様々な段階の各種要因によって決まると考えられる。従って、それぞれの段階の品質パラメータなどの映像情報を監視および収集することが求められる。そして、これらの情報から客観的な品質評価値(QoE値)を算出し、管理する。
【0005】
品質評価値を算出する手法として、収集した品質パラメータ群から推定する方法(Non Reference法、Reduce Reference法)、および原映像と劣化映像とを直接比較する方法(Full Reference法)等が提案されている。この中で、Full Reference法は、最も高精度の品質評価値を算出することが可能であるが、収集すべき映像情報量が非常に大きくなるため、実運用の映像通信サービスへの適用は困難と考えられてきた。
【0006】
他方、Non Reference法をベースにした品質評価方法として例えば特許文献1に係る映像配信サービスの品質モニタ方法がある。この方法では、映像受信端末が品質劣化(パケット損失、遅延、ゆらぎ等)を検出すると、映像ストリームの伝送品質に関する情報(エラー要因と受信レート等)と、デコード中の映像信号の品質に関する情報(エラー要因とブロックノイズのエラー率等)と、視聴者による評価に関する情報(5段階評価等)とを、映像品質管理装置へ通知する。映像品質管理装置は、これらの情報に基づいて映像品質を推定および評価し、サービス課金処理へ反映させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−158623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1などのNon Reference法は、映像受信端末側の品質劣化検出時の伝送品質および映像品質に関する品質パラメータ群から品質評価値を算出するよう構成されているので、映像品質管理装置側で、通知された品質パラメータに基づいて劣化映像を再現した場合、その再現精度は良くない。
その理由は、Non Reference法での品質パラメータ群が、映像受信端末のデコーダ種別に応じてエラーコンシールメント処理の内容が異なることを考慮した情報でないためである。エラーコンシールメント処理とは、伝送路エラー(パケットロス)等が発生したときに、デコード中の映像信号に生じる欠損部分に対して何らかの補正または補填を行う、デコーダの後処理のことである。
【0009】
従って、Non Reference法をベースにした映像品質管理装置において再現した劣化映像は、往々にして視聴者が見た劣化映像に忠実でないという課題があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、映像受信端末側デコーダのエラーコンシールメント処理を反映した品質情報を用いることにより、劣化映像の再現精度を向上させ、結果としてFull Reference法に基づくユーザ体感品質の評価値を高精度に算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る映像品質管理システムは、広域ネットワークに接続されて、映像コンテンツを配信する映像配信サーバと、広域ネットワークおよびホームネットワークにそれぞれ接続されて、両ネットワーク間のパケット転送を行うホームゲートウェイ装置と、ホームネットワークに接続されて、映像配信サーバが配信した映像コンテンツを受信し、当該映像コンテンツに対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行ってテレビ受像機に提供すると共に、当該映像コンテンツの品質劣化を検出した場合、デコード処理後の劣化映像に関する情報を含めた品質情報を生成して送信する映像受信端末と、映像配信サーバおよび広域ネットワークにそれぞれ接続されて、映像配信サーバから映像コンテンツの原映像を取得すると共に、広域ネットワークを介して映像受信端末から品質情報を受信して、当該原映像および当該品質情報に含まれる劣化映像に関する情報を用いて劣化映像を再現してユーザ体感品質の評価値を算出する映像品質管理装置とを備えるものである。
【0012】
この発明に係る映像受信端末は、受信した映像コンテンツに対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行うと共に、デコード処理した映像の品質劣化を検出した場合、デコード処理後の劣化映像に関する情報を出力するデコード部と、デコード部が出力した劣化映像に関する情報を用いて、品質劣化の種別に応じた品質情報を生成する品質情報生成部と、品質情報生成部が生成した品質情報を広域ネットワークを介して映像品質管理装置へ送信する品質情報送信部とを備えるものである。
【0013】
この発明に係る映像品質管理装置は、映像受信端末が、エラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行った映像コンテンツの品質劣化を検出した場合にデコード処理後の劣化映像に関する情報を含めた品質情報を送信すると、当該品質情報を広域ネットワークを介して受信してデコード処理後の劣化映像に関する情報を抽出する品質情報解析部と、映像配信サーバから映像コンテンツの原映像を取得する映像取得部と、映像取得部が取得した原映像に対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行うデコード部と、デコード部がデコード処理した原映像および品質情報解析部が抽出したデコード処理後の劣化映像に関する情報を用いて、映像受信端末がテレビ受像機に提供した劣化映像を再現する劣化映像再現部と、劣化映像再現部が再現した劣化映像を用いてユーザ体感品質の評価値を算出する映像品質算出部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、映像受信端末が、エラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行った後の劣化映像に関する情報から生成した品質情報を送信するようにしたので、エラーコンシールメント処理を反映した品質情報を映像品質管理装置側へ通知可能な映像受信端末を提供することができる。
【0015】
また、映像品質管理装置が、映像受信端末側から通知された品質情報に含まれるデコード処理後の劣化映像に関する情報を用いて劣化映像を再現するようにしたので、劣化映像の再現精度を向上させることができ、結果としてFull Reference法に基づくユーザ体感品質の評価値を高精度に算出可能な映像品質管理装置を提供することができる。
【0016】
さらに、これらの映像受信端末および映像品質管理装置を用いて映像品質管理システムを構成するようにしたので、映像受信端末側デコーダのエラーコンシールメント処理を反映した品質情報を用いることにより劣化映像の再現精度を向上させることができ、結果としてFull Reference法に基づくユーザ体感品質の評価値を高精度に算出可能な映像品質管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1に係る映像品質管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る映像受信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る映像品質管理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る映像表示端末が画面表示する表示イメージを示す図である。
【図5】実施の形態1に係る映像品質管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】映像コンテンツの視聴開始時および視聴終了時に通知する品質情報(視聴開始/視聴終了)の構成例を示す図である。
【図7】映像受信端末の品質情報生成部による品質情報(視聴開始/視聴終了)の生成処理動作を示すフローチャートである。
【図8】映像コンテンツのフリーズ発生時に通知する品質情報(劣化発生)の構成例を示す図である。
【図9】映像受信端末の品質情報生成部による品質情報(劣化発生)の生成処理動作を示すフローチャートであり、フリーズ発生時を示す。
【図10】映像コンテンツのブロック歪発生時に通知する品質情報(劣化発生)の構成例を示す図である。
【図11】映像受信端末の品質情報生成部による品質情報(劣化発生)の生成処理動作を示すフローチャートであり、ブロック歪発生時を示す。
【図12】映像品質管理装置の劣化映像再現部による劣化映像の再現処理動作を示すフローチャートである。
【図13】ブロック歪が発生した劣化映像の再現イメージを示す図である。
【図14】この発明の実施の形態2に係る映像品質管理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図15】この発明の実施の形態3に係る映像品質管理装置の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る映像品質管理システムの全体構成を示すブロック図である。
図1において、宅内には、映像通信サービスとして転送される映像コンテンツを視聴者に提示するテレビ受像機(以下、テレビ)101と、映像コンテンツをパケット化された映像ストリームとして受信する映像受信端末102と、通信インタフェースを保有する宅内のデジタル機器を接続するホームネットワーク103と、このホームネットワーク103と宅外の広域IPネットワーク105との間でパケット転送を行うホームゲートウェイ装置104とがある。
【0019】
宅外には、NGN(Net Generation Network)を含むIPベースの広域IPネットワーク105と、映像コンテンツを広域IPネットワーク105を介して映像受信端末102へ配信する映像配信サーバ106と、映像コンテンツを格納する映像ストレージ107と、映像受信端末102が通知した品質情報を収集してユーザがテレビ101にて視聴した劣化映像を再現し、ユーザ体感品質を評価する映像品質管理装置108と、映像品質管理装置108が再現した劣化映像を表示する映像表示端末109とがある。
【0020】
図2は、図1に示す映像受信端末102の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、映像受信端末102は、ホームネットワーク103に接続して通信プロトコル処理を行う通信部201と、パケット化された映像ストリームの受信制御処理を行う映像制御部202と、映像コンテンツに対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行うと共に品質が劣化した映像の検出処理を行うデコード部203と、デコードした映像のテレビ101への出力制御処理を行う映像出力制御部204と、品質劣化の種別に応じた品質情報の生成処理を行う品質情報生成部205と、映像品質管理装置108に対する品質情報の通知処理を行う品質情報送信部206とを備える。
【0021】
この映像受信端末102は、QoEに対応した端末であり、品質情報を生成して送信する機能を有する。一方、QoEに対応していない通常の映像受信端末の場合には、ホームネットワーク103を経由して受信した映像ストリームが通信部201、映像制御部202、デコード部203および映像出力制御部204を経て、テレビ101に映像を提示するだけの構成である。
【0022】
図3は、図1に示す映像品質管理装置108の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、映像品質管理装置108は、広域IPネットワーク105に接続して通信プロトコル処理を行う通信部301と、広域IPネットワーク105を介して映像受信端末102から受信した品質情報の中身を解析する品質情報解析部302と、映像コンテンツの原映像を広域IPネットワーク105を経由せずに映像配信サーバ106から直接取得する映像取得部303と、取得した原映像に対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行うデコード部304と、原映像の一部を品質情報に含まれる情報を用いて加工して劣化映像を再現する劣化映像再現部305と、再現した劣化映像を用いて品質評価値(QoE値)を算出する映像品質算出部306とを備える。
なお、劣化映像再現部305は、再現した劣化映像を映像品質算出部306へ出力する処理に加え、原映像と再現した劣化映像とを映像表示端末109へ出力する処理を行う。
【0023】
図4は、図1に示す映像表示端末109が画面表示する表示イメージを示す図である。
図4に示すように、映像表示端末109は、原映像を表示する原映像表示画面401と、宅内のテレビ101にてユーザが視聴した劣化映像と同じ再現劣化映像を表示する劣化映像表示画面402とが並べて設けられ、原映像と再現劣化映像とを並べて比較提示する。
【0024】
次に、映像品質管理システムの動作を説明する。
図5は、この発明の実施の形態1に係る映像品質管理システムの動作を示すシーケンス図である。
図5に示すように、まずステップST501にて映像配信サーバ106が映像ストレージ107から映像コンテンツを読み出し、広域IPネットワーク105、ホームゲートウェイ装置104およびホームネットワーク103を経由して映像受信端末102へ配信する。
【0025】
続くステップST502にて、映像受信端末102の通信部201がホームネットワーク103から映像コンテンツを受信して映像制御部202へ出力し、映像制御部202が映像コンテンツのデコード開始時点で品質情報生成部205に対して視聴開始を通知し、同時にRTP(Real−time Transport Protocol)パケットの先頭シーケンス番号を渡す。
この通知を受けて、品質情報生成部205は、視聴開始時に映像品質管理装置108に通知するための品質情報(視聴開始)を生成する。品質情報生成部205における品質情報(視聴開始)の生成処理の詳細については後述する。
また、映像コンテンツは映像制御部202からデコード部203へ出力され、デコード部203でデコード処理を行い映像出力制御部204からテレビ101へ出力される。
【0026】
続くステップST503にて、品質情報生成部205の生成した品質情報(視聴開始)を品質情報送信部206が受け取り、映像品質管理装置108へ送信する。送信された品質情報(視聴開始)は、通信部201、ホームネットワーク103、ホームゲートウェイ装置104および広域IPネットワーク105を経由して映像品質管理装置108が受信する。
【0027】
また、映像コンテンツ視聴中のステップST504にて、映像受信端末102のデコード部203がデコード中の映像コンテンツについて、RTPパケットのシーケンス番号から判定するパケット損失等に起因する品質劣化を検出すると、品質情報生成部205に対して品質劣化の発生を通知し、同時にエラー対象のピクチャ番号と、品質劣化種別(フリーズまたはブロック歪)に応じた劣化映像データを渡す。このピクチャ番号は、デコード開始時から何枚目のピクチャにエラーが発生しているかを示す。劣化映像データの詳細は後述する。
【0028】
続くステップST505にて、品質情報生成部205は品質劣化発生時に通知する品質情報(劣化発生)を生成する。この品質情報(劣化発生)には、エラーコンシールメント処理を含むデコード処理後の劣化映像に関する情報である劣化映像データ(ピクチャ番号、マクロブロックデータなど)を含める。品質情報生成部205における品質情報(劣化発生)の生成処理の詳細については後述する。
続くステップST506にて、品質情報生成部205の生成した品質情報(劣化発生)を品質情報送信部206が受け取り、映像品質管理装置108へ送信する。
【0029】
続くステップST507にて、映像品質管理装置108の通信部301が広域IPネットワーク105から品質情報(劣化発生)を受信して品質情報解析部302へ出力し、品質情報解析部302が品質情報(劣化発生)の中身を解析して映像取得部303へ品質劣化の発生を通知すると共に、品質情報(劣化発生)に含まれる劣化映像データを劣化映像再現部305へ出力する。劣化発生の通知を受けた映像取得部303は、劣化の発生した映像コンテンツの原映像を映像配信サーバ106から取得し、デコード部304がデコード処理を行う。
【0030】
続くステップST508にて劣化映像再現部305が、品質情報解析部302から出力された劣化映像データとデコード部304から出力された原映像のピクチャを合成して劣化映像を再現する。劣化映像再現部305の劣化映像の再現処理の詳細については後述する。
【0031】
最後に、ステップST509にて、映像受信端末102の映像制御部202が映像コンテンツのデコード終了時点で品質情報生成部205に対して視聴終了を通知し、同時にRTPパケットの最終シーケンス番号を渡す。
この通知を受けて、品質情報生成部205は、視聴終了時に映像品質管理装置108に通知するための品質情報(視聴終了)を生成する。品質情報送信部206における品質情報(視聴終了)の生成処理の詳細については後述する。
続くステップST510にて、品質情報生成部205の生成した品質情報(視聴終了)を品質情報送信部206が受け取り、映像品質管理装置108へ送信する。
【0032】
映像品質管理装置108は、品質情報(視聴開始)の通知を受けると、その通知で指定される視聴開始位置に相当する原映像の位置から劣化映像の再現を開始し、品質情報(視聴終了)の通知を受けると、その通知で指定される視聴終了位置に相当する原映像の位置で劣化映像の再現を停止することになる。なお、図示は省略するが、原映像と再現された劣化映像とを用いて、映像品質算出部306がユーザ体感品質の品質評価値を算出する。品質評価値の算出方法は、公知の算出方法でよいため詳細な説明は省略する。
【0033】
次に、映像受信端末102の品質情報生成部205による品質情報の生成処理の詳細を説明する。まず品質情報(視聴開始)および品質情報(視聴終了)について説明し、次に品質情報(劣化発生)について説明する。
そもそも、視聴開始時および視聴終了時に品質情報を生成して映像品質管理装置108へ送信する目的は、映像品質管理装置108で劣化映像を再現する際の前段階で、原映像の出力開始と停止の位置情報を通知することにある。従って、品質情報(視聴開始/視聴終了)は、劣化映像の再現に用いる必須の情報ではなく、補助的な情報と言える。
【0034】
図6は、映像コンテンツの視聴開始時および視聴終了時に通知する品質情報(視聴開始/視聴終了)の構成例を示す図である。品質情報(視聴開始/視聴終了)は、映像受信端末102を識別する「端末識別情報」601と、視聴開始/視聴終了等の状態種別を示す「品質情報種別」602と、現在視聴のチャネル番号を特定する「視聴チャネル」603と、視聴開始/視聴終了時の先頭/最終RTPパケットのシーケンス番号を示す「パケット・シーケンス番号」604とで構成される。パケット・シーケンス番号604は、パケットレイヤ(パケット層)のデータである。
【0035】
図7は、映像受信端末102の品質情報生成部205による品質情報(視聴開始/視聴終了)の生成処理動作を示すフローチャートである。
図7に示すように、映像制御部202から視聴開始または視聴終了が通知されると、品質情報生成部205はまずステップST701にて品質情報種別602に「視聴開始」または「視聴終了」を設定する。続くステップST702にて、視聴チャネル603に「現在のチャネル番号」(例えば6)を設定する。続くステップST703にて、パケット・シーケンス番号604に、映像制御部202から視聴開始/視聴終了の通知と共に渡された「先頭/最終のRTPパケット・シーケンス番号」を設定する。最後にステップST704にて、品質情報生成部205は生成した品質情報(視聴開始/視聴終了)に自端末の端末識別情報601を設定して、品質情報送信部206へ渡す。
【0036】
次に、品質情報(劣化発生)について説明する。
まず、品質劣化の一例としてフリーズ発生時の説明をする。そもそも、品質劣化(フリーズ)発生時に品質情報を生成して映像品質管理装置108へ送信する目的は、映像品質管理装置108で劣化映像を再現する際に使用する、フリーズしたピクチャ番号(劣化映像データの一つ)を通知することにある。
【0037】
図8は、映像コンテンツのフリーズ発生時に通知する品質情報(劣化発生)の構成例を示す図である。品質情報(劣化発生)は、「端末識別情報」801と、発生した劣化等の状態種別を示す「品質情報種別」802と、「視聴チャネル」803と、フリーズ発生のピクチャを特定するための「ピクチャ番号」804とで構成される。ピクチャ番号804は、デコード部203がデコード中にカウントアップを継続し、デコード停止時にリセットする数値である。ピクチャ番号804は、メディアレイヤ(メディア層)のデータである。
【0038】
図9は、映像受信端末102の品質情報生成部205による品質情報(劣化発生)の生成処理動作を示すフローチャートであり、フリーズ発生時を示す。
図9に示すように、デコード部203からフリーズ発生が通知されると、品質情報生成部205はまずステップST901にて品質情報種別802に「フリーズ」を設定する。続くステップST902にて、視聴チャネル803に「現在のチャネル番号」を設定する。続くステップST903にて、ピクチャ番号804に、デコード部203からフリーズ発生の通知と共に渡された「フリーズしたピクチャ番号」を設定する。
【0039】
続くステップST904にて、品質情報生成部205はピクチャ単位の平均再生時間を考慮した一定時間を待った後、ステップST905にて、デコード部203から次のフリーズ発生の通知があるか判定する。その結果、次の通知がある場合(ステップST905“YES”)、即ちフリーズが継続している場合は、再度ステップST903から処理を継続する。一方、次の通知がない場合(ステップST905“NO”)、即ちフリーズが解消した場合は、続くステップST906にて、品質情報生成部205は生成した品質情報(劣化発生)に自端末の端末識別情報801を設定して、品質情報送信部206へ渡す。
【0040】
次に、品質劣化の一例としてブロック歪(ひずみ)発生時の説明をする。そもそも、品質劣化(ブロック歪)発生時に品質情報を生成した映像品質管理装置108へ送信する目的は、映像品質管理装置108で劣化映像を再現する際に使用する、特定ピクチャ中のブロック歪データ(劣化映像データの一つ)を通知することにある。
【0041】
図10は、映像コンテンツのブロック歪発生時に通知する品質情報(劣化発生)の構成例を示す図である。品質情報(劣化発生)は、「端末識別情報」1001と、「品質情報種別」1002と、「視聴チャネル」1003と、「ピクチャ番号」1004と、ピクチャ番号1004のピクチャ中に発生したブロック歪の数を示す「ブロック歪の数」1005と、ピクチャ番号1004のピクチャ中に発生したN(Nは整数)個のブロック歪のうちn番目のブロック歪の位置情報を示す「ブロック歪nの位置情報」1006−nと、その劣化映像データを示す「ブロック歪nの劣化映像データ」1007−nとで構成される。ブロック歪nの位置情報1006−nおよびブロック歪nの劣化映像データ1007−nは、それぞれ、発生したブロック歪の数と同数設定される。ピクチャ番号1004、ブロック歪の数1005、ブロック歪nの位置情報1006−nおよびブロック歪nの劣化映像データ1007−nは、メディアレイヤ(メディア層)のデータである。
【0042】
図11は、映像受信端末102の品質情報生成部205による品質情報(劣化発生)の生成処理動作を示すフローチャートであり、ブロック歪発生時を示す。
図11に示すように、デコード部203からブロック歪発生が通知されると、品質情報生成部205はまずステップST1101にて品質情報種別1002に「ブロック歪」を設定する。続くステップST1102にて、視聴チャネル1003に「現在のチャネル番号」を設定する。続くステップST1103にて、ピクチャ番号1004に、デコード部203からブロック歪発生の通知と共に渡された「ブロック歪が起こったピクチャ番号」を設定する。続くステップST1104にて、ブロック歪1の位置情報1006−1に、デコード部203からブロック歪発生の通知と共に渡された劣化映像データのうちの「1番目のブロック歪が発生したマクロブロックの位置情報」を設定する。
続くステップST1105にて、ブロック歪1の劣化映像データ1007−1に、デコード部203からブロック歪発生の通知と共に渡された劣化映像データのうちの「1番目のブロック歪が発生したマクロブロックのデータ」を設定する。このとき、品質情報生成部205は、マクロブロックのデータを圧縮してサイズを縮小させてもよい。
【0043】
続くステップST1106にて、後続のブロック歪が存在するか判定する。その結果、後続が存在する場合(ステップST1106“YES”)は、再度ステップST1104から次のブロック歪の箇所に対する処理を継続する。一方、後続が存在しない場合(ステップST1106“NO”)、即ち当該ピクチャ中の最後のブロック歪Nの箇所に対する処理終了の場合は、続くステップST1107にて、品質情報生成部205は当該ピクチャ中のブロック歪の数1005を設定し、さらに自端末の端末識別情報1001を設定した品質情報(劣化発生)を品質情報送信部206へ渡す。
【0044】
次に、映像品質管理装置108の劣化映像再現部305による劣化映像の再現処理の詳細を説明する。
図12は、映像品質管理装置108の劣化映像再現部305による劣化映像の再現処理動作を示すフローチャートである。
図12において、劣化映像再現部305はまずステップST1201にて、デコード部304が品質情報(視聴開始)で指定されたパケット・シーケンス番号以降の原映像をデコード処理したピクチャを取得する。続くステップST1202にて、カウントアップしている当該ピクチャ番号と、品質情報解析部302から渡された品質情報(劣化発生)のピクチャ番号が一致するかチェックする。その結果、一致する場合(ステップST1202“YES”)は、続くステップST1203にて品質情報解析部302から渡された品質情報(劣化発生)の品質情報種別を判定する。
【0045】
判定の結果、品質劣化の種別がフリーズであれば(ステップST1203“フリーズ”)、続くステップST1204にてピクチャ出力を抑止することで、フリーズ状態を再現する。
【0046】
一方、品質劣化の種別がブロック歪であれば(ステップST1203“ブロック歪”)、続くステップST1205にて品質情報解析部302から渡された品質情報(劣化発生)の劣化映像データ、即ちブロック歪nの位置情報および劣化映像データに従い、「1番目のブロック歪が発生した位置情報」に相当する原映像のデータを「1番目のブロック歪が発生したマクロブロックのデータ」へ置き換えることで、ブロック歪を再現する。続くステップST1206にて、当該ピクチャ内に後続のブロック歪が存在するか判定する。その結果、後続が存在する場合(ステップST1206“YES”)は、再度ステップST1205から次のブロック歪の箇所に対する映像データの置き換え処理を継続する。一方、後続が存在しない場合(ステップST1206“NO”)、即ち当該ピクチャ中の最後のブロック歪の箇所に対する処理終了の場合は、続くステップST1207にて、置き換え処理した当該ピクチャを出力する。
【0047】
また、ステップST1202にて当該ピクチャ番号と、品質情報解析部302から渡された品質情報(劣化発生)のピクチャ番号とが一致しない場合(ステップST1202“NO”)も、続くステップST1207にて原映像のピクチャをそのまま出力する。
映像品質管理装置108は、以上の処理を、原映像が品質情報(視聴終了)で指定されたパケット・シーケンス番号に一致するまで行って、劣化映像の再現を終了する。
なお、品質情報解析部302は、品質情報(劣化発生)に含まれるマクロブロックのデータが圧縮されている場合には伸長操作すればよい。
【0048】
図13は、ブロック歪が発生した劣化映像の再現イメージを示す図である。
図13に示すように、原映像1301と、品質情報(劣化発生)に含まれるブロック歪の劣化映像データ1302とを合成すると(即ち、原映像のピクチャの一部を品質情報中のブロック歪データで置き換えると)、ブロック歪を再現した再現劣化映像1303になる。映像品質管理装置108の映像品質算出部306は、Full Reference法に基づいて、原映像1301と再現劣化映像1303とを比較して、品質評価値を算出すればよい。
【0049】
以上より、実施の形態1によれば、映像品質管理システムを構成する映像受信端末102を、受信した映像コンテンツに対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行うと共に、デコード処理した映像の品質劣化を検出した場合、デコード処理後の劣化映像データを出力するデコード部203と、デコード部203が出力した劣化映像データを用いて、品質劣化種別に応じた品質情報(劣化発生)を生成する品質情報生成部205と、品質情報生成部205が生成した品質情報(劣化発生)を広域IPネットワーク105を介して映像品質管理装置108へ送信する品質情報送信部206とを備えるように構成した。このため、エラーコンシールメント処理を反映した品質情報(パケットレイヤのデータではなく、メディアレイヤの劣化映像データを含む)を映像品質管理装置側へ通知可能な映像受信端末を提供することができる。
【0050】
また、実施の形態1によれば、映像品質管理システムを構成する映像品質管理装置108を、品質情報(劣化発生)を広域IPネットワーク105を介して受信してデコード処理後の劣化映像データを抽出する品質情報解析部302と、映像配信サーバ106から映像コンテンツの原映像を取得する映像取得部303と、映像取得部303が取得した原映像に対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行うデコード部304と、デコード部304がデコード処理した原映像および品質情報解析部302が抽出したデコード処理後の劣化映像データを用いて、映像受信端末102がテレビ101に提供した劣化映像を再現する劣化映像再現部305と、劣化映像再現部305が再現した劣化映像を用いてユーザ体感品質の評価値を算出する映像品質算出部306とを備えるように構成した。このため、受信した品質情報に含まれるメディアレイヤの劣化映像データを用いて原映像から劣化映像を再現できるようになるので、ユーザが視聴した劣化映像をより忠実に再現でき、結果として高精度の品質評価値を算出することができる。
【0051】
実施の形態2.
図14は、この発明の実施の形態2に係る映像品質管理装置108の内部構成を示すブロック図である。この図14において、図3と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。上記実施の形態1に係る映像品質管理装置108のデコード部304は、単一の種別のデコード処理を行う構成であったが、本実施の形態2に係る映像品質管理装置108のデコード部304は、互いに種別の異なる#1〜#M(Mは整数)のデコーダ1401−1〜1401−Mを備える。
なお、映像品質管理システム、映像受信端末および映像表示端末の構成は、図1、図2および図4と同様の構成であるため、以下ではこれらの図を援用して説明する。
【0052】
上記実施の形態1(図3)の映像品質管理装置108は、単一のデコーダで構成されるデコード部304でデコードした原映像と品質情報(劣化発生)中の劣化映像データとを合成して劣化映像を再現する構成であった。これに対して、図14に示す本実施の形態2の映像品質管理装置108は、互いに異なるデコード処理を行う複数のデコーダ1401−1〜1401−Mを具備し、映像受信端末102のデコード部203によるデコード処理と同じ種類のデコード処理を行うデコーダ1401−xを選択的に切り替えて使用する構成とする。これは、映像受信端末102に複数種類があって、また、搭載されるデコーダも複数種別が存在することを前提とした考えに基づく。そして、このような前提の場合にも、視聴者が見た原映像に完全に忠実なピクチャを生成可能にする。
【0053】
次に、映像品質管理装置108の動作を説明する。
図14において、まず品質情報解析部302は映像受信端末102から通知された品質情報(視聴開始/視聴終了/劣化発生)の中身を解析し、映像取得部303へ品質劣化の発生および当該劣化が発生した映像受信端末102を示す端末識別情報を通知する。映像取得部303は、品質情報解析部302から通知を受けると、映像配信サーバ106から原映像を取得する。その後、映像取得部303は、品質情報解析部302から渡された端末識別情報から特定されるデコーダ種別に対応する種別のデコーダ1401−x(xは1〜Mの整数)をデコーダ1401−1〜1401−Mから選択し、そのデコーダ部1401−xに原映像のデコード処理を行わせる。続いて劣化映像再現部305が、デコーダ1401−xがデコード処理した原映像のピクチャの一部を、品質情報解析部302から渡された劣化映像データのマクロブロックデータで置き換えて劣化映像を再現する。最後に映像品質算出部306が、再現された劣化映像を用いて品質評価値を算出する。
【0054】
以上より、実施の形態2によれば、映像品質管理システムを構成する映像品質管理装置108において、品質情報解析部302は映像受信端末102側のデコード部203の種別を示す端末識別情報を品質情報から抽出し、デコード部304は互いに異なる種別の複数のデコーダ1401−1〜1401−Mを有し、品質情報解析部302が抽出した端末識別情報に基づいて、映像受信端末102側のデコード部203の種別に対応したデコーダ1401−xに切り替えて原映像のデコード処理を行うように構成した。このため、デコーダ種別毎のエラーコンシールメント処理を反映して劣化映像を再現できるようになるので、ユーザが視聴した劣化映像を完全に忠実に再現でき、結果として最精度の品質評価値を算出することができる。
【0055】
実施の形態3.
図15は、この発明の実施の形態3に係る映像品質管理装置108の内部構成を示すブロック図である。この図15において、図3と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。本実施の形態3に係る映像品質管理装置108は、新たにストレージ1501、品質情報蓄積部1502および映像品質データベース部1503を備える。
なお、映像品質管理システム、映像受信端末および映像表示端末の構成は、図1、図2および図4と同様の構成であるため、以下ではこれらの図を援用して説明する。
【0056】
図15に示すように、映像品質管理装置108は記憶手段であるストレージ1501を具備する。品質情報蓄積部1502は、映像受信端末102から通知された品質情報をストレージ1501へ保存する。映像品質データベース部1503は、品質情報蓄積部1502によりストレージ1501に蓄積された品質情報に、映像品質算出部306が算出した品質評価値を紐付けして保存する。また、この映像品質データベース部1503は、外部から受け付けた劣化映像の再現開始要求に従い、ストレージ1501に蓄積した品質情報を取得して品質情報解析部302へ出力し、品質情報解析部302をはじめとする映像品質管理装置108の各部にこの品質情報に対応する劣化映像の再現処理を開始させる。
【0057】
次に、映像品質管理装置108の動作を説明する。
図15において、まず品質情報解析部302は映像受信端末102から通知された品質情報(視聴開始/視聴終了/劣化発生)を品質情報蓄積部1502へ渡すと共に、その中身を解析して品質情報解析部302へ品質劣化の発生を通知する。
品質情報蓄積部1502は、品質情報解析部302から渡された品質情報(視聴開始/視聴終了/劣化発生)をストレージ1501に蓄積する。
【0058】
他方、映像取得部303は、品質情報解析部302から通知を受けると、映像配信サーバ106から原映像を取得し、続いてデコード部304が原映像をデコード処理する。続いて劣化映像再現部305が、デコード部304がデコード処理した原映像のピクチャの一部を、品質情報解析部302から渡された劣化映像データのマクロブロックデータで置き換えて劣化映像を再現する。その後、映像品質算出部306が再現された劣化映像を用いて品質評価値を算出し、映像品質データベース部1503へ渡す。映像品質データベース部1503は、当該品質評価値を、ストレージ1501に蓄積された品質情報と紐付けして蓄積する。
【0059】
また、映像品質データベース部1503は、映像品質管理装置108のユーザインタフェースを介して劣化映像の再現開始要求を受け付けた場合に、その再現要求対象の映像コンテンツとその品質劣化の種別(品質情報種別)、その劣化が発生した映像受信端末102(端末識別情報)、発生日時等を特定する情報をストレージ1501から取得して、品質情報解析部302に対して劣化映像の再現処理の開始を要求する。
映像品質データベース部1503から再現処理の開始要求を受けた品質情報解析部302は、映像受信端末102から品質情報が通知された場合と同様の動作を行って、映像取得部303、デコード部304および劣化映像再現部305と協働して劣化映像を再現し、映像表示端末109へ提示する。
【0060】
以上より、実施の形態3によれば、映像品質管理システムを構成する映像品質管理装置108が、映像受信端末102から受信した品質情報を、映像品質算出部306が算出した品質評価値と紐付けして蓄積するストレージ1501と、外部から受け付けた開始要求に従い、ストレージ1501に蓄積した品質情報を品質情報解析部302に出力して、当該品質情報に対応する劣化映像の再現処理を開始させる映像品質データベース部1503とを備えるように構成した。このため、映像品質管理装置108側だけで繰り返し、高精度の劣化映像を再現することができる。
【0061】
また、映像受信端末102から通知された品質情報を品質評価値と紐付けしてデータベース化しているので、再現劣化映像と品質評価値の対比分析、および品質評価値自体の高精度化を進めることができる。この結果、きめ細やかな課金サービスを運用することができるようになる。
【0062】
なお、上述した説明では、上記実施の形態1で示した構成に対して上記実施の形態3を適用する場合を示したが、これに限らず、発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0063】
101 テレビ(テレビ受像機)、102 映像受信端末、103 ホームネットワーク、104 ホームゲートウェイ装置、105 広域IPネットワーク、106 映像配信サーバ、107 映像ストレージ、108 映像品質管理装置、109 映像表示端末、201 通信部、202 映像制御部、203 デコード部、204 映像出力制御部、205 品質情報生成部、206 品質情報送信部、301 通信部、302 品質情報解析部、303 映像取得部、304 デコード部、305 劣化映像再現部、306 映像品質算出部、401 原映像表示画面、402 劣化映像表示画面、601 端末識別情報、602 品質情報種別、603 視聴チャネル、604 パケット・シーケンス番号、801 端末識別情報、802 品質情報種別、803 視聴チャネル、804 ピクチャ番号、1001 端末識別情報、1002 品質情報種別、1003 視聴チャネル、1004 ピクチャ番号、1005 ブロック歪の数、1006−1〜1006−N ブロック歪1〜Nの位置情報、1007−1〜1007−N ブロック歪1〜Nの劣化映像データ、1301 原映像、1302 劣化映像データ、1303 再現劣化映像、1401−1〜1401−M デコーダ、1501 ストレージ、1502 品質情報蓄積部、1503 映像品質データベース部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域ネットワークに接続されて、映像コンテンツを配信する映像配信サーバと、
前記広域ネットワークおよびホームネットワークにそれぞれ接続されて、両ネットワーク間のパケット転送を行うホームゲートウェイ装置と、
前記ホームネットワークに接続されて、前記映像配信サーバが配信した映像コンテンツを受信し、当該映像コンテンツに対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行ってテレビ受像機に提供すると共に、当該映像コンテンツの品質劣化を検出した場合、デコード処理後の劣化映像に関する情報を含めた品質情報を生成して送信する映像受信端末と、
前記映像配信サーバおよび前記広域ネットワークにそれぞれ接続されて、前記映像配信サーバから映像コンテンツの原映像を取得すると共に、前記広域ネットワークを介して前記映像受信端末から品質情報を受信して、当該原映像および当該品質情報に含まれる劣化映像に関する情報を用いて劣化映像を再現してユーザ体感品質の評価値を算出する映像品質管理装置とを備える映像品質管理システム。
【請求項2】
映像配信サーバが広域ネットワークを介して配信する映像コンテンツを受信してテレビ受像機に提供すると共に、ユーザ体感品質の評価を行う映像品質管理装置へ当該映像コンテンツの品質情報を送信する映像受信端末であって、
受信した映像コンテンツに対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行うと共に、デコード処理した映像の品質劣化を検出した場合、デコード処理後の劣化映像に関する情報を出力するデコード部と、
前記デコード部が出力した劣化映像に関する情報を用いて、品質劣化の種別に応じた品質情報を生成する品質情報生成部と、
前記品質情報生成部が生成した品質情報を前記広域ネットワークを介して前記映像品質管理装置へ送信する品質情報送信部とを備えることを特徴とする映像受信端末。
【請求項3】
前記デコード部は、映像コンテンツのブロック歪を検出した場合、デコード処理後の劣化映像に関する情報としてブロック歪が生じたピクチャ番号および当該ピクチャ中のブロック歪データを出力し、
前記品質情報生成部は、前記デコード部が出力したピクチャ番号およびブロック歪データを含めた品質情報を生成することを特徴とする請求項2記載の映像受信端末。
【請求項4】
前記デコード部は、映像コンテンツのフリーズを検出した場合、デコード処理後の劣化映像に関する情報としてフリーズしたピクチャ番号を出力し、
前記品質情報生成部は、前記デコード部が出力したピクチャ番号を含めた品質情報を生成することを特徴とする請求項2または請求項3記載の映像受信端末。
【請求項5】
前記品質情報生成部は、デコード処理後の劣化映像に関する情報に対して圧縮操作を行うことを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項記載の映像受信端末。
【請求項6】
映像配信サーバが広域ネットワークを介して映像受信端末へ配信した映像コンテンツのユーザ体感品質の評価を行う映像品質管理装置であって、
前記映像受信端末が、エラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行った映像コンテンツの品質劣化を検出した場合にデコード処理後の劣化映像に関する情報を含めた品質情報を送信すると、当該品質情報を前記広域ネットワークを介して受信してデコード処理後の劣化映像に関する情報を抽出する品質情報解析部と、
前記映像配信サーバから映像コンテンツの原映像を取得する映像取得部と、
前記映像取得部が取得した原映像に対してエラーコンシールメント処理を含めたデコード処理を行うデコード部と、
前記デコード部がデコード処理した原映像および前記品質情報解析部が抽出したデコード処理後の劣化映像に関する情報を用いて、前記映像受信端末がテレビ受像機に提供した劣化映像を再現する劣化映像再現部と、
前記劣化映像再現部が再現した劣化映像を用いてユーザ体感品質の評価値を算出する映像品質算出部とを備えることを特徴とする映像品質管理装置。
【請求項7】
前記劣化映像再現部は、前記品質情報解析部が抽出したデコード処理後の劣化映像に関する情報がブロック歪が生じたピクチャ番号および当該ピクチャ中のブロック歪データの場合、原映像の当該ピクチャ番号のピクチャの一部を当該ブロック歪データで置き換えることを特徴とする請求項6記載の映像品質管理装置。
【請求項8】
前記劣化映像再現部は、前記品質情報解析部が抽出したデコード処理後の劣化映像に関する情報がフリーズしたピクチャ番号の場合、原映像の当該ピクチャ番号のピクチャをフリーズさせることを特徴とする請求項6または請求項7記載の映像品質管理装置。
【請求項9】
前記品質情報解析部は、前記映像受信端末側のデコード部の種別を示す識別情報を品質情報から抽出し、
前記デコード部は、互いに異なる種別の複数のデコーダを有し、前記品質情報解析部が抽出した識別情報に基づいて、前記映像受信端末側のデコード部の種別に対応したデコーダに切り替えて原映像のデコード処理を行うことを特徴とする請求項6記載の映像品質管理装置。
【請求項10】
受信した品質情報を、前記映像品質算出部が算出した評価値と紐付けして蓄積するストレージと、
外部から受け付けた開始要求に従い、前記ストレージに蓄積した品質情報を前記品質情報解析部に出力して、当該品質情報に対応する劣化映像の再現処理を開始させる映像品質データベース部とを備えることを特徴とする請求項6から請求項9のうちのいずれか1項記載の映像品質管理装置。
【請求項11】
前記品質情報解析部は、受信した品質情報から抽出したデコード処理後の劣化映像に関する情報が圧縮されている場合に伸長操作を行うことを特徴とする請求項6記載の映像品質管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−119735(P2012−119735A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264869(P2010−264869)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】