説明

映像検出装置および映像検出方法並びに映像検出プログラム

【課題】所望の事象の進展を表す映像に類似した映像を高い精度で検出する映像検出装置および映像検出方法並びに映像検出プログラムを提供する。
【解決手段】所望の事象の進展を表す基準映像を保持する保持部と、前記基準映像に基づいて、当該基準映像における前記事象の進展の速度を含む複数の速度で前記事象の進展を表す複数の調整映像を生成する生成部と、蓄積装置に蓄積された各蓄積映像と、前記複数の調整映像のそれぞれとの類似度を評価する評価部と、前記評価部で得られた評価結果に基づいて、前記複数の調整映像のいずれかに類似する前記蓄積映像を、前記基準映像に類似する映像として取り出す検出部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は、蓄積された映像から所望の映像を検出する映像検出装置および方法並びに映像検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラによって撮影された映像に基づいて、工場やオフィスなどの施設を監視する監視システムは、撮影された映像に含まれる各画像を時系列的に比較することによって変化を検出したときに記録を開始する技術を用いて映像の蓄積を行う場合がある。
【0003】
このようにして蓄積された映像から特定の人物の像が含まれている映像や特定の動作の様子が表されている映像を検出するための技法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の技法は、目的の映像の特徴を時間的に連結した情報と、蓄積された映像の特徴を時間的に連結した情報とを時間的にずらしながら比較することにより、目的の映像と同じように特徴が変化する部分の検出を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2006−60796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の技法では、目的の映像と類似した事象を捉えていると人間により判断できる映像が、目的の映像に類似する映像として検出されない場合がある。そして、このような映像を目的の映像に類似する映像として抽出するために、特許文献1の技法による映像検出装置が類似性の判断に用いる閾値を調整すると、膨大な量の映像を類似した映像として検出してしまう場合があった。
【0007】
本件開示は、所望の事象の進展を表す映像に類似した映像を高い精度で検出する映像検出装置および映像検出方法並びに映像検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの観点による映像検出装置は、所望の事象の進展を表す基準映像を保持する保持部と、前記基準映像に基づいて、当該基準映像における前記事象の進展の速度を含む複数の速度で前記事象の進展を表す複数の調整映像を生成する生成部と、蓄積装置に蓄積された各蓄積映像と、前記複数の調整映像のそれぞれとの類似度を評価する評価部と、前記評価部で得られた評価結果に基づいて、前記複数の調整映像のいずれかに類似する前記蓄積映像を、前記基準映像に類似する映像として取り出す検出部とを有する。
【0009】
また、別の観点による映像検出方法は、所望の事象の進展を表す基準映像に基づいて、当該基準映像における前記事象の進展の速度を含む複数の速度で前記事象の進展を表す複数の調整映像を生成し、蓄積装置に蓄積された各蓄積映像と、前記複数の調整映像のそれぞれとの類似度を評価し、前記類似度を評価する処理による評価結果に基づいて、前記複数の調整映像のいずれかに類似する前記蓄積映像を、前記基準映像に類似する映像として取り出す。
【0010】
更に別の観点による映像検出プログラムは、所望の事象の進展を表す基準映像に基づいて、当該基準映像における前記事象の進展の速度を含む複数の速度で前記事象の進展を表す複数の調整映像を生成し、蓄積装置に蓄積された各蓄積映像と、前記複数の調整映像のそれぞれとの類似度を評価し、前記類似度を評価する処理による評価結果に基づいて、前記複数の調整映像のいずれかに類似する前記蓄積映像を、前記基準映像に類似する映像として取り出す処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本件開示の映像検出装置および映像検出方法並びに映像検出プログラムによれば、所望の事象の進展を表す映像に類似した映像を高い精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】映像検出装置の一実施形態を示す図である。
【図2】基準映像および評価対象の蓄積映像の例を示す図である。
【図3】調整映像の例を示す図である。
【図4】間引きパターンの例を示す図である。
【図5】映像検出装置の別実施形態を示す図である。
【図6】特徴情報の抽出を説明する図である。
【図7】特徴集約情報の例を示す図である。
【図8】映像検出装置の別実施形態を示す図である。
【図9】特徴値の時間変化を説明する図である。
【図10】映像検出装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図11】映像検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図12】類似度を評価する処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図13】映像検出装置を用いた監視映像管理システムのハードウェア構成例を示す図である。
【図14】監視映像管理処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図15】監視映像管理処理のフローチャートの別例を示す図である。
【図16】映像検出装置を用いた映像検索システムのハードウェア構成例を示す図である。
【図17】映像検索処理のフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、映像検出装置の一実施形態を示す図である。図1に例示した映像検出装置110は、蓄積装置101に蓄積された映像Vevの中から、所望の事象の進展を表す映像である基準映像Vsvに類似している映像を検出する。
【0015】
図1に例示した映像検出装置110は、保持部111と、生成部112と、評価部113と、検出部114とを含む。
【0016】
図1に例示した保持部111は、例えば、入力ポートVinを介して所望の事象が進展する様子を表す映像の入力を受けてもよい。そして、保持部111は、この映像を基準映像Vsvとして保持してもよい。
【0017】
また、図1に例示した生成部112は、保持部111に保持された基準映像Vsvに基づいて、当該基準映像Vsvにおける事象の進展の速度を含む複数の速度で、当該事象の進展を表す複数の調整映像Vmを生成する。なお、以下の説明において、複数の調整映像Vmのそれぞれを区別する場合には、調整映像Vm0〜VmLのように、符号に数字を付して示す。
【0018】
また、図1に例示した評価部113は、蓄積装置101に蓄積された各蓄積映像Vevを順次に評価対象とし、生成部112で得られた各調整映像Vmと当該蓄積映像Vevとの類似度を評価する。
【0019】
図1に例示した検出部114は、上述した基準映像Vsvと類似していることが評価部113による評価結果によって示された蓄積装置101内の蓄積映像Vevを、検出結果として取り出す。なお、検出部114は、出力ポートVoutを介して、蓄積装置102から取り出した蓄積映像Vevを映像検出装置110の外部に出力してもよい。
【0020】
以下、本件開示の映像検出装置110により、蓄積装置102内に蓄積された個々の蓄積映像Vevと、基準映像Vsvとの類似度を評価する方法について説明する。
【0021】
図2は、基準映像Vsvおよび蓄積映像Vevの例を示す図である。図2に示した符号tを付した矢印は、時間変化の方向を示している。また、符号Q1,Q2はそれぞれ画像内に含まれる人物を示し、符号W1は画像内に含まれる壁を示す。
【0022】
図2に例示した基準映像Vsvは、壁W1の前を人物Q1が時間τsをかけて横切っていく様子を表している。一方、評価対象の蓄積映像Vevは、同じ壁W1の前を、別の人物Q2が時間τeをかけて横切っていく様子を表している。なお、図2に例示した基準映像Vsvは、m枚の画像Gs−1〜Gs−mを含んでいる。また、図2に例示した蓄積映像Vevは、M枚の画像Ge−1〜Ge−Mを含んでいる。
【0023】
このように、2つの映像に捉えられた人物Q1,Q2の動きの速度が異なる場合に、それぞれの映像に含まれる個々の画像を相互に比較すると、動きの開始からの経過時間に応じて、人物Q1,Q2の位置の差が大きくなっていくことは明らかである。例えば、基準映像Vsvおよび評価対象の蓄積映像Vevにおいて、図2に符号Tsで示した動きの開始時点にそれぞれ対応する画像Gs−1,Ge−1相互における人物Q1,Q2の位置の差は小さい。これに対して、上述した動きの開始時点Tsから時間τeが経過した時点Teeに対応する基準映像Vsvの画像Gs−tにおける人物Q1の位置と蓄積映像Vevの画像Ge−Mにおける人物Q2の位置の差は、上述した画像Gs−1,Ge−1相互における人物Q1,Q2の位置の差に比べて大きくなっている。
【0024】
類似度の評価対象となる2枚の画像にそれぞれ含まれる人物Q1,Q2の位置の差が大きいほど、これらの画像間の類似度は低くなる。したがって、基準映像Vsvに含まれる各画像と蓄積映像Vevに含まれる各画像とについてそれぞれ求めた類似度は、時系列に従って低くなる。そして、2つの映像の間の類似度は、それぞれに含まれる画像ごとの類似度の総和として考えられるので、図2に例示した基準映像Vsvと蓄積映像Vevとをそのまま評価していえられる類似度もまた高いとはいえない。
【0025】
しかしながら、図2に例示した評価対象の蓄積映像Vevは、人物Q2が壁W1の前を横切っていくという事象を表している点で、基準映像Vsvに類似している。つまり、蓄積映像Vevと基準映像Vsvとは、それぞれが表している事象の進展の速度が異なっているものの、同様の事象の進展を表している点では共通している。
【0026】
本件開示の映像検出装置110は、基準映像Vsvと同様の事象の進展を表している映像を検出するために、図1に例示した生成部112によって生成された複数の調整映像Vmと評価対象の蓄積映像Vevとの類似度を、評価部113によって評価する。
【0027】
評価部113は、例えば、各調整映像Vmに含まれる各画像と蓄積映像Vevに含まれる各画像とを時系列に従って比較した結果に基づいて、各調整映像Vmと蓄積映像Vevとの間の類似度をそれぞれ評価してもよい。
【0028】
図3は、調整映像Vmの例を示す図である。図3に示した符号Vm0〜Vm3は、調整映像Vmの例である。なお、図3に示した符号τmod0〜τmod3は、それぞれ調整映像Vm0〜Vm3の開始から終了までの時間を示す。つまり、これらの調整映像Vm0〜Vm3は、それぞれ異なる速度で人物が壁W1の前を横切っていく様子を表している。
【0029】
図3に例示した調整映像Vm0は、m0枚の画像Gm0−1〜Gm0−m0を含んでいる。同様に、調整映像Vm1は、m1枚の画像Gm1−1〜Gm1−m1を含んでいる。また、調整映像Vm2は、m2枚の画像Gm2−1〜Gm2−m2を含んでいる。同様に、番号kが付された調整映像Vmkは、それぞれmk枚の画像Gmk−1〜Gmk−mkを含んでいる。このような調整映像Vmkは、生成部112が、例えば、基準映像Vsvに含まれるm枚の画像から、mk/m=τmodk/τsを満たすようにmk枚の画像を抽出することによって生成することができる。なお、生成部112は、各調整映像Vmkの第1フレームの画像Gmk−1および最終フレームの画像Gmk−mkとして、基準映像Vsvの第1フレームの画像Gs−1および最終フレームの画像Gs−mをそれぞれ抽出することが望ましい。
【0030】
図3に示した例では、調整映像Vm2の開始から終了までの時間τmod2と評価対象の蓄積映像Vevの開始から終了までの時間τeとがほぼ等しくなっている。つまり、調整映像Vm2において、壁W1の前を人物が通り過ぎる速度と、蓄積映像Vevにおいて壁W1の前を人物が通り過ぎる速度とはほぼ等しくなっている。このような調整映像Vm2に含まれる各画像と評価対象の蓄積映像Vevに含まれる各画像は互いに類似しているので、評価部113によって調整映像Vm2と蓄積映像Vevとについて得られる類似度は、両者が類似している旨を示す。
【0031】
このように、評価対象の蓄積映像Vevが基準映像Vsvと同様の事象の進展を表していれば、生成部112によって生成された複数の調整映像Vmの中に、図3の例の調整映像Vm2にあたる、評価対象の蓄積映像Vevに類似する調整映像Vmが含まれている。逆に言えば、生成部112によって生成された複数の調整映像Vmの中に、図3の例の調整映像Vm2にあたる、蓄積映像Vevに類似する調整映像Vmがあれば、この蓄積映像Vevは、基準映像Vsvと同様の事象の進展を表す映像である。
【0032】
したがって、評価部113により、生成部112で生成された複数の調整映像Vmのいずれかと蓄積映像Vevとが類似している旨が示された場合に、検出部114は、この蓄積映像Vevを、基準映像Vsvに類似した映像として検出してもよい。例えば、検出部114は、評価部113で得られる類似度について、類似性が高いか否かを判定するための閾値を設定し、この閾値との比較に基づいて、評価対象の蓄積映像Vevを検出結果として検出するか否かを判定してもよい。
【0033】
なお、上述した閾値は、例えば、図3に例示した壁W1の前を人物が様々な速度で横切る様子を撮影した映像と、基準映像Vsvに基づいて生成した複数の調整映像Vmとについて、評価部113によってそれぞれ求めた類似度に基づいて決定してもよい。例えば、評価部113により、類似性が高いほど小さい値となる類似度が得られる場合に、上述したようにして撮影された各映像に最も類似しているとされた調整映像Vmとについてそれぞれ得られた類似度の最大値よりも大きい値を閾値に設定してもよい。検出部114が、このような閾値を用いて類似性の高さを判断することにより、基準映像Vsvに類似する映像を漏れなく検出することができる。
【0034】
更に、基準映像Vsvとは異なる事象の進展を表す複数の映像と、基準映像Vsvから生成された複数の調整映像Vmとについてそれぞれ求めた類似度に基づいて、上述した閾値を設定してもよい。例えば、評価部113により、類似性が高いほど小さい値となる類似度が得られる場合に、上述した各映像と当該映像に最も類似しているとされた調整映像Vmとについてそれぞれ得られた類似度の最小値よりも小さい値を閾値に設定してもよい。検出部114が、このような閾値を用いて類似性の高さを判断することにより、異なる事象の進展を表す映像を、検出結果から高い確度で排除することができる。
【0035】
したがって、検出部114が基準映像Vsvと蓄積映像Vevとが類似しているか否かを判断する基準となる閾値は、上述した2つの条件をともに満たす値に設定することが望ましい。
【0036】
このような閾値を用いる検出部114を含む、図1に例示した映像検出装置110によれば、蓄積装置101に蓄積された蓄積映像Vevの中から、基準映像Vsvと同様の事象の進展を表す映像を高い精度で検出することができる。
【0037】
また、図1に例示した生成部112は、例えば、基準映像Vsvに含まれる画像をそれぞれ異なる割合で間引くことにより、複数の調整映像Vmを生成してもよい。なお、生成部112は、元の基準映像Vsvをそのまま調整映像Vmの一つとして出力してもよい。また、生成部112は、各調整映像Vmkを生成する際に、例えば、様々な間引き率に対応して、各調整映像Vmに基準映像Vsvに含まれる各画像が含まれるか否かを示す間引きパターンを用いてもよい。
【0038】
図4は、間引きパターンの一例を示す図である。図4に示したフレーム番号は、基準映像Vsvに含まれる各画像の時系列的な位置を示す。
【0039】
図4に例示した各間引きパターン#0〜#4は、当該間引きパターンを用いて生成される調整映像Vmk(k=0〜4)に含まれる画像をフレーム番号に対応して黒丸を付して示し、調整映像Vmkに含まれない画像を符号「−」で示す。例えば、間引きパターン#0を用いることにより、生成部112は、基準映像Vsvに含まれる全ての画像を含む調整映像Vm0を生成する。また、例えば、間引きパターン#1を用いて基準映像Vsvに含まれる各画像から5フレームに1フレームの割合で画像を間引くことにより、生成部112は、調整映像Vm1を生成する。同様に、間引きパターン#2〜#4を用いて基準映像Vsvから画像をそれぞれ1/4,1/3,1/2の割合で間引くことにより、生成部112は、調整映像Vm2〜Vm4を生成する。
【0040】
図1に例示した生成部112は、次のようにして、保持部111に保持された基準映像Vsvに含まれるm枚の画像の中から、間引きパターンで示される画像を順次に読み出すことにより、複数の調整映像Vmを生成してもよい。以下では、図4に例示した間引きパターン#0〜#4を用いて、調整映像Vm0〜Vm4を生成する場合について説明する。
【0041】
例えば、生成部112は、間引きパターン#1の間引き率が1/5であることから、調整映像Vm1の第jフレームの画像G1−jとして、保持部111に保持された基準映像Vsvのフレーム番号j+[j/5]の画像を読み出してもよい。なお、[x]は、実数xを超えない最大の整数である。このように、生成部112が、第1フレームから第mkフレームまでの各画像G1−j(j=1〜m1)として、基準映像Vsvの間引きパターン#1で示される各画像を読み出すことにより、調整映像Vm1を生成することができる。同様にして、生成部112は、間引きパターン#2の間引き率1/4に基づいて、保持部111から読み出した基準映像Vsvのフレーム番号j+[j/4]の画像を、調整映像Vm2に含まれる各画像G2−j(j=1〜m2)として順次に出力してもよい。また同様に、生成部112は、間引きパターン#3の間引き率1/3に基づいて、保持部111から読み出した基準映像Vsvのフレーム番号j+[j/3]の画像を、調整映像Vm3に含まれる各画像G3−j(j=1〜m3)として順次に出力してもよい。また、同様にして、生成部112は、間引きパターン#4の間引き率1/2に基づいて、保持部111から読み出した基準映像Vsvのフレーム番号j+[j/2]の画像を、調整映像Vm4に含まれる各画像G4−j(j=1〜m4)として順次に出力してもよい。
【0042】
なお、生成部112は、基準映像Vsvの間引きパターンに従って間引かれる画像とその前の画像および後の画像に基づいて、間引かれる画像とその前後の画像の特徴を反映した2枚の補間画像を生成してもよい。そして、生成部112は、これらの補間画像を、間引かれる画像の前後の画像の代わりに、調整映像Vmkに含めてもよい。例えば、生成部112は、間引きパターン#1に従って間引かれる第5フレームの画像Gs−5と、その前の画像Gs−4とにそれぞれ含まれる各画素の画素値を平均化することにより、画像Gs−4と画像Gs−5とについての補間画像を生成する。そして、生成部112は、この補間画像を、基準映像Vsvの第4フレームの画像Gs−4の代わりに、調整映像Vm1の第4フレームの画像Gm1−4として出力してもよい。同様に、生成部112は、画像Gs−5と、その後ろの画像Gs−6とにそれぞれ含まれる各画素の画素値を平均化することにより、画像Gs−6と画像Gs−5とについての補間画像を生成し、この補間画像を調整映像Vm1に含めてもよい。
【0043】
上述した間引きパターン#0〜#4を用いることにより、生成部112は、基準映像Vsvにおいて事象が進展する速度Vと、速度5/4V、速度4/3V,速度3/2V,速度2Vで事象の進展をそれぞれ表す調整映像Vm0〜Vm4をすることができる。
【0044】
なお、生成部112は、図4に例示した間引きパターン#0〜#4に加えて、更に、別の割合を示す間引きパターンを用いて調整映像Vmを生成してもよい。また、生成部112は、間引き率の異なる部分を含む間引きパターンを用いて調整映像Vmを生成してもよい。例えば、基準映像Vsvの前半部分と後半部分とについて、それぞれ異なる間引き率を設定する間引きパターンを用意すれば、図3に例示した壁W1の前を横切る人物の速度が前半と後半とで異なるような映像の検出に適用することができる。このような間引きパターンの設定は、元の基準映像Vsvに捉えられた事象の進展速度の変化として考えられる様々なパターンに基づいて行ってもよい。例えば、図3に例示した壁W1の中央部に到達するまで人物が速度を上げて移動していき、その後、人物の移動速度が低下するような過程を含む、様々な過程に対応して間引きパターンを設定してもよい。
【0045】
このような間引きパターンを生成部112が用いることにより、一つの基準映像Vsvに基づいて、様々な調整映像Vmを簡易な処理によって生成することができる。
【0046】
このような生成部112を含む映像検出装置110は、多様な調整映像Vmを蓄積映像Vevと基準映像Vsvとの類似性の評価に利用可能である。したがって、このような映像検出装置110は、蓄積装置101内の蓄積映像Vevの中から、基準映像Vsvと同様の事象の進展を表す映像をより高い精度で検出することができる。
【0047】
図5は、映像検出装置110の別実施形態を示す図である。なお、図5に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0048】
図5に例示した評価部113は、算出部115と集計部116とを含む。図5に例示した算出部115は、評価対象の蓄積映像Vevに含まれる各画像と、生成部112によって生成された複数の調整映像Vmそれぞれにおいて時系列的に対応する画像との類似度をそれぞれ算出する。以下の説明では、評価対象の蓄積映像Vevに含まれるj番目の画像を画像Ge−jと称する。また、生成部112によって生成されたL+1個の調整映像Vm0〜VmLの中のk番目の調整映像Vmkに含まれるj番目の画像を画像Gk−jと称する。
【0049】
算出部115は、例えば、式(1)に示すように、画像Ge−jに含まれる各画素の輝度値と画像Gk−jに含まれる各画素の輝度値との差分の絶対値の総和として、画像Ge−jと画像Gk−jとの類似度Rk(j)を算出する。なお、式(1)において、画像Ge−jに含まれる各画素の輝度値をYej(x,y)とし、画像Gk−jに含まれる各画素の輝度値をYkj(x,y)として示した。また、定数Xn、Ynは、それぞれ画像における横方向の画素数および縦方向の画素数を示す。
【0050】
【数1】

このような式(1)を用いることにより、算出部115は、評価対象の蓄積映像Vevのj番目の画像Ge−jとk番目の調整映像Vmkのj番目の画像Gk−jと類似性が高いほど、小さい値を示す類似度Rk(j)を求めることができる。
【0051】
また、図5に例示した集計部116は、調整映像Vmkごとに、算出部115で得られた類似度Rk(j)を集計した集計値に基づいて、当該調整映像Vmkと蓄積映像Vevとの類似度を示す評価値Skをそれぞれ求める。
【0052】
集計部116は、例えば、式(2)を用いて算出部115で得られた類似度Rk(j)を集計することにより、評価対象の蓄積映像Vevとk番目の調整映像Vmkとの類似度を示す評価値Skを算出する。なお、式(2)において、定数mkは、k番目の調整映像Vmkに含まれる画像の枚数である。
【0053】
【数2】

上述したようにして、図5に例示した算出部115および集計部116を含む評価部113は、L+1個の調整映像Vm0〜VmLそれぞれについて、評価対象の蓄積映像Vevとの類似度を示す評価値Sk(k=0〜L)を求めることができる。このようにして得られた評価値Skは、評価対象の蓄積映像Vevに含まれる各画像と調整映像Vmkにおいて時系列的に対応する画像との類似度を精密に反映しており、蓄積映像Vevと調整映像Vmkとの類似度を示している。そして、蓄積映像Vevに含まれる各画像と調整映像Vmkに含まれる各画像が相互に類似しているほど、各画像について得られる類似度は小さい値となるので、上述した評価値Skもまた、蓄積映像Vevと調整映像Vmkとが類似しているほど小さい値となる。
【0054】
したがって、検出部114は、上述したようにして各調整映像Vm0〜VmLについて得られた評価値Sk(k=0〜L)のいずれかが、類似度が高いか否かの判断基準となる所定の閾値以下である場合に、蓄積映像Vevは基準映像Vsvに類似する判断してもよい。
【0055】
図5に例示した評価部113によれば、蓄積映像Vevと調整映像Vmkとにそれぞれ含まれる各画像の類似度を精密に反映した評価値Skを得ることができる。したがって、このような評価部113を有する映像検出装置110は、蓄積映像Vevが基準映像Vsvに類似しているか否かを精密に判定することができるので、基準映像Vsvに類似した蓄積映像Vevを高い精度で検出することができる。
【0056】
また、算出部115は、評価対象の蓄積映像Vevに含まれる各画像の特徴と各調整映像Vmに含まれる時系列的に対応する画像の特徴との比較に基づいて、画像の類似度を算出してもよい。例えば、基準映像Vsvおよび評価対象の蓄積映像Vevに含まれる各画像の特徴を表す特徴情報は、各画像をそれぞれ分割して得られるN個のブロックP1〜PNに含まれる各画素の輝度値の平均値を各ブロックの特徴値として含んでもよい。
【0057】
図6は、特徴情報を説明する図である。図6において、符号Gs−1〜Gs−mは、基準映像Vsvに含まれるm枚の画像それぞれを示す。また、符号Ge−1〜Ge−Mは、評価対象の蓄積映像Vevに含まれるM枚の画像それぞれを示す。また、符号P1〜PNは、各画像を分割して得られるN個のブロックを示す。
【0058】
また、基準映像Vsvに含まれる各画像Gs−1〜Gs−mにそれぞれ含まれる各ブロックP1〜PNの平均輝度値A1−1〜AN−mは、予め算出して保持部111に保持しておくことができる。保持部111は、例えば、基準映像Vsvに含まれるフレーム番号j(j=1〜m)の画像Gs−jを示す画像IDに対応して、当該画像Gs−jに含まれる各ブロックP1〜PNの平均輝度値A1−j〜AN−jを保持してもよい。このように保持部111に保持された情報は、基準映像Vsvに含まれる各画像Gs−1〜Gs−mについて得られた特徴情報を集約した情報であり、基準映像Vsvの特徴集約情報の一例である。
【0059】
図7は、特徴集約情報の例を示す図である。図7(A)は、基準映像Vsvの特徴集約情報の一例である。また、図7(B)は、評価対象の蓄積映像Vevに含まれる各画像から当該画像の特徴を抽出することで得られる特徴情報を集約した評価対象の蓄積映像Vevの特徴集約情報の一例である。
【0060】
図7(B)に例示した評価対象の蓄積映像Vevの特徴集約情報は、評価対象の蓄積映像Vevのフレーム番号j(j=1〜M)の画像Ge−jを示す画像IDに対応して、当該画像Ge−jに含まれる各ブロックP1〜PNの平均輝度値B1−j〜BN−jを含む。
【0061】
図8は、映像検出装置110の別実施形態を示す図である。なお、図8に示した構成要素のうち、図1および図5に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0062】
図8に例示した算出部115に含まれる抽出部117は、例えば、評価対象の蓄積映像Vevに含まれる各画像に含まれる各ブロックの平均輝度値を算出することにより、当該画像の特徴を示す特徴情報を抽出する。そして、抽出部117は、各画像から抽出した特徴情報を集約することによって、上述したように、各画像に対応する特徴情報を含む特徴集約情報を生成する。
【0063】
図8に例示した算出部115に含まれる差分算出部118は、抽出部117よって生成された評価対象の蓄積映像Vevの特徴集約情報と、生成部112が後述するようにして生成する各調整映像Vmに対応する特徴集約情報とを受け取る。そして、差分算出部118は、評価対象の蓄積映像の特徴集約情報に含まれる各画像の特徴情報と、各調整映像Vmの特徴集約情報に含まれる各画像の特徴情報との差分をそれぞれ求める。
【0064】
図8に例示した生成部112は、保持部111に保持された基準映像Vsvの特徴集約情報から、各調整映像Vmに含まれる各画像に対応して抽出した特徴情報を集約することにより、各調整映像Vmの特徴集約情報を生成してもよい。例えば、生成部112は、図4に例示した間引きパターンによって各調整映像Vm0〜Vm4に含まれるとされた画像に対応して保持部111に保持された特徴情報を、調整映像Vm0〜Vm4それぞれについて集約することで各特徴集約情報を生成してもよい。
【0065】
例えば、生成部112は、図4に示した間引きパターン#1に基づき、調整映像Vm1の第jフレームの画像G1−jに対応する特徴情報として、基準映像Vsvのフレーム番号j+[j/5]の画像に対応する特徴情報を保持部111から読み出す。そして、生成部112は、このようにして読み出した特徴情報を集約することにより、調整映像Vm1の特徴集約情報を得てもよい。なお、[x]は、実数xを超えない最大の整数である。同様にして、生成部112は、間引きパターン#2に基づいて、保持部111から読み出した基準映像Vsvのフレーム番号j+[j/4]の画像に対応する特徴情報を集約することにより、調整映像Vm2の特徴集約情報を取得してもよい。また、同様に、生成部112は、間引きパターン#3に基づいて、保持部111から読み出した基準映像Vsvのフレーム番号j+[j/3]の画像に対応する特徴情報を集約することにより、調整映像Vm3の特徴集約情報を取得してもよい。また、生成部112は、間引きパターン#4に基づいて、保持部111から読み出した基準映像Vsvのフレーム番号j+[j/2]の画像に対応する特徴情報を集約することにより、調整映像Vm4の特徴集約情報を取得してもよい。
【0066】
なお、生成部112は、間引きパターンに従って間引いた画像に対応する特徴情報とその前後の画像に対応する特徴情報とを平均化して得られる特徴情報を、間引いた画像の前後の画像に対応する特徴情報として特徴集約情報に含めてもよい。
【0067】
差分算出部118は、例えば、式(3)を用いることにより、評価対象の蓄積映像Vevに含まれるj番目の画像Ge−jの特徴情報とk番目の調整映像Vmkに含まれるj番目の画像Gk−jの特徴情報との差分Dk(j)を算出してもよい。なお、式(3)において、画像Ge−jに含まれるi番目のブロックPiの平均輝度値をBe(i、j)とし、また、画像Gk−jに含まれるi番目のブロックPiの平均輝度値をAk(i、j)として示した。
【0068】
【数3】

このようにして算出された差分Dk(j)は、評価対象の蓄積映像Vevに含まれるj番目の画像Ge−jとk番目の調整映像Vmkに含まれるj番目の画像Gk−jとの類似度を示しており、類似しているほど小さい値を示す。
【0069】
このように、図8に例示した抽出部117および差分算出部118を有する算出部115によれば、評価対象の蓄積映像Vevに含まれるj番目の画像Ge−jとk番目の調整映像Vmkに含まれるj番目の画像Gk−jとの類似度を、簡易な処理で算出できる。
【0070】
そして、例えば、上述した式(2)の類似度Rk(j)を、差分算出部118で得られた差分Dk(j)で置き換えた式(4)を用いることにより、集計部116は、評価対象の蓄積映像Vevとk番目の調整映像Vmkとの類似度を示す評価値Skを算出してもよい。なお、式(4)において、定数mkは、k番目の調整映像Vmkに含まれる画像の枚数である。
【0071】
【数4】

上述したようにして、図8に例示した抽出部117および差分算出部118を含む算出部115と集計部116とを有する評価部113は、調整映像Vmkごとに、評価対象の蓄積映像Vevとの類似度を示す評価値Skを求めることができる。このようにして得られた評価値Skは、図5に例示した評価部113によって得られる評価値Skと同様に、調整映像Vmkと評価対象の蓄積映像Vevとの類似度が高いほど小さい値となる。したがって、検出部114は、上述したようにして各調整映像Vmkについて得られた評価値Skのいずれかが、基準映像Vsvとの類似性を判断する基準となる所定の閾値よりも小さい場合に、基準映像vsvと蓄積映像Vevとの類似性が高いと判断してもよい。つまり、図8に例示した評価部113によって得られた評価値Skは、図5に例示した評価部113によって得られた評価値Skと同様に、検出部114が、評価対象の蓄積映像Vevが基準映像Vsvと類似しているか否かを判定するための指標である。
【0072】
なお、基準映像Vsvに含まれる各画像に対応して保持部111に保持する特徴情報に含まれる各ブロックに対応する特徴値は、上述した平均輝度値に限らず、個々のブロックの特徴を示す値であればどのようなものでもよい。例えば、基準映像Vsvに含まれる各画像がカラー画像である場合に、個々の画像に含まれる各画素の色を示す画素値のRGB成分のいずれかの平均値を特徴値としてもよい。
【0073】
同様に、評価対象の蓄積映像に含まれる各画像について、抽出部117が当該画像に含まれる各ブロックから抽出する特徴値は、上述した平均輝度値に限らず、個々のブロックの特徴を示す値であればどのようなものでもよい。
【0074】
また、基準映像Vsvに含まれる各画像および評価対象の蓄積映像に含まれる各画像を分割して各ブロックを形成するやり方は、図6に例示したように、各画像をN等分する手法に限られない。例えば、各画像の中央部分と周辺部分とで大きさが異なるように各画像を分割することにより、N個のブロックを形成してもよい。
【0075】
いずれの場合においても、図8に例示した算出部115は、2枚の画像の類似度を算出する処理を、N個のブロックに対応する特徴値の差分の総和を算出するという簡易な処理によって得ることができる。
【0076】
また、上述した閾値は、例えば、基準映像Vsvに類似した事象を表す映像について得られる類似度よりも大きく、基準映像Vsvとは異なる事象を表す映像について得られる類似度よりも小さい値を設定することが望ましい。
【0077】
図8に例示した評価部113の処理は、評価対象の蓄積映像において画像中の任意のブロックPiの特徴値が示す時間変化と、各調整映像Vmにおいて画像中の任意のブロックPiの特徴値が示す時間変化との類似度を評価する処理に相当する。
【0078】
図9は、特徴値の時間変化を説明する図である。図9(A)〜(D)に示すグラフの横軸はフレーム番号を示し、縦軸は輝度値を示す。また、図9において、符号Biは、評価対象の蓄積映像Vevにおいて、i番目のブロックPiの平均輝度値の変化を示すグラフである。また、符号Ai−0〜Ai−3は、それぞれ調整映像Vm0〜Vm3において、i番目のブロックPiの平均輝度値の変化を示すグラフである。
【0079】
図9(A)〜(D)において斜線を付して示した部分の面積は、評価対象の蓄積映像VevのブロックPiの平均輝度値Biと調整映像Vm0〜Vm3それぞれのブロックPiの平均輝度値Aiとの差分それぞれのフレーム番号にわたる総和Sc0〜Sc3を示す。
【0080】
図9(A)〜(D)に示した差分のフレーム番号にわたる総和Sc0〜Sc3は、評価対象の蓄積映像Vevと調整映像Vm0〜Vm3それぞれとにおけるブロックPiの平均輝度値の時間変化の違いを示している。そして、上述した式(4)を用いて求めた評価値Skは、調整映像Vmkと評価対象の蓄積映像VevとにおけるブロックPiの平均輝度値の時間変化の違いを、全てのブロックにわたって累積加算した結果と捉えることもできる。
【0081】
したがって、図8に例示した評価部113によって得られる評価値Skは、評価対象の蓄積映像Vevと各調整映像Vmkとの類似性を、特徴値の時間変化に着目して評価した値でもある。
【0082】
本件開示の映像検出装置110は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いて実現することができる。
図10は、コンピュータ装置10のハードウェア構成の一例を示している。
【0083】
コンピュータ装置10は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26と、ローカルエリアネットワーク(LAN: Local Area Network)インタフェース28とを含んでいる。図10に例示したプロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26と、LANインタフェース28とは、バスを介して互いに接続されている。図10に例示した光学ドライブ装置26は、光ディスク27などの記録媒体を装着可能であり、装着した記録媒体に記録された情報の読出および記録を行う。また、図10に例示した映像検出装置110は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23とを含んでいる。
【0084】
図10に例示したコンピュータ装置10は、LANインタフェース28を介して、LAN30に接続されている。また、このLAN30には、m台の監視カメラC1〜Cmが接続されている。これらの監視カメラC1〜Cmによって撮影された映像は、LAN30、LANインタフェース28およびバスを介してハードディスク装置23の映像蓄積部31に蓄積される。この映像蓄積部31は、図1、図5および図8に例示した蓄積装置101の一例である。
【0085】
図10に例示した入力装置25は、例えば、キーボードやマウスなどである。映像検出装置110の利用者は、入力装置25を操作することにより、映像検出装置110に対して上述したような映像検出処理を開始させる旨の指示などを入力することができる。
【0086】
メモリ22は、コンピュータ装置10のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ21が上述した映像検出処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。なお、上述した映像検出処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、例えば、光ディスク27などの記録媒体に記録して頒布することができる。そして、この光ディスク27を光学ドライブ装置26に装着して読み込み処理を行うことにより、映像検出処理を実行するためのアプリケーションプログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、インターネットなどのネットワークとLANインタフェース28とを介して、映像検出処理を実行するためのアプリケーションプログラムをメモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませることもできる。
【0087】
また、ハードディスク装置23の記録容量の一部を用いることにより、基準映像Vsvを表す情報を保持する基準映像保持部32および基準映像Vsvから抽出された特徴集約情報を保持する集約情報保持部33sを設けてもよい。図10に例示した基準映像保持部32および集約情報保持部33sは、図1、図5および図8に例示した保持部111の一例である。
【0088】
同様に、ハードディスク装置23の記録容量の一部を用いることにより、上述した集約情報保持部33sとは別に、評価対象の蓄積映像Vevから抽出される特徴集約情報を保持する集約情報保持部33eを設けてもよい。また、ハードディスク装置23の記録容量の一部を用いることにより、図4に例示したような間引きパターンを保持する間引きパターン保持部34を設けてもよい。
【0089】
また、プロセッサ21は、メモリ22に格納されたアプリケーションプログラムを実行することにより、図1に例示した生成部112、評価部113および検出部114の機能を果たしてもよい。
【0090】
図11は、映像検出処理のフローチャートの一例を示している。図11に示したステップS301〜ステップS305の各処理は、上述した映像検出処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。また、これらのステップS301〜ステップS305の各処理は、プロセッサ21によって実行される。
【0091】
プロセッサ21は、まず、ハードディスク装置23に設けられた映像蓄積部31から評価対象の蓄積映像Vevを取得する(ステップS301)。次いで、プロセッサ21は、後述するようにして、当該蓄積映像Vevと基準映像保持部32に保持された基準映像Vsvとの類似性を評価する(ステップS302)。
【0092】
そして、ステップS302の処理結果として、当該蓄積映像Vevと基準映像Vsvとが類似している旨の評価結果が得られた場合に(ステップS303の肯定判定)、プロセッサ21は、ステップS304の処理に進む。ステップS304において、プロセッサ21は、当該蓄積映像Vevを、映像検出装置110の検出結果として出力する。例えば、プロセッサ21は、基準映像Vsvに類似しているとして検出した蓄積映像Vevを、バスを介して光学ドライブ装置26に転送することにより、この蓄積映像Vevを光ディスク27などの記録媒体に記録してもよい。その後、プロセッサ21は、ステップS305の処理に進む。
【0093】
一方、ステップS303の否定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、ステップS304の処理を行うことなく、ステップS305の処理に進む。このステップS305において、プロセッサ21は、映像蓄積部31に蓄積された全ての蓄積映像について評価を完了したか否かを判定する。
【0094】
また評価されていない蓄積映像がある場合に(ステップS305の否定判定)、プロセッサ21は、ステップS301の処理に戻り、新たな蓄積映像Vevを評価対象とする処理を開始する。このように、プロセッサ21が、ステップS301〜ステップS305の処理を繰り返し行うことにより、映像蓄積部31内の全ての蓄積映像についての評価処理が完了したときに(ステップS305の肯定判定)、プロセッサ21は、映像検出処理を終了する。
【0095】
図12は、類似度を評価する処理のフローチャートの一例を示している。図12に示したステップS311〜ステップS321は、図11に例示したステップS302の処理の一例である。これらのステップS311〜ステップS321の処理は、プロセッサ21によって実行される。
【0096】
まず、プロセッサ21は、図6、図7を用いて説明したようにして、評価対象の蓄積映像Vevの特徴集約情報を生成する(ステップS311)。プロセッサ21は、例えば、評価対象の蓄積映像Vevに含まれる各画像について、当該画像を分割したN個のブロックにそれぞれ含まれる画素の平均輝度値を求め、これらの平均輝度値を画像ごとに集約することで、各画像に対応する特徴情報を生成する。その上で、プロセッサ21は、更に、評価対象の蓄積映像Vevに含まれる全ての画像に渡って、各画像に対応する特徴情報を集約することにより、当該蓄積映像Vevに対応する特徴集約情報を生成してもよい。また、プロセッサ21は、生成した特徴集約情報を、図10に例示したように、ハードディスク装置23に設けた集約情報保持部33eに保持してもよい。このように、プロセッサ21が、ステップS311の処理を実行することにより、図8に例示した抽出部117の機能を実現してもよい。
【0097】
次に、プロセッサ21は、評価対象の蓄積映像Vevにおいて、基準映像Vsvとの類似性を評価する範囲を初期位置に設定する(ステップS312)。プロセッサ21は、例えば、評価対象の蓄積映像Vevの第1フレームを、初期位置における評価範囲の先頭位置としてもよい。
【0098】
次いで、プロセッサ21は、間引きパターン保持部34に保持された間引きパターンのうち、まだ、調整映像Vmの生成のために選択されていない間引きパターンを選択する(ステップS313)。プロセッサ21は、例えば、図4に例示したような間引きパターン#0〜#4を番号順に選択してもよい。そして、選択した間引きパターンに従って、プロセッサ21は、図10に例示した集約情報保持部33sに保持された基準映像Vsvの特徴集約情報から、当該間引きパターンに対応する調整映像Vmの特徴集約情報を生成する(ステップS314)。ステップS314の処理において、プロセッサ21は、間引きパターンに従って間引いた画像に対応する特徴情報と、当該画像の前後の画像に対応する特徴情報とに基づいて、当該画像の前後の画像に対応する特徴情報を生成してもよい。例えば、プロセッサ21は、間引かれる画像の特徴情報に含まれる各ブロックの平均輝度値と、当該画像の前の画像の特徴情報に含まれる各ブロックの平均輝度値との平均値を用いて、間引かれる画像の前の画像の特徴情報を生成してもよい。同様に、プロセッサ21は、間引かれる画像の特徴情報に含まれる各ブロックの平均輝度値と、当該画像の後の画像の特徴情報に含まれる各ブロックの平均輝度値との平均値を用いて、間引かれる画像の後の画像の特徴情報を生成してもよい。このように、プロセッサ21が、ステップS313で選択した間引きパターンに基づいて、ステップS314の処理を実行することにより、図8に例示した生成部112の機能を実現することができる。また、上述したようにして生成された特徴集約情報は、基準映像Vsvにおける事象の進展の速度と同じ速度を含む複数の速度のいずれかで進展する当該事象を特徴値の変化によって表す点で、調整映像Vmの一例に相当する。したがって、プロセッサ21が、ステップS313で選択した間引きパターンに基づいて、ステップS314の処理を実行することは、調整映像Vmを生成する処理の一例でもある。
【0099】
この調整映像Vmの特徴集約情報と、ステップS311で生成された評価対象の蓄積映像Vevの特徴集約情報とに基づいて、プロセッサ21は、当該調整映像Vmと評価対象の蓄積映像Vevとの類似度を示す評価値Skを算出する(ステップS315)。例えば、プロセッサ21は、上述した式(3)、(4)から導かれる式(5)を用いて、ステップS312で選択された番号#kの間引きパターンに対応する調整映像Vmkと評価対象の蓄積映像Vevとの類似性を示す評価値Skを算出してもよい。なお、式(5)において、定数mkは、調整映像Vmkに含まれる画像の枚数である。
【0100】
【数5】

なお、ステップS315の処理において、プロセッサ21は、ハードディスク装置23に設けられた集約情報保持部33eに保持された評価対象の蓄積映像Vevの特徴集約情報を利用することができる。このように、プロセッサ21が、ステップS315の処理を実行することにより、図8に例示した差分算出部118および集計部116が、抽出部117で得られた特徴集約情報を用いて上述した評価値を算出する機能を実現することができる。
【0101】
次に、プロセッサ21は、上述したようにして得られた評価値Skを所定の閾値Thと比較する(ステップS316)。なお、この閾値Thは、例えば、基準映像Vsvに類似した事象を表す映像について得られる評価値Skよりも大きく、基準映像Vsvとは異なる事象を表す映像について得られる評価値Skよりも小さい値を設定することが望ましい。
【0102】
調整映像Vmkと評価対象の蓄積映像Vevとの類似性を示す評価値Skが閾値Thよりも小さい場合に(ステップS316の肯定判定)、プロセッサ21は、評価対象の蓄積映像Vevは、基準映像Vsvに類似していると判断する。この場合に、プロセッサ21は、評価対象の蓄積映像Vevは、基準映像Vsvに類似している旨を出力し(ステップS321)、その後、当該蓄積映像Vevについて基準映像Vsvとの類似性を評価する処理を終了する。
【0103】
このように、プロセッサ21が、ステップS316およびステップS321の処理を実行することにより、図1、図5および図8に例示した検出部114が、上述した評価値に基づいて当該蓄積映像Vevが基準映像Vsvに類似するか否かを判定する機能を実現してもよい。
【0104】
上述したように、ステップS316の肯定判定ルートの処理を実行した後に、当該蓄積映像Vevについて基準映像Vsvとの類似性を評価する処理を終了した場合に、プロセッサ21は、図11に例示したステップS303の肯定判定ルートの処理を実行する。
【0105】
一方、調整映像Vmkと評価対象の蓄積映像Vevとの類似性を示す評価値Skが閾値Th以上である場合に(ステップS316の否定判定)、プロセッサ21は、全ての間引きパターンを選択したか否かを判定する(ステップS317)。
【0106】
上述したステップS313の処理においてまだ選択されていない間引きパターンがある場合に(ステップS317の否定判定)、プロセッサ21は、ステップS313の処理に戻り、未選択の間引きパターンのいずれかを選択する。そして、この間引きパターンに対応する調整映像Vmと評価対象の蓄積映像Vevとの類似度を評価する処理を開始する。
【0107】
このように、プロセッサ21が、ステップS313〜ステップS317の処理を繰り返すことにより、図1に例示した評価部113の機能を実現することができる。
【0108】
ところで、評価対象の蓄積映像Vevにおいて、基準映像Vsvで表されている事象の開始時点が、上述したステップS312で設定した評価範囲の先頭位置に対応する時点からずれている場合がある。このような場合には、上述したようにして全ての間引きパターンに対応する調整映像Vmと評価対象の蓄積映像Vevとを比較しても、両者が互いに類似している旨を示す評価値は得られない場合がある。このような事象の開始時点のずれに対応するために、プロセッサ21は、以下に述べるステップS318からステップS320の処理を実行してもよい。
【0109】
上述したステップS317の肯定判定の場合に、プロセッサ21は、まず、全ての間引きパターンを未選択状態に設定する(ステップS318)。次いで、プロセッサ21は、評価対象の蓄積映像Vevにおいて、基準映像Vsvから生成される各調整映像Vmとの類似性を評価する評価範囲をずらすことができるか否かを判定する(ステップS319)。プロセッサ21は、例えば、評価対象の蓄積映像Vevにおいて、評価範囲の先頭位置として設定されたフレーム番号以降に含まれる画像の枚数に基づいて、ステップS319の判定を行ってもよい。
【0110】
例えば、評価範囲の先頭位置として設定されたフレーム番号以降に含まれる画像の枚数が、基準映像Vsvに含まれる画像の枚数よりも多い場合に、プロセッサ21は、評価範囲をずらすことが可能であると判断してもよい(ステップS319の肯定判定)。この場合に、プロセッサ21は、例えば、評価範囲の開始位置を所定のフレーム数だけずらすことにより、評価対象の蓄積映像Vevにおける評価範囲をずらしてもよい(ステップS320)。その後、プロセッサ21は、ステップS313の処理に戻ることにより、新たに設定された評価範囲に含まれる評価対象の蓄積映像Vevについて、基準映像Vsvとの類似性を評価する処理を開始する。
【0111】
このように、プロセッサ21が、ステップS313〜ステップS320の処理を繰り返すことにより、評価対象の蓄積映像Vevにおける事象の開始時点のズレも考慮しながら、基準映像Vsvとの類似性を評価することができる。
【0112】
評価範囲をずらしつつ、全ての間引きパターンに対応する調整映像Vmと評価対象の蓄積映像Vevとの類似性を評価しても、閾値Thよりも小さい評価値が得られなかった場合に(ステップS319の否定判定)、プロセッサ21は、ステップS322の処理に進む。ステップS322の処理で、プロセッサ21は、評価対象の蓄積映像Vevと基準映像Vsvとは類似しない旨の評価結果を出力する。その後、プロセッサ21は、当該蓄積映像Vevについて基準映像Vsvとの類似性を評価する処理を終了する。
【0113】
このように、ステップS319の否定判定ルートの処理を実行した後に、当該蓄積映像Vevについて基準映像Vsvとの類似性を評価する処理を終了した場合に、プロセッサ21は、図11に例示したステップS303の否定判定ルートの処理を実行する。
【0114】
なお、図12に例示したステップS313でプロセッサ21が選択する間引きパターンは、上述した評価処理の開始時点で間引きパターン保持部34に保持されていればよい。したがって、例えば、図11に例示したステップS301に先立って、プロセッサ21が、映像検出装置110の操作者からの指示に基づいて、新たな間引きパターンを追加する処理を実行することもできる。
【0115】
また、図12に例示したステップS314でプロセッサ21が間引きパターンに基づいて生成する調整映像Vmの特徴集約情報の元になる基準映像Vsvの特徴集約情報は、上述した評価処理の開始時点で集約情報保持部33sに保持されていればよい。したがって、例えば、図11に例示したステップS301に先立って、プロセッサ21が、映像検出装置110の操作者からの指示に基づいて、新たな基準映像Vsvを追加し、この基準映像Vsvに対応する特徴集約情報を作成する処理を実行することもできる。
【0116】
上述したように、図10に例示したコンピュータ装置10を用いて実現した映像検出装置110によれば、映像蓄積部31に蓄積された映像の中から、基準映像Vsvに類似した事象の進展を表す映像を高い精度で漏れなく検出することができる。
【0117】
なお、本件開示の映像検出装置110を監視映像の記録を管理する監視映像管理システムに適用することもできる。
【0118】
図13は、映像検出装置110を適用した監視映像管理システム120のハードウェア構成例を示している。なお、図13に示した構成要素のうち、図10に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0119】
図13に例示した監視映像管理システム120は、映像検出装置110と、光学ドライブ装置26と光ディスク27などの記録媒体とを含む。
【0120】
また、メモリ22は、プロセッサ21が後述する監視映像管理処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。監視映像管理処理は、例えば、上述した映像検出処理に含まれる2つの映像の類似性を評価する処理と、図13に例示した監視カメラC1〜Cmの監視映像を取得するための処理を含んでいる。なお、監視映像管理処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、例えば、光ディスク27などの記録媒体に記録して頒布することができる。そして、この光ディスク27を光学ドライブ装置26に装着して読み込み処理を行うことにより、監視映像管理処理を実行するためのアプリケーションプログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、インターネットなどのネットワークとLANインタフェース28とを介して、監視映像管理処理を実行するためのアプリケーションプログラムをメモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませることもできる。
【0121】
図14は、監視映像管理処理のフローチャートの一例を示している。なお、図14に示すステップのうち、図11例示したステップと同等の処理を示すものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0122】
図14に例示したステップS331〜ステップS336およびステップS339の各処理は、上述した監視映像管理処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる、監視カメラC1〜Cmの監視映像を取得するための処理の一例である。また、図14に例示した監視映像管理処理のフローチャートは、図11に例示したステップS304の処理に代えて、ステップS338の処理を含んでいる。なお、プロセッサ21は、図14に例示した各ステップの処理を、例えば、監視カメラC1〜Cmによって得られる監視映像ごとに、並列に実行してもよい。以下では、任意の監視カメラCaによって得られる監視映像を管理する処理を説明する。
【0123】
ステップS331において、プロセッサ21は、LAN30およびバスを介して監視カメラCaによって得られる監視映像を監視することにより、監視映像に含まれる画像の変化を検出する。プロセッサ21は、例えば、監視映像に含まれる各画像を時系列に従って比較することにより、画像の変化を検出してもよい。そして、プロセッサ21は、ステップS331の検出結果に基づいて、監視カメラCaの視野内に何らかの動きがあったか否かを判定する(ステップS332)。
【0124】
例えば、複数枚の画像にわたって画像の変化を検出したときに、プロセッサ21は、監視カメラCaの視野内に何らかの動きがあったと判断してもよい(ステップS332の肯定判定)。一方、ステップS332の否定判定の場合に、プロセッサ21は、ステップS331の処理に戻り、新たに監視カメラCaから得られる監視映像を監視する処理を続行する。
【0125】
上述したステップS332の肯定判定の場合に、プロセッサ21は、以降に監視カメラCaから得られる監視映像を、ハードディスク装置23内に設けた映像蓄積部31に蓄積する処理を開始する(ステップS333)。
【0126】
その後、プロセッサ21は、監視カメラCaから得られる監視映像を映像蓄積部31に蓄積する処理を続けつつ、上述したステップS331と同様にして、監視映像に含まれる画像の変化を検出する(ステップS334)。そして、ステップS332と同様に、プロセッサ21は、ステップS334の検出結果に基づいて、監視カメラCaの視野内に何らかの動きが静止したか否かを判定する(ステップS335)。
【0127】
ステップS334の処理により、画像に変化が検出されている限りは、プロセッサ21は、ステップS335の否定判定ルートに従って、ステップS334の処理に戻る処理を繰り返す。
【0128】
その後、ステップS334において、複数枚の画像にわたって画像の変化を検出しない旨の検出結果が得られたときに、プロセッサ21は、監視カメラCaの視野内の動きが静止したと判断してもよい(ステップS335の肯定判定)。この場合に、プロセッサ21は、映像蓄積部31への監視映像の蓄積を停止する(ステップS336)。そして、プロセッサ21は、上述したようにして、映像蓄積部31に蓄積された監視映像を評価対象の蓄積映像Vevとして、ステップS302の基準映像Vsvと評価対象の蓄積映像Vevとの類似性を評価する処理を実行する。
【0129】
このステップS302の処理によって、基準映像Vsvと映像蓄積部31に蓄積された監視映像とが類似している旨の評価結果が得られた場合に(ステップS303の肯定判定)、プロセッサ21は、ステップS338の処理に進む。そして、ステップS338において、プロセッサ21は、当該監視映像を、光学ドライブ装置26を介して光ディスク27に記録する処理を実行する。その後、プロセッサ21は、ステップS339の処理に進む。
【0130】
一方、ステップS303の否定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、ステップS338の処理を行うことなく、ステップS339の処理に進む。このステップS339において、プロセッサ21は、監視カメラCaによる監視を継続するか否かを判定する。例えば、プロセッサ21は、入力装置25を介して、監視映像管理システム120の操作者から監視処理の停止が指示されない限り、このステップS339の肯定判定ルートに従って、ステップS331の処理に戻る。そして、新たに得られる監視映像について、ステップS302,S303を含む上述したステップS331〜ステップS339の処理を繰り返す。
【0131】
その後、監視映像管理システム120の操作者が、入力装置25を介して監視処理の停止を指示したときに、プロセッサ21は、ステップS339の否定判定ルートに従って、監視映像管理処理を終了する。
【0132】
このような処理をプロセッサ21が実行することにより、監視カメラCaで得られた監視映像のうち、基準映像Vsvと類似した事象の進展を表している期間の監視映像のみを、光ディスク27などの記録媒体に記録することができる。例えば、監視カメラごとに、当該監視カメラの視野内で起こりうる事象のうち注目すべき事象の進展を表す基準映像Vsvを用意することにより、その事象に類似した事象の進展を捉えた監視映像のみを書換不可の記録媒体に記録することができる。このように、本件開示の監視映像管理システム120によれば、例えば、工場やオフィスなどへの侵入過程を表す映像などを高い精度で検出し、検出した映像を記録することができるので、監視映像の効率的な管理を実現することができる。
【0133】
なお、本件開示の監視映像管理装置120は、基準映像Vsvの時間的な長さTに基づいて、評価対象とする監視映像を制限することも可能である。
【0134】
図15は、監視映像管理処理のフローチャートの別例を示している。なお、図15に示すステップのうち、図14例示したステップと同等の処理を示すものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0135】
図15に例示したフローチャートにおいて、プロセッサ21は、ステップS335の処理に先立って、映像蓄積部31に蓄積された監視映像の時間的な長さが、評価対象の蓄積映像Vevの時間的な長さの上限以下であるか否かを判定する(ステップS341)。評価対象の蓄積映像Vevの時間的な長さの上限は、例えば、基準映像Vsvの時間的な長さTに基づいて、予め決定しておくことができる。
【0136】
映像蓄積部31に蓄積された監視映像の時間的な長さが、評価対象の蓄積映像Vevの時間的な長さの上限以下である場合に(ステップS341の肯定判定)、プロセッサ21は、ステップS335の処理に進む。一方、ステップS341の否定判定の場合に、プロセッサ21は、監視映像の画像に変化があるか否かにかかわらず、ステップS336の処理に進み、監視映像を映像蓄積部31に蓄積する処理を停止する。
【0137】
このように、プロセッサ21が、ステップS341の否定に応じて、監視映像の映像蓄積部31への蓄積を一旦停止させることにより、ステップS302の処理で基準映像Vsvとの類似性を評価する対象の映像の長さに上述した上限を設定することができる。これにより、図12に例示したフローチャートに従って、基準映像Vsvと評価対象の映像との類似性を評価する処理に要する時間の低減を図ることができる。なお、プロセッサ21は、上述したようにして、監視映像の蓄積を一旦停止した以降の監視映像を、別の監視映像として映像蓄積部31に蓄積してもよい。そして、プロセッサ21が、この監視映像についても、同様にして、基準映像Vsvとの類似性を評価することにより、基準映像Vsvに類似した事象の進展を表す監視映像を漏れなく検出し、記録するという目的を果たすことができる。
【0138】
また、図15に例示したフローチャートにおいて、プロセッサ21は、ステップS302の処理に先立って、映像蓄積部31に蓄積された監視映像の時間的な長さが、評価対象の蓄積映像Vevの時間的な長さの下限以上であるか否かを判定する(ステップS342)。評価対象の蓄積映像Vevの時間的な長さの下限は、例えば、基準映像Vsvの時間的な長さTに基づいて、予め決定しておくことができる。
【0139】
映像蓄積部31に蓄積された監視映像の時間的な長さが、評価対象の蓄積映像Vevの時間的な長さの下限以上である場合に(ステップS342の肯定判定)、プロセッサ21は、ステップS302の処理に進む。一方、映像蓄積部31に蓄積された監視映像の時間的な長さが、上述した下限よりも短い場合に(ステップS342の否定判定)、プロセッサ21は、当該監視映像を、ステップS302の処理による評価対象とせずに、ステップS339の処理に進んでもよい。
【0140】
このようにして、プロセッサ21は、映像蓄積部31に蓄積された監視映像が、基準映像Vsvに捉えられた事象の進展過程を表すにはあまりに短い場合に、当該監視映像をステップS302の処理による評価対象からはずしてもよい。これにより、基準映像Vsvに類似する映像として検出される可能性が極めて低い映像について、図14に例示した評価処理を実行するために要する処理時間を低減することができる。
【0141】
また、本件開示の映像検出装置110を大量の映像の中から所望の事象の進展を表す映像を検索する映像検索システムに適用することもできる。
【0142】
図16は、映像検出装置110を適用した映像検索システム130のハードウェア構成例を示している。なお、図16に示した構成要素のうち、図10に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0143】
図16に例示した映像検索システム130は、映像検出装置110と、表示装置24と、入力装置25とを含む。図16に例示した映像検索システム130は、コンピュータ装置10に含まれるバスおよび光学ドライブ装置26を介して、光ディスク27などの記録媒体に記録された映像にアクセス可能である。また、図16に例示した映像検索システム130は、コンピュータ装置10に含まれるLANインタフェース28およびLAN30を介して、映像ライブラリ35に蓄積された映像にアクセス可能である。また、図16に例示した映像検索システムは、コンピュータ装置10に含まれるLANインタフェース28およびLAN30を介して、撮像装置36で撮影された映像の入力を受けてもよい。
【0144】
また、メモリ22は、プロセッサ21が後述する映像検索処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。映像検索処理は、例えば、上述した映像検出処理に含まれる2つの映像の類似性を評価する処理と、図16に例示した入力装置25を介して入力される操作者の指示に応じて、検索処理を制御するための処理を含んでいる。なお、映像検索処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、例えば、光ディスク27などの記録媒体に記録して頒布することができる。そして、この光ディスク27を光学ドライブ装置26に装着して読み込み処理を行うことにより、映像検索処理を実行するためのアプリケーションプログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、インターネットなどのネットワークとLANインタフェース28とを介して、映像検索処理を実行するためのアプリケーションプログラムをメモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませることもできる。
【0145】
図17は、映像検索処理のフローチャートの一例を示している。なお、図17に示すステップのうち、図11例示したステップと同等の処理を示すものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0146】
図17に例示したステップS351〜ステップS353の各処理は、上述した映像検索処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる、検索処理を制御するための処理の一例である。また、図17に例示した映像検索処理のフローチャートは、図11に例示したステップS304の処理に代えて、ステップS354の処理を含んでいる。なお、図14に例示した各ステップの処理は、プロセッサ21によって実行される。
【0147】
まず、プロセッサ21は、入力装置25を介して入力された操作者からの指示に基づいて、所望の事象の進展を表す基準映像Vsvを入力する(ステップS351)。例えば、プロセッサ21は、操作者からの指示に基づいて、LANインタフェース28およびLAN30を介して、撮像装置36による撮影で得られた映像を受け取ってもよい。このようにして受け取った映像を、プロセッサ21は、ハードディスク装置23に設けられた保持部111の基準映像保持部32に保持してもよい。なお、操作者により、光ディスク27に記録された映像の一つあるいは映像ライブラリ35に蓄積された映像の一つが指定された場合に、プロセッサ21は、指定された映像を基準映像Vsvとして受け取ってもよい。
【0148】
次に、プロセッサ21は、ステップS351で入力した基準映像Vsvに対して、図12に例示したステップS311と同様の処理を行うことにより、基準映像Vsvの特徴集約情報を作成する(ステップS352)。
【0149】
次いで、プロセッサ21は、図16に例示した映像ライブラリ35や光学ドライブ26に装着された光ディスク27などに記録された映像の一つを、評価対象の映像として取得する(ステップS353)。プロセッサ21は、例えば、操作者からの指示に基づいて、評価対象の映像の取得先を、映像ライブラリ35あるいは光ディスク27に限定してもよい。また、プロセッサ21は、このようにして取得した映像を、ハードディスク装置23に設けられた映像蓄積部31に保持させてもよい。
【0150】
そして、プロセッサ21は、上述したようにして、映像蓄積部31に保持された映像を評価対象の映像として、ステップS302の基準映像Vsvと評価対象の映像との類似性を評価する処理を実行する。
【0151】
このステップS302の処理によって、基準映像Vsvと映像蓄積部31に蓄積された映像とが類似している旨の評価結果が得られた場合に(ステップS303の肯定判定)、プロセッサ21は、ステップS354の処理に進む。そして、ステップS354において、プロセッサ21は、表示装置24などを介して、映像検索システムの操作者に当該映像を検索結果として提示する処理を実行する。その後、プロセッサ21は、ステップS305の処理に進む。
【0152】
一方、ステップS303の否定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、ステップS354の処理を行うことなく、ステップS305の処理に進む。このステップS305において、プロセッサ21は、映像ライブラリ35や光学ドライブ26に装着された光ディスク27などに記録された全ての映像について評価を完了したか否かを判定する。なお、上述したステップS353の処理で、操作者からの指示で評価対象の映像の取得先が限定されている場合に、プロセッサ21は、指定された取得先に記録されている全ての映像について評価を完了したか否かを判定する。
【0153】
また評価されていない蓄積映像Vevがある場合に(ステップS305の否定判定)、プロセッサ21は、ステップS353の処理に戻り、新たな映像を評価対象として取得する処理を開始する。プロセッサ21が、ステップS353〜ステップS305の処理を繰り返すことにより、映像ライブラリ35などに記録された全ての映像についての評価処理が完了したときに(ステップS305の肯定判定)、プロセッサ21は、映像検索処理を終了する。
【0154】
上述した処理をプロセッサ21が実行することにより、映像ライブラリ35などに記録された全ての映像の中から、基準映像Vsvによって表される事象と類似する事象の進展を表す映像を漏れなく高い精度で検索することができる。
【符号の説明】
【0155】
10…コンピュータ装置;21…プロセッサ;22…メモリ;23…ハードディスク装置;24…表示装置;25…入力装置;26…光学ドライブ装置;27…光ディスク;28…ローカルエリアネットワーク(LAN)インタフェース;30…ローカルエリアネットワーク(LAN);31…映像蓄積部;32…基準映像保持部;33s,33e…集約情報保持部;34…間引きパターン保持部;35…映像ライブラリ;36…撮像装置;C1〜Cm…監視カメラ;101…蓄積装置;110…映像検出装置;111…保持部;112…生成部;113…評価部;114…検出部;115…算出部;116…集計部;117…抽出部;118…差分算出部;120…監視映像管理システム;130…映像検索システム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の事象の進展を表す基準映像を保持する保持部と、
前記基準映像に基づいて、当該基準映像における前記事象の進展の速度を含む複数の速度で前記事象の進展を表す複数の調整映像を生成する生成部と、
蓄積装置に蓄積された各蓄積映像と、前記複数の調整映像のそれぞれとの類似度を評価する評価部と、
前記評価部で得られた評価結果に基づいて、前記複数の調整映像のいずれかに類似する前記蓄積映像を、前記基準映像に類似する映像として取り出す検出部と
を備えたことを特徴とする映像検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像検出装置において、
前記生成部は、前記基準映像に含まれる画像をそれぞれ異なる割合で間引くことにより、前記複数の調整映像を生成し、
前記評価部は、
前記各蓄積映像に含まれる各画像と、前記複数の調整映像それぞれにおいて時系列的に対応する画像との類似度をそれぞれ算出する算出部と、
前記複数の調整映像ごとに、前記算出部で得られた類似度を集計した集計値に基づいて、前記複数の調整映像と前記各蓄積映像との類似度を示す評価値をそれぞれ求める集計部とを有する
ことを特徴とする映像検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像検出装置において、
前記保持部は、前記基準映像に含まれる各画像を分割して得られる所定数のブロックのそれぞれから抽出された特徴を示す特徴情報を保持し、
前記生成部は、前記複数の調整映像ごとに、当該調整映像に含まれる各画像に対応して前記保持部に保持された特徴情報を含む情報を集約することにより、当該調整映像の特徴を表す特徴集約情報を生成し、
前記算出部は、
前記各蓄積映像に含まれる各画像を分割して得られる前記所定数のブロックそれぞれから抽出した特徴を示す特徴情報を集約することにより、前記各蓄積映像の特徴を表す特徴集約情報を生成する抽出部と、
前記各蓄積映像の特徴集約情報に含まれる各画像の前記ブロックごとの特徴情報と、前記各調整映像の特徴集約情報に含まれる前記時系列的に対応する画像の前記ブロックごとの特徴情報との差分に基づいて、前記各蓄積映像に含まれる各画像と、前記複数の調整映像それぞれにおいて時系列的に対応する画像との類似度をそれぞれ求める差分算出部とを有する
ことを特徴とする映像検出装置。
【請求項4】
所望の事象の進展を表す基準映像に基づいて、当該基準映像における前記事象の進展の速度を含む複数の速度で前記事象の進展を表す複数の調整映像を生成し、
蓄積装置に蓄積された各蓄積映像と、前記複数の調整映像のそれぞれとの類似度を評価し、
前記類似度を評価する処理による評価結果に基づいて、前記複数の調整映像のいずれかに類似する前記蓄積映像を、前記基準映像に類似する映像として取り出す
ことを特徴とする映像検出方法。
【請求項5】
所望の事象の進展を表す基準映像に基づいて、当該基準映像における前記事象の進展の速度を含む複数の速度で前記事象の進展を表す複数の調整映像を生成し、
蓄積装置に蓄積された各蓄積映像と、前記複数の調整映像のそれぞれとの類似度を評価し、
前記類似度を評価する処理による評価結果に基づいて、前記複数の調整映像のいずれかに類似する前記蓄積映像を、前記基準映像に類似する映像として取り出す
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする映像検出プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−92819(P2013−92819A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232723(P2011−232723)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000237156)株式会社富士通アドバンストエンジニアリング (100)
【Fターム(参考)】