説明

映像機器

【課題】
ベースバンド映像信号も圧縮映像信号も伝送することが可能となり、映像表示装置だけでなく、デジタルカメラや携帯電話などの持ち運びが可能な機器に対しても縦横放電層の利便性を向上させる。
【解決手段】
撮像装置からのベースバンド映像信号及びマイクロフォンからのベースバンド音声信号を圧縮して圧縮情報を作成する圧縮部と、無線受信された圧縮映像及び音声信号をベースバンド信号に伸張する伸張部とを有し、圧縮部で得られた圧縮情報と伸張部で得られたベースバンド信号のすくなくともいずれかを出力可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を撮像するための撮像部を備えた映像機器、及び該映像機器と他の映像機器間における情報伝送の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像機器と、他の映像機器である映像表示装置とを接続して映像などを視聴するために、アナログ接続をして映像信号と音声信号を伝送する方法が用いられてきた。しかしながら、デジタル機器の普及に伴い、画質劣化防止の視点、著作権保護の視点から、デジタル接続をし、映像信号と音声信号とを暗号化して伝送する方法が用いられている。
【0003】
デジタル伝送の一例として、IEEE1394規格に準拠した1本のケーブルを用いるものが知られている。これは、送受信を行う機器間で相互認証を行い、その認証後に映像信号と音声信号を多重し、その多重データをDTCPと呼ばれる暗号処理をして送信するものである。
【0004】
他の例としては、HDMI方式が知られている。HDMI方式では、高精細映像信号のベースバンド信号と音声信号を時分割多重して、HDCPと呼ばれる暗号化処理をして送信可能とするものである。
【0005】
このような、デジタル化した映像信号と音声信号とを多重化して送信する従来技術としては、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−232377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記IEEE1394規格は、ネットワークとして使用され、その送受信できる伝送レートも限られているため、情報量の多い高精細映像信号をそのままベースバンド信号の状態で送ることができない。このため、IEEE1394規格においては、ベースバンド信号を圧縮して伝送レートを低減して伝送しなければならないという問題がある。一方、HDMI方式では、伝送された高精細映像信号を受信する機器が、その受信した信号を記録することについては考慮されていない。
【0008】
また、これらの方式では、いずれも家庭内におかれた据え置き機器間の接続を前提にしており、デジタルカメラや携帯電話などの持ち運びが可能な機器と映像表示装置とを便利に接続することに対する配慮が充分ではなかった。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものである。そして本発明は、撮像装置を備えた映像機器の利便性を向上させるための技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、撮像部と、マイクロフォンとを有する映像機器であって、前記撮像部で撮像された映像に対応するベースバンド映像信号を圧縮する第1の圧縮部と、前記マイクロフォンからのベースバンド音声信号を圧縮する第2の圧縮部と、圧縮された情報信号を受信する無線入力部と、前記無線入力部に入力された情報信号に含まれる圧縮映像信号を伸張してベースバンド映像信号を得る第1の伸張部と、前記無線入力部に入力された情報信号に含まれる圧縮音声信号を伸張してベースバンド音声信号を得る第2の伸張部と、前記第1の圧縮部で得られた圧縮映像信号及び前記第2の圧縮部で得られた圧縮音声信号を含む圧縮情報と、前記第1の伸張部で得られたベースバンド映像信号及び前記第2の伸張部で得られたベースバンド音声信号を含むベースバンド信号との、少なくともいずれかを出力可能な出力部と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ベースバンド映像信号も圧縮映像信号も伝送することが可能となり、映像表示装置だけでなく、デジタルカメラや携帯電話などの持ち運びが可能な機器に対しても利便性の良い情報信号を送ることが実現可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮像装置を備えた映像機器の利便性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の第1実施例を示している。図1では、映像機器として例えば3つの映像機器を示している。一つは、携帯電話の基地局アンテナ20または放送送信タワー30からのデジタル放送信号を受信可能な例えば可搬型の映像機器である映像機器100、一つは映像表示装置200、更にもう一つは、例えばチューナなどの、放送送信タワー30からのデジタル放送信号を受信可能な受信機300である。映像機器100と映像表示装置200は例えば双方向インタフェース10で接続され、更に映像表示装置200と受信機300は別の双方向インタフェース11で接続されている。これにより、各機器間において、映像信号やその他情報、信号の双方向通信を可能としている。
【0015】
本実施例において、持ち運びのできる映像機器100は、具体的にはデジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話機、ゲーム機、パーソナルメディアプレーヤなどである。それぞれの形態に応じて必要な構成要素は必ずしも同じではないが、図1に示す実施例では主に外部との入出力として必要な構成要素を記載している。
【0016】
図1において、携帯電話の基地局アンテナ20と映像機器100のアンテナ102は信号の送受信を行う。映像機器100を携帯電話として使用する場合には、通常の携帯電話としての信号処理が行われる。また、映像機器100は、携帯電話の基地局アンテナ20から送信された映画などのコンテンツを受信することもできる。この場合、コンテンツを映像機器100に内蔵した表示装置、音声出力装置で視聴することもできるし、端子101、接続ケーブル10、端子201を介して外部の映像表示装置200で、大画面で視聴することもできる。さらには、コンテンツを視聴しながら、あるいは後でコンテンツを視聴するために、該コンテンツを映像機器100に内蔵された蓄積媒体、あるいは映像機器100に接続された蓄積媒体(例えば、メモリ121)に記録することもできる。メモリ121は映画などの記録のための記録媒体として使用することもできる。
【0017】
同様に、放送送信タワー30から放送された番組は、映像機器100の放送受信機180で受信され、映像機器100で視聴することもできるし、映像機器100に内蔵された蓄積媒体(図示せず)、あるいは接続された蓄積媒体(例えば、メモリ121)に記録することもできる。さらに、端子101、接続ケーブル10、端子201を介して映像表示装置200で視聴することもできる。
【0018】
また、放送送信タワー30から放送された番組は、受信機300に接続された受信アンテナ310で受信され、アンテナ端子302を介して受信機300に入力され、適宜信号処理をされた後、端子301、接続ケーブル11、端子202を介して映像表示装置200で視聴される。また、視聴と同時に、あるいは、視聴とは別に選択した番組について内蔵された蓄積媒体(図示せず)やメモリインタフェース320を介してメモリ321に蓄積することもできる。受信機300で記録されたメモリ321を映像機器100のメモリインタフェース120に接続することもできる。映像機器100を宅外に持ち出して映像機器100に内蔵された表示装置(図示せず)に表示させれば、家庭で録画した番組を宅外で視聴することもできる。
【0019】
さらにはまた、映像機器100に撮像装置110、マイク112を搭載することで、音声とともに静止画、動画を撮影することができ、適宜内蔵された蓄積媒体(図示せず)やメモリ121に蓄積できる。内蔵された蓄積媒体やメモリ121に蓄積した映像、音声は端子101、接続ケーブル10、端子201を介して、映像表示装置200で視聴できる。
【0020】
図1に示す実施例では、映像機器100の端子101と映像表示装置200の端子201、受信機300の端子301と映像表示装置200の端子201をそれぞれ接続ケーブル10、11などの有線ケーブルで接続する場合について示している。しかしながら、これら映像機器間で信号の送受信を行う場合に、有線ケーブルを用いて接続する必要性はなく、無線で接続しても良い。無線接続とすれば、配線のわずらわしさ、配線の整理が不要である。接続ケーブルを用いた場合には、無線接続の場合に比べて、雑音などの妨害に対して強いという利点がある。
【0021】
図2は、本発明の第1実施例を示すものであって、図1の映像機器100の具体的な構成を示したものである。図2において、撮像装置110では、光学系を通して入力された動画や静止画画像を取り込み、電気信号に変換する。圧縮回路111では、動画の場合には、例えばMPEG2、MPEG4、AVC/H.264などの圧縮方式を用いて、また、静止画の場合には、例えばJPEGなどの圧縮方式を用いて、取り込まれた画像を効率よくビット圧縮する。
【0022】
一方、マイク112では音波を電気信号に変換する。圧縮回路113では、例えばMPEGオーディオなどの圧縮方式を用いて、取り込んだ音声信号を効率よくビット圧縮する。
【0023】
映像機器100で静止画を撮影する場合に、撮影する対象に応じて映像機器を回転させ、横位置で使用したり、縦位置で使用したりして撮影を行う。センサ114は映像機器100を横位置で撮影に使用したか、縦位置で撮影に使用したかを検出する。縦位置で使用した場合には、映像機器100の右を上にしたか左を上にしたかも同時に検出する。センサ114で検出された情報はマイクロプロセッサ115に入力される。
【0024】
多重回路116には圧縮回路111、113からのビット圧縮された映像信号、音声信号、さらには、マイクロプロセッサ115からの各種情報が入力され、所定のフォーマットに従い多重される。静止画を撮影した場合には、通常は音声信号を取り込まないが、静止画撮影に合わせて音声信号を多重しても良い。
【0025】
マイクロプロセッサ115からの各種情報としては、センサ114を使用した位置情報(横、右縦、左縦)、日付、撮影時の露出情報、その他などである。
【0026】
図3は、画像圧縮で一般に行われているブロックごとの信号処理の順番を示した図である。図3の(a)に示すように、画像の上段左から右へ順番に信号処理を行い、次いで2段目の左から右へ順番に信号処理を行う。図3の(b)に示すように映像機器100の右を上に縦位置にした場合には、左列の下から上へ、次いで左から2列目の下から上に信号処理を行う。図3の(c)に示すように、映像機器100の左を上に縦位置にした場合には、右列の上から下へ、次いで右から2列目の上から下に信号処理を行う。
【0027】
撮影時に縦位置にした場合には、左右のどちらを上にしたかの情報がないと、撮影した映像を表示装置に示すときに撮影したとおりに表示することができない。そのために、上述のように映像信号及び音声信号に、マイクロプロセッサから115からの各種情報として位置情報を多重するのである。圧縮信号を伸張し、表示装置の出力に合わせて、位置情報を用いて伸張した画像を90度回転の信号処理を行うことで、撮影したとおりの表示を行うことができる。
【0028】
また、位置情報を多重するのではなく、図2において、マイクロプロセッサ115から圧縮回路111へ向かう点線で示されるように、マイクロプロセッサ115から圧縮回路111に位置情報を与え圧縮回路111を制御する。これにより圧縮回路111は、圧縮信号処理自体を映像の撮影動作や映像機器100の撮影位置に従って行うことで、再生時に回転処理をする必要をなくすことができる。例えば、図3の(d)、(e)に示すように、位置情報を元に、撮影時の画像の上段左から右へ、続いて2段目の左から右へ圧縮信号処理を行うことで、再生時に撮影したとおりの表示を行うことができる。
【0029】
映像機器100で、静止画と動画の両方を撮影できる場合、前記したように静止画を撮影する場合に横位置で撮影したり、縦位置で撮影したりする。同様に、動画撮影の場合でも映像機器100を縦位置で使用することを考える使用者がいる。
【0030】
動画像の場合には、回転の信号処理は一般には準備されておらず、そのまま映像表示装置200で表示すると横に回転した映像を表示することになり、使用者にとって意図しない撮影になってしまう。
そこで、動画モードで撮像する場合において、使用者が映像機器100を回転させて使用した場合、センサ114が縦位置での使用を検出し、マイクロプロセッサ115にて表示装置160に注意を喚起するメッセージを表示する。表示装置160は撮像装置110で撮像している画像のモニタとして使用しており、撮影しながらメッセージを確認することが容易に行え、意図しない場合には使用者が通常の横位置での撮影に変更するように注意を喚起する。
【0031】
また、同時に、縦位置での使用の場合には、マイクロプロセッサ115から圧縮回路111に位置情報を送り圧縮回路111を制御する。これにより、例えば圧縮回路111は圧縮の信号処理を例えば図3の(d)、(e)に示すように、映像の撮影動作や映像機器100の撮影位置に従って再生できるように、縦位置の最上段、左から右に向け圧縮信号処理を行う。これにより、現行のテレビにおいても縦位置で視聴することができる。その詳細説明は後で行う。
【0032】
図2で、多重回路116で多重された信号は暗号/暗号復号回路140を介して蓄積装置130に蓄積される。蓄積装置として、例えば、ハードディスク装置、光ディスク装置、半導体メモリ装置などを使用することが可能であり、どのような蓄積装置を用いるかは、所望の蓄積容量、大きさ、蓄積媒体の取り出しの容易性、価格などを考慮して決めれば良い。また、信号処理回路124、メモリインタフェース120を介してメモリ121に蓄積することもできる。
【0033】
個人で撮影した情報に関しては、撮影した本人に著作権があるため、通常は、蓄積に際し、暗号化は不要である。しかし、蓄積装置130で蓄積した媒体を紛失する可能性もあるので、多重回路116の出力信号を暗号/暗号復号回路140で暗号化した後、蓄積装置130、あるいはメモリ121に蓄積することで、安全性を高めることができる。
【0034】
映像機器100が取り外しのできる(リムーバブル)メモリに対応している場合や、携帯電話機能や無線LAN機能を有する場合もある。メモリインタフェース120はリムーバブルなメモリ121のインタフェースであり、他の機器で静止画や動画の映像、音声コンテンツをメモリ121に記録し、それをインタフェース120に接続することで信号処理回路124、暗号/暗号復号回路140を介して蓄積装置130に記録することができる。
【0035】
この時、メモリ121に記録されたコンテンツが著作権保護されており、複製が制限されている否かを、信号処理回路124で検出し、条件に従って暗号/暗号復号回路140で暗号化して蓄積装置130に移動する。
【0036】
同様に、静止画や動画の映像、音声コンテンツが無線インタフェース122で受信され、入力された場合にも、信号処理回路124、暗号/暗号復号回路140を介して蓄積装置130に記録される。この場合にも、コンテンツの著作権保護、複製制限の条件に従い、必要に応じて暗号/暗号復号回路140で暗号化する。
【0037】
蓄積装置130に蓄積されたコンテンツを再生して視聴する場合には、図示しない入力キーやリモコンなどを用いて視聴したいコンテンツを選択し、選択されたコンテンツは蓄積装置130から読み出されて、暗号/暗号復号回路140で暗号を復号し、逆多重回路141で映像信号と音声信号に分離される。
【0038】
また、放送受信機180で放送を受信した場合には、放送のための暗号を暗号/暗号復号回路140で解き、必要に応じ、蓄積のための暗号化処理を同じく暗号/暗号復号回路140で行って、蓄積装置130、メモリ121に記録する。受信放送を直接視聴する場合には逆多重回路141映像信号と音声信号に分離される。
【0039】
分離され圧縮された映像信号は伸張回路142で伸張され、信号処理回路150に入力される。信号処理回路150では、表示装置160の走査線に合わせて走査線変換を行い、表示装置160に出力する。
【0040】
分離され圧縮された音声信号は伸張回路143で伸張され、音声出力装置161に出力される。このように、映像機器100は表示装置160と音声出力装置161を有するので、外部に映像表示装置を接続することなくそのまま視聴することも可能である。なお、映像信号と音声信号の伸張処理に要する時間の違い、走査線変換処理の有無などにより映像表示、音声出力などに時間差があると違和感が生じる。特に、映像信号処理に時間を要し、音声信号が映像信号に先行すると違和感が大きくなるので、例えば伸張処理内で音声信号の遅延処理を行い、いわゆるリップシンク合わせを行う。これにより、映像信号と音声信号のずれによる違和感をなくすことができる。
【0041】
これに対し、映像信号及び音声信号を外部の映像表示装置200で視聴する場合には、映像表示装置200の対応可能な走査線を確認し、表示する映像信号の走査線と一致する場合にはそのまま出力し、異なる場合には、信号処理回路150において必要な走査線に変換した後、多重回路170により、信号処理回路151で処理された音声信号と時間軸多重を行う。信号処理回路151では映像信号のブランキング期間に相当する期間に音声信号を時間軸圧縮するとともに、必要に応じリップシンク合わせのための時間調整を行う。多重回路170で多重された映像信号と音声信号は暗号回路171に入力され、映像機器100と映像表示装置200の間を伝送するために必要な暗号処理を行い、インタフェース172、端子101を介して映像表示装置200へ出力する。
【0042】
前記したように、動画像にもかかわらず、映像機器100を縦位置で使用し、信号処理を図3の(d)、(e)に示すように圧縮信号処理を行った場合には、信号処理150にて走査線変換を行い、映像表示装置200の撮像可能な走査線数に変換して出力する。その場合、画面の左右には信号の映出されない部分が生じる。いわゆるサイドパネルの状態で表示装置160に表示される。
【0043】
なお、端子101から出力した信号をその受信先で蓄積する場合には、圧縮された信号を伸張することなく出力する。この場合には、暗号/暗号復号回路140から圧縮された信号を暗号回路171に入力し、伝送に必要な暗号化を行った後インタフェース172、端子101を介して出力する。
上記の説明では、撮像装置110、マイク112から取り込まれた映像信号、音声信号、ならびに、メモリ121、無線インタフェース122から入力されたコンテンツは、一度蓄積装置130に記録された後に、再生されるようにした。しかしながら、蓄積が不要な場合や、直接視聴する場合には暗号/暗号復号回路140での蓄積のための暗号化や暗号複合化処理を行うことなく逆多重回路141で処理を行えばよい。こうすることにより、映像機器100に内蔵された表示装置160と音声出力装置161とを用いて、映像及び音声を視聴したり、出力インタフェース172を介して外部に繋がれた受像機で視聴したりすることが可能になる。
【0044】
図4は、図1に示す映像表示装置200の具体的な構成を示したものである。同一部分には同一の符号を付し、その詳細は説明しない。
【0045】
初めに、端子201または端子202から入力された信号が、圧縮されていない動画のベースバンド信号である場合について説明する。端子201または端子202から入力された信号は入出力インタフェース210を介して暗号復号回路211に入力される。暗号復号回路211では、図2に示す暗号回路171の暗号化に対応しており、暗号回路171で暗号化されたものを暗号復号する。暗号復号された信号は逆多重回路250に入力され、映像信号と音声信号はそれぞれ信号処理回路251、252に入力される。信号処理回路251では、ディスプレイ260の表示可能な画素数に合わせて走査線変換、解像度変換を行う。信号処理回路252では、映像信号のブランキングに時間軸圧縮されて多重された音声信号の時間軸を伸張し、さらに、必要に応じ、リップシンク合わせ、音質調整などを行う。信号処理回路251、252の出力信号はそれぞれディスプレイ260、音声出力装置270に入力され、視聴される。
【0046】
次に、端子201あるいは端子202から圧縮された動画信号が入力された場合について説明する。圧縮された信号を入力する目的は、映像表示装置側200に内蔵された蓄積装置230にその動画信号を蓄積することにある。
【0047】
端子201あるいは端子202から入力された信号は入出力インタフェース210を介して暗号復号回路211に入力される。暗号復号回路211は図2に示す暗号回路171の暗号化に対応しており、暗号回路171で暗号化されたものを暗号復号する。暗号復号された信号は暗号/暗号復号回路240に入力される。暗号/暗号復号回路240では、蓄積しようとするコンテンツのコピー制御情報を読み出し、それに応じて蓄積のための暗号化処理を行う。暗号化された信号は蓄積装置230に入力され圧縮されたまま蓄積される。
【0048】
端子201あるいは端子202より入力された圧縮された信号を蓄積しながら視聴する場合には、まず暗号復号回路211で暗号を解かれた圧縮信号に相当する信号が暗号/暗号復号回路240から逆多重回路241に入力される。続いて、逆多重回路241において、圧縮された映像信号と音声信号に分離される。分離された映像及び音声信号は、それぞれ伸張回路242、243で伸張され、ベースバンドに戻された後、それぞれ信号処理回路251、252に入力される。以下同様にディスプレイ260、音声出力装置270に入力され視聴される。
【0049】
蓄積装置230に蓄えられたコンテンツを再生して視聴する場合には、蓄積装置230に蓄えられているコンテンツのタイトルなどをディスプレイ260に表示して、選択し、選択したコンテンツの信号を蓄積装置230から暗号/暗号復号回路240に入力する。暗号/暗号復号回路240で選択コンテンツの信号の暗号を復号し、逆多重回路241に入力し、以下同様に処理することで視聴することができる。
【0050】
同様にメモリ221に蓄積されたコンテンツの再生も行うことができる。蓄積装置230に蓄えられたコンテンツの再生と同様に、メモリ221に蓄えられたコンテンツから視聴したいコンテンツを選択し、選択したコンテンツをメモリインタフェース220、信号処理回路224を介して暗号/暗号復号回路240に入力する。信号処理回路224では、メモリ221からコンテンツを読み出すのに必要な処理を行い、圧縮され、多重された映像信号と音声信号を暗号/暗号復号回路240に入力する。後の信号処理は蓄積装置230からコンテンツを読み出した場合と同様である。
【0051】
また、蓄積装置230に蓄積するのと同様に、メモリ221にコンテンツを蓄積することもできる。その場合の処理の詳細説明は省略するが、暗号/暗号復号回路240で暗号化されたコンテンツは信号処理回路224、メモリインタフェース220を介してメモリ221に蓄積される。
【0052】
無線で送られてくるコンテンツを視聴したり、蓄積したりする場合も同様の処理を行う。無線で送られてきた圧縮されたコンテンツは無線インタフェース222、信号処理回路224を介して暗号/暗号復号回路240に入力される。暗号/暗号復号回路240では、無線伝送に必要な暗号化処理の暗号を復号する。後の処理は、蓄積装置230からの再生時の処理と同様である。
【0053】
端子201あるいは端子202から非圧縮のベースバンド信号が入力された場合にも、蓄積装置230、メモリ221にコンテンツを効率よく蓄積することができる。以下、その場合の動作について説明する。
【0054】
端子201あるいは端子202から入力されたコンテンツは入出力インタフェース210、暗号復号回路211、逆多重回路250を介して、映像信号と音声信号に分離される。分離された映像信号と音声信号は複製制御回路280を経て、圧縮回路281、282に入力される。複製制御回路280には入力されたコンテンツに多重された複製制御情報を読み取り、複製の可否判断をする。複製制御情報は、指定された部分にビットを割り当てる場合や、電子透かし技術を用いて、映像情報あるいは音声情報そのものに多重することもできる。
【0055】
圧縮回路281は、映像信号を例えばMPEG2、MPEG4、AVC/H.264などの圧縮方式を用いて圧縮する。また圧縮回路282では、音声信号を例えばMPEGオーディオなどの圧縮方式を用いて圧縮する。圧縮された映像信号、音声信号は多重回路283に入力され、多重された後、暗号/暗号復号回路に入力され、以下同様に蓄積装置230、メモリ221に蓄積することができる。これにより、著作権情報に従って、効率よくコンテンツを長時間録画することができる。
【0056】
これまで本実施例について、主に映像機器100から出力される映像信号と音声信号とを、映像表示装置200へ伝送する場合に関し説明した。さらに、本実施例について、2つの映像機器100が互いに接続される場合に関し、図6を用いて説明する。図6において、映像機器1、映像機器2は、双方とも例えば携帯電話やデジタルカメラ等の可搬型の映像機器100により構成されており、それぞれの端子101の間を、双方向インタフェースである接続ケーブル10により接続されている。このように構成することにより、携帯電話の基地局アンテナ20からの映画などのコンテンツについて、映像機器1で受信したものを、接続ケーブル10を介し、映像機器2へ伝送し、映像機器2の中の表示装置160を用いて表示したり、映像機器2の中の音声出力装置161を用いて音声出力したりすることが可能である。また、映像機器1の中の蓄積装置130に蓄積されたコンテンツを伝送する場合には、映像機器2からの制御信号の内容に基づいて、所望のコンテンツを蓄積装置130から読み出し、暗号/暗号復号回路140で暗号を復号する。それから暗号回路171にて、外部に伝送するために必要となる暗号処理を行った後、インタフェース172、端子101を介し出力する。このときの、映像機器2からの制御信号としては、映像機器1と映像機器2が正規の機器であることを確認するための相互認証や、信号処理の同期をとるための同期制御信号や、送信要求信号、映像機器1であることを示す識別信号などが用いられる。なお、必要に応じ、映像機器1から映像機器2へも制御信号が送信される。
【0057】
映像機器1と2映像機器2とで送受信する信号は、このように携帯電話の基地局アンテナ20からの信号を受信したものだけでなく、放送受信機180により放送波を受信したものや、蓄積装置130上にある蓄積されたコンテンツやメモリ121上にあるコンテンツなどでもよい。
【0058】
映像機器1と映像機器2とは、例えば同一の映像機器100である。そして、これらの映像機器同士は、上述のように双方向インタフェースで互いに接続されている。映像機器1から映像機器2に対して映像や音声等の情報を送る場合もあるが、反対に映像機器2から映像機器1へ映像や音声等の情報を送ることも可能である。ここで、映像機器1から映像機器2へ情報を送信する方向を「上り」と称し、逆に、映像機器2から映像機器1への情報を送信する方向を「下り」と定義するものとする。勿論、これとは逆方向をそれぞれ「上り」、「下り」と称してもよい。そして、映像機器1と映像機器2とを互いに接続する双方向インタフェースは、上りと下りとで伝送レートが非対称、すなわち互いに伝送レートが異なるようにされている。そして、上り方向、すなわち映像機器1から映像機器2へ、広帯域の映像や音声等の情報を送る場合は、映像機器2から映像機器1へ(映像や音声等と比較して)狭帯域の制御信号が送られる。反対に、下り方向、すなわち映像機器2から映像機器1へ広帯域の映像や音声等の情報を送る場合は、映像機器1から映像機器2へ狭帯域の制御信号が送られる。よって、上りと下りのうち、広帯域の映像や音声を送信する方向の伝送レートが高くされ、一方、狭帯域の制御信号を送信する方向の伝送レートは低くされる。このように本実施例では、異なる複数の映像機器間において、上りと下りとで異なる帯域の情報や信号を伝送するようにしているので、伝送するのに広帯域が必要な映像信号と、狭帯域でもよい制御信号とを同時に限られた周波数帯域において用いることができ、電波の使用効率を上げられるという効果がある。なお、制御信号は、一方の機器からのみ送信されるのではなく、反対側の機器からも必要に応じて送信される。
【0059】
図7は、第1実施例について、映像表示装置200と映像機器100とを無線で接続した場合の構成図である。図7において、説明の簡便化のために、入出力インタフェース210と、インタフェース172以外は図示していない。このように、映像機器同士を接続する双方向インタフェースは有線ケーブルに限られるものではなく、無線により双方向インタフェースを構成してもよい。この場合には各機器の配置の自由度が高まる。
【0060】
図8は、映像機器100と映像表示装置200とを無線で接続した場合の説明図である。図8において、映像機器100、映像表示装置200はそれぞれ図1、図2で説明したものと同一である。説明の簡便化のために、図8において、映像機器100の構成要件については、インタフェース回路172のみを記載してあり、その他の構成要件については図示していない。また、映像表示装置200については入出力インタフェース210のみを記載してあり、その他の構成要件については図示していない。ここで、インタフェース回路172、入出力インタフェース210は、共に双方向インタフェースであり、上記の例と同様に上りと下りとで伝送レートが非対称とされている。図8においては、アンテナ81、84間、アンテナ82、85間はそれぞれ映像信号、音声信号、コンテンツの著作権保護や複製制限条件を示す制御信号を双方向伝送するためのチャネルである。これに対し、アンテナ83、86間のチャネルは、機器間制御信号を伝送するためのものである。また、ビット選択回路811、812は、映像信号、音声信号、コンテンツの著作権保護や複製制限条件を示す制御信号、機器間制御信号が入力される。上述した変復調方式について、QPSK変復調方式は、64QAM変復調方式に比して、伝送誤りに対する耐性が高い。一方、伝送効率については、64QAM変復調方式の方がQPSK変復調方式よりも効率が高い。ここで、映像機器100から映像表示装置200へ、映像と音声と、これらに関連するコンテンツの著作権保護や複製制限条件を示す制御信号を送る場合について説明する。ここで、映像機器100から映像表示装置200へ情報を送信する方向を上りとし、逆に、映像表示装置200から映像機器100へ情報を送信する方向を下りする。
【0061】
映像機器100が情報の送信を行うために、まず、搬送波検出回路(図示せず)により、使用チャネルが既に他の機器が占有しているか否かを調査する。この搬送波検出は、所定の期間、所定の周波数帯に搬送波が存在するか否かを検出することにより行われる。搬送波検出回路が、他の機器がそのチャネルを使用していることを検出したときは、暫く時間を空け、再度、チャネルの空き状態を調べる。その後、当該チャネルが他の機器により使用されていないことを検出したときは、チャネルが空いたことを映像機器100のマイクロプロセッサ115へ通知する。マイクロプロセッサ115は機器間制御信号として、チャネル使用要求信号をQPSK変復調回路803から出力し、チャネルの使用権を確保する。次にマイクロプロセッサ115は、送信要求信号をビット選択回路811へ出力する。誤り制御回路843はこの送信要求信号に対し、誤り検出・訂正用の誤り制御ビットを付加しQPSK変復調回路803へ送る。QPSK変復調回路803はQPSK変調を行い、アンテナ83を介し、映像表示装置200へ無線信号を送信する。一方、映像表示装置200は、アンテナ86により受信した無線信号をQPSK変復調回路806によりQPSK復調し、誤り制御回路847により、誤り検出・訂正制御を行うことにより機器間制御信号を出力し、ビット選択回路812へ伝える。
【0062】
映像表示装置200の中のマイクロプロセッサは、受信した機器間制御信号を解読し、映像機器100からの送信要求信号とともに、映像機器100に関する機器カテゴリ情報(表示装置なのか記録装置なのか等のカテゴリを識別するための情報)、映像機器100の機器識別番号を受け取る。映像表示装置200の表示画面には、映像機器100との接続を行うか否かの表示が行われるので、この表示をもとに、使用者は映像表示装置200のリモコン等の入力機器を用いて、接続を許可する指示を出す。この後、映像機器100と、映像表示装置200との間で、互いの機器カテゴリ情報、互いの機器を識別するための識別番号などを交換し、コンテンツの著作権保護や複製制限条件を遵守するための情報交換を実行し、問題がない場合には互いの接続が許可される。ここで、互いの機器が入力専用機器である場合や、出力専用機器の場合など接続することに意味がない場合、また、コンテンツの著作権保護や複製制限条件に違反する場合などは接続処理を中止し、その旨の表示がそれぞれの機器に表示される。以下、コンテンツの著作権保護や複製制限条件に問題がない場合の説明を行う。
【0063】
インタフェース回路172に入力された、映像信号と、音声信号と、これらに関連するコンテンツの著作権保護や複製制限条件を示す制御信号のうち、映像信号のMSBから2ビットを選択し、その2ビットに対し、誤り制御回路841により、誤り検出・訂正用の制御ビットを付加し、QPSK変復調回路801へ送る。そしてこの信号に対し、QPSK変復調回路801はQPSK変調し、アンテナ81から無線信号を送出する。また、残りの3ビット目から8ビット目までのビットに対しては、誤り制御回路842により、誤り検出・訂正用の制御ビットを付加し、64QAM変復調回路802へ送る。そしてこの信号に対し、64QAM変復調回路802は、64QAM変調し、アンテナ82から無線信号を送出する。
【0064】
映像表示装置200では、アンテナ84により受信された信号に対し、QPSK変復調回路804は、QPSK復調し、誤り制御回路845により誤り制御を行った後、映像信号の上位2ビットをビット制御回路812へ出力する。アンテナ85により受信された残りの信号に対し、64QAM変復調回路805は、64QAM復調し、誤り制御回路846により誤り制御を行った後、ビット制御回路812へ出力する。
【0065】
ここで、機器間制御信号について説明する。機器間制御信号は、下り方向、すなわち映像表示装置200から映像機器100へ信号を送出する場合には、ビット選択回路812から、誤り制御回路847を介し、QPSK変復調回路806により変調してアンテナ86から出力する。映像機器100は、この信号を、アンテナ83で受信し、QPSK変復調回路83を介し、QPSK変復調回路803によりQPSK復調し、そして誤り制御回路843により誤り検出・訂正を行った後、ビット選択回路811へ伝送する。反対に、機器間制御信号を上り方向、すなわち映像機器100から映像表示装置200へ信号を送出する場合には、ビット選択回路811から、誤り制御回路843を介し、QPSK変復調回路803により変調してアンテナ83から出力する。映像表示装置200は、この信号を、アンテナ86で受信し、QPSK変復調回路806によりQPSK復調し、そして誤り制御回路847により誤り検出・訂正を行った後、ビット選択回路812へ伝送する。このようにすることにより、システムを構築するうえで重要な機器間制御信号に対し、雑音が多い環境においても誤動作が少なくなるという効果がある。
【0066】
本実施例の構成ではデジタル信号の上位2ビットについて、伝送レートは低いが耐雑音性能に優れた伝送を行うことが可能となる。つまり、映像信号の上位ビットの方が画質に与える影響が大きいことを利用し、映像信号のMSBから順に2ビットを取り出し、これらの情報に対し、QPSK変調を用いた伝送路を割り当てて、画質の劣化を少なくするものである。ところで、映像より音声情報のほうが重要なシステムにおいては、音声信号の重要な(例えば上位)2ビットに対し、QPSK変調を用いた伝送路に割り当てることも可能である。
【0067】
さらに、人間が画像を認識する場合、画面の水平方向の周波数成分と画面垂直方向の周波数成分の夫々について、低域成分に対し高域成分は、比較的気にならないという傾向がある。また、画面内で動く物体のうち、早い動きに対しては人間の眼がついていかないという傾向がある。これらの傾向を利用し、画面の水平方向について、低周波成分と高周波成分に分け、低周波成分に対してQPSK変調を用い、高周波成分に対しては64QAM変調を用いるようにしてもよい。このようにすることにより、限られた伝送帯域の中で、重要な情報に対しての雑音耐性を高めるとともに、全体の伝送容量を確保することが可能となる。同様に、画面の垂直方向についても、低周波成分と高周波成分に分け、低周波成分に対してQPSK変調を用い、高周波成分に対しては64QAM変調を用いるようにしてもよい。このようにすることにより、限られた伝送帯域の中で、重要な情報に対しての雑音耐性を高めるとともに、全体の伝送容量を確保することが可能となる。さらに、画面の水平方向に対する周波数成分の取り扱いと、垂直方向とに対する周波数成分の取り扱いとを組み合わせ、所望の重要な情報に対しての雑音耐性を高めることも可能である。
【0068】
上述の説明では、誤り制御回路841、842、843は、誤り制御回路841、842、843に入力された夫々のビット対し、誤り制御情報を付加するように説明したが、誤り制御回路841、842、843に入力されたビットをまとめて一語として扱い、この一語に対し誤り制御情報を付加してもよい。このように構成すると、誤り制御回路が簡単になり構成しやすい。
【0069】
図8の構成を用いて、具体的に映像機器100により撮像した複数の静止画像を、1秒ごとに切り替えて、映像表示装置200へ伝送し、映像表示装置200で表示することができる。映像表示装置200からは、映像機器100へ画像を送出するためのトリガとなる信号を送り、このトリガ信号に基づいて、映像機器100は静止画像を切り替えて新たな静止画を映像表示装置200へ伝送する。このように構成することにより、映像表示装置200において画像が再生できない場合は、トリガ信号を再度、映像機器100へ送出することにより、画像を正しく受け取れるまで繰り返すことが可能となる。この場合も、制御信号については、QPSK変調を用いているので、耐雑音性能に優れている。
【0070】
なお、図8に示す実施例では暗号処理については詳細を説明していないが、暗号回路171とインタフェース回路172を組み合わせ、図9に示すように処理を行うこともできる。図9は、図8に示されたシステムにおいて暗号処理を行うための構成の一例を示しており、図9のシステムは、暗号/暗号復号回路821〜826、暗号処理を含むインタフェース回路830、831、誤り制御回路841、842、843、845、846、847を含んで構成される。
【0071】
図9に示す例では図8の例と同様に、ビット選択回路811で所定のビットを選択し、それぞれのビットは誤り制御回路841、842により誤り制御を行った後、暗号/暗号復号回路821、822で暗号化処理され、QPSK変復調回路801、64QAM変復調回路802に入力される。また、QPSK変復調回路804、64QAM変復調回路805で復調された信号は、暗号/暗号復号回路824、825に入力され、それぞれ暗号復号された後、ビット選択回路812でビット合成される。このように処理することで、重要度に応じた信号処理が可能となり、重要な情報は誤りにくく、したがって画質劣化を少なくし効率よく伝送することが可能となる。
【0072】
また、暗号/暗号復号回路821〜826に可逆符号を組み合わせることでさらに効率を上げた伝送が可能となる。例えば図9に示す例において、暗号/暗号復号回路821〜823で暗号処理を行う前に、例えば統計的性質を用いた可逆の算術符号により伝送すべきビットを削減してから、暗号化を行う。映像機表示装置200では、暗号/暗号復号回路824〜826で暗号復号した後、暗号/暗号復号回路821〜823に対応した可逆符号の復号を行った後、誤り制御回路845〜847で誤り検出・訂正を行い、ビット選択回路812でビット合成する。可逆符号を組み合わせることで、伝送すべき情報の伝送レートを低減できるので、さらに効率よく伝送可能となる。
【0073】
さらに、暗号化について補足説明する。全ての暗号回路に対して、AES128ビット暗号化処理を用いて処理すると、安全度が高い保護処理をすることが可能となる。このほか、コンテンツ暗号回路821に対しては、AES128ビット暗号化処理を用い、その他の暗号回路に対しては、DES暗号処理を用いると、システムとして重要なコンテンツ保護と、処理効率とのバランスがとれシステムを構成するのが容易になる。
【0074】
また、さらに、機器間制御信号に従い、ベースバンド信号送信と圧縮信号送信とを切り替えられるように構成してもよい。このように構成すると、コンテンツ保護などの要求に応じて圧縮信号を送出する場合には、QPSK変調を用いて伝送することにより、伝送路における誤り耐性の優れた伝送が可能となる。また、ベースバンド信号を送出する場合には、64QAM変調により伝送効率の良い伝送が可能となる。
【0075】
図9における映像機器100と映像表示装置200との動作は、図8のおける映像機器100と映像表示装置200との動作と基本的に同様である。映像機器100が送信を行うために、まず、搬送波検出回路(図示せず)により、使用チャネルが既に他の機器が占有しているか否かを調査する。この搬送波検出は、所定の期間、所定の周波数帯に搬送波が存在するか否かを検出することにより、検出が行われる。搬送波検出回路が、他の機器がそのチャネルを使用していることを検出したときは、暫く時間を空け、再度、チャネルの空き状態を調べる。その後、当該チャネルが他の機器により使用されていないことを検出したときは、チャネルが空いたことを映像機器100のマイクロプロセッサ115へ通知する。マイクロプロセッサ115は機器間制御信号として、チャネル使用要求信号をQPSK変復調回路803から出力し、チャネルの使用権を確保する。次にマイクロプロセッサ115は、送信要求信号をビット選択回路811へ出力する。
【0076】
誤り制御回路843はこの送信要求信号に対し、誤り検出・訂正用の誤り制御ビットを付加し、暗号/暗号復号回路823により暗号化し、QPSK変復調回路803へ送る。QPSK変復調回路803はQPSK変調を行い、アンテナ83を介し、映像表示装置200へ無線信号を送信する。一方、映像表示装置200は、アンテナ86により受信した無線信号をQPSK変復調回路806によりQPSK復調し、暗号/暗号復号回路826により暗号復号する。この復号化された信号に対し、誤り制御回路847により、誤り検出・訂正制御を行うことにより機器間制御信号を出力し、ビット選択回路812へ伝える。映像表示装置200の中のマイクロプロセッサは、受信した機器間制御信号を解読し、映像機器100からの送信要求信号とともに、映像機器100に関する機器カテゴリ情報(表示装置なのか記録装置なのか等のカテゴリを識別するための情報)、映像機器100の機器識別番号を受け取る。映像表示装置200の表示画面には、映像機器100との接続を行うか否かの表示が行われるので、この表示をもとに、使用者は映像表示装置200のリモコン等の入力機器を用いて、接続を許可する指示を出す。この後、映像機器100と、映像表示装置200との間で、互いの機器カテゴリ情報、互いの機器を識別するための識別番号などを交換し、コンテンツの著作権保護や複製制限条件を遵守するための情報交換を実行し、問題がない場合には互いの接続が許可される。ここで、互いの機器が入力専用機器である場合や、出力専用機器の場合など接続することに意味がない場合、また、コンテンツの著作権保護や複製制限条件に違反する場合などは接続処理を中止し、その旨の表示がそれぞれの機器に表示される。このようにして、コンテンツの著作権保護や複製制限条件に問題がない場合には接続が行われ、映像機器100から映像表示装置200へ映像や音声などが伝送される。
【実施例2】
【0077】
図5は本発明の第2実施例であって、図1に示す映像表示装置200の他の構成を示す図である。図5は一部図4に示す実施例と共通であり、その共通部分には同一番号を付しその詳細説明は省略する。図5に示された映像表示装置200は、暗号復号回路212、暗号/暗号復号回路245、290、圧縮/トランスコーディング回路291、292、及び多重回路である複製制御回路293を含んでいる。
【0078】
図5に示す実施例において、ベースバンド信号が端子201あるいは端子202から入力された場合には、図4に示す実施例と同様に動作する。圧縮/トランスコーディング回路292、291は、ベースバンド信号に対しては圧縮回路として動作する。圧縮された信号が端子201あるいは端子202から入力された場合には、入出力インタフェース210を介して暗号復号回路212で伝送に必要な暗号が復号され、逆多重回路250で圧縮された映像信号と圧縮された音声信号に分離される。それぞれの信号は複製制御回路290に入力され、複製の可否を示す情報から複製の可否が判断される。複製が可能な場合には、必要に応じて、圧縮/トランスコーディング回路291、292にて、より圧縮効率の良い圧縮方式を用いるなどして、圧縮映像信号及び圧縮音声信号のビットレートが低減される。圧縮/トランスコーディング回路291、292の出力信号は多重回路293で多重され、暗号/暗号復号回路245に入力される。ここで、複製制御回路290にて複製を許可されていることが検出された場合には、暗号/暗号復号回路245は、当該入力信号に対し適宜蓄積のための暗号化処理を施して、蓄積装置230及び/またはメモリ221に蓄積する。蓄積された信号を再生する場合には、蓄積装置230、メモリ221からの再生信号を暗号/暗号復号回路245にて暗号を復号して、逆多重回路241にて映像信号と音声信号に分離し、これ以降は上記と同様に処理して視聴することができる。蓄積装置230あるいはメモリ221に蓄積しながら視聴する場合にも、多重回路293からの信号が暗号/暗号復号回路245を介して逆多重回路241に入力され、同様に処理される。この場合には、トランスコードした画質を確認することができる。なお、蓄積をすることなく直接視聴する場合には、暗号復号回路212から暗号/暗号復号回路245を介して逆多重回路241に信号が入力され、ここで映像信号と音声信号に分離され以下同様に処理される。
【0079】
図5に示す実施例では、圧縮された信号が入力された場合にも、トランスコーディングを行うことで、より高い圧縮率で効率よく蓄積を行うことができる。また、本実施例では、圧縮回路111、113を初め、信号処理をする手段を回路で実現する場合の例を示した。しかしながら、各種回路要素をソフトウェア的な手段で構成して上述した処理を行ってもよく、その場合でも同様の効果をあげることができる。本発明は、信号処理をどのように実現するかを制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る映像機器100の一例を示す図。
【図3】圧縮信号処理の順番を示した説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る映像表示装置200の一例を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る映像表示装置200の他の例を示す図。
【図6】2つの映像機器同士を接続したシステムの一例を示す図。
【図7】映像表示装置と映像機器を接続したシステムの一例を示す図
【図8】2つの映像機器同士を無線接続したシステムの一例を示す図。
【図9】2つの映像機器同士を無線接続したシステムの他の例を示す図。
【符号の説明】
【0081】
100 映像機器
121、221、321 メモリ
122、222 無線インタフェース
110 撮像装置
111、113、281、282、291、292 圧縮回路
112 マイク
114 センサ
116、170、283、293 多重回路
124、150、151、224、251、252 信号処理回路
130、230 蓄積装置
140、240、245 暗号/暗号復号回路
141、250、241 逆多重回路
142、143、242、243 伸張回路
160 表示装置
161、270 音声出力装置
171 暗号回路
180 放送受信機
200 映像表示装置
211、212 暗号復号回路
260 ディスプレイ
280 複製制御回路
300 受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、マイクロフォンとを有する映像機器であって、
前記撮像部で撮像された映像に対応するベースバンド映像信号を圧縮する第1の圧縮部と、
前記マイクロフォンからのベースバンド音声信号を圧縮する第2の圧縮部と、
圧縮された情報信号を受信する無線入力部と、
前記無線入力部に入力された情報信号に含まれる圧縮映像信号を伸張してベースバンド映像信号を得る第1の伸張部と、
前記無線入力部に入力された情報信号に含まれる圧縮音声信号を伸張してベースバンド音声信号を得る第2の伸張部と、
前記第1の圧縮部で得られた圧縮映像信号及び前記第2の圧縮部で得られた圧縮音声信号を含む圧縮情報と、前記第1の伸張部で得られたベースバンド映像信号及び前記第2の伸張部で得られたベースバンド音声信号を含むベースバンド信号との、少なくともいずれかを出力可能な出力部と、
を有することを特徴とする映像機器。
【請求項2】
前記第1の圧縮部で圧縮された映像信号と前記第2の圧縮部で圧縮された音声信号を蓄積媒体に記録可能なことを特徴とする請求項1記載の映像機器。
【請求項3】
前記無線入力部に入力された圧縮映像信号と前記無線入力部に入力された圧縮音声信号を蓄積媒体に記録可能なことを特徴とする請求項1記載の映像機器。
【請求項4】
撮像部を有する映像機器であって、
前記映像機器の回転位置を検出する位置センサと、
前記撮像部で撮像されたベースバンド映像信号を圧縮する映像信号の圧縮部と、
前記圧縮部で圧縮された映像信号と、前記位置センサで検出した回転位置情報とを多重する多重信号処理部と、
前記多重信号処理部で多重された圧縮情報およびベースバンド映像信号を出力可能な出力部とを有し、
前記多重信号処理部で多重された圧縮情報を蓄積媒体に記録することを特徴とする映像機器。
【請求項5】
撮像部を有する映像機器であって、
前記映像機器の回転位置を検出する位置センサと、
前記撮像部で撮像された映像に対応するベースバンド映像信号を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部で圧縮された圧縮情報および前記ベースバンド映像信号の少なくともいずれかを出力可能な出力部とを有し、
前記圧縮部は、前記位置センサで検出した回転位置情報に基づき前記撮像されたベースバンド映像信号の縦横位置を調整して圧縮処理を行うことを特徴とする映像機器。
【請求項6】
撮像部と、前記撮像部で撮像した映像信号を表示する表示部とを有する映像機器であって、
前記映像機器の回転位置を検出する位置センサを有し、
動画を撮像する場合に、前記位置センサで前記映像機器が回転していることを検出した時には、前記表示部に所定のメッセージを表示することを特徴とする映像機器。
【請求項7】
請求項6に記載に映像機器において、更に、前記撮像部で撮像された映像に対応するベースバンド映像信号を圧縮する第1の圧縮部を備え、該第1の圧縮部は、前記位置センサで検出した回転位置情報に基づき前記撮像されたベースバンド映像信号の縦横位置を調整して圧縮処理を行うことを特徴とする映像機器。
【請求項8】
請求項7に記載に映像機器において、更に、マイクロフォンと、該マイクロフォンからのベースバンド音声信号を圧縮する第2の圧縮部とを備え、前記第1の圧縮からの圧縮映像信号と前記第2の圧縮部からの圧縮音声信号とを蓄積媒体に記録可能にしたことを特徴とする映像機器。
【請求項9】
請求項8に記載に映像機器において、更に、前記第1の圧縮からの圧縮映像信号及び前記第2の圧縮部からの圧縮音声信号と、前記位置センサで検出された回転位置情報とを多重化する多重信号処理部を備え、該多重信号処理部を出力可能に構成したことを特徴とする映像機器。
【請求項10】
請求項2乃至4及び8のいずれかに記載に映像機器において、前記蓄積媒体は、前記映像機器に内蔵される蓄積媒体、もしくは該映像機器に対し取り外し可能な蓄積媒体であることを特徴とする映像機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−71560(P2009−71560A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237393(P2007−237393)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】