説明

映像監視システム

【課題】常駐係員が不在の駅にて自動改札機の故障で入場処理が正常にできない場合、不正に乗車した人物の特定を可能とする映像監視システムの提供。
【解決手段】常駐係員不在駅10の自動改札機13の異常を受信した監視センター2は、自動改札機13のゲートを開放するゲート開放指令手段4Aと、常駐係員不在駅10及び同一路線駅30へ自動改札機13,33を通過する人物の顔画像を記憶させる顔画像記憶指令手段4Bと、自動改札機13の異常発生当日の営業終了後に、常駐係員不在駅10及び同一路線駅30にて記憶した顔画像を取得するとともに、常駐係員不在駅10の顔画像と同一路線駅30の顔画像とを比較し、常駐係員不在駅10と同一路線駅30の一方のみに存在する顔画像を記憶する顔認識記憶手段4C,4D,5とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視カメラを利用した映像監視システムに係わり、常駐係員が不在の駅における入場管理に好適な映像監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の少ない駅は、一般に人件費を削減するために常駐係員を配置せず、改札業務は自動改札機による自動化が図られている。もし前記自動改札機に故障が発生したときは、自動的に一般公衆回線や広域ネットワークを介して、故
障情報を常駐係員を配置している監視センターや最寄駅に送信し、故障情報の把握や修理手配が可能な仕組みとしているのが一般的である。
【0003】
一方、前記常駐係員を配置しない駅における防犯・防災の監視業務は、監視カメラを設置し、一般公衆回線や広域ネットワークを活用した映像監視システムにより、常駐係員を配置している監視センターや最寄駅で、遠隔で監視するのが一般的である。
【0004】
更に前記映像監視システムは、監視カメラの性能向上に伴い、被写体となる人物にある程度の距離や動きがあっても、顔の特定が可能なレベルになってきている。
【0005】
前記自動改札機の故障発生時の対応方法として、常駐係員がいない駅の自動改札機が故障し、駅構内への入場処理が正常に行われない場合でも、故障情報を他の駅に配信することにより、切符を購入した駅が自動改札機が故障した駅であれば、出場駅での自動改札による出場処理を可能とし、出場駅にて不具合が発生することが無いようにした方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−30096号公報(段落0008〜0009、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に鉄道の切符は、切符を購入した入場駅の自動改札機に切符を投入することで切符に入場したことが記録される。出場駅の自動改札機で切符に記録されている有効期限や乗車区間のチェックと合わせて、入場時に切符に記録された入場記録をチェックすることにより不正乗車を防止している。
【0008】
常駐係員が不在の駅で自動改札機が故障した場合、自動改札機のゲートを強制的に開放して乗客を通過させる等、入場処理を実施しないで入場可能とすることになり、この場合、出場駅において、自動改札機が故障した駅で入場した切符を持っている乗客に対して、入場記録が無くても正規乗車とみなす必要が発生するため、不正乗車のリスクが発生する問題があった。
【0009】
また、自動改札が故障した駅では、切符を購入しなくても入場が可能となるため、不正乗車のリスクが高くなる問題があった。
【0010】
このように、常駐係員が不在の駅で自動改札機が故障した場合、不正乗車のリスクが発生するが、常駐係員を配置するにはコスト的な問題もあり、不正乗車を発見するのは困難な状態である。
【0011】
本発明の目的は、常駐係員が不在の駅において自動改札機の故障で入場処理が正常にできない場合、不正に乗車した人物の特定を可能とする映像監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、常駐係員不在駅に配設される自動改札機と、この自動改札機を通過する人物の顔画像を撮影する監視カメラと、前記自動改札機の異常発生状態を広域ネットワーク網を介して遠隔的に受信する監視センターとを備えた映像監視システムにおいて、前記常駐係員不在駅の前記自動改札機の異常を受信した前記監視センターは、前記自動改札機のゲートを開放するゲート開放指令手段と、前記常駐係員不在駅及び同一路線の各駅へ前記自動改札機を通過する人物の顔画像を記憶させる顔画像記憶指令手段と、前記自動改札機の異常発生当日の営業終了後に、前記常駐係員不在駅、及び同一路線の各駅にて記憶した顔画像を取得するとともに、前記常駐係員不在駅の顔画像と前記同一路線の各駅の顔画像とを比較し、前記常駐係員不在駅と前記同一路線の各駅のどちらか一方にのみ存在する顔画像を記憶する顔認識記憶手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、常駐係員不在の駅において自動改札機に故障が発生し、入場処理が正常にできなかった場合に、監視カメラの顔画像認識技術を活用して、不正に乗車した人物の特定を可能とした映像監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による映像監視システムの一実施形態の要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す監視センター2における動作を説明するフローチャートである。
【図3】図1に示す常駐係員不在駅10における動作を説明するフローチャートである。
【図4】図1に示す常駐係員不在駅10と同一路線駅30における動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明による映像監視システムの一実施形態の要部構成を示すブロック図で、図2は図1の監視センター2における動作を説明するフローチャート、図3は図1の常駐係員不在駅10における動作を説明するフローチャート、図4は図1に示す常駐係員不在駅10と同一路線駅30における動作を説明するフローチャートである。
【0017】
図1において、監視センター2は広域ネットワーク網1を介し、同一路線駅30及び同一路線駅30の中で常駐係員不在駅10と遠隔的に接続されている。
【0018】
常駐係員不在駅10と同一路線駅30は、広域ネットワーク網1との接続を行う通信部11,13と、自動改札機13,33を制御するとともに、自動改札機13,33の異常発生を検出して通信部11,31及び広域ネットワーク網1を介して、監視センター2へ異常発生情報の通報を制御する自動改札機制御部である第1制御部12,32と、監視センター2から自動改札機13,33へ送信される自動改札機13,33の図示しないゲートの開放信号や開放禁止信号等の制御信号や、自動改札機13,33の異常発生情報を、第1制御部12,32の指令で記憶する第1記憶部14,34と、自動改札機13,33の近傍に配設され、自動改札機13,33を出入りする乗客を撮影(特に顔画像)する監視カメラ16,36と、監視カメラ16,36への撮影を指令するとともに、撮影した映像をカメラ記憶部である第2記憶部17,37への記憶を指令するカメラ制御部である第2制御部15,35とで構成されている。ここで、第2制御部15,35は、通信部11,31へ接続され、監視センター2へ第2記憶部17,37に記憶される映像データの送信や、監視セシター2からの指令により、監視カメラ16,36の撮影の制御を行うものである。
【0019】
また、監視センター2は、広域ネットワーク網1との接続を行う通信部3と、自動改札機13,33が故障した駅の情報を格納する第1記憶部5と、駅構内に入場する乗客の顔画像データを含むデータを格納する第2記憶部6と、駅構内から出場する乗客の顔画像データを含むデータを格納する第3記憶部7と、第1記憶部5、第2記憶部6、第3記憶部7への記憶を指令する制御部4とで構成されている。
【0020】
制御部4は、自動改札機13,33の図示しない改札ゲートの開放を指示する自動改札機ゲート開放指令部4Aと、第2制御部15,35に対して、監視カメラ16,36が撮影した顔画像を第2記憶部17,37への記憶を指示する顔画像記憶指令部4Bと、各駅である常駐係員不在駅10と同一路線駅30の第2記憶部17,37に記憶される顔画像の取得を指示する顔画像取得指令部4Cと、常駐係員不在駅10と同一路線駅30で取得した顔画像が同一人物か否かの比較を指示する顔画像比較指令部4Dを有している。
【0021】
次に、本発明の動作の説明を図2〜図4のフローチャートを用いて説明する。
【0022】
常駐係員不在駅10の自動改札機13に故障が発生すると(S201)、第1制御部12は故障信号を通信部11及び広域ネットワーク網1を介して監視センター1へ送信し(S202)、監視センター1は常駐係員不在駅10の自動改札機13の故障信号を通信部3で受信すると(S101)、制御部4は、この故障信号に関する情報を第1記憶部5へ記憶し、自動改札機ゲート開放指令部4Aから故障した自動改札機13に対して、図示しない改札ゲートを開放する指令信号を送信するとともに(S102)、顔画像記憶指令部4Bから自動改札機13が故障した常駐係員不在駅10及び同一路線駅30に対して、顔画像記憶指令する信号を送信する(S103)。ここで、顔画像記憶指令する信号は、常駐係員不在駅10の第2制御部15に対しては、監視カメラ16が撮影する自動改札機13の図示しない改札ゲート通過する乗客の顔画像を第2記憶部17に記憶させる指令信号であり、同一路線駅30に対しては、自動改札機13が故障した常駐係員不在駅10にて発行した切符19が自動改札機33に投入されたときに、監視カメラ36が撮影する乗客の顔画像を第2記憶部37に記憶させる指令信号である。
【0023】
また、ステップS102で、自動改札機ゲート開放指令部4Aから送信された図示しない改札ゲートを開放する指令信号を受信すると(S203)、常駐係員不在駅10の第1制御部32は自動改札機13の図示しない改札ゲートを強制的に開放させる(S204)。
【0024】
また、監視センター2から顔画像記憶指令信号を受信した常駐係員不在駅10の第2制御部15は(S205)、監視カメラ16にて図示しない改札ゲートを強制的に開放させた自動改札機13を通過する乗客18の監視を開始すべく、自動改札機13の復旧・未復旧を判断し(S206)、自動改札機13が未復旧の状態の場合、乗車切符19を持った乗客18が故障した自動改札機13の図示しない改札ゲートの通過を検出し(S207)、図示しないホームへの入場を検知したら、監視カメラ16で撮影した乗客18の顔画像を第2記憶部17に格納する(S208)。ここで、ステップS207における乗客18の改札ゲートの通過検出は、監視カメラ16の画像を処理して行っても良いし、図示しない改札ゲートの通過を検出する人感センサを用いても良い。
【0025】
また、常駐係員不在駅10の第2制御部15は、監視カメラ16で撮影した乗客18の顔画像を第2記憶部17に格納するステップS208の動作を当日の営業が終了するまで繰り返す(S209)。
【0026】
また、ステップS206で、故障した自動改札機13の復旧を判断した場合、自動改札機13は、通常通り切符19を読み取ることで、図示しない改札ゲートの開放と、乗客18が購入した切符19の乗車区間をチェックするため、不正乗車が出来なくなり、ステップS208の乗客18の顔画像を第2記憶部17への格納は不要となる。
【0027】
一方、監視センター2から顔画像記憶指令信号を受信した同一路線駅30の第1制御部32及び第2制御部35は(S301)、常駐係員不在駅10における自動改札機13の開放された図示しない改札ゲートを通過した乗客18を確認すべく、第1制御部32は常駐係員不在駅10の自動改札機13が故障した当日、自動改札機33より乗車駅を取り込み(S302)、乗車駅が常駐係員不在駅10である切符19での出場を検出すると第2制御部に信号を送信し、第2制御部は、監視カメラ36が撮影する自動改札機33から出場した乗客18の顔画像データを第2記憶部37に格納する(S303)。
【0028】
また、ステップS302において、自動改札機13が故障した常駐係員不在駅10以外での乗車駅の切符で入場した乗客の顔画像データは、第2記憶部37に格納されない。
【0029】
また、同一路線駅30の第1制御部32及び第2制御部35は、乗車駅が常駐係員不在駅10である切符19での出場検出を行うステップS302と、このときの監視カメラ36で撮影した乗客18の顔画像を第2記憶部37に格納するステップS303の動作を、当日の営業が終了するまで繰り返す(S304)。ここで、自動改札機13が故障復旧した場合でも、常駐係員不在駅10から入場した乗客18が、同一路線駅30から出場していない可能性があるので、当日の営業終了まで乗客18の顔画像データを格納し続けるものとする。
【0030】
次に、監視センター2の制御部4は、当日の営業終了を検出すると(S104)、顔画像取得指令部4Cから自動改札機13が故障した常駐係員不在駅10及び同一路線駅30に対して、顔画像取得指令信号を送信する(S105)。
【0031】
次に、常駐係員不在駅10の第2制御部15は、顔画像取得指令信号を受信すると(S210)、第2記憶部17に保存した監視カメラ16で撮影した入場時の乗客18の顔画像データを、監視センター2へ送信する(S211)。
【0032】
また、同一路線駅30の第2制御部35は、顔画像取得指令信号を受信すると(S305)、第2記憶部37に保存され、乗車駅が常駐係員不在駅10である切符19での出場した乗客18の顔画像データを、監視センター2へ送信する(S306)。
【0033】
次に、常駐係員不在駅10及び同一路線駅30から乗客18の顔画像データを送信された監視センター2の制御部4は、常駐係員不在駅10の乗客18の顔画像データを第2記憶部6へ格納するとともに、同一路線駅30の乗客18の顔画像データを第3記憶部7へ格納し(S106)、顔画像比較指令部4Dで、第2記憶部6と第3記憶部7に格納された顔画像データを比較し(S107)、第2記憶部6と第3記憶部7の一方のみに顔画像データが存在する人物がいた場合(S108)、該当の顔画像データを第1記憶部5へ格納する。ここで、第1記憶部5へ格納された顔画像データの人物が、常駐係員不在駅10で不正乗車を行った容疑が高いと判断することができる(S109)。
【0034】
本実施形態によれば、常駐係員不在駅10で自動改札機13に故障が発生し、入場処理が正常にできなかった場合に、常駐係員不在駅10及び同一路線駅30の監視カメラ16,19が撮影した乗客の顔画像データに基づき、不正に乗車した人物の特定を可能とする。
【符号の説明】
【0035】
1 広域ネットワーク網
2 監視センター
3 通信部
4 制御部
4A 自動改札機ゲート開放指令部
4B 顔画像記憶指令部
4C 顔画像取得指令部
4D 顔画像比較指令部
5 第1記憶部
6 第2記憶部
7 第3記憶部
10 常駐係員不在駅
11,31 通信部
12,32 第1制御部
13,33 自動改札機
14,34 第1記憶部
15,35 第2記憶部
16,36 監視カメラ
17,37 第2記憶部
18 乗客
19 切符
30 同一路線各駅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常駐係員不在駅に配設される自動改札機と、この自動改札機を通過する人物の顔画像を撮影する監視カメラと、前記自動改札機の異常発生状態を広域ネットワーク網を介して遠隔的に受信する監視センターとを備えた映像監視システムにおいて、
前記常駐係員不在駅の前記自動改札機の異常を受信した前記監視センターは、前記自動改札機のゲートを開放するゲート開放指令手段と、
前記常駐係員不在駅及び同一路線の各駅へ前記自動改札機を通過する人物の顔画像を記憶させる顔画像記憶指令手段と、
前記自動改札機の異常発生当日の営業終了後に、前記常駐係員不在駅、及び同一路線の各駅にて記憶した顔画像を取得するとともに、前記常駐係員不在駅の顔画像と前記同一路線の各駅の顔画像とを比較し、前記常駐係員不在駅と前記同一路線の各駅のどちらか一方にのみ存在する顔画像を記憶する顔認識記憶手段とを備えたことを特徴とする映像監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−25767(P2013−25767A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163294(P2011−163294)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】