説明

映像表示システム、映像表示システムの制御方法、および映像表示装置

【課題】複数の映像表示装置を備え、クロストークの発生を低減する映像投写システムを提供する。
【解決手段】映像表示システム1は、第1の映像表示装置(プロジェクター100)、第2の映像表示装置(プロジェクター200)と、シャッターメガネ(液晶シャッターメガネ400)とを備える。第1の映像表示装置は、左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成して送信する。第2の映像表示装置は、受信した同期用制御信号に基づいて、供給される映像情報の左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを、第1の映像表示装置と同期させる。シャッターメガネは、受信した同期用制御信号に基づいて、左眼用のシャッターおよび右眼用のシャッターの開閉を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示システム、映像表示システムの制御方法、および映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時分割方式の3D(3次元)プロジェクターが提案されていた。このような時分割方式の3Dプロジェクターでは、右眼用の画像及び左眼用の画像を時分割して交互に投写する。そして、投写される左眼用画像と右眼用画像とに同期してそれぞれ左眼用液晶シャッター及び右眼用液晶シャッターの開閉を交互に切り替えるシャッターメガネを有している。ユーザーは投写された画像(映像)をシャッターメガネを介して見ることにより、3D映像を見ることができる。
【0003】
また、高輝度化や大画面化するためにプロジェクターを複数使用する態様が知られている。例えば、複数のプロジェクターを用いて曲面スクリーンに映像を表示する仮想空間生成システムが開示されている(特許文献1)。この仮想空間生成システムでは、右目用映像を投写するプロジェクターと、左目用映像を投写するプロジェクターと、右目用映像と左目用映像とを交互に遮断するシャッターと、前記シャッターに同期して、右目用映像は右目用レンズのみを通過させ、左目用映像は左目用レンズのみを通過させるメガネを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−516333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数のプロジェクターを用いた3D映像投写システムでは、複数のプロジェクターの出力映像の同期がとれず、クロストークが発生してしまう場合があった。例えば、映像出力装置からの出力信号の同期がずれてしまう場合や、プロジェクターの内部処理によって、投写する映像の同期がずれてしまう場合があり、このような場合には、複数のプロジェクターと、時分割シャッター方式メガネとの同期がとれなくなり、クロストークが発生してしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る映像表示システムは、映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する第1の映像表示装置及び第2の映像表示装置と、左眼用のシャッターと右眼用のシャッターとを交互に開放させるシャッターメガネとを備えた映像表示システムであって、前記第1の映像表示装置は、前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成する同期信号生成部と、前記同期用制御信号を送信する同期信号送信部と、を有し、前記第2の映像表示装置は、前記同期用制御信号を受信する第1信号受信部と、前記第1信号受信部が受信した前記同期用制御信号に基づいて、供給される前記映像情報の前記左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを、前記第1の映像表示装置と同期させる映像同期部と、を有し、前記シャッターメガネは、前記同期用制御信号を受信する第2信号受信部と、前記第2信号受信部が受信した前記同期用制御信号に基づいて、前記左眼用のシャッターおよび前記右眼用のシャッターの開閉を駆動するシャッター駆動部と、を有することを特徴とする。
【0008】
このような映像表示システムによれば、第1の映像表示装置と第2の映像表示装置とシャッターメガネとを備えている。第1の映像表示装置は、同期信号生成部と同期信号送信部とを有している。同期信号生成部は、左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成する。同期信号送信部は、同期用制御信号を送信する。第2の映像表示装置は、第1信号受信部と映像同期部とを有している。第1信号受信部は、同期用制御信号を受信する。映像同期部は、同期用制御信号に応じて、供給される映像情報の左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを、第1の映像表示装置と同期させる。シャッターメガネは、第2信号受信部とシャッター駆動部とを有している。第2信号受信部は、同期用制御信号を受信する。シャッター駆動部は、同期用制御信号に基づいて、左眼用のシャッターおよび右眼用のシャッターの開閉を駆動する。これにより、第1の映像表示装置の出力映像と第2の映像表示装置の出力映像との同期をとることが可能になる。さらに、シャッターメガネとの同期をとることができ、クロストークの発生を低減することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る映像表示システムにおいて、前記第1の映像表示装置及び前記第2の映像表示装置を含む複数の映像表示装置を有し、前記複数の映像表示装置のそれぞれは、前記同期信号生成部と、前記同期信号送信部と、前記第1信号受信部と、前記映像同期部と、前記第1の映像表示装置として動作するマスター状態、前記第2の映像表示装置として動作するスレーブ状態、および通常状態のいずれかに切り替える状態切替部と、所定の操作を受け付ける操作受付部と、他の映像表示装置を前記スレーブ状態に切り替えさせるためのスレーブ切替信号を送信するスレーブ切替信号送信部と、前記スレーブ切替信号を受信する第3信号受信部と、前記操作受付部が前記所定の操作を受け付けると、前記状態切替部に前記マスター状態に切り替えさせて、前記スレーブ切替信号送信部に前記スレーブ切替信号を送信させ、前記第3信号受信部が前記スレーブ切替信号を受信すると、前記状態切替部に前記スレーブ状態に切り替えさせる制御部と、を有することを特徴とする
【0010】
このような映像表示システムによれば、複数の映像表示装置はそれぞれ、同期信号生成部と、同期信号送信部と、第1信号受信部と、映像同期部と、状態切替部と、操作受付部と、スレーブ切替信号送信部と、第3信号受信部と、制御部とを有する。状態切替部は、第1の映像表示装置として動作するマスター状態、第2の映像表示装置として動作するスレーブ状態、および通常状態のいずれかに切り替える。スレーブ切替信号送信部は、スレーブ切替信号を送信する。制御部は、所定の操作を受け付けると、状態切替部にマスター状態に切り替えさせてスレーブ切替信号を送信する。また、制御部は、第3信号受信部がスレーブ切替信号を受信すると、状態切替部にスレーブ状態に切り替えさせる。これにより、映像表示装置は、マスター状態にもスレーブ状態にもなることができる。また、1つの映像表示装置がマスター状態に指定された場合には、他の映像表示装置をスレーブ状態にすることができるので、利便性が高い。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る映像表示システムにおいて、前記映像表示装置が前記スレーブ状態に切り替えられている際には、前記制御部は、前記所定の操作がなされても、前記状態切替部に前記マスター状態に切り替えさせないことを特徴とする。
【0012】
このような映像表示システムによれば、映像表示装置がスレーブ状態に切り替えられている場合には、所定の操作がなされてもマスター状態に切り替わらない。これにより、複数の映像表示装置がマスター状態になってしまうことを避けることができる。よって、クロストークの発生を低減することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る映像表示システムにおいて、前記映像表示装置は、リモコン装置によって遠隔操作を行うためのリモコン信号受信部をさらに有し、前記第1信号受信部および前記第3信号受信部の少なくとも一方は、前記リモコン信号受信部と兼用することを特徴とする。
【0014】
このような映像表示システムによれば、第1信号受信部および第3信号受信部の少なくとも一方は、リモコン信号受信部と兼用されている。これにより、映像表示装置の構成を簡易化することができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に係る映像表示システムにおいて、前記リモコン信号受信部は、赤外線を利用して通信することを特徴とする。
【0016】
このような映像表示システムによれば、リモコン信号として一般的に使用されている赤外線によって通信を行うため、簡易なシステムにすることができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例に係る映像表示システムにおいて、前記映像表示装置は、プロジェクターであることを特徴とする。
【0018】
このような映像表示システムによれば、複数のプロジェクターをスタック投写する際に、クロストークの発生を低減することができる。
【0019】
[適用例7]本適用例に係る映像表示システムの制御方法は、映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する第1の映像表示装置及び第2の映像表示装置と、左眼用のシャッターと右眼用のシャッターとを交互に開放させるシャッターメガネとを備えた映像表示システムの制御方法であって、前記第1の映像表示装置において、前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成する信号生成ステップと、前記第1の映像表示装置において、前記同期用制御信号を送信する信号送信ステップと、前記第2の映像表示装置において、前記同期用制御信号を受信する第1信号受信ステップと、前記第2の映像表示装置において、前記第1信号受信ステップによって受信された前記同期用制御信号に基づいて、供給される前記映像情報の前記左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを、前記第1の映像表示装置と同期させる映像同期ステップと、前記シャッターメガネにおいて、前記同期用制御信号を受信する第2信号受信ステップと、前記シャッターメガネにおいて、前記第2信号受信ステップによって受信された前記同期用制御信号に基づいて、前記左眼用のシャッターおよび前記右眼用のシャッターの開閉を駆動するシャッター駆動ステップと、を有することを特徴とする。
【0020】
このような映像表示システムの制御方法によれば、第1の映像表示装置の出力映像と第2の映像表示装置の出力映像との同期をとることが可能になる。さらに、シャッターメガネとの同期をとることができ、クロストークの発生を低減することができる。
【0021】
[適用例8]本適用例に係る映像表示装置は、映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する映像表示装置であって、第1の映像表示装置として動作するマスター状態、第2の映像表示装置として動作するスレーブ状態、および通常状態のいずれかに切り替える状態切替部と、所定の操作を受け付ける操作受付部と、他の映像表示装置を前記スレーブ状態に切り替えさせるためのスレーブ切替信号を送信するスレーブ切替信号送信部と、前記スレーブ切替信号を受信する第3信号受信部と、前記操作受付部が前記所定の操作を受け付けると、前記状態切替部に前記マスター状態に切り替えさせて、前記スレーブ切替信号送信部に前記スレーブ切替信号を送信させ、前記第3信号受信部が前記スレーブ切替信号を受信すると、前記状態切替部に前記スレーブ状態に切り替えさせる制御部と、前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成する同期信号生成部と、前記マスター状態の場合に前記同期用制御信号を送信する同期信号送信部と、前記スレーブ状態の場合に前記同期用制御信号を受信する第1信号受信部と、前記第1信号受信部が受信した前記同期用制御信号に基づいて、供給される前記映像情報の前記左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを、前記第1の映像表示装置と同期させる映像同期部と、を有することを特徴とする。
【0022】
このような映像表示装置によれば、他の映像表示装置と出力映像の同期をとることが可能になり、クロストークの発生を低減することができる。
【0023】
[適用例9]本適用例に係る映像表示装置は、映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する映像表示装置であって、前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成する同期信号生成部と、前記同期用制御信号を、当該映像表示装置以外の映像表示装置に送信する同期信号送信部と、を有することを特徴とする。
【0024】
[適用例10]本適用例に係る映像表示装置は、映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する映像表示装置であって、前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を、当該映像表示装置以外の映像表示装置から受信する信号受信部と、前記信号受信部が受信した前記同期用制御信号に基づいて、供給される前記映像情報の前記左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを行う映像同期部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る映像表示システムの概略構成を示す説明図。
【図2】映像表示システムにおけるプロジェクターの内部構成を主に示すブロック図。
【図3】液晶シャッターメガネの内部構成を示すブロック図。
【図4】映像表示システムのプロジェクターの状態遷移図。
【図5】マスター状態のプロジェクター、スレーブ状態のプロジェクター、および液晶シャッターメガネの同期信号および制御信号を表す波形図。
【図6】プロジェクターの通常状態における処理のフローチャート。
【図7】プロジェクターのマスター状態における処理のフローチャート。
【図8】プロジェクターのスレーブ状態における処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態として、光源から射出された光を映像信号に基づいて変調して光学像を形成し、この光学像を外部のスクリーン等に投写する映像表示装置としての複数のプロジェクターと、映像供給装置としてのビデオ再生装置と、シャッターメガネとしての液晶シャッターメガネとを有する映像表示システムに適用した場合について説明する。
【0027】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る映像表示システムの概略構成を示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態の映像表示システム1は、プロジェクター100と、プロジェクター200と、ビデオ再生装置300と、液晶シャッターメガネ400と、スクリーンSとが表されている。
【0028】
プロジェクター100は、投写レンズ13と赤外線送受信部50とを有している。投写レンズ13から投写された投写画像は、スクリーンSに投写される。赤外線送受信部50は、左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための赤外線の同期用制御信号を送受信する。ここで、プロジェクター100及び200から投写される光は一点鎖線で表しており、赤外線信号は破線で表している。同様に、プロジェクター200は、投写レンズ213と赤外線送受信部250とを有している。ここで、プロジェクター100およびプロジェクター200は、スクリーンS上の同一の投写領域に重畳させて投写画像を表示、即ちスタック投写させるように設置されている。
【0029】
ビデオ再生装置300は3D映像信号を出力する映像出力機器である。ビデオ再生装置300は、映像ケーブルC1を介してプロジェクター100と接続されている。また、ビデオ再生装置300は、映像ケーブルC2を介してプロジェクター200と接続されている。ビデオ再生装置300は、映像ケーブルC1と映像ケーブルC2を介して、プロジェクター100およびプロジェクター200に同一の映像信号を出力する。本実施形態では、映像ケーブルC1,C2は、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ケーブルとする。なお、映像ケーブルの種類は他の種別のケーブルとしてもよい。また、ビデオ再生装置300は、3D映像信号を、無線によってプロジェクター100およびプロジェクター200に供給してもよい。
【0030】
液晶シャッターメガネ400は、プロジェクター100およびプロジェクター200が投写する画像を鑑賞する鑑賞者に装着されるものであり、鑑賞者の左眼に対峙する左眼用の液晶シャッター44Lと、右眼に対峙する右眼用の液晶シャッター44Rとを備えている。また、液晶シャッターメガネ400の前面には、プロジェクター100から送信される赤外線の同期用制御信号を受信するための赤外線受信部(図1では図示せず)が設けられており、プロジェクター100から送信された同期用制御信号は、スクリーンSで反射して液晶シャッターメガネ400に受信される。液晶シャッターメガネ400は、左眼用の画像が鑑賞者の左眼のみで認識され、右眼用の画像が鑑賞者の右眼のみで認識されるよう、受信した同期用制御信号に基づいたタイミングで左右の液晶シャッター44L,44Rを交互に開放させる。
【0031】
図2は、本実施形態に係る映像表示システム1におけるプロジェクター100の内部構成を主に示すブロック図である。
図2に示すように、映像表示システム1は、プロジェクター100と、プロジェクター200と、ビデオ再生装置300と、液晶シャッターメガネ400と、スクリーンSとを備えて構成されている。
【0032】
プロジェクター100は、映像投写部10、制御部20、操作受付部21、映像信号入力部31、映像処理部32、赤外線送受信部50等を備えて構成されている。
【0033】
映像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、ライトバルブ駆動部14等を含んでいる。映像投写部10は、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ13から投写してスクリーンS等に表示する。
【0034】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色R、緑色G、青色Bの各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0035】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。ライトバルブ駆動部14が、入力される画像データに応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像データに応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像データに応じた画像が色光毎に形成される。形成された各色の画像は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像となった後、投写レンズ13から投写される。
【0036】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、各種データの一時記憶等に用いられるRAM、および、マスクROMやフラッシュメモリー、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の不揮発性のメモリー等(いずれも図示せず)を備え、コンピューターとして機能するものである。制御部20は、CPUが不揮発性のメモリーに記憶されている制御プログラムに従って動作することにより、プロジェクター100の動作を統括制御する。
【0037】
制御部20は、コマンド生成部20aおよびコマンド判定部20bを有している。コマンド生成部20aは、プロジェクター100がプロジェクター200および液晶シャッターメガネ400と同期をとるための同期用制御信号としての同期用制御コマンドや液晶シャッター開閉制御コマンド等を、映像処理部32から入力した垂直同期信号に基づいて生成し、赤外線送信部50aから送信させる。このときの制御部20が同期信号生成部に相当し、赤外線送信部50aが同期信号送信部に相当する。コマンドを送信するタイミングは、制御部20に内蔵するタイマー(図示せず)を用いて算出する。コマンド判定部20bは、他のプロジェクターやリモコン等から赤外線受信部50bに入力された赤外線信号のコマンドを解析し、コマンドの種別を判定する。
【0038】
操作受付部21は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター100に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作受付部21が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための電源キー、各種設定を行うためのメニュー画面の表示・非表示を切り替えるメニューキー、メニュー画面におけるカーソルの移動等に用いられるカーソルキー、各種設定を決定するための決定キー、プロジェクター100とプロジェクター200と液晶シャッターメガネ400とを同期させるための同期キー等がある。ユーザーが操作受付部21の各種操作キーを操作(押下)すると、操作受付部21は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。
【0039】
映像信号入力部31には、ビデオ再生装置300と映像ケーブルC1を介した接続を行うための入力端子(図示せず)が備えられており、ビデオ再生装置300から映像信号が入力される。映像信号入力部31は、入力される映像信号を、映像処理部32で処理可能な形式の映像情報に変換して、映像処理部32に出力する。
【0040】
映像処理部32は、映像信号入力部31から入力される映像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像データに変換する。ここで、変換された画像データは、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。また、映像処理部32は、制御部20の指示に基づき、変換した画像データに対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理等を行い、処理後の画像データをライトバルブ駆動部14に出力する。
【0041】
プロジェクター100が後述するマスター状態の場合、映像処理部32は、入力されている映像の垂直同期信号を制御部20に出力し、同期制御コマンドを後述するスレーブ状態のプロジェクターに送信する。また、プロジェクター100がスレーブ状態の場合、映像処理部32は、制御部20が同期用制御信号である同期制御コマンドを受信したタイミングから所定の時間経過後に、内蔵する映像処理回路の基準同期信号を生成し、マスター状態のプロジェクターと出力映像を同期させる。このときの制御部20および映像処理部32が、映像同期部に相当する。
【0042】
ライトバルブ駆動部14が、映像処理部32から入力される画像データに従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像データに応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0043】
赤外線送受信部50は、赤外線送信部50aおよび赤外線受信部50bを有している。赤外線送信部50aは、赤外線通信用のエンコーダーや赤外線発光装置(いずれも図示せず)等で構成され、制御部20のコマンド生成部20aから入力されるコマンドをエンコーダーで変調し、赤外線発光装置により赤外線の点滅信号として外部に送信する。赤外線受信部50bは、赤外線受信モジュール等を有して構成され、他のプロジェクター(プロジェクター200)やリモコン(図示せず)等から発せられた赤外線信号を受信し、制御部20のコマンド判定部20bに通知する。プロジェクター100がスレーブ状態になっている際の赤外線受信部50bが、第1信号受信部に相当する。また、リモコンから発せられた赤外線信号を受信する際の赤外線受信部50bが、リモコン信号受信部に相当する。
【0044】
プロジェクター200は、プロジェクター100と同様な構成とする。よって、説明は省略する。なお、本実施形態では、プロジェクター200は、プロジェクター100から同期用制御コマンドを受信して、外部同期状態(「スレーブ状態」という)として動作するため、赤外線信号は送信しない。
【0045】
ビデオ再生装置300は、左眼用および右眼用を含む3D映像信号をプロジェクター100およびプロジェクター200に供給する。
【0046】
図3は、液晶シャッターメガネ400の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、液晶シャッターメガネ400は、上述した液晶シャッター44L,44Rに加えて、赤外線受信部410と、制御部420と、シャッター駆動部430とを有している。赤外線受信部410は、フォトセンサー等によって構成され、プロジェクター100から送信される赤外線の同期用制御コマンド(信号)を受信(受光)して電気信号に変換する。赤外線受信部410が第2信号受信部に相当する。
【0047】
制御部420は、受信した液晶シャッター開閉制御コマンドに基づいて、液晶シャッター44L,44Rの開閉を制御するための制御信号を生成し、シャッター駆動部430に出力する。シャッター駆動部430は、入力される制御信号に基づいて液晶シャッター44L,44Rの開閉(入射する光の透過及び遮断)を駆動する。
【0048】
液晶シャッター44L,44Rは、それぞれ液晶パネルの表裏両側に偏光板が貼り付けられた構成を有している。左眼用の液晶シャッター44Lは、シャッター駆動部430の駆動により、左眼に入射する光を透過させる開放状態と、左眼に入射する光を遮断する遮断状態とを切り替える。右眼用の液晶シャッター44Rは、シャッター駆動部430の駆動により、右眼に入射する光を透過させる開放状態と、右眼に入射する光を遮断する遮断状態とを切り替える。
【0049】
映像表示システム1は、上記のように構成されているため、プロジェクター100が、左眼用の画像の投写と右眼用の画像の投写とを切り替え、液晶シャッターメガネ400が、プロジェクター100から送信される液晶シャッター開閉制御コマンドに基づいて、開放する液晶シャッター44L,44Rを切り替えることにより、左眼用の画像を左眼のみに認識させ、右眼用の画像を右眼のみに認識させることができる。
【0050】
次に、映像表示システム1のプロジェクター100の状態遷移について、状態遷移図を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る映像表示システム1のプロジェクター100の状態遷移図である。
【0051】
図4に示すように、プロジェクター100は、通常状態ST10、マスター状態ST11、およびスレーブ状態ST12に遷移可能となっている。これらの状態を切り替える制御部20が、状態切替部に相当する。
【0052】
プロジェクター100は、操作受付部21に備わる電源キーが押下されると、通常状態ST10となる。通常状態ST10は、プロジェクター100が、光源11を点灯し、入力された映像信号に基づく映像を投写している状態である。通常状態ST10では、プロジェクター100は、液晶シャッターメガネ400との同期を行っているが、プロジェクター200との同期は行っていない。
【0053】
通常状態ST10において、操作受付部21に備わる同期キーが押下されると、プロジェクター100は、マスター状態ST11に遷移する。この同期キーの押下が、所定の操作に相当する。また、通常状態ST10において、他のプロジェクター(プロジェクター200)から、SLAVE−ENTERコマンドを受信すると、プロジェクター100は、スレーブ状態ST12に遷移する。
【0054】
マスター状態ST11は、プロジェクター100がマスターとなり、赤外線の同期用制御信号を用いて、プロジェクター200をスレーブとして制御し、液晶シャッターメガネ400の液晶シャッターの開閉も制御している状態である。このとき、プロジェクター100に入力されている映像信号の垂直同期信号に基づいて、プロジェクター200および液晶シャッターメガネ400は同期を行う。ここで、同期とは、プロジェクター100およびプロジェクター200が出力する出力映像が同期していること、即ち右眼用の画像フレームと左眼用の画像フレームとが同期していることを示す。さらに、プロジェクター100の出力映像と、液晶シャッターメガネ400の右眼用の液晶シャッター44Rおよび左眼用の液晶シャッター44Lの開閉が同期していることを示す。
【0055】
マスター状態ST11において、操作受付部21に備わる同期キーが押下されると、プロジェクター100は、通常状態ST10に遷移する。
【0056】
スレーブ状態ST12は、プロジェクター100がスレーブとなり、マスターであるプロジェクター200によって制御されている状態である。このとき、プロジェクター100および液晶シャッターメガネ400は、マスターであるプロジェクター200に入力されている映像信号の垂直同期信号に基づいて、同期を行う。
【0057】
スレーブ状態ST12において、SLAVE−EXITコマンドが受信されると、プロジェクター100は、通常状態ST10に遷移する。
【0058】
ここで、映像表示システム1のプロジェクター100、プロジェクター200および液晶シャッターメガネ400の同期について説明する。
図5は、マスター状態ST11のプロジェクター100、スレーブ状態ST12のプロジェクター200、および液晶シャッターメガネ400の同期信号および制御信号を表す波形図である。
【0059】
図5の波形図では、マスター状態ST11のプロジェクター100が入力している映像信号の垂直同期信号VSync1、マスター状態ST11のプロジェクター100が送信する制御信号CLS、および、スレーブ状態ST12のプロジェクター200が生成する基準同期信号VSync2が表されている。なお、図5では、横軸は時間軸としている。
【0060】
制御信号CLSとして出力する制御信号(同期用制御信号)のコマンド種別としては、スレーブ状態ST12のプロジェクター200に、右眼用の画像と左眼用の画像の垂直同期信号を同期させるための「L−SYNC」および「R−SYNC」コマンドがある。さらに、ここでは図示しないが、他のプロジェクター(プロジェクター200)を通常状態ST10からスレーブ状態ST12に遷移させるための「SLAVE−ENTER」コマンド、および、他のプロジェクター(プロジェクター200)をスレーブ状態ST12から通常状態ST10に遷移させるための「SLAVE−EXIT」コマンドがある。また、液晶シャッターメガネ400の右眼用の液晶シャッター44Rに右眼に入射する光を透過させるための「R−OPEN」コマンド、右眼用の液晶シャッター44Rに右眼に入射する光を遮断させるための「R−CLOSE」コマンド、左眼用の液晶シャッター44Lに左眼に入射する光を透過させるための「L−OPEN」コマンド、左眼用の液晶シャッター44Lに左眼に入射する光を遮断させるための「L−CLOSE」コマンド等がある。
【0061】
マスター状態ST11のプロジェクター100に入力される映像信号の垂直同期信号VSync1は、右眼用画像の1フレーム、および左眼用画像の1フレームに対応するように、時間t0毎に出力される。映像信号の垂直同期周波数は、例えば、240Hzとする。マスター状態ST11のプロジェクター100は、右眼用画像のVSync1の信号を出力した後、時間t1後に、スレーブ状態ST12のプロジェクター200に対して、次の垂直同期信号を同期させるためのL−SYNCコマンドを出力する。さらに、マスター状態ST11のプロジェクター100は、液晶シャッターメガネ400に対して、L−SYNCコマンドの出力からt2時間後に、R−OPENコマンドを送信する。さらに、マスター状態ST11のプロジェクター100は、R−OPENコマンドの送信からt3時間後に、R−CLOSEコマンドを送信する。
【0062】
さらに、マスター状態ST11のプロジェクター100は、左眼用画像のVSync1の信号を出力した後、時間t1後に、スレーブ状態ST12のプロジェクター200に対して、次の垂直同期信号を同期させるためのR−SYNCコマンドを出力する。さらに、マスター状態ST11のプロジェクター100は、液晶シャッターメガネ400に対して、R−SYNCコマンドの出力からt2時間後に、L−OPENコマンドを送信する。さらに、マスター状態ST11のプロジェクター100は、L−OPENコマンドの送信からt3時間後に、L−CLOSEコマンドを送信する。
【0063】
スレーブ状態ST12のプロジェクター200は、L−SYNCコマンドを受信した後、t4時間後に内部の映像処理回路の基準同期信号VSync2を生成して、左眼用画像を出力する。また、R−SYNCコマンドを受信した後、t4時間後に映像処理回路の基準同期信号VSync2を生成して、右眼用画像を出力する。
【0064】
上述したように、マスター状態ST11のプロジェクター100とスレーブ状態ST12のプロジェクター200と液晶シャッターメガネ400とは、時分割で同期をとることが可能である。
【0065】
次に、プロジェクター100の各状態における処理について説明する。
図6は、プロジェクター100の通常状態ST10における処理のフローチャートである。
【0066】
通常状態ST10において、制御部20は、操作受付部21に備わる同期キーが押下されたか否かを判断する(ステップS101)。同期キーが押下されていれば(ステップS101:YES)、制御部20のコマンド生成部20aは、SLAVE−ENTERコマンドを生成して、赤外線送信部50aから送信させる(ステップS102)。SLAVE−ENTERコマンドが、スレーブ切替信号に相当し、このときの赤外線送信部50aが、スレーブ切替信号送信部に相当する。そして、制御部20は、プロジェクター100をマスター状態ST11に遷移させる(ステップS103)。そして、通常状態ST10における処理を終了する。
【0067】
同期キーが押下されていなければ(ステップS101:NO)、制御部20は、SLAVE−ENTERコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS104)。SLAVE−ENTERコマンドを受信していれば(ステップS104:YES)、制御部20は、赤外線送信部50aからの赤外線送信を禁止する(ステップS105)。このSLAVE−ENTERコマンドを受信する際の赤外線受信部50bが、第3信号受信部に相当する。そして、制御部20は、プロジェクター100をスレーブ状態ST12に遷移させる(ステップS106)。そして、通常状態ST10における処理を終了する。
【0068】
SLAVE−ENTERコマンドを受信していなければ(ステップS104:NO)、ステップS101に移行して、同期キーおよびSLAVE−ENTERコマンドを待つ。なお、ここでは図示しないが、同期キー以外の操作キー等が押下された場合には、制御部20は、当該操作キーに対応した処理を行ってもよい。
【0069】
図7は、プロジェクター100のマスター状態ST11における処理のフローチャートである。
【0070】
マスター状態ST11では、プロジェクター100は、図5で示したように、スレーブ状態ST12のプロジェクター200や、液晶シャッターメガネ400に対して制御信号(同期用制御信号)を送信しているが、当フローチャートでは記載を省略する。
【0071】
マスター状態ST11において、制御部20は、操作受付部21に備わる同期キーが押下されたか否かを判断する(ステップS201)。同期キーが押下されていれば(ステップS201:YES)、制御部20のコマンド生成部20aは、SLAVE−EXITコマンドを生成して、赤外線送信部50aから送信させる(ステップS202)。そして、制御部20は、プロジェクター100を通常状態ST10に遷移させる(ステップS203)。このとき、プロジェクター100は、プロジェクター200および液晶シャッターメガネ400との同期を終了する。そして、マスター状態ST11における処理を終了する。
【0072】
同期キーが押下されていなければ(ステップS201:NO)、ステップS201に移行して、同期キーが押下されるのを待つ。なお、ここでは図示しないが、同期キー以外の操作キー等が押下された場合には、制御部20は、当該操作キーに対応した処理を行ってもよい。
【0073】
図8は、プロジェクター100のスレーブ状態ST12における処理のフローチャートである。
【0074】
スレーブ状態ST12では、プロジェクター100は、図5で示したように、マスター状態ST11のプロジェクター200からL−SYNCコマンドやR−SYNCコマンドを受信し、受信した同期用制御コマンドに応じて基準同期信号VSync2を生成して、マスター状態ST11のプロジェクター200と同期する処理を行っているが、当フローチャートでは記載を省略する。
【0075】
スレーブ状態ST12において、制御部20は、SLAVE−EXITコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS301)。SLAVE−EXITコマンドが受信されていれば(ステップS301:YES)、制御部20は、赤外線送信部50aからの赤外線送信を許可する(ステップS302)。そして、制御部20は、プロジェクター100を通常状態ST10に遷移させる(ステップS303)。このとき、プロジェクター100は、プロジェクター200との同期を終了する。そして、スレーブ状態ST12における処理を終了する。
【0076】
SLAVE−EXITコマンドが受信されていなければ(ステップS301:NO)、ステップS301に移行して、SLAVE−EXITコマンドが受信されるのを待つ。なお、ここでは図示しないが、SLAVE−EXITコマンド以外のコマンドを受信したり、操作キー等が押下されたりした場合には、制御部20は、当該コマンドや操作キーに対応した処理を行ってもよい。なお、同期キーが押下された場合は、無効として処理を行わない。つまり、スレーブ状態ST12では、同期キーが押下されてもマスター状態ST11には切り替えない。
【0077】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)映像表示システム1は、プロジェクター100とプロジェクター200と液晶シャッターメガネ400とを備えている。プロジェクター100がマスター状態ST11になった場合、プロジェクター100から送信する制御コマンド(SLAVE−ENTER)によって、プロジェクター200はスレーブ状態ST12になる。そして、プロジェクター100からプロジェクター200に同期用制御コマンド(L−SYNC,R−SYNC)を送信することで、出力する左眼用画像と右眼用画像とを同期させる。また、マスター状態ST11となったプロジェクター100は、液晶シャッターメガネ400に液晶シャッター開閉制御コマンド(R−OPEN,R−CLOSE,L−OPEN,L−CLOSE)を送信することで、左眼用の液晶シャッター44Lおよび右眼用の液晶シャッター44Rの開閉を制御し、出力映像と同期させる。これにより、プロジェクター100およびプロジェクター200の出力映像の同期をとることが可能になり、さらに、液晶シャッターメガネ400との同期をとることが可能になるため、クロストークの発生を低減することができる。つまり、3D映像の破綻を回避することができる。そして、プロジェクター100およびプロジェクター200をスタック投写することが可能になり、鑑賞者は、高輝度な3D映像を鑑賞することができる。
【0078】
(2)映像表示システム1では、プロジェクター100は、同期キーが押下されればマスター状態ST11となり、SLAVE−ENTERコマンドを送信してプロジェクター200をスレーブ状態ST12にさせる。また、プロジェクター200が、同期キーを押下されればマスター状態ST11となり、SLAVE−ENTERコマンドを送信してプロジェクター100をスレーブ状態ST12にさせる。これにより、プロジェクター100およびプロジェクター200は、マスター状態ST11にもスレーブ状態ST12にも切り替わることができる。また、1つのプロジェクターがマスター状態ST11に指定された場合には、他のプロジェクターをスレーブ状態ST12にすることができるので、利便性が高い。
【0079】
(3)映像表示システム1では、プロジェクターがスレーブ状態ST12に切り替えられている場合には、操作受付部21に備わる同期キーが押下されてもマスター状態ST11に切り替わらない。これにより、複数のプロジェクターがマスター状態ST11になってしまうことを避けることができる。よって、クロストークの発生を低減することができる。
【0080】
(4)映像表示システム1のプロジェクター100,200では、赤外線受信部50bは、リモコン信号の受信部と兼用されている。つまり、同期のためのケーブル等が不要になる。これにより、プロジェクター100,200の構成を簡易化し、コストを低減することができる。
【0081】
(5)映像表示システム1のプロジェクター100、プロジェクター200、および液晶シャッターメガネ400の間では、赤外線によって通信が行われる。これにより、リモコン信号として一般的に使用されている赤外線によって通信を行うため、映像表示システム1を簡易にすることができる。
【0082】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0083】
(変形例1)上記実施形態では、マスター状態ST11のプロジェクター100は、スレーブ状態ST12のプロジェクター200に対して出力映像を同期させるために、L−SYNCおよびR−SYNCコマンドを送信するものとした。しかし、スレーブ状態ST12のプロジェクター200は、液晶シャッターメガネ400に対して送信されたR−OPENまたはR−CLOSEコマンド、および、L−OPENまたはL−CLOSEコマンドを受信し、受信した時点から所定の時間経過後に基準同期信号VSync2を発生させることで、マスター状態ST11のプロジェクター100との出力映像の同期を行ってもよい。こうすれば、スレーブ状態ST12のプロジェクター200のために同期用のコマンド(L−SYNCおよびR−SYNC)を送信する必要がなくなる。よって、コマンド数を減らして、簡易な通信の構成とすることができる。
【0084】
(変形例2)上記実施形態では、マスター状態ST11のプロジェクターを1つとし、スレーブ状態ST12のプロジェクターも1つとしたが、マスター状態ST11のプロジェクターを1つとし、スレーブ状態ST12のプロジェクターを複数としてもよい。
【0085】
(変形例3)上記実施形態では、主にプロジェクター100をマスター状態ST11とし、プロジェクター200をスレーブ状態ST12として記載したが、プロジェクター200をマスター状態ST11とし、プロジェクター100をスレーブ状態ST12としてもよい。
【0086】
(変形例4)上記実施形態では、映像表示装置として、プロジェクター100,200を用いているが、映像表示装置はプロジェクター100,200に限定されず、各種映像表示装置を利用するようにしてもよい。こうすれば、複数の映像表示装置の出力映像を同期させることが可能となり、鑑賞者は、液晶シャッターメガネ400を用いて、いずれの映像表示装置の出力映像も破綻のない3D映像として鑑賞することができる。
【0087】
(変形例5)上記実施形態では、映像供給装置として、ビデオ再生装置300を用いているが、映像供給装置はビデオ再生装置300に限定されず、例えば、パーソナルコンピューターや各種映像再生装置等を利用するようにしてもよい。
【0088】
(変形例6)上記実施形態では、プロジェクター100の赤外線送受信部50と、プロジェクター200の赤外線送受信部250と、液晶シャッターメガネ400の赤外線受信部410との間で、赤外線の同期信号および制御信号を送受信する態様を示したが、同期信号および制御信号は、赤外線に限定されない。例えば、赤外線以外の光通信を利用するようにしてもよい。
【0089】
(変形例7)上記実施形態のプロジェクター100では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0090】
1…映像表示システム、10…映像投写部、11…光源、11a…光源ランプ、11b…リフレクター、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…ライトバルブ駆動部、20…制御部(同期信号生成部、映像同期部、状態切替部)、20a…コマンド生成部、20b…コマンド判定部、21…操作受付部、31…映像信号入力部、32…映像処理部(映像同期部)、44L…左眼用の液晶シャッター、44R…右眼用の液晶シャッター、50…赤外線送受信部、50a…赤外線送信部(同期信号送信部、スレーブ切替信号送信部、第3信号受信部)、50b…赤外線受信部(第1信号受信部、リモコン信号受信部)、100,200…プロジェクター、213…投写レンズ、250…赤外線送受信部、300…ビデオ再生装置、400…液晶シャッターメガネ、410…赤外線受信部(第2信号受信部)、420…制御部、430…シャッター駆動部、C1…映像ケーブル、C2…映像ケーブル、S…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する第1の映像表示装置及び第2の映像表示装置と、左眼用のシャッターと右眼用のシャッターとを交互に開放させるシャッターメガネとを備えた映像表示システムであって、
前記第1の映像表示装置は、
前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成する同期信号生成部と、
前記同期用制御信号を送信する同期信号送信部と、
を有し、
前記第2の映像表示装置は、
前記同期用制御信号を受信する第1信号受信部と、
前記第1信号受信部が受信した前記同期用制御信号に基づいて、供給される前記映像情報の前記左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを、前記第1の映像表示装置と同期させる映像同期部と、
を有し、
前記シャッターメガネは、
前記同期用制御信号を受信する第2信号受信部と、
前記第2信号受信部が受信した前記同期用制御信号に基づいて、前記左眼用のシャッターおよび前記右眼用のシャッターの開閉を駆動するシャッター駆動部と、
を有することを特徴とする映像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示システムであって、
前記第1の映像表示装置及び前記第2の映像表示装置を含む複数の映像表示装置を有し、
前記複数の映像表示装置のそれぞれは、
前記同期信号生成部と、
前記同期信号送信部と、
前記第1信号受信部と、
前記映像同期部と、
前記第1の映像表示装置として動作するマスター状態、前記第2の映像表示装置として動作するスレーブ状態、および通常状態のいずれかに切り替える状態切替部と、
所定の操作を受け付ける操作受付部と、
他の映像表示装置を前記スレーブ状態に切り替えさせるためのスレーブ切替信号を送信するスレーブ切替信号送信部と、
前記スレーブ切替信号を受信する第3信号受信部と、
前記操作受付部が前記所定の操作を受け付けると、前記状態切替部に前記マスター状態に切り替えさせて、前記スレーブ切替信号送信部に前記スレーブ切替信号を送信させ、前記第3信号受信部が前記スレーブ切替信号を受信すると、前記状態切替部に前記スレーブ状態に切り替えさせる制御部と、
を有することを特徴とする映像表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示システムであって、
前記映像表示装置が前記スレーブ状態に切り替えられている際には、前記制御部は、前記所定の操作がなされても、前記状態切替部に前記マスター状態に切り替えさせないことを特徴とする映像表示システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の映像表示システムであって、
前記映像表示装置は、リモコン装置によって遠隔操作を行うためのリモコン信号受信部をさらに有し、
前記第1信号受信部および前記第3信号受信部の少なくとも一方は、前記リモコン信号受信部と兼用することを特徴とする映像表示システム。
【請求項5】
請求項4に記載の映像表示システムであって、
前記リモコン信号受信部は、赤外線を利用して通信することを特徴とする映像表示システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の映像表示システムであって、
前記映像表示装置は、プロジェクターであることを特徴とする映像表示システム。
【請求項7】
映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する第1の映像表示装置及び第2の映像表示装置と、左眼用のシャッターと右眼用のシャッターとを交互に開放させるシャッターメガネとを備えた映像表示システムの制御方法であって、
前記第1の映像表示装置において、前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成する信号生成ステップと、
前記第1の映像表示装置において、前記同期用制御信号を送信する信号送信ステップと、
前記第2の映像表示装置において、前記同期用制御信号を受信する第1信号受信ステップと、
前記第2の映像表示装置において、前記第1信号受信ステップによって受信された前記同期用制御信号に基づいて、供給される前記映像情報の前記左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを、前記第1の映像表示装置と同期させる映像同期ステップと、
前記シャッターメガネにおいて、前記同期用制御信号を受信する第2信号受信ステップと、
前記シャッターメガネにおいて、前記第2信号受信ステップによって受信された前記同期用制御信号に基づいて、前記左眼用のシャッターおよび前記右眼用のシャッターの開閉を駆動するシャッター駆動ステップと、
を有することを特徴とする映像表示システムの制御方法。
【請求項8】
映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する映像表示装置であって、
第1の映像表示装置として動作するマスター状態、第2の映像表示装置として動作するスレーブ状態、および通常状態のいずれかに切り替える状態切替部と、
所定の操作を受け付ける操作受付部と、
他の映像表示装置を前記スレーブ状態に切り替えさせるためのスレーブ切替信号を送信するスレーブ切替信号送信部と、
前記スレーブ切替信号を受信する第3信号受信部と、
前記操作受付部が前記所定の操作を受け付けると、前記状態切替部に前記マスター状態に切り替えさせて、前記スレーブ切替信号送信部に前記スレーブ切替信号を送信させ、前記第3信号受信部が前記スレーブ切替信号を受信すると、前記状態切替部に前記スレーブ状態に切り替えさせる制御部と、
前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成する同期信号生成部と、
前記マスター状態の場合に前記同期用制御信号を送信する同期信号送信部と、
前記スレーブ状態の場合に前記同期用制御信号を受信する第1信号受信部と、
前記第1信号受信部が受信した前記同期用制御信号に基づいて、供給される前記映像情報の前記左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを、前記第1の映像表示装置と同期させる映像同期部と、
を有することを特徴とする映像表示装置。
【請求項9】
映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する映像表示装置であって、
前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を生成する同期信号生成部と、
前記同期用制御信号を、当該映像表示装置以外の映像表示装置に送信する同期信号送信部と、
を有することを特徴とする映像表示装置。
【請求項10】
映像供給装置から供給される映像情報に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像とを時分割で表示する映像表示装置であって、
前記左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための同期用制御信号を、当該映像表示装置以外の映像表示装置から受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信した前記同期用制御信号に基づいて、供給される前記映像情報の前記左眼用の画像と右眼用の画像との表示の切り替えを行う映像同期部と、
を有することを特徴とする映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−12877(P2013−12877A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143844(P2011−143844)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】