説明

映像表示装置及び映像表示方法、音声再生装置及び音声再生方法、映像音声同期制御システム

【課題】映像信号処理に要する時間が変更された場合でも、その変更された時間に対応して再生音声を遅延させて表示映像に同期させることができ、ユーザにとっての取り扱いを便利にして実用に十分に適するようにした映像表示装置及び映像表示方法、音声再生装置及び音声再生方法、映像音声同期制御システムを提供すること。
【解決手段】実施の形態によれば、映像表示装置は、生成手段と送信手段とを備える。生成手段は、映像信号処理に要する時間が変わるような動作モードの変更が要求されたとき、要求された動作モードにおける映像信号処理に要する時間を示す情報が記述された機器制御信号を生成する。送信手段は、生成手段で生成した機器制御信号を、音声再生装置に音声再生の遅延量を設定させるために、機器制御信号の伝送ラインを介して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施の形態は、映像表示装置及び映像表示方法、音声再生装置及び音声再生方法、映像音声同期制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、デジタル映像信号を伝送するための規格として、DVI(digital visual interface)規格が普及している。近年では、このDVI規格をさらに改良したデジタル信号伝送規格として、HDMI(high definition multimedia interface)規格が採用されるようになってきている。
【0003】
HDMI規格には、例えば、デジタル映像信号のブランキング期間にデジタル音声信号を多重化して音声伝送を行なうことが可能であること、デジタル映像信号をRGB信号の形態で伝送する他に、YCbCr信号の形態またはそれより高画質なYPbPr信号の形態で伝送することが可能であること、USB(universal serial bus)ライクの小型のHDMIコネクタで伝送することが可能であること等々、DVI規格にない種々の規定が盛り込まれている。
【0004】
また、HDMI規格では、信号の伝送に先立ち、送信側の機器と受信側の機器との間で認証を行なうことにより、送信側の機器が受信側の機器の性能に合わせた形態で信号を出力することができる。すなわち、送信側の機器は、受信側の機器からEDID(extended display identification)データを取得することにより、受信側機器の受信仕様を認識し、それに合わせた形態で信号を出力することができる。
【0005】
そして、このようなHDMI規格に準拠したデジタル信号伝送を利用することにより、例えば光ディスク再生装置等の情報出力装置から相互に同期して出力されるデジタルの映像信号及び音声信号に対し、音声信号を音声再生装置(通称AVアンプと称される)に伝送して音声再生を行ない、映像信号をデジタルテレビジョン放送受信装置に伝送して映像表示を行なうといった使用形態をとることが可能となる。
【0006】
この場合、音声再生装置は、デジタルテレビジョン放送受信装置内にEDIDデータとして格納されている映像信号処理に要する時間情報を取得し、当該時間情報で示される時間だけ音声信号を遅延させて音声再生するようにしている。これにより、音声再生装置による再生音声と、デジタルテレビジョン放送受信装置による表示映像とを同期させることができる。
【0007】
ところで、デジタルテレビジョン放送受信装置には、例えば「標準モード」、「映画モード」、「ゲームモード」等のように、表示する映像の種類に応じた種々の映像表示モードが用意されており、各映像表示モードによって映像信号処理に要する時間が異なっている。しかしながら、EDIDデータは、デジタルテレビジョン放送受信装置内に固定値で格納されているため、各映像表示モードに応じた映像信号処理に要する時間を音声再生装置に提供することはできないのが現状である。
【0008】
なお、デジタルテレビジョン放送受信装置に格納されている、映像信号処理に要する時間を示すEDIDデータを、映像表示モードが切り替えられるのに対応させて変更することも考えられている。しかしながら、この場合には、EDIDデータが変更される毎に、デジタルテレビジョン放送受信装置と音声再生装置との相互間で認証処理をやり直す必要が生じ、その認証処理期間(例えば10秒程度)は映像が表示されなくなるため、ユーザにとっての取り扱いが不便になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−274409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
映像信号処理に要する時間が変更された場合でも、その変更された時間に対応して再生音声を遅延させて表示映像に同期させることができ、ユーザにとっての取り扱いを便利にして実用に十分に適するようにした映像表示装置及び映像表示方法、音声再生装置及び音声再生方法、映像音声同期制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施の形態によれば、映像表示装置は、生成手段と送信手段とを備える。生成手段は、映像信号処理に要する時間が変わるような動作モードの変更が要求されたとき、要求された動作モードにおける映像信号処理に要する時間を示す情報が記述された機器制御信号を生成する。送信手段は、生成手段で生成した機器制御信号を、音声再生装置に音声再生の遅延量を設定させるために、機器制御信号の伝送ラインを介して送信する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態における映像音声同期再生システムの一例を概略的に説明するために示すブロック構成図。
【図2】同実施の形態における映像音声同期再生システムを構成する光ディスク再生装置の信号処理系の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態における映像音声同期再生システムを構成するデジタルテレビジョン放送受信装置の信号処理系の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図4】同実施の形態における映像音声同期再生システムを構成する音声再生装置の信号処理系の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図5】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なう主要な処理動作の一例を説明するために示すフローチャート。
【図6】同実施の形態における音声再生装置が行なう主要な処理動作の一例を説明するために示すフローチャート。
【図7】同実施の形態における音声再生装置が行なう主要な処理動作の他の例を説明するために示すフローチャート。
【図8】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なう主要な処理動作の他の例を説明するために示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明する映像音声同期再生システムの一例を概略的に示している。すなわち、この映像音声同期再生システムは、例えばDVD(digital versatile disk)プレーヤ等の情報出力装置である光ディスク再生装置11と、AVアンプ等の音声再生装置12と、映像表示装置であるデジタルテレビジョン放送受信装置13とから構成されている。
【0014】
このうち、光ディスク再生装置11と音声再生装置12とは、HDMIケーブル14によってHDMI規格に準拠したデジタル信号伝送可能に接続されている。また、音声再生装置12とデジタルテレビジョン放送受信装置13とは、HDMIケーブル15によってHDMI規格に準拠したデジタル信号伝送可能に接続されている。
【0015】
これらのHDMIケーブル14及び15は、標準タイプで通常10数本のラインを備えているが、以下では、この実施の形態を説明する上で必要となるライン、つまり、映像ライン14a及び15aと、音声ライン14b及び15bと、CEC(consumer electronics control)ライン14c及び15cとについて説明する。
【0016】
まず、光ディスク再生装置11で再生されたデジタルの映像信号は、HDMIケーブル14の映像ライン14a、音声再生装置12及びHDMIケーブル15の映像ライン15aを介してデジタルテレビジョン放送受信装置13に供給され、映像表示に供される。
【0017】
また、光ディスク再生装置11で再生されたデジタルの音声信号は、HDMIケーブル14の音声ライン14bを介して音声再生装置12に供給され、一対のスピーカ16a及び16bによる音声再生に供される。
【0018】
さらに、上記HDMIケーブル14及び15のCECライン14c及び15cは、HDMI規格で規定されている制御プロトコルに基づいた機器制御信号の伝送を司るラインである。すなわち、光ディスク再生装置11、音声再生装置12及びデジタルテレビジョン放送受信装置13は、CECライン14c及び15cを介して機器制御信号を送信することにより、相互に相手方の装置を所定の動作状態または停止状態に制御することが可能である。
【0019】
ここで、デジタルテレビジョン放送受信装置13は、自己の映像信号処理に要する時間を示す情報、つまり、音声再生装置12による再生音声を自己の表示映像に同期させるための情報であるLipSync値を、CECライン15cを介して音声再生装置12に供給するようにしている。
【0020】
すなわち、デジタルテレビジョン放送受信装置13は、機器制御信号で規定されている〈Vender Command〉として例えば〈Set LipSync time〉[300ms]なる遅延量設定コマンドを、CECライン15cを介して音声再生装置12に伝送する。この遅延量設定コマンドは、音声再生装置12に対して、LipSync値、つまり、音声信号の遅延量を300msに設定することを要求する内容である。
【0021】
要するに、デジタルテレビジョン放送受信装置13には、例えば「標準モード」、「映画モード」、「ゲームモード」等のように、表示する映像の種類に応じた種々の映像表示モードが用意されており、各映像表示モードによって映像信号処理に要する時間が異なっている。このため、デジタルテレビジョン放送受信装置13では、設定されている映像表示モードに応じた映像信号処理時間を[ ]内に記述した遅延量設定コマンドを、CECライン15cを介して音声再生装置12に供給している。
【0022】
また、音声再生装置12では、デジタルテレビジョン放送受信装置11からCECライン15cを介して機器制御信号が供給されると、その機器制御信号が遅延量設定コマンドであるか否かを判別し、遅延量設定コマンドである場合、その[ ]内に記述されている時間を音声信号の遅延量として設定する。
【0023】
上記したように、デジタルテレビジョン放送受信装置11が自己の映像信号処理に要する時間を示す情報を、CECライン15cを介して伝送される機器制御信号で規定されたコマンドの1つとして音声再生装置12に伝送することにより、映像表示モードが変更され、映像信号処理に要する時間が変更された場合でも、その変更された時間を音声再生装置12に伝送することが可能となる。これにより、音声再生装置12では、その変更された時間に対応して再生音声を遅延させて表示映像に同期させることができるようになり、ユーザにとっての取り扱いを便利にして実用に十分に適するようになる。
【0024】
図2は、上記光ディスク再生装置11の信号処理系を概略的に示している。この光ディスク再生装置11は、例えばDVD等の光ディスク17を装着して、そこに記録されているデータを読み取るディスクドライブ部18を備えている。このディスクドライブ部18で読み取られたデータは、データプロセッサ部19を介してデマルチプレクサ部20に供給される。このデマルチプレクサ部20は、入力されたデータをそれぞれデジタルの映像信号と音声信号とに分離する。
【0025】
このうち、デジタルの映像信号は、映像入力バッファ21を介して映像デコーダ22に供給されて復号化処理が施される。そして、復号化された映像信号は、D/A(digital/analog)変換部23に供給されてアナログの映像信号に変換された後、映像出力端子24を介して外部に取り出される。
【0026】
また、上記デマルチプレクサ部20で分離されたデジタルの音声信号は、音声入力バッファ25を介して音声デコーダ26に供給されて復号化処理が施される。そして、復号化された音声信号は、D/A変換部27に供給されてアナログの音声信号に変換された後、音声出力端子28を介して外部に取り出される。
【0027】
ここで、この光ディスク再生装置11は、上記した光ディスク17の再生動作を含むその全ての動作を制御部29によって統括的に制御されている。この制御部29は、CPU(central processing unit)29aを内蔵しており、光ディスク再生装置11の本体に設置された操作部30から得られる操作情報、または、リモートコントローラ31から送出され受光部32で受信した操作情報を受けて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0028】
この場合、制御部29は、主として、メモリ部29bを利用している。そのメモリ部29bは、CPU29aが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPU29aに作業エリアを提供するRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0029】
また、この制御部29は、ネットワークインターフェース33を介して外部のネットワーク34に接続されている。このため、制御部29は、ユーザによる操作部30やリモートコントローラ31の操作に基づき、ネットワーク34上のネットワークサーバ35にアクセスすることにより、そこで提供している各種のサービスを利用することができるようになっている。
【0030】
さらに、上記制御部29は、HDMI送受信部36に接続されている。このHDMI送受信部36には、コネクタ36aを介して上記HDMIケーブル14の一端部が接続されている。そして、制御部29は、ユーザによる操作部30やリモートコントローラ31の操作に基づき、デマルチプレクサ部20で分離されたデジタルの映像信号及び音声信号を、HDMI送受信部36に供給する。
【0031】
すると、HDMI送受信部36は、入力されたデジタルの映像信号及び音声信号をHDMI規格に準拠した形態の信号に変換し、コネクタ36aを介して、HDMIケーブル14の映像ライン14a及び音声ライン14bに導出する。これにより、光ディスク再生装置11で再生されたデジタルの映像信号及び音声信号が、HDMIケーブル14及び15を介して上記音声再生装置12及びデジタルテレビジョン放送受信装置13に伝送されることになる。
【0032】
また、上記制御部29は、ユーザによる操作部30やリモートコントローラ31の操作に基づき、HDMI規格によって接続されている他の装置(この場合、音声再生装置12及びデジタルテレビジョン放送受信装置13)に対する制御信号を生成し、HDMI送受信部36に供給する。
【0033】
すると、HDMI送受信部36は、入力された制御信号をCEC制御部36bによりHDMI規格に準拠した形態の機器制御信号に変換し、コネクタ36aを介して、HDMIケーブル14のCECライン14cに導出する。これにより、光ディスク再生装置11で生成した機器制御信号が、HDMIケーブル14及び15を介して上記音声再生装置12及びデジタルテレビジョン放送受信装置13に伝送され、これらの装置を制御することができる。
【0034】
また、逆に、上記音声再生装置12やデジタルテレビジョン放送受信装置13から出力され、CECライン14cを介してコネクタ36aに供給された機器制御信号は、CEC制御部36bにより解析され、光ディスク再生装置11を制御する制御信号の形態に変換されて、制御部29に供給される。
【0035】
これにより、制御部29は、CEC制御部36bから供給された制御信号を受けて、その制御内容が反映されるように各部をそれぞれ制御し、ここに、音声再生装置12やデジタルテレビジョン放送受信装置13から出力された機器制御信号によって、光ディスク再生装置11が制御されることになる。
【0036】
図3は、上記デジタルテレビジョン放送受信装置13の信号処理系を概略的に示している。すなわち、アンテナ37で受信したデジタルテレビジョン放送信号は、入力端子38を介してチューナ部39に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。
【0037】
そして、このチューナ部39で選局された放送信号は、復調復号部40に供給されてデジタルの映像信号及び音声信号等に復元された後、信号処理部41に出力される。この信号処理部41は、復調復号部40から供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対してそれぞれ所定のデジタル信号処理を施している。
【0038】
この信号処理部41が行なう所定のデジタル信号処理の一例としては、設定された映像表示モードに応じた各種の映像信号処理、平面視(2次元)表示用の映像信号を立体視(3次元)表示用の映像信号に変換する処理、立体視(3次元)表示用の映像信号を平面視(2次元)表示用の映像信号に変換する処理、4倍速再生処理等が含まれている。
【0039】
そして、この信号処理部41は、デジタルの映像信号を合成処理部42に出力し、デジタルの音声信号を音声処理部43に出力している。このうち、合成処理部42は、信号処理部41から供給されるデジタルの映像信号に、OSD(on screen display)信号を重畳して出力している。
【0040】
この場合、合成処理部42は、信号処理部41から供給される映像信号が通常の平面視(2次元)表示用の映像信号であれば、その映像信号にOSD信号をそのまま重畳して出力している。また、この合成処理部42は、信号処理部41から供給される映像信号が立体視(3次元)表示用の映像信号であれば、重畳するOSD信号に対して、入力された立体視(3次元)表示用の映像信号に対応した立体視(3次元)表示用の信号処理を施した後、そのOSD信号を入力映像信号に重畳して出力している。
【0041】
このようにして合成処理部42から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部44に供給されて、後段の、例えば液晶表示パネル等を有する平面型の映像表示部45で表示可能なフォーマットに変換される。そして、この映像処理部44から出力された映像信号が、映像表示部45に供給されて映像表示に供される。
【0042】
また、上記音声処理部43は、入力されたデジタルの音声信号を、後段のスピーカ46で再生可能なフォーマットのアナログ音声信号に変換している。そして、この音声処理部43から出力されたアナログ音声信号が、スピーカ46に供給されることにより音声再生に供される。
【0043】
ここで、このデジタルテレビジョン放送受信装置13は、上記した各種の受信動作を含むその全ての動作を制御部47によって統括的に制御されている。この制御部47は、CPU47aを内蔵しており、デジタルテレビジョン放送受信装置13の本体に設置された操作部48から得られる操作情報、または、リモートコントローラ49から送出され受光部50で受信した操作情報を受けて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0044】
この場合、制御部47は、主として、メモリ部47bを利用している。このメモリ部47bは、CPU47aが実行する制御プログラムを格納したROMと、該CPU47aに作業エリアを提供するRAMと、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0045】
また、この制御部47は、ネットワークインターフェース51を介して外部のネットワーク52に接続されている。このため、制御部47は、ユーザによる操作部48やリモートコントローラ49の操作に基づき、ネットワーク52上のネットワークサーバ53にアクセスすることにより、そこで提供している各種のサービスを利用することができるようになっている。
【0046】
さらに、上記制御部47は、HDMI送受信部54に接続されている。このHDMI送受信部54には、コネクタ54aを介して上記HDMIケーブル15の一端部が接続されている。そして、上記光ディスク再生装置11で再生されたデジタルの映像信号は、HDMIケーブル14の映像ライン14a、音声再生装置12、HDMIケーブル15の映像ライン15a及びコネクタ54aを介して、デジタルテレビジョン放送受信装置13のHDMI送受信部54に供給される。
【0047】
また、光ディスク再生装置11で再生されたデジタルの音声信号は、HDMIケーブル14の音声ライン14b、音声再生装置12、HDMIケーブル15の音声ライン15b及びコネクタ54aを介して、デジタルテレビジョン放送受信装置13のHDMI送受信部54に供給される。
【0048】
このHDMI送受信部54は、入力されたデジタルの映像信号及び音声信号をHDMI規格に準拠した形態からデコードし、デコード後の映像信号及び音声信号を制御部41に供給する。すると、制御部47は、ユーザによる操作部48やリモートコントローラ49の操作に基づき、HDMI送受信部54から供給された映像信号及び音声信号を信号処理部41に供給することによって、以後、上記した映像表示及び音声再生に供させるように制御する。
【0049】
これにより、光ディスク再生装置11で再生されたデジタルの映像信号及び音声信号が、HDMIケーブル14及び15を介してデジタルテレビジョン放送受信装置13に伝送され、映像表示及び音声再生に供されることになる。なお、音声再生装置12で音声を再生する場合には、通常、デジタルテレビジョン放送受信装置13のスピーカ46での音声再生はミュートされる。
【0050】
また、上記制御部47は、ユーザによる操作部48やリモートコントローラ49の操作に基づき、HDMI規格によって接続されている他の装置(この場合、光ディスク再生装置11及び音声再生装置12)に対する制御信号を生成し、HDMI送受信部54に供給する。
【0051】
すると、HDMI送受信部54は、入力された制御信号をCEC制御部54bによりHDMI規格に準拠した形態の機器制御信号に変換し、コネクタ54aを介して、HDMIケーブル15のCECライン15cに導出する。これにより、デジタルテレビジョン放送受信装置13で生成した機器制御信号が、HDMIケーブル14及び15を介して上記光ディスク再生装置11及び音声再生装置12に伝送され、これらの装置を制御することができる。
【0052】
また、逆に、上記光ディスク再生装置11や音声再生装置12から出力され、CECライン15cを介してコネクタ54aに供給された機器制御信号は、CEC制御部54bにより解析され、デジタルテレビジョン放送受信装置13を制御する制御信号の形態に変換されて、制御部47に供給される。
【0053】
これにより、制御部47は、CEC制御部54bから供給された制御信号を受けて、その制御内容が反映されるように各部をそれぞれ制御し、ここに、光ディスク再生装置11や音声再生装置12から出力された機器制御信号によって、デジタルテレビジョン放送受信装置13が制御されることになる。
【0054】
図4は、上記音声再生装置12の信号処理系を概略的に示している。この音声再生装置12は、上記HDMIケーブル14の他端部が接続されるコネクタ55と、上記HDMIケーブル14の他端部が接続されるコネクタ56とを備えている。そして、音声再生装置12の内部において、2つのコネクタ55及び56は、HDMIケーブル14の有する各ラインと、それらに対応するHDMIケーブル15の有する各ラインとが相互に接続されるようになっている。
【0055】
すなわち、光ディスク再生装置11からHDMIケーブル14の映像ライン14aに出力されたデジタルの映像信号は、音声再生装置12のコネクタ55、映像ライン57a及びコネクタ56を介して、HDMIケーブル15の映像ライン15aに伝送され、デジタルテレビジョン放送受信装置13に供給されることになる。
【0056】
また、光ディスク再生装置11からHDMIケーブル14の音声ライン14bに出力されたデジタルの音声信号は、音声再生装置12のコネクタ55、音声ライン57b及びコネクタ56を介して、HDMIケーブル15の音声ライン15bに伝送され、デジタルテレビジョン放送受信装置13に供給されることになる。
【0057】
さらに、光ディスク再生装置11からHDMIケーブル14のCECライン14cに出力された機器制御信号は、音声再生装置12のコネクタ55、CECライン57c及びコネクタ56を介して、HDMIケーブル15のCECライン15cに伝送され、デジタルテレビジョン放送受信装置13に供給されることになる。
【0058】
また、デジタルテレビジョン放送受信装置13からHDMIケーブル15のCECライン15cに出力された機器制御信号は、音声再生装置12のコネクタ56、CECライン57c及びコネクタ55を介して、HDMIケーブル14のCECライン14cに伝送され、光ディスク再生装置11に供給されることになる。
【0059】
ここで、音声再生装置12内の音声ライン57bを伝送される音声信号は、音声遅延処理部58に供給されるようになっている。この音声遅延処理部58は、制御部59から供給される遅延量に基づいて、入力された音声信号を遅延し、その遅延後の音声信号をアナログ化して増幅し、一対の音声出力端子60a及び60bを介して、上記スピーカ16a及び16bに出力している。
【0060】
そして、上記制御部59には、音声再生装置12内のCECライン57cを伝送される機器制御信号が供給されるようになっている。制御部59に供給された機器制御信号は、CEC制御部59aにより解析される。このCEC制御部59aは、入力された機器制御信号が上記した遅延量設定コマンドであるか否かを判別し、遅延量設定コマンドである場合、その[ ]内に記述されている時間を取得する。その後、制御部59が、CEC制御部59aの取得した時間を音声信号の遅延量として、音声遅延処理部58に出力する。
【0061】
図5は、デジタルテレビジョン放送受信装置13が自己の映像信号処理に要する時間を示す情報を、機器制御信号の形態で音声再生装置12に出力する処理動作をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS5a)されると、制御部47は、ステップS5bで、映像表示モードの切り替えが要求されたか否かを判別し、要求されたと判断された場合(YES)、ステップS5cで、音声再生装置12がCECによる遅延量取得に対応しているか否かを判別する。
【0062】
そして、音声再生装置12がCECによる遅延量取得に対応していると判断された場合(YES)、制御部47は、ステップS5dで、要求された映像表示モードでの映像信号処理に要する時間を示す情報を記述した遅延量設定コマンドを、CEC制御部54bに生成させてHDMIケーブル15のCECライン15cに送信する。
【0063】
また、上記ステップS5cで音声再生装置12がCECによる遅延量取得に対応していないと判断された場合(NO)、制御部47は、ステップS5eで、EDIDデータを、要求された映像表示モードでの映像信号処理に要する時間を示す情報に変更する。そして、上記ステップS5dまたはS5eの後、制御部47は、ステップS5fで、要求された映像表示モードへの切り替えを実行し、処理を終了(ステップS5g)する。
【0064】
図6は、音声再生装置12が、デジタルテレビジョン放送受信装置13から出力された遅延量設定コマンドを受信して、音声信号の遅延量を設定する処理動作をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS6a)されると、制御部59は、ステップS6bで、機器制御信号を受信したか否かを判別する。
【0065】
そして、受信したと判断された場合(YES)、制御部59は、ステップS6cで、受信した機器制御信号が遅延量設定コマンドであるか否かを判別し、遅延量設定コマンドでないと判断された場合(NO)、処理を終了(ステップS6e)する。また、上記ステップS6cで遅延量設定コマンドであると判断された場合(YES)、制御部59は、ステップS6dで、遅延量設定コマンドに記述されている時間を遅延量として音声遅延処理部58に設定し、処理を終了(ステップS6e)する。
【0066】
上記した実施の形態によれば、デジタルテレビジョン放送受信装置11が自己の映像信号処理に要する時間を示す情報を、EDIDデータを用いることなく、CECライン15cを介して伝送される機器制御信号で規定されたコマンドの1つとして音声再生装置12に伝送するようにしている。
【0067】
このため、デジタルテレビジョン放送受信装置11の映像表示モードが変更され、映像信号処理に要する時間が変更された場合でも、その変更された時間を音声再生装置12に伝送することが可能となる。これにより、音声再生装置12では、その変更された時間に対応して再生音声を遅延させて表示映像に同期させることができるようになり、ユーザにとっての取り扱いを便利にして実用に十分に適するようになる。
【0068】
なお、上記した実施の形態では、デジタルテレビジョン放送受信装置11に用意されている映像表示モードとして「標準モード」、「映画モード」、「ゲームモード」等を述べたが、映像表示モードとしては、これに限らず、例えば表示映像に応じて輝度や色相を自動的に変更する「おまかせモード」や、標準モードよりも色あいを明瞭にする「鮮やかモード」等が用意されても良いものである。
【0069】
さらに、平面視(2次元)表示用の映像信号を立体視(3次元)表示用の映像信号に変換する「2D/3D変換モード」、立体視(3次元)表示用の映像信号を平面視(2次元)表示用の映像信号に変換する「3D/2D変換モード」、「4倍速再生モード」等が用意されても良いものである。
【0070】
要するに、デジタルテレビジョン放送受信装置13に対して、その映像信号処理に要する時間が変わるような動作モードの変更が行なわれた場合に、変更された動作モードに対応する映像信号処理に要する時間情報が遅延量設定コマンドとしてCECライン15cを介して出力されれば良いものである。
【0071】
また、上記した実施の形態では、映像表示モードの変更が要求されたときに、デジタルテレビジョン放送受信装置13が遅延量設定コマンドを生成して送信することについて説明したが、これに限らず、例えば、音声再生装置12が所定のタイミングでデジタルテレビジョン放送受信装置13に対して現在の映像信号処理時間の取得を要求するようにしてもよいものである。
【0072】
図7は、音声再生装置12がデジタルテレビジョン放送受信装置13に対して映像信号処理時間の取得を要求する処理動作をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS7a)されると、制御部59は、ステップS7bで、電源がオンされたか否かを判別する。
【0073】
そして、オンされたと判断された場合(YES)、制御部59は、ステップS7cで、デジタルテレビジョン放送受信装置13に対して、その映像信号処理に要する時間を示す情報の取得要求を、CECライン15cを介して送信する。具体的に言えば、音声再生装置12は、機器制御信号で規定されている〈Vender Command〉として例えば〈Get LipSync time〉なる遅延量要求コマンドを、CECライン15cを介してデジタルテレビジョン放送受信装置13に送信する。
【0074】
その後、制御部59は、ステップS7dで、機器制御信号を受信したか否かを判別し、受信したと判断された場合(YES)、ステップS7eで、受信した機器制御信号が遅延量設定コマンドであるか否かを判別して、遅延量設定コマンドでないと判断された場合(NO)、処理を終了(ステップS7g)する。また、上記ステップS7eで遅延量設定コマンドであると判断された場合(YES)、制御部59は、ステップS7fで、遅延量設定コマンドに記述されている時間を遅延量として音声遅延処理部58に設定し、処理を終了(ステップS7g)する。
【0075】
図8は、音声再生装置12から映像信号処理時間の取得要求を受けたデジタルテレビジョン放送受信装置13が、音声再生装置12に映像信号処理時間を送信する処理動作をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS8a)されると、制御部47は、ステップS7bで、機器制御信号を受信したか否かを判別する。
【0076】
機器制御信号を受信したか否かを判別する。
【0077】
そして、受信したと判断された場合(YES)、制御部47は、ステップS8cで、受信した機器制御信号が遅延量要求コマンドであるか否かを判別し、遅延量要求コマンドでないと判断された場合(NO)、処理を終了(ステップS8e)する。また、上記ステップS8cで遅延量要求コマンドであると判断された場合(YES)、制御部47は、ステップS8dで、映像信号処理に要する時間を示す情報を記述した遅延量設定コマンドを生成し、CECライン15cを介して音声再生装置12に送信して、処理を終了(ステップS8e)する。
【0078】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0079】
11…光ディスク再生装置、12…音声再生装置、13…デジタルテレビジョン放送受信装置、14…HDMIケーブル、14a…映像ライン、14b…音声ライン、14c…CECライン、15…HDMIケーブル、15a…映像ライン、15b…音声ライン、15c…CECライン、16a,16b…スピーカ、17…光ディスク、18…ディスクドライブ部、19…データプロセッサ部、20…デマルチプレクサ部、21…映像入力バッファ、22…映像デコーダ、23…D/A変換部、24…映像出力端子、25…音声入力バッファ、26…音声デコーダ、27…D/A変換部、28…音声出力端子、29…制御部、29a…CPU、29b…メモリ部、30…操作部、31…リモートコントローラ、32…受光部、33…ネットワークインターフェース、34…ネットワーク、35…ネットワークサーバ、36…HDMI送受信部、36a…コネクタ、36b…CEC制御部、37…アンテナ、38…入力端子、39…チューナ部、40…復調復号部、41…信号処理部、42…合成処理部、43…音声処理部、44…映像処理部、45…映像表示部、46…スピーカ、47…制御部、47a…CPU、47b…メモリ部、48…操作部、49…リモートコントローラ、50…受光部、51…ネットワークインターフェース、52…ネットワーク、53…ネットワークサーバ、54…HDMI送受信部、54a…コネクタ、54b…CEC制御部、55,56…コネクタ、57a…映像ライン、57b…音声ライン、57c…CECライン、58…音声遅延処理部、59…制御部、59a…CEC制御部、60a,60b…音声出力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に同期した映像信号及び音声信号を出力する情報出力装置と、前記情報出力装置から出力された音声信号が供給されて音声再生を行なう音声再生装置とともに、機器制御信号により相互制御可能に接続されたシステムを構成し、前記情報出力装置から出力された映像信号が供給されて映像表示を行なう映像表示装置であって、
映像信号処理に要する時間が変わるような動作モードの変更が要求されたとき、要求された動作モードにおける映像信号処理に要する時間を示す情報が記述された機器制御信号を生成する生成手段と、
前記生成手段で生成した機器制御信号を、前記音声再生装置に音声再生の遅延量を設定させるために、前記機器制御信号の伝送ラインを介して送信する送信手段とを具備する映像表示装置。
【請求項2】
前記システムは、HDMI規格に準拠したデジタル信号伝送を行ない、
前記生成手段は、映像信号処理に要する時間を示す情報が記述された機器制御信号を、映像信号処理に要する時間を示すLipSync値の記述された、CECラインを介して伝送されるコマンドとして生成する請求項1記載の映像表示装置。
【請求項3】
相互に同期した映像信号及び音声信号を出力する情報出力装置と、前記情報出力装置から出力された音声信号が供給されて音声再生を行なう音声再生装置とともに、機器制御信号により相互制御可能に接続されたシステムを構成し、前記情報出力装置から出力された映像信号が供給されて映像表示を行なう映像表示装置が、
映像信号処理に要する時間が変わるような動作モードの変更が要求されたとき、要求された動作モードにおける映像信号処理に要する時間を示す情報が記述された機器制御信号を生成し、
生成した機器制御信号を、前記音声再生装置に音声再生の遅延量を設定させるために、前記機器制御信号の伝送ラインを介して送信する映像表示方法。
【請求項4】
相互に同期した映像信号及び音声信号を出力する情報出力装置と、前記情報出力装置から出力された映像信号が供給されて映像表示を行なう映像表示装置とともに、機器制御信号により相互制御可能に接続されたシステムを構成し、前記情報出力装置から出力された音声信号が供給されて音声再生を行なう音声再生装置であって、
前記機器制御信号の伝送ラインを介して受信した機器制御信号に、前記映像表示装置の映像信号処理に要する時間を示す情報が記述されているか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段で前記映像表示装置の映像信号処理に要する時間を示す情報が記述されていると判断された場合、当該時間を示す情報に基づいて音声再生の遅延量を設定する設定手段とを具備する音声再生装置。
【請求項5】
前記システムは、HDMI規格に準拠したデジタル信号伝送を行ない、
前記判別手段は、映像信号処理に要する時間を示す情報が記述された機器制御信号を、映像信号処理に要する時間を示すLipSync値の記述された、CECラインを介して伝送されるコマンドとして受信する請求項4記載の音声再生装置。
【請求項6】
相互に同期した映像信号及び音声信号を出力する情報出力装置と、前記情報出力装置から出力された映像信号が供給されて映像表示を行なう映像表示装置とともに、機器制御信号により相互制御可能に接続されたシステムを構成し、前記情報出力装置から出力された音声信号が供給されて音声再生を行なう音声再生装置が、
前記機器制御信号の伝送ラインを介して受信した機器制御信号に、前記映像表示装置の映像信号処理に要する時間を示す情報が記述されているか否かを判別し、
前記映像表示装置の映像信号処理に要する時間を示す情報が記述されていると判断された場合、当該時間を示す情報に基づいて音声再生の遅延量を設定する音声再生方法。
【請求項7】
相互に同期した映像信号及び音声信号を出力する情報出力装置と、前記情報出力装置から出力された映像信号が供給されて映像表示を行なう映像表示装置と、前記情報出力装置から出力された音声信号が供給されて音声再生を行なう音声再生装置とが、機器制御信号により相互制御可能に接続されたシステムであって、
前記映像表示装置に、映像信号処理に要する時間が変わるような動作モードの変更が要求されたとき、要求された動作モードにおける映像信号処理に要する時間を示す情報が記述された機器制御信号を生成させる生成手段と、
前記映像表示装置に、前記生成手段で生成した機器制御信号を、前記音声再生装置に音声再生の遅延量を設定させるために、前記機器制御信号の伝送ラインを介して送信させる送信手段と、
前記音声再生装置に、前記機器制御信号の伝送ラインを介して受信した機器制御信号に、前記映像表示装置の映像信号処理に要する時間を示す情報が記述されているか否かを判別させる判別手段と、
前記音声再生装置に、前記判別手段で前記映像表示装置の映像信号処理に要する時間を示す情報が記述されていると判断された場合、当該時間を示す情報に基づいて音声再生の遅延量を設定させる設定手段とを具備する映像音声同期制御システム。
【請求項8】
前記システムは、HDMI規格に準拠したデジタル信号伝送を行ない、
前記生成手段は、映像信号処理に要する時間を示す情報が記述された機器制御信号を、映像信号処理に要する時間を示すLipSync値の記述された、CECラインを介して伝送されるコマンドとして生成する請求項7記載の映像音声同期制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−119924(P2012−119924A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267577(P2010−267577)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】