説明

映像表示装置

【課題】映像の調整をOSDメニューを用いて行うに際して、調整対象となる映像箇所とOSDメニューとが重なってしまいOSDの表示が邪魔となって映像の調整を十分に行えないという事態を低減し、もって良好な映像表示が可能な映像表示装置を実現することを目的とする。
【解決手段】表示する映像の調整を行うためのOSDメニューを表示する映像表示装置であって、OSDデータを生成するOSD生成手段1と、使用者がOSDメニューの表示領域を設定するためのOSD表示領域設定手段2と、OSDメニューを表示する際にその表示領域内でOSDが収まるように、OSDメニューの表示サイズを補正するOSD表示サイズ補正手段3と、OSDメニューの表示位置を補正するOSD表示位置補正手段4と、OSDメニューを表示するための出力を行うOSD出力手段5と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像表示装置に関し、特にOSD(オンスクリーンディスプレイ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、TV、モニター、コンピューターなどの映像表示装置においては、映像表示装置のさまざまな機能制御を行う際には、画面上の特定位置に該機能の制御を行うためのOSDメニューを表示し、それに基づきユーザーが調整できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、OSD表示の一例を図6に示す。図6には、画面51にOSDメニュー52を表示している例を示しており、OSDメニュー52としては、「色の濃さ」・「色あい」・「黒レベル」の調整項目を備えたメニューを示している。
【特許文献1】特開平11−177902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、OSDメニューの表示位置、表示サイズを映像表示装置の表示画面内で自由に変更することはできなかった。
【0005】
そのため、調整対象である映像箇所とOSDメニューの表示位置とが重なってしまい、OSDの表示が邪魔となって調整対象箇所を確認しながらの調整を行うということが困難となり、結果、良好な表示画像を得ることができないという場合があった。
【0006】
本発明はこのような現状に鑑みなされたもので、映像の調整をOSDメニューを用いて行うに際して、調整対象となる映像箇所とOSDメニューとが重なってしまいOSDの表示が邪魔となって映像の調整を十分に行えないという事態を低減し、調整対象箇所を十分に確認しながら調整を行うことを可能とすることで、もって良好な映像表示が可能な映像表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の映像表示装置は、表示する映像の調整を行うためのOSDメニューを表示する映像表示装置であって、OSDデータを生成するOSD生成手段と、使用者がOSDメニューの表示領域を設定するためのOSD表示領域設定手段と、OSDメニューを表示する際にその表示領域内でOSDが収まるように、OSDメニューの表示サイズを補正するOSD表示サイズ補正手段と、OSDメニューの表示位置を補正するOSD表示位置補正手段と、OSDメニューを表示するための出力を行うOSD出力手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、映像の調整をOSDメニューを用いて行うに際して、調整対象となる映像箇所とOSDメニューとが重なってしまいOSDの表示が邪魔となって映像の調整を十分に行えないという事態はなくなる。
【0009】
すなわち、調整対象箇所を十分に確認しながら調整を行うことが可能となるので、もって良好な映像表示が可能な映像表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態による映像表示装置について、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態による映像表示装置の構造を示すブロック図である。また図2は、本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニュー表示に際してのフローチャートである。
【0012】
本発明の一実施の形態による映像表示装置は、OSD生成手段1とOSD表示領域設定手段2とOSD表示サイズ補正手段3とOSD表示位置補正手段4とOSD出力手段5とメモリ6とを備える。
【0013】
ここで図1に示すように、映像データは、一旦、メモリ6に蓄積される。そして使用者がOSDメニューを表示する旨を指示していない場合には、メモリに蓄積された映像データはそのままの状態で画像表示のために出力が行われる。
【0014】
また、使用者がなんらかの入力手段(図示せず)によって、OSDメニューを表示する旨の入力を行った場合には、図2に示すフローチャートに従って処理が行われる。
【0015】
まず使用者がなんらかの入力手段(図示せず)によってOSDメニューを表示する旨の入力を行うと(図2:START)、OSD生成手段1はOSDデータの生成を行う(図2のST1:OSD生成)。これは、OSDメニューのデータの部品を組み合わせてOSDを構築してOSDとして表示するデータを生成するものである。
【0016】
さらに使用者は、何らかの入力手段(図示せず)により、OSDメニューの表示に際して、表示領域を設定せずに既定の位置に既定の大きさでOSDメニューを表示するのか、表示領域を設定してその領域内でOSDメニューを表示するのかを指示する旨の入力を行う(図2のST2:OSD表示領域の設定確認)。
【0017】
そして、使用者からの入力が「設定しない」、すなわち画面内での表示領域を設定せずに既定の位置に既定の大きさでOSDメニューを表示させる旨の入力である場合には、OSD生成手段1にて生成されたOSDデータは、既定の大きさで既定の位置に表示するように設定された状態でOSD出力手段5から出力され(図2のST7:OSD出力)、メモリ6に格納される。
【0018】
その後、メモリ6に格納された、映像信号とOSDデータとに基づき、映像信号とOSDメニューとが重畳した表示となって出力される。
【0019】
また、使用者からの入力が「設定する」、すなわち画面内での表示領域を設定しこの設定した領域内にOSDメニューを表示させる旨の入力である場合には、以下のように処理が行われる。
【0020】
まず使用者は、OSD表示領域設定手段2によって、OSDメニューの表示領域の設定を行う(図2のST3:OSD表示領域設定)。
【0021】
次に、OSD表示領域設定手段によって設定された表示領域内にOSD生成手段1において生成されたOSDメニューが適正に表示されるように、OSD表示サイズ補正手段3とOSD表示位置補正手段4とによりOSDメニューのサイズの補正と表示位置の補正とが行われる。
【0022】
これはまず、選択されたOSDメニュー表示領域のサイズと生成されたOSDメニューのサイズとを比較する(図2のST4:OSD表示領域とOSDメニューのサイズ比較)。そして、OSDメニュー表示領域のサイズの方が生成されたOSDメニューのサイズより大きいもしくは同じ大きさの場合には、サイズ補正をする必要はないので、OSD表示サイズ補正は行わずに、OSD表示位置補正手段4によるOSD表示位置補正が行われる(図2のST6:OSD表示位置補正)。
【0023】
また、OSDメニュー表示領域のサイズの方が生成されたOSDメニューのサイズより小さい場合には、OSD表示サイズ補正手段3によりOSD表示サイズの補正が行われた(図2のST5:OSD表示サイズ補正)後、OSD表示位置補正手段4によるOSD表示位置補正(図2のST6:OSD表示位置補正)が行われる。
【0024】
その後、OSD生成手段1にて生成されたOSDメニューは、上記によって補正された位置に必要に応じて補正された大きさで、使用者が設定した表示領域内に表示されるように設定された状態でOSD出力手段5から出力され(図2のST7:OSD出力)、メモリ6に格納される。
【0025】
その後、メモリ6に格納された、映像信号とOSDデータに基づき、映像信号とOSDメニューとが重畳した表示となって出力される。
【0026】
以上により、表示装置の画面内においてOSD表示領域として設定された領域内に、最適な位置と大きさにOSDメニューの表示を行うことが可能となる。
【0027】
次に、本発明の一実施の形態による映像表示装置における、OSDメニュー表示領域を設定する際の状態について詳しく説明する。
【0028】
図3は、本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニュー表示領域を設定する際の状態を説明するための図である。
【0029】
本発明の一実施の形態による映像表示装置においては、OSDメニューを表示する領域の設定を行う際には、まず図3(a)に示すように、例えば1〜16の16分割された映像表示装置の画面31に対し、その分割領域を選択することでOSDメニュー表示領域を設定する。なお、図3(a)に示している分割線と1〜16の番号は、本実施の形態の説明の便宜上、示すものではあるが、実際の画面上にも表示されてもかまわないし、分割線のみで番号は表示されないというものでもかまわない。
【0030】
また、分割領域の選択の方法としては、分割画面の番号をリモコンを通じて入力する形式や、タッチパネル画面上から直接選択できる形式など、適宜選択すれば良い。
【0031】
また、選択した分割領域と未選択の分割領域とは、分割領域の表示の状態を変化させることで容易に見分けられるようにすれば操作性の向上が望める。
【0032】
また、画面の分割数は、フルハイビジョンで1920×1080の画素数であることから、分割後の分割画面の画素解像度を考慮すると、16分割(4×4)以下とすることが妥当であると考える。
【0033】
図3(b)は、OSDメニュー表示領域の選択を開始した状態を示す図であり、まず分割領域の「1」を選択した状態である。
【0034】
以降、図3(c)〜(f)に示すように、分割領域の「2」〜「8」を順次選択していき、分割終了の旨を入力することで、OSDメニュー表示領域を設定する。図3に示す例では、図3(g)に示すようにOSDメニュー表示領域32として、分割領域「1」〜「8」が選択された状態となる。
【0035】
この後、図3(h)に示すように選択されたOSDメニュー表示領域32にOSDメニュー33が表示される。
【0036】
以上のように本発明においては、このOSDメニューの表示に際しては、使用者によって決定されたOSDメニュー表示領域32の大きさを認識し、その領域32の大きさに対応してOSDメニューの表示位置・大きさが最適、すなわち例えば、表示領域内において略中央部に最大大きさとなるように、自動的に判断した上で、表示が行われる。
【0037】
図4には、本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニュー表示の他の例を示す。
【0038】
図4においても、例えば1〜16の16分割された映像表示装置の画面41に対しOSDメニュー表示領域42の選択方法などは図3を用いて説明した手順と同様の方法で行うものであり、図4においては、OSDメニュー表示領域42として、図4(a)に示すように分割領域「9」「10」「13」「14」が選択・決定された状態を示す。
【0039】
このような場合にも、OSDメニュー43の表示に際しては、使用者によって決定されたOSDメニュー表示領域42の大きさを検知し、その領域の大きさに対応して最適なOSDメニューの大きさ、表示位置を自動的に判断した上で、図4に示す例では、図4(b)のように表示が行われる。
【0040】
次に、使用者によって決定されたOSDメニュー表示領域32の大きさに対応してOSDメニューの表示位置・大きさが最適となるように表示を行うための処理の一例について以下、説明する。
【0041】
図5は映像表示装置の画面の表示画像とOSDメニューの、画素の一例を示す図である。図5(a)〜(d)は映像表示装置の画面を示すものであり、フルハイビジョンの「1920×1080」の画素を備えるものである。また図5(e)はOSDメニューの画面を示すものであり「384×384」の画素を備えるものである。
【0042】
まず最初に、OSDの表示領域として分割領域の「1」〜「8」の領域Iを選択し、この領域Iに384×384のOSDを表示する場合について説明する。
【0043】
この場合、OSDメニューの領域より領域Iの領域の方が大きいことから、OSD表示位置の補正のみが行われて、OSD表示サイズの補正は行われない。
【0044】
そして、OSDメニューの基点(OX、OY)の表示画面での位置を決めるために、以下の計算を行う。すなわち、OX=(1920×(1/2)−384)÷2=288、OY=(1080−384)÷2=348、である。
【0045】
以上より、表示画面において(X、Y)=(288、348)の画素位置をOSDメニューの基点とし、この画素位置から(384、384)の画素サイズのOSDメニューを表示させると、領域Iの中央部にOSDメニューの表示が行える。
【0046】
また別の例として、図5(c)に示すような領域IIにOSDメニューを表示させる場合を説明する。
【0047】
この場合も、OSDメニューの領域より領域IIの領域の方が大きいことから、OSD表示位置の補正のみが行われて、OSD表示サイズの補正は行われない。
【0048】
そして、OSDメニューの基点(OX、OY)の表示画面での位置を決めるために、以下の計算を行う。すなわち、OX=1920×(1/2)+(1920÷2−384)÷2=1248、OY=(1080×(1/2)−384)÷2=78、である。
【0049】
以上より、表示画面において(X、Y)=(1248、78)の画素位置をOSDメニューの基点とし、この画素位置から(384、384)の画素サイズのOSDメニューを表示させると、領域IIの中央部にOSDメニューの表示が行える。
【0050】
さらに別の例として、図5(d)に示すような領域IIIのOSDメニューを表示させる場合を説明する。
【0051】
この場合は、OSDメニューの領域より領域IIの領域の方が小さいことから、OSD表示位置の補正とOSD表示サイズの補正との両方の補正が行われる。
【0052】
まず、OSDメニューの表示サイズの補正を行う。この補正はどのように決めても良いが、この場合においては初期のOSDメニューのサイズの半分にするというものとする。すると、表示サイズの補正されたOSDメニューのサイズは、(384/2、384/2)=(192、192)となる。
【0053】
次にこの補正されたOSDメニューの基点(OX、OY)の表示画面での位置を決めるために、以下の計算を行う。すなわち、OX=1920×(3/4)+(1920÷4−192)÷2=1584、OY=1080×(3/4)+(1080÷4−192)÷2=849、である。
【0054】
以上より、表示画面において(X、Y)=(1584、849)の画素位置をOSDメニューの基点とし、この画素位置から(192、192)の画素サイズのOSDメニューを表示させると、領域IIIの中央部にOSDメニューの表示が行える。
【0055】
すなわち、例えば上述したような計算を行うことで、選択された表示領域内に最適な状態でOSDメニューの表示を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
上述したように本発明は、OSDを表示させて画像の調整を行うことで良好な表示画像を得る映像表示装置の実現に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施の形態による映像表示装置の構造を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニュー表示に際してのフローチャート
【図3】本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニュー表示領域を設定する際の状態を説明するための図
【図4】本発明の一実施の形態による映像表示装置におけるOSDメニュー表示の他の例を示す図
【図5】映像表示装置の画面の表示画像とOSDメニューの、画素の一例を示す図
【図6】従来のOSD表示の一例を示す図
【符号の説明】
【0058】
1 OSD生成手段
2 OSD表示領域設定手段
3 OSD表示サイズ補正手段
4 OSD表示位置補正手段
5 OSD出力手段
6 メモリ
31 映像表示装置の画面
32 OSDメニュー表示領域
33 OSDメニュー
41 映像表示装置の画面
42 OSDメニュー表示領域
43 OSDメニュー
51 映像表示装置の画面
52 OSDメニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示する映像の調整を行うためのOSDメニューを表示する映像表示装置であって、OSDデータを生成するOSD生成手段と、使用者がOSDメニューの表示領域を設定するためのOSD表示領域設定手段と、OSDメニューを表示する際にその表示領域内でOSDが収まるように、OSDメニューの表示サイズを補正するOSD表示サイズ補正手段と、OSDメニューの表示位置を補正するOSD表示位置補正手段と、OSDメニューを表示するための出力を行うOSD出力手段と、を備える映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−86408(P2009−86408A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257296(P2007−257296)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】