映像表示装置
【課題】部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保すること。
【解決手段】ディスプレイに映像を表示する映像表示装置が、ディスプレイの照度を検出し、検出された照度に基づいてディスプレイの部分領域ごとの照度を判定し、判定されたディスプレイの部分領域ごとの照度に基づいてディスプレイに表示する1つまたは複数の映像情報をいずれの部分領域へ表示するかを決定するように構成する。
【解決手段】ディスプレイに映像を表示する映像表示装置が、ディスプレイの照度を検出し、検出された照度に基づいてディスプレイの部分領域ごとの照度を判定し、判定されたディスプレイの部分領域ごとの照度に基づいてディスプレイに表示する1つまたは複数の映像情報をいずれの部分領域へ表示するかを決定するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置に関し、特に、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像や画像を表示する画面に外光が照射された場合、外光の反射光によって画面が見え難くなるのを防止するため、利用者に対して反射光が向かないように画面の向きを変更する表示装置が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、各種センサによって画面に照射される外光の入射角および反射角を算出するとともに、複数の利用者の位置を検出し、反射光の向きが利用者に向かないように画面部分を回転させる表示装置が開示されている。
【0004】
特許文献1の表示装置によれば、利用者が反射光を受けることによって眩しく感じ、画面全体が見え難いという状況を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−69444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の表示装置は、大きな画面を画面から比較的遠方に位置する多数の利用者に対して適用した場合には有用であった。しかしながら、特許文献1の表示装置では、小さな画面で、かつ、画面近傍に位置する少人数の利用者に対しては、利用者の見え難さを全て解消することができないという問題があった。
【0007】
具体的には、狭小の空間で特定の利用者が特許文献1の表示装置を使用した場合に、外光の入射角によっては、かかる利用者とは逆の方向に画面部分が回転することも考えられる。この場合、回転角度が大きかったならば、利用者は画面近傍に位置することから全く画面の映像が視認できなくなるといった状況も発生する。
【0008】
また、特許文献1の表示装置を設置する場所によっては、画面後方の空きスペースが少ない場合もあり、眩しくないような最適な角度まで画面部分が回転することができないという問題があった。
【0009】
これらのことから、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる映像表示装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、前記ディスプレイの近傍の照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段によって検出された前記照度に基づいて前記ディスプレイに表示する前記映像の表示位置を決定する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、前記ディスプレイの照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段によって検出された前記照度に基づいて前記ディスプレイの部分領域ごとの前記照度を判定する照度判定手段と、前記照度判定手段によって判定された前記ディスプレイの部分領域ごとの前記照度に基づいて前記ディスプレイに表示する1つまたは複数の映像情報をいずれの前記部分領域へ表示するかを決定する映像振分手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、ディスプレイの近傍の照度を検出し、検出された照度に基づいてディスプレイに表示する映像の表示位置を決定することとしたので、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明によれば、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、ディスプレイの照度を検出し、検出された照度に基づいてディスプレイの部分領域ごとの照度を判定し、判定されたディスプレイの部分領域ごとの照度に基づいてディスプレイに表示する1つまたは複数の映像情報をいずれの部分領域へ表示するかを決定することとしたので、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施例に係る映像表示手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、視認性推定部における視認性推定処理を説明するための図その1である。
【図4】図4は、視認性推定部における視認性推定処理を説明するための図その2である。
【図5】図5は、視認性情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、優先順位情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、映像振分部における映像振分処理を説明するための図である。
【図8】図8は、反射率を説明するための図である。
【図9】図9は、映像表示装置が実行する映像振分処理手順の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る映像表示装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る映像表示手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る映像表示装置についての実施例を図2〜図9を用いて説明することとする。
【0017】
まず、本発明に係る映像表示手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る映像表示手法の概要を示す図である。なお、図1の(A)には、従来技術に係る映像表示手法を、また、図1の(B)および(C)には、本発明に係る映像表示手法を、それぞれ示している。
【0018】
図1の(A)に示すように、従来技術に係る映像表示手法では、各種センサによって画面に照射される外光の入射角および反射角を算出し、また、複数の利用者の位置を検出し、反射光の向きが利用者に向かないように画面の向きを回転させる。
【0019】
ところが、従来技術に係る映像表示手法では、狭小の空間で特定の利用者がディスプレイを使用した場合に、外光の入射角によっては、かかる利用者とは逆の方向に画面部分が回転し、全く画面の映像が視認できなくなるといった状況も発生する。
【0020】
そこで、本発明に係る映像表示手法では、ディスプレイの画面の中で、外光が照射されたことにより視認性が低い部分領域を推定し、優先度の高い映像を、視認性の高い部分領域へ表示するように振り分けることとした。
【0021】
具体的には、図1の(B)に示すように、本発明に係る映像表示装置において、複数画面に分割された各分割領域に映像が表示されていた場合について説明する。たとえば、カーナビゲーション機能(以下、「カーナビ」と記載する)を入力ソースの1つとする映像表示装置が、地図およびTVの二つの映像を表示する場合について説明する。なお、図1に示した場合では、予め、表示する映像の優先度が高い方から順に、地図、TVと設定されていたものとする。
【0022】
ここで、本発明に係る映像表示手法では、ディスプレイの周囲に配置した複数の照度計によって照度値を計測する。そして、本発明に係る映像表示手法では、計測した照度値に基づき、ディスプレイの複数に分割された部分領域(以下、「表示エリア」と記載する)の中で、視認性が低い表示エリアを推定する。
【0023】
すなわち、本発明に係る映像表示手法は、図1の(B)に示すように、左側の表示エリアを視認性が低いと推定した場合に、優先度の高い映像、ここでは、地図映像を視認性の高い表示エリアへ表示するように振り分ける。
【0024】
その結果、図1の(C)に示すように、本発明に係る映像表示手法は、右側の視認性の高い表示エリアへ地図映像を表示するように、表示していた地図映像とTV映像との画面位置を入れ替える。
【0025】
このようにすることによって、本発明に係る映像表示手法では、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる。
【0026】
なお、本実施例では、映像表示装置を車両に搭載されるカーナビに適用する場合について説明するが、パソコンのディスプレイおよびTV等の映像表示装置についても適用することができる。
【0027】
以下では、図1を用いて説明した本発明に係る映像表示手法についての実施例を詳細に説明する。まず、本実施例に係る映像表示装置の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
なお、同図では、映像表示装置10の特徴点を説明するために必要な構成要素についてのみ記載しているが、いわゆる、カーナビゲーション装置が備える、GPS(Global Positioning System)機能や、地図表示機能を有するものとする。
【0029】
図2に示すように、映像表示装置10は、センサ11と、操作部12と、ディスプレイ13と、通信I/F(インターフェース)14と、映像ソース15と、記憶部16と、制御部17と、計時部18とを備えている。
【0030】
また、制御部17は、照度取得部17aと、視認性推定部17bと、優先順位変更部17cと、映像振分部17dと、映像補正部17eと、表示処理部17fとをさらに備えており、記憶部16は、閾値情報16aと、視認性情報16bと、優先順位情報16cとを記憶する。
【0031】
センサ11は、ディスプレイ13の近傍の照度を検知する計測機器であり、複数個のセンサ11によって照度値を計測する。操作部12は、映像の優先順位情報16cを変更する操作を受け付ける。また、操作部12は、電源のON/OFFの操作、ディスプレイ13へ表示される映像ソース15を選択操作、また、ディスプレイ13の画面分割指示操作等を受け付ける。
【0032】
ディスプレイ13は、映像ソース15を表示する表示部である。なお、操作部12およびディスプレイ13の表示や操作を行う構成部品を限定する必要はない。したがって、指やポインティングデバイスなどの押圧感知により入力を受け付け、かつ表示出力も兼ねるタッチパネル式の液晶ディスプレイなどを用いることとしてもよい。
【0033】
また、HUD(Head-Up Display)等のディスプレイによってドライバー前方のフロントガラス部分に半透明状に構成してもよいし、ドライバー前方の計器部分に構成してもよいし、また、ドライバー前方のルームミラー部分に構成してもよい。
【0034】
通信I/F14は、無線電波等を送受信するアンテナに接続されており、無線通信を行うための通信デバイスで構成され、情報提供装置あるいはGPS衛星と映像表示装置10との間で、光または電波によってデータの送受信を行う。
【0035】
なお、情報提供装置とは、道路上に複数設置されおり、DSRC(Dedicated Short Range Communication)に対応した無線機や光ビーコン等の無線機を備えている。また、情報提供装置は、映像表示装置10との双方向通信により、ドライバーに対してリアルタイムに交通情報等を提供する装置のことである。
【0036】
映像ソース15は、ディスプレイ13に表示する映像のことである。たとえば、車両に搭載されたカメラで撮像されたカメラ映像、通信I/F14経由で受信したTV映像等がある。
【0037】
また、映像ソース15は、通信I/F14経由で受信した自車両の位置情報、各種交通情報等に基づいて作成される地図映像、ナビゲーション情報(以下、「ナビ情報」と記載する)も含まれる。
【0038】
なお、ナビ情報には、目的地までの所要時間、渋滞情報、さらに、歩行者を含む移動体の接近情報等も含まれる。また、映像ソース15は、ポップアップ画面によって警告やメッセージを表示するオンスクリーン映像も含まれる。
【0039】
記憶部16は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部16は、視認性推定部17bが視認性を推定する際に使用する閾値を閾値情報16aとして記憶する。
【0040】
また、記憶部16は、視認性推定部17bで推定された視認性についての情報を視認性情報16bとして記憶し、映像ソース15の優先度を予め優先順位情報16cとして記憶する。なお、視認性情報16b、および優先順位情報16cの詳細については後述することとする。
【0041】
制御部17は、映像表示装置10の全体制御を行う制御部である。照度取得部17aは、センサ11が計測した照度値を受け付け、視認性推定部17bへ渡す処理を行う処理部である。
【0042】
視認性推定部17bは、照度取得部17aから受け付けた照度値と、閾値情報16aに基づいてディスプレイ13の所定の表示エリアの照度値を推定し、表示エリアごとの視認性を推定する処理を行う処理部である。また、視認性推定部17bは、推定した視認性を視認性情報16bとして記憶させる処理を併せて行う。なお、視認性の推定処理の詳細については後述することとする。
【0043】
優先順位変更部17cは、利用者によって操作部12から優先順位情報16cの変更指示を受け付けた場合に、変更指示に基づいて映像ごとに設定された優先順位情報16cを変更する処理を行う処理部である。
【0044】
映像振分部17dは、表示エリアごとに記憶された視認性情報16bと優先順位情報16cとに基づいて優先度の高い映像を、視認性の高い表示エリアへ表示するよう振り分ける処理を行う処理部である。なお、映像振分処理の詳細については後述することとする。
【0045】
映像補正部17eは、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する効果があるか否かを判定し、補正する効果があると判定された場合に、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する処理を行う処理部である。
【0046】
具体的には、映像補正部17eは、視認性推定部17bによって推定された表示エリアごとの照度値が、所定の閾値を超えない場合には、補正する効果があると判定し、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する。
【0047】
また、映像補正部17eは、表示エリアごとの照度値が、所定の閾値を超えた場合には、補正する効果が少ないと判定して、映像ソース15を補正しないこととする。なお、直射日光補正処理の詳細については後述することとする。
【0048】
表示処理部17fは、映像振分部17dによって振り分けられ、映像補正部17eによって補正された映像ソース15をディスプレイ13へ表示する処理を行う処理部である。
【0049】
計時部18は、現在日時を取得するための機器で構成され、たとえば、自車両に備える時計から時刻情報を取得する、あるいはGPS衛星から自車両の位置情報とともに受信したデータに含まれる時刻情報を取得する。また、計時部18は、取得した時刻情報を視認性推定部17bへ渡す。これにより、視認性推定部17bでは、受け付けた時刻情報およびディスプレイ13の設置場所(角度を含む)に基づいて表示エリアごとの視認性を推定する。
【0050】
つぎに、視認性推定部17bが実行する視認性推定処理の詳細について図3および図4を用いて説明する。図3は、視認性推定部17bにおける視認性推定処理を説明するための図その1であり、図4は、視認性推定部17bにおける視認性推定処理を説明するための図その2である。
【0051】
まず、図3に示したように、ディスプレイ13には、表示エリア1、表示エリア2の2つの画面に左右等分に分割され、表示エリア1には地図映像が、表示エリア2にはTV映像が表示されているものとする。
【0052】
また、ディスプレイ13上部に、センサA11、センサB11の2個の照度センサが、また、下部には、センサC11、センサD11の2個の照度センサがそれぞれ設置されている。
【0053】
したがって、視認性推定部17bは、表示エリア1の上部の照度値はセンサA11で計測された照度値によって推定し、表示エリア1の下部の照度値はセンサC11で計測された照度値によって推定することとなる。表示エリア2についても同様に、上部の照度値はセンサB11、下部の照度値はセンサD11によって推定される。
【0054】
ここで、×印で示したように、センサA11およびセンサC11が計測した照度値が閾値情報16aの閾値よりも大きく、かつ、センサB11およびセンサD11が計測した照度値は閾値情報16aの閾値を超えなかった場合について説明する。
【0055】
なお、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が所定個数以上(ここでは2個以上とする)の場合、視認性が低いと推定することとする。したがって、視認性推定部17bは、表示エリア1にはかかるセンサ11が2個という結果に基づいて表示エリア1は視認性が低いと推定する。
【0056】
また、視認性推定部17bは、表示エリア2には閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が0個という結果に基づいて表示エリア2は視認性が高いと推定する。
【0057】
つづいて、ディスプレイ13に大きさの異なる表示エリアへ2つの映像が表示されている場合について、図4を用いて説明する。まず、同図の(A)に示したように、表示エリア1と表示エリア2との横幅比が1:2となるように画面が分割されており、かかる比率と同率の個数のセンサ11が、それぞれの表示エリアへ設置されているものとする。
【0058】
また、×印で示したように、センサA11、センサB11およびセンサD11が計測した照度値が閾値情報16aの閾値よりも大きく、かつ、センサC11、センサE11およびセンサF11が計測した照度値は閾値情報16aの閾値を超えなかった場合について説明する。
【0059】
ここでも、図3と同様に、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が2個数以上の場合は、視認性が低いと推定することとする。この場合、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が、表示エリア1には2個という結果に基づいて表示エリア1は視認性が低いと推定する。
【0060】
また、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が、表示エリア2には1個という結果に基づいて表示エリア2は視認性が高いと推定する。
【0061】
なお、表示エリア内の閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11の個数と閾値と比較することとしたが、所定の単位面積当たりの個数に換算して、換算したセンサ11の個数と閾値とを比較することとしてもよい。
【0062】
つづいて、図4の(B)に示したように、ディスプレイ13に大きさの異なる表示エリアへ2つの映像が表示されており、かつ、センサ11は各表示へそれぞれ2個ずつ設置されているものとする。
【0063】
この場合も、上述した推定手法と同様に、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11が所定個数以上の場合、視認性が低いと推定する。また、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11の個数を所定の単位面積当たりの個数に換算して、換算した個数によって視認性を推定することとしてもよい。
【0064】
つぎに、視認性情報16bおよび優先順位情報16cの詳細について図5および図6を用いて説明する。図5は、視認性情報16bの一例を示す図であり、図6は、優先順位情報16cの一例を示す図である。
【0065】
まず、図5に示すように、視認性情報16bは、「表示エリア識別子」項目と、「視認性」項目と、「左上座標値」項目と、「右下座標値」項目とを含んでいる。「表示エリア識別子」項目は、ディスプレイ13に表示される領域を識別するための識別子である。
【0066】
「視認性」項目は、視認性推定部17bによって表示エリアごとに推定された視認性である。ここでは、高低の2つに分類するよう例示したが、視認性のレベルを細分化して、数値等で表わすこととしてもよい。
【0067】
「左上座標値」項目は、表示エリア識別子に対応してディスプレイ13へ表示する領域の左上の座標値(x,y)であり、「右下座標値」項目は、かかる領域の右下の座標値(x,y)である。なお、領域を表わす際に、座標値で表記することとしたが、座標値以外にも、種々の異なる手法によって表記されてもよい。
【0068】
たとえば、図4に示したように、2つの表示エリアの横幅比が1:2となるように縦に分割されている場合には、横幅比を用いて表記することとしてもよい。この場合、表示エリア「1」には、「横1」、表示エリア「2」には、「横2」と表記される。
【0069】
つづいて、図6に示すように、優先順位情報16cは、「映像ソース種別」項目と、「優先順位」項目とを含んでいる。「映像ソース種別」項目は、優先順位をつける映像ソース15の種別である。
【0070】
「優先順位」項目は、映像ソース15に対応して設定される優先順位であり、高い方から順に、1,2と付与される。なお、安全性に関わる映像ソース15については、予め高い優先順位が設定されているものとする。たとえば、図6に示すように、オンスクリーン映像、ナビ映像は優先順位が1、2と設定されている。
【0071】
また、利用者等によって操作部12から設定を追加/変更することができる。たとえば、映像表示装置10に、DVDが接続された場合に、優先順位情報16cへ「DVD:5」と追加することとしてもよい。なお、安全性に関わる映像ソース15については、利用者によって設定を変更することができないよう制御部17がロックをかけておくことも可能である。
【0072】
上述した視認性情報16bと優先順位情報16cとに基づき、映像振分部17dによって、優先度の高い映像を視認性の高い表示エリアへ表示するように振り分けられる。
【0073】
つぎに、映像振分部17dが実行する映像振分処理の詳細について図7を用いて説明する。図7は、映像振分部17dにおける映像振分処理を説明するための図である。なお、図7の(A)、(B)および(C)では、視認性推定部17bによって視認性が低いと推定された表示エリアが画面左部にある場合について説明し、図7の(D)では、視認性が低い表示エリアが画面上部にある場合について説明する。
【0074】
まず、図7の(A)に示すように、画面中央に地図映像が1つだけ表示されていた場合に、映像振分部17dは、映像ソース15を右側へシフトして表示させるように振り分ける。
【0075】
また、図7の(B)に示すように、画面全体に地図映像が1つだけ表示されていた場合に、映像振分部17dは、映像ソース15を横幅だけを縮小して右側に表示させるように振り分ける。
【0076】
つづいて、視認性が低いと推定された表示エリアに地図映像が表示されており、かつ、地図映像上にオンスクリーン映像が表示されていた場合について説明する。なお、優先順位情報16cには、オンスクリーンは最も高い優先順位が設定されているものとする。
【0077】
この場合、図7の(C)に示すように、映像振分部17dは、視認性が高い表示エリアである画面右へオンスクリーン映像を表示させるように振り分ける。また、図7の(D)に示すように、視認性が高い表示エリアが画面下部であった場合は、映像振分部17dは、オンスクリーン映像の表示サイズの横幅を拡大してオンスクリーン映像を表示させるように振り分ける。このように、オンスクリーン映像の位置、サイズおよび形状は照度値や視認性に基づき、映像振分部17dによって最適に変更される。
【0078】
また、画面が分割され、複数の映像が表示されていた場合は、映像振分部17dは、表示エリアごとの照度値に基づいて優先度の高い映像を視認性の最も高い表示エリアへ表示するように映像ソース15を入れ替えて振り分ける。
【0079】
たとえば、映像振分部17dは、表示エリア内の照度値の合計値が最も低いエリアを視認性の最も高い表示エリアと判定してもよい。また、表示エリア内の照度値を所定の単位面積当たりに換算して、換算値が最も低いエリアを視認性の最も高い表示エリアと判定してもよい。
【0080】
つぎに、映像補正部17eが実行する補正処理の詳細について説明する。ここで、映像補正部17eが映像ソース15を補正する際の補正効果を説明するために、図8を用いて反射率について説明しておく。図8は、反射率を説明するための図である。なお、同図の(A)には、反射率算出を説明する図を、また、同図の(B)には、反射率の算出結果を、それぞれ示している。
【0081】
図8の(A)に示すように、ディスプレイ13の表面に入射角30°で点光源から光を照射し、輝度を測定するカメラによってディスプレイ13表面の各位置の輝度を測定し、測定された輝度に基づいて反射率を算出する実験を行った。
【0082】
ここで、点光源からは、真夏の直射日光の照度(約150,000ルクス)と同程度の光を照射させることとした。また、反射率は、輝度を(照度/π)で除算した値で、式(1)のようになる。
【0083】
反射率(%)=計測された輝度/(照度/π)×100 …(1)
【0084】
その結果、図8の(B)に示すように、算出された反射率(%)は、グラフ20で表わされる。同図のX軸はディスプレイ13の位置を示し、Y軸は反射率(%)を示す。
【0085】
ディスプレイ13の位置aから位置bまでは反射率が2%以下であるが、位置bから位置cまでは、反射率が2%を超える結果となった。なお、点光源の入射角が8°から52°に変更した場合であっても、ほぼ同様の結果となる。
【0086】
ここで、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する場合、反射率が2%を超えた場合は、補正効果が十分に得られない。したがって、映像補正部17eは、反射率が2%を超えると想定される輝度や照度に基づいて映像ソース15を補正するか否かを判定することとした。
【0087】
具体的には、映像補正部17eは、照度取得部17aで推定した表示エリアごとの照度値が所定の閾値を超えない場合に、補正する効果があると判定し、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する。
【0088】
ところで、視認性の低下は、非常に強力な直射日光のような外光をディスプレイ13表面で反射してしまい、最大階調表現幅(以下、「ダイナミックレンジ」と記載する)の一部を喪失してしまうことに起因する。
【0089】
そして、RGB画素の階調は、通常時のダイナミックレンジに割り付けられているので、かかるダイナミックレンジの部分的喪失に伴い、かかる階調の一部を喪失することとなる。すなわち、表現できない階調が生じることで、視認性の低下が生じることとなる。
【0090】
そこで、映像補正部17eが行う直射日光補正処理では、RGB画素の階調制御を行って表現できなくなった階調を復元することとした。また、映像補正部17eは、照射前の階調を射影して割り付け、表現できなくなった階調を復元する。具体的には、バックライト光源の光量を増加させることで照射前のダイナミックレンジに相当する程度までダイナミックレンジを拡張する。
【0091】
さらに、映像補正部17eでは、視認性が低い表示エリアと隣り合う表示エリアとの間に生じる輝度の差を所定のパラメータを用いて平滑化することで、映像を表示した際にエリアの境界を目立たないようにすることとした。
【0092】
また、映像補正部17eは、時系列上の輝度の差を所定のパラメータを用いて平滑化することで、映像を表示した際に生じる画面のちらつきを制御することとした。このようにして、映像補正部17eは、映像ソース15の直射日光補正処理を行うが、上記した補正例以外にも、種々の異なる補正の手法にて実施されてよいものである。
【0093】
つぎに、本実施例に係る映像表示装置10が実行する映像振分処理の詳細について図9を用いて説明する。図9は、映像表示装置10が実行する映像振分処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0094】
図9に示すように、照度取得部17aは、映像表示装置10に備える複数のセンサ11によって計測されたディスプレイ13近傍の照度を取得する(ステップS101)。
【0095】
そして、視認性推定部17bは、照度取得部17aによって取得された照度値に基づいて表示エリアごとの照度値を推定し(ステップS102)、推定された表示エリアの照度値に基づいて表示エリアの視認性を推定する(ステップS103)。
【0096】
つづいて、映像振分部17dは、優先順位情報16cを取得し(ステップS104)、取得した優先順位情報16cと視認性情報16bとに基づいてディスプレイ13に表示されている映像ソース15の入れ替えが必要か否かを判定する(ステップS105)。
【0097】
そして、映像振分部17dは、映像ソース15の入れ替えが必要であると判定された場合は(ステップS105,Yes)、映像補正部17eは、映像ソース15の補正が必要か否かを判定する(ステップS106)。
【0098】
映像補正部17eは、映像ソース15の補正が必要であると判定された場合(ステップS106,Yes)、映像ソース15の補正処理を行う(ステップS107)。一方、映像補正部17eは、映像ソース15の補正は不要であると判定された場合には(ステップS106,No)、ステップS108へ処理を移行する。
【0099】
そして、表示処理部17fは、映像振分部17dによって振り分けられた映像ソース15をディスプレイ13へ表示して(ステップS108)、映像表示装置10が実行する一連の映像振分処理を終了する。
【0100】
また、映像振分部17dは、ステップS105で映像ソース15の入れ替えは不要であると判定された場合は(ステップS105,No)、映像振分処理を終了する。なお、映像表示装置10は、所定時間間隔で上述したステップS101〜ステップS108の映像振分処理を繰り返す。
【0101】
このように、ディスプレイ13に映像を表示する映像表示装置10が、ディスプレイ13の近傍の照度を検出し、検出された照度に基づいてディスプレイ13の部分領域ごとの照度および視認性を推定し、推定された視認性に基づいてディスプレイ13に表示する1つまたは複数の映像情報である映像ソースをいずれの部分領域へ表示するかを振り分けるよう構成したので、映像表示装置10では、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる。
【0102】
なお、上述した実施例では、映像表示装置を車両に搭載されるカーナビに適用する例を説明したが、パソコンのディスプレイおよびTV等の映像表示装置についても同様に適用することができる。
【0103】
また、上述した実施例では、1つの画面を複数の表示エリアへ分割して振り分けることとしたが、複数のディスプレイが接続されるパソコン等に使用する場合にも同様に適用することができる。
【0104】
たとえば、複数のディスプレイの中で、視認性が低いディスプレイがあると推定された場合に、優先度の高い映像を視認性の高いディスプレイへ表示するように振り分けることとしてもよい。
【0105】
また、上述した実施例では、複数のセンサ11によって計測された照度値に基づいて表示エリアごとの視認性を推定することとした。しかし、計時部18によって取得された時刻情報およびディスプレイ13の設置場所(角度を含む)に基づいて表示エリアごとの視認性を推定することとしてもよい。また、映像表示装置10を車両に搭載されるカーナビに適用した場合は、車の進行方向、ドライバーの位置等に基づいて視認性を推定することとしてもよい。
【0106】
具体的には、映像表示装置は、計時部18によって取得された時刻情報に含まれる日時によって太陽の照射量および照射角度を推定し、ディスプレイ13の設置場所と車の進行方向とに基づいてリアルタイムにディスプレイ13の向きを算出する。そして、映像表示装置は、照射量、照射角度およびディスプレイ13の向きに基づいて表示エリアごとの視認性を推定することとする。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明に係る映像表示装置は、外光の反射光によって画面が見え難くなるのを防止する際に有用であり、特に、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保させたい場合に適している。
【符号の説明】
【0108】
10 映像表示装置
11 センサ
12 操作部
13 ディスプレイ
14 通信I/F
15 映像ソース
16 記憶部
16a 閾値情報
16b 視認性情報
16c 優先順位情報
17 制御部
17a 照度取得部
17b 視認性推定部
17c 優先順位変更部
17d 映像振分部
17e 映像補正部
17f 表示処理部
18 計時部
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置に関し、特に、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像や画像を表示する画面に外光が照射された場合、外光の反射光によって画面が見え難くなるのを防止するため、利用者に対して反射光が向かないように画面の向きを変更する表示装置が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、各種センサによって画面に照射される外光の入射角および反射角を算出するとともに、複数の利用者の位置を検出し、反射光の向きが利用者に向かないように画面部分を回転させる表示装置が開示されている。
【0004】
特許文献1の表示装置によれば、利用者が反射光を受けることによって眩しく感じ、画面全体が見え難いという状況を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−69444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の表示装置は、大きな画面を画面から比較的遠方に位置する多数の利用者に対して適用した場合には有用であった。しかしながら、特許文献1の表示装置では、小さな画面で、かつ、画面近傍に位置する少人数の利用者に対しては、利用者の見え難さを全て解消することができないという問題があった。
【0007】
具体的には、狭小の空間で特定の利用者が特許文献1の表示装置を使用した場合に、外光の入射角によっては、かかる利用者とは逆の方向に画面部分が回転することも考えられる。この場合、回転角度が大きかったならば、利用者は画面近傍に位置することから全く画面の映像が視認できなくなるといった状況も発生する。
【0008】
また、特許文献1の表示装置を設置する場所によっては、画面後方の空きスペースが少ない場合もあり、眩しくないような最適な角度まで画面部分が回転することができないという問題があった。
【0009】
これらのことから、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる映像表示装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、前記ディスプレイの近傍の照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段によって検出された前記照度に基づいて前記ディスプレイに表示する前記映像の表示位置を決定する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、前記ディスプレイの照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段によって検出された前記照度に基づいて前記ディスプレイの部分領域ごとの前記照度を判定する照度判定手段と、前記照度判定手段によって判定された前記ディスプレイの部分領域ごとの前記照度に基づいて前記ディスプレイに表示する1つまたは複数の映像情報をいずれの前記部分領域へ表示するかを決定する映像振分手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、ディスプレイの近傍の照度を検出し、検出された照度に基づいてディスプレイに表示する映像の表示位置を決定することとしたので、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明によれば、ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、ディスプレイの照度を検出し、検出された照度に基づいてディスプレイの部分領域ごとの照度を判定し、判定されたディスプレイの部分領域ごとの照度に基づいてディスプレイに表示する1つまたは複数の映像情報をいずれの部分領域へ表示するかを決定することとしたので、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施例に係る映像表示手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、視認性推定部における視認性推定処理を説明するための図その1である。
【図4】図4は、視認性推定部における視認性推定処理を説明するための図その2である。
【図5】図5は、視認性情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、優先順位情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、映像振分部における映像振分処理を説明するための図である。
【図8】図8は、反射率を説明するための図である。
【図9】図9は、映像表示装置が実行する映像振分処理手順の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る映像表示装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る映像表示手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る映像表示装置についての実施例を図2〜図9を用いて説明することとする。
【0017】
まず、本発明に係る映像表示手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る映像表示手法の概要を示す図である。なお、図1の(A)には、従来技術に係る映像表示手法を、また、図1の(B)および(C)には、本発明に係る映像表示手法を、それぞれ示している。
【0018】
図1の(A)に示すように、従来技術に係る映像表示手法では、各種センサによって画面に照射される外光の入射角および反射角を算出し、また、複数の利用者の位置を検出し、反射光の向きが利用者に向かないように画面の向きを回転させる。
【0019】
ところが、従来技術に係る映像表示手法では、狭小の空間で特定の利用者がディスプレイを使用した場合に、外光の入射角によっては、かかる利用者とは逆の方向に画面部分が回転し、全く画面の映像が視認できなくなるといった状況も発生する。
【0020】
そこで、本発明に係る映像表示手法では、ディスプレイの画面の中で、外光が照射されたことにより視認性が低い部分領域を推定し、優先度の高い映像を、視認性の高い部分領域へ表示するように振り分けることとした。
【0021】
具体的には、図1の(B)に示すように、本発明に係る映像表示装置において、複数画面に分割された各分割領域に映像が表示されていた場合について説明する。たとえば、カーナビゲーション機能(以下、「カーナビ」と記載する)を入力ソースの1つとする映像表示装置が、地図およびTVの二つの映像を表示する場合について説明する。なお、図1に示した場合では、予め、表示する映像の優先度が高い方から順に、地図、TVと設定されていたものとする。
【0022】
ここで、本発明に係る映像表示手法では、ディスプレイの周囲に配置した複数の照度計によって照度値を計測する。そして、本発明に係る映像表示手法では、計測した照度値に基づき、ディスプレイの複数に分割された部分領域(以下、「表示エリア」と記載する)の中で、視認性が低い表示エリアを推定する。
【0023】
すなわち、本発明に係る映像表示手法は、図1の(B)に示すように、左側の表示エリアを視認性が低いと推定した場合に、優先度の高い映像、ここでは、地図映像を視認性の高い表示エリアへ表示するように振り分ける。
【0024】
その結果、図1の(C)に示すように、本発明に係る映像表示手法は、右側の視認性の高い表示エリアへ地図映像を表示するように、表示していた地図映像とTV映像との画面位置を入れ替える。
【0025】
このようにすることによって、本発明に係る映像表示手法では、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる。
【0026】
なお、本実施例では、映像表示装置を車両に搭載されるカーナビに適用する場合について説明するが、パソコンのディスプレイおよびTV等の映像表示装置についても適用することができる。
【0027】
以下では、図1を用いて説明した本発明に係る映像表示手法についての実施例を詳細に説明する。まず、本実施例に係る映像表示装置の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
なお、同図では、映像表示装置10の特徴点を説明するために必要な構成要素についてのみ記載しているが、いわゆる、カーナビゲーション装置が備える、GPS(Global Positioning System)機能や、地図表示機能を有するものとする。
【0029】
図2に示すように、映像表示装置10は、センサ11と、操作部12と、ディスプレイ13と、通信I/F(インターフェース)14と、映像ソース15と、記憶部16と、制御部17と、計時部18とを備えている。
【0030】
また、制御部17は、照度取得部17aと、視認性推定部17bと、優先順位変更部17cと、映像振分部17dと、映像補正部17eと、表示処理部17fとをさらに備えており、記憶部16は、閾値情報16aと、視認性情報16bと、優先順位情報16cとを記憶する。
【0031】
センサ11は、ディスプレイ13の近傍の照度を検知する計測機器であり、複数個のセンサ11によって照度値を計測する。操作部12は、映像の優先順位情報16cを変更する操作を受け付ける。また、操作部12は、電源のON/OFFの操作、ディスプレイ13へ表示される映像ソース15を選択操作、また、ディスプレイ13の画面分割指示操作等を受け付ける。
【0032】
ディスプレイ13は、映像ソース15を表示する表示部である。なお、操作部12およびディスプレイ13の表示や操作を行う構成部品を限定する必要はない。したがって、指やポインティングデバイスなどの押圧感知により入力を受け付け、かつ表示出力も兼ねるタッチパネル式の液晶ディスプレイなどを用いることとしてもよい。
【0033】
また、HUD(Head-Up Display)等のディスプレイによってドライバー前方のフロントガラス部分に半透明状に構成してもよいし、ドライバー前方の計器部分に構成してもよいし、また、ドライバー前方のルームミラー部分に構成してもよい。
【0034】
通信I/F14は、無線電波等を送受信するアンテナに接続されており、無線通信を行うための通信デバイスで構成され、情報提供装置あるいはGPS衛星と映像表示装置10との間で、光または電波によってデータの送受信を行う。
【0035】
なお、情報提供装置とは、道路上に複数設置されおり、DSRC(Dedicated Short Range Communication)に対応した無線機や光ビーコン等の無線機を備えている。また、情報提供装置は、映像表示装置10との双方向通信により、ドライバーに対してリアルタイムに交通情報等を提供する装置のことである。
【0036】
映像ソース15は、ディスプレイ13に表示する映像のことである。たとえば、車両に搭載されたカメラで撮像されたカメラ映像、通信I/F14経由で受信したTV映像等がある。
【0037】
また、映像ソース15は、通信I/F14経由で受信した自車両の位置情報、各種交通情報等に基づいて作成される地図映像、ナビゲーション情報(以下、「ナビ情報」と記載する)も含まれる。
【0038】
なお、ナビ情報には、目的地までの所要時間、渋滞情報、さらに、歩行者を含む移動体の接近情報等も含まれる。また、映像ソース15は、ポップアップ画面によって警告やメッセージを表示するオンスクリーン映像も含まれる。
【0039】
記憶部16は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部16は、視認性推定部17bが視認性を推定する際に使用する閾値を閾値情報16aとして記憶する。
【0040】
また、記憶部16は、視認性推定部17bで推定された視認性についての情報を視認性情報16bとして記憶し、映像ソース15の優先度を予め優先順位情報16cとして記憶する。なお、視認性情報16b、および優先順位情報16cの詳細については後述することとする。
【0041】
制御部17は、映像表示装置10の全体制御を行う制御部である。照度取得部17aは、センサ11が計測した照度値を受け付け、視認性推定部17bへ渡す処理を行う処理部である。
【0042】
視認性推定部17bは、照度取得部17aから受け付けた照度値と、閾値情報16aに基づいてディスプレイ13の所定の表示エリアの照度値を推定し、表示エリアごとの視認性を推定する処理を行う処理部である。また、視認性推定部17bは、推定した視認性を視認性情報16bとして記憶させる処理を併せて行う。なお、視認性の推定処理の詳細については後述することとする。
【0043】
優先順位変更部17cは、利用者によって操作部12から優先順位情報16cの変更指示を受け付けた場合に、変更指示に基づいて映像ごとに設定された優先順位情報16cを変更する処理を行う処理部である。
【0044】
映像振分部17dは、表示エリアごとに記憶された視認性情報16bと優先順位情報16cとに基づいて優先度の高い映像を、視認性の高い表示エリアへ表示するよう振り分ける処理を行う処理部である。なお、映像振分処理の詳細については後述することとする。
【0045】
映像補正部17eは、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する効果があるか否かを判定し、補正する効果があると判定された場合に、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する処理を行う処理部である。
【0046】
具体的には、映像補正部17eは、視認性推定部17bによって推定された表示エリアごとの照度値が、所定の閾値を超えない場合には、補正する効果があると判定し、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する。
【0047】
また、映像補正部17eは、表示エリアごとの照度値が、所定の閾値を超えた場合には、補正する効果が少ないと判定して、映像ソース15を補正しないこととする。なお、直射日光補正処理の詳細については後述することとする。
【0048】
表示処理部17fは、映像振分部17dによって振り分けられ、映像補正部17eによって補正された映像ソース15をディスプレイ13へ表示する処理を行う処理部である。
【0049】
計時部18は、現在日時を取得するための機器で構成され、たとえば、自車両に備える時計から時刻情報を取得する、あるいはGPS衛星から自車両の位置情報とともに受信したデータに含まれる時刻情報を取得する。また、計時部18は、取得した時刻情報を視認性推定部17bへ渡す。これにより、視認性推定部17bでは、受け付けた時刻情報およびディスプレイ13の設置場所(角度を含む)に基づいて表示エリアごとの視認性を推定する。
【0050】
つぎに、視認性推定部17bが実行する視認性推定処理の詳細について図3および図4を用いて説明する。図3は、視認性推定部17bにおける視認性推定処理を説明するための図その1であり、図4は、視認性推定部17bにおける視認性推定処理を説明するための図その2である。
【0051】
まず、図3に示したように、ディスプレイ13には、表示エリア1、表示エリア2の2つの画面に左右等分に分割され、表示エリア1には地図映像が、表示エリア2にはTV映像が表示されているものとする。
【0052】
また、ディスプレイ13上部に、センサA11、センサB11の2個の照度センサが、また、下部には、センサC11、センサD11の2個の照度センサがそれぞれ設置されている。
【0053】
したがって、視認性推定部17bは、表示エリア1の上部の照度値はセンサA11で計測された照度値によって推定し、表示エリア1の下部の照度値はセンサC11で計測された照度値によって推定することとなる。表示エリア2についても同様に、上部の照度値はセンサB11、下部の照度値はセンサD11によって推定される。
【0054】
ここで、×印で示したように、センサA11およびセンサC11が計測した照度値が閾値情報16aの閾値よりも大きく、かつ、センサB11およびセンサD11が計測した照度値は閾値情報16aの閾値を超えなかった場合について説明する。
【0055】
なお、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が所定個数以上(ここでは2個以上とする)の場合、視認性が低いと推定することとする。したがって、視認性推定部17bは、表示エリア1にはかかるセンサ11が2個という結果に基づいて表示エリア1は視認性が低いと推定する。
【0056】
また、視認性推定部17bは、表示エリア2には閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が0個という結果に基づいて表示エリア2は視認性が高いと推定する。
【0057】
つづいて、ディスプレイ13に大きさの異なる表示エリアへ2つの映像が表示されている場合について、図4を用いて説明する。まず、同図の(A)に示したように、表示エリア1と表示エリア2との横幅比が1:2となるように画面が分割されており、かかる比率と同率の個数のセンサ11が、それぞれの表示エリアへ設置されているものとする。
【0058】
また、×印で示したように、センサA11、センサB11およびセンサD11が計測した照度値が閾値情報16aの閾値よりも大きく、かつ、センサC11、センサE11およびセンサF11が計測した照度値は閾値情報16aの閾値を超えなかった場合について説明する。
【0059】
ここでも、図3と同様に、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が2個数以上の場合は、視認性が低いと推定することとする。この場合、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が、表示エリア1には2個という結果に基づいて表示エリア1は視認性が低いと推定する。
【0060】
また、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11(×印)が、表示エリア2には1個という結果に基づいて表示エリア2は視認性が高いと推定する。
【0061】
なお、表示エリア内の閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11の個数と閾値と比較することとしたが、所定の単位面積当たりの個数に換算して、換算したセンサ11の個数と閾値とを比較することとしてもよい。
【0062】
つづいて、図4の(B)に示したように、ディスプレイ13に大きさの異なる表示エリアへ2つの映像が表示されており、かつ、センサ11は各表示へそれぞれ2個ずつ設置されているものとする。
【0063】
この場合も、上述した推定手法と同様に、視認性推定部17bは、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11が所定個数以上の場合、視認性が低いと推定する。また、閾値よりも大きかった照度値を計測したセンサ11の個数を所定の単位面積当たりの個数に換算して、換算した個数によって視認性を推定することとしてもよい。
【0064】
つぎに、視認性情報16bおよび優先順位情報16cの詳細について図5および図6を用いて説明する。図5は、視認性情報16bの一例を示す図であり、図6は、優先順位情報16cの一例を示す図である。
【0065】
まず、図5に示すように、視認性情報16bは、「表示エリア識別子」項目と、「視認性」項目と、「左上座標値」項目と、「右下座標値」項目とを含んでいる。「表示エリア識別子」項目は、ディスプレイ13に表示される領域を識別するための識別子である。
【0066】
「視認性」項目は、視認性推定部17bによって表示エリアごとに推定された視認性である。ここでは、高低の2つに分類するよう例示したが、視認性のレベルを細分化して、数値等で表わすこととしてもよい。
【0067】
「左上座標値」項目は、表示エリア識別子に対応してディスプレイ13へ表示する領域の左上の座標値(x,y)であり、「右下座標値」項目は、かかる領域の右下の座標値(x,y)である。なお、領域を表わす際に、座標値で表記することとしたが、座標値以外にも、種々の異なる手法によって表記されてもよい。
【0068】
たとえば、図4に示したように、2つの表示エリアの横幅比が1:2となるように縦に分割されている場合には、横幅比を用いて表記することとしてもよい。この場合、表示エリア「1」には、「横1」、表示エリア「2」には、「横2」と表記される。
【0069】
つづいて、図6に示すように、優先順位情報16cは、「映像ソース種別」項目と、「優先順位」項目とを含んでいる。「映像ソース種別」項目は、優先順位をつける映像ソース15の種別である。
【0070】
「優先順位」項目は、映像ソース15に対応して設定される優先順位であり、高い方から順に、1,2と付与される。なお、安全性に関わる映像ソース15については、予め高い優先順位が設定されているものとする。たとえば、図6に示すように、オンスクリーン映像、ナビ映像は優先順位が1、2と設定されている。
【0071】
また、利用者等によって操作部12から設定を追加/変更することができる。たとえば、映像表示装置10に、DVDが接続された場合に、優先順位情報16cへ「DVD:5」と追加することとしてもよい。なお、安全性に関わる映像ソース15については、利用者によって設定を変更することができないよう制御部17がロックをかけておくことも可能である。
【0072】
上述した視認性情報16bと優先順位情報16cとに基づき、映像振分部17dによって、優先度の高い映像を視認性の高い表示エリアへ表示するように振り分けられる。
【0073】
つぎに、映像振分部17dが実行する映像振分処理の詳細について図7を用いて説明する。図7は、映像振分部17dにおける映像振分処理を説明するための図である。なお、図7の(A)、(B)および(C)では、視認性推定部17bによって視認性が低いと推定された表示エリアが画面左部にある場合について説明し、図7の(D)では、視認性が低い表示エリアが画面上部にある場合について説明する。
【0074】
まず、図7の(A)に示すように、画面中央に地図映像が1つだけ表示されていた場合に、映像振分部17dは、映像ソース15を右側へシフトして表示させるように振り分ける。
【0075】
また、図7の(B)に示すように、画面全体に地図映像が1つだけ表示されていた場合に、映像振分部17dは、映像ソース15を横幅だけを縮小して右側に表示させるように振り分ける。
【0076】
つづいて、視認性が低いと推定された表示エリアに地図映像が表示されており、かつ、地図映像上にオンスクリーン映像が表示されていた場合について説明する。なお、優先順位情報16cには、オンスクリーンは最も高い優先順位が設定されているものとする。
【0077】
この場合、図7の(C)に示すように、映像振分部17dは、視認性が高い表示エリアである画面右へオンスクリーン映像を表示させるように振り分ける。また、図7の(D)に示すように、視認性が高い表示エリアが画面下部であった場合は、映像振分部17dは、オンスクリーン映像の表示サイズの横幅を拡大してオンスクリーン映像を表示させるように振り分ける。このように、オンスクリーン映像の位置、サイズおよび形状は照度値や視認性に基づき、映像振分部17dによって最適に変更される。
【0078】
また、画面が分割され、複数の映像が表示されていた場合は、映像振分部17dは、表示エリアごとの照度値に基づいて優先度の高い映像を視認性の最も高い表示エリアへ表示するように映像ソース15を入れ替えて振り分ける。
【0079】
たとえば、映像振分部17dは、表示エリア内の照度値の合計値が最も低いエリアを視認性の最も高い表示エリアと判定してもよい。また、表示エリア内の照度値を所定の単位面積当たりに換算して、換算値が最も低いエリアを視認性の最も高い表示エリアと判定してもよい。
【0080】
つぎに、映像補正部17eが実行する補正処理の詳細について説明する。ここで、映像補正部17eが映像ソース15を補正する際の補正効果を説明するために、図8を用いて反射率について説明しておく。図8は、反射率を説明するための図である。なお、同図の(A)には、反射率算出を説明する図を、また、同図の(B)には、反射率の算出結果を、それぞれ示している。
【0081】
図8の(A)に示すように、ディスプレイ13の表面に入射角30°で点光源から光を照射し、輝度を測定するカメラによってディスプレイ13表面の各位置の輝度を測定し、測定された輝度に基づいて反射率を算出する実験を行った。
【0082】
ここで、点光源からは、真夏の直射日光の照度(約150,000ルクス)と同程度の光を照射させることとした。また、反射率は、輝度を(照度/π)で除算した値で、式(1)のようになる。
【0083】
反射率(%)=計測された輝度/(照度/π)×100 …(1)
【0084】
その結果、図8の(B)に示すように、算出された反射率(%)は、グラフ20で表わされる。同図のX軸はディスプレイ13の位置を示し、Y軸は反射率(%)を示す。
【0085】
ディスプレイ13の位置aから位置bまでは反射率が2%以下であるが、位置bから位置cまでは、反射率が2%を超える結果となった。なお、点光源の入射角が8°から52°に変更した場合であっても、ほぼ同様の結果となる。
【0086】
ここで、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する場合、反射率が2%を超えた場合は、補正効果が十分に得られない。したがって、映像補正部17eは、反射率が2%を超えると想定される輝度や照度に基づいて映像ソース15を補正するか否かを判定することとした。
【0087】
具体的には、映像補正部17eは、照度取得部17aで推定した表示エリアごとの照度値が所定の閾値を超えない場合に、補正する効果があると判定し、映像ソース15を直射日光補正処理によって補正する。
【0088】
ところで、視認性の低下は、非常に強力な直射日光のような外光をディスプレイ13表面で反射してしまい、最大階調表現幅(以下、「ダイナミックレンジ」と記載する)の一部を喪失してしまうことに起因する。
【0089】
そして、RGB画素の階調は、通常時のダイナミックレンジに割り付けられているので、かかるダイナミックレンジの部分的喪失に伴い、かかる階調の一部を喪失することとなる。すなわち、表現できない階調が生じることで、視認性の低下が生じることとなる。
【0090】
そこで、映像補正部17eが行う直射日光補正処理では、RGB画素の階調制御を行って表現できなくなった階調を復元することとした。また、映像補正部17eは、照射前の階調を射影して割り付け、表現できなくなった階調を復元する。具体的には、バックライト光源の光量を増加させることで照射前のダイナミックレンジに相当する程度までダイナミックレンジを拡張する。
【0091】
さらに、映像補正部17eでは、視認性が低い表示エリアと隣り合う表示エリアとの間に生じる輝度の差を所定のパラメータを用いて平滑化することで、映像を表示した際にエリアの境界を目立たないようにすることとした。
【0092】
また、映像補正部17eは、時系列上の輝度の差を所定のパラメータを用いて平滑化することで、映像を表示した際に生じる画面のちらつきを制御することとした。このようにして、映像補正部17eは、映像ソース15の直射日光補正処理を行うが、上記した補正例以外にも、種々の異なる補正の手法にて実施されてよいものである。
【0093】
つぎに、本実施例に係る映像表示装置10が実行する映像振分処理の詳細について図9を用いて説明する。図9は、映像表示装置10が実行する映像振分処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0094】
図9に示すように、照度取得部17aは、映像表示装置10に備える複数のセンサ11によって計測されたディスプレイ13近傍の照度を取得する(ステップS101)。
【0095】
そして、視認性推定部17bは、照度取得部17aによって取得された照度値に基づいて表示エリアごとの照度値を推定し(ステップS102)、推定された表示エリアの照度値に基づいて表示エリアの視認性を推定する(ステップS103)。
【0096】
つづいて、映像振分部17dは、優先順位情報16cを取得し(ステップS104)、取得した優先順位情報16cと視認性情報16bとに基づいてディスプレイ13に表示されている映像ソース15の入れ替えが必要か否かを判定する(ステップS105)。
【0097】
そして、映像振分部17dは、映像ソース15の入れ替えが必要であると判定された場合は(ステップS105,Yes)、映像補正部17eは、映像ソース15の補正が必要か否かを判定する(ステップS106)。
【0098】
映像補正部17eは、映像ソース15の補正が必要であると判定された場合(ステップS106,Yes)、映像ソース15の補正処理を行う(ステップS107)。一方、映像補正部17eは、映像ソース15の補正は不要であると判定された場合には(ステップS106,No)、ステップS108へ処理を移行する。
【0099】
そして、表示処理部17fは、映像振分部17dによって振り分けられた映像ソース15をディスプレイ13へ表示して(ステップS108)、映像表示装置10が実行する一連の映像振分処理を終了する。
【0100】
また、映像振分部17dは、ステップS105で映像ソース15の入れ替えは不要であると判定された場合は(ステップS105,No)、映像振分処理を終了する。なお、映像表示装置10は、所定時間間隔で上述したステップS101〜ステップS108の映像振分処理を繰り返す。
【0101】
このように、ディスプレイ13に映像を表示する映像表示装置10が、ディスプレイ13の近傍の照度を検出し、検出された照度に基づいてディスプレイ13の部分領域ごとの照度および視認性を推定し、推定された視認性に基づいてディスプレイ13に表示する1つまたは複数の映像情報である映像ソースをいずれの部分領域へ表示するかを振り分けるよう構成したので、映像表示装置10では、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保することができる。
【0102】
なお、上述した実施例では、映像表示装置を車両に搭載されるカーナビに適用する例を説明したが、パソコンのディスプレイおよびTV等の映像表示装置についても同様に適用することができる。
【0103】
また、上述した実施例では、1つの画面を複数の表示エリアへ分割して振り分けることとしたが、複数のディスプレイが接続されるパソコン等に使用する場合にも同様に適用することができる。
【0104】
たとえば、複数のディスプレイの中で、視認性が低いディスプレイがあると推定された場合に、優先度の高い映像を視認性の高いディスプレイへ表示するように振り分けることとしてもよい。
【0105】
また、上述した実施例では、複数のセンサ11によって計測された照度値に基づいて表示エリアごとの視認性を推定することとした。しかし、計時部18によって取得された時刻情報およびディスプレイ13の設置場所(角度を含む)に基づいて表示エリアごとの視認性を推定することとしてもよい。また、映像表示装置10を車両に搭載されるカーナビに適用した場合は、車の進行方向、ドライバーの位置等に基づいて視認性を推定することとしてもよい。
【0106】
具体的には、映像表示装置は、計時部18によって取得された時刻情報に含まれる日時によって太陽の照射量および照射角度を推定し、ディスプレイ13の設置場所と車の進行方向とに基づいてリアルタイムにディスプレイ13の向きを算出する。そして、映像表示装置は、照射量、照射角度およびディスプレイ13の向きに基づいて表示エリアごとの視認性を推定することとする。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明に係る映像表示装置は、外光の反射光によって画面が見え難くなるのを防止する際に有用であり、特に、部分的な外光の照射による視環境の変化が生じた場合であっても、利用者にとって視認性を確保させたい場合に適している。
【符号の説明】
【0108】
10 映像表示装置
11 センサ
12 操作部
13 ディスプレイ
14 通信I/F
15 映像ソース
16 記憶部
16a 閾値情報
16b 視認性情報
16c 優先順位情報
17 制御部
17a 照度取得部
17b 視認性推定部
17c 優先順位変更部
17d 映像振分部
17e 映像補正部
17f 表示処理部
18 計時部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、
前記ディスプレイの近傍の照度を検出する照度検出手段と、
前記照度検出手段によって検出された前記照度に基づいて前記ディスプレイに表示する前記映像の表示位置を決定する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、
前記ディスプレイの照度を検出する照度検出手段と、
前記照度検出手段によって検出された前記照度に基づいて前記ディスプレイの部分領域ごとの前記照度を判定する照度判定手段と、
前記照度判定手段によって判定された前記ディスプレイの部分領域ごとの前記照度に基づいて前記ディスプレイに表示する1つまたは複数の映像情報をいずれの前記部分領域へ表示するかを決定する映像振分手段と
を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
前記ディスプレイに表示する前記映像ソースに対して予め優先順位を記憶する優先順位記憶手段と、
前記照度判定手段によって判定された前記照度に基づいて前記ディスプレイの部分領域ごとの視認性を推定する視認性推定手段と
をさらに備え、
前記映像振分手段は、
前記優先順位記憶手段によって記憶された前記優先順位が高い前記映像ソースから優先して前記視認性推定手段によって推定された前記視認性の高い前記部分領域へ表示するように振り分けることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記視認性推定手段は、
前記部分領域に対応付けられた前記照度検出手段によって検出された前記照度が所定の閾値を超えた個数に基づいて前記視認性を推定することを特徴とする請求項2または3に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記視認性推定手段は、
前記部分領域に対応付けられた前記照度検出手段によって検出された前記照度の合計値に基づいて前記視認性を推定することを特徴とする請求項2、3または4に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記映像振分手段によって振り分けられた前記映像ソースを補正する映像補正手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記優先順位記憶手段は、
前記優先順位の変更が可能であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一つに記載の映像表示装置。
【請求項8】
前記照度検出手段は複数設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の映像表示装置。
【請求項1】
ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、
前記ディスプレイの近傍の照度を検出する照度検出手段と、
前記照度検出手段によって検出された前記照度に基づいて前記ディスプレイに表示する前記映像の表示位置を決定する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、
前記ディスプレイの照度を検出する照度検出手段と、
前記照度検出手段によって検出された前記照度に基づいて前記ディスプレイの部分領域ごとの前記照度を判定する照度判定手段と、
前記照度判定手段によって判定された前記ディスプレイの部分領域ごとの前記照度に基づいて前記ディスプレイに表示する1つまたは複数の映像情報をいずれの前記部分領域へ表示するかを決定する映像振分手段と
を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
前記ディスプレイに表示する前記映像ソースに対して予め優先順位を記憶する優先順位記憶手段と、
前記照度判定手段によって判定された前記照度に基づいて前記ディスプレイの部分領域ごとの視認性を推定する視認性推定手段と
をさらに備え、
前記映像振分手段は、
前記優先順位記憶手段によって記憶された前記優先順位が高い前記映像ソースから優先して前記視認性推定手段によって推定された前記視認性の高い前記部分領域へ表示するように振り分けることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記視認性推定手段は、
前記部分領域に対応付けられた前記照度検出手段によって検出された前記照度が所定の閾値を超えた個数に基づいて前記視認性を推定することを特徴とする請求項2または3に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記視認性推定手段は、
前記部分領域に対応付けられた前記照度検出手段によって検出された前記照度の合計値に基づいて前記視認性を推定することを特徴とする請求項2、3または4に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記映像振分手段によって振り分けられた前記映像ソースを補正する映像補正手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記優先順位記憶手段は、
前記優先順位の変更が可能であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一つに記載の映像表示装置。
【請求項8】
前記照度検出手段は複数設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−42761(P2012−42761A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184433(P2010−184433)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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