説明

映像送信システム

【課題】 画像データを複数の送信先に送信する場合に、通信トラフィックの抑制と通信速度の確保とを両立させることができる映像伝送システムを提供する。
【解決手段】 カメラ端末1は、複数の表示端末の各々の通信速度を記憶したPHY速度管理部1cと、要求コマンドの送信元の表示端末毎に当該表示端末の通信速度に基づく重み係数を導出し、この重み係数の和を所定の閾値と比較した比較結果に基づいて、要求コマンドの送信元の表示端末に画像データを送信する送信形態をユニキャストまたはマルチキャストに設定する送信形態決定部1eと、送信形態決定部1eが設定した送信形態によって画像データを共用部幹線に送出する送信部1bとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像送信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視エリアを撮像するカメラ端末(映像送信端末)と映像を表示する複数の表示端末とがネットワークに接続されて、カメラ端末が、撮像した画像データをネットワーク経由で各表示端末へ送信する映像送信システムがあり、その構成例を図14に示す。
【0003】
図14は、集合住宅のインターホンシステムに用いられる映像送信システムであり、来訪者を撮影するカメラ端末101と、カメラ端末101が送出した画像データを再生するモニタテレビ付き住戸親機102と、システム内の信号伝送を制御する制御装置103とを備える。
【0004】
カメラ端末101は共用部幹線NT1に接続しており、共用部幹線NT1に設けた増幅器104を介して制御装置103に接続している。
【0005】
住戸親機102は、共用部幹線NT1とは別に構成された複数の住宅幹線NT2のいずれかに接続しており、住宅幹線NT2の各々には1乃至複数の住戸親機102が接続し、各住宅幹線NT2には、必要に応じて増幅器105が介挿される。これらの各住宅幹線NT2は制御装置103に接続している。
【0006】
制御装置103は、共用部幹線NT1と住宅幹線NT2との間の通信制御を行っており、例えば、カメラ端末101から送信された画像データをいずれの住宅幹線NT2に送出するかを判断する。
【0007】
また、共用部幹線NT1には、管理室親機110、ロビーインターホン111が接続されている。管理室親機110は、住戸親機102およびロビーインターホン111との間で画像データの授受や、音声信号による通話を行うことができ、さらにはカメラ端末101から送信された画像データを表示することもできる。ロビーインターホン111は、住戸親機102および管理室親機110との間で画像データの授受や、音声信号による通話を行うことができる。
【0008】
そして、各住戸親機102は、監視画像を表示する場合、カメラ端末101に対して接続要求コマンドを送信する。接続要求コマンドを受信したカメラ端末101は、画像データを要求元の住戸親機102へ送信する。住戸親機102は、受信した画像データを表示する。したがって、複数の住戸親機102から接続要求コマンドが送信されると、カメラ端末101は、複数の要求元の住戸親機102へ画像データを送信する必要がある。
【0009】
しかしながら、ネットワーク通信に低速メディアを使用した場合、上記のように複数の要求元の住戸親機102へ画像データをユニキャスト送信すると、共用部幹線NT1の通信トラフィックが増大するという問題がある。そこで、複数の要求元の住戸親機102へ画像データをマルチキャスト送信することが考えられるが、必要でない住宅幹線NT2にまで画像データが送信され、システム全体としての通信トラフィックが増大してしまう。ここで、必要でない住宅幹線NT2とは、要求元の住戸親機102が接続されていない住宅幹線NT2のことである。
【0010】
而して、複数の住戸親機102へ同じ画像データを送信する場合にシステム内の通信トラフィックを抑制するために、以下のような構成が提案された。例えば、映像選択サーバをネットワーク中に設けて、映像選択サーバが、カメラ端末から画像データを取得して、要求元の住戸親機へ送信する。そして、この映像選択サーバが、カメラ端末から取得した画像データを送信する際に、要求元の住戸親機の台数に応じて、ユニキャスト送信するか、マルチキャスト送信するかを決定する(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
また、カメラ端末と住戸親機とが通信を直接行うシステムにおいても、要求元の住戸親機の台数に応じて、カメラ端末の画像データの送信形態をユニキャスト送信またはマルチキャスト送信に設定する構成が提案された(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−289588号公報
【特許文献2】特開2008−131185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1,2の構成では、要求元の住戸親機の台数(接続数)に応じて、カメラ端末の画像データの送信形態をユニキャスト送信またはマルチキャスト送信に設定している。
【0014】
しかし、例えば、全ての住戸親機の伝送環境にイーサネット(登録商標)のみを用いた場合は、そのPHY速度(通信速度)は固定であるが、住戸親機によって、交流電源線を用いた電力線搬送通信であるPLC(Power Line Communications)、直流電源線を用いた電力線搬送通信、無線LAN等の伝送環境が混在する場合、その伝送環境に応じてPHY速度が異なる。而して、従来のように、単に要求元の住戸親機の台数に応じて、カメラ端末の画像データの送信形態をユニキャスト送信またはマルチキャスト送信に設定する方法では、通信トラフィックの抑制と通信速度の確保とを適切に両立させることは困難であった。
【0015】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像データを複数の送信先に送信する場合に、通信トラフィックの抑制と通信速度の確保とを両立させることができる映像伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の映像送信システムは、画像データの送信先となる複数の表示端末の各通信速度に基づく重み係数の和を導出し、この重み係数の和を所定の閾値と比較した比較結果に基づいて、前記表示端末に画像データを送信する送信形態をユニキャストまたはマルチキャストに設定する映像送信端末を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明において、撮像した画像データを幹線に送出する映像送信端末と、前記幹線から画像データを受信して表示する複数の表示端末とを備え、前記表示端末は、複数の通信速度からいずれか1つの通信速度が通信品質に基づいて設定されて、この設定された通信速度で前記幹線を介した通信を行う通信部と、前記映像送信端末へ画像データを要求する要求コマンドを生成して、この要求コマンドを前記通信部を介して送信するコマンド生成部とを具備し、前記映像送信端末は、前記複数の表示端末の各々の通信速度を記憶した第1の通信速度管理部と、前記要求コマンドの送信元の表示端末毎に当該表示端末の通信速度に基づく重み係数を導出し、この重み係数の和を所定の閾値と比較した比較結果に基づいて、前記要求コマンドの送信元の表示端末に画像データを送信する送信形態をユニキャストまたはマルチキャストに設定する第1の送信形態決定部と、この第1の送信形態決定部が設定した送信形態によって画像データを前記幹線に送出する第1の送信部とを具備することが望ましい。
【0018】
この発明において、複数の前記幹線間における画像データの授受を中継する中継端末を設け、この中継端末は、中継対象となる前記幹線に接続した表示端末の各々の通信速度を記憶した第2の通信速度管理部と、前記中継対象となる幹線に接続した表示端末のうち前記要求コマンドの送信元の表示端末毎に当該表示端末の通信速度に基づく重み係数を導出し、この重み係数の和を所定の閾値と比較した比較結果に基づいて、前記中継対象となる幹線に接続した表示端末のうち前記要求コマンドの送信元の表示端末に画像データを中継する送信形態をユニキャストまたはマルチキャストに設定する第2の送信形態決定部と、この第2の送信形態決定部が設定した送信形態によって画像データを前記中継対象となる幹線に送出する第2の送信部とを具備することが望ましい。
【0019】
この発明において、複数の前記幹線間における画像データの授受を中継する中継端末を設け、前記映像送信端末の第1の送信部は、ユニキャストによって、前記要求コマンドの送信元の複数の表示端末へ同一の前記中継端末を介して画像データを送信する場合、前記複数の表示端末を宛先とする1つの画像データをユニキャスト送信することが望ましい。
【0020】
この発明において、前記映像送信端末の第1の送信部は、マルチキャストによって、前記要求コマンドの送信元の複数の表示端末へ画像データを送信する場合、当該複数の表示端末の各通信速度のうち最も遅い通信速度でマルチキャスト送信することが望ましい。
【0021】
この発明において、前記映像送信端末の第1の送信部は、前記要求コマンドの送信元の表示端末へ画像データを送信する場合、1フレーム分の画像データを1乃至複数の画像データに分割し、前記第1の送信形態決定部が、前記送信形態をユニキャストに設定した場合、前記分割した各画像データの送信間隔は、1フレーム分の画像データの生成間隔を、前記画像データの分割数と前記要求コマンドの送信元の表示端末の数との積で除した値に設定し、前記第1の送信形態決定部が、前記送信形態をマルチキャストに設定した場合、前記分割した各画像データの送信間隔は、1フレーム分の画像データの生成間隔を、前記画像データの分割数で除した値に設定することが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明では、画像データを複数の送信先に送信する場合に、通信トラフィックの抑制と通信速度の確保とを両立させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1のカメラ端末の構成を示すブロック図である。
【図2】同上の映像送信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】同上の住戸親機の構成を示すブロック図である。
【図4】同上の通信方式管理テーブルの構造を示す図である。
【図5】(a)(b)同上の接続管理テーブルの構造を示す図である。
【図6】同上の重み係数テーブルの構造を示す図である。
【図7】同上の送信形態決定処理を示すフローチャート図である。
【図8】実施形態2の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】同上の通信方式管理テーブルの構造を示す図である。
【図10】同上の増幅器における端末情報の取得処理を示すシーケンス図である。
【図11】実施形態4の通信方式管理テーブルの構造を示す図である。
【図12】実施形態5の送信形態決定処理を示すフローチャート図である。
【図13】同上の画像データの分割処理を示す概略図である。
【図14】従来の映像送信システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施形態1)
図2は、集合住宅のインターホンシステムに用いられる映像送信システムであり、来訪者を撮影するカメラ端末1と、カメラ端末1が送出した画像データを再生するモニタテレビ付き住戸親機2と、システム内の信号伝送を制御する制御装置3とを備える。ここで、カメラ端末1は、本発明の映像送信端末に相当し、住戸親機2は、本発明の表示端末に相当する。
【0026】
カメラ端末1は共用部幹線NT1に接続しており、共用部幹線NT1に設けた増幅器4を介して制御装置3に接続している。そして、通過する画像データを増幅する増幅器4を共用部幹線NT1に適宜挿入することにより、画像データの伝送損失を補っている。
【0027】
住戸親機2は、共用部幹線NT1とは別に構成された複数の住宅幹線NT2のいずれかに接続しており、住宅幹線NT2の各々には1乃至複数の住戸親機2が接続する。そして、通過する画像データを増幅する増幅器5を住宅幹線NT2に適宜挿入することにより、画像データの伝送損失を補っている。これらの各住宅幹線NT2は制御装置3に接続している。
【0028】
制御装置3は、共用部幹線NT1と複数の住宅幹線NT2との間の通信制御を行っており、例えば、カメラ端末1から送信された画像データをいずれの住宅幹線NT2に送出するかを判断する。
【0029】
また、共用部幹線NT1には、管理室親機10、ロビーインターホン11が接続されている。管理室親機10は、住戸親機2およびロビーインターホン11との間で画像データの授受や、音声信号による通話を行うことができ、さらにはカメラ端末1から送信された画像データを表示することもできる。ロビーインターホン11は、住戸親機2および管理室親機10との間で画像データの授受や、音声信号による通話を行うことができる。
【0030】
そして、各住戸親機2は、監視画像を表示する場合、カメラ端末1に対して接続要求コマンドを送信する。接続要求コマンドを受信したカメラ端末1は、画像データを要求元の住戸親機2へ送信する。住戸親機2は、受信した画像データを表示する。したがって、複数の住戸親機2から接続要求コマンドが送信されると、カメラ端末1は、複数の要求元の住戸親機2へ画像データを送信する。
【0031】
図3は、住戸親機2の構成を示し、表示部2aと、コマンド生成部2bと、通信部2cとで構成される。表示部2aは、LCD等で構成され、カメラ端末1から受信した画像データを表示する。コマンド生成部2bは、カメラ端末1へ送信する接続要求コマンドを生成する機能を有して、ユーザ操作または人感センサ等の出力をコマンド生成トリガとしており、生成した接続要求コマンドは通信部2cから住宅幹線NT2へ送出される。ここで、コマンド生成部2bは、本発明のコマンド生成部に相当する。
【0032】
通信部2cは、住宅幹線NT2との間でネットワーク信号の授受を行うインターフェース機能を有する。そして通信部2cは、その通信方式に対応したPHY速度(最大物理速度)が、通信品質に基づいて規定されており、住戸親機2毎に個別に規定されている。本システムでは、PHY速度の異なる4つの通信方式が使用されており、通信部2cは、[方式1:1Mbps],[方式2:2Mbps],[方式3:5Mbps],[方式4:10Mbps]のうちいずれかの通信方式を用いる。ここで、通信部2cは、本発明の通信部に相当する。
【0033】
なお、本システム内でマルチキャスト通信を行う場合、各端末が自己の通信方式に依らず受信できるように、PHY速度が最も遅い通信方式[方式1:1Mbps]を用いるものとする。
【0034】
図1は、カメラ端末1の構成を示し、受信部1aと、送信部1bと、PHY速度管理部1cと、接続情報管理部1dと、送信形態決定部1eと、撮像部1fとで構成される。
【0035】
受信部1aは、共用部幹線NT1からネットワーク信号を受信するインターフェース機能を有しており、例えば住戸親機2からの各コマンドを受信する。
【0036】
送信部1bは、撮像部1fが撮像した画像データを共用部幹線NT1に送出するインターフェース機能を有しており、本発明の第1の送信部に相当する。そして、送信部1bは、[方式1:1Mbps],[方式2:2Mbps],[方式3:5Mbps],[方式4:10Mbps]の通信方式を適宜切り替えて用いることができる。各通信方式は、PSK(Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の二値変調、多値変調を用いて実現される。
【0037】
PHY速度管理部1cは、本システム内の全ての住戸親機2の各PHY速度(通信方式)を記憶しており、例えば図4に示す通信方式管理テーブルTB1を格納している。通信方式管理テーブルTB1は、住戸親機2(21,22,23,...)の各々に対応して、通信方式と、共用部幹線NT1に設けられた中継端末とが設定されている。本実施形態では、住戸親機2に、通信方式[方式3]、中継端末[増幅器4]が設定されている。PHY速度管理部1cは、本発明の第1の通信速度管理部に相当する。
【0038】
接続情報管理部1dは、接続要求コマンドを送信してきた住戸親機2の端末情報を管理しており、受信した接続要求コマンドに含まれる要求元の識別情報に基づいて、図5(a)に示す接続管理テーブルTB2aを作成する。接続管理テーブルTB2aには、接続要求コマンドを送信してきた接続端末である住戸親機2の端末情報が登録され、接続が切断されると当該住戸親機2の端末情報が削除される。
【0039】
送信形態決定部1eは、接続端末である1乃至複数の住戸親機2の各PHY速度に応じて、画像データの送信形態をユニキャスト送信またはマルチキャスト送信に設定する。送信形態決定部1eは、本発明の第1の送信形態決定部に相当する。以下、この送信形態の決定処理について説明する。
【0040】
まず、送信形態決定部1eは、PHY速度対応表として、図6に示す重み係数テーブルTB3を保持している。重み係数テーブルTB3は、通信方式1〜4の各々に対応して、PHY速度が対応付けられており、さらにはPHY速度から算出された重み係数が対応付けられている。重み係数は、PHY速度の逆数であり、PHY速度:1Mbpsの重み係数は[1]、PHY速度:2Mbpsの重み係数は[0.5]、PHY速度:5Mbpsの重み係数は[0.2]、PHY速度:10Mbpsの重み係数は[0.1]となる。
【0041】
そして、送信形態決定部1eは、図7のフローチャートにしたがって処理を行う。まず、接続情報管理部1dが生成した接続管理テーブルTB2aを参照して、接続先の住戸親機2(接続要求コマンドを送信してきた住戸親機2)を確認する(S1)。次に、通信方式管理テーブルTB1を参照して、接続先の住戸親機2のPHY速度を確認する(S2)。次に、重み係数テーブルTB3を参照して、接続先の住戸親機2の重み係数を確認し、接続先の住戸親機2の重み係数と接続数とを[数1]に適用して、接続先の住戸親機2の重み係数の和であるトータル係数を算出する(S3)。
【0042】
【数1】

【0043】
このトータル係数は、接続先の住戸親機2の重み係数と接続数とに基づいて算出されており、カメラ端末1が接続先の住戸親機2へ画像データを個別にユニキャスト送信した場合の通信トラフィック量に相当する。また、接続先の住戸親機2へ画像データをマルチキャスト送信した場合の通信トラフィック量は、マルチキャスト送信に用いる方式1の重み係数[1]が相当する。
【0044】
そして、送信形態決定部1eは、算出したトータル係数が、マルチキャスト送信に用いる方式1の重み係数1以上か否かを判定する(S4)。トータル係数が1以上であれば、マルチキャスト送信時の通信トラフィック量がユニキャスト送信時に比べて少ないと判断して、接続先の住戸親機2に対する画像データの送信形態をマルチキャストに設定する(S5)。一方、トータル係数が1未満であれば、ユニキャスト送信時の通信トラフィック量がマルチキャスト送信時に比べて少ないと判断して、接続先の住戸親機2に対する画像データの送信形態をユニキャストに設定する(S6)。
【0045】
送信部1bは、画像データの送信形態がマルチキャストに設定された場合、住戸親機2がその通信方式に依らず受信できるように、PHY速度が最も遅い通信方式[方式1:1Mbps]で、接続先の住戸親機2に対して画像データをマルチキャスト送信する。
【0046】
また、送信部1bは、画像データの送信形態がユニキャストに設定された場合、接続先の住戸親機2に対して、送信先の住戸親機2の通信方式で、画像データを個別にユニキャスト送信する。本実施形態では、全ての接続先の住戸親機2に対して、通信方式[方式3:5Mbps]でユニキャスト送信される。
【0047】
このように、カメラ端末1は、送信先の住戸親機2の接続数だけでなく個々の住戸親機2に送信するときのPHY速度も考慮して、マルチキャスト送信またはユニキャスト送信を選択している。したがって、画像データを複数の住戸親機2に送信する場合に、通信トラフィックの抑制と通信速度の確保とを両立させることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、全ての住戸親機2に通信方式[方式3:5Mbps]が設定されおり、接続数が4台以下であればユニキャスト送信が選択され、接続数が5台以上であればマルチキャスト送信が選択される。
【0049】
また、住戸親機2以外に、管理室親機10等の他の端末も表示端末として機能することは可能である。
【0050】
(実施形態2)
本実施形態は、実施形態1の構成に加えて、中継端末である制御装置3においても、マルチキャストとユニキャストとの切替を行う機能を設ける。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0051】
図8は、制御装置3の構成を示し、共用側通信部3aと、住戸側通信部3bと、PHY速度管理部3cと、接続情報管理部3dと、送信形態決定部3eと、制御部3fとで構成される。
【0052】
共用側通信部3aは、共用部幹線NT1との間でネットワーク信号の授受を行うインターフェース機能を有している。住戸側通信部3bは、本発明の第2の送信部に相当するものであり、複数の住宅幹線NT2との間でネットワーク信号の授受を行うインターフェース機能を有している。そして、共用側通信部3aおよび住戸側通信部3bは、[方式1:1Mbps],[方式2:2Mbps],[方式3:5Mbps],[方式4:10Mbps]の通信方式を適宜切り替えて用いることができる。各通信方式は、PSK(Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の二値変調、多値変調を用いて実現される。
【0053】
制御部3fは、共用部幹線NT1と複数の住宅幹線NT2との間の通信制御を行っており、例えば、カメラ端末1から送信された画像データをいずれの住宅幹線NT2に送出するかを判断する。すなわち、複数の住宅幹線NT2の各々が画像データの中継対象となる幹線であり、制御装置3は、これらの中継対象となる各住宅幹線NT2に接続された住戸親機2への画像データを中継する中継端末としての機能を有する。
【0054】
PHY速度管理部3cは、中継対象となる各住宅幹線NT2に接続された全ての住戸親機2の各PHY速度を記憶している。例えば図9に示す通信方式管理テーブルTB4を格納している。通信方式管理テーブルTB4は、住戸親機2(21,22,23,...)の各々に対応して、通信方式と、接続されている住宅幹線NT2の情報と、住戸親機2との間に設けられている中継端末(増幅器51,52,53,...)とが設定されている。なお、住戸親機2との間で、中継端末を介さずに直接通信を行う場合、中継端末の欄には当該住戸親機2が設定される。PHY速度管理部2cは、本発明の第2の通信速度管理部に相当する。
【0055】
接続情報管理部3dは、接続要求コマンドを送信してきた接続端末である住戸親機2の端末情報、接続要求コマンドによって画像データを送信する送信元端末であるカメラ端末1の端末情報を管理している。そして、受信した接続要求コマンドに含まれる要求元の識別情報および要求先の識別情報に基づいて、図5(b)に示す接続管理テーブルTB2bを住宅幹線NT2毎に作成する。接続管理テーブルTB2bには、接続端末である住戸親機2の端末情報と、送信元端末であるカメラ端末1の端末情報とが住宅幹線NT2毎に登録される。そして、接続が切断されると当該住戸親機2およびカメラ端末1の各端末情報が削除される。制御装置3は、共用部幹線NT1と全ての住宅幹線NT2との間に接続されて、制御部3fが本システム内のネットワーク通信を管理しているので、接続情報管理部3dは、住宅幹線NT2毎に端末情報を把握できる。
【0056】
送信形態決定部3eは、カメラ端末1から受信した画像データを各住宅幹線NT2に中継する際に、住宅幹線NT2毎に、画像データの送信形態をユニキャスト送信またはマルチキャスト送信に設定する。送信形態決定部3eは、本発明の第2の送信形態決定部に相当する。以下、この中継処理における送信形態の決定処理について説明する。
【0057】
まず、送信形態決定部3eは、送信形態決定部1eと同様に、図6に示す重み係数テーブルTB3を保持している。そして送信形態決定部3eは、接続情報管理部3dが住宅幹線NT2毎に生成した接続管理テーブルTB2bを参照して、同一の送信元端末を設定された接続端末(各住宅幹線NT2から接続要求コマンドを送信してきた中継先の住戸親機2)を確認する。
【0058】
次に、送信形態決定部3eは、通信方式管理テーブルTB4を参照して、住宅幹線NT2毎に中継先の住戸親機2のPHY速度を確認する。次に、重み係数テーブルTB3を参照して、住宅幹線NT2毎に中継先の住戸親機2の重み係数を確認する。そして、住宅幹線NT2毎に、同一の送信元端末が設定された中継先の住戸親機2の重み係数と接続数とを[数1]に適用して、同一の送信元端末が設定された中継先の住戸親機2の重み係数の和であるトータル係数を、住宅幹線NT2毎に算出する。
【0059】
この住宅幹線NT2毎のトータル係数は、住宅幹線NT2毎に中継先の住戸親機2の重み係数と接続数とに基づいて算出されており、住宅幹線NT2毎に中継先の住戸親機2へ画像データを個別にユニキャスト送信した場合の通信トラフィック量に相当する。また、中継先の住戸親機2へ画像データをマルチキャスト送信した場合の通信トラフィック量は、マルチキャスト送信に用いる方式1の重み係数[1]が相当する。
【0060】
そして、送信形態決定部3eは、住宅幹線NT2毎に算出したトータル係数が、マルチキャスト送信に用いる方式1の重み係数1以上か否かを判定する。住宅幹線NT2毎のトータル係数が1以上であれば、マルチキャスト送信時の通信トラフィック量がユニキャスト送信時に比べて少ないと判断して、当該住宅幹線NT2の住戸親機2に対する画像データの送信形態をマルチキャストに設定する。一方、トータル係数が1未満であれば、ユニキャスト送信時の通信トラフィック量がマルチキャスト送信時に比べて少ないと判断して、当該住宅幹線NT2の住戸親機2に対する画像データの送信形態をユニキャストに設定する。
【0061】
住戸側通信部3bは、当該住宅幹線NT2における画像データの送信形態がマルチキャストに設定された場合、PHY速度が最も遅い通信方式[方式1:1Mbps]で、中継先の住戸親機2に対して画像データをマルチキャスト送信する。
【0062】
また、住戸側通信部3bは、当該住宅幹線NT2における画像データの送信形態がユニキャストに設定された場合、中継先の住戸親機2に対して、中継先の住戸親機2の通信方式で、画像データを個別にユニキャスト送信する。本実施形態では、全ての中継先の住戸親機2に対して、通信方式[方式3:5Mbps]でユニキャスト送信される。
【0063】
なお、実施形態1で説明したように全ての住戸親機2に通信方式[方式3:5Mbps]が設定されている。したがって、制御装置3の送信形態は、住宅幹線NT2毎の接続数が4台以下であればユニキャスト送信が選択され、住宅幹線NT2毎の接続数が5台以上であればマルチキャスト送信が選択される。
【0064】
このように、制御装置3は、中継先の住戸親機2の接続数だけでなく個々の住戸親機2に送信するときのPHY速度も考慮して、マルチキャスト送信またはユニキャスト送信を選択している。したがって、画像データを複数の住戸親機2に中継する場合に、通信トラフィックの抑制と通信速度の確保とを両立させることができる。
【0065】
また、カメラ端末1と制御装置3との両方が、画像データを送信、中継する際に、送信する幹線における住戸親機2の接続数だけでなく個々の住戸親機2に送信するときのPHY速度も考慮して、マルチキャスト送信またはユニキャスト送信を選択している。したがって、システム全体における通信トラフィックの抑制と通信速度の確保とを両立させることが可能となる。
【0066】
さらに、共用部幹線NT1,住宅幹線NT2の各々に接続した増幅器4,5も、上記制御装置3と同様の構成を備えて、画像データの中継端末として機能する。この増幅器4,5においても、制御装置3と同様に中継先の住戸親機2の重み係数と接続数とに基づいて、接続数だけでなく個々の住戸親機2に送信するときのPHY速度も考慮して、マルチキャスト送信またはユニキャスト送信を選択して、中継動作を行う。
【0067】
しかし、増幅器4,5は、制御装置3のように本システム内のネットワーク通信を能動的に把握する機能を有していない。そこで、増幅器4,5は、図10に示すシーケンスにしたがって、自己が接続された住宅幹線NT2における端末情報を受動的に把握する。
【0068】
まず、住戸親機2から接続要求コマンドが送信されると、制御装置3が増幅器5を介して接続要求コマンドを受信する(S11)。制御装置3の接続情報管理部3dは、接続管理テーブルTB2bを作成している(図5(b)参照)。そして、接続要求コマンドを送信してきた接続端末である住戸親機2の端末情報、接続要求コマンドによって画像データを送信する送信元端末であるカメラ端末1の端末情報を接続管理テーブルTB2bに登録する(S12)。
【0069】
次に、制御装置3の制御部3fは、住宅幹線NT2に設けられて接続要求コマンドを中継した増幅器5と、共用部幹線NT1に設けられた増幅器4とに、テーブル登録要求コマンドを送信する。テーブル登録要求コマンドを受信した増幅器4,5でも、接続端末である住戸親機2の端末情報、接続要求コマンドによって画像データを送信する送信元端末であるカメラ端末1の端末情報を接続管理テーブルTB2bに登録する(S13)。このようにして、増幅器4,5は、自己が接続された共用部幹線NT1,住宅幹線NT2における接続端末の情報、およびこの接続端末に関連付けられた送信元端末の情報を把握することができる。
【0070】
次に、制御装置3の制御部3fは、増幅器4を介してカメラ端末1へ接続要求コマンドを送信する(S14)。接続要求コマンドを受信したカメラ端末1は、増幅器4、制御装置3、増幅器5を介して、要求元の住戸親機2へ接続確立応答を返信する(S15)。接続確立応答を受信した住戸親機2は、カメラ端末1から続いて送信される画像データを受信し、この画像データを取得する(S16)。
【0071】
次に、全ての画像データの取得処理を完了した住戸端末2は、増幅器5、制御装置3、増幅器4を介して、カメラ端末1へ切断要求コマンドを送信する(S17)。切断要求コマンドを受信したカメラ端末1は、増幅器4を介して制御装置3へ切断応答を送信する(S18)。切断応答を受信した制御装置3の接続情報管理部3dは、接続管理テーブルTB2bから切断要求コマンドの送信元の住戸親機2の端末情報、およびこの住戸端末2に関連付けられたカメラ端末1の端末情報を削除する(S19)。
【0072】
次に、制御装置3の制御部3fは、増幅器4,5にテーブル削除要求コマンドを送信する。テーブル削除要求コマンドを受信した増幅器4,5でも、切断要求コマンドの送信元の住戸親機2の端末情報、およびこの住戸端末2に関連付けられたカメラ端末1の端末情報を接続管理テーブルTB2bから削除する(S20)。このようにして、増幅器4,5は、自己が接続された共用部幹線NT1,住宅幹線NT2における端末情報を把握することができる。
【0073】
次に、制御装置3の制御部3fは、切断要求の送信元の住戸親機2へ、増幅器5を介して切断応答を送信し、切断応答を受信した住戸親機2は、ネットワーク接続を切断する(S21)。
【0074】
上記のように、中継端末である増幅器4,5は、制御装置3からのテーブル登録要求およびテーブル削除要求によって、接続管理テーブルTB2bを作成しており、自己が接続された共用部幹線NT1、住宅幹線NT2における端末情報を把握することができる。したがって、増幅器4,5においても、上記制御装置3と同様の構成を備えることで、中継先の住戸親機2の重み係数と接続数とに基づいて、マルチキャスト送信またはユニキャスト送信を選択して、中継動作を行うことが可能となる。
【0075】
なお、図10では、増幅器4,5を各々1台づつ設けているが、増幅器4,5が複数台設けられている場合も、増幅器4,5の各々が上記同様に接続管理テーブルTB2bを作成する。したがって、増幅器4,5の各々は、自己が接続された共用部幹線NT1,住宅幹線NT2における端末情報を把握することができる。
【0076】
(実施形態3)
本実施形態の映像送信システムは、実施形態2と同様の構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0077】
まず、カメラ端末1の送信部1bが複数の接続先の住戸親機2に対して画像データを個別にユニキャスト送信する場合、共用部幹線NT1に送出するユニキャストパケットは、同じ制御装置3によって中継される。このように中継ルートが同じユニキャスト送信は、複数回同じ画像データを個別に送信すると通信帯域を消費するので、送信部1bは、複数の接続先の全ての住戸親機2を宛先とするユニキャストパケットを1回のみ送信する。
【0078】
そして、制御装置3の住戸側通信部3bは、カメラ端末1から受信したユニキャストパケットの宛先に複数の住戸親機2が設定されている場合、接続端末が存在する住宅幹線NT2毎にユニキャストパケットを作成する。このとき、複数の住戸親機2が同一の住宅幹線NT2に接続されている場合、この住宅幹線NT2には、複数の住戸親機2を宛先とするユニキャストパケットを作成する。そして住戸側通信部3bは、接続端末が存在する各住宅幹線NT2へユニキャストパケットを送信する。
【0079】
このように、複数の住戸親機2までの中継ルートが同一であるユニキャストパケットについては、複数の住戸親機2を宛先とするユニキャストパケットを1回のみ送信する。したがって、この中継ルートにおける通信帯域を有効に使用することができ、伝送負荷を抑制することができる。
【0080】
また、増幅器4,5においても、画像データの中継時に、複数の住戸親機2までの中継ルートが同一であるユニキャストパケットについては、複数の住戸親機2を宛先とするユニキャストパケットを1回のみ送信してもよい。
【0081】
(実施形態4)
本実施形態の映像送信システムは、実施形態1乃至3いずれかと同様の構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0082】
カメラ端末1の送信部1bが複数の接続先の住戸親機2に対して画像データをマルチキャスト送信する場合、このマルチキャスト送信に用いる通信方式(PHY速度)を以下のように決定する。送信部1bは、通信方式管理テーブルTB1を参照して、接続先の住戸親機2(接続要求コマンドを送信してきた住戸親機2)のうち、最もPHY速度が遅い通信方式をマルチキャスト送信に用いる。
【0083】
実施形態1乃至3においては、マルチキャスト通信を行う場合、各端末が自己の通信方式に依らず受信できるように、システム内で使用可能な通信方式のうちPHY速度が最も遅い通信方式[方式1:1Mbps]を用いる。しかし、本実施形態では、マルチキャスト送信を行う場合、接続先の住戸親機2の通信方式のうち最も遅いPHY速度を用いる。したがって、マルチキャスト送信時における通信の確実性を確保しながら、伝送負荷を抑制することができる。
【0084】
例えば、本システムのネットワーク通信に周波数多重のマルチキャリア通信を用いた場合、カメラ端末1のPHY速度管理部1cは、図11に示す通信方式管理テーブルTB5を格納している。通信方式管理テーブルTB5は、住戸親機2(21,22,23,...)の各々に対応して、通信方式と、共用部幹線NT1に設けられた中継端末とが設定されている。本実施形態では、通信に用いるキャリア周波数毎(キャリア1,キャリア2,キャリア3,...)に、各住戸親機2に対応して通信方式が設定されている。なお、各通信方式におけるPHY速度は、実施形態1と同様に、[方式1:1Mbps],[方式2:2Mbps],[方式3:5Mbps],[方式4:10Mbps]とする。
【0085】
そして、接続先の住戸親機2が住戸親機21,23,24の場合、キャリア1では、住戸親機21,23,24の各通信方式のうち最もPHY速度の遅い[方式2:2Mbps]をマルチキャスト送信に用いる。キャリア2では、住戸親機21,23,24の各通信方式のうち最もPHY速度の遅い[方式2:2Mbps]をマルチキャスト送信に用いる。以降、キャリア3〜10においても、住戸親機21,23,24の各通信方式のうち最もPHY速度の遅い方式をマルチキャスト送信に用いる。
【0086】
(実施形態5)
本実施形態の映像送信システムは、実施形態1乃至4いずれかと同様の構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0087】
カメラ端末1の送信部1bは、画像データを送信する場合に、通信トラフィックの急増を抑えるために1フレームの画像データを複数に分割した分割パケットを作成し、この分割パケットを順次送信する。その送信処理を、図12のフローチャートに示す。なお、ステップS1〜S6までは、実施形態1の図7と同様であり、説明は省略する。
【0088】
まず、ステップS5において、送信形態決定部1eが、接続先の住戸親機2に対する画像データの送信形態をマルチキャストに設定した場合、送信部1bは、1フレームの画像データの分割数Nvを算出する(S31)。この分割数は、1フレームの画像データのデータ量に応じて、当該データ量が多ければ分割数Nvが大きく、当該データ量が少なければ分割数Nvが小さく設定され、分割した画像データ(分割パケット)当たりのデータ量を抑制している。
【0089】
そして、1フレームの画像データは、図13に示すように、送信部1bにおけるフレーム生成間隔Tfが予め決まっており、ここではフレーム生成間隔Tf=100(ms)とする。そして、分割パケットの送信間隔である分割送信間隔Tbは、
分割送信間隔Tb=フレーム生成間隔Tf/分割数Nv
に設定される(S32)。なお、図13では、分割数Nv=3の場合を示す。
【0090】
送信部1bは、画像データの送信形態がマルチキャストに設定された場合、上記ステップS32で設定された分割送信間隔Tb毎に、分割パケットをマルチキャスト送信する。
【0091】
例えば、フレーム生成間隔Tf=100(ms)、分割数Nv=2の場合、分割送信間隔Tb=50(ms)となる。したがって、1フレームを2分割した1番目の分割パケットをマルチキャスト送信して、50msec経過した後に2番目の分割パケットをマルチキャスト送信する。
【0092】
一方、ステップS6において、送信形態決定部1eが、接続先の住戸親機2に対する画像データの送信形態をユニキャストに設定した場合、送信部1bは、1フレームの画像データの分割数Nvを算出する(S33)。この分割数Nvは、ステップS31と同様に算出される。
【0093】
そして、分割パケットの送信間隔である分割送信間隔Tbは、接続先の住戸親機2の台数を接続数Nsとすると、
分割送信間隔Tb=フレーム生成間隔Tf/(分割数Nv×接続数Ns)
に設定される(S34)。すなわち、分割パケットを、接続先の住戸親機2bの各々に個別にユニキャスト送信するため、ユニキャスト送信時の分割送信間隔Tbは、ステップS34のようになる。
【0094】
送信部1bは、画像データの送信形態がユニキャストに設定された場合、上記ステップS34で設定された分割送信間隔Tb毎に、分割パケットを、接続先の住戸親機2bの各々に個別にユニキャスト送信する。
【0095】
例えば、フレーム生成間隔Tf=100(ms)、分割数Nv=2、接続数Ns=2の場合、分割送信間隔Tb=25(ms)となる。したがって、1フレームを2分割した1番目の分割パケットを1番目の住戸親機2へユニキャスト送信して、25msec経過した後に1番目の分割パケットを2番目の住戸親機2へユニキャスト送信する。続いて25msec経過した後に、1フレームを2分割した2番目の分割パケットを1番目の住戸親機2へユニキャスト送信して、さらに25msec経過した後に2番目の分割パケットを2番目の住戸親機2へユニキャスト送信する。
【0096】
このように、1フレームの画像データをそのデータ量に基づいて分割し、分割した各分割パケットを、マルチキャストまたはユニキャストの送信形態に応じて送信タイミングをずらして送信している。したがって、通信トラフィックの急増を抑えることができ、パケットロストの発生確率を低減できる。特に、画像データを圧縮して送信する場合、データ量の大きいIフレームを送信する場合に有効である。
【符号の説明】
【0097】
1 カメラ端末
1a 受信部
1b 送信部
1c PHY速度管理部
1d 接続情報管理部
1e 送信形態決定部
1f 撮像部
2 住戸親機
2a 表示部
2b コマンド生成部
2c 通信部
3 制御装置
4,5 増幅器
NT1 共用部幹線
NT2 住宅幹線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの送信先となる複数の表示端末の各通信速度に基づく重み係数の和を導出し、この重み係数の和を所定の閾値と比較した比較結果に基づいて、前記表示端末に画像データを送信する送信形態をユニキャストまたはマルチキャストに設定する映像送信端末を備えることを特徴とする映像送信システム。
【請求項2】
撮像した画像データを幹線に送出する映像送信端末と、
前記幹線から画像データを受信して表示する複数の表示端末とを備え、
前記表示端末は、複数の通信速度からいずれか1つの通信速度が通信品質に基づいて設定されて、この設定された通信速度で前記幹線を介した通信を行う通信部と、前記映像送信端末へ画像データを要求する要求コマンドを生成して、この要求コマンドを前記通信部を介して送信するコマンド生成部とを具備し、
前記映像送信端末は、前記複数の表示端末の各々の通信速度を記憶した第1の通信速度管理部と、前記要求コマンドの送信元の表示端末毎に当該表示端末の通信速度に基づく重み係数を導出し、この重み係数の和を所定の閾値と比較した比較結果に基づいて、前記要求コマンドの送信元の表示端末に画像データを送信する送信形態をユニキャストまたはマルチキャストに設定する第1の送信形態決定部と、この第1の送信形態決定部が設定した送信形態によって画像データを前記幹線に送出する第1の送信部とを具備する
ことを特徴とする請求項1記載の映像送信システム。
【請求項3】
複数の前記幹線間における画像データの授受を中継する中継端末を設け、この中継端末は、中継対象となる前記幹線に接続した表示端末の各々の通信速度を記憶した第2の通信速度管理部と、前記中継対象となる幹線に接続した表示端末のうち前記要求コマンドの送信元の表示端末毎に当該表示端末の通信速度に基づく重み係数を導出し、この重み係数の和を所定の閾値と比較した比較結果に基づいて、前記中継対象となる幹線に接続した表示端末のうち前記要求コマンドの送信元の表示端末に画像データを中継する送信形態をユニキャストまたはマルチキャストに設定する第2の送信形態決定部と、この第2の送信形態決定部が設定した送信形態によって画像データを前記中継対象となる幹線に送出する第2の送信部とを具備することを特徴とする請求項2記載の映像送信システム。
【請求項4】
複数の前記幹線間における画像データの授受を中継する中継端末を設け、
前記映像送信端末の第1の送信部は、ユニキャストによって、前記要求コマンドの送信元の複数の表示端末へ同一の前記中継端末を介して画像データを送信する場合、前記複数の表示端末を宛先とする1つの画像データをユニキャスト送信する
ことを特徴とする請求項2または3記載の映像送信システム。
【請求項5】
前記映像送信端末の第1の送信部は、マルチキャストによって、前記要求コマンドの送信元の複数の表示端末へ画像データを送信する場合、当該複数の表示端末の各通信速度のうち最も遅い通信速度でマルチキャスト送信することを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の映像送信システム。
【請求項6】
前記映像送信端末の第1の送信部は、前記要求コマンドの送信元の表示端末へ画像データを送信する場合、1フレーム分の画像データを1乃至複数の画像データに分割し、
前記第1の送信形態決定部が、前記送信形態をユニキャストに設定した場合、前記分割した各画像データの送信間隔は、1フレーム分の画像データの生成間隔を、前記画像データの分割数と前記要求コマンドの送信元の表示端末の数との積で除した値に設定し、
前記第1の送信形態決定部が、前記送信形態をマルチキャストに設定した場合、前記分割した各画像データの送信間隔は、1フレーム分の画像データの生成間隔を、前記画像データの分割数で除した値に設定する
ことを特徴とする請求項2乃至5いずれか記載の映像送信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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