説明

映像配信装置、撮像装置、映像配信システム、映像配信方法、映像配信プログラム

【課題】 権限に応じて映像配信が制限されるカメラシステムにおいて、管理者クライアントが制限のない映像を利用して設定を行う場合に、制限のない映像について閲覧権限のないクライアントにも制限のない映像が配信されてしまうことがあった。
【解決手段】 本発明にかかる映像配信システムは、撮像部の撮像条件の設定又は撮像部が撮像した映像において閲覧の制限を行う制限領域の設定を行う要求をクライアントが行った場合に、前記設定を行う第一のクライアントに対して映像の閲覧を制限する映像処理が行われない映像を配信し、設定を行わない第二のクライアントに対して映像処理が行われた映像を配信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続されたカメラが撮像した映像をクライアントのアクセス権に応じて配信する映像配信装置、撮像装置、映像配信システム、映像配信方法、映像配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラが撮像した画像をネットワークを介してクライアントに配信するカメラシステムにおいて、個人情報や機密情報漏洩などを防ぐため、撮像領域にマスク領域を設定できるカメラシステムがある。また、クライアントがカメラを制御して撮像できる範囲を制限したり、プリセット位置に限定してカメラの制御を許可したり、あるいは一般クライアントには制御をさせない等、クライアントによるカメラ制御を制限するカメラシステムがある。
【0003】
また、マスクつきの画像とマスク無しの画像をクライアントのIDに応じて選択する制御を行うことで、プライバシーを保護する機能を設けたカメラシステムが知られている(例えば、特許文献1)。さらに、映像中に含まれる顔を認識して顔の領域にマスクをかける機能を持ち、クライアントの権限に応じてマスク付き画像とマスク無し画像を選択する制御を行うシステムが知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−104314
【特許文献2】特開2008−160354
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
管理者がカメラの制御範囲や撮像範囲に制限を設定したり、映像処理を施したりする場合、管理者にカメラの制御範囲や撮像範囲について制限のない状態で撮像領域を見せる必要がある。このため、管理者がアクセスしている間はこれらの制限を解除しなければならないことがある。その場合、カメラの制御範囲や撮像範囲について制限のない映像が管理者権限を有していないユーザにも配信されてしまい、管理者権限を有さないユーザによる閲覧を制限したい撮像画像まで管理者権限を有さないユーザが閲覧できてしまうという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、管理者がカメラにアクセスしている間、管理者が意図しない画像が管理者権限を有さないユーザに配信されることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、撮像手段に撮像を行わせる撮像制御手段と、前記撮像手段が撮像した映像に映像処理を行って所定の領域が閲覧されないように制限する制限手段と、前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段が閲覧の制限を行う制限領域の設定を行う設定手段と、前記制限手段により前記映像処理が行われない第一の映像と、前記制限手段により前記映像処理が行われた第二の映像を生成する生成手段と、前記設定手段に対する設定変更を行う第一のクライアントに対して前記第一の映像を配信し、前記設定手段に対する設定変更を行わない第二のクライアントに対して前記第二の映像を配信する配信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、管理者が意図しない画像が管理者権限を有さないユーザに配信されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の映像配信システムの構成を説明するための図。
【図2】実施例1の映像配信システムの詳細な構成を説明するための図。
【図3】実施例1のカメラサーバの動作を説明するためのフローチャート図。
【図4】実施例1のクライアントの動作を説明するためのフローチャート図。
【図5】実施例2のクライアントのパノラマ作成動作を説明するためのフローチャート図。
【図6】実施例2のクライアントに表示される表示画像の例。
【図7】従来のパノラマ画像生成方法によって出力されるパノラマ画像の例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施例1)
本実施例に係る映像配信システムでは、図1に示すように、カメラサーバ100がネットワーク195を介して複数のクライアント200に接続される。ネットワーク195は、例えばEthernet(登録商標)等の通信規格を満足する複数のルータ、スイッチ、ケーブル等から構成される。本発明においては各サーバ・クライアント間の通信を行うことができるものであればその通信規格、規模、構成を問わない。インターネットやLAN(Local Area Network)等を用いてもよい。
【0012】
カメラサーバ100は被写体の撮像を行い、クライアント200からの映像配信要求に応じて撮像画像をクライアント200に配信する。また、管理者権限を有するクライアント200が設定用アプリケーションを用いて行った設定要求に応じて、カメラサーバ100は設定を変更する。管理者権限を有するクライアント200が設定用アプリケーションを用いて変更することができる設定については後で詳細を述べる。
【0013】
クライアント200は、カメラサーバ100に対して映像配信要求や設定要求などの要求を行う。本実施例にかかる映像配信システムでは、カメラサーバ100に対して、第一のクライアントとして管理者権限を有するクライアント200−1(以下、管理者クライアント)がネットワーク195を介して接続されている。さらに、同じカメラサーバ100に対して、第二のクライアントとして一般者権限を有するクライアント200−2(以下、一般クライアント)(以下、管理者クライアント及び一般クライアントを総称してクライアント200)がネットワーク195を介して接続されている。
【0014】
管理者クライアントはカメラサーバ100の設定を変更するための設定アプリケーション(以下、設定ツール)を実行することができる。管理者クライアントは設定ツールを用いてカメラサーバ100に対し設定要求を行い、カメラサーバ100の設定を変更する。管理者クライアントは設定ツールを用いて、例えば、マスク設定、可視範囲設定、プリセット位置設定、設置PTR(Pan、Tilt、Rotation)設定等の設定の変更をカメラサーバ100に対して行うことができる。
【0015】
ここで、マスク設定とは、撮像部145が撮像した映像のうち所定の領域に映像処理を行って該領域が閲覧されないように制限を行う設定である。たとえば、マスク設定とは、カメラサーバ100が有する撮像部145が撮像した撮像画像に重畳するマスク画像の位置や大きさを設定して、マスク画像が重畳された領域の撮像画像を後述の一般クライアントから閲覧できないようにするための設定のことをいう。可視範囲設定とは、撮像部145が撮像を行う撮像範囲の制限する設定である。たとえば、可視範囲設定とは、一般クライアントが撮像部145の撮像方向を変更して撮像された映像を閲覧することができる範囲を限定するための設定のことをいう。プリセット位置設定とは、一般クライアントが撮像画像を閲覧できる撮像位置をあらかじめ決められた複数の撮像位置(以下、プリセット位置)に限定するための設定をいう。設置PTR設定とは、一般クライアントが撮像画像を閲覧できる撮像位置を一箇所に限定するための設定をいう。上記は設定内容の一例であり、設定ツールによって設定することができる内容は上記のものに限られない。また、設定ツールによって上述の設定内容の全てを設定可能である必要はない。
【0016】
管理者クライアントは、また、カメラサーバ100に対し映像配信要求を行い、カメラサーバ100が撮像した撮像画像をクライアント200に配信するように要求することができる。管理者クライアントは、さらに、管理者用のビューワ(以下、管理者ビューワ)を用いて、カメラサーバ100から映像配信を受ける際に、マスク設定、可視範囲設定、プリセット位置設定、設置PTR設定などによる制限を受けない撮像画像を受信することができる。すなわち、管理者クライアントは管理者ビューワを用いて、マスクが重畳されていない撮像画像を閲覧することができる。また、管理者クライアントは、雲台155の可動領域をプリセット位置に限定されたり、所定の可動領域に制限されたりすることなく、撮像部145の撮像位置を変更して撮像画像を閲覧することができる。さらに、管理者クライアントは設置PTR設定によって設定された撮像位置から移動して、限定された撮像位置以外の撮像画像を閲覧することができる。
【0017】
管理者ビューワを用いて映像配信を受ける場合、初めはマスク設定により設定されたマスクが重畳され、可視範囲設定等によって指定された範囲の撮像画像が表示される。しかし、管理者クライアントは管理者ビューワを用いて映像配信を受ける場合、カメラのパン、チルト操作を行うことにより、可視範囲設定された範囲の外の映像を閲覧することも可能である。また、管理者クライアントは、マスク設定や、可視範囲設定、プリセット位置設定、設置PTR設定などの設定内容を、設定ツールを用いて変更する際に、既に設定されている設定内容に制限されない撮像画像を管理者ビューワを用いて閲覧することができる。
【0018】
一般クライアントはカメラサーバ100に対し映像配信要求を行い、カメラサーバ100が撮像した撮像画像をクライアント200に配信するように要求する。一般クライアントは、カメラサーバ100から映像配信を受ける際にマスク設定、可視範囲設定、プリセット位置設定、設置PTR設定などによる制限を受けた撮像画像を受信する一般者権限を有する。一般クライアントでは設定ツールを用いることができない。従って、一般クライアントはカメラサーバ100に対し設定要求を行い、カメラサーバ100の設定を変更することができない。すなわち、一般クライアントは設定ツールを用いて、例えば、マスク設定、可視範囲設定、プリセット位置設定、設置PTR設定等の設定の変更をカメラサーバ100に対して行うことができない。
【0019】
次に、カメラサーバ100及びクライアント200の詳細な構成について説明する。まず、カメラサーバ100の詳細な構成について図1を用いて説明する。カメラサーバ100内の撮像部145は被写体の撮像を行う。撮像部145が撮像した画像データは後述のビデオキャプチャI/F140に送られる。ビデオキャプチャI/F140は撮像部145が撮像した画像データを所定のフォーマットに変換・圧縮する。ビデオキャプチャI/F140は変換・圧縮した画像データを、内部バス180を介して後述の一次記憶装置120に転送する。
【0020】
雲台155は撮像部145の撮像方向をパン方向、チルト方向、又はローテーション方向に駆動する。制御I/F150は雲台155に接続され、雲台155のパン機構、チルト機構、ローテーション機構の状態を取得する。パン機構、チルト機構、ローテーション機構はそれぞれ、撮像部145をパン駆動、チルト駆動、ローテーション駆動させるために用いられる。また、制御I/F150は後述のCPU(Central Processing Unit)110の指示に従って雲台155を制御する。
【0021】
一次記憶装置120はRAM(Random Access Memory)等の書き込み可能な記憶装置であり、OS(Operating System)や各種プログラム及び各種データがロードされる。本実施例において、一次記憶装置120には、撮像プログラム、映像処理プログラム、設定プログラム、配信制御プログラム、権利管理プログラムがロードされる。また、一次記憶装置120はOSや各種プログラムの作業領域としても使用される。
【0022】
撮像プログラムは撮像部145が撮像した映像をキャプチャI/F140で処理させ、後述の二次記憶装置130に撮像データを保持させるためのプログラムである。撮像データの保持においては、後述の映像処理プログラムで撮像データを処理した後に、撮像プログラムによって撮像データを二次記憶装置130に保持させてもよい。また、撮像プログラムによって撮像データを保持させる先は二次記憶装置130だけでなく一次記憶装置120のような記憶装置やバッファなどでもよい。また、撮像プログラムは、後述する配信制御プログラムからの指示を受け、制御I/F150を介して雲台155を稼働させるためのプログラムである。こうして撮像プログラムは、撮像部145に撮像を行わせる。また、撮像プログラムは、後述の設定プログラムの設定を受けて、撮像部145が撮像を行う撮像範囲の制限を行う。
【0023】
映像処理プログラムは、後述する配信制御プログラムの指示を受け、撮像画像にマスク画像を重畳するマスク処理や可視範囲制限などの映像処理をCPU110に行わせるためのプログラムである。映像処理プログラムは、後述の設定プログラムの設定を受けて、撮像部145が撮像した映像のうち所定の領域(例えば、マスク処理の場合にはマスク画像を重畳する領域や、可視範囲制限の場合には可視領域外の領域などの制限領域)に映像処理を行って該領域が閲覧されないように制限する。本実施例にかかる映像処理プログラムは、映像処理が行われない第一の映像と映像処理を行った第二の映像を生成することが可能である。生成された映像はそれぞれ後述の配信制御プログラムによって異なるストリームとしてネットワーク195に送信される。
【0024】
設定プログラムは、撮像プログラムのパラメータや、映像処理プログラムのパラメータを二次記憶装置130に設定データとして保持させるプログラムである。撮像プログラムのパラメータとは、例えば、可視範囲設定、プリセット位置設定、設置PTR設定において一般クライアントが閲覧することができる撮像範囲、画角情報についての撮像条件に関するパラメータ等のことをいう。また、映像処理プログラムのパラメータとは、例えば、撮像画像におけるマスク画像の重畳位置についてのパラメータ等のことをいう。こうして、設定プログラムは撮像部145が撮像を行う撮像範囲の制限又は撮像部145が撮像した映像のうち所定の領域にマスク処理等の映像処理を行わせて該領域が閲覧されないように制限を行わせる。
【0025】
また、設定プログラムはクライアント200の指示を受けて、カメラサーバ100に対する各種設定変更の要求を対応するプログラムに行うプログラムである。
【0026】
配信制御プログラムは、撮像プログラムに要求を送信して撮像データを得たり、映像処理プログラムに映像処理要求を送信して撮像データを加工させたりするプログラムである。また、配信制御プログラムは、クライアント200から受信した配信要求に応じて、撮像部145が撮像した映像をクライアント200に送信するプログラムである。あるいは、配信制御プログラムは、クライアント200への映像配信を切断したり特定の映像だけを配信したりして映像の配信を制御するプログラムである。また、配信制御プログラムは、管理者クライアントには映像処理が行われない映像を配信し、一般クライアントには映像処理を行った映像を配信するプログラムである。
【0027】
権利管理プログラムは、配信制御プログラム等から呼ばれ、カメラサーバ100へのアクセス権の有無や、権限に応じた映像処理方法などを返答してカメラサーバ100へのアクセスの制御を行わせるプログラムである。アクセス権の有無とは、例えば、設定プログラムによって撮像範囲を制限されないで撮像部145が撮像する映像をクライアント200が受信する権限の有無のことをいう。また、権限に応じた映像処理方法とは、例えば、設定プログラムの設定を受けて映像処理プログラムが行う映像処理により、権限に応じてマスクを重畳する領域の閲覧を制限した映像を配信したり、閲覧が制限されない映像を配信したりする方法をいう。
【0028】
撮像プログラム、設定プログラム、権利管理プログラムによる処理はそれぞれ、公知の方法によって実現することができる。配信制御プログラムによる処理については図3を用いて後述する。また、映像処理プログラムによる処理については図6を用いて後述する。
【0029】
二次記憶装置130はOSや上述の各種プログラム及び各種データの永続的な記憶領域として使用される他に、短期的な各種データの記憶領域としても使用される。二次記憶装置130は例えば、FDD(Floppy(登録商標) Disk Drive)やHDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、CD−ROM(Compact Disk − Read Only Memory)ドライブ等の不揮発性の記憶装置等により構成される。本実施例において、二次記憶装置130には設定データ、撮像データなどが保存される。
【0030】
CPU110は二次記憶装置130に記憶された上述の各種プログラムを実行して、カメラサーバ100の各構成の動作を制御する。
【0031】
CPU110の機能ブロック図を図2に示す。撮像制御部111は撮像部145に撮像を行わせる。本実施例において、撮像制御部111の機能はCPU110が上述の撮像プログラムを実行することにより実現される。
【0032】
制限部112は撮像部145が撮像した映像に映像処理を行って所定の領域が閲覧されないように制限する。また、生成部115は前記制限部112により映像処理が行われない映像、及び、前記映像処理が行われた映像を生成する。本実施例において、制限部112及び生成部115の機能は、CPU110が上述の映像処理プログラムを実行することにより実現される。
【0033】
設定部114は撮像部145が撮像を行うための撮像パラメータ又は撮像部145が撮像した映像に対する映像処理を行うための処理パラメータを設定する。本実施例において、設定部114の機能は、CPU110が上述の設定プログラムを実行することにより実現される。
【0034】
管理部116はクライアント200について、撮像制御部111によって撮像範囲を制限されないで撮像部145が撮像する映像、又は、制限部112が行う前記映像処理により所定の領域の閲覧が制限されない映像を受信する権限の有無を管理する。本実施例において、管理部116の機能は、CPU110が上述の権利管理プログラムを実行することにより実現される。
【0035】
配信制御部113はクライアント200から受信した配信要求に応じて撮像部145が撮像した映像をネットワーク195を介して接続されたクライアントに配信する制御を行う。本実施例において、配信制御部113の機能は、CPU110が上述の配信制御プログラムを実行することにより実現される。
【0036】
ネットワークI/F190はネットワーク195と接続するためのインターフェースであり、ネットワーク195を介してクライアント200との通信を行う。
【0037】
次にクライアント200について図1を用いて説明する。クライアント200には、CPU210、一次記憶装置220、二次記憶装置230、キーボード240、マウス250、ディスプレイ260、ネットワークI/F290が、内部バス280を介して相互に接続されている。図2において、キーボード240、及びマウス250はユーザがカメラサーバ100に対する指示を入力する入力装置である。ディスプレイ260はカメラサーバ100から受信した映像の表示を行う出力装置である。本実施例では、クライアント200と入力装置および出力装置が一体として構成される場合について説明するが、それぞれ独立した装置として構成してもよい。
【0038】
一次記憶装置220はRAM等の書き込み可能な記憶装置であり、OSや各種プログラム及び各種データがロードされる。本実施例において、一次記憶装置220には、表示プログラムと設定変更プログラムとがロードされる。また、一次記憶装置220はOSや各種プログラムの作業領域としても使用される。
【0039】
表示プログラムは、カメラサーバ100に対して映像配信要求を行い、ディスプレイ260に対してカメラサーバ100から獲得した映像データを表示させるプログラムである。また、設定変更プログラムは、キーボード240やマウス250等の入力装置の指示により、カメラサーバ100に設定要求を行い、カメラサーバ100の設定データの変更を行うプログラムである。設定変更プログラムは管理者クライアントにインストールされ、設定ツールとして機能する。これらのプログラムは同時並行で処理を行うことができる。即ち、ディスプレイ260に表示された映像データを見つつ設定変更を行うことができる。
【0040】
二次記憶装置230はOSや上述の各種プログラム及び各種データの永続的な記憶領域として使用される他に、短期的な各種データの記憶領域としても使用される。
【0041】
CPU210は二次記憶装置230に記憶された上述の各種プログラムを実行して、クライアント200の各構成の動作を制御する。
【0042】
ネットワークI/F290はネットワーク195と接続するためのインターフェースであり、ネットワーク195を介してカメラサーバ100との通信を行う。
【0043】
次に、カメラサーバ100の動作について図3を用いて説明する。図3の処理フローは、図3に示される手順をカメラサーバ100のCPU110に実行させるための配信制御プログラムを示す。CPU110は、コンピュータであり、二次記憶装置130から読み出した配信制御プログラムを実行する。
【0044】
まずカメラサーバ100は、ステップs301で、二次記憶装置に保存された設定データを読み込む。ここで設定データとは、カメラサーバ100の動作を設定するためのデータをいう。例えば、設定データとは、マスク設定、可視範囲設定、プリセット位置設定、設置PTR設定等の設定内容のことをいう。ただし、設定データとはこれらのデータに限られるものではない。設定データは管理者クライアントによって設定される。
【0045】
マスク設定の設定データとは、例えば、撮像画像にマスク画像を重畳する位置や大きさについてのデータのことをいう。また、可視範囲設定の設定データとは、例えば、一般者権限を有するクライアントに雲台155の動作を許可するパン、チルト角度の範囲等のことをいう。あるいは、撮像部145が撮像した映像のうち一般クライアントが閲覧できる可視領域を設定するものであってもよい。また、プリセット位置設定の設定データとは、例えば、プリセット位置のパン、チルト角度やズーム位置等のデータのことをいう。さらに、設置PTR設定の設定データとは、例えば、一般者権限を持つクライアントが撮像画像を閲覧できるパン、チルト、ローテーション位置等の撮像位置についてのデータのことをいう。
【0046】
次にカメラサーバ100は、s310でクライアント200からの要求を待つ。ここで、クライアント200からの要求とは配信要求や設定要求のことをいう。配信要求とは、クライアント200がカメラサーバ100に対して撮像部145で撮像した撮像画像をクライアント200に配信するように要求することをいう。設定要求とはカメラサーバ100に記憶された上述の設定データを変更する要求のことをいう。設定要求は管理者クライアントが要求することができる。管理者クライアントは、カメラサーバ100に対して配信要求を行い、クライアントへ配信された映像を閲覧した後に設定要求を行うことができる。上述のような諸設定は、ユーザがカメラサーバ100の撮像画像を閲覧しながら設定するためである。
【0047】
カメラサーバ100は、クライアント200からの要求を受信したか判断する(s310)。カメラサーバ100が要求を受信した場合(s310でyesの場合)、カメラサーバ100は受信した要求が配信要求であるか判断する(s320)。受信した要求が配信要求である場合、カメラサーバ100は権利管理プログラムに問合わせを行い、必要な権限情報を得る(s321)。ここで、権限情報とは、カメラサーバ100へのアクセス権の有無や、権限に応じて撮像画像に施す映像処理等についての情報のことをいう。本実施例では、権限情報として上述の一般者権限と管理者権限とに区分して説明する。
【0048】
次にカメラサーバ100は配信要求を送信したクライアントが一般者権限を持つクライアントであるか判断する(s330)。受信した配信要求が一般者権限を持つクライアントからの配信要求の場合(s330でyesの場合)、カメラサーバ100は一般者権限に応じた配信処理を行う(s331)。一般者権限に応じた配信処理とは、上述の設定データに基づき一般者権限を持つクライアントに与えられた権限内でカメラサーバ100を動作させる制御である。例えば、一般者権限に応じた配信処理とは、雲台155の可動範囲を制限したり、撮像画像の所定の部分にマスク画像を重畳したりした撮像データをクライアント200へ送信する配信処理である。配信処理においては、配信制御プログラムが撮像プログラムに撮像指示の要求を送信して撮像部145による撮像を指示する。続いて配信制御プログラムは映像処理プログラムにマスク重畳処理の要求を送信してマスク画像の重畳などの映像処理が行われた撮像データをクライアント200へ配信する。その後カメラサーバ100はステップs310に戻り、クライアント200からの要求を待つ。
【0049】
一方、配信要求が管理者権限を持つクライアント200からの配信要求である場合(s330でnoの場合)、カメラサーバ100は、クライアント200が設定ツールを用いてカメラサーバ100の設定変更を行うための配信要求であるか判断する(s340)。クライアント200は設定ツールを用いることで、撮像範囲を制限されないで撮像部145が撮像する映像、又は、映像処理プログラムによる映像処理により所定の領域の閲覧が制限されない映像を受信することができる。
【0050】
配信要求が設定ツールを用いた配信要求でない場合(s340でnoの場合)、カメラサーバ100は管理者ビューワ用の配信処理を行う(s341)。ここでは、設定ツールを用いた設定変更が行われないため、マスク設定により設定されたマスクが重畳され、可視範囲設定等によって設定された範囲内にある撮像画像が配信される。配信処理においては、配信制御プログラムが撮像プログラムに撮像開始の要求を送信して撮像部145による撮像を指示する。その後カメラサーバ100はステップs310に戻り、クライアント200からの要求を待つ。
【0051】
配信要求が、設定ツールを用いてカメラサーバ100の設定変更を行うための配信要求である場合(ステップs340でyesの場合)、カメラサーバ100は管理者権限を持つクライアントが設定ツールを用いて設定変更を行うためにカメラサーバ100に接続してから初めての配信要求(以下、設定開始操作)であるか判断する(s350)。設定ツールを用いて接続してから初めての配信要求であるかの判断は、例えば、フラグを用いた制御により実現することができる。カメラサーバ100は設定ツールを用いた配信要求があった場合、CPU110内のレジスタにフラグを設定する。カメラサーバ100は設定ツールを用いた配信要求を受け取ると、フラグが設定されているか確認し、フラグが設定されていなかった場合には、設定ツールを用いた初めての配信要求であると判断する。一方すでにフラグが設定されている場合には、2回目以降の設定ツールによる配信要求であると判断する。そして、管理者権限を有するクライアントがカメラサーバ100に対して接続を終了する命令を送信すると、カメラサーバ100はフラグの設定を解除する。また、後述するステップs375においてフラグの設定を解除してもよい。判断の方法は上記の方法に限られない。
【0052】
管理者権限を持つクライアントによる設定開始操作である場合(ステップs350でyesの場合)には、カメラサーバ100は管理者権限を用いることで閲覧できる撮像画像が必要であるか判断する(s351)。即ち、管理者権限を持つクライアントがカメラサーバ100の設定を行うために、マスク設定、可視範囲設定、プリセット位置設定、設置PTR設定などによる制限を受けない撮像画像が必要であるか判断する。管理者権限での映像が必要な場合とは、例えば、撮像画像のうちマスク画像を重畳する位置を決定するために、マスクが重畳されていない撮像画像を閲覧する場合である。あるいは、一般クライアントが閲覧可能とする可視範囲やプリセット位置、設置PTR位置等の設定を変更するために、カメラサーバ100が撮像可能なすべての範囲を閲覧する場合等である。このようにして管理者権限を持つクライアントは制限内容の設定を変更することができる。
【0053】
管理者権限を持つクライアントがカメラサーバ100の設定を行うために、管理者権限での映像が必要な場合(s351でyesの場合)、撮像画像の閲覧を制限する設定が既に有効にされているかを判断する(s352)。撮像画像の閲覧を制限する設定とは、例えば、撮像画像にマスク画像を重畳するマスク設定や、一般クライアントの可視範囲を制限する可視範囲設定、撮像部145の撮像位置を固定するための設置PTR設定等の設定である。また、プリセット位置設定において、プリセット位置についてのみ一般クライアントが撮像画像を閲覧することができるように設定する場合も撮像画像の閲覧を制限する設定に該当する。
【0054】
撮像画像の閲覧を制限する設定が既に有効にされている場合(s352でyesの場合)、カメラサーバ100は撮像画像に映像処理による制限を行わない映像と、撮像画像に映像処理による制限を行った映像を生成する処理を行う(s353)。例えば、カメラサーバ100は、撮像部145が撮像した映像に制限すべき映像が含まれると判断した場合に、撮像画像にマスク画像を重畳しない映像と、制限すべき領域にマスク画像を重畳した映像とを生成する制御を行う。制限すべき領域にマスク画像を重畳した映像とは、設定したマスク領域にマスク画像を重畳した映像に加え、例えば、管理者クライアントが管理者権限を用いて可視範囲外の映像を閲覧する場合に、当該可視範囲外の領域にマスク画像を重畳した映像が含まれる。
【0055】
ここで、設定ツールを用いて配信要求がなされた場合は必ず撮像画像に映像処理による制限を行わない映像と、撮像画像に映像処理による制限を行った映像を生成することとしてもよい。又は、設定ツールをクライアントが起動した場合に撮像画像に映像処理による制限を行わない映像と、撮像画像に映像処理による制限を行った映像を生成してもよい。この場合、ステップs351、ステップs352の判断ステップを経ずにステップs350から後述のステップs353に進むようにすることができる。こうすることで、制限内容の設定を変更するためにする配信要求を管理者権限を有するクライアント200が行っている際は、撮像画像に映像処理による制限を行わない映像を生成して管理者クライアントへ配信することができる。一方、権限を有さない一般クライアントへは映像処理による制限を行った映像を配信する制御を行うようにすることができる。また、管理者権限での映像の配信が必要である場合には必ず撮像画像に映像処理による制限を行わない映像を生成することとしてもよい。この場合、ステップs352の判断ステップを経ずにs353に進むようにすることができる。こうすることで撮像範囲を制限されないで撮像部145が撮像する映像、又は、映像処理により所定の領域の閲覧が制限されない映像を受信するために配信要求を権限を有するクライアントが行った場合に、管理者クライアントには映像処理による制限を行わない映像を配信する。一方、一般クライアントへは映像処理による制限を行った映像を配信する制御を行うことができる。そして、管理者クライアントがマスク画像の重畳されていない映像を閲覧して新たに設定した内容の記録や、配信を切断した一般クライアントの記録などが二次記憶装置130に記録される(s354)。
【0056】
管理者権限を有する管理者クライアントによる2回目以降の配信要求である場合(s350でnoの場合)、管理者権限での映像が不要である場合(s351でnoの場合)、撮像画像の閲覧を制限する設定が無効である場合(s352でnoの場合)は管理者権限を持つクライアントへの映像配信が行われる(s355)。撮像画像の閲覧を制限する設定が無効である場合とは例えば、マスク設定、可視範囲設定、設置PTR設定等の設定が現在設定されていない場合をいう。また、プリセット位置設定がなされている場合であっても、プリセット位置以外の撮像画像についても一般ユーザが閲覧可能とされている場合には、撮像画像の閲覧を制限する設定が無効である場合に該当する。
【0057】
ここで、ステップs353において管理者クライアントへ配信する映像を生成した場合には、管理者クライアントへ配信する映像の品位と一般クライアントへ配信する映像の配信品位に差を設けることとしてもよい。例えば、一般クライアントへ配信する映像について、管理者クライアントへの配信映像に対して、
1.フレームレートを低下させる
2.映像圧縮率を高くする
3.映像サイズを縮小する
4.複数の配信映像仕様(符号化方式、サイズ、圧縮率など)を共通化し、異なる映像仕様の配信要求に対して、同一の映像ストリームを配信する
などの処理を行うこととしてもよい。これにより、システムの処理負荷を軽減することができる。また、管理者クライアントへの配信映像と一般クライアントへの配信映像を同時に配信する際に、システムが有する処理能力の制限のために管理者クライアントへ配信される映像の配信品位が低下することを防止することができる。
【0058】
次に、ステップs310で受信したクライアント200からの要求がカメラサーバ100の設定を行うための設定要求であった場合について説明する。この設定要求は管理者権限を有するクライアントが設定ツールを用いて行うことができる。クライアント200からの要求が設定要求であった場合には、カメラサーバ100はステップs320でnoに進み、ステップs370でyesに進む。ここでカメラサーバ100は設定プログラムに設定処理を行わせる(s371)。設定処理とは、撮像プログラムのパラメータや、映像処理プログラムのパラメータを設定したり、上述のマスク設定、可視範囲設定、プリセット位置設定、設置PTR設定の設定を行ったりする処理のことをいう。このうち、マスク設定、可視範囲設定、設置PTR設定等の撮像画像の閲覧を制限する設定がなされると、カメラサーバ100は撮像画像の閲覧を制限する設定が有効となったことを二次記憶装置130に記録する。ステップs352において説明したのと同様に、プリセット位置設定において、プリセット位置についてのみ一般クライアントが撮像画像を閲覧することができるように設定する場合も撮像画像の閲覧を制限する設定に該当する。
【0059】
カメラサーバ100はステップs371での設定処理が終了したか判断する(s372)。設定処理終了の判断は、配信制御プログラムが二次記憶装置130に記憶された、撮像画像の閲覧を制限する設定の有効、無効を確認することにより行う。
【0060】
カメラサーバ100はステップs371での設定処理が撮像画像の閲覧を制限する設定を有効にする設定処理である場合(ステップs372でyesの場合)、ステップs375に進んでステップs353で生成される映像処理による制限を行わない映像の生成を停止する(s375)。あるいは、設定ツールによって設定終了操作がなされたタイミングで、映像処理による制限を行わない映像の生成を停止してもよい。又は、設定ツールを終了した場合に、映像処理による制限を行わない映像の生成を停止してもよい。その後、カメラサーバ100はステップs310に戻り、クライアント200からの要求を待つ。一方、カメラサーバ100はステップs371での設定処理が撮像画像の閲覧を制限する設定ではない場合(s372でnoの場合)、ステップs310に戻りクライアント200からの要求を待つ。あるいは、設定ツールによる設定変更が終了した時点で一般クライアントへ再接続可能である旨の通知を行ってもよい。
【0061】
ステップs372の判断ステップ及びステップs375の再接続可能通知ステップは省略してもよい。すなわち、ステップs371において設定処理を行った後、一般クライアントへ再接続が可能である旨の通知を行わないようにしてもよい。この場合、ステップs371からステップs310に戻り、一般クライアントから要求を受信した場合(s310でyesの場合)に一般クライアントの再接続が行われる。そしてカメラサーバ100は一般クライアントへの配信を再開する。
【0062】
つぎに、クライアント200の動作について図4を用いて説明する。図4の処理フローは、図4に示される手順をCPU210に実行させるための表示プログラムを示す。CPU210は、コンピュータであり、クライアント200が内蔵する二次記憶装置230から読み出したプログラムを実行する。
【0063】
まず、クライアント200は、キーボード240やマウス250等の入力装置から、配信要求や設定要求等の要求をカメラサーバ100に出力する出力指示がなされたか判断する(s401)。
【0064】
入力装置から出力指示がなされた場合(s401でyesの場合)、クライアント200は出力された指示が配信要求指示であるか判断する(s410)。出力された指示が配信要求指示である場合(s410でyesの場合)、クライアント200はネットワーク195を介して配信要求と権限情報をカメラサーバ100の配信制御プログラムに送信して、ステップs401に戻る(s411、s412)。
【0065】
入力装置からクライアント200への出力指示が配信要求指示でない場合(s410でnoの場合)、クライアント200はカメラサーバ100から既に映像配信がなされているか判断する(s420)。カメラサーバ100から映像が配信されている場合(s420でyesの場合)、クライアント200は配信された映像をディスプレイ260に表示させる(s421)。続けて、クライアント200は配信要求をカメラサーバ100の配信制御プログラムに送信して、ステップs401に戻る(s422)。
【0066】
本実施例ではステップs421において、カメラサーバ100から映像配信されるごとに配信された映像を表示して映像更新をしているが、単純なタイマー割り込みによって映像更新を行ってもよい。例えば、30fps(frame per second)の表示更新を得るために、33ミリ秒ごとのタイマー割り込みを用いることが考えられる。映像配信を受け取った場合(s420でyesの場合)は、配送された映像を映像データとして更新しながら保持しておき、タイマー要求ごとに映像データを読み出して表示させることができる。
【0067】
ステップs420において映像配信がなされていないと判断された場合、クライアント200は入力装置から雲台制御指示がなされたか判断する(s430)。雲台制御指示とは、入力装置によって指定された方向にカメラサーバの雲台155を動作させる指示のことをいう。雲台制御指示がなされた場合(s430においてyesの場合)、ネットワーク195を介して雲台制御要求をカメラサーバ100の配信制御プログラム330に送信する。また、クライアント200はカメラサーバ100に対して映像配信要求を行って(s432)、ステップs401に戻る。一方、雲台制御指示がなされていない場合(ステップs430でnoの場合)、ステップs490へ進む。
【0068】
そしてクライアント200は入力装置から終了要求を受信したか判断する(s490)。クライアント200は入力装置から終了要求を受け取ると(s490でyesの場合)、表示プログラム400を終了する。終了要求を受信していない場合(s490でnoの場合)、クライアント200はステップs401へ戻り上述の処理を繰り返す。
【0069】
続いて、カメラサーバ100における映像処理プログラムによる映像処理について説明する。撮像画像上の指定された領域にマスク画像を重畳する方法については、公知の方法を用いることができるため説明を省略する。
【0070】
以下、管理者クライアントがマスク画像を重畳しない映像を用いてマスク設定を行う間に、一般クライアントに配信される映像について図6を用いて説明する。
【0071】
図6は一般クライアントのディスプレイ260に表示される映像の表示例、および、マスク設定中の管理者クライアントのディスプレイ260に表示される映像の表示例をそれぞれ示している。図6(a)から図6(d)までの左の列に示す表示画像601、605、609、614は一般クライアント向けの表示画像の例である。また、図6(a)から図6(c)までの右の列に示す表示画像603、607、612はステップS371における設定処理時に表示される管理者クライアント向けの表示画像の例である。また、図6(d)の右の列に示す表示画像616はステップS375において管理者用の映像生成が終了した後に、管理者クライアントのディスプレイ260に表示される表示画像の例である。
【0072】
まず図6(a)において表示画像601のように一般クライアントのディスプレイ260に表示される撮像画像おいて、現在設定されている位置と大きさでマスク画像602が重畳されているものとする。一方、マスク画像を重畳しない撮像画像の配信を受けている管理者クライアントのディスプレイ260に表示された設定画面においては、表示画像603に示すように、設定されているマスク領域の外形を表す枠604が表示されている。あるいは、マスク領域の外形を表す枠604の表示にかえてマスク領域を半透明表示とすることとしてもよい。
【0073】
次に図6(b)は、管理者クライアントが設定画面におけるマウスドラッグによるマスク位置の移動操作を行っている場合について説明する。表示画像605に示すように一般クライアント向けの映像は図6(a)の場合と変化はない。一方、表示画像607に示す通り、管理者クライアントの設定画面では、マスク領域の外形を表す枠608が移動中を表わす破線表示に切り替わり、マウス操作に合せてマスク領域が移動される。
【0074】
図6(c)は、管理者クライアントが設定画面におけるマスク移動を終了した場合、つまりマウスドラッグを終了した場合の表示画像の様子を表す。管理者クライアントの設定画面における表示は、枠613のようにマスク領域の外形部の表示あるいは半透明表示に戻る。一方、一般クライアントのディスプレイ206に表示される撮像画像おいては、移動前のマスク画像610と移動後のマスク画像611の双方のマスク画像が重畳される。
【0075】
図6(d)は、例えば、管理者クライアントによって確定ボタンの操作、マスク設定モードの終了、マスク設定用アプリケーションの終了などのマスク領域変更の確定処理が行われ新しいマスク設定が有効となった場合の表示画像の様子を表す。一般クライアントのディスプレイ206に表示される撮像画像には変更後のマスク画像615のみが重畳されて表示される。一方、管理者クライアント側では、マスク領域変更の確定処理が行われた場合に映像処理による制限を行わない映像の生成を停止するため(s375)、一般クライアントのディスプレイ206と同一の画像が表示される。また、例えば、確定ボタンが操作されても設定用アプリケーションが終了されるまでは、制限を行わない映像の生成が停止されないこととする場合などには、図6(c)と同じ画像を表示することとしてもよい。
【0076】
このようにして、管理者クライアントがマスク設定を行っている間に、マスク画像を重畳しない画像が意図せず一般クライアントに配信されることを防ぐことができる。
【0077】
本実施例にかかる映像配信システムによれば、管理者クライアントが管理者権限を用いて閲覧した撮像画像が意図せずに一般クライアントに配信されることを防ぐことができる。特に、管理者クライアントが撮像画像の閲覧制限の設定を変更する際に、管理者クライアントは、映像処理による制限を行わない撮像画像を閲覧しながら設定の変更を行うことができる。一方で、一般クライアントには映像処理による制限が行われた撮像画像を配信することができるので、管理者が設定変更のために用いる映像が一般クライアントに配信されることを防ぐことができる。
【0078】
また、本実施例にかかる映像配信システムでは、撮像した映像についてマスク処理や可視範囲制限等の制限が設定されているときだけ映像処理による制限を行わない映像を管理者クライアントに配信することができる。これにより、設定変更等の為に必要とされる場合にだけマスク画像を重畳しない映像を生成し、配信するため、システムの処理負荷を軽減することができる。
【0079】
さらに、本実施例にかかる映像配信システムでは管理者クライアントへ配信する映像を生成した場合には、管理者クライアントへ配信する映像の品位と一般クライアントへ配信する映像の配信品位に差を設けることができる。これにより、システムの処理負荷を軽減することができる。また、管理者クライアントへの配信映像と一般クライアントへの配信映像を同時に配信する際に、システムが有する処理能力の制限のために管理者クライアントへ配信される映像の配信品位が低下することを防止することができる。
【0080】
さらに、本実施例にかかる映像配信システムでは、管理者クライアントによるマスク設定操作によってマスク領域が移動している間は、一般ユーザに配信される撮像画像に移動前のマスク画像を重畳したままにする。従って、管理者クライアントがマスク設定を行っている間に、マスク画像を重畳しない画像が意図せず一般クライアントに配信されることを防ぐことができる。
【0081】
(実施例2)
実施例2では、撮像画像にマスク画像が重畳されない映像を受信してパノラマ画像を作成するために配信要求を管理者クライアントが行った場合に、管理者クライアントに対して映像処理によって制限されない映像を配信する例について説明する。
【0082】
例として、パノラマ画像生成時のマスク処理について説明する。パノラマ画像生成方法として、カメラがパン、チルト駆動により撮像可能な全範囲を複数領域に分割し、分割した領域ごとに撮像した画像を射影変換した後、つなぎ合わせる方法がある。また、マスクを合成する手段を備えた撮像装置では、分割した領域ごとにマスクを生成し、各領域の撮像画像にマスクを合成してから各撮像画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成する方法がある。
【0083】
しかし、上述のようにしてパノラマ画像を生成すると、射影変換の計算上、図7のマスク領域702に示すように、撮像画像の継ぎ目部分でマスクのずれが生じてしまうことがある。そこで、一旦各撮像画像のマスク701を解除して撮像を行い、パノラマ画像を合成した後に、改めてマスクを重畳させることで、管理者にとって理解しやすく適切なマスクを設定できるパノラマ生成手法が考えられる。
【0084】
この際、パノラマ作成を行うためには特権でしか見ることができない、マスク制限なしの映像を用いることになる。また、マスクに限らず、撮像領域の制限やプリセットによる位置指定なども同様に管理者が意図しない画像が配信されてしまう可能性がある。
【0085】
そこで、本実施例では、パノラマ画像生成において一旦各撮像画像のマスクを解除して撮像を行う際に、管理者クライアントには映像処理による制限を行わない映像を配信する。一方、一般クライアントへは映像処理による制限を行った映像を配信する映像配信システムについて説明する。
【0086】
まず、本実施例における映像配信システムの構成について説明する。本実施例ではクライアント200の二次記憶装置230には、実施例1において説明した設定変更プログラムに替えてパノラマ作成プログラムが記憶される。二次記憶装置230に記憶されたパノラマ作成プログラムは一次記憶装置220にロードされ、CPU210によって実行される。パノラマ作成プログラムは、クライアント200がカメラサーバ100に対してパノラマ画像の配信要求を行うためのパノラマ作成用アプリケーション(以下、パノラマ作成ツール)をクライアント200に提供する。パノラマ作成プログラムについては、詳細を後述する。
【0087】
続いて、パノラマ画像の作成についてカメラサーバ100側での処理について説明する。カメラサーバ100は、クライアント200からパノラマ作成ツールを用いて撮像画像の配信要求がなされると、配信制御プログラムが撮像プログラムにイベントを送信してクライアント200から要求された撮像データを取得する。そして、カメラサーバ100は撮像データを配信要求を行ったクライアント200へ送信する。クライアント200においてパノラマ画像が作成され、カメラサーバ100に送信されると、カメラサーバ100は受信したパノラマ画像にマスク処理等の制限設定を施した後、カメラサーバ100に接続された全てのクライアント200へ送信する。その他の各構成についての説明は実施例1において図1及び図2を用いて説明したものと同一であるので説明を省略する。
【0088】
次に、本実施例にかかる映像配信システムの動作について説明する。まず、カメラサーバ100の動作について説明する。本実施例にかかるカメラサーバ100は、CPU110において配信制御プログラムを二次記憶装置130から読み出して実行する。実施例2にかかる配信制御プログラムによりカメラサーバ100は、図3を用いて説明したフローチャートのステップs340の判定処理において、設定ツールを用いた配信要求であるか判断するかわりに、パノラマ作成ツールによる配信要求であるか判断する。
【0089】
また、実施例2にかかる配信制御プログラムによりカメラサーバ100は、図3を用いて説明したフローチャートのステップs370において、クライアント200からカメラサーバ100へパノラマ画像が送信されたか判断する。次に、カメラサーバ100はパノラマ画像が送信された場合(ステップs370でyesの場合)には、ステップs371へ進み、受信したパノラマ画像にマスク処理等の制限設定を施す。そして、カメラサーバ100はステップs372において、パノラマ画像に対する制限設定が終了したか判断する。パノラマ画像に対する制限設定が終了した場合(ステップs372でyesの場合)、カメラサーバ100はステップs353で生成される映像処理による制限を行わない映像の生成を停止する(s375)。あるいは、パノラマ作成ツールによるパノラマ画像の作成が終了したタイミングで、映像処理による制限を行わない映像の生成を停止してもよい。
なお、パノラマ画像に対するマスク処理等の設定処理は、パノラマ作成ツールを有するクライアント200によって行われることとしてもよい。この場合、カメラサーバ100はステップs370でクライアント200から受信したパノラマ画像を受信すると、映像処理による制限を行わない映像の生成を停止する。カメラサーバ100において、配信制御プログラムによって実現されるその他の処理については実施例1において説明したものと同一なので説明を省略する。
【0090】
次に、クライアント200の動作について説明する。まず、パノラマ作成ツールを有するクライアント200がパノラマ画像を作成する動作について図5を用いて説明する。図5の処理フローは、図5に示される手順をCPU210に実行させるためのパノラマ作成プログラムを示す。CPU210は、コンピュータであり、クライアント200が内蔵する二次記憶装置230から読み出したプログラムを実行する。
【0091】
パノラマ作成プログラムは、まず、キーボード240やマウス250等の入力装置からパノラマ画像の作成指示があったか判断する(s501)。
【0092】
入力装置からパノラマ画像の作成指示がなされた場合(ステップs501でyesの場合)、パノラマ画像を作成するために必要な撮像画像の配信要求をカメラサーバ100に対して行うように表示プログラムに指示する(s502)。この際、パノラマ作成プログラムは表示プログラムに対して、マスク画像を重畳しない撮像画像や制限範囲外の撮像画像など、制限を受けていない撮像画像を要求するように指示する。表示プログラムは、この指示に従い、カメラサーバ100に対して映像配信要求を行う。
【0093】
次に、パノラマ作成プログラムは配信要求に応じてカメラサーバ100から送信された撮像画像を受信し(s503)、それらの撮像画像を合成してパノラマ画像を作成する(s504)。パノラマ画像の作成方法については公知の方法を用いることができるので詳細な説明を省略する。そして、パノラマ作成プログラムは、カメラサーバ100に作成したパノラマ画像を送信する(s505)。クライアント200において、マスク処理等の設定処理を行う場合には、ステップs504においてパノラマ画像を作成した後、ステップs505においてパノラマ画像を送信する前に設定処理を行うこととすることができる。
【0094】
以上のようにして、パノラマ作成ツールを有するクライアント200はパノラマ画像を作成してカメラサーバ100に送信する。ステップs502において、パノラマ作成ツールを有するクライアント200はマスク処理等の制限処理を行っていない画像を取得する。しかし、パノラマ作成ツールを用いた配信要求である場合、カメラサーバ100は管理者クライアントには映像処理による制限を行わない映像を配信する一方、一般クライアントへは映像処理による制限を行った映像を配信する。従って、パノラマ画像作成時に制限を解除された撮像画像を一般クライアントから閲覧できてしまうことを防ぐことができる。
【0095】
パノラマ作成ツールを有していない一般クライアントにおける表示処理については、実施例1において図4を用いて説明した動作と同じであるため説明を省略する。
【0096】
以上の構成により、本実施例にかかる映像配信システムは、パノラマ作成ツールを用いたクライアントの指示により撮像制限を解除して撮像を行う間は、カメラサーバ100は管理者クライアントには映像処理による制限を行わない映像を配信する。一方、カメラサーバ100は一般クライアントへは映像処理による制限を行った映像を配信する。従って、パノラマ作成のために用いられる映像が意図せずに一般クライアントに配信されることを防ぐことができる。
【0097】
(実施例3)
実施例3では、撮像を制限する設定があっても映像処理を行わない映像及び映像処理を行った映像の配信を行わず、制限されるべき映像を含んでいる撮像データを配信する際にこれらの映像の配信を行う映像配信システムについて説明する。
【0098】
実施例3にかかる映像配信システムの構成について説明する。本実施例にかかる映像配信システムのCPU110は、図2に示した各構成に加えて、撮像部145が撮像した映像に制限部112の設定を解除した映像が含まれるか判断する判断部を有する。本実施例にかかる配信制御プログラムは、配信しようとする映像に、一般クライアントに対して閲覧を制限すべき映像が含まれているかの判断を行う判断手順を有する。CPU110が配信プログラムを実行することにより、判断部の機能が実現される。本実施例にかかる配信制御プログラムの詳細については後述する。その他の構成については、実施例1において図2を用いて説明したものと同一であるので説明を省略する。また、本実施例にかかるクライアント200の構成についても、実施例1において図1を用いて説明したものと同一であるので説明を省略する。
【0099】
続いて、本実施例にかかる映像配信システムの動作について説明する。まず、本実施例にかかるカメラサーバ100の動作について説明する。実施例1で図3を用いて説明したものと同一のステップについては説明を省略する。本実施例にかかる配信制御プログラムを実行するカメラサーバ100は、設定ツールを有するクライアントが接続されてから、設定ツールを用いて行った最初の配信要求であるか判断するためのステップs350の処理を行わない。また、本実施例にかかるカメラサーバ100は、ステップs352において撮像画像の閲覧を制限する設定が既に有効にされているかを判断した後、配信される撮像画像に一般クライアントの閲覧を制限する映像(以下、制限映像)が含まれるか判断する。例えば、カメラサーバ100は現在の画角内にマスク画像を重畳すべき領域があるかどうか、現在の画角が可視範囲設定によって制限された画角の外に出ているかどうか等を判定する。撮像画像に制限映像が含まれるか否かの判断は、例えば、ステップs352において有効にされていると検出した制限設定の内容を一次記憶装置120あるいは二次記憶装置130から読み出して行う。
【0100】
制限設定の内容がマスク処理である場合には、配信プログラムは、撮像部145によって撮像可能な全撮像範囲を座標平面とした、マスク処理を行うべき領域(以下、マスク領域)の各頂点の座標を記憶する。また、配信プログラムは前記座標平面における現在の撮像範囲の各頂点の座標を撮像部145から取得した画角情報に基づいて導出する。そして、配信制御プログラムは、記憶したマスク領域の各頂点の座標と現在の撮像範囲の各頂点の座標とを比較して、現在の撮像範囲にマスク領域が含まれるか判定することができる。
【0101】
制限設定の内容が可視範囲制限である場合には、配信プログラムは、一般クライアントが撮像画像の閲覧を制限されている範囲の画角を記憶する。また、配信プログラムは、現在の画角情報を撮像部145から取得する。そして、一般クライアントの閲覧が制限されている画角と現在撮像されている画角とを比較して、撮像映像に制限映像が含まれるか判定することができる。このようにして配信部は、制限される撮像範囲又は映像処理が行われる領域と現在の撮像範囲とを比較して、撮像部145が撮像した映像に制限すべき映像が含まれるか判断する。上述の判定方法は一例に過ぎず、撮像映像に制限映像が含まれるか判断できるものであれば、どのような判定方法を用いてもよい。
【0102】
そして、撮像画像が制限映像を含む場合、ステップs353に進んで、管理者クライアントには映像処理による制限を行わない映像を配信する一方、一般クライアントへは映像処理による制限を行った映像を配信する。
【0103】
クライアント200の動作については、実施例1において図4を用いて説明した動作と同一であるため説明を省略する。
【0104】
このようにして、配信プログラムは、撮像部145が撮像した映像に制限すべき映像が含まれると判断した場合に、管理者クライアントには映像処理による制限を行わない映像を配信する。一方、配信プログラムは、一般クライアントへは映像処理による制限を行った映像を配信する制御を行う。本実施例にかかる映像配信システムは、撮像画像に制限映像が含まれるようになるまでは、管理者クライアントと一般クライアントに対して同一の映像を送信する。従って、ネットワーク195に異なる映像を同時に配信する時間を短くすることができるので、システムの通信負荷を低減することができる。また、本実施例にかかる映像配信システムによれば、実施例1と同様にして、設定ツールを使う管理者特権での映像が意図せずに配信される場合に、一般クライアントへの意図しない映像の配信を防ぐことができる。
【0105】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0106】
また、本発明は、上述した実施形態のソフトウェア(プログラム)のかわりにハードウエアによって構成しても同じ機能を奏することができる。
【符号の説明】
【0107】
100 カメラサーバ
145 撮像部
110 CPU
111 撮像制御部
112 設定部
113 配信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段に撮像を行わせる撮像制御手段と、
前記撮像手段が撮像した映像に映像処理を行って所定の領域が閲覧されないように制限する制限手段と、
前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段が閲覧の制限を行う制限領域の設定を行う設定手段と、
前記制限手段により前記映像処理が行われない第一の映像と、前記制限手段により前記映像処理が行われた第二の映像を生成する生成手段と、
前記設定手段に対する設定変更を行う第一のクライアントに対して前記第一の映像を配信し、前記設定手段に対する設定変更を行わない第二のクライアントに対して前記第二の映像を配信する配信手段とを有することを特徴とする映像配信装置。
【請求項2】
前記制限手段は前記所定の領域にマスク画像を重畳して前記所定の領域が閲覧されないように制限し、
前記配信手段は、前記設定手段に対して前記撮像手段が撮像した映像にマスク画像を重畳する領域の設定を変更する前記第一のクライアントに対して前記マスク画像を重畳しない前記第一の映像を生成して配信し、前記第二のクライアントに対して前記マスク画像を重畳した前記第二の映像を配信することを特徴とする請求項1に記載の映像配信装置。
【請求項3】
前記設定手段は前記撮像手段が撮像した映像のうち前記第二のクライアントが閲覧できる可視領域を設定し、
前記配信手段は、前記設定手段に対して前記可視領域の設定の変更を行う前記第一のクライアントに対して前記第一の映像を生成して配信し、前記第二のクライアントに対して前記可視領域外の映像にマスク画像を重畳した前記第二の映像を配信することを特徴とする請求項1に記載の映像配信装置。
【請求項4】
前記設定手段は前記撮像手段が撮像可能な撮像範囲を設定し、
前記配信手段は、前記撮像範囲の設定を変更する前記第一のクライアントに対して前記第一の映像を生成して配信し、前記第二のクライアントに対して前記撮像範囲外の映像にマスク画像を重畳した前記第二の映像を配信することを特徴とする請求項1に記載の映像配信装置。
【請求項5】
撮像手段に撮像を行わせる撮像制御手段と、
前記撮像手段が撮像した映像のうち所定の領域に映像処理を行って該所定の領域が閲覧されないように制限する制限手段と、
前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段が閲覧の制限を行う制限領域の設定を行う設定手段と、
前記制限手段により前記映像処理が行われない第一の映像と、前記制限手段により前記映像処理が行われた第二の映像を生成する生成手段と、
パノラマ画像を作成する第一のクライアントに対して前記第一の映像を配信し、パノラマ画像を作成しない第二のクライアントに対して前記第二の映像を配信する配信手段とを有することを特徴とする映像配信装置。
【請求項6】
前記設定手段に対する設定の変更を行うための設定アプリケーションを前記第一のクライアントが起動した場合に前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段の制限範囲の設定を開始し、
前記アプリケーションの終了によって前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段の制限範囲の設定を終了し、
前記配信手段は、前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段の制限範囲の設定の開始から終了までの間、前記設定手段に対する設定変更を行う第一のクライアントに対して前記第一の映像を配信し、前記設定手段に対する設定変更を行わない第二のクライアントに対して前記第二の映像を配信することを特徴とする請求項1に記載の映像配信装置。
【請求項7】
前記第一のクライアントによる設定アプリケーションにおける設定開始操作によって前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段の制限範囲の設定を開始し、
前記第一のクライアントによる前記設定アプリケーションにおける設定終了操作によって前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段の制限範囲の設定を終了し、
前記配信手段は、前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段の制限範囲の設定の開始から終了までの間、前記設定手段に対する設定変更を行う第一のクライアントに対して前記第一の映像を配信し、前記設定手段に対する設定変更を行わない第二のクライアントに対して前記第二の映像を配信することを特徴とする請求項1に記載の映像配信装置。
【請求項8】
前記設定手段がマスク画像を重畳する領域の設定の変更をしている間は、該設定の変更を行う前のマスク画像と該設定変更を行った後のマスク画像の双方を重畳した前記第二の映像を前記第二のクライアントに配信することを特徴とする請求項2に記載の映像処理装置。
【請求項9】
撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した映像に映像処理を行って所定の領域が閲覧されないように制限する制限手段と、
前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段が閲覧の制限を行う制限領域の設定を行う設定手段と、
前記制限手段により前記映像処理が行われない第一の映像と、前記制限手段により前記映像処理が行われた第二の映像を生成する生成手段と、
前記設定手段に対する設定変更を行う第一のクライアントに対して前記第一の映像を配信し、前記設定手段に対する設定変更を行わない第二のクライアントに対して前記第二の映像を配信する配信手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
撮像装置にネットワークを介して接続されたクライアントに対して前記撮像装置が撮像した映像を配信する映像配信システムであって、
前記クライアントは、
前記撮像装置に対して前記撮像装置が撮像した映像の配信要求を行う配信要求手段を有し、
前記撮像装置は、
撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した映像に映像処理を行って所定の領域が閲覧されないように制限する制限手段と、
前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記制限手段が閲覧の制限を行う制限領域の設定を行う設定手段と、
前記制限手段により前記映像処理が行われない第一の映像と、前記制限手段により前記映像処理が行われた第二の映像を生成する生成手段と、
前記設定手段に対する設定変更を行う第一のクライアントに対して前記第一の映像を配信し、前記設定手段に対する設定変更を行わない第二のクライアントに対して前記第二の映像を配信する配信手段とを有することを特徴とする映像配信システム。
【請求項11】
撮像制御手段が、撮像手段に撮像を行わせる撮像制御ステップと、
生成手段が、前記撮像手段が撮像した映像における所定の領域が閲覧されないように制限する映像処理が行われない第一の映像と、前記映像処理が行われた第二の映像を生成する生成ステップと、
配信手段が、前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記撮像手段が撮像した映像において閲覧されないように制限する領域の設定を行う第一のクライアントに対して前記第一の映像を配信し、前記設定を行わない第二のクライアントに対して前記第二の映像を配信する配信ステップとを有することを特徴とする映像配信方法。
【請求項12】
撮像手段にネットワークを介して接続されたクライアントに対して前記撮像手段が撮像した映像を配信するコンピュータに、
撮像手段が撮像した映像における所定の領域が閲覧されないように制限する映像処理が行われない第一の映像と、前記映像処理が行われた第二の映像を生成する生成ステップと、
前記撮像手段の撮像条件の設定又は前記撮像手段が撮像した映像において閲覧されないように制限する前記所定の領域の設定を行う第一のクライアントに対して前記第一の映像を配信し、前記設定を行わない第二のクライアントに対して前記第二の映像を配信する配信手順とを実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−90176(P2012−90176A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236679(P2010−236679)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】