説明

時刻合わせを行う無線通信システム、交換機、無線子機

【課題】 ARIB標準 RCR STD−28の規定に準拠して、無線子機独自の時刻情報とは別に任意の時刻情報メッセージを無線子機に通知する。
【解決手段】 PBXに複数設定された時刻情報を無線基地局単位に通知することにより、無線子機の時刻情報の秒単位のズレを一致させるとともに、任意の時刻情報をクリアすることなく、無線基地局毎に時刻情報をUSCCHおよびUUIメッセージに格納して配下の無線子機に通知し、表示部に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPHSなどの無線通信システムで使用する無線子機の時刻合わせ制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2006−33072号公報(特許文献1)がある。この公報には、「〜携帯端末が内蔵する時刻表示を、正確な時刻(標準時刻)表示に自動的に修正する時刻データ取得方法を提供〜」、「ユーザは、時刻修正のための特別の操作をすることなく、携帯端末内部の時刻表示を正確な時間に自動的に修正可能〜」と記載されており、これらの技術は、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などの無線通信システムで使用される携帯端末では、端末毎に時刻情報を設定して利用したり、無線通信システムの上位装置が保持する時刻情報を接続される携帯端末に一元管理的に強制的に送信し、すべての携帯端末の時刻情報を一致させる方法である。
【0003】
一方、特開2007−232569号公報(特許文献2)がある。この公報には、「〜標準時刻表示と数分進めるなどの補正した時刻の表示との両方を行うことができる電波時計を提供〜」と記載されており、上位装置側で時刻情報のズレ(進めたり、遅めたり)と正確な情報を提供できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−33072号公報
【特許文献2】特開2007−232569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2006−33072号公報(特許文献1)による従来の技術においては、各々端末独自に管理される時刻情報のズレやバラツキを補完することはできるが、無線子機上で意図的に時刻情報をずらして運用していた場合(例えば、企業内などで5分前行動のために進めていたり、サマータイム制やウィンタータイム制の導入などにより、1〜数時間進めたり、逆に遅らせたりする場合など)には、正確な時刻情報に一致させることは無操作で実現可能であるが、その後、無線子機毎にあらためて時刻情報を設定し直す行為が必要であった。
【0006】
さらに、無線子機の機能設定により時刻情報を上位装置管理の時刻情報と一致させないような機能設定をすることができるが、この場合、長時間経過後は、無線子機のハードウェアの精度により分秒のズレが生じるため、いずれにせよ時刻情報の再設定行為が不可欠であった。
【0007】
また、特開2007−232569号公報(特許文献2)による従来の技術においては、電波時計による広範囲的なサービスの提供となり、オフィスなどのフロア単位や部署単位の平面的に狭い範囲での提供、および電波時計を受信できない地下街や地下工事現場など立体的な空間に対して時刻情報を提供することができない。
【0008】
さらに、電波時計では、狭い範囲での複数時刻情報(早めたり、遅めたり)を提供することができないことに加えて、無線子機内部に電波時計の受信装置を搭載することが必須となり、端末のハードウェア構成上部品数が増え、小型化低価格化に限界があった。
【0009】
さらに、時刻情報のズレを補正すること、すなわち時刻情報を複数の無線子機で共有するということは、システムで時刻情報を管理することが目的であるが、従来の技術では、システムを細分化した範囲、例えばエリア毎の管理(空間的場所毎の時刻管理)や無線子機単位の時刻管理ができなかった。
【0010】
本発明は、上記の従来技術の課題を解消し、複数の時刻情報を無線子機に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、少なくとも1の基地局を収容する交換機において、時刻と、時刻の配信対象である基地局の基地局識別情報と、基地局をグループとして管理するグループ情報とを含む時刻情報を複数保持する時刻情報保持手段と、グループごとに配信対象の基地局に該当する基地局識別情報を含む時刻情報を配信対象の基地局へ配信する時刻情報配信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、一時的に特定の範囲内に存在する無線子機を保持するユーザに対して、無線子機に設定されている時刻情報とは別に、任意の時刻情報を無線子機に通知することができ、また、無線子機の時刻情報を更新および表示設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】無線通信システムの一例を示すシステム構成図である。
【図2】無線通信システムに使用する構内交換機の一例を示すブロック構成図である。
【図3】無線通信システムに使用する無線基地局の一例を示すブロック構成図である。
【図4】無線通信システムに使用するPHS無線子機の一例を示すブロック構成図である。
【図5】構内交換機が保持する時刻情報通知リストの一例である。
【図6】構内交換機から無線基地局へ通知される時刻情報通知メッセージのコーディングの一例である。
【図7】無線基地局が保持する時刻情報通知リストの一例である。
【図8】無線基地局から待受け状態のPHS無線子機へ報知される時刻情報通知メッセージの第一フレームのメッセージコーディングの一例である。
【図9】無線基地局から待受け状態のPHS無線子機へ報知される時刻情報通知メッセージの第二フレームのメッセージコーディングの一例である。
【図10】無線基地局から通話中状態のPHS無線子機へ通知される時刻情報通知メッセージのコーディングの一例である。
【図11】時刻情報通知メッセージを構成する時刻情報データのメッセージコーディングの一例である。
【図12】時刻情報通知メッセージをPHS無線子機に報知する無線基地局の動作フローチャート図の一例である。
【図13】PHS無線子機が保持する時刻情報テーブルの一例である。
【図14】待受け状態のPHS無線子機が無線基地局からの時刻情報通知メッセージを受信し表示する動作フローチャート図の一例である。
【図15】構内交換機が待受け状態のPHS無線子機へ無線基地局を介して時刻情報通知メッセージを通知するシーケンス図の一例である。
【図16】PHS無線子機が時刻情報の表示を切り替える動作フローチャート図の一例である。
【図17】通話中状態のPHS無線子機が無線基地局からの時刻情報を受信し表示する動作フローチャート図の一例である。
【図18】PHS無線子機が通話終了時、切断するときに時刻情報通知メッセージを通知されるシーケンス図の一例である。
【図19】PHS無線子機が通話終了時、通話相手側が切断するときに時刻情報通知メッセージを通知されるシーケンス図の一例である。
【図20】複数階に立体的に存在するビル内に無線通信システムを構築した一例である。
【図21】平面的な空間に無線通信システムを構築した一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、無線通信システムの一例を示すシステム構成図である。具体例として、社団法人電波産業会(ARIB)標準「第二世代コードレス電話システム標準規格(RCR STD−28)」で実現される事業所用PHSに本発明を適用して説明する。ただし、本発明の実施形態は、事業所用PHSに限定されず、公衆用PHSおよび家庭用PHSにも適用できる。
【0015】
上記無線通信システムは、回線交換および無線制御用構内交換機(Private Branch eXchange)(以下、「PBX」と称する)100、複数の無線基地局101〜103、PHS無線子機104〜105、内線電話機108の内線側端末装置と、公衆通信網106、ならびに専用線網107を収容した構成であり、各端末装置間の通信を実現する。なお、構内交換機(PBX)100には時刻情報データや制御データ等の各種データを投入および保守制御を行うための保守用端末109が接続されている。また、無線基地局101〜103は構内交換機(PBX)100と有線ケーブルで接続され、PHS無線子機104〜105とは電波により無線通信する。当然に無線基地局およびPHS無線子機の台数はこれらに限られるものではない。
【0016】
図2は、図1の無線通信システムを構成し、制御する構内交換機(PBX)100の一例を示すブロック構成図である。
【0017】
この構内交換機(PBX)100は、回線(公衆網106の局線や専用線網107の専用線等)や電話端末(一般のアナログ電話機やデジタル多機能電話機、PHS(Personal Handyphone System)端末等)の回線交換を行う通話路スイッチ200、公衆網の回線を収容する局線トランク201、専用線網の回線を収容する専用線トランク202、内線電話機を収容する内線回路203、無線基地局を収容する基地局トランク204〜206が接続されており、本装置を制御するための制御部207、入出力部210、記憶部211を装備している。
【0018】
また、制御部207には、時刻情報管理部208と時刻情報配信部209が含まれる。記憶部211には、時刻情報保持部212が含まれる。
【0019】
ここで、内線回路203は、複数台の内線電話機を接続し、これらを制御(発信、着信制御等)して、構内交換機(PBX)100との呼接続処理を行うものであり、基地局トランク204〜206は、複数台の無線基地局を接続し、これを制御(発信、着信、メッセージ送受信制御等)して、構内交換機(PBX)100との呼接続処理を行うものである。また、局線トランク201は公衆網の回線を接続し、これを制御(発信、着信制御等)して、構内交換機(PBX)100との呼接続処理を行うものであり、専用線トランク202は、他の自営網などの専用線の回線を接続し、これを制御(発信、着信制御等)して、構内交換機(PBX)100との呼接続処理を行うものである。
【0020】
なお、構内交換機(PBX)100が装備している制御部207は、構内交換機(PBX)100の全体を統制・制御して呼接続制御を行い、構内交換機(PBX)100が提供する機能(電話接続サービスや時刻情報通知サービス)および運用・保守管理を実現する。そして、時刻情報管理部208は、構内交換機(PBX)100システム内の標準時刻(正規時刻)や無線基地局毎に任意の時刻(ダミー時刻)を設定して、配信する時刻情報データの管理、後述する時刻情報通知リストの管理、制御を行う。時刻情報配信部209は、時刻情報通知リストを基にして作成された時刻情報通知メッセージ(後述)を配下の無線基地局101〜103へ配信し、また、通話中のPHS無線子機104〜105へ通知する。
【0021】
また、制御バスを介して、記憶部211が接続されており、記憶部211には制御部207が時刻情報通知サービスを行うためのプログラムや、回線交換や呼接続制御を行うためのシステム設定等、動作条件、機能条件、動作状態等の局データ(各種テーブル)が格納されている。
【0022】
そして、PHS無線子機104〜105へ通知する時刻情報を含む時刻情報データは、時刻情報通知リスト(後述)として時刻情報保持部212に格納される。
なお、記憶部211はROM、RAM、フラッシュメモリ、磁気記憶ディスク、光ディスクなどから構成される。
【0023】
さらに、制御バスには、構内交換機(PBX)100の動作に必要な前記局データを設定するために用いられている端末装置である保守用端末109を接続するための入出力部211が接続されており、構内交換機(PBX)100の使用にあたり、使用条件等に応じて保守用端末109から記憶部211に対して局データや時刻情報データを随時設定、更新できる。そのため、運用中でもリアルタイムで無線基地局101〜103へ変更されたデータを反映することができる。
【0024】
ここで、時刻情報管理部208の動作について説明する。構内交換機(PBX)100には、回線交換制御を実現するために内蔵クロック(図示せず)が制御部207に搭載されており、この内蔵クロックを基に構内交換機(PBX)100内で生成した時刻情報から日付情報を算出して、構内交換機(PBX)100内で運用されるとともに、本時刻情報とは別に複数の任意時刻を保守用端末109で設定して時刻情報通知リスト(後述)として時刻情報管理部208で管理して運用している。
【0025】
また、この時刻情報管理部208は、時刻情報通知リスト(後述)に設定された複数の任意の時刻情報を初期値として、内蔵クロックを基にして各々の時刻が進む処理(各々の時刻で時を刻み続ける)を行っている。
【0026】
なお、構内交換機(PBX)100内で運用される時刻情報を全ての無線基地局101〜103に対して配信することにより、構内交換機(PBX)100配下の全てのPHS無線子機104〜105の時刻を一致させる、すなわち時刻補正を行うことが可能になる。
【0027】
図3は、図1の無線通信システムを構成する構内交換機(PBX)100に接続される無線基地局の一例を示すブロック構成図である。
【0028】
無線基地局101〜103は、アンテナ301〜302、無線部303、モデム部308、TDMA処理部309、回線インタフェース部310、制御部311、記憶部315を装備している。
【0029】
そして、無線部303は、アンテナ切替部304、受信部305、送信部306、シンセサイザ部307から構成されている。制御部311は、無線基地局101〜103全体の制御を行っており、構内交換機(PBX)100からの時刻情報データを受信する時刻情報受信処理部312、構内交換機(PBX)100から受信した時刻情報の内容を解析し、PHS無線子機104〜105へ配信する時刻情報データの更新判定を行う時刻情報管理部313、PHS無線子機104〜105への時刻情報データを配信する時刻情報配信処理部314が含まれる。そして、記憶部315には、無線通信サービスを実現する動作プログラムや、PHS無線子機104〜105との無線通信条件、通信状態等の情報が格納されている。また、記憶部315には時刻情報保持部316が含まれており、受信した時刻情報データは時刻情報通知リスト(後述)として時刻情報保持部316に格納される。
【0030】
なお、記憶部315はROM、RAM、フラッシュメモリ、磁気記憶ディスク、光ディスクなどから構成される。
【0031】
アンテナ301〜302は切替部304にて送受信部を切り替えて使用されるとともに、受信時はダイバーシティ制御をするものである。受信部305を経て、モデム部308より復調された受信信号はTDMA処理部309より連続する受信データとして回線インタフェース部310を経て、構内交換機(PBX)100の基地局トランク204〜206に送信される。これとは逆に構内交換機(PBX)100から連続する送信信号は基地局トランク204〜206から送信され、回線インタフェース部310を介してTDMA処理部309に送信される。TDMA処理部309では、連続する送信データをバースト状のデータに変換し、モデム部308にて変調し、送信部306を経て無線子機104〜105に対して送信される。
【0032】
そして、ARIB標準 RCR STD−28の規定に従った報知情報として制御用物理スロット上に定義可能なチャネルであるユーザ特有チャネル(User Specific Control CHannel)(以下、「USCCH」と称する。)を用いて、時刻情報配信処理部314によってPHS無線子機104〜105に対して時刻情報データを常時報知する。このUSCCHは規定項目を満足していれば、その使用方法は任意なオプションとなり、ユーザ独自で任意の制御チャネルとして使用できる。
【0033】
さらに、運用中でも変更されたデータが構内交換機(PBX)100から配信されることにより、リアルタイムでUSCCHにてPHS無線子機104〜105に対して報知することができる。
【0034】
ここで、時刻情報管理部313の動作について説明する。無線基地局101〜103には、構内交換機PBX(100)およびPHS無線子機104〜105とデジタル伝送および無線通信を実現するために内蔵クロック(図示せず)が制御部311に搭載されており、この内蔵クロックを基に無線基地局101〜103が独自に生成した時刻を、時刻情報管理部313で管理して運用している。
【0035】
図4は、図1の無線通信システムを構成する構内交換機(PBX)100に収容されるPHS無線子機104〜105の一例を示すブロック構成図である。
【0036】
PHS無線子機104〜105は、レシーバ401、マイク402、音声制御部403、コーデック部404、TDMA処理部405、モデム部406、無線部407、アンテナ412、操作部413、表示部414、制御部415、記憶部418、電源部423を装備している。
【0037】
そして、無線部407は、受信部408、送信部410、シンセサイザ部409、アンテナ切替部411から構成されている。制御部415は、PHS無線子機104〜105全体の制御を行う。また、制御部415には、無線基地局101〜103からの時刻情報データを受信する時刻情報受信処理部416、無線基地局101〜103から受信した時刻情報の内容を解析し、当該時刻情報データの更新判定や受信した時刻情報の表示判定処理を行う時刻情報管理部417が含まれている。
【0038】
マイク402から入力される音声データは、音声制御部403を経て、コーデック部404にて符号化される。TDMA処理部405から無線基地局101〜103へ送信されるまでの動作と、受信した受信信号がTDMA処理部405に送られるまでに動作は図3に示す無線基地局の動作と同様である。TDMA処理部405により連続するデータとなった受信信号は、コーデック404により復号化され、音声制御部403を経て、レシーバ401により送信される。
【0039】
そして、記憶部418には、無線通信サービスを実現する動作プログラムや、PHS無線子機104〜105の動作条件や無線基地局101〜103との通信条件、通信状態等の情報が格納されている。また、受信した時刻情報データが時刻情報テーブル(後述)として時刻情報保持部419に格納されるように構成されている。なお、記憶部418はROM、RAM、フラッシュメモリ、磁気記憶ディスク、光ディスクなどから構成される。 ここで、時刻情報管理部417の動作について説明する。PHS無線子機104〜105には、無線基地局101〜103と無線通信を実現するために内蔵クロック(図示せず)が制御部415に搭載されており、この内蔵クロックを基にPHS無線子機104〜105が独自に生成した時刻を、時刻情報管理部417で管理して運用している。
【0040】
図5は、図1の無線通信システムにおいて構内交換機(PBX)100が保持する時刻情報通知リストの一例である。この時刻情報通知リストは、保守用端末109から設定され、構内交換機(PBX)100の記憶部211の時刻情報保持部212に保持されるものである。
【0041】
構内交換機(PBX)100で時刻情報通知リストとして管理される時刻情報は、時刻情報通知対象グループ500、通知対象無線基地局501、状態変化502、メッセージ番号503、時刻表示種別504、通知時刻情報505、対象内線番号506、表示指示フラグ507である。
【0042】
ここで、時刻情報通知対象グループ500は、複数の無線基地局を空間的なエリア単位でグループ分けした際に用いられる通知グループの管理番号で、グループ00〜31の最大32グループに分けて運用および管理することができる。このグループ分けは、場所的な管理をする場合に無線基地局1台および複数台を任意に登録することができるものであり、登録された無線基地局は無線基地局を識別する通知対象無線基地局501にて管理される。
【0043】
なお、この時刻情報通知対象グループ500は、各PHS無線子機にあらかじめ所属グループ1301(後述)としてデータ登録して管理されている(後述)。
【0044】
また、状態変化502は、構内交換機(PBX)100が通知対象の無線基地局に時刻情報データを配信する毎に1ずつインクリメントされる。つまり、時刻情報が無線基地局に配信されるたびに状態変化502の値が変化して行くものであり、本時刻情報通知リストの項目内容501および503〜507の変更または更新有無には関与しない。
【0045】
さらに、メッセージ番号503は、時刻情報通知メッセージ(後述)を配信する、しないに関わらず、本時刻情報通知リストの項目内容501〜507を変更または更新する毎に1ずつインクリメントされる。つまり、時刻情報通知リスト項目の更新履歴を時刻情報管理部208で管理するために使用し、時刻情報通知メッセージを無線基地局に配信しても、しなくても、時刻情報通知リストの内容が更新されない限り同じ値となる。
【0046】
ここで、状態変化502は、無線基地局101〜103およびPHS無線子機104〜105が時刻情報通知メッセージ(後述)で時刻情報データを受信した時に時刻情報の更新契機に使用するものであるが、状態変化502の値が一巡した場合でも、PHS無線子機104〜105が最新の時刻情報を正確に更新できるようにするため、メッセージ番号503と併用して使用する。
【0047】
メッセージ番号503は、通話中のPHS無線子機に対して通知する時刻情報通知メッセージ(後述)と、通話中以外(待受け状態)のPHS無線子機に対して通知する時刻情報通知メッセージ(後述)をPHS無線子機側で適用するかどうかを判定するための情報として使用されるものである。つまり、PHS無線子機が通話から待受けの過程で同じメッセージを2回受信しないようにするものであり、後述する通話中の際に使用されるユーザ・ユーザ情報(User User Information)(以下、「UUI」と称する)に格納されるメッセージ番号と同期している。
【0048】
そして、時刻表示種別504は、通知する時刻情報が24時間制表示か12時間制表示かを示す情報が格納される。通知時刻情報505は、通知対象無線基地局501に登録された無線基地局に対して、具体的に通知する時刻情報が、西暦、年、月、日、曜日、時、分、秒として格納される。
【0049】
さらに、時刻情報通知対象グループ500は、場所的な管理以外に、個別に管理すべきPHS無線子機を常時管理するためにも用いることができ、その場合は、PHS無線子機を識別する対象内線番号506の領域に個別に管理すべきPHS無線子機を任意にあらかじめ登録する。この対象内線番号506に登録されたPHS無線子機が通知対象無線基地局501に登録されている無線基地局のエリア外、例えば、他の無線基地局配下に存在している場合に、PHS無線子機の通話終了時に、強制的に他の無線基地局経由で時刻情報通知メッセージを通知するときに使用するものである。
【0050】
表示指示フラグ507は、通知対象無線基地局501に登録された無線基地局配下で、時刻情報通知対象グループ500を所属グループ1301(後述)としてあらかじめ設定されている待受け状態のPHS無線子機と、当該無線基地局以外の無線基地局エリアで通話中の対象内線番号506に登録した該当するPHS無線子機に対して、通知した通知時刻情報505を強制的に画面表示させるための「表示強制」フラグ、画面表示を解除させるための「表示解除」フラグ、PHS無線子機の設定状態によって画面表示の適用を任せるための「表示任意」フラグ、画面表示を非表示にするための「表示クリア」フラグを示す情報が格納される。
【0051】
なお、前述のように、時刻情報通知対象グループ毎に格納される各情報は、全て保守用端末109から随時変更することができるようになっている。これにより、例えば、タイマー設定等である時刻毎に表示指示フラグ「表示強制/表示解除/表示任意/表示クリア」のみが更新される運用も可能になる。
【0052】
具体的に、時刻情報通知対象グループ「00」は、無線基地局1〜3が通知対象無線基地局で、状態変化が「0」、メッセージ番号が「0」、時刻表示種別が「24時間表示」、通知時刻情報が「20AA年BB月CC日D曜日 EE時FF分GG秒」、対象内線番号が「無線子機全数」、表示指示フラグが「表示解除」という属性で管理されている。
【0053】
これは、構内交換機(PBX)100が時刻情報通知メッセージを配信する場合、時刻表示種別504、通知時刻情報505、表示指示フラグ507の情報内容をピックアップし、時刻情報通知メッセージの情報要素にコーディングして、通知対象無線基地局である無線基地局1〜3に対して配信することを表している。また、通知対象無線基地局である無線基地局1〜3以外の無線基地局で通話中のPHS無線子機(ここでは対象内線番号506に登録された無線子機全数)に対して、通話切断時に本時刻情報通知メッセージを通知することを表している。
【0054】
時刻情報通知対象グループ「01」は無線基地局4〜10が通知対象無線基地局で、状態変化が「1」、メッセージ番号が「0」、時刻表示種別が「24時間表示」、通知時刻情報が「20HH年II月JJ日K曜日 LL時MM分GG秒」、対象内線番号が「無線子機1〜10」、表示指示フラグが「表示強制」という属性で管理されている。同様に時刻情報通知対象グループ「02」〜「31」には、個別に時刻情報通知リストとして格納され、管理されるものであり、この使用方法は、前述と同じである。
【0055】
ここで、通知時刻情報505のうち、秒データは、全ての時刻情報通知対象グループ「00」〜「31」において共通にすることにより、PHS無線子機側のハードウェア個体の性能差分があっても、その誤差(ズレ量のバラつき)を小さくすることができる。
【0056】
図6は、図1の無線通信システムにおいて構内交換機(PBX)100で保持、管理されている図5の時刻情報通知リストと時刻情報管理部208で管理して運用している時刻情報に基づいて、構内交換機(PBX)100から通知対象の無線基地局へ配信される時刻情報通知メッセージのコーディングの一例である。
【0057】
オクテット1は、システム独自メッセージであることを示すプロトコル識別子600、オクテット2および3は、本メッセージの呼番号長601と呼番号値602である。
オクテット4〜14が、時刻情報通知メッセージの詳細である。オクテット4および5は、時刻情報通知メッセージであることを示すメッセージ種別603と事項情報要素の内容長604、オクテット6は表示指示フラグ605と通知対象グループ606、オクテット7は状態変化607とメッセージ番号608、オクテット8、9、10には、各々年データ609、月データ610、日データ611、オクテット11は時刻の表示形式を示す時刻表示種別612、曜日データ613、オクテット12、13、14には各々時データ614、分データ615、秒データ616がそれぞれ格納される。
【0058】
なお、時刻情報通知メッセージが通知対象の無線基地局に配信されるときは、構内交換機(PBX)100の時刻情報管理部208で管理して運用している各時刻情報が各々609〜616のデータに格納されて、配信されるものである。
【0059】
図7は、図1の無線通信システムにおいて各無線基地局が保持する時刻情報通知リストの一例である。この時刻情報通知リストは、図6の時刻情報通知メッセージで各無線基地局の時刻情報受信処理部312が受信した時刻情報データを、各無線基地局の時刻情報保持部316に保持されるものである。
【0060】
各無線基地局で管理される時刻情報通知リストは、時刻情報通知メッセージを構内交換機(PBX)100から正常に受信できたかを判断する受信処理ステータス700と、時刻情報通知対象グループ701、状態変化702、メッセージ番号703、時刻表示種別704、通知時刻情報705、表示指示フラグ706で構成される。無線基地局の初期立上時など、時刻情報通知メッセージで受信した時刻情報データが無い場合は、受信処理ステータス700を「初期状態」とし、以降の各情報は「不定」として管理される。
【0061】
なお、構内交換機(PBX)100より新たな時刻情報通知メッセージを正常に受信した場合は、時刻情報保持部316の時刻情報通知リストが上書き更新される。
【0062】
図8および図9は、図1の無線通信システムにおいて各無線基地局101〜103で管理されている図7の時刻情報通知リストと図6の時刻情報通知メッセージによって補正された無線基地局101〜103が時刻情報管理部313で管理して運用している時刻情報を基にして、無線基地局101〜103から通話中以外(待受け状態)のPHS無線子機104〜105へ無線で常時報知するUSCCH上で配信される時刻情報通知メッセージのコーディングの一例である。
【0063】
ここで、無線基地局101〜103からPHS無線子機104〜105へ報知されるUSCCHによって1回の送信で配信可能な情報量は、前述のARIB標準 RCR STD−28の規定により8オクテットのため、PHS無線子機104〜105の制御に使用する箇所以外の領域を有効に使用しなければならない。従って、時刻情報データをPHS無線子機104〜105に配信するために、1つの時刻情報通知メッセージを2つのUSCCH(第一フレームおよび第二フレーム)で送信する。
【0064】
図8は、USCCHの第一フレームのメッセージコーディングの一例である。オクテット1は、時刻情報メッセージであることを示す情報要素識別子800、オクテット2は、秒データ801、オクテット3は、表示指示フラグ802とフレーム番号803と時刻情報通知対象グループ804、オクテット4、5、6には、各々年データ609、月データ610、日データ611、オクテット7は、状態変化がそれぞれ格納される。また、オクテット8には、RCR STD−28規定の報知受信指示809が格納されて、時刻情報通知メッセージの第一フレームがPHS無線子機104〜105へ報知されることを示すものである。
【0065】
図9は、USCCHの第二フレームのメッセージコーディングの一例である。オクテット1は、時刻情報メッセージであることを示す情報要素識別子900、オクテット2は、メッセージ番号901とフレーム番号903と時刻情報通知対象グループ903、オクテット3は、時刻の表示形式を示す時刻表示種別904と曜日データ905、オクテット4、5、6には、時データ906、分データ907、秒データ908、オクテット7は、状態変化がそれぞれ格納される。また、オクテット8には、RCR STD−28規定の報知受信指示809が格納されて、時刻情報通知メッセージの第二フレームがPHS無線子機104〜105へ報知されることを示すものである。
【0066】
USCCHで報知されるこれらの時刻情報通知メッセージは、第一フレームと第二フレームが必ず対になってPHS無線子機104〜105へ報知される。従って、時刻情報通知メッセージを受信したPHS無線子機104〜105は、第一フレームおよび第二フレームの両方を連続して正常に受信したときのみ時刻情報データの内容を自身へ反映し、時刻情報通知メッセージの欠落や受信エラーにより第一フレームおよび第二フレームを連続して受信できなかった場合は、時刻情報通知メッセージそのものを破棄することで、誤情報の反映を防止するこができる。
【0067】
また、図8の第一フレームのオクテット2と、図9の第二フレームのオクテット6に各々秒データ801、908が格納される理由は、無線基地局101〜103からPHS無線子機104〜105へ報知する際に秒データが変化することが発生しうるためである。 さらに、構内交換機(PBX)100から時刻情報通知メッセージが配信されることにより、状態変化808および909が1つずつインクリメントされるため、この状態変化808と909は同一の値となるが、無線基地局での更新および報知タイミングや、PHS無線子機104〜105の受信エラー等により、状態変化808と909が非同一であれば、PHS無線子機104〜105にてデータ異常と判断することができ、受信した時刻情報通知メッセージを破棄する。
【0068】
図10は、図1の無線通信システムにおいて構内交換機(PBX)100で管理されている時刻情報通知リスト内の対象内線番号506に該当する通話中のPHS無線子機104〜105に対して、個別に通知する場合の時刻情報通知メッセージのコーディングの一例である。この時刻情報通知メッセージは、呼制御メッセージの切断メッセージにユーザ・ユーザ情報(以下、UUIという。)で付加されるものである。
【0069】
図10で、オクテット1〜4は、呼制御メッセージの切断メッセージを示す情報群1000、オクテット5〜9は、理由表示を示す情報群1001、オクテット10〜21は、UUIの詳細を示す情報群1002から構成されている。
【0070】
このUUIの詳細を示す情報群1002において、オクテット10は、ユーザ・ユーザ情報であることを示す情報要素識別子1003、オクテット11は、ユーザ・ユーザ情報内容長1004、オクテット12は、時刻情報通知メッセージであることを示すメッセージ種別1005、オクテット13は、メッセージ番号1006とフレーム番号1007と通知対象グループ1008、オクテット14、15、16は、各々年データ1009、月データ1010、日データ1011、オクテット17は、時刻表示種別1012と曜日データ1013、オクテット18、19、20は、各々時データ1014、分データ1015、秒データ1016、オクテット21は、状態変化1018と表示指示フラグ1018が、それぞれ格納される。
【0071】
図11は、図6の構内交換機(PBX)から無線基地局への時刻情報通知メッセージならびに、図8、図9および図10の無線基地局からPHS無線子機への時刻情報通知メッセージで配信される時刻情報データのメッセージコーディングの一例を示す。
【0072】
ここで、年・月・日・時・分・秒データ1100は、4ビット構成で「0」〜「9」の数字を、曜日データ1101は、3ビット構成で「日曜」〜「土曜」を定義し、時刻表示種別1102は、2ビット構成で「24時間表示」、「12時間表示AM」、「12時間表示PM」を定義し、表示指示フラグ1103は、2ビット構成で「表示強制」、「表示解除」、「表示任意」、「表示クリア」を定義し、フレーム番号1104は、1ビット構成で「第一フレーム」、「第二フレーム」を定義し、状態変化1105は、3ビットで「0」〜「7」を定義し、メッセージ番号1106は、2ビット構成で「0」〜「3」を定義し、通知対象グループ1107は、5ビット構成で「全端末対象」、「対象グループ1」〜「対象グループ31」を定義される。
【0073】
図12は、図1の無線通信システムにおいて構内交換機(PBX)100から時刻情報通知メッセージを受信し、通話中以外(待受け状態)のPHS無線子機104〜105へ時刻情報データ配信する無線基地局101〜103の動作を示したフローチャート図の一例である。
【0074】
無線基地局101〜103は電源オン時1200、構内交換機(PBX)100との通信回線制御が正常動作するか判断して、通信リンクを確立する1201。その後、無線基地局101〜103がデジタル伝送を行うためのタイミング生成に使用している内蔵クロックを基に、無線基地局101〜103独自で時刻の秒データのカウントを開始(ゼロスタート)し1202、無線基地局内蔵のクロックで時刻情報(00時00分00秒から開始)を生成し続ける1210。
【0075】
その後、時刻情報通知リストの受信処理ステータス700の値の判定を行う1203が、無線基地局101〜103が電源オン時や構内交換機(PBX)100から時刻情報通知メッセージ(図6)を一度も受信していない時は、無線基地局の時刻情報保持部316に保持している時刻情報が正しくない(不定)ため、受信処理ステータス700が初期状態(1203のYes)となり、無線側制御情報の間欠送信動作状態に移行し1206、運用状態となる。
【0076】
ここで、本間欠送信動作中1206に、構内交換機(PBX)100から新たな時刻情報通知メッセージ(図6)を受信すると1207、無線基地局101〜103は受信した時刻情報データのコーディング内容を判定および解析し1208、受信データが異常な時(1208のNo)は受信データを廃棄する1212。また、受信データが正常な時は(1208のYes)、無線基地局101〜103の時刻情報通知リストの受信処理ステータス700を「受信完了」に変更1209後、時刻情報通知リストの受信処理ステータス700の値の判定処理1203をするとともに、時刻情報保持部316が保持する時刻情報通知リストを更新する1211。
【0077】
その後、更新された時刻情報(1211は、無線基地局が保持する時刻情報通知リストの通知時刻情報705のうち、年/月/日/曜日/時/分/秒データが即時に秒データカウント(時刻情報生成)処理され1210、無線基地局が生成する時刻情報が、構内交換機(PBX)100から受信した時刻情報と一致し、時刻を生成し続けることになり、同時にUSCCHでPHS無線子機104〜105へ送信する時刻情報をセットする1204。
【0078】
また、上記で時刻情報通知リストの受信処理ステータス700の値の判定において1203、受信処理ステータス700が「初期状態」でないとき、すなわち「受信完了」のときは(1203のNo)、USCCHに時刻情報を図8および図9の時刻情報通知メッセージに格納する1204。このときに、その時点の秒データカウント1210のデータを取り込み、USCCHの第一フレームおよび第二フレームとして送信し1205、無線側制御情報を間欠送信する動作に入る1206。
【0079】
さらに、時刻情報通知メッセージ(図6)を1回でも受信した後は、電源オフしない限り、受信処理ステータス700は「受信完了」のままなので、USCCHを送信する毎に、無線基地局101〜103の秒データカウント1210)で生成され、その時点の時刻情報がリアルタイムで報知される。
【0080】
なお、構内交換機(PBX)100から無線基地局に配信される時刻情報通知メッセージ(図6)は、構内交換機(PBX)100が保持、管理する時刻情報通知リスト(図5)の通知対象無線基地局501で通知対象の無線基地局を管理しているため、無線基地局への誤配信はない。
【0081】
図13は、図1の無線通信システムにおいてPHS無線子機104〜105が保持する時刻情報テーブルの一例である。この時刻情報テーブルは、無線基地局101〜103から、図8、図9および図10の時刻情報通知メッセージで時刻情報受信処理部416が受信した時刻情報データを、PHS無線子機104〜105の時刻情報保持部419に保持されるものである。
【0082】
時刻情報テーブルは、図8および図9の時刻情報通知メッセージ(第一フレーム、第二フレーム)をPHS無線子機104〜105が採用するかどうかを有効に運用するために、各項目1300と運用情報1313によって管理される。
【0083】
項目1300は、所属グループ1301、独自設定時刻有無1302、優先表示時刻1303、現在表示時刻1304、状態変化1305、メッセージ番号1306、表示指示フラグ1307、時刻表示種別1308、時刻種別1309で構成される。また、この時刻種別1309は、正規時刻1310(後述)、独自設定時刻1311(後述)、ダミー時刻1312(後述)で構成される。
【0084】
ここで、所属グループ1301は、運用前にあらかじめPHS無線子機104〜105毎に設定・登録されるグループ番号で、前記の図5に示す構内交換機(PBX)100の時刻情報通知リストに管理される対象内線番号506に対応する時刻情報通知対象グループ500と同じものである。なお、PHS無線子機が属する所属グループ1301は、単独だけではなく、複数グループに属することができる。
【0085】
独自設定時刻有無1302は、PHS無線子機104〜105にユーザが設定した時刻情報の有無を管理し、優先表示時刻1303は時刻種別1309のうち優先的に画面に表示させる時刻の種類(正規時刻/独自設定時刻/ダミー時刻)を管理し、現在表示時刻1304は、PHS無線子機104〜105の画面に現在表示している時刻種別(正規時刻/独自設定時刻/ダミー時刻)を管理している。
【0086】
状態変化1305とメッセージ番号1306と表示指示フラグ1307と時刻表示種別1308は、図8、図9および図10の時刻情報通知メッセージで配信される時刻情報データをそのまま管理する。
【0087】
なお、PHS無線子機内部では、ユーザが設定した時刻=「正規時刻/独自設定時刻」、図8、図9および図10の時刻情報通知メッセージで配信される時刻情報データ=「ダミー時刻」として定義および管理して運用される。
【0088】
そして、時刻種別1309のうち正規時刻1310およびダミー時刻1312は、無線基地局101〜103から受信した構内交換機(PBX)100システム内で統一管理される時刻であり、PHS無線子機の時刻補正対象となり、独自設定時刻1311はユーザがPHS無線子機104〜105に設定する時刻で、無線基地局101〜103から時刻情報データを受信しても更新されることはない。また、この独自設定時刻1311と正規時刻1310を共用するようにPHS無線子機104〜105を設定することもできる。
【0089】
さらに、ダミー時刻1312は、時刻情報データを一時的に特有の場所でのみ運用する場合だけではなく、全ての場所で運用する場合には正規時刻1310として適用することができる時刻である。
【0090】
また、この各時刻には、西暦・年・月・日・時・分・秒データがそれぞれ管理される(1315〜1321)。
【0091】
図14は、図1の無線通信システムにおいて時刻情報通知メッセージを受信する、通話中以外(待受け状態)のPHS無線子機104〜105の動作を示したフローチャート図の一例である。
【0092】
PHS無線子機104〜105は電源オン時1400、自身の正常性を確認後に無線基地局101〜103との無線通信伝送を行うためのタイミング生成に使用している内蔵クロックを基に、PHS無線子機104〜105独自で時刻の秒データのカウントを開始(ゼロスタート)し1401、PHS無線子機内蔵のクロックで時刻情報(00時00分00秒から開始)を生成し続ける1402。このとき、時刻情報保持部419に時刻情報が残っている場合は、その時刻情報を基にして生成し続ける。
【0093】
その後、待受ける無線基地局を検出すると、RCR STD−28の規定に則って、無線基地局101〜103が報知する制御情報を受信して、バッテリーセービング周期で間欠受信動作状態(待受け状態)に遷移する1403。
【0094】
この間欠受信動作時1403には、無線基地局101〜103から報知されるUSCCHを受信することができるため、無線基地局101〜103から常時報知されるUSCCHの第一フレームおよび第二フレームで受信した時刻情報データのコーディング内容を判定および解析し、時刻情報通知対象グループ(804および903)とPHS無線子機104〜105が時刻情報保持部419で管理している所属グループ1301を照合し、不一致の場合は(1405のNo)、受信した時刻情報通知メッセージは対象外と判断して破棄1414し、間欠受信動作(待受け状態)に遷移する1403。逆に、一致している場合は(1405のYes)、さらに状態変化(808および909)とPHS無線子機104〜105が時刻情報保持部419で管理している状態変化1305を照合する1406。
【0095】
このとき、状態変化1305に更新がない場合は(1406のNo)、受信した時刻情報通知メッセージは対象外と判断して破棄1415し、間欠受信動作(待受け状態)に遷移する1403。逆に、状態変化1305に更新ありと判断した場合は(1406のYes)、受信した時刻情報通知メッセージをPHS無線子機が保持する時刻情報テーブル(図13)に各々の情報内容を格納し、日付・時刻データを更新する1407。
【0096】
なお、更新する時刻データは、ダミー時刻1312に格納すると同時に秒データ(801または908)は正規時刻/独自設定時刻の秒データにも共通で格納され、更新された時刻情報でPHS無線子機の秒データカウントが生成されることにより、時刻補正をすることができる。このことにより、無線基地局101〜103の時刻情報通知対象グループに属するPHS無線子機104〜105どうしの時刻情報の秒データのズレが無くなる。 また、PHS無線子機104〜105は受信した時刻情報通知メッセージの表示指示フラグ802の内容に従って、画面表示する時刻を制御する。表示指示フラグ802が「表示強制」であれば(1409の強制)、格納した時刻データ(ダミー時刻)を画面に最優先で表示する処理1413を、表示指示フラグ802が「表示解除」であれば、(1409の解除)、PHS無線子機の画面に表示中のダミー時刻のみを非表示にし(1410)、その後表示する時刻の有無はPHS無線子機104〜105の設定による動作1411を行い、間欠受信動作状態(待受け状態)1403に遷移する。ここで、PHS無線子機104〜105の設定による動作1411として、PHS無線子機104〜105が保持する時刻情報テーブル(図13)の現在表示時刻1304が「ダミー時刻」以外(「正規時刻」、「独自設定時刻」)の場合は特に処理を行わない。つまり、表示中の時刻を継続表示する。
【0097】
表示指示フラグ802が「表示任意」であれば(1409の任意)、前述の1411の動作を、表示指示フラグ802が「表示クリア」であれば(1409のクリア)、正規時刻および独自設定時刻、ダミー時刻の画面上への時刻表示そのものをしない動作を行い1412、間欠受信動作状態(待受け状態)1403に遷移する。
【0098】
図15は、構内交換機(PBX)100から無線基地局101〜103へ時刻情報データを送信し、無線基地局101〜103での処理および配下のPHS無線子機104〜105へ報知、ならびに報知された時刻情報データを受信したPHS無線子機104〜105が、この時刻情報データを処理してグループや表示フラグに従った動作を示したシーケンス図の一例である。
【0099】
PHS無線子機104〜105、無線基地局101〜103および構内交換機(PBX)100が電源オンにより運用状態に入ると、各々の装置内の内蔵クロックを基に時刻情報を独自に生成する(1500、1501、1502)。
【0100】
このとき、各装置間の時刻データは一致していないので時刻情報データを配信するために、まず、保守用端末109より構内交換機(PBX)100の時刻情報通知リスト(図5)を作成し、データを更新する1503。
【0101】
次に、更新した時刻情報通知リストを無線基地局101〜103に配信するために、状態変化502の値を1つインクリメントする処理をして1504、図6の時刻情報通知メッセージで各無線基地局101〜103に時刻情報データを配信する1505
無線基地局101〜103は、受信した時刻情報通知メッセージを解析して更新判定を行い1506、更新されていれば図7の無線基地局が保持する時刻情報通知リストを更新して無線基地局101〜103が独自に生成している時刻データを補正する1507。
【0102】
その後、更新した時刻情報通知リストをPHS無線子機104〜105に配信する処理を行い1508、図8および図9の時刻情報通知メッセージでPHS無線子機104〜105に時刻情報データを報知する(1509、1510)。PHS無線子機101〜103は、受信した時刻情報通知メッセージを解析して図13の時刻情報テーブルと比較して更新判定(判定方法は図14による)を行い1511、更新されていれば図13のPHS無線子機104〜105が保持する時刻情報テーブルを更新してPHS無線子機104〜105が独自に生成している時刻データを補正し1512、受信した時刻データの表示指示フラグ(802、1307)に従って、画面に時刻を表示または非表示を行う1512。
【0103】
この一連のシーケンスおよび処理により、構内交換機(PBX)100、無線基地局101〜103およびPHS無線子機104〜105の独自時刻(1500、1501、1502)を一致させることができるとともに構内交換機(PBX)100配下のPHS無線子機104〜105の時刻情報を任意に指示することも可能となる。
【0104】
ここで、前記図14で説明した通話中以外(待受け状態)PHS無線子機104〜105のフローチャートにおいて、時刻情報通知メッセージを受信したPHS無線子機104〜105の画面表示の設定および画面表示に関する具体的な動作フローチャートの一例を図16に示す。
【0105】
図16で、PHS無線子機104〜105が運用中状態1600にあるとき、例えば構内交換機(PBX)100システム内の正規時刻が「2011年11月16日 (水)10時30分」で運用していた場合1601の例を挙げて説明する。
【0106】
PHS無線子機104〜105は、ユーザによって時刻設定がされているか判断し1602、時刻設定がされていない(1602のNo)場合は、時刻表示なし状態1603として、画面には例えば、「――――年――月――(――)、――時――分」と表示する1604。一方、時刻設定がされている(1602のYes)場合はユーザによって入力1605された時刻情報(例えば「2011年11月16日(水)10時25分」1606)を「独自設定時刻1311」として格納する(1607)。
【0107】
その後、入力した時刻情報(独自設定時刻1311)を図8および図9の時刻情報通知メッセージを使用して補正するかどうかの設定を行い1608、補正する(1608のYes)場合はこの独自設定時刻1311を正規時刻1310としても格納する1609。 また、補正しない(1608のNo)場合は1609の処理を行わない。次に、画面上に優先して表示する優先表示時刻1303を時刻種別1309(独自設定時刻/正規時刻/ダミー時刻)から選択する1610。ここで、ダミー時刻を選択した時は、ダミー時刻1312が設定されているか判断し1611、設定されていれば(1611のYes)ダミー時刻1312を表示し(1612、1613)、設定されていなければ(1611のNo)時刻表示は行わない1603。なお、優先表示時刻選択1610で正規時刻を選択した時は、正規時刻1310を表示し(1614,1615)、独自設定時刻を選択した時は、独自設定時刻1311を表示(1616、1617)させる。
【0108】
その後、無線基地局101〜103から新たな時刻情報通知メッセージを受信した場合は、図14の1405以降の処理を実施した後に「ダミー時刻1312」として格納する。
【0109】
図17は、図1の無線通信システムにおいて通話中のPHS無線子機104〜105が通話終了後に通知される時刻情報通知メッセージを受信し格納する動作を示したフローチャート図の一例である。
【0110】
PHS無線子機104〜105が通話中状態で1700、通話終了時の切断処理を実施時1701に、構内交換機(PBX)100から通知される前述のUUIに時刻情報通知メッセージがあるかどうかを判断し1702、時刻情報通知メッセージがない場合(1702のNo)は待受け状態1713に遷移する。一方、時刻情報通知メッセージがある場合(1702のYes)は、時刻情報通知メッセージ内の「状態変化」の値を解析し更新があるか判定する1704。更新がない場合(1704のNo)は、待受け状態1713に遷移する。一方、更新がある場合(1704のYes)は受信した時刻情報データを受信内容に従って処理を行う1704。
【0111】
図17で1703〜1712の内容については、図14の1405〜1413と同じため説明を省略する。
【0112】
また、表示指示フラグの判定1707により、各々の画面表示処理(1709、1710,1711)を行った後、待受け状態1713に移行する。このとき、図14で説明した無線基地局検出動作を行うが、図17で通知された時刻情報を更新し、その後、待受け状態で通知される時刻情報を連続して受信する場合が想定されるが、この不要な処理を防止するため、直前に受信した時刻情報通知メッセージを格納した時刻情報テーブル内の「メッセージ番号1306」と新たに受信した時刻情報通知メッセージ内のメッセージ番号901が異なっていればPHS無線子機104〜105の時刻情報を更新し、同一であれば更新を行わないという仕掛けを設けている。なお、通話終了の切断処理は、通話相手が行ってもよい。その場合も図17と同様な動作となる。
【0113】
図18および図19は、図17で説明した通話中のPHS無線子機104〜105に対する切断処理実施時のPHS無線子機104〜105と無線基地局101〜103と構内交換機100との間の具体的なシーケンスの例である。
【0114】
図18は、通話中にPHS無線子機104〜105主動で切断処理実施する場合のシーケンスの一例である。
【0115】
通話終了後、PHS無線子機104〜105が切断処理1803をすると、無線基地局101〜103へ切断メッセージ(DISConnect)(以下、「DISC」と称する)が送信され1804、無線基地局101〜103から構内交換機100へ切断メッセージ(DISC)が送信される1805。構内交換機100は、通話相手への切断処理を実施後、PHS無線子機104〜105が図5の時刻情報通知リストに登録されている対象内線番号506か照合し1806、当該時刻情報通知リストに登録済みであれば、一義的に図10の時刻情報通知メッセージを通信中の無線基地局101〜103へ配信するために時刻情報をUUIで解放メッセージ(RELease)(以下、「REL」と称する)に付加して送信する1807。そして、無線基地局101〜103からPHS無線子機104〜105へ時刻情報通知メッセージがUUIで付加されたまま解放メッセージ(REL)で送信される1808。
【0116】
なお、PHS無線子機104〜105が受信した解放メッセージ(REL)に付加されているUUIの時刻情報を解析し、PHS無線子機104〜105は、受信した時刻情報通知メッセージを解析して図13の時刻情報テーブルと比較して更新判定を行い1511、更新されていれば図13のPHS無線子機が保持する時刻情報テーブルを更新してPHS無線子機104〜105が独自に生成している時刻データを補正する1809とともに、無線基地局101〜103へ解放完了メッセージ(RELease COMPlete)(以下、「RELCOMP」と称する)を送信し1810、無線基地局101〜103から構内交換機100へ解放完了メッセージ(RELCOMP)が送信され1811、切断処理シーケンスが終了する。
【0117】
一方、図19は、通話中にPHS無線子機104〜105の通話相手主動で切断処理実施する場合のシーケンスの一例である。
【0118】
通話終了後、通話相手が切断処理1903をすると、構内交換機100はPHS無線子機104〜105が図5の時刻情報通知リストに登録されている対象内線番号506か照合し1904、一義的に図10の時刻情報通知メッセージを通信中の無線基地局101〜103へ配信するために時刻情報をUUIで切断メッセージ(DISC)に付加して送信する1905。そして、無線基地局101〜103からPHS無線子機104〜105へ時刻情報通知メッセージがUUIで付加されたまま切断メッセージ(DISC)で送信される1906。
【0119】
なお、PHS無線子機104〜105が受信した切断メッセージ(DISC)に付加されているUUIの時刻情報を解析し、PHS無線子機101〜103は、受信した時刻情報通知メッセージを解析して図13の時刻情報テーブルと比較して更新判定を行い1511、更新されていれば図13のPHS無線子機が保持する時刻情報テーブルを更新してPHS無線子機104〜105が独自に生成している時刻データを補正する1907とともに、無線基地局101〜103へ解放メッセージ(REL)を送信し1908、無線基地局101〜103から構内交換機100へ解放メッセージ(REL)が送信される1909。その後、構内交換機100は無線基地局101〜103へ解放完了メッセージ(RELCOMP)を送信し1910、無線基地局101〜103からPHS無線子機104〜105へ解放完了メッセージ(RELCOMP)が送信され1911、切断処理シーケンスが終了する。
【0120】
本発明の具体的な適用例について、以下に説明する。
【0121】
図20は、図1の無線通信システムを活用したもので、企業など業務部署が複数階(立体的空間)に存在するオフィスビル内の一例を表した図である。
【0122】
ここで3階フロア2000は日本国内業務部署、2階フロア2002は海外業務部署A(ワシントン対応)、1階フロア2004は海外業務部署B(南アフリカ対応)を表している。また、2001、2003、2005は各階に設置された無線基地局101〜103から送出された電波が届く範囲(無線ゾーン)を模式的に表している。
【0123】
3階フロア2000に設置された無線基地局101は、時刻情報通知対象グループ500が「01」、表示指示フラグ507が「表示強制」に設定された時刻情報をUSCCHで常時報知している例である。
【0124】
ここでPHS無線子機104が無線基地局101の無線ゾーン2001内に存在し、待受け状態であるとき、USCCHを受信することができる。この受信したUSCCHの時刻情報のうち、時刻情報通知対象グループ500がPHS無線子機104にあらかじめ設定された所属グループ1301と一致するか照合し、一致する場合は受信しているUSCCHの時刻情報を取り込み、表示部414の画面に表示させる。
【0125】
この動作により、PHS無線子機104は当該3階フロア2000に移動して来て、発着信等の呼接続制御を行うことなく、待受け状態のままで無線基地局101から常時報知される時刻情報を表示部414の画面に表示することができるものである。
【0126】
したがって、この場合、2階フロア2000にいたPHS無線子機105が移動してきた場合でも、時刻情報通知対象グループ500がPHS無線子機105にあらかじめ設定された所属グループ1301と一致すれば、強制的に無線基地局101が報知する時刻情報を受信して表示部414の画面に表示することにより、在圏している間は、全てのPHS無線子機の時刻情報を一致させることができるものである。
【0127】
本発明の利用シーンについて図20のような立体的空間において、3階フロア2000で運用していたPHS無線子機104を持ったまま階下のフロア(2階フロア2002および1階フロア2004)に移動して業務を行う場合の例を説明する。
【0128】
PHS無線子機104は、3階フロア2000で日本国内業務を通常的に実施している。但し、定期的な打合せや臨時業務により、2階フロア2002でワシントンとの業務が発生した場合、現地ワシントンの時刻と同期することにより業務の効率が上がるが、PHS無線子機の時刻表示をユーザ毎に設定し直したり、表示を切替える操作は煩わしい。また、当該フロアでの業務終了後、通常業務を行う3階フロア2000に戻った場合も同様に時刻表示を戻す操作が必要になるという課題を解決するために、以下に具体例を示して説明する。
【0129】
まず、構内交換機(PBX)100には日本国内標準時刻とワシントン標準時刻並びに南アフリカ標準時刻が保守用端末109にて登録されており、無線基地局101には日本国内標準時刻を、無線基地局102にはワシントン標準時刻を、無線基地局103には南アフリカ標準時刻が配信され、各々無線基地局101〜103は電波で報知している。
【0130】
ここで、PHS無線子機104は3階フロア2000に存圏する場合、無線基地局101のUSCCHを受信しており日本国内標準時刻を受信している。その後、2階フロア2002に移動し、無線基地局101の電波が到達しなくなり、無線基地局102に待受けると、USCCHで報知される時刻情報通知対象グループ500が一致した場合に、ワシントンの時刻情報を受信してダミー時刻として記憶するとともに、PHS無線子機104の表示部414の画面にワシントン時刻(ダミー時刻)を自動で表示する。
【0131】
また、その後、1階フロア2004に移動した場合も同様に、無線基地局103のUSCCHを受信し、時刻情報通知対象グループ500に該当の場合は、正規時刻とは別に、南アフリカの時刻情報を受信してダミー時刻として記憶するとともに、PHS無線子機104の表示部414の画面に南アフリカ時刻(ダミー時刻)を自動で表示することができる。
【0132】
一方、電話会議などで、無線基地局配下に存在せず、別の場所に存在するPHS無線子機104に対しては、構内交換機(PBX)100の特番ダイヤル等の設定により、当該PHS無線子機104に着信を掛け、切断メッセージにUUIで時刻情報を通知することにより、無線基地局配下にいなくても、同一の時刻情報を共有することができる。
【0133】
本発明を適用することによって、企業などで業務部署が複数階に存在(立体的空間)するオフィスビル内や、部署毎に壁やパーティション等で区切られた部屋において、例えば海外業務部署との連携(本店がロンドン、支店が東京の会社がある場合など)として、当該部署またはフロア内にPHS無線子機を持った人が入室することで、当該フロアの無線基地局の電波に待ち受けることにより、PHS無線子機の時刻が自動的にロンドンの時間に切り替わる。これによって、相手側の時刻と同期して業務をスムーズに行うことが容易になる。
【0134】
図21は、テーマパークなどの平面的空間に適用した一例を示した図である。
【0135】
具体例的に、PHS無線子機を一般の入場者に貸し出して使用する場合について説明する。
【0136】
ここで2100はテーマパークの敷地内全体を示し、本システムのサービスエリアを示している。この敷地内には、空間的に仕切られたアトラクションなどのブースA2108とブースB2115とブースC2119があり、ブースA2108内には、無線基地局2111と2113が設置され、ブースB2115内には、無線基地局2117が設置され、ブースC2119内には、無線基地局2121が設置されており、このブース外の敷地内2100には、無線基地局2102と2004と2106が設置されている
ここで、敷地内全般の無線基地局2102、2104、2106には、構内交換機(PBX)100システム正規時間(正規時刻)として「9時30分10秒」が、ブースAの無線基地局2111、2113にはニューヨーク標準時刻(ダミー時刻)として「10時30分10秒」が、ブースBの無線基地局2117にはイタリア標準時刻(ダミー時刻)として「6時10分10秒」が、ブースCの無線基地局2121には仮想国標準時刻(ダミー時刻)として「23時45分10秒」が配信され、各々の無線基地局から時刻情報がUSCCHで送信されている。
【0137】
本テーマパークの入場口2101から入場した一般ユーザに対して、PHS無線子機104を貸し出すことにより、本敷地内のサービスエリアにてPHS無線子機104を使用することができる。さらに、ブース毎に、個別の標準時刻を設定することにより、ブース内のユーザはブース毎に設定されたダミー時刻でサービスを受けることができる。
【0138】
貸し出しするPHS無線子機104は、あらかじめ時刻情報テーブルの所属グループ1301を「00」に設定してある。また、構内交換機(PBX)100から通知される表示指示フラグ507は「表示強制」で運用することにより、移動してブース内に入場した時点でそのブースの時刻(ダミー時刻)をPHS無線子機104の画面に自動的に表示させることができる。
【0139】
PHS無線子機104は、貸し出された入場口2101において、無線基地局2102の無線ゾーン2103の配下にいるため、無線基地局2102が報知する構内交換機(PBX)100システム正規時間である「9時30分10秒」が画面に表示される。次にブースA2108の入口2109を通ることにより、PHS無線子機104が待受ける無線基地局が2102からブースA2108の無線基地局2111または2113に切り替わり、前述した図8および図9のUSCCHの第一フレームと第二フレームを受信して、ブースAのニューヨーク標準時刻である「10時30分10秒」を自動で取り込み、画面に表示される。
【0140】
そして、ブースA2108の出口2110を出たPHS無線子機104は、待受ける無線基地局が2113から無線基地局2004に切り替わるので、再び構内交換機(PBX)100システム正規時間に自動で切り替わり、画面に表示される。その後、同様にブースB2115内では、無線基地局2117が配信するイタリア標準時刻に、ブースC2119内では、無線基地局2121が配信する仮想国標準時刻に、ユーザの意識なしに自動で切り替わる。
【0141】
また、PHS無線子機104の機能として、時刻情報が自動で切り替わることをユーザに認識させるようにすれば、例えば、PHS無線子機104の画面に「時刻表示を変更しますか?」などを表示させたり、警告音などでユーザに聴取させたりすることにより、意図的に時刻情報の表示変更を認識させることで、ユーザの不安感を払拭することができ、各ブースでのアトラクションを楽しむことができる。さらに、アトラクションとダミー時刻を連携したサービスを提供することも可能となる。
【0142】
さらに、本発明の適用例として、放送局(テレビ局、ラジオ局などのマスメディア)において、海外中継時(日本ブースと海外ブース間)またはロケ地の現地スタッフに対して、日本時刻または現地時刻に統一することができ、生放送時の開始および終了時刻並びにCM挿入時刻表示を共有することができるとともに、中継終了後は、自動的に正確な時刻に戻すことができる。
【0143】
また、国際博覧会などの各国ブースなどの展示会場内に本発明を適用すれば、区切られたエリア的に狭いブースに入ると、自動的にその国の時刻を表示となり、現地時刻により朝昼夜別のあいさつ言葉の使い分けを容易にできる。さらに、卸売市場や各種入札会場、ならびに講演会場でも同様にユーザの操作を伴うことなく、時刻情報の変更、戻しが実現でき、空間的に狭いエリアでの運用やその場所特有の時刻情報に伴う運用をユーザの介入なしで、リアルタイムに提供することができる。
【0144】
以上のように、本実施例では、無線基地局からPHS無線子機へ時刻情報通知メッセージを送信する際には、RIB標準 RCR STD−28で規定されたチャネルやメッセージであって、その規定によりユーザがオプションとして独自に使用できるチャネルやメッセージを適用して送信するようにしている。従って、通話状態ではないPHS無線子機に対して時刻情報を通知する場合に、無線基地局の制御情報であるUSCCHで配信することで、不要な呼接続(発着信制御)による無線回線の利用を増やさないというメリットがある。また、通常の(汎用の)PHS無線子機に何ら影響を与えることなく、単なる通話のみに使用するのであれば、汎用のPHS無線子機を本システムに使用することができるようにしている。
【0145】
本実施例を使用することにより、ダミー時刻は、無線基地局のうち、1台ずつ異なる時刻情報を配信することはもちろん、複数の無線基地局(例えばフロア単位や部署単位)をまとめて一つのダミー時刻を配信することが構内交換機(PBX)上の設定で可能となり、PHS無線子機が無線基地局の電波を受信するだけで、もしくは通話終了後に時刻情報を受信することにより、正規時刻とは異なるダミー時刻を通知させることができ、前述の発明の効果にある運用が可能になるものである。
【符号の説明】
【0146】
100 構内交換機(PBX)
101〜103 無線基地局
104〜105 PHS無線子機
106 公衆網
107 専用線網
108 内線電話機
109 保守用端末
208 構内交換機(PBX)の時刻情報管理部
209 構内交換機(PBX)の時刻情報配信部
210 構内交換機(PBX)の時刻情報保持部
312 無線基地局の時刻情報受信処理部
313 無線基地局の時刻情報管理部
314 無線基地局の時刻情報配信処理部
316 無線基地局の時刻情報保持部
416 PHS無線子機の時刻情報受信処理部
417 PHS無線子機の時刻情報管理部
418 PHS無線子機の時刻情報保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換機と、
前記交換機に接続された少なくとも1以上の基地局と、
前記基地局と無線通信を行う、第1の時刻を保持する少なくとも1の無線子機と
からなる無線通信システムであって、
前記交換機は、
時刻と、前記時刻の配信対象である少なくとも1の前記基地局の基地局識別情報と、前記基地局をグループとして管理するグループ情報とを含む時刻情報を複数保持する第1の時刻情報保持手段と、
前記時刻情報を前記基地局へ配信する第1の時刻情報配信手段と
を有し、
前記基地局は、
前記交換機から配信される前記時刻情報を受信する第1の時刻情報受信手段と、
受信した前記時刻情報を保持する第2の時刻情報保持手段と、
保持した前記時刻情報を前記無線子機へ報知する第2の時刻情報配信手段と、
該基地局の時刻を補正する第1の時刻情報管理手段と
を有し、
前記無線子機は、
前記複数の時刻情報に含まれるグループ情報のうち少なくとも1のグループ情報を予め保持するグループ情報保持手段と、
前記基地局から報知される前記時刻情報を受信する第2の時刻情報受信手段と、
受信した前記時刻情報を保持するか否かを判定する第2の時刻情報管理手段と、
前記第2の時刻情報管理手段の判定に応じて受信した前記時刻情報を保持する第3の時刻情報保持手段と
を有し、
前記交換機は、
前記第1の時刻情報配信手段が、前記第1の時刻情報保持手段にて保持される前記複数の時刻情報のうち前記配信対象の基地局に該当する前記基地局識別情報を含む前記時刻情報を前記配信対象の基地局へ配信し、
前記基地局は、
前記第1の時刻情報受信手段が、前記交換機から配信された前記時刻情報を受信し、
前記第2の時刻情報保持手段が、受信した前記時刻情報を保持すると、
前記第1の時刻情報管理手段が、保持した前記時刻情報に含まれる前記時刻を用いて該基地局の時刻を補正し、
前記第2の時刻情報配信手段が、保持した前記時刻情報を前記無線子機へ報知し、
前記無線子機は、
前記第2の時刻情報受信手段が、待受け状態で前記基地局から報知された前記時刻情報を受信し、
前記第3の時刻情報管理手段が、受信した前記時刻情報に含まれる前記グループ情報と、前記グループ情報保持手段に予め保持される前記グループ情報とを比較し、
一致する場合は、受信した前記時刻情報を前記第3の時刻情報保持手段にて保持するとともに、保持した前記時刻情報に含まれる前記時刻を第2の時刻として保持する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記交換機にて保持される前記時刻情報は、前記無線子機に所定の処理を行わせる情報をさらに含むことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記無線子機は、表示部をさらに有し、
前記所定の処理を行わせる情報は、前記無線子機が保持した前記第2の時刻を前記表示部へ表示させるか否かの情報である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記交換機にて保持される前記時刻情報は、通話中状態の前記無線子機に対して前記時刻情報を通知する無線子機識別情報をさらに含み、
前記交換機は、前記無線子機識別情報に該当する通話中状態の前記無線子機へ前記時刻情報を通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
少なくとも1の基地局を収容する交換機において、
時刻と、前記時刻の配信対象である前記基地局の基地局識別情報と、前記基地局をグループとして管理するグループ情報とを含む時刻情報を複数保持する時刻情報保持手段と、 前記グループごとに前記配信対象の基地局に該当する前記基地局識別情報を含む前記時刻情報を前記配信対象の基地局へ配信する時刻情報配信手段と
を有することを特徴とする交換機。
【請求項6】
請求項5に記載の交換機において、
前記交換機は、前記基地局を介して無線子機と通信し、
前記時刻情報保持手段にて保持される前記時刻情報は、通話中状態の前記無線子機に対して前記時刻情報を通知する無線子機識別情報をさらに含み、
前記時刻情報配信手段が、前記無線子機識別情報に該当する通話中状態の前記無線子機へ前記時刻情報を通知する
ことを特徴とする交換機。
【請求項7】
基地局を介して交換機と無線通信を行う、第1の時刻を保持する無線子機において、
該無線子機が属するグループのグループ情報を保持するグループ情報保持手段と、
時刻と、前記時刻を使用する前記グループのグループ情報を含む時刻情報を受信する時刻情報受信手段と、
受信した前記時刻情報を保持するか否かを判定する時刻情報管理手段と、
前記時刻情報管理手段の判定に応じて受信した前記時刻情報を保持する時刻情報保持手段と
を有し、
前記時刻情報管理手段は、受信した前記時刻情報に含まれる前記グループ情報と前記グループ情報保持手段に予め保持される前記グループ情報とを比較し、
一致する場合は、受信した前記時刻情報を前記時刻情報保持手段にて保持するとともに、保持した前記時刻情報に含まれる前記時刻を第2の時刻として保持する
ことを特徴とする無線子機。
【請求項8】
請求項7に記載の無線子機において、
表示部をさらに有し、
前記時刻情報管理手段は、保持した前記第2の時刻を前記表示部へ表示させるか否かを判定することを特徴とする無線子機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−90311(P2013−90311A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232467(P2011−232467)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】