説明

時刻表示制御装置、ナビゲーション装置、及びプログラム

【課題】二つのタイムゾーンを頻繁に往来する場合や、タイムゾーン境界を頻繁に跨ぐような道路を走行する場合のカーナビゲーション装置の時刻表示において、ドライバに煩わしさを与えないような時刻表示を行う。
【解決手段】タイムゾーン境界を越えた際に、北米山岳部のタイムゾーン側に、タイムゾーン境界から所定距離の幅を有するエリアを設定する。その設定エリア内に車両が存在する場合には、北米西海岸の時刻を時刻表示部31に継続して表示させる一方、時刻表示部31の表示形態を変更する。時刻表示形態の変更は、例えば時刻表示部31の背景色を変更させたり、時刻を点滅表示させること等が挙げられる。そして、車両が設定エリアを越えた場合には、時刻表示部31の時刻を北米山岳部の時刻に修正し、時刻表示部31の表示形態を通常の表示に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自機位置情報と地図情報から時刻表示を自動修正して表示させる時刻表示制御装置、ナビゲーション装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステムや可搬型パーソナルコンピュータなどに代表される電子機器では、時計機能が内蔵されており、この時計機能によって得られる時刻情報に基づいて各種の制御を行っている。例えば、カーナビゲーションシステムにおける時刻表示や目的地の到着予定時刻の推定、パーソナルコンピュータにおけるファイル作成時のタイムスタンプ等の機能はこの時刻情報に基づき実現されている。
【0003】
ところで、世界各国地域の標準時は協定世界時(UTC:Universal Time Coordinated)を基準として、時差が1時間若しくは、30分ごとの単位となるように定められている。例えば日本では標準時に日本標準時(JST:Japan Standard Time)を定めており、それは協定世界時より時差が9時間進んでいるため、「+0900(JST)」若しくは「UTC+9」のように表記される。これら各標準時は、地球の自転軸の影響から基本的には経度方向に分割された所定の領域ごとに与えられており、その領域は時間帯若しくはタイムゾーンと呼ばれる。また、アメリカでは、アラスカを除いた国内は、陸地繋がりで4つのタイムゾーンに分割されており、ニューヨーク(UTC−5)からサンフランシスコ(UTC−8)に移動する場合、2つのタイムゾーンを通過することになり、その時差は3時間となる。
【0004】
ここで、あるタイムゾーンから異なるタイムゾーンへ移動した際、タイムゾーン間の時差を計算し、その時差に基づき時刻表示を自動修正する従来技術が、例えば特許文献1に開示されている。この文献では、GPSの測位情報を利用して自機位置を検出し、その自機位置が存在するタイムゾーンを判断し、そのタイムゾーンの時差情報に基づき時刻表示を自動修正している。
【特許文献1】特開平9−297191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1では、その時刻表示修正機能を、カーナビゲーションシステムのように自機位置を頻繁に検出するシステム等に適用した場合、自機位置の存在するタイムゾーンが変更される度に表示される時刻がそれに伴い修正されてしまう。即ち、例えば境界線を頻繁に跨ぐように道路を走行する場合においては、時刻が頻繁に修正されて表示されるため、ユーザに煩わしさを感じさせてしまう、という問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、二つのタイムゾーンを頻繁に往来するような状況においても、ユーザに煩わしさを生じさせない時刻表示を行う時刻表示制御装置、ナビゲーション装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された時刻表示制御装置は、自機位置検出手段にて、自機位置を検出し、時刻表示手段にて、検出された自機位置が存在するタイムゾーンの時刻を表示し、表示制御手段にて、自機位置が存在するタイムゾーンを第1のタイムゾーンとし、該第1のタイムゾーンから隣接する第2のタイムゾーンに自機が移動したと判断した場合に、第2のタイムゾーン側であって、第1のタイムゾーンと第2のタイムゾーンとの境界から所定距離以内のエリアでは、第1のタイムゾーンの時刻を時刻表示手段に継続して表示させ、自機が前記エリアを越えた場合に、第2のタイムゾーンの時刻を時刻表示手段に表示させる。本発明によれば、例えば、2つのタイムゾーンの境界を頻繁に跨いで往来するような場合においても、エリア内では時刻表示が修正されることはないのでユーザに煩わしさを感じさせることはない。なお、エリアを決定する所定距離は、GPSの測位精度や、タイムゾーン境界を沿うような道路を走行する際のその道路の形状等を考慮して予め設定される。
【0008】
また、請求項2に記載したように、自機位置がエリア内に存在する場合には、時刻表示の表示形態を変更してもよい。表示形態の変更は、例えば、請求項3に記載したように、時刻表示手段の表示色を変更させることや、時刻表示手段を点滅表示させることが挙げられる。これにより、自機位置がタイムゾーン境界を越えてエリア内を移動していることをユーザに報知させることができ、ユーザは境界近辺を移動しているということを認識することができる。
【0009】
次に、請求項4に記載したように、所定時間を越えて自機位置がエリア内に存在する場合は、時刻表示を第2のタイムゾーンの時刻に修正してもよい。これは、所定時間を越えてエリア内に存在する場合は、頻繁にタイムゾーンが切り替わらない状況と判断できるため、時刻を修正してもユーザに煩わしさを感じさせないと考えられるからである。
【0010】
また、請求項5に記載されたように、自機位置がエリア内に存在する場合でも、ユーザから指令があった場合には、時刻表示を第2のタイムゾーンの時刻に修正してもよい。これにより、よりユーザの意図に沿った時刻表示が可能となる。
【0011】
請求項6に記載されたナビゲーション装置は、請求項1乃至5に係る時刻表示制御装置と、目的地設定手段と、設定された目的地までの経路を案内する経路案内手段とを有し、表示制御手段は、その目的地がエリア内に設定されている場合には、タイムゾーン境界を越えた際に時刻表示を第2のタイムゾーンの時刻に修正し、少なくとも目的地に到着するまでは修正後の時刻を時刻表示手段に継続して表示する。これにより、目的地がエリア内に設定されている場合にも、ユーザが目的地に到達した際に、第1のタイムゾーンにおける時刻が表示されるのを防ぎ、目的地の存在する第2のタイムゾーンにおける時刻を表示することが可能になる。
【0012】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の請求項7に記載されたナビゲーション装置は、自機位置検出手段にて自機位置を検出し、時刻算出手段にて自機位置が存在するタイムゾーンの時刻を算出し、時刻表示手段にて時刻算出手段にて算出された時刻を表示し、目的地設定手段にて目的地を設定し、経路探索手段にて出発地から目的地までの経路を探索し、経路探索手段により、自機位置が存在するタイムゾーンと隣接するタイムゾーンの境界を複数回跨いで走行する経路が探索された場合には、表示制御手段は、タイムゾーンの境界を自機が越えたと判断した場合に、時刻表示手段に目的地の存在するタイムゾーンの時刻を表示させると共に、目的地に到達するまで目的地の存在するタイムゾーンの時刻を継続して表示させる。本発明によれば、2つのタイムゾーンの境界を頻繁に跨いで往来するような場合においても、目的地が設定されたタイムゾーンの時刻が目的地に到達するまで時刻表示手段に継続して表示されるため、ユーザに煩わしさを感じさせることはない。
【0013】
請求項8に係るプログラムを、時刻表示制御装置に内蔵するコンピュータに実行させれば、請求項1乃至5に記載の時刻表示制御装置における表示制御手段としての機能を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、本実施例では、本発明の時刻表示制御装置を車両に搭載されるカーナビゲーション装置に適用した例について説明する。
(実施例1)
図1は本実施例のカーナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。カーナビゲーション装置1は、車両自機の現在位置を検出する位置検出器21と、ユーザからの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、地図データやタイムゾーンの境界といった各種の情報を記憶した記憶媒体を持ち、そこから取得できる地図データ等を制御回路に入力する地図データ入力器23と、基準となる時刻を発生する内蔵時計24と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力装置25と、地図表示や時刻表示等の各種表示を行うための表示装置26と、上述した位置検出器21、操作スイッチ群22、地図データ入力器23、内蔵時計24からの入力に応じて各種処理を実行し、位置検出器21、操作スイッチ群22、地図データ入力器23、内蔵時計24、音声出力装置25、表示装置26を制御する制御回路27とを備えている。
【0015】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人口衛星から送信電波を、GPSアンテナ21aを介して受信し、車両の位置等を検出するGPS受信機21bと、車両の走行した距離を検出するための距離センサ21c、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロセンサ21dを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21dは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら自車位置の検出を行うように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、また地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサやステアリングの回転角センサ、各転動輪の車輪センサを用いてもよい。
【0016】
操作スイッチ群22としては、表示装置26と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置26の周囲に設けられた釦スイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式などがあるが、何れを用いてもよい。
【0017】
地図データ入力器23は、ネットワークデータとしての道路データ、領域としてのタイムゾーンの座標情報と各タイムゾーンにおける協定世界時との時差情報、位置特定の精度を向上させるためのいわゆるマップマッチング用データ等を含む地図データ、地図上の該当位置に存在する施設に関わるデータである施設データ、案内用の画像や音声データ等を含む各種のデータを、地図データ入力器23内における記憶媒体に記憶しており、それらを制御装置に対して入力するための装置である。なお、地図データ等の記憶媒体としては、ROM(Read Only Memoly)、ハードディスク、メモリ等を用いることができる。
【0018】
音声出力装置25は、地図データ入力器23より入力した案内用の画像や音声データに基づいて各種案内の音声を出力する。
【0019】
表示装置26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)等があるが、その何れを用いてもよい。表示装置26の表示画面30には、図2に示すように、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器23より入力された地図データから特定した地図上の現在位置を示すマーク、目的地までの誘導経路、目的地到着予定時刻等が地図に重ねて表示される。また、表示画面30中の時刻表示部31には現在時刻が表示される。なお、表示画面30には各種施設の記号データや名称、目印、渋滞情報等を地図に重ねて表示させてもよい。
【0020】
制御回路27は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM等に記憶されたプログラムに基づいて、位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器23を介して読み込んだ現在位置付近の地図や、操作スイッチ群22による操作によって指示された範囲の地図等を表示装置26に表示する地図表示処理や、地図データ入力器23に格納された地図データに基づき、操作スイッチ群22の操作に従って目的地となる施設を選択し、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算を行って経路案内を行う経路案内処理を行う。このように自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
【0021】
さらに制御回路27では、位置検出器21から供給された位置情報と地図データ入力器23から供給された地図データに基づき、測位位置の存在するタイムゾーンと、そのタイムゾーンにおける協定世界時との時差情報を求めることができる。一方、制御回路27には内蔵時計24から基準時刻が供給されており、この基準時刻は例えば、内蔵時計24が、GPSから取得した協定世界時(UTC)に基づいて時刻を発生させるものである。従って、基準時刻と、現在位置の存在するタイムゾーンにおける協定世界時との時差情報とによって測位地点での正しい時刻を算出することができる。こうして制御回路27において得られた正しい時刻は、表示装置26における表示画面30中の時刻表示部31に現在時刻として表示される。なお、表示装置26、時刻表示部31は本発明の時刻表示手段、制御回路27は本発明の表示制御手段に相当する。
【0022】
次に、この制御回路27により実行される、車両がタイムゾーンを越える場合の時刻表示の方法について図3を用いて説明する。なお、図中簡単化のために北米西海岸では10:00、北米山岳部では11:00としたが、実際には、移動時間に伴い時間は進む。
【0023】
まず、車両が北米西海岸(UTC−8)から北米山岳部(UTC―7)へ移動する場合について説明する(パターン1)。本パターンでは、タイムゾーン境界を越えた際に、北米山岳部のタイムゾーン側に、タイムゾーン境界から所定距離の幅を有するエリアを設定する。この設定エリアを決める所定距離は、ユーザに違和感を与えないような値として、GPSの測位精度や、タイムゾーン境界を沿うような道路を走行する際のその道路の形状等を考慮して例えば1km(キロメートル)に予め設定されている。なお、その値はユーザの使用環境によって適切な値が異なってくることも考えられるので、ユーザにより任意に設定可能としてもよい。そして、その設定エリア内に車両が存在する場合には、北米西海岸の時刻を時刻表示部31に継続して表示させる一方、時刻表示部31の表示形態を変更する。時刻表示形態の変更は、例えば時刻表示部31の背景色を変更させたり、時刻を点滅表示させること等が挙げられるが、その詳細は後述する。
【0024】
そして、車両が設定エリアを越えた場合には、時刻表示部31の時刻を北米山岳部の時刻に修正し、時刻表示部31の表示形態を通常の表示に戻す。時刻表示の自動修正は、例えば、自車位置が存在するタイムゾーンを記憶しておき、変更される前のタイムゾーンの協定世界時との時差と、変更後の、つまり移動後に自車位置が存在するタイムゾーンの協定世界時との時差との差を時刻表示の時刻から引くことで実現できる。要するに、北米西海岸(UTC−8)から北米山岳部(UTC−7)に移動した場合、両タイムゾーンの協定世界時との時差の差は、−8―(―7)=−1となり、時刻表示が10時であった場合は10−(−1)=11、つまり修正後の時刻表示は11時となり、移動したタイムゾーンにおける正しい時刻を表示することができる。また、時刻表示の自動修正は上記以外の方法にも、変更後の自車位置の属するタイムゾーンの時差を、内蔵時計24の有する基準時刻に付与し、その時刻を表示させることでも実現できる。さらに、携帯電話等の通信手段を使用して、移動後のタイムゾーンに存在する中継局と通信を行うことにより正しい時刻を取得し、その時刻を表示させることでも実現できる。そして、設定エリアのタイムゾーン境界と反対側の境界を跨ぐことによる自動修正を防止するために、時刻表示の自動修正後は、先に設定された設定エリアは解除される。
【0025】
続いて、車両が北米山岳部(UTC−7)の設定エリアを越えることなく、北米西海岸(UTC−8)に戻る場合について説明する(パターン2)。本パターンでは、時刻表示部31の時刻は、北米西海岸の時刻が継続して表示される。しかしながら、時刻表示部31の表示形態は、タイムゾーンの境界を越えて北米西海岸に戻った際に、通常の表示に戻る。
【0026】
次に、車両が北米山岳部(UTC−7)の設定エリアを越えた後に、北米西海岸(UTC−8)へ戻る場合について説明する(パターン3)。本パターンでは、タイムゾーン境界を越えて北米西海岸に戻った際に、北米西海岸側に、タイムゾーン境界から所定距離の幅を有するエリアを設定する。そして、パターン1と同様に、設定エリア内では、北米山岳部の時間を継続して表示させる一方、時刻表示部31の表示形態を変更する。続いて設定エリアを越えた場合に、北米西海岸の時間に修正し、時刻表示部31の表示形態を通常の表示に戻す。
【0027】
続いて、上述した時刻表示の方法について、図4及び図5のフローチャートを参照して説明する。なお、本フローチャートに示す処理は、制御回路27に記憶されているコンピュータプログラムに従って実行される。
【0028】
初めに、図4におけるステップS15において、カーナビゲーション装置1における表示装置26の時刻表示部31に時刻を表示させる。なお、図6(a)に示すように時刻表示は自動で設定するか、若しくはユーザに手動で設定させてもよい。自動で設定する場合には、上記で述べたように、内蔵時計24から発生させる基準時刻と、現在位置の存在するタイムゾーンにおける協定世界時との時差情報とに基づいて時刻を設定することができる。手動で取得する場合には図6(b)に示すように、タイムゾーンをユーザが選択することで時刻を取得することができるようにしてもよい。
【0029】
ステップS30では位置検出器21から供給される情報に基づき自車位置を検出する。ステップS40では、その自車位置情報と地図データ入力器23から供給された地図データに基づき、自車位置の存在するタイムゾーンを取得する。自車位置の存在するタイムゾーンは、地図データにタイムゾーンを座標データとして予め記憶しておき、自車位置情報の座標とこの記憶されたタイムゾーンの座標データを比較することで、求めることができる。
【0030】
ステップS50では、エリアが設定されているかどうかを判断する。具体的には、設定エリアフラグが「ON」であるか、若しくは「OFF」であるかに基づいて判断する。ステップS50において、エリアが設定されていなければ(ステップS50:NO)、ステップS60へ移行し、エリアが設定されていれば(ステップS50:YES)、ステップS90へと移行する。
【0031】
ステップS60では、タイムゾーン境界を越えたかどうかを判断する。つまり自車位置の存在するタイムゾーンが変更されたどうかを判断する。これはステップS40で取得した自車位置の存在するタイムゾーンが変更されたかどうかで判断することができる。タイムゾーンの変更がない場合には(ステップS60:NO)、ステップS30へ戻る。つまり、タイムゾーン境界を越えるまではループを繰り返し、現状を維持する。そして、タイムゾーン境界を越えたと判断された場合には(ステップS60:YES)、ステップS70へ移行する。ステップS70では、前述したタイムゾーン境界から所定距離の幅を有するエリアを設定し、設定エリアフラグを「ON」にする。
【0032】
続くステップS80では図7に示すように、表示画面30中の時刻表示部31において、その背景色(白)と時刻の色(黒)とが反転される。即ち、車両がタイムゾーン境界を越えた後、その背景色が黒に、時刻の色が白に変更される。なお、表示形態の変更は表示色を反転させるだけではなく、例えば、時刻表示部31を点滅表示させたり、時刻表示の数字部の色のみを変更してもよい。また、視覚的な効果だけでなく、音声出力装置25による音声を伴ってユーザに対して注意を喚起してもよい。例えば、タイムゾーン境界近辺を走行中であることをアナウンスする。このように時刻表示部31の表示形態が変更された後ステップS30に戻る。ステップS70にてエリアが設定された後は、ステップS50にて肯定判断がされ、ステップS90へと移行する。
【0033】
ステップS90では、目的地が設定エリア内に存在するか否かを判断する。目的地はユーザにより操作スイッチ群22を介して設定される。目的地が設定エリア内に存在している場合(ステップS90:YES)、ステップS100へと移行する。一方、目的地が設定エリア内に存在していない場合は(ステップS90:NO)、図5におけるステップS140に移行する。
【0034】
ステップS100ではステップS70において設定されたエリアを解除する。このとき設定エリアフラグは「OFF」とする。その後ステップS110へ移行し、反転している時刻表示の表示色を通常の色に戻し、さらにステップS120へと移行し、時刻表示の修正を行う。即ち、図8に示すように、時刻表示部31には修正された時刻が通常の色で表示される。この際、音声出力装置25による音声を伴ってユーザに対してタイムゾーンが変更された旨を報知してもよい。ステップS120からはステップS130へ移行する。
【0035】
ステップS130では目的地に到着したかどうかを判断する。目的地に到着した場合は(ステップS130:YES)、ステップS30に戻る。目的地に到着するまでは(ステップS130:NO)、ステップS130はループを繰り返すため、現状を維持する。
【0036】
続いて、図5におけるステップS140では設定エリア内に自車位置があるかどうかを判断する。具体的には、各設定エリアの座標データを予め地図データに記憶しておき、ステップS70で設定されたエリアの座標データと自車位置の座標データとを比較することで、自車位置が設定エリア内であるかどうかを求めることができる。またこの方法以外にも、自車位置とタイムゾーン境界までの距離を計算し、その距離が所定距離以内であるかどうかで判断してもよい。そして、自車位置が設定エリア内に存在する場合には(ステップS140:YES)、ステップS142へ移行する。また、自車位置が設定エリアの外へと移動した場合は(ステップS140:NO)、ステップS150へ移行する。
【0037】
ステップS142においては、設定エリア内に所定時間以上滞在しているかどうかを判断する。所定時間は例えば1時間と設定してもよく、ユーザにより任意に設定可能な値としてもよい。設定エリア内に所定時間以上滞在していると判断された場合は(ステップS142:YES)、ステップS144へ移行する。滞在時間が所定時間未満である場合には(ステップS142:NO)、ステップS30に戻る。なお、滞在時間が所定時間未満である間は、ステップS30からステップS142が繰り返され、表示装置26における時刻表示部31の表示色が反転された状態が維持される。
【0038】
ステップS144では、ステップS70において設定されたエリアを解除する。このとき設定エリアフラグは「OFF」とする。その後ステップS146へ移行し、反転している時刻表示の表示色を通常の色に戻し、さらにステップS148へと移行し、時刻表示の修正を行う。即ち、図8に示すように、時刻表示部31には修正された時刻が通常の色で表示される。その後ステップS30へと移行する。
【0039】
ステップS150は自車位置がタイムゾーンの境界を越えたか否かを判断する。これはタイムゾーン境界を越えても元居たタイムゾーンに戻る移動をした場合(図3におけるパターン2)か、タイムゾーン境界から設定エリアを越える移動をした場合(図3におけるパターン1)の何れの移動かを判断するためのものである。本ステップでは、ステップS60と同様に、自車位置の属するタイムゾーンが変更されたかどうかに基づいて判断し、タイムゾーンを越えたと判断された場合(ステップS150:YES)、つまり、設定エリアを出て元居たタイムゾーンに戻る場合(図3のパターン2)、ステップS160に移行し、ステップS70において設定されたエリアを解除する。このとき設定エリアフラグは「OFF」とする。その後ステップS170へと移行し、反転している時刻表示の表示色を通常の色に戻し、ステップS30へ戻る。
【0040】
一方、タイムゾーンを越えていないと判断された場合は(ステップS150:NO)、つまり、設定エリアを越えて移動する場合(図3のパターン1)、ステップS180へと移行し、ステップS70において設定されたエリアを解除する。このとき設定エリアフラグは「OFF」とする。その後ステップS190へ移行し、反転している時刻表示の表示色を通常の色に戻し、さらにステップS200へと移行し、時刻表示の修正を行う。その後ステップS30へと移行する。
【0041】
以上のように実施例1によれば、上述のような設定エリアを設けたことにより、2つのタイムゾーンを頻繁に往来するような状況においても、設定エリア内では表示装置26における時刻表示部31における時刻は修正されることがないため、ユーザに煩わしさを生じさせることはない。また、設定エリア内では、時刻表示部31の表示形態が変更されるため、時刻が修正されない場合でも、ユーザに対してタイムゾーンを越えたことを認知させることができる。その際の表示形態の変更は、例えば、時刻表示部31の表示色を反転させたり、時刻の数字部の色のみを変更させたり、時刻を点滅表示させること等がある。また、視覚的な効果だけでなく、音声出力装置25による音声を伴ってユーザに対して注意を喚起してもよい。例えば、タイムゾーン境界近辺を走行中であることをアナウンスする。
【0042】
また、目的地が設定エリア内に存在している場合には、タイムゾーン境界を越えた際に時刻を修正し、少なくとも目的地に到着するまでは修正後の時刻を時刻表示部31に継続して表示する。これにより、目的地が設定エリア内に存在している場合にも、ユーザが目的地に到達した際に、第1のタイムゾーンにおける時刻が表示されるのを防ぎ、目的地の存在する第2のタイムゾーンにおける時刻を表示することが可能になる。
【0043】
さらに、任意に設定可能な所定時間を越えて自車位置が設定エリア内に存在する場合は、時刻表示部31における時刻を自動修正してもよい。これは、所定時間を越えて設定エリア内に存在する場合は、頻繁にタイムゾーンが切り替わらない状況と判断できるため、時刻を修正してもユーザに煩わしさを感じさせないと考えられるからである。
(実施例1の変形例)
実施例1の変形例として、以下の構成をとってもよい。
【0044】
自車位置が設定エリア内に存在して、時刻表示の表示形態が変更されている場合には、ユーザが操作スイッチ群22等を介して、例えばタッチパネル画面の時刻表示部31を押すといったユーザの指示により、時刻表示部31の時刻表示を第2のタイムゾーンの時刻に修正し、表示するようにしてもよい。若しくは、時刻表示の表示形態変更を通常の表示に戻し、時刻表示部31に表示されている第1のタイムゾーンの時刻を継続して表示するようにしてもよい。これにより、よりユーザの意図に沿った時刻表示が可能となる。
【0045】
また、本実施例ではタイムゾーン境界から所定距離の幅を有するエリアを設定、解除する仕様としたが、エリアについては予め設定しておき、タイムゾーン境界を越えた後に、さらにこの設定エリアを越えて移動をする、という条件を満たした場合には時刻を自動修正するようにしてもよい。
【0046】
さらに、ユーザの自宅や勤務地が存在するような活動主体となるタイムゾーンにおける時刻に時刻表示部31の時刻を固定表示したいと考えるユーザのために、時刻表示の自動修正機能の「ON」「OFF」が設定できるようなオプション機能を付与してもよい。自動修正機能が「OFF」時には、タイムゾーン境界を越えた場合には上述のように時刻表示部31の表示形態を変更することによりユーザにタイムゾーンが変更されていることを報知することができる。また、時刻表示の表示形態が変更されている場合には、例えば表示装置26であるタッチパネル画面の時刻表示部31を押すといったユーザの指示により、時刻表示部31の時刻を第2のタイムゾーンの時刻に修正してもよいし、報知によりタイムゾーンが変更されたことに気付いたユーザは、図6(b)に示すように、タイムゾーンを新たに選択することで、手動で時刻を修正できる。修正後は時刻表示部31の表示形態は通常の表示に戻る。
(実施例2)
次に実施例2について説明する。本実施例のカーナビゲーション装置の概略構成は実施例1と同様であるため、その詳細な説明は省略する。なお、以下の説明において、図面の番号は実施例1と同様の番号を用いる。本実施例では実施例1のように設定エリアを設けることなく、自機がタイムゾーン境界を越えた際に、目的地の存在するタイムゾーンにおける時刻を、目的地に到着するまで時刻表示部31に継続して表示するものである。以下にその作動を図9のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
初めに、図9におけるステップS410において、カーナビゲーション装置1における表示装置26の時刻表示部31に時刻を表示する。ステップS420ではユーザが操作スイッチ群22を介して目的地を設定する。次にステップS430において、ステップS420で設定した目的地が存在するタイムゾーンを求める。ステップS440では出発地から目的地までの誘導経路を探索する。
【0048】
続くステップS450においては、ステップS440で探索された誘導経路内において、自車位置の存在するタイムゾーンが複数回以上変更されるかどうかを判断する。即ち、本ステップでは、出発地の存在するタイムゾーンと隣接するタイムゾーンとの境界を、複数回跨いで走行するような誘導経路が引かれたか否かが判断される。そして、複数回以上タイムゾーンが変更されない場合は(ステップS450:NO)、本処理を終了する。なお、かかる場合、タイムゾーン境界を跨いだ際に時刻表示部31の時刻は修正して表示されるが、複数回タイムゾーン境界を跨ぐことはないため、ユーザに違和感を与えることはない。一方、複数回以上タイムゾーンが変更される場合(ステップS450:YES)は、ステップS460へ移行する。
【0049】
ステップS460では、自車位置を検出し、ステップS470において自車位置の存在するタイムゾーンを求める。続くステップS480にでは自車がタイムゾーン境界を越えたかどうかを判断する。タイムゾーン境界を越えた場合は(ステップS480:YES)、ステップS490に移行する。タイムゾーン境界を越えるまで、つまり自車位置のタイムゾーンが変更されるまでは(ステップS480:NO)、ステップS460〜ステップS480のループを繰り返すため、現状が維持される。
【0050】
ステップS490では、時刻表示部31に、目的地の存在するタイムゾーンの時刻を表示する。時刻の修正方法は、実施例1で説明したように、タイムゾーン境界を越える前の自車位置が存在したタイムゾーンの協定世界時との時差と、目的地の存在するタイムゾーンの協定世界時との時差との差を時刻表示の時刻から引くことで実現できる。また、目的地のタイムゾーンにおける時刻を、通信手段を利用して取得し、時刻表示部31においてその時刻を表示することでも実現できる。続くステップS500では、目的地に到着したかどうかを判断し、目的地に到着するまでは(ステップS500:NO)、時刻表示部31は目的地のタイムゾーンの時刻を継続して表示する。そして、目的地に到着した場合は(ステップS500:YES)、ステップS420に戻る。
【0051】
以上のように実施例2によれば、目的地までに到着するまでに、タイムゾーン境界を頻繁に跨ぐような状況においても、自車がタイムゾーン境界を越えた際に、表示装置26の時刻表示部31に目的地の存在するタイムゾーンの時刻を表示し、目的地に到着するまで継続して表示することで、ユーザに煩わしさを生じさせない時刻の修正、表示を行うことができる。
(その他の変形例)
本実施例では、本発明の時刻表示装置を車載用カーナビゲーション装置に適用した場合について説明したが、これに限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、様々な形態を取り得る。例えば、可搬性カーナビゲーション装置、腕時計や、置時計、可搬性パーソナルコンピュータなどの移動した地域によって時差の修正が必要な装置、及び携帯電話や携帯無線などの移動体通信装置の時刻表示に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例に係るカーナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る表示装置26の表示画面30を示す説明図である。
【図3】実施例1の作用を示す説明図である。
【図4】実施例1の時刻表示処理を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の時刻表示処理を示すフローチャートである。
【図6】自動若しくは手動による時刻表示設定を示した説明図である。
【図7】実施例1の時刻表示部31の表示形態が変更される様子を示した説明図である。
【図8】実施例1の時刻表示部31の時刻表示が修正される様子を示した説明図である。
【図9】実施例2の時刻表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 :カーナビゲーション装置
21 :位置検出器
23 :地図データ入力器
26 :表示装置
27 :制御回路
31 :時刻表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機位置を検出する自機位置検出手段と、
前記自機位置検出手段にて検出された自機位置が存在するタイムゾーンの時刻を算出する時刻算出手段と、
前記時刻算出手段にて算出された時刻を表示する時刻表示手段とを備えた時刻表示制御装置において、
前記自機位置が存在するタイムゾーンを第1のタイムゾーンとし、該第1のタイムゾーンから隣接する第2のタイムゾーンに自機が移動したと判断した場合に、該第2のタイムゾーン側であって、前記第1のタイムゾーンと前記第2のタイムゾーンとの境界から所定距離の幅を有するエリア内では、前記第1のタイムゾーンの時刻を前記時刻表示手段に継続して表示させ、自機が前記エリアを越えたと判断した場合に、前記第2のタイムゾーンの時刻を前記時刻表示手段に表示させる表示制御手段を備えたことを特徴とする時刻表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の時刻表示制御装置において、
前記表示制御手段は、前記エリア内では、前記時刻表示手段の表示形態を変更して時刻を表示させることを特徴とする時刻表示制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の時刻表示制御装置において、
前記表示制御手段は、前記エリア内では、前記時刻表示手段の表示色を変更させる、若しくは前記時刻表示手段を点滅表示させることを特徴とする時刻表示制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の時刻表示制御装置において、
前記表示制御手段は、前記エリア内であっても、前記境界を越えてから所定時間が経過した場合には、前記時刻表示手段に前記第2のタイムゾーンの時刻を表示させることを特徴とする時刻表示制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載の時刻表示制御装置において、
前記表示制御手段は、前記エリア内であっても、ユーザからの指令があった場合には、前記時刻表示手段に前記第2のタイムゾーンの時刻を表示させることを特徴とする時刻表示制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の時刻表示制御装置と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を案内する経路案内手段を備えたナビゲーション装置であって、
前記表示制御手段は、前記目的地設定手段により設定された目的地が前記エリア内に存在すると判断した場合には、前記表示制御手段は、自機が前記境界を越えた際に、前記時刻表示手段に前記第2のタイムゾーンの時刻を表示させると共に、前記目的地に到達するまで前記第2のタイムゾーンの時刻を継続して表示させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
自機位置を検出する自機位置検出手段と、
前記自機位置検出手段にて検出された自機位置が存在するタイムゾーンの時刻を算出する時刻算出手段と、
前記時刻算出手段にて算出された時刻を表示する時刻表示手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索する経路探索手段とを備えたナビゲーション装置において、
前記経路探索手段により、出発地が存在するタイムゾーンと隣接するタイムゾーンとの境界を複数回跨いで走行する経路が探索された場合には、前記タイムゾーンの境界を自機が越えたと判断した場合に、前記時刻表示手段に目的地の存在するタイムゾーンの時刻を表示させると共に、前記目的地に到達するまで前記目的地の存在するタイムゾーンの時刻を継続して表示させる表示制御手段を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1乃至5に記載の時刻表示制御装置の備える前記表示制御手段としてのコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−127808(P2010−127808A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303799(P2008−303799)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】