説明

時系列データの時間補正システム、方法、及びプログラム

【課題】時計の時刻の不連続による時系列データにおける値の記録時刻のずれを修正する。
【解決手段】時刻補正システム1は、値の時系列データを、各値の記録時刻を示す情報とともに取得するデータ取得部2と、時系列データにおいて、不連続データが含まれているか否かを判断する判断部3と、不連続データより後に記録された値の記録時刻を、前記測定装置の時計が指す時刻と、基準となる時計が指す時刻との差に基づいて補正する補正部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列データの値の記録時刻を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯型の血糖値計のように、測定値を時系列に記録する機能を持つ測定装置において、電池が切れることにより、時計が止まることが起こりうる。時計が止まった後、時計が動作を再開すると、再開後の時計が示す時刻は実時刻とずれる場合が少なくない。この場合、時計の動作再開後の測定値の測定時刻は誤って記録されることになる。
【0003】
この問題に関連する従来技術として、情報記録装置において、ユーザが電源電池の交換を行う場合における計時時刻のズレを少なくする方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、電源電池の取り外しを検出したとき、計時手段で計時されている第1の時刻を基にした時刻情報をフラッシュメモリに書き込み、電源電池の装填を検出したときにフラッシュメモリに書き込まれた時刻情報を基にした第2の時刻より計時を開始する。ここで、第2の時刻は第1の時刻に所定の時間を加えたものである。
【0004】
また、多数の端末装置から所定の情報を電話回線を介してセンタ装置に自動的に送信するシステムにおいて、端末装置のタイマ手段が、センタ装置内のタイマ装置と常にほぼ合致した時刻を刻むよう修正する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、端末装置から所定の情報とともに時刻情報をセンタ装置に送信し、センタ装置は、受信した時刻情報の時刻と、自己の持つタイマ装置に基づいて検出した受信時刻とのズレに応じた時間長を有するエンド信号を端末装置に送信する。端末装置は、エンド信号の時間長に基づいてタイマ手段の刻む時刻を修正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−6887号公報(請求項1)
【特許文献2】特公平4−51796号(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、時計が示す時刻がずれた後に記録されたデータの時刻情報を修正することの発想はなかった。そのため、時系列データにおける値の記録時刻のずれに対応することが困難な状況が生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示の時刻補正システムは、
値の時系列データを、各値の記録時刻を示す情報とともに取得するデータ取得部と、
前記時系列データにおいて、前記値が記録される系の時計が示す時刻が不連続に変化したことを示す不連続データが含まれているか否かを判断する判断部と、
前記不連続データより後に記録された値の記録時刻を、前記系の時計が指す時刻と、基準となる時計が指す時刻との差に基づいて補正する補正部とを備える。
上記構成では、時系列データの値が記録される系の時計の示す時刻が不連続に変化したことを示す不連続データにより、時系列データにおいて、時計の時刻が不連続変化した後に記録された測定値及びその測定時刻を認識することができる。そのため、系の時計の示す時刻が不連続に変化した後に記録された値の記録時刻が、基準となる時刻に対してずれていたとしても、そのずれを少なくするよう値の記録時刻を修正することが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本願開示によれば、系の時計の時刻が不連続に変化したことにより、その後、系において記録された値の記録時刻がずれていた場合でも、その時刻を修正することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態における時刻補正システム及び測定装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態における時刻補正システムの動作例を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施形態における、測定装置内の記憶内容及びメータの状況を説明するための図である。
【図4】第2の実施形態における時刻補正システムの動作例を示すフローチャートである。
【図5】図1に示す動作例に第3の実施形態を適用した場合の動作例を示すフローチャートである。
【図6】図4に示す動作例に第3の実施形態を適用した場合の動作例を示すフローチャートである。
【図7】第4の実施形態における時刻補正システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【図8】測定装置として採用可能な医療機器の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
(測定装置及び時刻補正システムの構成例)
図1は、本発明の第1の実施形態における時刻補正システム及び測定装置の構成例を示す機能ブロック図である。図1に示す例では、時刻補正システム1は、測定装置5で記録された測定値の時系列データを入力し、時系列データに含まれる測定値の測定時刻を必要に応じて補正する機能を有するシステムである。そのため、時刻補正システム1は、測定装置5と通信可能であり、データ取得部2、判断部3、及び補正部4を備える。
【0011】
測定装置5は、時計9と、測定を行って測定値を生成する測定部6と、前記測定値を、測定時刻を示す情報とともに時系列データとして記録媒体8へ記録する記録部7とを備える。測定装置5の記録媒体8には、測定値の時系列データが記録される。記録部7は、時計9が示す時刻が不連続に変化した場合に、時計9の時刻が不連続に変化したことを示す不連続データを、前記時系列データに加えて記録する。
【0012】
この測定装置5として、測定値を測定時刻を示す情報とともに記録する機能を持つあらゆる種類の装置を適用することができる。すなわち、測定装置5の測定対象は、特定のものに限定されない。
【0013】
時系列データは、値と時刻(例えば、測定値と測定時刻)を含むレコードが時系列に従って並んだ構成とすることもできるし、値と時刻が対応可能な状態でそれぞれ独立して記録される構成であってもよい。時系列データの形式も特定のものに限定されない。また、時刻を示す情報は、時刻そのもの、例えば、年月日時分秒を特定するデータであってもよいし、ある時点に対する相対的な時間を示すデータであってもよい。このような相対的な時間の例として、前回測定時からの経過時間、又は、ある基準時点からの経過時間などが挙げられる。
【0014】
不連続データは、値の時系列の中で、値が記録される系(例えば、測定装置)の時計が示す時刻が不連続に変化したタイミングを示すデータである。例えば、時系列に沿って測定値が順次記録される際に、時計が不連続に変化したことが検出されると、そのタイミングで、記録部7が不連続データを挿入することができる。時計の時刻の不連続変化は、例えば、時計が停止した後に、しばらくして動作を再開した場合のように、時計が連続的に(正常に)時刻を刻めなくなった場合に発生する。このような場合、時計の時刻がリセットされることが多いので、このリセットの動作を、時刻の不連続変化として検出することができる。例えば、時計の電池が切れて停止した後、しばらく経って電池が交換又は充電されて時計が動作を再開したときに時刻をリセットする動作を、時計の時刻の不連続変化として検出することができる。或いは、時計の停止又は再開、もしくは電池切れ等の時刻の不連続変化の原因となる動作を検出し、これを不連続変化とみなすこともできる。
【0015】
不連続データは、例えば、時計の時刻の不連続変化が検出された時の直前か直後の少なくともいずれかの測定値又は測定時刻を特定するデータとすることができる。また、不連続データは、例えば、時系列に沿って並ぶ測定値に挿入された所定のフラグとすることができるが、その形式は特に限定されない。
【0016】
時刻補正システム1のデータ取得部2は、測定装置5の記録媒体8に記録された測定値の時系列データを、各測定値の測定時刻を示す情報とともに取得する。すなわち、データ取得部2は、測定装置5で記録された測定値の時系列データを、時刻補正システム1で処理できる状態にするためのインタフェースの機能を備える。例えば、データ取得部2は、測定装置5の記録媒体8から時系列データを読み出すか、或いは、測定装置5から時系列データを受信して、時刻補正システム1のメモリに格納することができる。時刻補正システム1と測定装置5とのデータの通信方式及びインタフェースは、特に限定されない。無線または有線いずれのデータ通信も可能であるし、通信端末またはネットワークを介した通信も可能である。
【0017】
判断部3は、前記時系列データにおいて、測定装置5の時計9が示す時刻が不連続に変化したことを示す不連続データが含まれているか否かを判断する。判断部3は、不連続データを検出することにより、時系列データにおいて、時計が止まった後に記録された測定値を特定することができる。
【0018】
補正部4は、不連続データより後に記録された測定値の測定時刻を、測定装置5の時計9が指す時刻と、基準となる時計が指す時刻との差に基づいて補正する。基準となる時計は、例えば、測定装置5の時計とは別の信用できる時計とすることができる。一例として、時刻補正システム1が備える時計が挙げられる。この場合、補正部4は、測定装置5から時計9の時刻を示す情報を取得し、時刻補正システム1の時計が示す時刻と比較する。例えば、補正部4は、時計9の時刻を示すデータを受信したときの時刻補正システム1の時計の時刻と、受信したデータが示す時刻との差を計算することができる。
【0019】
補正部4は、測定装置5の時計9が指す時刻と、基準となる時計が指す時刻との差を求めることにより、測定装置5の時計9が基準よりどの程度ずれているかを判断することができる。補正部4は、このずれの量に基づいて、時計が止まった後に測定装置5で記録された測定時刻のずれを推定し、このずれをなくすよう測定時刻を補正することができる。
【0020】
なお、補正部4は、測定装置5の記録媒体8から読み出された時系列データを補正して時刻補正システム1にて補正した時系列データを保存してもよいし、測定装置5に対して補正指示(コマンド)または補正済みの時系列データを送信し、測定装置5の記録媒体8に格納されている時系列データを、測定装置5に更新させることもできる。いずれの場合であっても、時系列データの測定時刻を示す情報を補正した場合は、時系列データに含まれる不連続データを削除するか、補正済みであることを示すデータを追加することが好ましい。これにより、補正済みの時系列データに対して再度補正処理をしようとしてしまうことを防ぐことができる。
【0021】
また、補正部4は、補正処理を実行する前に、ユーザに対して確認メッセージを出力することができる。この場合、ユーザによる補正の承認操作が入力された場合に、補正処理を実行することができる。
【0022】
図1に示す構成例によれば、測定装置5で記録された測定値の時系列データを、データ取得部2が取得し、判断部3が、時系列データにおいて時計9の時刻が不連続に変化したタイミングを判断し、補正部4が、時計9の時刻が不連続に変化した後に記録された測定値の時刻情報を、必要に応じて修正することができる。そのため、時計9の時刻の不連続変化後に記録された測定時刻がずれていた場合であっても、そのずれを修正することができる。また、時刻補正システムにより、自動的に、時計のずれに起因する測定結果の時間のずれを検出し補正することができる。その結果、ユーザが補正のための複雑な操作をしなくてもよい。さらに、装置部品を増やすことなく、測定データの補正を実現することができる。
【0023】
上記時刻補正システム1は、測定装置5と通信可能な1台又は複数のコンピュータにより構成することができる。データ取得部2、判断部3、補正部4の機能は、コンピュータが備えるプロセッサが所定のプログラムを実行することによって実現することができる。同様に、測定装置5の測定部6、記録部7等の機能も測定装置5が備えるプロセッサが所定のプログラムを実行することによって実現することができる。測定装置5の記録媒体8は、メモリやハードディスクなどの記録手段を用いることができる。記録媒体8は、測定装置5に内蔵されてもよいし、測定装置5とは独立して外部に設けられてもよい。コンピュータをデータ取得部2、判断部3、補正部4、或いは測定部6、記録部7として機能させるプログラムやそれを記録した非一時的(non-transitory)な記録媒体も、本発明の実施形態に含まれる。
【0024】
一例として、測定装置5は、携帯型測定器とすることができる。この場合、時刻補正システム1は、例えば、測定装置5と通信可能なコンピュータにより構成され、補正部4は、コンピュータの時計を、基準となる時計として、補正を実行することができる。このような構成にすることで、携帯型測定器で電池が切れて時計の時刻がずれた場合であっても、測定を継続して、コンピュータと通信した際に、測定データの時刻情報を補正することが可能になる。
【0025】
また、測定装置5は、例えば、携帯型の血糖値計(グルコメータ)等のような、医療機器とすることができる。このように、測定データにおいて、測定時刻の情報が重要な意味を持つ測定装置に本発明を適用すると、効果が顕著に現れる。
【0026】
時刻補正システム1を構成するコンピュータは、例えば、サーバ、ワークステーション、ラップトップコンピュータ(パーソナルコンピュータの一例)、PDA、携帯電話、ゲーム機、測定用の専用端末、測定装置5に内蔵されたICチップなど、様々な形態を取ることができ、特定の形態に限られない。
【0027】
(動作例)
図2は、図1に示す時刻補正システム1の動作例を示すフローチャートである。図2に示す例では、まず、データ取得部2が、測定装置5の記録媒体8に記録されている時系列データを取得する(S1)。データ取得部2は、測定装置5と時刻補正システム1が通信可能な状態になったことを契機に、自動的に、測定装置5から時系列データを受信(ダウンロード)することができる。例えば、測定装置5が時刻補正システム1を構成するコンピュータに接続されたことを契機として、測定装置5の記録媒体8から時系列データを読み出して時刻補正システム1へ転送する処理が開始されてもよい。或いは、データ取得部2は、ユーザが指示操作に基づいて、時系列データの取得を開始することもできる。
【0028】
データ取得部2が時系列データを取得すると、判断部3は、時系列データに不連続データが含まれているか否かを判断する(S2)。例えば、不連続データが所定のフラグ(以下、フラグAと称する)で表される場合、判断部3は、時系列データ中にフラグAを検索する。
【0029】
不連続データが存在しない場合(S3でNO)、判断部3は、時系列データの時刻補正は必要ないと判断し、処理を終了する。不連続データが存在する場合(S3でYES)、判断部3又は補正部4は、測定装置5の時計9の時刻と、基準となる時計(本例では、時刻補正システム1の時計)の時刻とのずれ(差)を計算する(S3)。
【0030】
補正部4は、S3で計算されたずれの量を用いて、不連続データより後に記録された測定値の測定時刻を補正する(S4)。例えば、測定時刻から、ずれの量(時間)を減じた時刻を補正後の測定時刻とすることができる。この場合、ずれの量がプラス、すなわち、測定装置5の時計9が基準となる時計の時刻より進んでいる場合、ずれの量(進んでいる時間)だけ、測定時刻を遅らせる。逆に、ずれの量がマイナス、すなわち測定装置5の時計9が基準となる時計の時刻より遅れている場合は、ずれの量(遅れている時間)だけ、測定時刻を進ませることになる。
【0031】
なお、本実施形態では、時系列データの値が測定値である場合の例を説明したが、本願発明はこれに限られない。例えば、測定値でない値と、その値が記録された記録時刻に関する情報を含む時系列データにおける記録時刻を補正するシステムも、本願発明に含まれる。例えば、WEBサイトへのアクセスログなどのように、発生したイベントとその発生時刻とを含む時系列データを対象とする時刻補正システムも本願発明に含まれる。
【0032】
[第2の実施形態]
第2の実施形態において、測定装置5及び測定データ補正時刻補正システム1の構成は、図1と同様とすることができる。
【0033】
本実施形態では、判断部3は、時系列データにおいて、ユーザが時系列データの値が記録された系の時計(例えば、測定装置の時計)を進めた時間及び/又は遅らせた時間を示す調整データが含まれているか否かをさらに判断する。また、補正部4は、時系列データに不連続データより後に記録された調整データが含まれている場合、不連続データより後かつ調整データより前に記録された値の記録時刻を、調整データの示す時間、及び前記系の時計が指す時刻と基準となる時計が指す時刻との差に基づいて補正する。これにより、ユーザが時計を進めまたは遅らせることにより、それ以降に記録された値の記録時刻が変化した場合であっても、その変化を考慮して、記録された値の記録時刻を適切に補正することができる。
【0034】
測定装置5は、ユーザによる時計9の時刻を変更する操作を検出し、該操作による変更前と変更後の時刻の差(変更時間)を求めてそれを調整データとして記録することができる。調整データは、不連続データと同様に、測定値の時系列の中で、測定装置の時計が示す時刻がユーザにより変更されたタイミングも示すデータでもある。例えば、時系列に沿って測定値が順次記録される際に、時計の時刻がユーザにより変更されたことが検出されると、そのタイミングで、記録部7が調整データを、測定値の時系列データに追加することができる。
【0035】
調整データは、例えば、時計の時刻のユーザによる変更が検出された時の直前か直後の少なくともいずれかの測定値又は測定時刻を特定するデータを含むことができる。また、調整データは、例えば、時系列に沿って並ぶ測定値に挿入された所定のフラグにユーザにより変更された時間を示す情報が付加された形式とすることができる。調整データの形式は特定のものに限定されない。
【0036】
判断部3は、時系列データにおいて、調整データが含まれているか否かをさらに判断する。また、判断部3は、調整データがある場合、調整データが不連続データより前に記録されたか、後に記録されたかを判定することもできる。補正部4は、時系列データに不連続データより後に記録された調整データが含まれている場合、不連続データより後であり、かつ調整データより前に記録された測定値の測定時刻を補正する。このとき、補正部4は、調整データが示す、ユーザにより変更された時間をさらに用いて補正を実行する。また、補正部4は、調整データより後に記録された測定値の測定時刻は、測定装置5の時計9が指す時刻と時刻補正システム1の時計が指す時刻(基準時刻)との差に基づいて補正することができる。
【0037】
調整データより後に記録された測定値の測定時刻と、基準時刻とのずれは、不連続データの示す時刻不連続変化と、調整データが示す時刻の変化を合わせたものと考えることができる。そうすると、不連続データの後であり調整データより前に記録された測定値の測定時刻の基準時刻に対するずれは、調整データより後に記録された測定値の測定時刻と基準時刻とのずれから、ユーザによる変化分を差し引いたものであると考えることができる。そのため、補正部4は、測定装置5の時計9が指す時刻と時刻補正システム1の時計が指す時刻(基準時刻)とのずれ(差)から、調整データの示す時刻の変更分を差し引いたずれを算出し、このずれをなくすように、不連続データの後であり調整データより前の測定時刻を補正することができる。具体例としては、補正部4は、不連続データの後であり調整データより前に記録された測定値の測定時刻に対して、時計9の時刻と基準時刻とのずれをなくす補正に加えて、調整データで示されるユーザによる時刻の変更と同じ補正を加えることができる。
【0038】
(動作の具体例)
ここで、本実施形態における時刻補正システム1の動作例を説明する。ここでは、一例として、測定装置5が血糖計(グルコメータ)である場合について説明する。図3は、本動作例における、測定装置5(メータ)内の記憶内容及びメータの状況を説明するための図である。図3では、測定装置5の記録媒体に記録されるファイルF1の内容の例と、ファイルF1の各レコードが記録されたときの状況の例が示されている。ファイルF1には、測定値及びフラグが、時系列に沿って順次記録される。ファイルの各行が、測定値と測定時刻を含む1つのレコードとなっている。これは、測定値の時系列データの一例である。
【0039】
図3に示す例において、2つ目のレコードが記録された後の時点(10月1日 20:01頃)に測定装置5の電池が切れて時計が止まったとしている。そして、10月3日の06:00にユーザが測定装置5の電池を交換して測定したとする。このとき、メータは、10月2日 00:00にリセットする仕様であったとする。すなわち、時計が止まった後、動作を再開した場合は、時計の時刻時計が止まった日の翌日の00:00に時刻をリセットする仕様であったとする。ここで、時計の時刻がリセットされると、測定装置5の記録部7は、不連続データの一例であるフラグAをファイルF1に記録する。このフラグAによって時計リセットが記憶され、時系列データに不連続データが追加されることになる。
【0040】
その後の測定値の測定時刻は、実際の時刻よりも30時間遅れた時刻で記録されることになる。時刻のずれは、−30時間となる。時計の動作が再開してから2つのレコードを記録した後、ユーザが、時計がずれていることに気づき、時計の時刻を、10月2日 14:00から10月3日 08:00に進めたとする。すなわち、ユーザは、時計の時刻を18時間進めた(+18時間)ことになる。ここで、記録部7は、ファイルF1に、調整データの一例であるフラグBを、ユーザが変更した時間(+18時間)を示す情報とともに、記録する。
【0041】
なお、この時計合わせのときに、ユーザは、時計の時刻を10月3日20:00と設定すべきところを、誤って、10月3日 08:00に設定してしまったとする。これにより、測定装置5の時計の時刻と実際の時刻とのずれは、−12時間となる。その後に記録された2つのレコードは、12時間遅れた測定時刻で記録される。
【0042】
最近のレコードが記録されてから1時間後の10月4日 21:00に、測定装置5が、時刻補正システム1を構成するコンピュータ(例えば、PC)に接続されたとする。接続時の測定装置5(メータ)の時計9の時刻は、10月4日 09:00である。以下に、時刻補正システム1のPCが実行する測定データの補正方法の一例を説明する。
【0043】
PCはメータの時計が12時間遅れていることを認識し、R3のデータを+12時間して補正する。すなわち、ユーザによる時計合わせを示すフラグBより後に記録されたレコードの測定時刻をPCとメータの時刻のずれを基に補正を実行する。
【0044】
PCは、フラグBの情報からR2のデータはユーザにより+18時間されている事を認識して、R2のデータには、フラグBの+18時間とR3の+12時間の合計+30時間補正する。すなわち、フラグAより後であって、フラグBより前に記録されたレコードの測定時刻を、PCとメータの時刻のずれと、ユーザによるメータ時刻の操作時間を基に補正する。
【0045】
なお、PCは、フラグAの情報からR1のデータは補正しない。補正したデータは、PCのみで使用してもよいし、補正したデータ又は補正コマンドをメータに送信してメータを書き換えてもよい。メータを書き換える時は、フラグAとフラグBが補正済みな事もメータに記憶させることが好ましい。補正済みであることを記憶させる処理として、例えば、フラグA及びフラグBを削除する処理、或いは、補正済みであることを示すデータ(例えば、フラグ等)をさらに追加する処理が挙げられる。
【0046】
ファイルの行数、すなわち、1ファイルあたりに記録できるレコードの数には上限が設けられてもよい。例えば、ファイルのレコード数が上限数Umaxを超えると、新しいレコードが追加するたびに、古いレコードが消す仕様にすることができる。
【0047】
(動作例のフローチャート)
図4は、第2の実施形態における時刻補正システム1の動作例を示すフローチャートである。図4に示す動作を実行することにより、例えば、上記図3で示した処理が可能になる。
【0048】
図4に示す例では、まず、データ取得部2が、測定装置5から時系列データを取得する(S1)。このS1の処理は、図2のS1と処理と同様に実行することができる。判断部3は、S1で取得した時系列データに不連続データが含まれているか否かを判断する(S2)。S2において、例えば、不連続データが所定のフラグ(以下、フラグAと称する)で表される場合、判断部3は、時系列データ中のフラグAを検索することができる。
【0049】
不連続データが含まれている場合(S2でYES)、判断部3は、時系列データにおいて調整データが、不連続データの後に含まれているか否かを判断する(S21)。S21において、例えば、調整データが所定のフラグ(以下、フラグBと称する)で表される場合、判断部3は、不連続データ(本例では、フラグA)の後の部分に対してフラグBを検索することができる。一方、時系列データに不連続データが含まれていない場合(S2でNO)、判断部3は、さらに調整データが時系列データに含まれているか否かを判断する(S22)。
【0050】
<不連続データの後に調整データが含まれている場合の処理例>
時系列データにおいて、調整データが、不連続データの後に含まれている場合(S2及びS21でYESの場合)、判断部3又は補正部4は、測定装置5が示す現在の時刻と、基準となる時計(ここでは一例として、時刻補正システム1の時計)が示す現在の時刻(以下、基準時刻と称する)との差(ずれ)を求める(S3)。
【0051】
補正部4は、調整データより後に記録された測定値の測定時刻を、S3で求めた時刻のずれを基に補正する(S42)。S42において、補正部4は、S3で求めた現在時刻のずれの分の時間を、測定時刻から減算する処理を実行することができる。一例として、時計9の時刻が基準時刻から1時間だけ進んでいる場合(+1h)、補正部4は、測定値の測定時刻(例えば"2011/12/2 19:00"とする)を1時間だけ遅らせる(すなわち、"2011/12/2 19:00"−1h="2011/12/2 18:00"とする)ことができる。逆に、時計9の時刻が基準時刻から1時間だけ遅れている場合(−1h)、補正部4は、測定値の測定時刻"2011/12/2 19:00"を1時間だけ進める(すなわち、"2011/12/2 19:00"−(−1h)="2011/12/2 20:00")補正をすることができる。
【0052】
補正部4は、不連続データの後であって、調整データより前に記録された測定値の測定時刻を、S3で求めた時刻の差(ΔTc)から調整データが示すユーザにより変更された時間(ΔTu)を差し引いた時間(ΔTc−ΔTu)に基づいて、補正する(S43)。例えば、補正部4は、S3で求めた現在時刻のずれから調整データが示すユーザによる時刻の変更分を差し引いた時間(ΔTc−ΔTu)を、測定時刻から減算する処理("2011/12/2 19:00"−(ΔTc−ΔTu))を実行することができる。一例として、時計9の時刻が基準時刻から2時間だけ進んでおり(ΔTc=+2h)、ユーザにより時計9の時刻が1時間だけ進んだ場合(ΔTu=+1h)、補正部4は、測定値の測定時刻(例えば"2011/11/2 19:00"とする)から(2h−1h=1h)だけ減算する(すなわち、"2011/11/2 19:00"−(2h−1h)="2011/11/2 18:00")ことができる。また、他の例として、時計9の時刻が基準時刻より1時間だけ遅れており(ΔTc=−1h)、ユーザにより時計9の時刻が2時間だけ遅らされた場合(ΔTu=−2h)、補正部4は、測定値の測定時刻"2011/11/2 19:00"を{−1h−(−2h)}だけ減算する(すなわち、"2011/11/2 19:00"−{−1h−(−2h)}="2011/11/2 18:00")ことができる。このようなS43の処理により、時計9の時刻が不連続に変化した時から、ユーザにより時計9の時刻が変更されるまでの間の測定時刻については、ユーザによる時刻の変更分を差し引いたずれ分を修正することができる。
【0053】
なお、時系列データにおいて、不連続データより後に、複数の調整データが記録されている場合も、同様に、時刻のずれΔTcから複数の調整データが示す複数回のユーザによる時刻の変更分(ΔTu1,ΔTu2,・・・,ΔTun)を差し引いた時間(ΔTc−ΔTu1−ΔTu2−,・・・ΔTun)を測定時刻から減算する処理で対応できる。
【0054】
また、上記の(ΔTc−ΔTu)を測定時刻から減算する処理は、測定時刻から、ΔTcを減算し、さらに、ΔTuを加算する処理に相当する。すなわち、補正部4は、測定時刻から、時計9の基準時刻に対するずれ分を差し引いて、さらに、ユーザによる時計9の時刻変更を加える処理により、S43の処理を実行することができる。
【0055】
<調整データのみが含まれている場合の処理例>
時系列データに調整データのみが含まれている場合(S2でNOかつS22でYESの場合)、判断部3又は補正部4は、測定装置5が示す現在の時刻と、基準時刻との差(ずれ)を求める(S3)。そして、補正部4は、調整データより後に記録された測定値の測定時刻を、S3で求めた時刻のずれを基に補正する(S45)。S45の処理は、S42と同様に実行することができる。また、調整データより前に記録された測定値の測定時刻に対して補正部4は、S3で求めた時刻の差(ΔTc)から調整データが示すユーザにより変更された時間(ΔTu)を差し引いた時間(ΔTc−ΔTu)に基づいて、補正する(S46)。この処理は、S43の処理と同様に実行することができる。これにより、ユーザにより時計9の時刻が変更される前の測定時刻については、ユーザによる時刻の変更分を差し引いたずれを修正することができる。
【0056】
<不連続データのみが含まれている場合の処理例>
時系列データに不連続データのみが含まれている場合(S2でYESかつS21でNOの場合)、判断部3又は補正部4は、測定装置5が示す現在の時刻と、基準時刻との差(ずれ)を求める(S3)。そして、補正部4は、不連続データより後に記録された測定値の測定時刻を、S3で求めた時刻のずれを基に補正する(S41)。S41の処理は、上記第1の実施形態における補正処理と同様に実行することができる。
【0057】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、上記第1又は第2の実施形態の変形例である。本実施形態において、測定装置5及び測定データ補正時刻補正システム1の構成は、図1と同様とすることができる。
【0058】
本実施形態では、補正部4は、測定時刻の補正量が閾値より大きい場合に、補正を実行する構成となっている。具体的には、補正部4は、測定時刻の補正を実行する前に、補正しようとする時刻の変化量(補正量)と閾値を比較し、比較結果に基づいて、補正実行の要否を決定することができる。この場合、補正量は、例えば、測定装置の時計が指す時刻と、基準となる時計が指す時刻との差に基づいて決めることができる。或いは、補正量は、調整データの示す時間、及び測定装置の時計が指す時刻と基準となる時計が指す時刻との差に基づいて決めることもできる。
【0059】
図5は、図1に示す動作例に第3の実施形態を適用した場合の時刻補正システム1の動作例を示すフローチャートである。図5のS3、S4は、図1のS3、S4に相当する。その他の図1の処理ステップは省略している。図5に示す例では、S4の補正処理の前に、補正部4が、S3で求めた測定装置5の時計9の時刻と基準時刻とのずれが、所定の閾値Thを越えるか否かを判断する(S51)。前記ずれが閾値を超える場合(S51でYES)に、補正部4は、補正を実行する(S4)。これにより、不連続データで示される時計の時刻の不連続変化による測定時刻のずれが、所定の時間より長い場合にのみ、補正を実行することができる。
【0060】
図6は、図4に示す動作例に第3の実施形態を適用した場合の時刻補正システム1の動作例を示すフローチャートである。図6のS3、S42、S43は、図4のS3、S42、S43に相当する。その他の図4の処理ステップは省略している。図6に示す例では、S42の補正処理の前に、補正部4が、S3で求めた測定装置5の時計9の時刻と基準時刻とのずれが、所定の閾値Th2を越えるか否かを判断する(S52)。前記ずれが閾値Th2を超える場合(S52でYES)に、補正部4は、補正を実行する(S42)。なお、図6では図示していないS41、S45の前にもS52と同様の判断をすることができる。
【0061】
さらに、補正部4は、S43の補正処理の前にも、S3で求めたずれ量から調整データで示されるユーザによる時刻の変更分を差し引いた時間が、閾値Th3を超えるか否かを判断する(S53)。前記ずれが閾値Th3を超える場合(S53でYES)に、補正部4は、補正を実行する(S43)。図6では図示していないS46の前にもS53と同様の判断をすることができる。
【0062】
このように、補正部4は、調整データより後に記録された測定値の測定時刻に対する補正、及び、不連続データより後であって、調整データより前に記録された測定値の測定時刻に対する補正の、それぞれについて、補正量と閾値を比較して補正要否を判断することができる。これにより、それぞれに区間、すなわち、時刻の不連続変化からユーザによる操作までの区間、及び、ユーザによる操作より後の区間について、補正の要否を適切に判断することができる。
【0063】
本実施形態によれば、測定結果に求められる精度に影響を与えない程度の測定時刻のずれに対しては、補正を実行しないようにすることができる。その結果、例えば、測定装置5の時計9の時刻と、基準時刻との微細なずれは無視して、無駄な補正処理を回避することができる。
【0064】
一例として、測定装置5が血糖値計である場合、血糖値の測定時刻は10分程度のずれは、測定結果の精度に影響を与えないが、1時間程度ずれると正確な診断が難しくなる。そのため、例えば、補正部4は、測定装置5で測定された血糖値の測定時刻に対して10分以内のずれは補正しないとすることができる。
【0065】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、上記第1〜第3の実施形態の変形例である。図7は、第4の実施形態における時刻補正システム1の構成例を示す機能ブロック図である。図7に示す例では、測定装置5に、時刻補正システム1が内蔵される。この場合、データ取得部2は、記録媒体8から時系列データを直接読み出すことができる。また、補正部4は、記録媒体8に記録された時系列データを更新することで、補正処理を実行できる。
【0066】
[第5の実施形態]
第5の実施形態は、上記第1〜第4の実施形態を含む本願発明を、医療機器に適用した場合の例である。
【0067】
図8(a)は、測定装置5として採用可能な医療機器の例を示す斜視図である。図8(a)に示す例では、医療機器10は、生体の状態を計測するための医療機器、例えば、血糖値計、血圧計、乳酸値計、ケトン体測定装置、体温計、尿試験紙計、脂質測定装置などである。医療機器10の本体31内部には、用途に応じた分析装置1及び検出器2が収納されている。また、医療機器10は、手の平サイズで形成されており、例えば、患者、医師、看護師等の使用者によって携帯されることができる。
【0068】
医療機器10は、一例として、患者の血液の血糖値を測定する携帯型の血糖値計とすることができる。この場合、患者の血液は、センサ11によって提供され、本体31は、短冊状のセンサ11を挿入するためのセンサ挿入口12を備えている。センサ11は内部に試薬を有しており、血液は予めセンサ11内部で試薬と反応する。本体31内部には、上述した測定部6、記録部7、記録媒体8、及び時計9が含まれる。本体31内部の測定部1は、比色方式又は電気化学方式によって、試薬と反応した血液から血糖値を測定する機能を備えている。測定装置による測定は、センサ11がセンサ挿入口12に挿入されると直ちに開始される。測定結果は、記録媒体8に記録される。測定結果として、例えば、血糖値と測定時刻を含むレコードを、時系列に沿って順にファイルに記録することができる。また、測定結果は、本体31に設けられた表示画面32に表示される。このような血糖値計は、例えば、血糖自己測定(Self Monitoring of Blood Glucose : SMBG)メータとして使用することができる。
【0069】
また、医療機器10は、外部とデータ通信するためのコネクタ13を備える。例えば、図8(b)に示すように、医療機器10のコネクタ13は、時刻補正システム1として機能する携帯機器14に接続可能とすることができる。携帯機器14は、例えば、内蔵コンピュータを備えるスマートフォンとすることができる。これにより、測定装置5の例である医療機器10と時刻補正システム1が構成される携帯機器とをデータ通信可能な構成とすることができる。また、図8(c)に示すように、コネクタ13およびケーブル16を介して汎用コンピュータ15(例えば、PC)に接続可能な構成とすることもできる。或いは、第4の実施形態のように、医療機器10に、時刻補正システム1を内蔵する構成であってもよい。
【0070】
一例として、医療機器10が、血糖自己測定メータであり、時刻補正システム1がPCで構成される場合について説明する。血糖自己測定メータは、電池がなくなり時計がずれたこと、ユーザが操作で時計を設定した際にどれだけ量動かしたかを記憶しておく。PCは、血糖自己測定メータを接続した際に、PCの時計と血糖自己測定メータの時計がずれていることを認識する。また、PCは、血糖自己測定メータの記憶情報から、どのデータの日時がどれだけずれているかを計算する。PCは、計算したずれの分だけ日時に補正をかけて処理する。もしくは、PCは、補正をかけた日時を血糖自己測定メータに送信し、血糖自己測定メータで記録された日時を書き換えることもできる。また、血糖自己測定メータの日時を書き換える前に、PCがユーザに対して確認メッセージをディスプレイやスピーカを介して出力することができる。ユーザは、PCの入力デバイスを使って補正を許可する指示を入力することができる。PCは、ユーザからの指示入力があった場合に、血糖自己測定メータの日時を書き換えるようにしてもよい。
【0071】
一般的に、血糖自己測定メータは、その特性上、測定した日時、特に時間は非常に重要な意味を持つ。血糖自己測定メータの電池がなくなった場合、時計がリセット状態となり、その後、新しい電池を入れて運針を開始しても、時計が示す日時は誤っている。誤っていることをユーザに認識させる為に、メータで運針を行わないようにすることも考えられる。しかし、これは、日時が誤っていることの解決になはつながらない。この誤った時刻で記憶されたメータのデータをPC等で取り込むと、医療従事者に誤った日時の情報を提供してしまうことがある。また、運針していない場合にはデータを取り込めない。そのため、ユーザが日時を設定する必要が生じたり、医療従事者が過去の誤ったデータを修正したりする必要が生じる。ユーザの日時の自己設定や、過去のデータに関しては医療従事者の手間が増える。
【0072】
これに対して、血糖自己測定メータにおいて、上記第1〜第4の実施形態のいずれかを適用すれば、内蔵時計の時間が誤っている場合内蔵時計及び過去データの測定時間を補正することができる。そのため、例えば、血糖自己測定メータのように、測定する日時が重要な意味を持つ測定装置では、時計のずれに起因する測定結果の時間を補正することを可能にする上記第1〜第5の実施形態の効果が顕著に現れる。また、例えば、血糖自己測定メータのような測定装置では、測定データの補正や時間調整等の複雑な操作をユーザに要求するのが難しい。そのため、自動的に、時計のずれによる測定時間の誤りを検出し補正することができるという、上記第1〜第5の実施形態の効果が、特に顕著に現れる。なお、測定装置5は、血糖自己測定メータに限定されない。また、測定装置5は医療機器に限定されない。
【符号の説明】
【0073】
1 時刻補正システム
2 データ取得部
3 判断部
4 補正部
5 測定装置
6 測定部6
7 記録部
8 記録媒体
9 時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
値の時系列データを、各値の記録時刻を示す情報とともに取得するデータ取得部と、
前記時系列データにおいて、前記値が記録される系の時計が示す時刻が不連続に変化したことを示す不連続データが含まれているか否かを判断する判断部と、
前記不連続データより後に記録された値の記録時刻を、前記系の時計が指す時刻と、基準となる時計が指す時刻との差に基づいて補正する補正部とを備える、時刻補正システム。
【請求項2】
前記データ取得部は、測定装置の記録媒体に記録された測定値の時系列データを、各測定値の測定時刻を示す情報とともに取得し、
前記判断部は、前記時系列データにおいて、前記測定装置の時計が示す時刻が不連続に変化したことを示す不連続データが含まれているか否かを判断し、
前記補正部は、前記不連続データより後に記録された測定値の測定時刻を、前記測定装置の時計が指す時刻と、基準となる時計が指す時刻との差に基づいて補正する、請求項1に記載の時刻補正システム。
【請求項3】
前記判断部は、前記時系列データにおいて、ユーザが前記値が記録される系の時計を進めた時間及び/又は遅らせた時間を示す調整データが含まれているか否かをさらに判断し、
前記補正部は、前記時系列データにおいて前記不連続データより後に記録された前記調整データが含まれている場合、前記不連続データより後かつ前記調整データより前に記録された値の記録時刻を、前記調整データの示す時間、及び前記系の時計が指す時刻と前記基準となる時計が指す時刻との差に基づいて補正する、請求項1又は2に記載の時刻補正システム。
【請求項4】
前記補正部は、時刻の補正量が閾値より大きい場合に、前記補正を実行する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の時刻補正システム。
【請求項5】
前記測定装置は、携帯型測定器であって、
前記時刻補正システムは、前記測定装置と通信可能なコンピュータにより構成され、
前記補正部は、前記コンピュータの時計を、前記基準となる時計として、前記補正を実行する、請求項2に記載の時刻補正システム。
【請求項6】
前記測定装置は、携帯型の血糖値計である、請求項2に記載の時刻補正システム。
【請求項7】
時計と、
測定を行って測定値を生成する測定部と、
前記測定値を、測定時刻を示す情報とともに時系列データとして記録媒体へ記録する記録部とを備え、
前記記録部は、前記時計の示す時刻が不連続に変化したことを検出した場合に、前記不連続変化を示す不連続データを、前記時系列データに加えて記録する、測定装置。
【請求項8】
前記記録部は、ユーザが前記時計を進めた及び/又は遅らせたことを検出した場合、前記ユーザが前記時計を進めた時間及び/又は遅らせた時間を示す調整データを、前記時系列データに加えて記録する、請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
コンピュータが、
値の時系列データを、各値の記録時刻を示す情報とともに取得する工程と、
前記時系列データにおいて、前記値が記録される系の時計が示す時刻が不連続に変化したことを示す不連続データが含まれているか否かを判断する工程と、
前記不連続データより後に記録された値の記録時刻を、前記系の時計の時刻と基準となる時計の時刻との差に基づいて補正する工程とを含む、時刻補正方法。
【請求項10】
値の時系列データを、各値の記録時刻を示す情報とともに取得する処理と、
前記時系列データにおいて、前記値が記録される系の時計が示す時刻が不連続に変化したことを示す不連続データが含まれているか否かを判断する処理と、
前記不連続データより後に記録された値の記録時刻を、前記系の時計の時刻と基準となる時計の時刻との差に基づいて補正する処理とをコンピュータに実行させる、時刻補正プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−88425(P2013−88425A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7102(P2012−7102)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】