説明

時計用表示板

【課題】 金属感が現れて、且つ、ソーラーセルの濃紫色が見えない時計用表示板を提供する。
【解決手段】 光透過性基板1と開口部2aを設けた金属板2と透過性反射板3とで時計用表示板10を構成し、光透過性基板1または開口部2aを設けた金属板2のいずれか一方を最上位に、透過性反射板3を最下位に配設する構造にする。光透過性基板1は樹脂やガラスから形成し、模様や指標1dなどを設け、金属板2には模様やメッキなどを施して装飾性を高めると共に金属感を出させる。また、金属板2に開口部2aを設けて、この開口部2aから採光すると共に、開口部2aの形状を種々変えることによりデザインバリエーションを広げる。また、透過性反射板3を設けてソーラーセル9の濃紫色を和らげて濃紫色色調を消し去り、見えないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーセル、エレクトロルミネッセンス等を有する時計の表示板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽電池付時計の一般的な構造は、多くの発電効率を得るために、表示板の裏面に太陽電池を配置していた。表示板は太陽光を透過させるため、少なくとも半透過性であることが必要であり、材料が限定されると同時に、表示板を通して太陽電池本来の濃紫色の色調が視認され、外観品質を損なうという問題があった。
【0003】
しかし、これらの問題点に鑑み公知の太陽電池付時計に使用されている表示板の第1例として、下記の特許文献1に開示された技術の表示板を見ることができる。この特許文献1に示された表示板は、光が透過可能な樹脂基板の表面に金属薄膜を形成し、表示板の下側に配置されているソーラーセルの外部からの視認を妨げるとともに、ソーラーセルの発電を少なくとも生じせしめる光透過率を有するものとなっている。
【0004】
また、上記第1例より更に金属質感を出している表示板の第2例として、下記の特許文献2に開示された技術の表示板を見ることができる。この特許文献2に示された表示板は、樹脂などからなる光透過型表示板の上に、数字等の装飾部に孔をあけた金属板を積層し、表示板の下側に配置されているソーラーセルの外部からの視認を妨げるとともに、ソーラーセルの発電を少なくとも生じせしめる光透過率を持ち、更に、金属質感もだしているものである。
【0005】
【特許文献1】WO98/53373号公報
【特許文献2】WO95/27234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に開示されている時計用表示板は、表示板の下面に配置されているソーラーセルの視認を妨げているが、金属薄膜で表示装飾を表すものとなっているので、表示装飾に立体感が欠けたものとなり、また、金属質感にもやや欠けるものとなっていた。また、特許文献2に開示されている時計用表示板は、立体感及び金属質感を有しているが、表示板の下面に配置されているソーラーセルの視認を完全に妨げることができず、通常の金属文字板より外観品質が劣っていた。更に、上記2例の表示板は、共に上記に述べた問題点からデザインバリエーションの拡大を図ることができなかった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決し、表示板の下面に配置されているソーラーセルの視認を妨げると共に、光の一部を効率良くソーラーセルに導き入れ、更に、立体感と金属質感を持たせ、模様、色等を自由に組合わせることによりデザインバリエーションの拡大が図れる時計用表示板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の請求項1に記載の時計用表示板は、時計用の表示板であって、該表示板は、光透過性基板と、開口部(透光性)を有する金属板と、透過性反射板とから構成され、前記光透過性基板と前記金属板のどちらか一方が最上位に位置し、透過性反射板が最下位に位置していることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の時計用表示板は、前記光透過性基板は、樹脂、ガラス、サファイヤガラス、セラミックの中の少なくとも一つからなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の時計用表示板は、前記光透過性基板には、模様、数字、文字、マークの中の少なくとも一つが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の時計用表示板は、前記光透過性基板は、カラー化されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載の時計用表示板は、前記金属板は、表面に模様、数字、文字、マークの中の少なくとも一つが設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項6に記載の時計用表示板は、前記金属板は、表面に設けた模様、数字、文字、マークの中の少なくとも一つが開口部からできていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載の時計用表示板は、前記金属板は、湿式メッキ被膜、乾式メッキ被膜、印刷被膜、塗装被膜の中の少なくとも一つが施されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項8に記載の時計用表示板は、前記透過性反射板は、入射光の一部を透過し、残りの光を反射することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項9に記載の時計用表示板は、前記表示板が、前記光透過性基板、前記金属板、前記透過性反射板の順で積層され、前記光透過性基板の下面、もしくは前記金属板の上面に拡散層が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項10に記載の時計用表示板は、前記表示板が、前記金属板、前記光透過性基板、前記透過性反射板の順で積層され、前記光透過性基板の上面または下面、もしくは前記透過性反射板の上面に拡散層が設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項11に記載の時計用表示板は、前記金属板は、金属板の表面または裏面の少なくとも一面に拡散層が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項12に記載の時計用表示板は、前記透過性反射板は、透過性反射板の裏面に拡散層が設けられていることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項13に記載の時計用表示板は、前記表示板の総厚は、200μm〜1100μmで、それぞれの厚さが、光透過性基板が100μm〜400μm、金属板が50μm〜400μm、透過性反射板が50μm〜300μmであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
発明の効果として、本発明の時計用表示板は光透過性基板と、開口部(透光性)を有する金属板と、透過性反射板とを積層した3層構造を取る。そして、金属板の開口部からソーラーセルの発電に必要とする光量を採光する。従って、発電に必要とする採光量の下でソーラーセルに発電を起こさせる。また、最下層に請求項8に記載の如くの透過性反射板を備えていることからソーラーセルからの反射光も少なくなり金属板のさほど大きくない開口部からはソーラーセルの濃紫色色調は殆ど視認することができない。また、金属板は目付などの模様付けができ、十分金属感を出現させることができる。更に、金属板上に請求項2に記載の如くの光透過性基板が備えられていることから、金属板の表面に請求項5に記載の如くの装飾が施されていると、その装飾に沈み感を持った重厚さが現れて高級感が現れる。また、請求項6に記載の如く、開口部を模様や数字、文字、マークなどの指標の少なくとも一つから形成すると開口部自体が装飾模様などを成して開口部の存在を目立たなくし、装飾性を高める。また、開口部を色々な形状を取ることでデザインバリエーションが広がる。
【0022】
また、請求項3に記載の如く光透過性基板に模様、数字、文字、マークを設けたり、請求項4に記載の如く透過性基板にカラー着色を施したりすることによって、装飾性と機能性を高めた表示装飾が得られる。また、カラー着色はソーラーセルの濃紫色を尚一層見えなくさせる働きもなす。また、請求項5に記載の如く、金属板の表面に模様、数字、文字、マークなどを形成し、そして、請求項6に記載の如く、それらの少なくとも一つを開口部にし、更に、請求項8に記載の如く、金属板に湿式メッキ被膜、乾式メッキ被膜、印刷被膜などを設けたりすることによって表示板の装飾性が非常に高められる。そして、これらの組み合わせなどによりデザインバリエーションが幅広く拡大することができる。
【0023】
また、請求項9、11に記載の発明の下では、金属板の上面側に拡散層が設けられる。従って、金属板から反射する光は拡散層によって拡散され、光沢性は消し去られて艶消し状態の金属色が得られる。そして、艶消しの表示板には落着感が現れる。また、ソーラーセルの反射光で開口部から出射する光に拡散が起き、ソーラーセルの濃紫色及び十字線の色調を和らげる働きが生まれ、濃紫色及び十字線を目立たなくさせる。
【0024】
また、請求項10、11、12に記載の発明の下では、金属板の下面側に拡散層が設けられる。従って、ソーラーセルの反射光で開口部から出射する光に拡散が起き、ソーラーセルの濃紫色及び十字線の色調を和らげる働きが生まれ、濃紫色及び十字線を目立たなくさせる。また同時に、拡散層によって拡散された光の一部が再びソーラーセルに広い範囲で入射する。これにより、ソーラーセルへの入射光量が増え、効率的に発電量を増やす効果を生む。
【0025】
また、請求項13に記載の如く、表示板の総厚を200μm〜1100μmの間で作ることにより、一般の時計すべてに使用することが可能となる。また、その中にあって、光透過性基板が100μm〜400μm、金属板が50μm〜400μm、光透過性基板が50μm〜300μm厚とすることによってそれぞれの製造も容易で、且つ、安価に製造できる効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の時計用表示板を実施するための最良の形態を図1を用いて説明する。尚、図1は本発明の実施形態に係る時計用表示板の平面図と断面図を示すもので、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)における要部断面図を示している。本発明の実施形態に係る時計用表示板10は、ソーラーセル付時計に用いられる表示板で、図1に示すように、光透過性基板1と、開口部2aを有する金属板2と、透過性反射板3とで構成されていて、これらの3つの構成部品が接着剤を介して一体になった構造を取っているもの、また、接着剤を使わずに、ソーラーセル9やムーブメントを位置決め固定する支持枠や中枠に、この3つの構成部品を重ねて位置決め固定した構造のものもある。また、表示板10はその中心に指針取付け用の小穴10cを持っている。そして、ソーラーセル9の上面側に配設して用いられる。図1においては、ソーラーセル9と表示板10とに僅かな隙間を持たせて描いてあるが、隙間なく重ねて配置しても全く支障はない。
【0027】
光透過性基板1は透明な樹脂やガラス、サファイヤガラス、セラミックなどから形成され、その上面は平滑面になっており、所定の位置に時字を示す指標1dが設けられている。この指標1dは金属指標の貼付け方法や樹脂インクを用いての印刷方法などで形成する。本実施形態では、指標1dを棒状のマーク形状で示したが、ローマ数字やアラビア数字などで形成しても良い。また、この光透過性基板1には、時字を示すマーク以外の、例えば、ブランド名のマークであるとか、ロゴマークであるとかのマークなども設けることができる。また、装飾性を豊かにするために模様などを印刷して設けても良く、基板自体をカラー着色しても良い。模様やカラー着色などを施すと、装飾性が豊かになると同時に、それらの色調によってソーラーセル9の濃紫色が和らげられる効果も生まれる。この光透過性基板1を樹脂で形成する場合は、密着性や表面処理性、耐熱性、耐湿性などに優れた材料を用いるのが望ましく、これらの材料としてはポリカーボネイト樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂などをあげることができる。また、光透過性基板1をガラスで形成する場合は、ソーダガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルカリガラス、普通板ガラス、サファイヤガラスなどを用いることができる。また、光透過性基板1をセラミックで形成する場合は、純度の高いアルミナ(Al2O3)などによるセラミック基板を用いることができる。そして、この光透過性基板1の厚みは100〜400μmの厚みのものを使用する。
【0028】
開口部2aを有する金属板2は、黄銅板やリン青銅板、ステンレス板、洋白板などの金属板に開口部2aを設けたものからなる。開口部2aは光を透過する部分で、本実施形態では放射目模様状に長穴形状で形成しているが、この形状には限るものではなく、ストライプ模様状や格子模様状などの他の模様状に形成しても良い。また、数字や文字、或いはマークなどの形状を用いて開口部を設けても良く、また、これらの形状を組み合わせて開口部を設けても良い。この開口部2aは、ソーラーセル9への採光目的で設けるもので、表示板を3時−9時ラインと6時−12時ラインとで4分割したときに、各分割領域での開口部の面積が同じ位になるよう設けるとソーラーセルの発電効率を高める効果を得る。この開口部2aの総面積は光の透過率を規制するものなので、ある一定の面積が必要とされる。近年のソーラーセルは光電変換効率も向上しており、透過率が15%位で十分満足する発電量が得られるのが現れてきている。従って、光透過率が少なくとも15%得られるように開口部の面積を設定する必要がある。この開口部2aはプレス抜き方法やエッチング方法などで形成する。この金属板2は50〜400μmの厚みのものを使用するが、厚みが薄い場合や開口部の形状が複雑な場合はエッチング方法で形成する。例えば、黄銅板を使用した場合は、開口部2a以外の部分にマスキングを施し、塩化第二鉄水溶液(40°〜60°Cに加温)を用いてエッチングを行い、開口部を形成する。金属板2の厚みが厚い場合はプレス抜きが有効である。
【0029】
また、金属板2は、表示板としての装飾的役割を持つものでもあるので、その上面2bに微小な凹凸を持った旭光模様やストライプ状の筋目模様、梨地模様などを設けている。そして更に、その上にニッケル、アルミニウム、クロム、銀、パラジウム、ロジウム、金などの金属メッキを施している。金属板2に模様やメッキなどを施すことにより装飾性に豊んで貴金属感が現れた高級感のする表示板が得られる。また、この表示板2には、数字や文字、マークなどによる指標を設けて表示板の機能的表示をさせることもできる。
【0030】
透過性反射板3は光透過性と反射性の両方の機能を持ったもので、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムやポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂フィルムに真空蒸着方法、スパッタリング方法、イオンプレーティング方法などによる乾式メッキ方法で金属薄膜を形成して透過性と反射性の両方の機能を持たせたフィルム板や反射型偏光板などを透過性反射板として用いることができる。乾式メッキ方法で金属薄膜を形成した透過性反射板は金属膜の膜厚を変えることにより自由に光透過率を設定することができる。この透過性反射板3はソーラーセル9の濃紫色を強く見えなくするために設けるもので、ソーラーセル9からの反射光で表示面側へ透過して出射する光を減らすと共に、透過性反射板3の持っている色調で濃紫色を和らげるために設けるものである。透過性反射板3の色調は金属板2の色調と同系色の色調を選択するのが好ましい。同系色であると開口部2aの存在を目立たなくなり、違和感を感じさせないようになる。金属板2の開口部2aから入射した光はこの透過性反射板3を透過してソーラーセルに入射する。しかしながら反面、この透過性反射板3によって反射される光も現れるのでその透過率は減少する。従って、この透過性反射板3の透過率も考慮した中で金属板2の開口部2aの大きさ、面積を設定するようにする。この透過性反射板3の厚みは50〜300μmの厚みのものを使用する。
【0031】
本発明の実施形態に係る時計用表示板10は、指標1dを設けた透明な光透過性基板1の下面に開口部2aを有し模様やメッキなどを施した金属板2を設け、更に、金属板2の下面に透過性反射板3を積層した構成を取っている。模様やメッキなどを施した金属板2によって装飾性に富んだ金属感の現れた表示板が得られる。また、金属板2上に透明な光透過性基板1を設けてあることから金属板2の模様などに沈み感を伴っての重厚さが現れ、高級感をもたらしめる。また、光透過性基板1に設けた指標1aに立体感を感じさせる。また、透過性反射板3を金属板2と同系色で形成していることから金属板2に設けた開口部2aの存在が目立たなくなる。また、ソーラーセル9の濃紫色は透過性反射板3の作用を受けて殆ど視認されない状態になる。そして、金属板2の開口部2aから採光した光でソーラーセルに満足した発電量を起こさせる。
【0032】
ここで、本発明の時計用表示板10を構成するところの光透過性基板1は100〜400μmの範囲の厚みを設定し、金属板2は50〜400μmの範囲の厚みに設定し、透過性反射板3は50〜300μmの範囲の厚みに設定している。そして、表示板10の厚みを200〜1100μmの範囲の厚みに設定している。表示板10が200μmより薄くなると可撓性が現れると共に、腰が弱くなって折れ曲がりであるとか、破損などが生じ易くなり機能上の問題が発生し易くなる。また、厚みの1100μmは一般の全ての携帯時計に組み込みができる最大の値で、これ以上大きくなると組み込みのできない時計が現れる。ここで、光透過性基板1の100〜400μmの範囲の厚み、金属板2の50〜400μmの範囲の厚み、透過性反射板3の50〜300μmの範囲の厚みは、表示板10の200〜1100μmの範囲の厚みを考慮するものではあるが、更に、取扱容易性、加工性、加工による変形性などを考慮して設定している。例えば、光透過性基板1について云えば、100μmより薄くなると樹脂フィルムに弾力性がなくなり、容易な取扱いが出来なくなること、印刷作業や切断作業が難しくなること、金属板2に形成した模様などが沈んで見える具合性や光透過性基板1の上面に設けた指標などの立体感的視認性などが悪くなること、などの問題が現れる。また、400μmより厚くなると光透過性基板1の上面に設けた指標と金属板2とに間隔が大きくなり視差などが現れて外観的品質を悪くすると云う問題も生じる。また、金属板2について云えば、50μmより薄くなると剛性がなくなり加工取扱が悪くなると共に、プレスなどの加工性も悪くなること、加工変形が現れること、などの問題が現れる。また、透過性反射板3について云えば、50μmより薄くなると弾力性がなくなって容易な取扱いが出来なくなることや乾式メッキ作業や切断作業が難しくなることなどの問題が生まれる。また、厚くなると透過性を下げる要因になり好ましくない。
【実施例1】
【0033】
最初に、本発明の実施例1に係る時計用表示板について図2、図3を用いて説明する。図2は本発明の実施例1に係る時計用表示板の平面図と断面図を示しており、図2の(a)は平面図、図2の(b)は要部断面図を示している。また、図3は図2の(b)における透過性反射板の斜視図を示している。
【0034】
本発明の実施例1に係る時計用表示板20は、図2に示すように、透明な光透過性基板11と開口部12aを設けた金属板12と透過性反射板13とを積層して接着剤を介して貼合わせた構造を取っている。尚、図示はしていないが表示板20の下面側にはソーラーセルが配設されている。ここでの光透過性基板11は、250μm厚みの透明なポリカーボネイト樹脂の板から形成しており、平滑な上面の外周周縁に沿って切分目盛り11eを棒マーク形状に設けている。この切分目盛り11eは光透過性基板11の上面に黒色インクを用いてパッド印刷方法などで形成している。
【0035】
金属板12は100μm厚みの黄銅板または洋白板、リン青銅板を用い、エッチング方法で外周部にI、II、III、・・・からなるローマ数字での時字を示す開口部12aを設けている。また、上面12bには微小な凹凸での旭光目付を施して旭光模様を形成し、下面12cには微小な凹凸での梨地を全面に施して梨地模様を形成している。そして更に、全面に電解メッキによる銀メッキを施し、更にその上をクリヤー塗膜で覆っている。金属板12の上面12bに形成した旭光模様は装飾性を高めるために設けている。また、下面12cに形成した梨地は光拡散目的で設けるもので、この梨地の面をもって拡散層を成している。この梨地の表面には電解メッキによるニッケルメッキを施し、金属板12の防錆や光拡散性の向上を図っている。銀メッキはシルバー色の貴金属感を出すために設けており、クリヤー塗膜は防錆及び変色防止目的である。開口部12aの大きさ及び面積はソーラーセルの発電に満足する透過光量が得られる大きさになっている。
【0036】
金属板12に設ける開口部12aは、板厚が薄いことからエッチング方法で形成する。開口部12a以外の部分にレジスト膜を形成し、レジスト膜の付いていない開口部の部分を塩化第二鉄のエッチング液(40〜60°Cに加温して)でエッチングして形成する。エッチング後にレジスト膜を剥離すると開口部12aが形成された金属板12が得られる。尚、塩化第二鉄のエッチング液に塩酸を少量加えるとエッチング速度を速めることができる。
【0037】
金属板12の上面12bに形成する旭光目付は、ワイヤー回転ブラシを用い、目付装置を用いて金属板12を回転させながら回転ブラシを当てると旭光目付が施される。また、金属板12の下面に形成する梨地模様はサンドブラスト法やホーニング法などで形成する。サンドブラスト法はサンドブラスト装置を用いて砂を高圧力の下で吹き付けて形成する。また、ホーニング法はホーニング装置を用いてガラスビーズ等を高圧力(2気圧〜4気圧)の下で吹き付けて形成する。砂やガラスビーズを高圧力下で金属板に吹き付けると金属板が叩かれ、金属板に微小な凹凸が発生して梨地模様が形成される。凹凸の粗さは砂やガラスビーズの粒子の大きさなどによって決まる。
【0038】
透過性反射板13は130μm厚みの反射型偏光板を用いている。反射型偏光板は、図3に示すように、反射軸Nと透過容易軸Mを有していて、反射軸Nと平行な振動面を持つ直線偏光成分は反射し、透過容易軸Mと平行な振動面を持つ直線偏光成分は透過する特性を持っている。また、約50%の光を透過し、約50%の光を反射する特性を持っている。本実施例1では、住友3M社製の商品名DBEFを用い、光沢のある銀色(シルバー色)を呈する強い反射光を得ている。この反射型偏光板には銀色の他に金色を呈する反射光が得られるものもある。
【0039】
以上の構成を取った表示板20は、旭光模様を持ち、銀色を呈して装飾性の富んだ貴金属感の現れた表示板が得られる。また、金属板12に設けた時字からなる開口部12aは、銀色の反射光が得られる透過性反射板13の作用を受けて殆ど目立たず、違和感が感じられないものとなっている。また、金属板12に設けた旭光模様は、250μmと厚みのある光透過性基板11の底部に視認されることから、視認される旭光模様は深みのある重厚さを感じさせる模様として感じられてくる。また、光透過性基板11に設けた切分目盛り11eは金属板12とに250μmの段差があるために立体感を感じさせる如くに見えてくる。また、金属板12の下面に微小な凹凸からなる梨地の拡散層を設けていることにより、ソーラーセルからの反射光がこの拡散層で再び反射・拡散されてソーラーセルに入射する。光の利用効率が上がり効果的に発電に寄与する。また、ソーラーセルの濃紫色は銀色の反射光が得られる透過性反射板13の影響を受けて濃紫色色調は和らぎ、殆ど濃紫色色調は見えてこなくなる。また、表示板20の総厚も略500μm位の厚みとなっており、時計組み込み上何ら支障を及ぼさない。
【0040】
本実施例1においては、光透過性基板11はポリカーボネイト樹脂の材料を用いて形成したが、ポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂などの材料を用いて形成しても良いものである。また、切分目盛りなる指標11aを光透過性基板11の上面側に設けたが、下面側に設けることも可能である。その場合は、指標と金属板12に形成した旭光模様とは平面的な配置になる。
【0041】
また、本実施例1においては、金属板12の下面12cに微小な凹凸の梨地からなる拡散層を設けた構成を取っているが、梨地以外の方法として、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に酸化シリコン粉末などの拡散粒子を分散させた塗膜などを拡散層として用いても同じ効果が現れる。
【0042】
また、本実施例1においては、透過性反射板13に反射型偏光板を用いたが、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂フィルムに真空蒸着法などで銀金属の金属薄膜を形成して、透過性と反射性の両方の機能を持たせたものでも透過性反射板として用いることができる。この場合、80Å〜100Åの範囲の厚みに形成すれば光沢は得られないもののシルバー色に色付いた金属色が得られ、また、光透過率も50〜60%の透過率が得られる。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の実施例2に係る時計用表示板について図4を用いて説明する。図4は本発明の実施例2に係る時計用表示板の平面図と断面図を示しており、図4の(a)は平面図、図4の(b)は要部断面図を示している。
【0044】
本発明の実施例2に係る時計用表示板30は、図4に示すように、開口部22aを設けた金属板22と透明な光透過性基板21と透過性反射板23とを積層して、この3つの構成部品をそれぞれ接着剤を介して貼合わせた構造を取っている。尚、図示はしていないが表示板30の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0045】
金属板22は150μm厚みの黄銅板や洋白板、リン青銅板を用いて形成し、中心穴周りの領域にほぼ等間隔に複数の円形状の開口部22aを設けている。この開口部22aの総面積はソーラーセルの発電に支障のない光透過率が得られるような面積に設定している。開口部22aはプレス抜き加工によって形成する。また、この金属板22はその上面22bに縦のペーパー目付を施してあり、更に、その表面に電解メッキによる金メッキ被膜を設けていて、更にその上にクリヤー塗膜を設けている。このクリヤー塗膜は少し厚めに形成して上面を研磨して光沢のある平滑面に仕上げている。これにより、金属板22は装飾に富んで貴金属感のする金属板に仕上がっている。また、この金属板22は外周縁部近くに時字を示す金属からなる指標22dを接着剤を介して設けており、更に、黒色の切分目盛り22eを一周に渡って設けている。ここでの指標22dは電鋳メッキ方法で20〜40μmの厚みに形成したもので、表面には銀やパラジウム、ロジウムなどの金属による金属メッキを施したものになっている。アクリル樹脂接着剤やエポキシ樹脂接着剤、或いは、粘着剤でもって金属板に貼付けている。切分目盛り22eは黒色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で5〜10μmの厚みに形成している。
【0046】
光透過性基板21は、250μm厚みの透明なポリカーボネイト樹脂の板から形成しており、上面には装飾膜21bを設けている。この装飾膜21bは、金属板22と同系色を取る薄い金色色調を示す塗膜から形成して、金属板22の開口部22aを目立たなくさせるために設けている。また、同時に、全体的に金色色調が得られるように装飾性を高める目的で設けている。この装飾膜21bは透過性を必要とすることから、金または銅、銅合金の金属粉末を透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に僅かの量(0.2〜1.0重量%)を混ぜ合わせて形成したインクを用いて、スクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で薄い厚み(5〜10μm)でもって形成している。光透過率として約70%に近いものが得られ、そして、薄い金色を呈している。
【0047】
透過性反射板23は、実施例1と同様に、130μm厚みの反射型偏光板を用いているが、本実施例2においては、金色を呈する反射光が得られる反射型偏光板を用いている。
【0048】
以上のような構成を取った表示板30は、金色を呈してペーパ目付の装飾が視認され、更に、指標22dが白色系の金属色を呈することから、表示板30の金色なる地色とのコントラストが高まって指標22dが鮮明に視認されると共に、全体的に貴金属感が現れて高級感の現れた表示板となる。また、金属板22の開口部22aは、光透過性基板21の薄い金色を呈する装飾膜21bと金色の反射光が得られる透過性反射板23との影響を受けて余り目立たない状態になって、外観的な違和感は殆ど感じられなくなる。また、ソーラーセルの濃紫色も透過性反射板23と装飾膜21bの影響を受けて殆ど視認されない。また、金属板22は150μmの厚みのものを使用することで、開口部22aをプレス加工で形成することができ、製造コストも安くすることができる。また、表示板30の総厚は約570〜580μmの厚みになっており、時計組み込み上何ら支障を及ぼさない。
【0049】
本実施例2においては、光透過性基板21はポリカーボネイト樹脂の材料を用いて形成したが、ポリカーボネイト樹脂に限るものではなく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂などの材料を用いて形成しても良く、また、透明なガラスやサファイヤガラスなどを用いて形成しても良いものである。
【0050】
また、本実施例2においては、光透過性基板21の上面に設けた装飾膜21bは金または銅、銅合金などの金属粉末を用いたインクで形成したが、これは金色と同系色の色であれば良いので、顔料などを混ぜ合わせて金色系の色調が現れるインクであれば金属粉末を用いたインクに代えることも可能である。また、金や銅、銅合金の金属を用いて真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式メッキ方法で透過性のある金金属薄膜を形成して装飾膜としても何ら支障はない。
【0051】
また、本実施例2においては、透過性反射板23に反射型偏光板を用いたが、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂フィルムに、金金属を用いて真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式メッキ方法で金属薄膜を形成して、透過性と反射性の両方の機能を持たせたものでも透過性反射板として用いることができる。
【実施例3】
【0052】
次に、本発明の実施例3に係る時計用表示板について図5を用いて説明する。図5は本発明の実施例3に係る時計用表示板の平面図と断面図を示しており、図5の(a)は平面図、図5の(b)は要部断面図を示している。
【0053】
本発明の実施例3に係る時計用表示板40は、図5に示すように、薄く白色を呈する光透過性基板31と開口部32aを設けた金属板32と下面側に拡散層33cを設けた透過性反射板33とを積層して、この3つの構成部品をそれぞれ接着剤を介して貼合わせた構造を取っている。尚、図示はしていないが表示板40の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0054】
光透過性基板31は、250μm厚みの透明なポリカーボネイト樹脂に白色顔料を分散させた樹脂の板から形成しており、上下面は微小な凹凸のある凹凸模様(梨地模様)が形成されている。この凹凸模様は光散乱層の働きをなしている。また、外周周縁には、金属からなり時字を示す指標31dが接着剤を介して貼り付けてあり、更に、金色色調を持った切分目盛り31eを印刷方法で形成してある。透明なポリカーボネイト樹脂に白色顔料を1〜3重量%配合してペレット化し、射出成形機を用いて射出成形方法で形成する。このとき同時に、上下面の凹凸模様は成形金型から転写して形成する。このようにして形成した光透過性基板31は約70%程度の透過率が得られ、薄い白色色調を持って視認される。金属からなる指標31dはフォトレジスト、フォトエッチング方法と電鋳メッキ方法で20〜40μmの厚みに形成している。表面は金メッキを施してあり、光沢の現れた金色を呈している。切分目盛り31eは、指標31dと同一系色にするために、金または銅、銅合金の金属粉末を透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に混ぜ合わせて形成したインクを用いて、スクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成している。このような構成を取った光透過性基板31は薄い白色色調を持って高い透過率を有する。
【0055】
金属板32は100μm厚みの黄銅板またはリン青銅板を用い、エッチング方法で中心穴周りの領域に複数の正方形形状からなる開口部32aを格子状に設けている。また、この金属板32の上面32bは、微小な凹凸を放射状に形成しての旭光模様を設けており、更にその上に、薄いブルー色を持つ塗膜を設けてある。開口部32aは、板厚が薄いことからエッチング方法で形成する。開口部32a以外の部分にレジスト膜を形成し、レジスト膜の付いていない開口部の部分を塩化第二鉄のエッチング液(40〜60°Cに加温して)でエッチングして形成する。エッチング後にレジスト膜を剥離すると開口部32aが形成された金属板32が得られる。開口部32aの総面積はソーラーセルの発電に支障のない光透過率が得られるような面積に設定している。また、上面32bに設ける旭光模様は、ワイヤー回転ブラシを用い、目付装置を用いて金属板32を回転させながら回転ブラシを当てると旭光目付が施され、旭光模様ができあがる。薄いブルー色の塗膜は、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂にブルー顔料を僅かの量混ぜ合わせて形成したインク、或いは、塗料を用いて、印刷方法や吹付け塗装方法などで形成する。
【0056】
透過性反射板33は反射型偏光板に拡散層33cを設けたものからなっている。反射型偏光板は前述の実施例1で用いたものと同じ仕様のもの、即ち、反射光が銀色を呈する反射型偏光板を用いている。この反射型偏光板の下面に拡散層33cを形成して透過性反射板33としている。拡散層33cは、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に酸化シリコン粉末などの拡散粒子を混ぜ合わせてインク化し、スクリーン印刷やパッド印刷などの印刷方法で印刷して形成する。この拡散層33cはソーラーセルからの反射光を拡散して、再びソーラーセルに向かって反射させるために設けている。尚、本実施例3では拡散粒子として酸化シリコン粉末を用いたが、それに限るものではなく、酸化チタン粉末、酸化亜鉛粉末などの反射粒子を用いても拡散と反射が起きるので同じ効果を得ることができる。
【0057】
以上の構成を取った表示板40は、光透過性基板31の薄い白色色調、及び、凹凸模様からなる散乱層と金属板32の薄いブルー色塗膜の影響を受けて非常に淡い水色のような色調が現れてくる。そして、その色調の中で旭光模様が比較的はっきりと視認されてくる。また、格子状に形成した開口部32aの部分は、ソーラーセルの濃紫色は透過性反射板33の反射する銀色によって和らげられ、更に、光透過性基板31の薄い白色と凹凸模様なる拡散層によって、ソーラーセルの濃紫色は殆ど消し去られてしまうと共に、白色気味の色調を持った格子模様として視認されてくる。このように、旭光模様と格子模様などが視認されるようになり、装飾性の富んだ表示板を得ることができる。そして、デザインバリエーションも広げられる。
【実施例4】
【0058】
次に、本発明の実施例4に係る時計用表示板について図6を用いて説明する。図6は本発明の実施例4に係る時計用表示板の平面図と断面図を示しており、図6の(a)は平面図、図6の(b)は要部断面図を示している。
【0059】
本発明の実施例4に係る時計用表示板50は、図6に示すように、開口部42aを設けた金属板42と下面に薄い白色の塗膜を持った光透過性基板31と透過性反射板33とを積層して、この3つの構成部品をそれぞれ接着剤を介して貼合わせた構造を取っている。尚、図示はしていないが表示板50の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0060】
金属板42は100μm厚みの黄銅板や、洋白板、リン青銅板を用いて形成し、中心穴周りの領域にほぼ等間隔に複数の正方形形状からなる開口部42aを格子模様状に設けている。この開口部42aの総面積はソーラーセルの発電に支障のない光透過率が得られるような面積に設定している。開口部42aはエッチング方法によって形成する。これは、開口部42a以外の部分にレジスト膜を形成し、レジスト膜の付いていない開口部の部分を塩化第二鉄のエッチング液(40〜60°Cに加温して)でエッチングし、その後にレジスト膜を剥離すると開口部42aが形成された金属板が得られる。この金属板42の上面は、微小な凹凸を放射状に形成しての旭光模様を設けており、更にその上に、電解メッキによる金メッキを施している。そして、その表面全面に渡ってクリヤー塗膜を設けている。旭光模様は、ワイヤー回転ブラシを用い、目付装置を用いて金属板を回転させながら回転ブラシを当てると旭光目付が施される。また、金属板42には、外周縁部近くに時字を示す1、2、3、・・・のアラビア数字からなる金属の指標42dを接着剤を介して設けており、更に、黒色の切分目盛り42eを一周に渡って設けている。金属の指標42dは電鋳メッキ方法で20〜40μmの厚みに形成したもので、表面には電解メッキ法で金メッキを施したものになっている。切分目盛り42eは黒色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で5〜10μmの厚みに形成している。
【0061】
光透過性基板41は、200μm厚みの透明なホウケイ酸ガラス板から形成しており、その下面に薄い白色の塗膜41cを形成したものからなっている。白色の塗膜41cは、透明なアクリル樹脂やウレタン樹脂などに白色顔料を略5〜7重量%配合して塗料化、またはインク化し、吹付け塗装方法や印刷方法などで5〜10μm位の厚みに形成する。このようにして形成した塗膜41cは70〜80%近くの透過率が得られると共に、薄い白色の色調を呈するようになる。この白色の塗膜41cは、ソーラーセルの濃紫色を和らげると共に、開口部42aの模様付けを違和感なく視認できるようにするために設けるものである。
【0062】
透過性反射板43は、前述の実施例1で用いた反射型偏光板と同じ仕様のもの、即ち、銀色を呈する反射光が得られる反射型偏光板を用いている。
【0063】
以上のような構成を取った表示板50は、金色を呈して旭光目付模様のある中に白色気味の格子模様が現れて装飾性が高められると共に貴金属感が現れた表示板になる。そして、新たに一つのデザインバリエーションを得る。ソーラーセルの濃紫色は透過性反射板43や白色塗膜41cの作用を受けて殆ど消し去られて視認することができない。また、表示板50の総厚は450〜500μmの厚みになり、時計組み込み上何ら支障を及ぼさない。
【実施例5】
【0064】
次に、本発明の実施例5に係る時計用表示板について図7、図8、図9を用いて説明する。図7は本発明の実施例5に係る時計用表示板の平面図と断面図を示しており、図7の(a)は平面図、図7の(b)は要部断面図を示している。また、図8は図7における表示板を中枠に取付けたときの平面図と断面図を示しており、図8の(a)は平面図、図8の(b)は要部断面図を示している。また、図9は図8における表示板と中枠を時計内に組込んだときの要部断面図を示している。
【0065】
最初に、本発明の実施例5に係る時計用表示板60について図7を用いて説明する。図7に示すように、本発明の実施例5に係る時計用表示板60は透明な光透過性基板51と開口部52aを設けた金属板52と透過性反射板53とから構成される。図7の(b)において、これら3つの構成部品、即ち、光透過性基板51、金属板52、透過性反射板53とを積み重ねて一体的に描いてあるが、それぞれ単独で作られ、後述する組込み時に重ね合わせて用いられる。ここでの説明は、重ね合わせられたときにおける作用、効果などについて説明する。尚、図示はしていないが表示板60の下面側にはソーラーセルが配設される。
【0066】
光透過性基板51は、200μm厚みの透明なポリカーボネイト樹脂の板から形成しており、平滑面に仕上げられた上面の外周周縁には、金属からなり時字を示す指標51dが接着剤を介して貼り付けてあり、更に、金色色調を持った切分目盛り51eを印刷方法で形成してある。また、外周縁の左右2カ所に外側に向かって突出したフック51gを持っており、そのフック51gのほぼ中央に切欠け51hを持っている。このような構成を取る光透過性基板51はポリカーボネイト樹脂を用いて射出成形によって形成する。金属からなる指標51dはフォトレジスト、フォトエッチング方法と電鋳メッキ方法で20〜40μmの厚みに形成している。表面は金メッキを施してあり、光沢の現れた金色を呈している。切分目盛り51eは、指標51dと同一系色にするために、金または銅、銅合金の金属粉末を透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に混ぜ合わせて形成したインクを用いて、スクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で形成している。
【0067】
金属板52は300μm厚みの黄銅板またはリン青銅板を用いて形成している。中心穴の近い領域にサークル状に同心円からなる複数の凹溝52fを設けており、この複数の凹溝52fの内側と外側に、同じ同心円形状で複数の開口部52aを設けている。図7において、同心円なる凹溝52fが複数設けていて、その内側と外側に同じ同心円形状で一周8個の開口部52aを設けている。従って、複数の凹溝52fによるサークル模様と複数の開口部52aでもって形成される模様との2つの模様が形成されていることになる。この開口部52aの総面積はソーラーセルの発電に支障のない光透過率が得られるような面積に設定している。また、この金属板52の上面は微小な凹凸のある梨地を施して梨地模様を設けている。そして更に、表面に電解メッキ方法でニッケルメッキと銀メッキを施して、表面を銀色に仕上げている。尚、この金属板52も、光透過性基板51と同様に、外周縁の左右2カ所に外側に向かって突出したフックと、そのフックのほぼ中央に切欠けを、光透過性基板51のものと同一形状・同一大きさでもって設けている。この金属板52は、板材をコイニング金型を用いてコイニング方法で複数のサークル状の凹溝52fを形成する。凹溝52fの深さは50〜100μmの範囲で形成する。その後、抜型を用いて外形抜き、開口部52a抜きを行って外形の形状や開口部52aを形成する。
【0068】
透過性反射板53は、実施例1と同様に、130μm厚みの反射型偏光板を用いている。そして、その反射光は銀色を呈する。また、この透過性反射板53は、光透過性基板51と同様に、外周縁の左右2カ所に外側に向かって突出したフックと、そのフックのほぼ中央に切欠けを、光透過性基板51のものと同一形状・同一大きさでもって設けている。これは、金型を用いてプレス抜き方法で形成する。
【0069】
以上の構成を取った光透過性基板51、反射板52、透過性反射板53を重ね合わせて構成した表示板60は、金属板52に設けた梨地模様と、凹溝52fからなるサークル模様と、開口部52aからの反射光によって視認されてくる模様との3つの模様が現れる。また、表示板60としての色調は銀メッキと梨地面によって落ち着きのある銀色調が視認され、金色調の指標51dと切分目盛り51eとが鮮明に視認されるようになる。そして、透明な光透過性基板51の作用を受けて、反射板52に設けた模様に沈みが現れて重厚さを感じさせるようになり、装飾性の豊かさと、貴金属感と、重厚さも伴って高級感を感じさせる表示板となる。また、ソーラーセルの濃紫色は透過性反射板53からの銀色を呈する反射光の作用を受けて消し去られ、濃紫色は視認されない。また、表示板60に3つの模様が現れてくることによって新たなデザインバリエーションが得られる。また、表示板60の総厚は630μmの厚みとなり、時計組み込み上何ら支障を及ぼさない。
【0070】
次に、上記の構成を取った光透過性基板51、反射板52、透過性反射板53の時計への組付け方を図8、図9に基づいて説明する。図8に示すように、中枠63の左右両側に設けた2カ所の切欠部63aと突出ピン63bに、透過性反射板53の2カ所のフックと切欠けを合わせて挿嵌する。同様に、反射板52、光透過性基板51を順次重ね合わせながら挿嵌することによって、中枠63にそれぞれ位置決めされて固定される。中枠63はプラスチック材よりなって弾力性を持っている。これによって、中枠63に光透過性基板51、反射板52、透過性反射板53が重なり合って固定される。尚、中枠63への組付けは、ムーブメント62とソーラーセル69を中枠63に組付けた後に行う。
【0071】
時計への組付けは、図9に示すように、中枠63にムーブメント62、ソーラーセル69、透過性反射板53、金属板52、光透過性基板51を組付けた後に、長針や短針などの指針65をムーブメント62の中心から突出した指針軸62aに挿嵌して組付ける。次に、防水パッキン67を介して風防ガラス66を固定した時計ケース61の内部に中枠63を挿嵌する。そして、最後に裏蓋64を時計ケース61に組付ける。このとき、裏蓋64を組付けたときに裏蓋64の裏面に設けてある凸部が中枠63を押し上げ、それによって、ムーブメント62、重ね合わせられた表示板60が上方に押し上げられ、表示板60が時計ケース61の内周側に突出して見返し面を成す突出部61aの下面に当接して表示板60が時計ケース61内で固定され、併せてムーブメント62も固定されるようになっている。このようにして、透過性反射板53、金属板52、光透過性基板51の3つの構成部品からなる表示板60は中枠63を介して時計内に固定される。
【0072】
本実施例5においては、表示板60を構成する3つの構成部品、即ち、透過性反射板53と金属板52と光透過性基板51とを中枠63を介して重ね合わせて固定する方法を用いたが、接着剤や粘着剤を用いて3つの構成部品を各々接着し、重ね合わせて一体化して用いても全く支障はない。
【0073】
また、本実施例5においては、凹溝を同心円状に複数設けてサークル模様を形成した。これは、サークル模様に限らず色々な模様を形成することができる。例えば、格子模様、ピアジカット模様、幾何学模様、網目模様などに形成することも可能である。複数の開口部からなる模様と全く別な模様を付加することができるので、装飾性を高めると同時にデザインバリエーションを豊富に設けることができる。
【実施例6】
【0074】
次に、本発明の実施例6に係る時計用表示板について図10を用いて説明する。図10は本発明の実施例6に係る時計用表示板の平面図と断面図を示しており、図10の(a)は平面図、図10の(b)は要部断面図を示している。
【0075】
本発明の実施例6に係る時計用表示板70は、図10に示すように、開口部42aを設けた金属板72と上面に拡散層71cを持った光透過性基板71と透過性反射板73とを積層して、この3つの構成部品をそれぞれ接着剤を介して貼合わせた構造を取っている。尚、図示はしていないが表示板70の下面側にはソーラーセルが配設されている。
【0076】
金属板72は150μm厚みの黄銅板や、洋白版、リン青銅板を用いて形成し、中心穴周りの領域にほぼ等間隔に複数の円形状の開口部72aを設けている。この開口部72aの総面積はソーラーセルの発電に支障のない光透過率が得られるような面積に設定している。開口部72aはプレス抜き加工によって形成する。また、この金属板72はその上面72bに放射状の旭光目付模様を施してあり、更に、その表面に電解メッキによるロジウムメッキ被膜を設けていて、更にその上にクリヤー塗膜を設けている。このクリヤー塗膜は少し厚めに形成して上面を研磨して光沢のある平滑面に仕上げている。これにより、金属板72は装飾に富んで貴金属感のする金属板に仕上がっている。また、この金属板72は、外周縁部近くに時字を示す金属からなる指標72dを接着剤を介して設けており、更に、黒色の切分目盛り72eを一周に渡って設けている。ここでの指標72dは電鋳メッキ方法で20〜40μmの厚みに形成したもので、表面にはロジウム金属による金属メッキを施したものになっている。アクリル樹脂接着剤やエポキシ樹脂接着剤、或いは、粘着剤でもって金属板に貼付けている。切分目盛り72eは黒色インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの公知の印刷方法で5〜10μmの厚みに形成している。
【0077】
光透過性基板71は、250μm厚みの透明なポリカーボネイト樹脂の板から形成しており、上面には拡散層71cを設けている。この拡散層71cは、透明なシリカ微粒子を透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に混ぜ合わせて形成したインク、或いは塗料を用いて、スクリーン印刷などの公知の印刷方法やエアー吹付け塗装などの公知の塗装方法でもって10〜20μmの厚みでもって形成している。
【0078】
透過性反射板73は、実施例1と同様に、130μm厚みの、光沢のある銀色を呈する反射光が得られる反射型偏光板を用いている。
【0079】
以上の構成を取った表示板70は、旭光模様を持ち、ロジウムメッキ仕上げによって白色系の金属色を呈して装飾性の富んだ貴金属感の現れた綺麗な表示板が得られる。また、金属板72の下面側に設けた光透過性基板71に透明な拡散層71cを設けてあることによって、ソーラーセルからの濃紫色を呈する反射光が透過性反射板73を透過したときにその色調が和らげられ、更に、拡散層71cを透過する時に光拡散が生じるのでソーラーセルの濃紫色は殆ど消し去られて目に視認されない。また、ソーラーセルの反射光がこの拡散層71cによって拡散されたとき、その拡散された一部の光が再びソーラーセルに向かって放射される。そして、再び透過性反射板73を透過してソーラーセルに入射する。これによって、光の利用効率が上がり効果的に発電に寄与する。
【0080】
尚、本実施例6においては、光透過性基板71は上面に拡散層71cを設けてあるが、これは、下面に拡散層を設けて光透過性基板を構成しても同じ効果を持つものである。また、拡散層を透過性反射板の上面に設けた構成を取っても同じ効果を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係る時計用表示板の平面図と断面図で、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)における要部断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る時計用表示板の平面図と断面図で、図2の(a)は平面図、図2の(b)は要部断面図である。
【図3】図2の(b)における透過性反射板の斜視図である。
【図4】本発明の実施例2に係る時計用表示板の平面図と断面図で、図4の(a)は平面図、図4の(b)は要部断面図である。
【図5】本発明の実施例3に係る時計用表示板の平面図と断面図で、図5の(a)は平面図、図5の(b)は要部断面図である。
【図6】本発明の実施例4に係る時計用表示板の平面図と断面図で、図6の(a)は平面図、図6の(b)は要部断面図である。
【図7】本発明の実施例5に係る時計用表示板の平面図と断面図で、図7の(a)は平面図、図7の(b)は要部断面図である。
【図8】図7における表示板を中枠に取付けたときの平面図と断面図で、図8の(a)は平面図、図8の(b)は要部断面図である。
【図9】図8における表示板と中枠を時計内に組込んだときの要部断面図である。
【図10】本発明の実施例6に係る時計用表示板の平面図と断面図で、図10の(a)は平面図、図10の(b)は要部断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1、11、21、31、41、51、71 光透過性基板
1d、22d、31d、42d、51d、72d 指標
2、12、22、32、42、52、72 金属板
2a、12a、22、32a、42a、52a、72a 開口部
3、13、23、33、43、53、73 透過性反射板
9、69 ソーラーセル
10、20、30、40、50、60、70 時計用表示板
11e、22e、31e、42e、51e、72e 切分目盛り
12b、22b、32b、72b 上面
12c 下面
21b 装飾膜
33c、71c 拡散層
41c 塗膜
51g フック
51h 切欠け
52f 凹溝
61 時計ケース
62 ムーブメント
63 中枠
63a 切欠部
63b 突出ピン
64 裏蓋
65 指針
65 風防ガラス
67 防水パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計用の表示板であって、該表示板は、光透過性基板と、開口部(透光性)を有する金属板と、透過性反射板とから構成され、前記光透過性基板と前記金属板のどちらか一方が最上位に位置し、透過性反射板が最下位に位置していることを特徴とする時計用表示板。
【請求項2】
前記光透過性基板は、樹脂、ガラス、サファイヤガラス、セラミックの中の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1に記載の時計用表示板。
【請求項3】
前記光透過性基板には、模様、数字、文字、マークの中の少なくとも一つが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の時計用表示板。
【請求項4】
前記光透過性基板は、カラー化されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の時計用表示板。
【請求項5】
前記金属板は、表面に模様、数字、文字、マークの中の少なくとも一つが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の時計用表示板。
【請求項6】
前記金属板は、表面に設けた模様、数字、文字、マークの中の少なくとも一つが開口部からできていることを特徴とする請求項1または請求項5に記載の時計用表示板。
【請求項7】
前記金属板は、湿式メッキ被膜、乾式メッキ被膜、印刷被膜、塗装被膜の中の少なくとも一つが施されていることを特徴とする請求項1、5、6のいずれか1項に記載の時計用表示板。
【請求項8】
前記透過性反射板は、入射光の一部を透過し、残りの光を反射することを特徴とする請求項1に記載の時計用表示板。
【請求項9】
前記表示板が、前記光透過性基板、前記金属板、前記透過性反射板の順で積層され、前記光透過性基板の下面、もしくは前記金属板の上面に拡散層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の時計用表示板。
【請求項10】
前記表示板が、前記金属板、前記光透過性基板、前記透過性反射板の順で積層され、前記光透過性基板の上面または下面、もしくは前記透過性反射板の上面に拡散層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の時計用表示板。
【請求項11】
前記金属板は、金属板の表面または裏面の少なくとも一面に拡散層が設けられていることを特徴とする請求項1、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の時計用表示板。
【請求項12】
前記透過性反射板は、透過性反射板の裏面に拡散層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項8に記載の時計用表示板。
【請求項13】
前記表示板の総厚は、200μm〜1100μmで、それぞれの厚さが、光透過性基板が100μm〜400μm、金属板が50μm〜400μm、透過性反射板が50μm〜300μmであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の時計用表示板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−220516(P2006−220516A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33692(P2005−33692)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【出願人】(000001960)シチズン時計株式会社 (1,939)