説明

時計

【課題】時計用裏蓋における段差部で囲まれた空間を有効に利用することがででき、審美性が向上した時計を提供すること。
【解決手段】時計1は、全体または一部が実質的に透明な裏板6と、裏板6を保持し、裏板6の内面61の縁部が当接する段差部82が内周部81に形成されている保持枠8とを有する時計用裏蓋5と、回転により、駆動するエネルギを蓄積するための回転錘9を有するムーブメント3とを備えている。回転錘9には、裏板6を介して視認される回転錘装飾部10が設けられており、この回転錘装飾部10は、回転錘9の回転とともに、裏板6の内面61側の段差部82で囲まれる空間52内を回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の時計には、内蔵されているムーブメントを視認することができるようにしたり、内蔵されている太陽電池に光を照射可能にしたりするために、光透過性を有する板状体(例えば、ガラス板)を時計用裏蓋に備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような時計の時計用裏蓋では、前記板状体を設置するとき、当該板状体を保持する保持枠の内周部に、板状体の内面の縁部に当接する段差部を設ける必要がある。この段差部が設けられたことにより、時計内には、段差部で囲まれた空間が形成されることとなる。特に、裏蓋以外の部品(例えば、胴部、中枠、ムーブメント、文字板など)を共通使用する場合には、時計の総厚が段差部の厚さの分以上に厚くなってしまっていた。
しかしながら、このような空間は有効に利用されず、例えば図14に示す時計の空間501のように、無駄になっていた(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−5450号公報
【特許文献2】特開2002−139580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、時計用裏蓋における段差部で囲まれた空間を有効に利用することができ、審美性が向上すると共に駆動エネルギの蓄積を向上させることができる時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の時計は、全体または一部が実質的に透明な板状体と、該板状体を保持し、前記板状体の内面の縁部が当接する段差部が内周部に形成されている保持枠とを有する時計用裏蓋と、
回転により、駆動するエネルギを蓄積するための回転錘を有するムーブメントとを備え、
前記回転錘には、前記板状体を介して視認される第1の装飾部が設けられ、
前記第1の装飾部は、前記回転錘の回転とともに、前記板状体の前記内面側の前記段差部で囲まれる空間内を回転することを特徴とする。
これにより、時計用裏蓋における段差部で囲まれた空間を有効に利用することができ、審美性が向上した時計を提供することができる。
【0006】
本発明の時計では、前記第1の装飾部は、別体を前記回転錘に固着することにより形成され、前記回転錘の外面から突出していることが好ましい。
これにより、時計用裏蓋における段差部で囲まれた空間をより有効に利用することができ、時計の審美性をより向上させることができる。
本発明の時計では、前記第1の装飾部は、板状の本体と、該本体に加工を施してなる加工部とで構成されていることが好ましい。
これにより、第1の装飾部を容易に形成することができる。
【0007】
本発明の時計では、前記本体は、金属、プラスチック、貝殻、ガラス、木材および紙のいずれかの材料で構成されていることが好ましい。
これにより、本体を容易に形成することができる。
本発明の時計では、前記加工部には、文字、記号および図形の少なくとも1つが形成されていることが好ましい。
これにより、時計の審美性をより向上させることができる。
【0008】
本発明の時計では、前記加工部は、エッチング、レーザ、彫刻、印刷、蒸着およびシート状体の貼付のいずれかによって加工されていることが好ましい。
これにより、加工部を容易に加工(形成)することができる。
本発明の時計では、前記板状体の前記内面側には、該板状体を介して視認される第2の装飾部を有することが好ましい。
これにより、時計の審美性をより向上させることができる。
本発明の時計では、前記第2の装飾部は、前記板状体の前記内面側の前記段差部で囲まれる空間内に位置していることが好ましい。
これにより、時計用裏蓋における段差部で囲まれた空間をより有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、時計用裏蓋における段差部で囲まれた空間を有効に利用することができ、審美性が向上すると共に駆動エネルギの蓄積を向上させることができる時計を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の時計を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明の時計を腕時計に適用した場合の実施形態となっている。
<第1実施形態>
図1は、本発明の時計(第1実施形態)を適用した腕時計の斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3(A)および(B)は、それぞれ、図2に示す回転錘の斜視図、および図3(A)中のB−B線断面図、図4は、図1に示す腕時計を時計用裏蓋側から眺めた図(下面図)、図5〜図10は、それぞれ、図3(B)中の二点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図(装飾部の構成例を示す断面図)である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図2の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、図3、図5〜図10の上側を「外」または「外側」、下側を「内」または「内側」と言う。
【0011】
図1および図2に示すように、機械式腕時計(時計)1(以下、単に「時計」という)は、外装部(ケース)2と、外装部2の内部に設置(収納)され、時計用針31を駆動するムーブメント3と、時計1を腕に装着する際に用いられるバンド4とを備えている。
図1(図2)に示すように、外装部2は、胴部23と、ガラス板(カバーガラス)21と、ガラス板21を保持するベゼル22と、胴部23の裏側に設置される時計用裏蓋5(以下、単に「裏蓋」という)とを有している。
【0012】
図2に示す胴23には、巻真パイプ26が嵌入され、この巻真パイプ26に、りゅうず24が回転可能に設けられている。りゅうず24を回転させることにより、そのトルクがシャフト27を介して、ムーブメント3に伝わる。これにより、時計用針31を調整することができる、すなわち、表示する時刻を調整することができる。
胴23とベゼル22とは、互いにプラスチックパッキン28により固定され、ベゼル22とガラス板21とは、互いにプラスチックパッキン29により固定されている。
【0013】
また、胴23に対し裏蓋5が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)40が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる(図2参照)。
図2に示す裏蓋5は、裏板(板状体)6と、該裏板6を保持する裏板保持枠(保持枠)8(以下、単に「保持枠」という)とを備えている。
【0014】
裏板6は、その全体が実質的に透明なものである。ここで、「実質的に透明」とは、可視光の透過度が85%以上程度の透明性を有するものをいう。また、「実質的に透明」には、無色透明の他、有色(着色)透明も含まれる。また、この裏板6は、その形状が円板状をなしている。
裏板6の好ましい構成材料としては、例えば、ガラス、プラスチックまたはそれらの複合材料が挙げられる。そのガラスの具体例としては、無アルカリガラス、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウ珪酸ガラス等が挙げられる。
【0015】
また、前記プラスチックの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
このような構成の裏板6により、例えば、ムーブメント3、後述する回転錘9および回転錘装飾部(第1の装飾部)10が裏板6を通して(介して)視認される。また、時計1の審美性(美的外観)が得られる。
図2に示すように、保持枠8は、その形状がリング状をなしており、内周部81に段差部82を有している。この段差部82は、内周部81の内径より縮径して、内周部81の内周811に沿って形成されている。すなわち、段差部82は、形状がリング状をなしており、内周部81に形成されている。また、段差部82の下面には、裏板6の上面(内面)の縁部が当接している。また、段差部82の下面の下側には、圧縮状態のリング状のプラスチックパッキン51が設けられ、このプラスチックパッキン51を介して裏板6が保持枠8に固定されている。これにより、保持枠8と裏板6との隙間が液密に封止され、防水機能が得られる。
【0017】
なお、保持枠8の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。
また、保持枠8の下面と段差部82の下面との距離は、裏板6の厚さとほぼ同等またはそれより若干小さいのが好ましい。
また、ムーブメント3は、形状がリンク状の中枠25を介して、外装部2に固定されている(図2参照)。これにより、ムーブメント3は、外装部2に対して、径方向(図1中のガラス板21の面方向)および上下方向のそれぞれに位置決めされる。
【0018】
図2に示すように、ムーブメント3の下側には、回転錘(ロータ)9が回転可能に設置されている。この回転錘9は、時計1(時計用針31)が駆動するエネルギ(以下、「駆動エネルギ」と言う)を蓄積するためのものである。ムーブメント3は、回転錘9が回転(回動)することにより、ムーブメント3に設けられたエネルギ蓄積部(図示せず)に駆動エネルギが蓄積されるよう構成されている。
【0019】
なお、エネルギの蓄積方法としては、特に限定されず、例えば、ぜんまい式(機械式)、コンデンサ式(電気式)等が挙げられる。
図3(A)に示すように、回転錘9は、扇状の板状体である扇状板91と、扇状板91の外側縁部に設けられた円弧状の円弧状部92とを有している。扇状板91は、扇の要に該当する部分に、ムーブメント3に設置された回転軸32と嵌合する軸受(軸孔)93を有している。
このような構成の回転錘9は、軸受93を中心として回転する。
【0020】
扇状板91は、特に限定されないが、比較的比重の小さい材料とすると共に薄板で構成(形成)されるのが好ましい。
また、円弧状部92は、特に限定されないが、比較的比重の大きい材料、例えばタングステン等で構成(形成)されるのが好ましい。
扇状板91および円弧状部92のそれぞれに、このような構成材料を用いることにより、回転錘9の重心の位置は、回転錘9の回転中心(軸受93)から円弧状部92側へ離れた箇所となる。これにより、回転錘9が遠心力を得るのが容易となり、駆動エネルギを容易に(確実に)蓄積する(得る)ことができる。
【0021】
図3(B)に示すように、円弧状部92の外面922には、テーパ面921が形成されている。これにより、回転錘9(時計1)の審美性が向上する。
図3に示すように、円弧状部92(回転錘9)の外面922には、円板状の複数(本実施形態では、7つ)の回転錘装飾部(第1の装飾部)10が配置されている。これらの回転錘装飾部10は、円弧状部92の周方向に沿って等間隔に設けられている。
【0022】
このように、各回転錘装飾部10が円弧状部92に設けられていることにより、各回転錘装飾部10は、裏板6を介して視認される(図4参照)。
図2に示すように、各回転錘装飾部10は、円弧状部92とは別部材(別体)により構成(形成)され、円弧状部92の外面922から突出している。
また、図3に示すように、各回転錘装飾部10は、接着剤15によって、円弧状部92の外面922に接着(固着)されている。これにより、回転錘9の肌面(例えば焼結等で成形される円弧状部92の肌面(外面922))を各回転錘装飾部10によって隠すことができ、よって、時計1の審美性を向上することができる。
【0023】
なお、回転錘装飾部10の厚さと接着剤15の厚さとの総厚(図2中のtで示す長さ)は、円弧状部92の外面922と裏板6の内面61との距離(図2中のhで示す長さ)より若干小さいのが好ましい。これにより、裏板6の内面61側の段差部82で囲まれる空間52内に回転錘装飾部10が入り込む(位置する)ことができ、よって、空間52をより有効に利用することができる。
【0024】
また、回転錘装飾部10が円弧状部92の外面922から突出していることにより、当該回転錘装飾部10を立体的に視認することができ、よって、時計1の審美性を向上させることができる。
さらに、回転錘装飾部10を設けることにより、回転錘9の外面922と裏板6の内面61との距離を小さくすることができるため、落下衝撃などで時計1に衝撃が加わった場合の回転錘9の変形や、軸受93の破損などを防止することができる。
【0025】
各回転錘装飾部10は、板状の本体102と、加工部103とで構成されている。加工部103は、本体102に加工を施すことより形成される部位である。
なお、本体102の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、金属、プラスチック、貝殻、ガラス、木材および紙のいずれかの材料が挙げられる。これにより、本体102を容易に形成することができる。
【0026】
なお、発電能力向上の観点からは、比較的比重の大きい材料によって構成されることがより好ましい。これにより、片重り量を大きくして、駆動エネルギをより容易に(確実に)蓄積する(得る)ことができる。
また、審美性の観点からは、他の部材(例えば、外装部2の構成材料)の質感との調和が考慮されて適切な材料によって構成されることがより好ましい。これにより、本体102自体の審美性を向上させて時計1の審美性をより向上させることができるとともに、顧客の時計1のデザインに関する要望に対応することができる。
【0027】
また、加工部103の加工方法としては、特に限定されないが、例えば、エッチング、レーザ、彫刻、印刷、蒸着またはシート状体の貼付のいずれかの方法が挙げられる。これにより、加工部103を容易に加工(形成)することができる。
また、図4に示すように、加工部103には、アルファベット(文字)の「A」が形成さている。これにより、時計1の審美性をより向上させることができる。
【0028】
ここで、本体102の前記各構成材料と、加工部103の前記各加工方法との組み合わせ例について、図5〜図10を参照して説明する。
[1]例1
図5に示す回転錘装飾部10では、本体102がガラスで構成され、加工部103が印刷により形成(加工)されている。
【0029】
また、加工部103は、2箇所に印刷されている。一方の加工部103は、本体102の外面102aに印刷され、他方の加工部103は、本体102の内面102bに印刷されている。
このような構成の回転錘装飾部10により、各加工部103に奥行きを担持させることができ、よって、回転錘装飾部10をより立体的に視認することができる。これにより、時計1の審美性をより向上させることができる。
【0030】
[2]例2
図6に示す回転錘装飾部10では、本体102が貝殻で構成され、加工部103がシート状体の貼付(粘着)により構成されている。これにより、回転錘装飾部10を容易に形成することができる。また、時計1の審美性をより向上させることができる。
なお、接着剤15には、裏打ちとしての塗装(印刷)が施されていてもよい。ここで、「裏打ち」とは、本体102が鮮明に視認されるように作用することである。
【0031】
[3]例3
図7に示す回転錘装飾部10では、本体102がステンレス鋼で構成され、加工部103がレーザにより加工された凹部で構成されている。また、本体102(加工部103を含む)を、例えば金メッキ104で被覆してもよい。
このような構成の回転錘装飾部10により、回転錘装飾部10を容易に形成することができる。また、時計1の審美性をより向上させることができる。
【0032】
[4]例4
図8に示す回転錘装飾部10では、本体102がステンレス鋼で構成されている。加工部103は、エッチングまたは彫刻により加工された凹部105と、この凹部105に充填された着色剤106とで構成されている。
このような構成の回転錘装飾部10により、回転錘装飾部10を容易に形成することができる。また、時計1の審美性をより向上させることができる。
【0033】
[5]例5
図9に示す回転錘装飾部10では、本体102が木材で構成され、加工部103がシート状体の貼付により構成されている。これにより、回転錘装飾部10を容易に形成することができる。また、時計1の審美性をより向上させることができる。
なお、本体102は、木材で構成されているのに限定されず、例えば、プラスチック、紙で構成されていてもよい。
【0034】
[6]例6
図10に示す回転錘装飾部10では、本体102がアルミニウムで構成され、加工部103がアルマイト処理(蒸着)されたアルマイト部で構成されている。これにより、回転錘装飾部10を容易に形成することができる。また、時計1の審美性をより向上させることができる。
【0035】
以上のような構成の回転錘装飾部10は、回転錘9の回転とともに、空間52内を回転する。これにより、時計1では、空間52を有効に利用することができる。また、回転する回転錘装飾部10により、時計1の審美性を向上させることができる。
また、回転錘装飾部10が空間52に入り込んでいることにより、時計1の総厚が大きくなる(厚くなる)のを抑制(防止)することができる、すなわち、時計1の総厚を小さくすることができるという利点がある。
【0036】
また、複数の回転錘装飾部10は、それぞれの厚さがほぼ同等であるのに限定されず、それぞれ、異なる厚さであってもよい。これにより、立体感の異なる回転錘装飾部10が形成され、よって、時計1の審美性を向上させることができる。
また、加工部103の文字としては、アルファベット1文字であるのに限定されず、例えば、時計1のシリアル番号(製造番号)、ブランド名(メーカ名)、所有者のイニシャル、時計1の仕様(例えば、防水性を有しているか否か)等のような文字群であってもよい。
【0037】
<第2実施形態>
図11は、本発明の時計の第2実施形態を示す断面図、図12および図13は、それぞれ、図11に示す腕時計を時計用裏蓋側から眺めた図(下面図)である。
以下、これらの図を参照して本発明の時計の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0038】
本実施形態は、裏板装飾部(第2の装飾部)が設けられたこと以外は前記第1実施形態と同様である。
図11に示すように、裏板6の内面61側には、裏板6を介して視認される裏板装飾部(第2の装飾部)7が設けられている。この裏板装飾部7は、裏板6の内面61の中央部に形成されており、空間52内に位置している。
ここで、裏板装飾部7の構成例について、図12および図13を参照して説明する。
【0039】
[1]構成例1
図12に示す裏板装飾部7は、円板で構成されている。また、裏板装飾部7を介しては、回転錘9が視認され難くなっている。
このような構成の裏板装飾部7により、回転錘装飾部10は、裏板6と裏板装飾部7と段差部82とで囲まれたリング状の空間521を回転することとなる。従って、回転する回転錘装飾部10と、裏板装飾部7とにより、時計1の装飾性(審美性)がより向上する。
【0040】
また、裏板装飾部7により、回転する回転錘9の視認が困難となるが、回転錘装飾部10が回転するのが視認されるため、回転錘9の回転を確認することができる。
さらに、裏板装飾部7を設けることにより、回転錘9の軸受93と裏板6の内面61との距離を小さくすることができるため、落下衝撃などで時計1に衝撃が加わった場合の回転錘9の変形や、軸受93の破損などを防止することができる。
【0041】
[2]構成例2
図13に示す裏板装飾部7は、放射状に形成された複数の線状体で構成されている。これにより、回転する回転錘装飾部10と、裏板装飾部7とにより、時計1の装飾性(審美性)がより向上する。
また、本構成例では、前記[1]の構成例と異なり、回転錘9を視認することができ、よって、回転する回転錘9を確実に確認することができる。
【0042】
このような裏板装飾部7が設けられていることにより、空間52をより有効に利用することができる。また、時計1の審美性をより向上させることができる。
なお、裏板装飾部7の形成方法としては、特に限定されず、例えば、板状体(例えば、ガラス板等)の貼付(接着)、蒸着、印刷等が挙げられる。
以上、本発明の時計を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、時計を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0043】
また、ムーブメント(腕時計)は、機械式であるのに限定されず、例えば、クオーツ式でもよい。
また、回転錘は、互いに構成材料が異なる2つの部位(部材)で構成されているのに限定されず、例えば、これらの2つの部位を一体的に形成してもよい。
また、回転錘装飾部の設置数は、7つであるのに限定されず、例えば、1つ〜6つ、8つ以上であってもよい。
【0044】
また、時計の好ましい形態としては、腕時計であるのに限定されず、例えば、懐中時計であってもよい。
また、回転錘装飾部の回転錘への固着方法としては、接着(接着剤や溶媒による接着)であるのに限定されず、例えば、両面粘着テープによる粘着、溶着、嵌合、かしめ等であってもよい。
【0045】
また、回転錘装飾部は、別体を回転錘に設ける(固着する)ことにより形成されるのに限定されず、例えば、回転錘と一体的に設けてもよい。
また、回転錘装飾部は、回転錘の外面から突出して形成されているのに限定されず、回転錘の外面より内側に形成されていてもよい。
また、回転錘装飾部は、回転錘の外面の一部に設けられているのに限定されず、回転錘の外面の全面に設けられていてもよい。
【0046】
また、加工部には、文字が形成されているのに限定されず、例えば、記号、図形(模様)等が形成されていてもよい。
また、裏板は、その内面または外面が図示のように平面であるのに限定されず、例えば、湾曲凹面または湾曲凸面であってもよい。これにより、裏板にレンズとしての機能を持たせることができる。
【0047】
また、このとき、裏板におけるレンズの機能を有する箇所は、裏板のほぼ全面にわたって設けられていてもよいし、裏板に部分的に設けられていてもよい。レンズの機能を有する箇所が裏板に部分的に設けられている場合、その箇所は、例えば、回転錘の回転錘装飾部に対応する箇所とすることができる。
また、裏板は、その全体が透明である場合に限定されず、部分的に透明であってもよい。裏板が部分的に透明である場合、その透明な部分(箇所)は、例えば、回転錘の回転錘装飾部に対応する箇所とすることができる。また、裏板が部分的に透明であるとき、それ以外の部分は、例えば、不透明または半透明であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の時計(第1実施形態)を適用した腕時計の斜視図である。
【図2】図1中のA−A線断面図である。
【図3】図2に示す回転錘の斜視図および当該斜視図中のB−B線断面図である。
【図4】図1に示す腕時計を時計用裏蓋側から眺めた図(下面図)である。
【図5】図3(B)中の二点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図(装飾部の構成例を示す断面図)である。
【図6】図3(B)中の二点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図(装飾部の構成例を示す断面図)である。
【図7】図3(B)中の二点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図(装飾部の構成例を示す断面図)である。
【図8】図3(B)中の二点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図(装飾部の構成例を示す断面図)である。
【図9】図3(B)中の二点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図(装飾部の構成例を示す断面図)である。
【図10】図3(B)中の二点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図(装飾部の構成例を示す断面図)である。
【図11】本発明の時計の第2実施形態を示す断面図である。
【図12】図11に示す腕時計を時計用裏蓋側から眺めた図(下面図)である。
【図13】図11に示す腕時計を時計用裏蓋側から眺めた図(下面図)である。
【図14】従来の回転錘を備える時計の断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1……時計(腕時計) 15……接着剤 2……外装部 21……ガラス板(カバーガラス) 22……ベゼル 23……胴部 24……りゅうず 25……中枠 26……巻真パイプ 27……シャフト 28、29、51……プラスチックパッキン 3……ムーブメント 31……時計用針 32……回転軸 4……バンド 5……裏蓋(時計用裏蓋) 50……接合部(シール部) 52、501、521……空間 6……裏板 61……内面 7……裏板装飾部 8……保持枠(裏板保持枠) 81……内周部 811……内周 82……段差部 9……回転錘 91……扇状板 92……円弧状部 921……テーパ面 922……外面 93……軸受 10……回転錘装飾部 102……本体 102a……外面 102b……内面 103……加工部 104……金メッキ 105……凹部 106……着色剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体または一部が実質的に透明な板状体と、該板状体を保持し、前記板状体の内面の縁部が当接する段差部が内周部に形成されている保持枠とを有する時計用裏蓋と、
回転により、駆動するエネルギを蓄積するための回転錘を有するムーブメントとを備え、
前記回転錘には、前記板状体を介して視認される第1の装飾部が設けられ、
前記第1の装飾部は、前記回転錘の回転とともに、前記板状体の前記内面側の前記段差部で囲まれる空間内を回転することを特徴とする時計。
【請求項2】
前記第1の装飾部は、別体を前記回転錘に固着することにより形成され、前記回転錘の外面から突出している請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記第1の装飾部は、板状の本体と、該本体に加工を施してなる加工部とで構成されている請求項1または2に記載の時計。
【請求項4】
前記本体は、金属、プラスチック、貝殻、ガラス、木材および紙のいずれかの材料で構成されている請求項3に記載の時計。
【請求項5】
前記加工部には、文字、記号および図形の少なくとも1つが形成されている請求項3または4に記載の時計。
【請求項6】
前記加工部は、エッチング、レーザ、彫刻、印刷、蒸着およびシート状体の貼付のいずれかによって加工されている請求項3ないし5のいずれかに記載の時計。
【請求項7】
前記板状体の前記内面側には、該板状体を介して視認される第2の装飾部を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の時計。
【請求項8】
前記第2の装飾部は、前記板状体の前記内面側の前記段差部で囲まれる空間内に位置している請求項7に記載の時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−38713(P2006−38713A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220828(P2004−220828)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)