時間温度指示装置
本発明は、一般的に測定・指示技術の分野に属するものであって、時間温度指示装置およびこの装置の製造方法並びに読み取り方法に関するものである。より詳細には、時間温度指示(TTI)装置は、少なくとも1種の活性反応剤を含み、この少なくとも1種の活性反応剤は、電気部品であるか、それとも、電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である。少なくとも1種の活性反応剤は、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるよう選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に測定・指示技術の分野に属するものであって、時間温度指示装置およびこの装置の製造方法並びに読み取り方法に関する。
【0002】
時間温度指示装置(または「時間温度積算計」とも称する)は、温度および時間に比例する速度で進行する、少なくとも1つの可変で観測可能な物理的特性を特徴とする装置であり、したがってそのすぐ周りの環境の完全なまたは部分的な時間温度履歴の指示を提供する。時間温度指示装置(TTI)は、通常はラベルとして設計される、単純で安価な装置である。傷みやすい物品に添付されたTTI(適切に設計され較正された)は、その物品の時間温度履歴を監視し、物品の時間温度への暴露履歴に関する、単純で通常は可視的なわかりやすい概要を提供し、それにより物品の鮮度状況の指示を提供する。したがって、TTIは最も有望な品質保持期限報告技術の1つである。
【0003】
TTIの概念は、食品や医薬品など傷みやすい物品の安全性および品質を、製造から消費者によって消費される時点までの寿命全体にわたって保証するために創出された。食品、医薬品、ワクチン、血液など多種の傷みやすい物品の安全性および品質は、主に流通および保管の際の適切な保管条件に左右される。ガス組成、相対湿度、温度など様々な要因が物品の実際の寿命に影響を及ぼす。変化する状況がこの種の物品の有効品質保持期限に影響を及ぼすという事実は、適切な保管条件に依存する「有効期限」タイプのラベルには反映されない。すべての保管要因の中で、適正でない温度が、物理プロセス、化学プロセス、酵素プロセス、または微生物プロセスに基づく、最も頻繁に観察される劣化の要因である。したがって、TTI技術は、食品および医薬品のチェーンを管理するための簡易手段を提供することができる。TTIの色および/またはその他の目に見える物理的特性は、温度に依存する速度で時間に依存して変化するため、所定の比較尺度を備える、TTIラベルの色(または暗さ)またはその他の任意の目に見える特性を比較することで、TTIが添付された商品の「鮮度」の有効な尺度を提供する。TTI装置は、時間温度要因に関する、「はい」または「いいえ」のようなはっきりした回答を提供するように設計することができるため、重要な「明確な」回答を提供し、さらに複雑なデータ検査を省くことができる。これは、リアルタイムの意思決定および行動が重視されるHACCP(危害分析重要管理点)にとって理想的である。例えば、次の特許公報で各種のTTIが開示されている。
【0004】
米国特許第4,737,463号では、ジアセチレン塩を利用した光活性化可能な時間温度指示装置が開示されている。熱に反応しない(「不活性」)ジアセチレン塩(またはそのような塩の混合物)が、光に暴露されると酸を生成する物質とポリマーマトリックス中で混合される。光励起、好ましくは紫外線または近紫外線によって、熱に反応する(「活性」)遊離ジアセチレン酸が形成される。この活性化段階に続いて、温度とともに加速する速度で進行性の発色が生じる。この指示装置は、傷みやすい商品、特に冷凍を必要とする商品の鮮度を監視するのに有用である。
【0005】
国際公開公報第99/39197号では、時間制限があり温度に敏感な商品の包装のためまたはそれに添付するための基材を提供する技術が開示されている。この技術によれば、基材の1領域に取り付けた平面的な時間温度積算計が用いられ、この時間温度積算計は、マトリックスと、マトリックスに埋め込まれる少なくとも1つの可逆性指示薬を含む。この指示装置はフォトクロミック特性を有している。
【0006】
米国特許第6,435,128号では、物体の累積的な熱暴露の視覚的に観察可能な指示を提供する時間温度積算インジケータ装置が開示されている。この装置は、拡散的に光を反射する多孔性マトリックスを有する基板と裏材を含んでいる。この裏材はその表面に、基板と接触するための粘弾性指示材料と、基板と裏材の間の粘弾性指示材料の横および縦に流れるのを実質的に阻止するためのバリヤ材料とを含んでいる。
【0007】
米国特許第6,042,264号では、所定の温度を上回る温度に商品が暴露される時間の長さを測定するための、ラベルとして設計された時間温度指示装置が開示されている。この暴露時間と、指示装置が暴露される温度との積算がなされる。このラベルは、その裏面で商品容器に接着させるのに適した複数の層の合成物である。このラベルは、印刷可能な表面層と、実質的にウィッキングストリップの向かい合う両端においてのみ、表面層の下に接着される縦長のウィッキングストリップと、表面層とともに囲いを形成する下側の基板層とを含んでいる。所定の温度を上回ると溶けて流れる熱溶解性物質が、ウィッキング部材の少なくとも一方の端部に近接する、ウィッキングストリップの表面に施される。所定の温度を上回る温度に暴露された熱溶解性物質は、ウィッキング部材に沿って流れる。ラベルは印刷可能な表面層を有しており、その周辺端部において基板層の周辺端部に対して密閉されている。これらの層が、ウィッキング部材と熱溶解性物質を封入する。表面層において、ウィッキング部材の上方の中間位置にのぞき窓が設けられており、この窓を通じてウィッキング部材上の流れの経過が観察される。
【0008】
国際公開公報第03/077227号では、第1表面および第2表面を有するラベル基板と、酸ベースの指示組成物と、活性化剤組成物とを含む時間指示ラベルが開示されている。酸ベースの指示組成物および活性化剤組成物の一方が基板の第1表面に配され、これらの組成物の両方は接触時に接着されたままである。ラベルは、ラベルの第2表面上に感圧接着剤を有していてもよい。ラベルは、冷凍食品の安全性を判断する効果的な手段を提供する。またラベルは、時間制限があり再使用できないネームバッジを備えることで、セキュリティを確保する手段も提供する。このネームバッジは、訪問者の時間の長さを監視してネームバッジの再使用を防止する手段を提供する。
【0009】
国際公開公報第03/044521号では、包装された食品の品質を特定するために、RF技術によって遠隔から読み取るのに適したセンサーが開示されている。このセンサーは、食品の微生物による腐敗が原因で食品パッケージの空気中に生成された化合物、例えば硫化水素またはその他の硫化物に反応するか、あるいはパッケージの漏れが原因でパッケージの空気中で上昇した酸素含有量に反応する。このセンサーはRF回路に基づいている。酸素または微生物により生成されるガスが、回路材料の電気特性に影響を及ぼす。例えば、回路の抵抗器、コンデンサ、もしくは誘導コイル、またはこれらの少なくとも一部分は、銀、鉄、アルミニウム、レドックス型指示染料、導電性ポリマー、または銅からなっている。上記のガスとこれらの材料との反応が原因で、各センサー素子のセンサー抵抗、伝導度、静電容量および/またはインダクタンスが崩壊ガスの量に応じて変化する。
【0010】
国際公開公報第01/25472号では、商品が暴露されている時間および温度を監視するのに役立つバイオセンサーが開示されている。このバイオセンサーは、時間および温度に依存してその伝導度/抵抗が変化するユニットを含むRF回路に基づいている。このユニットは酵素および基板を含んでおり、この酵素はこの基板に影響を及ぼすのに適しているため、ユニットの伝導度は時間および温度に依存して高くなる。したがって、RF回路の全抵抗に依存し、そのためバイオセンサーのユニットが暴露されている時間および温度に依存して変化する、測定可能な電流を発生するよう、例えば磁場を加えることにより起動し得るRF回路を備えるバイオセンサーが開示される。
【0011】
国際公開公報第95/33991号では、傷みやすい物品向けの状態指示装置が開示されている。この指示装置はセンサー手段を含んでおり、これは、センサー手段の電気特性に影響を及ぼす腐敗または汚染に関連するガスまたは蒸気を感知し、その特性を測定する電気回路に組み込まれている。国際公開公報第95/33991号で開示されている電気回路はRF回路ではない。このことは、センサーの変化を遠隔から読み取ることができないことを意味している。この回路は印刷することができる。このセンサーは、特定のガスに暴露されると抵抗やインピーダンスなどの電気特性が変化するポリピロールなどの半導体材料を含むことができる。
【0012】
改良されたTTI装置ならびにその製造および使用の方法を提供することにより、食品(およびその他の傷みやすい物品)の供給チェーンに沿った連続的かつ部分的な温度制御を容易にすることが、当技術分野で求められている。
【0013】
これまで多くの国において、冷却チェーンの間の温度順守に関する規制および/または勧告が十分に確立されている。冷却チェーンに沿って温度を制御および監視するために、これまでは、代表とみなされる試料についてわずかな回数のスポット試験が行われていただけである。この試験はせいぜい、製造者と最終販売業者の裏庭の間という、冷却チェーンの一部に限定される。ほとんどの場合、消費者にかかわる冷却チェーンの部分は全く監視されない。このように、食品チェーンに沿った、十分に確立された連続温度制御はまだ存在していない。
【0014】
本発明は、TTI装置が取り付けられる任意の物品の時間温度の履歴の単純な概要を提供することができるTTI装置を提供することにより、上記の問題を解決する。本発明のTTI装置は、TTI構造における時間温度に依存する化学プロセスおよび/または物理プロセスによって引き起こされる、TTI構造の電気特性の変化を提供するように構成されている。この変化は、放出や反射など、TTI構造に由来する1以上の放射特性の変化として検出可能である。これは、TTI構造がいわゆる「能動的な構造」として構成されている場合、電池などの内部エネルギー源でリレーするTTI装置によって本来的に生成される放射であることができ、「受動的な」TTI構造として構成されている場合、特定の外部場に対する応答としてTTI構造によって生成される放射であることができる。代替的に、または、付加的に、TTI構造は、TTI構造の構成要素の伝導度の変化を提供するように構成することもできる。この構成要素は、最初から、温度および時間に依存してその伝導度が変化する導電性構成要素であることができる。または、構成要素は大幅に非伝導的な特性を有していてもよく、構成要素が導電性を有するものに転換されると、その電気伝導度は温度および時間に依存して引き起こされ、変化され得る。TTI構造の電気特性の変化を、色(例えば、多孔性媒体への粘弾性液体の浸透、半導体のドーピングプロセス)や反射率など、TTIの光学特性の変化として視覚的に検出することもできる。
【0015】
したがって本発明は、その最も広い見地において、電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示装置に関する。少なくとも1種の活性反応剤は、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性を本来的に変化させるように選択される。
【0016】
別の見地において、本発明は、(i)電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤であって、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される、少なくとも1種の活性反応剤;および(ii)粘性物質の形態の少なくとも1種の第1不活性反応剤を含み、化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第1不活性反応剤との間の反応であり、少なくとも1種の第1不活性反応剤が、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択される、時間温度指示装置に関する。
【0017】
また、さらに別の見地において、本発明は、(i)電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤であって、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される、少なくとも1種の活性反応剤;(ii)粘性物質の形態の少なくとも1種の第1不活性反応剤;および(iii)少なくとも1種の第2不活性反応剤を含む。化学反応および物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第2不活性反応剤との間の反応であり、少なくとも1種の第1不活性反応剤が、少なくとも1種の第2不活性反応剤への時間に依存する熱伝達を引き起こし、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択される、時間温度指示装置に関する。
【0018】
一般に、TTI構造は、時間および温度に依存する物理プロセスおよび/または化学プロセスの結果として変化する電気特性を有する少なくとも1つの構成要素(例えば、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、誘導コイル、RF回路、能動アンテナまたは受動アンテナ)を画定するように構成される。この変化は、時間および温度に依存する、構成要素の導電性材料の崩壊(例えば、均質性の変化)の結果としての、導電性構成要素からの反射率信号の減衰;構成要素の誘電体層の変化の結果としての、構成要素を流れる電流の低下;構成要素の、最初は非導電性であった層の導電性の出現および/または上昇;装置のQ係数の変化;回路の導電性材料の、時間および温度に依存する崩壊の結果としての、電気回路の共鳴周波数の変化;のいずれかからなることができるが、これらに限定されるわけではない。
【0019】
本発明の技術は、少なくとも1種の反応剤で生じる物理反応および/または化学反応に依拠する。これは、この反応剤自体との反応であることができる。好ましくは、この反応は少なくとも2種の反応剤間で生じる。これらの反応剤は互いに隣接して配置してもよいし(例えば、初期条件における空間局在化)、反応混合物の形態で存在してもよい。少なくとも1種の反応剤が、時間および温度に伴う変化に直接さらされる。
【0020】
当然のことながら、少なくとも2種の反応剤が関与する場合、TTI構造自体に、求められるプロセスに必要な少なくとも2種の反応剤の少なくとも1種を含むことができるが、1種以上の他の反応剤は環境に「由来する」ものであってもよい(例えば、空気中に存在する酸素)。TTI構造内にある、この少なくとも1種の反応剤を「活性反応剤」と称する。これは、その反応剤が関連する、装置および/または構成要素において可変の電気特性を引き起こさせる、または起こす反応剤である。
【0021】
したがって、活性反応剤が時間および温度に伴う変化に直接さらされるような構成が可能である。または、少なくとも1種の別の反応剤(「不活性反応剤」と称する)がその変化に直接さらされる。これ関連して注意すべきは、不活性反応剤に関して本明細書において用いる「直接さらされる」という表現は、活性反応剤と比較した不活性反応剤の相対的条件を指すが、不活性反応剤は単独で、別の「不活性」反応剤を通じて、時間および温度に伴う周囲の変化の影響を受けることができるということである。注意すべきことに、本発明の最も現実的な応用においては、TTI構造の反応剤がすべて概ね均等に温度変化にさらされる。
【0022】
「不活性」反応剤に比べ、「活性反応剤」という用語は、可変の電気特性のTTI構成要素の一部分を形成する、この部分の影響を受ける、またはその部分である反応剤を意味する。活性反応剤は、最初から導電性を有していてもよいし、導電性材料に転換可能であってもよいし、誘電体の誘電透過率の変化(時間および温度に依存する反応/プロセスによって生じる)が電気部品の電気特性に影響を及ぼすような、電気部品の誘電体であってもよい。
【0023】
上記のように、物理反応(プロセス)および/または化学反応(プロセス)は、追加の1種以上の物質(不活性反応剤)を伴ったり、それによって媒介、触媒、抑制、および/または誘起され得る。1種以上の不活性反応剤は、例えば、時間および温度と相関関係にある速度で不活性反応剤および活性反応剤の互いへの拡散を引き起こす粘性物質(本明細書中で「粘弾性構成要素」と称する)を含むことができる。または、誘電体である粘性物質がTTI構造の活性反応剤中に存在してもよい。例えばコンデンサ電気部品の場合、粘弾性物質がコンデンサプレート間に配置された多孔性誘導体スペーサを満たし、経過した時間温度に依存するこの粘弾性液体の浸透度が、静電容量を変化させる。同様に、活性構成要素は複数のコンデンサからなることができ、時間温度履歴が、粘弾性液体によって浸透され、それにより「破壊」されたコンデンサの数で表される。
【0024】
「粘性物質」は粘性液体またはポリマーであることができることに注意すべきである。本明細書において用いる「粘弾性構成要素」という用語は、その粘性物質を指すこともある。上記のように、時間温度履歴と相関関係にある、時間温度に依存する放射をTTIから生成するために、1種以上の反応剤は、ドーピングまたは脱ドーピングの結果としてその電気伝導度が影響を受けることができる導電性材料(金属または半導体)を含んでもよいし、導電性材料に転換可能な材料(例えば、ヨウ素などのドーパントとの反応によって有機導電体に転換される、ポリチオフェン誘導体などの有機半導体)を含んでもよいし、電気部品の一部(例えば、コンデンサの誘導体スペーサ)を形成する誘導体であってもよい。当然のことながら、これらの例のすべてに共通するのは、TTI構造の電気特性が変化することである。
【0025】
したがって、本発明は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である少なくとも1種の活性半導体を含む、時間温度指示(TTI)装置を提供するものである。少なくとも活性反応剤は、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0026】
この電気部品は、抵抗器、および/またはコンデンサ、および/またはRF回路および/またはその他の任意の電気素子/回路として機能するように構成することができる。
【0027】
好ましくは、この化学反応および/または物理反応は、少なくとも1種の不活性反応剤によって引き起こされる。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、TTI装置は、互いに隣接して(例えば互いに接触して)配置された少なくとも2種の反応剤を含んでいる。これらの少なくとも2種の反応剤は、次のように選択される、すなわち、少なくとも2種の反応剤からの少なくとも1種の不活性反応剤が相変化を少なくとも部分的に起こすときに、その不活性反応剤が、少なくとも2種の反応剤からの少なくとも1種の活性反応剤との化学反応および/または物理反応を引き起こすように選択される。化学反応および/または物理反応は、少なくとも1種の活性反応剤が関連する構成要素の電気特性の変化を引き起こす。
【0029】
当然のことながら、本明細書において用いる「少なくとも部分的に相変化を起こす」という表現は、局所的な、部分的な、または完全な昇華、融解、溶解、材料浸透、または、任意の一次相転移、二次相転移、およびガラス転移や溶融などのような、混合次数の相転移を意味する。
【0030】
上記のように、この装置は、第2「不活性」反応剤として粘弾性構成要素を含むことができる。この構成要素は、装置の外面にあってもよいし、「活性」反応剤を提供してもよい。この粘弾性構成要素は、特定の応用に適した温度で固液転移を有していてもいなくてもよく、そのため部分的なまたは完全な時間温度履歴を監視することが可能になる。この粘弾性構成要素の特徴は、粘弾性構成要素に固有のある所定のしきい値温度を上回る温度に暴露されると、その移動度、他の化学物質を溶解および運搬する能力、ならびに多孔性体において広がる能力が変化することである。この所定の温度(凝固点)は、TTI装置の特定の応用に適した温度範囲に収まるように選択することができる。したがって、この粘弾性構成要素を使用することで、時間温度履歴の部分的指示を行わせることができる。この温度を下回ると、例えば、粘弾性構成要素が固体であって、時間温度に全く依存しないため、時間温度に伴う変化が一切測定されない。または、この粘弾性構成要素として、そのしきい値温度が適切な温度範囲を下回ると完全な時間温度履歴の測定が可能になるような構成要素を選択することができる。粘弾性物質が第1「不活性」反応剤である場合、移動度のその変化によって第2不活性反応剤に相変化プロセスが生じ、それにより、活性反応剤と第2不活性反応剤との間で、化学反応および/または物理反応の時間に依存する進展が引き起こされる。
【0031】
所定の誘電率を有する多孔性体によって隔てられる2つの金属/半導体層によってコンデンサ部品が形成される場合、温度に依存する速度で多孔性部材に浸透し、それにより、純粋な多孔性体と、粘弾性構成要素で満たされた多孔性体では誘電率が異なるため、コンデンサの突発短絡または静電容量の緩やかな変化のいずれかを引き起こす粘弾性構成要素を不活性反応剤として用いることができる。
【0032】
TTI装置は、この装置が作動していないときには物理反応および/または化学反応を防止し、装置が作動したときにはこのプロセス/反応の進展を可能にするように、適切に設計される。これは、破ること、取り外すこと、または穴開けすることができ、それによりTTI構造が環境の変化にさらされるように構成された密閉エンクロージャにTTI構造全体を最初から入れることで達成することができる。別の選択肢として、接着性を有する粘弾性ポリマーを使用するという方法、またはラベルに粘弾性ポリマーを配し、それにより、粘弾性構成要素がなければ不活性であるTTIの他の部分に粘弾性構成要素(活性反応剤、または活性反応剤と不活性反応剤)を取り付けるという方法がある。さらに別の選択肢として、不活性反応剤(例えば、粘弾性構成要素)を、活性反応剤から隔離した密閉容器に入れ、TTI装置を作動させる必要があるときに、密閉エンクロージャを取り外して、容器をTTIの別の部分(活性反応剤、または活性反応剤と不活性反応剤)に取り付け、それにより容器からTTIの他の部分への不活性反応剤(例えば、粘弾性構成要素)の浸透を可能にするという方法がある。さらに別の態様においては、TTI装置は、作動していない間、TTI構造(すなわち、1種以上の活性反応剤と、場合により1種以上の不活性反応剤)が不活性であるかまたは実質的に不活性であるような温度で維持され、TTI装置が作動されると、適切な温度範囲にさらされる。
【0033】
上記のように、活性反応剤は、電気回路内の導電性材料であることができる。この導電性材料は、RFタグの機構(アンテナ、抵抗器、またはコンデンサ)を形成するようにパターン形成することができる。このため、化学反応および/または物理反応によって、時間に依存する変化がタグの共振回路に生じる(時間が経つと、回路の遮断につながることがある)。このRF回路パターンは、任意の公知の適切な技術、例えば、印刷(例えば、インクジェット印刷)、CVD、PVD、スパッタリング、パターン形成(例えば、成形や切断/エッチング)などによって生成することができる。この装置は、電気絶縁(また好ましくは光学的に透明な)材料の第1基板層を含み、活性反応剤によって形成される構成要素の第2層構造(導電層、またはコンデンサもしくはRFタグを形成するようにパターン形成された層構造)と、場合により不活性反応剤材料の第3層も有する、多層構造(混成構造)として構成することができる。不活性反応剤の層構造の上に、別の不活性反応剤(例えば、粘弾性構成要素)の層を設けることができる。この装置は、光学的に透明であり電気絶縁材料の最上層を含むこともできる。
【0034】
本発明による好ましい時間温度指示装置の特徴は、電気部品が、抵抗器、コンデンサ、ダイオード、誘導コイル、およびアンテナからなる群より選択されることである。電気部品がRF回路の少なくとも1つの要素として構成されることが特に好ましい。
【0035】
また、化学反応および/または物理反応が、酸塩基反応、酸化還元反応、および塩生成反応からなる群より選択されるような時間温度指示装置が好ましい。
【0036】
好ましい時間温度指示装置には、少なくとも1種の活性反応剤が、その最初の非導電状態から導電状態に転換可能なポリマーであるような時間温度指示装置が含まれる。さらに好ましくは、少なくとも1種の活性反応剤がポリチオフェンであり、かつ不活性反応剤がヨウ素であるか、または少なくとも1種の活性反応剤がポリアニリンであり、かつ不活性反応剤がペルオキシ二硫酸化学種である。
【0037】
本発明による時間温度指示装置は好ましくは電気部品としてコンデンサを含んでいる。また、コンデンサがRF回路の要素として構成され、少なくとも1種の活性反応剤が、コンデンサにおける誘導体スペーサを提供する誘導体であれば、さらに好ましい。
【0038】
化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第1不活性反応剤の混合からなり、それにより少なくとも1種の活性反応剤の透過率の変化が生じるような、時間温度指示装置が好ましい。
【0039】
また、好ましくは、本発明による時間温度指示装置が電気絶縁材料の基板層を含み、電気部品を形成するように構成された層構造を有する多層構造として構成される。特に好ましくは、この層構造が誘電体層によって互いに隔てられる第1電極層および第2電極層を含み、それによりコンデンサ型の電気部品が形成される。
【0040】
より好ましくは、2つの部分の一方が少なくとも1種の活性反応剤を少なくとも含んでおり、他方の部分が少なくとも1種の第1不活性反応剤および/または第2不活性反応剤を含んでおり、2つの部分が互いに付着可能なように構成されており、それにより化学プロセスおよび/または物理プロセスが引き起こされ、それにより装置が作動されるような2つの部分の装置として時間温度指示装置が構成される。
【0041】
本発明はまた、時間温度指示装置を製造する方法も提供する。この方法は、電気部品であるか電気部品に転換可能である構成要素の一部である少なくとも1種の反応剤の少なくとも1種の材料を選択する工程と、構成要素をTTI装置に組み込む工程とを含んでいる。上記の少なくとも1種の反応剤は、構成要素の電気特性の変化を引き起こす化学プロセスおよび/または物理プロセスによって影響を受けるように選択される。
【0042】
好ましくは、少なくとも1種の不活性反応剤も、例えば活性反応剤に隣接して配置されるなど、TTI構造に組み込まれるように選択される。この内部の不活性反応剤は相変化を起こすような種類の反応剤であり、したがって隣接して配置された活性反応剤との化学反応または物理反応を引き起こす。化学反応または物理反応は、活性反応剤が関連する構成要素の電気特性の変化を引き起こす。
【0043】
一態様によれば、この方法は、追加の不活性反応剤として粘弾性構成要素を選択する工程と、反応剤間の接触を提供し、環境の変化にさらされる装置の外面に粘弾性構成要素を配置するために、反応剤と粘弾性構成要素を配置する工程とを含んでいる。別の態様によれば、粘弾性構成要素は活性反応剤であるように選択され、TTI構造は2つの導電層間に粘弾性層を配置し粘弾性層を環境の変化にさらすことで、構成される。粘弾性材料は所定の温度を有しているが、その所定の温度は、粘弾性構成要素がそれを上回る温度に暴露される時間に依存してその移動度および粘度が変化するような温度である。
【0044】
したがって、本発明による時間温度指示の方法は、少なくとも1種の活性反応剤と、電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす粘性物質の形態の少なくとも1種の不活性反応剤との間の化学反応および/または物理反応の工程を含んでいる。少なくとも1種の活性反応剤は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部であり、少なくとも1種の不活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択される。
【0045】
さらに好ましい、時間温度指示の方法においては、少なくとも1種の不活性反応剤が、少なくとも1種の第2不活性反応剤への時間に依存する熱伝達を引き起こし、それにより少なくとも1種の活性反応剤と、電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす少なくとも1種の第2不活性反応剤との間の化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされ、少なくとも1種の活性反応剤は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である。
【0046】
本発明の別の態様は、上記の時間温度指示装置の少なくとも1種の活性反応剤、少なくとも1種の第1不活性反応剤、および/または少なくとも1種の第2不活性反応剤を含む印刷用インクまたは印刷用濃縮インクに関するものである。
【0047】
本発明のさらに別の態様は、上記の時間温度指示装置のうちの少なくとも1つを含む、包装材料またはラベルに関するものである。
【0048】
一見して、本発明は次の見地に関するものである。
【0049】
第1の見地において、本発明は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である少なくとも1種の活性半導体を含む、時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0050】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品が抵抗器、コンデンサ、ダイオード、誘導コイル、およびアンテナの少なくとも1つを含んでいることである。
【0051】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品がRF回路の少なくとも1つの要素として構成されることである。
【0052】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品がRF回路として構成されることである。
【0053】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が導電性材料であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がコンデンサとして構成された電気部品の電極であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がRF回路として構成された電気部品の要素であることである。
【0054】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がRF回路として構成されることである。
【0055】
好ましくは、装置の特徴は、化学反応および/または物理反応が酸化還元反応を含むことである。
【0056】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が、コンデンサ型の電気部品の誘電体スペーサを提供する誘電体材料であり、化学反応および/または物理反応が活性反応剤の透過率の変化を引き起こすことである。
【0057】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が、その最初の非導電状態から導電状態に転換可能なポリマーであることである。
【0058】
好ましくは、装置は、電気絶縁材料の基板層を含み、少なくとも1つの構成要素を形成するように構成された層構造を有する、多層構造として構成される。より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、抵抗器部品、コンデンサ部品、ダイオード部品、誘導コイル部品、およびRF回路部品の少なくとも1つの少なくとも一部を形成する導電層を含んでいることである。層構造が、誘電体層によって互いに隔てられる第1電極層および第2電極層を含み、それによりコンデンサ型の電気部品が形成されるような装置がさらに好ましい。
【0059】
好ましくは、装置は、少なくとも部分的に取り外され、それにより少なくとも1種の反応剤が温度変化にさらされるように構成された密閉エンクロージャを有している。
【0060】
第2の見地において、本発明は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である少なくとも1種の活性半導体を含む、時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。装置は、少なくとも1種の不活性反応剤を含み、化学反応および/または物理反応は、活性反応剤と少なくとも1種の不活性反応剤との間の反応である。
【0061】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品が抵抗器、コンデンサ、ダイオード、誘導コイル、およびアンテナの少なくとも1つを含んでいることである。より好ましくは、装置は一連のコンデンサ部品を含んでいる。
【0062】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品がRF回路の少なくとも1つの要素として構成されることである。
【0063】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品がRF回路として構成されることである。
【0064】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が導電性材料であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がコンデンサとして構成された電気部品の電極であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がRF回路として構成された電気部品の要素であることである。
【0065】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がRF回路として構成されることである。
【0066】
好ましくは、装置の特徴は、少なくとも1種の不活性反応剤が電気部品のコンデンサの誘電体スペーサであることである。
【0067】
好ましくは、装置の特徴は、少なくとも1種の不活性反応剤が塩を含んでいることである。より好ましくは、装置の特徴は、化学反応および/または物理反応が、活性反応剤と塩の混合からなり、それにより活性反応剤材料の均質性が影響を受けることである。さらに好ましくは、装置は、粘性物質の形態の第2不活性反応剤を含んでいる。この粘性物質は、粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、塩への時間に依存する熱伝達が可能になり、それにより混合の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。
【0068】
好ましくは、装置の特徴は、少なくとも1種の不活性反応剤が粘性物質を含んでおり、この粘性物質は、粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択されることである。より好ましくは、装置の特徴は、粘性物質として、所定の温度が、装置の特定の応用に適した所定の温度範囲内に収まり、それにより装置が部分的な時間温度履歴指示を実施できるような物質が選択されることである。より好ましくは、装置の特徴は、粘性物質として、所定の温度が、装置の特定の応用に適した所定の温度範囲内に収まり、それにより装置が完全な時間温度履歴指示を実施できるような物質が選択されることである。
【0069】
好ましくは、装置は、粘性物質の形態の第2不活性反応剤を含んでいる。この粘性物質は、粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、第1不活性反応剤への時間に依存する熱伝達が可能になり、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。より好ましくは、装置の特徴は、粘性物質が、所定の温度が装置の特定の応用に適した所定の温度範囲内に収まり、それにより装置が部分的な時間温度履歴指示を実施できるように選択されることである。より好ましくは、装置の特徴は、粘性物質が、所定の温度が装置の特定の応用に適した所定の温度範囲内に収まり、それにより装置が完全な時間温度履歴指示を実施できるように選択されることである。
【0070】
好ましくは、装置の特徴は、化学反応および/または物理反応が、酸塩基反応、酸化還元反応、および塩生成反応の少なくとも1つを含んでいることである。
【0071】
好ましくは、装置の特徴は、化学反応および/または物理反応が酸化還元反応であり、少なくとも1種の不活性反応剤が装置の周囲からの反応剤であることである。
【0072】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が、コンデンサ型の電気部品の誘電体スペーサを提供する誘電体材料であり、化学反応および/または物理反応が活性反応剤の透過率の変化を引き起こすことである。
【0073】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が、その最初の非導電状態から導電状態に転換可能なポリマーであることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がポリチオフェンであり、不活性反応剤がヨウ素であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がポリアニリンであり、不活性反応剤がペルオキシ二硫酸化学種であることである。
【0074】
好ましくは、装置は、電気絶縁材料の基板層を含み、少なくとも1つの構成要素を形成するように構成された層構造を有する、多層構造として構成される。
【0075】
より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、抵抗器部品、コンデンサ部品、ダイオード部品、誘導コイル部品、およびRF回路部品の少なくとも1つを形成する導電層を含んでいることである。一連のコンデンサ部品を含んでいる装置がさらに好ましい。
【0076】
より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、時間温度に依存する化学プロセスおよび/または物理プロセスを引き起こすように選択され、活性反応剤の上に配置される第1不活性反応剤を含むことである。さらに好ましい装置においては、層構造が粘性物質の形態の第2不活性反応剤を含んでおり、この粘性物質は、その粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、第1不活性反応剤への時間に依存する熱伝達が可能になり、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。粘性物質が、第1不活性反応剤を覆う活性反応剤の上に配置されるような装置が最も好ましい。粘性物質が、活性反応剤の上に配置される第1不活性反応剤の上に配置されるような装置が最も好ましい。
【0077】
より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、時間温度に依存する化学反応および/または物理反応を引き起こすように選択され、活性反応剤の上に配置される第1不活性反応剤を含むことである。さらに好ましい装置においては、層構造が粘性物質の形態の第2不活性反応剤を含んでおり、この粘性物質は、粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、第1不活性反応剤への時間に依存する熱伝達が可能になり、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。この粘性物質が、第1不活性反応剤を覆う活性反応剤の上に配置されるような装置が最も好ましい。粘性物質が、活性反応剤の上に配置される第1不活性反応剤の上に配置されるような装置が最も好ましい。
【0078】
より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、誘電体層によって互いに隔てられる第1電極層および第2電極層を含み、それによりコンデンサ型の電気部品が形成されることである。さらに好ましい装置においては、少なくとも1種の不活性反応剤が粘性物質を含んでおり、この粘性物質は、粘弾性構成要素に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、誘電体スペーサ層に浸透し、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。
【0079】
好ましくは、装置が、2つの部分の一方が活性反応剤を少なくとも含んでおり、他方の部分が不活性反応剤を含んでおり、2つの部分が互いに取り付け可能なように構成されており、それにより化学プロセスおよび/または物理プロセスが引き起こされ、それにより装置が作動されるような2つの部分の装置として構成される。より好ましくは、装置の特徴は、一方の部分が活性反応剤および第1不活性反応剤を含んでおり、他方の部分が第2不活性反応剤を含んでいることである。より好ましくは、装置の特徴は、他方の部分が、粘性物質の形態の不活性反応剤を含んでおり、この粘性物質は、粘弾性構成要素に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすことができるように選択されることである。より好ましくは、装置の特徴は、不活性反応剤を含む他方の部分が、少なくとも部分的に取り外され、それにより不活性反応剤が温度変化にさらされるように構成された密閉エンクロージャを有していることである。
【0080】
第3の見地において、本発明は、RF回路部品の少なくとも1つの要素を形成するようにパターン形成された導電層の形態の少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、温度に依存する速度で、RF回路によって生成される信号の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0081】
別の見地において、本発明は、少なくとも1種の活性反応剤および少なくとも1種の不活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、RF回路部品の少なくとも1つの要素を形成するようにパターン形成された導電層の形態であり、少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、温度に依存する速度で、RF回路によって生成される信号の変化を引き起こす。
【0082】
さらに別の見地において、本発明は、RF回路部品の少なくとも1つの要素を形成する非導電層の形態の少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、温度に依存する速度で、RF回路によって生成される信号の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0083】
さらに別の見地において、本発明は、RF回路部品の少なくとも1つの要素を形成する非導電層の形態の少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、温度に依存する速度で、RF回路によって生成される信号の変化を引き起こす。
【0084】
さらに別の見地において、本発明は、少なくとも1つのコンデンサの誘電体スペーサである少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、少なくとも1つのコンデンサの電気特性の変化を引き起こす。
【0085】
さらに別の見地において、本発明は、少なくとも1つのコンデンサの誘電体スペーサである少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、少なくとも1つのコンデンサの電気特性の変化を引き起こす。
【0086】
さらに別の見地において、本発明は、少なくとも1つのコンデンサ部品の一部である少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、少なくとも1つのコンデンサの電気特性の変化を引き起こす。
【0087】
さらに別の見地において、本発明は、少なくとも1つのコンデンサ部品の一部である少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1つのコンデンサの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0088】
さらに別の見地において、本発明は、導電層の形態の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。活性反応剤は、活性反応剤の反射率の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0089】
さらに別の見地において、本発明は、導電層の形態の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、活性反応剤の反射率の変化を引き起こす。
【0090】
さらに別の見地において、本発明は、その不導電状態から導電状態に転換可能なポリマー層の形態の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、活性反応剤の導電状態への転換を引き起こす。
【0091】
さらに別の見地において、本発明は、時間温度指示(TTI)装置を製造する方法に関するものである。この方法は、電気部品であるか電気部品に転換可能である構成要素の一部である少なくとも1種の反応剤の少なくとも1種の材料を選択する工程と、構成要素をTTI装置に組み込む工程とを含んでいる。少なくとも1種の反応剤は、構成要素の電気特性の変化を引き起こす化学プロセスおよび/または物理プロセスによって影響を受けるように選択される。
【0092】
好ましくは、本発明による方法の特徴は、プロセスが酸化還元反応を含んでいることである。
【0093】
好ましくは、本発明による方法は、温度変化にさらされると、少なくとも1種の活性反応剤における化学反応および/または物理反応を引き起こす少なくとも1種の不活性反応剤を選択する工程を含んでいる。より好ましくは、本発明による方法は、活性反応剤を環境にさらし、それにより化学反応および/または物理反応が環境からの不活性反応剤によって引き起こされ得るように、TTI装置を配置する工程を含んでいる。より好ましくは、本発明による方法は、活性反応剤と不活性反応剤との間の接触領域を提供するために、少なくとも1種の不活性反応剤をTTI装置に組み込む工程を含んでいる。より好ましくは、本発明による方法の特徴は、少なくとも1種の不活性反応剤が、所定の温度を有するように選択される粘性物質であり、その所定の温度は、粘性物質がそれを上回る温度に暴露される時間に依存して粘性物質の移動度および粘度が変化するような温度であることである。より好ましくは、本発明による方法は、粘性物質がそれを上回る温度に暴露される時間に依存して粘性物質の移動度および粘度が変化するような所定の温度を有する粘性物質を選択する工程と、活性反応剤と粘性物質との間の接触領域を提供し、粘性物質を時間および温度の環境の変化にさらす工程とを含んでいる。より好ましくは、本発明による方法は、不活性反応剤を有するラベルを、少なくとも活性反応剤を含む構造に取り付ける工程を含んでいる。より好ましくは、本発明による方法は、出口を有する容器に不活性反応剤を入れること、容器を、少なくとも活性反応剤を含む構造に取り付け、それにより構造への不活性反応剤の移動を可能にすることとを含んでいる。容器上に密閉エンクロージャを備える工程を含む方法がさらに好ましい。密閉エンクロージャは、それを少なくとも部分的に取り外すことができ、それにより不活性反応剤が温度変化にさらされるように構成されている。
【0094】
好ましくは、本発明による方法は、密閉エンクロージャに、少なくとも1種の活性反応剤を入れる工程を含み、密閉エンクロージャは、少なくとも部分的に取り外され、それにより少なくとも1種の活性反応剤が温度変化にさらされるように構成される。
【0095】
好ましくは、本発明による方法の特徴は、電気部品が、印刷、CVD、PVD、スパッタリング、およびパターン形成の少なくとも1つを用いて形成されることである。
【0096】
さらに別の見地において、本発明は、時間温度指示(TTI)装置を製造する方法に関するものであって、この方法は、少なくとも2種の反応剤の少なくとも一方が、少なくとも1種の他方の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受ける活性反応剤であるように、少なくとも2種の反応剤の少なくとも2種の材料を選択する工程であって、この化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤が関連する構成要素の電気特性の変化を引き起こす工程と、少なくとも構成要素をTTI装置に組み込む工程を含んでいる。
【0097】
さらに別の見地において、本発明は、RF回路から時間温度に依存する信号を提供するように構成された時間温度指示(TTI)装置を製造する方法に関するものであって、この方法は、導電性材料を選択する工程を含み、導電性材料からRF回路の少なくとも1つの要素を次のように構成するものである、すなわち、導電性材料が、RF回路からの信号の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受ける活性反応剤を提供するようにその要素を構成するものである。
【0098】
本発明をより正しく理解し、本発明を実施することができる方法を知るために、さらに好ましい態様を、非限定的な実施例を用い、添付図面を参照して説明する。
【0099】
図1Aを参照すると、一般に10で指示されている本発明のTTI構造が概略的に示されている。一般に、TTI構造は、活性反応剤、または活性反応剤が関連する電気部品の電気特性に影響を及ぼす物理反応および/または化学反応を引き起こさせまたは起こし得るような種類の活性反応剤を含んでいる。この活性反応剤は、温度に依存する速度でその伝導度が低下する導電性材料(金属または半導体)であってもよいし、温度に依存する速度でその伝導度が上昇する不導体であってもよい。図1Aの実施例においては、TTI構造10は、第1活性反応剤R1および第2不活性反応剤R2を含んでいる。これらの反応剤は、この実施例では、接触するように互いに隣接して配置されている。活性反応剤R1は、最初から、抵抗器部品を提供する導電層(例えば銀)である。活性反応剤R1は、電気絶縁基板S上に配置されている。注意すべきことに、その最初から導電性を有する活性反応剤は、RF回路部品またはRF回路の機構の1つ(例えばアンテナ)として構成してもよいし、コンデンサ部品の電極であってもよい。後者の場合、不活性反応剤R2は、コンデンサの誘電体スペーサであることができる。不活性反応剤R2は、不活性反応剤R2において進展する、時間および温度に伴う変化に比例する速度で活性反応剤の導電性材料を崩壊させ(その均質性に影響する)、その結果、活性反応剤の電気特性(抵抗性)に影響を及ぼす。
【0100】
TTI構造10は好ましくは、第2不活性反応剤としての機能を果たす粘性材料(本明細書において「粘弾性構成要素」と称する)R3も含んでいる。この粘弾性構成要素は、粘弾性構成要素がさらされる周囲の温度に左右される粘度の変化または相間移動(固体から液体への)を示すように選択される。
【0101】
TTI構造は好ましくは、不活性要素および活性要素と周囲からの水の間の相互作用を避けるために適切に密閉される。
【0102】
基板Sはガラスやポリマー薄膜など、実質的に透明な層であり、好ましくは、TTIを特定の品目に添付できるように外面に接着性コーティングを有する。
【0103】
不活性反応剤R2は、塩層(KI、KCl、NaCl、KOH、炭酸塩など)であることができる。粘弾性層R3は例えば、ポリスチレンスルホン酸誘導体など、イオン性を有するポリマーのようなポリマーであることができる。
【0104】
導電層R1は、蒸着および/また無電解析出および/または電気的手段などを用いて、基板S上に堆積させることができる。不活性反応剤R2層は例えば、蒸着によって第1反応剤含有層の上に堆積させることができる(その他の任意の手段を用いてもよい)。
【0105】
粘弾性材料とは、弾性と粘性の両特性を同時に示す材料である。粘弾性材料は、粘弾性固体、すなわち変形時にある程度の粘性効果を示す弾性固体、または粘弾性液体、すなわちある程度の弾性効果を示す粘性液体のいずれかとして分類される場合がある。粘弾性液体は、せん断応力を受けたときに不定に変形し続ける粘弾性材料であるとして取り扱うことができる。粘弾性材料は、ガラス転移温度として知られている温度で不動のガラス状態から粘弾性液体状態への転移を示すことがある。また、粘弾性材料は、結晶質が融解する温度で部分的な結晶状態から非晶質状態への転移を示すこともある。
【0106】
また、粘弾性材料は、化学架橋されて粘弾性固体になることもできる。また、粘弾性材料は、マトリックス相に化学的に結合される結晶相またはガラス分散相の存在下で物理架橋されることもできる。また、粘弾性材料は、高分子間のイオン結合または水素結合のせいで粘弾性固体の特性を示すこともある(John D. Ferry, Viscoelastic Properties of Polymers, John Wiley & Sons, Inc. 1980年)。
【0107】
本発明の装置で用いられる粘弾性材料は、液体材料または固体材料であることができる。粘弾性液体状態とは、監視対象の物体がさらされるあらゆる温度で液体のままである状態である。その粘弾性材料は、監視対象の物体がさらされる予想温度範囲を下回る温度において、そのすべての温度遷移を有する。これにより、粘弾性材料が多孔性マトリックスと接触したときに作動状態になる指示装置が可能になる。またこれにより、予想温度範囲全体において粘弾性材料がマトリックス内に移動できるようになる。このように、指示装置が、監視対象の物体がさらされる温度範囲全体にわたって時間温度暴露の連続的積算を提供できるようになる。
【0108】
固体の粘弾性材料とは、材料の弾性率が十分低いため、装置に存在する毛管作用またはその他の駆動力の影響下で、変形して多孔性マトリックスに完全に浸透できるときに機能する材料である。
【0109】
本発明の指示装置で用いるのに適し得る粘弾性材料の非限定的な例として、天然ゴム、ブチルゴム、ポリブタジエン、ポリブタジエンとアクリロニトリルおよびスチレンとのコポリマー、ポリヘキセンなどのポリアルファオレフィン、ポリオクテン、これらとその他の物質とのコポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリクロロプレン、シリコーン粘着剤、およびスチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体、ならびにこれらの任意の混合物が挙げられる。
【0110】
この粘弾性構成要素は、特定の応用に適した温度で固液転移を有していてもいなくてもよい。そのため、適切に選択された粘弾性構成要素を使用することで、TTIの部分的なまたは完全な時間温度履歴を監視することが可能になる。この粘弾性構成要素は、粘弾性構成要素に固有の所定のしきい値温度を上回る温度に暴露されると、その移動度、他の化学物質を溶解および運搬する能力、ならびに多孔性体において広がる能力が変化することを特徴とするものであるように選択される。その変化によって他方の反応剤R2に相変化プロセスが生じ、それにより、活性反応剤R1と不活性反応剤R2との間で、化学反応および/または物理反応の時間に依存する進展が引き起こされることがある。
【0111】
このように、本出願の装置で用いられる粘弾性構成要素(例えばポリマー)R3は、温度Tgを下回る温度T1においてはポリマーが実質的に低い移動度と実質的に高い粘度を特徴とし、Tgを上回る温度T2においては、移動度が比較的高く粘度が比較的低いような、所定の温度Tgを特徴とするものであるように選択される。ポリマーの粘度は、Tgを上回る温度にさらされた場合に温度に伴って変化する。ポリマー層の粘度が低下するとポリマーR3への塩層R2の溶解が生じ、それにより、溶解した塩が導電性反応剤R1に徐々に浸透し、導電性材料の一部に取って代わるという作用をするか、あるいはそれと反応して導電性材料を崩壊させる。
【0112】
このため、温度T1において、不活性反応剤層と活性反応剤層の材料R2とR1の間に反応がほとんどまたは全く発生せず、TTI10の状態は事実上、時間に依存しない。Tgを上回る温度T2において、時間温度状態履歴に比例する速度で反応が発生し、TTI10の状態(少なくともその電気特性)は時間に依存する。これらの温度において、導電層R1(例えば銀)が崩壊し、その電気特性(伝導度)および光学特性(反射率)が、集積された時間温度履歴に応じて変化する。当然のことながら、部分的な時間温度指示または完全な時間温度指示のどちらが必要であるかに応じて、粘弾性構成要素として、それぞれ、特定の応用に適した温度範囲内または温度範囲外のしきい値温度Tgを有する構成要素が選択される(装置が温度変化にさらされるときに、温度の上昇または低下のどちらが予想されるかを考慮した上で)。
【0113】
注意すべきことに、2種の不活性反応剤を用意することは必須ではなく、単独の不活性反応剤R2を環境の変化に直接さらすことができる。粘性物質を使用する場合、その粘性物質は、実際に単独の不活性反応剤の役割を果たすことができる(このため、図1Aにおける他の反応剤R2が不要になる)。その結果、粘性物質の粘弾性の時間および温度に伴う変化によって、以下で詳しく例示するように、活性反応剤R1またはその活性反応剤が関連する構成要素、例えばRF回路、の検出可能な電気特性の変化が生じる。
【0114】
不活性反応剤材料と活性反応剤材料の間の反応は事実上、物理反応および/または化学反応であることができる。物理反応の例として、不活性反応剤、通常は可溶性塩の、活性反応剤の下部構造、通常は導電層をなす材料への置換、崩壊、溶解、転位、分離、混合、または挿入などの結果をもたらすような反応が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。本発明の他の態様においては、物理プロセス/反応の意味は、固定した多孔性/吸収材料内への液体材料の湿潤および進入のプロセス、または2種の液体の混合などであることができる。化学反応の例として、酸塩基反応、酸化還元反応、塩生成反応、および事実上、可逆的または不可逆的であることができるその他の反応が挙げられる。
【0115】
一般に、1種以上の活性反応剤材料は、活性反応剤の電気特性に影響を及ぼす物理反応または化学反応を引き起こさせまたは起こし得るような任意の1種以上の反応剤であることができる。活性反応剤と不活性反応剤は例えばそれぞれ、金属と酸化剤、金属酸化物と還元剤、金属または半導体と、KI、HCl、KOH、NaOHなどの崩壊剤、金属塩と、酸化剤、還元剤、崩壊剤などの薬剤であることができる。活性反応剤の中で、使用するのに適した金属および金属酸化物の例は、銀、金、アルミニウム、銅、ニッケルなど、およびこれらの酸化物または塩であるが、これらに限定されるわけではない。当然のことながら、活性反応剤が導電性材料を含んでいる、本発明の態様においては、この導電性活性反応剤材料としての必要条件は、酸化または還元され得ること、あるいはTTIの物理要素であってもなくてもよい不活性反応剤の選択材料によって崩壊され得ることのみである(以下でさらに詳しく説明する)。
【0116】
本発明の一部の他の態様においては、以下でさらに詳しく説明するように、活性反応剤は誘電体である。
【0117】
また注意すべきことに、本明細書において用いる「崩壊」という用語は、酸化、還元、材料除去(例えば溶解)のいずれかの効果によって引き起こされることがある、材料の均質性の変化を指す。
【0118】
図1Aの例に戻ると、活性反応剤材料と不活性反応剤材料の間の反応によって、導電層材料R1の均質性が影響を受け、その結果、この材料の電気特性が影響を受け、特に電気抵抗が劇的に変化する。また、この層の光応答も影響を受ける、すなわち、層の反射率が低下する。この反応は金属層の溶解において現れるため、電気抵抗は、導体において典型的である値から、絶縁材料を示す値に変化する。
【0119】
本発明によるTTI装置の連結およびトリガを例示している図1B〜1Dを参照する。
【0120】
図1Bの実施例においては、TTI構造は、活性反応剤(またはその要素の1つとして活性反応剤を含む電気部品)と、場合により不活性反応剤(これを用意することは必須ではないため、図では点線で示している)とによって形成され、最初は密閉エンクロージャSE内に配置される入れ物C内に配置される。TTI構造が活性反応剤のみによって形成される場合、その反応剤は導電性材料である。密閉エンクロージャは、密閉エンクロージャSEを破る、取り外す、または穴開けし、それによりTTI装置を作動させる、すなわち、TTI構造を環境の変化にさらすことができるように構成されている。当然のことながら、TTI構造が活性反応剤および不活性反応剤を含んでいる場合、その不活性反応剤は液体であることができ、その中に活性反応剤が埋め込まれる。
【0121】
図1Cの実施例においては、TTI構造は2つの部分の構造である。一方の部分P1は単独では不活性であるため、TTI装置を作動させるために、他方の部分P2と連結しなければならない。この「不活性な」部分P1は、活性反応剤(または、その要素の1つとして活性反応剤を含む電気部品)と、場合により第1不活性反応剤(これを用意することは必須ではないため、図では点線で示している)とを含んでいる。他方の部分P2は、不活性反応剤としての機能を果たす粘弾性ポリマーまたは粘弾性液体を含んでいる。この粘弾性ポリマーまたは粘弾性液体は、別個のラベルLに関連する。すなわち、この粘弾性ポリマーまたは粘弾性液体が粘着性のあるラベル上に配置されるか、あるいは粘着性のある粘弾性ポリマーが選択される(上記のように)。不活性なTTIの上にステッカーLが貼り付けられると、TTI装置が作動する。
【0122】
図1Dは、2つの部分の装置として構成されたTTI構造を例示している。このTTI構造は、入口O1を有する入れ物C1内に配置された、活性反応剤(またはその要素の1つとして活性反応剤を含む電気部品)と、場合により第1不活性反応剤(これを用意することは必須ではないため、図では点線で示している)とを有する、最初は不活性な部分P1と、最初は固体であり、出口O2を有する入れ物C2内に配置された粘弾性構成要素と密閉エンクロージャSEとを含む他方の部分P2とを含んでいる。後者は、入口および出口を介した2つの入れ物間の液体移動を可能にするために、それを破る、取り外す、または穴開けし、不活性な部分の入れ物に付着させることができるように構成されている。
【0123】
図2A〜2Hは、導電性活性反応剤の反射率の、時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Aは、ガラスなど、透明な絶縁基板層Sと、絶縁基板層Sの上に蒸着される、通常は100nmのKIである第1不活性反応剤層R2と、KIと湿気との接触を避けるために両側からもKIの層全体を覆う、通常は100nmの銀鏡層である活性反応剤層R1と、粘弾性ポリマーである第2不活性反応剤層R3とによって形成される、実験用のTTI構造100を示している。構造100は、一番上の透明層も含んでいる。
【0124】
粘弾性ポリマーR3は、温度に比例した速度で層R1およびR2の材料と混合する。図2Bは、その混合過程の時間温度の進展の様子を示している。図2C〜2Fは、活性反応剤層R1における、温度に依存する変化を示している(温度がそれぞれ35℃〜−2℃の範囲で変化する。時間点:開始時点(時間=0)、その41時間後、400時間後、および1700時間後)。図2Gおよび2Hは、それぞれ45°および20℃の環境条件および様々な粘弾性メディエーターにおいて90時間反応が進展した後の、活性反応剤の変化の結果を示している。
【0125】
本発明者らは、各種の粘弾性ポリマーを用いて実験を行った。結果は、様々な時間温度プロフィールだった。導電性活性反応剤の反射率は、温度の上昇および時間の経過に伴って上昇した。
【0126】
当然のことながら、構造100のガラス基板Sをポリマー被覆ITOに取り替えることで、コンデンサ構成が、2つの電極(層R1およびポリマー被覆ITO基板S)と、KI層R2によって両電極間に形成される誘導体スペーサとによって形成される。この場合、層材料R1およびR2が混合すると、容易に検出できるような形でこの構造の静電容量が影響を被る。
【0127】
図1および2Aを参照すると、当然のことながら、導電性活性反応剤層R1をRF回路を形成するようにパターン形成し、それによりRFタグとして機能させることができる。RFタグの構造および動作はそれ自体が公知であり、詳しく説明する必要がないため、以下の注意事項を記するにとどめる。一般に、RFタグは能動的タグ(すなわち、タグと一体化された内部エネルギー源を利用する)であるか、外部問い合わせ信号のエネルギーを利用して機能する受動的タグであることができる。RFタグは、タグ読み取り機または外部装置から供給されるエネルギーに依存する。RFタグは、エネルギーが与えられ(例えば、受信した問い合わせ信号によって)、エネルギーが与えられるとアンテナを励起させて回路の共振周波数でRF応答信号を送信させる共振回路または振動性回路(通常、コンデンサ素子、誘導素子、および抵抗素子を含んでいる)に取り付けられたアンテナを含んでいる。RF IDタグで用いられるアンテナは一般に、タグ表面にエッチング処理またはめっき処理されたワイヤーまたは金属のループによって構成されている。
【0128】
図3は、本発明のTTI装置300を読み取るためのシステム200を概略的に示している。この実施例においては、装置300は図1の実施例に似たTTI構造を含んでいるが、当然のことながら、図2Aの構造や、単一の不活性反応剤を有する構造を用いることもできる。
【0129】
RFタグパターンは、様々なコード構成またはメモリー構成を有することができる。最も単純なのは単一コードタグ(EASシステムで一般的に利用されているような)である。そのタグは、読み取り機によって作動されると単一の応答を出す。この応答は単に、タグが存在するかどうか、または作動されているかどうかを示す「はい」または「いいえ」である。または、RFタグパターンが、それぞれ問い合わせ信号に応えて所定の周波数で応答信号を出力するための複数の共振回路を形成することができる。応答信号は、個別回路の数とそれらの動作によって決められる、タグ全体の応答コードを形成する。本発明で用いるのに適したRF構成は、例えば米国特許第6,104,311号および第6,304,169号で開示されている。このように、RFタグは一般に、少なくとも1つの共振回路を含んでいる。RFタグの各素子を基板層に印刷することができるか(導電性インクを用いて公知の方法で)、あるいは連続した導電層を基板上に堆積させ、次にタグの各素子を形成するようにパターン形成することができる。コンデンサ素子、誘導素子、および抵抗素子の大きさを、RFタグのコード要素を表す周波数に従って、印刷/パターン形成工程の一部として事前に決めることができる。
【0130】
システム200は、問い合わせアンテナ202A、RF ID読み取り機204、および制御ユニット206を含んでいる。TTI装置300(TTIが関連する製品)が時間温度環境の変化にさらされている間、活性反応剤と不活性反応剤の間の反応が進展するため、少なくとも1つのRFタグ機構の電気特性の変化が生じ、その結果、問い合わせフィールドに対するRFタグ応答の変化が生じる。この変化を検出するために、アンテナ202が読み取りフィールドによってTTIにエネルギーを与え(問い合わせし)、TTI応答が読み取り機204によって検出され、読み取り機が、検出された応答を示すデータを生成し、そのデータを制御ユニット206に送信する。RFタグ読み取りの原理はそれ自体が公知であり、詳しく説明する必要がない。
【0131】
コンデンサとして構成された電気部品を含む、本発明のTTI構造のさらに別の実施例を示す図4A〜4Eを参照する。図4A〜4Cの実施例においては、TTI構造400Aは、2つの電極E1およびE2と、多孔性材料の形態のこれらの電極間の誘電体スペーサとによって形成されるコンデンサと、粘弾性ポリマーまたはその他の任意の粘性材料を収容する容器とを含んでいる。この容器はコンデンサ部品に隣接して配置されており、コンデンサ部品への粘弾性ポリマーの移動を可能にする出口を有している。図4Aは、TTI装置の開始点、すなわち作動していない状態を示している(例えば、容器は、装置を作動させるために破る、取り外す、または穴開けする必要がある密閉エンクロージャを有することができる)。図4Bは、しばらく時間が経過して粘弾性構成要素が多孔性材料に浸透し、それにより静電容量の変化が生じ、装置の時間温度履歴が示されている状態の装置を示している。図4Cは、さらに時間が経過して粘弾性構成要素が完全に多孔性材料を満たし、静電容量が変化し、より長い時間温度履歴が示されている状態の装置を示している。注意すべきことに、粘性液体が多孔性材料に浸透した距離を測定することで時間温度経過を容易に見てとれるように、一方または両方の電極が透明であることができる。
【0132】
誘電体スペーサへの粘弾性構成要素の浸透によってスペーサ材料の誘電透過率が影響を受け、その結果、静電容量が影響を受ける。この場合、コンデンサの誘導体スペーサが活性反応剤を提供する、すなわち、時間温度によって変化する誘電透過率を有し、それによりコンデンサ部品の電気特性の変化が引き起こされる。さらに、粘弾性構成要素に溶けている間に、活性反応剤を提供する電極層の均質性に影響を及ぼすような、上記の図1Aの実施例に似た誘電体スペーサ材料を選択することができる。
【0133】
図4Dの実施例においては、TTI構造400Dは、電気絶縁基板層S(例えばガラス)と、電極E1およびE2を形成するようにパターン形成された基板上の導電層と、紙層や多孔性金属酸化物層などの多孔性絶縁層である活性反応剤R1を提供する2つの電極間の誘電体スペーサ層Dと、粘弾性層R2と、取り外し可能なエンクロージャとを含んでいる。層R2の粘弾性は時間および温度に伴って変化するため(上記のように)、この粘弾性液体が層R1に浸透し、スペーサ層R1の誘電透過率の変化の結果として時間温度に伴う静電容量の変化をもたらす。図4Eの実施例においては、TTI構造400Eは、第1電極E1を提供する導電層で被覆された絶縁基板Sと、コンデンサの誘電体スペーサであり、活性反応剤R1を提供する紙層などの多孔性絶縁層と、粘弾性層(不活性反応剤R2)と、粘弾性層R2の上の第2電極E2層(透明であってもなくてもよい)とを含んでいる。粘弾性層R2が、電極E2を通じておよび/または電極E2の外部の層R2の領域を通じて、時間および温度に伴う環境の変化にさらされる。
【0134】
当然のことながら、粘弾性層がイオン性または電荷性導体である場合に発生することがあるイオン伝導から導電層を絶縁する2つの追加絶縁層を構造400Aおよび400Bで使用することができる。
【0135】
また、図4A〜4Eのコンデンサ部品がRF回路の要素であってもよいことに注意すべきである。この場合、時間温度に伴うコンデンサの誘電体スペーサR1の変化によって、RF回路からのRF信号の変化が引き起こされる。
【0136】
第1の標準コンデンサ(C1)、抵抗器(R1)、アンテナ(L1)、および第2の時間温度応答コンデンサを有するRF回路から始まって、C2の静電容量が、温度に依存する速度で時間の経過に伴って変化する。温度依存性が連続的であってもよいし、所定温度を下回った場合に時間の経過に伴う静電容量の変化を無視できるようなしきい値を温度依存性が有してもよい。
【0137】
R1が所定の抵抗器であると仮定すると、共振周波数は、作動からの経過時間が0時間である場合に
【化1】
である。C2の静電容量がゼロまたは所定の任意の値C2’に低下すると、周波数は、傷んだ物品を定義する周波数
【化2】
に達する。
【0138】
考慮に入れる必要がある唯一の要因は静電容量の変化である。そのために、コンデンサは次の構成とともに用いられる。
−脱ドープ剤を有する粘性層
−金属グリッド
−ドープ共役ポリマー
−絶縁層
−金属電極
【0139】
ドープ共役ポリマーの上に配置された金属グリッドの上に脱ドープ剤を含む粘性層を配置すると、脱ドープ剤を含む粘性層によって、時間温度に依存する速度でドープ共役ポリマーの脱ドープが生じ、そのため、回路のC2の静電容量および共振周波数が変化する。
【0140】
抵抗器R1として機能するときのドープ共役層の抵抗など、装置の他の電気特性および/または電子特性と、そのAC応答およびDC応答が、温度に依存する速度で変化してもよい。R1の抵抗の場合、影響は主に共振回路のQ係数で表される。
【0141】
当然のことながら、「時間温度に依存する速度で」という用語は、結果が電子特性の緩やかな変化であるということを意味するが、他の態様では、電子特性の急激な変化が生じてもよい。
【0142】
コンデンサの誘電体スペーサを通じた、時間温度に伴うTTIの電気特性の変化を引き起こさせるさらに別の実施例では、単一のコンデンサではなく、粘弾性ポリマーが浸透すると壊れる複数のコンデンサが用いられる。この場合、温度・時間プロフィールが、影響を受けた(すなわち、粘弾性構成要素が浸透した)コンデンサの数として測定される。当然のことながら、複数のコンデンサに次々に浸透するのに、同じ種類の粘弾性ポリマーを用いてもよいし、異なる浸透率を有する異種の粘弾性ポリマーを用いてもよいし、コンデンサ内で異種の多孔性材料を用いてもよいし、および/またはコンデンサの電極間で異なるスペーサを用いてもよい。
【0143】
本発明の装置は、例えばインクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷など、任意の公知の適切な技術を用いて製造することができる。
【0144】
本発明のさらに別の態様を示す図5を参照する。ここで、TTI構造500は、その構成要素として、環境にさらされると酸化を受けるような種類の導電層の形態の活性反応剤R1のみ用いるように構成されている。この反応剤はCuやGaAsなどであることができる。不活性反応剤R2(酸素)は環境からもたらされる。時間温度に依存する酸化によって、層R1の伝導度および反射率の変化が生じる。ここでも、層R1がRF回路を形成するようにパターン形成されている場合、この層の酸化によって、問い合わせフィールドに対する回路応答の変化が生じる。
【0145】
図6は、本発明のさらに別の実施例を示している。最初は導電性を有していないが、導電性材料に転換可能であるような種類のポリマー層である活性反応剤層R1(基板の上の)と、活性反応剤R1の伝導度に影響を及ぼして導電性材料に転換させるような反応剤として選択される不活性反応剤R2とを含むTTI構造600が示されている。活性反応剤R1はポリチオフェンであることができ、不活性反応剤R2はヨウ素(I2)、ヨウ素の複合体(例えば、でんぷん・ヨウ素複合体)、またはポリマーマトリックスに溶解したヨウ素であることができる。環境にさらされると、R2はゆっくりと昇華してポリチオフェン層R1に浸透する。これにより、ポリチオフェン層R1に導電性がもたらされる。この場合、TTIの状態変化を、活性反応剤R1を流れる電流を測定することで検出することができる。また、導体になるとポリチオフェンの色が黒になるため、目視でTTIの状態変化を検出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1A】不活性反応剤および活性反応剤を利用した、本発明の一態様によるTTI構造の概略図である。活性反応剤は、抵抗器部品またはRF回路を形成する導電性材料である。
【図1B】本発明によるTTI装置の連結およびトリガの様々な実施例を概略的に示している。
【図1C】本発明によるTTI装置の連結およびトリガの様々な実施例を概略的に示している。
【図1D】本発明によるTTI装置の連結およびトリガの様々な実施例を概略的に示している。
【図2A】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Aは、実験用のTTI構造100を示している。
【図2B】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Bは、活性反応剤および不活性反応剤の間の混合過程の時間温度の推移を示している。
【図2C】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Cは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2D】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Dは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2E】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Eは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2F】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Fは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2G】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Gは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2H】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Hは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図3】RF回路の形態の活性反応剤を利用した、本発明のTTI装置を読み取るためのシステムを概略的に示している。
【図4A】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図4B】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図4C】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図4D】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図4E】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図5】環境によって影響を受ける導電層の形態の活性反応剤を利用した、TTI構造のさらに別の実施例の概略図である。
【図6】導電性材料に転換可能な材料の形態の活性反応剤を利用した、本発明のさらに別の態様によるTTI構造の概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に測定・指示技術の分野に属するものであって、時間温度指示装置およびこの装置の製造方法並びに読み取り方法に関する。
【0002】
時間温度指示装置(または「時間温度積算計」とも称する)は、温度および時間に比例する速度で進行する、少なくとも1つの可変で観測可能な物理的特性を特徴とする装置であり、したがってそのすぐ周りの環境の完全なまたは部分的な時間温度履歴の指示を提供する。時間温度指示装置(TTI)は、通常はラベルとして設計される、単純で安価な装置である。傷みやすい物品に添付されたTTI(適切に設計され較正された)は、その物品の時間温度履歴を監視し、物品の時間温度への暴露履歴に関する、単純で通常は可視的なわかりやすい概要を提供し、それにより物品の鮮度状況の指示を提供する。したがって、TTIは最も有望な品質保持期限報告技術の1つである。
【0003】
TTIの概念は、食品や医薬品など傷みやすい物品の安全性および品質を、製造から消費者によって消費される時点までの寿命全体にわたって保証するために創出された。食品、医薬品、ワクチン、血液など多種の傷みやすい物品の安全性および品質は、主に流通および保管の際の適切な保管条件に左右される。ガス組成、相対湿度、温度など様々な要因が物品の実際の寿命に影響を及ぼす。変化する状況がこの種の物品の有効品質保持期限に影響を及ぼすという事実は、適切な保管条件に依存する「有効期限」タイプのラベルには反映されない。すべての保管要因の中で、適正でない温度が、物理プロセス、化学プロセス、酵素プロセス、または微生物プロセスに基づく、最も頻繁に観察される劣化の要因である。したがって、TTI技術は、食品および医薬品のチェーンを管理するための簡易手段を提供することができる。TTIの色および/またはその他の目に見える物理的特性は、温度に依存する速度で時間に依存して変化するため、所定の比較尺度を備える、TTIラベルの色(または暗さ)またはその他の任意の目に見える特性を比較することで、TTIが添付された商品の「鮮度」の有効な尺度を提供する。TTI装置は、時間温度要因に関する、「はい」または「いいえ」のようなはっきりした回答を提供するように設計することができるため、重要な「明確な」回答を提供し、さらに複雑なデータ検査を省くことができる。これは、リアルタイムの意思決定および行動が重視されるHACCP(危害分析重要管理点)にとって理想的である。例えば、次の特許公報で各種のTTIが開示されている。
【0004】
米国特許第4,737,463号では、ジアセチレン塩を利用した光活性化可能な時間温度指示装置が開示されている。熱に反応しない(「不活性」)ジアセチレン塩(またはそのような塩の混合物)が、光に暴露されると酸を生成する物質とポリマーマトリックス中で混合される。光励起、好ましくは紫外線または近紫外線によって、熱に反応する(「活性」)遊離ジアセチレン酸が形成される。この活性化段階に続いて、温度とともに加速する速度で進行性の発色が生じる。この指示装置は、傷みやすい商品、特に冷凍を必要とする商品の鮮度を監視するのに有用である。
【0005】
国際公開公報第99/39197号では、時間制限があり温度に敏感な商品の包装のためまたはそれに添付するための基材を提供する技術が開示されている。この技術によれば、基材の1領域に取り付けた平面的な時間温度積算計が用いられ、この時間温度積算計は、マトリックスと、マトリックスに埋め込まれる少なくとも1つの可逆性指示薬を含む。この指示装置はフォトクロミック特性を有している。
【0006】
米国特許第6,435,128号では、物体の累積的な熱暴露の視覚的に観察可能な指示を提供する時間温度積算インジケータ装置が開示されている。この装置は、拡散的に光を反射する多孔性マトリックスを有する基板と裏材を含んでいる。この裏材はその表面に、基板と接触するための粘弾性指示材料と、基板と裏材の間の粘弾性指示材料の横および縦に流れるのを実質的に阻止するためのバリヤ材料とを含んでいる。
【0007】
米国特許第6,042,264号では、所定の温度を上回る温度に商品が暴露される時間の長さを測定するための、ラベルとして設計された時間温度指示装置が開示されている。この暴露時間と、指示装置が暴露される温度との積算がなされる。このラベルは、その裏面で商品容器に接着させるのに適した複数の層の合成物である。このラベルは、印刷可能な表面層と、実質的にウィッキングストリップの向かい合う両端においてのみ、表面層の下に接着される縦長のウィッキングストリップと、表面層とともに囲いを形成する下側の基板層とを含んでいる。所定の温度を上回ると溶けて流れる熱溶解性物質が、ウィッキング部材の少なくとも一方の端部に近接する、ウィッキングストリップの表面に施される。所定の温度を上回る温度に暴露された熱溶解性物質は、ウィッキング部材に沿って流れる。ラベルは印刷可能な表面層を有しており、その周辺端部において基板層の周辺端部に対して密閉されている。これらの層が、ウィッキング部材と熱溶解性物質を封入する。表面層において、ウィッキング部材の上方の中間位置にのぞき窓が設けられており、この窓を通じてウィッキング部材上の流れの経過が観察される。
【0008】
国際公開公報第03/077227号では、第1表面および第2表面を有するラベル基板と、酸ベースの指示組成物と、活性化剤組成物とを含む時間指示ラベルが開示されている。酸ベースの指示組成物および活性化剤組成物の一方が基板の第1表面に配され、これらの組成物の両方は接触時に接着されたままである。ラベルは、ラベルの第2表面上に感圧接着剤を有していてもよい。ラベルは、冷凍食品の安全性を判断する効果的な手段を提供する。またラベルは、時間制限があり再使用できないネームバッジを備えることで、セキュリティを確保する手段も提供する。このネームバッジは、訪問者の時間の長さを監視してネームバッジの再使用を防止する手段を提供する。
【0009】
国際公開公報第03/044521号では、包装された食品の品質を特定するために、RF技術によって遠隔から読み取るのに適したセンサーが開示されている。このセンサーは、食品の微生物による腐敗が原因で食品パッケージの空気中に生成された化合物、例えば硫化水素またはその他の硫化物に反応するか、あるいはパッケージの漏れが原因でパッケージの空気中で上昇した酸素含有量に反応する。このセンサーはRF回路に基づいている。酸素または微生物により生成されるガスが、回路材料の電気特性に影響を及ぼす。例えば、回路の抵抗器、コンデンサ、もしくは誘導コイル、またはこれらの少なくとも一部分は、銀、鉄、アルミニウム、レドックス型指示染料、導電性ポリマー、または銅からなっている。上記のガスとこれらの材料との反応が原因で、各センサー素子のセンサー抵抗、伝導度、静電容量および/またはインダクタンスが崩壊ガスの量に応じて変化する。
【0010】
国際公開公報第01/25472号では、商品が暴露されている時間および温度を監視するのに役立つバイオセンサーが開示されている。このバイオセンサーは、時間および温度に依存してその伝導度/抵抗が変化するユニットを含むRF回路に基づいている。このユニットは酵素および基板を含んでおり、この酵素はこの基板に影響を及ぼすのに適しているため、ユニットの伝導度は時間および温度に依存して高くなる。したがって、RF回路の全抵抗に依存し、そのためバイオセンサーのユニットが暴露されている時間および温度に依存して変化する、測定可能な電流を発生するよう、例えば磁場を加えることにより起動し得るRF回路を備えるバイオセンサーが開示される。
【0011】
国際公開公報第95/33991号では、傷みやすい物品向けの状態指示装置が開示されている。この指示装置はセンサー手段を含んでおり、これは、センサー手段の電気特性に影響を及ぼす腐敗または汚染に関連するガスまたは蒸気を感知し、その特性を測定する電気回路に組み込まれている。国際公開公報第95/33991号で開示されている電気回路はRF回路ではない。このことは、センサーの変化を遠隔から読み取ることができないことを意味している。この回路は印刷することができる。このセンサーは、特定のガスに暴露されると抵抗やインピーダンスなどの電気特性が変化するポリピロールなどの半導体材料を含むことができる。
【0012】
改良されたTTI装置ならびにその製造および使用の方法を提供することにより、食品(およびその他の傷みやすい物品)の供給チェーンに沿った連続的かつ部分的な温度制御を容易にすることが、当技術分野で求められている。
【0013】
これまで多くの国において、冷却チェーンの間の温度順守に関する規制および/または勧告が十分に確立されている。冷却チェーンに沿って温度を制御および監視するために、これまでは、代表とみなされる試料についてわずかな回数のスポット試験が行われていただけである。この試験はせいぜい、製造者と最終販売業者の裏庭の間という、冷却チェーンの一部に限定される。ほとんどの場合、消費者にかかわる冷却チェーンの部分は全く監視されない。このように、食品チェーンに沿った、十分に確立された連続温度制御はまだ存在していない。
【0014】
本発明は、TTI装置が取り付けられる任意の物品の時間温度の履歴の単純な概要を提供することができるTTI装置を提供することにより、上記の問題を解決する。本発明のTTI装置は、TTI構造における時間温度に依存する化学プロセスおよび/または物理プロセスによって引き起こされる、TTI構造の電気特性の変化を提供するように構成されている。この変化は、放出や反射など、TTI構造に由来する1以上の放射特性の変化として検出可能である。これは、TTI構造がいわゆる「能動的な構造」として構成されている場合、電池などの内部エネルギー源でリレーするTTI装置によって本来的に生成される放射であることができ、「受動的な」TTI構造として構成されている場合、特定の外部場に対する応答としてTTI構造によって生成される放射であることができる。代替的に、または、付加的に、TTI構造は、TTI構造の構成要素の伝導度の変化を提供するように構成することもできる。この構成要素は、最初から、温度および時間に依存してその伝導度が変化する導電性構成要素であることができる。または、構成要素は大幅に非伝導的な特性を有していてもよく、構成要素が導電性を有するものに転換されると、その電気伝導度は温度および時間に依存して引き起こされ、変化され得る。TTI構造の電気特性の変化を、色(例えば、多孔性媒体への粘弾性液体の浸透、半導体のドーピングプロセス)や反射率など、TTIの光学特性の変化として視覚的に検出することもできる。
【0015】
したがって本発明は、その最も広い見地において、電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示装置に関する。少なくとも1種の活性反応剤は、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性を本来的に変化させるように選択される。
【0016】
別の見地において、本発明は、(i)電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤であって、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される、少なくとも1種の活性反応剤;および(ii)粘性物質の形態の少なくとも1種の第1不活性反応剤を含み、化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第1不活性反応剤との間の反応であり、少なくとも1種の第1不活性反応剤が、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択される、時間温度指示装置に関する。
【0017】
また、さらに別の見地において、本発明は、(i)電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤であって、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される、少なくとも1種の活性反応剤;(ii)粘性物質の形態の少なくとも1種の第1不活性反応剤;および(iii)少なくとも1種の第2不活性反応剤を含む。化学反応および物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第2不活性反応剤との間の反応であり、少なくとも1種の第1不活性反応剤が、少なくとも1種の第2不活性反応剤への時間に依存する熱伝達を引き起こし、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択される、時間温度指示装置に関する。
【0018】
一般に、TTI構造は、時間および温度に依存する物理プロセスおよび/または化学プロセスの結果として変化する電気特性を有する少なくとも1つの構成要素(例えば、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、誘導コイル、RF回路、能動アンテナまたは受動アンテナ)を画定するように構成される。この変化は、時間および温度に依存する、構成要素の導電性材料の崩壊(例えば、均質性の変化)の結果としての、導電性構成要素からの反射率信号の減衰;構成要素の誘電体層の変化の結果としての、構成要素を流れる電流の低下;構成要素の、最初は非導電性であった層の導電性の出現および/または上昇;装置のQ係数の変化;回路の導電性材料の、時間および温度に依存する崩壊の結果としての、電気回路の共鳴周波数の変化;のいずれかからなることができるが、これらに限定されるわけではない。
【0019】
本発明の技術は、少なくとも1種の反応剤で生じる物理反応および/または化学反応に依拠する。これは、この反応剤自体との反応であることができる。好ましくは、この反応は少なくとも2種の反応剤間で生じる。これらの反応剤は互いに隣接して配置してもよいし(例えば、初期条件における空間局在化)、反応混合物の形態で存在してもよい。少なくとも1種の反応剤が、時間および温度に伴う変化に直接さらされる。
【0020】
当然のことながら、少なくとも2種の反応剤が関与する場合、TTI構造自体に、求められるプロセスに必要な少なくとも2種の反応剤の少なくとも1種を含むことができるが、1種以上の他の反応剤は環境に「由来する」ものであってもよい(例えば、空気中に存在する酸素)。TTI構造内にある、この少なくとも1種の反応剤を「活性反応剤」と称する。これは、その反応剤が関連する、装置および/または構成要素において可変の電気特性を引き起こさせる、または起こす反応剤である。
【0021】
したがって、活性反応剤が時間および温度に伴う変化に直接さらされるような構成が可能である。または、少なくとも1種の別の反応剤(「不活性反応剤」と称する)がその変化に直接さらされる。これ関連して注意すべきは、不活性反応剤に関して本明細書において用いる「直接さらされる」という表現は、活性反応剤と比較した不活性反応剤の相対的条件を指すが、不活性反応剤は単独で、別の「不活性」反応剤を通じて、時間および温度に伴う周囲の変化の影響を受けることができるということである。注意すべきことに、本発明の最も現実的な応用においては、TTI構造の反応剤がすべて概ね均等に温度変化にさらされる。
【0022】
「不活性」反応剤に比べ、「活性反応剤」という用語は、可変の電気特性のTTI構成要素の一部分を形成する、この部分の影響を受ける、またはその部分である反応剤を意味する。活性反応剤は、最初から導電性を有していてもよいし、導電性材料に転換可能であってもよいし、誘電体の誘電透過率の変化(時間および温度に依存する反応/プロセスによって生じる)が電気部品の電気特性に影響を及ぼすような、電気部品の誘電体であってもよい。
【0023】
上記のように、物理反応(プロセス)および/または化学反応(プロセス)は、追加の1種以上の物質(不活性反応剤)を伴ったり、それによって媒介、触媒、抑制、および/または誘起され得る。1種以上の不活性反応剤は、例えば、時間および温度と相関関係にある速度で不活性反応剤および活性反応剤の互いへの拡散を引き起こす粘性物質(本明細書中で「粘弾性構成要素」と称する)を含むことができる。または、誘電体である粘性物質がTTI構造の活性反応剤中に存在してもよい。例えばコンデンサ電気部品の場合、粘弾性物質がコンデンサプレート間に配置された多孔性誘導体スペーサを満たし、経過した時間温度に依存するこの粘弾性液体の浸透度が、静電容量を変化させる。同様に、活性構成要素は複数のコンデンサからなることができ、時間温度履歴が、粘弾性液体によって浸透され、それにより「破壊」されたコンデンサの数で表される。
【0024】
「粘性物質」は粘性液体またはポリマーであることができることに注意すべきである。本明細書において用いる「粘弾性構成要素」という用語は、その粘性物質を指すこともある。上記のように、時間温度履歴と相関関係にある、時間温度に依存する放射をTTIから生成するために、1種以上の反応剤は、ドーピングまたは脱ドーピングの結果としてその電気伝導度が影響を受けることができる導電性材料(金属または半導体)を含んでもよいし、導電性材料に転換可能な材料(例えば、ヨウ素などのドーパントとの反応によって有機導電体に転換される、ポリチオフェン誘導体などの有機半導体)を含んでもよいし、電気部品の一部(例えば、コンデンサの誘導体スペーサ)を形成する誘導体であってもよい。当然のことながら、これらの例のすべてに共通するのは、TTI構造の電気特性が変化することである。
【0025】
したがって、本発明は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である少なくとも1種の活性半導体を含む、時間温度指示(TTI)装置を提供するものである。少なくとも活性反応剤は、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0026】
この電気部品は、抵抗器、および/またはコンデンサ、および/またはRF回路および/またはその他の任意の電気素子/回路として機能するように構成することができる。
【0027】
好ましくは、この化学反応および/または物理反応は、少なくとも1種の不活性反応剤によって引き起こされる。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、TTI装置は、互いに隣接して(例えば互いに接触して)配置された少なくとも2種の反応剤を含んでいる。これらの少なくとも2種の反応剤は、次のように選択される、すなわち、少なくとも2種の反応剤からの少なくとも1種の不活性反応剤が相変化を少なくとも部分的に起こすときに、その不活性反応剤が、少なくとも2種の反応剤からの少なくとも1種の活性反応剤との化学反応および/または物理反応を引き起こすように選択される。化学反応および/または物理反応は、少なくとも1種の活性反応剤が関連する構成要素の電気特性の変化を引き起こす。
【0029】
当然のことながら、本明細書において用いる「少なくとも部分的に相変化を起こす」という表現は、局所的な、部分的な、または完全な昇華、融解、溶解、材料浸透、または、任意の一次相転移、二次相転移、およびガラス転移や溶融などのような、混合次数の相転移を意味する。
【0030】
上記のように、この装置は、第2「不活性」反応剤として粘弾性構成要素を含むことができる。この構成要素は、装置の外面にあってもよいし、「活性」反応剤を提供してもよい。この粘弾性構成要素は、特定の応用に適した温度で固液転移を有していてもいなくてもよく、そのため部分的なまたは完全な時間温度履歴を監視することが可能になる。この粘弾性構成要素の特徴は、粘弾性構成要素に固有のある所定のしきい値温度を上回る温度に暴露されると、その移動度、他の化学物質を溶解および運搬する能力、ならびに多孔性体において広がる能力が変化することである。この所定の温度(凝固点)は、TTI装置の特定の応用に適した温度範囲に収まるように選択することができる。したがって、この粘弾性構成要素を使用することで、時間温度履歴の部分的指示を行わせることができる。この温度を下回ると、例えば、粘弾性構成要素が固体であって、時間温度に全く依存しないため、時間温度に伴う変化が一切測定されない。または、この粘弾性構成要素として、そのしきい値温度が適切な温度範囲を下回ると完全な時間温度履歴の測定が可能になるような構成要素を選択することができる。粘弾性物質が第1「不活性」反応剤である場合、移動度のその変化によって第2不活性反応剤に相変化プロセスが生じ、それにより、活性反応剤と第2不活性反応剤との間で、化学反応および/または物理反応の時間に依存する進展が引き起こされる。
【0031】
所定の誘電率を有する多孔性体によって隔てられる2つの金属/半導体層によってコンデンサ部品が形成される場合、温度に依存する速度で多孔性部材に浸透し、それにより、純粋な多孔性体と、粘弾性構成要素で満たされた多孔性体では誘電率が異なるため、コンデンサの突発短絡または静電容量の緩やかな変化のいずれかを引き起こす粘弾性構成要素を不活性反応剤として用いることができる。
【0032】
TTI装置は、この装置が作動していないときには物理反応および/または化学反応を防止し、装置が作動したときにはこのプロセス/反応の進展を可能にするように、適切に設計される。これは、破ること、取り外すこと、または穴開けすることができ、それによりTTI構造が環境の変化にさらされるように構成された密閉エンクロージャにTTI構造全体を最初から入れることで達成することができる。別の選択肢として、接着性を有する粘弾性ポリマーを使用するという方法、またはラベルに粘弾性ポリマーを配し、それにより、粘弾性構成要素がなければ不活性であるTTIの他の部分に粘弾性構成要素(活性反応剤、または活性反応剤と不活性反応剤)を取り付けるという方法がある。さらに別の選択肢として、不活性反応剤(例えば、粘弾性構成要素)を、活性反応剤から隔離した密閉容器に入れ、TTI装置を作動させる必要があるときに、密閉エンクロージャを取り外して、容器をTTIの別の部分(活性反応剤、または活性反応剤と不活性反応剤)に取り付け、それにより容器からTTIの他の部分への不活性反応剤(例えば、粘弾性構成要素)の浸透を可能にするという方法がある。さらに別の態様においては、TTI装置は、作動していない間、TTI構造(すなわち、1種以上の活性反応剤と、場合により1種以上の不活性反応剤)が不活性であるかまたは実質的に不活性であるような温度で維持され、TTI装置が作動されると、適切な温度範囲にさらされる。
【0033】
上記のように、活性反応剤は、電気回路内の導電性材料であることができる。この導電性材料は、RFタグの機構(アンテナ、抵抗器、またはコンデンサ)を形成するようにパターン形成することができる。このため、化学反応および/または物理反応によって、時間に依存する変化がタグの共振回路に生じる(時間が経つと、回路の遮断につながることがある)。このRF回路パターンは、任意の公知の適切な技術、例えば、印刷(例えば、インクジェット印刷)、CVD、PVD、スパッタリング、パターン形成(例えば、成形や切断/エッチング)などによって生成することができる。この装置は、電気絶縁(また好ましくは光学的に透明な)材料の第1基板層を含み、活性反応剤によって形成される構成要素の第2層構造(導電層、またはコンデンサもしくはRFタグを形成するようにパターン形成された層構造)と、場合により不活性反応剤材料の第3層も有する、多層構造(混成構造)として構成することができる。不活性反応剤の層構造の上に、別の不活性反応剤(例えば、粘弾性構成要素)の層を設けることができる。この装置は、光学的に透明であり電気絶縁材料の最上層を含むこともできる。
【0034】
本発明による好ましい時間温度指示装置の特徴は、電気部品が、抵抗器、コンデンサ、ダイオード、誘導コイル、およびアンテナからなる群より選択されることである。電気部品がRF回路の少なくとも1つの要素として構成されることが特に好ましい。
【0035】
また、化学反応および/または物理反応が、酸塩基反応、酸化還元反応、および塩生成反応からなる群より選択されるような時間温度指示装置が好ましい。
【0036】
好ましい時間温度指示装置には、少なくとも1種の活性反応剤が、その最初の非導電状態から導電状態に転換可能なポリマーであるような時間温度指示装置が含まれる。さらに好ましくは、少なくとも1種の活性反応剤がポリチオフェンであり、かつ不活性反応剤がヨウ素であるか、または少なくとも1種の活性反応剤がポリアニリンであり、かつ不活性反応剤がペルオキシ二硫酸化学種である。
【0037】
本発明による時間温度指示装置は好ましくは電気部品としてコンデンサを含んでいる。また、コンデンサがRF回路の要素として構成され、少なくとも1種の活性反応剤が、コンデンサにおける誘導体スペーサを提供する誘導体であれば、さらに好ましい。
【0038】
化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第1不活性反応剤の混合からなり、それにより少なくとも1種の活性反応剤の透過率の変化が生じるような、時間温度指示装置が好ましい。
【0039】
また、好ましくは、本発明による時間温度指示装置が電気絶縁材料の基板層を含み、電気部品を形成するように構成された層構造を有する多層構造として構成される。特に好ましくは、この層構造が誘電体層によって互いに隔てられる第1電極層および第2電極層を含み、それによりコンデンサ型の電気部品が形成される。
【0040】
より好ましくは、2つの部分の一方が少なくとも1種の活性反応剤を少なくとも含んでおり、他方の部分が少なくとも1種の第1不活性反応剤および/または第2不活性反応剤を含んでおり、2つの部分が互いに付着可能なように構成されており、それにより化学プロセスおよび/または物理プロセスが引き起こされ、それにより装置が作動されるような2つの部分の装置として時間温度指示装置が構成される。
【0041】
本発明はまた、時間温度指示装置を製造する方法も提供する。この方法は、電気部品であるか電気部品に転換可能である構成要素の一部である少なくとも1種の反応剤の少なくとも1種の材料を選択する工程と、構成要素をTTI装置に組み込む工程とを含んでいる。上記の少なくとも1種の反応剤は、構成要素の電気特性の変化を引き起こす化学プロセスおよび/または物理プロセスによって影響を受けるように選択される。
【0042】
好ましくは、少なくとも1種の不活性反応剤も、例えば活性反応剤に隣接して配置されるなど、TTI構造に組み込まれるように選択される。この内部の不活性反応剤は相変化を起こすような種類の反応剤であり、したがって隣接して配置された活性反応剤との化学反応または物理反応を引き起こす。化学反応または物理反応は、活性反応剤が関連する構成要素の電気特性の変化を引き起こす。
【0043】
一態様によれば、この方法は、追加の不活性反応剤として粘弾性構成要素を選択する工程と、反応剤間の接触を提供し、環境の変化にさらされる装置の外面に粘弾性構成要素を配置するために、反応剤と粘弾性構成要素を配置する工程とを含んでいる。別の態様によれば、粘弾性構成要素は活性反応剤であるように選択され、TTI構造は2つの導電層間に粘弾性層を配置し粘弾性層を環境の変化にさらすことで、構成される。粘弾性材料は所定の温度を有しているが、その所定の温度は、粘弾性構成要素がそれを上回る温度に暴露される時間に依存してその移動度および粘度が変化するような温度である。
【0044】
したがって、本発明による時間温度指示の方法は、少なくとも1種の活性反応剤と、電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす粘性物質の形態の少なくとも1種の不活性反応剤との間の化学反応および/または物理反応の工程を含んでいる。少なくとも1種の活性反応剤は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部であり、少なくとも1種の不活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択される。
【0045】
さらに好ましい、時間温度指示の方法においては、少なくとも1種の不活性反応剤が、少なくとも1種の第2不活性反応剤への時間に依存する熱伝達を引き起こし、それにより少なくとも1種の活性反応剤と、電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす少なくとも1種の第2不活性反応剤との間の化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされ、少なくとも1種の活性反応剤は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である。
【0046】
本発明の別の態様は、上記の時間温度指示装置の少なくとも1種の活性反応剤、少なくとも1種の第1不活性反応剤、および/または少なくとも1種の第2不活性反応剤を含む印刷用インクまたは印刷用濃縮インクに関するものである。
【0047】
本発明のさらに別の態様は、上記の時間温度指示装置のうちの少なくとも1つを含む、包装材料またはラベルに関するものである。
【0048】
一見して、本発明は次の見地に関するものである。
【0049】
第1の見地において、本発明は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である少なくとも1種の活性半導体を含む、時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0050】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品が抵抗器、コンデンサ、ダイオード、誘導コイル、およびアンテナの少なくとも1つを含んでいることである。
【0051】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品がRF回路の少なくとも1つの要素として構成されることである。
【0052】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品がRF回路として構成されることである。
【0053】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が導電性材料であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がコンデンサとして構成された電気部品の電極であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がRF回路として構成された電気部品の要素であることである。
【0054】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がRF回路として構成されることである。
【0055】
好ましくは、装置の特徴は、化学反応および/または物理反応が酸化還元反応を含むことである。
【0056】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が、コンデンサ型の電気部品の誘電体スペーサを提供する誘電体材料であり、化学反応および/または物理反応が活性反応剤の透過率の変化を引き起こすことである。
【0057】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が、その最初の非導電状態から導電状態に転換可能なポリマーであることである。
【0058】
好ましくは、装置は、電気絶縁材料の基板層を含み、少なくとも1つの構成要素を形成するように構成された層構造を有する、多層構造として構成される。より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、抵抗器部品、コンデンサ部品、ダイオード部品、誘導コイル部品、およびRF回路部品の少なくとも1つの少なくとも一部を形成する導電層を含んでいることである。層構造が、誘電体層によって互いに隔てられる第1電極層および第2電極層を含み、それによりコンデンサ型の電気部品が形成されるような装置がさらに好ましい。
【0059】
好ましくは、装置は、少なくとも部分的に取り外され、それにより少なくとも1種の反応剤が温度変化にさらされるように構成された密閉エンクロージャを有している。
【0060】
第2の見地において、本発明は、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である少なくとも1種の活性半導体を含む、時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。装置は、少なくとも1種の不活性反応剤を含み、化学反応および/または物理反応は、活性反応剤と少なくとも1種の不活性反応剤との間の反応である。
【0061】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品が抵抗器、コンデンサ、ダイオード、誘導コイル、およびアンテナの少なくとも1つを含んでいることである。より好ましくは、装置は一連のコンデンサ部品を含んでいる。
【0062】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品がRF回路の少なくとも1つの要素として構成されることである。
【0063】
好ましくは、装置の特徴は、電気部品がRF回路として構成されることである。
【0064】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が導電性材料であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がコンデンサとして構成された電気部品の電極であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がRF回路として構成された電気部品の要素であることである。
【0065】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がRF回路として構成されることである。
【0066】
好ましくは、装置の特徴は、少なくとも1種の不活性反応剤が電気部品のコンデンサの誘電体スペーサであることである。
【0067】
好ましくは、装置の特徴は、少なくとも1種の不活性反応剤が塩を含んでいることである。より好ましくは、装置の特徴は、化学反応および/または物理反応が、活性反応剤と塩の混合からなり、それにより活性反応剤材料の均質性が影響を受けることである。さらに好ましくは、装置は、粘性物質の形態の第2不活性反応剤を含んでいる。この粘性物質は、粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、塩への時間に依存する熱伝達が可能になり、それにより混合の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。
【0068】
好ましくは、装置の特徴は、少なくとも1種の不活性反応剤が粘性物質を含んでおり、この粘性物質は、粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択されることである。より好ましくは、装置の特徴は、粘性物質として、所定の温度が、装置の特定の応用に適した所定の温度範囲内に収まり、それにより装置が部分的な時間温度履歴指示を実施できるような物質が選択されることである。より好ましくは、装置の特徴は、粘性物質として、所定の温度が、装置の特定の応用に適した所定の温度範囲内に収まり、それにより装置が完全な時間温度履歴指示を実施できるような物質が選択されることである。
【0069】
好ましくは、装置は、粘性物質の形態の第2不活性反応剤を含んでいる。この粘性物質は、粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、第1不活性反応剤への時間に依存する熱伝達が可能になり、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。より好ましくは、装置の特徴は、粘性物質が、所定の温度が装置の特定の応用に適した所定の温度範囲内に収まり、それにより装置が部分的な時間温度履歴指示を実施できるように選択されることである。より好ましくは、装置の特徴は、粘性物質が、所定の温度が装置の特定の応用に適した所定の温度範囲内に収まり、それにより装置が完全な時間温度履歴指示を実施できるように選択されることである。
【0070】
好ましくは、装置の特徴は、化学反応および/または物理反応が、酸塩基反応、酸化還元反応、および塩生成反応の少なくとも1つを含んでいることである。
【0071】
好ましくは、装置の特徴は、化学反応および/または物理反応が酸化還元反応であり、少なくとも1種の不活性反応剤が装置の周囲からの反応剤であることである。
【0072】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が、コンデンサ型の電気部品の誘電体スペーサを提供する誘電体材料であり、化学反応および/または物理反応が活性反応剤の透過率の変化を引き起こすことである。
【0073】
好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤が、その最初の非導電状態から導電状態に転換可能なポリマーであることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がポリチオフェンであり、不活性反応剤がヨウ素であることである。より好ましくは、装置の特徴は、活性反応剤がポリアニリンであり、不活性反応剤がペルオキシ二硫酸化学種であることである。
【0074】
好ましくは、装置は、電気絶縁材料の基板層を含み、少なくとも1つの構成要素を形成するように構成された層構造を有する、多層構造として構成される。
【0075】
より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、抵抗器部品、コンデンサ部品、ダイオード部品、誘導コイル部品、およびRF回路部品の少なくとも1つを形成する導電層を含んでいることである。一連のコンデンサ部品を含んでいる装置がさらに好ましい。
【0076】
より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、時間温度に依存する化学プロセスおよび/または物理プロセスを引き起こすように選択され、活性反応剤の上に配置される第1不活性反応剤を含むことである。さらに好ましい装置においては、層構造が粘性物質の形態の第2不活性反応剤を含んでおり、この粘性物質は、その粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、第1不活性反応剤への時間に依存する熱伝達が可能になり、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。粘性物質が、第1不活性反応剤を覆う活性反応剤の上に配置されるような装置が最も好ましい。粘性物質が、活性反応剤の上に配置される第1不活性反応剤の上に配置されるような装置が最も好ましい。
【0077】
より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、時間温度に依存する化学反応および/または物理反応を引き起こすように選択され、活性反応剤の上に配置される第1不活性反応剤を含むことである。さらに好ましい装置においては、層構造が粘性物質の形態の第2不活性反応剤を含んでおり、この粘性物質は、粘性物質に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、第1不活性反応剤への時間に依存する熱伝達が可能になり、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。この粘性物質が、第1不活性反応剤を覆う活性反応剤の上に配置されるような装置が最も好ましい。粘性物質が、活性反応剤の上に配置される第1不活性反応剤の上に配置されるような装置が最も好ましい。
【0078】
より好ましくは、装置の特徴は、層構造が、誘電体層によって互いに隔てられる第1電極層および第2電極層を含み、それによりコンデンサ型の電気部品が形成されることである。さらに好ましい装置においては、少なくとも1種の不活性反応剤が粘性物質を含んでおり、この粘性物質は、粘弾性構成要素に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、誘電体スペーサ層に浸透し、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされるように選択される。
【0079】
好ましくは、装置が、2つの部分の一方が活性反応剤を少なくとも含んでおり、他方の部分が不活性反応剤を含んでおり、2つの部分が互いに取り付け可能なように構成されており、それにより化学プロセスおよび/または物理プロセスが引き起こされ、それにより装置が作動されるような2つの部分の装置として構成される。より好ましくは、装置の特徴は、一方の部分が活性反応剤および第1不活性反応剤を含んでおり、他方の部分が第2不活性反応剤を含んでいることである。より好ましくは、装置の特徴は、他方の部分が、粘性物質の形態の不活性反応剤を含んでおり、この粘性物質は、粘弾性構成要素に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすことができるように選択されることである。より好ましくは、装置の特徴は、不活性反応剤を含む他方の部分が、少なくとも部分的に取り外され、それにより不活性反応剤が温度変化にさらされるように構成された密閉エンクロージャを有していることである。
【0080】
第3の見地において、本発明は、RF回路部品の少なくとも1つの要素を形成するようにパターン形成された導電層の形態の少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、温度に依存する速度で、RF回路によって生成される信号の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0081】
別の見地において、本発明は、少なくとも1種の活性反応剤および少なくとも1種の不活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、RF回路部品の少なくとも1つの要素を形成するようにパターン形成された導電層の形態であり、少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、温度に依存する速度で、RF回路によって生成される信号の変化を引き起こす。
【0082】
さらに別の見地において、本発明は、RF回路部品の少なくとも1つの要素を形成する非導電層の形態の少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、温度に依存する速度で、RF回路によって生成される信号の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0083】
さらに別の見地において、本発明は、RF回路部品の少なくとも1つの要素を形成する非導電層の形態の少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、温度に依存する速度で、RF回路によって生成される信号の変化を引き起こす。
【0084】
さらに別の見地において、本発明は、少なくとも1つのコンデンサの誘電体スペーサである少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、少なくとも1つのコンデンサの電気特性の変化を引き起こす。
【0085】
さらに別の見地において、本発明は、少なくとも1つのコンデンサの誘電体スペーサである少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、少なくとも1つのコンデンサの電気特性の変化を引き起こす。
【0086】
さらに別の見地において、本発明は、少なくとも1つのコンデンサ部品の一部である少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、少なくとも1つのコンデンサの電気特性の変化を引き起こす。
【0087】
さらに別の見地において、本発明は、少なくとも1つのコンデンサ部品の一部である少なくとも1種の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。少なくとも1種の活性反応剤は、少なくとも1つのコンデンサの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0088】
さらに別の見地において、本発明は、導電層の形態の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。活性反応剤は、活性反応剤の反射率の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。
【0089】
さらに別の見地において、本発明は、導電層の形態の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、活性反応剤の反射率の変化を引き起こす。
【0090】
さらに別の見地において、本発明は、その不導電状態から導電状態に転換可能なポリマー層の形態の活性反応剤を含む時間温度指示(TTI)装置に関するものである。活性反応剤は、少なくとも1種の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される。化学反応および/または物理反応は、活性反応剤の導電状態への転換を引き起こす。
【0091】
さらに別の見地において、本発明は、時間温度指示(TTI)装置を製造する方法に関するものである。この方法は、電気部品であるか電気部品に転換可能である構成要素の一部である少なくとも1種の反応剤の少なくとも1種の材料を選択する工程と、構成要素をTTI装置に組み込む工程とを含んでいる。少なくとも1種の反応剤は、構成要素の電気特性の変化を引き起こす化学プロセスおよび/または物理プロセスによって影響を受けるように選択される。
【0092】
好ましくは、本発明による方法の特徴は、プロセスが酸化還元反応を含んでいることである。
【0093】
好ましくは、本発明による方法は、温度変化にさらされると、少なくとも1種の活性反応剤における化学反応および/または物理反応を引き起こす少なくとも1種の不活性反応剤を選択する工程を含んでいる。より好ましくは、本発明による方法は、活性反応剤を環境にさらし、それにより化学反応および/または物理反応が環境からの不活性反応剤によって引き起こされ得るように、TTI装置を配置する工程を含んでいる。より好ましくは、本発明による方法は、活性反応剤と不活性反応剤との間の接触領域を提供するために、少なくとも1種の不活性反応剤をTTI装置に組み込む工程を含んでいる。より好ましくは、本発明による方法の特徴は、少なくとも1種の不活性反応剤が、所定の温度を有するように選択される粘性物質であり、その所定の温度は、粘性物質がそれを上回る温度に暴露される時間に依存して粘性物質の移動度および粘度が変化するような温度であることである。より好ましくは、本発明による方法は、粘性物質がそれを上回る温度に暴露される時間に依存して粘性物質の移動度および粘度が変化するような所定の温度を有する粘性物質を選択する工程と、活性反応剤と粘性物質との間の接触領域を提供し、粘性物質を時間および温度の環境の変化にさらす工程とを含んでいる。より好ましくは、本発明による方法は、不活性反応剤を有するラベルを、少なくとも活性反応剤を含む構造に取り付ける工程を含んでいる。より好ましくは、本発明による方法は、出口を有する容器に不活性反応剤を入れること、容器を、少なくとも活性反応剤を含む構造に取り付け、それにより構造への不活性反応剤の移動を可能にすることとを含んでいる。容器上に密閉エンクロージャを備える工程を含む方法がさらに好ましい。密閉エンクロージャは、それを少なくとも部分的に取り外すことができ、それにより不活性反応剤が温度変化にさらされるように構成されている。
【0094】
好ましくは、本発明による方法は、密閉エンクロージャに、少なくとも1種の活性反応剤を入れる工程を含み、密閉エンクロージャは、少なくとも部分的に取り外され、それにより少なくとも1種の活性反応剤が温度変化にさらされるように構成される。
【0095】
好ましくは、本発明による方法の特徴は、電気部品が、印刷、CVD、PVD、スパッタリング、およびパターン形成の少なくとも1つを用いて形成されることである。
【0096】
さらに別の見地において、本発明は、時間温度指示(TTI)装置を製造する方法に関するものであって、この方法は、少なくとも2種の反応剤の少なくとも一方が、少なくとも1種の他方の不活性反応剤との化学反応および/または物理反応によって影響を受ける活性反応剤であるように、少なくとも2種の反応剤の少なくとも2種の材料を選択する工程であって、この化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤が関連する構成要素の電気特性の変化を引き起こす工程と、少なくとも構成要素をTTI装置に組み込む工程を含んでいる。
【0097】
さらに別の見地において、本発明は、RF回路から時間温度に依存する信号を提供するように構成された時間温度指示(TTI)装置を製造する方法に関するものであって、この方法は、導電性材料を選択する工程を含み、導電性材料からRF回路の少なくとも1つの要素を次のように構成するものである、すなわち、導電性材料が、RF回路からの信号の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受ける活性反応剤を提供するようにその要素を構成するものである。
【0098】
本発明をより正しく理解し、本発明を実施することができる方法を知るために、さらに好ましい態様を、非限定的な実施例を用い、添付図面を参照して説明する。
【0099】
図1Aを参照すると、一般に10で指示されている本発明のTTI構造が概略的に示されている。一般に、TTI構造は、活性反応剤、または活性反応剤が関連する電気部品の電気特性に影響を及ぼす物理反応および/または化学反応を引き起こさせまたは起こし得るような種類の活性反応剤を含んでいる。この活性反応剤は、温度に依存する速度でその伝導度が低下する導電性材料(金属または半導体)であってもよいし、温度に依存する速度でその伝導度が上昇する不導体であってもよい。図1Aの実施例においては、TTI構造10は、第1活性反応剤R1および第2不活性反応剤R2を含んでいる。これらの反応剤は、この実施例では、接触するように互いに隣接して配置されている。活性反応剤R1は、最初から、抵抗器部品を提供する導電層(例えば銀)である。活性反応剤R1は、電気絶縁基板S上に配置されている。注意すべきことに、その最初から導電性を有する活性反応剤は、RF回路部品またはRF回路の機構の1つ(例えばアンテナ)として構成してもよいし、コンデンサ部品の電極であってもよい。後者の場合、不活性反応剤R2は、コンデンサの誘電体スペーサであることができる。不活性反応剤R2は、不活性反応剤R2において進展する、時間および温度に伴う変化に比例する速度で活性反応剤の導電性材料を崩壊させ(その均質性に影響する)、その結果、活性反応剤の電気特性(抵抗性)に影響を及ぼす。
【0100】
TTI構造10は好ましくは、第2不活性反応剤としての機能を果たす粘性材料(本明細書において「粘弾性構成要素」と称する)R3も含んでいる。この粘弾性構成要素は、粘弾性構成要素がさらされる周囲の温度に左右される粘度の変化または相間移動(固体から液体への)を示すように選択される。
【0101】
TTI構造は好ましくは、不活性要素および活性要素と周囲からの水の間の相互作用を避けるために適切に密閉される。
【0102】
基板Sはガラスやポリマー薄膜など、実質的に透明な層であり、好ましくは、TTIを特定の品目に添付できるように外面に接着性コーティングを有する。
【0103】
不活性反応剤R2は、塩層(KI、KCl、NaCl、KOH、炭酸塩など)であることができる。粘弾性層R3は例えば、ポリスチレンスルホン酸誘導体など、イオン性を有するポリマーのようなポリマーであることができる。
【0104】
導電層R1は、蒸着および/また無電解析出および/または電気的手段などを用いて、基板S上に堆積させることができる。不活性反応剤R2層は例えば、蒸着によって第1反応剤含有層の上に堆積させることができる(その他の任意の手段を用いてもよい)。
【0105】
粘弾性材料とは、弾性と粘性の両特性を同時に示す材料である。粘弾性材料は、粘弾性固体、すなわち変形時にある程度の粘性効果を示す弾性固体、または粘弾性液体、すなわちある程度の弾性効果を示す粘性液体のいずれかとして分類される場合がある。粘弾性液体は、せん断応力を受けたときに不定に変形し続ける粘弾性材料であるとして取り扱うことができる。粘弾性材料は、ガラス転移温度として知られている温度で不動のガラス状態から粘弾性液体状態への転移を示すことがある。また、粘弾性材料は、結晶質が融解する温度で部分的な結晶状態から非晶質状態への転移を示すこともある。
【0106】
また、粘弾性材料は、化学架橋されて粘弾性固体になることもできる。また、粘弾性材料は、マトリックス相に化学的に結合される結晶相またはガラス分散相の存在下で物理架橋されることもできる。また、粘弾性材料は、高分子間のイオン結合または水素結合のせいで粘弾性固体の特性を示すこともある(John D. Ferry, Viscoelastic Properties of Polymers, John Wiley & Sons, Inc. 1980年)。
【0107】
本発明の装置で用いられる粘弾性材料は、液体材料または固体材料であることができる。粘弾性液体状態とは、監視対象の物体がさらされるあらゆる温度で液体のままである状態である。その粘弾性材料は、監視対象の物体がさらされる予想温度範囲を下回る温度において、そのすべての温度遷移を有する。これにより、粘弾性材料が多孔性マトリックスと接触したときに作動状態になる指示装置が可能になる。またこれにより、予想温度範囲全体において粘弾性材料がマトリックス内に移動できるようになる。このように、指示装置が、監視対象の物体がさらされる温度範囲全体にわたって時間温度暴露の連続的積算を提供できるようになる。
【0108】
固体の粘弾性材料とは、材料の弾性率が十分低いため、装置に存在する毛管作用またはその他の駆動力の影響下で、変形して多孔性マトリックスに完全に浸透できるときに機能する材料である。
【0109】
本発明の指示装置で用いるのに適し得る粘弾性材料の非限定的な例として、天然ゴム、ブチルゴム、ポリブタジエン、ポリブタジエンとアクリロニトリルおよびスチレンとのコポリマー、ポリヘキセンなどのポリアルファオレフィン、ポリオクテン、これらとその他の物質とのコポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリクロロプレン、シリコーン粘着剤、およびスチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体、ならびにこれらの任意の混合物が挙げられる。
【0110】
この粘弾性構成要素は、特定の応用に適した温度で固液転移を有していてもいなくてもよい。そのため、適切に選択された粘弾性構成要素を使用することで、TTIの部分的なまたは完全な時間温度履歴を監視することが可能になる。この粘弾性構成要素は、粘弾性構成要素に固有の所定のしきい値温度を上回る温度に暴露されると、その移動度、他の化学物質を溶解および運搬する能力、ならびに多孔性体において広がる能力が変化することを特徴とするものであるように選択される。その変化によって他方の反応剤R2に相変化プロセスが生じ、それにより、活性反応剤R1と不活性反応剤R2との間で、化学反応および/または物理反応の時間に依存する進展が引き起こされることがある。
【0111】
このように、本出願の装置で用いられる粘弾性構成要素(例えばポリマー)R3は、温度Tgを下回る温度T1においてはポリマーが実質的に低い移動度と実質的に高い粘度を特徴とし、Tgを上回る温度T2においては、移動度が比較的高く粘度が比較的低いような、所定の温度Tgを特徴とするものであるように選択される。ポリマーの粘度は、Tgを上回る温度にさらされた場合に温度に伴って変化する。ポリマー層の粘度が低下するとポリマーR3への塩層R2の溶解が生じ、それにより、溶解した塩が導電性反応剤R1に徐々に浸透し、導電性材料の一部に取って代わるという作用をするか、あるいはそれと反応して導電性材料を崩壊させる。
【0112】
このため、温度T1において、不活性反応剤層と活性反応剤層の材料R2とR1の間に反応がほとんどまたは全く発生せず、TTI10の状態は事実上、時間に依存しない。Tgを上回る温度T2において、時間温度状態履歴に比例する速度で反応が発生し、TTI10の状態(少なくともその電気特性)は時間に依存する。これらの温度において、導電層R1(例えば銀)が崩壊し、その電気特性(伝導度)および光学特性(反射率)が、集積された時間温度履歴に応じて変化する。当然のことながら、部分的な時間温度指示または完全な時間温度指示のどちらが必要であるかに応じて、粘弾性構成要素として、それぞれ、特定の応用に適した温度範囲内または温度範囲外のしきい値温度Tgを有する構成要素が選択される(装置が温度変化にさらされるときに、温度の上昇または低下のどちらが予想されるかを考慮した上で)。
【0113】
注意すべきことに、2種の不活性反応剤を用意することは必須ではなく、単独の不活性反応剤R2を環境の変化に直接さらすことができる。粘性物質を使用する場合、その粘性物質は、実際に単独の不活性反応剤の役割を果たすことができる(このため、図1Aにおける他の反応剤R2が不要になる)。その結果、粘性物質の粘弾性の時間および温度に伴う変化によって、以下で詳しく例示するように、活性反応剤R1またはその活性反応剤が関連する構成要素、例えばRF回路、の検出可能な電気特性の変化が生じる。
【0114】
不活性反応剤材料と活性反応剤材料の間の反応は事実上、物理反応および/または化学反応であることができる。物理反応の例として、不活性反応剤、通常は可溶性塩の、活性反応剤の下部構造、通常は導電層をなす材料への置換、崩壊、溶解、転位、分離、混合、または挿入などの結果をもたらすような反応が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。本発明の他の態様においては、物理プロセス/反応の意味は、固定した多孔性/吸収材料内への液体材料の湿潤および進入のプロセス、または2種の液体の混合などであることができる。化学反応の例として、酸塩基反応、酸化還元反応、塩生成反応、および事実上、可逆的または不可逆的であることができるその他の反応が挙げられる。
【0115】
一般に、1種以上の活性反応剤材料は、活性反応剤の電気特性に影響を及ぼす物理反応または化学反応を引き起こさせまたは起こし得るような任意の1種以上の反応剤であることができる。活性反応剤と不活性反応剤は例えばそれぞれ、金属と酸化剤、金属酸化物と還元剤、金属または半導体と、KI、HCl、KOH、NaOHなどの崩壊剤、金属塩と、酸化剤、還元剤、崩壊剤などの薬剤であることができる。活性反応剤の中で、使用するのに適した金属および金属酸化物の例は、銀、金、アルミニウム、銅、ニッケルなど、およびこれらの酸化物または塩であるが、これらに限定されるわけではない。当然のことながら、活性反応剤が導電性材料を含んでいる、本発明の態様においては、この導電性活性反応剤材料としての必要条件は、酸化または還元され得ること、あるいはTTIの物理要素であってもなくてもよい不活性反応剤の選択材料によって崩壊され得ることのみである(以下でさらに詳しく説明する)。
【0116】
本発明の一部の他の態様においては、以下でさらに詳しく説明するように、活性反応剤は誘電体である。
【0117】
また注意すべきことに、本明細書において用いる「崩壊」という用語は、酸化、還元、材料除去(例えば溶解)のいずれかの効果によって引き起こされることがある、材料の均質性の変化を指す。
【0118】
図1Aの例に戻ると、活性反応剤材料と不活性反応剤材料の間の反応によって、導電層材料R1の均質性が影響を受け、その結果、この材料の電気特性が影響を受け、特に電気抵抗が劇的に変化する。また、この層の光応答も影響を受ける、すなわち、層の反射率が低下する。この反応は金属層の溶解において現れるため、電気抵抗は、導体において典型的である値から、絶縁材料を示す値に変化する。
【0119】
本発明によるTTI装置の連結およびトリガを例示している図1B〜1Dを参照する。
【0120】
図1Bの実施例においては、TTI構造は、活性反応剤(またはその要素の1つとして活性反応剤を含む電気部品)と、場合により不活性反応剤(これを用意することは必須ではないため、図では点線で示している)とによって形成され、最初は密閉エンクロージャSE内に配置される入れ物C内に配置される。TTI構造が活性反応剤のみによって形成される場合、その反応剤は導電性材料である。密閉エンクロージャは、密閉エンクロージャSEを破る、取り外す、または穴開けし、それによりTTI装置を作動させる、すなわち、TTI構造を環境の変化にさらすことができるように構成されている。当然のことながら、TTI構造が活性反応剤および不活性反応剤を含んでいる場合、その不活性反応剤は液体であることができ、その中に活性反応剤が埋め込まれる。
【0121】
図1Cの実施例においては、TTI構造は2つの部分の構造である。一方の部分P1は単独では不活性であるため、TTI装置を作動させるために、他方の部分P2と連結しなければならない。この「不活性な」部分P1は、活性反応剤(または、その要素の1つとして活性反応剤を含む電気部品)と、場合により第1不活性反応剤(これを用意することは必須ではないため、図では点線で示している)とを含んでいる。他方の部分P2は、不活性反応剤としての機能を果たす粘弾性ポリマーまたは粘弾性液体を含んでいる。この粘弾性ポリマーまたは粘弾性液体は、別個のラベルLに関連する。すなわち、この粘弾性ポリマーまたは粘弾性液体が粘着性のあるラベル上に配置されるか、あるいは粘着性のある粘弾性ポリマーが選択される(上記のように)。不活性なTTIの上にステッカーLが貼り付けられると、TTI装置が作動する。
【0122】
図1Dは、2つの部分の装置として構成されたTTI構造を例示している。このTTI構造は、入口O1を有する入れ物C1内に配置された、活性反応剤(またはその要素の1つとして活性反応剤を含む電気部品)と、場合により第1不活性反応剤(これを用意することは必須ではないため、図では点線で示している)とを有する、最初は不活性な部分P1と、最初は固体であり、出口O2を有する入れ物C2内に配置された粘弾性構成要素と密閉エンクロージャSEとを含む他方の部分P2とを含んでいる。後者は、入口および出口を介した2つの入れ物間の液体移動を可能にするために、それを破る、取り外す、または穴開けし、不活性な部分の入れ物に付着させることができるように構成されている。
【0123】
図2A〜2Hは、導電性活性反応剤の反射率の、時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Aは、ガラスなど、透明な絶縁基板層Sと、絶縁基板層Sの上に蒸着される、通常は100nmのKIである第1不活性反応剤層R2と、KIと湿気との接触を避けるために両側からもKIの層全体を覆う、通常は100nmの銀鏡層である活性反応剤層R1と、粘弾性ポリマーである第2不活性反応剤層R3とによって形成される、実験用のTTI構造100を示している。構造100は、一番上の透明層も含んでいる。
【0124】
粘弾性ポリマーR3は、温度に比例した速度で層R1およびR2の材料と混合する。図2Bは、その混合過程の時間温度の進展の様子を示している。図2C〜2Fは、活性反応剤層R1における、温度に依存する変化を示している(温度がそれぞれ35℃〜−2℃の範囲で変化する。時間点:開始時点(時間=0)、その41時間後、400時間後、および1700時間後)。図2Gおよび2Hは、それぞれ45°および20℃の環境条件および様々な粘弾性メディエーターにおいて90時間反応が進展した後の、活性反応剤の変化の結果を示している。
【0125】
本発明者らは、各種の粘弾性ポリマーを用いて実験を行った。結果は、様々な時間温度プロフィールだった。導電性活性反応剤の反射率は、温度の上昇および時間の経過に伴って上昇した。
【0126】
当然のことながら、構造100のガラス基板Sをポリマー被覆ITOに取り替えることで、コンデンサ構成が、2つの電極(層R1およびポリマー被覆ITO基板S)と、KI層R2によって両電極間に形成される誘導体スペーサとによって形成される。この場合、層材料R1およびR2が混合すると、容易に検出できるような形でこの構造の静電容量が影響を被る。
【0127】
図1および2Aを参照すると、当然のことながら、導電性活性反応剤層R1をRF回路を形成するようにパターン形成し、それによりRFタグとして機能させることができる。RFタグの構造および動作はそれ自体が公知であり、詳しく説明する必要がないため、以下の注意事項を記するにとどめる。一般に、RFタグは能動的タグ(すなわち、タグと一体化された内部エネルギー源を利用する)であるか、外部問い合わせ信号のエネルギーを利用して機能する受動的タグであることができる。RFタグは、タグ読み取り機または外部装置から供給されるエネルギーに依存する。RFタグは、エネルギーが与えられ(例えば、受信した問い合わせ信号によって)、エネルギーが与えられるとアンテナを励起させて回路の共振周波数でRF応答信号を送信させる共振回路または振動性回路(通常、コンデンサ素子、誘導素子、および抵抗素子を含んでいる)に取り付けられたアンテナを含んでいる。RF IDタグで用いられるアンテナは一般に、タグ表面にエッチング処理またはめっき処理されたワイヤーまたは金属のループによって構成されている。
【0128】
図3は、本発明のTTI装置300を読み取るためのシステム200を概略的に示している。この実施例においては、装置300は図1の実施例に似たTTI構造を含んでいるが、当然のことながら、図2Aの構造や、単一の不活性反応剤を有する構造を用いることもできる。
【0129】
RFタグパターンは、様々なコード構成またはメモリー構成を有することができる。最も単純なのは単一コードタグ(EASシステムで一般的に利用されているような)である。そのタグは、読み取り機によって作動されると単一の応答を出す。この応答は単に、タグが存在するかどうか、または作動されているかどうかを示す「はい」または「いいえ」である。または、RFタグパターンが、それぞれ問い合わせ信号に応えて所定の周波数で応答信号を出力するための複数の共振回路を形成することができる。応答信号は、個別回路の数とそれらの動作によって決められる、タグ全体の応答コードを形成する。本発明で用いるのに適したRF構成は、例えば米国特許第6,104,311号および第6,304,169号で開示されている。このように、RFタグは一般に、少なくとも1つの共振回路を含んでいる。RFタグの各素子を基板層に印刷することができるか(導電性インクを用いて公知の方法で)、あるいは連続した導電層を基板上に堆積させ、次にタグの各素子を形成するようにパターン形成することができる。コンデンサ素子、誘導素子、および抵抗素子の大きさを、RFタグのコード要素を表す周波数に従って、印刷/パターン形成工程の一部として事前に決めることができる。
【0130】
システム200は、問い合わせアンテナ202A、RF ID読み取り機204、および制御ユニット206を含んでいる。TTI装置300(TTIが関連する製品)が時間温度環境の変化にさらされている間、活性反応剤と不活性反応剤の間の反応が進展するため、少なくとも1つのRFタグ機構の電気特性の変化が生じ、その結果、問い合わせフィールドに対するRFタグ応答の変化が生じる。この変化を検出するために、アンテナ202が読み取りフィールドによってTTIにエネルギーを与え(問い合わせし)、TTI応答が読み取り機204によって検出され、読み取り機が、検出された応答を示すデータを生成し、そのデータを制御ユニット206に送信する。RFタグ読み取りの原理はそれ自体が公知であり、詳しく説明する必要がない。
【0131】
コンデンサとして構成された電気部品を含む、本発明のTTI構造のさらに別の実施例を示す図4A〜4Eを参照する。図4A〜4Cの実施例においては、TTI構造400Aは、2つの電極E1およびE2と、多孔性材料の形態のこれらの電極間の誘電体スペーサとによって形成されるコンデンサと、粘弾性ポリマーまたはその他の任意の粘性材料を収容する容器とを含んでいる。この容器はコンデンサ部品に隣接して配置されており、コンデンサ部品への粘弾性ポリマーの移動を可能にする出口を有している。図4Aは、TTI装置の開始点、すなわち作動していない状態を示している(例えば、容器は、装置を作動させるために破る、取り外す、または穴開けする必要がある密閉エンクロージャを有することができる)。図4Bは、しばらく時間が経過して粘弾性構成要素が多孔性材料に浸透し、それにより静電容量の変化が生じ、装置の時間温度履歴が示されている状態の装置を示している。図4Cは、さらに時間が経過して粘弾性構成要素が完全に多孔性材料を満たし、静電容量が変化し、より長い時間温度履歴が示されている状態の装置を示している。注意すべきことに、粘性液体が多孔性材料に浸透した距離を測定することで時間温度経過を容易に見てとれるように、一方または両方の電極が透明であることができる。
【0132】
誘電体スペーサへの粘弾性構成要素の浸透によってスペーサ材料の誘電透過率が影響を受け、その結果、静電容量が影響を受ける。この場合、コンデンサの誘導体スペーサが活性反応剤を提供する、すなわち、時間温度によって変化する誘電透過率を有し、それによりコンデンサ部品の電気特性の変化が引き起こされる。さらに、粘弾性構成要素に溶けている間に、活性反応剤を提供する電極層の均質性に影響を及ぼすような、上記の図1Aの実施例に似た誘電体スペーサ材料を選択することができる。
【0133】
図4Dの実施例においては、TTI構造400Dは、電気絶縁基板層S(例えばガラス)と、電極E1およびE2を形成するようにパターン形成された基板上の導電層と、紙層や多孔性金属酸化物層などの多孔性絶縁層である活性反応剤R1を提供する2つの電極間の誘電体スペーサ層Dと、粘弾性層R2と、取り外し可能なエンクロージャとを含んでいる。層R2の粘弾性は時間および温度に伴って変化するため(上記のように)、この粘弾性液体が層R1に浸透し、スペーサ層R1の誘電透過率の変化の結果として時間温度に伴う静電容量の変化をもたらす。図4Eの実施例においては、TTI構造400Eは、第1電極E1を提供する導電層で被覆された絶縁基板Sと、コンデンサの誘電体スペーサであり、活性反応剤R1を提供する紙層などの多孔性絶縁層と、粘弾性層(不活性反応剤R2)と、粘弾性層R2の上の第2電極E2層(透明であってもなくてもよい)とを含んでいる。粘弾性層R2が、電極E2を通じておよび/または電極E2の外部の層R2の領域を通じて、時間および温度に伴う環境の変化にさらされる。
【0134】
当然のことながら、粘弾性層がイオン性または電荷性導体である場合に発生することがあるイオン伝導から導電層を絶縁する2つの追加絶縁層を構造400Aおよび400Bで使用することができる。
【0135】
また、図4A〜4Eのコンデンサ部品がRF回路の要素であってもよいことに注意すべきである。この場合、時間温度に伴うコンデンサの誘電体スペーサR1の変化によって、RF回路からのRF信号の変化が引き起こされる。
【0136】
第1の標準コンデンサ(C1)、抵抗器(R1)、アンテナ(L1)、および第2の時間温度応答コンデンサを有するRF回路から始まって、C2の静電容量が、温度に依存する速度で時間の経過に伴って変化する。温度依存性が連続的であってもよいし、所定温度を下回った場合に時間の経過に伴う静電容量の変化を無視できるようなしきい値を温度依存性が有してもよい。
【0137】
R1が所定の抵抗器であると仮定すると、共振周波数は、作動からの経過時間が0時間である場合に
【化1】
である。C2の静電容量がゼロまたは所定の任意の値C2’に低下すると、周波数は、傷んだ物品を定義する周波数
【化2】
に達する。
【0138】
考慮に入れる必要がある唯一の要因は静電容量の変化である。そのために、コンデンサは次の構成とともに用いられる。
−脱ドープ剤を有する粘性層
−金属グリッド
−ドープ共役ポリマー
−絶縁層
−金属電極
【0139】
ドープ共役ポリマーの上に配置された金属グリッドの上に脱ドープ剤を含む粘性層を配置すると、脱ドープ剤を含む粘性層によって、時間温度に依存する速度でドープ共役ポリマーの脱ドープが生じ、そのため、回路のC2の静電容量および共振周波数が変化する。
【0140】
抵抗器R1として機能するときのドープ共役層の抵抗など、装置の他の電気特性および/または電子特性と、そのAC応答およびDC応答が、温度に依存する速度で変化してもよい。R1の抵抗の場合、影響は主に共振回路のQ係数で表される。
【0141】
当然のことながら、「時間温度に依存する速度で」という用語は、結果が電子特性の緩やかな変化であるということを意味するが、他の態様では、電子特性の急激な変化が生じてもよい。
【0142】
コンデンサの誘電体スペーサを通じた、時間温度に伴うTTIの電気特性の変化を引き起こさせるさらに別の実施例では、単一のコンデンサではなく、粘弾性ポリマーが浸透すると壊れる複数のコンデンサが用いられる。この場合、温度・時間プロフィールが、影響を受けた(すなわち、粘弾性構成要素が浸透した)コンデンサの数として測定される。当然のことながら、複数のコンデンサに次々に浸透するのに、同じ種類の粘弾性ポリマーを用いてもよいし、異なる浸透率を有する異種の粘弾性ポリマーを用いてもよいし、コンデンサ内で異種の多孔性材料を用いてもよいし、および/またはコンデンサの電極間で異なるスペーサを用いてもよい。
【0143】
本発明の装置は、例えばインクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷など、任意の公知の適切な技術を用いて製造することができる。
【0144】
本発明のさらに別の態様を示す図5を参照する。ここで、TTI構造500は、その構成要素として、環境にさらされると酸化を受けるような種類の導電層の形態の活性反応剤R1のみ用いるように構成されている。この反応剤はCuやGaAsなどであることができる。不活性反応剤R2(酸素)は環境からもたらされる。時間温度に依存する酸化によって、層R1の伝導度および反射率の変化が生じる。ここでも、層R1がRF回路を形成するようにパターン形成されている場合、この層の酸化によって、問い合わせフィールドに対する回路応答の変化が生じる。
【0145】
図6は、本発明のさらに別の実施例を示している。最初は導電性を有していないが、導電性材料に転換可能であるような種類のポリマー層である活性反応剤層R1(基板の上の)と、活性反応剤R1の伝導度に影響を及ぼして導電性材料に転換させるような反応剤として選択される不活性反応剤R2とを含むTTI構造600が示されている。活性反応剤R1はポリチオフェンであることができ、不活性反応剤R2はヨウ素(I2)、ヨウ素の複合体(例えば、でんぷん・ヨウ素複合体)、またはポリマーマトリックスに溶解したヨウ素であることができる。環境にさらされると、R2はゆっくりと昇華してポリチオフェン層R1に浸透する。これにより、ポリチオフェン層R1に導電性がもたらされる。この場合、TTIの状態変化を、活性反応剤R1を流れる電流を測定することで検出することができる。また、導体になるとポリチオフェンの色が黒になるため、目視でTTIの状態変化を検出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1A】不活性反応剤および活性反応剤を利用した、本発明の一態様によるTTI構造の概略図である。活性反応剤は、抵抗器部品またはRF回路を形成する導電性材料である。
【図1B】本発明によるTTI装置の連結およびトリガの様々な実施例を概略的に示している。
【図1C】本発明によるTTI装置の連結およびトリガの様々な実施例を概略的に示している。
【図1D】本発明によるTTI装置の連結およびトリガの様々な実施例を概略的に示している。
【図2A】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Aは、実験用のTTI構造100を示している。
【図2B】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Bは、活性反応剤および不活性反応剤の間の混合過程の時間温度の推移を示している。
【図2C】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Cは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2D】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Dは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2E】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Eは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2F】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Fは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2G】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Gは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図2H】導電性活性反応剤の反射率および抵抗率の時間温度に依存する変化を示す、本発明の技術の実験結果を示している。図2Hは、活性反応剤の時間および温度に依存する変化を示している。
【図3】RF回路の形態の活性反応剤を利用した、本発明のTTI装置を読み取るためのシステムを概略的に示している。
【図4A】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図4B】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図4C】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図4D】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図4E】コンデンサ部品の一部として活性反応剤を利用したTTI構造の様々な構成をそれぞれ例示している。
【図5】環境によって影響を受ける導電層の形態の活性反応剤を利用した、TTI構造のさらに別の実施例の概略図である。
【図6】導電性材料に転換可能な材料の形態の活性反応剤を利用した、本発明のさらに別の態様によるTTI構造の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間温度指示装置が、電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤を含み、少なくとも1種の活性反応剤が、電気部品の少なくとも1つの電気特性を時間温度に依存する速度で本来的に変化させるように選択されるものである、時間温度指示装置。
【請求項2】
時間温度指示装置が、
(i)電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤であって、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される、少なくとも1種の活性反応剤;および
(ii)粘性物質の形態の少なくとも1種の第1不活性反応剤、を含み、化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第1不活性反応剤との間の反応であり、少なくとも1種の第1不活性反応剤が、これが化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択されるものである、時間温度指示装置。
【請求項3】
時間温度指示装置が、
(i)電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤であって、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される、少なくとも1種の活性反応剤;
(ii)粘性物質の形態の少なくとも1種の第1不活性反応剤;および
(iii)少なくとも1種の第2不活性反応剤、を含み、化学反応および物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第2不活性反応剤との間の反応であり、少なくとも1種の第1不活性反応剤が、少なくとも1種の第2不活性反応剤への時間に依存する熱伝達を引き起こし、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択されるものである、時間温度指示装置。
【請求項4】
電気部品が、抵抗器、コンデンサ、ダイオード、誘導コイル、およびアンテナからなる群より選択され、電気部品が、好ましくは、RF回路の少なくとも1つの要素として構成される、請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置。
【請求項5】
化学反応および/または物理反応が、酸塩基反応、酸化還元反応、および塩生成反応からなる群より選択される、請求項2または3記載の時間温度指示装置。
【請求項6】
少なくとも1種の活性反応剤が、その最初の非導電状態から導電状態に転換可能なポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置。
【請求項7】
少なくとも1種の活性反応剤が、ポリチオフェンであり、不活性反応剤はヨウ素である、請求項2または3記載の時間温度指示装置。
【請求項8】
少なくとも1種の活性反応剤が、ポリアニリンであり、不活性反応剤が、ペルオキシ二硫酸化学種である、請求項2または3に記載の時間温度指示装置。
【請求項9】
電気部品が、コンデンサであり、好ましくはRF回路の要素として構成されており、少なくとも1種の活性反応剤が、コンデンサ内の誘電体スペーサを提供する誘電体材料である、請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置。
【請求項10】
化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第1不活性反応剤の混合からなり、それにより少なくとも1種の活性反応剤の透過率の変化を引き起こすものである、請求項2または3に記載の時間温度指示装置。
【請求項11】
多層構造として構成されており、多層構造が、電気絶縁材料の基板層を含み、電気部品を形成するように構成された層構造を有し、好ましくは、層構造が、誘電体層によって互いに隔てられる第1電極および第2電極を含み、それによりコンデンサ型の電気部品を形成する、請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置。
【請求項12】
2つの部分の装置として構成され、2つの部分の一方が少なくとも1種の活性反応剤を少なくとも含み、他方の部分が少なくとも1種の第1不活性反応剤および/または第2不活性反応剤を含み、2つの部分が互いに取り付け可能なように構成されており、それにより化学プロセスおよび/または物理プロセスを引き起こし、それにより装置が作動するものである、請求項2または3記載の時間温度指示装置。
【請求項13】
時間温度指示の方法であって、方法が、少なくとも1種の活性反応剤と、電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす粘性物質の形態の少なくとも1種の不活性反応剤との間の化学反応および/または物理反応の工程を含み、少なくとも1種の活性反応剤が、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部であり、少なくとも1種の不活性反応剤が、少なくとも1種の不活性反応剤に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択されるものである、時間温度指示の方法。
【請求項14】
少なくとも1種の不活性反応剤が、少なくとも1種の第2不活性反応剤への時間に依存する熱伝達を引き起こし、それにより少なくとも1種の活性反応剤と、電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす少なくとも1種の第2不活性反応剤との間の化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされ、少なくとも1種の活性反応剤が、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である、請求項13に記載の時間温度指示の方法。
【請求項15】
請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置の少なくとも1種の活性反応剤、少なくとも1種の第1不活性反応剤、および/または少なくとも1種の第2不活性反応剤を含む、印刷用インクまたは印刷用濃縮インク。
【請求項16】
請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置を含む、包装材料またはラベル。
【請求項1】
時間温度指示装置が、電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤を含み、少なくとも1種の活性反応剤が、電気部品の少なくとも1つの電気特性を時間温度に依存する速度で本来的に変化させるように選択されるものである、時間温度指示装置。
【請求項2】
時間温度指示装置が、
(i)電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤であって、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される、少なくとも1種の活性反応剤;および
(ii)粘性物質の形態の少なくとも1種の第1不活性反応剤、を含み、化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第1不活性反応剤との間の反応であり、少なくとも1種の第1不活性反応剤が、これが化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択されるものである、時間温度指示装置。
【請求項3】
時間温度指示装置が、
(i)電気部品の少なくとも一部である少なくとも1種の活性反応剤であって、時間温度に依存する速度で電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす化学反応および/または物理反応によって影響を受けるように選択される、少なくとも1種の活性反応剤;
(ii)粘性物質の形態の少なくとも1種の第1不活性反応剤;および
(iii)少なくとも1種の第2不活性反応剤、を含み、化学反応および物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第2不活性反応剤との間の反応であり、少なくとも1種の第1不活性反応剤が、少なくとも1種の第2不活性反応剤への時間に依存する熱伝達を引き起こし、それにより化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択されるものである、時間温度指示装置。
【請求項4】
電気部品が、抵抗器、コンデンサ、ダイオード、誘導コイル、およびアンテナからなる群より選択され、電気部品が、好ましくは、RF回路の少なくとも1つの要素として構成される、請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置。
【請求項5】
化学反応および/または物理反応が、酸塩基反応、酸化還元反応、および塩生成反応からなる群より選択される、請求項2または3記載の時間温度指示装置。
【請求項6】
少なくとも1種の活性反応剤が、その最初の非導電状態から導電状態に転換可能なポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置。
【請求項7】
少なくとも1種の活性反応剤が、ポリチオフェンであり、不活性反応剤はヨウ素である、請求項2または3記載の時間温度指示装置。
【請求項8】
少なくとも1種の活性反応剤が、ポリアニリンであり、不活性反応剤が、ペルオキシ二硫酸化学種である、請求項2または3に記載の時間温度指示装置。
【請求項9】
電気部品が、コンデンサであり、好ましくはRF回路の要素として構成されており、少なくとも1種の活性反応剤が、コンデンサ内の誘電体スペーサを提供する誘電体材料である、請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置。
【請求項10】
化学反応および/または物理反応が、少なくとも1種の活性反応剤と少なくとも1種の第1不活性反応剤の混合からなり、それにより少なくとも1種の活性反応剤の透過率の変化を引き起こすものである、請求項2または3に記載の時間温度指示装置。
【請求項11】
多層構造として構成されており、多層構造が、電気絶縁材料の基板層を含み、電気部品を形成するように構成された層構造を有し、好ましくは、層構造が、誘電体層によって互いに隔てられる第1電極および第2電極を含み、それによりコンデンサ型の電気部品を形成する、請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置。
【請求項12】
2つの部分の装置として構成され、2つの部分の一方が少なくとも1種の活性反応剤を少なくとも含み、他方の部分が少なくとも1種の第1不活性反応剤および/または第2不活性反応剤を含み、2つの部分が互いに取り付け可能なように構成されており、それにより化学プロセスおよび/または物理プロセスを引き起こし、それにより装置が作動するものである、請求項2または3記載の時間温度指示装置。
【請求項13】
時間温度指示の方法であって、方法が、少なくとも1種の活性反応剤と、電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす粘性物質の形態の少なくとも1種の不活性反応剤との間の化学反応および/または物理反応の工程を含み、少なくとも1種の活性反応剤が、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部であり、少なくとも1種の不活性反応剤が、少なくとも1種の不活性反応剤に固有の所定の温度を上回る温度に暴露されると、化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展を引き起こすように選択されるものである、時間温度指示の方法。
【請求項14】
少なくとも1種の不活性反応剤が、少なくとも1種の第2不活性反応剤への時間に依存する熱伝達を引き起こし、それにより少なくとも1種の活性反応剤と、電気部品の少なくとも1つの電気特性の変化を引き起こす少なくとも1種の第2不活性反応剤との間の化学反応および/または物理反応の時間温度に依存する進展が引き起こされ、少なくとも1種の活性反応剤が、電気部品であるか電気部品に転換可能であるように構成される構成要素の少なくとも一部である、請求項13に記載の時間温度指示の方法。
【請求項15】
請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置の少なくとも1種の活性反応剤、少なくとも1種の第1不活性反応剤、および/または少なくとも1種の第2不活性反応剤を含む、印刷用インクまたは印刷用濃縮インク。
【請求項16】
請求項1〜3のいずれか1項記載の時間温度指示装置を含む、包装材料またはラベル。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2008−520962(P2008−520962A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539573(P2007−539573)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055645
【国際公開番号】WO2006/048412
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(506173178)フレッシュポイント・ホールディングス・ソシエテ・アノニム (7)
【氏名又は名称原語表記】FRESHPOINT HOLDINGS S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055645
【国際公開番号】WO2006/048412
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(506173178)フレッシュポイント・ホールディングス・ソシエテ・アノニム (7)
【氏名又は名称原語表記】FRESHPOINT HOLDINGS S.A.
【Fターム(参考)】
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