説明

時間療法用組成物とそれらの使用方法

心血管系薬物の時間療法用製剤を開示する。該製剤は、約8時間未満のin vivo排出半減期を有する少なくとも1種類の心血管系薬物を含み;ここで、該製剤は、対象への投与後に下記in vivoプロフィルを示す:(a)約2〜約8時間の、該少なくとも1種類の薬物の療法レベル放出の遅延;(b)約8〜約12時間におけるTmax;(c)12時間以上に及ぶ、ピークの50%以内の薬物血漿レベル;及び(d)約4以上の、薬物血漿レベルのピーク対トラフ比率。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願No.60/543,402(2004年2月11日出願)の優先権の利益を主張し、この仮出願は、本明細書に援用される。
時間療法(chronotherapy)は、薬物暴露を疾患症状の日周期パターン又は基礎生理的機能と同期化することを伴う。このような療法は、疾患を治療するためのより合理的又は標的化アプローチを提供する。例えば、多くの心血管系疾患は、血圧、心拍数、心筋収縮能、冠状血管緊張及び他の機能の早朝上昇を包含する、よく確立された日周期パターンを提示する。時間療法用製剤は、最適薬物暴露の目標を、治療経過中の早朝期間(例えば、約6AM〜約10AM)に定めることができる。
【0002】
さらに、時間療法用製剤は、薬物が早朝期間中に必要とされるまで、1日1回夜間投与の薬物の放出を遅延させ、一方で起きている時間中療法レベルの維持を可能にすることによって、患者コンプライアンスを改良する。1日2回及び1日3回投与ではコンプライアンス・レベルがそれぞれ60%と40%に低下するのに対し、このような1日1回製剤は、患者コンプライアンスが80%程度の高さであることができるので望ましい。例えば、Shilo, et al., Ann. Pharmacother., 35(11):1339-42, 2001を参照のこと。したがって、投与回数を減ずる時間療法用投与形は、療法成果を顕著に改良することができる。
【0003】
心血管系薬物の幾つかの時間療法用製剤が記載されている。例えば、WO 02/072034、米国特許Nos.5,788,987、5,891,474、6,190,692、6,500,454及び6,620,439; 米国特許出願 20030082230(2003年5月1日公開);及び米国特許出願20030190360(2003年10月3日公開)を参照のこと。これらの製剤は、薬物の吸収と暴露の開始を早朝リスク期間と同期化すると報告される、初期薬物放出の遅延又は遅滞(lag)を生じるように設計されている。このような製剤は、典型的には、単回投与後に2〜8時間の遅延時間を有すると記載されている。
【0004】
例えば、Busetti(米国特許Nos.5,788,987; 5,891,474; 6,190,692)は、睡眠前に投与したときに、ほぼ覚醒時間に活性化合物の療法的有効濃度を生じる遅延放出製剤を記載する。該製剤は、薬物コアを膨潤性ポリマーで被覆することによって製造され;薬物放出の遅延長さは、ポリマー塗膜の厚さに依存する。ポリマー塗膜が溶解又は侵食によって除去される遅延期間後に、活性化合物が露出され、対象の組織中に迅速に放出される。
【0005】
Besettiは、早朝時間を越え、そして、1日を通して療法利益を与える、活性化合物の遅延及び持続放出を達成する投与形を記載しない。その代わり、このタイプの迅速放出は、初期スパイク(即ち、バースト放出)を生じ、その後に薬物の血漿濃度が急激に低下する。したがって、薬物が早朝時間中(即ち、初期スパイク中)に療法レベルで存在し得るとしても、このレベルは、1日の起きている時間を通しては維持されない。その結果、この療法アプローチは、対象に1日間を通しての充分な又は最適な保護を与えない。
【0006】
さらに、遅延時間のみに集中すると、時間療法用製剤の効力に影響する、多くの他の重要なパラメーターが見落とされる。例えば、長い排出(elimination)半減期を有する薬物は、標準遅延相を有するよう製剤化され得、また、1日を通して適当なカバレージを与え得るが、反復投与によって蓄積し得る。これに反して、短い排出半減期を有する薬物は、単に標準遅延相を有して製剤化される場合には、対象の系から非常に迅速にクリアされるので、持続療法血中レベルを達成しないであろう。したがって、短い排出半減期の薬物の場合、適当な時間療法用製剤を製造するために、付加的なパラメーターを考慮しなければならない。このようなパラメーターは、反復投与に適した最適の時間療法血漿プロフィルを達成するために必要な、薬物吸収速度、ピーク濃度のタイミング、治療血中レベルの持続時間、薬物の排出半減期、及び血中レベルのウォッシュアウトの持続時間を包含する。本発明は、短い排出半減期の心血管系薬物に用いるために適した製剤を提供する。
【0007】
心血管系薬物の1つの重要なクラスは、β-遮断薬である。β-遮断薬は、β-アドレナリン受容体選択性アンタゴニストであり、例えばプロパノロール及びアテノロールのような、よく知られた市販品を包含する。該薬物は、β-アドレナリン作動性受容体における神経伝達物質作用を遮断することによって作用し、結果として、交感神経系における伝達を中断させる。β-アドレナリン作動性受容体を遮断する効果は、これら受容体の全身中の分布を反映して、広範囲に及ぶ。これらの効果は、非限定的に、心臓と心血管系、胃腸管、気道、眼、肝臓及び泌尿生殖組織への効果を包含する。これらの効果等は、例えば、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (McGraw Hill,1996) 及びRang, Dale and Ritter's Pharmacology (Churchill Livingstone,1999)のような、テキストブック中に記載される。
【0008】
β-遮断薬は、非限定的に、高血圧、虚血性心臓疾患、心房細動、うっ血性心不全、末梢動脈閉塞性疾患、狭心症、心臓不整脈、心不全、緑内障、偏頭痛、甲状腺疾患の影響及び不安の症状(例えば動悸)を包含する、多くの状態の治療に適応する。β-遮断薬は心血管系の疾患に最も一般的に用いられる。
【0009】
心血管系に対するβ-遮断薬の一般的作用機構は、解明されている。血管組織と心臓組織の両方において、アドレナリン作動性受容体に結合するカテコールアミンによって細胞が刺激されると、筋肉細胞収縮が生じる。これは、心拍数、血圧、及び特に心筋収縮の速度と力の上昇を惹起する可能性がある。β-遮断薬は、カテコールアミンのこれら効果の幾つかに拮抗し、その結果、血管拡張、血圧低下及び心臓から血液を汲み出すために必要な力の低下を招く。
【0010】
メトロプロロール(1-(イソプロピルアミノ)-3-[p-(2-メトキシエチル)フェノキシ]-2-プロパノール)は、高血圧、狭心症及び安定性又は症候性心不全のために典型的に処方されるβ-遮断薬の1つである。この化合物は、心臓筋肉中に優勢であるβ-1-アドレナリン受容体に優先的に作用する。したがって、該薬物は、心臓組織に対して相対的に選択的である。しかし、高濃度になると、該薬物は身体の他の部分(例えば、血管及び気管支組織)におけるβ-2-アドレナリン受容体をも遮断するので、この選択性は減退する。
【0011】
多くの心血管系薬物と同様に、β-遮断薬の幾つかは、投与後に患者において短い排出半減期を示すので、時間療法薬(chronotherapeutics)としての効力が限定される。例えば、メトプロロールは、約3.5時間という比較的短い排出半減期を有する。この短い排出半減期の結果として、メトプロロールのような薬物を摂取する対象は、連続した保護を保証するために1日多数回の投与を必要とする。このことは、対象のコンプライアンスと対象の系の1日間を通しての療法レベルの維持に関して重要な問題を生じる。
【0012】
さらに、短い排出半減期薬物の(1日多数回投与によって惹起される)血漿濃度のシャープなピークとドロップは、好ましくない副作用を招く。上述したように、例えば、β-1-アドレナリン受容体に対するメトプロロールの選択性は、高い血漿濃度では低下する。したがって、該薬物の血漿濃度が高すぎると、非心臓組織において好ましくない効果が観察される。
【0013】
心血管系薬物のある種の持続放出製剤が、1日1回投与のために設計されている。例えば、メトプロロールの慣用的な持続放出製剤は、少なくとも24時間にわたって、メトプロロールの連続した療法血漿レベルを提供すると報告される。例えば、Plosker, et al., "Controlled Release Metoprolol Formulations," Drugs 43(3):382-414,1992; Kendall, et al., "Controlled Release Metoprolol," Clin. Pharmacokinet., 21(5):319 - 330,1991;米国特許No.4,036,227; 米国特許No.4,792,452; 米国特許No.4,871,549; 米国特許No.4,927,640; 米国特許No.4,957,745; 米国特許No.5,081,154; 米国特許No.5,169, 638; 及び米国特許No.5,399,362を参照のこと。
【0014】
これらの1日1回投与形は、対象の薬物血漿レベルを治療閾値以上に迅速に高め、これをそこに全24時間期間を通して維持することによって、連続24時間療法を達成すると報告される。しかし、この全体的な24時間カバレージは、時間療法の最も有効又は望ましい形ではない。例えば、薬物の一定量を連日デリバリーすることによって、薬物血漿プロフィルは、投与毎にシフトし、再現可能ではない。換言すると、最初の投与中に観察される血漿レベルは、薬物のその後の投与で観察される血漿レベルとは異なる。なぜなら、次の投与量が摂取される前に、薬物の全てが対象の系から除去されないからである。その結果、動的パラメーター(kinetic parameters)(カバレージの時間、ピーク対トラフ比率、遅延のタイミング、及びウォッシュアウト期等)は、反復投与の過程にわたって歪曲する。このことは、如何なる治療プロトコールにも予測不能性と複雑性の重複を加え、臨床医が正確に説明するのが困難になる。
【0015】
さらに、多くの心血管系薬物と同様に、長期間連続投与は、しばしば、薬物に対する耐性又は脱感作を生じる。その結果、療法効力を維持するためには、絶えず増大する量の薬物を投与しなければならない。残念ながら、投与することができる薬物量は、該薬物によって惹起される不利な副作用によって、しばしば用量制限される。このように、対象における脱感作の発生が、最後には特定の心血管系状態を薬物で治療するための重要な長期間治療オプションを排除する可能性がある。
【0016】
この長期間脱感作は、もちろん、心血管系ニトレート(nitrate)薬物に関連した急性耐性とは異なる。急性耐性は、ニトレート薬物の単回投与後の患者において観察することができる。したがって、ニトレート療法に対する標的組織の反応性においては、急激な損失又は低下が生じる。急性ニトレート耐性の効果は、当該技術分野でよく知られ、この特有の問題の克服に適した、多くの製剤によって対処されている。例えば、係属米国特許出願No.10/214,345は、経口1日1回時間療法用ニトレート製剤を記載し、該製剤は、急性ニトレート耐性を最小にするために、放出前の遅延時間及び、療法的暴露期間/非療法的暴露期間の組み合わせを提供する。しかし、これらの製剤は、急性ニトレート耐性を回避するために特異的に設計され、ニトレート療法の分野に固有である。さらに、該製剤は、療法的/非療法的血漿ニトレート濃度(即ち、100ng/mlを超える又は超えない)の観点からのみ定義されている。その結果、急性ニトレート耐性を克服するためのアプローチは、非ニトレート療法に関連した長期間脱感作を回避するために、一般的に適用可能ではない。
【0017】
長期間脱感作に関する問題に加え、多くの心血管系薬物に絶えず暴露することは、該療法を突然中断するときに、合併症を提示する。これは、例えば、対象が彼らの薬剤にアクセスしないとき又は該薬物の投与を医学的理由(例えば、副作用、他の薬剤との不利な相互作用、外科手術に伴う合併症、など)から中断しなければならないときに、起こり得る。
【0018】
連続治療の経過後にβ-遮断薬療法を中断する場合に、対象は、「リバウンド現象」を経験する。ある研究では、対象は、彼らのβ-遮断薬療法を突然中断した2週間以内に、中間冠状症候群、心室頻拍、致命的心筋梗塞及び突然死を含めた、有害な虚血性イベントと重大な中断合併症を発症した。例えば、RR Miller,et al., "Propranolol-withdrawal rebound phenomenon. Exacerbation of coronary events after abrupt cessation of antianginal therapy," New England Journal of Medicine, 293:416-418(1975)を参照のこと。ある商業的に入手可能なメトプロロールの持続放出形の添付文書も、治療の突然の中止後に、狭心症が悪化し、場合によっては、心筋梗塞が生じることを警告している。薬物添付文書、TOPROL-XLTM (コハク酸メトロプロロール) (Rev. 11/2002)を参照のこと。
【0019】
この結果、β-遮断薬は、慢性的投与の経過後に、徐々に減じなければならず、中断期間中は活性を制限しなければならない。しかし、この警告は、治療中止を回避することができない状況(例えば、患者が予想に反して薬剤にアクセスを有しない場合)を説明していない。したがって、心血管系薬物に対する長期間暴露によって惹起される「リバウンド」の危険性は、依然として重大な治療上の問題である。
【0020】
最後に、大抵の薬物と同様に、対象は、該薬物に対する連続暴露から不快な副作用を経験する。β-遮断薬(例えばメトプロロール)の場合には、副作用は資料で充分に立証されており、特に、頭痛と目眩、憂鬱、物忘れ、不眠、吐き気、下痢と他の胃腸障害、及び息切れを包含する。これらの副作用の多くは、一過性であるが、該薬物への連続24時間暴露は、感受性がある対象において不利なイベントが繰り返される機会を提供する。
【0021】
これらの種々な療法チャレンジを考えると、単に放出の遅延を与えて、続けて、薬物へ連続24時間暴露させることが、効果的な時間療法的薬物療法の唯一の目的ではない筈である。最適の製剤は、さらに多くのことを果たすべきである。例えば、より安全で、効果的なアプローチは、持続薬物放出を調整して薬物が最も必要とされる期間中に適当なカバレージを与え、薬物レベルの不必要な変動を制限し、そして療法が必要とされないときには、有利な薬物フリーの間隔を許容するべきである。このようにすると、心血管系状態を予防し、治療し及び/又は管理しながら、臨床的に有効で再現可能な1日の薬物放出プロフィルが達成される。このような療法は、また如何なるリバウンド現象又は耐性をも含めた副作用を防止又は減少し得る。このタイプの新しい効果的な薬物製剤が、当該技術分野で必要とされている。
【0022】
本発明は、先行技術製剤に関連した制限を回避しながら、特異的な療法的血中レベルプロフィルを達成する、心血管系薬物の製剤を提供する。本発明の製剤は、1日1回時間療法用製剤としての使用に特に適している。したがって、幾つかの実施態様では、早朝時間中及び次の日を通しての治療カバレージを与えながら、該製剤を夜間に投与し得る。さらに、本発明の製剤は、薬物のすぐ次の投与後に再現可能である血中レベル・プロフィルを達成する。
【0023】
定義
本明細書において、「吸収半減期」なる用語は、対象への投与後に薬物の50%が吸収されるために要する時間を意味する。
【0024】
本明細書において、「β-遮断薬」及び「β-アドレナリン作動性遮断薬」なる用語は、β-アドレナリン受容体へのアゴニストの結合を一般的に遮断する、化合物のクラスを意味する。β-遮断薬は、典型的には、例えば高血圧、狭心症、心筋梗塞、心臓不整脈、偏頭痛、振せん、不安及び緑内障のような範囲の範囲を予防し、治療し及び/又は管理するために用いられる。β-遮断薬は、オキシプレノロール、ピンドロール、アセブトロール、セリプロロール、アテノロール、ナドロール、ソタロール、ラベタロール、カルベジロール、ネビボロール、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、チモロール、プロプラノロール及びエスモロールを包含する。この用語はさらに、ラセミ体、立体異性体及びこれらのいずれかの製薬的に受容される塩も含めた、β-遮断薬のあらゆる形態を包含する。1実施態様では、β-遮断薬はメトプロロールである。
【0025】
本明細書において、「心血管系状態」なる用語は、心血管系の疾患とそれらの症状を意味する。心血管系状態は当該技術分野で知られ、非限定的に、高血圧、アンギナ、冠状動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、心筋梗塞、卒中及び血栓症を包含する。
【0026】
本明細書において、「心血管系薬物」なる用語は、対象における心血管系状態を治療する、予防する、及び/又は管理するために適した薬物化合物及び/又は製剤を意味する。このような薬物は、非限定的に、末梢α若しくはβアドレナリン作動性遮断薬、中枢α若しくはβアドレナリン作動性遮断薬、混合α/βアドレナリン遮断薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、抗不整脈薬(I、II若しくはIII群)、カルシウムチャンネル遮断薬、カリウムチャンネル活性化剤(例えば、ニコランジル)、アルドステロンアンタゴニスト、レニン阻害剤、利尿薬、並びに血管拡張剤(冠状、末梢及び肺動脈)を包含する。特定の実施態様では、心血管系薬物は、βアドレナリン作動性遮断薬、カルシウムアンタゴニスト、カリウムチャンネル活性化剤(例えば、ニコランジル)又はACE阻害剤である。該用語は、その立体異性体及び任意の製薬的に受容される塩も含めた、このような薬物のあらゆる形態を包含する。本発明は、心血管系薬物の組み合わせを提供する製剤を包含する。
【0027】
本明細書において、「遅延放出製剤」なるフレーズは、指定期間即ち遅延期間にわたって化合物のデリバリーを実質的に又は完全に抑える又は弱める薬剤製剤を意味する。この遅延期間後に、このような製剤の有効成分が放出され始める。さらなる障害なしに、薬物の全量が迅速に放出される。例えば、典型的な遅延放出錠剤は、外側被膜が崩壊するか又は浸食されるまで、活性化合物の放出を抑制するであろう。被膜が溶解したならば、活性化合物が迅速に対象中に放出される。
【0028】
本明細書において、「排出半減期」なる用語は、対象への投与後に薬物の50%が排出されるために要する時間を意味する。「短い排出半減期薬物」とは、対象への投与後に8時間未満の排出半減期(t1/2)を示す薬物である。短い排出半減期を有する薬物の例を表1に示す。当業者は、いずれの特定薬物の半減期及び同半減期の測定方法も熟知している。例えば、薬物の排出半減期は、典型的には[ln2/kel]として推定され、ここで、kel=[(lnC1-lnC2)/(t2-t1)]である。C1及びC2は、それぞれ、血漿濃度対時間曲線の対数-線形末端期(log-linear terminal phase)における時間t1及びt2における濃度である。
【0029】
【表1】

【0030】
「製薬的に受容される塩」なる用語は、対象によって生理的に耐えられる塩を包含する。このような塩は、典型的に、無機酸及び/又は有機酸から製造される。適当な無機酸の例は、非限定的に、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸を包含する。有機酸は、脂肪族酸、芳香族酸、カルボン酸及び/又はスルホン酸であり得る。適当な有機酸は、非限定的に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、ムチン酸、酒石酸、パラ-トルエンスルホン酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロ酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、パモ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギニン酸、ガラクツロン酸等を包含する。
【0031】
上述したように、メトプロロールは、幾つかの実施態様において、本発明に用いられるβ-遮断薬である。特定のメトプロロール塩は、製剤に望ましい製薬的及び/又は薬物動態的性質を与えるために必要な、その溶解性に基づいて選択することができる。非常に溶解性な塩の例は、酒石酸塩及び塩酸塩を包含する。1実施態様では、β-遮断薬は、メトプロロールの酒石酸塩である。溶解性への考察は、本発明によって包含される他の心血管系薬物の中から特定の塩を選択するのにも利用し得る。
【0032】
本明細書において、「製薬的に受容される賦形剤」なる用語は、薬剤製剤中の他の成分と相容性であり、許容される量で投与したときに対象に有害でない化合物を包含する。
本明細書において、「療法有効量」なるフレーズは、単独及び/又は他の薬物との組み合わせで、特定の薬物の性質から恩恵を受け得る1種類以上の状態の、予防、治療及び/又は管理に利益を与える、該特定の薬物化合物又はその製薬的に受容される塩の量を意味する。
【0033】
本明細書で用いる限り、「持続放出(extended release)製剤」又は「持続放出投与形」なるフレーズは、対象における活性化合物の療法有効レベルを指定期間にわたって維持する薬剤製剤を意味する。持続放出製剤は、活性化合物の放出を指定期間にわたって遅延させるように設計し得る。このような化合物を、本明細書では、「遅延発現(delayed onset)、持続放出製剤」又は「遅延発現、持続放出投与形」と呼ぶ。
【0034】
「Tmax]なる用語は、対象に薬物を投与した後に、該対象内で薬物血漿レベルのピークレベルに達する時間を意味する。
「遅延時間(lag-time)」なる用語は、血漿濃度対時間曲線における最初の定量可能な血漿濃度の前の時間を意味する。
【0035】
「ピーク対トラフ(peak-to-trough)変動」又は「ピーク対トラフ比率」なる用語は、定常状態での投与間隔におけるピーク血漿濃度の、最小血漿濃度に対する比率を意味する。
「時間カバー(time cover)」なる用語は、本出願ではピーク濃度の50%として定義される最小濃度を、血漿濃度が超えている、定常状態での投与間隔における持続時間を意味する。
【0036】
発明の説明
本発明は、心血管系薬物によって予防可能、治療可能、及び/又は管理可能である状態を、予防、治療及び/又は管理するための組成物及び方法に関する。本発明は、対象への投与後に短い排出半減期を示す心血管系薬物に、特に適する。
【0037】
1実施態様では、本発明は、心血管系状態の予防、治療及び/又は管理における、短い排出半減期の心血管系薬物1種類以上を含む遅延発現、持続放出製剤と、それらの使用方法に関する。幾つかの実施態様では、本発明は、再現可能な1日の薬物放出プロフィルを維持しながら、該状態の有効な療法を提供することにおける、短い排出半減期の心血管系薬物1種類以上を含む遅延発現、持続放出製剤と、それらの使用方法に関する。さらなる実施態様では、本発明は、副作用、リバウンド現象、耐性及び/又は脱感作を予防しながら及び/又は弱めながら、該状態の有効な療法を提供することにおける、短い排出半減期の心血管系薬物1種類以上を含む遅延発現、持続放出製剤と、それらの使用方法に関する。
【0038】
1実施態様では、本発明は、心血管系状態の予防、治療及び/又は管理における、1種類以上のβ-遮断薬を含む遅延発現、持続放出製剤と、それらの使用方法に関する。幾つかの実施態様では、本発明は、再現可能な1日の薬物放出プロフィルを維持しながら、該状態の有効な療法を提供することにおける、1種類以上のβ-遮断薬を含む遅延発現、持続放出製剤と、それらの使用方法に関する。さらなる実施態様では、本発明は、副作用、リバウンド現象、耐性及び/又は脱感作を予防しながら及び/又は弱めながら、該状態の有効な療法を提供することにおける、1種類以上のβ-遮断薬を含む遅延発現、持続放出製剤と、それらの使用方法に関する。
【0039】
本発明の製剤は、心血管系薬物の先行技術製剤に関連した欠陥を克服する。特に、本発明の製剤は、多数回投与の過程にわたって一貫性のある、確実で再現可能な薬物血漿プロフィルを維持しながら、長期間脱感作、リバウンド現象及び種々の好ましくない副作用を避けるか又は弱める。
【0040】
本発明の製剤は、1日1回投与のための時間療法薬としての使用に適している。幾つかの実施態様では、時間療法用製剤は夜間に投与され、短い排出半減期の心血管系薬物の放出が早朝時間まで遅延される。本発明の製剤は、対象への投与後に下記in vivo時間療法プロフィルを示す製剤として定義される:
(1)夜間に投与した場合、早朝「高リスク」期間中の薬物の療法レベルを与える、約2〜約8時間の放出の遅延、;
(2)夜間に投与した場合、投与を受ける対象によって薬物の療法レベルが最も必要とされる時間と、ピーク薬物レベルが一致するような、約8〜約12時間におけるTmax
(3)夜間に投与した場合、1日の活動期(例えば、6AMから就寝まで)を通して適切な療法薬物カバレージを与えるための、12時間以上に及ぶ、ピークの50%以内のプラトー薬物血漿レベル;及び
(4)投与期間中のある時点においてサブ療法レベル(sub-therapeutic level)が生じるような、約4以上の、薬物血漿レベルのピーク対トラフ比率。
【0041】
本発明の製剤は、異なる心血管系薬物の種々な吸収半減期及び排出半減期値を考慮しながら、上記パラメーターを満たすように設計される。特に、本発明は、時間療法用製剤に短い排出半減期の心血管系薬物を用いることに適している。
【0042】
短い排出半減期の心血管系薬物(単数又は複数)の療法濃度放出の遅延は、製剤の投与後、約2〜約8時間、約3〜約8時間、若しくは約3〜約6時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間(any hour or fraction of time in between)であり得る。例えば、本発明の制御放出製剤は、短い排出半減期の心血管系薬物(単数又は複数)の療法濃度の放出を、約2、3、4、5、6、7若しくは8時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間にわたって遅延し得る。
【0043】
薬物の放出後に、該薬物の療法レベルが少なくとも12時間維持され得る。典型的には、短い排出半減期の心血管系薬物(単数又は複数)は、投与時間から測定して、約12〜約20時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間にわたって、療法レベル以上に維持される。したがって、該心血管系薬物(単数又は複数)は、投与時間から測定して、約12、13、14、14、16、17、18、19若しくは20時間、又はこれらのいずれかの時間若しくは端数時間にわたって療法レベル以上に維持される。このように、本発明の製剤は、1日を通して、薬物の療法有効量を供給する。
【0044】
該製剤は、さらに、約4以上のピーク対トラフ比率を必要とすることによって、「ウォッシュアウト期(washout phase)」を提供する。薬物の放出後に達せられる最大心血管系薬物血漿レベルに比べ、ウォッシュアウト期間中に血中血漿濃度が低下するレベルは、約4:1より大きい比率(ピーク対トラフ)を示す。したがって、該ピーク対トラフ比率は、約4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、又はこれより大きい比率若しくはこれらの間の比率の一部分であり得る。
【0045】
その際に、対象の血流中の短い排出半減期の心血管系薬物(単数又は複数)の血漿濃度は、薬物の次回の投与量が投与されるまで、最小療法レベル未満に低下することが許容される。幾つかの特定の製剤では、ウォッシュアウト期を、続く投与形の遅延期によって与えることができる。換言すると、初回投与後の、対象の血流における短い排出半減期の心血管系薬物(単数又は複数)の血漿レベルは、最小療法レベル未満に低下し、続いて投与される投与量の遅延期中、そのレベルに留まることが許容される。典型的なウォッシュアウト期は、約1時間以下から約8時間まで、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間持続するであろう。したがって、ウォッシュアウト期は、0.5、1、2、3、4、5、6、7又は8時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間持続し得る。
【0046】
短い排出半減期の心血管系薬物(単数又は複数)の療法有効レベルは、使用する薬物、患者及び治療すべき状態に依存して変化しうる。ある場合には、該療法有効レベルは、対象の反応を判定し、必要に応じて投与量を滴定することによって、経験的に決定し得る。このような実験はルーチンであり、当該技術分野の熟練の範囲内である。メトプロロールが製剤中に加えられる1実施態様では、1日投与量は約1mg〜約600mg、又はこれらの間のいずれかの数、例えば、約12.5mg〜約400mgである。
【0047】
本発明の製剤を投与することによって、治療を受ける対象は、薬物の中断に関連した効果(即ち、リバウンド現象)を避ける又は弱めることができる。同様に、既に心血管系薬物製剤を摂取している個人は、同じ利益を受けるために、本発明が開示する製剤の1つに代える又は切り替えることができる。該対象が心血管系薬物製剤を意図的に中断しなければならないが、リバウンド現象を回避することを望んでいる場合には、治療を中断する前に、対象が本発明が開示する製剤の1つに少なくとも約7日間切り替えることが有利である。これは、薬物の中断を該対象が認める前に、適応するための充分な時間を与えるであろう。
【0048】
本発明の方法は、少なくとも1種類の、短い排出半減期の心血管系薬物又はその製薬的に受容される塩の薬剤学的有効量を、このような処置を必要とする対象に投与することを含む。適当な、短い排出半減期の心血管系薬物は上述してある。幾つかの実施態様では、短い排出半減期の心血管系薬物は、β-遮断薬、カルシウムアンタゴニスト、又はACE阻害剤である。特定の実施態様では、該心血管系薬物は、メトプロロールであり得る。
【0049】
本発明の組成物及び方法を用いて、予防、治療及び/又は管理し得る心血管系状態は、非限定的に、高血圧、アンギナ、冠状動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、心筋梗塞、卒中及び血栓症を包含する。幾つかの実施態様では、治療、予防又は管理される状態は、高血圧、アンギナ又は心筋梗塞を包含する。異常な心血管系活動を含む、心血管系状態の他の状態と症状も、本発明の開示する製剤と方法を用いて、治療、予防又は管理し得る。
【0050】
少なくとも1種類の、短い排出半減期の心血管系薬物又はその製薬的に受容される塩は、本発明によって用いるための医薬組成物として提供し得る。このような組成物は、任意に、1種類以上の製薬的に受容される賦形剤を含む。適当な賦形剤は、当業者に知られており、例えば、the Handbook of Pharmaceutical Excipients (Kibbe (ed.), 3rd Edition (2000), American Pharmaceutical Association, Washington, D.C.)、及びRemington's Pharmaceutical Sciences (Gennaro (ed.), 20thedition (2000), Mack Publishing,Inc., Easton, PA)に記載されており、これらの文献は、賦形剤と投与形に関するそれらの開示に関して、本明細書に援用される。
【0051】
適当な賦形剤は、非限定的に、澱粉、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤(granulating agent)、滑剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、フレーバー剤、芳香剤(perfuming agent)、保存剤、可塑剤、ゲル化剤、増粘剤、硬化剤(hardener)、硬化剤(setting agent)、懸濁化剤、界面活性剤、保湿剤、キャリヤー、安定剤、酸化防止剤、及びこれらの組み合わせを包含する。
【0052】
本発明の医薬組成物は、典型的には、所望のルートによって対象に投与するために適した投与形で提供される。多くの適当な投与形を以下に記載するが、これらは、可能な選択の全てを包含することを意味する訳ではない。当業者は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(この一部は、本明細書に援用される)に記載されているような、本発明に用いるために適した種々の投与形に熟知している。任意の特定のケースに最も適したルートは、予防、治療及び/又は管理される状態の性質及び重症度に依存するだろう。本発明の医薬組成物は、経口、鼻腔内、直腸、膣内、槽内及び局所(頬側と舌下を包含する)投与のために製剤化し得る。
【0053】
経口投与に適した製剤は、非限定的に、カプセル剤、カシュー(cachet)、ピル、錠剤、トローチ剤(フレーバー入り基剤、通常、スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントを用い得る)、粉末、顆粒、溶液、水性若しくは非水性液体中の懸濁液、水中油滴若しくは油中水滴の液体エマルジョン、エリキシル剤、シロップ、芳香製剤(pastilles)(例えばゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアゴムのような不活性基剤を用い得る)、ペースト等を包含する。
【0054】
経口投与のための固体投与形(カプセル剤、錠剤、ピル、粉末、顆粒等)では、適当な賦形剤は、非限定的に、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムのようなキャリヤー;例えば澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール若しくはケイ酸のような、充填剤若しくは増量剤;例えばヒドロキシメチル-セルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース若しくはアラビアゴムのような結合剤;例えばグリセロールのような保湿剤;例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある一定のシリケート又は炭酸ナトリウムのような崩壊剤;例えばパラフィンのような溶解遅延剤(solution retarding agent);例えば第4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;例えばセチルアルコール若しくはグリセロール・モノステアレートのような湿潤剤;例えばカオリンとベントナイト粘土のような吸収剤;例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール及びラウリル硫酸ナトリウムのような滑剤;着色剤;緩衝剤;分散剤;保存剤;並びに希釈剤を包含する。上記賦形剤は、例としてのみ挙げたものであり、可能な選択の全てを包含することを意味する訳ではない。固体組成物は、例えばラクトース若しくは乳糖、高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いて、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中への充填剤としても用い得る。これらの投与形のいずれも、場合によっては、分割錠剤であることも、又は例えば腸溶性被膜及び放出速度を調節する被膜のような、被膜及びシェル付きで製造されることもでき、これらの例は、薬剤製剤化分野で周知である。
【0055】
経口投与のための適当な液体投与形は、エマルジョン、ミクロエマルジョン、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を包含する。これらの製剤は、任意に、例えば水若しくは他の溶媒のような、当該技術分野で一般的に用いられる希釈剤;非限定的に、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物を包含する、可溶化剤及び乳化剤を含み得る。さらに、該液体製剤は、任意に、例えば湿潤剤、乳化剤と懸濁化剤、甘味剤、フレーバー剤、着色剤、芳香剤、及び保存剤のようなアジュバントを包含する。適当な懸濁化剤は、非限定的に、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン・ソルビトールとソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天とトラガカント、及びこれらの混合物を包含する。液体は、そのままで又は例えば硬質若しくは軟質カプセル等のようなキャリヤー中で、デリバリーし得る。
【0056】
直腸又は膣内投与のため、該組成物を座薬として提供し得る。座薬は、任意に、1種類以上の非限定的な賦形剤、例えば、ポリエチレングリコール、座薬用ワックス、又はサリチレートを包含する。このような賦形剤は、望ましい物理的性質に基づいて選択し得る。例えば、室温では固体であるが、体温では液体である配合物(compound)は、直腸又は膣腔中で溶融して、活性化合物を放出する。或いは、該製剤を、直腸デリバリーのために浣腸剤として供給することもできる。膣内投与に適した製剤はさらに、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又はこのようなキャリヤーを含有するスプレー製剤(この例は、当該技術分野で知られている)も包含する。
【0057】
局所又は経皮投与に適した製剤は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤(inhalant)を包含する。このような製剤は、任意に、例えば、動物性及び植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、澱粉、タラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛、又はこれらの混合物のような賦形剤を含有する。粉末とスプレーは、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末のような賦形剤も含有し得る。さらに、スプレーは、例えばクロロフルオロ炭化水素と揮発性非置換炭化水素(例えば、ブタンとプロパン)のような噴射剤含有し得る。
【0058】
経皮パッチは、対象の体内に薬物を制御デリバリーするという付加された利益を有する。このような投与形は、例えばエラストマーマトリックス物質のような適当な媒質中に、少なくとも1種類の心血管系薬物を含有する医薬組成物を、溶解、分散又は他の方法で組み入れることによって、製造することができる。皮膚を横切っての該混合物の流量(flux)を高めるために、吸収促進剤を用いることもできる。このような流量の速度は、速度制御膜を与えることによって又は該配合物をポリマーマトリックス若しくはゲル中に分散させることによって、制御し得る。
【0059】
例えば、注射(非限定的に、皮下、ボラス注入、筋肉内、腹腔内及び静脈内を包含する)による投与のような、非経口投与のために、該医薬組成物は、油性又は水性ビヒクル中の等張性懸濁液、溶液又はエマルジョンとして製剤化することができ、例えば懸濁化剤、安定剤又は分散剤のような配合剤(formulatory agent)を含有し得る。或いは、使用前に発熱物質を含まない無菌水又は等張性生理食塩水で再構成するために、該組成物を、例えば粉末、結晶又は凍結乾燥固体のような乾燥形で供給し得る。これらは、例えば、無菌のアンプル又はバイアルに入れて提示され得る。
【0060】
適当な水性又は非水性賦形剤の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、油、注射可能な有機エステル、及びこれらの混合物を包含する。例えば、界面活性剤の使用によって、適当な流動性を維持することができる。
【0061】
これらの組成物は、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のようなアジュバントを含有し得る。種々の抗菌剤及び/又は抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含めることによって、微生物の作用の防御を達成し得る。例えば糖、塩化ナトリウム等のような等張剤(isotonic agents)を組成物中に含めることも望ましくあり得る。
【0062】
薬物の効果を長引かせるために、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を緩慢にすることが望ましくあり得る。例えばモノステアリン酸アルミニウム及び/又はゼラチンのような、吸収を遅らせる作用剤を含めることによって、注射可能な薬剤形の持続性吸収(prolonged absorption)をもたらすことができる。このことは、低い溶解性を有する結晶質又は非晶質物質の液体懸濁液を用いることによっても、達成し得る。この場合に、薬物の吸収速度は、一般に、薬物の溶解速度に依存し、これは、結晶サイズ及び結晶の形状に依存し得る。或いは、薬物を油性ビヒクル中に溶解又は懸濁させることによって、非経口投与形の遅延吸収を達成することもできる。
【0063】
上述した一般的投与形の他に、制御放出デリバリーデバイスによって、該医薬組成物を投与することもでき、その例は、当業者によく知られる。異なる製剤の例は、米国特許Nos.: 3,845,770; 3,916,899; 3,536,809; 3,598,123; 4,008,719; 5,674,533; 5,059,595; 5,591,767; 5,120,548; 5,073,543; 5,639,476; 5,354,556; 及び5,733,566に挙げられており、これらの開示は、医薬組成物についてのこれらの考察に関して、本明細書に援用される。制御放出製剤の利点は、薬物の持続活性、投与回数の減少、副作用(リバウンド現象、脱感作及び耐性を包含する)の減少、及び患者のコンプライアンスの向上を包含し得る。制御放出製剤及び同製剤の製造方法に用いるための適当な成分(例えば、ポリマー、賦形剤等)は、例えば、これらのために本明細書に援用される米国特許No.4,863,742にも記載される。
【0064】
有効成分の放出は、例えば、望ましい放出プロフィルを与えるための種々な割合でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透系、多層状被膜、ミクロ粒子、リポソーム、ミクロスフェア等、又はこれらの組み合わせを用いることによって、緩慢化又は制御することができる。適当な遅延放出又は制御放出製剤の例は、当業者に知られており、本発明の短い排出半減期の心血管系薬物製剤に用いるために容易に選択され得る。したがって、制御放出に適合する錠剤、カプセル剤、ゲルカップ、キャプレット等を、本発明に開示する方法に用い得る。例えばpH、温度、酵素、水分、又は他の生理的条件若しくは化合物のような、種々な誘導因子(inducers)によって、有効成分の制御放出を誘発又は刺激し得る。
【0065】
本発明の方法に用いられる制御放出製剤は、任意の数の、製薬的に受容される賦形剤を包含し得る。適当な賦形剤は、非限定的に、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムのようなキャリヤー;例えばステアレート、シリカ、石膏、澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、タルク若しくはケイ酸のような、充填剤若しくは増量剤;例えばヒドロキシメチル-セルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース若しくはアラビアゴムのような結合剤;例えばグリセロールのような保湿剤;例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある一定のシリケート又は炭酸ナトリウムのような崩壊剤;例えばパラフィンのような溶解遅延剤;例えば第4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;例えばセチルアルコール若しくはグリセロール・モノステアレートのような湿潤剤;例えばカオリンとベントナイト粘土のような吸収剤;例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール及びラウリル硫酸ナトリウムのような滑剤;例えばフマル酸のような安定剤;着色剤;緩衝剤;分散剤;保存剤;有機酸;及び有機塩基を包含する。上記賦形剤は、例としてのみ挙げたものであり、可能な選択の全てを包含することを意味する訳ではない。さらに、多くの賦形剤は、2つ以上の役割を有し得る、即ち2つ以上のグループに分類され得る;該分類は、単なる記述に過ぎず、特定の賦形剤の如何なる用途も限定することを意図しない。
【0066】
適当な有機酸の例は、非限定的に、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸及びこれらの混合物を包含する。適当な有機塩基は、非限定的に、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸カリウム、コハク酸カリウム、及びこれらの混合物を包含する。適当な希釈剤は、非限定的に、ラクトース、タルク、微結晶セルロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ヒュームド・シリカ、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、及びこれらの混合物を包含する。
【0067】
1実施態様では、本発明の制御放出製剤は、多粒子製剤(multiparticulate formulation)として提供される。典型的には、少なくとも1種類の短い排出半減期の心血管系薬物は、約0.4〜約1.1mm又は約0.85〜約1.00mmの範囲内の平均直径を有するノンパレルシードに該化合物を適用することによって、典型的に、活性コアに成形される。該薬物は、付加的な賦形剤と共に又は付加的な賦形剤なしに、不活性コアに付着させることができ、流動床コーター(例えば、Wursterコーティング)又はパンコーティング系を用いて、溶液又は懸濁液から吹き付け得る。或いは、該薬物を不活性コア上の粉末として、該コアに該薬物を結合させるために結合剤を用いて、適用し得る。適当な可塑剤(以下に説明する)と、必要に応じて任意の他の加工助剤と共に、コアを押出成形することによっても、活性コアを形成し得る。
【0068】
本発明の制御放出製剤は、水溶性でも、水不溶性でもよい、少なくとも1種類のポリマー物質を含む。適当な水溶性ポリマーは、非限定的に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はポリエチレングリコール及び/又はこれらの混合物を包含する。
【0069】
適当な水不溶性ポリマーは、非限定的に、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルクロリド)、又はポリウレタン、及び/又はこれらの混合物を包含する。
【0070】
EUDRAGITTMポリマー(Rohm Pharmaから入手可能)は、アクリレート及び/又はメタクリレートに基づくポリマー・ラッカー物質である。有効成分と水に対して自由に透過性である適当なポリマーは、EUDRAGITTMRLである。有効成分と水に対して弱透過性である適当なポリマーは、EUDRAGITTM RSである。有効成分と水に対して弱透過性であり、pH依存性透過性を示す他の適当なポリマーは、非限定的に、EUDRAGITTML、EUDRAGITTM S及びEUDRAGITTM Eを包含する。
【0071】
EUDRAGITTM RLとRS は、低含量の第4級アンモニウム基を有する、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとのコポリマーを含むアクリル樹脂である。該アンモニウム基は塩として存在し、ラッカーフィルムの透過性を上げる。EUDRAGITTMRLとRS は、pHに関係なく、それぞれ、自由透過性(RL)と弱透過性(RS)である。該ポリマーは水及び消化液中で、pH独立的に膨潤する。膨潤状態で、これらは、水に、そして溶解した活性化合物に、透過性である。
【0072】
EUDRAGITTM L は、メタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルから合成されるアニオンポリマーである。これは、酸及び純粋な水中に不溶性である。これは、中性〜弱アルカリ性条件では溶解性になる。EUDRAGITTML の透過性は、pH-依存性である。pH5.0を超えると、該ポリマーはますます透過性になる。
【0073】
1実施態様では、該ポリマー物質は、メタクリル酸コポリマー、アンモニオ・メタクリレートコポリマー又はこれらの混合物を含む。EUDRAGITTMS 及びEUDRAGITTM L(Rohm Pharma)のようなメタクリル酸コポリマーは、本発明の制御放出製剤に用いるために特に適する。これらのポリマーは、胃耐性(gastroresistant)で、腸溶性のポリマーである。該ポリマーフィルムは、純粋な水及び希酸(diluted acid)中に不溶である。これらのフィルムは、それらのカルボン酸含量に依存して、高いpHでは溶解する。EUDRAGITTM SとEUDRAGITTMLは、ポリマー被膜中に単独成分として、又は任意の比率で組み合わせて用いることができる。該ポリマーの組み合わせを用いることによって、ポリマー物質は、EUDRAGITTMLとEUDRAGITTM Sとが別々に溶解性であるpHの間のpHにおいて、溶解性を示し得る。
【0074】
コアは、大きい割合(即ち、総ポリマー含量の50%より大)の1種類以上の製薬的に受容される水溶性ポリマーと、任意に、小さい割合(即ち、総ポリマー含量の50%未満)の1種類以上の製薬的に受容される水不溶性ポリマーとを含むポリマー物質を含み得る。
【0075】
或いは、該コアは、大きい割合(即ち、総ポリマー含量の50%より大)の1種類以上の製薬的に受容される水不溶性ポリマーと、任意に、小さい割合(即ち、総ポリマー含量の50%未満)の1種類以上の製薬的に受容される水溶性ポリマーとを含むポリマー物質を含み得る。該製剤は、コアを部分的に又は完全に囲む塗膜であって、大きい割合の1種類以上の製薬的に受容されるフィルム形成水不溶性ポリマーと、任意に、小さい割合の1種類以上の製薬的に受容されるフィルム形成水溶性ポリマーを含む塗膜を任意に含有し得る。該水不溶性ポリマーは、心血管系薬物(単数又は複数)に対して高い又は低い透過性を有する不溶性マトリックスを形成し得る。
【0076】
1実施態様では、該ポリマー物質は、メタクリル酸コポリマー、アンモニオ・メタクリレートコポリマー、又はこれらの混合物を含む。例えばEUDRAGITTMS とEUDRAGITTM Lのようなメタクリル酸コポリマーが、本発明の制御放出製剤に用いるために特に適する。これらのポリマーは、胃耐性で、腸溶性のポリマーである。これらのポリマーフィルムは、純粋な水及び希酸中に不溶である。これらのフィルムは、それらのカルボン酸含量に依存して、高いpHでは溶解する。EUDRAGITTMSとEUDRAGITTM Lは、ポリマー被膜中に単独成分として、又は任意の比率で組み合わせて用いることができる。これらのポリマーの組み合わせを用いることによって、ポリマー物質は、EUDRAGITTMLとEUDRAGITTM Sとが別々に溶解性であるpHの間のpHにおいて、溶解性を示し得る。
【0077】
例えばEUDRAGITTM RSとEUDRAGITTM RLのような、アンモニオ・メタクリレートコポリマーも、本発明の制御放出製剤に用いるために、特に適している。これらのポリマーは、純粋な水、希酸、緩衝溶液又は消化液中に、全生理的pH範囲にわたって不溶である。これらのポリマーは水(及び、pHに関係なく、消化液)中で膨潤する。膨潤状態で、これらは、水及び溶解した活性成分に対して透過性である。これらのポリマーの透過性は、ポリマー中のエチルアクリレート(EA)基、メチルメタクリレート(MMA)基、及びトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド(TAMCl)基の比率に依存する。1:2:0.2のEA:MMA:TAMCl比率を有するポリマー(EUDRAGITTMRL)は、1:2:0.1の比率を有するポリマー(EUDRAGITTM RS)よりも、より大きく透過性である。EUDRAGITTMRLのポリマーは、高透過性の不溶性ポリマーである。EUDRAGITTM RSのポリマーは、低透過性の不溶性フィルムである。
【0078】
アンモニオ・メタクリレートコポリマーは、任意の望ましい比率で組み合わせ得る。例えば、EUDRAGITTMRS:EUDRAGITTM RL(90:10)の比率を用い得る。薬物の放出に遅延を生じるように、この比率を調節し得る。例えば、EUDRAGITTMRS:EUDRAGITTM RLの比率は、約100:0〜約80:20、約100:0〜約90:10、又はこれらの間のいずれの比率でもあり得る。このような製剤では、低透過性ポリマーEUDRAGITTMRSが、一般に、ポリマー物質の大部分を占めることができる。
【0079】
アンモニオ・メタクリレートコポリマーは、薬物放出の望ましい遅延を達成するために、ポリマー物質内で、メタクリル酸コポリマーと組み合わせ得る。約99:1〜約20:80の範囲内の、アンモニオ・メタクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGITTM RS)の、メタクリル酸コポリマーに対する比率を用い得る。該2つのタイプのポリマーは、同一ポリマー物質中に組み合わせることも、又はコアに付着される別々の被膜として供給することもできる。
【0080】
上述したEUDRAGITTMポリマーの他に、薬物放出を遅延させるために、多くの他のポリマーを用いることができる。これらのポリマーは、メタクリレートエステルコポリマー(例えば、EUDRAGITTMNETM 30D)を包含する。EUDRAGITTMポリマーに関するさらなる情報は、"Chemistry and Application Properties of Polymethacrylate Coating Systems," in Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms, ed. James McGinity, Marcel Dekker Inc., New York, pg 109-114に、見出すことができる。
【0081】
該ポリマー物質は、該ポリマー物質の透過性を高めるために、典型的には、1種類以上の溶解性賦形剤を含む。適当には、該溶解性賦形剤は、溶解性ポリマー、界面活性剤、アルカリ金属塩、有機酸、糖及び糖アルコールから選択される。このような溶解性賦形剤は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、例えばラウリル硫酸ナトリウムとポリソルベートのような界面活性剤、例えば酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸のような有機酸、例えばデキストロース、フルクトース、グルコース、ラクトース及びスクロースのような糖、例えばラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール及びキシリトールのような糖アルコール、キサンタンガム、デキストリン、並びにマルトデキストリンを包含する。幾つかの特定の実施態様では、ポリビニルピロリドン、マンニトール及び/又はポリエチレングリコールが溶解性賦形剤である。溶解性賦形剤は、典型的には、ポリマーの総乾燥重量に基づいて、約1重量%〜約10重量%の量で用いられる。
【0082】
該ポリマー物質は、さらに、例えば充填剤、可塑剤及び/又は消泡剤のような、1種類以上の補助剤を含むこともできる。代表的な充填剤は、タルク、ヒュームド・シリカ、グリセリル・モノステアレート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、カオリン、コロイド状シリカ、石膏、微粉状シリカ(micronized silica)、及び三ケイ酸マグネシウムを包含する。充填剤の使用量は、典型的には、ポリマーの総乾燥重量に基づいて、約2重量%〜約300重量%の範囲であり、約20〜約100重量%の範囲であり得る。1実施態様では、タルクが充填剤である。
【0083】
該被膜は、さらに、ポリマーの加工を改良する物質を含むことができる。このような物質は、一般に、可塑剤と呼ばれ、例えばアジペート、アゼレート、ベンゾエート、シトレート、イソエブケート(isoebucate)、フタレート、セバケート、ステアレート及びグリコールを包含する。代表的な可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジブチルタルトレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチンシトレート、トリアセチン、トリプロピノイン、ジアセチン、ジブチルフタレート、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、ひまし油、トリエチルシトレート、多価アルコール、アセテートエステル、グリセロール・トリアセテート、アセチルトリエチルシトレート、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジオクチルアゼレート、エポキシド化タレート、トリイソオクチルトリメリテート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジ-i-オクチルフタレート、ジ-i-デシルフタレート、ジ-n-ウンデシルフタレート、ジ-n-トリデシルフタレート、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、グリセリルモノカプリレート、及びグリセリルモノカプレートを包含する。1実施態様では、可塑剤は、ジブチルセバケートである。ポリマー物質中の可塑剤の使用量は、典型的には、ポリマーの乾燥重量に基づいて、約10%〜約50%の範囲であり、例えば、約10、20、30、40又は50%である。
【0084】
1実施態様では、消泡剤はシメチコンである。消泡剤の使用量は、典型的には、最終製剤の約0%〜約0.5%を占める。
制御放出製剤中のポリマー使用量は、典型的には、デリバリーされるべき薬物量、その速度、薬物デリバリーのタイミング及び位置、薬物放出の遅延時間、及び製剤中の多粒子のサイズを含めた、望ましい薬物デリバリー特性を得るように、調節される。ポリマー付着量は、典型的には、コアに約10〜約100%の重量増加を与える。1実施態様では、ポリマー物質による重量増加は、約25〜約70%である。
【0085】
コポリマー、充填剤、可塑剤、及び任意の賦形剤と加工助剤を含めた、ポリマー物質の全ての固体成分の組み合わせは、典型的には、該コアに約10〜約450%の重量増加を与える。1実施態様では、重量増加は約30〜約160%である。
【0086】
ポリマー物質は、任意の既知方法によって、例えば、流動床コーター(例えば、Wursterコーティング)又はパンコーティング系を用いる吹き付けによって、付着させ得る。
ポリマー物質の付着(application)後に、被覆コアを典型的には乾燥させるか又は硬化させる。硬化(curing)は、安定な放出速度を与えるために充分な時間、多粒子を制御された温度に維持することを意味する。硬化は、例えばオーブン内で又は流動床乾燥装置内で行なわれ得る。硬化は、室温より高い、任意の温度で行なわれ得る。
【0087】
該ポリマー被膜にシーラント又はバリヤーを適用し得る。シーラント又はバリヤー層は、ポリマー物質を付着させる前のコアにも適用し得る。シーラント又はバリヤー層は、短い排出半減期の心血管系薬物(単数又は複数)の放出を、顕著には変更しない。適当なシーラント又はバリヤーは、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース及びキサンタンガムのような、透過性又は溶解性作用剤である。これに関して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが特に有用である。
【0088】
シーラント又はバリヤー層の加工性を改良するために、他の作用剤を加え得る。このような作用剤は、タルク、コロイド状シリカ、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、微粉状シリカ、ヒュームド・シリカ、グリセリル・モノステアレート、三ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、及びこれらの混合物を包含する。シーラント又はバリヤー層は、溶液(例えば、水溶液)又は懸濁液から、例えば、流動床コーター(例えば、Wursterコーティング)又はパンコーティング系のような、任意の既知手段を用いて、適用し得る。適当なシーラント又はバリヤーは、例えば、OPADRY WHITE Y-1- 7000 及び OPADRY OY/B/28920 WHITEを包含し、これらの両方がColorcon Limited, Englandから入手可能である。
【0089】
本発明はまた、キャプレット、カプセル、投与前の懸濁液用粒子、サシェ、又は錠剤の形態で、上記で定義したような多粒子状心血管系薬物製剤を含有する経口投与形を提供する。該投与形が錠剤の形態である場合には、該錠剤は、崩壊性錠剤、迅速溶解性錠剤、起沸性錠剤、迅速溶融錠剤、及び/又はミニ錠剤であり得る。該投与形は、薬物の
経口投与に適した、任意の形状、例えば、球状、キューブ状、又は楕円体状であることができる。該投与形は、多粒子から、当該技術分野で既知の方法で製造することができ、必要に応じて、付加的な、製薬的に受容される賦形剤を含み得る。
【0090】
製剤中のポリマーの厚さ、ポリマーの量と種類、制御放出製剤における水溶性ポリマーの、水不溶性ポリマーに対する比率は、一般に、心血管系薬物(単数又は複数)の望ましい放出プロフィルを得るように選択される。例えば、水溶性ポリマーに比べて水不溶性ポリマーの量を高めることによって、薬物の放出を遅延させる又は緩慢化することができる。
【0091】
薬物の投与量並びに投与回数は、用いる特定の投与形及び投与経路に依存して、変化する。投与量及び投与回数は、個々の対象の年齢、体重及び反応に依存しても変化する。有能な医師は、過度な実験なしに、典型的な投与計画を容易に決定することができる。臨床医及び治療医師は、個々の対象の反応に関連して療法を中断し、調節し、又は終了する方法及び時点を知っていることも注意されたい。
【0092】
一般に、本明細書に記載する心血管系状態を治療、予防及び/又は管理するための総1日投与量は、1種類以上の心血管系薬物約0.1mg〜約10,000mgである。当業者は、いずれの特定薬物の望ましい出発投与量も熟知している。幾つかの実施態様では、心血管系薬物はβ-遮断薬、メトプロロールであり、これは、約1mg〜約600mg又は約5mg〜約400mg又は約10mg〜約400mg又は約12.5mg〜約400mg又は約25mg〜約400mg又は約10mg〜約200mg又は約10mg〜約100mg又はこれらの間の任意の量で提供し得る。単回投与量は、メトプロロールの約5、10、12.5、25、50、100、200又は400mg、又はこれらの数字間の任意の量を含有するように処方することができる。1実施態様では、β-遮断薬(単数又は複数)又はその製薬的に受容される塩は、該製剤の総重量の約0.5〜約20%、約0.5〜約8%、又は約0.5〜約4%を占める。
【0093】
本明細書に記載する医薬組成物及び投与形のいずれも、1種類以上の付加的な薬剤学的活性化合物をさらに含み得る。このような化合物は、既に存在する薬物で治療、予防及び/又は管理される同じ状態、又は異なる状態を一緒に治療し、予防し及び/又は管理するために含め得る。当業者は、付加的な有効成分を、心血管系薬物を含む組成物中に組み入れる方法の例に熟知している。或いは、このような付加的な薬剤化合物を別の製剤として用意して、対象に、本発明による心血管系薬物製剤と共投与し得る。このような別の製剤は、本発明の心血管系薬物製剤の投与の前に、後に又は該投与と同時に投与し得る。1実施態様では、該心血管系製剤は、非限定的に、β-遮断薬;利尿薬、特に、チアジド利尿薬(例えば、ヒドロクロロチアジド);強心薬;抗血小板薬;スタチン(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、レスバスタチン、シムバスタチン);血管拡張剤(冠状、末梢、及び/又は肺);末梢アドレナリン遮断薬;中枢アドレナリン遮断薬;混合α/βアドレナリン遮断薬;アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト;抗不整脈薬(I、II若しくはIII群);カルシウムチャンネル遮断薬;及び/又はニトレートを包含する、1種類以上の他の化合物と共投与される。
【0094】
本発明を、下記実施例を参照することによって、さらに説明する。本発明の目的及び範囲から逸脱せずに、物質と方法の両方に対して多くの変更がなされうることは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0095】
実施例1
時間療法用メトプロロール製剤の製造
メトプロロール即時放出多粒子は、次のとおりに製造した:
【0096】
【表2】

【0097】
Klucelを精製水中に溶解して、次に、この溶液に、撹拌しながら、酒石酸メトプロロールを徐々に加えた。酒石酸メトプロロールの全てが溶解するまで、撹拌を続けた。ノンパレルシードをGlatt流動コーティング装置に入れて、加熱して、該シードを流動化させた。次に、メトプロロール/Klucel溶液をノンパレルシード上に、溶液の全てが適用(塗布)されるまで、吹き付けた。スプレイ線を水200gでフラッシュして、生成物を65℃の入口温度で15分間乾燥させた。
【0098】
上記で製造した即時放出多粒子を次に、ポリマー系で被覆して、以下に例示するような、所望のin-vivoプロフィルを得る。
【0099】
【表3】

【0100】
イソプロピルアルコール(146.8kg)と精製水(5.099kg)とを、ステンレス鋼ドラム中で混合した。混合を続けながら、Eudragit(登録商標)S100(10.624kg)を加えた。Eudragit(登録商標)S100が溶解するまで、混合を続けた。ジブチルセバケート(2.131kg)を加えて、溶液をさらに15分間混合した。タルク(5.320kg)を加えて、他の成分と30分間混合して、修飾(modified)放出コーティング溶液を製造した。流動床コーティング装置を40℃の排気温度まで加熱してから、メトプロロール即時放出微粒子(10kg)を加えた。次に、メトプロロール即時放出微粒子上に、修飾放出コーティング溶液を、所望のパーセント効力(percent potency)を生じるために必要な量が塗布されるまで、吹き付けた。修飾放出多粒子のパーセント効力(100Xメトプロロールmg/総重量mg)は、コーティング溶液の塗布量によって変化する。種々なパーセント効力の多粒子バッチの範囲に関するin vitro放出データは、以下に示す:
【0101】
【表4】

【0102】
実施例2
種々な遅延時間を有する時間療法用メトプロロール製剤に関して、Tmax、ピーク対トラフ比率、及び療法カバレージの時間(50%Cmax)に基づく好ましい薬物動態プロフィルを測定するシミュレーション
血漿濃度対時間曲線を,WinNonlin Version 4.0.1を用いて、下記式に基づいてシミュレートした:
C(t)=D*K01/V/(K01-K10)*(EXP(-K10*t)-EXP(-K01*t)
(D=投与量、V=分配量、K01=吸収速度定数=ln2/吸収半減期、及びK10=排出速度定数=ln2/排出半減期)。
投与量と量は、任意に選択したものであり、その後の計算には用いない。線形重ね合わせ原理を用いて、データを定常状態に24時間投与間隔でプロジェクトした(WinNonlin)。Tmaxとピーク/トラフ(P/T)は定常状態血漿濃度対時間データから算出し、Cmaxの50%での時間カバーは、tmax=8〜12時間、及びP/T ≧ 4の場合の該曲線から算出した。図1(a)〜(d)は、それぞれ、排出半減期2、4、6及び8時間での、tmaxに対する吸収半減期と遅延時間の関係を説明する。図1(e)〜(h)は、それぞれ、排出半減期2、4、6及び8時間での、P/Tに対する吸収半減期と遅延時間の関係を説明する。ここで、斜線部分は、tmax=8〜12時間及びP/T ≧ 4の場合の組み合わせを示す。表2は、tmax=8〜12時間及びP/T ≧ 4の場合の組み合わせについて50% Cmaxでの時間カバーを要約する。
【0103】
【表5】

【0104】
実施例3
メトプロロール製剤の比較
酒石酸メトプロロールの遅延発現、持続放出製剤を、上述したようにシミュレートした。メトプロロールの排出半減期は3.5時間である。シミュレートした酒石酸メトプロロール製剤に関して、4時間の遅延が適当と考えられた。吸収半減期1時間(製剤378)、5時間(製剤379)及び10時間(製剤380)を有する製剤をシミュレートし、上述したように定常状態にプロジェクトした。図2は、製剤378〜380に関する定常状態血漿濃度対時間曲線を説明する。
【0105】
【表6】

【0106】
製剤379は、本発明のあらゆる望ましい特性、即ち、8〜12時間のピーク濃度の時間(Tmax)、ピーク対トラフ変動(P/T) ≧ 4、及び時間カバー(Cmaxの50%) ≧ 12時間を達成した。製剤378は、ピーク濃度を早く達成しすぎ(6.79h)、Cmaxの50%を超える濃度を6.79時間のみ維持した。製剤380は、2のピーク対トラフ変動を達成したに過ぎなかったが、他の基準を満たした。
【0107】
実施例4
高血圧を罹患した対象を治療するための、時間療法用制御放出メトプロロール製剤の使用
高血圧の管理のためにメトプロロール製剤を現在摂取している対象を、本発明による時間療法用製剤に切り替える。該製剤を就寝前の夜間に投与する。投与間隔の終わりの放出の逓減(tapering)と相まった発現の遅延は、対象が午前中及び1日を通して療法効果を受け、しかも1日の終わりに充分に長い薬物フリー期間を有することを保障する。薬物フリー期間は、対象の安全と快適さのために心血管系合併症のリスクが最も低い期間(夜間及び睡眠時間)と一致する。治療する医師は、重症度と症状の頻度に応じて、投与量を調節する必要性を認識するであろう。望ましい開始投与量は50mg又は100mg、1日1回である。治療する医師の判断で、該投与量を、数日後に、400mg、1日1回に高め得る。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、異なる排出半減期を有する薬物について、遅延時間と吸収半減期との、定常状態においてシミュレートした関係を説明する。
【図2】図2は、4時間の遅延時間とある範囲の吸収半減期を有する酒石酸メトプロロール製剤についてシミュレートした定常状態データを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約8時間未満のin vivo排出半減期を示す、少なくとも1種類の心血管系薬物を含む薬剤製剤であって、対象への投与後に下記in vivoプロフィルを示す薬剤製剤:
(a)該少なくとも1種類の薬物の療法レベル放出の、約2〜約8時間の遅延;
(b)約8〜約12時間におけるTmax
(c)12時間以上に及ぶ、ピークの50%以内の薬物血漿レベル;及び
(d)約4以上の、薬物血漿レベルのピーク対トラフ比率。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の心血管系薬物のin vivo排出半減期が、約2、3、4、5、6、7、8又はこれらの数字間のいずれかの端数時間未満である、請求項1の製剤。
【請求項3】
前記心血管系薬物の療法濃度の放出の遅延が、対象への投与後、約2、3、4、5、6、7又は8時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間である、請求項1の製剤。
【請求項4】
対象への投与後、約8、9、10、11又は12時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間に、前記Tmaxが生じる、請求項1の製剤。
【請求項5】
前記薬物血漿レベルが、投与の時間から約12、13、14、14、16、17、18、19又は20時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間にわたってピークの50%以内である、請求項1の製剤。
【請求項6】
前記ピーク対トラフ比率が、約4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1、又はこれらの間のいずれかの整数若しくは端数である、請求項1の製剤。
【請求項7】
前記心血管系薬物が、末梢α若しくはβ遮断薬、中枢α若しくはβ遮断薬、混合α/β遮断薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、抗不整脈薬(I、II若しくはIII群)、カルシウムチャンネル遮断薬、カリウムチャンネル活性化剤、アルドステロン・アンタゴニスト、レニン阻害剤、利尿薬、並びに冠状、末梢及び肺動脈血管拡張剤から選択される、請求項1の製剤。
【請求項8】
前記心血管系薬物がメトプロロールである、請求項1の製剤。
【請求項9】
前記心血管系薬物がメトプロロールの酒石酸塩である、請求項1の製剤。
【請求項10】
前記心血管系薬物がニコランジルである、請求項1の製剤。
【請求項11】
前記製剤が、さらに1種類以上の付加的な心血管系薬物を含む、請求項1の製剤。
【請求項12】
前記製剤が、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される、1以上のポリマーで被覆される、請求項1の製剤。
【請求項13】
前記ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリウレタン、及びこれらの混合物から選択される、請求項12の製剤。
【請求項14】
1以上の心血管系状態の治療方法であって、このような治療を必要とする対象に、約8時間未満のin vivo排出半減期を示す、少なくとも1種類の心血管系薬物を含む薬剤製剤を投与することを含み;ここで、該製剤が対象への投与後に、下記in vivoプロフィルを示す、前記方法:
(a)該少なくとも1種類の薬物の療法レベルの放出の、約2〜約8時間の遅延;
(b)約8〜約12時間におけるTmax
(c)12時間以上に及ぶ、ピークの50%以内の薬物血漿レベル;及び
(d)約4以上の、薬物血漿レベルのピーク対トラフ比率。
【請求項15】
前記薬剤製剤が、1日1回投与される、請求項14の方法。
【請求項16】
前記心血管系状態が、高血圧、アンギナ、冠状動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、心筋梗塞、卒中、うっ血性心不全、狭心症、高血圧及び血栓症から選択される、請求項14の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種類の心血管系薬物のin vivo排出半減期が、約2、3、4、5、6、7、8又はこれらの数字間のいずれかの端数時間未満である、請求項14の方法。
【請求項18】
前記心血管系薬物の療法濃度の放出の遅延が、対象への投与後、約2、3、4、5、6、7又は8時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間である、請求項14の方法。
【請求項19】
対象への投与後、約8、9、10、11又は12時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間に、前記Tmaxが生じる、請求項14の方法。
【請求項20】
前記薬物血漿レベルが、対象への投与後、約12、13、14、14、16、17、18、19又は20時間、又はこれらの間のいずれかの時間若しくは端数時間にわたってピークの50%以内である、請求項14の方法。
【請求項21】
前記ピーク対トラフ比率が、約4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1、又はこれらの間のいずれかの整数若しくは端数である、請求項14の方法。
【請求項22】
前記心血管系薬物が、末梢α若しくはβ遮断薬、中枢α若しくはβ遮断薬、混合α/β遮断薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、抗不整脈薬(I、II若しくはIII群)、カルシウムチャンネル遮断薬、カリウムチャンネル活性化剤、アルドステロン・アンタゴニスト、レニン阻害剤、利尿薬、並びに冠状、末梢及び肺動脈血管拡張剤から選択される、請求項14の方法。
【請求項23】
前記心血管系薬物がメトプロロールである、請求項14の方法。
【請求項24】
前記心血管系薬物がメトプロロールの酒石酸塩である、請求項14の方法。
【請求項25】
メトプロロールの投与量が約1mg〜約600mg/日である、請求項14の方法。
【請求項26】
メトプロロールの投与量が約10mg〜約400mg/日である、請求項14の方法。
【請求項27】
前記心血管系薬物がニコランジルである、請求項14の方法。
【請求項28】
前記製剤が、さらに1種類以上の付加的な心血管系薬物を含む、請求項14の方法。
【請求項29】
前記製剤が、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される、1以上のポリマーで被覆される、請求項14の方法。
【請求項30】
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリウレタン、及びこれらの混合物から選択される、請求項29の方法。
【請求項31】
前記薬剤製剤が、さらに1種類以上の付加的な薬剤学的活性化合物を含む、請求項14の方法。
【請求項32】
前記心血管系製剤が、夜間に投与される、請求項15の方法。
【請求項33】
心血管系薬物を中止しようとする対象におけるリバウンド現象の影響を減ずる方法であって、該対象に投与されている該心血管系薬物を、中止しようとする該心血管系薬物を含有する請求項1の製剤と置換すること、及び該心血管系薬物の投与を停止する前の少なくとも約7日間該製剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
対象における心血管系薬物療法に対する長期間脱感作の予防方法であって、このような予防を必要とする対象に、請求項1の製剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項35】
スタチン薬物をさらに含む、請求項8の製剤。
【請求項36】
前記スタチン薬物が、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、レスバスタチン又はシムバスタチンである、請求項35の製剤。
【請求項37】
前記1種類以上の付加的心血管系薬物の少なくとも1種類がスタチン薬物である、請求項11の製剤。
【請求項38】
前記スタチン薬物が、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、レスバスタチン又はシムバスタチンである、請求項37の製剤。
【請求項39】
前記薬剤製剤が、さらにスタチン薬物を含む、請求項23の方法。
【請求項40】
前記スタチン薬物が、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、レスバスタチン又はシムバスタチンである、請求項39の方法。
【請求項41】
前記1種類以上の付加的心血管系薬物の少なくとも1種類がスタチン薬物である、請求項31の方法。
【請求項42】
前記スタチン薬物が、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、レスバスタチン又はシムバスタチンである、請求項41の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−522203(P2007−522203A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552722(P2006−552722)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000829
【国際公開番号】WO2005/077331
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506154166)アスファーマ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】