説明

時間鎖錠を備えた薬用モジュール

少なくとも2つの薬剤を同時送達するための注射システム用の薬用モジュール(4)が開示され、ここでは一次薬剤を含む一次送達デバイス(7)は単回用量の第2の薬剤(2)を含む薬用モジュール(4)を受け入れ、そして両方の薬剤は単一中空針(3)を通して送達される。薬用モジュール(4)は所定時間の経過後に更なる使用を防止するように時間鎖錠機構を含む。薬用モジュール(4)はまた、所定時間の経過後にロックする後退可能なニードルシールド(16)に操作可能に連結される回転弁(19)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の具体的な実施態様は、少なくとも2つの薬剤を、単回用量設定機構及び単回投与インターフェイスだけを有するデバイスを用いて、別々のリザーバから送達する医療デバイス及び方法に関する。使用者によって開始される単回送達手順は、好ましくは第2の薬剤の非使用者設定可能用量、及び好ましくは第1の薬剤の可変設定用量を患者に送達するようにさせる。薬剤は、2つ又はそれ以上のリザーバ、容器又は包装にて利用可能で、各々は独立の(単一薬物化合物)又はプレミックス(共製剤化多剤薬物化合物(co-formulated multiple drug compounds))を含む。具体的には、本開示は、ロックアウト機構、特に所定の経過時間後に起動する時間鎖錠を有する薬用モジュールに関する。本時間鎖錠は、薬用モジュールの意図していない再使用を防止し得る。治療反応が治療プロファイルの調節及び定義を通して、特定の目標患者群に対して最適化することができる場合に、これは特に有利である。
【背景技術】
【0002】
特定の病状は1つ又はそれ以上の異なる薬剤を用いる処置を必要とする。幾つかの薬物化合物は、最適治療用量を送達するために、互いに特定の関連において送達する必要がある。ここでは、併用療法が望ましいかもしれないが、限定されるものではないが、安定性、不十分な治療効果及び毒性などの理由で単一製剤では可能でない。
【0003】
例えば、ある場合には、長時間作用型インスリンで、及びプログルカゴン遺伝子の転写産物から由来するグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)で糖尿病患者を処置することは有利であり得る。GLP−1は体内に見出され、消化管ホルモンとして腸管L細胞により分泌される。GLP−1は、それ(及びそのアナログ)を糖尿病の潜在的処置法として広範囲な検討の対象とする幾つかの生理学的性質を有する。
【0004】
2つの活性薬剤又は「複数の薬剤」を同時に送達する場合には、多くの潜在的な問題がある。2つの活性薬剤は、製剤の長期、貯蔵期間保存中に互いに相互作用し得る。従って、活性成分を別々に保存すること、及び送達、例えば注射、無針注射、ポンプ、又は吸入の時点でそれらを組み合わせるだけなのは有利である。しかしながら、2つの薬剤を組み合わせる方法は、使用者が確実に反復してそして安全に実施できるように単純かつ簡便である必要がある。
【0005】
更なる問題は、併用療法を構成する各活性薬剤の量及び/又は割合は、各使用者で又はそれらの療法の異なる工程で変える必要があることである。例えば1つ又はそれ以上の有効成分は、患者を「維持」用量まで徐々に導くのに調節期間(titration period)を必要とし得る。更なる例は、1つの有効成分は調整不能固定用量を必要とする一方で、他の有効成分は患者の症状又は身体状況に応じて変わる場合である。この問題は、これらのプレミックス製剤が医療関係者又は使用者により変動することができない活性成分の固定比率を有する可能性があることから、複数の活性薬剤のプレミックス製剤は好適ではないことを意味する。
【0006】
更なる問題は、多くの使用者が1つの薬物送達システムよりも多く使用し、又は所要用量併用の必要な正確な計算をする必要があるのに対処することができないために、多剤化合物療法が必要な場合に生じる。これは特に機敏性又は認知的困難な使用者に当てはまる。状況次第では、薬剤を投薬する前にデバイス及び/又はニードルカニューレのプライミング手順を行うことも必要となり得る。同様に、場合によっては、1つの薬物化合物をバイパスして、別々のリザーバから単一の薬剤だけを投与することが必要となる可能性がある。
【0007】
従って、使用者が行うのに簡単な単回注射又は送達工程において、2つ又はそれ以上の薬剤送達のためのデバイス及び方法を提供すべき強い必要性が存在する。上述の問題は、次いで単回送達手順中にただ組み合わせて及び/又は患者に送達される2つ又はそれ以上の活性薬剤用の別々の保存容器を備えることにより克服し得る。1つの薬剤の用量設定は、第2の、好ましくは非使用者設定可能薬剤の用量を自動的に固定又は決定し得る。その上、この機会は1つ又は両方の薬剤の量を変えるために与えられ得る。例えば、1つの流体量は注射器具の性質を変えることにより変更することができる(例えば使用者可変用量をダイヤルするか又はデバイスの「固定」用量を変える)。第2の流体量は、第2の活性薬剤の異なる容積及び/又は濃度を含む各バリアントを備えた種々の2番目の薬物含有包装を製作することにより変えることができる。次いで使用者又は医療関係者は、最も適切な2番目の包装、又は処置計画のための一連の特殊な異なる包装若しくはその一連の組み合わせを選択し得る。
【0008】
本開示はまた、使用者が薬用モジュールを薬物送達デバイスに取り付けて、そしてガードが先ず後退した後に、所定の時間が経過した後、ニードルガード又はシールドがカバーし又は十分伸長した遠位位置にロックし得るように設計される薬用モジュールを提供する。これは複数針挿入を尚許容する一方で意図しない再使用を防止し得る。
【0009】
これらの及び他の利点は本発明の下記のより詳細な記述から明らかになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決されるべき問題は、薬剤の投与が改良される薬用モジュール、薬物送達デバイス及びニードルガード組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示された薬用モジュール及び薬物送達デバイスは、単一薬物送達システム内で多剤薬物化合物の複合組み合わせを可能し得る。特に、使用者は、1つの単回用量設定機構及び単回投与インターフェイスを通して多剤薬物化合物デバイスを設定及び投与することを可能にし得る。本単回用量セッターは、1つの薬剤の単回用量が単回投与インターフェイスを通して設定及び投与されるときに、個々の薬物化合物の事前に定義された組み合わせが送達されるように、デバイスの機構を適宜調節する。薬物投与インターフェイスの用語は本開示との関連で、2つ又はそれ以上の薬剤が薬物送達デバイスを出て患者に送達されることを可能にするいずれのタイプの出口であってよい。好ましい実施態様では、単一薬物投与インターフェイスは中空ニードルカニューレを含む。
【0012】
個々の薬物化合物間の治療的関係を規定することにより、本送達デバイスは、患者/使用者がデバイスを使用する毎に正確な用量組み合わせを算出し設定する必要があるとき、多回入力に伴う固有のリスクなしに多剤薬物化合物デバイスから最適な治療的組み合わせ用量を受け入れることを確実にするのに役立ち得る。薬剤は、その形状を変えやすい力によって作動するとき、流れることができそして安定した速度で形状を変える、本明細書で液体又は気体又は紛体と定義される流体であってよい。あるいは、薬剤の1つは、輸送され、溶解されるかさもなければ別の流体薬剤と併せて投与される固体であってよい。
【0013】
開示薬用モジュール及び薬物送達デバイスは、単回入力及び関連の事前に定義された治療プロファイルが、使用者がデバイスを使用する毎に使用者はそれらの処方量を算出する必要性を除き、そして単回入力が組み合わせ化合物の非常に容易な設定及び投与を可能にするので、機敏性又は認知的困難を有する使用者にとって特に有利であり得る。
【発明の効果】
【0014】
好ましい実施態様では、多回用量、使用者選択可能デバイス内に含まれるインスリンなどの基本薬物化合物は、第2の薬剤の単回用量を含む単回使用、使用者交換可能モジュール、及び単回投与インターフェイスで使用することが可能である。一次デバイスに連結したときに、2番目の化合物は一次化合物の投与時に起動/送達される。本開示は2つの可能な薬物組み合わせとしてインスリン、インスリンアナログ又はインスリン誘導体、及びGLP−1又はGLP−1アナログを具体的に記載するが、鎮痛薬、ホルモン、βアゴニスト又はコルチコステロイドなどの他の薬物若しくは薬物組み合わせ、又はいずれかの上記薬物の組み合わせを使用することも本開示では可能である。
【0015】
用語「インスリン」は、ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログ若しくは誘導体を含む、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体又はその混合物を意味するものとする。インスリンアナログの例は、限定されるものではなく、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリン、ここでB28位置のプロリンはAsp、Lys、Leu、Val又はAlaによって置換されてよく、そしてここでB29位置においてLysはProによって置換されてよい;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン又はDes(B30)ヒトインスリンである。インスリン誘導体の例は、限定されるものではなく、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイル−ヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0016】
ここで使用される用語「GLP−1」は、限定されるものではなく、エキセナチド(エキセンジン−4(1−39)、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2)のペプチド、エキセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH2)を含む、GLP−1、GLP−1アナログ、又はその混合物を意味するものとする。
【0017】
βアゴニストの例は、限定されるものではなく、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、メシル酸ビトルテロール、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、インダカテロールである。
【0018】
ホルモンは、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、例えば脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0019】
1つの態様は、薬物送達デバイスとともに使用する時間制御ロッキング機構に関する。時間制御ロッキング機構は薬用モジュールの一部分又はそれに一体化されてよい。時間制御ロッキング機構はニードルガードを含んでよい。ニードルガードはスリーブであってよい。ニードルガードは少なくとも1つのニードルカニューレに抗して保護を行うように適合及び配置されてよい。ニードルガードは、注射部位に適用中に軸方向に動くように構成され得る。時間制御ロッキング機構は時間鎖錠組立体を含んでよい。時間鎖錠組立体は、所定の時間が経過した後にニードルガードの動きを防止するように適合及び配置されてよい。時間鎖錠組立体はニードルガードに操作可能に連結され得る。
【0020】
時間制御ロッキング機構を用いて、所定の時間内にニードルカニューレの再使用が可能となり得る。これは、使用者が例えば1つの注射操作で全用量を送達することができない場合に特に有用となり得る。所定の時間は、ニードルカニューレの誤使用、特に長期間内の異なる注射操作に対するニードルカニューレの使用が防止され得るように選ばれてよい。
【0021】
時間制御ロッキング機構は更にガードロックを含んでよい。ガードロックはニードルガードと機械的協働をするように構成され得る。ガードロックは起動可能であってよい。起動していないとき、ガードロックはニードルガードと機械的協動をしていなくてよい。起動しているときは、ガードロックはニードルガードと機械的協動をしてよい。起動しているときは、ガードロックはニードルガードが遠位に完全に伸びているとき、ニードルガードが軸方向に動くことを防止し得る。
【0022】
実施態様によれば、時間鎖錠組立体はダンパを含む。ダンパは第1の位置から第2の位置まで可動で、好ましくは軸方向に可動であり得る。ダンパが第2の位置にあり、そしてニードルガードが遠位に完全に伸びている場合に、ダンパはガードロックを起動するように適合及び配置されてよい。
【0023】
実施態様によれば、時間制御ロッキング機構は、所定時間内に第1の位置から第2の位置までダンパを動かすように構成される手段を含む。手段はガスオリフィス又はヒステリシス部材を含んでよい。
【0024】
1つの態様によれば、薬用モジュールが提供される。薬用モジュールは、好ましくは解除可能に薬物送達デバイスに取り付け可能であり得る。薬物送達デバイスは、第1の薬剤の1つの用量、好ましくは複数の用量を保持する一次リザーバを含んでよい。一次リザーバは、モジュールがデバイスに取り付けられる前に、少なくとも部分的に第1の薬剤で満たされてよい。薬物送達デバイスは、薬用モジュールがデバイスに取り付けられる前に、又は薬用モジュールがデバイスから取り除かれた後に、第1の薬剤の用量を設定及び投与するのに好適であり得る。従って、デバイスは、例えば薬用モジュールの不存在下でも作動するように構成される独立型デバイスを形成するのに好適であり得る。このために、ニードルカニューレは、好ましくは取り除き可能でデバイスの遠位端に取り付け可能であり得る。
【0025】
薬用モジュールは、第2の薬剤、好ましくは第2の薬剤の単回用量を含んでよい。薬用モジュールは、第2の薬剤の少なくとも1つの用量、好ましくは単回用量を保持するように適合及び配置されるリザーバを含んでよい。特に薬用モジュールのリザーバは、薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられる前に第2の薬剤で満たされてよく、ここでは薬用モジュールは一次リザーバとの流体連通のために構成される。モジュールリザーバは液体を含んでよい。特に、第2の薬剤はGLP−1又はインスリン若しくはGLP−1のプレミックスを含んでよい。リザーバは円環形であってよい。薬用モジュールは薬用ニードルであってよい。薬用モジュールは第1又は遠位ニードルカニューレを含んでよい。薬用モジュールは第2又は近位ニードルカニューレを含んでよい。薬用モジュールのリザーバは、第1及び第2のニードルカニューレ間で軸方向に配置されてよい。モジュールは、第1のニードル、第2のニードル及びリザーバ間の流体連通を確立するために適合及び配置されてよい。遠位ニードルカニューレの遠位端は注射部位に適用されるように構成され得る。遠位ニードルカニューレの近位端は、モジュールのリザーバ、特にリザーバの遠位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するように構成され得る。近位ニードルカニューレの遠位端は、モジュールのリザーバ、特に2番目のリザーバの近位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するように構成され得る。近位ニードルカニューレの近位端は、第1の薬剤の一次リザーバ、特に一次リザーバの遠位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するように構成され得る。薬用モジュールはニードルガードを含んでよい。ニードルガードは、少なくとも第1のニードルカニューレに抗して保護を行うように適合及び配置されてよい。特に、ニードルガードは偶発的針刺しを防止するために適合されてよい。第1のニードルカニューレは、薬用モジュールの一部分内に配置されてよい。ニードルガードは注射部位に適用中に軸方向に動くように構成され得る。薬用モジュールは時間鎖錠組立体を含んでよい。時間鎖錠組立体はニードルガードに操作可能に連結し得る。時間鎖錠組立体は、所定時間経過後にニードルガードの動きを防止するように適合及び配置されてよい。
【0026】
ニードルガードは、注射部位に適用中に、特にそれが注射部位に押し付けられているとき、好ましくはより軸方向に、特に遠位及び近位方向に動くように構成される。薬用モジュールが患者から取り除かれ又は離脱されるとき、ニードルガードはその元の開始位置、遠位位置に戻ってよい。時間鎖錠組立体は、薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられ、そしてニードルガードが最初に近位方向に後退する時間から測定される、所定時間が経過した後にロッキング機構を起動し得る。一度ロックされると、ニードルガードは、薬物送達デバイスに取り付けられていようといまいと、更に軸方向、特に遠位及び/又は近位の動きが防止される。特に、ニードルガードが特に遠位位置に伸びるとき、ニードルガードはロックされる。従って、ニードルガードは、好ましくは時間鎖錠組立体を用いて近位運動が防止される。
【0027】
軸方向運動後のガードのロックは、当技術分野で公知の多くの方法で実現することができるが、しかしながら、好ましい方法はモジュール内に含まれる可動、回転又はスライドするロックの使用を含む。本可動ロックは、時間鎖錠がトリガされ所定時間が過ぎたときに、後でより詳細に説明される近位方向でニードルガードの後退を防止する位置まで可動ロックが動くように構成される。
【0028】
薬用モジュールはハウジングを含んでよい。ハウジングは外側ハウジングを含んでよい。ハウジング、特に外側ハウジング、好ましくは外側ハウジングの近位端は薬物送達デバイスの取り付け用に構成され得る。ハウジングは内側ハウジングを含んでよい。リザーバはハウジング中に、好ましくは内側ハウジング中に配置されてよい。ニードルガードはハウジングに、好ましくは内側ハウジングに操作可能に連結され得る。
【0029】
ハウジングは遠位端及び近位端を含んでよい。薬用モジュールは第2のニードルカニューレを含んでよい。既述の第1のニードルカニューレはハウジングの、特に内側ハウジングの遠位端に取り付けられてよい。第2のニードルカニューレは、ハウジングの、特に内側ハウジングの近位端に便宜的に取り付けられる。
【0030】
薬用モジュールは既述の時間鎖錠組立体を含んでよい。時間鎖錠組立体は幾つかの機械構造を含んでよく、そして使用者が薬用モジュールを薬物送達デバイスに取り付け、それから近位において初めてニードルガードを押し込むとき、起動するように構成され得る。特に、時間鎖錠組立体は、薬用モジュールがデバイスに取り付けられた後にニードルガードがまず後退し、特に近位にときに始まる所定の時間経過後に、ニードルガードが軸方向に動くことを防止するように構成され得る。
【0031】
実施態様によれば、薬用モジュールはガードロックを含む。起動されたガードロックは、ニードルガードが遠位に完全に伸びるときにニードルガードが軸方向に動くことを防止してよい。
【0032】
実施態様によれば、時間鎖錠組立体はダンパを含む。ダンパは第1の位置から第2の位置まで軸方向に可動であり得る。ダンパは、ガードロックを起動させるように適合及び配置し得る。特に、ダンパが第2の位置にありそしてニードルガードは遠位に完全に伸びる場合に、ガードロックは起動され得る。
【0033】
好ましくは、所定時間内に第1の位置から第2の位置までダンパを動かすように構成される手段が薬用モジュール内に備えられる。本手段は、例えばガスオリフィス又はヒステリシス部材を含んでよい。
【0034】
実施態様によれば、時間鎖錠組立体はトリガを含んでよい。時間鎖錠は付勢部材を含んでよい。付勢部材は、手段、例えばガスオリフィス又はヒステリシス部材によって加えられる力に対してカウンター力を備えてもよい。薬用モジュールの取り付けは最初にトリガを起動し得る。トリガは、ばねなどの付勢部材に対して又は既述のヒステリシス部材に対して力を行使し得る。ニードルガードが後退するときに、これは機械的(非電気的)タイミング機構を開始し得る。このタイミング機構は、時間鎖錠組立体の、特にガスオリフィス、付勢部材及び/又はヒステリシス部材の設計及び構成によって設定されてよい所定時間の間作動し得る。
【0035】
気体(好ましくは空気)がチャンバから逃げるのを可能にし得るオリフィスのサイズは、ダンパが第1から第2の位置に動くときに、ロックが起動する前に時間を増加又は減少させるように変わり得る。代わりに又は加えて、ダンパに操作可能に連結し得る付勢部材の設計は、時間を制御するように変えることができる。ヒステリシス部材を使用してよいそれらの設計において、この部材の組成は部材の復元時間、そしてそれ故に時間鎖錠起動の持続時間を変えるように選択することができる。
【0036】
実施態様によれば、薬用モジュールは弁を含む。弁は回転弁を含んでよい。弁は操作可能にニードルガードに連結されてよい。弁は操作可能にリザーバに連結されてよい。弁、特に弁の回転は、一次リザーバ及び薬用モジュールのリザーバの流体連通を可能にし得る。ニードルガードが、近位方向において薬用モジュールのハウジング、特に外側ハウジングに押し込まれるときに、弁は起動され、そして第2の薬剤を2つのニードルカニューレと流体連通している薬用モジュールリザーバに入れてよい。ニードルガードが遠位方向に完全に伸びているとき、弁は閉鎖位置にあってよく、そしてそれ故に2つのニードルカニューレはリザーバと、そしてそれ故に第2の薬剤と流体連通していなくてよい。
【0037】
薬用モジュールはバイパスを含んでよい。バイパスはモジュールリザーバをバイパスする流体経路を含んでよい。ニードルガードが完全に、即ち遠位位置に伸びているとき、弁は、一次リザーバからの第1の薬剤がモジュールリザーバを通して流れることなくカニューレ及びバイパスを通して流れるように、第1及び第2のニードルカニューレをバイパスとの流体連通に入れて後に回転し得る。
【0038】
第2の薬剤の好ましくは単回用量が、薬用モジュールのリザーバに含まれてよい。好ましくは、リザーバは内側ハウジングの一部を含む中央コアを備える円環形を有し、そしてニードルカニューレのための取り付け具を備える。ニードルガードが下方にあり、特に遠位方向に伸びているとき、既述の弁は、第2の薬剤のいずれもが取り付けた導管又は第2のニードルカニューレを通して投与できないように、バイパスチャンネルと心合わせし得る。特に、弁をバイパスチャンネルと心合わせするとき、一次リザーバ及び薬用モジュールのリザーバの流体連通は防止され得る。バイパスは、第2の薬剤の投与なしに、いずれの容積においても取り付け薬物送達デバイスに含まれる第1の/一次薬剤のプライミングを可能にし得る。この流体流路又はチャンネルは送達デバイスのプライミング機能に使用される。このバイパスはまた、第1の薬剤が、薬用モジュールのリザーバ内に含まれる第2の薬剤と相互作用することなく、そして第2の薬剤を最初に排出する必要なく、投与インターフェイスへ流れることができるように、設計された多くの他の手段によっても達成し得る可能性がある。
【0039】
ニードルガードが後退し、即ち近位方向において外側ハウジングに動くとき、それは回転が束縛され得るが、モジュールリザーバと相互作用し得て、そして開放位置へ弁を駆動、特に回転させ得る外側にラセン機構を有してよい。この開放位置では、第1及び第2のカニューレはこれで、第2の薬剤の単回用量と流体連通し得て、そして流路はモジュールリザーバを通して伸びてよい。薬用モジュールは、ニードルガードが遠位に動くまでこの位置に留まり得て、この時点で、ニードルガードの軸方向運動は弁をバイパスチャンネルへとスイッチバックさせ得る。
【0040】
更なる態様は薬物送達デバイス又はシステムに関する。薬物送達デバイスは2つ又はそれ以上の薬剤を送達するために構成され得る。薬物送達デバイスはハウジングを含んでよい。ハウジングは、少なくとも1つの薬剤、好ましくは薬剤の複数の用量を含む第1の薬剤の一次リザーバを含んでよい。薬物送達デバイスは既述の薬用モジュールを含んでよい。薬用モジュールはデバイスの一次リザーバと流体連通用に構成され得る。
【0041】
実施態様によれば、デバイスのハウジングへの薬用モジュールの連結及びニードルガードの後退、特にデバイスへの薬用モジュールの取り付け後初めての近位方向におけるニードルガードの後退は、時間鎖錠をトリガする。特に、既述のダンパは、ニードルガードが完全に伸長した位置にあるときに、所定時間後にニードルガードの動きを防止するように既述のガードロックを起動するために、第1から第2の位置へ動くことができるようにし得る。更に近位方向におけるニードルガードの後退は、一次リザーバ及び薬用モジュールのリザーバの流体連通が可能になるように、特に弁を開放するように作動させ得る。
【0042】
実施態様によれば、デバイスは単回用量セッター及び単回投与インターフェイスを通して操作可能である。単回用量セッターは好ましくはデバイスのハウジングに含まれる。単回用量セッターは、第1の薬剤の一次リザーバに操作可能に連結され得る。デバイスは一次リザーバ及び取り付けた薬用モジュールとの流体連通のために構成される単回投与インターフェイスを含む。デバイスは用量ボタンを含んでよい。用量ボタンは第1の薬剤の一次リザーバに操作可能に連結され得る。用量ボタンは使用者により押されるとき。用量送達動作を起動するように適合及び配置されてよい。
【0043】
本開示はまた、1つの、好ましくは第2の薬剤の固定用量、及び1つの、好ましくは第1の/一次薬剤の可変用量を、送達デバイスに薬用モジュールを最初に取り付ける工程にかかわる別々のリザーバから投与する方法をカバーし、ここで取り付けは、必要に応じてニードルガードが所定の時間間隔内に多回後退を行うことができるような、機械的タイマーの第1工程を開始し得る既述のトリガを起動する。ニードルガードが初めて後退し、そして薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられるときに、所定の時間が開始してよい。この所定の時間中に、使用者は、第1の薬剤を使用して、一方モジュールリザーバに含まれる第2の薬剤の単回用量をバイパスして、デバイスをプライムし得る。使用者がまだ一次/第1の薬剤の用量を設定していない場合、使用者はその後単回用量セッターを用いて薬物送達デバイスの一次リザーバに含まれる一次/第1の薬剤の用量を設定し得る。患者の注射部位への薬用モジュールの適用は、第2の薬剤を2つのニードルカニューレ及び送達デバイスの一次リザーバに含まれる第1の薬剤のリザーバとで流体連通に入れ得る、弁、特に回転弁を起動してニードルガードを近位に後退させる。この位置では、第1の薬剤の設定用量はモジュールリザーバを通して流れ、そして第2の薬剤の単回用量を流し出し/押し出す。
【0044】
用量ボタンの単一起動により、第1のガードが後退するとき、一次リザーバからの薬剤及び薬用モジュールからの第2の薬剤は、第2のニードルカニューレを通して排出することができる。送達手順の完了時に、実質的にすべての第2の薬剤は排出されて、並びに第1の薬剤の選択用量が単回投与インターフェイスを通して排出される。「実質的にすべて」とは少なくとも約80%の第2の薬剤が薬物送達デバイスから排出され、好ましくは少なくとも約90%が排出されることを意味する。加えて、いっそう多くの第1の薬剤を注射する必要がある場合は、別の用量が設定され、そして時間鎖錠起動時間が過ぎる前に注射され、それ故ガードの早すぎる後退を防止することができる。
【0045】
好ましい実施態様によれば、薬物送達デバイスで使用するための時間制御ロッキング機構が提供される。時間制御ロッキング機構はニードルガードを含む。ニードルガードは少なくとも1つのニードルカニューレに対して保護を行うように適合及び配置される。ニードルガードは注射部位へ適用中に軸方向に動くように構成される。時間制御ロッキング機構は、所定の時間が経過した後にニードルガードの動きを防止するように適合及び配置される、時間鎖錠組立体を含む。時間鎖錠組立体はニードルガードに操作可能に連結される。
【0046】
好ましい実施態様によれば、薬用モジュールが提供され、薬用モジュールは薬物送達デバイスに取り付け可能であり、薬物送達デバイスは第1の薬剤の一次リザーバを含み、そして薬用モジュールは第2の薬剤を含む。薬用モジュールは、少なくとも1つの用量の第2の薬剤を保持するように適合及び配置されるリザーバを、そして薬用モジュールの一部分に配置される少なくとも第1のニードルカニューレに対して保護を行うように適合及び配置されるニードルガードを含む。ニードルガードは注射部位へ適用中に軸方向に動くように構成される。薬用モジュールは、所定の時間が経過した後にニードルガードの動きを防止するように適合及び配置される、時間鎖錠組立体を含み、ここで時間鎖錠組立体はニードルガードに操作可能に連結される。
【0047】
好ましい実施態様によれば、薬用モジュールが提供され、薬用モジュールは薬物送達デバイスに取り付け可能であり、そしてモジュールは、薬物送達デバイスに取り付けのために構成されるコネクタを有する外側ハウジング、及び近位端及び遠位端を有する内側ハウジングを含む。モジュールは更に、単回用量の薬剤を含む内側ハウジング中のリザーバ、内側ハウジングに操作可能に連結されそして注射部位へ適用中に軸方向に動くように構成されるガード、並びにガード及びリザーバに操作可能に連結される弁を含む。
【0048】
好ましい実施態様によれば、薬用モジュールが提供され、モジュールは薬物送達デバイスに取り付け可能であり、そしてモジュールは、薬物送達デバイスに取り付けのために構成されるコネクタを有する外側ハウジング、並びに近位端及び遠位端を有する内側ハウジングを含む。モジュールは更に、単回用量の薬剤を含む内側ハウジング中のリザーバ、内側ハウジングに操作可能に連結されそして注射部位へ適用中に軸方向に動くように構成されるガード、及びガードに操作可能に連結される時間鎖錠組立体を含む。
【0049】
薬用モジュールは、適切な適合インターフェイスを備えたいずれかの薬物送達デバイスとともに使用するために設計することができる。しかしながら、不適合デバイスへの不適切薬用モジュールの取り付けを防止するために、専用又はコード化機構の利用を通して1つの限定的な一次薬物送達デバイス(又はデバイス群)にその使用を制限するようにモジュールを設計することが好ましいといえる。場合によっては、薬用モジュールが1つの薬物送達デバイスに限定されること、また一方でデバイスに対する標準薬物投与インターフェイスの取り付けを許容することを確実にすることは有利であり得て、これには標準タイプAニードルインターフェイス又は適合インターフェイスを備えた標準「ゼロ用量」安全ガードニードルを含んでよい。これはモジュールを取り付けるときに使用者が併用療法を送達することを可能にするが、しかしまた、限定されるものではないが、一次化合物の用量分割又は補充などの状況において標準薬物投与インターフェイスを通して独立に一次化合物の送達を可能にし得る。
【0050】
薬用モジュールは、必要なときに、特に調節期間が特定の薬物で必要になるときに、投薬計画を特注することを適宜可能にする。薬用モジュールは、限定されるものではないが、患者に調節を容易にする特定の順序で供給された薬用モジュールを使用するよう指示することができるように、機構又はグラフィックス、付番等の美的設計などの顕著な識別機構による調節レベルの数で供給することができる。あるいは、処方する医師は患者に「レベル1」調節薬用モジュールの数を提供してよく、そして次いでこれらが終了したとき、医師は次のレベルを処方することができる。この調節プログラムの主たる利点は一次デバイスが終始変わらないことである。
【0051】
好ましい実施態様によれば、薬物送達システムは、単回用量セッター及び単回投与インターフェイスを通して操作可能な2つ又はそれ以上の薬剤を送達するために提供される。薬物送達システムは、少なくとも1つの薬剤を含む第1の薬剤の一次リザーバに操作可能に連結される単回用量セッターを含むハウジングを含む。薬物送達システムは、薬剤の一次リザーバに操作可能に連結される用量ボタンを含む。薬物送達システムは、一次リザーバとの流体連通のために構成される薬用モジュールを含み、ここでは薬用モジュールは、ハウジングに取り付け用に構成されるコネクタを有するモジュール外側ハウジング、並びに近位端及び遠位端ハウジング、第2の薬剤の単回用量を含むモジュール内側ハウジング中の2番目のリザーバ、モジュール内側ハウジングに操作可能に連結されそして注射部位に適用中に軸方向に動くように構成されるガード、ガード及び2番目のリザーバに操作可能に連結される回転弁、並びにガードに操作可能に連結される時間鎖錠組立体を有するモジュール内側ハウジングを含む。薬用モジュールのハウジングへの連結及び近位方向におけるガードの後退は、時間鎖錠をトリガして回転弁を作動させる。
【0052】
実施態様によれば、一次リザーバは液状薬剤を含む。一次リザーバ中の薬剤はインスリンを含んでよい。実施態様によれば、2番目のリザーバは液状薬剤を含む。2番目の薬剤はGLP−1を含んでよい。2番目の薬剤はインスリン及びGLP−1のプレミックスを含んでよい。
【0053】
好ましい実施態様によれば、ニードルガード組立体が薬物送達デバイスへの取り付け用に提供され、ニードルガード組立体は、薬物送達デバイスへの取り付け用に構成されるコネクタを有する外側ハウジング、及び近位端及び遠位端を有する内側ハウジングを含む。ニードルガード組立体は、内側か又は外側ハウジングに連結される少なくとも1つのニードルカニューレ、内側ハウジングに操作可能に連結されそして注射部位に適用中に軸方向に動くように構成されるガード、及びガードに操作可能に連結される時間鎖錠を含む。該ニードルガード組立体は、薬用モジュールと関連して既述の全機構を含んでよい。
【0054】
好ましい実施態様では、一次薬物送達デバイスは1回以上使用され、従って多回使用性である。しかしながら、薬物送達デバイスはまた単回使用使い捨てデバイスであってもよい。当該デバイスは一次薬物化合物の交換可能なリザーバを有しても有さなくてもよいが、しかし本開示は両方のケースに対して同等に適用可能である。また既に標準薬物送達デバイスを用いている患者に対して単発追加薬物として処方することができる、種々の状況に対して一連の異なる薬用モジュールを有することも可能である。患者が既使用の薬用モジュールを再使用しようとするならば、機械的時間鎖錠組立体の所定時間が過ぎた後に、ロッキングニードルガードは起動し得る。使用者に警告する他の手段は下記の幾つか(又は全部)を含んでよい:
一度、モジュールが使用され取り除かれた時点で一次薬物送達デバイスへの薬用モジュール再取り付けの物理的阻止。
一度、それが使用された時点での薬物投与インターフェイスを通した以後の液体流の物理的/水圧的阻止。
一次薬物送達デバイスの用量セッター及び/又は用量ボタンの物理的ロック。
視覚的警告(例えばいったん挿入及び/又は流体流が生じた時のモジュールに関する表示窓内の色及び/又は匂い及び/又は警告文/表示物(indicia)の変化)。
触覚フィードバック(使用後のモジュールハブの外面における触覚特性の存在又は不存在)。
【0055】
本実施態様の更なる特徴は、両方の薬剤が1つの注射針を介してそして単一の注射工程で送達されることであってよい。これは2つの別々の注射剤を投与するのと比べて、使用者工程削減の観点から使用者に簡便な利点を提供する。この利便性はまた、特に注射を不快とし又は認知的若しくは機敏性困難な使用者に対して、処方された療法でコンプライアンス改善をもたらすといえる。
【0056】
これら並びに本発明の種々の態様の他の利点は、添付図面を適切に参照して下記の詳細な説明を読むことにより当業者に明らかになるものである。
【0057】
本発明の範囲は請求項の内容によって規定される。本発明は特定の実施態様に限定されるものではないが、種々の実施態様のエレメントのいずれの組み合わせをも含む。その上、本発明は請求項のいずれの組み合わせ及び請求項により開示される機構のいずれの組み合わせをも含む。
【0058】
代表的な実施態様は以下において図面を参照して本明細書に記載される:
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】1つの可能な薬物送達デバイスの透視図を図示する。
【図2】機械的時間鎖錠組立体を有する薬用モジュールの実施態様の断面図を図示する。
【図3】薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられる図2の薬用モジュールの実施態様を図示する。
【図4】好ましい時間鎖錠機構の1つの部材の透視図を図示する。
【図5】時間鎖錠機構及び回転弁の断面図を示す。
【図6】時間鎖錠の好ましい実施態様の内部機構を示す。
【図7】時間鎖錠の好ましい実施態様の内部機構を示す。
【図8】ニードルガードが後退するときの時間鎖錠の好ましい実施態様の内部機構断面図を示す。
【図9】ガードが針をカバーしているときの時間鎖錠の好ましい実施態様の内部機構を示す。
【図10】時間鎖錠の別の好ましい実施態様の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
開示された薬用モジュール及び薬物送達デバイスの具体的実施態様は、2番目の薬物化合物(薬剤)の固定所定用量及び1番目又は第1の薬物化合物の可変用量を、単一出力又は薬物投与インターフェイスを通して投与することを可能にする。使用者による一次薬剤の用量設定は、好ましくは薬物送達デバイスに取り付け可能な薬用モジュール中のリザーバに含まれる、第2の薬剤の単回用量から独立している。好ましい実施態様では、薬物投与インターフェイスはニードルカニューレ(中空針)である。図1は、薬物送達デバイス7の1つの実例を図示する。薬用モジュール4(図2〜5参照)は、デバイス7の遠位端32に配置される連結手段9に取り付けることができる、各薬用モジュール4は好ましくは内蔵型であって、そして取り付け手段8を有する密閉及び滅菌使い捨てモジュールとして提供される。取り付け手段8は、デバイス7の遠位端32で取り付け手段9に適合性である。示されてはいないが、薬用モジュール4は保護及び滅菌容器に含まれて製造業者により供給することができ、ここでは使用者は滅菌薬用モジュール4を利用するためにシール又は容器自体を剥ぐか又は裂いて開封し得る。ある場合には、薬用モジュール4の各端部に対して2つ又はそれ以上のシールを備えることが望ましいといえる。
【0061】
いずれの公知の取り付け手段8も、ねじ山、スナップロック、スナップフィット、ルアーロック、バヨネット、スナップリング、キードスロット、及び当該連結材の組み合わせなどあらゆるタイプの恒久的及び取り除き可能な連結手段を含み、薬用モジュール4を選択薬物送達デバイス7に取り付けるのに使用することができる。図2は、薬物送達デバイス7の遠位端32の類似ねじ山9を係合し得るねじ山としての取り付け手段8を図示する。図面で示される実施態様は、リザーバ31内に完全に含まれている単回用量として第2の薬剤2の利点を有し、それ故に、第2の薬剤2と薬用モジュール4の構成において使用される材料、具体的には中央コア又は内側ハウジング1(図2参照)、又は薬用モジュール4の構成において使用されるいずれかの他の部材との間において、材料不適合性のリスクを最小化する。
【0062】
投与操作の終わりにリザーバ31に残り得る、再循環及び/又は停滞域によってもたらされる第2の薬剤2の残留量を最小化するために、投与した薬剤の量を最大化するように構成され又は設計されたリザーバ31を有することが好ましい。好ましい形状は図面に示されるような環形である。加えて又は代わりに、流量ディストリビュータシステムは環状空間に収まるように構成することができ、又はリザーバ31それ自体は、第2の薬剤2の最大量がリザーバ31から排出されことを確実にする流量分布特性を含むように構成することができる。好ましくは、当該流量分布システムの設計は、少なくとも約80%の第2の薬剤2が針3の遠位端を通してリザーバ31から排出されることを確実にし得る。最も好ましくは、少なくとも約90%が排出され得ることである。理想的には、モジュールリザーバ31を通して薬物送達デバイス7中の一次リザーバからの第1の薬剤の変位が、2つの薬剤の実質的混合なしに第2の薬剤2を変位させ得ることである。
【0063】
多目的デバイス7への薬用モジュール4の取り付けは、薬用モジュール4内に含まれる時間鎖錠機構をトリガ6の遠位運動によって設定又は活性化する。図2〜5に示される実施態様を参照して、時間鎖錠は付勢部材、好ましくは、ばね5、ダンパ14、及びガスオリフィス11を含む。デバイス7のカートリッジホルダに取り付け前に、モジュール4内のばね5及び15は弛緩状態にある。ばね15は、ニードルガード16に操作可能に連結され、ガード16が遠位方向において下方へ針3のチップを安全にカバーするようにさせる。ばね5は、その遠位端でダンパ14にそしてその近位端でトリガ6に操作可能に連結される。トリガ6は、薬用モジュール4が取り付けられるときに薬物送達デバイス7のコネクタ9をインターフェイスする。図示された実施態様では、トリガ6は、モジュール4が送達デバイス7に取り付けられるとき、遠位方向110に押し付けられ、それ故ばね5を圧縮し、それでダンパ14に力を加える。トリガ6でのラチェット、クリップ、スナップロック又は他のロッキング機構(示されず)は、トリガ6を開始位置まで戻ることを防止し、そしてこのようにしてばね5はニードルガード16が後退するまで圧縮状態に維持される。それ自体、ばね5は、薬物送達デバイス7への第1の連結後に、1つの方向、例えば遠位方向にただ弛緩することができる。
【0064】
図5は、モジュール4を注射器具7に取り付け後の圧縮状態におけるばね5を示す。ニードルガード16がそれを近位又は後退方向に動かすために注射部位に押圧又は適用される前に、リザーバ31は、デバイス7に含まれる一次薬剤がモジュール4をプライムするのに使用することができるプライミング位置にある。この第1又はプライミング位置において、リザーバ31は、ニードルカニューレ23を通して出るリザーバ31中の第2の薬剤2と流体接触することなく、流体(一次薬剤)がバイパス経路においてニードルカニューレ23を流れることができるように回転配向される。
【0065】
ニードルガード16が近位又は後退方向(遠位方向110と反対側)に動くとき、それは薬剤流路がプライミング位置から用量送達位置まで変わるようにリザーバ31を回転させる。図6は、リザーバ31上のスロットプロファイル100及び突出部101の相互作用によってもたらされるニードルガード16の後退111及びリザーバ31の回転運動112を図示する。ニードルガード16は後退するので(図7参照)、ランプ(ramp)102は、外側ハウジング10の内部で停止機能104に対してそれを回転させるダンパ14上のタブ(tab)103と相互作用する。図8は、停止機能104に対する回転及び動きを図示する。停止機能104及び取り除かれているダンパ14の係合により、ダンパ14はばね5に加えられた力に因り遠位方向に動くことができる。これは時間鎖錠機構のタイマー機構を開始する。ダンパ14は外側ハウジング10の内面にスライド可能に密閉されるので、空気がコンパートメント17からコンパートメント18まで通過することができる唯一の道(図8参照)は、非常に小さいアパーチャ又はオリフィス11を通してである。この空気流の制限は、ばねにより加えられた力にカウンター力を与え、そしてダンパ14がばね5の力の下で徐々に下方に(遠位に)動くようにする。オリフィス11のサイズはダンパ14の動きの速度を、従ってモジュール4が更なる使用からロックされる前の時間の長さを決定することができる。ニードルガード16の後退がブロックされる前に、ダンパ14がその最終位置になるまで、使用者は頻回注射をするのに多数回ニードルガード16を後退することができる。ダンパ14がその最終位置にありそしてニードルガード16がその伸長した、例えば遠位位置にある場合に、ガード16はロックされそして近位方向に動くことが防止され得る。これは、本開示に不可欠ではない多くの方法で実現することができる。例えば、図2〜9で図示されるように、1つの実施態様は回転ロック105を使用する。図9に示すように、ダンパ14が遠位に動き始めると、それは、完全に伸びた位置にある場合にニードルガード16を後退からロックするように、それを回旋させる回転ロック105でランプ機能106及び107を通して操作可能に相互作用する。時間の終わりに、ニードルガード16がその行程の下端に達するとすぐに、回転ニードルガードロックはその回転を終了することができる。最後の回転中に、回転ロック105上のタブ、又は他の突出部又はスナップロックは、いずれの更なるニードルガード16の軸運動を防止するニードルガード16中の円周溝などの位置へ動くことができる。ニードルガード16はこれでロックアウトされる。好ましくは、タブは、ニードルガード16が完全に下方にあるとき、ニードルガード16をただ回転しロックアウトすることができる。本設計は、タイマーが止まったときに、ニードルガード16が後退する場合、ニードルガード16がいったん安全な位置に逆戻りすると、デバイス7はただ単にロックアウトし得る。ばね15の力は、ニードルガード16が完全に伸びると、回転ニードルガードロックをロック位置へ動かすようにさせる。デバイス7にロックアウトをもたらす回転ニードルガードロックの最後の回転を起こすのには十分な力が必要なことから、ばね5は完全に弛緩しない。
【0066】
図10は、ばね5及びオリフィス11がヒステリシス材料25と交換される本開示の時間鎖錠機構の別の実施態様を示す。ヒステリシス材料25は、圧縮することができそして一定の時間かかってその元の形状に最終的に後へ伸びるいずれの材料であってよい。トリガ6は、薬用モジュール4が薬物送達デバイス7に取り付けられるときに、ヒステリシス材料25を圧縮する。ニードルガード16が後退すると、ヒステリシス材料25は次いで伸びてダンパ14に力を加え始めることができ、これはガードロックを起動するように遠位方向に動く。ヒステリシス材料25のロック解除は上記のように実現することができ、そこではニードルガード16の後退は、ダンパ14を回転させ停止部材から係合解除するようにさせる。ヒステリシス材料25が完全に伸びてそしてニードルガード16がその十分伸びた位置に到達したときに、それは更なる後退からロックされ得る。
【0067】
薬用モジュール4は2つのニードルカニューレ3、23を含む。第1のニードルカニューレ3はモジュール4の遠位端に配置される。第2のニードルカニューレ23は第1のニードルカニューレ3から近位に配置される。リザーバ31はニードルカニューレ3、23間で軸方向に配置される。第1及び第2のニードルカニューレ3、23はリザーバ31と流体連通を確立するように位置する。
【0068】
薬用モジュール4はまた、ニードルガード16が後退するときに起動される弁19を有する。弁19は、ガード16が後退又は近位位置にあるときに、リザーバ31中の薬剤2をニードルカニューレ3及び23との流体連通に入れる。ガード16の後退に先立って、弁19は、ニードルカニューレ3、23がバイパス22と流体連通している第1の位置にある。図5はこの弁19の1つの可能な実施態様を示し、これはバイパス位置に位置する回転弁19である。ニードルカニューレ23はその遠位端でチャンネル20と流体連通し、そして薬用モジュール4が取り付けられるときに送達デバイス7中の一次薬剤と流体連通する。出口ニードルチャンネル3はチャンネル24と流体連通している。弁19がバイパス位置にあるときに、チャンネル20及び24はバイパスチャンネル22と流体連通している。この位置は一次薬剤が、針23を通して、チャンネル20を通して、バイパスチャンネル22を下方に、チャンネル24を通して外に流れ、そして最終的に針3を出るようにさせる。この弁位置はリザーバ31において第2の薬剤2を完全に分離し、それ故それは針3が出ることを防止する。
【0069】
弁19が下記のようにその第2の位置に変えられるとき、チャンネル20及び24はリザーバ31及びそれに含まれる第2の薬剤2と直接連結するようになる。この弁位置において、薬物送達デバイス7からの薬剤は、これでリザーバ31と流体連通し、そして用量ボタン13の起動時に、一次薬剤は第2の薬剤2をリザーバ31から外に出し、出口ニードル3中へ強制的に入れ得る。弁19の回転は、ニードルガード16が近位方向に動くときに起こる。ガード16は後退するので、リザーバ31はバイパス位置から注射位置まで回転する。チャンネル20及び24は静止している。リザーバ31を回転させる種々の方法があるが、1つの方法は、リザーバ31で突出部又はリブと相互作用するガード16上のラセン経路又は溝の使用を含む。ガード16は後退することからその回転の束縛は、リザーバ31がラセン溝を通り、そしてリブが経路を進むにつれて回転するようにし得る。ガード16は反対方向に(遠位に)動くときにモジュールハウジング10から外へ伸びるので、リザーバ31及び弁19はバイパス位置へと逆戻りし得る。
【0070】
一度、薬用モジュール4が薬物送達デバイス7に取り付けられると、使用者は一次薬剤のいずれかの量を用いてシステムをプライムし、そして次いでデバイス7の用量ボタン13の起動を介して注射を行うことができる。用量ボタン13は、用量セッター12によって設定された第1の薬剤の用量をデバイス7の遠位端32に向いて動くようにさせる、いずれのトリガ機構であってよい。好ましい実施態様では、用量ボタン13は第1の薬剤の一次リザーバにおいてピストンを係合するスピンドルに操作可能に連結される。
【0071】
ガード又は安全シールド16は、偶発的針刺しを防止し及び/又は針恐怖症に罹る使用者が経験する不安を低減し得るいずれの設計であってもよい。安全シールド16の正確な設計は本開示に不可欠ではないが、しかしながら、上記のように好ましい設計は、薬物送達デバイス7への取り付けにより起動されている、次いでその後にニードルガード16の後退でトリガされている所定の時間後にロックアウトされるものである。使用者は時間鎖錠期間内に何回でもニードルガード16を後退させることができるが、その期間後デバイスはロックされる。デバイス7は、第1の挿入以外のものが許容時間内に行われる限り単回挿入又は多回挿入に対して機能する。好ましい実施態様では、ニードルガード16のロッキングは、使用者に対して表示フィードバック、例えば、ガードがロックされ最早後退することができないことを示す色、触覚、聴覚等の変化をもたらし又はトリガし得る。加えて、使用者フィードバックは、ニードルガードがロックアウトされる前に、使用者がどれだけの時間が残っているかの推定をすることに用いられ得る。これはセンサ、色変化、可聴クリック等に連結され、又はダンパ、回転ロック又はその両方の動きに操作可能に連結された電子タイマーで実現することが可能となる。
【0072】
いずれの上述の実施態様においても、薬用モジュール4中の第2の薬剤2は、粉末固体状態であるか、リザーバ31内に含まれるいずれかの液体状態であるか、又は薬物投与インターフェイス3の内側面にコーティングされてよい。薬剤2の高濃度の固形は低濃度を有する液体よりも小容積を占める利点を有する。これは順に薬用モジュール4の目減り量を減らす。付加的な利点は、第2の薬剤2の固形が、薬剤2の液体状態よりもリザーバ31に密閉するのに潜在的により直接的なことである。デバイス7は、投与中に第1の薬剤によって溶解されている第2の薬剤2での好ましい実施態様と同じように使用し得る。
【0073】
既述のように、薬用モジュール4内のリザーバ31に含まれる第2の薬剤2の、薬剤の投薬中における一次薬剤への拡散を最小化するために、流量ディストリビュータをリザーバ31に組み込むことができる。本流量ディストリビュータはまた、システムからの第2の薬剤2の効率的排出を確実にし、そして残留容積を大幅に最小化する。流量ディストリビュータの1つの可能な実施態様は、環状リザーバ31に位置し、そして第2の薬剤2が1つ又はそれ以上の支持リブの形状及び位置によって規定される流路を満たすように構成され得る環状インサートである。流量ディストリビュータは、1番目及び第2の薬剤に適合性であるいずれの材料からも作ることができる。好ましい材料は、多回用量薬剤カートリッジに見出されるセプタム又はピストン(栓)を製作するのに通常使用されるものであってよいが、長期保存中に薬剤と適合性のいずれの材料も同等に適用可能である。流路の形状は、寸法及び支持リブの数を変えることにより薬剤のプラグ流に対して最適化することができる。流量ディストリビュータとリザーバ31の壁間に形成される環形の断面積は相対的に小さく保たれる必要がある。第2の薬剤2を貯蔵するのに利用できる容積は、リザーバ31の内容積−流量ディストリビュータの容積に等しくてよい。従って、流量ディストリビュータの容積がリザーバ31の内容積よりもわずかに小さい場合、第2の薬剤2が占める小容積が残っている。それ故に、リザーバ31及び流量ディストリビュータの両方のスケールは大きくなり得る一方で小容積の薬剤2を貯蔵する。この更なる利点は、薬剤2の利用可能な容積が流量ディストリビュータとそのハウジング間の容積の差によって規定されるので、外部リザーバの形状は薬剤2の容積によって決定されないことである。従って、第2の薬剤2の小容積(例えば25〜50μl)では、リザーバ31は取り扱い、輸送、製作、充填及び組み立ての許容サイズであり得る。
【0074】
上記実施態様の薬用モジュール4の間の連結又は取り付けは、特定の薬用モジュール4が適合している薬物送達デバイス7だけに取り付け可能なことを確実にするコネクタ、止め具、スプライン、リブ、溝、及び類似の設計機構などの、付加機構(示されず)を含んでよい。当該付加機構は、不適合注射器具7への不適切な薬用モジュール4の挿入を防止し得る。
【0075】
薬用モジュール4の形状は、流体リザーバ31を画成するため又は第2の薬剤2の別個の内蔵型リザーバ31を含むため、そして1つ又はそれ以上のニードルカニューレ3、23を取り付けるために好適な円筒体又はその他の幾何形状であってよい。リザーバ31は、ガラス又は他の薬物接触好適材料から製作することができる。一体型注射針3は皮下又は筋肉内注射に好適ないずれのニードルカニューレであってもよい。好ましくは、薬用モジュール4は、無菌性を保持するために密閉されている独立型及び分離型デバイスとして製薬業者によって提供される。モジュール4の滅菌シールは、薬用モジュール4が使用者によって前進し又は薬物送達デバイス7に取り付けられるときに、好ましくは例えば切断し、引き裂き又は剥がすことにより自動的に開くように設計されるが、しかし滅菌供給のその他の手段も同等に適用可能で受け入れ可能である。
【0076】
薬用モジュール4は、多回使用注射器具7、好ましくは図1で図示されるものと類似の、ペン型多回投与注射器具と連動して作動するように設計され得る。注射器具7は再使用可能又は使い捨てデバイスであってよい。使い捨てデバイスとは、薬剤を予め充填した製造業者から得られ、そして初回の薬剤が使用済になった後に新しい薬剤を再充填することができない注射器具を意味する。デバイス7は固定用量又は設定可能用量及び好ましくは多回用量デバイスであってよいが、しかしながら、ある場合には単回用量、使い捨てデバイスを使用することが有利となり得る。
【0077】
典型的な注射器具は薬剤のカートリッジ又は他のリザーバを含む。このカートリッジは、一般的に円筒形状であり、通常はガラスで製作される。カートリッジは一端においてゴム栓で、そして他端においてゴム製セプタムによって密閉されている。注射器具は多回注射剤を送達するために設計されている。注射器具は更に用量セッターを含んでよい;用量セッターはリザーバに操作可能に連結されてよい。注射器具は用量ボタンを含む;用量ボタンはリザーバに操作可能に連結されてよい。用量ボタンは、用量セッターによって設定された薬剤の用量を、デバイスの遠位端に向いて遠位に動くようにさせるいずれのトリガ機構であってもよい。好ましい実施態様では、用量ボタンは、リザーバにおいてピストンを係合するスピンドルに操作可能に連結される。更なる実施態様では、スピンドルは2つの異なるねじ山を含む回転可能なピストンロッドである。送達機構は一般的に使用者の手動動作により作動するが、しかしながら、注射機構は、ばね、圧縮気体又は電気エネルギーなどの他の手段によっても作動し得る。
【0078】
本発明の代表的な実施態様が記載されている。しかしながら、当業者には当然のことながら、変更又は修正は、特許請求の範囲によって規定される本発明の真の範囲及び精神から逸脱することなくこれらの実施態様で行われてよい。
【0079】
参照番号
1 内側ハウジング
2 第2の薬剤
3 針
4 薬用モジュール
5 ばね
6 トリガ
7 薬物送達デバイス
8 取り付け手段
9 連結手段
10 外側ハウジング
11 ガスオリフィス
12 用量セッター
13 用量ボタン
14 ダンパ
15 ばね
16 ニードルガード
17 コンパートメント
18 コンパートメント
19 弁
20 チャンネル
22 バイパスチャンネル
23 ニードルカニューレ
24 チャンネル
25 ヒステリシス材料
31 リザーバ
32 遠位端
100 スロットプロファイル
101 突出部
102 ランプ
103 タブ
104 停止機能
105 ガードロック/回転ロック
106 ランプ機能
107 ランプ機能
110 遠位方向
111 後退
112 回転運動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのニードルカニューレ(3)に対して保護を提供するように適合及び配置され、注射部位に適用中軸方向に動くように構成される、ニードルガード(16);及び
所定時間の経過後にニードルガード(16)の動きを阻止するように適合及び配置され、ニードルガード(16)に操作可能に連結される、時間鎖錠組立体;
を含んでなる、薬物送達デバイス(7)とともに使用するための時間制御ロッキング機構。
【請求項2】
起動されたガードロック(105)は、ニードルガード(16)が遠位に完全に伸びているとき、ニードルガード(16)が軸方向に動くことを防止するガードロック(105)を更に含んでなる、請求項1に記載の時間制御ロッキング機構。
【請求項3】
時間鎖錠組立体は、第1の位置から第2の位置まで可動であるダンパ(14)を含み、ダンパ(14)が第2の位置にありそしてニードルガード(16)が遠位に完全に伸びているとき、ダンパ(14)がガードロック(105)を起動するように適合及び配置される、請求項2に記載の時間制御ロッキング機構。
【請求項4】
所定時間内に第1の位置から第2の位置までダンパ(14)を動かすように構成される手段を含んでなる、請求項3に記載の時間制御ロッキング機構。
【請求項5】
前記手段は気体オリフィス(11)又はヒステリシス部材(25)を含む、請求項4に記載の時間制御ロッキング機構。
【請求項6】
薬物送達デバイス(7)が第1の薬剤の一次リザーバを含んでなり、そして薬用モジュール(4)が第2の薬剤(2)を含んでなる、薬物送達デバイス(7)に取り付け可能な薬用モジュール(4)であって、ここで薬用モジュール(4)は第2の薬剤(2)の少なくとも1つの用量を保持するように適合及び配置されるリザーバ(31)を含み、そして薬用モジュールは請求項1〜5のいずれか1項に記載の時間制御ロッキング機構を含む、上記薬用モジュール(4)。
【請求項7】
薬用モジュール(4)が薬物送達デバイス(7)に取り付けられた後、ニードルガード(16)が最初に後退したときに始まる所定時間経過後に、ニードルガード(16)が軸方向に動くことを防止する、請求項6に記載の薬用モジュール(4)。
【請求項8】
ニードルガード(16)及びリザーバ(31)に操作可能に連結され、そして薬用モジュール(4)のリザーバ(31)と一次リザーバの流体連通を可能にするように構成される弁(19)を含んでなる、請求項6又は7に記載の薬用モジュール(4)。
【請求項9】
リザーバ(31)がハウジング(1、10)中に配置され、そしてニードルガード(16)がハウジング(1、10)に操作可能に連結される、薬物送達デバイス(7)への取り付け用に構成されるハウジング(1、10)を含んでなる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の薬用モジュール(4)。
【請求項10】
ハウジング(1、10)は遠位端及び近位端を含み、そして薬用モジュール(4)は第2のニードルカニューレ(23)を含み、第2のニードルカニューレ(23)が近位端に取り付けられそして第1のニードルカニューレ(3)がハウジング(1、10)の遠位端に取り付けられる、請求項9に記載の薬用モジュール(4)。
【請求項11】
ニードルガード(16)が遠位方向に完全に伸びているとき、2つのニードルカニューレ(3、23)は第2の薬剤(2)との流体連通になく、そしてニードルガード(16)が近位方向に後退したとき、2つのニードルカニューレ(3、23)は第2の薬剤(2)と流体連通する、請求項10に記載の薬用モジュール(4)。
【請求項12】
弁(19)は、薬用モジュール(4)のリザーバ(31)と一次リザーバの流体連通を可能にするために回転するように構成される回転弁である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の薬用モジュール(4)。
【請求項13】
リザーバ(31)がリザーバ(31)をバイパスするように適合及び配置されるバイパス(22)を有する、請求項6〜12のいずれか1項に記載の薬用モジュール(4)。
【請求項14】
ニードルガード(16)が遠位方向に完全に伸びているとき、弁(19)はバイパス(22)とニードルカニューレ(3、23)の流体連通を可能にするように構成される、請求項13に記載の薬用モジュール(4)。
【請求項15】
a. 少なくとも1つの薬剤を含む第1の薬剤の一次リザーバを含んでなるハウジング、
b.薬用モジュール(4)が一次リザーバと流体連通するように構成される、請求項6〜14のいずれか1項に記載の薬用モジュール(4)を含んでなる、2つ又はそれ以上の薬剤を送達する薬物送達デバイス(7)。
【請求項16】
ハウジングへの薬用モジュール(4)の連結及び近位方向におけるニードルガード(16)の後退が時間鎖錠をトリガする、請求項15に記載の薬物送達デバイス(7)。
【請求項17】
ハウジングへの薬用モジュール(4)の連結及びニードルガード(16)の後退が弁(19)を作動させる、請求項15又は16に記載の薬物送達デバイス(7)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−518640(P2013−518640A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551597(P2012−551597)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051401
【国際公開番号】WO2011/095483
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】