説明

景品交換装置、景品交換システム及び景品交換方法

【課題】遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合の店員の煩雑な手間を効率良く軽減するとともに、店員による不正を排除した厳密な景品利益計算を効率良く実現することを課題とする。
【解決手段】景品管理装置60を用いてカード又はレシートに対応付けられた玉数を景品交換する場合に、返却操作受付部66dが景品交換対象として特定された景品の返却操作を受け付けたならば、端数玉取込処理部66eが返却操作を受け付けた景品に対応する玉数を記憶部65の端数玉データ65cに加算処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技店において遊技客が獲得した遊技媒体を経費に交換する。カード又はレシート等の記録媒体に対応付けられた有価価値を景品に交換する処理を行う景品交換装置、景品交換システム及び景品交換方法に関し、特に、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合の店員の煩雑な手間を効率良く軽減するとともに、店員による不正を排除した厳密な景品利益計算を効率良く実現することができる景品交換装置、景品交換システム及び景品交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ店などの遊技店では、各遊技島の島端に島端計数機が設置され、景品交換カウンターに景品管理装置が設置されるのが一般的である。遊技客が、島端計数機で発行されたレシートを景品交換カウンターに持ち込むと、景品交換カウンター内の店員が景品管理装置に接続されたハンドスキャナでレシートに印字されたバーコードを読み取り、読み取った玉数が景品交換処理される。また、各台計数システムから返却される持玉カードを受け付けて景品交換処理を行うこともできる。
【0003】
かかる景品交換処理を行う際に、特殊景品と呼ばれる換金可能な景品に玉数を景品交換処理した後に、該特殊景品に交換されない端数の玉数を菓子等の一般景品に景品交換処理するケースが多い。
【0004】
このため、玉数を特殊景品に効率良く交換できるようにした景品管理システムが知られている。例えば、特許文献1には、特殊景品情報に基づいて特殊景品の交換レートを用いて特殊景品の個数を算出し、算出した個数の特殊景品を払い出させる遠隔操作信号を特殊景品払出機に送信することで、特殊景品を迅速かつ正確に払い出すことができるようにした景品管理システムが開示されている。
【0005】
このように、遊技店では、端数玉数に交換可能な菓子等の一般景品を在庫管理しておき、遊技客が獲得した玉数のうち特殊景品に交換できない端数玉数分の一般景品を遊技客に手渡す景品交換処理が頻繁に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−72467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、現実的には、上記端数玉数分の一般景品を受け取る遊技客だけではなく、上記一般景品は不要であるとして受け取らない遊技客も多い。遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合には、この一般景品を景品交換カウンター内の回収箱に回収する。そして、閉店処理時に店員が棚卸し・在庫訂正処理を行って在庫数を戻し、回収箱内の一般景品を棚に戻すことになる。
【0008】
このように、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合には、閉店処理時の棚卸し・在庫訂正処理と言った煩雑な処理を店員が行わねばならないと言う問題がある。また、店員が在庫訂正処理を実施せずに景品返品処理を行い、特殊景品を不正に着服するおそれもある。例えば、10玉景品を20個分景品返品処理した場合には、合計200玉(800円分)の特殊景品を店員に着服されてしまう。その結果、本来は店取込玉として処理されるべき玉数が店員に不正に着服され、結果的に遊技店としての厳密な景品利益計算ができないことになる。
【0009】
これらのことから、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合の店員の煩雑な手間をいかにして軽減するか、また店員による不正を排除した厳密な景品利益計算をいかに効率良く実現するかが重要な課題となっている。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の課題を解消するためになされたものであって、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合の店員の煩雑な手間を効率良く軽減するとともに、店員による不正を排除した厳密な景品利益計算を効率良く実現することができる景品交換装置、景品交換システム及び景品交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、所定の記録媒体に対応付けられた有価価値を景品に交換する処理を行う景品交換装置であって、遊技客によって獲得された前記有価価値のうち該遊技客によって放棄された有価価値を遊技店の取込有価価値として記憶する記憶部と、景品交換対象として特定された景品の返却操作を受け付ける返却操作受付部と、前記返却操作受付部により返却操作を受け付けた景品に対応する有価価値を前記記憶部に記憶された取込有価価値に加算処理する加算処理部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記返却操作受付部は、前記有価価値から特殊景品に交換可能な有価価値を減算した端数の有価価値により景品交換対象として特定された一般の景品の返却操作を受け付けることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記返却操作受付手段は、遊技店の店員向けに設けられた店側表示部に前記景品交換対象として特定された景品を表示制御し、該店側表示部に表示された景品の選択操作を該景品の返却操作として受け付けることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記返却操作受付部により景品の返却操作を受け付けた場合であっても、該景品の返却操作を受け付けない場合と同様に該景品への交換処理を行った景品交換ログデータを生成する景品交換ログデータ生成部をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記景品の在庫を管理するとともに、前記返却操作受付部により前記景品の返却操作を受け付けた場合に当該景品の在庫訂正を行う在庫管理手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、所定の記録媒体に対応付けられた有価価値を景品に交換する処理を行う景品交換装置を含む景品交換システムであって、遊技客によって獲得された前記有価価値のうち該遊技客によって放棄された有価価値を遊技店の取込有価価値として記憶する記憶部と、景品交換対象として特定された景品の返却操作を受け付ける返却操作受付部と、前記返却操作受付部により返却操作を受け付けた景品に対応する有価価値を前記記憶部に記憶された取込有価価値に加算処理する加算処理部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、所定の記憶媒体に対応付けられた有価価値を景品に交換する処理を行う景品交換装置における景品交換方法であって、景品交換対象として特定された景品の返却操作を受け付ける返却操作受付工程と、前記返却操作受付工程により返却操作を受け付けた景品に対応する有価価値を、遊技客により獲得された有価価値のうち該遊技客によって放棄された記憶部に記憶された遊技店の取込有価価値に加算処理する加算処理工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、景品交換対象として特定された景品の返却操作を受け付け、返却操作を受け付けた景品に対応する有価価値を、遊技客によって獲得された有価価値のうち該遊技客によって放棄された記憶部に記憶された遊技店の取込有価価値に加算処理するよう構成したので、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合の店員の煩雑な手間を効率良く軽減するとともに、店員による不正を排除した厳密な景品利益計算を効率良く実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本実施例1に係る遊技媒体処理システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示した景品管理装置及びリーダライタの外観構成を示す図である。
【図3】図3は、図1に示した景品管理装置の内部構成を示す図である。
【図4】図4は、図1に示した景品管理装置による景品交換時の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、景品の返却操作を説明するための説明図である。
【図6】図6は、図2に示した店側表示部への景品交換明細表示時の表示例を示す図である。
【図7】図7は、本実施例2に係る景品管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、一般景品管理データの一例を示す図である。
【図9】図9は、本実施例2に係る景品管理装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る景品交換装置、景品交換システム及び景品交換方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
まず、本実施例1に係る遊技媒体処理システムのシステム構成について説明する。図1は、本実施例に係る遊技媒体処理システムのシステム構成を示す図である。本発明に係る景品交換装置は、この遊技媒体処理システムに含まれる。
【0022】
同図に示すように、この遊技媒体処理システムでは、複数の遊技機20と、各遊技機20にそれぞれ対応して設けられた台間カード処理機10と、カード管理装置40と、会員管理装置50と、景品管理装置60と、島端計数機80と、精算機90とが通信回線100を介して接続されている。なお、複数の遊技機20及び台間カード処理機10は、島コントローラ30を介して通信回線100に接続されて遊技島を形成する。また、景品管理装置60にはリーダライタ70及び特殊景品払出装置75が接続されて景品カウンターに設置される。
【0023】
遊技機20は、パチンコ玉を遊技領域に打ち込んで遊技客がパチンコ遊技を行うパチンコ機等の装置である。台間カード処理機10は、遊技機20に対する玉貸し処理、遊技機20で獲得したパチンコ玉の計数処理、計数したパチンコ玉を持玉として再投出する処理、貯玉の再プレイ処理などを行う装置である。
【0024】
この台間カード処理機10には、遊技客が獲得した玉数を計数する各台計数機が設けられている。この各台計数機で計数された玉数は、持玉数として台間カード処理機10内部のメモリに記憶される。遊技客が所定の持玉払出操作を行うと、この持玉数から所定数が減算処理されるとともに、所定数の玉がノズルを介して遊技機20の上皿に投出される。
【0025】
また、遊技客が、所定のカード返却操作を行うと、台間カード処理機10内部のメモリに記憶した持玉数がカードに記憶されるとともに、該カードのカードID、持玉数及び当該台間カード処理機10が属するグループ情報(貸出レートを特定できる)がカード管理装置40に通知され、その後にカードが排出される。このため、遊技客は、このカードを他の遊技機20に併設された台間カード処理機10に挿入して持玉払出操作を行うことで、他の遊技機で遊技を行うことができる。また、現金で遊技を開始する遊技客のために、台間カード処理機10には予め複数枚の一般カードが収納されている。
【0026】
島コントローラ30は、遊技島に設けられた一群の遊技機20及び台間カード処理機10を束ねる中継装置である。カード管理装置40は、カードのプリペイド価値及び持玉数等をカード情報として管理する管理装置である。このカード情報は、プリペイド価値及び持玉数がカードIDに対応付けられた情報である。
【0027】
カード管理装置40は、台間カード処理機10からカードID及び持玉数を受信したならばカード情報を更新し、台間カード処理機10からカードIDを受信したならば、該カードIDに対応する持玉数を台間カード処理機10に通知する。また、カード管理装置40は、景品管理装置60からカードIDを受信したならば、このカードIDに対応する持玉数を景品管理装置60に対して通知する。さらに、精算機90からカードIDを受信したならば、このカードIDに対応するプリペイド価値を精算機90に対して通知する。
【0028】
会員管理装置50は、遊技店に会員登録された会員の会員データを管理する管理装置である。具体的には、会員に対して発行した会員カードIDに対応づけて、会員の氏名及び住所等の会員データ並びに貯玉データ等を管理する。
【0029】
景品管理装置60は、遊技店内の景品交換カウンターに併設された景品交換用の端末装置であり、計数玉、貯玉及び持玉の景品交換処理を行う。この景品管理装置60には、リーダライタ70及び特殊景品払出装置75が接続されている。リーダライタ70は、カードの挿入を受け付けた際に、該カードのカードIDを読み取る装置である。特殊景品払出装置75は、景品管理装置60からの指示に応答して、特殊景品を払い出す装置である。
【0030】
ここで、この景品管理装置60は、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合の店員の煩雑な手間を軽減するとともに、店員による不正を排除した厳密な景品利益計算を効率良く実現できる対策が講じられている。具体的には、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合に、景品管理装置60の店側表示部61上で該景品をチェックすると、この景品に対応する玉数が記憶部65の端数玉データ65cに加算処理する仕組みを導入している。このため、店員は、遊技客が受け取らなかった景品を回収箱に回収せずに、そのまま該景品を在庫として取り扱えば良く、閉店処理時に在庫訂正処理する必要がない。このため、在庫訂正処理時の店員の不正を未然に防止し、厳密な景品利益計算を効率良く実施することができる。
【0031】
島端計数機80は、遊技島端等に設けられ、遊技客が獲得した玉数を計数し、計数値をカードに関連付けるか、レシートへ印字して発行する。精算機90は、プリペイド価値が対応付けられたカードが挿入されると、このカードのカードIDをカード管理装置40に送信し、該カードに対応するプリペイド価値を取得し、取得したプリペイド価値に相当する現金の払出を行う。
【0032】
次に、図1に示した景品管理装置60及びリーダライタ70の外観構成について説明する。図2は、図1に示した景品管理装置60及びリーダライタ70の外観構成を示す図である。同図(a)には正面上方(景品カウンターの店員側)から見た景品管理装置60の斜視図を示し、同図(b)には景品管理装置60及びリーダライタ70の背面図(景品カウンターの遊技客側)を示している。
【0033】
図2(a)に示すように、景品管理装置60の前面には、店側表示部61、操作部62、レシート発行部63及びバーコードリーダ67が設けられている。ここでは、説明の便宜上図示省略したが、電源スイッチやメモリカード差込口なども設けられる。
【0034】
店員は、島端計数機80で発行されたレシートを遊技客から受け取ったならば、バーコードリーダ67でレシートに印字されたバーコードを読み取り、遊技客が獲得した玉数を特定する。また、リーダライタ70のカード挿入口73にカードが挿入された場合には、該カードに記憶された玉数を読み出して、遊技客が獲得した玉数を特定する。その後、特定した玉数を特殊景品又は一般景品に景品交換することになる。
【0035】
店側表示部61は、操作者である遊技店の店員用の表示部(兼、操作部)であり、タッチパネルカラー液晶ディスプレイ等からなる。この店側表示部61には、景品交換内容や操作ガイダンスなどが表示され、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合の返却操作は、この店側表示部61上で受け付ける。
【0036】
操作部62は、テンキー、専用キー及びモードキー等の複数のキーからなり、景品交換操作入力などを行う際に使用される。レシート発行部63は、登録リスト及び集計リスト等の各種レシートを発行処理する発行部であり、感熱式プリンタ等からなる。バーコードリーダ67は、レシートに印字されたバーコードを読み取って、情報内容を特定する。
【0037】
図2(b)に示すように、景品管理装置60の背面には、遊技客用の客側表示部64が設けられている。この客側表示部64は、蛍光表示管やタッチパネルカラー液晶ディスプレイ等からなる。遊技客は、この客側表示部64の表示内容を確認することにより、カードに対応付けられる現在玉数や端数玉数を確認することができる。
【0038】
また、この景品管理装置60にはリーダライタ70が接続されている。このリーダライタ70には、表示操作部71、かざし部72、カード挿入口73及び扉カギ74が設けられている。表示操作部71は、タッチパネルカラー液晶ディスプレイ等からなり、カードの読み取り状況等が表示される。なお、会員カードの場合には、この表示操作部71を用いて暗証番号が入力される。かざし部72は、非接触ICカード又はICチップ内蔵の携帯電話機との間で非接触でデータの授受を行うためのかざし部である。カード挿入口73は、会員カード及び一般カードを挿入する挿入口である。
【0039】
次に、図1に示した景品管理装置60の内部構成について説明する。図3は、図1に示した景品管理装置60の内部構成を示す図である。同図に示すように、この景品管理装置60は、リーダライタ70及び特殊景品払出装置75に接続されている。
【0040】
景品管理装置60は、すでに説明した店側表示部61、操作部62、レシート発行部63及び客側表示部64と、記憶部65と、制御部66とを有する。記憶部65は、フラッシュメモリ又はハードディスク装置等からなる記憶デバイスであり、特殊景品管理データ65a、一般景品管理データ65b、端数玉データ65c及び景品交換ログデータ65dを記憶する。
【0041】
特殊景品管理データ65aは、特殊景品の種別に対応付けて景品交換に要する交換玉数を記憶するデータである。特殊景品払出装置75内に存在する各特殊景品の種別毎の個数を該特殊景品管理データ65aで管理することもできる。一般景品管理データ65bは、一般景品の景品名、交換玉数等を景品番号に対応付けたデータであり、景品毎の在庫数も管理する。
【0042】
端数玉データ65cは、特殊景品に交換した後の端数玉のうち遊技客が該端数玉に対応する景品の受け取りを「不要」として辞退した玉数を累積したデータである。遊技客が端数玉に対応する景品の受け取りを辞退した場合に、店員が店側表示部61上で該景品を選択操作すると、この景品に対応する玉数が端数玉データ65cに加算処理される。
【0043】
景品交換ログデータ65dは、景品交換結果のログデータであり、この景品交換ログデータ65dには、特殊景品及び一般景品に景品交換した交換明細のデータ等が含まれる。ここで、遊技客が端数玉に対応する景品の受け取りを辞退した場合であっても、その景品の交換結果が含まれる。遊技店としては、たとえ遊技客が受け取りを辞退した場合であっても、その景品交換処理を実施したからである。
【0044】
制御部66は、景品管理装置60を全体制御する制御部であり、景品管理部66a、特殊景品交換処理部66b、一般景品交換処理部66c、返却操作受付部66d、端数玉取込処理部66e及び景品交換ログデータ生成部66fを有する。この制御部66は、店側表示部61及び客側表示部64の表示制御及び操作入力制御を実施する。
【0045】
景品管理部66aは、記憶部65に記憶した特殊景品管理データ65a及び一般景品管理データ65bを用いて景品管理装置60の取扱対象となる特殊景品、一般景品並びにその在庫状況等を管理する管理部である。特殊景品交換処理部66bは、獲得玉数により景品交換可能な特殊景品を特殊景品管理データ65aに基づいて特定し、特定した特殊景品の種別とその個数を特殊景品払出装置75に通知する処理部である。
【0046】
一般景品交換処理部66cは、一般景品管理データ65bに基づいて獲得玉数の範囲内で一般景品の景品交換処理を行う処理部である。この一般景品交換処理部66cは、特殊景品交換処理部66bで景品交換された残余の端数玉を一般景品に交換する処理も実施するが、遊技客が受け取りを辞退した返却操作対象となる景品については景品交換処理を実施しない。
【0047】
返却操作受付部66dは、遊技客が受け取りを辞退した景品についての返却操作を受け付ける受付部である。具体的には、遊技客が景品の受け取りを辞退した際に、店員が店側表示部61に表示した景品を選択操作すると、この景品の選択操作を該景品の返却操作として受け付ける。具体的には、店側表示部62の画面が押下されることによって、返却操作を受け付ける。また、操作部62に専用の返却キーを設定してもよい。
【0048】
端数玉取込処理部66eは、返却操作受付部66dにより受け付けた返却対象となる景品に対応する端数玉を取り込み、記憶部65に記憶した端数玉データ65cに加算処理する処理部である。この端数玉取込処理部66eの処理により、遊技客が景品を辞退した場合には、辞退した景品に対応する玉数が端数玉データ65cに累積加算されることになる。
【0049】
景品交換ログデータ生成部66fは、遊技客の獲得玉数を特殊景品又は一般景品に景品交換したログデータを生成して記憶部65内に景品交換ログデータ65dとして蓄積処理する処理部である。この景品交換ログデータ65dは、閉店後の締め処理等において景品交換履歴を確認する際に利用される。なお、この景品交換ログデータ65dには、遊技客が景品の受け取りを辞退し、実際には出庫されなかった景品の交換履歴データも含まれる。
【0050】
次に、図1に示した景品管理装置60による景品交換時の処理手順について説明する。図4は、図1に示した景品管理装置60による景品交換時の処理手順を示すフローチャートであり、図5は、景品の返却操作を説明するための説明図である。
【0051】
図4に示すように、まず、リーダライタ70のカード挿入口73にカードが挿入されるか、バーコードリーダ67でレシートに印字されたバーコードが読み取られると、遊技客により獲得された玉数が特定される(ステップS101)。その後、景品管理装置60の操作部62を用いて一般景品への交換操作がなされたならば(ステップS102;No)、一般景品交換処理部66cにより一般景品交換処理が行われて(ステップS107)、取引が確定される。
【0052】
これに対して、所定の特殊景品交換操作がなされたならば(ステップS102;Yes)、特殊景品交換処理部66bが、この玉数により景品交換可能な特殊景品の種別及びその個数を算定する(ステップS103)。例えば、図5(a)に示すように、遊技客により獲得された玉数が「9999玉」である場合には、特殊景品がそれぞれ大景品「39個」、中景品「1個」、小景品「4個」となり、その結果が店側表示部61に表示される。そして、特殊景品交換後に端数玉が存在しない場合には(ステップS104;No)、景品交換処理を終了する。
【0053】
一方、特殊景品交換後に端数玉が存在する場合には(ステップS104;Yes)、一般景品交換処理部66cにより端数玉に対応する一般景品1が自動若しくは手動にて特定される。図5(a)の場合には、この端数玉(24玉)で端玉景品1が「1個」獲得可能な状況を示している。この端玉景品1とは、特殊景品の小景品を獲得できない端数玉で獲得できるお菓子等の景品を意味する。
【0054】
ここで、遊技客が端玉景品を受け取る旨の意思表示をした場合には、端玉景品不要操作は行われず(ステップS105;No)、一般景品交換処理部66cにより一般景品交換処理が行われる(ステップS107)。これに対して、遊技客が端玉景品を受け取らず景品を遊技店に返却する旨の意思表示をした場合には、店員によって端玉景品不要操作が行われ(ステップS105;Yes)、端数玉の取込処理が実行されて(ステップS106)、取引が確定される。このとき、一旦選択された時点で減算された在庫数は、自動的に元に戻される。
【0055】
例えば、図5(a)に示した店側表示部61の表示画面上で端玉景品1が選択されると、この端玉景品不要操作がなされたものと判定され、図5(b)に示すように、端玉景品1の個数が「0個」となるとともに、残数の欄には数字が表示されない状態になる。そして、この端玉景品1の景品交換に要する玉数「24個」が記憶部65内の端数玉データ65cに加算処理される。端玉景品(現物)が一旦取り出された場合であっても、そのまま景品棚に戻される。
【0056】
なお、上記端玉景品不要操作が行われた場合であっても、景品交換が不要とされた端玉景品の交換履歴についても景品交換ログデータ65dに蓄積される。その結果、店側表示部61に景品交換ログデータ65dを表示すると、図6に示すように、端玉景品1の景品交換結果が交換明細に含まれる結果となる。
【0057】
返却操作を行える景品は、あらかじめ上限となる有価価値(上限価値;例えば25玉未満)が設定されており、この上限価値を超える景品が選択されても返却操作は受け付けられずに、警告表示が行われる。また、一般景品管理データ65bで対象景品にフラグを立てる設定を行い(例えば、返却操作を受け付ける景品のフラグをオンにし、返却操作を受け付けない景品のフラグをオフにする)、返却操作を受け付けた際にフラグのオンオフをチェックするようにしても良い。
【0058】
上述してきたように、本実施例1では、カード又はレシートに対応付けられた玉数を景品交換する場合に、返却操作受付部66dが景品交換対象として特定された景品の返却操作を受け付けたならば、端数玉取込処理部66eが返却操作を受け付けた景品に対応する玉数を記憶部65の端数玉データ65cに加算処理するよう構成したので、該景品を出庫することなく返却された景品の処理を行うことができるため、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合の店員の煩雑な手間を効率良く軽減することが可能となる。また、閉店処理時に店員が在庫訂正処理を行って在庫数を戻す作業が不要となるため、かかる作業時の店員の不正を排除して厳密な景品利益計算を効率良く行うことができる。
【0059】
上記一連の説明では、交換処理(取引)が確定する前に端玉景品不要操作を受け付けたが、確定後に端玉景品不要操作を受け付けるようにしてもよい。具体的には、(1)次の計数レシートを読み取る前であれば、前回交換明細が画面に表示されている状態、それ以降であれば、対象とする交換明細を画面に読み出した状態とし、(2)取り消す景品を選択し、(3)画面のファンクションキーか操作部の専用キーから「訂正処理」の実行を指示する。これにより、前回交換明細等の数値は変更されないが、在庫数が戻される。店員は、一旦取り出した端玉景品(現物)を景品棚等に戻すことになる。
【実施例2】
【0060】
ところで、上記実施例1では、特殊景品交換後の端数玉による景品交換処理についての詳細な説明を省略したため、本実施例2では、端数玉を用いた端玉景品への高速な景品交換について詳細に説明する。なお、景品管理装置の外観構成及び内部構成については、図2及び図3に示したものと同様のものとなる。また、上記実施例1では、特殊景品交換後の玉数を端数玉と呼称したが、端数以外の玉数を合わせて一般景品に交換処理することも可能であるため、本実施例では「余り玉」と呼称することとする。
【0061】
図7は、本実施例2に係る景品交換装置の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、遊技客が獲得した玉数がすでに特殊景品に交換されているものとする。同図に示すように、余り玉を用いた景品への交換を遊技店側が提案するか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、景品管理装置60の操作部62を用いて所定の操作が行われた場合には、遊技店側の設定により景品交換対象となる景品が自動的に選定される。
【0062】
まず、かかる所定の操作が行われず(ステップS201;No)、遊技客が特定の一般景品を直接指定した場合には、該遊技客が指定した一般景品を交換対象として選択する(ステップS202)。そして、操作部62の[終了]ボタンが押下操作され(ステップS203)、終了条件を満たす場合には(ステップS204;Yes)、一般景品交換処理を行った後に(ステップS211)、景品交換処理を終了する。なお、終了条件を満たさない場合には(ステップS204;No)、ステップS202に移行する。
【0063】
一方、上記操作部62を用いて所定の操作が行われ(ステップS201;Yes)、[余り玉高速交換]ボタンが押下操作されたならば(ステップS205)、デフォルトとして設定された菓子区分において自動選択された景品を表示する(ステップS206)。そして、他の区分の景品が選択され(ステップS207;Yes)、例えば[飲料]ボタンが押下操作されたならば(ステップS208)、飲料区分の交換景品を表示する(ステップS209)。なお、他の菓子区分の景品が選択されない場合には(ステップS207;No)、ステップS210に移行する。そして、[決定]ボタンが押下操作されたならば(ステップS210)、一般景品交換処理を行う(ステップS211)。
【0064】
図8は、一般景品交換処理を行う際に用いる一般景品管理データ65bの一例を示す図である。ここでは、グループ1の余り玉区分が「菓子」であり、グループ2の余り玉区分が「飲料」であり、グループ3の余り玉区分が「雑貨」である場合を示している。そして、上記ステップS206のデフォルト表示では、グループ1に属する複数の景品が表示され、上記ステップS209の[飲料]ボタンが押下操作されたならば、グループ3に属する複数の景品が表示される。
【0065】
次に、店側表示部61の表示例を用いて本実施例2に係る高速な景品交換について説明する。図9は、本実施例2に係る店側表示部61の表示例を示す図である。同図(a)は、遊技客の獲得玉数が特殊景品に景品交換された状況を示している。大景品(5000円)3個、中景品(1000円)2個、小景品(200円)1個の特殊景品に交換され、余り玉(残数)が「190個」である状況を示している。
【0066】
ここで、[余り玉高速交換]ボタンが押下操作されると、図9(b)に示すように、デフォルトとして設定された菓子区分において自動選択された景品が表示される。この状況で[決定]ボタンが押下操作されると、図9(c)に示すように、景品交換された特殊景品と一般景品が表示される。ここで、[終了]キーが押下操作されると、取引が終了する。なお、店側表示部61に図9(b)の表示を行う場合に、客側表示部64に対して図9(d)に示す表示を行うこともできる。なお、景品が自動選択される際には、対象となる余り玉区分(菓子、飲料等)の中で、景品数が少なくてすむとともに(通常は1〜3個)、余り玉数も少なくなる組み合わせの景品(単一の場合もある)が選定される。
【0067】
また、図9(b)において[飲料]ボタンが押下操作されたならば、図9(e)に示すように飲料区分の景品が表示される。さらに、図9(b)及び図9(e)の表示画面で[戻る]ボタンが押下操作されたならば図9(a)の画面に戻る。
【0068】
上述してきたように、本実施例2では、あらかじめ一般景品をグループ化しておき、[余り玉高速交換]ボタンを押下操作されたならば、特定の区分の景品への交換例を表示することとしたので、余り玉を高速に交換処理することができる。特に、従業員及遊技客が交換対象となる景品の組み合わせを自ら考える必要がなくなり有用である。
【0069】
なお、本実施例では、1台のリーダライタ70により会員カード及び一般カードのデータを読み書きする場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カード種別に応じて別体のリーダライタを設けるよう構成することもできる。さらに、本実施例では、リーダライタ70のカード挿入口73にカードを挿入する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、かざし部72を介してカード又は携帯電話との間で持玉数を授受する場合に適用することもできる。また、リーダライタ70の機能を景品管理装置60に持たせても良いし、逆に、景品管理装置60側で行う機能の一部をリーダライタ70側に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明に係る景品交換装置、景品交換システム及び景品交換方法は、遊技客が端数玉数分の一般景品を受け取らない場合の店員の煩雑な手間を効率良く軽減するとともに、店員による不正を排除した厳密な景品利益計算を効率良く実現する場合に適している。
【符号の説明】
【0071】
10 台間カード処理機
20 遊技機
30 島コントローラ
40 カード管理装置
50 会員管理装置
60 景品管理装置
61 店側表示部
62 操作部
63 レシート発行部
64 客側表示部
65 記憶部
65a 特殊景品管理データ
65b 一般景品管理データ
65c 端数玉データ
65d 景品交換ログデータ
66 制御部
66a 景品管理部
66b 特殊景品交換処理部
66c 一般景品交換処理部
66d 返却操作受付部
66e 端数玉取込処理部
66f 景品交換ログデータ生成部
70 リーダライタ
71 表示操作部
72 かざし部
73 カード挿入口
74 扉カギ
80 島端計数機
90 精算機
100 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の記録媒体に対応付けられた有価価値を景品に交換する処理を行う景品交換装置であって、
遊技客によって獲得された前記有価価値のうち該遊技客によって放棄された有価価値を遊技店の取込有価価値として記憶する記憶部と、
景品交換対象として特定された景品の返却操作を受け付ける返却操作受付部と、
前記返却操作受付部により返却操作を受け付けた景品に対応する有価価値を前記記憶部に記憶された取込有価価値に加算処理する加算処理部と
を備えたことを特徴とする景品交換装置。
【請求項2】
前記返却操作受付部は、前記有価価値から特殊景品に交換可能な有価価値を減算した端数の有価価値により景品交換対象として特定された一般の景品の返却操作を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の景品交換装置。
【請求項3】
前記返却操作受付手段は、遊技店の店員向けに設けられた店側表示部に前記景品交換対象として特定された景品を表示制御し、該店側表示部に表示された景品の選択操作を該景品の返却操作として受け付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の景品交換装置。
【請求項4】
前記返却操作受付部により景品の返却操作を受け付けた場合であっても、該景品の返却操作を受け付けない場合と同様に該景品への交換処理を行った景品交換ログデータを生成する景品交換ログデータ生成部をさらに備えたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の景品交換装置。
【請求項5】
前記景品の在庫を管理するとともに、前記返却操作受付部により前記景品の返却操作を受け付けた場合に当該景品の在庫訂正を行う在庫管理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の景品交換装置。
【請求項6】
所定の記録媒体に対応付けられた有価価値を景品に交換する処理を行う景品交換装置を含む景品交換システムであって、
遊技客によって獲得された前記有価価値のうち該遊技客によって放棄された有価価値を遊技店の取込有価価値として記憶する記憶部と、
景品交換対象として特定された景品の返却操作を受け付ける返却操作受付部と、
前記返却操作受付部により返却操作を受け付けた景品に対応する有価価値を前記記憶部に記憶された取込有価価値に加算処理する加算処理部と
を備えたことを特徴とする景品交換システム。
【請求項7】
所定の記憶媒体に対応付けられた有価価値を景品に交換する処理を行う景品交換装置における景品交換方法であって、
景品交換対象として特定された景品の返却操作を受け付ける返却操作受付工程と、
前記返却操作受付工程により返却操作を受け付けた景品に対応する有価価値を、遊技客によって獲得された前記有価価値のうち該遊技客によって放棄された記憶部に記憶された遊技店の取込有価価値に加算処理する加算処理工程と
を含んだことを特徴とする景品交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−157571(P2012−157571A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19703(P2011−19703)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】