説明

景品交換装置

【課題】景品との交換に必要な遊技媒体が不足する場合、不足分となる遊技媒体数を表示するとともに、不足分の遊技媒体数を貯玉数から補填することで、遊技者が希望する景品を選択可能とする景品交換装置を提供する。
【解決手段】所定の計数装置において計数された遊技媒体数を入力するバーコード読取手段83と、遊技媒体数と遊技媒体を所定の景品と交換するときの交換遊技媒体数とに基づいて余り分の端数遊技媒体数を算出する演算手段821と、端数遊技媒体数を表示する所定の表示手段86と、を備え、所定の景品交換処理を行う景品交換装置80であって、演算手段821は、交換遊技媒体数が遊技媒体数又は端数遊技媒体数より大きいときに、不足分となる不足端数遊技媒体数を算出し、表示手段86は、不足端数遊技媒体数を表示する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が獲得した遊技媒体と所定の景品の交換を行う景品交換装置に関し、特に、景品との交換可能な遊技媒体数が遊技媒体計数装置によって計数した遊技媒体数より大きい場合でも景品の交換が可能な景品交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機が設置された遊技場においては、遊技によって獲得した遊技媒体の個数に応じて景品と交換可能な景品交換システムが導入されている。この景品交換システムでは、例えば、景品交換装置、遊技媒体計数装置等を備えており、遊技媒体計数装置によって計数した遊技媒体数(計数値)が記録されたレシートや磁気カード等の記録媒体を、遊技者は景品交換装置が設置される景品交換カウンターで提示することで、従業員が所定の読み取り装置を用いて記録媒体から計数値を読み取る。そして、景品の交換を行う際には、通常、遊技者に、現金に交換可能な景品である特殊景品又はタバコやジュース等の一般景品を指定させ、選択された景品の種類や数が従業員によって選択されることで、遊技媒体と景品との景品交換が行われている。
このような景品交換において、計数値と予め遊技者(会員)によって遊技場に預け入れられた貯留遊技媒体数(以下、貯玉数という)とを合計し、この計数値と貯玉数とを合計した獲得玉数の範囲内で景品交換を行う景品交換装置がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、景品交換装置においては、遊技媒体を現金と交換する場合に、読み取った計数値から遊技者に特殊景品の個数と、この特殊景品の最小単位に満たない余り玉となる端数遊技媒体数(以下、端玉という)を算出し、遊技者に表示する。
この余り玉として算出される端玉は、通常、一般景品のうち一又は複数の小額景品(タバコ、お菓子等)に交換されるものであり、景品交換カウンターの従業員は、算出された端玉を遊技者に告げ、交換を望む小額景品の選択を促し、端玉が小額景品の最小交換単価未満になるまで繰り返される。
このような小額景品の最小交換単価未満となった端玉の処理形態として、景品交換の際に、会員の場合には会員の口座に端玉を貯玉し、会員ではない場合には端玉を破棄する景品注文装置がある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−066085号公報
【特許文献2】特開平11−333120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の景品交換装置では、例えば、遊技者が計数値の範囲内で景品の交換を行いたいときに、遊技者の意に反して、景品との交換可能な遊技媒体数(以下、交換遊技媒体数という)が、計数値より大きい景品を選択した場合では、計数値がどれくらい不足しているか、すなわち、貯玉数からどれくらい補填されているかを把握することが難しかった。
また、端玉を小額景品などの一般景品と交換する場合に、端玉より大きい交換遊技媒体数の景品を選択したときには、その不足分が表示されることなかった。
【0006】
また、特許文献2に記載の景品注文装置では、小額景品の最小交換単価未満となり余り玉となった端玉の処理形態を、口座に貯玉する又は破棄するしかなく、端玉を景品との交換に用いることができなかった。その結果、例えば、端玉に少数の遊技媒体数を加えることで、所定の景品(小額景品や特殊景品小等)を得られるような場合であっても、端玉を景品の交換に用いることができなかった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、景品交換時に、計数値より交換遊技媒体数の大きい景品が選択された場合、又は、端玉より交換遊技媒体数の大きい景品が選択された場合、景品の交換において不足となる遊技媒体数を算出し表示するとともに、不足分の遊技媒体数を貯玉数から補填する景品交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の景品交換装置は、所定の遊技媒体計数機において計数された遊技媒体数を入力する遊技媒体数入力手段と、遊技媒体数と、遊技媒体を所定の景品と交換するときの交換遊技媒体数と、に基づいて余り分の端数遊技媒体数を算出する端数演算手段と、端数遊技媒体数を表示する所定の表示手段と、を備え、所定の景品交換処理を行う景品交換装置であって、端数演算手段は、交換遊技媒体数が遊技媒体数又は端数遊技媒体数より大きいときに、不足分となる不足端数遊技媒体数を算出し、表示手段は、不足端数遊技媒体数を表示する構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の景品交換装置によれば、景品との交換に必要な遊技媒体が不足する場合、不足分となる遊技媒体数を表示するとともに、不足分の遊技媒体数を貯玉数から補填することで、遊技者が希望する景品を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る景品交換装置を含むシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る景品交換装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る景品交換画面の基本的な表示態様を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る景品交換画面の表示態様を示す図であり、(a)は従業員側表示部に表示される一例を示す図であり、(b)は遊技者側表示部に表示される一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る景品交換処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る景品交換処理を示すフローチャートの続きである。
【図7】本発明の実施形態に係る景品交換処理の暗証番号なし景品交換制限処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る景品交換画面の図4で示す状態から一般景品が選択されたときの表示態様を示す図であり、(a)は従業員側表示部に表示される一例を示す図であり、(b)は遊技者側表示部に表示される一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る景品交換画面の表示の変化を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る景品交換画面の図4で示す状態から特殊景品が選択されたときの表示態様を示す図であり、(a)は従業員側表示部に表示される一例を示す図であり、(b)は遊技者側表示部に表示される一例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る景品交換画面の特殊景品小との交換における表示態様を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る景品交換画面の一般景品のみとの交換における表示態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る景品交換装置の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して、本発明の景品交換装置を備える遊技場全体のシステム構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る景品交換装置を含むシステム構成図である。
図1に示すように、遊技場には、遊技機10と、遊技媒体貸出機20と、これらに接続される台管理装置30と、島管理装置40と、親島管理装置50と、計数装置60と、遊技場管理装置70と、景品交換装置80と、会員管理装置90で構成され、これらの各装置が所定のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク)を介して接続されている。
このような構成からなるシステムにおいて、計数装置60で計数された計数値と遊技者が選択した景品の交換遊技媒体数とに基づいて、景品交換装置80が計数手段及び表示手段として動作して、景品との交換において不足となる遊技媒体数を算出し表示するようになっている。さらに、景品交換装置80は会員管理装置90から貯玉数を受信し、不足の遊技媒体数を補うことで、遊技者に景品を提供するようになっている。以下、各装置の構成について詳細に説明する。
【0012】
遊技機10には、パチンコ機10a,スロットマシン10b,アレンジボール機,雀球機等、遊技球やメダル等の遊技媒体を使用して遊技を行う各種の遊技機が含まれる。また、各遊技機10からは、遊技媒体の投入数を示すアウト信号、遊技媒体の払出数を示すセーフ信号、パチンコ機10aから一ゲームごとに出力されるスタート信号、スロットマシン10bから遊技者によるスタートレバーの押下操作に応じて遊技媒体の投入枚数を示す投入信号(パルス信号)、大当り時に出力される大当り信号等の各種遊技信号が出力される。なお、投入信号は、後述する台管理装置30又は遊技場管理装置70において加工され、スタート信号となる。
なお、本実施形態における以下の説明では、遊技機10は、パチンコ機10aを例に挙げて説明する。
【0013】
遊技媒体貸出機20は、遊技媒体を貸し出す装置であり、通常、各遊技機10に一台ずつ備えられており、現金やプリペイドカードの投入に応じて、所定数の遊技媒体を貸し出す。遊技媒体貸出機20には、遊技球を貸し出す玉貸機20aや、メダルを貸し出すメダル貸機20bがある。また、遊技媒体貸出機20は、投入金額に応じた遊技媒体の貸出数を示す貸出信号を台管理装置30へ出力するとともに、対応する遊技機10へ貸出数分の遊技媒体を貸し出すように構成されている。
【0014】
台管理装置30は、各種信号を中継・処理する情報処理装置であり、遊技機10と遊技媒体貸出機20とに接続され、遊技機10と遊技媒体貸出機20とから出力された各種信号を受信し、通信回線を介して島管理装置40へ信号を送信する。
島管理装置40は、各種信号を中継・処理する情報処理装置であり、台管理装置30から送信されてきた各種信号を受信し、適宜蓄積または集計して親島管理装置50を介して遊技場管理装置70へ送信する。
親島管理装置50は、各種信号を中継・処理する情報処理装置であり、各島管理装置40から送信されてきた信号を受信し、適宜蓄積または集計して遊技場管理装置70へ送信する。
【0015】
計数装置60は、遊技機10において遊技者の獲得した遊技媒体を計数するための装置であり、遊技球を計数する玉計数機60aとメダルを計数するメダル計数機60bに区別され、遊技場内の所定の箇所(例えば、遊技島端)に設置されている。また、計数装置60は、計数結果となる遊技媒体数(計数値)をレシートに記録して発行するレシート発行機61を備えている。
具体的には、玉計数機60a及びメダル計数機60bに遊技媒体が投入されると、その個数が自動的に計数されるとともに、計数値を記録したレシートがレシート発行機61から発行される。これにより、遊技者は、発行されたレシートを遊技場内の景品交換カウンターに提示することで、計数値に応じた所定の景品と交換することができる。
また、図示しないが、計数装置60には、磁気カード(会員カードなど)を挿入可能なカード挿入部が設けられており、計数時に、このカード挿入部に会員カードが挿入されている場合は、会員カード内部に記録された会員を特定可能な情報(例えば、会員ID)を読み取るとともに、この読み取った会員IDに基づき、獲得した遊技媒体である計数値を会員管理装置90に送信することで、計数された遊技媒体を遊技場に預け入れることができる。
【0016】
遊技場管理装置70は、プログラム制御により動作する情報処理装置であって、遊技場に備えられる全遊技機10に関する遊技情報が記憶・管理・分析されるようになっており、遊技情報の他に、遊技場において必要な営業管理情報なども管理する。
例えば、遊技場管理装置70は、親島管理装置50から通信回線を介して送信される各種遊技信号(アウト信号、セーフ信号、スタート信号、大当り信号等)に基づき算出される各種遊技情報(アウト玉数、セーフ玉数、スタート回数、大当り回数等)を遊技機10ごとに集計する。
【0017】
会員管理装置90は、プログラム制御により動作する情報処理装置であって、会員に関する情報を記憶・管理する。
この会員管理装置90は、会員データベース(図示せず)を記憶しており、この会員データベースは、例えば、会員ID、貯玉数、暗証番号等が項目として構成されている。
会員IDは、会員一人一人を特定するために付与される番号であり、会員ごとに異なる番号が付される。
貯玉数は、会員が遊技で獲得した遊技媒体のうち、景品に交換せずに遊技場に預け入れた遊技媒体の数量であり、景品交換や遊技の際に引き出されると、その引き出された数量分減少するようになっている。
暗証番号は、会員本人であるか否かを確認するための番号である。例えば、会員が景品交換の際に貯玉を引き出す場合には、この暗証番号を入力することで、その会員カードを所持する正当な貯玉の所有者であることを確認することができる。
【0018】
景品交換装置80は、遊技場の景品交換カウンターなどに設置され、獲得した遊技媒体と景品との景品交換処理を行う情報処理装置である。具体的には、景品交換装置80は、計数装置60によって発行されたレシートに記録された遊技媒体数を含む情報を、後述するバーコード読取手段83(遊技媒体数入力手段)で読み取り、この読み取った遊技媒体数(計数値)に応じて交換可能な景品数の算出や、景品との交換処理を行う。
また、景品交換の際に、会員カードなどの磁気カード又はICカードを用いる場合には、カード読取手段80a(遊技媒体数入力手段)でカード内部に記録された会員IDを含む情報を読み取り、この読み取った会員IDに基づいて、会員管理装置90に記憶されている貯玉数を参照し、この貯玉数に応じて交換可能な景品数の算出や、景品との交換処理を行う。
なお、カード読取手段80aは、例えば、カードリーダなどが適用可能であり、会員IDを読み取るとともに、読み込んだ情報を景品交換装置80内部へ送信する。これによって、景品交換装置80は、会員IDに基づき、会員管理装置90に記憶されている会員情報や、遊技場管理装置70に記憶されている遊技情報を受信することができる。
【0019】
次に、本実施形態における景品交換装置の詳細な構成について、各図を参照して説明する。
図2に示すように、本実施形態における景品交換装置80は、記憶手段81と、制御手段82と、バーコード読取手段83と、従業員操作手段84と、暗証番号操作手段85と、表示手段86と、通信手段87と、電源手段88とを備えている。
【0020】
記憶手段81は、例えば、ROM,RAM,ハードディスク等で構成され、景品交換装置80が備える各種機能に関するプログラムや景品交換に関する所定の情報(会員情報,景品情報,景品交換制限情報等)を記憶する。
会員情報は、例えば、会員ID、貯玉数、計数値等で構成されている。貯玉数は、会員管理装置90に記憶されている「貯玉数」を受信したもので、具体的には、カード読取手段80aを介して会員IDを読み取ると、この会員IDに基づいて会員管理装置90に記憶されている会員データベースの「貯玉数」を受信することで記憶される。計数値は、バーコード読取手段83を介して計数装置60によって発行されたレシートに記録された遊技媒体数が読み取られると、この遊技媒体数が記憶される。
景品情報は、各景品を一意に特定できる景品コード,各景品が属するカテゴリを示す景品種別(例えば、お菓子,タバコ,ドリンク等)、各景品と交換可能な遊技媒体数を示す交換遊技媒体数等で構成されている。
【0021】
景品交換制限情報は、例えば、上限交換遊技媒体数、上限交換回数等で構成されている。上限交換遊技媒体数は、暗証番号の入力を行わずに貯玉を1回に引き出し可能な上限値となる遊技媒体数を示しており、例えば、本実施形態では、「一般景品−2500玉」、「特殊景品−1250玉」と設定されているものとする。上限交換回数は、暗証番号の入力を行わずに貯玉を引き出し可能な上限値となる回数を示しており、例えば、本実施形態では、「1回」と設定されているものとする。これら上限交換遊技媒体数及び上限交換回数は、営業前や営業後等に遊技場の従業員によって入力され、設定される。
なお、上述したこれら情報の構成は、上記に限定されることはなく適宜変更可能である。
【0022】
制御手段82は、CPUなどで構成されており、記憶手段81に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、景品交換装置80の有する構成各部の動作制御を行う。
具体的には、制御手段82は、演算手段821、補填手段822、制限手段823を備えている。
演算手段821は、計数値と、景品(特殊景品又は一般景品)の交換遊技媒体数に基づいて交換可能な景品数を算出する。具体的には、特殊景品の交換遊技媒体数に基づいて特殊景品の種類(大,中,小)ごとの交換可能な景品数を算出する。また、選択された一般景品の交換遊技媒体数に基づいて交換可能な景品数を算出する。
また、演算手段821は、本発明に係る端数演算手段として動作し、計数値と、景品の交換遊技媒体数とに基づいて、余り分の遊技媒体数となる端玉を算出する。
【0023】
次に、演算手段821の動作について、特殊景品との交換が選択された場合を例とし、特殊景品の種類ごとの景品数及び端玉の算出方法を具体的に説明する。
なお、以下では、遊技媒体を特殊景品(現金)に交換するときの交換率が4円/玉、特殊景品の種類ごとの交換遊技媒体数(特殊景品大:1250玉(5000円),特殊景品中:250玉(1000円),特殊景品小:125玉(500円))が設定されているものとする。
例えば、図3に示す数値を用いて説明すると、計数値が1820玉の場合では、演算手段821は、この計数値に基づき、特殊景品大、特殊景品中、特殊景品小の順に、それぞれの交換遊技媒体数で除算した商を、特殊景品の種類ごとの景品数として算出する。演算手段821は、計数値を交換遊技媒体数で除算するときに、余りが、特殊景品小の交換遊技媒体数(最小交換遊技媒体数)で割れなくなるまで行う。その結果、演算手段821は、特殊景品大が1個(1820÷1250の商であり、このときの余りは570)、特殊景品中が2個(570÷250の商であり、このときの余りは70)、特殊景品小が0個(70÷125の商であり、このときの余りは70)、と算出する。
そして、特殊景品小の交換遊技媒体数で割った場合の余りは、70玉であり、この70玉が端玉として算出されることになる。
なお、このように特殊景品の交換遊技媒体数から特殊景品の種類ごとの景品数と端玉を算出したが、計数値を金額に換算するとともに、この金額を特殊景品の交換金額に相当する特殊景品単価(例えば、特殊景品大:5000円,特殊景品中:1000円,特殊景品小:500円)で割って算出することもできる。
【0024】
また、演算手段821は、景品の交換において不足する遊技媒体数となる不足端数遊技媒体数(以下、不足端玉という)を算出する。
例えば、計数値(1820玉)より大きい交換遊技媒体数の一般景品(2000玉)が選択された場合には、演算手段821は、計数値(1820玉)から交換遊技媒体数(2000玉)を減算し、不足分となる不足端玉(180玉)を算出する。
また、例えば、余り玉として算出された端玉を小額景品と交換するときに、端玉(70玉)より大きい交換遊技媒体数(100玉)の小額景品(例えば、タバコ)が選択された場合には、演算手段821は、不足分となる不足端玉(30玉)を算出する。
このように算出された不足端玉は、表示手段86に送信されて、表示されるようになっている(図8及び図9(a)参照)。
【0025】
補填手段822は、遊技者の所有する貯玉から不足端玉を補填する。
これは、不足端玉が生じている場合には、不足する遊技媒体数を補填しない限り選択した景品を得ることができない。そこで、遊技者が会員の場合では、会員カードの挿入に基づき、補填手段822は、所有する貯玉数から不足となる遊技媒体数を補填するように動作する。具体的には、会員が予め預け入れている貯玉数を2000玉とした場合、この貯玉数(2000玉)から、上記例の数値を用いると、不足となる遊技媒体数である不足端玉(30玉)を補うことになる。その結果、不足分が補填されることで端玉は「0玉」となり、貯玉数は2000玉から30玉を減算した「1970玉」となる。このように、不足分が補填されることで、余り玉である端玉が出ることなく景品交換を行えることができる。
このように、遊技者が希望する景品との交換で必要な遊技媒体が不足する場合であっても該景品を選択できるだけではなく、さらに、遊技者が所有する貯玉数から不足分を補填することで、希望の景品を得ることができる。
また、補填手段822は、貯玉数から不足端玉を補填するときには、例外的に、暗証番号の入力を行うことなしに不足端玉を補填する。その結果、貯玉を引き出すたびに暗証番号の入力操作を必要としないため、景品の交換処理を迅速化し、景品交換カウンターの混雑を緩和することができる。さらに、暗証番号の入力の機会を減らすことで、暗証番号が漏洩・盗視・悪用される可能性を低減できる。
【0026】
制限手段823は、所定の上限値を含む条件に基づき暗証番号の入力なしに貯玉を引き出すことを制限する。すなわち、補填手段822によって暗証番号の入力なしに貯玉数から不足端玉を補填することを一定の制限をかけて許容することになる。
ここで、所定の上限値とは、例えば、景品交換制限情報に記憶されている上限交換遊技媒体数や上限交換回数であって、制限手段823は、これら上限交換遊技媒体数や上限交換回数に達したときに、暗証番号の入力なしに貯玉を引き出すことを制限する。
例えば、上限交換回数が「1回」と設定されている場合、暗証番号の入力なしに貯玉を引き出した回数が2回目に達したときに、貯玉を引き出し不能とし、補填手段822は貯玉から不足端玉を補填できなくなる。
また、上限交換遊技媒体数が、例えば、一般景品では一番高い景品に相当する2500玉(10000円景品相当分)、特殊景品では特殊景品大に相当する1250玉(5000円景品相当分)と設定されている場合、この上限交換遊技媒体数より不足端玉が大きいときに、暗証番号の入力なしに貯玉を引き出し不能とする。
このような制限を設けることによって、例えば、会員カードを紛失して不正にこの会員カードが他者に利用されても、何度も貯玉が引き出されることがなく、損害を最小限にとどめることができる。
【0027】
また、制御手段82は、比較判定機能を有し、景品交換時の各判定処理を行う。
例えば、補填手段822によって貯玉から不足端玉を補填する場合に、この補填される遊技媒体数が貯玉数より大きいか否かを判定する。すなわち、遊技者が所有する貯玉の範囲内で不足端玉を補填可能か否かを判定する。判定の結果、不足端玉が貯玉数より大きい場合には、制御手段82は、所定の報知手段を制御して貯玉が不足することによって景品との交換ができない旨(例えば、「貯玉が足りません」)の報知をするようになっている。
【0028】
バーコード読取手段83は、例えば、バーコードリーダなどが適用可能であり、計数装置60が発行したレシートから遊技媒体数などのデータを読み取る。
レシートには、例えば、計数値,貸出レート,発行計数計数機番号,発行日付,有効期限等が文字列やバーコードとして記録されており、バーコード読取手段83は、このバーコードを読み取る。そして、読み取ったバーコード情報は、記憶手段81に記憶される。
【0029】
従業員操作手段84は、遊技場の従業員によって所定の情報の入力操作に用いられるものであり、例えば、キーボード,マウス等で構成することができ、景品管理装置80が備える各種機能の実行操作や、各種情報の入力設定を行うことができる。例えば、交換する景品の数量の入力、上限交換遊技媒体数の入力、上限交換回数の入力等を行うことができる。
また、従業員操作手段84は、本発明における選択手段として機能し、例えば、遊技者からの指示に基づき、特殊景品や一般景品の選択を行う。ここで、景品の選択においては、景品の選択に伴い交換遊技媒体数が入力されて、計数値又は端玉より大きい交換遊技媒体数の景品であっても、該景品を選択可能となっている。従来、このような場合には、景品の選択に伴い入力された交換遊技媒体数と計数値又は端玉との大小比較を行うことで、例えば、計数値又は端玉より交換遊技媒体数が大きい場合には、選択エラーなどとして、景品の選択を制限していた。そこで、本発明においては、制御手段82が、景品の選択に伴い入力された交換遊技媒体数と計数値又は端玉との大小にかかわらず、景品の選択を許容するようにしている。
また、従業員操作手段84は、遊技者から計数値が記録されたレシートを受け取り、レシートに記録された遊技媒体数を入力する遊技媒体数入力手段として動作させることもできる。
【0030】
暗証番号操作手段85は、遊技者によって暗証番号の入力操作に用いられるものであり、例えば、複数のキーからなり、キーブロックを配列した構成やタッチパネルで構成された画面上に表示させることができる。
この暗証番号操作手段85により、例えば、会員カードを用いる際に暗証番号が入力されると、この会員IDに基づいて会員管理装置90に記憶されている会員データベースの「暗証番号」が参照され、この「暗証番号」と、入力された暗証番号とが照合され、照合の一致により、貯玉から引き出すことができる。
【0031】
表示手段86は、例えば、液晶ディスプレイなどで構成されており、所定の情報(例えば、景品交換に関する情報)を画面表示することができる。
表示手段86は、遊技場の従業員に情報を表示する従業員側表示部86a、遊技者に情報を表示する遊技者側表示部86bを備えており、この従業員側表示部86a及び遊技者側表示部86bは、それぞれが従業員側、遊技者側を向くように配置されている。
例えば、従業員側表示部86a及び遊技者側表示部86bでは、景品交換画面が表示される。
【0032】
次に、図3及び図4を参照して、景品交換画面における表示態様について説明する。図3は、本実施形態に係る景品交換画面の基本的な表示態様の一例を示す図であり、図4は本実施形態に係る景品交換画面の表示態様を示す図であり、(a)は従業員側表示部86aに表示される一例を示す図であり、(b)は遊技者側表示部86bに表示される一例を示す図である。
景品交換画面には、例えば、計数値、この計数値に基づき交換可能な景品数及び端玉、選択された景品、所定のメッセージ(操作案内、エラー情報等)等が表示される。
具体的には、特殊景品との交換が選択された場合では、図3及び図4に示すように、特殊景品の種類(大,中,小)ごとの景品数及び端玉が表示される。このように、特殊景品大何個、特殊景品中何個、特殊景品小何個といった景品の個数の他に、例えば70玉といった余り玉である端玉が表示されることになる。
また、図4(a)に示すように、従業員側表示部86aに表示される景品交換画面では、例えば、景品種別(お菓子,タバコ,ドリンク,特殊景品等)が表示され、遊技者からの指示に基づき、従業員によって景品種別が選択されると、選択された景品種別に属する景品が、従業員側表示部86a及び遊技者側表示部86bの景品交換画面上に表示されるようになっている(図8参照)。さらに、例えば、所定のメッセージ(「貯玉があれば、端玉以上の景品を獲得可能です」など)を表示するようになっている。
一方、一般景品が選択された場合では、選択された景品名、個数及び端玉等が表示される。
【0033】
また、表示手段86は、演算手段821によって算出された不足端玉を表示する。不足端玉をマイナス表示し、選択した景品との交換において不足分となる遊技媒体数を遊技者に示す(図8及び図9(a)参照)。
これによって、遊技者は、選択した景品との交換においてどれくらいの玉数が不足しているかを一目で把握することができ、例えば、選択した景品の取り消しや、会員の場合には貯玉から不足分を補填する等の処理形態を選択することができる。
なお、景品交換画面のその他の表示態様については後述する。
【0034】
通信手段87は、他の装置(遊技場管理装置70、会員管理装置90等)との間で所定のデータの送受信を行う。例えば、会員管理装置90から会員情報(貯玉数,暗証番号等)や遊技場管理装置70から遊技情報を受信し、制御手段82へ送信する。
電源手段88は、外部から受けた電力を景品管理装置80の構成各部に電源供給する。
【0035】
次に、本実施形態における景品交換装置の動作について、各図を参照して説明する。まず、景品交換時の景品交換処理について図5〜図7を参照して説明する。図5及び図6は、景品交換時の景品交換処理を示すフローチャートであり、図7は、景品交換処理の暗証番号なし景品交換制限処理を示すフローチャートである。
なお、以下のフローチャートによる説明では、景品交換時に遊技者から、まず特殊景品との交換が選択され、さらに、一般景品との交換が選択された場合を例に挙げて説明する。
なお、特殊景品との交換を選択せずに、一般景品のみとの交換を選択した場合の例は、図12を参照して後述する。
【0036】
図5に示すように、まず、制御手段82は、計数値が記録されたレシートや会員カードなどの磁気カード等の記録媒体が読み込まれたか否かを判定する(S1)。
判定の結果、記録媒体が読み込まれたときには(S1−YES)、さらに、その記録媒体がレシートか会員カードかの判定を行い(S2)、会員カードが読み込まれたと判断した場合は(S2−NO)、制御手段82は、表示手段86に暗証番号の入力を促す表示をさせる(S3)。
そして、遊技者によって暗証番号操作手段85から暗証番号の入力がされた場合には(S4−YES)、制御手段82は、読み取った会員IDに基づいて会員管理装置90に記憶されている会員データベースの「暗証番号」を参照し、この「暗証番号」と、読み取った暗証番号とを照合することで、照合の一致により「貯玉数」を受信する(S5)。
この受信した「貯玉数」は、例えば、計数装置60の所定のカード挿入部に会員カードが挿入されることで、計数結果である計数値が会員管理装置90に送信され、予め預け入れられている貯玉数に加算された値である。例えば、予め預け入れられている貯玉数が2000玉とすると、この2000玉に計数装置60で計数された計数値(1820玉)を加算した「3820玉」を受信したものである。
【0037】
次に、制御手段82は、景品の選択があったか否かを判定する(S6)。
この景品の選択とは、遊技者からの指示に基づき、従業員が従業員操作手段84を介して景品の選択を行うことを示している。例えば、特殊景品との交換の選択や、希望する一般景品との交換の選択等を示している。
景品の選択がされた場合(S6−YES)、次いで、貯玉から交換遊技媒体数を減算して表示する(S7)。例えば、一般景品のみとの交換が選択されたときには、S5において受信した貯玉数から選択された一般景品の交換遊技媒体数を減算することで、貯玉の残数を算出し表示する。また、特殊景品との交換が選択されたときには、貯玉数と、特殊景品の交換遊技媒体数に基づいて特殊景品の種類(大,中,小)ごとの交換可能な景品数と、貯玉の残数を上記した算出方法などに基づいて算出し表示する。
そして、景品交換を確定する所定の操作がされるまで、繰り返し景品の選択が行われ(S8−NO)、操作がされた場合には(S8−YES)、制御手段82は、景品の選択が終了したとみなし、選択された景品を遊技者へ提供することで景品交換を行う(S33)。
【0038】
一方、S2の判定の結果、レシートが読み込まれたと判断した場合は(S2−YES)、制御手段82は、バーコード読取手段83によって読み取った計数値を記憶手段81に記憶する(S9)。
次に、制御手段82は、景品の選択があったか否かを判定する(S10)。
景品の選択がされた場合(S10−YES)、制御手段82は、記憶手段81の景品情報から、選択された景品に伴う「交換遊技媒体数」を抽出し、一時的に記憶する。ここで、制御手段82は、従来のように、交換遊技媒体数と計数値又は端玉との大小比較による選択の制限を行うことなく、景品の選択を許容する。
次いで、計数値又は端玉から交換遊技媒体数を減算して表示する(S11)。例えば、一般景品のみとの交換が選択されたときには、計数値又は端玉から選択された一般景品の交換遊技媒体数を減算することで、余り分の遊技媒体数となる端玉を算出し表示する。また、特殊景品との交換が選択されたときには、計数値と特殊景品の交換遊技媒体数に基づいて特殊景品の種類(大,中,小)ごとの交換可能な景品数と、余り分の遊技媒体数となる端玉を上記した算出方法などに基づいて算出し表示する。
【0039】
次に、制御手段82は、S11における演算の結果、端玉があるか否かを判定する(S12)。
判定の結果、端玉がない場合(S12−NO)、すなわち、余り玉である端玉がゼロであって、端玉が出ることなく景品交換がされている状態の場合、制御手段82は、景品交換を確定する操作がされたか否かを判定し(S13)、操作がされた場合には(S13−YES)、制御手段82は、景品の選択が終了したとみなし、選択された景品を遊技者へ提供することで景品交換を行う(S33)。
また、景品交換の確定操作がされないときには(S13−NO)、さらに、制御手段82は、景品の選択があったか否かを判定する(S10)。これは、端玉がゼロであっても、景品の交換を確定せずに続けて景品の選択を行い、景品との交換において不足する遊技媒体を貯玉から補うことで景品を獲得する場合があるため、景品選択の有無を判定するようになっている。
なお、これに限らず、景品交換の確定操作がされるまで(S13−YES)、操作待ち状態としてもよい。
【0040】
一方、S12における判定の結果、端玉がある場合(S12−YES)、制御手段82は、この端玉がマイナスか否かを判定する(S14)。すなわち、不足端玉があるか否かを判定する。
不足端玉がない場合(S14−NO)、すなわち、図4に示すように、端玉がプラスであり不足となる遊技媒体数がない場合では、この端玉が最小交換遊技媒体数未満か否かを判定する(S26)。最小交換遊技媒体数とは、例えば、ジュース(30玉)などの小額景品のうち最小の交換遊技媒体数であり、一般景品と交換できる下限数を表わす。そして、端玉が最小交換遊技媒体数に達するまで景品の選択が繰り返し行われる(S26−NO)。
なお、S26において、端玉が最小交換遊技媒体数に達するまで景品の選択を可能としたが、これに限らず、端玉がマイナスとなるような交換遊技媒体数の景品の選択を可能としてもよい。
【0041】
一方、不足端玉がある場合(S14−YES)、すなわち、例えば、特殊景品との交換が選択された図4に示す状態から、さらに、余り玉として算出された端玉から一般景品(タバコ)との交換が選択されたようなとき、端玉(70玉)からタバコの交換遊技媒体数(100玉)が減算され、マイナスの端玉「−30玉」(不足端玉)が生じるような場合について説明する。
具体的に、図4に示す状態で端玉から一般景品(タバコ)との交換が選択されて、図9(a)に示す状態となる景品交換画面の表示について説明する。
図4に示す景品交換画面上方に表示される景品種別のいずれかが選択されると、この選択された景品種別に属する景品と、現在の端玉と交換遊技媒体数に基づいて算出された端玉が表示される。例えば、図4(a)の景品交換画面において、景品種別の「タバコ」が選択された場合、この選択されたタバコに属する景品(タバコA,タバコB,・・・)と、現在の端玉(70玉)と各景品の交換遊技媒体数に基づいて算出された端玉(不足端玉)(−30玉,−30玉,・・・)が、図8(a)に示す従業員側表示部86a及び図8(b)に示す遊技者側表示部86bの双方に表示される。これによって、遊技者は、各景品を選択した場合に、どれくらいの玉数が不足するかを一目で把握することができる。
また、遊技者からの指示に基づいて、従業員によって景品(タバコA)が選択されると、従業員側表示部86aには、この選択された景品(タバコA)が、図示しない選択済領域に表示されるようになっている。そして、図9(a)に示すように、選択された景品名(タバコA)と、端玉(不足端玉)(−30玉)を含む景品交換画面が、従業員側表示部86a及び遊技者側表示部86bに表示されることになる。
このように、端玉より大きい交換遊技媒体数の景品が選択された場合に、景品交換に必要な遊技媒体数の不足によって該景品の選択が制限されずに、選択が許容されることで、端玉より大きい交換遊技媒体数の景品であっても選択ができる。なお、計数値より大きい交換遊技媒体数の景品が選択された場合も同様に、該景品を選択することができる。
【0042】
そして、制御手段82は、不足端玉が上限交換遊技媒体数より小さいか否かを判定する(S15)。
具体的には、例えば、一般景品が選択された場合には、不足端玉(30玉)が、一般景品の上限交換遊技媒体数(2500玉)より小さいか否かを判定する。また、特殊景品が選択された場合には、不足端玉(30玉)が、特殊景品の上限交換遊技媒体数(1250玉)より小さいか否かを判定する。
そして、不足端玉が上限交換遊技媒体数より小さいと判定されない場合(S15−NO)、すなわち、不足端玉が上限交換遊技媒体数より大きいときは、暗証番号の入力を行うことなしで一回の景品交換で交換可能な遊技媒体数を超えていると判断し、制限手段823は、貯玉からの引き出しを禁止し、選択した景品の取消し操作を促す(S27)。
【0043】
一方、S15において不足端玉が上限交換遊技媒体数より小さいと判定された場合には(S15−YES)、不足端玉分の遊技媒体数を遊技者の所有する貯玉数から補填するため、表示手段86(遊技者側表示部86b)は、会員カードの挿入を促すメッセージを表示する(図9(a)参照)。
そして、会員カードが挿入された場合には(S16−YES)、制御手段82は、読み取った会員ID基づいて、会員管理装置90に記憶されている会員データベースから「貯玉数」を受信し(S17)、記憶手段81に記憶する(S18)。
【0044】
次に、制御手段82は、不足端玉が貯玉数より大きいか否かを判定する(S19)。すなわち、遊技者が所有する貯玉数の範囲で不足端玉を補填できる否かを判定する。
判定の結果、不足端玉が貯玉数より大きい場合には(S19−YES)、制御手段82は、貯玉が不足することで不足端玉を補填できないため、図9(b)に示すように、景品の選択を取り消す旨を表示させる(S25)。
一方、貯玉数が不足端玉より大きい場合には(S19−NO)、「暗証番号なし景品交換制限処理」が行われる(S20)。
この「暗証番号なし景品交換制限処理」は、暗証番号の入力を行うことなく貯玉を引き出すことを制限する処理である。具体的には、図7に示すように、暗証番号の入力を行うことなく貯玉を引き出して景品交換を行う回数をカウントし(S201)、このカウント回数が「上限交換回数」に達した場合に(S202−YES)、制限手段823は、貯玉からの引き出しを禁止し、所定の警告を表示するようになっている(S203)。
これによって、例えば、会員カードを紛失するなどして、会員カードが他者に不正に利用されても、何度も貯玉が引き出されることを防ぐことができる。
【0045】
次に、制御手段82は、景品交換を確定する操作がされたか否かを判定し(S21)、操作がされた場合には(S21−YES)、演算手段821は、記憶手段81に記憶された貯玉数から不足端玉分を減算する(S22)。
このように、遊技者が暗証番号の入力をすることなく貯玉から引き出し、さらに、この貯玉数を不足分の遊技媒体数に補填することができる。
そして、制御手段82は、図9(c)に示すように、この貯玉から補填した遊技媒体数を景品交換画面に表示させ(S23)、減算後の貯玉数を会員管理装置90へ送信する(S24)。
このように、貯玉数から補填した遊技媒体数が表示されることで、遊技者は、選択した景品との交換において不足する遊技媒体数がどれくらい貯玉から補填されたかを把握することができる。
【0046】
なお、不足端玉を貯玉数から補填するときには、図9(c)に示すように、貯玉から補填した遊技媒体数は表示するが、遊技者が所有する貯玉の残数は表示しないようになっている。これによって、他の遊技者や遊技場の従業員等に貯玉の残数を知られることがないため、セキュリティの向上を図るとともに、不正に貯玉が引き出されるような損害を抑えることができる。
【0047】
また、S27において、景品の選択の取り消し操作がされた場合には(S27−YES)、制御手段82は、対象となる景品の選択を取り消し、該景品を選択する前の景品の景品数及び端玉に戻す。さらに、端玉の処理形態を決定する(S28)。例えば、カウンターの従業員によって、端玉を「口座に貯玉する」又は「破棄する」が告げられて、遊技者が処理形態を指定すると、遊技場の従業員によって端玉の処理形態が選択される。
端玉の処理形態が「貯玉する」と選択された場合には(S28−YES)、表示手段86は、会員カードの挿入を促すメッセージを表示するとともに、制御手段82は、会員カードの挿入待ち状態となる(S29)。会員カードが挿入された場合には(S29−YES)、カード読取手段80aを介して会員IDを読み取ると、制御手段82は、読み取った会員IDに関連付けて端玉を会員管理装置90に送信し、貯玉する(S30)。一方、端玉の処理形態が「破棄する」と選択された場合には(S28−NO)、制御手段82は、端玉を破棄する(S31)。
そして、景品交換を確定する所定の操作がされた場合には(S32−YES)、制御手段82は、景品の選択が終了したとみなし、選択された景品を遊技者へ提供することで景品交換を行う(S33)。
【0048】
次に、表示手段86の景品交換画面で表示される他の表示態様について、図10〜図12を参照して説明する。
まず、図10及び図11を参照して、端玉を特殊景品(特殊景品小)と交換する場合において不足端玉を表示する例について説明する。具体的に、特殊景品との交換が選択された図4に示す状態から、さらに、余り玉として算出された端玉から特殊景品小との交換が選択された場合で説明する。
例えば、図4(a)の景品交換画面において、景品種別の「特殊景品」が選択された場合、この選択された特殊景品に属する景品(特殊景品大,特殊景品中,特殊景品小)と、現在の端玉(70玉)と各特殊景品の交換遊技媒体数(1250玉,250玉,125玉)に基づいて算出された端玉(不足端玉)(−55玉,−180玉,−1180玉)が、図10(a)に示す従業員側表示部86a及び図10(b)に示す遊技者側表示部86bの双方に表示される。
また、遊技者からの指示に基づいて、従業員によって景品(特殊景品小)が選択されると、選択された景品(特殊景品小)が、図示しない選択済領域に表示されるようになっている。そして、図11に示すように、個数が+1された特殊景品(特殊景品小)と、不足端玉(−55玉)を含む景品交換画面が、従業員側表示部86a及び遊技者側表示部86bに表示されることになる。
このように、端玉を特殊景品と交換する際に、不足となる遊技媒体がある場合であっても、希望の景品を選択可能に表示することができる。また、この場合において、貯玉から不足端玉を補填することで該景品と交換することもできる。
【0049】
次に、図12を参照して、計数値全体を一般景品と交換する場合において不足端玉を表示する例について説明する。具体的には、景品交換時に遊技者から、特殊景品との交換が選択されずに、一般景品のみとの交換が選択された場合について説明する。
景品交換時に、遊技者が、計数値全体を一般景品と交換を希望する場合には、例えば、遊技者からの一般景品(アクセサリー)との交換指示に基づいて、従業員によって一般景品(アクセサリー)が選択されると、演算手段821は、計数値(1820玉)から選択された一般景品(アクセサリー)の交換遊技媒体数(2000玉)を減算することでマイナスの端玉「−180玉」(不足端玉)を算出する。その結果、図12に示すように、不足端玉である「180玉」がマイナス表示されることになる。
このように、計数値全体を景品と交換する際に、不足となる遊技媒体がある場合であっても、希望の景品を選択可能に表示することができる。また、この場合において、貯玉から不足端玉を補填することで該景品と交換することもできる。
【0050】
なお、ここで示した例では、高額景品である一般景品を一つ選択することで、不足端玉が生じる場合で説明したが、これに限らず、複数の一般景品を選択した場合に不足端玉が生じる場合においても同様に、該景品を選択できるだけではなく、さらに、遊技者が所有する貯玉数から不足分を補填することで、希望の景品を得ることができる。例えば、飴玉(20玉),タバコA(100玉),ドリンク(40玉),DVD(1000玉)、化粧品(800玉)のように、複数景品を選択した場合に、交換遊技媒体数の合計が計数値を超えることで不足端玉が生じる場合でも、貯玉から不足端玉を補填することで該景品と交換することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の景品交換装置によれば、計数値より交換遊技媒体数の大きい景品を選択した場合、又は、端玉より交換遊技媒体数の大きい景品を選択した場合に、景品交換において不足となる遊技媒体数をマイナス表示して該景品の選択を可能とする。また、暗証番号の入力を行うことなく貯玉を引き出し、不足分の遊技媒体数を貯玉から補填することを一定の制限をかけて許容する。
これによって、希望する景品との交換において必要な遊技媒体が不足する場合でも、貯玉から不足分の遊技媒体数を補うことで、該景品を獲得することができる。
また、暗証番号の入力を行わないことで、景品交換時の処理を迅速化し、景品交換カウンターの混雑を緩和することができる。
【0052】
以上、本発明の景品交換装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る景品交換装置は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、端玉がマイナスとなった場合には、景品の選択を続けて行わない構成として説明したが、これに限らず、例えば、端玉がマイナスとなった以降も続けて景品を選択してもよい。この場合には、景品を選択するたびにマイナスの値(不足端玉)が増加することになる。
また、上述した実施形態では、貯玉から不足端玉を補填するときに、会員カードを受け付ける構成として説明したが、これに限らず、例えば、レシートを読み込むときに、会員カードを先に受け付けて、カード読取手段80aを介して読み取った会員IDに基づいて会員管理装置90に記憶されている会員データベースの「貯玉数」を受信し、記憶手段81に記憶する構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、会員管理装置90から貯玉数を受信する構成として説明したが、これに限らず、例えば、会員カードに貯玉数が記録され、かつ、遊技機10に備えられる各台計数機から会員カードに計数値が記録される場合においても、端玉がマイナスになったときに貯玉数を参照することで同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施形態では、不足端玉をマイナス表示するように説明したが、これに限らず、例えば、着色や記号付与等による強調表示によって示してもよい。
また、上述した実施形態では、貯玉数から不足端玉を補填するときには、所定の条件に基づき暗証番号の入力を行うことなしに貯玉を引き出して、不足端玉を補填するように説明したが、これに限らず、例えば、セキュリティを強化したい場合には、常に暗証番号の入力を行わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、遊技者が獲得した遊技媒体数に応じて景品と交換を行う景品交換装置に有用であり、特に、景品交換時の処理を迅速化することを望む装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 遊技機
60 計数装置
80 景品交換装置(端数演算手段,補填手段,制限手段,表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の遊技媒体計数機において計数された遊技媒体数を入力する遊技媒体数入力手段と、
前記遊技媒体数と、遊技媒体を所定の景品と交換するときの交換遊技媒体数と、に基づいて余り分の端数遊技媒体数を算出する端数演算手段と、
前記端数遊技媒体数を表示する所定の表示手段と、を備え、所定の景品交換処理を行う景品交換装置であって、
前記端数演算手段は、
前記交換遊技媒体数が前記遊技媒体数又は前記端数遊技媒体数より大きいときに、不足分となる不足端数遊技媒体数を算出し、
前記表示手段は、前記不足端数遊技媒体数を表示する
ことを特徴とする景品交換装置。
【請求項2】
前記景品を選択する選択手段を備え、
前記選択手段による前記景品の選択に伴い、この景品の前記交換遊技媒体数が入力される場合において、前記遊技媒体数又は前記端数遊技媒体数より大きい前記交換遊技媒体数の景品の選択を許容する
ことを特徴とする請求項1記載の景品交換装置。
【請求項3】
所定の記録媒体から遊技者を特定可能な情報を読取る読取手段を備えるとともに、前記情報に関連付けられ、遊技場に予め預け入れられた当該遊技者の貯留遊技媒体を引き出し可能に構成され、
前記記録媒体を所有する遊技者の前記貯留遊技媒体数から前記不足端数遊技媒体数を補填する補填手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載の景品交換装置。
【請求項4】
前記貯留遊技媒体の所有者を確認するための暗証番号の入力によって前記貯留遊技媒体を引き出し可能であって、
前記補填手段は、
前記暗証番号の入力なしに前記不足端数遊技媒体数を補填する
ことを特徴とする請求項3記載の景品交換装置。
【請求項5】
前記暗証番号の入力なしに前記不足端数遊技媒体数を補填するときに、
前記表示手段は、前記貯留遊技媒体数を表示しない
ことを特徴とする請求項4記載の景品交換装置。
【請求項6】
所定の条件の成立により、前記暗証番号の入力なしに行う前記貯留遊技媒体の引き出しを不能とする制限手段を備える
ことを特徴とする請求項4又は5記載の景品交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−148025(P2012−148025A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10733(P2011−10733)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】