説明

景品取得ゲーム機

【課題】 プレイ時間を短縮する。
【解決手段】 クレーンゲーム機1は、プレイフィールドに載置された景品を取得する機構を有するクレーンキャッチャー2と、プレーヤからのクレーンキャッチャー2の移動の指示を入力するボタンが設けられたコントロールパネル6と、クレーンキャッチャー2を移動させる機構部50を有する。CPU20は、入力されたプレーヤからの指示に応じて、機構部50によりクレーンキャッチャー2を移動させて景品を取得するための動作をさせた後、プレイ可能回数に残りがある場合には、クレーンキャッチャー2を移動先の位置に固定し、この位置から次に入力されたプレーヤからの指示に応じてクレーンキャッチャー2の移動を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッチャーを移動させて景品を取得する景品取得ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、景品取得ゲーム機には、クレーンキャッチャーを移動させて、プレイフィールド内に配置された景品を取得するクレーンゲーム機がある。クレーンゲーム機は、プレーヤによるボタンやジョイスティックなどの操作に応じて、クレーンキャッチャーを初期位置からプレイフィールドの目標とする景品上まで移動させ、クレーンキャッチャーを下降させて景品を掴む動作をさせる。クレーンゲーム機は、クレーンキャッチャーに景品を掴むための一連の動作を実行させた後、景品払い出し口(初期位置)まで移動させる。クレーンキャッチャーによって景品が取得されていた場合には、景品払い出し口を通じて外部に景品を払い出すことができる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された景品払出ゲーム機では、コインが投入されるとアームを初期位置に移動させ、プレーヤによる移動ボタンに対する操作に従って初期位置からアームを移動させる。そして、プレーヤのボタン操作に応じて、アームに景品を取得するための動作を実行させた後、景品払出口(初期位置)に移動させる。特許文献1の景品払い出しゲーム機は、ペイアウト率に応じて、アームの移動速度を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−177123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来のクレーンゲーム機では、クレーンキャッチャーを初期位置からプレーヤの操作に応じて移動させ、景品を取得する動作をさせた後、初期位置に戻すように制御している。すなわち、クレーンゲーム機は、クレーンキャッチャーにより景品を取得できたか否かに関係無く、クレーンキャッチャーを初期位置から移動を開始させて、初期位置に戻すという一連の制御を実行していた。
【0006】
一般のクレーンゲーム機では、プレイ回数をクレジットしておくことにより、連続してプレイすることができるようになっている。従来では、連続してプレイする場合であっても、毎回、初期位置からクレーンキャッチャーの移動を開始させる必要があるため、キャッチャーにより景品が取得できなくても、その都度、クレーンキャッチャーが初期位置に戻るまで、次のプレイの開始を待たなければならなかった。このため、プレイ時間が必要以上に長くなってしまい、プレイ時間の短縮が望まれていた。
【0007】
また、引用文献1に記載された景品払出ゲーム機は、アームの移動を加速させることができるがペイアウト率に応じて調整されるもので、必ずしも時間短縮をはかることはできなかった。
【0008】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、プレイ時間を短縮することが可能な景品取得ゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、プレイフィールドに載置された景品を取得する機構を有するキャッチャーと、プレーヤからの前記キャッチャーを移動させる指示を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された指示に応じて前記キャッチャーを移動させる機構部と、プレイ可能回数を記憶する記憶手段と、前記入力手段により入力されたプレーヤからの指示に応じて、前記機構部により前記キャッチャーを移動させて景品を取得するための動作をさせた後、前記プレイ可能回数に残りがある場合には、前記キャッチャーを移動先の位置に固定し、この位置から次に入力されたプレーヤからの指示に応じて前記キャッチャーの移動を開始させる制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プレイ時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態におけるクレーンゲーム機の外観構成を示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるクレーンゲーム機の機能構成を示すブロック図。
【図3】コントロールパネルと機構部との関係の概略を示す図。
【図4】本実施形態におけるクレーンゲーム機の動作について示すフローチャート。
【図5】クレーンキャッチャーが移動される様子の一例を示す図。
【図6】次のプレイ開始時のクレーンキャッチャーの位置の一例を示す図。
【図7】クレーンキャッチャーの初期位置への移動経路の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるクレーンゲーム機1の外観構成を示す斜視図である。
クレーンゲーム機1の上部筐体には、筐体内上部にクレーンキャッチャー2を移動させるための機構部が設けられている。本実施形態におけるクレーンゲーム機1には、2台のクレーンキャッチャー2が設けられている。各クレーンキャッチャー2は、それぞれに対応する機構部によって移動される。クレーンキャッチャー2は、コントロールパネル6に設けられたボタンに対するプレーヤの操作に応じて、機構部により横方向(X軸方向)、縦方向(Y方向)、さらには景品取得シーケンスにおいて上下方向(Z方向)に移動される。クレーンキャッチャー2には、例えば2本のアーム2a,2bが設けられている。アーム2a,2bは、景品取得シーケンスにおいて、クレーンキャッチャー2が、プレイフィールド9に載置された景品3に到達した位置で、景品3を掴むように動かされる。
【0013】
クレーンゲーム機1の上部筐体は、透明板8によって前面および側面が覆われている。従って、プレーヤは、透明板8を通じて、クレーンキャッチャー2の位置や積み重なった景品3の位置関係を各角度から確認することができる。プレイフィールド9の一角には、景品払い出し口4が設けられている。クレーンキャッチャー2によってキャッチされた景品3は、景品払い出し口4に投下されて、景品払い出し口4と連通する下部筐体に設けられた景品取り出し口5から外部に払い出される。
【0014】
クレーンゲーム機1の下部筐体の前面上部には、コントロールパネル6が設けられている。コントロールパネル6には、プレーヤによって入力操作がされる複数のボタン、コイン投入口などが設けられている。下部筐体の前面側には、コイン投入口から投入されたコインを返却するためのコイン返却口7、スピーカ10が設けられている。
【0015】
図2は、本実施形態におけるクレーンゲーム機1の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、クレーンゲーム機1の筐体内部には、各種ユニットが実装された制御PCB(Print Circuit Board)11が設けられている。制御PCB11に実装されたユニットには、CPU20、RAM21、記憶装置22、入出力処理ユニット23、X軸モータ駆動部24、Y軸モータ駆動部25、Z軸モータ駆動部26、及びアーム駆動部27を含む。
【0016】
CPU20は、RAM21あるいは記憶装置22に記憶された制御プログラムやゲームプログラムを実行することにより、クレーンゲーム機全体を制御する。CPU20は、入出力処理ユニット23を介して入力されるコイン投入の検知信号に応じて、プレイ可能回数を示すクレジットデータをRAM21に記録する。また、CPU20は、入出力処理ユニット23を介して入力されるユーザ操作により指示されたクレーンキャッチャー2を移動させる指示に応じて、X軸モータ駆動部24、Y軸モータ駆動部25、Z軸モータ駆動部26、及びアーム駆動部27を制御して機構部12の各部を適宜動作させる。また、CPU20は、入出力処理ユニット23を介して、スピーカ10からの音声出力、表示装置46における表示を制御する。
【0017】
RAM21は、制御プログラムやゲームプログラム等の各種プログラムの他、CPU20により実行される処理に伴うゲームを制御するための各種データを一時的に記憶する。RAM21に記録されるデータには、例えばプレイ可能回数を示すクレジットデータ、クレーンキャッチャー2の位置(X位置、Y位置)を示す位置データ等が含まれる。
【0018】
記憶装置22は、ROMやハードディスク等の不揮発性の記憶媒体にプログラムやデータを記憶する。
入出力処理ユニット23は、制御PCB11の外部に設けられた各種入出力デバイスとのインタフェースである。
X軸モータ駆動部24は、機構部12に設けられたX軸モータ30の駆動を制御する。
Y軸モータ駆動部25は、機構部12に設けられたY軸モータ31の駆動を制御する。
Z軸モータ駆動部26は、機構部12に設けられたZ軸モータ32の駆動を制御する。
アーム駆動部27は、クレーンキャッチャー2に設けられたアーム2a,2bを開閉させるためのアームモータ33の駆動を制御する。
【0019】
機構部12には、図2に示すように、X軸モータ30、Y軸モータ31、Z軸モータ32、アームモータ33、及び景品検知センサ34が含まれる。
X軸モータ30は、X軸モータ駆動部24により駆動されるもので、クレーンキャッチャー2をX軸方向(横方向)に移動させる。
Y軸モータ31は、Y軸モータ駆動部25により駆動されるもので、クレーンキャッチャー2をY軸方向(縦方向)に移動させる。
Z軸モータ32は、Z軸モータ駆動部26により駆動されるもので、クレーンキャッチャー2をZ軸方向(上下方向)に移動させる。
アームモータ33は、アーム駆動部27により駆動されるもので、クレーンキャッチャー2のアーム2a,2bを開閉させる。
【0020】
景品検知センサ34は、クレーンキャッチャー2に装着されており、クレーンキャッチャー2に景品3を取得(キャッチ)するための動作をさせることにより、景品3が取得されたかを検知して、入出力処理ユニット23を介してCPU20に通知する。景品検知センサ34は、例えばアーム2a,2bに掛かる荷重を検知して景品3が取得されたことを検知したり、アーム2a,2bを閉じるようにアームモータ33を駆動してもアーム2a,2bにより景品3を挟んでいるために完全に閉まらない状態にあることを検知する。
【0021】
コントロールパネル6には、図2に示すように、コイン投入口40、コイン投入センサ41、横移動ボタン42、縦移動ボタン43、降下ボタン44、時間短縮ボタン45、及び表示装置46が含まれる。
コイン投入センサ41は、コイン投入口40から投入されたコインを検知して、入出力処理ユニット23に、コイン投入を示す検知信号を出力する。CPU20は、入出力処理ユニット23に入力された検知信号に応じて、プレイ可能回数を示すクレジットデータを記録する。
【0022】
横移動ボタン42は、プレーヤによるクレーンキャッチャー2を横方向(X軸方向)に移動させる指示を入力するためのものである。横移動ボタン42は、プレーヤにより押下されている場合、押下された状態にあることを示す信号を入出力処理ユニット23に出力する。CPU20は、入出力処理ユニット23を通じて横移動ボタン42が押下されていることを検知すると、X軸モータ駆動部24を介してX軸モータ30を駆動してクレーンキャッチャー2を横方向(X軸方向)に移動させる。CPU20は、横移動ボタン42が押されていない場合には、X軸モータ30の駆動を停止させる。
【0023】
縦移動ボタン43は、プレーヤによるクレーンキャッチャー2を縦方向(Y軸方向)に移動させる指示を入力するためのものである。縦移動ボタン43は、プレーヤにより押下されている場合、押下された状態にあることを示す信号を入出力処理ユニット23に出力する。CPU20は、入出力処理ユニット23を通じて縦移動ボタン43が押下されていることを検知すると、Y軸モータ駆動部25を介してY軸モータ31を駆動してクレーンキャッチャー2を縦方向(Y軸方向)に移動させる。CPU20は、縦移動ボタン43が押されていない場合には、Y軸モータ31の駆動を停止させる。
【0024】
降下ボタン44は、プレーヤによるクレーンキャッチャー2に対して景品取得シーケンスを開始させる指示を入力ためのものである。降下ボタン44は、プレーヤにより押下されると、押下されたことを示す信号を入出力処理ユニット23に出力する。CPU20は、入出力処理ユニット23を通じて降下ボタン44が押下されたことを検知すると、景品取得シーケンスとして、Z軸モータ駆動部26を介してクレーンキャッチャー2の先端部が景品3に到達する位置まで下降させ、アーム駆動部27を通じてアーム2a,2bに景品3を掴む動作をさせた後、クレーンキャッチャー2を上昇させる。
【0025】
時間短縮ボタン45は、プレーヤからの時間短縮モードの指定を入力するためのものである。時間短縮ボタン45は、プレーヤに押下されることにより、入出力処理ユニット23に押下されたことを示す信号を入出力処理ユニット23に出力する。CPU20は、最初に時間短縮ボタン45が押下されたことを検知すると時間短縮モードデータを例えばRAM21に記録することにより時間短縮モードを設定する。また、CPU20は、時間短縮モードが設定されている時に、再度、時間短縮ボタン45が押下されたことを検知すると時間モードデータをクリアして時間短縮モードを解除する。CPU20は、時間短縮モードが設定された場合、プレイ時間が短縮されるように、クレーンキャッチャー2に対して通常時とは異なる移動制御を行う。
【0026】
表示装置46は、CPU20の制御のもとで各種の情報を表示する。表示装置46には、例えばクレジット数(プレイ可能回数)や動作モードの表示などが表示される。時間短縮ボタン45に対する操作により時間短縮モードが設定された場合には、例えば「時間短縮動作中!」のメッセージを表示して、プレーヤに対して時間動作モード中であることを通知する。
【0027】
図3は、コントロールパネル6と機構部50との関係の概略を示す図である。図3に示す機構部12は、クレーンゲーム機1の上方からみた各機構の配置を示している。図3において、横方向をX軸方向、縦方向をY軸方向としている。
【0028】
コントロールパネル6には、図3に示すように、コイン投入口40、横移動ボタン42、縦移動ボタン43、降下ボタン44、時間短縮ボタン45、及び表示装置46が配列されている。
【0029】
コントロールパネル6に設けられた各ボタンに対してプレーヤの操作があると、ボタンに応じた信号が制御PCB11(入出力処理ユニット23)に出力される。
【0030】
横移動ボタン42に対する操作があった場合、制御PCB11により機構部12のX軸モータ30が回転駆動される。これにより、X軸モータ30の回転軸に巻回された駆動ベルト51により、クレーンキャッチャー2を上下方向及びY軸方向(縦方向)に移動させるための機構を横方向に移動させる。
【0031】
また、縦移動ボタン43に対する操作があった場合、制御PCB11により機構部12のY軸モータ31が回転駆動される。これにより、Y軸モータ31の回転軸に巻回された駆動ベルト52により、クレーンキャッチャー2を上下方向に移動させるための機構を縦方向に移動させる。
【0032】
また、降下ボタン44に対する操作があった場合、制御PCB11により機構部12のZ軸モータ32が景品取得シーケンスに合わせて駆動される。
【0033】
なお、制御PCB11は、コントロールパネル6に設けられた表示装置46の表示、及びスピーカ10からの音声出力を制御する。制御PCB11は、時間短縮ボタン45に対する操作によって時間短縮モードが設定された場合には、図3に示すように、表示装置46において時間短縮モードが設定されたことを表すように表示させると共に、スピーカ10から例えば「時間短縮動作中」の音声メッセージを出力させて、ユーザに動作モードを通知する。
【0034】
次に、本実施形態におけるクレーンゲーム機1の動作について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、クレーンゲーム機1をプレイするために、プレーヤによりコイン投入口40からコインが投入される。コイン投入センサ41は、コインが投入されたことを検知すると入出力処理ユニット23に検知信号を出力する。CPU20は、コイン投入センサ41からの検知信号によりコイン投入を検知すると(ステップA1)、プレイ可能回数を示すクレジット数を加算し、その値を示すクレジットデータをRAM21に記録する(ステップA2)。ここで、複数のプレイ回数分のコインが投入された場合には、複数回分のプレイ可能回数を示すクレジットデータを記録する。CPU20は、クレジットデータの記録に応じて、例えば表示装置46にプレイ可能回数(クレジット数)を表示させる。
【0035】
以下、プレーヤによる各ボタンに対する操作に応じて、クレーンキャッチャー2の移動制御を行う。本実施形態におけるクレーンゲーム機1では、予め決められた制限時間内であれば、横移動ボタン42と縦移動ボタン43に対する複数回の操作によって、横方向と縦方向への移動を調整することができる。
【0036】
CPU20は、制限時間内に横移動ボタン42が押下されたことを検知すると、X軸モータ駆動部24を通じてX軸モータ30を駆動して、クレーンキャッチャー2を横方向(X軸方向)に移動させる(ステップA7,A8,A9)。また、CPU20は、制限時間内に縦移動ボタン43が押下されたことを検知すると、Y軸モータ駆動部25を通じてY軸モータ31を駆動して、クレーンキャッチャー2を縦方向(Y軸方向)に移動させる(ステップA7,A8,A9)。
【0037】
図5には、クレーンキャッチャー2が移動される様子の一例を示している。ゲーム開始時では、クレーンキャッチャー2は、図5のAに示す初期位置、すなわち景品払い出し口4の上方にある。ここで、横移動ボタン42が押下されることにより横方向に移動させ、また縦移動ボタン43が押下されることにより縦方向に移動させる。これにより、プレーヤは、クレーンキャッチャー2に載置された目標とする景品3の上方、すなわち図5のBに示す位置にクレーンキャッチャー2を移動させることができる。
【0038】
なお、クレーンキャッチャー2を移動させるためのボタン操作が可能な間は、プレーヤは、時間短縮ボタン45を押下することにより時間短縮モードを任意に設定することができる。CPU20は、時間短縮ボタン45が押下されたことを検知すると(ステップA3、Yes)、RAM21に時間短縮モードデータが記録されていなければ(ステップA4、No)、RAM21に時間短縮モードデータを記録して時間短縮モードを設定する(ステップA5)。また、CPU20は、表示装置46において時間短縮モードが設定中であることを示す「時間短縮動作中」のメッセージを表示させると共に、スピーカ10から「時間短縮動作中」の音声メッセージを出力させて、ユーザに時間短縮モードが設定されたことを通知する。
【0039】
なお、時間短縮モードが設定されている間に、再び時間短縮ボタン45が押下された場合には(ステップA3、A4、Yes)、CPU20は、時間短縮モードデータをクリアし、時間短縮モードを解除する(ステップA6)。すなわち、プレーヤは、クレーンキャッチャー2の移動を開始する前後において、任意のタイミングで時間短縮モードの設定、あるいは解除をすることが可能である。
【0040】
CPU20は、制限時間が経過した場合(ステップA9、No)、あるいは降下ボタン44の押下が検知された場合(ステップA10、Yes)、クレーンキャッチャー2に対して景品取得シーケンスによる制御を行う(ステップA11)。
【0041】
CPU20は、Z軸モータ駆動部26を介してクレーンキャッチャー2の先端部が景品3に到達する位置まで下降させ、アーム駆動部27を通じてアーム2a,2bに景品3を掴む動作をさせた後、クレーンキャッチャー2を上昇させる。
【0042】
なお、景品取得シーケンスの動作中においても、時間短縮ボタン45に対する操作によって時間短縮モードの設定/解除が可能である(ステップA12〜A15)。従って、プレーヤは、景品取得シーケンスにおいて、クレーンキャッチャー2により景品3がキャッチされたか否かを目視により確認した上で、時間短縮モードの設定/解除をすることができる。なお、ステップA12〜A15の処理は、前述したステップA3〜A6と同様にして実行されるものとして詳細な説明を省略する。
【0043】
CPU20は、景品取得シーケンスが終了すると(ステップA16、Yes)、クレーンキャッチャー2によって景品3が取得されたかを判別する。すなわち、CPU20は、景品検知センサ34からの通知によって、クレーンキャッチャー2のアーム2a,2bにより景品3がキャッチされているかを判別する。
【0044】
ここで、景品3が取得されている場合(ステップA17、Yes)、CPU20は、時間短縮モードの設定の有無に関係無く、標準速度でクレーンキャッチャー2が移動するように、X軸モータ駆動部24とY軸モータ駆動部25を通じてX軸モータ30とY軸モータ31を駆動して、クレーンキャッチャー2を初期位置、すなわち景品払い出し口4の上方に移動させる(ステップA18)。
【0045】
すなわち、クレーンキャッチャー2によって景品3がキャッチされている場合、クレーンキャッチャー2を高速で移動させると景品3が落下する可能性が高くなってしまうため、時間短縮モードが設定されている場合であっても、標準速度でクレーンキャッチャー2を移動させる。これにより、プレーヤに不利益を与えることがない。
【0046】
なお、景品3が取得された場合に初期位置に移動させる速度についても、時間短縮モードの設定に応じて制御するようにしても良い。すなわち、景品取得シーケンスによって景品3が取得された場合であっても、時間短縮モードが設定されている場合には、クレーンキャッチャー2を高速に初期位置(景品払い出し口4)に移動させる。この場合、景品3がクレーンキャッチャー2から落下する可能性を低減するためには、クレーンキャッチャー2が初期位置に移動する前に、プレーヤが時間短縮ボタン45を押下することにより時間短縮モードを解除する必要がある。これにより、景品3を取得するための難易度が上がり、ゲームに変化を与えることができる。
【0047】
景品取得シーケンスの後、クレジット(プレイ可能回数)の残りがある場合(ステップA19、Yes)、CPU20は、クレジットを減算してプレイ可能回数を−1した後(ステップA23)、次のプレイ状態に移行する。すなわち、各ボタンに対する入力操作を受け付ける状態に戻る(ステップA7)。
【0048】
一方、景品取得シーケンスによってクレーンキャッチャー2により景品が取得されなかった場合(ステップA17、No)、CPU20は、クレジット(プレイ可能回数)の残りがある場合(ステップA20、Yes)、CPU20は、時間短縮モードが設定されている場合(ステップA21、Yes)、クレジットを減算してプレイ可能回数を−1した後(ステップA23)、次のプレイ状態に移行する。すなわち、CPU20は、クレーンキャッチャー2を初期位置に戻す移動制御をすることなく、次のプレイを開始する。
【0049】
例えば、図5に示すBの位置でクレーンキャッチャー2に対して景品取得シーケンスを実行した結果、景品3が取得されなかった場合、図6に示すように、同じBの位置からクレーンキャッチャー2に対してボタン操作によって移動を指示することができる。
【0050】
これにより、クレーンキャッチャー2を初期位置に戻すための移動制御、初期位置から目標とする景品3にまで移動させる移動制御を不要にするので、プレイ時間の短縮を図ることができる。また、図6に示すBの位置は、目標としている景品3がある位置であるため、同じ位置から移動を開始させることにより、クレーンキャッチャー2に対して微調整をするだけでよいので、同じ目標とする景品3に対する景品取得シーケンスを容易に実行することができる。
【0051】
なお、時間短縮モードが設定されていない場合には(ステップA21、No)、CPU20は、標準速度よりも高速でクレーンキャッチャー2が移動するように、X軸モータ駆動部24とY軸モータ駆動部25を通じてX軸モータ30とY軸モータ31を駆動して、クレーンキャッチャー2を初期位置、すなわち景品払い出し口4の上方に移動させる(ステップA22)。
【0052】
例えば、図7に示すように、景品取得シーケンスをBの位置で実行した場合、Bの位置から初期位置のCの位置に直線的に移動させる。すなわち、X軸モータ30とY軸モータ31を同時に駆動して横方向と縦方向の移動を同時に実行することで、クレーンキャッチャー2の移動経路を短縮する。また、X軸モータ30とY軸モータ31に対する回転速度(単位時間当たりの回転数)を上げることにより、クレーンキャッチャー2の移動速度を上げる。
【0053】
そして、CPU20は、クレジットを減算してプレイ可能回数を−1した後(ステップA23)、次のプレイ状態に移行する。この場合、初期位置に戻ったクレーンキャッチャー2に対して、移動制御をすることになる。
【0054】
また、景品取得シーケンスを実行した後、クレジット(プレイ可能回数)の残りがない場合(ステップA20、Yes)、CPU20は、標準速度よりも高速でクレーンキャッチャー2が移動するように、X軸モータ駆動部24とY軸モータ駆動部25を通じてX軸モータ30とY軸モータ31を駆動して、クレーンキャッチャー2を初期位置に移動させる(ステップA24)。そして、CPU20は、ゲーム終了シーケンスを実行して処理を終了する(ステップA23)。
【0055】
こうして、ゲーム終了時にクレーンキャッチャー2を高速で初期位置に戻すことによってプレイ全体の時間が短縮され、1人のプレーヤに占有される時間を短縮することができる。従って、クレーンゲーム機1を利用するプレーヤ数の増加を期待することが可能となる。
【0056】
なお、前述した説明では、クレーンキャッチャー2により景品3がキャッチされなかった場合、時間短縮モードが設定されていない場合、あるいは景品取得シーケンスの後にプレイ可能回数に残りがない場合において、クレーンキャッチャー2を初期位置に戻する際には、常時、高速で移動させるものとして説明しているが、クレーンゲーム機1の管理者によって高速移動させるか否かを事前に設定できるようにしても良い。この場合、制御PCB11に切り換えボタンを設けて設定できるようにしたり、設定ユーティリティプログラムを実行させて所定のボタン操作により設定できるようにしたりしても良い。設定状態を例えばRAM21に記録しておき、CPU20は、この設定状態を参照して、クレーンキャッチャー2に対する移動制御を切り換える。
【0057】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…クレーンゲーム機、2…クレーンキャッチャー、3…景品、4…景品払い出し口、5…景品取り出し口、6…コントロールパネル、7…コイン返却口、8…透明板、9…プレイフィールド、10…スピーカ、11…制御PCB、20…CPU、24…X軸モータ駆動部、25…Y軸モータ駆動部、26…Z軸モータ駆動部、30…X軸モータ、31…Y軸モータ、32…Z軸モータ、34…景品検知センサ、45…時間短縮ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイフィールドに載置された景品を取得する機構を有するキャッチャーと、
プレーヤからの前記キャッチャーを移動させる指示を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された指示に応じて前記キャッチャーを移動させる機構部と、
プレイ可能回数を記憶する記憶手段と、
前記入力手段により入力されたプレーヤからの指示に応じて、前記機構部により前記キャッチャーを移動させて景品を取得するための動作をさせた後、前記プレイ可能回数に残りがある場合には、前記キャッチャーを移動先の位置に固定し、この位置から次に入力されたプレーヤからの指示に応じて前記キャッチャーの移動を開始させる制御手段と
を具備したことを特徴とする景品取得ゲーム機。
【請求項2】
前記キャッチャーにより景品が取得されたことを検知する検知手段をさらに具備し、
前記制御手段は、前記キャッチャーに景品を取得するための動作をさせることにより、前記検知手段に景品が取得されたことが検知された場合には、前記機構部により前記キャッチャーを予め決められた位置に移動させることを特徴とする請求項1記載の景品取得ゲーム機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記機構部により前記キャッチャーを移動させて景品を取得するための動作をさせた後、前記プレイ可能回数に残りがない場合には、前記機構部により前記キャッチャーを予め決められた位置に、通常時よりも高速に移動させることを特徴とする請求項1記載の景品取得ゲーム機。
【請求項4】
プレーヤからの時間短縮モードの指定を入力するモード入力手段をさらに具備し、
前記制御手段は、前記時間短縮モードの指定の有無に応じて、前記キャッチャーの移動を制御することを特徴とする請求項1記載の景品取得ゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−29876(P2012−29876A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172045(P2010−172045)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)