説明

景観を考慮した花壇付き非常用トイレと竈

【課題】本発明は、非常用の一時使用のための非常用テント、非常用炊き出し用の竈及びトイレ施設を提案するものである。
【解決手段】非常用トイレシステムであって、当該システムは、トイレ部とそこに載置された花壇部からなり、花壇部はその下部がトイレの便座の形であり、
便座上に載置され、トイレ部内にテントを収納し、花壇部を移動させ、テントをトイレ部上に張ることでトイレとして使用可能な花壇付き非常用トイレである。トイレ部の便座の形状に併せて花壇部の接続部を形成し、花壇部とトイレ部を脱着可能としたため、常時は花壇として景観を保つことができる。且つ花壇部を非常用竈として使用可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時の非常用トイレと竈技術に属する。
【背景技術】
【0002】
災害時に一時的に公園などにテントを張り地域住民の避難場所とすることが行われている。多くは公園などに設けたコンテナボックスにテントを収納しておき、災害時に使用する例が多い。災害用のテントは仮設用・臨時用として収納に場所をとらず、組立て容易で機械によらず組み立てられることが好ましい。
特開2006-297044にはガスボンベにて膨張させる防災用エアーテントが開示されている。また特開2008-214962には、骨格内に壁シート、屋根シート、床シートからなる袋状のハウスを配置し、骨格の外から屋根シートおよび壁シートをさらにシート部材で覆う仮設テントが開示されている。
コンテナボックスは美観を呈することがなく殺風景であり、通常時は景観を考慮した収納場所に保管する非常用テント、非常用炊き出し用の竈及びトイレ施設が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-297044
【特許文献2】特開2008-214962
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、非常用の一時使用のための非常用テント、非常用炊き出し用の竈及びトイレ施設を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第1の発明は、非常用トイレシステムであって、当該システムは、トイレ部とそこに載置された花壇部からなり、花壇部はその底部中央部がトイレ部のトイレ便座の中に挿入可能な凸形状の便座挿入部とされ、便座上に載置され、トイレ部内にテントを収納し、花壇部を移動させ、テントをトイレ部上に張ることでトイレとして使用可能な花壇付き非常用トイレである。
常時は景観を考慮し全体が花壇として機能させるため、花壇部をトイレ部の便座上に載置可能とした。
本第2の発明は、上記の非常用トイレシステムを構成する花壇部を耐火性とし、その側面上部と底部中央部の便座挿入部を取り外し可能とし、かつ便座挿入部をなべとして使用可能な金属製とし、花壇部の底部外周部に水抜き穴を設け、この水抜き穴に煙突を挿入可能とした非常用竈システムである。
上記花壇部を逆さまにすることで開口した側面中央部が焚き口として、金属製の便座挿入部を取り外した開口になべ釜として使用する便座挿入部をかけ、煙突を水抜き穴に挿入することで竈として使用可能とした。
本第3の発明は、本第2の発明の花壇部を独立させた竈として利用可能な花壇である。
【発明の効果】
【0006】
本第1の発明は、トイレ部の便座の形状に併せて花壇部の底部に接続部を形成し、花壇部とトイレ部を脱着可能としたため、常時は花壇として景観を保つことができる。
本第2、第3の発明は、花壇部を耐火性とし、側面上部及び便座挿入部を取り外し可能とし、取り外した便座挿入部は金属製としなべ釜として利用できるように、かつ、水抜き穴に煙突を設置可能としたため花壇部を逆さにすることで非常用の竈として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、本花壇付き非常用トイレの外観図である。
【図2】は、本花壇付き非常用トイレの花壇部とトイレ部を分けて示した概念図である。
【図3】は、本花壇付き非常用トイレの断面図である。
【図4】は、本花壇付き非常用トイレを使用している状態を示している。
【図5】は、本第2、第3の発明に使用する花壇部を示す図である。
【図6】は、花壇部を竈として使用している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本第1の発明を図により詳細に説明する。
図1に示す通り、本花壇付き非常用トイレは、外見は花壇である。
【0009】
図2に示すように本花壇付き非常用トイレは、花壇部とトイレ部とに別れており、常時は花壇部とトイレ部とが一体となって周囲の景観を保っている。非常時には花壇部とトイレ部とに分離し、トイレ部が非常用トイレに供される。
【0010】
図3に示すように、トイレ部はその上部開口部が便座となり、その便座の形状に合わせた勘合部が花壇部の底部に設けられている。トイレ部の下部空間は収納部とされトイレ使用時に閉鎖空間を形成するためのテントが収納され、図4に示すように使用に供される。地下に槽を設け、その上に本花壇付きトイレを設置することが糞尿の処理のため好ましい。また、マンホール上に移動して使用することも可能であり、糞尿は一時収納部に溜めておくこともできる。
【0011】
本第2の発明は、上記発明の花壇部を竈として使用できるようにしたことにある。図5は、花壇部を示す図である。
図に示すように、花壇部の側面上部は取り外し可能とされ、逆さまにした時竈の焚き口となるようになっている。取り外し可能な側面上部は、例えばその両端面を凸部とし、対応する花壇部側面の端面に溝を設けることで簡単に脱着可能となる。
その他既存の技術が利用できる。
【0012】
花壇部底部中央の便座挿入部は、取り外し可能とされ同時に金属製となっている。花壇として常時使用するため、その材質はステンレススチールなど錆の生じない材質とすることが好ましい。
【0013】
花壇部の周辺には水抜き穴が設けられ、煙突が挿入可能となっており、常時は網体で塞がれている。
【0014】
図6は、花壇部を竈として使用している状態を示す図である。
図に示すように、花壇部内の土壌を排出し、上下逆さまにし、側面上部は取り外され竈の焚き口となっている。便座挿入部も取り外され、なべ釜の設置口となっている。取り外された便座挿入部はなべ釜として使用される。また水抜き穴には煙突が挿入されている。
図に示す通り、花壇部は非常用炊き出しなどに使用可能な竈に変えることが可能である。
【0015】
本第3の発明は、上記第2の発明である花壇部を独立して花壇として利用するものである。
【0016】
本花壇付き非常用トイレは、FRP、あるいは軽量コンクリート等で形成することができる。本第2、第3の発明で花壇部を竈として使用する場合には上記したように花壇部は耐火性を有するレンガ若しくは金属製とすることが必要である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
災害時などに一時使用のための非常用テント、非常用炊き出し用の竈及びトイレ施設として使用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 花壇付き非常用トイレ
2 花壇部
3 トイレ部
4 花壇部の勘合部
5 便座
6 収納部
7 テント
8 花壇上側面取り外し部
9 取り外し可能な便座挿入部
10 水抜き穴
11 煙突

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本第1の発明は、非常用トイレシステムであって、当該システムは、トイレ部とそこに載置された花壇部からなり、花壇部はその底部中央部がトイレ部のトイレ便座の中に挿入可能な凸形状の便座挿入部とし、便座上に載置され、トイレ部内にテントを収納し、花壇部を移動させ、テントをトイレ部上に張ることでトイレとして使用可能な花壇付き非常用トイレである。
【請求項2】
請求項1記載の非常用トイレシステムを構成する花壇部を耐火性とし、その側面上部と底部中央部の便座挿入部を取り外し可能とし、かつ便座挿入部をなべ釜として使用可能な金属製とし、花壇部の底部外周部に水抜き穴を設け、この水抜き穴に煙突を挿入可能とした非常用竈システムである。
【請求項3】
請求項2記載の花壇部を花壇として使用する花壇兼用竈である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−259729(P2010−259729A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118560(P2009−118560)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】