説明

景観照明による搭乗者保護装置及びその方法

【課題】車両に乗車しようとする人もしくは下車する人を感知した場合、車の側方の道路面に保護照明を投射できる搭乗者保護装置及びその方法を提供する。
【解決手段】本発明の景観照明による搭乗者保護装置は、車両のドアオープンの可否を感知する第1感知手段と、乗車者の乗車可否及び下車者の下車可否を感知する第2感知手段と、知能型サイドステップを駆動させるサイドステップ駆動手段と、乗車保護照明又は下車保護照明を投射する照明投射手段と、第1感知手段が車両のドアオープンを感知すれば、車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すようにサイドステップ駆動手段を制御し、第2感知手段が下車者の下車を感知すれば、下車保護照明を投射するように照明投射手段を制御する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景観照明による搭乗者保護装置及びその方法に係り、より詳しくは、車両に乗車しようとする人(以下、乗車者)を感知した場合、乗車者側の道路面に乗車保護照明を投射し、車両から下車しようとする人(以下、下車者)を感知した場合、下車者側の道路面に下車保護照明を投射し、後方から走行してくる車両やバイクから搭乗者を保護することができる景観照明による搭乗者保護装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の運転者は搭乗者が下車するとき安全に降りるようにしなければならない責任があるが、搭乗者の下車可否を周辺の車両やバイクに知らせることができないため、下車する搭乗者がバイクと衝突する交通事故が頻繁に発生している。これを解決するため、車両に乗降ドアの開放可否を知らせる灯(Lamp)を取り付ける技術が提案されたが、車両やバイク運転者の視線を惹くには十分でなくその効果が微々たるものであった。
【0003】
最近、照明を介して建築物や橋梁、記念物(Monument)、樹木などの個性を活かし都市の独自性(Identity)を創造し、ランドマーク(Landmark)を形成する景観照明に対する関心が増幅されている。このような景観照明(Graphic Light Projection)は、都市夜景を再創造して美しい景観を造成し、都市の施設及び対象物などを明るくして市民行動の安全と治安を確保するのは勿論、都市の形態及び機能を明らかにし、都市の歴史的、文化的価値に芸術的価値を加えて品位を高める役割を果たす。このような機能を有する景観照明を車両における搭乗者保護技術に引き継いで、搭乗者の安全を最大化することができる方案が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−36127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、車両に乗車しようとする人(以下、乗車者)を感知した場合、乗車者側の道路面に乗車保護照明を投射し、車両から下車しようとする人(以下、下車者)を感知した場合、下車者側の道路面に下車保護照明を投射し、後方から走行してくる車両やバイクから搭乗者を保護するための、景観照明による搭乗者保護装置及びその方法を提供することにその目的がある。なお、本発明では、搭乗者は乗車者と下車者を総称する用語として使用し、搭乗者は運転者及び同乗者を含むものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による景観照明による搭乗者保護装置は、車両に取り付けられ搭乗者を保護する装置において、前記車両のドアオープン可否を感知する第1感知手段と、乗車者の乗車可否及び下車者の下車可否を感知する第2感知手段と、知能型サイドステップを駆動させるサイドステップ駆動手段と、乗車保護照明又は下車保護照明を投射する照明投射手段と、前記第1感知手段が車両のドアオープンを感知すれば、車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すように前記サイドステップ駆動手段を制御し、前記第2感知手段が下車者の下車を感知すれば、下車保護照明を投射するように前記照明投射手段を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明による景観照明による搭乗者保護方法は、第1感知手段が車両のドアオープン可否を感知するステップと、前記車両のドアがオープンされるに伴いサイドステップ駆動手段が車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すステップと、前記サイドステップ上に位置する第2感知手段が下車者の下車を感知するステップと、前記下車者の下車が感知されるに伴い照明投射手段が下車保護照明を投射するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明による他の景観照明による搭乗者保護方法は、第3感知手段が車両から所定の距離に位置する乗車者を感知するステップと、前記乗車者が感知されれば、照明投射手段が乗車保護照明を投射するステップと、第1感知手段が前記車両のドアオープン可否を感知するステップと、前記車両のドアがオープンされれば、サイドステップ駆動手段が前記車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両に乗車しようとする人(以下、乗車者)を感知した場合、乗車者側の道路面に乗車保護照明を投射し、車両から下車しようとする人(以下、下車者)を感知した場合、下車者側の道路面に下車保護照明を投射し、後方から走行してくる車両やバイクから搭乗者を安全に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による景観照明による搭乗者保護装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明による乗車保護照明及び下車保護照明の一例を示す図である。
【図3】本発明による景観照明による搭乗者保護装置における下車者保護方法のフローチャートである。
【図4】本発明による景観照明による搭乗者保護装置における乗車者保護方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照しながら、本発明に係る好ましい実施形態を詳しく説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の景観照明による搭乗者保護装置の一実施形態の構成を示す図である。図1に示すように、景観照明による搭乗者保護装置は、第1感知部10、第2感知部20、第3感知部30、サイドステップ駆動部40、照明投射部50、警報部60及び制御部70を含む。
【0013】
各構成要素を検討すると、先ず第1感知部10は、車両のドアの一側に取り付けられるセンサであって、乗車者又は下車者により車両のドアが開かれているのか閉まっているのかを感知する役割を果たす。第1感知部10は、一例として車両のドアをロッキングする装置のロッキング状態に従ってドアのオープン可否を感知することができ、このとき、ロッキング装置はレバーを引いてドアを開く方式は勿論、ボタンを押してドアルを開く方式などを含み、第1感知部10はロッキング装置のドアオープン方式に関係なく、ドアが開かれているのか閉まっているのかを感知する。
【0014】
第2感知部20は、サイドステップ駆動部40上に取り付けられる一種の圧力センサであって、乗車者又は下車者が踏んで発生する圧力を感知する。他の例として、光を利用してサイドステップ駆動部40上の所定領域で物体を感知する赤外線センサ、レーダー(Radar)などを利用することもできる。
【0015】
第3感知部30は、無線通信を介し乗車者を感知するためのセンサであって、一例としてスマートキー感知センサを含む。このような第3感知部30は、所定距離の範囲(一例として3m〜7m)に位置するスマートキーを感知する。このとき、スマートキーは固有の識別情報を有しており、第3感知部30は他の車両でない自車両に相応するスマートキーを識別することができる。普通、スマートキーは運転者だけが所有するためその数に限定があるので、同乗者の感知に限界がある。したがって、スマートキーではない少なくとも一つ以上の無線識別装置を備え、第3感知部30が前記無線識別装置を感知するように具現することもできる。
【0016】
サイドステップ駆動部40は、車両の内部に位置していながら必要時に車両の外部に引き出される知能型サイドステップを駆動させる役割を果たす。このとき、サイドステップは乗車者が車両に乗るとき、又は下車者が車両から降りるときに踏む足場を意味する。即ち、サイドステップ駆動部40は車両の内部に引き込まれているサイドステップを引き出すか、引き出されているサイドステップを車両の内部に引き込むモジュールであって、車両のドアが開かれると制御部70の制御によりサイドステップを引き出し、車両のドアが閉まれると制御部70の制御によりサイドステップを引き込む。このような知能型サイドステップは、リンクタイプとローテーションタイプなど多様な種類があるが、これは本発明に何等の影響を及ぼさない。
【0017】
照明投射部50は、車両の一側に取り付けられ乗車保護照明と下車保護照明を投射するモジュールであって、制御部70の制御に従い、一例として図2に示されているような下車保護照明(a)又は乗車保護照明(b)を投射する。このような照明投射部50は、制御部70の制御に従い引込み/引出しされるサイドステップの一側に取り付けられ、下車者により下車保護照明が一部覆われる現象を防止することもできる。
【0018】
警報部60は付加的な要素であって、第1感知部10がロッキング装置のロッキング解除を感知した場合、即ち車両のドアが開かれた場合、制御部70の制御に従い視覚的又は聴覚的警報を鳴らす。
【0019】
制御部70の機能は、車両に備えられているECU(Electronic Control Units)が行うことで具現でき、ECUと連動する別途の制御ユニットで具現することもできる。制御部70は、第1感知部10で車両のドアオープンを感知するに伴い、車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すようサイドステップ駆動部40を制御し、第2感知部20が下車者の下車を感知するに伴い、下車保護照明を投射するよう照明投射部50を制御する。制御部70は、車両が走行モードで動作するに伴い、下車保護照明の投射を中断するよう照明投射部50を制御する。制御部70は、第3感知部30が乗車者の接近を感知するに伴い、乗車保護照明を投射するよう照明投射部50を制御し、第1感知部10で車両のドアオープンを感知するに伴い、車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すようサイドステップ駆動部40を制御する。制御部70は、車両が走行モードで動作するに伴い、乗車保護照明の投射を中断するよう照明投射部50を制御する。
【0020】
図3は、本発明に係る景観照明による搭乗者保護装置における下車者保護方法に対する一実施形態のフローチャートである。先ず、下車者が車両から下車するためロッキング装置のロッキング状態を解除すると、即ち車両のドアが開かれると、第1感知部10はこれを感知する(301)。そうすると制御部70は、車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すようサイドステップ駆動部40を制御する(302)。即ち、サイドステップ駆動部40は制御部70の制御を受けてサイドステップを引き出す。このとき、制御部70は警報を鳴らすよう警報部60を制御することもできる。
【0021】
第2感知部20が下車者の下車を感知する(303)。即ち第2感知部20は、一例としてサイドステップ上に運転者が踏んで発生する圧力を感知する。すると制御部70は、下車保護照明を投射するよう照明投射部50を制御する。即ち、照明投射部50は制御部70の制御に従い下車保護照明を投射する(304)。車両が走行モードとなれば、制御部70は下車保護照明の投射を中断するよう照明投射部50を制御する。下車保護照明が道路面に投射されると、後方から接近する車両やバイクの運転者はこれを見て下車者がいるものと認知し、安全運転をすることにより、交通事故を未然に防止することができる。
【0022】
図4は、本発明に係る景観照明による搭乗者保護装置における乗車者保護方法に対する一実施形態のフローチャートである。先ず、第3感知部30が車両から所定距離の範囲に位置する乗車者を感知する(401)。即ち、車両から所定距離の範囲に位置する乗車者が所持している識別装置を識別する。すると制御部70は、乗車者が車両に乗車するものと判断し、乗車保護照明を投射するよう照明投射部50を制御する(402)。即ち、照明投射部50は制御部70の制御に従い乗車保護照明を投射する。乗車者が車両に乗車するためロッキング装置のロッキング状態を解除すると、即ち車両のドアが開かれると、第1感知部10はこれを感知する(403)。すると制御部70は、車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すようサイドステップ駆動部40を制御する(404)。即ち、サイドステップ駆動部40は、制御部70の制御を受けてサイドステップを引き出す。このとき、制御部70は警報を鳴らすよう警報部60を制御することもできる。
【0023】
このように乗車保護照明が道路面に投射されると、後方から接近する車両やバイクの運転者がこれを見て、乗車者がいるものと認知し安全運転をすることにより、交通事故を未然に防止することができる。車両が走行モードとなれば、制御部70は乗車保護照明の投射を中断するよう照明投射部50を制御する。制御部70は、車両のドアが閉まると、乗車保護照明の投射を中断するよう照明投射部50を制御することもできる。本発明は、多様な置換、変形及び変更が可能で、前述の実施形態及び図により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0024】
10 第1感知部
20 第2感知部
30 第3感知部
40 サイドステップ駆動部
50 照明投射部
60 警報部
70 制御部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられ搭乗者を保護する装置において、
前記車両のドアオープンの可否を感知する第1感知手段と、
乗車者の乗車可否及び下車者の下車可否を感知する第2感知手段と、
知能型サイドステップを駆動させるサイドステップ駆動手段と、
乗車保護照明又は下車保護照明を投射する照明投射手段と、
前記第1感知手段が車両のドアオープンを感知すれば、車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すように前記サイドステップ駆動手段を制御し、前記第2感知手段が下車者の下車を感知すれば、下車保護照明を投射するように前記照明投射手段を制御する制御手段と、
を含むことを特徴とする景観照明による搭乗者保護装置。

【請求項2】
前記制御手段は、
前記車両が走行モードで動作するに伴い、下車保護照明の投射を中断するよう前記照明投射手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の景観照明による搭乗者保護装置。

【請求項3】
前記車両から所定の距離に位置する乗車者を感知する第3感知手段をさらに含み、
前記制御手段は、
前記第3感知手段が乗車者を感知すれば、乗車保護照明を投射するように前記照明投射手段を制御し、前記第1感知手段が車両のドアオープンを感知すれば、車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すように前記サイドステップ駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の景観照明による搭乗者保護装置。

【請求項4】
前記制御手段は、
前記車両が走行モードで動作するに伴い、乗車保護照明の投射を中断するように前記照明投射手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の景観照明による搭乗者保護装置。

【請求項5】
警報手段をさらに含み、
前記制御手段は、
前記第1感知手段が車両のドアオープンを感知するに伴い警報を鳴らすように前記警報手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の景観照明による搭乗者保護装置。

【請求項6】
前記第2感知手段は、
乗車者又は下車者が踏んで発生する圧力を感知することを特徴とする請求項1に記載の景観照明による搭乗者保護装置。

【請求項7】
第1感知手段が車両のドアオープンの可否を感知するステップと、
前記車両のドアがオープンされるに伴いサイドステップ駆動手段が車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すステップと、
前記サイドステップ上に位置する第2感知手段が下車者の下車を感知するステップと、
前記下車者の下車が感知されるに伴い照明投射手段が下車保護照明を投射するステップと、
を含むことを特徴とする景観照明による搭乗者保護方法。

【請求項8】
前記車両が走行モードで動作すれば、下車保護照明の投射を中断するステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の景観照明による搭乗者保護方法。

【請求項9】
前記車両のドアがオープンされるに伴い警報を鳴らすステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の景観照明による搭乗者保護方法。

【請求項10】
前記下車者の下車を感知するステップは、
前記下車者が踏んで発生する圧力を感知することを特徴とする請求項7に記載の景観照明による搭乗者保護方法。

【請求項11】
第3感知手段が車両から所定の距離に位置する乗車者を感知するステップと、
前記乗車者が感知されれば、照明投射手段が乗車保護照明を投射するステップと、
第1感知手段が前記車両のドアオープンの可否を感知するステップと、
前記車両のドアがオープンされれば、サイドステップ駆動手段が前記車両内に引き込まれているサイドステップを引き出すステップと、
を含むことを特徴とする景観照明による搭乗者保護方法。

【請求項12】
前記車両が走行モードで動作すれば、乗車保護照明の投射を中断するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の景観照明による搭乗者保護方法。

【請求項13】
前記車両のドアがオープンされるに伴い警報を鳴らすステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の景観照明による搭乗者保護方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103710(P2013−103710A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158860(P2012−158860)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】