説明

暖房システム及び暖房システムの制御方法

【課題】総消費熱量の削減と各部屋の快適性の維持とを両立した暖房システムの制御方法を提供する。
【解決手段】暖房システムの制御方法は、複数の暖房装置からの放熱を抑制することを要求する放熱抑制指示を、熱供給源から取得する取得ステップ(S101)と、取得ステップで放熱抑制指示を取得したことに応じて、複数の暖房装置の放熱を停止させる放熱停止ステップ(S102)と、複数の部屋それぞれの室温を検出する検出ステップ(S103)と、検出ステップで検出された室温に応じて、各部屋に設置されている暖房装置の放熱を個別に再開させる放熱再開ステップ(S104)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水を用いた暖房システムの制御方法に関し、ラジエータや床暖房などの複数の暖房装置を備える暖房システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の温水暖房装置が開示されている。特許文献1に開示されている温水暖房装置は、各部屋に設置されたラジエータ7にボイラ1から温水を供給することによって、部屋の室温を制御する。また、各ラジエータ7に供給される温水の流量は、バルブ6によって調整することができる。そして、各バルブ6は無線受信機5を搭載し、リモートコントローラ4から受信した無線信号に従って、温水の流量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE4221094A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、各部屋の室温を個別に制御できることが開示されているに留まり、集合住宅の全体最適化のための熱制御については、開示されていない。
【0005】
そこで、本発明は、総消費熱量の削減と各部屋の快適性の維持とを両立した暖房システム及び暖房システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る暖房システムの制御方法は、複数の部屋それぞれに設置され、熱供給源で生成された熱を放熱することによって、設置された部屋を暖房する複数の暖房装置を制御する方法である。具体的には、暖房システムの制御方法は、前記複数の暖房装置からの放熱を抑制することを要求する放熱抑制指示を、前記熱供給源から取得する取得ステップと、前記取得ステップで前記放熱抑制指示を取得したことに応じて、前記複数の暖房装置の放熱を停止させる放熱停止ステップと、前記複数の部屋それぞれの室温を検出する検出ステップと、前記検出ステップで検出された室温に応じて、各部屋に設置されている前記暖房装置の放熱を個別に再開させる放熱再開ステップとを含む。
【0007】
上記のように、熱供給源からの要求に応じて各暖房装置の放熱を一端停止し、その後に各部屋の室温に応じて暖房装置の放熱を個別に再開させることにより、総消費熱量の削減と各部屋の快適性の維持とを両立することができる。なお、「暖房装置の放熱を停止させる」とは、文字通り暖房装置を完全停止させることのみならず、極僅かな熱量を暖房装置に放熱させている状態をも含むものとする。この場合の「極僅かな熱量」は、部屋を暖房することを目的として放熱されるのではなく、例えば、流路の凍結を防止する等の暖房システムの機能を維持することを目的として放熱されるものである。
【0008】
また、前記複数の暖房装置それぞれには、予め目標温度が設定されていてもよい。そして、前記放熱再開ステップでは、前記検出ステップで検出された室温が予め定められた閾値温度に達した部屋から順に、室温を前記目標温度まで上昇させる第1のモードで前記暖房装置に放熱を再開させてもよい。
【0009】
このように、室温が閾値温度に達した部屋の暖房装置から順に放熱を再開させることにより、一部の部屋の室温が極端に低下するのを防止することができる。その結果、各部屋の快適性を平準化することができる。
【0010】
さらに、該暖房システムの制御方法は、前記複数の暖房装置それぞれに設定される前記目標温度を個別に決定する閾値温度決定ステップを含んでもよい。そして、前記閾値温度決定ステップでは、設置されている部屋の室温低下速度が速いほど前記閾値温度が高くなるように、前記複数の暖房装置それぞれの前記閾値温度を個別に決定してもよい。
【0011】
これにより、快適性の低い部屋では放熱量の削減より快適性の維持が優先され、快適性の高い部屋では放熱量の削減が重視される。すなわち、総消費熱量の削減と各部屋の快適性の維持とを、さらにバランス良く両立することができる。
【0012】
さらに、該暖房システムの制御方法は、前記放熱抑制指示によって抑制される放熱量である抑制熱量を、前記暖房装置毎に予測する予測ステップと、前記予測ステップで予測された前記暖房装置毎の抑制熱量の合計である総抑制熱量を、前記熱供給源に通知する通知ステップとを含んでもよい。
【0013】
これにより、過剰な熱生成を回避することができる。
【0014】
また、前記複数の暖房装置それぞれには、予め目標温度が設定されていてもよい。前記取得ステップで取得される前記放熱抑制指示は、放熱の抑制を終了する時刻である抑制終了時刻を特定する情報を含んでもよい。そして、前記放熱再開ステップでは、前記検出ステップで検出された前記抑制終了時刻における室温と前記目標温度との差が大きい部屋から順に、室温を前記目標温度まで上昇させる第1のモードで前記暖房装置に放熱を再開させてもよい。
【0015】
このように、抑制終了時刻における室温と目標温度との差が大きい部屋の暖房装置から順に再稼動させることにより、各部屋の快適性を平準化することができる。
【0016】
また、前記放熱再開ステップでは、前記複数の暖房装置それぞれに、前記抑制終了時刻から前記第1のモードで放熱を再開するまでの間、前記抑制終了時刻における室温を維持する第2のモードで放熱させてもよい。
【0017】
また、前記放熱開始ステップでは、前記第1のモードで放熱している前記暖房装置が設置されている部屋の室温が前記目標温度に達したタイミングで、次の前記暖房装置に前記第1のモードで放熱を再開させてもよい。
【0018】
また、前記放熱再開ステップでは、前記抑制終了時刻における室温と前記目標温度との差が大きい程、前記第1のモードで放熱する前記暖房装置の単位時間当たりの放熱量を増加させてもよい。
【0019】
本発明の一形態に係る暖房システムは、熱供給源で生成された熱で複数の部屋それぞれを暖房する。具体的には、暖房システムは、前記複数の部屋それぞれに設置される複数の暖房装置と、前記複数の暖房装置それぞれの運転を制御する制御部とを備える。そして、前記制御部は、前記複数の暖房装置からの放熱を抑制することを要求する放熱抑制指示を、前記熱供給源から取得する取得部と、前記複数の部屋それぞれの室温を検出する検出部と、前記取得部で前記放熱抑制指示を取得したことに応じて、前記複数の暖房装置の放熱を停止させ、前記検出ステップで検出された室温に応じて、各部屋に設置されている前記暖房装置の放熱を個別に再開させる運転制御部とを備える。
【0020】
また、前記制御部は、前記取得部と、前記運転制御部の一部に相当する第1運転制御部とを備える第1制御部と、前記検出部と、前記運転制御部の他の一部に相当する第2運転制御部とを備え、部屋毎に設けられる第2制御部とで構成されてもよい。
【0021】
さらに、前記複数の暖房装置それぞれには、予め目標温度が設定されていてもよい。前記第1運転制御部は、前記取得部で取得された前記放熱抑制指示に含まれる放熱抑制開始時刻と、室温の下限値を示す閾値温度とを各部屋の前記第2制御部に送信してもよい。前記第2運転制御部は、前記第1運転制御部から取得した前記放熱抑制開始時刻に、前記暖房装置の放熱を停止させ、前記検出部で検出された室温が前記第1運転制御部から取得した前記閾値温度に達した場合に、室温を前記目標温度まで上昇させる第1のモードで前記暖房装置に放熱を再開させてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、各部屋の特性に応じて個別に快適性を改善しつつ、暖房システム全体の消費熱量を削減できる。これにより、ユーザの快適性の維持をしながら、消費熱量のピークカットを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、地域熱供給の仕組みを説明するための概略図である。
【図2A】図2Aは、地域熱消費者が消費する熱量の推移を示す図である。
【図2B】図2Bは、図2Aのピーク時間帯に暖房装置を停止させた場合の熱量の推移を示す図である。
【図3】図3は、集合住宅の一例を示す図である。
【図4】図4は、図3に示される集合住宅の各部屋の室温の推移を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一態様に係る暖房システムの概略ブロック図である。
【図6】図6は、本発明の一態様に係る暖房システムの制御処理を示すフローチャートである。
【図7A】図7Aは、地域熱供給業者100から供給される温水で各部屋を暖房するために必要な集合住宅内の設備の例を示す図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示される部屋の1つを拡大した図である。
【図8】図8は、実施の形態1に係る暖房システムの制御処理の概要を示す図である。
【図9】図9は、各構成要素間で送受信される情報の例を示す図である。
【図10A】図10Aは、実施の形態1に係る暖房システム制御処理のフローチャートである。
【図10B】図10Bは、実施の形態1に係る抑制熱量通知処理のフローチャートである。
【図11】図11は、実施の形態1に係る暖房装置制御処理のフローチャートである。
【図12】図12は、実施の形態1に係る暖房システムの制御処理が実行された場合において、部屋A2、A3、B2の温度変化及び総放熱量の推移を示す図である。
【図13】図13は、実施の形態2に係る暖房システムの制御処理の概要を示す図である。
【図14】図14は、実施の形態2に係る閾値温度決定処理のフローチャートである。
【図15】図15は、実施の形態2に係る暖房システムの制御処理が実行された場合において、部屋A2、A3、B2の温度変化及び総放熱量の推移を示す図である。
【図16】図16は、実施の形態3に係る暖房システムの制御処理の概要を示す図である。
【図17A】図17Aは、実施の形態3に係る暖房システム制御処理のフローチャートである。
【図17B】図17Bは、実施の形態3に係る運転条件決定処理のフローチャートである。
【図18】図18は、実施の形態3に係る暖房装置制御処理のフローチャートである。
【図19】図19は、実施の形態3に係る暖房システムの制御処理が実行された場合において、部屋A2、A3、B2の温度変化及び総放熱量の推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の一形態に係る暖房システム及び暖房システムの制御方法を説明する。なお、本発明は、請求の範囲の記載に基づいて特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、請求項に記載されていない構成要素は、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではない。すなわち、以下の実施の形態は、本発明のより好ましい形態を説明するものである。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0025】
まず、図1を参照して、本発明の一形態に係る暖房システムが適用される環境(インフラ)について説明する。図1は、地域熱供給の仕組みを説明するための概略図であって、地域熱供給業者(熱供給源)100と地域熱消費者110との間で、温水が循環している様子を図示している。
【0026】
地域熱供給業者100とは、操業時に熱を発生させる事業者であって、例えば、工場101や発電所102等が該当する。すなわち、図1に示される工場101及び発電所102は、操業時に生じる廃熱を利用して生成した温水(例えば、加圧された110℃の温水)を流路に放出する。
【0027】
なお、上記の例では、廃熱を利用して温水を生成しているが、これに限ることなく、地域熱消費者110に供給する温水を生成することを目的とする設備も図1の地域熱供給業者100に含めることができる。また、人工的に生成された熱に限定されず、地熱等を利用して温水を生成してもよいことは言うまでもない。すなわち、地域熱供給業者100は図1の例に限定されず、温水を安定して生成し、供給することのできるあらゆる設備が含まれる。
【0028】
地域熱消費者110とは、地域熱供給業者100で生成された温水を利用する設備であって、例えば、戸建て住宅111や集合住宅112等が該当する。より具体的には、地域熱供給業者100で生成された温水は、戸建て住宅111や集合住宅112内の各部屋に設置される暖房装置及び給湯装置等で熱を消費され、再び地域熱供給業者100に還流する。なお、地域熱消費者110は図1の例に限定されず、オフィス、商店、学校、病院等の熱を消費するあらゆる設備が含まれる。
【0029】
次に、図2A、図2B、図3、及び図4を参照して、上記の地域熱供給における課題を説明する。図2A及び図2Bは、図1の地域熱消費者110が消費する熱量の推移を示す図である。図3は、集合住宅112の一例を示す図である。図4は、図3に示される集合住宅112の各部屋の室温の推移を示す図である。
【0030】
例えば寒冷地の集合住宅においては、図2Aに示されるように、暖房装置が消費する熱量(以下「暖房熱量」と表記する)は、1日を通してほぼ一定している。一方、給湯装置が消費する熱量(以下「給湯熱量」と表記する)は、1日のうちの所定の時間帯(図2Aの例では、8時〜9時の間、及び21時〜22時の間)に集中し、それ以外の時間帯にはほとんど発生していない。その結果、図2Aに示される例では、給湯熱量が集中する時間帯(以下「ピーク時間帯」と表記する)に消費熱量のピークが生じる。
【0031】
図2Aのように消費熱量にピークが生じる場合、地域熱供給業者100は、そのピークに合わせた生熱能力を持たねばならない。また、地域熱供給業者100は、ピーク時間帯に十分な温水を供給するために、割高な燃料(例えば、化石燃料)を用いて生熱しなければならない可能性がある。
【0032】
そこで、上記の課題を解決するために、例えば、ピーク時間帯に全ての暖房装置を停止させることが考えられる。これにより、図2Bに示されるように、ピーク時間帯の暖房熱量が0になるので、消費熱量のピークが平準化される。
【0033】
しかしながら、ピーク時間帯に全ての暖房装置を停止させた場合、下記のような新たな課題を生じる。例えば、図3に示されるように、3階建ての各階に4部屋ずつ計12部屋ある集合住宅112を考えた場合、部屋の位置によって断熱性能(放熱性能)が異なるのが一般的である。より具体的には、6面のうちの4面が外気に接している部屋A3と、6面のうちの3面が外気に接している部屋A2と、6面のうち2面が外気に接している部屋B2とでは、部屋B2の断熱性能が最も高く、部屋A2の断熱性が次に高く、部屋A3の断熱性能が最も低い。
【0034】
そのため、部屋A2、A3、B2に設置されている暖房装置を同時に停止させた場合の室温の変化は、部屋によって異なる。例えば、暖房装置を8時〜9時(図4では「停止時間帯」と表記する)まで停止させた場合の部屋A2、A3、B2の室温変化のシミュレーション結果を、図4に示す。なお、この集合住宅112各部屋の大きさは、幅10メートル、奥行き7メートル、高さ2.5メートルとした。また、シミュレーションの前提となる外気温度の推移も図4に合わせて図示している。
【0035】
図4を参照すれば明らかなように、停止時間帯における部屋A2、A3、B2の室温は、単調減少している。このとき、最も断熱性能の低い部屋A3の室温低下速度が最も速く、最も断熱性能の低い部屋B2の室温低下速度が最も遅い。すなわち、停止時間帯の終了時刻である午前9時における室温は、部屋A3が最も低く、部屋B3が最も高くなっているこのように、全ての部屋の暖房装置を一律に停止させると、部屋によって快適性が大きく異なるという第1の課題を生じる。
【0036】
さらに、停止時間帯の終了時刻である午前9時の時点において、各部屋の暖房装置は、室温を当初の設定温度まで上昇させるために、一斉に運転を再開する。その結果、図2Bに示されるように、当初のピーク時間帯(8時〜9時、及び21時〜22時)の直後の時間帯(9時〜10時、及び22時〜23時)に新たなピークが生じるという第2の課題を生じる。
【0037】
そこで、図5及び図6を参照して、上記の第1及び第2の課題を解決するための暖房システム及び暖房システムの制御方法の一例を説明する。図5は、本発明の一態様に係る暖房システムの概略ブロック図である。図6は、本発明の一態様に係る暖房システムの制御処理を示すフローチャートである。
【0038】
まず、本発明の一態様に係る暖房システム10は、図5に示されるように、制御部20と、複数の暖房装置31、32、33、34、35、36とを備える。暖房装置31〜36は、それぞれが別々の部屋に設置され、地域熱供給業者100から供給される熱を放熱することによって、設置された部屋を暖房する。
【0039】
制御部20は、地域熱供給業者100との間で情報交換を行なうと共に、暖房装置31〜36の運転を個別に制御する。より具体的には、制御部20は、通信部21と、検出部22と、運転制御部23と、予測部24とを備える。
【0040】
通信部21は、通信回線を通じて、地域熱供給業者100との間で各種情報を送受信する通信インタフェースである。送受信される情報の具体例は特に限定されないが、例えば、通信部21は、放熱抑制指示(以下「SO(Shut Off)信号」と表記する)を地域熱供給業者100から受信し、総抑制熱量を地域熱供給業者100に送信する。
【0041】
なお、SO信号とは、暖房装置31〜36の放熱を抑制することを要求する信号である。このSO信号には、放熱を抑制する時間帯(以下「SO時間帯」と表記する)を特定する情報、すなわち、SO時間帯の開始時刻(以下「SO開始時刻」と表記する)及びSO時間帯の終了時刻(以下「SO終了時刻」と表記する)を特定する情報が含まれる。また、総抑制熱量とは、SO信号によって暖房装置31〜36の放熱が抑制された結果、SO時間帯に抑制できる放熱量の予測値である。
【0042】
検出部22は、各種情報(特に温度情報)を検出する。より具体的には、検出部22は、暖房装置31〜36が設置されている各部屋の室温を検出する。また、検出部22は、暖房システム10が設置されている建物周辺の外気温度を検出する。そして、検出部22は、検出した温度情報を運転制御部23及び予測部24に通知する。
【0043】
運転制御部23は、暖房装置31〜36の運転状態を個別に制御する。運転制御部23は、例えば図6に示されるように、通信部21を通じて地域熱供給業者100からSO信号を取得したことに応じて(S101)、全ての暖房装置31〜36の運転を停止させる(S102)。また、運転制御部23は、検出部22で検出された室温に応じて(S103)、各部屋に設置されている暖房装置31〜36の運転を個別に再開させる(S104)。なお、暖房装置31〜36の運転を再開させるタイミングについては、後述の実施の形態1〜3で詳細に説明する。
【0044】
予測部24は、総抑制熱量を予測する。総抑制熱量は、例えば、SO時間帯に暖房装置31〜36を通常運転させた場合に消費される熱量と、SO時間帯に暖房装置31〜36に対して図6に示される制御を行った場合に消費される熱量との差に相当する。また、総抑制熱量は、例えば、SO時間帯に抑制できる放熱量(以下「抑制熱量」と表記する)を暖房装置31〜36毎に予測し、それらを合計することによって得られる。
【0045】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態1〜3に係る暖房システム及び暖房システムの制御方法を説明する。
【0046】
(実施の形態1)
まず、図7A及び図7Bを参照して、実施の形態1に係る暖房システムの構成を説明する。図7Aは、地域熱供給業者100から供給される温水で各部屋を暖房するために必要な集合住宅112内の設備の例を示す図である。図7Bは、図7Aに示される部屋の1つを拡大した図である。
【0047】
図7A及び図7Bに示されるように、集合住宅112には、熱交換器210と、熱量計211と、ポンプ212と、外気温センサ213と、暖房システム制御部214とが設置されている。また、集合住宅112の各部屋には、ラジエータ201と、バルブ202と、室温センサ203と、暖房装置制御部204とを備える。なお、図7A及び図7Bにおいて、実線の矢印は温水の流れを表し、破線の矢印は情報(信号)の流れを表す。
【0048】
熱交換器210は、地域熱供給業者100及び熱交換器210の間を循環する温水と、熱交換器210及び各部屋の間を循環する温水との間で熱交換を行なわせる設備であって、典型的には集合住宅112の地下に設置される。より具体的には、熱交換器210は、地域熱供給業者100から流入する高温の温水と、各部屋から流入する低温の温水との間で熱交換を行なう。そして、熱交換器210から地域熱供給業者100に温度の下がった温水が還流し、熱交換器210から各部屋に温度の上がった温水が還流する。
【0049】
熱量計211は、熱交換器210で交換された熱量を計測する。具体的には、熱量計211は、地域熱供給業者100から熱交換器210に向かう高温の温水の温度(第1の温度)と、熱交換器210から地域熱供給業者100に還流する低温の温水の温度(第2の温度)とを計測し、第1及び第2の温度の差に熱交換器210に流入する温水の流量を乗じることによって、熱交換器210で交換された熱量を計測する。なお、熱量計211で計測された熱量は、例えば、集合住宅112に課金される地域熱の使用料の計算等に用いられる。
【0050】
ポンプ212は、熱交換器210から各部屋に向かう高温の温水の流量を制御する設備であって、典型的には集合住宅112の地下に設置される。例えば、ポンプ212は、熱交換器210から各部屋に向かう温水の流量を、暖房システム制御部214からの制御に従って20〜60(l/min)の範囲内で変更することができる。
【0051】
外気温センサ213は、集合住宅112の周囲の外気温度を検出し、暖房システム制御部214に通知する。例えば、図7Aの外気温センサ213は、図5の検出部22に相当する。
【0052】
暖房システム制御部214は、地域熱供給業者100及び各部屋の暖房装置制御部204との間で情報交換を行なうことにより、暖房システム全体の制御を行う。図7Aの暖房システム制御部214は、例えば、図5の通信部21、運転制御部23の一部、及び予測部24に相当する。
【0053】
ラジエータ201は、熱交換器210から供給される温水の熱を放熱することによって、部屋を暖房する。なお、ラジエータ201は、温水の熱を空気中に放熱するものであってもよいし、温水の熱で床を暖める床暖房であってもよい。また、ラジエータ201は、各部屋に1台ずつ設置されてもよいし、各部屋に複数台設置(図7A及び図7Bの例では、2台ずつ設置されている)されてもよい。
【0054】
バルブ202は、熱交換器210からラジエータ201に流入する温水の流量を制御する。このバルブ202は、暖房装置制御部204と通信する機能を有し、暖房装置制御部204からの指示に従って流量を変更することができる。例えば、特許文献1に開示されているように、無線受信機を搭載したバルブ(Thermostatic Radiator Valve:TRV)を用いればよい。1つのバルブ202で1台のラジエータ201に流入する温水の流量を制御してもよいし、1つのバルブ202で複数台のラジエータ201に流入する温水の流量を制御してもよい。
【0055】
室温センサ203は、部屋の室温を検出し、暖房装置制御部204に通知する。例えば、図7Aの室温センサ203は、図5の検出部22に相当する。
【0056】
暖房装置制御部204は、暖房システム制御部214との間で情報交換を行なうことにより、部屋に設置されているラジエータ201及びバルブ202(以下、これらを総称して「暖房装置」と表記する)を制御する。また、暖房装置制御部204は、部屋の目標温度の入力をユーザから受け付ける。そして、SO時間帯以外の時間帯において、暖房装置制御部204は、部屋の室温が目標温度に近づくように、暖房装置の運転を制御する。例えば、図7Aの暖房装置制御部204は、図5の運転制御部23の一部に相当する。
【0057】
なお、暖房装置制御部204は、暖房装置の運転モードとして、停止モード、第1のモード、及び第2のモードのいずれかを選択することができる。停止モードとは、放熱を完全に停止させる(又は、暖房システムの機能を維持するために必要な最小限の熱のみを放熱する)運転モードである。第1のモードとは、室温を予め設定された目標温度まで上昇させるのに必要な熱を放熱させる運転モードである。第2のモードとは、現在の室温を維持するのに必要な熱を放熱させる運転モードである。
【0058】
そして、暖房装置制御部204は、バルブ202を通じてラジエータ201に供給される温水の流量を制御することによって、上記の各モードを相互に切り替えることができる。すなわち、第1のモードを選択した場合にラジエータ201に供給される温水の量(熱量)は、第2のモードを選択した場合にラジエータ201に供給される温水の量(熱量)より多くなる。
【0059】
また、集合住宅112は、地域熱供給業者100からの熱を利用して温水を供給する給湯装置をさらに備えてもよい。しかしながら、本明細書では、主に暖房装置の制御について説明するので、給湯装置の図示及び説明は省略する。
【0060】
次に、図8を参照して、実施の形態1に係る暖房システムの制御処理の概要を説明する。実施の形態1では、地域熱供給業者100からSO信号を受信すると(S210)、閾値温度が決定される(S220)。閾値温度とは、室温の下限値を示す値である。次に、SO開始時刻に全てのラジエータ201からの放熱を停止させるために、全てのバルブ202を閉止する(S230)。その後、室温が閾値温度に達した部屋から順に(S240)、ラジエータ201の放熱を再開させるためにバルブ202を開放する(S250)。
【0061】
なお、実施の形態1では、上記の処理のうち、ステップS210、S220、S230を暖房システム制御部214が実行し、ステップS240、S250を暖房装置制御部204が実行する。すなわち、実施の形態1においては、図5の運転制御部23の機能を、暖房システム制御部214と暖房装置制御部204とで分担している。但し、上記の役割分担は一例であって、これに限定されない。
【0062】
次に、図9、図10A、図10B、図11、及び図12を参照して、実施の形態1に係る暖房システムの制御処理を詳しく説明する。図9は、各構成要素間で送受信される情報の例を示す図である。図10Aは、暖房システム制御部214によって実行される暖房システム制御処理のフローチャートである。図10Bは、暖房システム制御部214によって実行される抑制熱量通知処理のフローチャートである。図11は、各部屋の暖房装置制御部204によって実行される暖房装置制御処理のフローチャートである。図12は、実施の形態1に係る暖房システムの制御処理が実行された場合において、図3に示される集合住宅112の部屋A2、A3、B2の温度変化及び総放熱量の推移を示す図である。
【0063】
まず、各部屋A2、A3、B2の暖房装置制御部204は、図9に示されるように、ユーザから目標温度の入力を予め受け付けている。
【0064】
図9は、各構成要素間で送受信される情報の例を示す図である。地域熱供給業者100と暖房システム制御部214との間では、図9に示すように、SO信号が地域熱供給業者100から暖房システム制御部214に送信され、逆に総抑制熱量が暖房システム制御部214から地域熱供給業者100に送信される。また、暖房システム制御部214と暖房装置制御部204との間では、SO開始時刻、SO終了時刻、及び閾値温度が暖房システム制御部214から暖房装置制御部204に送信され、逆に放熱の再開報告が暖房装置制御部204から暖房システム制御部214に送信される。そして、暖房装置制御部204は、バルブ202に対してバルブの開閉の指示を行い、また室温センサ203から室温を取得する。さらに、ユーザは、暖房装置制御部204に部屋の設定目標温度を入力することができる。
【0065】
例えば、全ての部屋A2、A3、B2の目標温度が21℃であったとすると、図12の8時までの時間帯における各部屋の暖房装置は、第2のモードで運転することによって、室温を21℃に保っている。また、この期間に部屋A2、A3、B2で消費される放熱量の合計(以下「総放熱量」と表記する)は、一定に保たれている。なお、図12の例では、部屋A2、A3、B2の目標温度を同一としたが、部屋毎に異なってもよいことは言うまでもない。
【0066】
次に、図10Aに示されるように、暖房システム制御部214は、地域熱供給業者100からSO信号を受信する(S301)。このSO信号には、SO開始時刻及びSO終了時刻を特定するための情報が含まれている。図12の例では、SO開始時刻を8時、SO終了時刻を9時とする。
【0067】
なお、「SO開始時刻及びSO終了時刻を特定するための情報」の具体例は特に限定されないが、例えば、「SO開始時刻:8時、SO終了時刻:9時」のように、SO開始時刻及びSO終了時刻そのものであってもよいし、「SO開始時刻:8時、SO時間:1時間」のように、SO開始時刻及びSO時間帯の長さを表す情報であってもよい。または、SO信号にはSO開始時刻が明示的に含まれず、SO信号の受信時刻をSO開始時刻としてもよい。この場合、SO信号には、SO終了時刻又はSO時間の長さを表す情報が含まれる。
【0068】
次に、暖房システム制御部214は、閾値温度決定処理を実行する(S302)。なお、実施の形態1では、全ての部屋に共通の閾値温度が決定される。この例では、閾値温度が19℃に決定されたとする。
【0069】
なお、実施の形態1における閾値温度は、例えば、暖房システム制御部214に予め設定されている固定値であってもよい。または、外気温度と閾値温度との対応関係を示すテーブルを暖房システム制御部214に保持させておき、外気温センサ213で検出された外気温度に対応する閾値温度を採用してもよい。この場合、テーブルに保持される外気温度と閾値温度との対応関係は、予め集合住宅112のある地域の過去の気象データ等を用いて、シミュレーションなどによって導出しておく必要がある。
【0070】
次に、暖房システム制御部214は、SO信号から取得したSO開始時刻及びSO終了時刻と、閾値温度決定処理で決定された閾値温度とを、各部屋の暖房装置制御部204に通知する(S303)。
【0071】
次に、図11に示されるように、各部屋の暖房装置制御部204は、SO開始時刻、SO終了時刻、及び閾値温度を、暖房システム制御部214から取得する(S401)。
【0072】
次に、各部屋の暖房装置制御部204は、SO開始時刻(8時)が到来するのを待つ(S402)。そして、SO開始時刻が到来すると(S402でYES)、各部屋の暖房装置制御部204は、バルブ202を閉止する(S403)。すなわち、各部屋の暖房装置制御部204は、暖房装置の運転モードを第2のモードから停止モードに切り替える。その結果、8時以降の総放熱量は0になる。また、各部屋A2、A3、B2の室温は8時から徐々に低下する。
【0073】
次に、各部屋の暖房装置制御部204は、所定の時間間隔(例えば1秒)毎に室温センサ203から取得した室温と、ステップS401で取得した閾値温度とを比較する(S404)。そして、室温が閾値温度に達した場合(S404でYES)、暖房装置制御部204は、バルブ202を開放してラジエータ201に放熱を再開させる(S405)。具体的には、暖房装置制御部204は、暖房装置の運転モードを停止モードから第1のモードに切り替える。また、暖房装置制御部204は、放熱を再開したことを暖房システム制御部214に通知する(S406)。
【0074】
図12は、暖房システムの制御処理が実行された場合において、部屋A2、A3、B2の室温変化及び総放熱量の推移を示す図である。横軸は時刻、縦軸は室温(℃)と総放熱量(W)とを示している。
【0075】
図12の例では、部屋A3の室温が8時25分に閾値温度(19℃)に達する。そこで、まず、部屋A3の暖房装置(以下「暖房装置A3」と表記する)が放熱を再開する。その結果、図12に示されるように、部屋A3の室温が徐々に上昇する。また、8時25分以降の総放熱量は、暖房装置A3の放熱量に一致する。
【0076】
次に、部屋A2の室温が8時35分に閾値温度に達し、部屋A2の暖房装置(以下「暖房装置A2」と表記する)が放熱を再開する。その結果、図12に示されるように、部屋A2の室温が徐々に上昇する。また、8時35分以降の総放熱量は、暖房装置A2、A3からの放熱量の合計に一致する。
【0077】
次に、部屋A3の室温が8時48分に目標温度(21℃)に達すると、部屋A3の暖房装置制御部204は、暖房装置A3の運転モードを第1のモードから第2のモードに切り替える。その結果、部屋A3の室温は21℃に保たれる。また、8時48分以降の総放熱量は、暖房装置A3の運転モードを第1のモードから第2のモードに切り替えた分だけ減少する。
【0078】
次に、SO終了時刻である9時になると、室温が閾値温度に達したか否かにかかわらず、全ての部屋の暖房装置の放熱が再開される。図12の例では、暖房装置A2、A3の放熱は既に再開されているので、残りの部屋B2の暖房装置(以下「暖房装置B2」と表記する)が放熱を再開する。その結果、部屋B2の室温が徐々に上昇する。また、9時以降の総放熱量は暖房装置A2、A3、B2からの放熱量の合計に一致する。
【0079】
そして、部屋A2の室温が9時10分に目標温度に達し、次いで部屋B2の室温が9時50分に目標温度に達したことにより、全ての部屋の暖房装置の運転モードが、第2のモードに切り替わる。その結果、これ以降の部屋A2、A3、B2の室温は目標温度に保たれ、総放熱量はSO開始時刻以前の水準に戻る。
【0080】
上記のように、SO時間帯の終了前であっても、室温が閾値温度に達した部屋の暖房装置に放熱を再開させることにより、一部の部屋の室温が極端に低下するのを防止することができる。その結果、集合住宅112の各部屋の快適性を平準化することができる。
【0081】
また、SO開始時刻に全ての暖房装置の放熱を一旦停止させることにより、特にSO時間帯の前半の時間帯での放熱量を削減することができる。なお、SO時間帯の後半の時間帯では一部の暖房装置が放熱を再開するので、全ての暖房装置を完全に停止させる場合と比較すれば放熱量は増加するものの、通常運転(SO時間帯の制御を行わない場合)と比較すれば、放熱量の削減が期待できる。すなわち、実施の形態1によれば、総消費熱量の削減と各部屋の快適性の維持とをバランス良く両立することができる。
【0082】
さらに、上記の制御を行うことにより、放熱再開のタイミングが暖房装置毎にバラバラになる。その結果、SO終了時刻に全ての暖房装置が一斉に第1のモードで放熱を再開するのを防止することができる。これにより、SO時間帯の終了直後に総消費熱量のピークが生じるのを防止することができる。
【0083】
そして上記のように、SO時間帯及びSO時間帯終了直後における総消費熱量のピークが平準化されたことにより、地域熱供給業者100にとっては、ピーク時間帯に必要な熱量を賄うために、割高な燃料を用いて生熱する必要がなくなるメリットを享受できる。
【0084】
次に、図10Bを参照して、暖房システム制御部214によって実行される抑制熱量通知処理を説明する。なお、この処理は、例えば図10Aの暖房システム制御処理と同時に実行されてもよいし、暖房システム制御処理終了後に実行されてもよい。また、この処理は、本発明に必須の処理ではなく、省略することができる。
【0085】
まず、図10Bに示されるように、暖房システム制御部214は、集合住宅112周辺の外気温度を外気温センサ213から取得する(S311)。外気温度の取得タイミングは、例えば、SO開始時刻とすればよい。
【0086】
次に、暖房システム制御部214は、取得した外気温度を用いて、部屋毎の抑制熱量を予測する(S312)。抑制熱量は、外気温度と、SO時間帯の長さと、各部屋の断熱性能とによって変化する。そこで、暖房システム制御部214は、例えば、外気温度と、SO時間帯の長さと、抑制熱量との対応関係をシミュレーション等によって予め部屋毎に算出し、保持しておけばよい。
【0087】
次に、暖房システム制御部214は、各部屋の抑制熱量を合計することによって総抑制熱量を予測し(S313)、予測した総抑制熱量を通信回線を通じて地域熱供給業者100に通知する(S314)。この総抑制熱量は、例えば、図12のハッチングした領域の面積に相当する。これにより、地域熱供給業者100は、通知された総抑制熱量に基づいて、SO時間帯に生成する熱量を調整することができる。その結果、過剰な熱生成を回避することができる。
【0088】
以上の通り実施の形態1では、集合住宅112全体で消費される熱量(総消費熱量)を抑制しつつ、各部屋の特性に応じてラジエータ201を個別に制御することによって、ユーザの快適性を維持することができる。
【0089】
(実施の形態2)
次に、図13を参照して、実施の形態2に係る暖房システムの制御処理の概要を説明する。なお、図8と共通する処理には同一の番号を付し、説明を省略する。図8と図13とは、閾値温度の算出方法(図8のS220と、図13のS221、S222)が相違し、その他の処理は共通する。具体的には、実施の形態2においては、外気温度から各部屋の室温低下速度を計算し(S221)、この室温低下速度に基づいて閾値温度を部屋毎に決定する(S222)。なお、実施の形態2では、ステップS211、S222を暖房システム制御部214が実行する。但し、上記の役割分担は一例であって、これに限定されない。
【0090】
図14及び図15を参照して、実施の形態2に係る閾値温度決定処理を詳しく説明する。図14は、暖房システム制御部214によって実行される閾値温度決定処理のフローチャートである。図15は、実施の形態2に係る暖房システムの制御処理が実行された場合において、図3に示される集合住宅112の部屋A2、A3、B2の温度変化及び総放熱量の推移を示す図である。
【0091】
なお、実施の形態2に係る暖房システムの構成は、図5、図7A、図7Bと共通するので、再度の説明は省略する。また、実施の形態1、2は、図10Aの閾値温度決定処理(S302)の内容のみが相違し、その他の処理は共通する。
【0092】
まず、図14に示されるように、暖房システム制御部214は、集合住宅112周辺の外気温度を取得する(S501)。外気温度の取得タイミングは、例えば、SO開始時刻とすればよい。
【0093】
次に、暖房システム制御部214は、放熱を停止した後の各部屋の温度低下速度を算出する(S502)。室温低下速度は、例えば、ステップS501で取得した外気温度と、予め保持している各部屋の断熱性能とに基づいて算出することができる。
【0094】
次に、暖房システム制御部214は、ステップS502で算出した温度低下速度に基づいて、閾値温度を部屋毎に算出する(S503)。より具体的には、暖房システム制御部214は、室温低下速度の速い部屋の閾値温度を相対的に高く設定し、室温低下速度の遅い部屋の閾値温度を相対的に低く設定する。
【0095】
ここで、室温低下速度は、体感温度に大きく影響する。具体的には、室温低下速度が速い部屋は、室温低下速度が遅い部屋と同じ室温であったとしても寒く感じる。すなわち、図15の例では、部屋A3の体感温度が最も低く、部屋B2の体感温度が最も高いことになる。
【0096】
そこで、暖房システム制御部214は、部屋A3の閾値温度を部屋A2、B2より高く設定し、部屋A2の閾値温度を部屋B2より高く設定する。この例では、部屋A3の閾値温度が19℃、部屋A2の閾値温度が18℃、部屋B2の閾値温度が17℃に設定されたとする。その結果、部屋A2の放熱再開時刻が、図12の例では8時35分であったのに対して、図15の例では8時40分と5分遅くなっている。
【0097】
このように、体感温度の低い(すなわち、室温低下速度が速い)部屋の閾値温度を相対的に高く設定することにより、室温があまり下がらないうちに放熱を再開することができる。一方、体感温度の高い(すなわち、室温低下速度が遅い)部屋の閾値温度を相対的に低く設定することにより、放熱再開を遅らせることができる。その結果、快適性の低い部屋では放熱量の削減より快適性の維持が優先され、快適性の高い部屋では放熱量の削減が重視される。すなわち、実施の形態2によれば、総消費熱量の削減と各部屋の快適性の維持とを、さらにバランス良く両立することができる。
【0098】
(実施の形態3)
次に、図16を参照して、実施の形態3に係る暖房システムの制御処理の概要を説明する。なお、図8と共通する処理には同一の番号を付し、説明を省略する。まず、図16の制御処理では、SO開始時刻からSO終了時刻まで全ての暖房装置の放熱を停止させるので、閾値温度を算出する処理(図8のS220)及び室温と閾値温度とを比較する処理(図8のS240)は必要ない。その一方で、図16の制御処理では、SO時間帯の終了時刻における各部屋の室温を取得し(S241)、取得した室温に基づいて暖房装置の放熱再開順序を決定する(S242)処理が新たに追加される。なお、実施の形態3では、ステップS241を暖房装置制御部204が実行し、ステップS242を暖房システム制御部214が実行する。但し、上記の役割分担は一例であって、これに限定されない。
【0099】
図17A、図17B、図18、及び図19を参照して、実施の形態3に係る暖房システムの制御方法を詳しく説明する。図17Aは、暖房システム制御部214によって実行される暖房システム制御処理のフローチャートである。図17Bは、暖房システム制御部214によって実行される運転条件決定処理のフローチャートである。図18は、各部屋の暖房装置制御部204によって実行される暖房装置制御処理のフローチャートである。図19は、実施の形態3に係る暖房システムの制御処理が実行された場合において、図3に示される集合住宅112の部屋A2、A3、B2の温度変化及び総放熱量の推移を示す図である。なお、実施の形態3に係る暖房システムの構成は、図5、図7A、図7Bと共通するので、再度の説明は省略する。
【0100】
まず、図17Aに示されるように、暖房システム制御部214は、地域熱供給業者100からSO信号を受信する(S601)。この処理は、図10AのステップS301と共通する。そして、暖房システム制御部214は、SO信号から取得したSO開始時刻及びSO終了時刻を、各部屋の暖房装置制御部204に通知する(S602)。暖房システム制御部214は、ここまでの処理をSO開始時刻以前に実行する。
【0101】
次に、図18に示されるように、各部屋の暖房装置制御部204は、SO開始時刻及びSO終了時刻を、暖房システム制御部214から取得する(S701)。
【0102】
次に、各部屋の暖房装置制御部204は、SO開始時刻(8時)が到来するのを待つ(S702)。そして、SO開始時刻が到来すると(S702でYES)、各部屋の暖房装置制御部204は、バルブ202を閉止する(S703)。すなわち、各部屋の暖房装置制御部204は、暖房装置の運転モードを第2のモードから停止モードに切り替える。その結果、8時以降の総放熱量は0になる。また、各部屋A2、A3、B2の室温は8時から徐々に低下する。
【0103】
次に、各部屋の暖房装置制御部204は、SO終了時刻(9時)が到来するのを待つ(S704)。なお、実施の形態3では、SO時間帯に放熱を再開することがないので、図19に示されるように、SO時間帯における部屋A2、A3、B2の室温は、いずれも単調減少する。
【0104】
そして、SO終了時刻が到来すると(S704でYES)、各部屋の暖房装置制御部204は、室温センサ203で検出された室温を暖房システム制御部214に通知する(S704)。図19の例では、SO終了時刻における部屋A3の室温が15℃、SO終了時刻における部屋A2の室温が16.5℃、SO終了時刻における部屋B2の室温が19℃であったとする。
【0105】
次に、図17Aに戻って、暖房システム制御部214は、各部屋の暖房装置の運転条件を決定する(S603)。
【0106】
具体的には、図17Bに示されるように、暖房システム制御部214は、SO終了時刻における各部屋の室温を取得する(S611)。すなわち、暖房システム制御部214は、各部屋の室温センサ203で検出されたSO終了時刻の室温を、各部屋の暖房装置制御部204を通じて取得する。
【0107】
次に、暖房システム制御部214は、各部屋に設置されている暖房装置の放熱再開順序を決定する(S612)。暖房システム制御部214は、例えば、目標温度とステップS611で取得した室温との差を部屋毎に算出し、この差が大きい部屋の暖房装置から順に放熱が再開されるように、放熱再開順序を決定すればよい。図19の例では、全ての部屋の目標温度が21℃であり、SO終了時刻における各部屋の室温は前述した通りであるので、部屋A3、部屋A2、部屋B3の順に放熱が再開されることになる。
【0108】
なお、上記の方法で放熱再開順序を決定する場合、暖房システム制御部214は、各部屋の目標温度を暖房装置制御部204から取得する必要がある。目標温度の取得タイミングは特に限定されないが、例えば、ステップS611のタイミングで、SO終了時刻における室温と共に目標温度を取得してもよい。または、暖房システム制御部214は、暖房装置制御部204に新たな目標温度が設定されたタイミングで、当該新たな目標温度を暖房装置制御部204から取得し、記憶しておいてもよい。
【0109】
また、図19の例では、全ての部屋の目標温度を同一(21℃)としたので、SO終了時刻における室温の低い部屋から順に放熱が再開されることになる。しかしながら、目標温度は部屋毎に異なってもよく、この場合には、SO終了時刻における室温が最も低い部屋から順に放熱が再開されるとは限らない。なぜなら、目標温度とステップS611で取得した室温との差を部屋毎に算出し、この差が大きい部屋の暖房装置から順に放熱が再開されるように、放熱再開順序を決定するからである。
【0110】
次に、暖房システム制御部214は、各部屋の暖房装置の単位時間当たりの放熱量を決定する(S613)。単位時間当たりの放熱量の決定方法は特に限定されないが、例えば、放熱再開から目標温度に達するまでの時間が全ての部屋で同じ(図19の例では、5分間)になるようにしてもよい。すなわち、暖房システム制御部214は、SO終了時刻における室温と目標温度との差が大きい部屋の単位時間当たりの放熱量を相対的に大きく設定し、SO終了時刻における室温と目標温度との差が小さい部屋の単位時間当たりの放熱量を相対的に小さく設定すればよい。図19のこの例では、暖房装置A3の単位時間当たりの放熱量が最も大きく設定され、暖房装置B2の単位時間当たりの放熱量が最も小さく設定される。
【0111】
次に、暖房システム制御部214は、各部屋の暖房装置の放熱再開時刻を決定する(S614)。各暖房装置の放熱再開時刻は、複数の暖房装置が同時に第1のモードで放熱を行なわないように決定されるのが望ましい。すなわち、暖房システム制御部214は、第1のモードで放熱している暖房装置が設置されている部屋の室温が目標温度に達したタイミングで、次の暖房装置が第1のモードで放熱を再開するように、各暖房装置の放熱再開時刻を決定すればよい。
【0112】
図19の例では、SO終了時刻の9時に暖房装置A3で放熱が再開され、部屋A3が目標温度に達する9時5分に暖房装置A2で放熱が再開され、部屋A2が目標温度に達する9時10分に暖房装置B2で放熱が再開されるように、各暖房装置の放熱再開時刻が決定される。また、部屋A2、B2の暖房装置制御部204は、SO時刻終了後から各部屋A2、B2の放熱が再開されるまでの間は、SO終了時刻における室温を維持するように、各暖房装置を制御する。
【0113】
次に、図17Aに再び戻って、暖房システム制御部214は、決定した運転条件を各部屋の暖房装置制御部204に通知する(S604)。具体的には、暖房システム制御部214は、放熱開始時刻と単位時間当たりの放熱量とを、運転条件として各部屋の暖房装置制御部204に通知すればよい。
【0114】
次に、図18に戻って、各部屋の暖房装置制御部204は、暖房システム制御部214から運転条件を取得する(S706)。そして、各部屋の暖房装置制御部204は、取得した運転条件に従ってバルブ202を開放、すなわち、ラジエータ201からの放熱を再開する(S707)。
【0115】
図19の例では、部屋A3の暖房装置制御部204は、SO終了時刻である9時に暖房装置A3に第1のモードで放熱を再開させる。また、部屋A2、B2の暖房装置制御部204は、それぞれ部屋A2、B2の現在の室温を維持するために、暖房装置A2、B2に第2のモードで放熱を再開させてもよい。その結果、部屋A3の室温は徐々に増加し、部屋A2、B2の室温は一定に保たれる。
【0116】
次に、9時5分に部屋A3の室温が目標温度に達すると、部屋A3の暖房装置制御部204は、暖房装置A3の運転モードを第1のモードから第2のモードに切り替える。その結果、これ以降の部屋A3の室温は目標温度に保たれる。また、これと同時に、部屋A2の暖房装置制御部204は、暖房装置A2の運転モードを第2のモードから第1のモードに切り替える。その結果、部屋A2の室温は徐々に増加する。
【0117】
次に、9時10分に部屋A2の室温が目標温度に達すると、部屋A2の暖房装置制御部204は、暖房装置A2の運転モードを第1のモードから第2のモードに切り替える。その結果、これ以降の部屋A2の室温は目標温度に保たれる。また、これと同時に、部屋B2の暖房装置制御部204は、暖房装置B2の運転モードを第2のモードから第1のモードに切り替える。その結果、部屋B2の室温は徐々に増加する。
【0118】
そして、9時15分に部屋B2の室温が目標温度に達すると、部屋B2の暖房装置制御部204は、暖房装置B2の運転モードを第1のモードから第2のモードに切り替える。その結果、これ以降の部屋B2の室温は目標温度に保たれる。また、これ以降の総放熱量は、SO開始時刻以前の水準に戻る。
【0119】
上記のように、SO時間帯に全ての暖房装置を停止させることにより、消費熱量のピークを平準化することができる。また、SO終了時刻に全ての暖房装置を一斉に再稼動させないので、SO終了直後に総消費熱量のピークが生じることも防止できる。
【0120】
さらに、SO終了時刻における室温と目標温度との差が大きい部屋の暖房装置から順に再稼動させるので、各部屋の快適性を平準化することができる。ここで、「SO終了時刻における室温と目標温度との差が大きい部屋」とは、室温低下速度が速い部屋のことを指す。すなわち、前述したように、体感温度が低い(快適性が低い)部屋の暖房装置から順に再稼動させることになる。
【0121】
(その他の実施の形態)
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
【0122】
上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0123】
上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成要素を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶さている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0124】
上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有してもよい。
【0125】
本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであってもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であってもよい。
【0126】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録してもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
【0127】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
【0128】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作してもよい。
【0129】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施してもよい。
【0130】
上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0131】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、複数の暖房装置を備える暖房システムに有利に利用される。
【符号の説明】
【0133】
1 ボイラ
4 リモートコントローラ
5 無線受信機
6,202 バルブ
7,201 ラジエータ
10 暖房システム
20 制御部
21 通信部
22 検出部
23 運転制御部
24 予測部
31,32,33,34,35,36 暖房装置
100 地域熱供給業者
101 工場
102 発電所
110 地域熱消費者
111 戸建て住宅
112 集合住宅
203 室温センサ
204 暖房装置制御部
210 熱交換器
211 熱量計
212 ポンプ
213 外気温センサ
214 暖房システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部屋それぞれに設置され、熱供給源で生成された熱を放熱することによって、設置された部屋を暖房する複数の暖房装置を制御する暖房システムの制御方法であって、
前記複数の暖房装置からの放熱を抑制することを要求する放熱抑制指示を、前記熱供給源から取得する取得ステップと、
前記取得ステップで前記放熱抑制指示を取得したことに応じて、前記複数の暖房装置の放熱を停止させる放熱停止ステップと、
前記複数の部屋それぞれの室温を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで検出された室温に応じて、各部屋に設置されている前記暖房装置の放熱を個別に再開させる放熱再開ステップとを含む
暖房システムの制御方法。
【請求項2】
前記複数の暖房装置それぞれには、予め目標温度が設定されており、
前記放熱再開ステップでは、前記検出ステップで検出された室温が予め定められた閾値温度に達した部屋から順に、室温を前記目標温度まで上昇させる第1のモードで前記暖房装置に放熱を再開させる
請求項1に記載の暖房システムの制御方法。
【請求項3】
該暖房システムの制御方法は、さらに、前記複数の暖房装置それぞれに設定される前記目標温度を個別に決定する閾値温度決定ステップを含み、
前記閾値温度決定ステップでは、設置されている部屋の室温低下速度が速いほど前記閾値温度が高くなるように、前記複数の暖房装置それぞれの前記閾値温度を個別に決定する
請求項2に記載の暖房システムの制御方法。
【請求項4】
該暖房システムの制御方法は、さらに、
前記放熱抑制指示によって抑制される放熱量である抑制熱量を、前記暖房装置毎に予測する予測ステップと、
前記予測ステップで予測された前記暖房装置毎の抑制熱量の合計である総抑制熱量を、前記熱供給源に通知する通知ステップとを含む
請求項1〜3のいずれか1項に記載の暖房システムの制御方法。
【請求項5】
前記複数の暖房装置それぞれには、予め目標温度が設定されており、
前記取得ステップで取得される前記放熱抑制指示は、放熱の抑制を終了する時刻である抑制終了時刻を特定する情報を含み、
前記放熱再開ステップでは、前記検出ステップで検出された前記抑制終了時刻における室温と前記目標温度との差が大きい部屋から順に、室温を前記目標温度まで上昇させる第1のモードで前記暖房装置に放熱を再開させる
請求項1に記載の暖房システムの制御方法。
【請求項6】
前記放熱再開ステップでは、前記複数の暖房装置それぞれに、前記抑制終了時刻から前記第1のモードで放熱を再開するまでの間、前記抑制終了時刻における室温を維持する第2のモードで放熱させる
請求項5に記載の暖房システムの制御方法。
【請求項7】
前記放熱開始ステップでは、前記第1のモードで放熱している前記暖房装置が設置されている部屋の室温が前記目標温度に達したタイミングで、次の前記暖房装置に前記第1のモードで放熱を再開させる
請求項5又は6に記載の暖房システムの制御方法。
【請求項8】
前記放熱再開ステップでは、前記抑制終了時刻における室温と前記目標温度との差が大きい程、前記第1のモードで放熱する前記暖房装置の単位時間当たりの放熱量を増加させる
請求項5〜7のいずれか1項に記載の暖房システムの制御方法。
【請求項9】
熱供給源で生成された熱で複数の部屋それぞれを暖房する暖房システムであって、
前記複数の部屋それぞれに設置される複数の暖房装置と、
前記複数の暖房装置それぞれの運転を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記複数の暖房装置からの放熱を抑制することを要求する放熱抑制指示を、前記熱供給源から取得する取得部と、
前記複数の部屋それぞれの室温を検出する検出部と、
前記取得部で前記放熱抑制指示を取得したことに応じて、前記複数の暖房装置の放熱を停止させ、前記検出ステップで検出された室温に応じて、各部屋に設置されている前記暖房装置の放熱を個別に再開させる運転制御部とを備える
暖房システム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記取得部と、前記運転制御部の一部に相当する第1運転制御部とを備える第1制御部と、
前記検出部と、前記運転制御部の他の一部に相当する第2運転制御部とを備え、部屋毎に設けられる第2制御部とで構成される
請求項9に記載の暖房システム。
【請求項11】
前記複数の暖房装置それぞれには、予め目標温度が設定されており、
前記第1運転制御部は、前記取得部で取得された前記放熱抑制指示に含まれる放熱抑制開始時刻と、室温の下限値を示す閾値温度とを各部屋の前記第2制御部に送信し、
前記第2運転制御部は、
前記第1運転制御部から取得した前記放熱抑制開始時刻に、前記暖房装置の放熱を停止させ、
前記検出部で検出された室温が前記第1運転制御部から取得した前記閾値温度に達した場合に、室温を前記目標温度まで上昇させる第1のモードで前記暖房装置に放熱を再開させる
請求項10に記載の暖房システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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