説明

暖房便座

【課題】面状ヒータの疑似短絡による異常状態を招かないようにする。
【解決手段】発熱用導電膜4aが線状に延びる発熱用導電膜パターン4からなる面状ヒータ3を便座躯体2の着座面側に配置して着座面1aを加熱する暖房便座1において、発熱用導電膜パターン4の隣接する発熱用導電膜4a,4aの間に、発熱用導電膜4aに沿って延びる検知用導電層5を設けたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱用導電膜パターンからなる面状ヒータで着座面を加熱する暖房便座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の暖房便座は、特許文献1に記載のものがあり、発熱用導電膜が線状に延びる発熱用導電膜パターンからなる面状ヒータを、基材への導電ペーストの印刷又は基材に貼り付けられている金属箔のエッチングで形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−212030
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、面状ヒータは、発熱用導電膜に至った湿気で生じた腐食物が、発熱用導電膜の際から外側へウイスカー現象の如く成長して隣接する発熱用導電膜へ接近又は到達する不良箇所や、発熱用導電膜パターンの形成時に生じた不良部分が隣接する発熱用導電膜へ接近又は接触する不良箇所や、発熱用導電膜パターンの形成時に付着したが異物が隣接する発熱用導電膜に跨がるように接近又は接触する不良箇所を生じさせる可能性がある。このような不良箇所により隣接する発熱用導電膜の間で疑似短絡を生じさせたときには、着座面の加熱が不均一になる等の異常状態を招くことがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するために、異常状態を招かないようにできる暖房便座の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
異常状態を招かないようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、発熱用導電膜が線状に延びる発熱用導電膜パターンからなる面状ヒータを便座躯体の着座面側に配置して着座面を加熱する暖房便座において、発熱用導電膜パターンの隣接する発熱用導電膜の間に、発熱用導電膜に沿って延びる検知用導電層を設けたことを特徴とする暖房便座である。
【0007】
便座躯体と面状ヒータの製造の切り離しができるようにするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、絶縁シート状基材の一方面に発熱用導電膜パターン及び検知用導電層を設け、便座躯体の着座面側に絶縁シート状基材の他方面を接合した請求項1記載の暖房便座である。
【0008】
便座躯体と面状ヒータの製造の切り離しができるようにするために請求項3記載の本発明が採用した手段は、絶縁シート状基材の一方面に発熱用導電膜パターン及び検知用導電層を設け、便座躯体の着座面側に絶縁シート状基材の一方面を対向させた請求項1記載の暖房便座である。
【0009】
構造を簡単にするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、便座躯体に発熱用導電膜パターン及び検知用導電層を直接接合した請求項1記載の暖房便座である。
【0010】
複数の検知用導電層を分散できるようにするために請求項5記載の本発明が採用した手段は、分散した複数の検知用導電層を残して発熱用導電膜パターンを覆う絶縁層と、絶縁層を覆って複数の検知用導電層に接合した結線用導電層とを備えた請求項1乃至4のいずれか1項記載の暖房便座である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明に係る暖房便座は、発熱用導電膜パターンの隣接する発熱用導電膜を疑似短絡させるような不良箇所が生じたときに、発熱用導電膜と検知用導電層の間の電気抵抗が、不良個所のない正常状態に比べて小さくなる。この電気抵抗の変化に基づいて発熱用導電膜パターンの不良状態の有無を検知して、発熱用導電膜パターンの給電を停止する等して異常状態を招かないようにすることが可能となる。
【0012】
請求項2及び3記載の本発明に係る暖房便座は、便座躯体の着座面側に絶縁シート状基材を接合する前において、便座躯体と面状ヒータを個別に扱うことができる。これにより、便座躯体と面状ヒータの製造の切り離しが可能となる。
【0013】
請求項4記載の本発明に係る暖房便座は、便座躯体に発熱用導電膜パターン及び検知用導電層を直接設けて構造を簡単にすることができる。
【0014】
請求項5記載の本発明に係る暖房便座は、複数の検知用導電層を結合用導電層で接合することで、複数の検知用導電層を分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る暖房便座(以下、「本発明暖房便座」と言う。)の第1の実施の形態を示すものであって、図(A)は本発明暖房便座1の平面図であり、右半分が図(B)のa−a線で断面したものを示すと共に左半分が外面を示す、図(B)は図(A)のb−b線で断面した拡大図、図(C)は図(A)のc−c線で断面した側面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る本発明暖房便座1を構成する面状ヒータ3の製造手順を示すものであって、図(A)は絶縁シート状基材6に発熱用導電膜パターン4を形成した平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した拡大図、図(C)は隣接する発熱用導電膜4a,4aの間に充填用空間部10を残して絶縁層7で発熱用導電膜パターン4を覆った状態を示す平面図、図(D)は図(C)のd−d線で断面した拡大図である。
【図3】面状ヒータ3の製造手順の続きを示すものであって、図(A)は充填用空間部10に充填した検知用導電層5及び絶縁層7を覆う結線用導電層8で複数の検知用導電層5を結線した状態を示す平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した拡大図である。
【図4】第1の実施の形態に係る本発明暖房便座1を構成する面状ヒータ3に生じた不良個所11を更に拡大した側面断面図である。
【図5】第2の実施の形態に係る本発明暖房便座21の製造手順を示すものであって、図(A)は左右に分離した各絶縁シート状基材6に発熱用導電膜パターン4を形成した平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した拡大図、図(C)は隣接する発熱用導電膜4a,4aの間に充填用空間部10を残して発熱用導電膜パターン4を絶縁層7で覆った状態を示す平面図、図(D)は図(C)のd−d線で断面した拡大図、図(E)は充填用空間部10に充填した検知用導電層5及び絶縁層7を覆う結線用導電層8で複数の検知用導電層5を結線した面状ヒータ3(3A,3B)を備えた本発明暖房便座21の断面(断面箇所は図(C)のd−d線に相当)した拡大図である。
【図6】第3の実施の形態に係る本発明暖房便座31の製造手順を示すものであって、図(A)は絶縁シート状基材6に形成した隣接する発熱用導電膜4a,4aの間に充填用空間部10(充填用空間部10には検知用導電層5が充填される)を残すと共に、発熱用導電膜パターン4の内側及び外側に充填用空間部39A,39B(充填用空間部39A,39Bには結線用導電層38A,38Bが充填される)を残して発熱用導電膜パターン4を絶縁層7で覆った状態を示す平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した拡大図、図(C)は充填用空間部10に検知用導電層5を充填すると共に充填用空間部39A,39Bに結線用導電層38A,38Bを充填した状態を示す面状ヒータ3の断面図(断面箇所は図(A)のb−b線に相当)、図(D)は面状ヒータ3を備えた本発明暖房便座31の断面(断面箇所は図(A)のb−b線に相当)した拡大図である。
【図7】第4の実施の形態に係る本発明暖房便座41の製造手順を示すものであって、図(A)は絶縁シート状基材6に発熱用導電膜パターン4、検知用導電層5及び結線用導電層48A,48Bのパターンを形成した状態を示す平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した拡大図、図(C)は発熱用導電膜パターン4、検知用導電層5及び結線用導電層48A,48Bのパターンを絶縁層7で覆った状態の面状ヒータ3を示す断面図(断面箇所は図(A)のb−b線に相当)、図(D)は面状ヒータ3を備えた本発明暖房便座41の断面(断面箇所は図(A)のb−b線に相当)した拡大図である。
【図8】第5の実施の形態に係る本発明暖房便座51の製造手順を示すものであって、図(A)は絶縁シート状基材6に発熱用導電膜パターン4及び検知用導電層5を形成した状態を示す平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した拡大図、図(C)は各検知用導電層5の上に充填用空間部10を残して絶縁層7で発熱用導電膜パターン4を覆った状態を示す断面した拡大図、図(D)は分散した複数の充填用空間部10に充填して絶縁層7を覆う結線用導電層8で検知用導電層5同士を結線した状態を示す断面した拡大図、図(E)は本発明暖房便座51の断面(断面箇所は図(A)のb−b線に相当)した拡大図である。
【図9】第6の実施の形態に係る本発明暖房便座61の製造手順を示すものであって、図(A)は絶縁シート状基材6の下面に発熱用導電膜パターン4及び検知用導電層5を形成した状態を示す平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した拡大図、図(C)は本発明暖房便座61の断面(断面箇所は図(A)のb−b線に相当)した拡大図である。
【図10】第7の実施の形態に係る本発明暖房便座71を示すものであって、図(A)は平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る本発明暖房便座1は、図1に示す如く、便座躯体2と、発熱用導電膜4aが線状に延びる発熱用導電膜パターン4を設けた面状ヒータ3とを備え、便座躯体2の着座面側に面状ヒータ3を配置して着座面1aを加熱するようにしてある。本発明暖房便座1は、便座躯体2と面状ヒータ3を別体に形成し、便座躯体2の着座面側に面状ヒータ3を接着又は粘着等で接合し、便座躯体2と面状ヒータ3の製造の切り離しができるようにしてある。
【0017】
本発明暖房便座1の改良点は、面状ヒータ3に設けられた発熱用導電膜パターン4の隣接する発熱用導電膜4a,4aの間に、発熱用導電膜4aの長手方向に沿って延びる検知用導電層5を設け、発熱用導電膜パターン4に生じる不良状態を検知用導電層5を用いて検知できるようにしたことである。
【0018】
前記面状ヒータ3は、絶縁シート状基材6の一方面(上面)に発熱用導電膜パターン4及び検知用導電層5を設け、絶縁シート状基材6の他方面(下面)を便座躯体2の着座面側に接合してある。本例の面状ヒータ3は、検知用導電層5を残して発熱用導電膜パターン4を覆う絶縁層7と、絶縁層7及び検知用導電層5を覆って検知用導電層5に接合した結線用導電層8とを備えている。面状ヒータ3は、化粧層9で結線用導電層8が覆われている。本例の面状ヒータ3は、複数の検知用導電層5を結合用導電層8で接合することで、独立した複数の検知用導電層5を分散させることができる。
【0019】
前記面状ヒータ3の絶縁シート状基材6は、図1(B)に示す如く、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリイミド等の合成樹脂素材からなる厚みT1が25〜100μm程度(好ましくは、60μm)の可撓性のあるシートが用いられる。発熱用導電膜パターン4を形成する発熱用導電膜4aは、絶縁シート状基材6に接合され、銅箔等の金属箔、導電ペースト又は銅等の金属メッキ等からなり、厚みT2が10〜100μm程度(好ましくは、35μm)で幅W1が1.0〜6.0mm程度(好ましくは、3.5mm)の直線と曲線の組合せで一本のジグザグ線状に延びている。発熱用導電膜パターン4は、便座着座面1aが所望の温度分布となるように、隣接する発熱用導電膜4aの直線同士の間隔W3を2.5〜6.0mm程度(好ましくは、3.5mm)としてある。発熱用導電膜4aを印刷するための導電ペーストとしては、銀粒子、銀合金粒子、銅粒子又は銅合金粒子にABS樹脂等を溶剤と共に練り込んだもの、カーボンとオレフィン系樹脂を混合したカーボンペースト等を用いることができる。発熱用導電膜パターン4は、その両端に接続端子4b,4bを形成してある。
【0020】
前記発熱用導電膜パターン4を覆う絶縁層7は、図1(B)及び図2(C)(D)に示す如く、アクリル樹脂等の絶縁材からなり、厚みT3が10〜100μm程度(好ましくは、35μm)で、発熱用導電膜4aの長手両側縁の各々からのはみ出し幅W4が0.7〜2.0mm程度(好ましくは、1.2mm)となるように設けられ、隣接する発熱用導電膜4aの間に、検知用導電層5を設けるための充填用空間部10(図2(C)及び(D)参照)を残してある。前記検知用導電層5は、絶縁層7に残され充填用空間部10へ充填されて絶縁シート状基材6へ接合した導電ペーストからなり、厚み(T2+T3)で幅W2(W2=W3−2×W4)としてある。
【0021】
前記結線用導電層8は、図1(B)及び図3に示す如く、絶縁層7を覆うようにして検知用導電層5に接合した導電ペーストからなり、厚みT4が10〜100μm程度(好ましくは、35μm)としてある。本例では、結線用導電層8と分散した複数の検知用導電層5が一体に形成され、検知用導電層5及び結線用導電層8を形成する導電ペーストとして、前記発熱用導電膜4aを印刷するための導電ペーストと同様なものが用いられる。
【0022】
前記化粧層9は、図1に示す如く、アクリル、ウレタン又はポリプロピレン(PP)等の合成樹脂層からなり、厚みT5が20〜200μm程度(好ましくは、100μm)としてある。
【0023】
前記便座躯体2は、図1(B)(C)に示す如く、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂素材から肉厚みを3.0〜5.0mm程度に成形され、後方左右の枢支部を便器本体(図示略)へ揺動自在に枢支させ、伏倒した使用状態のときに着座した使用者の荷重を支持する強度を確保するようにしてある。
【0024】
前記面状ヒータ3の製造は、例えば次の手順で行われる。先ず、発熱用導電膜パターン4を得るために、図2(A)(B)に示す如く、絶縁シート状基材6に張り付けた銅箔等の金属箔をエッチングするか、絶縁シート状基材6に導電ペーストをシルクスクリーン印刷等で印刷するか、又は絶縁シート状基材6に部分メッキを施す。次に、絶縁層7を得るために、図2(C)(D)に示す如く、絶縁シート状基材6の上に複数の充填用空間部10を残して、絶縁材を発熱用導電膜パターン4の上にシルクスクリーン印刷等の印刷又はインクジェット塗工若しくはスプレー塗工等の塗工で塗着し、その後に絶縁材を乾燥等で硬化させる。最後に、複数の検知用導電層5及び結線用導電層8を得るために、図3(A)(B)に示す如く、分散した複数の充填用空間部10及び絶縁層7の上に導電ペーストをシルクスクリーン印刷又はダイ塗工等で塗着して、各充填用空間部10に導電ペーストを充填すると共に絶縁層7を導電ペースト層で覆い、その後に乾燥等で導電ペーストを硬化させる。
【0025】
本発明暖房便座1の製造は、図示は省略したが、例えばプレス下型に成形済み便座躯体2を載置し、便座躯体2の着座面側に接着剤等を介して面状ヒータ3を重ねると共に、面状ヒータ3の表面に接着剤等を介して化粧層9を重ね、化粧層9をプレス上型で押圧することで、各接着剤を流動展開させて硬化させ、脱型後に仕上げて、便座躯体2に面状ヒータ3が接合されると共に面状ヒータ3に化粧層9が接合されている本発明暖房便座1を得る。
【0026】
本発明暖房便座1は、図4に示す如く、導電膜パターン4の隣接する発熱用導電膜4a,4aの間で疑似短絡させるような不良箇所11が生じたときに、発熱用導電膜4aと検知用導電層5の間の電気抵抗が、不良個所のない正常状態に比べて小さくなる。本発明暖房便座1に併設した測定・制御回路(図示略)を用いて、この電気抵抗の変化を、検知用導電層5と接合する結線用導電膜8と発熱用導電膜パターン4の間の電気抵抗の変化として測定し、発熱用導電膜パターン4の不良状態の存在を検知したならば、導電膜パターン4への給電を停止する等して異常状態を招かないようにする。なお、本例の構造では、着座面1a側から見ると、発熱用導電膜パターン4が結線用導電膜8で覆われているので、着座面1aが刃物等で傷つけられた場合でも、発熱用導電膜パターン4と結線用導電膜8が導通して異常を検知できる。
【0027】
(第2の実施の形態)
図5に示す本実施の形態に係る本発明暖房便座21(図5(E)参照)は、面状ヒータ3を左右の面状ヒータ3A,3Bに分割した点が前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図5において図1乃至図4と同一符号は相当部分を示す。
【0028】
本例の本発明暖房便座21は、面状ヒータ3を左右の面状ヒータ3A,3Bに分割することで、便座躯体2に各面状ヒータ3A,3Bを接合するとき、便座躯体2の表面形状に沿うように各面状ヒータ3A,3Bを変形させ易くすることができる。
【0029】
本発明暖房便座21の製造は、図示は省略したが、例えばプレス下型に成形済み便座躯体2を載置すると共に、便座躯体2の着座面側に接着剤等を介して面状ヒータ3A,3Bを重ねると共に、面状ヒータ3A,3Bの表面に接着剤等を介して化粧層9を重ね、化粧層9をプレス上型で押圧することで、各接着剤を流動展開させて硬化させ、脱型後に仕上げて、便座躯体2に面状ヒータ3A,3Bを接合すると共に面状ヒータ3A,3Bに化粧層9を接合した本発明暖房便座1を得る。
【0030】
(第3の実施の形態)
図6に示す本実施の形態に係る本発明暖房便座31(図6(D)参照)は、絶縁シート状基材6の一方面(上面)に、環状の発熱用導電膜パターン4の内側及び外側に結線用導電層38A,38Bを設けるための充填用空間部39A,39Bを分離して形成し、充填用空間部39Aに充填した結線用導電層38Aで、環状の発熱用導電膜パターン4の内側に配置される複数の検知用導電膜5を電気的に接合すると共に、充填用空間部39Bに充填した結線用導電層38Bで、発熱用導電膜パターン4の外側に配置される複数の検知用導電膜5を電気的に接合した点が前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図6において図1乃至図4と同一符号は相当部分を示す。
【0031】
本例の本発明暖房便座31は、絶縁シート状基材6の一方面(上面)に、検知用導電膜5に接合した結線用導電層38A,38Bと発熱用導電膜パターン4が面一に設けられるので、結線用導電層38A,38B及び発熱用導電膜パターン4に対するリード線等が取り付け易い。
【0032】
前記結線用導電層38A,38Bの各々は、線状に延びるため、適所に接続端子38cを設けてある。本例の本発明暖房便座31の面状ヒータ3は、絶縁シート状基材6に接合した結線用導電層38A,38Bで複数の検知用導電膜5を電気的に接合しているため、発熱用導電膜パターン4の上を結線用導電層8(図1(B)参照)で覆うことは、図4に示す不良箇所11の検出用途としては必要でない。
【0033】
(第4の実施の形態)
図7に示す本実施の形態に係る本発明暖房便座41(図7(D)参照)は、絶縁シート状基材6の一方面(上面)の上に、面状ヒータ3の発熱用導電膜パターン4、検知用導電層5、及び結線用導電層48A,48Bを設け、環状の発熱用導電膜パターン4の内側に位置する複数の検知用導電層5を結線用導電層48Aで結線すると共に、環状の発熱用導電膜パターン4の外側に位置する複数の検知用導電層5を結線用導電層48Bで結線し、これら発熱用導電膜パターン4、検知用導電層5及び結線用導電層48A,48Bの全体を絶縁層7で覆った点が前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図7において図1乃至図4と同一符号は相当部分を示す。
【0034】
前記発熱用導電膜パターン4、検知用導電層5及び結線用導電層48A,48Bは、絶縁シート状基材6に張り付けた銅箔等の金属箔をエッチングするか、絶縁シート状基材6に導電ペーストをシルクスクリーン印刷等で印刷するか、又は絶縁シート状基材6に銅等で部分メッキを施すことで得られる。前記発熱用導電膜パターン4、検知用導電層5及び結線用導電層48A,48Bの素材が同一の場合には、発熱用導電膜パターン4、検知用導電層5及び結線用導電層48A,48Bを得るための前記エッチング、印刷又は部分メッキを同時に行うことが可能となり、エッチング若しくは部分メッキのためのマスキング又は印刷のためのシルクスクリーン版が一つ又は必要最小限で済むため、発熱用導電膜パターン4、検知用導電層5及び結線用導電層48A,48Bの位置の精度及び製造効率を飛躍的に向上させることができる。なお、発熱用導電膜パターン4の素材と、検知用導電層5及び結線用導電層48A,48Bの素材とが異なる場合には、発熱用導電膜パターン4を得るための前記印刷又は部分メッキと、検知用導電層5及び結線用導電層48A,48Bを得るための前記印刷又は部分メッキとを別工程で行うとよい。
【0035】
前記結線用導電層48A,48Bの各々は、線状に延びるため、適所に接続端子48cを設けてある。
【0036】
(第5の実施の形態)
図8に示す本実施の形態に係る本発明暖房便座51(図8(E)参照)は、絶縁シート状基材6の一方面(上面)の上に、発熱用導電膜パターン4と発熱用導電膜4aの間に位置する複数の検知用導電層5とが先に形成され、検知用導電層5と別体に形成した結線用導電層8を検知用導電層5に接合した点が前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図8において図1乃至図4と同一符号は相当部分を示す。
【0037】
前記発熱用導電膜パターン4及び検知用導電層5は、絶縁シート状基材6に張り付けた銅箔等の金属箔をエッチングするか、絶縁シート状基材6に導電ペーストをシルクスクリーン印刷等で印刷するか、又は絶縁シート状基材6に銅等で部分メッキを施すことで得られる。前記発熱用導電膜パターン4及び検知用導電層5が同一の場合には、発熱用導電膜パターン4及び検知用導電層5を得るための前記エッチング、印刷又は部分メッキを同時に行うことが可能となり、エッチング若しくは部分メッキのためのマスキング又は印刷のためのシルクスクリーン版が一つ又は必要最小限で済むため、発熱用導電膜パターン4及び結検知用導電層5の位置の精度及び製造効率を飛躍的に向上させることができる。なお、発熱用導電膜パターン4の素材と、結検知用導電層5の素材とが異なる場合には、発熱用導電膜パターン4を得るための前記印刷又は部分メッキと、検知用導電層5を得るための前記印刷又は部分メッキとを別工程で行うとよい。
【0038】
前記面状ヒータ3の製造は、例えば次の手順で行われる。先ず、図8(A)(B)に示す如く、絶縁シート状基材6の一方面(上面)の上に、発熱用導電膜パターン4と分散した複数の検知用導電層5を先に形成する。次に、絶縁層7を得るために、図8(C)に示す如く、各検知用導電層5の上に充填用空間部10を残して、絶縁材を発熱用導電膜パターン4の上にシルクスクリーン印刷等の印刷又はインクジェット塗工若しくはスプレー塗工等の塗工で塗着し、その後に絶縁材を乾燥等で硬化させる。最後に、結線用導電層8を得るために、図8(D)に示す如く、分散した複数の充填用空間部10及び絶縁層7の上に導電ペーストをシルクスクリーン印刷又はダイ塗工等で塗着して、各充填用空間部10に導電ペーストを充填して検知用導電層5に接合すると共に絶縁層7を導電ペースト層で覆い、その後に乾燥等で導電ペーストを硬化させる。
【0039】
(第6の実施の形態)
図9に示す本実施の形態に係る本発明暖房便座61(図9(C)参照)は、面状ヒータ3における絶縁シート状基材6の一方面(下面)に発熱用導電膜パターン4及び検知用導電層5を設け、便座躯体2の着座面側に絶縁シート状基材6の一方面(下面)を対向させた点が前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図9において図1乃至図4と同一符号は相当部分を示す。
【0040】
本例の面状ヒータ3は、便座躯体2の着座面側に、面状ヒータ3の結線用導電層8を両面粘着テープ(図示略)や接着剤で接合される。
【0041】
(第7の実施の形態)
図10に示す本実施の形態に係る本発明暖房便座71は、便座躯体2の着座面側に直接接合させるようにして、発熱用導電膜パターン4、検知用導電層5及び絶縁層7を設けた点が前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図10において図1乃至図4と同一符号は相当部分を示す。
【0042】
発熱用導電膜パターン4は、便座躯体2に導電ペーストをインクジェット式で塗布する等して得ることができる。また、検知用導電層5についても、便座躯体2に導電ペーストをインクジェット式で塗布する等して得ることができる。化粧層9は、スプレー塗装する等して得ることができる。
【0043】
本例の本発明暖房便座71は、便座躯体2に導電膜パターン4、検知用導電層5及び絶縁層7を直接設けて構造を簡単にすることができる。
【0044】
(その他の実施の形態)
図6に示す第3の実施の形態に係る本発明暖房便座31、図7に示す第4の実施の形態に係る本発明暖房便座41、図8に示す第5の実施の形態に係る本発明暖房便座51及び図9に示す第6の実施の形態に係る本発明暖房便座61は、面状ヒータ3を、図5に示す面状ヒータ3と同様に左右の面状ヒータ3A,3Bに分割することも可能である。
【0045】
図5に示す第2の実施の形態に係る本発明暖房便座21、図6に示す第3の実施の形態に係る本発明暖房便座31、図7に示す第4の実施の形態に係る本発明暖房便座41及び図8に示す第5の実施の形態に係る本発明暖房便座51は、図9に示す面状ヒータ3と同様に、便座躯体2の着座面側に、面状ヒータ3の発熱用導電膜パターン4及び検知用導電層5を設けた絶縁シート状基材6の一方面を下面にして対向させることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1(21,31,41,51,61,71)…本発明暖房便座、1a…着座面、2…便座躯体、3(3A,3B)…面状ヒータ、4…発熱用導電膜パターン、4a…発熱用導電膜、4b…接続端子、5…検知用導電層、6…絶縁シート状基材、7…絶縁層、8…結線用導電層、9…化粧層、10…充填用空間部、38A,38B…結線用導電層、38c…接続端子、39A,39B…充填用空間部、48A,48B…結線用導電層、48c…接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱用導電膜が線状に延びる発熱用導電膜パターンからなる面状ヒータを便座躯体の着座面側に配置して着座面を加熱する暖房便座において、隣接する発熱用導電膜の間に、発熱用導電膜に沿って延びる検知用導電層を設けたことを特徴とする暖房便座。
【請求項2】
絶縁シート状基材の一方面に発熱用導電膜パターン及び検知用導電層を設け、便座躯体の着座面側に絶縁シート状基材の他方面を接合した請求項1記載の暖房便座。
【請求項3】
絶縁シート状基材の一方面に発熱用導電膜パターン及び検知用導電層を設け、便座躯体の着座面側に絶縁シート状基材の一方面を対向させた請求項1記載の暖房便座。
【請求項4】
便座躯体に発熱用導電膜パターン及び検知用導電層を直接接合した請求項1記載の暖房便座。
【請求項5】
分散した複数の検知用導電層を残して発熱用導電膜パターンを覆う絶縁層と、絶縁層を覆って複数の検知用導電層に接合した結線用導電層とを備えた請求項1乃至4のいずれか1項記載の暖房便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−235945(P2012−235945A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107764(P2011−107764)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】