説明

暗証番号入力装置

【課題】入力値が盗み見されるおそれを少なくし、かつ押下ミスを少なくする。
【解決手段】所望のキーのX軸延長上の任意の第1の押下位置Pと、所望のキーのY軸延長上の任意の第2の押下位置Qを検出する入力位置検出部15−1と、検出した前記第1及び第2の押下位置のX軸方向及びY軸方向に、前記所望のキーがどの方向にあるかを示す補助表示3、4を表示する表示部15−2と、前記補助表示3、4の交点5にあるキーを特定し、前記暗証番号の入力桁の内の一の入力とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動取引装置に使用される暗証番号入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関において設置される自動取引装置には、顧客が操作するタッチパネルからなる顧客操作表示装置が設けられ、顧客がタッチパネルから暗証番号を入力することによって出金取引等を行うようになっている。一方、犯罪の多様化によりキャッシュカードや預金通帳等が盗難され、暗証番号でガードされているにもかかわらず現金を引き出されてしまうケースが増えている。他人には分かり難い暗証番号であっても現金を引き出されてしまうのは、事前に暗証番号が知られた上でキャッシュカードが盗難されるからである。
【0003】
ここで、暗証番号が最も流出しやすいのは、実際に暗証番号を入力する自動取引装置の操作時であるのが一般的であると思われる。犯罪者が画面を盗見るとか、顧客の手元の動きで読み取ると言われている。これを防ぐ従来の技術としては、テンキーの表示位置をランダムに変更する技術がある。また、テンキーの数字の並び順をランダムに変更して表示する技術もある。更に、タッチパネルの横から覗き見られないように遮蔽板を配置する技術もある。
【0004】
なお、特開2000−99801(特許文献1)には、第三者が操作者の動作を観察しても暗証番号を知ることができないようにする技術が開示されている。特許文献1によると、テンキー35の各数字の位置をランダムに変更するテンキー制御手段が開示されている。更に、特許文献1には顧客がタッチパネル上の指をドラッグしたときその距離を算出して、算出した距離に対応する数字を特定して入力数字とする技術、及び顧客がタッチパネル上の矢印キーを押下している時間を計測し、その押下時間に対応する数字を特定して入力数字とする技術が記載されている。
【0005】
また、従来技術として、実際に押下した複数の値からある一定の計算を行い、その計算値で各桁の暗証番号を入力する方式があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−99801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数の値を押下する前記従来技術によれば、計算結果としての暗証番号そのものは直接盗み見されることはないとしても、押下した複数の値及び計算式を盗まれれば効果はないこととなる。また、各桁の入力値を確定するために、顧客が複数の押下操作を行わなければならないため、押下ミスが発生し易くなる。更に、複数の押下操作のため、操作が長引くおそれもあり、そのためタイムアウトが発生し易くなり、操作が困難になるという問題がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、暗証番号の押下に際し、入力値が盗み見されるおそれを少なくし、かつ押下ミスを少なくし、更に簡単な操作でタイムアウトの発生を少なくした暗証番号入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に関する暗証番号入力装置は、押下した入力位置の検出を行うタッチパネルを用いた暗証番号入力装置において、所望のキーのX軸延長上の任意の第1の押下位置と、前記所望のキーのY軸延長上の任意の第2の押下位置を検出する入力位置検出部と、検出した前記第1及び第2の押下位置のX軸方向及びY軸方向に、前記所望のキーがどの方向にあるかを示す補助表示を表示する表示部と、前記補助表示の交点にあるキーを特定し、特定された前記キーを前記暗証番号の入力桁の内の一の入力とする表示制御部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を有する本発明によれば、所望のキーそのものの押下位置ではなく、所望のキーのX軸延長上の任意の押下位置と、Y軸延長上の任意の押下位置を検出する入力位置検出部を有することにより、操作者はキーを直接押下することがないので、第3者によりキー操作を盗み見られることがない。また、検出した二つの前記押下位置P及びQのX軸方向及びY軸方向に前記所望のキーがどの方向にあるかを示す補助表示を表示する表示部を有することにより、操作者はX軸方向及びY軸方向の補助表示の交点に、所望のキーがあることを直ちに検出することができるので、操作ミスを少なくし、操作が簡単な暗証番号入力装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に関するタッチパネルの暗証番号入力画面を示す説明図である。
【図2】第1の実施の形態に関する暗証番号入力装置を設けた自動取引装置の外観図である。
【図3】第1の実施の形態に関する自動取引装置の構成図である。
【図4】第1の実施の形態に関する操作表示制御部とタッチパネルの関係を示す機能ブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に関するタッチパネルの暗証番号入力画面を示す説明図である。
【図6】第1の実施の形態に関するテンキーの他の例を示す説明図である。
【図7】第1の実施の形態に関する暗証番号入力画面の補助表示の変形例を示す説明図である。
【図8】第1の実施の形態に関する暗証番号入力の動作を示すフローチャートである。
【図9】本実施の形態に関するタッチパネル15を顧客が片手で押下する場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。図2は第1の実施の形態に関する暗証番号入力装置を設けた自動取引装置の外観図である。自動取引装置1は銀行等の金融機関やコンビニエンスストア等に設置され、顧客の操作によって入出金取引等が可能である。自動取引装置1は入出金取引において、顧客に対して紙幣を投入又は返却するための紙幣投入返却口11を有する。入金取引においては、顧客が当該紙幣投入返却口11に紙幣をセットすると、これを自動取引装置1が自動計数し、装置内部に取込む。出金取引においては、自動取引装置1が内部の紙幣を自動計数し、当該紙幣投入返却口11に集積することにより、顧客が取出し可能となる。また、自動取引装置1は同じく、硬貨を投入又は返却するための硬貨投入返却口12を有する。更に、自動取引装置1はキャッシュカードのカード挿入口13と、通帳の通帳挿入口14を有する。
【0013】
そして、自動取引装置1は顧客が入力操作をするための入力機能と、顧客の操作をガイドするための表示機能を備えたタッチパネル15を有する。タッチパネル15の入力機能はタッチパッドのような入力位置検出部からなり、表示機能は液晶パネルのような表示部からなる。ここでタッチパネル15は顧客の暗証番号入力のために複数行列からなるテンキーを表示する。そして、本実施の形態においては、顧客はタッチパネル15の画面上に表示したテンキーそのものではなく、後述するように、テンキーの延長上の任意の位置を指先で押下して暗証番号を特定することにより、タッチパネル15は装置本体に暗証番号を送る。一般にタッチパネル1には、マトリクス・スイッチ方式、抵抗膜方式、超音波方式、赤外線方式、静電容量方式等がある。本実施の形態に関するタッチパネル15は、指先で押下した入力位置を検出するものであれば動作原理は問わない。
【0014】
図3は第1の実施の形態に関する自動取引装置1の構成図である。装置制御部20は自動取引装置1の各部と接続され、各部を制御する。装置制御部20はRAMやROM又はハードディスク等で構成された装置記憶部26と接続される。装置制御部20は、装置記憶部26に記憶された制御プログラムにより動作する。また、装置制御部20は自動取引装置1の各処理に必要なデータを装置記憶部26に書き込むことができ、必要に応じて装置記憶部26から読み出すことができる。また、装置制御部20はホストコンピュータ100と図示しない通信部を介して接続され、ホストコンピュータ100と入出金取引に関する情報を交換する。顧客がタッチパネル15に入力した暗証番号は、装置制御部20の制御によりホストコンピュータ100に送られ、顧客の確認が行われる。
【0015】
紙幣処理部21は装置制御部20の制御により、紙幣の入出金処理を行う。紙幣処理部21は顧客により前記紙幣投入返却口11から投入される入金紙幣を真偽鑑別し、計数し、搬送して図示しない金種別収納カセットに収納する。更に、紙幣処理部21は顧客に支払われる出金紙幣を金種別収納カセットより繰り出し、紙幣投入返却口11に集積する。顧客による暗証番号の入力により顧客の確認が取れたとき、紙幣処理部21による紙幣の出金処理が行われる。
【0016】
硬貨処理部22は装置制御部20の制御により、硬貨の入出金処理を行う。硬貨処理部22は、顧客により前記硬貨投入返却口12から投入される硬貨を真偽鑑別し、計数し、搬送して図示しない硬貨収納部に収納する。更に、硬貨処理部22は顧客に支払われる硬貨を硬貨収納部より繰り出し、硬貨投入返却口12に集積するものである。同様に、顧客による暗証番号の入力により顧客の確認が取れたとき、硬貨処理部22による硬貨の出金処理が行われる。カード処理部23は顧客が前記カード挿入口13から挿入したキャッシュカードの情報を読取る。更に、通帳記帳部24は前記通帳挿入口14から挿入された通帳に取引記録を印字する。そして、操作表示制御部25は装置制御部20の指示により前記タッチパネル15を制御する。
【0017】
図4は第1の実施の形態に関する操作表示制御部25とタッチパネル15の関係を示す機能ブロック図である。タッチパネル15は前述の通り入力機能を有する入力位置検出部15−1と表示機能を有する表示部15−2からなり、操作表示制御部25の制御により動作する。入力位置検出部15−1は顧客がタッチパネル15の所定の押下位置を押下したとき、この押下位置を検出する。本実施の形態においては、後述するようにキーのX軸延長上の任意の第1の押下位置Pと、キーのY軸延長上の任意の第2の押下位置Qを検出する。表示部15−2はタッチパネル15にテンキー及び後述する補助表示としての補助線を表示する。
【0018】
入力位置検出部15−1は第1の押下位置P(x1、y1)及び第2の押下位置Q(x2、y2)の情報を座標として操作表示制御部25に送る。操作表示制御部25は第1の押下位置P(x1、y1)を第1の座標記憶部31に、第2の押下位置Q(x2、y2)を第2の座標記憶部32に格納するよう指示する。
【0019】
そして、操作表示制御部25は表示部15−2に対し、顧客が押下した押下位置の後述するX軸及びY軸方向に顧客の所望するキーがどの方向にあるかを示す補助表示としての補助線3及び4を表示するよう指示する。2本の補助線3及び4は、顧客が所望するキーが正しく入力されるかどうか確認するのに役立つ。
【0020】
2本の補助線の交点がテンキーの内の特定のキーの領域にあるとき、操作表示制御部25の指示により、入力キー判定部33は顧客が該当するキーに対して有効に入力したものであると判定する。具体的には、入力キー判定部33は第1の座標記憶部31に記憶したY座標(y1)と、第2の座標記憶部32に記憶したX座標(x2)から交点の座標を割り出す。そして、予め格納してある各キーの領域の座標と比較し、交点の座標が含まれる該当するキーの数字を特定する。
【0021】
タイマ34は2本の補助線の交点がテンキーの領域にあるときの時間を計測する。入力キー判定部33は、例えば前記交点がテンキーの内のキー「1」の領域内に1秒以上あるとき、該当するキー「1」への入力が有効であると判定する。
【0022】
スピーカ35は入力キー判定部33が該当するキー「1」への入力と判定すると、操作表示制御部25の指示により顧客に対し、入力有効告知としての効果音を発して、暗証番号の入力桁の内の一の入力が完了したことを顧客に告知する。操作表示制御部25は入力有効告知として、表示部15−2に対し該当するキーの表示の色彩を変更(強調表示)するよう指示してもよい。
【0023】
図1は第1の実施の形態に関するタッチパネル15の暗証番号入力画面を示す説明図である。なお、同図において、横方向をX軸、縦方向をY軸とする。暗証番号入力画面において、タッチパネル15には「暗証番号を入力してください」の案内表示がされる。画面の中央にはテンキー2が表示される。顧客の所望のテンキー2そのものへの押下は有効とすることはできない。顧客はテンキー2以外の任意の第1の押下位置Pと第2の押下位置Qを押下する。顧客の所望のキーが例えば数字「1」であるとき、第1の押下位置Pはキー「1」のX軸延長上の任意の位置P(x1、y1)であり、そして第2の押下位置Qはキー「1」のY軸延長上の任意の位置Q(x2、y2)である。
【0024】
顧客が押下位置P(x1、y1)とQ(x2、y2)を押下すると、第1の押下位置PのX軸方向に顧客の所望のキーがどの方向にあるかを示す補助表示としての補助線3が表示され、更に、第2の押下位置QのY軸方向に同じく補助線4が表示される。そして、補助線3と4の交点5が表示され、交点5がキー「1」の領域内にあるとき、暗証番号の内の1桁目が入力されたことになる。操作表示制御部25は表示部15−1に対し、キー「1」について、交点への入力が有効であることを示す入力有効告知をするよう指示する。入力有効告知は他のキーとは異なる色彩を付した強調表示である。
【0025】
暗証番号の入力桁は入力桁表示部6に表示され、顧客に告知される。同図に示す入力桁表示部6は、1桁目の暗証番号が入力されたことを示す。顧客は取消の場合は取消キー7を押下し、確認の場合は確認キー8を押下する。このようにすることにより、顧客は暗証番号入力に際し、第3者から盗み見されることが少なくなる。更に、このように補助表示としての補助線を表示することにより、顧客にとって押下位置が見やすくなり、操作の確実性が増し、押下ミスを少なくすることができる。
【0026】
図5は同じく第1の実施の形態に関するタッチパネル15の暗証番号入力画面を示す説明図である。前記図1の表示は、第1の押下位置P(x1、y1)がテンキー2の右側の任意の位置であり、第2の押下位置Q(x2、y2)がテンキー2の下側の任意の位置である場合を示した。これに対し、図5の表示は、第1の押下位置P(x1、y1)がテンキー2の左側の任意の位置であり、第2の押下位置Q(x2、y2)がテンキー2の上側の任意の位置である場合を示す。この場合でも、第1の押下位置Pはキー「5」のX軸延長上の任意の位置P(x1、y1)であり、そして第2の押下位置Qはキー「5」のY軸延長上の任意の位置Q(x2、y2)である。同図に示す入力桁表示部6は、4桁の暗証番号が入力されたことを示す。この場合でも顧客の操作方法は同じであるので、その他の説明は省略する。
【0027】
図6は第1の実施の形態に関するテンキーの他の例を示す説明図である。同図(a)は複数行列からなるテンキー2として2行5列に配列されている場合を示す説明図である。この場合でも、顧客は暗証番号入力に際し第3者から盗み見されることが少なくなるので、本発明の適用は可能である。
【0028】
また、同図(b)はテンキー2として各キートップ2−1等が間隙をもって表示される場合を示す説明図である。顧客が所望するキートップ2−1乃至2−0そのものに押下することは有効とはならない。しかしながら、同図(b)はキー2−2とキー2−3の間の第1の押下位置Pを押下し、キー2−5とキー2−8の間の第2の押下位置Qを押下したことを示す。第1の押下位置Pが押下されると、補助線3が表示され、第2の押下位置Qが押下されると補助線4が表示される。そして、補助線3と補助線4の交点5が、キー「2」の表示領域と一致するので、キー「2」が入力されたことになる。
【0029】
図7は第1の実施の形態に関する暗証番号入力画面の補助表示の変形例を示す説明図である。前記図1及び図5に示す暗証番号入力画面は補助表示としての補助線3及び4を表示するものである。これに対し、図7の変形例における補助表示は、第1の押下位置PのX軸が通る複数のキー及び第2の押下位置QのY軸が通る複数のキーに対して表示を行うものである。即ち、前記補助線3のかわりに、顧客の所望のキーがどの方向にあるかを示す補助表示としてのキー行「1」、「2」及び「3」を他のキーと異なる強調表示を行う。また、前記補助線4のかわりに、補助表示としてのキー列「1」、「4」及び「7」を同じく他のキーと異なる強調表示を行う。他のキーと異なる強調表示とは、色彩又は明暗を異ならせる表示でよい。
【0030】
顧客表示制御部25は表示部15−2に対し、補助表示としてのキー行「1」、「2」、「3」及びキー列「1」、「4」、「7」について、他のキーと異なる強調表示をするよう指示する。そして、顧客表示制御部25は表示部15−2に対し、補助表示としてのキー行「1」、「2」、「3」及びキー列「1」、「4」、「7」の交点であるキー「1」について、交点への入力が有効であることを示す入力有効告知をするよう指示する。入力有効告知は、他のキーから一番目立つ色彩で強調表示する。こうして交点としてのキー「1」が入力されたことになる。
【0031】
図8は第1の実施の形態に関する暗証番号入力の動作を示すフローチャートである。顧客の操作により出金取引が開始される場合の動作について説明する。
S101:顧客が図示しない取引選択画面において出金取引を選択すると、装置制御部20は操作表示制御部25に対し、暗証番号入力操作のための表示をするよう指示する。すると操作表示制御部25はタッチパネル15の表示部15−2に対し、テンキー2を含む暗証番号入力画面(図1参照)を表示するよう指示する。
【0032】
S102:タッチパネル15に暗証番号入力画面が表示されると、顧客はテンキー2そのものの入力ではなく、テンキーの内の所望のキーのX軸延長上の任意の位置と、Y軸延長上の任意の位置をそれぞれ押下する。操作表示制御部25はタッチパネル15の入力位置検出部15−1に対し、押下位置の座標を検出するよう指示する。タッチパネル15の入力位置検出部15−1は、キーのX軸延長上の任意の第1の押下位置P(x1、y1)及びキーのY軸延長上の任意の第2の押下位置Q(x2、y2)を座標として検出し、操作表示制御部25に出力する。操作表示制御部25は第1の座標記憶部31に対し、第1の押下位置P(x1、y1)の座標を記憶するよう指示し、第2の座標記憶部32に対し、第2の押下位置Q(x2、y2)の座標を記憶するよう指示する。
【0033】
S103:操作表示制御部25は第1の押下位置P(x1、y1)及び第2の押下位置Q(x2、y2)共に検出されたかどうかチェックする。2点検出されていなかった場合はステップ102に戻る。
【0034】
S104:その後、操作表示制御部25は表示部15−2に対し、第1の押下位置P(x1、y1)のX軸方向に補助表示としての補助線3を表示するよう指示する。同時に、第2の押下位置Q(x2、y2)のY軸方向に補助表示としての補助線4を表示するよう指示する。
【0035】
具体的には、操作表示制御部25は第1の座標記憶部31から第1の押下位置P(x1、y1)の座標を読み出し、座標y1を通る直線を前記補助線3として表示するよう指示する。同様に、操作表示制御部25は第2の座標記憶部32から第2の押下位置Q(x2、y2)の座標を読み出し、座標x2を通る直線を前記補助線4として表示するよう指示する。
【0036】
また、図7に示す前記変形例の場合は、操作表示制御部25は第1の座標記憶部31から第1の押下位置P(x1、y1)の座標を読み出し、座標y1を通るキー行「1」、「2」、「3」を割り出す。そして、表示部15−2に対し、これらのキー行「1」、「2」、「3」を補助表示として色彩を付して強調表示するよう指示する。同様に、操作表示制御部25は第2の座標記憶部32から第2の押下位置Q(x2、y2)の座標を読み出し、座標x2を通るキー列「1」、「4」、「7」を割り出す。そして、表示部15−2に対し、これらのキー列「1」、「4」、「7」を補助表示として色彩を付して強調表示するよう指示する。
【0037】
S105:更に、操作表示制御部25は、入力キー判定部33に対し、第1の座標記憶部31及び第2の座標記憶部32から読み出した第1の押下位置P(x1、y1)の座標(y1)及び第2の押下位置Q(x2、y2)の座標(x2)から、補助線3及び4の交点5の座標(x2、y1)を割り出すよう指示する。
【0038】
S106:そして、操作表示制御部25は入力キー判定部33に対し、補助線3及び4の交点5の座標(x2、y1)がテンキー2のどのキーの領域内であるか判定するよう指示する。入力キー判定部33は前述の通り、割り出した交点の座標(x2、y1)から予め格納してある各キーの領域の座標と比較し、交点の座標が含まれる該当するキーの数字を特定する。当該交点5の座標(x2、y1)がテンキー2のどのキーの領域にも入らない場合はステップ101へ戻る。
【0039】
S107:操作表示制御部25は入力キー判定部33からの判定結果がテンキー内のいずれかのキーであればその数字を特定し、図示しない記憶部に対し記憶するよう指示する。同時に、表示部15−2に対し、暗証番号入力画面の入力桁表示部6へ暗証番号が1桁入力されたことを表示する。
【0040】
操作表示制御部25は入力有効告知として、表示部15−2に対し該当するキーの表示の色彩を強調表示することにより、顧客に告知するよう指示する。これにより、操作表示制御部25は暗証番号の入力桁の内の一の入力とする。また、操作表示制御部25は暗証番号の入力桁の内の一の入力が完了したことを顧客に告知するため、スピーカ35に効果音を発するよう指示してもよい。
【0041】
S108:操作表示制御部25は暗証番号が4桁入力されたかどうかチェックする。4桁入力されていなければS102へ戻る。4桁入力されていれば、操作表示制御部25は図示しない記憶部から暗証番号を読み出し、装置制御部20へ出力する。装置制御部20はホストコンピュータ100へ当該暗証番号を送信する。
【0042】
ここで一般に暗証番号入力において、顧客が片手で操作する場合が考えられる。図9は本実施の形態に関するタッチパネル15を顧客が片手で押下する場合を示す説明図である。前記入力位置検出部15−1は顧客が第1の押下位置Pに押下したことを検出する。すると操作表示制御部25は表示部15−2に対し、第1の押下位置Pの補助線3を表示するよう指示する。ここで人差指52が安定せず、即ち人差し指52が押下しながら移動するときは、補助線3はこれに従って矢印AB方向に移動して表示される。親指51が移動するときは、第2の押下位置Qの補助線4も同様である。
【0043】
顧客が片手で押下位置P及びQを押下する場合、補助線3及び4が一定時間、例えば1秒間静止したら、操作表示制御部25は入力キー判定部33に対して、顧客が入力したキーを判定するよう指示する。操作表示制御部25はタイマ34から一秒間の情報を得る。
【0044】
同図に示すように、顧客が親指51及び人差指52により押下位置Q及び押下位置Pを同時に押下する場合は、前述の説明の通りに動作する。一方、人差指52のみで押下位置P及びQの両方を押下する場合がある。顧客は人差指52で押下位置Pを押下した後、タッチパネル15から人差指52を離し、その後押下位置Qを押下することになる。
【0045】
操作表示制御部25は第1の押下位置PのX軸方向の補助線3の表示を開始した後所定時間経過後に、第2の押下位置Qの押下を検出することによりY軸方向の補助線4を表示する。そして、入力キー判定部33は第1の押下位置Pへの押下と第2の押下位置Qへの押下に時間的に差があっても、該当するキーへの入力を判定する。これにより顧客が一本の指で操作する場合を検出することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 自動取引装置
2 テンキー
3、4 補助線
5 交点
15 タッチパネル
15−1 入力位置検出部
15−2 表示部
25 操作表示制御部
33 入力キー判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
押下した入力位置の検出を行うタッチパネルを用いた暗証番号入力装置において、
所望のキーのX軸延長上の任意の第1の押下位置と、前記所望のキーのY軸延長上の任意の第2の押下位置を検出する入力位置検出部と、
検出した前記第1及び第2の押下位置のX軸方向及びY軸方向に、前記所望のキーがどの方向にあるかを示す補助表示を表示する表示部と、
前記補助表示の交点にあるキーを特定し、特定された前記キーを前記暗証番号の入力桁の内の一の入力とする表示制御部を有することを特徴とする暗証番号入力装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記タッチパネルに、複数行列からなるテンキーを表示するとともに、前記第1の押下位置のX軸方向に前記補助表示を表示し、前記第2の押下位置のY軸方向に前記補助表示を表示することを特徴とする請求項1記載の暗証番号入力装置。
【請求項3】
前記第1の押下位置の座標と前記第2の押下位置の座標を記憶する座標記憶部と、
前記座標記憶部に記憶した前記第1の押下位置の座標と、前記第2の押下位置の座標から前記所望のキーへの入力を判定する入力キー判定部を有することを特徴とする請求項2記載の暗証番号入力装置。
【請求項4】
タイマを有し、
更に、前記表示制御部は、前記第1の押下位置のX軸方向の前記補助表示と、前記第2の押下位置のY軸方向の前記補助表示の交点が、前記タイマによる所定の時間、前記テンキーのキー表示領域内にあるときに、前記交点への入力が有効であることを示す入力有効告知を行うよう制御することを特徴とする請求項3記載の暗証番号入力装置。
【請求項5】
前記入力有効告知は、前記所望のキーに対する強調表示であることを特徴とする請求項4記載の暗証番号入力装置。
【請求項6】
前記入力有効告知は、効果音であることを特徴とする請求項4記載の暗証番号入力装置。
【請求項7】
前記補助表示は補助線であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一記載の暗証番号入力装置。
【請求項8】
前記補助表示は、前記第1の押下位置のX軸が通るキー及び前記第2の押下位置のY軸が通るキーに対し行う、他のキーと異なる強調表示であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一記載の暗証番号入力装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、第1の押下位置又は前記第2の押下位置が移動したとき、前記補助表示の表示を移動するよう制御することを特徴とする請求項1乃至4いずれか一記載の暗証番号入力装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記第1の押下位置のX軸方向の前記補助表示の表示を開始した後所定時間経過後に、前記第2の押下位置のY軸方向の前記補助表示を表示することにより、
前記入力キー判定部は、前記第1の押下位置への押下と前記第2の押下位置への押下に時間的に差があっても、該当するキーへの入力を判定することを特徴とする請求項3又は4記載の暗証番号入力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−103964(P2012−103964A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252925(P2010−252925)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】