暴風雨を動的及び適応的に追跡するレーダ
大気条件を予測する方法及びシステムが発明の実施形態にかかり開示される。1つの実施形態では、方法は大気により反射されたデータを受信する工程と、大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める運動方程式を解く工程と、を含む。さらに、動き係数及び大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件が予測される。発明の他の実施形態では、運動方程式は周波数領域で解かれる。様々な線形回帰手段が、係数を解くために用いられ得る。システムの他の実施形態では、レーダシステムは、スペクトル運動方程式を解くことにより今後の大気条件を予測することが開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、暴風雨の動き等を予測することによる、気象予測(weather forecasting)及び気象ナウキャスト(weather nowcasting)に関する。
【背景技術】
【0002】
雷雨予測は、特に、ドップラー気象レーダによる走査を含む、様々な新しい技術の出現により、活動的及び活躍的な現代の専門分野になっている。従来の気象レーダは、大抵100キロメートルオーダーの、長距離にわたる観測範囲(coverage)を提供する。このような従来のレーダシステムの機能の一般的な図は図1に示されている。この図において、レーダは丘や山104のような隆起した地理的特徴の頂点に配置される。当該レーダは、距離に応じておよそ線形的に分散する電磁波ビームを発生する。図は、レーダからの距離によりビーム幅108がどのように増加するかを示している。存在するかもしれない、及びシステム100がサンプリングしようとしている、気象パターン116の様々な例は、地球表面112上の異なる位置に示されている。
【0003】
気象レーダの最大範囲は通常150キロメートル以上であり、最小分解尺度(minimum resolved scale)は100から200メートルとなり得る。レーダ観測は、数分で更新され得る。気象レーダは、地球の相関規模と比較すると、まだ相対的に小さい尺度ではあるが、数十キロメートルから数百キロメートルに拡大されるかもしれない暴風雨の、観測及び予測の一つの主要なツールとなっている。強い衝撃を与える及び厳しい気象現象の多くは、数十分から数時間の寿命を有する、メソスケール(meso-scale)または暴風雨規模(storm-scale)となる。従って、雷雨の非常に短期間の予測は、空輸、道路交通、建築業、野外スポーツ及び娯楽、治安管理、資源(農耕、森林)保護及び管理等の様々なエンドユーザにとって特に重要である。この種の予測は、例えば最大12時間の、数時間未満の非常に短期間の雷雨予測として定義され得る、ナウキャスト(nowcasting)として称される。
【0004】
多くのシステムは、レーダエコーの追跡及び外挿法を用いて、短期間で雷雨を予測する。いくつかの技術では分散型の「動きの場(motion-field)」に基づいた暴風雨トラッカを用いることにより暴風雨を追跡し、その他の技術では「中心軌跡(centroid)」暴風雨セルトラッカを用いる。これらの技術を踏まえた、多くの統計及び数値モデルが用いられている。この分野の研究は沢山あるにもかかわらず、当該分野における、ナウキャスト技術を改良の必要性は絶えない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
大気条件を予測する方法は、本発明の一実施形態に係り提供される。方法は、大気により反射されたデータ(reflective atmospheric data)を用いて、動き係数を求める運動方程式を解く工程と、動き係数及び大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測する工程と、を備える。大気により反射されたデータは、時系列の順次的なレーダ画像を含む。運動方程式は、高速フーリエ変換を用い、スペクトル領域において解かれるであろう。方法は、動き係数を受信した大気により反射されたデータに適用することにより、今後の大気条件を予測する工程をさらに含んでもよい。運動方程式は、
を含んでもよい。
【0006】
発明の別の実施形態において、運動方程式は周波数領域において作成されてもよく、
を含んでもよい。
【0007】
暴風雨の動きの場を予測する方法は、発明の別の実施形態に係り説明される。方法は、注目領域にレーダ信号を伝播する工程と、サンプリングされた、注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集する工程と、を含む。そして、このレーダデータは周波数領域に変換されてもよい。動き係数は、大気により反射されたデータを用いて周波数領域での運動方程式により解かれる。これらの動き係数を用いて、今後の大気条件は予測されてもよい。そして、これらの予測された条件が返される。今後の大気条件は、動き係数を受信された大気により反射されたデータに適用することにより、予測されてもよい。予測はさらに、最小二乗誤差アルゴリズムの使用を含む。
【0008】
注目領域の気象ナウキャストパターンのレーダシステムも、発明の一実施形態に係り説明される。システムは、レーダ信号を伝播するように構成されたレーダ源と、レーダデータを収集するように構成されたレーダ検出器と、レーダ源及びレーダ検出器と通信する計算システムを含んでもよい。計算システムは、プロセッサ、及び当該プロセッサと結合されたメモリを備えてもよい。当該メモリは、注目領域を調査するためのレーダシステムの指示動作が実装された、コンピュータ読み取り可能なプログラムを含む。コンピュータ読み取り可能なプログラムは、レーダ源に注目領域にレーダ信号を伝播させるための指示と、レーダ検出器に、サンプリングされた、注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集させるための指示と、を含んでもよい。コンピュータ読み取り可能なプログラムはまた、時間領域レーダデータを周波数領域データに変換させるための指示と、大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める周波数領域での運動方程式を解かせるための指示と、を含んでもよい。コンピュータ読み取り可能なプログラムは動き係数及び大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測させるための指示と、をさらに含んでもよい。
【0009】
本開示の適用性の更なる領域は、以下の詳細な記載により明らかになるだろう。様々な実施形態により示される詳細な記載及び特定の実施例が、例示のみを目的としたものであり、記載の範囲に限定される必要性を意図するものではないことは理解されるべきである。
【0010】
特許または出願書類は、少なくとも1つのカラーで作成された図面を含む。カラーの図を含む本特許公報または本特許出願公報のコピーは、リクエスト及び必要な手数料の支払いを以て、オフィスにより提供されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来のレーダシステムの実施を例示した図である。(全米科学アカデミーのレポート「複合地域における土石流予測(Flash flood forecasting over complex terrain)」から転載)
【図2】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いたナウキャストの例示的なソフトウェア実装のブロック図を示している。
【図3】発明の一実施形態に係る、大気により反射されたデータに基づく今後の大気条件の予測方法のフローチャートを示している。
【図4A】、
【図4B】、
【図4C】、
【図4D】、
【図4E】、
【図4F】、
【図4G】、
【図4H】統合された反射率シーケンスの画像を例示した図である。
【図5】発明の一実施形態に係る、図4A〜4Hに関する、(シミュレートされた)実際の動きの場と、予測された動きの場との比較を示した図である。
【図6】発明の一実施形態に係る、場の一部における、実際の流れ場(flow field)と、スペクトルアルゴリズムにより予測された流れ場との比較を示した図である。
【図7】発明の一実施形態に係る、場の他の部分における、実際の流れ場と、スペクトルアルゴリズムにより予測された流れ場との比較を示した図である。
【図8A】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムにより予測された、Sターム項のない成長中心近傍の流れ場の比較を示した図である。
【図8B】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムにより予測された、Sターム項(S-term)を伴う成長中心近傍の流れ場の比較を示した図である。
【図9A】発明の一実施形態に係る、局所的な成長メカニズムをシミュレートするために用いられる2次元ガウス関数を示した図である。
【図9B】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いて予測されたSターム項の2次元表現を示した図である。
【図10】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いた動き追跡に基づく予測反射と、フロリダ州メルボルンのWSR−88Dレーダで観測された、30分間及び60分間の反射の比較を示した図である。
【図11】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いた動き追跡に基づく予測反射と、オクラホマ洲のKOUNレーダで観測された、30分間及び60分間の反射の比較を示した図である。
【図12】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いた動き追跡に基づく予測反射と、オクラホマ洲の4つのレーダネットワーク(CASA IP1)で観測された、5分間の反射の比較を示した図である。
【図13A】、
【図13B】、
【図13C】発明の一実施形態に係る、フロリダ州のWSR−88Dレーダにより収集された観測レーダデータのナウキャストスコアを例示した図である。
【図14A】、
【図14B】、
【図14C】発明の一実施形態に係る、オクラホマ洲のKOUNレーダにより収集された観測レーダデータのナウキャストスコアを例示した図である。
【図15A】、
【図15B】、
【図15C】発明の一実施形態に係る、4つのレーダネットワークにより収集され、統合された観測反射データのナウキャストスコアのセットを示した図である。
【図16A】、
【図16B】、
【図16C】発明の一実施形態に係る、4つのレーダネットワークにより収集され、統合された観測反射データのナウキャストスコアの別のセットを示した図である。
【図17A】、
【図17B】、
【図17C】発明の一実施形態に係る、4つのレーダネットワークにより収集され、統合された、3分間の観測反射データのナウキャストスコアを示した図である。
【図18A】、
【図18B】、
【図18C】、
【図18D】、
【図18E】、
【図18F】、
【図18G】、
【図18H】発明の一実施形態に係る、観測された画像と比較される、リアルタイムシミュレーションにおける5ステップ(2.5分間)の予測画像を例示した図である。
【図19A】、
【図19B】、
【図19C】、
【図19D】、
【図19E】、
【図19F】、
【図19G】、
【図19H】発明の一実施形態に係る、観測された画像と比較される、リアルタイムシミュレーションにおける5ステップ(2.5分間)の予測画像を例示した更なる図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図において、同様の構成要素及び特徴の少なくともいずれかは、同一の参照符号を有する。明細書において参照符号が用いられる場合、記載は同一の参照符号を有する同様の構成要素のいずれに対しても適用可能であるものとする。
【0013】
以下の記載は、好ましい実施形態のみを例示するものであり、記載の範囲、適用性、または構成に限定されない。さらに、以下の好ましい例示の実施形態の記載は、当業者に対して好ましい例示の実施形態を実装することを可能にする説明を提供するだろう。添付の請求項に記述されている精神及び範囲を逸脱することなしに、様々な変更が機能及び要素配置に対してなされ得ることは理解されるべきである。
【0014】
ひとつの実施形態において、本開示は暴風雨の分布する動きの場を予測するための新たな方法及びシステムの少なくともいずれかを提供する。発明の実施形態によれば、暴風雨予測はスペクトル領域において行われ、暴風雨の動き追跡のための変形態様において、一般的な運動方程式により成立し得る。発明の実施形態は、局所及び追加の成長崩壊メカニズムから暴風雨の動きを分離可能な線形モデルを用いてもよい。動きの場を予測するためのスペクトル領域の使用は、フーリエ係数の選択により、暴風雨及び動きの場の様々な規模を制御し得る。
【0015】
発明の他の実施形態は、アルゴリズムがレーダ画像の局所ブロックウィンドウを使用しないという意味で、動きの場の予測するためにグローバルアルゴリズムを用いる。したがって、予測された動きの場は、レーダ画像に描画される全空間領域に渡り、全体的に構成され得る。予測された動きの場の滑らかさは、より少ない数の、首位フーリエ係数(leading Fourier coefficient)の選択により制御され得る。発明の様々な実施形態は、フーリエ空間のレーダ画像についての運動方程式の立式及び解式の少なくともいずれかを行う。フーリエ空間のモデルパラメータは、線形最小二乗推定(LSE:Least-Square-Estimation)または他の線形回帰手段により予測され得る。高速フーリエ変換(FFT)及び線形LSEアルゴリズムは実装が容易であり、数値計算は高速になり得る。
【0016】
レーダ観測場の一般的な運動方程式F(x,y,t)は、以下の式で示される。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで、F(x,y,t)は時空間処理(spatiotemporal process)としてモデル化されたレーダ観測のスカラー場である。U(x,y)は空間領域におけるx軸の動き速度であり、V(x,y)は空間領域におけるy軸の動き速度である。S(x,y,t)、即ち「Sターム項」は、例えば成長または崩壊項等の、他の動的メカニズムとして一般的に解釈される。数1の運動方程式は、レーダ観測場F(x,y,t)が都合よく示され得るオイラー空間において表現される。
【0019】
F(x,y,t)の離散形式(discrete version)は、F(i,j,k)として示される。数1の微分方程式は、周波数領域に書き換え可能であり、離散形式において以下の式で示される。
【0020】
【数2】
【0021】
FDFTは、離散空間−時間型観測(discrete space-time observation)である、観測されたレーダの場F(i,j,k)の3次元離散型フーリエ変換(DFT)係数を含む。UDFTは2次元DFT係数U(i,j)を含み、VDFTは2次元DFT係数V(i,j)を含み、3次元DFT係数SDFTはS(i,j,k)を含み、これらは予測のための未知数である。数2は、UDFT、VDFT、及びSDFTを予測するために、FDFT係数が知られている場合の線形インバージョン(linear inversion)問題を有することは留意されるべきである。UDFT、VDFT、及びSDFTに、より少ない数の、共通な首位フーリエ係数を選択することにより、数2は、例えば線形最小二乗推定法を用いることにより解くことが可能な、過剰決定系の(over-determined)線形システムとなり得る。数2において、暴風雨の様々な規模は、結果の式が過剰決定系の線形システムとなる、FDFTの所望の首位係数を選択することにより制御され得る。このことは、動きの場(UDFT及びVDFT)及びS項(SDFT)がレーダの場(FDFT)よりもより少ない首位係数を有する場合に、一般的に実現され得る。
【0022】
数1は概念的な簡易モデルを提供し得るが、数2のスペクトルアルゴリズムが組み合わされる場合、いくつかの利点を示すかもしれない。例えば、数1のモデルはS項、S(x,y,t)の追加により、動き項から成長及び崩壊メカニズムを分離する能力を有する。このことは、動き追跡における局所的な影響力、及び自己成長の影響力を軽減し得る。スペクトルアルゴリズムのこの特性の意味は、モデルにおいて他の線形メカニズムを確実に導入することによって、暴風雨の動きが他の動態メカニズムから分離され得ることである。
【0023】
このモデルの他の例示的な特性は、数2を解く際のDFT係数の選択により、暴風雨の規模を制御することを提供し得る。いくつかの状況においては、追跡アルゴリズムのために、確実に暴風雨の規模を制御することは重要かもしれない。この規模の制御性は、当該新たなスペクトルアルゴリズムにおける、固有の機能性であるかもしれない。
【0024】
モデルの他の例示的な特性は、スペクトル領域の動き推定のための立式及び解式の少なくともいずれかを含んでもよい。このようにすることで、レーダ画像が描画される全空間領域に渡る動きの場の地理的な構造を許容することができる。局所点における推定の精度に対するブロックウィンドウサイズの課題は回避され、局所ブロックウィンドウにより引き起こされる「アパーチャ効果(aperture effect)」は最小限に抑えられるかもしれない。発明の一実施形態において、動きの場は空間領域に渡りゆっくり変化する。このようなシステムにおいて、より少ない数の首位フーリエ係数は、平滑化された動きの場を推定及び構築するために選択され得る。
【0025】
モデルのさらに他の例示的な特性は、当該特性が特定の相関モデルから独立していることである。例えば、相互相関技術は安定した性能のために用いられ得る。しかしながら、最良のロバストマッチングを得るために実行されなければならない検索に起因し、相互相関法の計算コストが高くなることはよく知られている。従って、平滑化されていない推定を度々避けるために、荒い規模から詳細な規模まで、ヒューリスティック階層法(heuristic hierarchical procedure)が実施されてもよい。新たなスペクトルアルゴリズムは、フーリエ係数のセットを減らすために線形インバージョンアルゴリズムに適用され得る。当該アルゴリズムは、閉形式における最適な解決をもたらし、線形LSEの計算は効率的となる。当該新たなアルゴリズムは、統合された反射率シーケンス、及び観測されたレーダ反射率シーケンスの両方についてよい性能を示す。
【0026】
発明の他の実施形態において、数2のようなスペクトルアルゴリズムは、ソフトウェアライブラリに実装されてもよい。ライブラリは、移植性の観点から、Cのような、いかなるプログラム言語によって記述されてもよい。図2は、発明の一実施形態に係るスペクトルアルゴリズムを用いたナウキャストのためのソフトウェア実装のブロック図を示している。ブロック210において、一連の画像が受信される。一実施形態では、画像はレーダまたは他のスキャンシステムから直接受信されてもよい。他の実施形態では、画像は記憶媒体またはメモリから受信されてもよい。画像に対し、外形、ノイズ、または歪みを平滑化する前処理が適用されてもよい。ブロック220において、データに対し3次元高速フーリエ変換(FFT)が適用される。例えばFFTW(Fast Fourier Transform of the West)公開ライブラリ225のような科学的ライブラリを用いて、FFTが適用されてよい。FFTを実行するために様々な他のライブラリを用いてもよい。ブロック230において、構築システムは線形システムを構築する。解式部(solver)240は構築システム230により生成された線型方程式を解く。解式部は、当該線型方程式を解くためのいかなるアルゴリズムまたはインバージョン技術を用いてもよい。図示されるように、ユーザCライブラリ242、GNU科学的ライブラリ(GSL C-lib)のような公開ライブラリ、またはユーザ定義のアルゴリズム246を用いて、解式部は線型方程式を解く。読み出しシステム250は、2次元離散フーリエ係数を読み出す。ブロック260において、読み出されたデータを時間領域に変換して返すために、逆FFT(IFFT)が適用される。ブロック270において、様々な特性が追跡または予測される。そしてブロック280において、ローパスフィルタ及び閾値フィルタの少なくともいずれかが、データに対して適用される。
【0027】
図3は、発明の一実施形態に係る、大気により反射されたデータに基づいた今後の大気条件の予測方法のフローチャートである。ブロック310において、大気により反射されたデータは受信される。データは、レーダシステム、またはメモリにデジタル処理で格納されたような格納場所から直接受信されてよい。ブロック320において、運動方程式が解かれる。運動方程式は空間領域において解かれてもよい。従って、FFT及びIFFTは、当該運動方程式を立式及び解式するために用いられる。ブロック330において、今後の大気条件は運動方程式の解に基づいて決定され得る。ブロック340において、これらの結果はディスプレイまたは他の手段を介してユーザに返される。
【0028】
図4A〜4Hは、発明の一実施形態に係る第1の統合された反射率シーケンス(統合(synthesis)1)から生成された画像を例示している。当該第1の統合された反射率シーケンスにおいて、一様な動きの流れ場は、−50km≦x,y≦50kmの2次元的な範囲に生成される。一様な動きの場は、時間によって変化しない、時間非依存の流れ場である。第1の統合された反射率シーケンスにおいて、サンプリング間隔はx軸、y軸ともに1kmである。図4Aは、観測された初期の反射率(dBZ)の場として用いられる。80ステップ間隔のレーダ画像シーケンスが生成され、反射率の単純な受動移流はこのデータセットでシミュレートされ得る。初期の反射率画像は、図4A〜4Hに示される事前に生成された一様な動きの場を用いて、マップの北東に向かう移流によって展開されている。図の矢印は、シミュレートされた流れ場を示している。統合1は、時間とともに展開する反射率の場を示している。図4Aには2つの矩形領域が示されている。データのない領域では、反射率はすべての統合された画像において0を保ち、当該領域において動きパターンは決して現れない。一方、図4D〜4Hに示されるように、降水場はデータ領域に入り、通過する。
【0029】
図5は、シミュレートされた実際の動きの場と、統合された画像シーケンスに適用されるスペクトルアルゴリズムを用いて推定された動きの場の比較を示している。図6は、データ領域における推定された流れ場と実際の流れ場との比較をしめしている。これらの結果は、推定された動きの場がデータ領域における実際の流れ場に極めて的確に一致していることを示している。図7は、データ領域ではない領域における、推定された流れ場と実際の流れ場との比較を示している。表1にはx方向(Uフィールド)及びy方向(Vフィールド)の両方における流れ場のピクセルごとの比較の統計値が示されている。
【0030】
発明の他の実施形態において、数2のようなスペクトルアルゴリズムは、ソフトウェアライブラリに実装されてもよい。ライブラリは、移植性の観点から、Cのような、いかなるプログラム言語によって記述されてもよい。図2は、発明の一実施形態に係るスペクトルアルゴリズムを用いたナウキャストのためのソフトウェア実装のブロック図を示している。ブロック210において、一連の画像が受信される。一実施形態では、画像はレーダまたは他のスキャンシステムから直接受信されてもよい。他の実施形態では、画像は記憶媒体またはメモリから受信されてもよい。画像に対し、外形、ノイズ、または歪みを平滑化する前処理が適用されてもよい。ブロック220において、データに対し3次元高速フーリエ変換(FFT)が適用される。例えばFFTW(Fast Fourier Transform of the West)公開ライブラリ225のような科学的ライブラリを用いて、FFTが適用されてよい。FFTを実行するために様々な他のライブラリを用いてもよい。ブロック230において、構築システムは線形システムを構築する。解式部(solver)240は構築システム230により生成された線型方程式を解く。解式部は、当該線型方程式を解くためのいかなるアルゴリズムまたはインバージョン技術を用いてもよい。図示されるように、ユーザCライブラリ242、GNU科学的ライブラリ(GSL C-lib)のような公開ライブラリ、またはユーザ定義のアルゴリズム246を用いて、解式部は線型方程式を解く。読み出しシステム250は、2次元離散フーリエ係数を読み出す。ブロック260において、読み出されたデータを時間領域に変換して返すために、逆FFT(IFFT)が適用される。ブロック270において、様々な特性が追跡または予測される。そしてブロック280において、ローパスフィルタ及び閾値フィルタの少なくともいずれかが、データに対して適用される。
【0031】
図3は、発明の一実施形態に係る、大気により反射されたデータに基づいた今後の大気条件の予測方法のフローチャートである。ブロック310において、大気により反射されたデータは受信される。データは、レーダシステム、またはメモリにデジタル処理で格納されたような格納場所から直接受信されてよい。ブロック320において、運動方程式が解かれる。運動方程式は空間領域において解かれてもよい。従って、FFT及びIFFTは、当該運動方程式を立式及び解式するために用いられる。ブロック330において、今後の大気条件は運動方程式の解に基づいて決定され得る。ブロック340において、これらの結果はディスプレイまたは他の手段を介してユーザに返される。
【0032】
図4A〜4Hは、発明の一実施形態に係る第1の統合された反射率シーケンス(統合(synthesis)1)から生成された画像を例示している。当該第1の統合された反射率シーケンスにおいて、一様な動きの流れ場は、−50km≦x,y≦50kmの2次元的な範囲に生成される。一様な動きの場は、時間によって変化しない、時間非依存の流れ場である。第1の統合された反射率シーケンスにおいて、サンプリング間隔はx軸、y軸ともに1kmである。図4Aは、観測された初期の反射率(dBZ)の場として用いられる。80ステップ間隔のレーダ画像シーケンスが生成され、反射率の単純な受動移流はこのデータセットでシミュレートされ得る。初期の反射率画像は、図4A〜4Hに示される事前に生成された一様な動きの場を用いて、マップの北東に向かう移流によって展開されている。図の矢印は、シミュレートされた流れ場を示している。統合1は、時間とともに展開する反射率の場を示している。図4Aには2つの矩形領域が示されている。データのない領域では、反射率はすべての統合された画像において0を保ち、当該領域において動きパターンは決して現れない。一方、図4D〜4Hに示されるように、降水場はデータ領域に入り、通過する。
【0033】
図5は、シミュレートされた実際の動きの場と、統合された画像シーケンスに適用されるスペクトルアルゴリズムを用いて推定された動きの場の比較を示している。図6は、データ領域における推定された流れ場と実際の流れ場との比較をしめしている。これらの結果は、推定された動きの場がデータ領域における実際の流れ場に極めて的確に一致していることを示している。図7は、データ領域ではない領域における、推定された流れ場と実際の流れ場との比較を示している。表1にはx方向(Uフィールド)及びy方向(Vフィールド)の両方における流れ場のピクセルごとの比較の統計値が示されている。
【0034】
表1は、推定された流れ場と実際の流れ場とのピクセルごとの比較の統計値を示している。流れ場速度の単位は、km/ステップである。CORRは相関係数である。NSEは、正規化された標準誤差をパーセンテージで示している。SNRは、推定のための対応する信号対ノイズ比をdBで示している。統合1の統計値は、2次元マップ(−50km≦x,y≦50km)の全体で行われている。統合2の統計値は、成長中心近傍の領域(5km≦x,y≦15km)において行われている。統合2において、S項、Uフィールド、及びVフィールドのパラメータは、図5に示されるものと同じである。
【0035】
【表1】
推定された流れ場と実際の流れ場とのピクセルごとで比較した統計値
【0036】
統合2において、ローカライズされた一様なソースは、移流項と共に加えられる。ここでは、数1の項、S(x,y,t)≡S(x,y)は、時間非依存で空間的にローカライズされた成長メカニズム(S(x,y)≧0)として説明される。S(x,y)は、図9Aにおいて示されるように、中心が(10km,10km)に位置するガウス形状ソース項(Gaussian-shaped source term)である。統合された反射率シーケンスに対してスペクトルアルゴリズムを適用する、以下の2つの異なる方法が比較されている。
1)S項が推定アルゴリズムにおいて存在しない
2)S項が推定アルゴリズムに存在する(数2参照)
【0037】
スペクトルアルゴリズムにS項が加えられている場合の、成長メカニズムが存在する領域近傍の流れ場推定の著しい改善は、図8A及び8Bに示されるように得られる。成長中心周辺(5km≦x,y≦15km)の比較の定量的な結果が、表1に示されている。流れ場は、成長中心周辺(5km≦x,y≦15km)においてU値よりも大きいV値を有し、Vフィールドの推定は表1に示されるようにUフィールドの推定よりも良好な性能を有する。S項を伴う推定により、スペクトルアルゴリズムは、図9Bに示されるような成長項S(x,y)を識別することができる。
【0038】
発明の実施形態をさらに有効にするために、観測されたレーダ反射率(dBZ)の3つのセットに対し、スペクトル追跡アルゴリズムが適用される。反射率データの第1のセットは、1998年8月23日21:02(UTC(協定世界時))から8月24日00:57(UTC)に発生した暴風雨事象の間に、WSR−88Dレーダ(フロリダ州メルボルン)により収集されたデータである。レーダ画像の時系列は、およそ4時間に渡る。WSR−88Dレーダは、体積スキャン(volume scan)を完了するまでに約5分要する。PPIスキャンの体積のそれぞれは、デカルト座標系のCAPPIデータに変換される。地表の上空1kmの高さにおける補間された2次元レーダ画像が本研究において用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−50km≦x≦50km かつ −50km≦y≦50km)の画像である。空間サンプリング間隔は、x軸及びy軸ともに1kmである。時間的なサンプリング間隔は、それぞれの画像が時間軸の正則点に投影されるのに対し、5分間隔である。それ故に、時間軸で均一にサンプリングされた、一連の48枚のレーダ画像が得られる。スペクトル追跡アルゴリズムは、25分間隔の6枚の連続するレーダ画像のそれぞれに適用される。それぞれの推定された動きの場は、次に続く12枚のレーダ画像の推定のために用いられる。それ故に、このセットは最大1時間、予測されたレーダ画像を提供する。観測された反射率と比較された、予測された反射率の例(30分及び60分)は、図10に示される。
【0039】
反射率データの第2のセットは、2003年6月6日03:40(UTC)から09:59(UTC)に発生した暴風雨事象の間に、KOUNレーダ(オクラホマ州ノーマン)により収集されたデータである。このレーダ画像の時系列は、およそ6時間20分に渡る。KOUNレーダは、それぞれの体積スキャンに約6.5分要する。PPIスキャンの体積のそれぞれは、デカルト座標系のCAPPIデータに変換される。地表の上空1kmから3kmまたはそれ以上の高さにおける補間された2次元レーダ画像が用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−350km≦x≦350km かつ −350km≦y≦350km)の画像である。空間サンプリング間隔は、x軸及びy軸ともに1kmである。それぞれの画像の時間的な正則点への投影により、等間隔時間でサンプリングされた一連の59枚の画像が得られる。サンプリング間隔は6.5分である。スペクトル追跡アルゴリズムは、約30分に渡る、連続する6枚のレーダ画像のそれぞれに適用される。推定された動きの場のそれぞれは、次に続く9枚のレーダ画像の推定のために用いられる。これにより、最大約1時間の予測されたレーダ画像が得られる。観測された反射率と比較された、予測された反射率の例(30分及び60分)は、図11に示される。
【0040】
反射率画像の第3のセットは、CASA IP1プロジェクトの4つのレーダネットワークにより収集され、統合される。CASA IP1の4つのレーダは、オクラホマ州のチカシェー(KSAO)、シリル(KCYR)、ロートン(KLWE)、及びラッシュスプリングス(KRSP)に設置されている。これらのレーダは、Xバンド(3cm)レーダであり、それぞれが1.8度のビーム幅、及び30kmのレンジを有する。反射率は、経路積分された減衰を補うために補正されている。CASA IP1プロジェクトからのデータは、とても高い空間的及び時間的な分解能を有する。一連のレーダ画像は、約48分間(2006年8月27日00:10(UTC)から00:57)に渡り、時間分解能は約30秒である。それ故に、全部で95枚の連続する画像がある。暴風雨事象は、発表された寒冷前線及び土石流と関係があった。PPIスキャンはデカルト座標系のCAPPIデータに変換される。地表の上空2.5kmの高さにおける補間された2次元レーダ画像が本研究に用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−60km≦x≦60km かつ −50km≦y≦70km)の画像である。座標原点は、4つのCASAレーダの中心となる。空間的なサンプリング分解能は、x軸及びy軸ともに0.5kmである。スペクトル追跡アルゴリズムは、約12.5分に渡る、連続する25枚のレーダ画像のそれぞれに適用される。推定された動きの場のそれぞれは次に続く10枚のレーダ画像の推定のために用いられる。そしてこれにより、5分の予測されたレーダ画像が得られる。観測された反射率の場と比較された、予測された反射率の場(5分)は、図12に示される。
【0041】
予測性能を評価するために、次のスコアが導入されている。重要成功指数(CSI:critical success index)は次にように定義される。
【0042】
【数3】
【0043】
検出確率(POD:probability of detection)は次のように定義される。
【0044】
【数4】
【0045】
誤警報率(FAR:false alarm rate)は次のように定義される。
【0046】
【数5】
【0047】
ここで、「a」は発生事象の正しい検出数、「b」は発生事象の検出ミス数、「c」は不発生の事象の誤検出数を示す。以下、雨の事象は反射率(dBZ)値で定義され、指定されたサイズの隣接領域において、ある反射率の閾値より大きく検出される。
【0048】
これらのスコアは、WSR−88Dレーダ(フロリダ州メルボルン)及びKOUNレーダ(オクラホマ州ノーマン)からのデータについて、反射率閾値の1つのレベル(例えば25dBZ)を用いて、4km×4kmの格子状の隣接領域において算出される。オクラホマ州の4つのレーダネットワーク(CASA IP1)からのデータセットについては、予測スコアは反射率閾値の1つのレベル(30dBZ)を用いて2km×2kmの格子状の隣接領域において算出される。メルボルンのWSR−88Dレーダデータの結果は図13A〜13Cに、KOUNレーダデータの結果は図14A〜14Cに示され、そして図15A〜15Cは、予測スコアが同一リードタイムの全ての予測の平均値である、CASA IP1データのナウキャストスコアを示している。
【0049】
スペクトルアルゴリズムのナウキャスト性能における、サンプリング分解能の効果をさらに評価するために、スペクトルアルゴリズムは、様々な空間分解能及び時間分解能にダウンサンプルされた、CASA IP1で観測された反射率の別のセットに対して適用される。一連のレーダ画像は、約113分(2006年8月15日22:50(UCT)から8月16日00:44)に渡り、元々の(native)時間分解能は約30秒である。一連の中には、225枚の連続する画像全てが含まれる。PPIスキャンは、デカルト座標系のCAPPIデータを生成するために、補間されて統合される。地表の上空2.5kmの補間された2次元レーダ画像が用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−60km≦x≦60km及び−50km≦y≦70km)にある。座標系の原点は、4つのCASAレーダの中心に位置する。異なるサンプリング分解能の効果を調査するために、リサンプリングされた反射率シーケンスの2つのセットが得られる。反射率シーケンスの第1のセットでは、時間分解能は30秒に固定され、リサンプリングされた反射率画像の空間分解能は、それぞれ0.5km及び1.0kmである。反射率シーケンスの第2のセットでは、空間分解能は0.5kmに固定され、リサンプリングされた反射率シーケンスの時間分解能は、それぞれ30秒、1分、2分、及び3分である。リサンプリングされた反射率シーケンスのそれぞれについて、最後12分の履歴画像が動き推定に用いられ、推定された動きの場は次の30分の反射率画像を予測するために適用される。
【0050】
反射率シーケンスの第1のセットについて、30分の予測はスペクトル追跡アルゴリズムを用いて実施される。4km×4kmの格子状の隣接する領域について算出された結果は、図16A〜16Cに示される。これらの結果は、より高い空間分解能がCSIに示される暴風雨追跡を改善し得ることを明らかにしている。より高い空間分解能の増加したサンプルは、増加されたPODを伴う暴風雨位置のより良好な予測をもたらす。この場合FARは、より高い空間分解能とともに大きくなるが、暴風雨の境界において、誤検出の多くが発生する。
【0051】
反射率シーケンスの第2のセットについて、30分の予測はスペクトル追跡アルゴリズムを用いて実施される。結果は図17A〜17Cに示される。時間分解能が30秒から3分に変化すると、スペクトルアルゴリズムの誤警報率が単純増加することは理解されよう。検出率(POD)は、分解能が0.5分から3分に変化した際に、わずかにそして常に増加する。全体的に同一のCSIスコアが得られ、このことは全ての時間分解能が暴風雨の時間変動性を理解するのに十分であることを意味している。
【0052】
本発明の実施形態の第1の実験は、1998年8月23日21:02(UTC)から8月24日00:57(UTC)の暴風雨事象の間に、WSR−88Dレーダ(フロリダ州メルボルン)により収集された反射率データを用いて行われた。WSR−88Dレーダは、それぞれの体積スキャンについて、約5分を要する。それぞれのPPIスキャンの体積はデカルト座標系のCAPPIデータを生成するために補間される。地表の上空1kmの補間された2次元レーダ画像が本研究に用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−50km≦x≦50km及び−50km≦y≦50km)にある。WSR−88Dレーダは、デカルト座標系の原点に位置する。空間サンプリング間隔は、x軸及びy軸ともに1kmである。スペクトル追跡アルゴリズムは、約25分に渡る、6枚の連続するレーダ画像のそれぞれについて適用される。推定された動きの場は次の12枚の反射率画像を追跡及び予測するために用いられる。これにより、最大1時間の予測された画像が得られる。それぞれの画像のサイズは101px×101pxである。それぞれのシステムコンポーネントのCPUクロック時間、及びそれぞれのループ実行を完了するための全CPU時間は、表2に示される。
【0053】
【表2】
WSR−88Dからの反射率データの実験ソフトウェアの実行に係るCPU時間
【0054】
本発明の実施形態の第2の実験は、CASA IP9プロジェクトの4つのレーダネットワークで収集されて統合された反射率データを用いて行われる。CASA IP1の4つのレーダは、オクラホマ州のチカシェー(KSAO)、シリル(KCYR)、ロートン(KLWE)、及びラッシュスプリングス(KRSP)に位置する。これらのレーダは、それぞれ18度のビーム幅と30kmのレンジを有するXバンド(3cm)レーダである。反射率は、経路積分された減衰を補うために補正されている。暴風雨データは約48分(2006年8月27日00:10(UTC)から00:57(UTC))に渡っている。それぞれのPPIスキャンの体積は、デカルト座標系のCAPPIデータを生成するために補間される。地表の上空2.5kmの補間された2次元レーダ画像が本研究に用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−60km≦x≦60km及び−50km≦y≦70km)にある。座標系の原点は、4つのCASAレーダの中心にある。空間サンプリング分解能は、x軸及びy軸ともに0.5kmである。時間分解能は約30秒である。スペクトル追跡アルゴリズムは、約12.5分間に渡る、25枚の連続するレーダ画像のそれぞれに対して適用される。推定された動きの場のそれぞれは、次の10枚の反射率画像を追跡及び予測するために用いられる。これにより、5分間の予測された画像が得られる。それぞれの画像のサイズは241px×241pxである。それぞれのシステムコンポーネントのCPUクロック時間、及びそれぞれのループ実行を完了するための全CPU時間は表3に示される。
【0055】
【表3】
CASA IP1レーダネットワーク(オクラホマ州2006年)からの反射率データの実験ソフトウェアの実行に係るCPU時間(61処理ループの平均時間)
【0056】
DARTSをベースにしたシステムのリアルタイムアプリケーションの実現可能性をさらに調査するために、連続的なレーダスキャン、データの前処理、及び暴風雨の追跡及び予測がシミュレートされる。CASA IP1プロジェクト(オクラホマ州2006年)からの反射率データの2つのセットが、シミュレーションに用いられる。第1のデータセットは約12時間(2006年8月27日00:00(UTC)から12:21(UTC))に渡る。第2のデータセットは、4時間44分(2006年8月15日22:00(UTC)から8月16日02:44(UTC))に渡る。データは短いレンジ(30km)のネットワークレーダにより収集されたものであるため、データの前処理は体積スキャン及び補間された体積スキャンの同期及び統合を含む。地表の上空2.5kmの2次元反射率画像がDARTSシステムへの入力として用いられる。反射率値は、経路積分された減衰を補うために補間される。空間分解能は0.5km×0.5kmである。時間分解能は約30秒である。1回のループのナウキャストの10ステップは、約21秒を要する。それぞれの体積スキャンの間、最新の25枚の画像が動き推定及び追跡のために用いられる。選択された2つのデータセットについて、いくつかの体積は失敗しており、このような体積ギャップ(volume gap)が散在している。このことは、次の方針に係り処理される。
1)DARTS追跡及びナウキャストは、約12.5分間に渡る、最新の25枚の画像が全て利用可能である場合に開始される。
2)5つの予測された反射率画像のうちの1つが失敗した場合、最新のナウキャスト画像が失敗した画像を利用可能にするために用いられる。
【0057】
上述した方針に基づき、レーダスキャンの体積ギャップはDARTSシステムが1度開始されると、完全に補充されることが可能である。しかしながら、とても多くのレーダスキャンが実施中に失敗した場合、追跡及びナウキャストは不正確となるため、この方針は散在する体積ギャップの処理のために提案されるものである。大規模な体積ギャップを処理するための代わりの方針として、最新の25枚の画像におけるギャップ補充率の尺度を設定し、当該比率が特定の比率を超えるとDARTSシステムは停止される。上述した単純な方針が、本シミュレーションに適用される。
【0058】
動的シミュレーションは3つの主要コンポーネント、1)レーダスキャンシーケンスエミュレータ(radar scan sequence emulator)、2)データの前処理システム、及び3)DATS追跡及びナウキャストシステムを備える。レーダスキャンエミュレータでは、反射率データの連続的な測定及び蓄積のためにタイマが用いられる。全ての時間情報は、1秒の正確性のためにそれぞれのレーダ体積から事前に引用される。全てのレーダ体積ファイルは、NetCDF(network Common Data Form)形式で格納される。ネットワークの全てのレーダからの体積スキャンの準備が整った場合、2.5km上空の2次元画像を生成するために、体積データは同期、統合、及び補間される。生成された反射率画像もNetCDFファイルに格納され、DARTSシステムを起動するためのメッセージが送信される。第3のコンポーネントは、図2で述べられたDARTSライブラリのユーザインタフェースを実装している。DARTSシステムは、5ステップの追跡及びナウキャストのための動き推定を算出し、その後次の画像が入力されるまで待機する。
【0059】
シミュレーションは、中規模計算能力のデュアルプロセッサコンピュータにおいて実行される。上述した2つのデータセットを用い、レーダスキャンのシミュレーション、データの前処理、及びDARTSは、データが及ぶ全期間にわたって、首尾よく実行される。データの前処理時間が4秒から8秒に及び、DARTSのナウキャスト時間が9秒から15秒に及ぶため、レーダ体積スキャン間隔は、25秒から30秒またはそれ以上に及ぶことが観測される。DARTSシステムに係る5ステップの追跡及びナウキャストの全てのループは、レーダスキャン間隔の間に完了され得る。これらのシミュレーションは、16時間以上の高分解能の反射率に基づく。これらのことは、DARTSシステムがリアルタイム実施アプリケーションに実装され得ることを示している。また、DARTSがリアルタイムアプリケーションのロバストシステムであることも示している。観測された画像と比較される予測された画像(2.5分間)の例は、図18A〜18H、及び図19A〜19Hに示される。
【0060】
特定の詳細な記載は、実施形態の完全な理解を提供するために上述した記載では示された。しかしながら、実施形態はこれらの特定の詳細な記載に限定されることなく実行され得ることは理解されよう。例えば、不必要な詳細な記載により実施形態を不明確にしないために、ブロック図において回路が示されてもよい。別の事例において、実施形態を不明確にしないために不必要な詳細な記載ではなく、公知の回路、処理、アルゴリズム、構造、及び技術が示されてもよい。
【0061】
上述した技術、ブロック、ステップ、及び手段の実現は、様々な方法で行われてよい。例えば、これらの技術、ブロック、ステップ、及び手段はハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせにより実現されてもよい。ハードウェアによる実現のために、処理ユニットは1または1以上の特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、デジタル信号処理デバイス(DSPD:digital signal processing device)、プログラム可能論理デバイス(PLD:programmable logic device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、プロセッサ、制御器、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上述した機能を実行するために設計された他の電子ユニット、及びこれらの組み合わせの少なくともいずれかで実現されてもよい。
【0062】
また、実施形態はフローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として表現された処理として記載されてもよいことに留意される。フローチャートは、順次的な処理としての実施について述べられているが、実施の多くは、平行または同時に実行されうる。さらに、実施の順番は変更されてもよい。処理は、図に示されない追加のステップを有しうるが、当該実施が完了した際に終了される。処理は、方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラム等に対応してもよい。処理が関数に対応する場合、当該処理の終了は、読み出し関数またはメイン関数への関数のリターンに対応する。
【0063】
さらに実施形態は、スクリプト言語、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、及びそれらのいかなる組み合わせ、の少なくともいずれかを用いる、ハードウェア及びソフトウェアの少なくともいずれかで実装されてもよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語、及びマイクロコードの少なくともいずれかに実装された場合、プログラムコードまたはコードは、記録媒体のようなコンピュータ読み取り可能な媒体に格納された必要なタスクを実行するために分裂する。コードセグメントまたはコンピュータ実行可能な指示は、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラス、またはこれらのいかなる組み合わせ、データ構造、及びプログラムステートメント、の少なくともいずれかを表し得る。情報、データ、引数、パラメータ、及びメモリコンテンツの少なくともいずれかを通過及び受診することにより、コードセグメントは、他のコードセグメントまたはハードウェア回路と結合されてもよい。情報、引数、パラメータ、データ等は、メモリ共有、メッセージ通過、トークン通過、ネットワーク送信等を含む適した手段を介して、通過、転送、送信されてもよい。
【0064】
ファームウェア及びソフトウェア実装の少なくともいずれかについて、方法はここで記載される関数を実行するモジュール(例えば手順、関数など)を伴って実現されてもよい。命令を明白に実行する、いかなるコンピュータ読み取り可能な媒体は、ここに記載された方法の実現に用いられてもよい。例えばソフトウェアコードは、メモリに格納されればよい。メモリは、プロセッサ内、またはプロセッサの外部に実装されてもよい。ここでは「メモリ」という単語は長期、短期、揮発性、不揮発性、または他の記録媒体等のいかなる形式を引用するものとして用いられ、特定の形式のメモリやメモリの数、またメモリが格納されるメディア形式も限定されるものではない。
【0065】
さらにここでは、「記録媒体」という単語は、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記録媒体、光学記録媒体、フラッシュメモリデバイス、及び情報を格納する他のコンピュータ読み取り可能な媒体の少なくともいずれかのような、データを格納するための1以上のデバイスを示してもよい。「コンピュータ読み取り可能な媒体」という単語は、持ち運び可能なまたは固定された記録デバイス、光学記録デバイス、ワイヤレスチャネル、及び、指示及び/またはデータを格納、収容、または運搬可能な様々な他の媒体、の少なくともいずれかを含んでもよいが、限定されない。
【0066】
開示の原理は、特定の装置及び方法について上述されたが、本記載は単なる例示であり、発明の範囲を限定しないものであることは、明確に理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、暴風雨の動き等を予測することによる、気象予測(weather forecasting)及び気象ナウキャスト(weather nowcasting)に関する。
【背景技術】
【0002】
雷雨予測は、特に、ドップラー気象レーダによる走査を含む、様々な新しい技術の出現により、活動的及び活躍的な現代の専門分野になっている。従来の気象レーダは、大抵100キロメートルオーダーの、長距離にわたる観測範囲(coverage)を提供する。このような従来のレーダシステムの機能の一般的な図は図1に示されている。この図において、レーダは丘や山104のような隆起した地理的特徴の頂点に配置される。当該レーダは、距離に応じておよそ線形的に分散する電磁波ビームを発生する。図は、レーダからの距離によりビーム幅108がどのように増加するかを示している。存在するかもしれない、及びシステム100がサンプリングしようとしている、気象パターン116の様々な例は、地球表面112上の異なる位置に示されている。
【0003】
気象レーダの最大範囲は通常150キロメートル以上であり、最小分解尺度(minimum resolved scale)は100から200メートルとなり得る。レーダ観測は、数分で更新され得る。気象レーダは、地球の相関規模と比較すると、まだ相対的に小さい尺度ではあるが、数十キロメートルから数百キロメートルに拡大されるかもしれない暴風雨の、観測及び予測の一つの主要なツールとなっている。強い衝撃を与える及び厳しい気象現象の多くは、数十分から数時間の寿命を有する、メソスケール(meso-scale)または暴風雨規模(storm-scale)となる。従って、雷雨の非常に短期間の予測は、空輸、道路交通、建築業、野外スポーツ及び娯楽、治安管理、資源(農耕、森林)保護及び管理等の様々なエンドユーザにとって特に重要である。この種の予測は、例えば最大12時間の、数時間未満の非常に短期間の雷雨予測として定義され得る、ナウキャスト(nowcasting)として称される。
【0004】
多くのシステムは、レーダエコーの追跡及び外挿法を用いて、短期間で雷雨を予測する。いくつかの技術では分散型の「動きの場(motion-field)」に基づいた暴風雨トラッカを用いることにより暴風雨を追跡し、その他の技術では「中心軌跡(centroid)」暴風雨セルトラッカを用いる。これらの技術を踏まえた、多くの統計及び数値モデルが用いられている。この分野の研究は沢山あるにもかかわらず、当該分野における、ナウキャスト技術を改良の必要性は絶えない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
大気条件を予測する方法は、本発明の一実施形態に係り提供される。方法は、大気により反射されたデータ(reflective atmospheric data)を用いて、動き係数を求める運動方程式を解く工程と、動き係数及び大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測する工程と、を備える。大気により反射されたデータは、時系列の順次的なレーダ画像を含む。運動方程式は、高速フーリエ変換を用い、スペクトル領域において解かれるであろう。方法は、動き係数を受信した大気により反射されたデータに適用することにより、今後の大気条件を予測する工程をさらに含んでもよい。運動方程式は、
を含んでもよい。
【0006】
発明の別の実施形態において、運動方程式は周波数領域において作成されてもよく、
を含んでもよい。
【0007】
暴風雨の動きの場を予測する方法は、発明の別の実施形態に係り説明される。方法は、注目領域にレーダ信号を伝播する工程と、サンプリングされた、注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集する工程と、を含む。そして、このレーダデータは周波数領域に変換されてもよい。動き係数は、大気により反射されたデータを用いて周波数領域での運動方程式により解かれる。これらの動き係数を用いて、今後の大気条件は予測されてもよい。そして、これらの予測された条件が返される。今後の大気条件は、動き係数を受信された大気により反射されたデータに適用することにより、予測されてもよい。予測はさらに、最小二乗誤差アルゴリズムの使用を含む。
【0008】
注目領域の気象ナウキャストパターンのレーダシステムも、発明の一実施形態に係り説明される。システムは、レーダ信号を伝播するように構成されたレーダ源と、レーダデータを収集するように構成されたレーダ検出器と、レーダ源及びレーダ検出器と通信する計算システムを含んでもよい。計算システムは、プロセッサ、及び当該プロセッサと結合されたメモリを備えてもよい。当該メモリは、注目領域を調査するためのレーダシステムの指示動作が実装された、コンピュータ読み取り可能なプログラムを含む。コンピュータ読み取り可能なプログラムは、レーダ源に注目領域にレーダ信号を伝播させるための指示と、レーダ検出器に、サンプリングされた、注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集させるための指示と、を含んでもよい。コンピュータ読み取り可能なプログラムはまた、時間領域レーダデータを周波数領域データに変換させるための指示と、大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める周波数領域での運動方程式を解かせるための指示と、を含んでもよい。コンピュータ読み取り可能なプログラムは動き係数及び大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測させるための指示と、をさらに含んでもよい。
【0009】
本開示の適用性の更なる領域は、以下の詳細な記載により明らかになるだろう。様々な実施形態により示される詳細な記載及び特定の実施例が、例示のみを目的としたものであり、記載の範囲に限定される必要性を意図するものではないことは理解されるべきである。
【0010】
特許または出願書類は、少なくとも1つのカラーで作成された図面を含む。カラーの図を含む本特許公報または本特許出願公報のコピーは、リクエスト及び必要な手数料の支払いを以て、オフィスにより提供されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来のレーダシステムの実施を例示した図である。(全米科学アカデミーのレポート「複合地域における土石流予測(Flash flood forecasting over complex terrain)」から転載)
【図2】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いたナウキャストの例示的なソフトウェア実装のブロック図を示している。
【図3】発明の一実施形態に係る、大気により反射されたデータに基づく今後の大気条件の予測方法のフローチャートを示している。
【図4A】、
【図4B】、
【図4C】、
【図4D】、
【図4E】、
【図4F】、
【図4G】、
【図4H】統合された反射率シーケンスの画像を例示した図である。
【図5】発明の一実施形態に係る、図4A〜4Hに関する、(シミュレートされた)実際の動きの場と、予測された動きの場との比較を示した図である。
【図6】発明の一実施形態に係る、場の一部における、実際の流れ場(flow field)と、スペクトルアルゴリズムにより予測された流れ場との比較を示した図である。
【図7】発明の一実施形態に係る、場の他の部分における、実際の流れ場と、スペクトルアルゴリズムにより予測された流れ場との比較を示した図である。
【図8A】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムにより予測された、Sターム項のない成長中心近傍の流れ場の比較を示した図である。
【図8B】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムにより予測された、Sターム項(S-term)を伴う成長中心近傍の流れ場の比較を示した図である。
【図9A】発明の一実施形態に係る、局所的な成長メカニズムをシミュレートするために用いられる2次元ガウス関数を示した図である。
【図9B】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いて予測されたSターム項の2次元表現を示した図である。
【図10】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いた動き追跡に基づく予測反射と、フロリダ州メルボルンのWSR−88Dレーダで観測された、30分間及び60分間の反射の比較を示した図である。
【図11】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いた動き追跡に基づく予測反射と、オクラホマ洲のKOUNレーダで観測された、30分間及び60分間の反射の比較を示した図である。
【図12】発明の一実施形態に係る、スペクトルアルゴリズムを用いた動き追跡に基づく予測反射と、オクラホマ洲の4つのレーダネットワーク(CASA IP1)で観測された、5分間の反射の比較を示した図である。
【図13A】、
【図13B】、
【図13C】発明の一実施形態に係る、フロリダ州のWSR−88Dレーダにより収集された観測レーダデータのナウキャストスコアを例示した図である。
【図14A】、
【図14B】、
【図14C】発明の一実施形態に係る、オクラホマ洲のKOUNレーダにより収集された観測レーダデータのナウキャストスコアを例示した図である。
【図15A】、
【図15B】、
【図15C】発明の一実施形態に係る、4つのレーダネットワークにより収集され、統合された観測反射データのナウキャストスコアのセットを示した図である。
【図16A】、
【図16B】、
【図16C】発明の一実施形態に係る、4つのレーダネットワークにより収集され、統合された観測反射データのナウキャストスコアの別のセットを示した図である。
【図17A】、
【図17B】、
【図17C】発明の一実施形態に係る、4つのレーダネットワークにより収集され、統合された、3分間の観測反射データのナウキャストスコアを示した図である。
【図18A】、
【図18B】、
【図18C】、
【図18D】、
【図18E】、
【図18F】、
【図18G】、
【図18H】発明の一実施形態に係る、観測された画像と比較される、リアルタイムシミュレーションにおける5ステップ(2.5分間)の予測画像を例示した図である。
【図19A】、
【図19B】、
【図19C】、
【図19D】、
【図19E】、
【図19F】、
【図19G】、
【図19H】発明の一実施形態に係る、観測された画像と比較される、リアルタイムシミュレーションにおける5ステップ(2.5分間)の予測画像を例示した更なる図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図において、同様の構成要素及び特徴の少なくともいずれかは、同一の参照符号を有する。明細書において参照符号が用いられる場合、記載は同一の参照符号を有する同様の構成要素のいずれに対しても適用可能であるものとする。
【0013】
以下の記載は、好ましい実施形態のみを例示するものであり、記載の範囲、適用性、または構成に限定されない。さらに、以下の好ましい例示の実施形態の記載は、当業者に対して好ましい例示の実施形態を実装することを可能にする説明を提供するだろう。添付の請求項に記述されている精神及び範囲を逸脱することなしに、様々な変更が機能及び要素配置に対してなされ得ることは理解されるべきである。
【0014】
ひとつの実施形態において、本開示は暴風雨の分布する動きの場を予測するための新たな方法及びシステムの少なくともいずれかを提供する。発明の実施形態によれば、暴風雨予測はスペクトル領域において行われ、暴風雨の動き追跡のための変形態様において、一般的な運動方程式により成立し得る。発明の実施形態は、局所及び追加の成長崩壊メカニズムから暴風雨の動きを分離可能な線形モデルを用いてもよい。動きの場を予測するためのスペクトル領域の使用は、フーリエ係数の選択により、暴風雨及び動きの場の様々な規模を制御し得る。
【0015】
発明の他の実施形態は、アルゴリズムがレーダ画像の局所ブロックウィンドウを使用しないという意味で、動きの場の予測するためにグローバルアルゴリズムを用いる。したがって、予測された動きの場は、レーダ画像に描画される全空間領域に渡り、全体的に構成され得る。予測された動きの場の滑らかさは、より少ない数の、首位フーリエ係数(leading Fourier coefficient)の選択により制御され得る。発明の様々な実施形態は、フーリエ空間のレーダ画像についての運動方程式の立式及び解式の少なくともいずれかを行う。フーリエ空間のモデルパラメータは、線形最小二乗推定(LSE:Least-Square-Estimation)または他の線形回帰手段により予測され得る。高速フーリエ変換(FFT)及び線形LSEアルゴリズムは実装が容易であり、数値計算は高速になり得る。
【0016】
レーダ観測場の一般的な運動方程式F(x,y,t)は、以下の式で示される。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで、F(x,y,t)は時空間処理(spatiotemporal process)としてモデル化されたレーダ観測のスカラー場である。U(x,y)は空間領域におけるx軸の動き速度であり、V(x,y)は空間領域におけるy軸の動き速度である。S(x,y,t)、即ち「Sターム項」は、例えば成長または崩壊項等の、他の動的メカニズムとして一般的に解釈される。数1の運動方程式は、レーダ観測場F(x,y,t)が都合よく示され得るオイラー空間において表現される。
【0019】
F(x,y,t)の離散形式(discrete version)は、F(i,j,k)として示される。数1の微分方程式は、周波数領域に書き換え可能であり、離散形式において以下の式で示される。
【0020】
【数2】
【0021】
FDFTは、離散空間−時間型観測(discrete space-time observation)である、観測されたレーダの場F(i,j,k)の3次元離散型フーリエ変換(DFT)係数を含む。UDFTは2次元DFT係数U(i,j)を含み、VDFTは2次元DFT係数V(i,j)を含み、3次元DFT係数SDFTはS(i,j,k)を含み、これらは予測のための未知数である。数2は、UDFT、VDFT、及びSDFTを予測するために、FDFT係数が知られている場合の線形インバージョン(linear inversion)問題を有することは留意されるべきである。UDFT、VDFT、及びSDFTに、より少ない数の、共通な首位フーリエ係数を選択することにより、数2は、例えば線形最小二乗推定法を用いることにより解くことが可能な、過剰決定系の(over-determined)線形システムとなり得る。数2において、暴風雨の様々な規模は、結果の式が過剰決定系の線形システムとなる、FDFTの所望の首位係数を選択することにより制御され得る。このことは、動きの場(UDFT及びVDFT)及びS項(SDFT)がレーダの場(FDFT)よりもより少ない首位係数を有する場合に、一般的に実現され得る。
【0022】
数1は概念的な簡易モデルを提供し得るが、数2のスペクトルアルゴリズムが組み合わされる場合、いくつかの利点を示すかもしれない。例えば、数1のモデルはS項、S(x,y,t)の追加により、動き項から成長及び崩壊メカニズムを分離する能力を有する。このことは、動き追跡における局所的な影響力、及び自己成長の影響力を軽減し得る。スペクトルアルゴリズムのこの特性の意味は、モデルにおいて他の線形メカニズムを確実に導入することによって、暴風雨の動きが他の動態メカニズムから分離され得ることである。
【0023】
このモデルの他の例示的な特性は、数2を解く際のDFT係数の選択により、暴風雨の規模を制御することを提供し得る。いくつかの状況においては、追跡アルゴリズムのために、確実に暴風雨の規模を制御することは重要かもしれない。この規模の制御性は、当該新たなスペクトルアルゴリズムにおける、固有の機能性であるかもしれない。
【0024】
モデルの他の例示的な特性は、スペクトル領域の動き推定のための立式及び解式の少なくともいずれかを含んでもよい。このようにすることで、レーダ画像が描画される全空間領域に渡る動きの場の地理的な構造を許容することができる。局所点における推定の精度に対するブロックウィンドウサイズの課題は回避され、局所ブロックウィンドウにより引き起こされる「アパーチャ効果(aperture effect)」は最小限に抑えられるかもしれない。発明の一実施形態において、動きの場は空間領域に渡りゆっくり変化する。このようなシステムにおいて、より少ない数の首位フーリエ係数は、平滑化された動きの場を推定及び構築するために選択され得る。
【0025】
モデルのさらに他の例示的な特性は、当該特性が特定の相関モデルから独立していることである。例えば、相互相関技術は安定した性能のために用いられ得る。しかしながら、最良のロバストマッチングを得るために実行されなければならない検索に起因し、相互相関法の計算コストが高くなることはよく知られている。従って、平滑化されていない推定を度々避けるために、荒い規模から詳細な規模まで、ヒューリスティック階層法(heuristic hierarchical procedure)が実施されてもよい。新たなスペクトルアルゴリズムは、フーリエ係数のセットを減らすために線形インバージョンアルゴリズムに適用され得る。当該アルゴリズムは、閉形式における最適な解決をもたらし、線形LSEの計算は効率的となる。当該新たなアルゴリズムは、統合された反射率シーケンス、及び観測されたレーダ反射率シーケンスの両方についてよい性能を示す。
【0026】
発明の他の実施形態において、数2のようなスペクトルアルゴリズムは、ソフトウェアライブラリに実装されてもよい。ライブラリは、移植性の観点から、Cのような、いかなるプログラム言語によって記述されてもよい。図2は、発明の一実施形態に係るスペクトルアルゴリズムを用いたナウキャストのためのソフトウェア実装のブロック図を示している。ブロック210において、一連の画像が受信される。一実施形態では、画像はレーダまたは他のスキャンシステムから直接受信されてもよい。他の実施形態では、画像は記憶媒体またはメモリから受信されてもよい。画像に対し、外形、ノイズ、または歪みを平滑化する前処理が適用されてもよい。ブロック220において、データに対し3次元高速フーリエ変換(FFT)が適用される。例えばFFTW(Fast Fourier Transform of the West)公開ライブラリ225のような科学的ライブラリを用いて、FFTが適用されてよい。FFTを実行するために様々な他のライブラリを用いてもよい。ブロック230において、構築システムは線形システムを構築する。解式部(solver)240は構築システム230により生成された線型方程式を解く。解式部は、当該線型方程式を解くためのいかなるアルゴリズムまたはインバージョン技術を用いてもよい。図示されるように、ユーザCライブラリ242、GNU科学的ライブラリ(GSL C-lib)のような公開ライブラリ、またはユーザ定義のアルゴリズム246を用いて、解式部は線型方程式を解く。読み出しシステム250は、2次元離散フーリエ係数を読み出す。ブロック260において、読み出されたデータを時間領域に変換して返すために、逆FFT(IFFT)が適用される。ブロック270において、様々な特性が追跡または予測される。そしてブロック280において、ローパスフィルタ及び閾値フィルタの少なくともいずれかが、データに対して適用される。
【0027】
図3は、発明の一実施形態に係る、大気により反射されたデータに基づいた今後の大気条件の予測方法のフローチャートである。ブロック310において、大気により反射されたデータは受信される。データは、レーダシステム、またはメモリにデジタル処理で格納されたような格納場所から直接受信されてよい。ブロック320において、運動方程式が解かれる。運動方程式は空間領域において解かれてもよい。従って、FFT及びIFFTは、当該運動方程式を立式及び解式するために用いられる。ブロック330において、今後の大気条件は運動方程式の解に基づいて決定され得る。ブロック340において、これらの結果はディスプレイまたは他の手段を介してユーザに返される。
【0028】
図4A〜4Hは、発明の一実施形態に係る第1の統合された反射率シーケンス(統合(synthesis)1)から生成された画像を例示している。当該第1の統合された反射率シーケンスにおいて、一様な動きの流れ場は、−50km≦x,y≦50kmの2次元的な範囲に生成される。一様な動きの場は、時間によって変化しない、時間非依存の流れ場である。第1の統合された反射率シーケンスにおいて、サンプリング間隔はx軸、y軸ともに1kmである。図4Aは、観測された初期の反射率(dBZ)の場として用いられる。80ステップ間隔のレーダ画像シーケンスが生成され、反射率の単純な受動移流はこのデータセットでシミュレートされ得る。初期の反射率画像は、図4A〜4Hに示される事前に生成された一様な動きの場を用いて、マップの北東に向かう移流によって展開されている。図の矢印は、シミュレートされた流れ場を示している。統合1は、時間とともに展開する反射率の場を示している。図4Aには2つの矩形領域が示されている。データのない領域では、反射率はすべての統合された画像において0を保ち、当該領域において動きパターンは決して現れない。一方、図4D〜4Hに示されるように、降水場はデータ領域に入り、通過する。
【0029】
図5は、シミュレートされた実際の動きの場と、統合された画像シーケンスに適用されるスペクトルアルゴリズムを用いて推定された動きの場の比較を示している。図6は、データ領域における推定された流れ場と実際の流れ場との比較をしめしている。これらの結果は、推定された動きの場がデータ領域における実際の流れ場に極めて的確に一致していることを示している。図7は、データ領域ではない領域における、推定された流れ場と実際の流れ場との比較を示している。表1にはx方向(Uフィールド)及びy方向(Vフィールド)の両方における流れ場のピクセルごとの比較の統計値が示されている。
【0030】
発明の他の実施形態において、数2のようなスペクトルアルゴリズムは、ソフトウェアライブラリに実装されてもよい。ライブラリは、移植性の観点から、Cのような、いかなるプログラム言語によって記述されてもよい。図2は、発明の一実施形態に係るスペクトルアルゴリズムを用いたナウキャストのためのソフトウェア実装のブロック図を示している。ブロック210において、一連の画像が受信される。一実施形態では、画像はレーダまたは他のスキャンシステムから直接受信されてもよい。他の実施形態では、画像は記憶媒体またはメモリから受信されてもよい。画像に対し、外形、ノイズ、または歪みを平滑化する前処理が適用されてもよい。ブロック220において、データに対し3次元高速フーリエ変換(FFT)が適用される。例えばFFTW(Fast Fourier Transform of the West)公開ライブラリ225のような科学的ライブラリを用いて、FFTが適用されてよい。FFTを実行するために様々な他のライブラリを用いてもよい。ブロック230において、構築システムは線形システムを構築する。解式部(solver)240は構築システム230により生成された線型方程式を解く。解式部は、当該線型方程式を解くためのいかなるアルゴリズムまたはインバージョン技術を用いてもよい。図示されるように、ユーザCライブラリ242、GNU科学的ライブラリ(GSL C-lib)のような公開ライブラリ、またはユーザ定義のアルゴリズム246を用いて、解式部は線型方程式を解く。読み出しシステム250は、2次元離散フーリエ係数を読み出す。ブロック260において、読み出されたデータを時間領域に変換して返すために、逆FFT(IFFT)が適用される。ブロック270において、様々な特性が追跡または予測される。そしてブロック280において、ローパスフィルタ及び閾値フィルタの少なくともいずれかが、データに対して適用される。
【0031】
図3は、発明の一実施形態に係る、大気により反射されたデータに基づいた今後の大気条件の予測方法のフローチャートである。ブロック310において、大気により反射されたデータは受信される。データは、レーダシステム、またはメモリにデジタル処理で格納されたような格納場所から直接受信されてよい。ブロック320において、運動方程式が解かれる。運動方程式は空間領域において解かれてもよい。従って、FFT及びIFFTは、当該運動方程式を立式及び解式するために用いられる。ブロック330において、今後の大気条件は運動方程式の解に基づいて決定され得る。ブロック340において、これらの結果はディスプレイまたは他の手段を介してユーザに返される。
【0032】
図4A〜4Hは、発明の一実施形態に係る第1の統合された反射率シーケンス(統合(synthesis)1)から生成された画像を例示している。当該第1の統合された反射率シーケンスにおいて、一様な動きの流れ場は、−50km≦x,y≦50kmの2次元的な範囲に生成される。一様な動きの場は、時間によって変化しない、時間非依存の流れ場である。第1の統合された反射率シーケンスにおいて、サンプリング間隔はx軸、y軸ともに1kmである。図4Aは、観測された初期の反射率(dBZ)の場として用いられる。80ステップ間隔のレーダ画像シーケンスが生成され、反射率の単純な受動移流はこのデータセットでシミュレートされ得る。初期の反射率画像は、図4A〜4Hに示される事前に生成された一様な動きの場を用いて、マップの北東に向かう移流によって展開されている。図の矢印は、シミュレートされた流れ場を示している。統合1は、時間とともに展開する反射率の場を示している。図4Aには2つの矩形領域が示されている。データのない領域では、反射率はすべての統合された画像において0を保ち、当該領域において動きパターンは決して現れない。一方、図4D〜4Hに示されるように、降水場はデータ領域に入り、通過する。
【0033】
図5は、シミュレートされた実際の動きの場と、統合された画像シーケンスに適用されるスペクトルアルゴリズムを用いて推定された動きの場の比較を示している。図6は、データ領域における推定された流れ場と実際の流れ場との比較をしめしている。これらの結果は、推定された動きの場がデータ領域における実際の流れ場に極めて的確に一致していることを示している。図7は、データ領域ではない領域における、推定された流れ場と実際の流れ場との比較を示している。表1にはx方向(Uフィールド)及びy方向(Vフィールド)の両方における流れ場のピクセルごとの比較の統計値が示されている。
【0034】
表1は、推定された流れ場と実際の流れ場とのピクセルごとの比較の統計値を示している。流れ場速度の単位は、km/ステップである。CORRは相関係数である。NSEは、正規化された標準誤差をパーセンテージで示している。SNRは、推定のための対応する信号対ノイズ比をdBで示している。統合1の統計値は、2次元マップ(−50km≦x,y≦50km)の全体で行われている。統合2の統計値は、成長中心近傍の領域(5km≦x,y≦15km)において行われている。統合2において、S項、Uフィールド、及びVフィールドのパラメータは、図5に示されるものと同じである。
【0035】
【表1】
推定された流れ場と実際の流れ場とのピクセルごとで比較した統計値
【0036】
統合2において、ローカライズされた一様なソースは、移流項と共に加えられる。ここでは、数1の項、S(x,y,t)≡S(x,y)は、時間非依存で空間的にローカライズされた成長メカニズム(S(x,y)≧0)として説明される。S(x,y)は、図9Aにおいて示されるように、中心が(10km,10km)に位置するガウス形状ソース項(Gaussian-shaped source term)である。統合された反射率シーケンスに対してスペクトルアルゴリズムを適用する、以下の2つの異なる方法が比較されている。
1)S項が推定アルゴリズムにおいて存在しない
2)S項が推定アルゴリズムに存在する(数2参照)
【0037】
スペクトルアルゴリズムにS項が加えられている場合の、成長メカニズムが存在する領域近傍の流れ場推定の著しい改善は、図8A及び8Bに示されるように得られる。成長中心周辺(5km≦x,y≦15km)の比較の定量的な結果が、表1に示されている。流れ場は、成長中心周辺(5km≦x,y≦15km)においてU値よりも大きいV値を有し、Vフィールドの推定は表1に示されるようにUフィールドの推定よりも良好な性能を有する。S項を伴う推定により、スペクトルアルゴリズムは、図9Bに示されるような成長項S(x,y)を識別することができる。
【0038】
発明の実施形態をさらに有効にするために、観測されたレーダ反射率(dBZ)の3つのセットに対し、スペクトル追跡アルゴリズムが適用される。反射率データの第1のセットは、1998年8月23日21:02(UTC(協定世界時))から8月24日00:57(UTC)に発生した暴風雨事象の間に、WSR−88Dレーダ(フロリダ州メルボルン)により収集されたデータである。レーダ画像の時系列は、およそ4時間に渡る。WSR−88Dレーダは、体積スキャン(volume scan)を完了するまでに約5分要する。PPIスキャンの体積のそれぞれは、デカルト座標系のCAPPIデータに変換される。地表の上空1kmの高さにおける補間された2次元レーダ画像が本研究において用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−50km≦x≦50km かつ −50km≦y≦50km)の画像である。空間サンプリング間隔は、x軸及びy軸ともに1kmである。時間的なサンプリング間隔は、それぞれの画像が時間軸の正則点に投影されるのに対し、5分間隔である。それ故に、時間軸で均一にサンプリングされた、一連の48枚のレーダ画像が得られる。スペクトル追跡アルゴリズムは、25分間隔の6枚の連続するレーダ画像のそれぞれに適用される。それぞれの推定された動きの場は、次に続く12枚のレーダ画像の推定のために用いられる。それ故に、このセットは最大1時間、予測されたレーダ画像を提供する。観測された反射率と比較された、予測された反射率の例(30分及び60分)は、図10に示される。
【0039】
反射率データの第2のセットは、2003年6月6日03:40(UTC)から09:59(UTC)に発生した暴風雨事象の間に、KOUNレーダ(オクラホマ州ノーマン)により収集されたデータである。このレーダ画像の時系列は、およそ6時間20分に渡る。KOUNレーダは、それぞれの体積スキャンに約6.5分要する。PPIスキャンの体積のそれぞれは、デカルト座標系のCAPPIデータに変換される。地表の上空1kmから3kmまたはそれ以上の高さにおける補間された2次元レーダ画像が用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−350km≦x≦350km かつ −350km≦y≦350km)の画像である。空間サンプリング間隔は、x軸及びy軸ともに1kmである。それぞれの画像の時間的な正則点への投影により、等間隔時間でサンプリングされた一連の59枚の画像が得られる。サンプリング間隔は6.5分である。スペクトル追跡アルゴリズムは、約30分に渡る、連続する6枚のレーダ画像のそれぞれに適用される。推定された動きの場のそれぞれは、次に続く9枚のレーダ画像の推定のために用いられる。これにより、最大約1時間の予測されたレーダ画像が得られる。観測された反射率と比較された、予測された反射率の例(30分及び60分)は、図11に示される。
【0040】
反射率画像の第3のセットは、CASA IP1プロジェクトの4つのレーダネットワークにより収集され、統合される。CASA IP1の4つのレーダは、オクラホマ州のチカシェー(KSAO)、シリル(KCYR)、ロートン(KLWE)、及びラッシュスプリングス(KRSP)に設置されている。これらのレーダは、Xバンド(3cm)レーダであり、それぞれが1.8度のビーム幅、及び30kmのレンジを有する。反射率は、経路積分された減衰を補うために補正されている。CASA IP1プロジェクトからのデータは、とても高い空間的及び時間的な分解能を有する。一連のレーダ画像は、約48分間(2006年8月27日00:10(UTC)から00:57)に渡り、時間分解能は約30秒である。それ故に、全部で95枚の連続する画像がある。暴風雨事象は、発表された寒冷前線及び土石流と関係があった。PPIスキャンはデカルト座標系のCAPPIデータに変換される。地表の上空2.5kmの高さにおける補間された2次元レーダ画像が本研究に用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−60km≦x≦60km かつ −50km≦y≦70km)の画像である。座標原点は、4つのCASAレーダの中心となる。空間的なサンプリング分解能は、x軸及びy軸ともに0.5kmである。スペクトル追跡アルゴリズムは、約12.5分に渡る、連続する25枚のレーダ画像のそれぞれに適用される。推定された動きの場のそれぞれは次に続く10枚のレーダ画像の推定のために用いられる。そしてこれにより、5分の予測されたレーダ画像が得られる。観測された反射率の場と比較された、予測された反射率の場(5分)は、図12に示される。
【0041】
予測性能を評価するために、次のスコアが導入されている。重要成功指数(CSI:critical success index)は次にように定義される。
【0042】
【数3】
【0043】
検出確率(POD:probability of detection)は次のように定義される。
【0044】
【数4】
【0045】
誤警報率(FAR:false alarm rate)は次のように定義される。
【0046】
【数5】
【0047】
ここで、「a」は発生事象の正しい検出数、「b」は発生事象の検出ミス数、「c」は不発生の事象の誤検出数を示す。以下、雨の事象は反射率(dBZ)値で定義され、指定されたサイズの隣接領域において、ある反射率の閾値より大きく検出される。
【0048】
これらのスコアは、WSR−88Dレーダ(フロリダ州メルボルン)及びKOUNレーダ(オクラホマ州ノーマン)からのデータについて、反射率閾値の1つのレベル(例えば25dBZ)を用いて、4km×4kmの格子状の隣接領域において算出される。オクラホマ州の4つのレーダネットワーク(CASA IP1)からのデータセットについては、予測スコアは反射率閾値の1つのレベル(30dBZ)を用いて2km×2kmの格子状の隣接領域において算出される。メルボルンのWSR−88Dレーダデータの結果は図13A〜13Cに、KOUNレーダデータの結果は図14A〜14Cに示され、そして図15A〜15Cは、予測スコアが同一リードタイムの全ての予測の平均値である、CASA IP1データのナウキャストスコアを示している。
【0049】
スペクトルアルゴリズムのナウキャスト性能における、サンプリング分解能の効果をさらに評価するために、スペクトルアルゴリズムは、様々な空間分解能及び時間分解能にダウンサンプルされた、CASA IP1で観測された反射率の別のセットに対して適用される。一連のレーダ画像は、約113分(2006年8月15日22:50(UCT)から8月16日00:44)に渡り、元々の(native)時間分解能は約30秒である。一連の中には、225枚の連続する画像全てが含まれる。PPIスキャンは、デカルト座標系のCAPPIデータを生成するために、補間されて統合される。地表の上空2.5kmの補間された2次元レーダ画像が用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−60km≦x≦60km及び−50km≦y≦70km)にある。座標系の原点は、4つのCASAレーダの中心に位置する。異なるサンプリング分解能の効果を調査するために、リサンプリングされた反射率シーケンスの2つのセットが得られる。反射率シーケンスの第1のセットでは、時間分解能は30秒に固定され、リサンプリングされた反射率画像の空間分解能は、それぞれ0.5km及び1.0kmである。反射率シーケンスの第2のセットでは、空間分解能は0.5kmに固定され、リサンプリングされた反射率シーケンスの時間分解能は、それぞれ30秒、1分、2分、及び3分である。リサンプリングされた反射率シーケンスのそれぞれについて、最後12分の履歴画像が動き推定に用いられ、推定された動きの場は次の30分の反射率画像を予測するために適用される。
【0050】
反射率シーケンスの第1のセットについて、30分の予測はスペクトル追跡アルゴリズムを用いて実施される。4km×4kmの格子状の隣接する領域について算出された結果は、図16A〜16Cに示される。これらの結果は、より高い空間分解能がCSIに示される暴風雨追跡を改善し得ることを明らかにしている。より高い空間分解能の増加したサンプルは、増加されたPODを伴う暴風雨位置のより良好な予測をもたらす。この場合FARは、より高い空間分解能とともに大きくなるが、暴風雨の境界において、誤検出の多くが発生する。
【0051】
反射率シーケンスの第2のセットについて、30分の予測はスペクトル追跡アルゴリズムを用いて実施される。結果は図17A〜17Cに示される。時間分解能が30秒から3分に変化すると、スペクトルアルゴリズムの誤警報率が単純増加することは理解されよう。検出率(POD)は、分解能が0.5分から3分に変化した際に、わずかにそして常に増加する。全体的に同一のCSIスコアが得られ、このことは全ての時間分解能が暴風雨の時間変動性を理解するのに十分であることを意味している。
【0052】
本発明の実施形態の第1の実験は、1998年8月23日21:02(UTC)から8月24日00:57(UTC)の暴風雨事象の間に、WSR−88Dレーダ(フロリダ州メルボルン)により収集された反射率データを用いて行われた。WSR−88Dレーダは、それぞれの体積スキャンについて、約5分を要する。それぞれのPPIスキャンの体積はデカルト座標系のCAPPIデータを生成するために補間される。地表の上空1kmの補間された2次元レーダ画像が本研究に用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−50km≦x≦50km及び−50km≦y≦50km)にある。WSR−88Dレーダは、デカルト座標系の原点に位置する。空間サンプリング間隔は、x軸及びy軸ともに1kmである。スペクトル追跡アルゴリズムは、約25分に渡る、6枚の連続するレーダ画像のそれぞれについて適用される。推定された動きの場は次の12枚の反射率画像を追跡及び予測するために用いられる。これにより、最大1時間の予測された画像が得られる。それぞれの画像のサイズは101px×101pxである。それぞれのシステムコンポーネントのCPUクロック時間、及びそれぞれのループ実行を完了するための全CPU時間は、表2に示される。
【0053】
【表2】
WSR−88Dからの反射率データの実験ソフトウェアの実行に係るCPU時間
【0054】
本発明の実施形態の第2の実験は、CASA IP9プロジェクトの4つのレーダネットワークで収集されて統合された反射率データを用いて行われる。CASA IP1の4つのレーダは、オクラホマ州のチカシェー(KSAO)、シリル(KCYR)、ロートン(KLWE)、及びラッシュスプリングス(KRSP)に位置する。これらのレーダは、それぞれ18度のビーム幅と30kmのレンジを有するXバンド(3cm)レーダである。反射率は、経路積分された減衰を補うために補正されている。暴風雨データは約48分(2006年8月27日00:10(UTC)から00:57(UTC))に渡っている。それぞれのPPIスキャンの体積は、デカルト座標系のCAPPIデータを生成するために補間される。地表の上空2.5kmの補間された2次元レーダ画像が本研究に用いられる。リサンプリングされたレーダ画像は、2次元の領域(−60km≦x≦60km及び−50km≦y≦70km)にある。座標系の原点は、4つのCASAレーダの中心にある。空間サンプリング分解能は、x軸及びy軸ともに0.5kmである。時間分解能は約30秒である。スペクトル追跡アルゴリズムは、約12.5分間に渡る、25枚の連続するレーダ画像のそれぞれに対して適用される。推定された動きの場のそれぞれは、次の10枚の反射率画像を追跡及び予測するために用いられる。これにより、5分間の予測された画像が得られる。それぞれの画像のサイズは241px×241pxである。それぞれのシステムコンポーネントのCPUクロック時間、及びそれぞれのループ実行を完了するための全CPU時間は表3に示される。
【0055】
【表3】
CASA IP1レーダネットワーク(オクラホマ州2006年)からの反射率データの実験ソフトウェアの実行に係るCPU時間(61処理ループの平均時間)
【0056】
DARTSをベースにしたシステムのリアルタイムアプリケーションの実現可能性をさらに調査するために、連続的なレーダスキャン、データの前処理、及び暴風雨の追跡及び予測がシミュレートされる。CASA IP1プロジェクト(オクラホマ州2006年)からの反射率データの2つのセットが、シミュレーションに用いられる。第1のデータセットは約12時間(2006年8月27日00:00(UTC)から12:21(UTC))に渡る。第2のデータセットは、4時間44分(2006年8月15日22:00(UTC)から8月16日02:44(UTC))に渡る。データは短いレンジ(30km)のネットワークレーダにより収集されたものであるため、データの前処理は体積スキャン及び補間された体積スキャンの同期及び統合を含む。地表の上空2.5kmの2次元反射率画像がDARTSシステムへの入力として用いられる。反射率値は、経路積分された減衰を補うために補間される。空間分解能は0.5km×0.5kmである。時間分解能は約30秒である。1回のループのナウキャストの10ステップは、約21秒を要する。それぞれの体積スキャンの間、最新の25枚の画像が動き推定及び追跡のために用いられる。選択された2つのデータセットについて、いくつかの体積は失敗しており、このような体積ギャップ(volume gap)が散在している。このことは、次の方針に係り処理される。
1)DARTS追跡及びナウキャストは、約12.5分間に渡る、最新の25枚の画像が全て利用可能である場合に開始される。
2)5つの予測された反射率画像のうちの1つが失敗した場合、最新のナウキャスト画像が失敗した画像を利用可能にするために用いられる。
【0057】
上述した方針に基づき、レーダスキャンの体積ギャップはDARTSシステムが1度開始されると、完全に補充されることが可能である。しかしながら、とても多くのレーダスキャンが実施中に失敗した場合、追跡及びナウキャストは不正確となるため、この方針は散在する体積ギャップの処理のために提案されるものである。大規模な体積ギャップを処理するための代わりの方針として、最新の25枚の画像におけるギャップ補充率の尺度を設定し、当該比率が特定の比率を超えるとDARTSシステムは停止される。上述した単純な方針が、本シミュレーションに適用される。
【0058】
動的シミュレーションは3つの主要コンポーネント、1)レーダスキャンシーケンスエミュレータ(radar scan sequence emulator)、2)データの前処理システム、及び3)DATS追跡及びナウキャストシステムを備える。レーダスキャンエミュレータでは、反射率データの連続的な測定及び蓄積のためにタイマが用いられる。全ての時間情報は、1秒の正確性のためにそれぞれのレーダ体積から事前に引用される。全てのレーダ体積ファイルは、NetCDF(network Common Data Form)形式で格納される。ネットワークの全てのレーダからの体積スキャンの準備が整った場合、2.5km上空の2次元画像を生成するために、体積データは同期、統合、及び補間される。生成された反射率画像もNetCDFファイルに格納され、DARTSシステムを起動するためのメッセージが送信される。第3のコンポーネントは、図2で述べられたDARTSライブラリのユーザインタフェースを実装している。DARTSシステムは、5ステップの追跡及びナウキャストのための動き推定を算出し、その後次の画像が入力されるまで待機する。
【0059】
シミュレーションは、中規模計算能力のデュアルプロセッサコンピュータにおいて実行される。上述した2つのデータセットを用い、レーダスキャンのシミュレーション、データの前処理、及びDARTSは、データが及ぶ全期間にわたって、首尾よく実行される。データの前処理時間が4秒から8秒に及び、DARTSのナウキャスト時間が9秒から15秒に及ぶため、レーダ体積スキャン間隔は、25秒から30秒またはそれ以上に及ぶことが観測される。DARTSシステムに係る5ステップの追跡及びナウキャストの全てのループは、レーダスキャン間隔の間に完了され得る。これらのシミュレーションは、16時間以上の高分解能の反射率に基づく。これらのことは、DARTSシステムがリアルタイム実施アプリケーションに実装され得ることを示している。また、DARTSがリアルタイムアプリケーションのロバストシステムであることも示している。観測された画像と比較される予測された画像(2.5分間)の例は、図18A〜18H、及び図19A〜19Hに示される。
【0060】
特定の詳細な記載は、実施形態の完全な理解を提供するために上述した記載では示された。しかしながら、実施形態はこれらの特定の詳細な記載に限定されることなく実行され得ることは理解されよう。例えば、不必要な詳細な記載により実施形態を不明確にしないために、ブロック図において回路が示されてもよい。別の事例において、実施形態を不明確にしないために不必要な詳細な記載ではなく、公知の回路、処理、アルゴリズム、構造、及び技術が示されてもよい。
【0061】
上述した技術、ブロック、ステップ、及び手段の実現は、様々な方法で行われてよい。例えば、これらの技術、ブロック、ステップ、及び手段はハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせにより実現されてもよい。ハードウェアによる実現のために、処理ユニットは1または1以上の特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、デジタル信号処理デバイス(DSPD:digital signal processing device)、プログラム可能論理デバイス(PLD:programmable logic device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、プロセッサ、制御器、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上述した機能を実行するために設計された他の電子ユニット、及びこれらの組み合わせの少なくともいずれかで実現されてもよい。
【0062】
また、実施形態はフローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として表現された処理として記載されてもよいことに留意される。フローチャートは、順次的な処理としての実施について述べられているが、実施の多くは、平行または同時に実行されうる。さらに、実施の順番は変更されてもよい。処理は、図に示されない追加のステップを有しうるが、当該実施が完了した際に終了される。処理は、方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラム等に対応してもよい。処理が関数に対応する場合、当該処理の終了は、読み出し関数またはメイン関数への関数のリターンに対応する。
【0063】
さらに実施形態は、スクリプト言語、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、及びそれらのいかなる組み合わせ、の少なくともいずれかを用いる、ハードウェア及びソフトウェアの少なくともいずれかで実装されてもよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語、及びマイクロコードの少なくともいずれかに実装された場合、プログラムコードまたはコードは、記録媒体のようなコンピュータ読み取り可能な媒体に格納された必要なタスクを実行するために分裂する。コードセグメントまたはコンピュータ実行可能な指示は、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラス、またはこれらのいかなる組み合わせ、データ構造、及びプログラムステートメント、の少なくともいずれかを表し得る。情報、データ、引数、パラメータ、及びメモリコンテンツの少なくともいずれかを通過及び受診することにより、コードセグメントは、他のコードセグメントまたはハードウェア回路と結合されてもよい。情報、引数、パラメータ、データ等は、メモリ共有、メッセージ通過、トークン通過、ネットワーク送信等を含む適した手段を介して、通過、転送、送信されてもよい。
【0064】
ファームウェア及びソフトウェア実装の少なくともいずれかについて、方法はここで記載される関数を実行するモジュール(例えば手順、関数など)を伴って実現されてもよい。命令を明白に実行する、いかなるコンピュータ読み取り可能な媒体は、ここに記載された方法の実現に用いられてもよい。例えばソフトウェアコードは、メモリに格納されればよい。メモリは、プロセッサ内、またはプロセッサの外部に実装されてもよい。ここでは「メモリ」という単語は長期、短期、揮発性、不揮発性、または他の記録媒体等のいかなる形式を引用するものとして用いられ、特定の形式のメモリやメモリの数、またメモリが格納されるメディア形式も限定されるものではない。
【0065】
さらにここでは、「記録媒体」という単語は、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記録媒体、光学記録媒体、フラッシュメモリデバイス、及び情報を格納する他のコンピュータ読み取り可能な媒体の少なくともいずれかのような、データを格納するための1以上のデバイスを示してもよい。「コンピュータ読み取り可能な媒体」という単語は、持ち運び可能なまたは固定された記録デバイス、光学記録デバイス、ワイヤレスチャネル、及び、指示及び/またはデータを格納、収容、または運搬可能な様々な他の媒体、の少なくともいずれかを含んでもよいが、限定されない。
【0066】
開示の原理は、特定の装置及び方法について上述されたが、本記載は単なる例示であり、発明の範囲を限定しないものであることは、明確に理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気条件を予測する方法であって、
大気により反射されたデータを受信する工程と、
前記大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める運動方程式を解く工程と、
前記動き係数及び前記大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測する工程と、
予測された前記今後の大気条件を返す工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記大気により反射されたデータは、時系列の順次的なレーダ画像を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記運動方程式は、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記運動方程式は、周波数領域での運動方程式を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記周波数領域での運動方程式は、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予測はさらに、最小二乗誤差アルゴリズムの使用を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
暴風雨の動きの場を予測する方法であって、
注目領域にレーダ信号を伝播する工程と、
サンプリングされた、前記注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集する工程と、
前記時間領域のレーダデータを周波数領域に変換する工程と、
大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める周波数領域での運動方程式を解く工程と、
前記動き係数及び前記大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測する工程と、
予測された前記今後の大気条件を返す工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記周波数領域での運動方程式は、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記動き係数を受信された大気により反射されたデータに適用することにより、今後の大気条件を予測する工程をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記予測はさらに、最小二乗誤差アルゴリズムの使用を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
注目領域の気象ナウキャストパターンのレーダシステムであって、
レーダ信号を伝播するように構成されたレーダ源と、
レーダデータを収集するように構成されたレーダ検出器と、
前記レーダ源及び前記レーダ検出器と通信する計算システムであって、
プロセッサ、及び当該プロセッサと結合されたメモリを備え、当該メモリが、前記注目領域を調査するためのレーダシステムの指示動作が実装された、コンピュータ読み取り可能なプログラムを有するコンピュータ読み取り可能な媒体を備える計算システムとを備え、
前記コンピュータ読み取り可能なプログラムは、
前記レーダ源に前記注目領域にレーダ信号を伝播させるための指示と、
前記レーダ検出器に、サンプリングされた、前記注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集させるための指示と、
前記時間領域レーダデータを周波数領域データに変換させるための指示と、
大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める周波数領域での運動方程式を解かせるための指示と、
前記動き係数及び前記大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測させるための指示と、を備えることを特徴とするレーダシステム。
【請求項12】
前記周波数領域での運動方程式は、
を含むことを特徴とする請求項11に記載のレーダシステム。
【請求項13】
注目領域の気象ナウキャストパターンのレーダシステムであって、
レーダ信号を伝播するように構成されたレーダ源と、
レーダデータを収集するように構成されたレーダ検出器と、
前記レーダ源及び前記レーダ検出器と通信する計算システムであって、
プロセッサ、及び当該プロセッサと結合されたメモリを備え、当該メモリが、前記注目領域を調査するためのレーダシステムの指示動作が実装された、コンピュータ読み取り可能なプログラムを有するコンピュータ読み取り可能な媒体を備える計算システムとを備え、
前記コンピュータ読み取り可能なプログラムは、
前記レーダ源に前記注目領域にレーダ信号を伝播する手段と、
前記レーダ検出器に、サンプリングされた、前記注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集する手段と、
前記時間領域レーダデータを周波数領域データに変換する手段と、
大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める周波数領域での運動方程式を解く手段と、
前記動き係数及び前記大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測する手段と、を備えることを特徴とするレーダシステム。
【請求項1】
大気条件を予測する方法であって、
大気により反射されたデータを受信する工程と、
前記大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める運動方程式を解く工程と、
前記動き係数及び前記大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測する工程と、
予測された前記今後の大気条件を返す工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記大気により反射されたデータは、時系列の順次的なレーダ画像を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記運動方程式は、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記運動方程式は、周波数領域での運動方程式を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記周波数領域での運動方程式は、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予測はさらに、最小二乗誤差アルゴリズムの使用を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
暴風雨の動きの場を予測する方法であって、
注目領域にレーダ信号を伝播する工程と、
サンプリングされた、前記注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集する工程と、
前記時間領域のレーダデータを周波数領域に変換する工程と、
大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める周波数領域での運動方程式を解く工程と、
前記動き係数及び前記大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測する工程と、
予測された前記今後の大気条件を返す工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記周波数領域での運動方程式は、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記動き係数を受信された大気により反射されたデータに適用することにより、今後の大気条件を予測する工程をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記予測はさらに、最小二乗誤差アルゴリズムの使用を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
注目領域の気象ナウキャストパターンのレーダシステムであって、
レーダ信号を伝播するように構成されたレーダ源と、
レーダデータを収集するように構成されたレーダ検出器と、
前記レーダ源及び前記レーダ検出器と通信する計算システムであって、
プロセッサ、及び当該プロセッサと結合されたメモリを備え、当該メモリが、前記注目領域を調査するためのレーダシステムの指示動作が実装された、コンピュータ読み取り可能なプログラムを有するコンピュータ読み取り可能な媒体を備える計算システムとを備え、
前記コンピュータ読み取り可能なプログラムは、
前記レーダ源に前記注目領域にレーダ信号を伝播させるための指示と、
前記レーダ検出器に、サンプリングされた、前記注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集させるための指示と、
前記時間領域レーダデータを周波数領域データに変換させるための指示と、
大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める周波数領域での運動方程式を解かせるための指示と、
前記動き係数及び前記大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測させるための指示と、を備えることを特徴とするレーダシステム。
【請求項12】
前記周波数領域での運動方程式は、
を含むことを特徴とする請求項11に記載のレーダシステム。
【請求項13】
注目領域の気象ナウキャストパターンのレーダシステムであって、
レーダ信号を伝播するように構成されたレーダ源と、
レーダデータを収集するように構成されたレーダ検出器と、
前記レーダ源及び前記レーダ検出器と通信する計算システムであって、
プロセッサ、及び当該プロセッサと結合されたメモリを備え、当該メモリが、前記注目領域を調査するためのレーダシステムの指示動作が実装された、コンピュータ読み取り可能なプログラムを有するコンピュータ読み取り可能な媒体を備える計算システムとを備え、
前記コンピュータ読み取り可能なプログラムは、
前記レーダ源に前記注目領域にレーダ信号を伝播する手段と、
前記レーダ検出器に、サンプリングされた、前記注目領域に散乱された時間領域レーダデータを収集する手段と、
前記時間領域レーダデータを周波数領域データに変換する手段と、
大気により反射されたデータを用いて、動き係数を求める周波数領域での運動方程式を解く手段と、
前記動き係数及び前記大気により反射されたデータを用いて、今後の大気条件を予測する手段と、を備えることを特徴とするレーダシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【図18H】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図19E】
【図19F】
【図19G】
【図19H】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【図18H】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図19E】
【図19F】
【図19G】
【図19H】
【公表番号】特表2011−519412(P2011−519412A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549838(P2010−549838)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/035953
【国際公開番号】WO2009/111523
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(592246587)コロラド ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/035953
【国際公開番号】WO2009/111523
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(592246587)コロラド ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション (17)
【Fターム(参考)】
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