説明

曇り防止マスク及びマスクの縁部材

【課題】 マスクの上縁に取付けて該マスクを着用した場合に鼻の形状になじんで隙間を無くすことが出来る縁部材の提供。
【解決手段】 縁部材1は概略逆U字状の断面をなした柔軟性のある材質からなり、その内部には針金などで曲げることが出来る芯材3を埋着し、そして両側片8,8の間にはマスク上縁が嵌る隙間4を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメガネを掛けてマスクを着用する場合、メガネのレンズが曇らないようにしたマスク及び該マスクの上縁に取付けることが出来る縁部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メガネを掛けている人がマスクを着用すると、マスクと鼻の隙間から流れ出る吐息によってメガネのレンズが曇って前方が見えなくなる。特に、冬季においては温かい吐息が冷たいレンズ内面にかかって冷やされることで、息に含まれている水蒸気が凝結して細かい水滴となり、メガネレンズは曇る。その為に、前方が見えなくなり、特に車の運転をしている場合には非常に危険でもある。
【0003】
従来、レンズの曇りを防止する為に、曇り防止剤を使用することもあるが、常に携帯しなくてはならず、又レンズに時々塗布しなくてはならない為に、煩わしい。特開2007−283045号に係る「マスク掛けた時の眼鏡の曇り止めの息遮断器」は、マスクから漏れる息が眼鏡に当ることを遮断することが出来る。
これは金具2枚を曲げ、間にゴムを入れ、接肌面にウレタンを張り、気密を保持するように構成している。
【0004】
しかし、この息遮断器をどのように取付けるのかが、両面にゴム紐を連結していることから、マスクとは別にマスクの上縁部を押えるように着用するのであろうか。
マスクを着用すると共にこの曇り止めの息遮断器を着用しなくてはならず、面倒である。夫々が別物品であることから、曇り止めの息遮断器を失うこともある。
【0005】
特開2005−224481号に係る「マスク」は、口と鼻を覆う衛生用品としての簡易マスクであって、眼鏡を掛けていても、レンズが曇ることのないマスクである。
該マスクは、複数枚の通気性被膜を重ね合わせ適所を溶着し、且つ左右両側に耳掛け紐を設けたマスク本体の上部に、上下一対の水平溶着線を設け、この水平溶着線間に横長の変形維持部材を内設すると共に、上側の水平溶着線上に眼鏡による押さえ部を形成することにより、口や鼻からの息が眼鏡の裏側へ上昇するのを防ぐことが出来る。また上側の水平溶着線の中央部からマスク本体における左右の上側角部に亘る傾斜溶着線を形成することにより、押さえ部の顔面への密着性を良好にしている。
【0006】
実用新案登録第3068062号に係る「メガネの曇らない風邪用マスク」は、鼻の形にぴったりと密着して吐く息が漏れないようにしたものである。そこで、粘着シールに針金を貼りつけ、これをマスクに貼りつけて使用することで、メガネを掛ける場合にレンズが曇ることはない。
【0007】
このように、メガネレンズの曇り止めを図ったマスクは色々存在している。しかし、これらのマスクでは掛け心地が悪く、特に特開2007−283045号に係る「マスク掛けた時の眼鏡の曇り止めの息遮断器」の場合には、マスクの他に息遮断器を着用しなくてならない。
【0008】
【特許文献1】特開2007−283045号に係る「マスク掛けた時の眼鏡の曇り止めの息遮断器」
【特許文献2】特開2005−224481号に係る「マスク」
【特許文献3】実用新案登録第3068062号に係る「メガネの曇らない風邪用マスク」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように従来のマスクには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、マスクの上縁に取付けることでメガネが曇ることのない縁部材を提供する。そして、この縁部材を取付けても掛け心地を損なうことなく、又位置ズレすることのないマスクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るマスクは、その上縁に縁部材を取付けて構成している。しかも縁部材は如何なるマスクにも取付け出来、取外し可能としている。すなわち、着脱自在な縁部材として構成している。ところで、具体的な材質は限定しないが、例えばシリコンなどの柔軟な材質が用いられ、内部には針金などで構成する芯材を埋着している。ここで上記針金とはある程度の剛性を備えて、曲げ変形することが出来る細い線材であり、その材質は及び断面形状は問わない。
【0011】
芯材はその形状を自由に変えることが出来るように柔軟性を有し、鼻の形状に合わせて曲げることが出来、その為にマスクの上縁は肌との間に隙間を無くすことが出来る。ここで、縁部材はマスクの上縁を挟むことが出来るように概略逆U状断面としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のマスクはその上縁に縁部材を取付けることで、マスク上縁と鼻との間の隙間を無くすことが出来、メガネを掛けてもレンズが曇ることはない。すなわち、縁部材は柔軟な材質内に針金などの芯材を埋着していることで、鼻の形状に合わせて曲げることが出来ることで、マスク上縁に取付けた縁部材によって隙間の発生は防止される。
【0013】
そして、本発明の縁部材は概略逆U字条断面としていることで、マスク上縁を挟み込むことで簡単に取付け出来、又何時でも取外しすることが出来る。すなわち、市販のマスクに着脱自在である。その為に、新聞や雑誌を読む際にのみ老眼鏡を掛ける人にとっては、該老眼鏡を掛けない時には縁部材を取外してマスクを着用することが出来る。また、縁部材はシリコンなどの材質で構成されていることで肌当りが良く、マスクの掛け心地は良好であると共に位置ズレが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る縁部材を示す実施例。
【図2】本発明に係る縁部材を示す実施例。
【図3】縁部材をマスク上縁に取付けた場合。
【図4】縁部材を取付けたマスクを着用した状態。
【図5】本発明に係る縁部材を示す他の実施例。
【図6】図5に示す縁部材を取付けたマスク。
【図7】本発明に係る縁部材を示す他の実施例。
【図8】図7に示す縁部材を取付けたマスク。
【図9】本発明に係る縁部材を示す他の実施例。
【図10】図9に示す縁部材を取付けたマスク。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る縁部材1を示す実施例である。該縁部材1はその断面を概略逆U字状とし、その本体2の材質は柔軟な樹脂、例えばシリコン樹脂が用いられ、内部には芯材3が埋着されている。そして、本体2は下側が開口した隙間4が連続して形成され、この隙間4にマスクの上縁が挿入されて取付けることが出来る。
【0016】
上記芯材3は細い針金から成り、本体2の上側に埋着されると共に全長にわたって延びている。ここで、本体2は柔軟な材質でればよく、比較的厚いウール生地の内部又は裏面に芯材3を埋着又は縫着して構成し、これを概略逆U字状断面、又は概略逆V字状断面とすることも出来る。
【0017】
図2は縁部材1を示す他の実施例であり、該縁部材1は一定幅で細長い帯状とし、芯材5を表層6と裏層7とで挟み込んだ構造としている。上記芯材5は前記図1の芯材3のようにストレートの1本の針金ではなく、網目状を成し、しかも素手で簡単に折り曲げることが出来る強さを有している。上記表層6、芯材5、及び裏層7は互いに接着すたり縫製したりすることが出来、又、表裏層の材質が軟質樹脂の場合には成形することが出来る。
【0018】
ところで、上記表層6は肌に接する側を、裏層7はマスク上縁を挟み込む側となるが、その為に表層6は例えばウール生地で構成した比較的厚いものを使用することが出来る。そして、この縁部材1は(b)のように概略逆U形断面に折り曲げられ、間に形成される隙間4にマスク上縁が嵌って取付けられる。該縁部材1の芯材5はストレートの1本でなく網目状と成っていることで、逆U字状に折り曲げても元に戻ることはなく、又概略逆U字状断面の両側片8,8にてマスク上縁を挟み込むことが出来る。
【0019】
図3はマスク9の上縁に本発明の縁部材1を取付けた場合を示している。近年、マスクにも色々な形態が知られているが、基本形態は同じであり、両側には耳掛け10,10を有している。そして、上記縁部材1を曲げて湾曲することであらゆるマスク9の上縁に取付けることが出来る。縁部材1の構造は前記図1の場合と図2の場合の何れでもよい。
【0020】
図4は本発明に係るマスク9を着用した状態を示している。マスク9の上縁に取付けた縁部材1は鼻の形状に合わせて曲げ成形され、鼻との間に隙間を作ることなく肌に密着することが出来る。実際にはマスク9を着用した状態で縁部材1を押圧するならば、鼻の形状に倣って曲げられる。従って、該マスク9を着用した状態でメガネを掛ける場合、マスク9の上縁から吐息が漏れることはなく、メガネレンズが曇ることもない。そして、該マスク9が汚れて洗濯する場合には縁部材1を取外すことが出来る。
【0021】
本発明の縁部材をマスク9の上縁に取付けることで、メガネレンズの曇り止め効果を得ることが出来ることは勿論であるが、菌の侵入防止を図ることが出来、着用したマスク9の位置ズレ防止をすることが出来る。そして、縁部材1の材質として抗菌作用のある素材を使用することが出来、一方、香料を混入したりマイナスイオンを発するように構成することも可能である。
【0022】
図5は本発明に係るマスクの上縁に取付ける縁部材を示す他の実施例である。基本形態は前記図1に示している縁部材1と共通し、概略U形断面として内部には芯材3が埋着されている。しかも、同図に示している縁部材1はその両端に止着部11,11を設けている。該止着部11,11には止着穴12,12が貫通して設けられ、止着部11,11にはスリット13,13が形成されて止着穴12,12に連通している。
【0023】
該止着穴12,12にはマスクの耳掛けが嵌ることが出来るように、スリット13,13を捻ることで止着穴12,12は開口し、該スリット13,13から耳掛けが挿入されて止着穴12,12に嵌ることが出来る。又、該縁部材1は両側片8a,8bを有す概略U形断面をしているが、正面側(マスクに取付けた場合の内側)の側片厚さは一定しているが、背面側(マスクに取付けた場合の外側)の側片8bは中央部において厚さが変化している。すなわち、中央の両側部では厚く成っており、しかも先端方向に向いてその厚さが減少している。
【0024】
図6は前記図5に示す縁部材1をマスク9の上縁に取付けた場合であり、マスク上縁は両側片8a,8bにて挟まれて取付けられる。そして、止着穴12,12には耳掛け10,10が嵌っており、縁部材1は横ズレすることなく、しかもマスク上縁から外れることなく取付けられる。
【0025】
図7は本発明に係るマスクの上縁に取付ける縁部材を示すさらなる別の実施例である。基本形態は前記図1に示している縁部材1と共通し、概略U形断面として内部には芯材3が埋着され、しかも、図5と同じく縁部材1はその両端に止着部11,11を設けている。そして、止着部11,11には止着穴12,12が貫通して設けられ、止着部11,11にはスリット13,13が形成されて止着穴12,12に連通している。ただし、図7の縁部材1はその中央部が概略U形断面と成っているだけであり、両側端部では正面側の側片8aは切欠かれている。
【0026】
縁部材1の中央部が概略U形をしていることで、マスクの上縁を挟み込むことが出来、しかも止着部11,11に設けた止着穴12,12にはマスクの耳掛け10,10が嵌るように成っている。従って、縁部材1はマスク上縁から外れることはなく、しかも位置ズレすることもない。図8は図7の縁部材1をマスク上縁に取付けた場合の正面図と背面図を表している。
【0027】
図9は本発明に係るマスクの上縁に取付ける縁部材を示すさらなる別の実施例である。基本形態は前記図1に示している縁部材1と共通し、概略U形断面として内部には芯材3が埋着され、しかも、図5と同じく縁部材1はその両端に止着部11,11を設けている。そして、止着部11,11には止着穴12,12が貫通して設けられ、止着部11,11にはスリット13,13が形成されて止着穴12,12に連通している。ただし、図9の縁部材1はその一部が概略U形断面と成っているだけであり、中央部と両側端部では正面側の側片8aは切欠かれている。
【0028】
縁部材1の一部が概略U形をしていることで、マスクの上縁を挟み込むことが出来、しかも止着部11,11に設けた止着穴12,12にはマスクの耳掛け10,10が嵌るように成っている。従って、縁部材1はマスク上縁から外れることはなく、しかも位置ズレすることもない。図10は図9の縁部材1をマスク上縁に取付けた場合の正面図と背面図を表している。
【符号の説明】
【0029】
1 縁部材
2 本体
3 芯材
4 隙間
5 芯材
6 表層
7 裏層
8 側片
9 マスク
10 耳掛け
11 止着部
12 止着穴
13 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクの上縁に取付けて該マスクを着用した場合に鼻の形状になじんで隙間を無くすことが出来る縁部材において、該縁部材は概略逆U字状の断面をなした柔軟性のある材質からなり、その内部には針金などで曲げることが出来る芯材を埋着し、そして両側片の間にはマスク上縁が嵌る隙間を形成したことを特徴とするマスクに取付ける縁部材。
【請求項2】
正面側(マスクに取付けた場合の内側)の側片一部を切欠いた請求項1記載のマスクに取付ける縁部材。
【請求項3】
側片の両先端に止着部を設け、該止着部にはマスクの耳掛けが嵌る止着穴を形成すると共に止着穴に連通するスリットを設けた請求項1、又は請求項2記載のマスクに取付ける縁部材。
【請求項4】
マスクの上縁に取付けて該マスクを着用した場合に鼻の形状になじんで隙間を無くすことが出来る縁部材において、該縁部材は一定幅の帯状とし、材質は柔軟性を有し、その内部又は裏面には針金などで網目状を成して曲げることが出来る芯材を積層し、そして2つ折りして概略逆U字状又は概略逆V字状の断面として両側片の間にマスク上縁を挟み込んで取付けることを特徴とするマスクに取付ける縁部材。
【請求項5】
帯状をした両先端に止着部を設け、該止着部にはマスクの耳掛けが嵌る止着穴を形成すると共に止着穴に連通するスリットを設けた請求項4記載のマスクに取付ける縁部材。
【請求項6】
マスクを着用した場合に鼻の形状になじんで隙間を無くすことが出来る縁部材を上縁に取付けたマスクにおいて、該縁部材は少なくとも一部を概略逆U字状の断面をなした柔軟性のある材質からなり、その内部には針金などで曲げることが出来る芯材を埋着し、そして両側片の間には隙間を有してマスク上縁が嵌って取付けたことを特徴とするマスク。
【請求項7】
上記側片の両先端には止着部を設け、該止着部には止着穴を形成すると共に止着穴に連通するスリットを設け、マスクの耳掛けを上記止着穴に嵌めて取付けた請求項6記載のマスク。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−19894(P2011−19894A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235156(P2009−235156)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(507055291)有限会社 ボンバーデザインワークス (4)
【Fターム(参考)】