説明

曝気攪拌装置

【課題】ドラフトチューブ内へ空気を供給しながらドラフトチューブ内に配設された軸流インペラを回転させて被処理液を曝気攪拌する曝気攪拌装置において、所要動力の低減を図る。
【解決手段】処理槽TKに収容された被処理液内に設けられるドラフトチューブ40と、ドラフトチューブ40内に設けられ、回転駆動部82の駆動により回転する軸流インペラ85と、ドラフトチューブ40内へ空気吐出口59aを介して空気を供給する空気供給部50とを備え、空気供給部50が、送風機51と、基端が前記送風機51に接続され、先端に空気吐出口59aを形成する空気吐出部59を備えている空気供給路とを有するものであり、空気吐出部59が、空気吐出口59aをドラフトチューブ40の内面または内面近傍に形成するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下廃水、し尿,工場廃水などの汚水や汚泥等の被処理液を浄化処理する曝気攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被処理液の内部に空気を吹き込んで酸素を溶解させるとともに、被処理液を流動循環させることによって、被処理液を好気的に浄化処理する曝気攪拌装置が知られている。このような曝気攪拌装置には、特許文献1〜6に記載されているように、筒状のハウジング内に配設された軸流インペラを回転させて攪拌水流を発生させるとともに、散気管や散気板などの構造物を軸流インペラの下部(下流側の近傍)に設置し、その構造物に形成されている散気孔から空気を吐出させ、空気の気泡が被処理液に混ぜ込むようにしたものがある。
【0003】
ここで、図36に従来の曝気攪拌装置の一例を示す。図36において、曝気撹拌装置1は、保持部1Aと、処理槽TK内において保持部1Aに保持されている円筒状のハウジングであるドラフトチューブ10と、ドラフトチューブ10内の被処理液に下降流を形成する攪拌部1Bと、ドラフトチューブ10内へ空気を供給する空気供給部1Cとを備えている。
【0004】
保持部1Aは架台7、支柱8で構成されており、各支柱8の被処理液の水位よりも下方に位置する部分の側面には整流板9が配置されている。攪拌部1Bは、モータ2と、モータ2により回転する駆動軸5と、駆動軸5の先端に取り付けられた軸流インペラ6とを具備している。ドラフトチューブ10は軸流インペラ6の下に同軸上に配置された案内羽根11を備えている。
【0005】
空気供給部1Cは、図37および図38に示すように、送風機15、空気供給管14、エアチャンバー16、散気管13で構成されており、送風機15からの空気は空気供給管14及びエアチャンバー16を介して散気管13に導かれ、散気管13の散気孔13aから軸流インペラの下部空間へ吐出される。そして、軸流インペラ6の回転により形成された下降流に、散気管13の散気孔13aから空気を吹き込むことにより、空気泡を被処理液の循環流に乗せて処理槽全体に行き渡らせて曝気を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平2−32957号公報
【特許文献2】特公平1−31438号公報
【特許文献3】特許第3160057号公報
【特許文献4】特許第3649080号公報
【特許文献5】特許第4204020号公報
【特許文献6】特開2002-35784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の曝気攪拌装置では、散気管等の構造物はドラフトチューブの内壁から軸流インペラの下部へ突出して設けられているため、その構造物がドラフトチューブ内の下降流に対して抵抗となり、被処理液を循環させるため必要な動力(モータ2の出力)が大きくなってしまうという問題がある。
【0008】
また、汚水中によく含まれる髪の毛などの異物がその散気管等の構造物に絡まって流路抵抗をさらに大きくし、前記必要な動力をより増大化させてしまう可能性がある。また、散気管に絡みついた異物によって散気孔が閉塞した場合には、空気の供給に必要な動力(送風機15の出力)も大きくなってしまう可能性がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、ドラフトチューブ内へ空気を供給しながらドラフトチューブ内に配設された軸流インペラを回転させて被処理液を曝気攪拌する曝気攪拌装置において、所要動力の低減を図ることができる曝気攪拌装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の曝気攪拌装置は、処理槽に収容された被処理液内に設けられるドラフトチューブと、ドラフトチューブ内に設けられ、回転駆動部の駆動により回転する軸流インペラと、ドラフトチューブ内へ空気吐出口を介して空気を供給する空気供給部とを備えた曝気攪拌装置において、空気供給部が、送風機と、基端が前記送風機に接続され、先端に空気吐出口を形成する空気吐出部を備えている空気供給路とを有するものであり、空気吐出部が、空気吐出口をドラフトチューブの内面または内面近傍に形成するものであることを特徴とするものである。
【0011】
ここで、空気吐出口が内面に形成されているとは、空気吐出口が内面に直接形成されているか、内面に接するように形成されていることを意味する。
【0012】
また、空気吐出口が内面近傍に形成されているとは、空気吐出口が内面から少し離れた位置に形成されている場合であって、その位置が、空気吐出口が形成されている場所の直前(上流側)でのドラフトチューブの内径に対して内側に向けて10%以内の範囲にあることを意味する。
【0013】
上記曝気攪拌装置は、ドラフトチューブの外周において上面および周面が閉塞された空間を形成するカバーと、一端がその空間に連結され、他端に被処理液の水面近傍に位置する開口が形成された空気排出路とを備えたものであってもよい。
【0014】
また、上記曝気攪拌装置においては、ドラフトチューブが、前記処理槽の上部から下方に向けて延びる支柱により保持されたものであり、その支柱が空気供給路または空気排出路を形成するものであってもよい。
【0015】
また、ドラフトチューブが、処理槽の上部から下方に向けて延びる2以上の支柱により保持されたものであり、前記2以上の支柱のうち少なくとも1つが空気供給路を形成するものであり、前記2以上の支柱のうち空気供給路を形成する支柱を除く少なくとも1つが空気排出路を形成するものであってもよい。
【0016】
また、空気吐出口が、ドラフトチューブの周方向に連続的または断続的に延びるスリット状の開口であり、空気吐出部が、空気吐出口の一部を塞ぐ邪魔板を有するものであってもよい。
【0017】
また、上記曝気攪拌装置は、軸流インペラの上方の被処理液の水面近傍に、被処理液の水面から軸流インペラに向かってその方向に直交する断面の直径が小さくなる形状の水面整流体を備えたものであってもよい。この水面整流体としては、たとえば、断面の直径が小さくなる程度が被処理液の水面から軸流インペラに向かう方向において一定である円錐形状のものや断面の直径が小さくなる程度が被処理液の水面から軸流インペラに向かう方向において徐々に小さくなるベルマウス形状のものを用いることができる。なお、水面整流体の断面は、円形以外の多角形、楕円形等の形状であってよい。
【0018】
また、処理槽の上部に取り付けられた保持部と、軸流インペラおよび水面整流体を有し、保持部により形成される空間に挿入され、その保持部に着脱可能に保持される攪拌部とを備え、水面整流体が、その前記挿入方向に直交する方向における直径の最大値が、前記空間の前記挿入方向に直交する方向における直径の最小値より小さくなるように形成されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の曝気攪拌装置によれば、処理槽に収容された被処理液内に設けられるドラフトチューブと、ドラフトチューブ内に設けられ、回転駆動部の駆動により回転する軸流インペラと、ドラフトチューブ内へ空気吐出口を介して空気を供給する空気供給部とを備えた曝気攪拌装置において、空気供給部が、送風機と、基端が前記送風機に接続され、先端に空気吐出口を形成する空気吐出部を備えている空気供給路とを有するものであり、空気吐出部が、空気吐出口をドラフトチューブの内面または内面近傍に形成するものであることにより、すなわち、ドラフトチューブ内へ空気を供給するための構造物をドラフトチューブの内面または内面近傍より内側には設けないようにすることにより、軸流インペラの直下空間に散気管等の構造物を設置する従来の曝気攪拌装置に比べて、空気を供給するための機構によるドラフトチューブ内の流路抵抗を低減させることができ、その結果同程度の曝気攪拌の処理能力を得るために必要となる動力を低減することができる。
【0020】
さらに、上記従来の曝気攪拌装置に比べて、髪の毛などの異物が絡まりにくくなり、異物の付着によって流路抵抗が増大したり、空気吐出口が閉塞されるような事態の発生を抑制することができる。
【0021】
また、上記曝気攪拌装置が、ドラフトチューブの外周において上面および周面が閉塞された空間を形成するカバーと、一端がその空間に連結され、他端に被処理液の水面近傍に位置する開口が形成された空気排出路とを備えたものであれば、ドラフトチューブの外周面に沿って浮上した古い空気(被処理液と接触済みの空気)が直接ドラフトチューブ上部の吸込口に流入しないように、被処理液の水面近傍にまで案内して排出することができ、これにより、ドラフトチューブ上部の吸込口から流入する古い空気の量を低減させ、空気吐出口から供給可能な新鮮な空気の供給量を所定レベルで維持することができる。
【0022】
また、上記曝気攪拌装置において、ドラフトチューブが、処理槽の上部から下方に向けて延びる支柱により保持されたものであり、その支柱が空気供給路または空気排出路を形成するものであれば、被処理液の水面を貫通する空気供給用または空気排出路の構造体を別途設ける必要がなくなるので、水面を貫通する構造体を基点に渦が発生し、その渦によって軸流インペラの運転効率が低下するような事態の発生を抑制することができる。
【0023】
また、ドラフトチューブが、処理槽の上部から下方に向けて延びる2以上の支柱により保持されたものであり、前記2以上の支柱のうち少なくとも1つが空気供給路を形成するものであり、前記2以上の支柱のうち空気供給路を形成する支柱を除く少なくとも1つが空気排出路を形成するものである場合には、被処理液の水面を貫通する空気排出用の構造体および空気排出用の構造体をそれぞれ別途設ける必要がなくなるので、水面を貫通する構造体を基点に渦が発生し、その渦によって軸流インペラの運転効率が低下するような事態の発生を抑制することができる。
【0024】
また、空気吐出口が、ドラフトチューブの周方向に連続的または断続的に延びるスリット状の開口であり、空気吐出部が、空気吐出口の一部を塞ぐ邪魔板を有するものであれば、空気吐出口から吐出される空気の流れを邪魔板により乱すことができ、乱流による被処理液と気泡の混合を促進して、被処理液中に酸素を効率よく溶解させることができる。
【0025】
また、上記曝気攪拌装置が、軸流インペラの上方の被処理液の水面近傍に、被処理液の水面から軸流インペラに向かってその方向に直交する断面の直径が小さくなる形状の水面整流体を備えたものである場合には、空気の吸込み渦の発生を抑制し、空気の吸込み渦に起因する軸流インペラの運転効率の低下を抑制することができるとともに、被処理液の吸い込み流れを効率良く軸流インペラに導くことができる。
【0026】
また、処理槽の上部に取り付けられた保持部と、軸流インペラおよび水面整流体を有し、保持部により形成される空間に挿入され、保持部に着脱可能に保持される攪拌部とを備え、水面整流体が、その前記挿入方向に直交する方向における直径の最大値が、前記空間の前記挿入方向に直交する方向における直径の最小値より小さくなるように形成されたものである場合には、攪拌部を保持部に対して着脱する際に水面整流体を前記空間の内側を容易に通過させることができ、攪拌部全体を前記保持部から容易に取り外すことができる。このように、攪拌部が保持部に対し着脱可能に取り付けられるものであることにより、攪拌部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の曝気攪拌装置が処理槽に設置された状態を示す模式図
【図2】攪拌部が支持構造部から着脱される様子を示す模式図
【図3】支持構造部の構成を示す模式図
【図4】保持部における架台の構成を示す上面図
【図5】保持部における軸受け保持部の構造を示す模式図
【図6】支持構造部の部分拡大図
【図7】図6におけるエアチャンバーのD-D断面図
【図8】図6における空気整流室のE-E断面図
【図9】空気吐出部の水平断面図
【図10】図6における空気吐出部のF-F断面図
【図11】空気排出部を示す斜視図
【図12】図11を矢印X方向から見た図
【図13】攪拌部の構成を示す模式図
【図14】図13の撹拌部における支持筒内に駆動軸が収容された様子を示すG-G断面図
【図15】図13の撹拌部における第2軸受けの構造を示すH-H断面図
【図16】図13の撹拌部における水面整流体の構造を示すI-I断面図
【図17】撹拌部が支持構造部に装着された様子を示す模式図
【図18】撹拌部の基台が架台に設置された様子を示す模式図
【図19】軸受け保持部に第2軸受けが支持される様子を示す模式図
【図20】軸受け保持部に第2軸受けが支持される様子を示す断面図
【図21】空気吐出部の変形例を示す図
【図22】空気吐出部の変形例を説明するための図
【図23】空気吐出部の変形例を説明するための図
【図24】ドラフトチューブの変形例を説明するための図
【図25】ドラフトチューブの変形例を説明するための図
【図26】空気吐出口の変形例を示す図
【図27】邪魔板の変形例を示す図
【図28】邪魔板の変形例を示す図
【図29】邪魔板の変形例を示す図
【図30】邪魔板の変形例を示す図
【図31】エアチャンバーと空気整流室の構成の変形例を示す図
【図32】図31をエアチャンバーの構造を示す水平断面図
【図33】本発明の曝気撹拌装置における保持部の第2の実施形態を示す断面図
【図34】図35における上部支柱の一例を示す上面図
【図35】本発明の曝気撹拌装置における撹拌部の第2の実施形態を示す断面図
【図36】従来の曝気撹拌装置の一例を示す模式図
【図37】図36の部分拡大図
【図38】図36の散気管の構造を示す水平断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の曝気攪拌装置の実施の形態について説明する。図1に示すように、本発明の曝気攪拌装置100は、処理槽TK上に配置され、処理槽TK内に収容された被処理液を曝気攪拌するものであって、図2に示すように、処理槽TKに固定して設けられる支持構造部20と、支持構造部20に対し着脱可能に取り付けられる攪拌部80とを備えている。
【0029】
支持構造部20は、図3に示すように、保持部30、ドラフトチューブ40、空気供給部50、空気排出部60を有している。
【0030】
保持部30は、架台31、支持部材32等を備えている。架台31は処理槽TK上に固定されており、図4の上面図に示すように攪拌部80が挿入される開口部31aを有している。この架台31にはドラフトチューブ40を保持するための支持部材が固定されている。支持部材は4本の支柱32からなり、4本の支柱32は正方形平面の四つ角にそれぞれ配置されるようになっている。この4本の支柱32のうち1本の支柱32は空気供給部50の一部を形成し、残り3本の支柱32は空気排出部60の一部を形成している。なお、空気供給部50および空気排出部60に関する詳細は後述する。
【0031】
また、各部材32は、図3に示すように、上部支柱32aと下部支柱32bとからなり、上部支柱32aと下部支柱32bは被処理液の水位よりも上方においてフランジ継ぎ手等を用いてそれらの内部空間同士が連通するように接続されている。したがって、上部支柱32aは処理槽TKの大気中に位置し、下部支柱32bは上部が大気中に下部が被処理液内に位置することになる。また、各上部支柱32a間は筋かい等の補強材32Xにより接続されており、この補強材32Xにより支持部材32全体の剛性が高まり制振性能の向上を図ることができる。一方、下部支柱32bにはドラフトチューブ40上端の呑み口周辺の吸い込み流れを妨げないように筋かいによる補強は行わない。
【0032】
上部支柱32aには、図5に示すように、後述する攪拌部80の第2軸受け92を支持するための軸受け支持部35が取り付けられている。軸受け保持部35は、第2軸受け92を水平方向(矢印XY方向)に対し支持するものであって、上部支柱32aの下方に取り付けられている。軸受け保持部35は、環状枠体35aおよび突出部材35bを備えている。環状枠体35aは、軸流インペラ85がその内側を通過するために、直径を軸流インペラ85の直径よりも若干大きく形成されており、上部支柱32aの各支柱から張り出した部材32Yで支持している。突出部材35bは、環状枠体35aの内面にはリング中心に向かって3〜4枚取り付けられている。突出部材35bは鉛直下方(矢印Z1方向)に行くにしたがい、張り出し長が長くなるような環状部材93の側面に当接する傾斜が形成されている。なお、軸受け保持部35は、浸水しない上部支柱32a側に取り付けられているため、軸受け保持部35にはめ込み固定される第2軸受け92も浸水しないことになる。
【0033】
また、下部支柱32bの側面には、図3に示すように、ドラフトチューブ40上端の呑み口周辺の吸い込み流れを整流するための整流板33が配置されている。整流板33は、鉛直方向(矢印Z方向)に延びているとともに、4本の支柱32の対角線上に向かって放射状に形成されている。整流板33は、ドラフトチューブ40が水平平面上に振動したときに流動抵抗体としても作用し、支柱部材32の振動を減衰させることができる。
【0034】
ドラフトチューブ40は、被処理液に下向き(矢印Z1方向)の流れを形成するものであって、支柱32により保持されている。なお、ドラフトチューブ40が処理槽TKの中央に配置されるように、上述した保持部30が処理槽TKの中央に位置決めされる。
【0035】
ドラフトチューブ40は、図6に示すように、流入部40a、処理部40b、流出部40cを有しており、このうち処理部40b内に軸流インペラ85が位置する。そして、軸流インペラ85の回転により、被処理液は流入部40aの上端からドラフトチューブ40内に流入し流出部40cの下端から排出される。
【0036】
流入部40aは上端に向かってたとえば曲率半径が約0.5D1(D1=軸流インペラ直径)で径が漸次大きくなるようなベルマウス形状となっている。これにより、流入部40aの上部からドラフトチューブ40内に被処理液が流入する際、入口損失を小さくして吸い込み流れを効率良く軸流インペラ85に導くことができる。
【0037】
処理部40bは略一定の直径を有するものであって、内部に軸流インペラ85が収容されている。なお、処理部40bの側壁と軸流インペラ85の隙間は、片側0.015D1程度(D1:インペラ直径)とし、ドラフトチューブ40側に接触防止の為の環状溝(図36、図37参照)は設けない。
【0038】
流出部40cは上端が空気吐出部59に連設されてなるものであって、上端部の直径は処理部40bの直径より若干大きい大きさとなるように、下端部の直径は処理部40bの直径と略同じ大きさとなるように形成されている。これにより、流出部40cと処理部40bが接続する位置に周方向に延びるスリット状の切れ目(空気吐出口59a)が形成され、この切れ目からドラフトチューブ40内に空気が吐出されることとなる。また、ドラフトチューブ40は、処理槽TKの底部と流出部40cの下端との距離が2.5D1〜5D1程度(D1:インペラ直径)になるように配置されている。
【0039】
さらに、ドラフトチューブ40は、処理部40b内において、固定部41と複数の案内羽根42とを有している。固定部41は、先端が砲弾状に尖った中空体であり、軸流インペラ85のボス径とほぼ同じ直径を有している。そして、固定部41は案内羽根42をドラフトチューブ40内に固定する。
【0040】
複数の案内羽根42はドラフトチューブ40内に周方向約90°間隔で取り付けられている。この案内羽根42は、流れ方向(矢印Z方向)の長さが約0.4D1(D1:軸流インペラ85の直径)であって、上流側40%程度の長さの範囲が軸流インペラ85の傾きとは逆向き方向に円弧状に傾斜している。円弧は半径がたとえば0.14D1程度(D1:軸流インペラ85の直径)に形成されており、この円弧の半径はドラフトチューブ40の径方向に対し略一定になるように形成されている。
【0041】
軸流インペラ85と案内羽根42との隙間はインペラ先端部でたとえば0.05D1程度(D1:インペラ直径)になるように、ドラフトチューブ40および攪拌部80が位置決めされる。これらの隙間は小さいほど流体損失を小さくできるため、製作上また実用上可能な範囲で極力小さくすることが好ましい。
【0042】
空気供給部50は、ドラフトチューブ40内へ空気を供給するものであって、図3および図6に示すように、送風機51、空気供給管52〜54、エアチャンバー56、空気整流室58、空気吐出部59を備えている。ここで、空気供給管52〜54、エアチャンバー56、空気整流室58および空気吐出部59が本発明の空気供給路を構成する。
【0043】
空気供給管52は、一端が送風機51に接続され、他端が空気供給管53に接続されたものである。空気供給管53は、上部側面に開口を有する1本の支柱32により形成され、その開口を介して空気供給管52と接続されているとともに、下端の開口を介して空気供給管54と接続されている。空気供給管54は、一端が空気供給管53の下端に接続され、他端がエアチャンバー56に接続されたものである。
【0044】
エアチャンバー56は、ドラフトチューブ40の外周に設けられた中空環状の空気室であって、図6および図7に示すように、側壁に形成されている開口を介して空気供給管54に接続されているとともに、圧力調整隔壁57(底壁)に略等間隔で形成された小孔57aを介して空気整流室58に接続されている。これにより、空気供給管54から流入した空気を、エアチャンバー56に一旦充填させてから空気整流室58へ送り込むことができ、空気整流室58へ流入する空気の圧力をドラフトチューブの周方向において均一化させることができる。ここで、図7は図6におけるエアチャンバー56のD-D断面図である。
【0045】
空気整流室58には、図6および図8に示すように、側壁からその空間内部へ突出した空気整流板58aが形成されており、エアチャンバー56から流入した空気の流れを規制して空気吐出部59に導くようになっている。ここで、図8は図6における空気整流室58のE-E断面図である。
【0046】
空気吐出部59は、図6に示すように、上端が空気整流室58に接続し、下端が前述したドラフトチューブ40の流出部40cと処理部40bとが接続する位置において形成されているスリット状の切れ目に接続された空気通路である。空気吐出部59は、円周状に連続して延びたスリット状の空気吐出口59を形成し、この空気吐出口59aからドラフトチューブ40内へ空気が吐出されることとなる。ここで、空気吐出部59の水平断面図を図9に示す。
【0047】
また、空気吐出部59は、図6および図10に示すように、空気の出口付近に、空気吐出口59aの内側略半分を塞ぐ邪魔板59bを有している。邪魔板59bは、周端面に多数の凹凸が設けられている板状体である。邪魔板59bにより、空気吐出口59aの流路幅が出口付近で絞られ、空気吐出口59aから吐出される空気の流れが乱される。その結果、乱流による被処理液と気泡の混合を促進して、被処理液中に酸素を効率よく溶解させることができる。ここで、図10は空気吐出部59の邪魔板59bが形成されている部分における水平断面図である。
【0048】
このように、空気吐出部59が空気吐出口59aをドラフトチューブ40の内面に形成していることにより、すなわち、ドラフトチューブ40内へ空気を供給するための構造物をドラフトチューブ40の内面より内側には設けないようにすることにより、軸流インペラの直下空間に散気管等の構造物を設置する従来の曝気攪拌装置に比べて、空気を供給するための機構によるドラフトチューブ内の流路抵抗を低減させることができ、その結果同程度の曝気攪拌の処理能力を得るために必要となる動力を低減することができる。
【0049】
また、空気吐出口59aからドラフトチューブ40内へ空気が供給されると、図6に示すように、ドラフトチューブ40の下部内面に沿って下流方向に厚さが大きくなる空気の層が形成される。この空気の層と被処理液の境界面Sでは、空気の噴出速度と軸流インペラ85による下降流の速度差によって発生する強い剪断力によって連続的且つ広範囲で微細な空気泡が生成され、被処理液中に酸素を効率よく溶解させることができる。
【0050】
また、この空気の層が軸流インペラによる下向流の通路をノズル状に絞るため、下向流の流速が軸流インペラ85直下から下流方向に向かって増速され、それによって剪断力が増加し、空気泡の微細化を促進して酸素の溶解効率を向上させることができる。また、下向流の増速に伴い軸流インペラ85のスラスト力が増加するので、それによって、ドラフトチューブ40の下部内の圧力が増加し、酸素の溶解効率をさらに向上させることができる。
【0051】
空気排出部60は、図3、図6および図11に示すように、ドラフトチューブ40の外周中央部において上面および周面が閉塞された空間62を形成するカバー61と、その空間に連結され、他端に被処理液の水面近傍に位置する開口61aが形成された空気排出路63を備えている。
【0052】
空気排出路63は、前記4本の支柱32うち空気供給管53として使用されている1本の支柱32を除く残り3本の支柱32の下部支柱32bにより形成されている。それらの下部支柱32bは、下端がカバー61上面の開口61bに取り付けられ、空間62に接続されている。また、上部側面の被処理液の水面近傍に位置に開口61aを有している。
【0053】
ここで、図12に図11を矢印X方向から見た図を示す。図12に示すように、カバー内部には、空間62を3分割する仕切板61cが形成されており、仕切板61cにより分割されてなる空間毎に1本の下部支柱32bが接続されている。これにより、各下部支柱32bを介して排出される空気の量を略同じにすることができる。
【0054】
空気吐出部59からの供給空気量の増加に伴って、ドラフトチューブ40の下部に形成される空気層が厚くなりドラフトチューブ40の下部内面付近の下降流速が低下し、ドラフトチューブ40の下端外周付近から下降流に乗って流出した空気泡が反転してドラフトチューブ40の外面に沿って浮上する量が増加するが、このように、ドラフトチューブ40の外周において上面および周面が閉塞された空間62を形成するカバー61と、一端がその空間に連結され、他端に被処理液の水面近傍に位置する開口が形成された空気排出路63とを備えることにより、ドラフトチューブの外周面に沿って浮上した古い空気(被処理液と接触済み)が直接ドラフトチューブ上部の吸込口に流入しないように、被処理液の水面近傍にまで案内して排出することができ、これにより、ドラフトチューブ上部の吸込口から流入する古い空気の量を低減させ、空気吐出口から供給可能な新鮮な空気の供給量を所定レベルで維持することができる。
【0055】
また、カバー61を設けることによって、ドラフトチューブ40の下部で一度曝気され溶存酸素量が増加した被処理液がドラフトチューブ40の下端からショートパスしてドラフトチューブ40の上部の吸込口から再度流入して再曝気するのを抑制することができ、その結果、溶存酸素含量の低い被処理液に優先的に気液接触を促し、酸素溶解効率を向上させることもできる。
【0056】
また、空気排出路63を上昇する空気泡は、エアリフト効果によりカバー61内の処理水も併せて排出するため、開口からは気泡を含んだ処理水が水面よりもやや高い位置から外部の空気を巻き込みながら処理水面に流入する表面曝気を兼ねることになり酸素溶解効率の向上に寄与する。
【0057】
攪拌部80は、図13に示すように、基台81、回転駆動部82、駆動軸84、軸流インペラ85を備えている。基台81は、架台31の開口部31aよりも大きい略矩形状の平坦面を有しており、この基台81により攪拌部80が保持部30に保持される。回転駆動部82は、基台81に固定されたモータ82aと減速機82bとを備えており、モータ82aおよび減速機82bにおいて回転の開始・停止および回転数が制御される。駆動軸84は、回転駆動部82から処理槽TK内へ向かって延びており回転駆動部82の駆動により回転する。
【0058】
軸流インペラ85は駆動軸84の先端に取り付けられており、ドラフトチューブ40内に配置される。軸流インペラ85は、駆動軸84と一体的に回転することによりドラフトチューブ40内の被処理液に対し下向き(矢印Z1方向)の流れを形成する。軸流インペラ85は複数の羽根を有しており、複数の羽根はたとえばピッチ比が0.9で形成されている。ここで、ピッチとは軸流インペラ85が幾何学的な羽根角度のまま延長した螺旋面が1回転360°した時に進む距離を意味し、ピッチ比とはピッチをインペラの直径D1で割ったものを意味する。この軸流インペラ85としてたとえば特許第3239170号、特許第3239171号、特許第3239172号に開示されたインペラやその他公知の軸流インペラを用いることができる。
【0059】
さらに、攪拌部80は、支持筒90、第1軸受け91、第2軸受け92、水面整流体97を備えている。支持筒90は一端側が基台81に固定されており、図14に示すように内部に駆動軸84が貫通しており支持筒90の先端から突出している。第1軸受け91は、駆動軸94の回転駆動部82側を回転可能に保持するものであって、支持筒90の内部であって基台81側に収容されている。第2軸受け92は支持筒90の先端に取り付けられており、駆動軸84の中間を回転可能に保持する。
【0060】
この第2軸受け92は、処理槽TK内において保持部30により水平方向に対し支持されている。具体的には、図15に示すように、第2軸受け92は、支持筒90の先端外側に固定された環状部材93内に収容されている。この環状部材93は下方に向かって径が小さくなるような円錐形状を有するものであって、側面に傾斜面が形成されている(図13参照)。
【0061】
水面整流体97は、ドラフトチューブ40の吸込み口近傍における被処理液の自由表面を縮小させ、水面で発生する渦を低減させるためのものであって、軸流インペラ85の上方の水面を覆うように形成されている。また、図13に示すように、環状部材93に固定された支持部材96により保持されている。このように渦の発生を抑制することによって、軸流インペラ85の運転効率の低下や振動、騒音を抑制することができる。また、渦の発生を抑制することによって、ドラフトチューブ40の上端と処理槽内における被処理液の最大水位位置との距離を通常よりも小さくすることが可能となり、空気吐出口59aの水深を浅くできる。これにより送風機15の必要風圧が低下する為、送風機15の所要動力を低減できる。
【0062】
また、水面整流体97は、図11に示すように、上部から下部へ向かい径が小さくなる円錐形状を有している。これにより、ドラフトチューブ40の上部から被処理液が流入する際、吸い込み流れを効率良く軸流インペラ85に導くことができる。
【0063】
また、軸流インペラ85および水面整流体97は、攪拌部80を保持部30内に挿入して取り付けたり、保持部30から取り外して引き出したりする際に、その保持部30内の空間の内側を通過可能にするために、その挿入方向(矢印Z方向)に直交する方向における直径の最大値がその空間の同じ方向における直径の最小値(本実施の形態では、軸受け保持部35の内径)より小さくなるように形成されている。
【0064】
また、水面整流体97は、図16に示すように、駆動軸84を挟んで外周面同士が連続するように設けられた2つの分割体97a、97bから形成されており、各分割体97a、97bはそれぞれ独立して取り外し可能に構成されている。これにより、軸流インペラ85を駆動軸84から取り外すことなく撹拌部80から着脱可能となり、保守・点検を効率的に行うことができる。
【0065】
攪拌部80は、保持部30へ設置される際、軸流インペラ85を下向きにして鉛直上方から架台31の開口部31aに挿入され、図17に示すように、攪拌部の基台81が架台31の開口部31a周囲の座面に設置されるとともに、攪拌部80側の環状部材93が保持部30側の環状枠体35aにはめ込み固定される。このとき、環状部材93の側面と突出部材35bの傾斜とにおいてくさび作用が働き、第2軸受け92は軸受け保持部35に対し強固に固定される。ここで、図18は撹拌部の基台が架台に設置された様子を示す模式図、図19と図20は軸受け保持部に第2軸受けが支持された状態を示す水平断面図および垂直断面図をそれぞれ示している。そして、基台81と架台31とがボルト等の固定部材を用いて固定される。
【0066】
このように、攪拌部80が支持構造部20に対し着脱可能に取り付けられるものであることにより、攪拌部80のメンテナンスを容易に行うことができる。また、駆動軸84が第1軸受け91とともに保持部30により水平方向に対し第2軸受け93が保持されていることにより、軸流インペラ85の横揺れを効果的に抑制し、運転可能な回転数を高めることができる。
【0067】
次に、清水中での水槽試験において性能を確認した本発明による曝気攪拌装置100のデータ(実施例1,2)及び従来型の曝気攪拌装置1のデータ(比較例)を下記表1に示す。水槽試験は、7m×7m×6mの試験水槽(処理槽TK)に5.0mまで清水(被処理液)を満たし(攪拌容積:245m)、各曝気撹拌装置の軸流インペラ径D1、回転数、送水流量などを下記表1のように設定したときの結果(動力効率など)を示す。ここで、酸素移動量は、単位時間あたり気泡中の酸素が被処理液中に溶解する質量であり、動力効率は、酸素移動量を所要動力(軸流水車と送風機の合計所要軸動力)で除したものである。
【表1】

【0068】
表1において、実施例1では、比較例と比べて所要動力を略同じに(若干大きく)し、供給空気量を1.2倍に増加しているが、その結果、送水流速は約1.5倍に増加し、酸素移動量は1.3倍に増加し、動力効率が約1.3倍になった。つまり、比較例に比べてドラフトチューブ内の流体損失要因を減らすことによって軸流インペラ効率が高めることができ、かつ、空気泡捕集カバーを設けることによって再循環空気泡を低減して曝気運転を安定化させ、供給可能な最大供給空気量を増加させることができたため、比較例に比べて供給空気量を増加させた場合でも、送水流速は比較例よりも高く、強い剪断力によって高い酸素溶解効率が維持でき、酸素移動量が高まったことを意味する。
【0069】
また、表1において、実施例2では、従来型に比べて所要動力を略同じに(若干小さく)し、供給空気量を0.8倍に低減しているが、そういう条件下でも、送水流速は約1.6倍となり、酸素溶解効率は1.3倍に増加し、酸素移動量は従来型と略同程度となった。つまり、比較例に比べてドラフトチューブ内の流体損失要因を減らすことによって軸流インペラ効率が高めることができ、かつ、空気泡捕集カバーを設けることによって再循環空気泡を低減して曝気運転を安定化させ、供給可能な最大供給空気量を増加させることができたため、比較例に比べて少ない空気量で効率良く酸素を溶解できたことを意味する。
【0070】
上記実施の形態によれば、処理槽TKに収容された被処理液内に設けられるドラフトチューブ40と、ドラフトチューブ40内に設けられ、回転駆動部82の駆動により回転する軸流インペラ85と、ドラフトチューブ40内へ空気吐出口59aを介して空気を供給する空気供給部50とを備えた曝気攪拌装置100において、空気供給部50が、送風機51と、基端が前記送風機51に接続され、先端に空気吐出口59aを形成する空気吐出部59を備えている空気供給路とを有するものであり、空気吐出部59が、空気吐出口59aをドラフトチューブ40の内面または内面近傍に形成するものであることにより、すなわち、ドラフトチューブ40内へ空気を供給するための構造物をドラフトチューブ40の内面または内面近傍より内側には設けないようにすることにより、軸流インペラ85の直下空間に散気管13等の構造物を設置する従来の曝気攪拌装置1に比べて、空気を供給するための機構によるドラフトチューブ40内の流路抵抗を低減させることができ、その結果同程度の曝気攪拌の処理能力を得るために必要となる動力を低減することができる。
【0071】
なお、上記実施の形態では、空気吐出口59aがドラフトチューブ40の内面に接するように形成されている場合について例示しているが、空気吐出口は、図21示すように、ドラフトチューブ40の内面に直接形成するようにしてもよいし、内面近傍に形成するようにしてもよい。
【0072】
ここで、空気吐出口を内面近傍に形成するとは、ドラフトチューブ40の内面より多少内側に突出した位置に形成する場合であって、その突出の程度が空気吐出口を内面に直接あるいは内面に接するように形成した場合と同視できる程度に小さいことを意味する。具体的には、空気吐出口の位置が、空気吐出口を形成する空気吐出部が空気吐出口よりもドラフトチューブ40の内側へ突出した部分を有する場合には、その最も突出した位置が、空気吐出口(若しくは空気吐出部)が形成されている場所の直前(上流側)でのドラフトチューブ40の内径に対して内側に向けて10%以内の範囲にあることを意味する。
【0073】
たとえば、空気吐出口59aが、図22に示すように形成されている場合には、空気吐出部59のドラフトチューブ40の内側へ最も突出している部分のドラフトチューブ40の内面からの距離D3が、空気吐出部59が形成されている場所の直前でのドラフトチューブ40の内径D2の10%以内であることを意味し、図23に示すように形成されている場合には、空気吐出口59aのドラフトチューブ40の内面からの距離D3が、空気吐出口59aが形成されている場所の直前でのドラフトチューブ40の内径D2の10%以内であることを意味する。
【0074】
さらに、空気吐出部59は、その空気吐出部59から吐出された空気泡を軸流インペラ85による被処理液の流れに乗せつつ、軸流インペラ85による被処理液の流れの妨げにならないよう、そのドラフトチューブ40の内側へ最も突出した部分の位置(空気吐出口59aがドラフトチューブ40の内面に形成している場合には、その内面の位置)が、軸流インペラ85が位置するところにおけるドラフトチューブ40の内径範囲に対して、内側および外側に向けてたとえば10%以内の範囲にあることが好ましい。例えば、図24及び図25に示すように、空気吐出口59aがドラフトチューブ40の内面に形成し、空気吐出口59aが形成されている位置におけるドラフトチューブ40の内径D5を、軸流インペラ85が位置するところにおけるドラフトチューブ40の内径D4に対して広く若しくは狭くする場合、0.8D4 <D5 <1.2D4の条件を満たすようにするとよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、空気吐出口59aがドラフトチューブ40の周方向に連続して延びたスリット状の開口である場合について例示しているが、図26に示すように、周方向に延びる複数のスリット開口が断続的に形成されてなるものであってもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、邪魔板59bが周端面に凹凸が設けられている板状体である場合について例示しているが、邪魔板59bは、少なくとも空気吐出口59aの一部を塞ぐことによって空気吐出口59aから吐出される空気の流れを乱さす機能を発揮できるようなものであれば足りる。具体的には、たとえば図27に示すような空気吐出口59aの内側略半分を塞ぐように設けられた平坦な周端面を有する板状体であってもよいし、図28に示すような丸孔開口59cが略等間隔で形成された空気吐出口59aの全面を覆う板状体であってもよいし、図29に示すような周方向に延びる横スリット開口59dが略等間隔で形成された空気吐出口59aの全面を覆う板状体であってもよいし、図30に示すような半径方向に延びる横スリット開口59eが略等間隔で形成された空気吐出口59aの全面を覆う板状体であってもよい。ただし、本実施例において例示しているような周端面に凹凸が設けられているものを邪魔板59bとして用いた場合には、空気吐出口59aから吐出された空気と被処理液との接触面積を増加させることができる。
【0077】
また、上記実施の形態では、エアチャンバー56と空気整流室58が圧力調整隔壁57を介して上下に隣接して設けられている場合について例示しているが、たとえば図31および図32示すように、エアチャンバー156が空気整流室58から半径方向に若干離した位置に設置され、エアチャンバー56と空気整流室58が両者をつなぐ4〜6本のパイプ状のスポーク157を介して接続された構造を有するものであってもよい。
【0078】
また、上記実施の形態では、曝気攪拌装置100が空気排出部60や水面整流体97を備えたものである場合について例示しているが、それらの構成は必ずしも必要ではなく、必要に応じて設置すればよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、支柱32が空気供給路と空気排出路の一部ずつを形成するものである場合について例示しているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、支柱32に代わる空気供給用または空気排出用の配管を別途設けるようにしてもよい。
【0080】
図33および図34は本発明の保持部の第2の実施形態を示す模式図であり、図33および図34を参照して曝気撹拌装置200について説明する。なお、図33、図34の曝気撹拌装置200において図1の曝気撹拌装置100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。図33、図34の曝気撹拌装置200が図1の曝気撹拌装置100と異なる点は上部支柱の形状および構造である。
【0081】
図33および図34の上部支柱232aは円筒状の支柱筒からなっており、架台31に対しフランジ接合されている。上部支柱232aは、軸流インペラ85の直径よりもやや大きい直径の直管部232Xと、その下方に位置する、下向きに直径が漸次拡大する円錐部232Yとで構成されている。円錐部232Yの下端には下部支柱32bを固定するためのフランジが設けられている。また円錐部232Yの外面には補強用のリブ232Zが数カ所に取り付けられており、内面には軸受け保持部35bが設けられている。
【0082】
このように、上部支柱232aを円筒形状にすることにより、保持部30の部品点数を減らし組み立てを容易にすることができるとともに、製作性を向上させることができる。
【0083】
図35は本発明の撹拌部の第2の実施形態を示す模式図であり、図35を参照して撹拌部280について説明する。なお、図35は撹拌部280において図13の撹拌部80と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。図35の撹拌部280が図13の撹拌部80と異なる点は、駆動軸の構造である。
【0084】
図35においては、駆動軸284は、第1軸部材284aと第2軸部材284bとを備えており、第1軸部材284aと第2軸部材284bとは第2軸受け92の若干下方においてフランジ281により接続されている。これにより、保守・点検時には、水面整流体97を環状部材93から取り外した後、第2軸部材284bを第1軸部材284aから外すことにより、撹拌部80の全長を短くすることができる。つまり、処理槽TKの上面から処理液面までの距離が大きい場合には、駆動軸84が非常に長くなり、撹拌部80の全長が3mを超える場合も考えられる。処理槽TKが一般的な天井高の屋内にある場合、保守・点検時に撹拌部80をクレーン等で鉛直方向(矢印Z方向)に引き上げることができない可能性がる。このとき、図35に示すように、第2軸部材284bが第1軸部材284aに対し着脱可能な構成を有するものであれば、第1軸部材284aの高さまで引き上げれば撹拌部80のメンテナンスを行うことができるため、特殊な処理槽TKであっても保守・点検を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0085】
TK 処理槽
20 支持構造部
30 保持部
31 架台
32、282 支柱
35 軸受け保持部
40 ドラフトチューブ
42 案内羽根
50 空気供給部
51 送風機
52 空気供給管
53 空気供給管
54 空気供給管
56 エアチャンバー
57 圧力調整隔壁
58 空気整流室
58a 空気整流板
59 空気吐出部
59a 空気吐出口
59b 邪魔板
60 空気排出部
61 カバー
61c 仕切板
63 空気排出路
80、280 攪拌部
81 基台
82 回転駆動部
84、284 駆動軸
85 軸流インペラ
90 支持筒
91 第1軸受け
92 第2軸受け
96 支持部材
97 水面整流体
100、200 曝気攪拌装置
281 フランジ
284a 第1軸部材
284b 第2軸部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽に収容された被処理液内に設けられるドラフトチューブと、該ドラフトチューブ内に設けられ、回転駆動部の駆動により回転する軸流インペラと、前記ドラフトチューブ内へ空気吐出口を介して空気を供給する空気供給部とを備えた曝気攪拌装置において、
前記空気供給部が、送風機と、基端が前記送風機に接続され、先端に前記空気吐出口を形成する空気吐出部を備えている空気供給路とを有するものであり、
前記空気吐出部が、前記空気吐出口を前記ドラフトチューブの内面または内面近傍に形成するものであることを特徴とする曝気攪拌装置。
【請求項2】
前記ドラフトチューブの外周において上面および周面が閉塞された空間を形成するカバーと、一端が前記空間に連結され、他端に前記被処理液の水面近傍に位置する開口が形成された空気排出路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の曝気攪拌装置。
【請求項3】
前記ドラフトチューブが、前記処理槽の上部から下方に向けて延びる支柱により保持されたものであり、該支柱が前記空気供給路を形成するものであることを特徴とする請求項1または2記載の曝気攪拌装置。
【請求項4】
前記ドラフトチューブが、前記処理槽の上部から下方に向けて延びる支柱により保持されたものであり、前記支柱が前記空気排出路を形成するものであることを特徴とする請求項2記載の曝気攪拌装置。
【請求項5】
前記ドラフトチューブが、前記処理槽の上部から下方に向けて延びる2以上の支柱により保持されたものであり、前記2以上の支柱のうち少なくとも1つが前記空気供給路を形成するものであり、前記2以上の支柱のうち前記空気供給路を形成する支柱を除く少なくとも1つが前記空気排出路を形成するものであることを特徴とする請求項2記載の曝気攪拌装置。
【請求項6】
前記空気吐出口が、前記ドラフトチューブの周方向に連続的または断続的に延びるスリット状の開口であり、
前記空気吐出部が、前記空気吐出口の一部を塞ぐ邪魔板を有するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の曝気攪拌装置。
【請求項7】
前記軸流インペラの上方の前記被処理液の水面近傍に、前記被処理液の水面から前記軸流インペラに向かってその方向に直交する断面の直径が小さくなる形状の水面整流体を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の曝気攪拌装置。
【請求項8】
前記処理槽の上部に取り付けられた保持部と、
前記軸流インペラおよび前記水面整流体を有し、前記保持部により形成される空間に挿入され、該保持部に着脱可能に保持される攪拌部とを備え、
前記水面整流体の前記挿入方向に直交する方向における直径の最大値が、前記空間の前記挿入方向に直交する方向における直径の最小値より小さいことを特徴とする請求項7記載の曝気攪拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2012−239977(P2012−239977A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112420(P2011−112420)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【特許番号】特許第4875777号(P4875777)
【特許公報発行日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【出願人】(000101374)アタカ大機株式会社 (55)
【Fターム(参考)】