曲げ剛性を増加させ脊椎分節を拘束するための方法およびシステム
脊椎屈曲を拘束するためのシステムは、一対のコンプライアンス部材によって結合される、上側および下側テザー構造を含む。コンプライアンス部材は、テザー構造に比較的低弾性張力を与える引張部材を備える。隣接する棘突起上またはそれを覆ってテザー構造を設置することによって、疼痛を軽減するために、脊椎分節の屈曲が制御されることが可能となる。一実施形態において、棘突起を囲む非弾性テザーを取り付けるためのコンプライアンス部材は、第1のテザー取り付け要素と第2のテザー取り付け要素とを有する本体を備え、該本体は、該取り付け要素間に軸方向引張バネを規定し、該本体は、38mmの最大軸方向長と、18mmの前後方向の最大奥行と、15mmの該奥行に対して垂直な方向の最大幅とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、背痛または他の脊椎病状を有する患者において、脊椎屈曲を拘束するための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性背下部痛の主な原因は、椎間板内破裂としても知られる、椎間板起因の疼痛である。椎間板起因の疼痛を罹患する患者は、若年であるか、そうでなければ、背部に局限した疼痛を示す健康な個人である傾向がある。椎間板起因の疼痛は、通常、脊椎の下部腰椎椎間板に生じる(図1)。疼痛は、典型的には、患者がその腰椎を屈曲させた場合に(すなわち、座位または前屈によって)悪化し、腰椎を伸展させた場合に(すなわち、立位または後屈によって)緩和する傾向がある。椎間板起因の疼痛は、完全機能障害になる可能性があり、一部の患者では、労働およびそうでなければ生活を満喫する能力に劇的に影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
そのような椎間板起因の背下部痛は、屈曲不安定性と考えることができ、他の病状で認められる屈曲不安定性に関連する。これらの最も一般的なものは、異常分節の平行移動が分節の屈曲によって悪化する、脊椎病状である、脊椎すべり症である。
【0004】
慢性椎間板起因の疼痛と診断された患者のための現在の治療における代替案は、かなり制限されている。多くの患者は、理学療法、マッサージ、抗炎症および鎮痛剤投薬、筋肉弛緩剤、および硬膜外ステロイド注射等の保守的治療経路を辿るが、典型的には、有意な程度の疼痛に悩まされ続ける。他の患者は、一般的には、隣接椎骨の固定とともに椎間板切除(椎間板の除去)を必要とする、脊椎固定術を受けることを選択する。固定術は、それが不可逆的であり、費用がかかり、高い合併症の発現頻度を伴い、不確かな有効性を有するため、椎間板起因の疼痛には、通常、推奨されない。しかしながら、その短所にも関わらず、椎間板起因の疼痛のための脊椎固定術は、実行可能な代替案がないため、依然として一般的である。
【0005】
実践において一般的に使用されていないが、米国食品医薬品局(FDA)によって使用が認可されている代替的方法は、棘突起または他の椎骨要素を包囲し、それによって、運動に拘束をもたらす、骨締結デバイスの適用である。医師は、典型的には、生体構造上に一定の強い力を与え、それによって、1つの位置に分節を固定し、効果的に運動を不可能にさせる、張力または伸展をデバイスに適用する。そのようなデバイスの適用後にもたらされる運動の欠如は、同時に行われる固定の可能性を改善するために有用であると考えられ、固定が生じない場合、これらのデバイスは、デバイスまたはデバイスが取り付けられた棘突起の破損により機能しなくなる。これらのデバイスは、据え付け用途のために設計され、ある運動範囲にわたる屈曲に対する動的弾性抵抗を可能にするために設計されるものではない。前述の骨締結デバイスおよび他の技術の目的は、着目椎骨分節の測定可能な運動をほぼ完全に拘束することである。所与の分節におけるこの運動の喪失は、隣接分節における異常な荷重および運動を引き起こし、最終的に隣接分節の病的状態につながる。
【0006】
最近、椎間板起因の疼痛のための低侵襲的かつ潜在的により有効な治療が、提案されている。脊椎インプラントは、脊椎屈曲を阻止する一方、実質的に、非拘束脊椎伸展を可能にするように設計されている。インプラントは、1つ以上の隣接する対の棘突起を覆って設置され、屈曲の際に生じる、棘突起の広がる部分に対して、弾性的拘束を提供する。その使用のためのそのようなデバイスおよび方法は、本願と共通発明者らを有する、2005年9月29日公開の特許文献1に説明されている。
【0007】
図2に例証されるように、特許文献1に説明されるようなインプラント10は、典型的には、一対のコンプライアンス部材16によって結合される、上ストラップ構成要素12および下ストラップ構成要素14を備える。上ストラップ12は、L4の棘突起SP4の上部を覆って配置されて示される一方、下ストラップ14は、L5の棘突起SP5の底部を覆って延在して示されている。コンプライアンス部材16は、典型的には、棘突起SP4およびSP5が屈曲の際に離れるのに伴って、ケーブルが、「弾性的」または「伸展的」に引き離され得るように、非弾性ケーブル76aおよび76bに取り付けられる、エラストマー部材72aおよび72b(特許文献1の図7)等の内部要素を含む。特に、コンプライアンスまたは弾性は、そのそれぞれの端部における、ストッパ要素78a、78b、80a、および80bの間のエラストマー部材72aおよび72bを圧縮するケーブルによって提供される。このように、インプラントは、屈曲に抵抗する力を提供する棘突起に対して弾性張力を提供する。力は、突起がさらに離れ、ゴムまたはエラストマーブロックがより圧縮されるのに伴って、増加する。通常、ストラップまたはケーブル自体は、弾性またはコンプライアンスの程度が、コンプライアンス部材16内のエラストマー部材の性質によってのみ制御および提供され得るように、本質的に、非コンプライアンスである。
【0008】
数百万回の使用サイクルにわたって、潜在的に強靭であるが、特許文献1の「圧縮」コンプライアンス部材は、出願に記載される比較的低25N/mm乃至75N/mmの範囲内において、制御された弾性張力を提供するのは困難である可能性がある。コンプライアンス部材内の圧縮ゴムまたはエラストマーブロックの使用はまた、達成可能なデバイスのびの長さを限定する。ブロックによって提供される初期圧縮が、標的弾性抵抗範囲にある場合でも、圧縮ブロックの剛性は、ブロックが、上および下ストラップ上の棘突起を引張することによって、さらに圧縮されるのに伴って、急速に上昇し、潜在的に、標的範囲外となることが予測される。さらに、25N/mmを上回るそのような比較的「低」剛性でも、棘突起および椎骨および脊椎の他の部分に損傷または外傷をもたらすある程度の危険性を呈する可能性がある。圧縮力を低減し、圧縮長を増加させるために、圧縮ブロックのサイズが、増加され得る。しかしながら、圧縮ブロックのサイズを増加させることは、デバイスの全体的サイズを増加させ、望ましくない。ストラップまたはケーブルを圧縮ブロックの全長に横断させる必要性もまた、インプラント構造のサイズおよび複雑性を増加させる。デバイスのサイズを増加させることは、埋込をより困難にさせることを含め、多くの理由から望ましくない一方、デバイスの複雑性を増加させることは、破壊の危険性を増加させるため、望ましくない。
【0009】
これらの理由から、椎間板起因の疼痛に悩まされる患者において、屈曲を阻止する際のその使用のための改良された脊椎インプラントおよび方法を提供することが望ましいであろう。特に、改良されたデバイスが、比較的に長い横断長にわたってでさえ、棘突起にかかる比較的低初期引張および屈曲に対する比較的低弾性抵抗を信頼性を伴って、かつ繰り返し提供し得る場合、望ましいであろう。さらに、脊椎の椎骨へのあらゆる損傷の危険性が低減されるべきである。加えて、デバイスは、埋込を促進し、破壊の危険性を低減させるために、複雑性が減少した、比較的に小型サイズを有するべきである。さらに、デバイスは、多回数のサイクル(例えば、最大、数百万回のサイクル)を通して、長期間サイクル後も(例えば、最大、埋込から数年間)、機能を継続するように設計されるべきであって、したがって、主に、最小限の塑性、すなわち、低クリープを伴う、弾性挙動を呈するべきである。これらの目的のうちの少なくともいくつかは、以下に説明される本発明によって充足されるであろう。
【0010】
特許文献1は、前述されている。特許文献2は、少なくとも1N/mm乃至少なくとも200N/mmの剛性を有し、棘突起の包装を含む、多くの目的のために使用可能である、整形外科用テザーについて説明している。他の着目特許および公開出願は、以下を含む。米国特許番号3,648,691; 4,643,178; 4,743,260;4,966,600; 5,011,494; 5,092,866; 5,116,340; 5,180,393; 5,282,863; 5,395,374; 5,415,658; 5,415,661; 5,449,361 ; 5,456,722; 5,462,542; 5,496,318; 5,540,698; 5,562,737; 5,609,634; 5,628,756; 5,645,599; 5,725,582; 5,902,305; Re. 36,221; 5,928,232; 5,935,133; 5,964,769; 5,989,256; 6,053,921 ; 6,248,106; 6,312,431; 6,364,883; 6,378,289; 6,391,030; 6,468,309; 6,436,099; 6,451,019; 6,582,433; 6,605,091; 6,626,944; 6,629,975; 6,652,527; 6,652,585; 6,656,185; 6,669,729; 6,682,533; 6,689,140; 6,712,819; 6,689,168; 6,695,852; 6,716,245; 6,761,720; 6,835,205; 7,029,475; 7,163,558;米国特許出願公開番号US 2002/0151978; US 2004/0024458; US 2004/0106995; US 2004/0116927; US 2004/0117017; US 2004/0127989; US 2004/0172132; US 2004/0243239; US 2005/0033435; US2005/0049708; US 2006/0069447; US 2006/0136060; US 2006/0240533; US 2007/0213829; US 2007/0233096; 国際出願公開番号WO 01/28442 Al; WO 02/03882 A2; WO 02/051326 Al; WO 02/071960 Al; WO 03/045262 Al; WO 2004/052246 Al ; WO 2004/073532 Al; 外国出願の公開番号EP 0322334 Al;および、FR 2 681 525 Al。脊椎分節に対して適用される可撓性拘束の機械的特性は、以下の文献に記載されている: Papp、他、(1997) Spine 22:151−155; Dickman、他、(1997) Spine 22:596−604;および、Garner、他、(2002) Eur. Spine J. Sl 86−Sl 91; Al Baz、他、(1995) Spine 20, No. 11, 1241−1244; Heller, (1997) Arch. Orthopedic および Trauma Surgery, 111, No. 1−2:96−99; Leahy、他、(2000) Proc. Inst. Mech. Eng. Part H: J. Eng. Med. 214, No. 5: 489−495; Minns、他、(1997) Spine 22 No. 16:1819−1825; Miyasaka、他、(2000) Spine 25, No. 6: 732−737;Shepherd、他、(2000) Spine 25, No. 3: 319−323; Shepherd (2001) Medical Eng. Phys. 23, No. 2: 135−141 ;および、Voydeville、他、(1992) Orthop Traumatol 2:259−264。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0216017号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0192581号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、患者の脊椎分節の屈曲と関連付けられた腰痛の症状を緩和するための方法および装置を提供する。腰痛は、本明細書に前述等の種々の特定の病状から生じ得る。デバイスおよび方法は、典型的には、0.1Nm/度乃至2Nm/度、好ましくは、0.4Nm/度乃至1Nm/度の範囲内の事前に選択された量だけ、脊椎分節の曲げ剛性を増加させることによって、少なくとも1つの脊椎分節の屈曲を動的に限定する。通常、曲げ剛性は、患者の上側棘突起と下側棘突起との間またはL5棘突起と仙骨との間に弾性拘束部材を連結することによって増加される。弾性拘束部材は、7.5N/mm乃至40N/mmの範囲の弾性引張剛性を有し得、拘束部材は、脊椎分節の回転の中心から、後方向に、25mm乃至75mmの範囲の側方距離に位置付けられ得る。曲げ剛性は、脊椎分節の屈曲の際(但し、伸展の際には該当しない)、増加され、通常、全屈曲範囲にわたって、増加される。脊椎分節の全屈曲−伸展運動範囲は、典型的には、3乃至20度、通常、5乃至15度である。脊椎分節の総運動範囲のうちの屈曲部分は、中立位置(以下に定義される)に対して測定される角度として表され、典型的には、2度乃至15度、通常、4度乃至10度である。曲げ剛性は、全屈曲範囲の少なくとも75%にわたり、通常、全屈曲範囲と伸展運動範囲の25%とにわたって、増加される。
【0013】
本発明の別の側面では、屈曲と関連付けられた腰痛の症状は、脊椎分節の棘突起の広がりを1mm乃至10mm、好ましくは、2mm乃至8mmの範囲内の最大距離に限定することにより、脊椎分節の屈曲を拘束することによって、緩和され得る。随意に、曲げ剛性は、許容される拘束された屈曲の範囲にわたって、増加される。例えば、運動範囲は、弾性構成要素とともに、棘突起の許容される限定広がり距離を越えたデバイスの伸展を防止するための「確実停止」を提供する、停止部材または他の機械的拘束部材を有する、デバイスを使用して、運動範囲が限定され、曲げ剛性が増加され得る。
【0014】
本発明はさらに、本発明の方法における使用のために、棘突起を囲む、典型的には、実質的に、非弾性である、テザーを取り付けるためのコンプライアンス部材を提供する。コンプライアンス部材は、第1のテザー取り付け要素と、第2のテザー取り付け要素、とを有する、本体を備え、本体は、該取り付け間の軸方向引張バネを規定する。コンプライアンス部材は、典型的には、対で使用され、本発明によるシステムは、本明細書の方法によって要求される弾性拘束および/または曲げ剛性を提供するために、テザーが、上側棘突起を覆って、かつ下側棘突起の真下に設置され得るように、第1および第2のコンプライアンス部材とともに、第1および第2のテザー、典型的には、コンプライアンス部材上の取り付け要素間に取り付けるように適合される、非弾性テザーを含む。そのようなシステムでは、コンプライアンス部材は、典型的には、治療される脊椎分節の棘突起に隣接して側方に位置し、垂直につなぐ。最大軸方向長34mm(典型的には、15mm乃至30mmの範囲内)と、前後方向における最大奥行18mm(典型的には、8mm乃至15mmの範囲内)と、奥行に垂直方向に最大幅15mm(典型的には、7mm乃至10mmの範囲内)とを有するコンプライアンス部材は、特に、大部分の患者の生体構造に一致させる際に有用であることが分かっている。第1および第2の非弾性テザーと組み合わせた一対のコンプライアンス部材から成るシステムもまた、提供される。非弾性テザーは、通常、2mm未満の厚さと、典型的には、3mm乃至10mm、好ましくは、5mm乃至8mmの範囲内の幅を伴う、棘突起を覆って受け取られるように適合される、中心領域を有する。
【0015】
本発明の好ましい方法およびシステムは、脊椎分節の伸展に対して、最小限の弾性抵抗を提供する、好ましくは、全く、弾性抵抗を提供しない。本発明の好ましい方法およびシステムは、通常、棘突起の周囲におけるその設置およびその可撓性性質によって、本発明の好ましい方法およびシステムが、伸展に対していかなる抵抗も提供することを非常に困難にする、可撓性ストラップを介して、棘突起に連結される。さらに、本発明のインプラントは、通常、隣接する棘突起間に位置する構造を有さないが、ある場合には、構造は、脊椎が伸展を受ける棘突起の収斂に実質的に干渉しない、またはそれを妨害しない場合に、提供され得る。伸展に対して、ある少量の弾性抵抗が認められる場合があるが、好ましくは、3N/mmを下回る、より好ましくは、1N/mmを下回る、通常、0.5N/mmを下回る。
【0016】
同様に、本発明の好ましい方法およびシステムは、脊椎分節の側方曲げまたは回転に最小の弾性抵抗を提供し、好ましくは、全く弾性抵抗を提供しない。本発明の好ましい方法およびシステムは、通常、棘突起の周囲におけるその設置およびその可撓性性質によって、本発明の好ましい方法およびシステムが、側方曲げまたは回転にいかなる抵抗も提供することを非常に困難にする、可撓性ストラップを介して、棘突起に連結される。これは、特に、回転における運動範囲が、通常、±3°に限定される、腰部脊椎に該当する。側方曲げまたは回転に対してある少量の弾性抵抗が認められる場合があるが、好ましく少量である。
【0017】
本明細書で使用される場合、語句「脊椎分節」は、脊椎全体のものに類似する機械的特性を呈する、脊椎の最小生理学的運動単位を指す。脊椎分節はまた、2つの隣接する椎骨、椎間板、およびそれらの間のすべての隣接靭帯および組織から成る、「機能的脊椎単位」(FSU)とも称される。脊椎分節またはFSUのより完全な説明については、White および Panjabi, Clinical Biomechanics of the Spine, J. B. Lippincott, Philadelphia, 1990を参照されたい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「中立位置」は、患者の脊椎が弛緩立位で静止する位置を指す。「中立位置」は、患者によって異なるであろう。通常、そのような中立位置は、脊椎がわずかな前方凸性およびわずかな後方凹性を有する、脊椎のわずかな曲率または前弯によって特徴付けられるであろう。場合によっては、本発明の拘束部材の存在は、中立位置を修正し得、例えば、デバイスは、未治療の脊椎のある程度の伸展を有する、新しい中立位置を規定する、初期力を与え得る。したがって、「中立位置」という用語の使用は、デバイスの有無との関連で解釈されるものである。本明細書で使用される場合、「脊椎分節の中立位置」は、脊椎が中立位置にある場合の脊椎分節の位置を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「分節屈曲」は、患者が前屈するのに伴う、脊椎分節の隣接椎骨間の運動を指す。図1Aを参照すると、患者が脊椎の中立位置から、すなわち、湾曲軸Aに対して右に前屈するのに伴って、椎骨間Dの前方部分が圧縮されるように、前方側の個々の椎骨L間の距離は、減少する。対照的に、後方側の個々の棘突起SPは、矢印Bによって示される方向に離れる。したがって、分節屈曲は、患者が図1Aに例証される中立位置から前屈するのに伴う、隣接椎骨間の相対的移動を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「分節伸展」は、患者が後屈し、脊椎が図1Aに例証される中立位置から伸展するのに伴う、個々の椎骨Lの運動を指す。患者が後屈するのに伴って、個々の椎骨の前端が離れる。隣接椎骨上の個々の棘突起SPは、矢印Bによって示される方向とは反対の方向に相互により近づく。
【0021】
本明細書で使用される場合、語句「弾性抵抗」および「弾性剛性」は、棘突起の運動増加が、より大きな拘束力をもたらすように、連続する、通常、隣接する、棘突起間の運動に抵抗する、拘束力の付与を指す。弾性抵抗または剛性は、本明細書に説明される本発明では、変形に応じて、個々の脊椎分節の運動を阻止し、棘突起または1つ以上の棘突起および仙骨に直接伝達される拘束力を生成する。弾性抵抗または剛性は、剛性の単位として、通常、ニュートン毎ミリメートル(N/mm)等のたわみあたりの力の単位として、説明可能である。ある場合には、弾性抵抗は、概して、棘突起または棘突起および仙骨の予測される運動の範囲にわたって、一定である(±5%以内)。他の場合には、典型的には、後述のようなエラストマー構成要素では、弾性抵抗は、非線形であって、潜在的に、生理学的運動範囲にわたって、初期抵抗の33%乃至100%変動し得る。通常、本明細書に説明される本発明では、中立または直立位置から最大屈曲−曲げ位置に広がる棘突起の術前運動範囲は、2mm乃至20mm、典型的には、4mm乃至12mmの範囲内である。埋め込まれたデバイスによって、中立または直立位置から最大屈曲−曲げ位置に広がる棘突起の術後運動範囲は、縮小され、通常、1mm乃至10mm、典型的には、2mm乃至5mmの範囲内となる。そのような棘突起広がりは、デバイスに類似規模の変形を受けさせる。
【0022】
本明細書で使用される場合、語句「曲げ剛性」は、曲げに対する脊椎分節の抵抗として定義される。本発明の拘束部材によって提供される、漸増的曲げ剛性は、棘突起を囲む(またはL5棘突起を仙骨に連結する)拘束部材の弾性引張剛性(または弾性抵抗)、および脊椎分節の回転中心(COR)と弾性拘束部材が棘突起上に位置する場所との間の距離またはモーメントアームに基づいて計算され得る。本明細書で使用される場合、モーメントアーム距離Dは、メートル(m)で表され、弾性剛性ESは、ニュートン毎ミリメートル(N/mm)で表される。曲げ剛性の単位は、本明細書で使用される場合、ニュートンミリメートル毎度(Nm/度)である。本発明の拘束部材によって提供される曲げ剛性IBSの増加は、以下の式によって計算可能である。
IBS=1000ES・D2・(π/180°)
ここでは、デバイスの弾性剛性ESは、Instron(登録商標)または他の引張強度試験器上でデバイスを試験することによって測定可能であって、モーメントアーム長Dは、X線写真から測定可能である。
【0023】
代替として、デバイスの曲げ剛性の増加は、死体脊椎分節または好適な椎骨モデル上に設置することによって、直接測定され得る。脊椎分節の曲げ剛性は、弾性拘束部材の有無で測定され得、拘束部材によって提供される曲げ剛性の増加は、2つの値の差によって提供されるであろう。また、有限要素解析によって、曲げ剛性における増加を計算可能であろう。
【0024】
したがって、曲げ剛性の増加は、弾性拘束部材の引張剛性および/またはモーメントアームの距離を変更することによって、調節可能である。例えば、治療を行う医師が、弾性拘束部材の場所およびその場所と回転中心(COR)との間の距離を決定すると、次いで、医師は、曲げ剛性における標的治療増加を達成するために、適切な弾性引張剛性を有する、弾性拘束部材を選択可能となる。回転中心の場所およびモーメントアームの距離は、典型的には、屈曲および伸展等の少なくとも2つの位置または姿勢で撮られる、標的脊椎分節のX線写真画像から決定可能である。典型的には、回転中心は、椎骨上の2つの点に対する2つのX線写真の位置の間の平行移動ベクトルを測定することによって決定される平均値または計算値である。そのような技法は、例えば、Musculoskeletal Biomechanics. Paul Brinckmann, Wolfgang Frobin, Gunnar Leivseth(Eds.), Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 2002; p.105に詳述されている。また、その場所が、脊椎屈曲または伸展度に応じて変動する、瞬間回転軸(IAR)も採用可能であろう。しかしながら、概して、CORの使用は、固定され、容易に決定される値であるため、好ましいが、デバイスは、ある場合には、CORの場所に影響を及ぼし得る。
【0025】
したがって、本発明による拘束構造によって与えられる曲げ剛性は、脊椎分節が中立位置を越えて移動すると、増加され、拘束構造の弾性特性、棘突起上の拘束構造の位置、拘束構造の寸法、および患者の生体構造および運動を含む、いくつかの要因に依存する。拘束構造は、通常、上および下テザーが、棘突起の中間前方領域(CORの後方25mm乃至75mm)に係合するように位置付けられ、拘束構造の寸法は、通常、テザーが緊張状態、すなわち、たるみがないが、脊椎分節がその中立位置、すなわち、屈曲および伸展がない場合、本質的に、引張(軸方向負荷)がないように、調節される。分節が、中立位置を越えて屈曲するのに伴って、拘束構造は、前述の範囲内の弾性抵抗を直ちに提供する。
【0026】
ある場合には、構造の寸法およびアセンブリは、テザーおよびコンプライアンス部材が、コンプライアンス部材が負荷下に置かれる前であっても、わずかに事前緊張されるように選択される。したがって、拘束構造は、脊椎分節が中立位置から屈曲すると直ぐに、典型的には、7.5N乃至40Nの範囲内の所定の抵抗力を与え得る。そのような事前緊張がない場合、コンプライアンス部材は、負荷下に置かれるれた瞬間、ゼロ抵抗力を与えることになるであろう。あらゆる場合において、分節が治療される中立位置を越えて屈曲するのに伴って、拘束構造は、前述の範囲内の増加曲げ剛性を提供する。
【0027】
通常、拘束構造は、脊椎分節が中立位置にある場合、最小限の曲げ剛性を与えるか、または全く曲げ剛性を与えない。しかしながら、いくつかの事例では、比較的低有限曲げ剛性力(典型的には、0.1Nm/度乃至2Nm/度、通常、0.4Nm/度乃至1Nm/度の範囲内)が、脊椎分節が中立位置にある間、屈曲前であっても与えられるように、棘突起にわたって、拘束構造を緊張させることが望ましいであろう。この場合、拘束構造によって付与される付加剛性は、全屈曲運動範囲および脊椎分節の治療されない伸展運動範囲の一部に影響を及ぼす。
【0028】
本発明の拘束構造によって付与される曲げ剛性における相対的増加は、拘束構造が、治療される分節に、内在する疼痛または不安定性を緩和させるために十分に屈曲に抵抗させるとともに、過剰力からの損傷の危険性を低減するので有利である。特に、前述の好ましい曲げ剛性範囲は、典型的患者における屈曲の有意な変化を及ぼすために十分な拘束を提供する一方、損傷の危険性を回避するための有意な安全域をもたらす。本発明の拘束部材によって提供される曲げ剛性は、治療される脊椎分節上の棘突起の分離を限定し、これは、屈曲関連疼痛および脊椎不安定性の両方を低減させるために望ましい。
【0029】
本発明の弾性拘束部材によって提供される屈曲に対する抵抗は、拘束部材がない場合の角運動範囲(ROM)と比較して、角ROMを縮小させ得る。角ROMは、分節が屈曲を受ける際の、治療される分節の上位椎体の下側終板と治療される分節の下位椎体の上側終板との間の角度変化である。したがって、本発明の弾性拘束部材によって付与される治療は、治療される分節に対して、比較的低角ROMであるが、典型的には、固定された分節のものより大きいROMを提供する。
【0030】
本発明の拘束構造は、屈曲を限定するが、脊椎固定術および脊椎スペーサの固定化とは対照的に、本発明の方法およびデバイスは、制御された屈曲度をもたらすことに留意することも同様に重要である。典型的には、本発明の方法およびデバイスは、拘束部材がない場合に観察されるものより、屈曲の少なくとも約20%、より典型的には、少なくとも約33%に等しい屈曲度をもたらす。排除するのではなく、屈曲を低減させることによって、疼痛の増加、椎骨変性、隣接する分節における不安定性等の固定と関連付けられた問題は、克服され得る。
【0031】
本発明の拘束構造は、隣接する分節に対して「弛緩」している脊椎分節の剛性を復元するように作用する。多くの場合、屈曲関連疼痛または不安定性を伴う患者は、疼痛を伴う分節における特定の緩みまたは弛緩に悩まされる。患者が前屈または着席すると、疼痛を伴う弛緩分節は、より剛性のある隣接する分節に対して、優先的に屈曲する。脊椎分節がその中立位置にある場合、拘束構造が、棘突起にわたって、緊張状態となるように、本発明のデバイスの長さ、位置、または他の特徴を調節することによって、治療される分節の剛性は、患者が脊椎に屈曲を付与し始めるのに伴って、直ぐに「正常化」されることが可能となる。したがって、標的脊椎分節の早発および/または過剰屈曲は、阻止または排除されることが可能となる。
【0032】
本発明のプロトコルおよび装置は、治療の個別化をもたらす。異なる剛性、のび(横断長)、棘突起に沿った前後方向における設置場所、および他の特徴を伴うコンプライアンス部材は、その病状に基づいて、特定の患者のために選択可能である。例えば、標的脊椎分節における剛性の喪失に悩まされる患者は、より弾性抵抗を提供するデバイスによって治療され得る。反対に、天然分節剛性の最小の喪失のみを伴う患者は、低弾性抵抗を提供する、デバイスによって治療され得る。同様に、より大きな患者は、より大きな最大のびを有する、コンプライアンス部材から恩恵を受ける一方、より小さい患者は、より小さい最大のびを有するコンプライアンス部材から恩恵を受け得る。
【0033】
ある患者、特に、非常に弛緩し、その天然分節剛性の大部分または全部を喪失した脊椎分節を有する患者に対して、本発明は、拘束構造の「事前緊張」を提供可能である。前述のように、これを達成するための方法の1つは、脊椎が中立またはわずかに伸展された初期位置にある場合、少量の引張が拘束構造によって保持されるように、拘束構造を短縮させることによるものである。代替として、事前緊張されたコンプライアンス要素は、その長さを変化させずに、拘束構造を事前緊張するように提供可能である。コイルバネ、エラストマー体等の本発明のコンプライアンス部材において利用される、引張または圧縮要素は、典型的には、最初に変形される場合、殆どまたは全く弾性抵抗を示さない。したがって、脊椎分節が治療抵抗を受けるのに先立って、コンプライアンス部材のある程度ののびが存在する。より即時救援を提供するために、引張または圧縮部材は、変形開始を克服しなければならない、初期静的抵抗力を有するように事前緊張され得る。このように、拘束された脊椎分節は、患者がその脊椎を屈曲することを開始した時に屈曲を開始せず、これは、弛緩脊椎分節を治療する場合に有利である。そのような事前緊張を達成するためのある具体的実施形態は、以下に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、棘突起(SP)、面関節(FJ)、層(L)、横突起(TP)、および仙骨(S)を含む、脊椎の腰部を例証する、概略図である。
【図1A】図1Aは、矢状面に沿って得られた脊椎の腰部の一部を例証する、概略図である。
【図1B】図1Bおよび1Cは、中立位置(図1B)と完全屈曲位置(図1C)の両方における、回転中心(COR)を有する脊椎分節を例証する。
【図1C】図1Bおよび1Cは、中立位置(図1B)と完全屈曲位置(図1C)の両方における、回転中心(COR)を有する脊椎分節を例証する。
【図2】図2は、米国特許出願公開第2005/0216017 A1号で説明されている種類の脊椎インプラントを例証する。
【図3】図3は、上側および下側テザー構造および右および左コンプライアンス部材を備える、本発明のシステムの略図である。
【図4】図4は、例示的コイルバネ引張部材を例証する。
【図4A】図4Aは、図4のコイルバネ引張部材を例証し、好ましい寸法を示す。
【図5A】図5Aおよび5Bは、シースおよび図4のコイルバネ引張部材を覆ってのシースの設置を例証する。
【図5B】図5Aおよび5Bは、シースおよび図4のコイルバネ引張部材を覆ってのシースの設置を例証する。
【図6A】図6A〜6Cは、テザー構造の帯部材を可撤性に固着するために、図4の引張部材に組み込まれる、ロック機構の使用を例証する。
【図6B】図6A〜6Cは、テザー構造の帯部材を可撤性に固着するために、図4の引張部材に組み込まれる、ロック機構の使用を例証する。
【図6C】図6A〜6Cは、テザー構造の帯部材を可撤性に固着するために、図4の引張部材に組み込まれる、ロック機構の使用を例証する。
【図7A】図7A〜7Cは、本発明の原理による、コンプライアンス部材を組み込むために好適な第2の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、テザーコネクタを規定する、上側および下側通路を有する、エラストマー体を備える。
【図7B】図7A〜7Cは、本発明の原理による、コンプライアンス分際を組み込むために好適な第2の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、テザーコネクタを規定する、上側および下側通路を有する、エラストマー体を備える。
【図7C】図7A〜7Cは、本発明の原理による、コンプライアンス分際を組み込むために好適な第2の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、テザーコネクタを規定する、上側および下側通路を有する、エラストマー体を備える。
【図8A】図8A〜8Cは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第3の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタを規定する、単一の中心開口部を有する、リングを備える。
【図8B】図8A〜8Cは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第3の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタを規定する、単一の中心開口部を有する、リングを備える。
【図8C】図8A〜8Cは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第3の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタを規定する、単一の中心開口部を有する、リングを備える。
【図8D】図8D〜8Gは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第4の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタへの取り付けのための上および下キャプ部材を有する、エラストマー体を備える。
【図8E】図8D〜8Gは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第4の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタへの取り付けのための上および下キャプ部材を有する、エラストマー体を備える。
【図8F】図8D〜8Gは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第4の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタへの取り付けのための上および下キャプ部材を有する、エラストマー体を備える。
【図8G】図8D〜8Gは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第4の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタへの取り付けのための上および下キャプ部材を有する、エラストマー体を備える。
【図8H】図8Hおよび8Iは、引張および圧縮コンプライアンス部材の両方への組み込み好適なエラストマー引張要素の代替実施形態を例証する。
【図8I】図8Hおよび8Iは、引張および圧縮コンプライアンス部材の両方への組み込み好適なエラストマー引張要素の代替実施形態を例証する。
【図9A】図9A〜9Bは、本発明の原理による、コンプライアンス部材として使用するために好適な第5の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、一体型上側および下側テザー構造コネクタを有する、S形状バネを備える。
【図9B】図9A〜9Bは、本発明の原理による、コンプライアンス部材として使用するために好適な第5の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、一体型上側および下側テザー構造コネクタを有する、S形状バネを備える。
【図10A】図10Aおよび10Bは、本発明の原理による、コンプライアンス部材の一部として使用される、第6の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、レバーアームまたはカムロックテザーコネクタを有し、バネを保護するための編組シースを含む、螺旋バネを備える。
【図10B】図10Aおよび10Bは、本発明の原理による、コンプライアンス部材の一部として使用される、第6の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、レバーアームまたはカムロックテザーコネクタを有し、バネを保護するための編組シースを含む、螺旋バネを備える。
【図10C】図10Cおよび10Dは、コイルバネ引張部材をコネクタに結合するための代替方法を例証する。
【図10D】図10Cおよび10Dは、コイルバネ引張部材をコネクタに結合するための代替方法を例証する。
【図11】図11は、コイルバネ引張部材を上および下コネクタ部材に接続するための特定の技法を例証する。
【図12A】図12Aおよび12Bは、図10Aおよび10Bに示されるものと類似する拘束部材アセンブリを例証し、シースは、引張要素とのシース相互作用を最小限にする要素、および/または引張下アセンブリの最大のびを限定する要素を含む。
【図12B】図12Aおよび12Bは、図10Aおよび10Bに示されるものと類似する拘束部材アセンブリを例証し、シースは、引張要素とのシース相互作用を最小限にする、および/または引張下アセンブリの最大のびを限定する、要素を含む。
【図13A】図13Aおよび13Bは、同様に、潜在的に最大のびを限定し得る、アコーディオン式シースを例証する。
【図13B】図13Aおよび13Bは、同様に、潜在的に最大のびを限定し得る、アコーディオン式シースを例証する。
【図14A】図14Aおよび14Bは、事前緊張された引張要素を有する、引張および圧縮部材を例証する。
【図14B】図14Aおよび14Bは、事前緊張された引張要素を有する、引張および圧縮部材を例証する。
【図15A】図15Aおよび15Bは、事前緊張圧縮部材と非事前緊張圧縮部材との間の差異を例証する、力−変位グラフである。
【図15B】図15Aおよび15Bは、事前緊張圧縮部材と非事前緊張圧縮部材との間の差異を例証する、力−変位グラフである。
【図16】図16は、コンプライアンス部材を隣接する棘突起に連結するための剛体の骨組みを組み込む、棘突起拘束構造を例証する。
【図17】図17は、それぞれ、複数の個々の連結要素を備える、上側および下側テザー構造を有する、棘突起拘束構造を例証する。
【図18】図18および19は、コンプライアンス部材と関連付けられたテザーとの間の変位および/または力の示度値を提供する、インジケータの使用を例証し、示される情報は、棘突起拘束部材システムの初期位置付けおよび/またはその性能の後続監視において有用である。
【図19】図18および19は、コンプライアンス部材と関連付けられたテザーとの間の変位および/または力の示度値を提供する、インジケータの使用を例証し、示される情報は、棘突起拘束部材システムの初期位置付けおよび/またはその性能の後続監視において有用である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明による例示的棘突起拘束部材は、図3に図式的に例証される。システム10は、上側テザー構造12および下側テザー構造14と、右コンプライアンス部材16および左コンプライアンス部材18とを備える。上側テザー構造12は、典型的には、参照することによって本明細書に組み込まれる関連先行出願により詳細に説明されるように、2つのコンプライアンス部材間に延在し、上側棘突起SSPの上側表面を覆って位置し、それに一致するように適合される鞍状領域20を提供する連続的帯、ケーブル、ストラップ、コード、または他の構造である。下側テザー構造14は、典型的には、完全に同じようにではなくても、上側テザー構造12と同様に構築され、下側棘突起22の下側表面を覆って位置し、それに一致するように適合される鞍状領域22を有する帯、ケーブル等を備える。しかしながら、ある事例では、下側テザー構造14は、その下端にアンカ15aおよび15bを有し、下側椎骨に、またはより一般的には、仙骨に、別個に取り付けられるように適合される別個の帯、ケーブル、ストラップ、コード等(14aおよび14bが破線で示される)を備え得る。下側取り付けのためのそのような別個のテザー構造の使用は、同時係属中の出願第11/827,980号(代理人事件番号026398−000120US)により詳細に説明されており、その全開示は、前述で参照することによって本明細書に組み込まれる。テザー構造は、引張負荷下で最小ののびをもたらすように、通常、可撓性であるが、効果的に、非コンプライアンスである。
【0036】
右および左コンプライアンス部材16および18は、通常、類似または同等構造を有し、上側および下側テザー構造12および14の接続区画を固着するために、調節可能取り付け構成要素32と、固定して取り付け構成要素34とを含む。通常、各コンプライアンス部材16および18は、固定して取り付け構成要素34に事前に取り付けられたテザー構造12および14のうちの1つを有する。次いで、2つのサブアセンブリは、棘突起の両側に導入され、テザー構造は、概して、同時係属中の出願第11/875,674号(代理人事件番号026398−000150US、その全開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、棘突起を覆って設置され、または別様に椎体に取り付けられることが可能となる。
【0037】
本発明は、特に、引張要素30の性質に関係し、いくつかの具体的実施形態は、以下に説明される。一般に、引張要素30は、上側および下側テザー構造12および14によって、引張が、取り付け32および34を通して矢印36によって示される方向に与えられるのに伴って、弾性的にのびる。棘突起または棘突起および仙骨が、拘束された脊椎分節の屈曲の際に離れるのに伴って、上側および下側テザー構造12および14もまた、図3における破線に示されるように離れる。引張要素30は、引張部材の機械的特性によって決定される力による広がりに弾性的に抵抗する。特に、引張部材は、前述の比較的低範囲内において、バネ定数としても知られる引張または弾性剛性を有するように選択される。そのような低弾性拘束力は、前述のように、高弾性力を伴う完全拘束または拘束と比較して、いくつかの利点を提供する。
【0038】
本発明の引張要素は、脊椎分節の曲げ剛性を増加させるために、隣接する棘突起を覆って、またはL5棘突起および隣接する仙骨を覆って、位置付けられる。図1Bおよび1Cを参照すると、曲げ抵抗は、概して、隣接する椎体間の椎間板内またはそれに隣接して位置付けられる回転中心(COR)を中心とする、脊椎分節の曲げに対する抵抗である。回転中心は、概して、前述のように、X線写真画像から決定可能であって、上側棘突起SPS上の点PSおよび下側棘突起SPI上の類似点PIは、図1Cに示されるように、概して、湾曲線または弧Aに沿って移動することが分かる。回転中心CORは、脊椎分節の屈曲または伸展の際に固定されないが、それらの点は、真の弧上を進行しないが、棘突起の運動は、それでもなお、例証されるように、本質的に、弓状である。
【0039】
したがって、概して、線Lによって示される、棘突起SPSおよびSPI上の位置における本明細書に説明される弾性拘束部材のいずれかの位置付けは、図1Bに例証されるように、モーメントアーム距離dmを規定する。位置Lは、概して、モーメントアーム長さdmが、25mm乃至75mm、好ましくは、40mm乃至60mmの範囲内となるように、選択される。したがって、7.5N/mm乃至40N/mmの範囲内の剛性を有する弾性拘束部材を選択することによって、脊椎分節の所望の曲げ剛性が、0.1Nm/度乃至2Nm/度、好ましくは、0.4Nm/度乃至1Nm/度の範囲内の量だけ増加されることが可能である。
【0040】
また、図1Cに示されるように、棘突起SPSおよびSPIは、脊椎分節の完全屈曲に応じて、最大距離dsまで広がる。本発明の他の側面によると、中立位置における(図1Bに示されるような)距離を上回る最大距離に対して、望ましい1mm乃至10mm、好ましくは2mm乃至8mmの範囲内に、棘突起の広がりを拘束することが望ましいであろう。本発明におけるある弾性拘束部材は、曲げ剛性の増加および屈曲の完全停止の両方を提供可能である。例えば、以下の図12Aおよび12Bに説明されるデバイスを参照されたい。
【0041】
本発明の原理に従って構築される、第1の例示的引張要素40が、図4、5A、および5Bに例証される。引張要素40は、単一材料片から形成される、螺旋バネ構造41を備える。引張部材40は、調節可能テザーコネクタ42と、固定テザーコネクタ44とを含み、両方とも、好ましくは、螺旋バネ構造41と一体的にまたはモノリシックに形成される。典型的には、螺旋バネ構造41および両テザーコネクタ42と44は、1つの材料片、通常、チタン等の金属であるが、随意に、ポリマー、セラミック、補強ガラス、または他の合成材料、あるいは所望の弾性および機械的特性を有し、所望の幾何学形状に形成可能な他の材料から形成される。好ましい実施形態では、引張部材40は、チタンロッドから機械加工またはレーザ切断される。代替として、好適なポリマー材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。応力解放孔46等の他の特徴が、引張部材40中に構築され得る。調節可能テザーコネクタと嵌合する構成要素は、潜在的に、ローラおよびロックナットを含み得、そのような構成要素は、引張要素および調節可能テザーコネクタと同一材料から作製され得る(例えば、引張部材がチタンである場合、チタン構成要素)、または異なる材料(例えば、射出成形PEEK)から作製され得る。
【0042】
引張部材40の外部は、図5Aに例証される、エラストマーシース50等の保護カバーで被覆され得る。シース50は、コイルの巻き間の空間および要素の内部への組織および身体材料の侵入を防止するために、図5Bに例証されるように、引張部材40を覆って設置され得る。
【0043】
次に、図4Aを参照すると、引張部材40の好ましい寸法が、例証される。引張部材が、概して、図3に示されるように、隣接する棘突起の側方およびその間に垂直に配置されると、患者生体構造に対応するために、コンプライアンス部材は、38mm以下、好ましくは、20mm乃至30mmの範囲内の長さlと、18mm未満、好ましくは、8mm乃至15mmの範囲内の前後方向における奥行dと、15mm未満、好ましくは、7mm乃至10mmの範囲内の奥行に垂直方向における幅とを有する。
【0044】
テザー構造52の自由端53は、図6Aから6Cに例証されるように、調節可能テザーコネクタ42に取り付けられ得る。最初に、バレルロック機構54が、スロット56が、コネクタ42の上部の入口開口部58およびコネクタの側面の出口開口部60と整列されるように、回転整列される。入口開口部58は、コンプライアンス部材の中心に位置し、主に軸方向負荷を提供し、それによって、コンプライアンス部材に均等に負荷をかけ、前述の利点をもたらす。次いで、テザー52の自由端55は、図6Cに例証されるように、入口開口部58、スロット56、および出口開口部60を通して前進される。次いで、バレルロック54を90°乃至180°回転させることによって、テザー52は、図6Aに示されるように、コネクタ42内の定位置にロックされる。この単純ロック機構は、テザーを定位置にロックする前に、テザー52を個々の患者のために適切に引張られることを理解されるであろう。次いで、ロック特徴、例えば、位置決めネジ、ナット、またはピン(例証せず)が、テザーおよびローラを定位置にロックし、展開および開放に対する追加の抵抗を提供するために使用されるであろう。引張は、別個および/または拘束アセンブリの埋込中に同時に行われ得る。ローラまたはロックナットの進行を制御する、ピン、段部、または他の特徴等の機構の追加の特徴が、機構の整列および動作を補助し得る。
【0045】
別のテザー構造(図示せず)が、典型的には、ピン(図示せず)を使用して、引張要素40の他端に固定コネクタ44に取り付けられる。ピンは、一対の受け取り孔62内に係留され、テザーの自由端は、ピンを覆って巻かれ、しっかりと取り付けられ得る。通常、固定されるテザー構造は、製造時に事前に取り付けられ、治療を行う医師が、一方のテザー構造を固定テザーコネクタに取り付けられた状態で、対の引張部材のそれぞれを埋込可能である。次いで、各テザー構造52の残りの自由端は、概して、図3に示されるようなパターンで、棘突起の周囲に配備(または仙骨に取り付け)され得る。
【0046】
エラストマー体68を備える、代替引張要素66が、図7A−7Cに例証される。エラストマー体68は、一対のリングコネクタ72および74によって結合される、中心引張区画70を備える。構造全体は、前述のように、所望の弾性剛性またはバネ力を提供する、機械的特性を有する、エラストマー材料から成形または鋳造される。特に、好適なエラストマーは、シリコーンゴムであるが、他の熱可塑性物質および熱硬化性エラストマーもまた、使用され得る。
【0047】
引張要素66は、図7Bに示されるように、テザー構造76および78に結合され得る。前述の実施形態と同様に、各テザー構造76および78は、一端で、一方の引張要素66に固定して取り付けられ、他端で、他方の引張要素に調節可能に取り付けられる。特に、上側テザー構造76の一端は、ピンまたはボルト82によって、リングコネクタ72に取り付けられる、シャックル80の周囲に巻きつけることによって、左引張部材66の上端に固定して取り付けられる。同様に、下側テザー構造78の一端は、シャックル82を使用して、右引張要素66の下端のリングコネクタ72に固定して取り付けられる。
【0048】
対照的に、テザー構造76および78の調節可能取り付けは、図7Cに示されるようにコード84によって提供され、コード84は、ナット86およびピン88アセンブリ上に嵌合表面を備えるロック構造内に弛緩または緊張され得る。ピン88は、リングコネクタ74内に受け取られ、ネジ山付きカップ90を定位置に保持する。ナット86は、カップ90内にねじ式に受け取られ、ピン88の嵌合表面に対して軸方向に平行移動可能である。したがって、コード84は、ナット86が弛緩されると、アセンブリを通して、自由に通過され得る。所望の引張が、テザー構造76または78にかけられると、ナット86は、コード84を定位置に保持するように緊張可能となる。
【0049】
引張要素100のさらなる代替実施形態が、図8A−8Cに例証される。引張要素100は、大きな中心開口部104を有する、単一エラストマーリング構造102を備える。エラストマーリングは、要素66に対して前述したエラストマーのいずれかから形成可能である。一対の引張要素100は、図8Bに例証されるように、テザー構造106によって、定位置に保持され得る。テザー構造106の端部は、中心開口部104を通してループ状にされ、連続的円周方向構造を提供し得る。図8Bに例証されるように、構造の円周長は調節可能ではない。しかしながら、テザー端のうちの少なくとも1つは、ループが緊張され、次いで、例えば、図8Cに例証されるように、圧着構造110を使用して、定位置に保持されるように、自由なままであり得ることを理解されたい。代替として、それぞれ、各リングの各端の周囲に恒久的に閉鎖されたループの形態として事前に取り付けられた、4つのテザー構造が使用され得る。次いで、2つの下側構造は、(例えば、圧着することによって)相互に取り付けられ得、2つの上側構造も同様に、相互に取り付けられ得る。
【0050】
次に、図8D−8Gを参照すると、代替エラストマー引張要素200は、上キャップ部材204と、下キャップ部材206とを有する細長いエラストマー体202を備える。本体202は、前述のエラストマー材料のいずれかから形成され、反対の引張力がキャップ204および206にかけられると、のびに対して弾性抵抗を提供する。
【0051】
エラストマー引張要素200は、図8Eおよび8Fに見られるように、上側テザー構造210および下側テザー構造212に組み込まれ得る。テザー構造210および212はそれぞれ、編組ポリマーまたは他の実質的に非伸長性の布地、織物、または他の材料から形成され、典型的には、ポリエステルまたはポリエチレンから形成される、シース214を備える。シースは、概して、管状構造を有し、編組または他の布地構造は、一端において、弾性張力要素200を収容するように、シースを半径方向に拡張させる。図8Gから最も良く分かるように、弾性張力要素200は、シース214の一端に設置され、シースの外部を覆って設置され、環状部222によって定位置に保持される、リングまたは帯220によって固着される。環状部222は、典型的には、生態学的不活性ポリマーあるいはPEEKまたはチタン等の金属から形成され、引張負荷がシース214にかけられるのに伴って、シース214からキャップ部材204および206、したがって、エラストマー体202に負荷を伝達する役割を果たす。
【0052】
上側および下側テザー構造210および212は、種々の方法で結合され得るが、特に、便利なアプローチは、弾性引張要素200を保持する、シース214の一端に、接続ループ230を形成することである。ループ230は、シースの端部を引き伸ばし、折重し、熱密閉、接着剤、圧着等によって、端部をシースの本体に取り付けることによって、単純に形成され得る。ループが形成された後、2つのテザー構造210および212は、図8Fから最も良く分かるように、反対テザー構造のループ230を通して、各シース214の遠位端232を牽引することによって、棘突起を覆って設置するための連続的ループに結合され得る。適切な張力が、遠位端を引張することによって、テザー構造210および212に与えられると、遠位端は、典型的には、定位置に圧着可能なアンカ234を使用して、固定された定位置に固定され得る。必須ではないが、好ましくは、たるみ領域240が、保定リング220間のシース214に提供され、エラストマー体202の所望ののびをもたらす。
【0053】
図8Hおよび8Iは、本発明の棘突起拘束部材システムにおいて使用するために好適なエラストマー引張および圧縮要素の特定の実施形態を例証する。図8Hでは、エラストマー引張要素300は、引張要素200と同様に形成され、上キャップ部材304と、下キャップ部材306とを有する、エラストマー体302を含む。引張部材300はまた、典型的には、引張部材をテザー構造に連結するために使用される、環状部308を含む。エラストマー体302の弾性またはバネ定数を向上させ、制御するために、本体は、波形または「アコーディオン」外形を伴って形成される。アコーディオン外形は、円筒形外形を有する、類似サイズのエラストマー体と比較して、弾性度の増加をもたらす。
【0054】
エラストマー圧縮部材320は、図8Iに例証される。エラストマー圧縮部材320は、前述のエラストマー材料のいずれかから形成され得るが、いくつかの孔または空隙322を有するように形成される。そのような孔または空隙を有するエラストマーの形成は、空隙を定位置に残すように後に除去される材料とともに、エラストマーを成形または押出成形することによって達成され得る。エラストマー体320内のそのような空隙の存在は、部材の圧縮弾性を向上させ、またはその制御を支援する役割を果たす。典型的には、外側矢印によって示される、テザー構造にかかる軸方向張力が、内向きに向いた矢印によって示されるように、エラストマー体320を圧縮するように、上側および下側テザー部材330および332は、それぞれ、本体を通過し、両端で、端部キャップ334および336に係留される。
【0055】
別の屈曲拘束システム120は、図9A−9Bに例証されるように、それぞれ、S形状中心部分122と、2つのテザーコネクタ126とを含む、一対の板バネ構造122を備える。上側および下側テザー構造130および132はそれぞれ、テザーコネクタ126内に調節可能に受け取られる2つの自由端を有する。テザーコネクタ126はそれぞれ、図9Bに示されるように、所望に応じて、テザー構造にかかる張力の調節を可能にするために、弛緩または緊張され得る、締め付け表面132を伴う、ネジを含む。板バネ構造122のS形状中心部分124は、金属、ポリマー、補強合成材料、または前述の範囲内の弾性剛性またはバネ定数を提供するように加工可能なあらゆる他の材料から形成され得る。テザーコネクタ126は、中心部分124と一体的にまたはモノリシックに形成され得、あるいは代替として、別個に形成され、接着剤、締結具等を使用して、接着され得る。
【0056】
次に、図10Aおよび10Bを参照すると、本発明の原理による、さらなる屈曲拘束システム140が、説明される。すべての前述のシステムと同様に、システム140は、それぞれ、上側および下側テザー構造144および146に取り付けられる、一対のコンプライアンス部材142を備える。コンプライアンス部材142はそれぞれ、固定テザーコネクタ148と、調節可能テザーコネクタ150とを備える。テザーコネクタ148および150は、織物シース154内に封入される、コイルバネ152(図10Bから最も良く分かる)によって結合される。上側テザー構造144は、左側コンプライアンス部材142上の固定テザーコネクタ148に固定接続される一方、下側テザー構造146は、右コンプライアンス部材142上の固定コネクタ148に固定接続される。調節可能テザーコネクタ150はそれぞれ、ラッチアームカムロック156を含み、ラッチアームカムロック156は、図10Aに示されるように持ち上げられ、または開放され、テザー構造144または146の自由端がその下で前進することを可能にし、テザーは、隣接する棘突起を覆って緊張または締着されることが可能である。テザー構造144または146が、十分に緊張されると、ラッチアーム156は、閉鎖され、図10Bに示されるように、テザー構造144または146を定位置にしっかりと保持し得る。弛緩を防止するために、各ラッチアームカムロック146は、スパイクまたは山形158等の表面テクスチャまたは他の把持特徴を具備し得る。
【0057】
図10Aおよび10Bの実施形態では、コイルバネ152は、従来の技法によって、固定および調節可能テザーコネクタ148および150に固着され得る。しかしながら、ある場合には、図11に示されるように、旋回可能または調節可能接続を提供することが望ましいであろう。ここでは、ボールジョイント160が、それぞれ、上側および下側コネクタ162および164上に形成され得る。コイルバネ166は、ボールジョイントを覆って固着され、その間に自在継手を提供可能である、集束端168を有し得る。
【0058】
コイルバネ引張部材は、種々の方法において、図10Aおよび10Bにおけるコネクタ148および150等の固定および調節可能テザーコネクタの両方に固着され得る。図10Cおよび10Dに示されるように、テザーコネクタ250は、図10Dに例証されるように、コイルバネにねじ込まれることが可能なネジ山付き受け取り構成要素254を使用して、コイルバネ252の端部に取り付けられ得る。ネジ山付き受け取り構成要素254は、典型的には、コイルバネの内部溝にねじ込み可能に係合し、コイルバネと嵌合し、したがって、バネの端部にわたって張力を均等に分散する。随意に、または代替として、受け取り構成要素254は、定位置に溶接されること、好適な接着剤によって定位置に保持されること、またはネジ、リベット等の種々の補助締結具によって定位置に保持されることが可能である。
【0059】
次に、図12Aおよび12Bを参照すると、さらに、可撓性拘束システム170の別の代替構造が、説明される。可撓性拘束システム170は、前述のような可撓性拘束システム140のあらゆる点において、同等であり得る。しかしながら、メッシュシースの代わりに、可撓性拘束システム170は、複数のバッテンまたはワイヤ172を有するシースを含み、それらは、シースと拘束システムとの間の相互作用を低減させ、かつ軸方向拘束を提供し、固定および調節可能テザーコネクタ174および176の最大軸方向分離を限定する。図12Aに示されるように、バッテン172は、外向きに撓み、シースを引張部材から離間させるように、軸方向に圧縮される。図12Bでは、固定および調節可能テザーコネクタ174および176は、その最大軸方向分離まで移動され、バッテン172を直線化する。
【0060】
次に、図13Aおよび13Bを参照すると、本発明の原理に従って構築された、さらに別の可撓性拘束システム180が説明される。可撓性拘束システム180は、システム170および140の両方のものに類似するが、シース構造は、アコーディオン状折畳を有し、それぞれ、固定および調節可能テザーコネクタ182および184の移動とともに伸長および短縮をもたらす。アコーディオン状折畳は、完全円筒形シースにおけるよりも低材料歪みを伴って、より大きなシースの全体のびを可能にするだけではなく、潜在的に、シースと引張部材との間の相互作用を低減させる。アコーディオン状折畳を伴うシースは、コンプライアンス部材の最大のびに対する拘束として作用することも作用しないこともある。シースはまた、最大のび限界を提供するために、別個の引張部材と併用され得る。
【0061】
コンプライアンス部材の事前緊張または事前負荷が、図14Aおよび14Bに例証される。図14Aでは、コンプライアンス部材260は、筐体264内に設置されるバネ圧縮部材262と、筐体264の内部チャンバ270内を自由に摺動する、ピストン268に固着された上側テザー構造266とを含む。コイルバネ262は、ピストン268の上表面と筐体260の上端の下表面との間に配置される。コイルバネ262が、いかなる圧縮も伴わずに、ピストンと筐体の上端との間の空間を占有するように定寸される場合、コンプライアンス部材260は、事前緊張または事前負荷を有しないであろう。しかしながら、事前緊張が所望される場合、バネ262は、上側テザー266または下側テザー267上に加えられる張力が存在しない時でも、バネ262が圧縮下にあるように、ピストンと筐体の上端との間の距離よりわずかに長くなるように選択される。事前緊張の程度は、筐体264の内部表面上に形成される、保定段部270の位置を選択することによって、制御可能であることに留意されたい。コンプライアンス部材260は、バネが矢印の方向に圧縮するのに伴って、引張部材266および267の広がりに対して弾性抵抗を与える。
【0062】
代替コンプライアンス部材280が、図14Bに例証される。コンプライアンス部材280は、筐体286の内部284内に受け取られる引張バネ部材282を含む。上側テザー構造288は、筐体286の上端に取り付けられ、下側テザー構造290は、筐体の内部284内に摺動可能に受け取られるピストン292に取り付けられる。張力が、上側および下側テザー構造288および290に与えられると、張力は、矢印の方向に、テザー構造の広がりに弾性的に抵抗するバネに伝達される。
【0063】
ピストン292の運動は、内部284の円周付近の段部294によって拘束される。バネ282は、長さが、(段部294に対して係合されている場合の)ピストンと内部284の上端との間の長さに等しくなるように選択される場合、バネの事前緊張が存在しない。しかしながら、バネが、ピストン292とチャンバ284の上端との間の距離より短くなるように選択される場合、バネは、テザー構造間に力を加える前にも、常に、引張状態となる。このように、互に対するテザー構造の初期変位は、バネの事前緊張力を克服するために作用する。
【0064】
コンプライアンス部材の動態に及ぼす事前緊張の効果は、図15Aおよび15Bを参照することによって、最も良く理解される。図15Aは、事前緊張がない場合のコンプライアンス部材に対する、力Fと変位Dとの間の関係である。変位に先立って、変位がゼロである場合、バネ力は、本質的に、ゼロとなる。バネ力は、例証されるように、バネ定数kに応じて、ゼロから線形に増加する。しかしながら、引張部材262または284が、事前緊張されると、コンプライアンス部材によって付与される初期力は、図15Bに示されるように、F0(ゼロ超)となる。F0の大きさは、事前緊張の程度によって決定され、典型的には、本明細書のコンプライアンス部材に対して、0N乃至50N、通常、5N乃至25Nの範囲内である。しかしながら、変位が開始すると、力(F−F0)の増加は、線形となり、再び、バネ定数kによって決定される。
【0065】
したがって、これまで例証されるように、本発明の棘拘束構造は、概して、コンプライアンス部材の上端および下端に隣接する、可撓性、典型的には、非伸長性である、テザーまたは帯を含む。そのような可撓性テザー構造を採用する代わりに、コンプライアンス部材は、図16に例証されるように、剛体フレーム構造340によって結合され得る。例えば、コンプライアンス部材342は、それぞれ、上側および下側棘突起を覆って設置するための中心係合部材348を含む上側および下側ヨーク344および346に結合され得る。随意に、係合部材348は、一対の隣接するウィング部材350間に旋回可能に取り付けられ得る。ウィング部材350は、順に、ロッドまたは支柱352を使用して、コンプライアンス部材342に連結され得、ロッドまたは支柱352は、随意に、ねじ切りされ、棘突起を覆って、ヨーク344および346の調節および緊張を可能にする。コンプライアンス部材342は、支柱352に接続するために、前述の引張部材および連結構造のいずれかを有し得る。
【0066】
次に、図17を参照すると、前述のテザー構造のさらなる代替として、コンプライアンス部材360は、それぞれ、複数の個々の連結要素366を備える、上側および下側テザー構造362および364によって結合され得る。個々の連結要素366は、ポリマー、金属、金属−ポリマー合成材料等から成る、フィラメント、ストランド、ファイバ、ワイヤ、小径ケーブル等を含み得る。連結要素は、単純一定直径細長要素であり得るが、代替として、弾性領域、バネ状領域、剛体領域等を含む、異なる特色の領域を備え得る。個々のファイバは、典型的には、コンプライアンス部材360を一緒に連結するように独立して機能するように、相互に対して自由に移動する。このように、万が一、連結要素366のいずれかが破壊する場合、残りの連結要素は、危険に曝されないであろう。代替として、個々の連結要素366は、その一部または全長に沿って、一緒に織られまたは編組され得る。個々の連結要素の使用の利点は、要素が、棘突起の特定の幾何学形状に広がり、一致し、より安定した接続を提供し得ることである。ある実施形態では、連結要素は、タンタル等の組織の成長を助長する材料から全体的または部分的に構成され得る。
【0067】
いくつかの事例では、テザー構造とコンプライアンス部材との間の変位および/または引張力を監視する能力を組み込むことが望ましいであろう。図18に例証されるように、上テザー部材380は、変位または帯長を示す、目盛または他の表示382を具備可能である。代替として、目盛または表示382は、変位力を示すように較正され得る。
【0068】
変位または力の測定値もまた、図19に示されるように、コンプライアンス部材392内のインジケータ窓390に提供され得る。多くの場合、表示は、埋込手技中、医師によって可視である。代替として、表示は、埋込手技中、および随意に、埋込後、読取のために伝送され得る。表示は、X線、MRI等の撮像手技において可視となるように構成され得る。
【0069】
前述は、本発明の好ましい実施形態の完全な説明であるが、種々の代替、修正、および均等物が使用され得る。したがって、前述の説明は、添付の請求項によって定義される、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、背痛または他の脊椎病状を有する患者において、脊椎屈曲を拘束するための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性背下部痛の主な原因は、椎間板内破裂としても知られる、椎間板起因の疼痛である。椎間板起因の疼痛を罹患する患者は、若年であるか、そうでなければ、背部に局限した疼痛を示す健康な個人である傾向がある。椎間板起因の疼痛は、通常、脊椎の下部腰椎椎間板に生じる(図1)。疼痛は、典型的には、患者がその腰椎を屈曲させた場合に(すなわち、座位または前屈によって)悪化し、腰椎を伸展させた場合に(すなわち、立位または後屈によって)緩和する傾向がある。椎間板起因の疼痛は、完全機能障害になる可能性があり、一部の患者では、労働およびそうでなければ生活を満喫する能力に劇的に影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
そのような椎間板起因の背下部痛は、屈曲不安定性と考えることができ、他の病状で認められる屈曲不安定性に関連する。これらの最も一般的なものは、異常分節の平行移動が分節の屈曲によって悪化する、脊椎病状である、脊椎すべり症である。
【0004】
慢性椎間板起因の疼痛と診断された患者のための現在の治療における代替案は、かなり制限されている。多くの患者は、理学療法、マッサージ、抗炎症および鎮痛剤投薬、筋肉弛緩剤、および硬膜外ステロイド注射等の保守的治療経路を辿るが、典型的には、有意な程度の疼痛に悩まされ続ける。他の患者は、一般的には、隣接椎骨の固定とともに椎間板切除(椎間板の除去)を必要とする、脊椎固定術を受けることを選択する。固定術は、それが不可逆的であり、費用がかかり、高い合併症の発現頻度を伴い、不確かな有効性を有するため、椎間板起因の疼痛には、通常、推奨されない。しかしながら、その短所にも関わらず、椎間板起因の疼痛のための脊椎固定術は、実行可能な代替案がないため、依然として一般的である。
【0005】
実践において一般的に使用されていないが、米国食品医薬品局(FDA)によって使用が認可されている代替的方法は、棘突起または他の椎骨要素を包囲し、それによって、運動に拘束をもたらす、骨締結デバイスの適用である。医師は、典型的には、生体構造上に一定の強い力を与え、それによって、1つの位置に分節を固定し、効果的に運動を不可能にさせる、張力または伸展をデバイスに適用する。そのようなデバイスの適用後にもたらされる運動の欠如は、同時に行われる固定の可能性を改善するために有用であると考えられ、固定が生じない場合、これらのデバイスは、デバイスまたはデバイスが取り付けられた棘突起の破損により機能しなくなる。これらのデバイスは、据え付け用途のために設計され、ある運動範囲にわたる屈曲に対する動的弾性抵抗を可能にするために設計されるものではない。前述の骨締結デバイスおよび他の技術の目的は、着目椎骨分節の測定可能な運動をほぼ完全に拘束することである。所与の分節におけるこの運動の喪失は、隣接分節における異常な荷重および運動を引き起こし、最終的に隣接分節の病的状態につながる。
【0006】
最近、椎間板起因の疼痛のための低侵襲的かつ潜在的により有効な治療が、提案されている。脊椎インプラントは、脊椎屈曲を阻止する一方、実質的に、非拘束脊椎伸展を可能にするように設計されている。インプラントは、1つ以上の隣接する対の棘突起を覆って設置され、屈曲の際に生じる、棘突起の広がる部分に対して、弾性的拘束を提供する。その使用のためのそのようなデバイスおよび方法は、本願と共通発明者らを有する、2005年9月29日公開の特許文献1に説明されている。
【0007】
図2に例証されるように、特許文献1に説明されるようなインプラント10は、典型的には、一対のコンプライアンス部材16によって結合される、上ストラップ構成要素12および下ストラップ構成要素14を備える。上ストラップ12は、L4の棘突起SP4の上部を覆って配置されて示される一方、下ストラップ14は、L5の棘突起SP5の底部を覆って延在して示されている。コンプライアンス部材16は、典型的には、棘突起SP4およびSP5が屈曲の際に離れるのに伴って、ケーブルが、「弾性的」または「伸展的」に引き離され得るように、非弾性ケーブル76aおよび76bに取り付けられる、エラストマー部材72aおよび72b(特許文献1の図7)等の内部要素を含む。特に、コンプライアンスまたは弾性は、そのそれぞれの端部における、ストッパ要素78a、78b、80a、および80bの間のエラストマー部材72aおよび72bを圧縮するケーブルによって提供される。このように、インプラントは、屈曲に抵抗する力を提供する棘突起に対して弾性張力を提供する。力は、突起がさらに離れ、ゴムまたはエラストマーブロックがより圧縮されるのに伴って、増加する。通常、ストラップまたはケーブル自体は、弾性またはコンプライアンスの程度が、コンプライアンス部材16内のエラストマー部材の性質によってのみ制御および提供され得るように、本質的に、非コンプライアンスである。
【0008】
数百万回の使用サイクルにわたって、潜在的に強靭であるが、特許文献1の「圧縮」コンプライアンス部材は、出願に記載される比較的低25N/mm乃至75N/mmの範囲内において、制御された弾性張力を提供するのは困難である可能性がある。コンプライアンス部材内の圧縮ゴムまたはエラストマーブロックの使用はまた、達成可能なデバイスのびの長さを限定する。ブロックによって提供される初期圧縮が、標的弾性抵抗範囲にある場合でも、圧縮ブロックの剛性は、ブロックが、上および下ストラップ上の棘突起を引張することによって、さらに圧縮されるのに伴って、急速に上昇し、潜在的に、標的範囲外となることが予測される。さらに、25N/mmを上回るそのような比較的「低」剛性でも、棘突起および椎骨および脊椎の他の部分に損傷または外傷をもたらすある程度の危険性を呈する可能性がある。圧縮力を低減し、圧縮長を増加させるために、圧縮ブロックのサイズが、増加され得る。しかしながら、圧縮ブロックのサイズを増加させることは、デバイスの全体的サイズを増加させ、望ましくない。ストラップまたはケーブルを圧縮ブロックの全長に横断させる必要性もまた、インプラント構造のサイズおよび複雑性を増加させる。デバイスのサイズを増加させることは、埋込をより困難にさせることを含め、多くの理由から望ましくない一方、デバイスの複雑性を増加させることは、破壊の危険性を増加させるため、望ましくない。
【0009】
これらの理由から、椎間板起因の疼痛に悩まされる患者において、屈曲を阻止する際のその使用のための改良された脊椎インプラントおよび方法を提供することが望ましいであろう。特に、改良されたデバイスが、比較的に長い横断長にわたってでさえ、棘突起にかかる比較的低初期引張および屈曲に対する比較的低弾性抵抗を信頼性を伴って、かつ繰り返し提供し得る場合、望ましいであろう。さらに、脊椎の椎骨へのあらゆる損傷の危険性が低減されるべきである。加えて、デバイスは、埋込を促進し、破壊の危険性を低減させるために、複雑性が減少した、比較的に小型サイズを有するべきである。さらに、デバイスは、多回数のサイクル(例えば、最大、数百万回のサイクル)を通して、長期間サイクル後も(例えば、最大、埋込から数年間)、機能を継続するように設計されるべきであって、したがって、主に、最小限の塑性、すなわち、低クリープを伴う、弾性挙動を呈するべきである。これらの目的のうちの少なくともいくつかは、以下に説明される本発明によって充足されるであろう。
【0010】
特許文献1は、前述されている。特許文献2は、少なくとも1N/mm乃至少なくとも200N/mmの剛性を有し、棘突起の包装を含む、多くの目的のために使用可能である、整形外科用テザーについて説明している。他の着目特許および公開出願は、以下を含む。米国特許番号3,648,691; 4,643,178; 4,743,260;4,966,600; 5,011,494; 5,092,866; 5,116,340; 5,180,393; 5,282,863; 5,395,374; 5,415,658; 5,415,661; 5,449,361 ; 5,456,722; 5,462,542; 5,496,318; 5,540,698; 5,562,737; 5,609,634; 5,628,756; 5,645,599; 5,725,582; 5,902,305; Re. 36,221; 5,928,232; 5,935,133; 5,964,769; 5,989,256; 6,053,921 ; 6,248,106; 6,312,431; 6,364,883; 6,378,289; 6,391,030; 6,468,309; 6,436,099; 6,451,019; 6,582,433; 6,605,091; 6,626,944; 6,629,975; 6,652,527; 6,652,585; 6,656,185; 6,669,729; 6,682,533; 6,689,140; 6,712,819; 6,689,168; 6,695,852; 6,716,245; 6,761,720; 6,835,205; 7,029,475; 7,163,558;米国特許出願公開番号US 2002/0151978; US 2004/0024458; US 2004/0106995; US 2004/0116927; US 2004/0117017; US 2004/0127989; US 2004/0172132; US 2004/0243239; US 2005/0033435; US2005/0049708; US 2006/0069447; US 2006/0136060; US 2006/0240533; US 2007/0213829; US 2007/0233096; 国際出願公開番号WO 01/28442 Al; WO 02/03882 A2; WO 02/051326 Al; WO 02/071960 Al; WO 03/045262 Al; WO 2004/052246 Al ; WO 2004/073532 Al; 外国出願の公開番号EP 0322334 Al;および、FR 2 681 525 Al。脊椎分節に対して適用される可撓性拘束の機械的特性は、以下の文献に記載されている: Papp、他、(1997) Spine 22:151−155; Dickman、他、(1997) Spine 22:596−604;および、Garner、他、(2002) Eur. Spine J. Sl 86−Sl 91; Al Baz、他、(1995) Spine 20, No. 11, 1241−1244; Heller, (1997) Arch. Orthopedic および Trauma Surgery, 111, No. 1−2:96−99; Leahy、他、(2000) Proc. Inst. Mech. Eng. Part H: J. Eng. Med. 214, No. 5: 489−495; Minns、他、(1997) Spine 22 No. 16:1819−1825; Miyasaka、他、(2000) Spine 25, No. 6: 732−737;Shepherd、他、(2000) Spine 25, No. 3: 319−323; Shepherd (2001) Medical Eng. Phys. 23, No. 2: 135−141 ;および、Voydeville、他、(1992) Orthop Traumatol 2:259−264。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0216017号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0192581号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、患者の脊椎分節の屈曲と関連付けられた腰痛の症状を緩和するための方法および装置を提供する。腰痛は、本明細書に前述等の種々の特定の病状から生じ得る。デバイスおよび方法は、典型的には、0.1Nm/度乃至2Nm/度、好ましくは、0.4Nm/度乃至1Nm/度の範囲内の事前に選択された量だけ、脊椎分節の曲げ剛性を増加させることによって、少なくとも1つの脊椎分節の屈曲を動的に限定する。通常、曲げ剛性は、患者の上側棘突起と下側棘突起との間またはL5棘突起と仙骨との間に弾性拘束部材を連結することによって増加される。弾性拘束部材は、7.5N/mm乃至40N/mmの範囲の弾性引張剛性を有し得、拘束部材は、脊椎分節の回転の中心から、後方向に、25mm乃至75mmの範囲の側方距離に位置付けられ得る。曲げ剛性は、脊椎分節の屈曲の際(但し、伸展の際には該当しない)、増加され、通常、全屈曲範囲にわたって、増加される。脊椎分節の全屈曲−伸展運動範囲は、典型的には、3乃至20度、通常、5乃至15度である。脊椎分節の総運動範囲のうちの屈曲部分は、中立位置(以下に定義される)に対して測定される角度として表され、典型的には、2度乃至15度、通常、4度乃至10度である。曲げ剛性は、全屈曲範囲の少なくとも75%にわたり、通常、全屈曲範囲と伸展運動範囲の25%とにわたって、増加される。
【0013】
本発明の別の側面では、屈曲と関連付けられた腰痛の症状は、脊椎分節の棘突起の広がりを1mm乃至10mm、好ましくは、2mm乃至8mmの範囲内の最大距離に限定することにより、脊椎分節の屈曲を拘束することによって、緩和され得る。随意に、曲げ剛性は、許容される拘束された屈曲の範囲にわたって、増加される。例えば、運動範囲は、弾性構成要素とともに、棘突起の許容される限定広がり距離を越えたデバイスの伸展を防止するための「確実停止」を提供する、停止部材または他の機械的拘束部材を有する、デバイスを使用して、運動範囲が限定され、曲げ剛性が増加され得る。
【0014】
本発明はさらに、本発明の方法における使用のために、棘突起を囲む、典型的には、実質的に、非弾性である、テザーを取り付けるためのコンプライアンス部材を提供する。コンプライアンス部材は、第1のテザー取り付け要素と、第2のテザー取り付け要素、とを有する、本体を備え、本体は、該取り付け間の軸方向引張バネを規定する。コンプライアンス部材は、典型的には、対で使用され、本発明によるシステムは、本明細書の方法によって要求される弾性拘束および/または曲げ剛性を提供するために、テザーが、上側棘突起を覆って、かつ下側棘突起の真下に設置され得るように、第1および第2のコンプライアンス部材とともに、第1および第2のテザー、典型的には、コンプライアンス部材上の取り付け要素間に取り付けるように適合される、非弾性テザーを含む。そのようなシステムでは、コンプライアンス部材は、典型的には、治療される脊椎分節の棘突起に隣接して側方に位置し、垂直につなぐ。最大軸方向長34mm(典型的には、15mm乃至30mmの範囲内)と、前後方向における最大奥行18mm(典型的には、8mm乃至15mmの範囲内)と、奥行に垂直方向に最大幅15mm(典型的には、7mm乃至10mmの範囲内)とを有するコンプライアンス部材は、特に、大部分の患者の生体構造に一致させる際に有用であることが分かっている。第1および第2の非弾性テザーと組み合わせた一対のコンプライアンス部材から成るシステムもまた、提供される。非弾性テザーは、通常、2mm未満の厚さと、典型的には、3mm乃至10mm、好ましくは、5mm乃至8mmの範囲内の幅を伴う、棘突起を覆って受け取られるように適合される、中心領域を有する。
【0015】
本発明の好ましい方法およびシステムは、脊椎分節の伸展に対して、最小限の弾性抵抗を提供する、好ましくは、全く、弾性抵抗を提供しない。本発明の好ましい方法およびシステムは、通常、棘突起の周囲におけるその設置およびその可撓性性質によって、本発明の好ましい方法およびシステムが、伸展に対していかなる抵抗も提供することを非常に困難にする、可撓性ストラップを介して、棘突起に連結される。さらに、本発明のインプラントは、通常、隣接する棘突起間に位置する構造を有さないが、ある場合には、構造は、脊椎が伸展を受ける棘突起の収斂に実質的に干渉しない、またはそれを妨害しない場合に、提供され得る。伸展に対して、ある少量の弾性抵抗が認められる場合があるが、好ましくは、3N/mmを下回る、より好ましくは、1N/mmを下回る、通常、0.5N/mmを下回る。
【0016】
同様に、本発明の好ましい方法およびシステムは、脊椎分節の側方曲げまたは回転に最小の弾性抵抗を提供し、好ましくは、全く弾性抵抗を提供しない。本発明の好ましい方法およびシステムは、通常、棘突起の周囲におけるその設置およびその可撓性性質によって、本発明の好ましい方法およびシステムが、側方曲げまたは回転にいかなる抵抗も提供することを非常に困難にする、可撓性ストラップを介して、棘突起に連結される。これは、特に、回転における運動範囲が、通常、±3°に限定される、腰部脊椎に該当する。側方曲げまたは回転に対してある少量の弾性抵抗が認められる場合があるが、好ましく少量である。
【0017】
本明細書で使用される場合、語句「脊椎分節」は、脊椎全体のものに類似する機械的特性を呈する、脊椎の最小生理学的運動単位を指す。脊椎分節はまた、2つの隣接する椎骨、椎間板、およびそれらの間のすべての隣接靭帯および組織から成る、「機能的脊椎単位」(FSU)とも称される。脊椎分節またはFSUのより完全な説明については、White および Panjabi, Clinical Biomechanics of the Spine, J. B. Lippincott, Philadelphia, 1990を参照されたい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「中立位置」は、患者の脊椎が弛緩立位で静止する位置を指す。「中立位置」は、患者によって異なるであろう。通常、そのような中立位置は、脊椎がわずかな前方凸性およびわずかな後方凹性を有する、脊椎のわずかな曲率または前弯によって特徴付けられるであろう。場合によっては、本発明の拘束部材の存在は、中立位置を修正し得、例えば、デバイスは、未治療の脊椎のある程度の伸展を有する、新しい中立位置を規定する、初期力を与え得る。したがって、「中立位置」という用語の使用は、デバイスの有無との関連で解釈されるものである。本明細書で使用される場合、「脊椎分節の中立位置」は、脊椎が中立位置にある場合の脊椎分節の位置を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「分節屈曲」は、患者が前屈するのに伴う、脊椎分節の隣接椎骨間の運動を指す。図1Aを参照すると、患者が脊椎の中立位置から、すなわち、湾曲軸Aに対して右に前屈するのに伴って、椎骨間Dの前方部分が圧縮されるように、前方側の個々の椎骨L間の距離は、減少する。対照的に、後方側の個々の棘突起SPは、矢印Bによって示される方向に離れる。したがって、分節屈曲は、患者が図1Aに例証される中立位置から前屈するのに伴う、隣接椎骨間の相対的移動を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「分節伸展」は、患者が後屈し、脊椎が図1Aに例証される中立位置から伸展するのに伴う、個々の椎骨Lの運動を指す。患者が後屈するのに伴って、個々の椎骨の前端が離れる。隣接椎骨上の個々の棘突起SPは、矢印Bによって示される方向とは反対の方向に相互により近づく。
【0021】
本明細書で使用される場合、語句「弾性抵抗」および「弾性剛性」は、棘突起の運動増加が、より大きな拘束力をもたらすように、連続する、通常、隣接する、棘突起間の運動に抵抗する、拘束力の付与を指す。弾性抵抗または剛性は、本明細書に説明される本発明では、変形に応じて、個々の脊椎分節の運動を阻止し、棘突起または1つ以上の棘突起および仙骨に直接伝達される拘束力を生成する。弾性抵抗または剛性は、剛性の単位として、通常、ニュートン毎ミリメートル(N/mm)等のたわみあたりの力の単位として、説明可能である。ある場合には、弾性抵抗は、概して、棘突起または棘突起および仙骨の予測される運動の範囲にわたって、一定である(±5%以内)。他の場合には、典型的には、後述のようなエラストマー構成要素では、弾性抵抗は、非線形であって、潜在的に、生理学的運動範囲にわたって、初期抵抗の33%乃至100%変動し得る。通常、本明細書に説明される本発明では、中立または直立位置から最大屈曲−曲げ位置に広がる棘突起の術前運動範囲は、2mm乃至20mm、典型的には、4mm乃至12mmの範囲内である。埋め込まれたデバイスによって、中立または直立位置から最大屈曲−曲げ位置に広がる棘突起の術後運動範囲は、縮小され、通常、1mm乃至10mm、典型的には、2mm乃至5mmの範囲内となる。そのような棘突起広がりは、デバイスに類似規模の変形を受けさせる。
【0022】
本明細書で使用される場合、語句「曲げ剛性」は、曲げに対する脊椎分節の抵抗として定義される。本発明の拘束部材によって提供される、漸増的曲げ剛性は、棘突起を囲む(またはL5棘突起を仙骨に連結する)拘束部材の弾性引張剛性(または弾性抵抗)、および脊椎分節の回転中心(COR)と弾性拘束部材が棘突起上に位置する場所との間の距離またはモーメントアームに基づいて計算され得る。本明細書で使用される場合、モーメントアーム距離Dは、メートル(m)で表され、弾性剛性ESは、ニュートン毎ミリメートル(N/mm)で表される。曲げ剛性の単位は、本明細書で使用される場合、ニュートンミリメートル毎度(Nm/度)である。本発明の拘束部材によって提供される曲げ剛性IBSの増加は、以下の式によって計算可能である。
IBS=1000ES・D2・(π/180°)
ここでは、デバイスの弾性剛性ESは、Instron(登録商標)または他の引張強度試験器上でデバイスを試験することによって測定可能であって、モーメントアーム長Dは、X線写真から測定可能である。
【0023】
代替として、デバイスの曲げ剛性の増加は、死体脊椎分節または好適な椎骨モデル上に設置することによって、直接測定され得る。脊椎分節の曲げ剛性は、弾性拘束部材の有無で測定され得、拘束部材によって提供される曲げ剛性の増加は、2つの値の差によって提供されるであろう。また、有限要素解析によって、曲げ剛性における増加を計算可能であろう。
【0024】
したがって、曲げ剛性の増加は、弾性拘束部材の引張剛性および/またはモーメントアームの距離を変更することによって、調節可能である。例えば、治療を行う医師が、弾性拘束部材の場所およびその場所と回転中心(COR)との間の距離を決定すると、次いで、医師は、曲げ剛性における標的治療増加を達成するために、適切な弾性引張剛性を有する、弾性拘束部材を選択可能となる。回転中心の場所およびモーメントアームの距離は、典型的には、屈曲および伸展等の少なくとも2つの位置または姿勢で撮られる、標的脊椎分節のX線写真画像から決定可能である。典型的には、回転中心は、椎骨上の2つの点に対する2つのX線写真の位置の間の平行移動ベクトルを測定することによって決定される平均値または計算値である。そのような技法は、例えば、Musculoskeletal Biomechanics. Paul Brinckmann, Wolfgang Frobin, Gunnar Leivseth(Eds.), Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 2002; p.105に詳述されている。また、その場所が、脊椎屈曲または伸展度に応じて変動する、瞬間回転軸(IAR)も採用可能であろう。しかしながら、概して、CORの使用は、固定され、容易に決定される値であるため、好ましいが、デバイスは、ある場合には、CORの場所に影響を及ぼし得る。
【0025】
したがって、本発明による拘束構造によって与えられる曲げ剛性は、脊椎分節が中立位置を越えて移動すると、増加され、拘束構造の弾性特性、棘突起上の拘束構造の位置、拘束構造の寸法、および患者の生体構造および運動を含む、いくつかの要因に依存する。拘束構造は、通常、上および下テザーが、棘突起の中間前方領域(CORの後方25mm乃至75mm)に係合するように位置付けられ、拘束構造の寸法は、通常、テザーが緊張状態、すなわち、たるみがないが、脊椎分節がその中立位置、すなわち、屈曲および伸展がない場合、本質的に、引張(軸方向負荷)がないように、調節される。分節が、中立位置を越えて屈曲するのに伴って、拘束構造は、前述の範囲内の弾性抵抗を直ちに提供する。
【0026】
ある場合には、構造の寸法およびアセンブリは、テザーおよびコンプライアンス部材が、コンプライアンス部材が負荷下に置かれる前であっても、わずかに事前緊張されるように選択される。したがって、拘束構造は、脊椎分節が中立位置から屈曲すると直ぐに、典型的には、7.5N乃至40Nの範囲内の所定の抵抗力を与え得る。そのような事前緊張がない場合、コンプライアンス部材は、負荷下に置かれるれた瞬間、ゼロ抵抗力を与えることになるであろう。あらゆる場合において、分節が治療される中立位置を越えて屈曲するのに伴って、拘束構造は、前述の範囲内の増加曲げ剛性を提供する。
【0027】
通常、拘束構造は、脊椎分節が中立位置にある場合、最小限の曲げ剛性を与えるか、または全く曲げ剛性を与えない。しかしながら、いくつかの事例では、比較的低有限曲げ剛性力(典型的には、0.1Nm/度乃至2Nm/度、通常、0.4Nm/度乃至1Nm/度の範囲内)が、脊椎分節が中立位置にある間、屈曲前であっても与えられるように、棘突起にわたって、拘束構造を緊張させることが望ましいであろう。この場合、拘束構造によって付与される付加剛性は、全屈曲運動範囲および脊椎分節の治療されない伸展運動範囲の一部に影響を及ぼす。
【0028】
本発明の拘束構造によって付与される曲げ剛性における相対的増加は、拘束構造が、治療される分節に、内在する疼痛または不安定性を緩和させるために十分に屈曲に抵抗させるとともに、過剰力からの損傷の危険性を低減するので有利である。特に、前述の好ましい曲げ剛性範囲は、典型的患者における屈曲の有意な変化を及ぼすために十分な拘束を提供する一方、損傷の危険性を回避するための有意な安全域をもたらす。本発明の拘束部材によって提供される曲げ剛性は、治療される脊椎分節上の棘突起の分離を限定し、これは、屈曲関連疼痛および脊椎不安定性の両方を低減させるために望ましい。
【0029】
本発明の弾性拘束部材によって提供される屈曲に対する抵抗は、拘束部材がない場合の角運動範囲(ROM)と比較して、角ROMを縮小させ得る。角ROMは、分節が屈曲を受ける際の、治療される分節の上位椎体の下側終板と治療される分節の下位椎体の上側終板との間の角度変化である。したがって、本発明の弾性拘束部材によって付与される治療は、治療される分節に対して、比較的低角ROMであるが、典型的には、固定された分節のものより大きいROMを提供する。
【0030】
本発明の拘束構造は、屈曲を限定するが、脊椎固定術および脊椎スペーサの固定化とは対照的に、本発明の方法およびデバイスは、制御された屈曲度をもたらすことに留意することも同様に重要である。典型的には、本発明の方法およびデバイスは、拘束部材がない場合に観察されるものより、屈曲の少なくとも約20%、より典型的には、少なくとも約33%に等しい屈曲度をもたらす。排除するのではなく、屈曲を低減させることによって、疼痛の増加、椎骨変性、隣接する分節における不安定性等の固定と関連付けられた問題は、克服され得る。
【0031】
本発明の拘束構造は、隣接する分節に対して「弛緩」している脊椎分節の剛性を復元するように作用する。多くの場合、屈曲関連疼痛または不安定性を伴う患者は、疼痛を伴う分節における特定の緩みまたは弛緩に悩まされる。患者が前屈または着席すると、疼痛を伴う弛緩分節は、より剛性のある隣接する分節に対して、優先的に屈曲する。脊椎分節がその中立位置にある場合、拘束構造が、棘突起にわたって、緊張状態となるように、本発明のデバイスの長さ、位置、または他の特徴を調節することによって、治療される分節の剛性は、患者が脊椎に屈曲を付与し始めるのに伴って、直ぐに「正常化」されることが可能となる。したがって、標的脊椎分節の早発および/または過剰屈曲は、阻止または排除されることが可能となる。
【0032】
本発明のプロトコルおよび装置は、治療の個別化をもたらす。異なる剛性、のび(横断長)、棘突起に沿った前後方向における設置場所、および他の特徴を伴うコンプライアンス部材は、その病状に基づいて、特定の患者のために選択可能である。例えば、標的脊椎分節における剛性の喪失に悩まされる患者は、より弾性抵抗を提供するデバイスによって治療され得る。反対に、天然分節剛性の最小の喪失のみを伴う患者は、低弾性抵抗を提供する、デバイスによって治療され得る。同様に、より大きな患者は、より大きな最大のびを有する、コンプライアンス部材から恩恵を受ける一方、より小さい患者は、より小さい最大のびを有するコンプライアンス部材から恩恵を受け得る。
【0033】
ある患者、特に、非常に弛緩し、その天然分節剛性の大部分または全部を喪失した脊椎分節を有する患者に対して、本発明は、拘束構造の「事前緊張」を提供可能である。前述のように、これを達成するための方法の1つは、脊椎が中立またはわずかに伸展された初期位置にある場合、少量の引張が拘束構造によって保持されるように、拘束構造を短縮させることによるものである。代替として、事前緊張されたコンプライアンス要素は、その長さを変化させずに、拘束構造を事前緊張するように提供可能である。コイルバネ、エラストマー体等の本発明のコンプライアンス部材において利用される、引張または圧縮要素は、典型的には、最初に変形される場合、殆どまたは全く弾性抵抗を示さない。したがって、脊椎分節が治療抵抗を受けるのに先立って、コンプライアンス部材のある程度ののびが存在する。より即時救援を提供するために、引張または圧縮部材は、変形開始を克服しなければならない、初期静的抵抗力を有するように事前緊張され得る。このように、拘束された脊椎分節は、患者がその脊椎を屈曲することを開始した時に屈曲を開始せず、これは、弛緩脊椎分節を治療する場合に有利である。そのような事前緊張を達成するためのある具体的実施形態は、以下に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、棘突起(SP)、面関節(FJ)、層(L)、横突起(TP)、および仙骨(S)を含む、脊椎の腰部を例証する、概略図である。
【図1A】図1Aは、矢状面に沿って得られた脊椎の腰部の一部を例証する、概略図である。
【図1B】図1Bおよび1Cは、中立位置(図1B)と完全屈曲位置(図1C)の両方における、回転中心(COR)を有する脊椎分節を例証する。
【図1C】図1Bおよび1Cは、中立位置(図1B)と完全屈曲位置(図1C)の両方における、回転中心(COR)を有する脊椎分節を例証する。
【図2】図2は、米国特許出願公開第2005/0216017 A1号で説明されている種類の脊椎インプラントを例証する。
【図3】図3は、上側および下側テザー構造および右および左コンプライアンス部材を備える、本発明のシステムの略図である。
【図4】図4は、例示的コイルバネ引張部材を例証する。
【図4A】図4Aは、図4のコイルバネ引張部材を例証し、好ましい寸法を示す。
【図5A】図5Aおよび5Bは、シースおよび図4のコイルバネ引張部材を覆ってのシースの設置を例証する。
【図5B】図5Aおよび5Bは、シースおよび図4のコイルバネ引張部材を覆ってのシースの設置を例証する。
【図6A】図6A〜6Cは、テザー構造の帯部材を可撤性に固着するために、図4の引張部材に組み込まれる、ロック機構の使用を例証する。
【図6B】図6A〜6Cは、テザー構造の帯部材を可撤性に固着するために、図4の引張部材に組み込まれる、ロック機構の使用を例証する。
【図6C】図6A〜6Cは、テザー構造の帯部材を可撤性に固着するために、図4の引張部材に組み込まれる、ロック機構の使用を例証する。
【図7A】図7A〜7Cは、本発明の原理による、コンプライアンス部材を組み込むために好適な第2の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、テザーコネクタを規定する、上側および下側通路を有する、エラストマー体を備える。
【図7B】図7A〜7Cは、本発明の原理による、コンプライアンス分際を組み込むために好適な第2の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、テザーコネクタを規定する、上側および下側通路を有する、エラストマー体を備える。
【図7C】図7A〜7Cは、本発明の原理による、コンプライアンス分際を組み込むために好適な第2の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、テザーコネクタを規定する、上側および下側通路を有する、エラストマー体を備える。
【図8A】図8A〜8Cは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第3の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタを規定する、単一の中心開口部を有する、リングを備える。
【図8B】図8A〜8Cは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第3の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタを規定する、単一の中心開口部を有する、リングを備える。
【図8C】図8A〜8Cは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第3の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタを規定する、単一の中心開口部を有する、リングを備える。
【図8D】図8D〜8Gは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第4の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタへの取り付けのための上および下キャプ部材を有する、エラストマー体を備える。
【図8E】図8D〜8Gは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第4の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタへの取り付けのための上および下キャプ部材を有する、エラストマー体を備える。
【図8F】図8D〜8Gは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第4の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタへの取り付けのための上および下キャプ部材を有する、エラストマー体を備える。
【図8G】図8D〜8Gは、本発明の原理による、コンプライアンス部材への組み込みに好適な第4の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張部材は、上側および下側テザーコネクタへの取り付けのための上および下キャプ部材を有する、エラストマー体を備える。
【図8H】図8Hおよび8Iは、引張および圧縮コンプライアンス部材の両方への組み込み好適なエラストマー引張要素の代替実施形態を例証する。
【図8I】図8Hおよび8Iは、引張および圧縮コンプライアンス部材の両方への組み込み好適なエラストマー引張要素の代替実施形態を例証する。
【図9A】図9A〜9Bは、本発明の原理による、コンプライアンス部材として使用するために好適な第5の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、一体型上側および下側テザー構造コネクタを有する、S形状バネを備える。
【図9B】図9A〜9Bは、本発明の原理による、コンプライアンス部材として使用するために好適な第5の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、一体型上側および下側テザー構造コネクタを有する、S形状バネを備える。
【図10A】図10Aおよび10Bは、本発明の原理による、コンプライアンス部材の一部として使用される、第6の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、レバーアームまたはカムロックテザーコネクタを有し、バネを保護するための編組シースを含む、螺旋バネを備える。
【図10B】図10Aおよび10Bは、本発明の原理による、コンプライアンス部材の一部として使用される、第6の例示的引張要素を例証する。本実施形態では、引張要素は、レバーアームまたはカムロックテザーコネクタを有し、バネを保護するための編組シースを含む、螺旋バネを備える。
【図10C】図10Cおよび10Dは、コイルバネ引張部材をコネクタに結合するための代替方法を例証する。
【図10D】図10Cおよび10Dは、コイルバネ引張部材をコネクタに結合するための代替方法を例証する。
【図11】図11は、コイルバネ引張部材を上および下コネクタ部材に接続するための特定の技法を例証する。
【図12A】図12Aおよび12Bは、図10Aおよび10Bに示されるものと類似する拘束部材アセンブリを例証し、シースは、引張要素とのシース相互作用を最小限にする要素、および/または引張下アセンブリの最大のびを限定する要素を含む。
【図12B】図12Aおよび12Bは、図10Aおよび10Bに示されるものと類似する拘束部材アセンブリを例証し、シースは、引張要素とのシース相互作用を最小限にする、および/または引張下アセンブリの最大のびを限定する、要素を含む。
【図13A】図13Aおよび13Bは、同様に、潜在的に最大のびを限定し得る、アコーディオン式シースを例証する。
【図13B】図13Aおよび13Bは、同様に、潜在的に最大のびを限定し得る、アコーディオン式シースを例証する。
【図14A】図14Aおよび14Bは、事前緊張された引張要素を有する、引張および圧縮部材を例証する。
【図14B】図14Aおよび14Bは、事前緊張された引張要素を有する、引張および圧縮部材を例証する。
【図15A】図15Aおよび15Bは、事前緊張圧縮部材と非事前緊張圧縮部材との間の差異を例証する、力−変位グラフである。
【図15B】図15Aおよび15Bは、事前緊張圧縮部材と非事前緊張圧縮部材との間の差異を例証する、力−変位グラフである。
【図16】図16は、コンプライアンス部材を隣接する棘突起に連結するための剛体の骨組みを組み込む、棘突起拘束構造を例証する。
【図17】図17は、それぞれ、複数の個々の連結要素を備える、上側および下側テザー構造を有する、棘突起拘束構造を例証する。
【図18】図18および19は、コンプライアンス部材と関連付けられたテザーとの間の変位および/または力の示度値を提供する、インジケータの使用を例証し、示される情報は、棘突起拘束部材システムの初期位置付けおよび/またはその性能の後続監視において有用である。
【図19】図18および19は、コンプライアンス部材と関連付けられたテザーとの間の変位および/または力の示度値を提供する、インジケータの使用を例証し、示される情報は、棘突起拘束部材システムの初期位置付けおよび/またはその性能の後続監視において有用である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明による例示的棘突起拘束部材は、図3に図式的に例証される。システム10は、上側テザー構造12および下側テザー構造14と、右コンプライアンス部材16および左コンプライアンス部材18とを備える。上側テザー構造12は、典型的には、参照することによって本明細書に組み込まれる関連先行出願により詳細に説明されるように、2つのコンプライアンス部材間に延在し、上側棘突起SSPの上側表面を覆って位置し、それに一致するように適合される鞍状領域20を提供する連続的帯、ケーブル、ストラップ、コード、または他の構造である。下側テザー構造14は、典型的には、完全に同じようにではなくても、上側テザー構造12と同様に構築され、下側棘突起22の下側表面を覆って位置し、それに一致するように適合される鞍状領域22を有する帯、ケーブル等を備える。しかしながら、ある事例では、下側テザー構造14は、その下端にアンカ15aおよび15bを有し、下側椎骨に、またはより一般的には、仙骨に、別個に取り付けられるように適合される別個の帯、ケーブル、ストラップ、コード等(14aおよび14bが破線で示される)を備え得る。下側取り付けのためのそのような別個のテザー構造の使用は、同時係属中の出願第11/827,980号(代理人事件番号026398−000120US)により詳細に説明されており、その全開示は、前述で参照することによって本明細書に組み込まれる。テザー構造は、引張負荷下で最小ののびをもたらすように、通常、可撓性であるが、効果的に、非コンプライアンスである。
【0036】
右および左コンプライアンス部材16および18は、通常、類似または同等構造を有し、上側および下側テザー構造12および14の接続区画を固着するために、調節可能取り付け構成要素32と、固定して取り付け構成要素34とを含む。通常、各コンプライアンス部材16および18は、固定して取り付け構成要素34に事前に取り付けられたテザー構造12および14のうちの1つを有する。次いで、2つのサブアセンブリは、棘突起の両側に導入され、テザー構造は、概して、同時係属中の出願第11/875,674号(代理人事件番号026398−000150US、その全開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、棘突起を覆って設置され、または別様に椎体に取り付けられることが可能となる。
【0037】
本発明は、特に、引張要素30の性質に関係し、いくつかの具体的実施形態は、以下に説明される。一般に、引張要素30は、上側および下側テザー構造12および14によって、引張が、取り付け32および34を通して矢印36によって示される方向に与えられるのに伴って、弾性的にのびる。棘突起または棘突起および仙骨が、拘束された脊椎分節の屈曲の際に離れるのに伴って、上側および下側テザー構造12および14もまた、図3における破線に示されるように離れる。引張要素30は、引張部材の機械的特性によって決定される力による広がりに弾性的に抵抗する。特に、引張部材は、前述の比較的低範囲内において、バネ定数としても知られる引張または弾性剛性を有するように選択される。そのような低弾性拘束力は、前述のように、高弾性力を伴う完全拘束または拘束と比較して、いくつかの利点を提供する。
【0038】
本発明の引張要素は、脊椎分節の曲げ剛性を増加させるために、隣接する棘突起を覆って、またはL5棘突起および隣接する仙骨を覆って、位置付けられる。図1Bおよび1Cを参照すると、曲げ抵抗は、概して、隣接する椎体間の椎間板内またはそれに隣接して位置付けられる回転中心(COR)を中心とする、脊椎分節の曲げに対する抵抗である。回転中心は、概して、前述のように、X線写真画像から決定可能であって、上側棘突起SPS上の点PSおよび下側棘突起SPI上の類似点PIは、図1Cに示されるように、概して、湾曲線または弧Aに沿って移動することが分かる。回転中心CORは、脊椎分節の屈曲または伸展の際に固定されないが、それらの点は、真の弧上を進行しないが、棘突起の運動は、それでもなお、例証されるように、本質的に、弓状である。
【0039】
したがって、概して、線Lによって示される、棘突起SPSおよびSPI上の位置における本明細書に説明される弾性拘束部材のいずれかの位置付けは、図1Bに例証されるように、モーメントアーム距離dmを規定する。位置Lは、概して、モーメントアーム長さdmが、25mm乃至75mm、好ましくは、40mm乃至60mmの範囲内となるように、選択される。したがって、7.5N/mm乃至40N/mmの範囲内の剛性を有する弾性拘束部材を選択することによって、脊椎分節の所望の曲げ剛性が、0.1Nm/度乃至2Nm/度、好ましくは、0.4Nm/度乃至1Nm/度の範囲内の量だけ増加されることが可能である。
【0040】
また、図1Cに示されるように、棘突起SPSおよびSPIは、脊椎分節の完全屈曲に応じて、最大距離dsまで広がる。本発明の他の側面によると、中立位置における(図1Bに示されるような)距離を上回る最大距離に対して、望ましい1mm乃至10mm、好ましくは2mm乃至8mmの範囲内に、棘突起の広がりを拘束することが望ましいであろう。本発明におけるある弾性拘束部材は、曲げ剛性の増加および屈曲の完全停止の両方を提供可能である。例えば、以下の図12Aおよび12Bに説明されるデバイスを参照されたい。
【0041】
本発明の原理に従って構築される、第1の例示的引張要素40が、図4、5A、および5Bに例証される。引張要素40は、単一材料片から形成される、螺旋バネ構造41を備える。引張部材40は、調節可能テザーコネクタ42と、固定テザーコネクタ44とを含み、両方とも、好ましくは、螺旋バネ構造41と一体的にまたはモノリシックに形成される。典型的には、螺旋バネ構造41および両テザーコネクタ42と44は、1つの材料片、通常、チタン等の金属であるが、随意に、ポリマー、セラミック、補強ガラス、または他の合成材料、あるいは所望の弾性および機械的特性を有し、所望の幾何学形状に形成可能な他の材料から形成される。好ましい実施形態では、引張部材40は、チタンロッドから機械加工またはレーザ切断される。代替として、好適なポリマー材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。応力解放孔46等の他の特徴が、引張部材40中に構築され得る。調節可能テザーコネクタと嵌合する構成要素は、潜在的に、ローラおよびロックナットを含み得、そのような構成要素は、引張要素および調節可能テザーコネクタと同一材料から作製され得る(例えば、引張部材がチタンである場合、チタン構成要素)、または異なる材料(例えば、射出成形PEEK)から作製され得る。
【0042】
引張部材40の外部は、図5Aに例証される、エラストマーシース50等の保護カバーで被覆され得る。シース50は、コイルの巻き間の空間および要素の内部への組織および身体材料の侵入を防止するために、図5Bに例証されるように、引張部材40を覆って設置され得る。
【0043】
次に、図4Aを参照すると、引張部材40の好ましい寸法が、例証される。引張部材が、概して、図3に示されるように、隣接する棘突起の側方およびその間に垂直に配置されると、患者生体構造に対応するために、コンプライアンス部材は、38mm以下、好ましくは、20mm乃至30mmの範囲内の長さlと、18mm未満、好ましくは、8mm乃至15mmの範囲内の前後方向における奥行dと、15mm未満、好ましくは、7mm乃至10mmの範囲内の奥行に垂直方向における幅とを有する。
【0044】
テザー構造52の自由端53は、図6Aから6Cに例証されるように、調節可能テザーコネクタ42に取り付けられ得る。最初に、バレルロック機構54が、スロット56が、コネクタ42の上部の入口開口部58およびコネクタの側面の出口開口部60と整列されるように、回転整列される。入口開口部58は、コンプライアンス部材の中心に位置し、主に軸方向負荷を提供し、それによって、コンプライアンス部材に均等に負荷をかけ、前述の利点をもたらす。次いで、テザー52の自由端55は、図6Cに例証されるように、入口開口部58、スロット56、および出口開口部60を通して前進される。次いで、バレルロック54を90°乃至180°回転させることによって、テザー52は、図6Aに示されるように、コネクタ42内の定位置にロックされる。この単純ロック機構は、テザーを定位置にロックする前に、テザー52を個々の患者のために適切に引張られることを理解されるであろう。次いで、ロック特徴、例えば、位置決めネジ、ナット、またはピン(例証せず)が、テザーおよびローラを定位置にロックし、展開および開放に対する追加の抵抗を提供するために使用されるであろう。引張は、別個および/または拘束アセンブリの埋込中に同時に行われ得る。ローラまたはロックナットの進行を制御する、ピン、段部、または他の特徴等の機構の追加の特徴が、機構の整列および動作を補助し得る。
【0045】
別のテザー構造(図示せず)が、典型的には、ピン(図示せず)を使用して、引張要素40の他端に固定コネクタ44に取り付けられる。ピンは、一対の受け取り孔62内に係留され、テザーの自由端は、ピンを覆って巻かれ、しっかりと取り付けられ得る。通常、固定されるテザー構造は、製造時に事前に取り付けられ、治療を行う医師が、一方のテザー構造を固定テザーコネクタに取り付けられた状態で、対の引張部材のそれぞれを埋込可能である。次いで、各テザー構造52の残りの自由端は、概して、図3に示されるようなパターンで、棘突起の周囲に配備(または仙骨に取り付け)され得る。
【0046】
エラストマー体68を備える、代替引張要素66が、図7A−7Cに例証される。エラストマー体68は、一対のリングコネクタ72および74によって結合される、中心引張区画70を備える。構造全体は、前述のように、所望の弾性剛性またはバネ力を提供する、機械的特性を有する、エラストマー材料から成形または鋳造される。特に、好適なエラストマーは、シリコーンゴムであるが、他の熱可塑性物質および熱硬化性エラストマーもまた、使用され得る。
【0047】
引張要素66は、図7Bに示されるように、テザー構造76および78に結合され得る。前述の実施形態と同様に、各テザー構造76および78は、一端で、一方の引張要素66に固定して取り付けられ、他端で、他方の引張要素に調節可能に取り付けられる。特に、上側テザー構造76の一端は、ピンまたはボルト82によって、リングコネクタ72に取り付けられる、シャックル80の周囲に巻きつけることによって、左引張部材66の上端に固定して取り付けられる。同様に、下側テザー構造78の一端は、シャックル82を使用して、右引張要素66の下端のリングコネクタ72に固定して取り付けられる。
【0048】
対照的に、テザー構造76および78の調節可能取り付けは、図7Cに示されるようにコード84によって提供され、コード84は、ナット86およびピン88アセンブリ上に嵌合表面を備えるロック構造内に弛緩または緊張され得る。ピン88は、リングコネクタ74内に受け取られ、ネジ山付きカップ90を定位置に保持する。ナット86は、カップ90内にねじ式に受け取られ、ピン88の嵌合表面に対して軸方向に平行移動可能である。したがって、コード84は、ナット86が弛緩されると、アセンブリを通して、自由に通過され得る。所望の引張が、テザー構造76または78にかけられると、ナット86は、コード84を定位置に保持するように緊張可能となる。
【0049】
引張要素100のさらなる代替実施形態が、図8A−8Cに例証される。引張要素100は、大きな中心開口部104を有する、単一エラストマーリング構造102を備える。エラストマーリングは、要素66に対して前述したエラストマーのいずれかから形成可能である。一対の引張要素100は、図8Bに例証されるように、テザー構造106によって、定位置に保持され得る。テザー構造106の端部は、中心開口部104を通してループ状にされ、連続的円周方向構造を提供し得る。図8Bに例証されるように、構造の円周長は調節可能ではない。しかしながら、テザー端のうちの少なくとも1つは、ループが緊張され、次いで、例えば、図8Cに例証されるように、圧着構造110を使用して、定位置に保持されるように、自由なままであり得ることを理解されたい。代替として、それぞれ、各リングの各端の周囲に恒久的に閉鎖されたループの形態として事前に取り付けられた、4つのテザー構造が使用され得る。次いで、2つの下側構造は、(例えば、圧着することによって)相互に取り付けられ得、2つの上側構造も同様に、相互に取り付けられ得る。
【0050】
次に、図8D−8Gを参照すると、代替エラストマー引張要素200は、上キャップ部材204と、下キャップ部材206とを有する細長いエラストマー体202を備える。本体202は、前述のエラストマー材料のいずれかから形成され、反対の引張力がキャップ204および206にかけられると、のびに対して弾性抵抗を提供する。
【0051】
エラストマー引張要素200は、図8Eおよび8Fに見られるように、上側テザー構造210および下側テザー構造212に組み込まれ得る。テザー構造210および212はそれぞれ、編組ポリマーまたは他の実質的に非伸長性の布地、織物、または他の材料から形成され、典型的には、ポリエステルまたはポリエチレンから形成される、シース214を備える。シースは、概して、管状構造を有し、編組または他の布地構造は、一端において、弾性張力要素200を収容するように、シースを半径方向に拡張させる。図8Gから最も良く分かるように、弾性張力要素200は、シース214の一端に設置され、シースの外部を覆って設置され、環状部222によって定位置に保持される、リングまたは帯220によって固着される。環状部222は、典型的には、生態学的不活性ポリマーあるいはPEEKまたはチタン等の金属から形成され、引張負荷がシース214にかけられるのに伴って、シース214からキャップ部材204および206、したがって、エラストマー体202に負荷を伝達する役割を果たす。
【0052】
上側および下側テザー構造210および212は、種々の方法で結合され得るが、特に、便利なアプローチは、弾性引張要素200を保持する、シース214の一端に、接続ループ230を形成することである。ループ230は、シースの端部を引き伸ばし、折重し、熱密閉、接着剤、圧着等によって、端部をシースの本体に取り付けることによって、単純に形成され得る。ループが形成された後、2つのテザー構造210および212は、図8Fから最も良く分かるように、反対テザー構造のループ230を通して、各シース214の遠位端232を牽引することによって、棘突起を覆って設置するための連続的ループに結合され得る。適切な張力が、遠位端を引張することによって、テザー構造210および212に与えられると、遠位端は、典型的には、定位置に圧着可能なアンカ234を使用して、固定された定位置に固定され得る。必須ではないが、好ましくは、たるみ領域240が、保定リング220間のシース214に提供され、エラストマー体202の所望ののびをもたらす。
【0053】
図8Hおよび8Iは、本発明の棘突起拘束部材システムにおいて使用するために好適なエラストマー引張および圧縮要素の特定の実施形態を例証する。図8Hでは、エラストマー引張要素300は、引張要素200と同様に形成され、上キャップ部材304と、下キャップ部材306とを有する、エラストマー体302を含む。引張部材300はまた、典型的には、引張部材をテザー構造に連結するために使用される、環状部308を含む。エラストマー体302の弾性またはバネ定数を向上させ、制御するために、本体は、波形または「アコーディオン」外形を伴って形成される。アコーディオン外形は、円筒形外形を有する、類似サイズのエラストマー体と比較して、弾性度の増加をもたらす。
【0054】
エラストマー圧縮部材320は、図8Iに例証される。エラストマー圧縮部材320は、前述のエラストマー材料のいずれかから形成され得るが、いくつかの孔または空隙322を有するように形成される。そのような孔または空隙を有するエラストマーの形成は、空隙を定位置に残すように後に除去される材料とともに、エラストマーを成形または押出成形することによって達成され得る。エラストマー体320内のそのような空隙の存在は、部材の圧縮弾性を向上させ、またはその制御を支援する役割を果たす。典型的には、外側矢印によって示される、テザー構造にかかる軸方向張力が、内向きに向いた矢印によって示されるように、エラストマー体320を圧縮するように、上側および下側テザー部材330および332は、それぞれ、本体を通過し、両端で、端部キャップ334および336に係留される。
【0055】
別の屈曲拘束システム120は、図9A−9Bに例証されるように、それぞれ、S形状中心部分122と、2つのテザーコネクタ126とを含む、一対の板バネ構造122を備える。上側および下側テザー構造130および132はそれぞれ、テザーコネクタ126内に調節可能に受け取られる2つの自由端を有する。テザーコネクタ126はそれぞれ、図9Bに示されるように、所望に応じて、テザー構造にかかる張力の調節を可能にするために、弛緩または緊張され得る、締め付け表面132を伴う、ネジを含む。板バネ構造122のS形状中心部分124は、金属、ポリマー、補強合成材料、または前述の範囲内の弾性剛性またはバネ定数を提供するように加工可能なあらゆる他の材料から形成され得る。テザーコネクタ126は、中心部分124と一体的にまたはモノリシックに形成され得、あるいは代替として、別個に形成され、接着剤、締結具等を使用して、接着され得る。
【0056】
次に、図10Aおよび10Bを参照すると、本発明の原理による、さらなる屈曲拘束システム140が、説明される。すべての前述のシステムと同様に、システム140は、それぞれ、上側および下側テザー構造144および146に取り付けられる、一対のコンプライアンス部材142を備える。コンプライアンス部材142はそれぞれ、固定テザーコネクタ148と、調節可能テザーコネクタ150とを備える。テザーコネクタ148および150は、織物シース154内に封入される、コイルバネ152(図10Bから最も良く分かる)によって結合される。上側テザー構造144は、左側コンプライアンス部材142上の固定テザーコネクタ148に固定接続される一方、下側テザー構造146は、右コンプライアンス部材142上の固定コネクタ148に固定接続される。調節可能テザーコネクタ150はそれぞれ、ラッチアームカムロック156を含み、ラッチアームカムロック156は、図10Aに示されるように持ち上げられ、または開放され、テザー構造144または146の自由端がその下で前進することを可能にし、テザーは、隣接する棘突起を覆って緊張または締着されることが可能である。テザー構造144または146が、十分に緊張されると、ラッチアーム156は、閉鎖され、図10Bに示されるように、テザー構造144または146を定位置にしっかりと保持し得る。弛緩を防止するために、各ラッチアームカムロック146は、スパイクまたは山形158等の表面テクスチャまたは他の把持特徴を具備し得る。
【0057】
図10Aおよび10Bの実施形態では、コイルバネ152は、従来の技法によって、固定および調節可能テザーコネクタ148および150に固着され得る。しかしながら、ある場合には、図11に示されるように、旋回可能または調節可能接続を提供することが望ましいであろう。ここでは、ボールジョイント160が、それぞれ、上側および下側コネクタ162および164上に形成され得る。コイルバネ166は、ボールジョイントを覆って固着され、その間に自在継手を提供可能である、集束端168を有し得る。
【0058】
コイルバネ引張部材は、種々の方法において、図10Aおよび10Bにおけるコネクタ148および150等の固定および調節可能テザーコネクタの両方に固着され得る。図10Cおよび10Dに示されるように、テザーコネクタ250は、図10Dに例証されるように、コイルバネにねじ込まれることが可能なネジ山付き受け取り構成要素254を使用して、コイルバネ252の端部に取り付けられ得る。ネジ山付き受け取り構成要素254は、典型的には、コイルバネの内部溝にねじ込み可能に係合し、コイルバネと嵌合し、したがって、バネの端部にわたって張力を均等に分散する。随意に、または代替として、受け取り構成要素254は、定位置に溶接されること、好適な接着剤によって定位置に保持されること、またはネジ、リベット等の種々の補助締結具によって定位置に保持されることが可能である。
【0059】
次に、図12Aおよび12Bを参照すると、さらに、可撓性拘束システム170の別の代替構造が、説明される。可撓性拘束システム170は、前述のような可撓性拘束システム140のあらゆる点において、同等であり得る。しかしながら、メッシュシースの代わりに、可撓性拘束システム170は、複数のバッテンまたはワイヤ172を有するシースを含み、それらは、シースと拘束システムとの間の相互作用を低減させ、かつ軸方向拘束を提供し、固定および調節可能テザーコネクタ174および176の最大軸方向分離を限定する。図12Aに示されるように、バッテン172は、外向きに撓み、シースを引張部材から離間させるように、軸方向に圧縮される。図12Bでは、固定および調節可能テザーコネクタ174および176は、その最大軸方向分離まで移動され、バッテン172を直線化する。
【0060】
次に、図13Aおよび13Bを参照すると、本発明の原理に従って構築された、さらに別の可撓性拘束システム180が説明される。可撓性拘束システム180は、システム170および140の両方のものに類似するが、シース構造は、アコーディオン状折畳を有し、それぞれ、固定および調節可能テザーコネクタ182および184の移動とともに伸長および短縮をもたらす。アコーディオン状折畳は、完全円筒形シースにおけるよりも低材料歪みを伴って、より大きなシースの全体のびを可能にするだけではなく、潜在的に、シースと引張部材との間の相互作用を低減させる。アコーディオン状折畳を伴うシースは、コンプライアンス部材の最大のびに対する拘束として作用することも作用しないこともある。シースはまた、最大のび限界を提供するために、別個の引張部材と併用され得る。
【0061】
コンプライアンス部材の事前緊張または事前負荷が、図14Aおよび14Bに例証される。図14Aでは、コンプライアンス部材260は、筐体264内に設置されるバネ圧縮部材262と、筐体264の内部チャンバ270内を自由に摺動する、ピストン268に固着された上側テザー構造266とを含む。コイルバネ262は、ピストン268の上表面と筐体260の上端の下表面との間に配置される。コイルバネ262が、いかなる圧縮も伴わずに、ピストンと筐体の上端との間の空間を占有するように定寸される場合、コンプライアンス部材260は、事前緊張または事前負荷を有しないであろう。しかしながら、事前緊張が所望される場合、バネ262は、上側テザー266または下側テザー267上に加えられる張力が存在しない時でも、バネ262が圧縮下にあるように、ピストンと筐体の上端との間の距離よりわずかに長くなるように選択される。事前緊張の程度は、筐体264の内部表面上に形成される、保定段部270の位置を選択することによって、制御可能であることに留意されたい。コンプライアンス部材260は、バネが矢印の方向に圧縮するのに伴って、引張部材266および267の広がりに対して弾性抵抗を与える。
【0062】
代替コンプライアンス部材280が、図14Bに例証される。コンプライアンス部材280は、筐体286の内部284内に受け取られる引張バネ部材282を含む。上側テザー構造288は、筐体286の上端に取り付けられ、下側テザー構造290は、筐体の内部284内に摺動可能に受け取られるピストン292に取り付けられる。張力が、上側および下側テザー構造288および290に与えられると、張力は、矢印の方向に、テザー構造の広がりに弾性的に抵抗するバネに伝達される。
【0063】
ピストン292の運動は、内部284の円周付近の段部294によって拘束される。バネ282は、長さが、(段部294に対して係合されている場合の)ピストンと内部284の上端との間の長さに等しくなるように選択される場合、バネの事前緊張が存在しない。しかしながら、バネが、ピストン292とチャンバ284の上端との間の距離より短くなるように選択される場合、バネは、テザー構造間に力を加える前にも、常に、引張状態となる。このように、互に対するテザー構造の初期変位は、バネの事前緊張力を克服するために作用する。
【0064】
コンプライアンス部材の動態に及ぼす事前緊張の効果は、図15Aおよび15Bを参照することによって、最も良く理解される。図15Aは、事前緊張がない場合のコンプライアンス部材に対する、力Fと変位Dとの間の関係である。変位に先立って、変位がゼロである場合、バネ力は、本質的に、ゼロとなる。バネ力は、例証されるように、バネ定数kに応じて、ゼロから線形に増加する。しかしながら、引張部材262または284が、事前緊張されると、コンプライアンス部材によって付与される初期力は、図15Bに示されるように、F0(ゼロ超)となる。F0の大きさは、事前緊張の程度によって決定され、典型的には、本明細書のコンプライアンス部材に対して、0N乃至50N、通常、5N乃至25Nの範囲内である。しかしながら、変位が開始すると、力(F−F0)の増加は、線形となり、再び、バネ定数kによって決定される。
【0065】
したがって、これまで例証されるように、本発明の棘拘束構造は、概して、コンプライアンス部材の上端および下端に隣接する、可撓性、典型的には、非伸長性である、テザーまたは帯を含む。そのような可撓性テザー構造を採用する代わりに、コンプライアンス部材は、図16に例証されるように、剛体フレーム構造340によって結合され得る。例えば、コンプライアンス部材342は、それぞれ、上側および下側棘突起を覆って設置するための中心係合部材348を含む上側および下側ヨーク344および346に結合され得る。随意に、係合部材348は、一対の隣接するウィング部材350間に旋回可能に取り付けられ得る。ウィング部材350は、順に、ロッドまたは支柱352を使用して、コンプライアンス部材342に連結され得、ロッドまたは支柱352は、随意に、ねじ切りされ、棘突起を覆って、ヨーク344および346の調節および緊張を可能にする。コンプライアンス部材342は、支柱352に接続するために、前述の引張部材および連結構造のいずれかを有し得る。
【0066】
次に、図17を参照すると、前述のテザー構造のさらなる代替として、コンプライアンス部材360は、それぞれ、複数の個々の連結要素366を備える、上側および下側テザー構造362および364によって結合され得る。個々の連結要素366は、ポリマー、金属、金属−ポリマー合成材料等から成る、フィラメント、ストランド、ファイバ、ワイヤ、小径ケーブル等を含み得る。連結要素は、単純一定直径細長要素であり得るが、代替として、弾性領域、バネ状領域、剛体領域等を含む、異なる特色の領域を備え得る。個々のファイバは、典型的には、コンプライアンス部材360を一緒に連結するように独立して機能するように、相互に対して自由に移動する。このように、万が一、連結要素366のいずれかが破壊する場合、残りの連結要素は、危険に曝されないであろう。代替として、個々の連結要素366は、その一部または全長に沿って、一緒に織られまたは編組され得る。個々の連結要素の使用の利点は、要素が、棘突起の特定の幾何学形状に広がり、一致し、より安定した接続を提供し得ることである。ある実施形態では、連結要素は、タンタル等の組織の成長を助長する材料から全体的または部分的に構成され得る。
【0067】
いくつかの事例では、テザー構造とコンプライアンス部材との間の変位および/または引張力を監視する能力を組み込むことが望ましいであろう。図18に例証されるように、上テザー部材380は、変位または帯長を示す、目盛または他の表示382を具備可能である。代替として、目盛または表示382は、変位力を示すように較正され得る。
【0068】
変位または力の測定値もまた、図19に示されるように、コンプライアンス部材392内のインジケータ窓390に提供され得る。多くの場合、表示は、埋込手技中、医師によって可視である。代替として、表示は、埋込手技中、および随意に、埋込後、読取のために伝送され得る。表示は、X線、MRI等の撮像手技において可視となるように構成され得る。
【0069】
前述は、本発明の好ましい実施形態の完全な説明であるが、種々の代替、修正、および均等物が使用され得る。したがって、前述の説明は、添付の請求項によって定義される、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棘突起を囲む非弾性テザーを取り付けるためのコンプライアンス部材であって、
該コンプライアンス部材は、第1のテザー取り付け要素と第2のテザー取り付け要素とを有する本体を備え、
該本体は、該取り付け要素間に軸方向引張バネを規定し、
該本体は、38mmの最大軸方向長と、18mmの前後方向の最大奥行と、15mmの該奥行に対して垂直な方向の最大幅とを有する、
コンプライアンス部材。
【請求項2】
少なくとも前記第1のテザー取り付け要素は、前記テザーを解除可能に固着する、請求項1に記載のコンプライアンス部材。
【請求項3】
少なくとも前記第1のテザー取り付け要素は、前記本体に対する前記テザーの双方向の軸方向変位を可能にする、請求項1または2に記載のコンプライアンス部材。
【請求項4】
前記少なくとも第1のテザー取り付け要素は、ローラおよびラチェットから成る群から選択される機構を備えている、請求項3に記載のコンプライアンス部材。
【請求項5】
患者の脊椎分節を弾性的に拘束するためのシステムであって、
請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の第1および第2のコンプライアンス部材と、
該第1のコンプライアンス部材の第1のテザー取り付け要素および該第2のコンプライアンス部材の第2のテザー取り付け要素に取り付けるように適合された第1の非弾性テザーと、
該第2のコンプライアンス部材の第1のテザー取り付け要素および該第1のコンプライアンス部材の第2のテザー取り付け要素に取り付けるように適合された第2の非弾性テザーと
を備え、
該非弾性テザーは、棘突起を覆って受け取られるように適合された中心領域を有し、該中心領域は、2mm未満の厚さと、3mmから10mmの範囲の幅とを有する、
システム。
【請求項1】
棘突起を囲む非弾性テザーを取り付けるためのコンプライアンス部材であって、
該コンプライアンス部材は、第1のテザー取り付け要素と第2のテザー取り付け要素とを有する本体を備え、
該本体は、該取り付け要素間に軸方向引張バネを規定し、
該本体は、38mmの最大軸方向長と、18mmの前後方向の最大奥行と、15mmの該奥行に対して垂直な方向の最大幅とを有する、
コンプライアンス部材。
【請求項2】
少なくとも前記第1のテザー取り付け要素は、前記テザーを解除可能に固着する、請求項1に記載のコンプライアンス部材。
【請求項3】
少なくとも前記第1のテザー取り付け要素は、前記本体に対する前記テザーの双方向の軸方向変位を可能にする、請求項1または2に記載のコンプライアンス部材。
【請求項4】
前記少なくとも第1のテザー取り付け要素は、ローラおよびラチェットから成る群から選択される機構を備えている、請求項3に記載のコンプライアンス部材。
【請求項5】
患者の脊椎分節を弾性的に拘束するためのシステムであって、
請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の第1および第2のコンプライアンス部材と、
該第1のコンプライアンス部材の第1のテザー取り付け要素および該第2のコンプライアンス部材の第2のテザー取り付け要素に取り付けるように適合された第1の非弾性テザーと、
該第2のコンプライアンス部材の第1のテザー取り付け要素および該第1のコンプライアンス部材の第2のテザー取り付け要素に取り付けるように適合された第2の非弾性テザーと
を備え、
該非弾性テザーは、棘突起を覆って受け取られるように適合された中心領域を有し、該中心領域は、2mm未満の厚さと、3mmから10mmの範囲の幅とを有する、
システム。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2013−500837(P2013−500837A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523715(P2012−523715)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044300
【国際公開番号】WO2011/017363
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(509108906)シンピライカ スパイン, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044300
【国際公開番号】WO2011/017363
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(509108906)シンピライカ スパイン, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】
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