説明

曲線桁用型枠装置

【課題】 曲線桁製作用型枠装置を提供すること。
【解決手段】 平面曲線状の曲線桁を製作するための曲線桁製作用型枠装置1において、前記曲線桁製作用型枠装置1における側部型枠13を支持する支持枠14の下部に、ローラ式あるいはリニア式等の移動装置が設けられて、支持枠14が移動可能にされ、前記支持枠14には、その転倒を防止する転倒防止部材40の一端側が連結され、かつ転倒防止部材40は、ベースフレーム2上に設けられた支柱5側に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面が円弧状等の曲線状の曲線桁あるいはこれに、上面が傾斜してカント量を有すると共に側面も傾斜した軌道桁等の曲線桁を製作するための曲線桁用型枠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リニア式,LRT式,モノレール式あるいはAGT式等の新交通システムにおける曲線を有する桁としては、モノレール軌道桁用等のコンクリート製桁や、曲率の小さいコンクリート製桁などが製作されてきていた。桁曲線が一定の曲率であれば、木製型枠又は鋼製型枠を曲線に合せて加工し、これを使用してコンクリート製の曲線桁が製作されてきた。
【0003】
しかし、部材長手方向において曲率が異なると共に、側面が上下方向に傾斜すると共に桁カントの着いた桁を複数作るには、上記の従来の方法では、型枠費用が多大に掛かることになる。また、側部型枠を平面曲率に応じて自由に曲げる必要があり、前記従来の装置では、難しいという問題もある。
【0004】
前記の側部型枠を平面曲率に応じて自由に曲げるために、例えば、図11(a)に片側を示すように、地盤等にコンクリート基礎60を構築し、そのコンクリート基礎60に下部を埋め込むように固定される強固な独立した支柱61を桁両側に複数本立て、前記支柱61に吊りビーム62を取り付け、その吊りビーム62から側部型枠63を吊り、押し棒64により側部型枠63における鋼板からなる側部型枠板64を押して所定の曲率を得て、曲線桁65を製作していた。(例えば、特許特許文献1参照)
【特許文献1】特公昭61−9122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図11(a)に示す従来の上記の方法では、独立した大型の支柱61を数多く強固に設ける必要があり、専用の型枠支持装置となり設備が大型になり、これらの設備期間が長くかかると共に設備費用が多額になるという問題がある。また、支柱間の間で作業しなければならなかったので、作業が煩雑になっていた。また、製作された桁を更に架設地点まで運ばなければならないため、運搬時間を含めた施工工期およびコストアップの要因に繋がる方法が取られてきた。
本発明は前記の課題を解決することができる曲線桁製作用型枠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の曲線桁製作用型枠装置においては、平面曲線状の曲線桁を製作するための曲線桁製作用型枠装置において、前記曲線桁製作用型枠装置における側部型枠を支持する支持枠の下部に、ローラ式あるいはリニア式等の移動装置が設けられて、支持枠が移動可能にされ、前記支持枠には、その転倒を防止する転倒防止部材の一端側が連結され、かつ転倒防止部材は、ベースフレーム上に設けられた支柱側に支持されていることを特徴とする。
【0007】
また、第2発明では、第1発明の曲線桁製作用型枠装置において、前記転倒防止部材は、支柱側に対し前進移動または後退移動可能に支持されていることを特徴とする。
【0008】
また、第3発明の曲線桁製作用型枠装置においては、第1発明または第2発明の曲線桁製作用型枠装置において、転倒防止部材が横断勾配による側枠の倒れに応じて移動可能に支持されていることを特徴とする。
【0009】
また、第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかの曲線桁製作用型枠装置において、地盤またはベタ基礎上に、前後方向に間隔をおいて曲線桁製作用型枠装置におけるベースフレームが載置され、そのベースフレームに支柱が立設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によると、側部型枠を支持する支持枠の下部に、ローラ式あるいはリニア式等の移動装置が設けられて、支持枠が移動可能にされているので、側部型枠を容易に横移動させることができ、また、ベースフレーム上に設けられた支柱側に支持されている転倒防止部材に、側部型枠を支持する支持枠が連結されているので、側部型枠の曲線配置時あるいは脱型移動時に、側部型枠および支持枠が転倒するのを防止することができる。
また、第2発明のように、転倒防止部材が、支柱側に対し前進移動または後退移動可能に支持されていると、側部型枠における支持枠が前進または後退移動した場合でも、側部型枠が転倒することなく安定した状態で支持することができる。
第3発明のように、転倒防止部材が横断勾配による側部型枠の上下方向の傾斜した倒れ角に応じて移動可能に支持されていると、側部型枠を上下方向に傾斜配置した状態でも、傾斜した支持枠および側部型枠の転倒を防止することができる。
第4発明のように、地盤またはベタ基礎上に、前後方向に間隔をおいて曲線桁製作用型枠装置におけるベースフレームが載置され、そのベースフレームに支柱が立設されていると、従来のように、支柱の下部を地盤に設けたコンクリート基礎に埋め込み配置する必要がなく、単にベースフレームにボルト等により設置することができるので、支柱の設置が容易であると共にベースフレームおよび支柱を小型にすることができ、曲線桁製作用型枠装置における基礎構造のベースフレームおよび支柱の搬送設置および撤去が容易であり、桁架設現場付近において組立てて、コンクリート製桁を製作することができるので、工場においてコンクリート桁を製作して現場に搬送する場合に比べて、搬送費用が格段に安くなり、また、桁長さ寸法を長くすることができるため、長尺の曲線桁を架設現場付近で製作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1〜図6は本発明の一実施形態の曲線桁製作用型枠装置1およびその曲線桁製作用型枠装置1を使用して、曲線桁を築造している状態を示すものであって、図1は曲線桁製作用型枠装置の一部縦断正面図、図2は図1の一部を拡大して示す縦断正面図、図3は曲線桁製作用型枠装置の一部を示す横断平面図、図4は曲線桁製作用型枠装置の概略平面図、図5は曲線部で偏心している部分を示す縦断正面図、図6は曲線桁製作用型枠装置における側部型枠を脱型している状態を示す縦断正面図である。
【0013】
本発明の曲線桁製作用型枠装置1の構造およびその組立手順を簡単に説明すると、現場付近の地盤に前後方向に間隔を置くと共に平行に、かつ左右方向所定の長さに渡って捨てコンクリートを打設して、多数のべた基礎66を設け、その各べた基礎上に、H形鋼などのベースフレーム2がそれぞれ載置され、前記ベースフレーム2における下フランジ3が、べた基礎66に設けられた図示省略のインサ−トまたはアンカーボルトにより、べた基礎66に固定されて、多数のベースフレーム2が前後方向に間隔を置くと共に平行に設けられている。
【0014】
各ベースフレーム2における上フランジ4には、その幅方向に間隔を置いて一対の溝形鋼5aを備えた支柱5の下端部が載置されて、前記上フランジ4にボルト・ナット6により着脱自在に固定されている。また、各ベースフレーム2には、前記ベースフレーム2の長手方向に間隔をおいて、支柱5が対向するように設置されている。
【0015】
前後方向に間隔を置く各ベースフレーム2の部材長手方向の中間部には、前後方向に延長するように配置されたH形鋼材からなる複数の底枠縦梁7が直列に配置されて載置されると共に、左右方向に間隔をおいて平行に載置されて、ボルト・ナットによりベースフレーム2の上フランジ3に着脱自在に取付けられ、その左右方向の各底枠縦梁7の上部に渡り底枠架台8が載置されていると共に前後方向に間隔をおいて平行に配置され、各底枠架台8の下部がボルト・ナットにより着脱自在に取付けられ、その各底枠架台8の上部に渡り、分割型底型枠ユニット10が前後方向に延長するように直列に並べて載置されて、各分割型底型枠ユニット10が着脱可能に架設されて、底型枠9が構成されている。各底型枠ユニット10は底部架台8の部分でボルト・ナットにより着脱可能に設けられている。
【0016】
前記の前後方向の最初のベースフレーム2から最後のベースフレーム2までの長さおよび底型枠9の長さは、例えば、20m〜30m程度、または架設現場により、それを越える長さに設定される。
【0017】
前記底型枠9の左右両側端部と支柱5とは、溝形鋼あるいはH形鋼からなる側枠脱枠用受け梁11により連結され、前記底枠架台8の左右両側端部と支柱5とには、それぞれブラケット12がボルト・ナットにより着脱自在に設けられ、その各ブラケット12に側枠脱枠用受け梁11の両端部が載置されると共にボルト・ナットにより着脱自在に固定されている。
【0018】
底型枠9上には、左右方向に間隔をおいて対向するように一対の側部型枠13が前後方向に延長するように配置されている。各側部型枠13は、各支柱5を構成する溝形鋼間の中心軸線上に中心が位置するように外側に配置された縦型の支持枠14を前後方向に間隔をおいて平行に多数備えており、その各支持枠14の下端部には、左右方向に移動可能なようにローラ15が前後方向の横軸により設けられている。前記の支持枠14のローラ15は、左右方向に底型枠9上面から側枠脱枠用受け梁11上面に転動して、支持枠14を底型枠9上から側枠脱枠用受け梁11上に左右方向に移動可能にされている。なお、前記のローラ15に代えて、図示を省略するが、車輪としてもよく、あるいは底型枠側および側枠脱枠用受け梁11にスライドレールを、そのスライドレールに嵌合するボール循環式のリニア式スライド部材を支持枠14下部に取付けてリニア式にスライド可能な組み合わせとしてもよい。
【0019】
前記各支持枠14の型枠面板17の外側には、上下方向に間隔を置いて、短尺の横桟材16が設けられ、図示省略のボルト・ナットにより着脱自在に支持枠14に取付けられ、その各横桟材16に渡って、分割型面板等からなり、前後方向に延長するように鋼板製の型枠面板17が配置されて、型枠面板17に取付けられた図示省略のL金具等を介してボルト・ナットにより横桟材16に着脱自在に取り付けられている。
【0020】
前記型枠面板17の上下方向の中間部には、前後方向に延長する凸状型枠18が適宜前後方向に分割形式の分割型ユニットが連続配置されて設けられている。
【0021】
前記各支持枠14の外側における上部および下部には間隔をおいてブラケット20が取付けられ、その各ブラケット20には、図3に拡大して示すように、ねじ式ジャッキ21におけるケース(ケーシング)22側の後端部(支持枠よりの端部)が縦軸23により水平回動可能に取付けられ、前記ケース22の先端部内側には雌ねじ部が設けられ、そのケース22の先端部に、後端部に雄ねじ部を有すると共に先端部に、大径の円環状ストッパ24とその外側の先端に六角頭部等の回動工具係合部25とを備えた雄ねじ部材26における雄ねじ部27がねじ込まれて、連結されている。
【0022】
また、前記雄ねじ部材26の先端部には、前記円環状ストッパ24の近傍に小径軸部からなる係止溝部28が雄ねじ部材26の長手方向に間隔をおいて設けられている。
【0023】
前記雄ねじ部材26は、支柱5に取付けられた受け金物30に挿通されていると共に、前記雄ねじ部材26における円環状ストッパ24は、前記受け金物30に回転可能に支承されている。
前記の受け金物30は、支柱5側にボルト・ナットにより着脱自在に固定された中空枠型ブラケット31と、その枠型ブラケット31の上下部に、端部が内側になるように配置されていると共に縦軸19により水平回動可能に連結された可動受け金物32とを備えている。
【0024】
前記の可動受け金物32は、外端部側に間隔をおいて平行な一対の内側支承縦板33と外側支承縦板34を短尺の連結板により一体に形成して備えており、各内側支承縦板33および外側支承縦板34には、中央部に前記雄ねじ部材26の挿通孔を備え、その挿通孔に外側から挿通された雄ねじ部材26は、その円環状ストッパ24が、前記の外側支承縦板34における中央部の孔周囲の端面により回転可能に支承されている。
【0025】
内側支承縦板33と外側支承縦板34との間には、前後一対の分割型の板状ストッパ部材35を挿入配置するための間隙が形成され、雄ねじ部材26における各小径軸部からなる係止溝部28が前記間隙に位置して、所定の位置に側部型枠13が配置されている時に、前後一対の板状ストッパ部材35を前記間隙に挿入すると共に係止溝部28に嵌合配置して、ボルト等により着脱自在に結合して、雄ねじ部材26の軸方向の移動を拘束することにより、雄ねじ部材26を一定位置で回転可能にされ、これによりケース22側に連結された側部型枠13の左右方向の移動あるいは上下方向の傾斜調整を可能にし、また、側部型枠13の左右方向の位置決めがされる。
【0026】
ここで図13を参照して、前記の内側支承縦板33と外側支承縦板34との間に配置される前後一対の板状ストッパ部材35について説明すると、前後一対の板状ストッパ部材35には、上下方向の中央部に雄ねじ部材26における係止溝部28に嵌合される凹部75が設けられ、一方の上部には、連結ボルト76の一端側を縦軸82により水平回動可能に連結するためのブラケット77が設けられ、他方の上部には、前記連結ボルト76の他端側を配置するための水平スリット78付きのブラケット79が設けられ、前記各板状ストッパ部材35の上部はブラケット79の外側に配置されるナット80により着脱自在に連結される。また、各板状ストッパ部材35の下部には、内側支承縦板33の下部に設けられる雌ねじ孔(図示を省略)にボルトにより着脱自在に固定するためのボルト挿通孔81が設けられている。
【0027】
前記各ねじ式ジャッキ21には、図1,2に示すように、近接して棒状ゲージ36が平行に配置され、その棒状ゲージ36はねじ式ジャッキ21のケース22に連結され、支持枠14に棒状ゲージ36の一端部が当接され、支柱5の外側に設けられたスライド支承金具37に棒状ゲージ36の他端側がスライド可能に支承されている。
【0028】
前記の前後方向の中間部に位置する複数の各ねじ式ジャッキ21における端部の回動工具係合部25に回動工具を係合して、前記ねじ式ジャッキ21における雄ねじ部材26を定位置回転させてねじ式ジャッキ21を短縮させると、側部型枠13の中間部を支柱5側に引寄せることができるため、前後方向の中間部に位置するねじ式ジャッキ21を支柱5側に引寄せたり、反対側の側部型枠13においては、押したりすることにより、各側部型枠13を平面ほぼ円弧状に曲率を持たせることができる。また、上下の各ねじ式ジャッキ21の引寄せ寸法または押し出し寸法を適宜調整することにより、側部型枠13の面板を上下方向に傾斜配置させることができる。
また同様に、左右方向の反対側に位置するねじ式ジャッキ21において、前後方向の中間部に位置する複数の各ねじ式ジャッキ21における端部の回動工具係合部25に回動工具を係合して、前記ねじ式ジャッキ21にける雄ねじ部材26を定位置回転させてねじ式ジャッキ21を伸長させると、側部型枠13の中間部を支柱5側から離反させるように平面ほぼ円弧状に曲率を持たせることができる。また、上下の各ねじ式ジャッキ21の押し出し量を変化させることにより、側部型枠13を上下方向に傾斜配置させることができる。
さらに、所定の円弧状の曲率および上下方向の傾斜配置となるように、前記棒状ゲージ36のスライド支承部材側の寸法を確認することにより、側部型枠の変位量を正確に計測することができるようにされている。
【0029】
上部のねじ式ジャッキ21と下部の棒状ゲージ36間において、各支持枠14のほぼ中央部には、上下方向に間隔をおいて複数のブラケット38がボルトにより着脱自在に取付けられ、支柱5を構成する溝形鋼間に配置された側部型枠転倒防止部材40の一端側の縦部分41に上下方向に間隔をおいて複数の水平ブラケット39が設けられ、支持枠14側の各ブラケット38と、前記各水平ブラケット39との上下部の接合は、上下部の接合の一方または両方が横長の長孔に挿通配置された縦軸により連結されて、前記縦軸と長孔間のクリアランスにより、側部型枠13側の上下方向の傾斜状態での連結を許容している。
【0030】
側部型枠転倒防止部材40の中間部の上下面部は、支柱5における各溝形鋼5aに着脱自在可能に設けられた横軸により回転可能に支承された上部支承ローラ42と下部支承ローラ43とにより支承されている。側部型枠転倒防止部材40の他端部には、縦連結部材44が設けられ、前記一端側の縦部分41に,ワイヤーあるいはロープあるいはチェーン等の条体または索体45の一端部が連結され、前記条体または索体45の中間部は、支柱5にボルト等により着脱可能に取付けられた手動式ウインチ46のドラム47に巻き掛けられ、前記ドラム47から繰り出された前記条体または索体45の他端部は、前記縦連結部材44に連結されている。
【0031】
したがって、前記手動式ウインチ46のハンドル29を正回転または逆回転させることにより、側部型枠13および転倒防止部材40を左右方向に前進または後退移動させることができる。前記手動式ウインチ46を作動させて、前記の側部型枠転倒防止部材40を前進または後退移動させる場合には、ねじ式ジャッキ21における一対の板状ストッパ部材35を取り外した状態で、雄ねじ部材26の端部の無ねじ軸部を可動受け金物32によりスライド可能に支承するようにされる。
【0032】
次に、側部型枠13下端部と底部型枠9との関係について説明すると、図7〜図9に示すように、側部型枠における型枠面板17に取り付けられた最下段の横桟材16の下部と型枠面板17の下端部には、一対の間隔をおいて平行な回動アーム支承用縦板48が配置されて、それらの基端部が溶接により固定され、前記各回動アーム支承用縦板48間には、回動アーム49の中間部が配置されて、これらの前後方向の孔に渡って挿通するように装着されたボルト・ナット等の横軸50により回動可能に設けられている。前記各回動アーム支承用縦板48には、横軸50の垂直線上において、矩形状の楔挿入孔51が設けられ、また、前記横軸50の水平線上において、矩形状の楔挿入孔52が、横軸50からの半径寸法が同じ距離に設けられている。
【0033】
また前記回動アーム49の一端側には、矩形状の楔挿入孔53が設けられて、前記回動アーム49が垂直状態あるいは水平状態にあるときに、回動アーム49の楔挿入孔53と各回動アーム支承用縦板48の楔挿入孔52に渡って挿入配置される楔54により、図7に示すように回動アーム49は垂直状態(縦向き)、あるいは図9(b)に示すように、水平状態(横向き)に位置調整可能にされている。
【0034】
また、前後方向に間隔をおいて隣り合う回動アーム49の他端部には、断面L型の支承部材55が溶接等により固定され、前記支承部材55の内側には、雌ねじ部材56が溶接により固定され、また、支承部材55の外側には、ロックナット57が配置される共に、前記ロック57にねじ込まれ、支承部材55の透孔に挿通され、雌ねじ部材56にねじ込まれた押し付けボルト58が装着されている。
【0035】
前記型枠面板17の下面は、底型枠9の上面よりも浮かせて間隙を設けて配置され、型枠面板17の下面と底型枠9の上面との間の間隙Gには、長尺のゴム製面木59が配置されて、前記押し付けボルト58によりゴム製面木59の端部の断面L型鋼板を介して、ゴム製面木59の傾斜上面を型枠面板17の下端面に押し付けるようにして、前記型枠面板17の下面と底型枠9の上面との間隙を閉塞するようにされている。
【0036】
前記押し付けボルト58を適宜後退させた状態で、楔54を取り外し、回動アーム49を縦長状態あるいは横長状態にして、楔54を打ちかえることにより、回動アーム49をボルト押し付け位置あるいは退避位置に保持することができる。
【0037】
左右の各側部型枠13の前後方向の端部には、図4に示すように、端部型枠67が底型枠9上に配置されて、前後方向の端部側に設置された支持装置68により、所定の姿勢に支持される。
【0038】
前記各ベースフレーム2に固定された各支柱5の対向する内側上端部には、内側に突出するように足場板支持枠69の基端部が、支柱5側のブラケットにボルト・ナットにより着脱自在に取付けられ、前後方向に隣り合う足場板支持枠69に渡って足場板70が架設されて、上部足場71が形成されている。また、前後方向に隣り合う各ベースフレーム2の端部間に渡って足場板70が架設されて、下部外側足場72が形成されている。
【0039】
次に、前記の曲線桁製作用型枠装置1を使用して、例えば、図10に示すような側面形態のモノレール軌道桁74を製作する場合について説明する。モノレール軌道桁74では、図12(a)に示すような曲線桁の特徴として平面形態(平面線形)が曲線で、図12(c)に示すように、平面線形の曲線に伴って横断勾配が設けられて一定の傾斜角で傾斜する上面83を有しており(桁幅方向両端部間の高低差[カント量]のある上面)、また、桁天端の傾斜上面83に対して桁側面は直角とされ、さらに、桁下端面は常に水平にされる。また、モノレール軌道桁74には、縦断勾配を設ける場合もある。
【0040】
底型枠9の上面は平坦面とされ、その底型枠9の上面に、手動式ウインチ46のハンドル部材29を駆動して各側部型枠13を所定の位置に配置すると共に、棒状ゲージ36で確認しながらねじ式ジャッキ21により微調整を行うと共に、各側部型枠13における前後方向の上下の各ねじ式ジャッキ21における回動工具係合部25を回動工具により正回転または逆回転させて、側部型枠13における型枠面板17を押すか、引いて、各型枠面板17の上下方向の傾斜角が所定の角度になるようにする設定される。前記の場合に、転倒防止部材40により側部型枠13の転倒が防止され、転倒防止部材40に付属している支柱5側に取り付けらている手動式ウインチ46を駆動して転倒防止部材40および側部型枠13を左右方向の大まかな位置に移動させることができる。
【0041】
前記場合に、ねじ式ジャッキ21は、その雄ねじ部材26における端部側の無ねじ軸部が受け金物30の挿入孔または可動受け金物32にスライド可能に支承され、ねじ式ジャッキ21を駆動して、支持枠14を押すか引いて型枠面板17を押すか引くようにされ、、所定の位置に配置された状態で、板状ストッパ部材35が内側支承縦板33と外側支承縦板34の間に配置されると共に係止溝部28に嵌合装着されて、各側部型枠13における型枠面板17が所定の平面曲線および所定の上下方向の傾斜角を保持するようにされ、さらに前後方向の端部に端部型枠67が配置され、図示を省略するが、型枠内に適宜配筋される共にPC鋼材が端部型枠67間あるいは側部型枠13間に配置される。
【0042】
ねじ式ジャッキ21は支持枠14側に縦軸23により水平回動可能にされているため、支持枠14が平面曲線状の配置に変形配置されてもこれに追従することができる。また、支持枠14の上下方向の傾斜角は、微小であるので、縦軸23等の取り付け部分の遊びによりねじ式ジャッキ21の上下方向の傾斜配置を吸収することができる。
【0043】
前記の場合にも、滑らかな平面曲線を出す為に、それぞれのねじ式ジャッキ21の上に配置の棒状ゲージ36で所定の曲線になっているか確認できるため、正確な平面曲線の曲線桁を製作することができる。型枠面板17を構成する鋼板は、例えば、12mm、9mm前後のものが使用される。なお、ゲージは初め0調整をしておきそれを目安に曲線を調整する。
【0044】
前記の場合の支持枠14下端部のローラ15に代えて、リニア式等の移動装置であると、スライド面との摩擦が小さいので、手動式ウインチ46を省略することができる。
【0045】
また、型枠面板17下端面と底型枠17の間に、ゴム製面木59を配置すると共に押し付けボルト接合58により押し付けた状態とし、底型枠9の前後方向の端部側に橋梁支承装置としての支承84を配置し、そのアンカーボルトなどをコンクリート内に埋め込み固定するように配置した状態で、型枠内にコンクリート73を充填し、カントを設けるべく、コンクリート上面を傾斜面となるようにコテ等により表面仕上げし、養生硬化される。
【0046】
前記の場合に、転倒防止部材40の横断勾配による側部型枠13の倒れに応じて、転倒防止部材40側に遊間が必要になるが、その遊間は、ねじ式ジャッキ21をセットしたときに、支柱5の上下2つの支承ローラー42,43を外しても良いし、支持枠14と転倒防止部材40との接合部に、クリアランスを設け移動可能にしても良い。
【0047】
コンクリートが所定の強度を発現した後、ねじ式ジャッキ21を後退可能にすべく、板状ストッパ部材35を取り外し、楔54を取り外して回動アーム49を図9(b)の状態で楔54を孔52に圧入して回動アーム49を保持した状態で、ゴム製面木59を取り外し、適宜手動式ウインチ46あるいはねじ式ジャッキ21を回動して、側部型枠13を脱型する。この場合、支持枠14下端部のローラー15は、底型枠9の上を移動するが、底型枠9がなくなると底型枠9を支持している側枠脱枠用受け梁11上を後退移動する。なお、端部型枠67を適宜後退させて脱型する。
【0048】
なお、前記の脱型するときに、ねじ式ジャッキ21を開放したのち、転倒防止部材40のローラー42,43を効かした状態で転倒防止部材40を支承して後退移動させるようにしてもよく、又は支持枠14と転倒防止部材40を、図示を省略するが、クランプ金具等により適宜の手段により固く接合した後、支柱5方向に後退移動させる。
【0049】
前記実施形態のように、本発明の曲線桁製作用型枠装置は、従来の型枠のように支柱の下部を地盤等に設けられる基礎構造に深く設置しないで、ベースフレームに支柱をボルトにより着脱可能に取り付け構造であるので、曲線桁製作用型枠装置の分解組立が容易な構造となり、これらを構成する部品を架設現場付近に容易に搬送設置して組立てることができ、また使用後は、分解して撤去が容易であり、さらに、製作されたプレキャスト桁をそのまま吊上げて設置することができ、多数本のプレキャスト桁を製作する場合には、プレキャスト桁の製作費用および搬送費用を格段に安くすることができる効果が得られる。
【0050】
本発明の曲線桁製作用型枠1では、ボルト・ナット等により着脱可能であるので、部材を架設施工する現場付近に搬送して地盤あるいはベタ基礎上において組立が容易であると共に、分解搬送撤去が容易であるので、多数本の曲線桁を製作する場合に格段に安価に製作することができると共に、搬送距離が少なく容易に架設することができる。
【0051】
前記実施形態では、モノレール用軌道桁の場合を製作する場合について説明したが、本発明の曲線桁製作用型枠装置により、リニア式,LRT式あるいはAGT式等の新交通システムにおける曲線を有する軌道桁等の桁を製作するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の曲線桁製作用型枠装置を示す一部縦断正面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す縦断正面図である。
【図3】本発明の曲線桁製作用型枠装置の一部を示す横断平面図である。
【図4】本発明の曲線桁製作用型枠装置の概略平面図である。
【図5】曲線部で偏心している部分を部分を示す縦断正面図である。
【図6】本発明の曲線桁製作用型枠装置における側部型枠を脱型している状態を示す縦断正面図である。
【図7】底部型枠と側壁型枠との隅部閉塞部を示す縦断正面図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】(a)は回動アームを楔により固定している状態を示す平面図、(b)は回動アームを後方に回動退避している状態を示す縦断側面図である。
【図10】本発明の曲線桁製作用型枠装置により製作された桁を示す概略側面図である。
【図11】従来の桁用型枠装置と本発明の曲線桁製作用型枠装置を対比図であり、(a)は従来の型枠装置の一部を示す概略縦断正面図、(b)は本発明の曲線桁製作用型枠装置の一部を示す概略縦断正面図である。
【図12】(a)は曲線桁と底部型枠を示す概略平面図、(b)は通常の桁断面を示す縦断正面図、(b)はカントを有する曲線桁を示す縦断正面図である。
【図13】前後一対の板状ストッパ部材を示すものであって、(a)は一方の板状ストッパ部材の側面図、(b)は前後一対の板状ストッパ部材の正面図、(c)は他方の板状ストッパ部材の側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 曲線桁製作用型枠装置
2 ベースフレーム
3 下フランジ
4 上フランジ
5 支柱
5a 溝形鋼
6 ボルト・ナット
7 底枠縦梁
8 底枠架台
9 底型枠
10 分割型底型枠ユニット
11 側枠脱枠用受け梁
12 ブラケット
13 側部型枠
14 支持枠
15 ローラ
16 横桟材
17 型枠面板
18 凸状型枠
19 縦軸
20 ブラケット
21 ねじ式ジャッキ
22 ケース
23 縦軸
24 円環状ストッパ
25 回動工具係合部
26 雄ねじ部材
27 雄ねじ部
28 係止溝部
29 ハンドル
30 受け金物
31 枠型ブラケット
32 可動受け金物
33 内側支承縦板
34 外側支承縦板
35 板状ストッパ部材
36 棒状ゲージ
37 ス態度支承部材
38 ブラケット
39 水平ブラケット
40 側部型枠転倒防止部材
41 縦部分
42 上部支承ローラ
43 下部支承ローラ
44 縦連結部材
45 条体または索体
46 手動式ウインチ
47 ドラム
48 回動アーム支承用縦板
49 回動アーム
50 横軸
51 楔挿入孔
52 楔挿入孔
53 楔挿入孔
54 楔
55 支承部材
56 雌ねじ部材
57 ロックナット
58 押し付けボルト
59 ゴム製面木
60 コンクリート基礎
61 独立した支柱
62 吊りビーム
63 側部型枠
64 側部型枠板
65 曲線桁
66 ベタ基礎
67 端部型枠
68 支持装置
69 足場板支持枠
70 足場板
71 上部足場
72 下部外側足場
73 コンクリート
74 モノレール軌道桁
75 凹部
76 連結ボルト
77 ブラケット
78 水平スリット
79 ブラケット
80 ナット
81 ボルト挿通孔
82 縦軸
83 上面
84 支承
G 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面曲線状の曲線桁を製作するための曲線桁製作用型枠装置において、前記曲線桁製作用型枠装置における側部型枠を支持する支持枠の下部に、ローラ式あるいはリニア式等の移動装置が設けられて、支持枠が移動可能にされ、前記支持枠には、その転倒を防止する転倒防止部材の一端側が連結され、かつ転倒防止部材は、ベースフレーム上に設けられた支柱側に支持されていることを特徴とする曲線桁製作用型枠装置。
【請求項2】
前記転倒防止部材は、支柱側に対し前進移動または後退移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の曲線桁製作用型枠装置。
【請求項3】
転倒防止部材が横断勾配による側部型枠の上下方向の傾斜した倒れ角に応じて移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の曲線桁製作用型枠装置。
【請求項4】
地盤またはベタ基礎上に、前後方向に間隔をおいて曲線桁製作用型枠装置におけるベースフレームが載置され、そのベースフレームに支柱が着脱可能に立設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の曲線桁製作用型枠装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−44956(P2007−44956A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230771(P2005−230771)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000103769)オリエンタル建設株式会社 (136)
【Fターム(参考)】